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1963-05-17 第43回国会 衆議院 大蔵委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月十七日(金曜日)    午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君    理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君       安藤  覺君    天野 公義君       伊藤 五郎君    岡田 修一君       川村善八郎君    久保田藤麿君       田澤 吉郎君    田中 榮一君       濱田 幸雄君    藤井 勝志君       藤枝 泉介君    古川 丈吉君       佐藤觀次郎君    田原 春次君       坪野 米男君    芳賀  貢君       広瀬 秀吉君    横山 利秋君       春日 一幸君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         大蔵政務次官  原田  憲君         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理官         事務取扱)   片桐 良雄君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      谷川  宏君         日本専売公社総         裁       阪田 泰二君         日本専売公社販         売部長     狩谷 亨一君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 五月十四日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として中澤  茂一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中澤茂一辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員田原春次君及び芳賀貢辞任につき、その  補欠として細迫兼光君及び栗林三郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員栗林三郎君及び細迫兼光辞任につき、そ  の補欠として芳賀貢君及び田原春次君が議長の  指名委員に選任された。 同月十六日  委員安藤覺君及び芳賀貢辞任につき、その補  欠として馬場元治君及び栗林三郎君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員馬場元治君及び栗林三郎辞任につき、そ  の補欠として安藤覺君及び芳賀貢君が議長の指  名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十三日  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、  税務署設置に関し承認を求めるの件(内閣提  出、承認第四号) 同月十四日  医療法人課税是正に関する請願天野公義君  紹介)(第三七一七号)  同(加藤常太郎紹介)(第三七一八号)  同(金丸信紹介)(第三七一九号)  同(關谷勝利紹介)(第三七二〇号)  同(福田篤泰紹介)(第三七二一号)  同(堀内一雄紹介)(第三七二二号)  同(米田吉盛紹介)(第三七二三号)  同外七件(加藤高藏君紹介)(第三七四五号)  同(門司亮紹介)(第三七四六号)  同(小林信一紹介)(第三七七五号)  同(帆足計紹介)(第三七七六号)  同外二件(加藤高藏君紹介)(第三八一一号)  同(濱田幸雄紹介)(第三九〇九号)  更生資金貸付限度額引上げ等に関する請願  (福永健司紹介)(第三七二四号)  同(森山欽司紹介)(第三七二五号)  同(小澤太郎紹介)(第三七五六号)  同(砂原格紹介)(第三八五五号)  同(田中彰治紹介)(第三八五六号)  国の会計年度改正に関する請願倉石忠雄君紹  介)(第三七三三号)  同(唐澤俊樹紹介)(第三七五九号)  同(原茂紹介)(第三八〇〇号)  同(中島巖紹介)(第三九五六号)  同(松平忠久紹介)(第三九五七号)  国税庁職員に対する劣悪な勤務条件の強制及び  不当労働行為変更に関する請願島本虎三君  紹介)(第三八一二号)  音楽舞踊及び能楽等入場税撤廃に関する請  願(中澤茂一紹介)(第三八一三号)  同(淺沼享子紹介)(第三九一〇号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第三九一一号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第三九三六号)  入場税撤廃に関する請願矢尾喜三郎紹介)  (第三九一二号)  旧令による共済組合等からの年金制度に関する  請願大野伴睦紹介)(第三八五四号)  電気研摩機に対する物品税課税改正に関する  請願加藤鐐五郎紹介)(第三八五七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  音楽、演劇及び舞踊等入場税撤廃に関する陳  情書(第六八六号)  負債整理のための不動産売却代金に対する所得  税の減免措置に関する陳情書  (第六八七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、  税務署設置に関し承認を求めるの件(内閣提  出、承認第四号)  税制に関する件  専売事業に関する件  造幣事業に関する件      ――――◇―――――
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  税制専売事業及び造幣事業に関する件について調査を進めます。  田中大蔵大臣より発言を求められております。これを許します。大蔵大臣田中角榮君。
  3. 田中角榮

    田中国務大臣 政府は今回物品税法施行令の一部を改正し、トランジスタ・テレビを三年間非課税とする等の措置を講じたのでありますが、これにつきまして一言御説明申し上げたいと思います。  本年度税制改正国民生活の安定と現下の経済情勢に顧み、当面要請せられる施策に対応する税制上の措置を講ずることを主眼として所得税法人税を中心として行なわれたことは御承知通りでございます。間接税につきましては、三十七年度において大規模な軽減合理化を行なった直後でもありますので、今後の負担軽減につきましては税制調査会審議等を通じ、広く税負担一般あり方をどうするかという見地から根本的に検討してまいりたい所存でありまして、これにつきましては今国会においてたびたびお答えいたしたところでございます。今回の物品税法施行令の一部改正は、実質的には税負担軽減を伴うものではありますが、昨年度物品税法改正の際問題とされながらその結論を今年度に持ち越されていた問題について結末をつけたものにすぎないのでありまして、決して新規に取り上げられた問題ではございません。しかしながら今回の改正は、三十八年度には間接税改正には手を触れ得ないでありましょうという私の言い方に若干異なる措置であったようであります。今後は国会尊重立場からも、十分配慮の上措置してまいりたいと思います。
  4. 臼井莊一

    臼井委員長 質疑の通告があります。  これを許します。田原春次君。
  5. 田原春次

    田原委員 私はこの大蔵委員会で、池田総理大臣にもおいでを願って御所見を聞くつもりでございますが、本日は突然のことでありますので、黒金官房長官、続いて田中大蔵大臣にお尋ね申し上げたい。  去る、二月の北九州市長選挙におきまして、社会党では吉田法晴参議院議員を公認し、自由民主党では杉本勝次県知事推薦いたしまして選挙に臨んだわけでございます。それから四月は、社会党では現鵜崎多一県知事を公認し、自由民主党では建設省の前官房長鬼丸勝之氏を推薦いたしまして、おのおの政策をもって県民に訴えたわけでございます。その間、北九州市長選のときに一回と四月の知事選挙のときに一回、池田総理大臣がわざわざおいでになりました。多数の県民の前で種々なる公約をいたされました。これは決して選挙に利用したものではないと思います。りっぱな政策を御発表になりました。福岡県は産炭地がさびれまして、いかにしたならば産炭地振興するかという激しい熱烈な期待中央政治にかけておる。総理大臣は二度もおいでになり、知事選挙のときには黒金官房長官おいでになりまして、その御演説をすみの方で実は聞いておったわけでございます。確かにすぐれたる政治家池田総理大臣、またその女房役といたしまして名声さくさくたる黒金官房長官おいでになりまして、繰り返し繰り返し強調されましたことを、県民は深く記憶しておる。  第一は、池田さんは初めちょっと失言をいたしました。それは田川郡というところから行橋市に自動車でおいでになるときに七曲りトンネルというところ々通ったのでありますが、これは県知事社会党だから車の道が悪いということを言われました。調べましたところがこれは二級国道でございました。地元のほうでは池田さんの失言は深くこれはとがめぬことにしておりますが、そのかわり二級国道も直してもらえるだろうという期待を持っております。  一番大きな問題といたしまして、池田さんがおっしゃいましたのは、造幣局北九州に持ってきてやろうというありがたい仰せでございます。これは東京造幣局を置いておきますと、にせ札等の問題が起きて心配であり、また東京人口一千万になっておりまして、何とかして東京人口地方に分散しようという御計画もあり、そういうようなことのあらわれが、北九州へならばにせ札も出ないだろう、われわれに対する御信頼であると感謝しております。そこで大へん県民はわき立って、これなら池田さんの御推薦になる鬼丸さんも当選させなければいかぬと言う人もあったのでありますが、投票をあけてみますと、社会党公認鵜崎が九十七万票であり、残念ながら——自民党にとりましては残念でございますが県民にとっては残念でございませんでしたが、鬼丸さんが七十二万票ということであった。それから市長選におきましても、吉田法晴社会党候補が二十万票、それから池田さん並びに五人の大臣おいでになりまして街頭演説をぶたれました杉本自民党推薦候補が十七万票ということで、まことに気の毒でありましたが、負けたわけであります。  そこで自由民主党福岡県選出の参議院議員並びに代議士が寄り合いいたしまして、幾ら社会党知事市長であるからといって、当選した以上はやはりこれはもう真剣に取り組んでやってもらわなければ困る、そうでないとこの次はあぶないということで、田原さん、あなたは大蔵委員だから、一つ池田さんを大蔵委員会に呼んで、あれはほんとうですか、いつごろ持ってくるんですかという話をしてくれぬか、こういうことでございまして、私はただいま社会党ではございますが、福岡県に関する限りは自由民主党の十数名の全国会議員の輿望を体してまいっておるわけであります。  さような次第でございますので、しかしながら黒金官房長官たいへんお忙しいようでありまするから、あまり何問も問題を出しませんが、黒金さんのおとうさんを私は思い出す。あれは昔福岡県の県知事をやりまして、それから山形県で代議士をやられ、そして黒金さんは福岡で生まれたんじゃないかと言う人もあるわけであります。そういう縁故もありまして、あの黒金さんのむすこならば約束したことは必ずやるじゃろうということになっております。七月の改選でたぶん黒金さんも何何大臣になるのじゃないかというたいへんな期待を持っております、また、なっていただきたいと思います。大蔵大臣じゃ困ります、田中さんがおりますからね。(笑声)そういうわけでありますので、この際特に黒金官房長官最初質問申し上げます。それを大蔵大臣はずっと聞いていただいておいて、あと大蔵大臣に伺います。  それは、かたく言えば、およそ一国の総輝大臣が参りましてお約束したことは実行されるでございましょうかどうか、もし必要とあらば県会感謝決議のごときものも出し——福岡県会国会に先んじまして第一党が議長、第二党が副議長という申し合わせをいたしまして、第一党である自由民主党議長、第二党である社会党が副議長になりまして、ただいま東京に参りまして、私の部屋に二人とも待機しております。これは国会のほうも第一党が議長、第二党が副議長になる国会正常化をまず県会からお手本を示しておるような、それほど国政にわれわれは協力しておるわけでございます。そういうわけでございますので、黒金さんの御主人でございます池田さんがおっしゃったことを単なる放言、単なる選挙運動の言葉とみなさずに実際生かしてもらいたい。紙幣の印刷でもいいし、それから硬貨鋳造でもいいし、土地は幾らでもございますので、何とぞ実現をしていただきたい。そのことによって、さすがに黒金さんは偉い、約束したことはやるというぐあいに福岡県民に思われるし、そのことはまた自由民主党にとりましても、なるほど知事社会党であるが約束しただけのことはやってくれたということになると思うわけでございます。そこで本日は質問というよりか陳情になるかもしれませんが、あなたの演説からふえんいたしまして、また池田総理大臣の二度にわたる御丁寧な福岡県の御遊説の結果といたしまして、残るところは第一は造幣局移転、第二はたばこ専売公社新設、第二の点につきましては後ほど田中大蔵大臣にとっくり御相談いたします。新潟県に持っていかぬようにお願いするわけでありますが、第一の問題につきまして一つここで明快なるかつ親切なる、再び私が質問せぬで済むような御回答をいただきまして、それによって福岡県の産炭地振興に資したい、こう考えて御質問申し上げる次第でございます。
  6. 黒金泰美

    黒金政府委員 田原先生の御質問でございますが、まずちょっと私事にわたって恐縮でございますが、私の先代は福岡知事をいたしたことはございませんで、大分知事をやったことはございます。したがいまして、私は福岡に住んだことはございませんけれども、しかし産炭地振興につきましては人一倍に苦労をいたし、ぜひ振興さしていきたいと、その熱意におきましては劣らないつもりでございます。  さて、御質問のありました点につきまして、総理演説について聞いておりますところでは、造幣局の問題あるいは専売局の問題についても、事務的にはいろんな問題があるようです。しかし自分としてはぜひこちらに持ってきたいのだ、それでそういう意向のもとに関係方面検討さしておりますと、自分としては持ってきたいのですと、こういう意向を述べたように聞いております。いまお話しにありましたように、検討ができ次第にぜひ総理意向を実現させたく考えております。
  7. 田原春次

    田原委員 池田総理大臣が、御自分としては約束通り専売公社新設とそれから造幣局移転福岡県に持ってきたいということはまことにけっこうなことでありまして、この一点から見ましても来たる七月の総裁改選にあたりましては引き続き池田さんが選ばれ、そして総理大臣在職中の発言を実行することを願いたいと思います。後日大蔵委員会池田総理大臣に来ていただきまして、あらためて感謝並びに念押しをいたしますが、本日は官房長官お忙しいようでありますから、その点の御答弁だけで私は一応了承するつもりであります。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 総理大臣地方遊説の際に、産炭地振興に対して具体的な問題にもお触れになって御発言になられたことは新聞で承知いたしております。総理大臣地方遊説の際に申し上げたというよりも、石炭対策の一環といたしまして閣議産炭地振興に対して決定をいたしておるのであります。産炭地振興に対して政府ができる限りの具体的な策を取り上げて、できるだけ早い機会に産炭地振興に取り組まなければいかぬということを基本にいたしまして、まずそれをやるには政府関係機関等産炭地新設または移転ができるようなものに対しては積極的にこれを行なうということで、予算をつくって大蔵省等も率先してそういうことをやるべきであるということで、当時議題にのぼりましたのが造幣局工場を持っていってはどうか、それから印刷局専売局工場等産炭地に移すということも考えなければいかぬじゃないか。それからなお労働省関係やその他の職業訓練所とか、これから予算その他でまかなえるものも、できるだけ産炭地につくるということに重点を置くべきである。また九州全体を考えましても、既設の、都市の中で狭隘で困っているような鉄道の車両工場とか、または整備工場とか、場合によれば福岡や博多や門司というような町の中にあるもので産炭地に移せるようなものがあったならば、関連産業を問わすこういうものも移したり、また山元発電セメント工場等も、ただ合わないからとか、ペイしないとか、現在のものだけでもっていいのだというような考えでなく、前向きにより積極的にやろうというような考え方で各省の意見調整をしながら、各機関に対しても積極的に推進するようにという閣議申し合わせをいたしておるわけでございます。したがいまして、総理地方遊説の際に申し上げたことは、総理大臣個人として申し上げたのではなく、閣議決定に基づいたことを御発言になられたのでありまして、われわれ関係閣僚もこの閣議決定の線に沿っていろいろな問題を調査検討をいたしておるのでございます。  その中の一つ造幣局工場という問題に対しては、これは私の所管でありますのでいま検討いたしておりますが、東京とか大阪とか大きな都市の中にあるものはできるだけ地方移転した方がいいじゃないかというような考え方もありますし、もう一つは、硬貨が非常に不足をしておるから、硬貨鋳造工場産炭地でもやれるのではないかというような考え方で、造幣当局に対してもいま検討を進めさしております。結論的には貨幣の鋳造に対してはいまの工場で間に合う、また現在の状態で、一時的に不足であった低位の硬貨すなわち一円とか、五円とか、十円というようなものは下請にも出せるということでありますので、新しく工場をつくる必要があるのかないのかという問題に対してはいろいろな数字が出ております。造幣局北九州に持っていくことはむずかしいのではないか、いま事務局考え方ではそのような報告書が出ておりますが、より高い立場でどうあるべきかということに対しては検討を必要とする問題だと思います。  それからたばこ製造工場の問題は、九州に五カ工場がございます。いまの状態では製造工場そのもの南九州工場を大きくしろとかいろんな陳情もあるのでございますが、九州の五カ工場の上になお一工場を新しく産炭地につくるということが一体必要であるかどうか、現在の事務当局考え方では必要でないというようなことを言っておりますが、より積極的にこの問題も検討しなければならないというふうに考えております。  それから印刷局関係のものについては、現在あるものを移してもいいじゃないかという問題もございますが、現在の各地にありますものは増設計画等もいま進めておりますので、これらとの調整考え結論を出さなければならないだろうと思います。  それから専売公社関係で、これは民間工場でございますが関連産業としてフィルター工場があります。近時フィルターつきたばこが、国民の嗜好がそちらの力に向いておりますので、これらの工場は現在の段階でも何とか産炭地振興という線に沿って現地に建設できるんじゃないかというような状態が現在報告をされております。  それから大分の別府の自衛隊を移すとか、いろいろな問題がございまして、政府はただ池田総理地方遊説でお話をしたから、その発言に基づいてどうしようというのではなく、北は北海道の産炭地から日本全国各地における産炭地振興というものに対しては、積極的にひとつ取り組んでまいりたいという考えでおります。阪田専売公社総裁も来ておりますから、必要があればお答えをいたしますが、大蔵省専売公社に対しましても、この内閣方針に沿って、できるだけ具体的にこれが新設計画等に対しては推進をするようにということを申しておるのでございます。  以上申し上げておきます。
  9. 田原春次

    田原委員 まことに御親切な御方針を承りましたが、問題はその御答弁の中にありますように事務当局検討しておる。政府としてはその検討あとでというところに問題があるのでありまして、この種の問題は事務当局だけで片づく問題じゃないと思うのです。第一東京から地方に行きたがらぬという人もあるに違いありません。東京人口をいかに地方に分散させるかということは、これはどの党も考えておる大きな問題であります。したがって可能な限り関係のそういう人たちを移す、それに伴って住宅、それから学校、こういうものがむろん行かなければならないわけでございますので、その第一の案として産炭地振興でということはけっこうと思います。田中大蔵大臣は優秀な政治家であり、大蔵大臣を無事に御卒業相なったならば、やがては副総理あるいは総理になるべき人であると期待をしておるわけであります。したがいまして、池田総理大臣の御方針を受け継いで、それじゃ全部東京から九州に持っていきましょうというくらいの腹をきめて、それから阪田総裁その他に話をするのでないと、事務当局に言われたのでは、そう簡単にいかぬと思います。せっかく専売公社総裁がお見えになって、私も存じ上げておる仲でございますが、御遠慮申し上げまして、問題はあなたの御決意、それから池田さんの御決意、言うたことはやる、武士に二言はござらぬ、こういうことを希望いたしまして、質問を終わるわけであります。
  10. 臼井莊一

  11. 堀昌雄

    堀委員 最初たばこの問題から少し論議をさしていただきます。  専売公社のほうにお伺いをいたしますが、三月二十九日に公示第四号によって、現在の歩率現行どおり大体やるという趣旨のものが出されたように思いますが、これの趣旨についてちょっとお答えをいただきたいと思います。
  12. 阪田泰二

    阪田説明員 御質問のとおり、三月二十九日に従来のたばこ手数料に関して改正する告示を出したわけでありますが、告示の内容といたしましては、形式的には従来何万円までのものは何歩といったような表現になっておりましたのを、年計算から月計算に改めたというだけで、実態的には相違がございません。御承知のように、現在手数料歩率改定するという問題がございますので、そういうことに備えますために年計算ではその改定がむずかしくなりますので、月計算、毎月切って計算する、こういう形式に改めましたわけでございます。
  13. 堀昌雄

    堀委員 その意図されるところは、そうするとまず第一点は現状のままで当分いくということ、第二点はいまお話しになりました改定をする場合に計算上の便宜から年計算月計算に改めた、以上の二点というように承知をしてよろしゅうございますか。
  14. 阪田泰二

    阪田説明員 そのとおりでございます。
  15. 堀昌雄

    堀委員 前回、予算委員会その他でもずっと論議をさせていただいてまいりましたが、一応その予算積算基礎としては新たなる歩率改定を予想されておりましたようでありますが、私どもここで論議をさせていただいた結果、公社側において検討の必要があるというふうにお認めをいただいたので、本来なら四月一日から実施されるこれらの問題が一応延期をされた、こういうふうに私は理解をいたしておりますが、それでよろしいでしょうか。
  16. 阪田泰二

    阪田説明員 御趣旨のとおりでありまして、予算積算基礎といたしまして本年度から歩率をある程度改定するということになっておりますので、本来ならばその趣旨にしたがいまして直ちに実施するのが適当かと考えますが、御承知のごとくいろいろと今後の検討を要する問題も生じておりますので、しばらく実施延期して十分な検討をいたしました上で適正な実施をいたしたい、かように考えて延ばしましたわけでございます。
  17. 堀昌雄

    堀委員 そういたしますと、予算積算基礎になっておりましたものが、現在すでに五月中旬でありますから一カ月半延期をされておるということは、少なくともその基礎となりました歩率あり方について変更があるものと私は理解をいたします。どう変更があるかということは別個でございますけれども、一応そのままで行なうのならば、長時間にわたる検討は私、必要ないんじゃないかと思いますから、御検討いただいておることは一応この問題が部分的に変わるという方向で御検討がされておる、かように理解をいたしますが、よろしゅうございますか。
  18. 阪田泰二

    阪田説明員 その点につきましては、ただいま文字どおり検討中でございまして、変更いたしますか、変更するとすればどういうふうにいたしますか、あるいは変更いたさないか、そこまでまだきまっておらないわけでございます。
  19. 堀昌雄

    堀委員 いや、いま私はきまっておることで伺っておるのではないのです。少なくとも四月一日に、普通私どもが論議をいたしませんときには行なわれたであろう積算基礎を、とりあえず二月二十九日の公示で延期をされておるということは、そのままであるということなら検討の必要はないわけですから、検討するというのは、それに何らかの変更を加える意思が一応働いておるから検討があるわけでして、そういう意味では変更を意図して検討しておる。結果がどうなるか、私はまだ伺っておりません。この三月二十九日の公示はそういうふうに私は理解をいたしますが、いかがでありますか。
  20. 阪田泰二

    阪田説明員 大体御質問のとおりかと思うのでありますが、昨年度予算積算基礎になりました歩率についての考え方、これについてそのまま実施するというつもりでおりましたところが、なお検討を要する点があるんじゃないか、こういうことで延ばしましたわけでございます。したがいまして、もちろんもとの案につきまして検討するという立場考えておるわけでありますが、先ほど申し上げましたように結論がどう出るかということについては、何とも申し上げかねるわけであります。
  21. 堀昌雄

    堀委員 私、まだ結果のところは伺っていないわけです。検討に処する態度といいますか、その点を伺ったのです。  そこで、ちょっとお伺いいたしたいのは、歩率改定という問題は、私が私なりに調べましたところでは、たばこ専売法施行規則十八条に、「公社から小売人に売り渡す製造たばこの売渡価格は、その小売定価から小売定価に対して総裁の定める割引歩合を乗じて得た金額を控除した金額による。」こういうふうに明らかになっておりますが、これ以外に、総裁が定める割引歩合でございますから、割引歩合の決定権というものは公社の総裁にある、こういうふうに法律的に解釈をいたしますが、それでよろしいでしょうか。
  22. 阪田泰二

    阪田説明員 割引歩合を決定いたしますところの規定は御指摘のとおりでありまして、この条文に従いまして、私どもはやっております。
  23. 堀昌雄

    堀委員 もう一つ、もちろん専売公社大蔵省の監督の下にあるわけでありますが、大蔵大臣の監督その他の権限につきましては、日本専売公社法第四十四条に、「公社は、大蔵大臣が監督する。大蔵大臣は、必要があると認めるときは、公社に対して業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」かようになっておるわけでありますけれども、これは大臣では無理でしょうから、専売監理官のほうにお伺いをいたしますが、この定めと、それからいまのたばこ専売法施行規則十八条との関係、要するに、私は歩率改定というものは、これは専売公社の総裁の権限の範囲に属しておって、もちろんその監督ということが、日本専売公社法四十四条ではありますけれども、それは一応公社の総裁が決定をして、それが非常に適正でないという何らかの判断があった場合には、これはあるいは業務に関し、監督上必要な命令が出せるかもしれないが、原則的には、この歩率改定の問題は公社側にある、こういうふうに私は理解をしておるわけですが、その点についての日本専売公社法四十四条の解釈をひとつ伺いたい。
  24. 片桐良雄

    ○片桐政府委員 お答え申し上げます。ただいま仰せになりました専売公社法第四十四条は、大蔵大臣専売公社に対して一般的な監督権を持っていることを規定いたしております。しかし割引歩合に関しましては、これもただいま御指摘がございましたように、施行規則十八条に基づいて、公社の総裁が定めることになっております。さらに、公社はその業務を運営する上におきまして、業務方法書というものをつくっておりますが、これは全般的に大蔵大臣承認を得てつくっております。その業務方法書の四十七条に、やはりこの割引歩合は専売公社の総裁が定める旨が規定されております。ただ若干の条件がついておりまして、業務方法書の第四十七条には、「製造たばこの小売人に対する売渡価格を定める場合の割引歩合は、公社が国庫に納付する利益金予定額を確保し得る範囲内において、小売人の販売経費並びに製造たばこの売行状況等を考慮して定める。」という若干の制限がついております。これが、公社が実際業務を運営する上において、こういう態度で割引歩合を定めていきたい、こういうふうに考えたわけでございまして、これを大蔵大臣が全面的に承認いたしております。したがいまして、この両方の規定によりまして、割引歩合は専売公社の総裁が定める、こういうふうに考えるわけでございます。
  25. 堀昌雄

    堀委員 法律的な部分をまず明らかにいたしまして、実は私どもいろいろな行政の問題を見ておりますときに、なるほどおのおのの権限をいうものがある以上は、私はやはりその権限が、まず第一義的には守られるべきである、かように考えます。おそらく大蔵大臣といえども、この公社の総裁の権限を侵して、何らかのあれをされるという意思は毛頭ない、こう私は理解をいたしますが、その点についての大臣の御見解をひとつ承りたい。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいまのお説のとおり考えております。
  27. 堀昌雄

    堀委員 その点は一つ明らかになりましたので、特に今後の歩率改定の問題等につきましては、まず公社の総裁が公社の立場から、ただいまの業務方法吾の中にもございますけれども、国庫に納付する利益金予定額を確保し得る範囲内云々、こういうことは、当然公社の総裁が考えることでございますので、まずこの問題は、公社側の自主的な決定権を尊重するというたてまえを、やはり私は一般慣例として、ひとつ大蔵大臣も御確認をいただきたい。と申しますことは、今回の歩率改定の問題につきましては、私は少し調べてみましたけれども、必ずしも納得のできない部分があるわけであります。このことについては大蔵当局においても、私のいろいろな論議に基づいて、御検討を進めていただいておりますことは、私も公正なる立場として、非常に評価をいたしておるわけでありますけれども、やはり今後この問題は、このたびをもって終わることではないわけでありまして、今後にも予想せられる問題でありますので、その取り扱いについては、私はやはり公社の自主性を尊重するということを、さらにひとつ強調いたしたい、こう考えるわけでございます。そこで、私のこの意見に対して、公社の総裁はどういうふうにお考えになるか、ひとつあなたの立場からのお答えをいただきたい。
  28. 阪田泰二

    阪田説明員 公社の運営の自主性と申しますか、この点につきましては、御指摘のように私どもも考えているわけでありまして、専売公社というものが独立の公共企業体の形になっておりまして、権限を持って専売事業の運営に当たるということになっております以上、私ども公社の経営の任に当たる者は、公社の経営が適正に行なわれて、国家の財政収入の確保をいたしますほか、たばこの供給方法にも適正を期しまして、公社の使命の達成に誤りがないように、まず第一段としては、自主的に責任を持ってやっていく、こういう体制であるべきであるというふうに考えております。
  29. 堀昌雄

    堀委員 その点を確認いたしましたので、次にまいりますが、現在御検討中のようでありますけれども、いつきまるかは伺いません。それは、皆さん大いに御検討いただきたいのでありますが、まず現在の見通しとしては、幾ら早くても六月一日以前に改定の公示が行なわれる可能性はない。以後になるであろうということは、私は大体予想できると思いますが、その点はいかがでございましょうか。六月一日以後になり、以前には、ちょっと実質的に行ない得ないのじゃないかというふうに思いますが……。
  30. 阪田泰二

    阪田説明員 ただいまの御質問趣旨、ちょっとはっきりいたしかねる点もあるのですが、この問題がきまるといいますか、予算面におきましては、予算積算基礎としてああいう改定が予定されておりますのに、いわば延び延びになっているわけでありますので、私どもとしましては、なるべく早く適当な決定を得て実施に移したい。これは、全般の小売り人の利益のためにも考えなければならぬことと思っております。その意味におきまして、六月一日云々というお話がございましたが、現状といたしましては、なるべく早く実施いたしたいと考えて、ただいま努力いたしておる段階であります。
  31. 堀昌雄

    堀委員 私が六月一日以前には改定がないであろうといいますことは、いろいろとあとで金額の問題を論議しますときに、どこかに線を引きませんと、話が前に進みませんから。そこで技術的に、きょうが五月十七日でありますが、現在では、さっきすでにお答えになったように、結果はまだきまっておらないのでありますから、今後の御検討によって結果がきまるとしても、全国の専売局その他に詳しいいろいろな指示をなさるためには、時日上必要な日数があるだろうと思います。それを一応今日から計算をいたしますならば、幾ら早くても六月一日、それ以前には行ない得ないという物理的現象を含めて伺っておるわけですけれども、その点をひとつ御確認をいただきたいと思います。
  32. 阪田泰二

    阪田説明員 御指摘のように、手数料を配当いたします場合、六月一日から実施いたしますとすれば、六月一日には、全国のわれわれの出先のもの、それから小売り店にその改定趣旨が徹底していなければならないわけでありまして、そういったようなひまが要るわけであります。ただいまお話もございましたが、告示はそういうような余裕をおいて早目に告示しなければならない。そういうような意味で、六月一日から実施するといたしますと、これを決定して、告示その他周知の方法をどうすれば間に合うか、こういう問題になるわけであります。かなり口が迫っておるわけでありますが、来週早々にでも決定いたしますれば、かなり努力しなければならないと思いますが、間に合わないこともない、こういったようなことであろうと大体考えております。
  33. 堀昌雄

    堀委員 こだわりませんが、一応期日を五月三十一日までは現行歩合でいくという前提で話を進めることにいたしますが、実は皆さんのほうで予算を組んでおいでになる歩卒がもとの歩卒のままできておりますから、予算上として見ますと、財源が少し余裕ができておる、こういうふうに私は判断をいたしますが、この二カ月間における余裕財源——これは予算積算上の問題でありますけれども、積算基礎と現行の実行との間における余裕、これは一体どのくらいになっておりますでしょう。
  34. 狩谷亨一

    ○狩谷説明員 お答えいたします。  予算上、予算積算に際しまして、本年度の増額分として見ました金額は約九億円でございます。それの十二分の二に当たりますが、四、五カ月分としましては約一億五千万円でございます。
  35. 堀昌雄

    堀委員 そこで、ちょっと公社の総裁に私提案をいたします。実は今度の問題の中で私が特にこだわっておりますのは、前々から申し上げておりますように、一カ月に五百万円以上売っておられる業者が百三十七予想されておる。このうちで百一の業者というのは大体卸売り業務といいますか、そういうものに携わっているということが過去の委員会において明らかになりました。あとの三十幾つは鉄道弘済会なり百貨店であろうということがわかりましたが、今回の措置の中で、さっき予定をされた九億四百万円のうちの四億一千三百万円がこれらの特定の上層部だけにいくということについては、実はどうにも納得ができないわけです。そこで、これまでの歩率あり方につきまして、百五十万円、二百五十万円という区切りになっておりますけれども、いまの区切りのしかたを少し上に上げて今度八分とされた部分につきまして、二百五十万円までは八分であってもいいではないか。二百五十万円から五百万円までの間につきましては業者の方もわずかなようでありまして、大体二百人くらい業者がおられるということのようでありますから、この部分については七分にしてもらって、五百万円超を六分、こういうことになりますれば全体として八分となる人たちというのは、十七万六千人の業者のうちで三百三十四人を除いたすべての人になるわけでございますので、そういう意味でこれらの改正を今回の歩卒改定において行なっていただくならば、この部分からの余剰の財源とただいまお話の一億五千万円余の余裕財源をもって十二万円以下の部分に対してさらに歩率を引き上げることが可能になるではないか、こういう判断をいたしております。ただいまのは私自身の計算もありますが、ただいまの一億五千万円と私が御提案を申し上げました部分を動かすことによって公社側としてそれは可能かどうか。それはするということではないのです。便宜上の問題として計数上可能かどうかをちょっとお答えをいただきたい。
  36. 狩谷亨一

    ○狩谷説明員 計算上の問題といたしましては、さような方法もあり得るかと考えます。
  37. 堀昌雄

    堀委員 計算上の方法ではできるということの御答弁があったわけであります。そこで、今十七万六千人というたばこの小売り人がおられる。そのうちで、今度の歩卒改定の皆さん方の予定の計画にのらない方というのは、今私が申し上げましたように二百五十万円から五百万円の方は八分になるところを七分でひとつごしんぼうをいただきたいということで、これが約二百人。それから五百万円超の方がさっき申し上げたように百三十七人でありますか。ですから、全体で十七万六千人対三百三十四人ということになっておるわけですから、民主主義の原則から見ますならばこれはまさに問題にならないことであって、これらの部分をこれまでどおり押えたとしても、一店当たりの収入は、公社からいただいておる資料によりましても、二百五十万円以上のところで全部くくったといたしまして個人の場合年間九千五百万円、法人で八千七百八十万円というような売り上げになっておるわけであります。五百万円超ですから当然そのくらいになるわけでありますが、これらの高額の所得者の方が、一分の歩合によって四億とらなくても、私は現状で十分——非常な高額の所得でありますから、やっていけるはずだ、こういうふうに考えるわけであります。私のこの考え方が間違っておるかどうか、ひとつ公社の総裁からお答えをいただきたい。
  38. 阪田泰二

    阪田説明員 ただいまのお話の点は、計算といたしましては確かにその通りになると思います。ただ、手数料歩率の問題としては、多数の人に手数料引き上げの恩典といいますか、利益を均てんさせるということも一つの問題でありますから、それぞれの仕事に応じた報酬を与える、手数料を与える、こういった面もあるわけでありますので、一がいに数ばかりで比較するということにもまいらぬかと思いますが、確かにお話のような面もございますので、そういう意味において検討もいたしておるわけであります。ただ数の多い方が多い。数が少ないからほっておいてもいい、そういうものでもないと思います。
  39. 堀昌雄

    堀委員 どうも公社の総裁はどこへ気がねをなすっておるのかわかりませんが、非常に歯切れの悪い答弁だと思います。私は公社の総裁はもっと勇気を持って十七万六千人のたばこ小売り人の利益を守るということでなければ相ならぬのではないだろうか、まず第一にこういうふうに考えます。  そこで、いまのお話の中で私が納得ができないことは、大口の業者が卸売り業務をやっておることと、小口の人が一つずつ売っておることと、売っておるという行為の中で同じマージンであっていいということについて、私は理解ができないのです。お客さんが来るたびにつり銭を出し、こうやって一日じゅう店へすわって一つずつ売っておる人の立場と、百万円も二百万円もの話をきめてトラックでさっさと送り込んで——その人たちは実際にたばこを売っているわけじゃないのです。たばこを少しも売っていないで、ただ奥にすわって、何人かの人間を使って、その人間たちがトラックで運んで計算だけしてやっておる人と、一個一個たばこを売っておる人との歩卒についてのあなたのいまのお考えは納得できない。私のいまの考え方はどうですか。
  40. 阪田泰二

    阪田説明員 ただいま御指摘の点は確かにごもっともでありますが、そういうところがあるわけであります。現在の公社の販売の制度といたしましては、すべての業者を小売り人として扱っておるわけでありますから、実質的には非常に大口にまとめて、小売り人から一定のものに売っておるというような場合も、店売りで一個一個売っているというような場合も同じような小売り人として扱っておるわけです。その辺のことになりますと、これは制度として問題にすべき点でありまして、私どもも実態に即した販売の制度がぜひあるべきではないかということで、これは私どもの仕事のことでございますので、十分に研究いたしてみたい、根本的にはさように考えております。ただ現状といたしましては、大口業者がすべてそういったような業者ばかりでもないわけでありまして、盛り場などで非常によけい売れる、非常に努力して店売り一個売りで非常に大きな売り上げをあげているような業者もあるわけでありますから、一律に大口売り上げというものにつきまして、今おっしゃったような卸売りであるから卸売り扱いすべきである、あるいは卸売り的なものは卸売りだけを仕事にさせる、そういったようにはっきり色分けをするということはむずかしい、そういうような現状でありますことを申し上げておきたいと思います。
  41. 堀昌雄

    堀委員 大臣が十二時二十分にお立ちのようでありますから、まだ話は途中なんでありますけれども……。これはもちろん私、権限の問題としては、明らかに公社の総裁に歩率改定についての権限があることはお答えになったとおりであります。しかし大蔵者の大臣という立場において、私はいま申し上げておる私の考え方——要するに小売り人の皆さんはともかく十二万円以下のものについて一割にしてもらいたいという長い要望もあるようであります。戦前は一割であったという経緯もありますから、私はやはり現在の民主主義の立場は多数の者が均てんをする政策ということが、与党、野党にかかわらず、民主政治の原則だ、こう思うのです。その点について要するに方向としては、私が申し上げるように、まず十七万六千人のほうに比重をかけるか、三百三十何人のほうに比重をかけるべきか、これはお答えいただかなくても自明の理だと思うのでありますが、ひとつ方向についてお考えを伺いたいと思います。
  42. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、法制上は専売公社の総裁のきめるべきことであることは間違いないのでございますが、監理官が答えましたように、一般会計の重要な財源である専売納付金の問題もございますし、また予算編成の責任者で到る立場としての大蔵大臣という監督権を持っておる立場からも、この問題に対しては重大な関心を持っておるということは申し上げておきます。このたばこの小売りの制度に対しての歩率をすなおにいいますと、あなたのように数の多い人にということになるのですが、制度の上から考えますと、なかなかどっちかに割り切って、これが六割でありこれが四割であるというような考え方で律しられる問題ではないのです。専売制度そのものが、国の財政収入を得るという考えでありますので、専売製品を国民の手に渡すという制度の中で、普通ならば一律でやることは一番簡単であります。簡単でありますが、塩の専売でもすべて専売品に対してはそうでありますが、東京や大阪のように、いながらに売れるところとか、また山の奥の方で二十軒、三十軒しかないところにも小売り人が看板をかけておるということから考えますと、制度の上では一律であって、そうして実際の実情を考えるときには、あまりにも少数なものしか売れないというようなものであって、しかも制度の上では相当に専売人として制約も受けておるわけでありますし、義務も負わせられておるのでありますから、そういう意味で一律のものに幾らかプラスをするという考えのときには、多数というよりも、小さな規模の人たちを優先的に考えていくというのが政治の上では当然だと思うんです。でありますからこれは切手の売りさばきとか、収入印紙の売りさばきとか、たばことか——しかしあなたの言ように、はっきり割り切ってしまうと、酒をうんと売れるところと売れないところ、また少ししかつくっておらないところとうんとつくっておるところに差をつけられるかという問題もありますので、こういう問題は制度の上、歴史の上で十分専門家が検討して、また社会情勢にも合うような気持ちで年々やっていかなければならないのであって、この問題はあなたの言われることもわかりますし、また私が制度上でお答えしておることも御理解願えるかと思います。
  43. 堀昌雄

    堀委員 どうも何を答弁されたのか、非常にぬらぬらとした答弁でありますが、私の考えに一部は賛成のようでありますから、それ以上にあなたにいまここでどうこうと申し上げてはあれでありますけれども、実は二百五十万円あるいは五百万円超のたばこの小売り店というのは一体どこにあるか調べてみますと、東京が一番多くて六十八あるのです。神奈川が四、千葉は一、埼玉は二、山梨県にはありません。以上で七十五です。それからあとは茨城、栃木、群馬、新潟、長野、宮城、岩手、青森、山形、秋田等、東北地方には皆無であります。それから、北海道に四つ、愛知十七、静岡一、岐阜一、石川一、大阪が二十一、京都が九、兵庫が五、岡山一、広島が二、これで終わりです。要するに五百万円超の業者というのは、全国でも都市の一部にあるだけであって、全国にはないわけです。二百五十万円から五百万円までの間を見ましても、それはもう九州や四国などには、ない県の方が多いくらいであって、これはやはり都市に集中をしておるわけなんです。こういうふうに考えてみると、私はやはりいまの問題というのは、地域的に見ても問題のある点であるし、さらに公社の総裁がいまちょっとお答えになった五百万円超の中には、百貨店とか鉄道弘済会とかいうものが主体であると思うのですが、個々に売っておる店で五百万円超というのがあるのでしょうか。一つずつ売って五百万円以上、一年に一億円も売れるはずはないと思うのですが、それはあるのでしょうか。
  44. 狩谷亨一

    ○狩谷説明員 五百万円超の中にも個々の店もございますが、これはきわめて少数だろうと思います。それからおもな形態といたしましては、鉄道弘済会のように、駅単位でもってその中に売り場が多数ある場合等でございます。またデパートの中のたばこの売り場も、御承知のとおり、大きなデパートは幾つかの売り場を持っております。これを総合してみますと、五百万円超になる場合があるわけでございます。
  45. 堀昌雄

    堀委員 いろいろとありましょう。しかし実際問題としては、一つの店で一カ月に五百万円以上のものが売れるはずがないのです。それが直売りをしているとしても、法人組織で店舗や何かがたくさんなければ、可能性がないことだと思うのです。どんなにやったって、常識で考えられません。  そこで私は、さっき私の提案を一つ申し上げてありますが、率直に言って、この提案は、私はあまり無理な提案じゃないと思うのです。これは皆さんのほうで、これを制度上どう変えるかということについても、なかなか簡単ではないと思うのです。それで制度上とほぼ引き合う形のものとして考慮をされる制度として私は提案をしたわけですから、この点については、ひとつ公社側としても御検討をいただきたいと思います。  そこで私は、今後の問題の中で、特にこの前出た和泉産業事件なるものを見てみますと、これは大阪に店舗があって、滋賀、和歌山、奈良、兵庫、京都というふうに、ほとんど近畿地方一円にわたって売り込みをしておる。そこで一つ問題が出てきますのは、地方税であるところのたばこ消費税の府県分及び市町村分については、本来ならば、そういう売り込み行為をやらなければ、当該パチンコ店、料飲店等は、その府県なり市で購入すべきものが、不当に大阪市、大阪府にたばこ消費税として還元をされるという、きわめて本来たばこ消費税を設定した目的に反する事実が起きておるという問題が一つまださらにあるわけです。そこでいままでの歩卒の問題を離れて、これらの業者が府県なり市を越えてまで、そのような卸売り的業務をやることについては、専売公社側として何か指導を行なう必要があるのではないか。これは歩引きをしなければ、いまの条件では私はやって悪いということにはなっていないと思うのですが、しかし年に何億も売るものが、そういうかっこうで、本来ならば兵庫県なり尼崎市に入るものが、よそからそうやってかき回しにくるために、地方自治体に入ってこないというのは、私は地方税法のたばこ消費税の趣旨には必ずしも沿っていないのではないか、こういうふうに考えるのですが、それらについて公社側としては何らか措置考えられる余地はないかどうか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  46. 阪田泰二

    阪田説明員 ただいまの問題は、地方税のたばこ消費税の収入の配分という点につきまして、いろいろ問題があることは御指摘のとおりでございます。ただいまのような大口の売り上げを持っております店が、非常に広い県にわたって販売をするといったような例もあります。たとえば東京あたりに埼玉県とか千葉県から通勤する人が、千葉や埼玉で買わないで東京たばこを買う、これは東京都のたばこ消費税の収入になる、こういったような問題がありまして、たばこ消費税というものが、そういう意味で必ずしも適正に地方にうまく配分されないといったような根本的問題は確かにあると考えております。  ただ私どもといたしまして、御指摘のようなことでありますと、それぞれたばこ小売り店というものにつきまして、販売をやる範囲、地域をきめてやるというような考え方になってくると思いますが、そういったようないわばたばこ小売り店の地域独占といったような形をとることがはたして適当かどうか、その辺につきましても、非常に問題の点があると思うわけでございます。小売り店自身が販売努力をいたしまして、広く方々にたばこを売って歩くということは、公社としては、いわば歓迎することでありますが、和泉事件のような違法なことでやられることは、非常に困りますけれども、企業努力によって広くたばこの売り上げの増進につとめてまいるということは、公社にとっては歓迎すべきことであります。いろいろいま言ったような諸点を勘案いたしまして、考えてまいりたいと思っております。
  47. 堀昌雄

    堀委員 もちろんいまのお話は、私はこう理解をしておるのです。埼玉県の人が東京につとめ口があって東京で買うことは、これは買う人の自発的意思ですから、どこで買おうと自由だと思うのです。ただその場合と、現実に卸売り業務をやっておる諸君が、今度の例でわかるように、歩引きをして外へ出ていったわけでしょう。その地域にだってたばこ屋はあるのですから、もし歩引きをしないのならば、何も大阪のほうの業者から尼崎のパチンコ屋が買わなくてもいい。尼崎には歩引きをするものがないから大阪から買ってくるということは、私は明らかに問題があると思うのです。   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕 歩引きの問題については、大体その取り扱いについては国税庁と公社で御検討をいただいておるわけでございますから、これ以上触れませんけれども、少なくとも卸売り業務をする者については、その卸売り業務の範囲をそう野放しにして、売れさえすればいいのだということは、私はややいかがかと思うのです。これは周辺におる地方自治体は、たばこ消費税の恩恵を受けられないようになる。大きなものが出てきて、和泉産業のように自分のところでトラックをもって、本来ならば専売公社が配送をして向こうへ届けるべきものを運んでいくのだから、それは専売公社は、けっこうです、経費がかかりません、大いにやってくださいというようなことになったら、そういうような大企業が出てきて、近畿一円ともかく一社だってやろうと思えばやれます。そんなことをいまの専売公社法というものは予想してできておるものでもないし、さらにそういう地方税の問題についても、それらを予想してできておる制度ではないと私は思うのです。だからそれらについては、少なくとも過当なこういうやり方について何らかの注意を喚起し、措置をするのが私は、公社としては当然ではないかと思うのです。どうですか。
  48. 阪田泰二

    阪田説明員 ただいまの問題は、まさに御指摘の点にかかると思うのでありますが、そういう大口の小売り店でほかの県からやってくるもののたばこを買うというのは、歩引きの問題があるからでありまして、同じ価格で買うのであれば、何もわざわざ遠くの小売り人から買う必要は、買うほうから言えば、ないわけであります。問題の本質は、やはり歩引きというような不正な行為が行なわれておる、この点にあろうと考えますが、この点につきましては、現在の販売組織なりやり方なり全体に関連する問題でありますので、この前から再々お答え申し上げておりますように、そういう問題として今後考えていきたいというふうに現状では考えております。
  49. 堀昌雄

    堀委員 それからさっき大臣も触れておられましたけれども、今度の問題については、ひとつ私の要望の線で公社は勇断を持って、十七万六千人の一般大衆のこれまでの念願は一ぺんにはいきませんが、今回皆さんが九分二厘まで上げようというお考えであるものを九分五厘まで十二万円以下の人に渡してあげてもらいたい。これは個々の小売り人にとっては、そんなにたいしたものになりません。たいしたものになりませんけれども、しかし予算財源の使用の方法としては、これは民主的な問題だと思います。特に私は非常に不愉快に感じております点は、このたばこの組合の関係者の方から聞いたことでありますけれども、このたばこの販売人の組合というのは、一定率の賦課金のようなものを売り上げ高に応じて納めて運営がされておる。そこで大口の業者がその組合の会費を非常にたくさん負担をしておるということによって、組合内部における発言が非常に強いので、初めに予想されておるような改定が行なわれないときには、その組合から脱退するとかなんとかいうようなことが組合内部においても問題になっておる。そういうことでは困るというようなことが何らか一つの理由になっておるようであります。私はそんなことが理由になって、たばこ改定が行なわれるなどはさたの限りだと思う。これはたばこ販売組合というのですか、これなんかはもちろん法律に定められたものではないし、私的の組合でありますから、公社としてそれに対しての監督権等はないのかもわかりませんが、少なくともそういうものに動かされるようなことであっては、国の政治が一部分の者によって、その金力によってねじ曲げられるというようなことは、われわれとしては承知することができないわけです。さらに、その方の話によれば、昭和三十七年度たばこの売り上げが少し減った。資料を拝見をいたしますと、伸び率が少し下がっただけのことで、絶対量としてはやはり八%もふえているわけでありますから、減ったとは思いません。それはなぜかというと、いまの歩率の問題が下がったから、そこで販売意欲が減って、それで減ったんだというようなことがいわれておるわけでありますけれども、そんなことは、この前も公社の総裁がお答えになっておりますけれども、私としてもそんなことは理解ができないわけであります。ですから、そこらの面を含めて、少なくとも特定の者が自分たちの負担をしておる会費によってそういう組合の幹部になり、その幹部の発言によってごく少数の、さっき申し上げるように、今回の私の提案によればわずか三百三十何人しかないわけですが、そういう中から出ておる組合の幹部の意向によって十七万六千人の声が圧殺をされておるという点においては、私はどう考えても適当でない、こういう判断をしておるわけです。おそらく公社の総裁といえども、それらの組合の幹部との関係において、こういうことを考えておられるわけではないと私は考えますし、これらの組合の幹部には政治に携わる人たちもおられるわけでありますから、私は特に名前は申し上げませんけれども、この問題については、そういう諸君を含めて実は反省をしていただきたいというふうな強い気持ちを持っておるわけです。これらの組合の費用の使途等についても私は今後詳しく調査をさせてもらって、それらの中に不明朗な問題のないことを祈るわけでありますけれども、こういうような歩率改定の問題が、それらの忌まわしき問題につながるようなことがもしありとするならば、国民に対してもわれわれとしてはまことに遺憾な事実だといわなければなりませんので、そういうような疑いを晴らす意味におきましても、公社の総裁が前年に行なわれたこれらの歩率改定趣旨を、一応その考え方でおやりになったわけですから、新たにこれからやろうというものではないし、これまであったことを存続するということにそれほど勇気を必要とするものでもないので、少なくとも公社総裁が、さっき私が前段で申し上げましたように、権限をまかされておることでありますから、あなたが十七万六千の小売り人に対しても、国民に対しても、公社の総裁として恥じない決定をされることを要望いたしまして、私のたばこに関する質問はこれで終わります。
  50. 阪田泰二

    阪田説明員 ただいまたばこ小売り人組合その他のやり方等につきましてのお話等もございましたが、たばこの小売りは、それぞれ小売り人組合を地域別につくっておりまして、また全体の連合会のような形のものもございます。公社といたしましては、これらは小売り人の組合でありますので、小売り事業をやっております上においてそれぞれ接触がございます。小売り事業がうまくいく、また売り上げが増進するといったような意味でいろいろな指導をしております。ただ、ただいま御指摘のありましたものは、おそらくたばこ小売り人の政治連盟、たしかそういったような名前をつけておりますが、そういうものの話だと思います。別途そういうものができておりまして、それが政治的活動といいますか、いろいろいたしておるわけでありますが、私ども専売公社といたしましては、政治活動ということであれば、私どもに縁のないことであるという立場で、政治連盟のほうとは全然接触をいたしておりません。会うこともないわけであります。そういう形になっておるということを御承知願いたいと思っております。  なお、先ほど御指摘のありました専売公社といたしまして公社の使命に従ってこういう問題も適正に解決しなければならないという趣旨は御指摘のとおりでありまして、私どももそのようにやってまいりたいと思います。      ————◇—————
  51. 吉田重延

    吉田(重)委員長代理 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。     —————————————
  52. 吉田重延

    吉田(重)委員長代理 政府より提案理由の説明を聴取いたします。原田大蔵政務次官
  53. 原田憲

    ○原田政府委員 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署設置について国会承認を求めるの件につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  大阪国税局の西税務署は、大阪市西区、港区、大正区を管轄する税務署として西区に設置されているものでありますが、最近における管内地域の経済的発展は、都市計画事業の進捗等とも関連し目ざましいものがあり、これに伴い同署管内の納税者及び課税物件等は年々増加してまいりますとともに、また、税務署の事務量、人員ともに過大となり、事務管理上も支障が多くなってまいりました。  したがって、西税務署の管轄区域のうち、港区及び大正区を分離して、新たにこの地域を管轄する港税務署設置し、納税者の利便と税務行政の適正な運営をはかろうとするものであります。  以上の理由によりまして、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、港税務署新設について国会の御承認を求める次第でございます。  何とぞ御審議の上すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  54. 吉田重延

    吉田(重)委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。  本件に対する質疑は次会に譲ります。  この際、二時まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————    午後二時三十四分開議
  55. 臼井莊一

    臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  税制に関する作について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
  56. 堀昌雄

    堀委員 五月一日に国税庁の方では基準価格の問題について告示を行なっておるようでありますけれども、私手元に持っておりませんから、国税庁の側でどういう形の告示か、内容をちょっとお答えをいただきたいと思います。
  57. 谷川宏

    ○谷川説明員 お答え申し上げます。  大蔵省告示を五月一日に出しました。これは基準価格についての三十七年四月一日の減税に伴う告示改正告示でありまして、清酒の一級とみりんの基準価格に関する事項を削除するということがおもな内容になっております。
  58. 堀昌雄

    堀委員 そこで、これは国税庁に設けられたわけですから、国税庁側でお答えをいただきたいのですが、酒額行政懇談会というのが、たしかこの一月に設けられて、実は面会も私その酒類行政懇談会の発言趣旨大臣にただしたわけでありますが、この酒類行政懇談会というものの法的な性格、根拠等はどうなっておりましょうか。
  59. 谷川宏

    ○谷川説明員 酒類行政懇談会は法律あるいは政令、命令等に基礎を置く機関ではございません。酒類行政に関しまして、学識経験者等から意見を聞く必要が認められましたので、事実上お集まりいただいたわけでございますが、国税庁長官がお願いいたしまして、一月二十三日に懇談会を開催いたしました。
  60. 堀昌雄

    堀委員 主税局にお伺いをいたします。今回の懇談会で取り行なわれた懇談の内容というのは、基準価格の制度その他の問題についての意見が聞かれておるわけでありますが、酒税法の第七章に酒類審議会というものがあって、その第三十七条に「この法律及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の規定によりその権限に属せしめられた事項を調査審議させるため、国税庁に中央酒類審議会を、国税局ごとに地方酒類審議会を置く。」という法律の定めができておりますけれども、これは法律の定めがある以上、実はただいまのような諮問等はこれらの酒類審議会が審議をする性格のものではないかと思うのですが、これは法律の事項でありますから、主税局側の見解はどういうことでしょうか。
  61. 泉美之松

    ○泉政府委員 お話しのように、酒税法第三十七条におきましては、酒税法及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律、この両法によりまして酒類審議会の権限に属せしめられている事項がございます。それは、たとえば清酒の特級、一級の審査でありますとか、あるいは酒類業組合法に基づきまして大臣が勧告あるいは命令をする場合に酒類審議会に諮問するという法律事項になっております。この酒類審議会につきましては、それ以外のことは別段酒類審議会に諮問しなければならないという規定にはなっておらないわけでありますが、もちろんそれ以外の事項を諮問して悪いというわけではございません。そこでいままで酒類行政懇談会というのを開いておりますのは、実はこの酒類審議会のうちの中央酒類審議会につきましては、品質部会とそのほかの部会とあるわけでありますが、品質部会のほうでさっき申し上げました清酒の特級、一級の審査をいたし、それを審議会に諮問してその答申を求めておるわけでございます。それ以外の事項では、まだ現在のところ大蔵大臣が勧告ないし命令をするようなことがございませんために、酒類審議会を開いておりません。そこで、従来はこの酒類審議会という公式の機関ではなしに、酒類審議会と同じメンバーであるところの酒類行政懇談会を開いて、そこでは政府の諮問というやかましい公的なあれでなしに、事実上懇談会という形におきまして、そういう学識経験者の方の御意見及び業界の代表者の意見を聞いて酒類行政を円満にやっていこう、こういう趣旨で、酒類行政懇談会の形で開かれておるのであります。実質メンバーには変わりはないのであります。
  62. 堀昌雄

    堀委員 私がなぜこの問題にこだわっておるかといいますと、実は政府が、最近の傾向として各種公的に置かれた審議会等の答申についても守らないことが非常に多い。最近においては工藤委員会の答申などは全く一方的に、自由民主党及び田中さんもちょっと片棒をかついでおるではないかという感じがするような、答申に対する軽視の傾向が強いわけであります。今回も実は私が二月二十一日に大臣の出席を求めて——酒類行政懇談会における学識経験者の意見の集約のように私も聞いておるわけで、これについて、大臣としてこの考え方でいいですかと聞きましたら、大臣は、御質問のとおりだと思いますと答えておられるのですが、時間がなかったために、その点は具体的な聞き方はしてなかったわけで、ちょっと抽象的にはなっておるわけですが、あの答弁というのは、大蔵大臣はどういう気持ちで答弁をされたのか、あらためてここで伺っておきたいと思います。
  63. 田中角榮

    田中国務大臣 基本的な考え方としてはあの当時と同じ考え方でございます。
  64. 堀昌雄

    堀委員 ということは、酒類行政懇談会のものの考え方というのは統制の過渡期の段階で基準価格制度を認めたのだから、これはやめる方向に持っていくべきだ、こういうことでありまして、その具体的な内容もそこに出ておったわけでありますが、私はそのときには時間がないので、こまかい具体的な内容までは申し上げなかったのですが、考え方は現在も同じだということでありますね。
  65. 田中角榮

    田中国務大臣 そうです。
  66. 堀昌雄

    堀委員 わかりました。そうすると、私は今度の大蔵省の公示が出た中で二、三お尋ねをしておきたいと思いますことは、基準価格という制度からはずされたものと残ったものと、二つ出てきたわけです。要するに、清酒一級とみりんだけは基準価格という制度がなくなった。その他はこれまでどおりである。そうすると、基準価格がなくなったものとあるものとは一体どういう違いがあるというふうに大臣理解をしておられますか。
  67. 田中角榮

    田中国務大臣 基準価格などというものはできるだけ早く撤廃しまして、自由化に移行していこうという基本的な考え方でございますが、大衆に対する影響を考えまして、一体基準価格というもの自体は基準でありまして、上下幅があるのでありますし、必ずしもこれを守らなかった場合どうするというようなことはないわけでございますが、御承知のとおり、大蔵省と酒屋との間は長い伝統で、法律上どうしますというようなことでなく、行政措置ということもないのですが、お互いが話し合いをしながら円満にものをやっていこうということであり、また現在もそうなっておるわけであります。でありますから、あなたが言われるとおり、基準販売価格というものは公定価格のようなものではないのだということであっても、これは守られておるわけであります。でありますから、これを撤廃した場合、ビールや二級酒のようなものがうんと上がって大衆にどういう影響があるかという問題も考えなければなりませんし、また逆にそれが乱売になって、小さな業者がつぶれてしまうというようなことであっては困るので、そういう影響を十分推測しながら、これに対しての行政的なてこ入れの手段、あるものに対しては金融とかその他いろいろなことをやりながら、いままでの酒造業者というものも立っていくような状態を勘案しながら、随時基本的な考え方を実現していこうということでありますので、いままでの一級酒とみりんをはずしたということと、残っておるものに対してどうするかという問題に対しては、前提条件が具備していけばだんだん基本線を実現する方向で処理をしてまいりたいという考え方でございます。
  68. 堀昌雄

    堀委員 私が伺ったのは、お話のことは事実関係としてはそうだと思うのですが、ただ同じ酒類の中で、たとえば清酒の中に基準価格という制度のないのがすでに特級酒というかっこうでありますね。それを拡大をされて、今度は一級酒も基準価格というものがなくなる、二級酒は基準価格というのが残っておる。清酒の場合はビールのように基準価格が守られていないわけです。全然守られてなくて、現状でいいますと、清酒の二級について見ますと、四百四十円というのが小売りの基準価格でありますけれども、実際には四百五十円、四百六十円、四百八十円、三通りないし四通りの価格というものが現在できておる。これがいまの清酒二級の基準価格がありながらの姿なんです。そこで、今度は逆に基準価格のない特級酒の方を見てみると、やはり八百五十円、八百九十五円と二通りぐらいの相違はあるようですけれども、必ずしもばらばらの値段がついておるわけではない。一見、こうやって見ますと、現在では基準価格の制度があろうがなかろうが、実質的にはこれらの酒類の価格は国税庁が何か行政指導をするというのですか、指示価格のようなかっこうになっておるというのが現状なんです。そこで今度だいぶ論議があった結果として、一級酒も自由化といいますか、基準価格がなくなったのですが、そのなくなったものとあるものとが、これまでの状態では私どうも基準価格制度というものがわからないわけです。あったってなくったって同じことで、それであれば、やはり置かなければならないのだという議論が片一方から出てきてそれが置かれておるというようなことが、どうも実態との関係でよくわからない。今後はそういうことが変わるのかどうか、そこらの点についてひとつ……。
  69. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、前提条件がそろっていけば基準価格というものをなくしていきたいという基本的な考えでございます。いまあなたがいわれたとおり、基準価格というものが公定価格式なもので、指示価格であって、これが不動なものであるというなら別だが、はずしてしまった特級酒、一級酒などでも、いままで基準価格があったと同じように指示されておるではないか、またおらなくても一律にうまくいい値段を出しているじゃないかというような御発言のようでございますが、そのとおりだと思います。ただ特級酒や一級酒というものは、社会的な影響、また特に業者の影響というものが少ないものということにウエートを置いてはずしておるわけでありますから、基準価格からはずされたというものに対しては、基準価格そのものに対しても多少幅があるのですが、いずれにしてもその幅を大きく見てもいい。それから絶対的なものでなくとも、なお現在基準価格を残しておりますものに対しては、これは消費者に対する影響もさることでありますし、もう一つは業者そのものに対する諸般のてこ入れをしてやらなければならないのでありまして、そういう前提条件がそろうまではビールとか大衆的なものに対しては基準価格を置くことがより安定的である、こういう考え方をしているわけであります。
  70. 堀昌雄

    堀委員 いまのお話で少しわかってきましたが、要するに、これまでと異なって、今後は基準価格のないものの価格はより自由な形できまる、基準価格の制度が残されたものはやはり基準価格に関連をしてこれまでどおりの行政指導的な価格というものが残されるのである、こういう理解をしていいわけですね。
  71. 田中角榮

    田中国務大臣 けっこうです。
  72. 堀昌雄

    堀委員 わかりました。  そこで、いまの酒類の問題で非常にわからない点が多いわけでありますけれども、その一つは、基準価格についてはこの前たいへん論議をいたしましたから、その論議の結果、私は、もし価格が上がるのならば、基準価格が上がるというかっこうで、国民が納得するような形で上げるべきである、あまりないしょでこそこそ上げてもらいたくないという話を実はこの委員会でしたわけです。そうしたら、今度は国税庁の方ではそれに基づいて計算をされたはずですね。いろいろ計算されておるものがあるでしょうが、まず当面する清酒二級の基準価格の計算は大体どういうことになったのかちょっと伺います。
  73. 谷川宏

    ○谷川説明員 清酒二級の現行基準価格が現在の物価情勢のもとにおきましてどういう形になるべきであるかという点の検討をしたわけでございます。清酒二級の基準価格につきましては、製造業者の基準販売価格、卸売り業者の基準販売価格、小売り業者の基準販売価格それぞれにつきまして検討いたしましたところ、国税庁の一応の計算の結果といたしましては、小売りの基準価格に対しまして約二十五円程度原価増あるいは経費増が出るという結果になっております。
  74. 堀昌雄

    堀委員 いまのはそうすると原価の増加と経費の増加ですから、基準価格はそういう諸経費、原価等に適正利潤というものが入ることになっているのですが、それは入っていないのですか。
  75. 谷川宏

    ○谷川説明員 適正利潤も入っております。
  76. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、これまたそこでわからなくなってくるのですが、さっき私が申し上げたように、現在清酒については基準価格の小売り業者販売価格は四百四十円でございます。それに二十五円足すと四百六十五円というものが一応基準価格として適当な線だということになる。ところが現在は四百五十円、四百六十円、四百八十円というかっこうの販売がされておる。そこでかりに二十五円アップという基準価格の改定がもしされたとしたならば、いまの四百五十円、四百六十円、四百八十円の価格で売られておる二級酒はどういう変化をすることになるのですか。
  77. 谷川宏

    ○谷川説明員 現在の基準価格四百四十円に対しまして十円、二十円あるいは三十円高く売られているものは、品質がそれだけよろしいかあるいはその販売経費がそれだけよけいかかっておるかというような特殊な個別の事情があることによりまして、基準価格の制度のもとにおいてそれだけの値幅の増加をもちまして販売されておるわけでございます。今回私どもは現行基準価格に対しまして小売りの段階で約二十五円程度原価増、経費増、施設費の増があるものという一応の結論を見たわけでございますが、現行の実勢価格に対しましてその関係がどうなるかということにつきましては、二十五円という数字は平均的な数字でございますから、現行の実勢価格で売られておる個別の銘柄について申しますならば、平均的な二十五円を頭に置きながら、どの程度の価格で売ることが、品質の点からいいましてもあるいは銘柄の点からいいましても必要であるかということにつきましては、業界が良識をもって建て値をきめる、それを国税庁が十分慎重に検討して、それでいいかどうかということを判断するということになろうかと思います。
  78. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いまの部長のお話ですと、要するに価格について現在もいろいろ差がある、そこで今度は業者が建て値をきめてそれを国税庁が判断をするということの制度に、基準価格制度のあるものは変わってくるのでしょうか。
  79. 谷川宏

    ○谷川説明員 現在の基準価格の運用のあり方といたしましては、基準価格に対しましてどの程度まで高く売ることが認められるか、これは級別制度のもとにおきまして制限価格というような制度もあるわけでございますので、清酒二級について申しますならば一級との税率の関係あるいは利潤の関係等を考える必要があるわけでございます。そこで、国税庁といたしましては、業界が基準価格をもとにいたしましてどの程度の価格で売るかということにつきまして、そういう意味において関心を持って行政指導をしておるわけでございます。  そこで、現在の基準価格は三十五年当時つくられたものでございますから、もしかりに改定するとするならば、平均的に申しますと、小売り段階では二十五円の原価増、経費増というものが一応容認されるのではなかろうか、こういうことになっておりますので、今後二級酒の製造業者、販売業者が各自の酒を売る場合の販売価格をどういう値段にするかということにつきましては、基準価格が変わらないわけでございますから、現在の四百四十円という小売りの基準価格を中心にいたしまして、その後の物価増、経費増をいろいろ判断をして、そうして各自が自主的に建て値をきめるわけでございますが、一級酒との関係もございますので、国税庁といたしましては、清酒の中央会あるいは小売り、卸の中央会に対しまして、一般的な、どの程度で売るならば適当だろうかというようなことを行政指導をしてまいりたい、こういうことでございます。
  80. 堀昌雄

    堀委員 話が非常に抽象的でどうも少しわかりにくい点があるのですが、ではもう少しはっきり伺っておきたいのですけれども、これまでと同じようなやり方になるということでしょうか。要するに、これまでもいまのように最初に基準価格ができたときにはたしかその線で一斉にスタートするかっこうでありましたけれども、間もなく二、三カ月のうちかなんかに一部値上がりが起きてきて、それが順繰りに積み重なってきて、今日のこういうかっこうになったのだろうと思うのですけれども、でありますから、今度の場合は、基準価格制度があるということと、それから値上げをするということは別個の問題のようになってくるのじゃないか。そこでいま基準価格をかりに上げるとすればという前提のほうを伺いましたが、今度は基準価格が上がらない場合にはどうなるかということですね。上がる場合にはいまのお話のようにそれにつれて多少スライドして上げるという問題があり得ると思いますが、今度は基準価格の制度は残ったが、基準価格自体は上げられないという場合はどうなるか、そこをお伺いいたします。
  81. 谷川宏

    ○谷川説明員 私どもといたしましては今後当分の間業界から個別に資料を詳細にとりまして十分に検討してまいりたい、こう思います。
  82. 泉美之松

    ○泉政府委員 ちょっと補足して御説明申し上げておきたいと思います。  三十五年のときに基準販売価格を制定いたします際にも御答弁申し上げたのでありますが、基準販売価格の制度になりまして従来のマル公を撤廃いたしますと、酒の銘柄差によりまして値段にかなり開きが出てくるということは当然予測されることでありまして、ことに戦前の自由販売価格のときにおきまして、かなり銘柄差がありましたことから見ても予測されておったことでございます。そこで基準販売価格を撤廃した後にどういうふうに銘柄差があらわれてくるかということを国税庁としては慎重に見ておられたことと思うのであります。その後三十六年の九月にかなり原価増がございまして、当時は減税前でございましたから、たしか四百九十円を基準価格としておりまして、それより十円上回るもの、二十円上回るもの、三十円上回るものというものができておったわけであります。それが三十七年の減税の際、五十円の減税が行なわれまして、四百四十円の基準販売価格に相なったわけでございますが、やはり基準販売価格に対して十円、二十円あるいは三十円アップの開きができておったわけでございます。この傾向はおそらく今後とも減ることはなくて、むしろ値開きは拡大する傾向ではないかと思います。しかしもちろん制限価格の制度もございますから、上がるといってもそう大きく開くわけにはいきませんけれども、現在の格差よりはまだふえる傾向であろうかと思います。今後、基準販売価格は残しておりますけれども、そういう意味では売れ行きのいい銘柄のものにつきましては格差が開きまして値が開いていくだろうということが予測されるわけであります。ただそこで消費者の納得がないといけませんので、国税庁としましてはそういうふうな格差が開くことに合理的な理由があるものについては適当であるけれども、そうでない場合は適当でないからというような考え方のもとに行政指導をやっていきたいというお気持ちがあるかと存じます。さよう御了承いただきたいのであります。
  83. 堀昌雄

    堀委員 私が伺っているのは、基準価格が動いた場合における二級酒の値上げのあり方と、基準価格を固定したままに置いた場合の二級酒の値の上がり方に相違がなければ、基準価格という制度は意味がないと思うのですよ。あろうがなかろうが、動こうが動くまいが二級酒の値上げというのは、いまの会社の経費なんかを十分見て、それに伴って適当と思うものは認めますというのでしょう。いまの答弁は両方ともそうですよ。それじゃ一体なぜ基準価格があるのか。それならこれを上げるとか上げないとかいう議論を出す必要がないじゃないですか。上げるとか上げないとか、基準価格を動かすということについての議論が必要ないということは、基準価格というものはないと同じじゃないか。ないと同じものをなぜ残しておくかという疑問が私はずっとお話を聞いていて出てくるのです。大臣ひとつ。
  84. 田中角榮

    田中国務大臣 あなたがいま言われたとおり、基準販売価格がある場合とない場合と結果的に同じことじゃないかと言われますが、同じくあれば撤廃をするわけでございますけれども、同じくないから残しておるわけです。どういうふうに同じくないかというと、基準販売価格を据え置きの場合と上げた場合、上げる場合には一律画一的に上げるし、実際問題として便乗値上げもあります。基準販売価格を据え置いた場合は、上下に幅はあるけれども、先ほども申し上げたようにして実際お互いが話し合いをしながら基準販売価格を守っていくという基本線を貫いておるわけであります。万やむを得ざるもの、事情どうにもならないもの、そのつくっている酒屋さんの内容によって、これだけはいいものであるとかいうような特別な事由のあるものだけを認めていこう、基準販売価格で公定価格でないのに認めようというのはおかしいじゃないかという議論はありますが、これは酒屋さんとの間に一体になっておるということからいいますと、一律画一的な値上げにならないし、便乗値上げは押えられるし、実情を十分把握して個々の場合にケース・バイ・ケースでこの程度は幕準価格として値上げを認めていかなければならぬものには認めていくという差はあるわけであります。
  85. 堀昌雄

    堀委員 わかりました。そうすると、要するに基準価格の制度が置かれておるということ、そしてその基準価格が動かないという場合には、全般としては、原則として二級酒は上がらない、ただしいまあなたの言われるように非常に品物がいい、まあ経費も非常にかかっておるというもののほうを少しピックアップして認めましょう。だから形としては、基準価格の制度があって動かないときには上がらないほうに比重がかかる、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
  86. 田中角榮

    田中国務大臣 おおむねそう理解していただいてけっこうですが、もう一つの面、いわゆる銘柄によっていいから上げようということよりも業態によって原価増等があってどうしてもペイしないという問題もありますから、そういうものは当然見てやらなければいけないのであります。そういう業者に対するてこ入れ、当然原価を見てやらなければならぬ、倒産してしまうというような問題もありますから、そういうものにも相当なウエートを置いておる。しかしこれは大衆酒であるだけに総体的に一律画一的に上げたくはない、こういう二つの目的を達成したいというのが基準販売価格を据え置いたということでございます。
  87. 堀昌雄

    堀委員 よくわかりました。要するに、いまいずれにせよ品質が非常によくて経費のかかっているもの、それからどうも品質はあまりよくないけれどもともかくも経営上成り立たぬもの、こういう二つのジャンルについてのものを特例的に引き上げて、それは実態をよく見て、それの値上げは一応基準価格は固定をしていても上げるのだ、全般としては基準価格は動かないのだから上がらないのだ、こういう理解にいたします。それでその点はよくわかりました。  そこで、そうすると今度はもう一つのほうですね。一級酒のほうは今度は基準価格がなくなりましたから基準価格を上げたり下げたりする必要はないわけです。そうすると自由に業者の諸君が建て値をきめて出している。この場合は今度は取り扱いはどうなりますか。さっきの話では、基準価格がなくなったものはかなり自由に移行さしていきたいという大臣のお話でしたから、これは幾らで売りたいといっても、おそらく現在の行政のあり方ですからかってにぱっと上げるというわけにはなかなかいかないでしょうが、私は将来はかってに上げるということになると思う。業者が建て値をきめてやればいいと思うのです。まあ移行時期ですから多少過渡的な段階はあると思いますが、今度は個々に業態を見てさっきのようなことを一々やる必要はないのじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  88. 田中角榮

    田中国務大臣 原則としてはあなたと同じ考えでございます。これはいま過渡期ですから、はずしてもあると同じようなことを先方も考えておりまして、急激に上げると批判を受ける、これは特定な人たちが商いものを飲むのだから高くてもいいじゃないかというところまで極端に言えないというので自粛しておりますから、そういうところでバランスをとっておるわけであります。最後には窮極の目的としては自由になって、品物のいいもの、また嗜好に合って国民が非常に飲みたいというものに対してはうんと上げる、倍になるということもあるかもしれません。その場合に全然野放しかというと、これは税金が半分でございますから税率を上げるということがそういうところで起きるかもわかりませんが、基礎としての考え方は自由にするという考え方でございます。
  89. 堀昌雄

    堀委員 その点はだいぶはっきりしてきました。そこでもう一つさっきからお話の中でちょいちょい出てきますのは、制限価格ということばです。制限価格というのは、最近の経緯を見ておりますと、大体基準価格から下に下がっている商品でもなさそうですね。現在清酒では四百四十円が基準価格ですから、これ以下で市民の買う酒はない。もしあるとすれば、業務用で値引きをさしておるという程度だろうと思いますが、一体二級酒と一級酒の間における制限価格なり、今度は一級酒と特級酒の間における制限価格というものは、比較的固定的なものなのか。全体が上がってきますね。二級酒も上がり、一級酒も上がり、特級酒も上がる。現在のところ、残念ながら物価高の傾向で、順繰りにこう上がってくるとすると、その間にある制限価格というものは、制度的に固定したものとして理解されておるのか、全体がずれて上がっていくときには、間にあるものですから、動くものと理解をされておるのか、その制限価格の性格をちょっと伺いたい。大臣の御答弁が無理ならば、事務当局でけっこうです。
  90. 谷川宏

    ○谷川説明員 制限価格につきましては、一級と二級について、これをどう考えるかという問題があるわけでございます。二級の基準価格に対しまして、実際の売り値がそれを上回っておる。それが一級の基準価格にだんだん近づいていくという場合におきまして、どの程度まで近づくことが許されるかという問題であります。一級につきましても、特級との関係におきまして、税率あるいは業者の適正利潤の配分という観点のつり合いから見まして、どういうところで押えるか。だんだん原価増、経費増によりまして、一級あるいは二級の売り値が上がっていくという場合におきましては、二級の制限価格の線も、それにつれて上がってまいる。また、級の制限価格の線もそれにつれて上がってまいる。しかしながら、基準価格とその制限価格との金額の差につきましては、大体同じ金額が維持されていくというふうにいたしております。
  91. 堀昌雄

    堀委員 ちょっといまの答弁で、二点ばかり疑問があるのですけれども、今度は一級と特級は、基準価格がないんです。いまのお話は、基準価格をもとにしてのお話のようですが、上は基準価格がないんです。二級酒だけ基準価格があるわけでしょう。いまのその点にちょっと疑問があるわけです。上の基準価格と下の基準価格とあるときなら、これを見て、これはこうということはできます。下だけで上がないのだから、一体これをどこでどう切るのかという点が、一点疑問があるのです。もう一つは、動けば動いてよろしいという御答弁があったが、基準価格は、今度は動かないんですよ。実質的には、基準価格は二級で動かさないでおいて、いまのお話では、上がるものは必要な場合には認める。それでは幅がだんだん広がってきますね。下の基準価格は動かないで、中身だけは動いて、上には一級、特級の基準価格がなくなったという状態で、一体制限価格というのはどこをどう見て……。基準価格から見ての値幅は動かさなかったら、今度の場合は基準価格が動いてないんだから、一級と二級の間の制限価格は動かないということに、いまのあなたの御答弁の論理からなるのですが、そこはどうですか。
  92. 谷川宏

    ○谷川説明員 基準価格の制度がない場合におきましても、制限価格はあったわけでございます。一級、特級は基準価格はございませんから、この場合におきましても、一級につきましては制限価格を置き得るわけでございます。そこで、二級につきましては基準価格がございますからその基準価格と、それから実勢価、現在では二級の基準価格四百四十円でございますが、一番数量的に多いのが二十円上げの四百六十円でございます。今回一級は基準価格がなくなりましたけれども、実際の取引といたしましては、一級の基準価格五百九十円を中心にいたしまして、基準価格がなくなった場合におきましても、その価格を中心にして、実際の取引が行なわれていくはずのものでございます。しかし、原価増等もございますので、基準価格がなくなりましたら、その点は一級酒の業者が、製造業者も販売業者も、それぞれ適正な経費増、販売の利潤の増等を考えながら、建て値を立てていくわけでございますけれども、一応現在の基準価格を中心に、いろいろ建て値ができてくると考えられるわけでございます。そこで、二級につきましては、実際に最も多く売られております四百六十円を中心にして、それではどの程度まで高く売られたならば、一級との関係において適正な金額であろうかということになるのでございまして、私どもはその内容といたしまして、一つには銘柄の力の強さといたしましてどの程度の金額を見るか、あるいは経費増、これは特別な経費がかかる。たとえばびんにつきましても、私どもは平均的なびんの原価を見ておりますけれども、これを新びんだけで販売をした場合には、それだけよけい経費がかかるわけです。そのほか宣伝販売費等につきましても、高く売られるものについては、ある程度よけい経費がかかるわけでございますが、それらをどの程度まで見るかというようなことで計算いたしまして、二級の実勢価格の中心的なものに対しまして、どの程度まで売ることが認められるかという線が一応出てくるわけでございます。一級につきましては、特級との関係でございますが、一級の実際の取引の実態を今後十分に見なければなりませんけれども、現在のところは、もとの基準価格を中心に売られておりますので、この場合に、特別な経費等がどの程度認められるかということを積み上げてまいりますと、ある程度の幅が現時点においては出るわけであります。そういうことを考えながら、制限価格の線を一応行政指導のめどとして考えながら、実際は、制限価格をなくしてしまいますと、一斉値上げというようなことも行なわれる可能性がございますので、行政指導の形で、制限価格の線を頭に置きながら行政指導をしてまいりたい、こういうように考えております。
  93. 堀昌雄

    堀委員 どうも今の答弁は、率直に言ってあまり明快ではないのですよ。それはなぜかというと、一体二級酒の制限価格というのは、二級酒の基準価格に土台があるのだと私は見ていないのです。二級酒の制限価格というものは、あまり上がってきたのでは、二級の安い税率で、一級の高い税率を払ったものよりもうかるようなことをやられては困るというのが制限価格の趣旨ですから、そのことは、下に問題があるのじゃなくて、上に問題があると私は理解している。上の基準価格との関係考える。それで今度は、一級、特級は自由化されて基準価格がなくなった。いまあなたの話を聞いていると、どうも基準価格がなくなったにかかわらず、五百九十円というようなところに何か線があったり、まあ一番多いのが六百十円ですか、そこのところに何か線があるような感じがするのですが、それはちょっとの間はそれでいい。二、三カ月の過渡期はそれでいいが、自由化したということでさっき大臣答弁があって、価格についてはかなり自由な幅ができるということになったら、私は、やはり今のようなものの考え方はやめるべきだと思います。やはりいつまでたっても五百九十円の基準価格があった、それをもとにしてこう上がって、こう上がってというようなことでは、何もやめる必要はない。やめた以上はやめたようにしなければならないということになると、一級酒の価格というものは、かなりバラエティーがどんどんできてくるのじゃないか。そういうことになったら、さっき申し上げたように、一級酒は物価の騰勢の条件の中ですから、だんだん上がるだろう。下の底も上がるだろう。底がどんどん上がっていった場合には、一体二級酒の制限価格というものは、上に対して関係があるのだから、これは上がるのじゃないですか、率直に言えば、私はこういうことを聞いているのですよ。だから私は、いま上げる、上げないじゃなくして、制度のあり方として、制限価格というものはそういうものじゃございませんか。幾らにしろというようなことを聞いているのではないし、制度の性格を聞いているわけです。そうすると基準価格がなくなった場合における制限価格の性格というものは非常にラビールなものになってくる、こういうふうに私は理解をしているので、いまお話を聞いていると、何か依然として基準価格があったときと同じような感覚において制限価格を理解しておられるように私は受け取れるわけです。だからいまの過渡期の条件ということを除いて、自由化を実際にしていくのだと大臣も言っておられるわけですから、自由化をほんとうにやるのならやるような中における制限価格の性格というものは一体どういうものになるのかということを伺っている。大臣にひとつ……。
  94. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げました通り、基準価格というものに対しては幅があるわけです。あるわけですが、下げるということに対しては問題はありませんが、結局基準価格というものよりもヒにどうしてもしなければならないという事態に対しては基準価格というものの上下幅は見てございますということですが、それが無制限になっていったのでは困るので、基準価格プラスアルファということに最高制限価格——制限価格は最高制限価格といってもいいと思います。最低ではないのですから……。だからそれ以上というものは上げてはいかぬのだ。上げる場合には基準価格自体を上げていくべきだということになってきておるわけでございます。  第二の問題は、自由化をやったときであっても、だれでもが酒をつくれるというわけじゃありませんので、野放しになったのなら、今まで六百円だったものが、実際からいいますと、世間のいろいろな物価に比べてみたらこれは八百円でもいいのだ、飲みたくなければ飲まなくてもいいし、買ってもらわなくてもいいのだ、ひとつ八百円まで上げてみようじゃないかというほど自由なものでないという考え方で、とにかく野放しであっても専売品に近いものであるということで、これに対してはやはり一定の上限というものは制限価格というものでもって押えていかなくてはいかぬ。こういう理由によって制限価格を持っておるわけであります。しかし制限価格というものは、一級酒に特級酒は基準価格をはずして制限価格だけは昔のものをそのまま残しておる。これは少し幅を広げたのだから、もう少し十げたらどうか。新しい観点で必要であるならば制限価格をつくるべきだという考え方は、これはもうよくわかりますが、そうすると、現在の実情からいいまして、一斉値上げをしてそこまでは上げていいのだ、こういうことになりやすいものですから、まさに過渡的な措置として特級酒、一級酒に対しては基準価格をはずしたけれども、基準価格があったときの上限を定めた制限価格はそのまま残しておこう、こういうことでいわゆる自由化というものに移行して思い切って品物が上がったという混乱がないために残しておるわけですが、将来はいまの基準価格、二級酒の基準価格を残しておっても、実際は内容によっては基準価格の上を見ていかなければならぬ。その制限価格さえもこすおそれもあるかもしれません。将来としては野放しということではないので、相当な幅を持ったところへ最高基準価格というものを置く以上、そうあるべきであって、いまの状態では自由にしたという現存の段階における制限価格だというふうに考えていただければいいのではないかと思います。
  95. 堀昌雄

    堀委員 大臣もあまりこの点は詳しくないと思いますから、私のほうから申し上げると、要するに、制限価格が置かれてあるのは、級別というものがあるから制限価格があるわけです。級別によって移率が違いますから。そこで、安い税率で高い税率を払っておる商品よりも高く売られたのでは、これは得ですよ。安い税率でうんともうかるわけですからね。そういうような不公平をなくすために、級別があってその間に制限価格がある、こういう制度だと思う。そうすると、私がいま論議しておることは、その価格は制限価格をどうしなさいというのではなくて、基準価格という制度が一番下にはあるけれども、上がなくなったわけですから、上がなくなったということになると——あるときなら非常に簡単なんです。基準価格から幾らのところに制限価格を置けばいいと非常にはっきりしておるのです。ないということになると、実勢の中における価格を基準にする以外に手がなくなるのではないかということですね、基準価格がないのだから。実際にある一級酒の実勢価格というままですと、現状で値上げが行なわれないとすれば、六百十円というのがおそらく最低の実勢価格で出てきますね。その六百十円というものからものを見て考えるんだ、ところがこれは自由化されておりますから、さっきのお話のようにそんなに厳密な原価計算を出さして値上げを認めるということではなくて、社会的一般情勢として不当でない範囲においてならばこれは値段が上がるでしょう、六百十円が二十円になるか、三十円になるかわからないが、六百三十円まで一番下が上がっていったとすると、そうするとこれとの関連で二級酒の制限価格というものがあるわけだから、これが動くときはこれも動くという性格として理解すべきではないか、こういうことを言っているわけです。私は上げろとか、幾らにしろというのではなくして、制限価格というものの性格ですね。それが基準価格があるときは何でもなかった、はっきりしているのだから。上がなくなったんだから今度は実勢価格の移動に見合って動くもので、さっきの部長の発言のように、下の基準価格からの距離によってきめる性格のものではないのではないか、上との関連なんですから。一級と二級との関連は、二級酒の下の基準価格にあるのではなくて、一級酒の最低価格との関係にあるのだから、そういう形で下を見ることは要らないのだ、上のほうの価格の最低を見ながらこことの距離をどうするかということで理解されてくるという性格のものならば、上が全体として上がればこれは上がってくるという性格のものではないか、性格を聞いたわけです。それはそういうふうに理解してよろしいでしょう。異論があればだれでも……。
  96. 泉美之松

    ○泉政府委員 ちょっと御説明申し上げておきたいのでございますが、制限販売価格を規定いたしております酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の八十六条の二の規定におきましては、級別のある酒類におきましては、最上位の紋別以外の級別のものにつきましては、当該酒類についての級別ごとの標準的な原価及び適正な利潤の格差等を参酌して、販売価格の最高額、いわゆる制限販売価格を定めることができるというふうに規定しておるのでございます。この標準的な原価及び適正な利潤というのが、一応基準販売価格になるわけでございますが、ここでは標準的な原価及び適正な利潤というのは必ずしも基準価格そのものという形で書いておるわけではございません。事実上計算された標準的な原価及び適正な利潤の格差を参酌してきめるということになっておるわけでございます。したがって基準販売価格がなくなりましても、標準的な原価と適正な利潤というものはあるわけでございますから、その格差を参酌してきめるということになるわけでございます。なるほど堀委員のおっしゃいますように、二級酒の制限販売価格は一級酒の実勢最低価格というものを考えてだけきめればいいじゃないかというお話があるかもしれませんが、私どもとしては標準的な原価と適正な利潤の一級の場合と二級の場合との格差がいかにあるべきか、そうして二級の値段を相当上げることによって一級の場合の原価と適正利潤の格差よりもより大きい利潤を得るということになれば、それで売ったほうが二級の税金を無理して払ってやるよりも得になるわけですから、そういう形になるといけないということでありますから、一級酒のなくなった基準販売価格にかわるべき実勢最低価格というものだけを基準にするのでなしに、二級酒の実勢価格と一級酒のおっしゃるような意味の実勢価格、両方にらみながらその格差がどうあるべきかということできめていきたいということでございますので、間税部長が申し上げましたのは下のほうを申し上げたのでありますが、上のほうとの格差を見るということでございますから御了承をいただきたいのであります。
  97. 堀昌雄

    堀委員 私もいまそういう意味の発言です。ただ間税部長が下の基準価格にこだわられたですからね。今度の基準価格というのは、基準価格が動かなくなりましたら、法律に定めるところのあなたの言ういまの標準的な原価及び適正な利潤をあらわさなくなってしまうわけです。今度は法律に違反することが実際に起こるわけです。そういうことになれば実は今度はこの法律、酒団法の定めるとおりならば、あなた方二十五円上がるという計算を出したら、自動的に基準価格を上げなかったら、あなた方のほうは法律違反です。ところが政治情勢で上げられないということになれば、それは私も政治情勢を了解するから、上げなくてもいいですよ。上げなくてもいいけれども、そうなったら、今主税局長が言うように、標準的な原価と基準価格というものは別建てになってしまうから、だからその基準価格の方で——さっき部長はこれを見ながらものを言われたから、私はそうではなくて、実勢価格で出てくるものと、指示価格のものとで見なければならない。ただ、ここで私は、いまの主税局長答弁を聞いていて、ちょっと逆戻りしてきたなという感じがするのは、そうすると皆さんは、一級酒についても、特級酒についても、常に原価計算を全部集めて標準的な原価及び適正な利潤を出していかないことには、常々格差が出てこないから——二級酒の方は基準価格があるから当然やられるでしょう。一級酒、特酒は基準価格という制度をやめたんだから、標準的な原価や適正利潤を計算する必要はなくなったけれども、制限価格を置くためには常にやっていかなければならぬという、まことに妙なことになるのじゃないかという気がするのです。だから私はそういうことであるよりは、実勢価格というものに基準を置くならは、その実勢価格というのは、いまの標準的な原価及び適正な利潤というものに見合ったものと理解をしていかざるを得ないのじゃないか。この法律が書かれたときには、基準価格を全体的に置くということを考えての制限価格の制度ですから、その一部をなくした以上は、この酒団法自身も一部改正をしていかないと、いまの主税局長答弁のようなことを言われると、それじゃ毎年一級酒も特級酒も、全部業者を集めて価格を出しなさい、それを出さなければ制限価格が出ないですねと私が開き直ったときは一体どうなるのか、こういうことになりかねないのですが、そこら辺どうでしょうか。
  98. 泉美之松

    ○泉政府委員 この法律ができるときに、すでに特級酒につきましては基準販売価格は廃止する考えでおって、こういう法律ができたわけでございますが、私が申しましたような標準的な原価及び適正な利潤の格差等を参酌してということに法律の規定が出ておるわけでございまして、したがって、もちろん私どもとしましては、酒類行政をやっていく上におきまして、特級、一級、二級の標準的な原価あるいは適正な利潤がどういうふうに動いておるか、業者の経営状態はどうなっておるかということは十分承知しておりませんければ、円滑な酒類行政はできません。そういうことは常に調べております。ただそれを基準販売価格として出すかどうかということは別でございます。ただそういうことで調べておりますので、そういうものの格差等を参酌いたしまして制限販売価格を設けるのであります。ただお話のように、特級だけでなしに、一級の方につきましても、基準販売価格をなくしますと、この制限販売価格という考え方がそうリジッドなものでなくなって、だんだんゆるやかなものになっていくということは、お話の通りでございます。
  99. 堀昌雄

    堀委員 それじゃ、行政指導上必要だからということのようですから、国税庁は調査があるそうですから、一級酒と特級酒の現在における標準的な原価及び利潤を含んだ価格を——二級酒は聞きましたが、ちょっと聞きたいのです。その点の調査はあるでしょうから。二十五円二級酒がアップしているという現状の中における特級酒、一級酒のいまの差等を——等はちょっとどけて……。
  100. 谷川宏

    ○谷川説明員 一級酒につきましては、調査の結果は、現在の小売りの基準価格に対しまして、約三十円程度原価増があるという一応の計算の結果になっております。それから特級につきましては、御承知通り特級の中にはいろいろな価格がございまして、高いものは二万円というものもございますし、一般的に数量の相当多く売られておるものにつきましても、相当の幅があるわけでございます。先ほど御指摘のように、八百五十円、八百九十五円というものがございますけれども、非常に幅があるわけです。で、これにつきまして標準的な原価と適正な利潤——特級についてどれくらいかということにつきましては、調査が非常に複雑でございますので、正確な数字はとっておりませんけれども、現在統一されております九百円前後というものが、一応標準的な原価及び適正な利潤をあらわすものだ、かように考えております。
  101. 堀昌雄

    堀委員 具体的に伺ったので少しわかってきたのですが、結局いまの分が、お話しの標準的な原価及び適正な利潤の格差等ということになってきますから、今度はいまの三十円と片っ方二十五円と、こう上がってきたわけですね。だからいまの制限価格というものは、前の状態に比べたら当然その格差等が上がったんだから、その中身もそれにつれてそのぐらいは上がる。こういうことに結果としては、いまの泉さんの答弁からすればなってくるんじゃないか、こう理解をしますけれども、そういうふうに理解していいでしょうか。
  102. 泉美之松

    ○泉政府委員 先ほど関税部長からお答えいたしましたように、制限販売価格は実は告示をいたしておりません。国税庁の方で内示的に、制限販売価格はこの程度であるべきだという数字を出しまして、それに基づいて、業者が値上げを行ないます場合に、そういう制限販売価格をこえるようなことのないようにという指導を加えておるわけでございますので、別に告示をいたしておるわけじゃございませんけれども、お話のように、標準的な原価と適正な利潤が動くわけでございますので、その格差も考えていかなければならないということに相なるわけでございます。
  103. 堀昌雄

    堀委員 その点の問題は了解をいたしました。  もう一つ——大臣もおかぜひきのようですからもう終わりたいと思うのですが・私は実はいまの状態で——今度の基準価格の問題は少しわかってきましたが、いま大臣も、自由化の方向で処理したいというお話なんですが、いまのままでいきますと、なかなかむずかしいと思うのです。基準販売価格をつくったときに、泉さんが国税庁の次長として答弁をされたところでは、これは過渡的なものだ、当然そのうちにはこれはなくなるんだというつもりでつくったというような答弁をしておられるのですが、大臣もいまのお話で、だんだんこれをやめるんだというふうにお話しになっていますが、事実上は、こういう制度は、やはり貿易の自由化なんかと同じで、自由化になるからといってなかなか体制が整えにくくて、なって初めて、かなり自主的に行なわれるという問題もあり得ると思うのです。私は、目途を明らかにして、向こう一年なら一年とか、二年とかしたら、もう基準価格の制度をやめますということを明らかにしておいた方が、業者の方もそこへ向かって準備をされるし、都合がいいのではないか。それでないと、いつはずされるかわからないとか、それじゃ当分はずれないのなら、別にそう自由化対策をする必要もないのじゃないかというようなことにもなりかねないと思いますが、そこらについては、適当な時期を明示する方が業者の方にも親切ではないか、こう考えますが、大臣、どうですか。
  104. 田中角榮

    田中国務大臣 私もそのように考えておりますし、私はもうできるだけ早くやりたいということで考えておるのですが、一面において業者の育成強化という問題もございますし、もう一つは、どうも物価が多少とも上がるような情勢のときに、物価対策としては、いままで押えつけられておったもの、ワクの中に入っておったものが、実勢が上がるような状態ではなくても、一時的に上がるというような現象がございます。これは自由化でもって——貿易の自由化をやっても、三カ月、五カ月後には安定するものであって、下がりぎみでいくものでも、自由化をすると同時に外国の映画等がきゅうっと上がったりしますから、そういうことを非常に懸念をしておるわけでありますが、しかし八条国移行というような問題もありますし、外国からの酒を一体どうするかという問題も、もうすでに半年前に議論になったのでありますから、いつまでもこの制度を続けていけるというような考え方を持っておるわけではないのであります。ことに税収確保のために徹底した専売のような制度を続けていくというなら別でありますが、そうではなく、できるだけ早い機会に円満に自由化に移行したいというのでありますから、諸般の準備が整い次第、制限価格の撤廃ということは明らかにできると思います。今の段階でいえば、三年とか三年とか、そんなに長くまでこういう制度で続けていけるというふうにはどうも考えられないようであります。
  105. 堀昌雄

    堀委員 いまの大臣答弁、内部的に皆さんの方もいろいろと意見の調整をなさる必要もありましょうから、本日はその点についてはこのくらいにしておきますが、私はやはりある時期にいきなりここでやめるんだということになりますと、大へんあれですから、今度はあらかじめ、ここ一年先にはやめましょうというような格好の指示をなさる方が、この問題の解決には望ましいのではないかというふうに考えます。  最後に私、この前問題の発端となった合成酒及びしょうちゅう関係の問題について一言だけ伺っておきたいのですが、私、あのとき論議しまして、値上げをすることによって販売マージンがふえるから、それによって合成酒やしょうちゅうは少し売れ行きを多くしたいというようなメーカーの要望があったという話もこの委員会で行なわれたのでありますが、どうも資料をいただいて調べてみると、値上げをしてからの方が逆に売れ行きは下がってきておる、前年比で。やはり資本主義の世の中では当然のことで、値段が上がって物が売れるということは同じ品質についてはあり得ないはずで、値段が上がったけれども品物がよくなったというなら話は別でありますが、同じ品質で値段が上がったり、品物が売れたりしたら、これはどこかおかしな問題があると思うのですが、幸いにしてそういうことはなくて、やはり資本主義の世の中では、値段が高くなって売る品物が同じなら、売れ行きが悪くなっていくというのが現実の姿でございます。そこで、この問題はいろいろと波及しておる問題があると思うのですけれども、こういう形で値上げがされることと、特に中小企業対策の問題と価格問題がいま日本の制度の中では非常に微妙に入りまじっておるわけです。というのは、前回も、しょうゆなんかもそうのようでありますが、しょうゆを値上げしなければならないのは非常に小さなメーカーがやっていけないから上げてくれといって値上げをした。ところが大手のキッコーマンとかヤマサなんかは合理化されておるから上げなくてもいいけれども、ここが上げないと小さいしょうゆ屋が売れないから、プライスメーカーとして上げてやって、下の人が何とか上げていくということになって、上げなくてもいいものが上げて、非常にこれが国民の消費生活に対してプラスにならないような値上げのしかたをするという、同じような問題が実はこのしょうちゅうの中にも現在出荷規制等があって問題が残っておるわけです。そこで、これはひとつ研究していただきたいと思うことでありますけれども、このままにして、こういう出荷規制などをやらせて、そうして製品をできるだけ売らないように売らないようにというようなことをしていれば、伸びているときならともかく、どんどん売れ行きが、私が計算したところが、大体去年値上げをしてから四カ月のあれでは、前年比で七七%まで下がってきておるのです。こういうことでは合成酒及びしょうちゅう業界はなかなか問題が解決しないのじゃないか。そこで一体これらに対しては今後どういうように指導をするのか。ここでいろいろな規制をされておることがひいては消費者にとってあまりプラスになってないというふうな判断をしておりますので、きょうは答弁はけっこうですが、ひとつ合成酒、しょうちゅう等の問題については次回までに少し皆さんで御検討をいただいて、そういう規制によって中小企業を守るということも必要でしょうけれども、何らか中小企業対策として考えながら、消費者に対してはよりよいものがより安く手に入るような公正な競争が中で行なわれるような条件をやはりいまの自由化の方向としてお考えを願っておきたい。これは酒類行政懇談会のほうでは基準価格を廃止しようというものの中に入っておった問題でありますから、今回は残されておりますけれども、これらについて今後の施策を御検討いただいて、まだ一カ月くらい国会がありますから、この国会中に承りますから、御検討を進めていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  106. 臼井莊一

    臼井委員長 関連質問がありますので、これを許します。藤井勝志君。
  107. 藤井勝志

    ○藤井委員 あいにく大臣が御都合で御退席でございますので、主税局長並びに間税部長にお答えを願うといたしまして、私は、いま堀委員の御質問中、基準価格制度については全く相反する考え方を持っております。立場自由民主党立場でありまして、計画経済、社会主義経済の政策をとっておらない私が申し上げることは、ちょっと逆のようでありますけれども、基準価格制度というものはマル公撤廃の過渡的暫定的な制度であって、だんだんにこれははずしていくのだという考え方に対して、いささか私は考え方が違います。いささかというより、むしろ根本的に違うわけでありまして、これはいわば専売品に準ずる品物である、こういう認識の上に立って価格形成を考えるべきである。理由は、非常に高率の酒税を負担しておるという特殊な商品でありますことは申し上げるまでもございませんけれども、そのほか、原料の大部分が配給統制のワクの中におかれておること、それから清酒の場合は生産量というものにこれまた政府が直接タッチしております。こういう点ではビールとはよほど清酒は違っておるわけでございます。同時にまた、その流通機構においても、いわゆる小売店の免許ということはたばこ屋の免許と同じような厳重な規制をされておる。こういうような条件を数え上げると、私はたばこあるいは塩と同じような専売品に準ずるような取り扱いをされておる関係考えると、いわゆる需要と供給の関係で価格形成がされるという自由経済の中にあっても、特殊な品物であるというふうに考えるわけでございまして、この点は全く、堀委員とは私は政治的立場はもちろん違いますが、結論的には逆なことを言っていて、むしろ堀委員質問をいたしたいと思うくらいであります。これはまた次回に堀委員質問するとして、きょうは当局側に、全く違ったそういう考え方に対して、どういう点は誤りがあるか、また私の見解に対してどういう見解を持っておられるか、一応関連質問としてお尋ねをいたしておきます。
  108. 泉美之松

    ○泉政府委員 藤井委員のお話のように、酒類につきましては、その原料あるいは原料米について統制が行なわれており、また生産壁につきましても政府が関与いたしておる、あるいは免許制度であり免許販売であるというようないろいろな事情はございます。しかし、それだからといって直ちに酒類を準専売品と考えるべきかどうかということになりますと、御承知のように、酒の小売価格に対しまする加重平均の負担率は、清酒二級の場合は三三・六%であります。酒類を平均しますと四一%くらいでありまして、揮発油でございますと五七・六%、砂糖でありますと四三・一%、こういった品物と比べると、税負担はそれほどでもない。もちろん砂糖あるいは揮発油と酒類の性格は違うといったような御意見もございますかもしれませんけれども、税負担として見ますと、それほどでもないという点があるわけでございます。それからまた酒の品質につきましては、先ほど申し上げましたように、特級酒にしましてもあるいは二級酒、一級酒にしましても、かなりその間品質上の差異もあるわけでございます。そこで、あくまでもこの基準販売価格をとっておりましても、実際問題としてその間銘柄格差が出てくるということは避けがたいことであろうと思います。そういう点からいたしますと、基準販売価格があることがどういう意義をもっておるかということはよく考えていかなければならないことでございまして、基準販売価格があることがむしろ業者の今後の経営上に桎梏となるようであっては、基準販売価格は意義はないわけであります。業者の経営上のよりどころとなって、ほんとうの意味において業者が販売をやっていく上の標準的な値段であるということでありますれば、ある程度意義はあろうかと思いますが、その役割がだんだんとなくなっていくようになってきますと、たよるべきものは、業者みずからが自分の製品について建て値をつけまして、その建て値を維持していくという努力が重ねられる必要があろうかと思うのであります。私どもといたしましては、基準販売価格のもとにおきましても、できるだけ業者がみずからの製品について建て値を定め、その建て値を守っていくという努力を続けていただくようにお願いしておるわけであります。ただ、業者の中には、数も多いことでございますし、またいろいろの経営形態をとっておる場合がございますので、なかなか私どもの申し上げておることが浸透いたしておらない面もございます。それからまた、自分の適正販売軍に対する生産量が必ずしもマッチしておらないといったいろんな実情がございますので、そこらの、いろいろ業者みずからが自分の販売能力から考えた場合の、生産量はいかにあるべきかということを考えてやっていく、それにふさわしい機械設備なり何なりを備えていくというような努力が積み重ねられて初めて今後の酒造の経営が行なわれ、また酒の卸小売りの販売形態というものがとられていくと思うのであります。そういうふうな業者みずからの自覚と努力が積み重ねられていくならば、私どもとしては、基準販売価格はもはやあってもなくてもそれほど業者自身にとって困るようなことにはならないのではないか、またそういうふうに持っていかなければならないというふうに考えておるのであります。そういう段階になりますれば、基準販売価格は廃止してもかまわないのではないかというふうに思う次第でございまして、準専売品と考えていつまでも基準販売価格を残しておくのだという考え方は、必ずしも私どもとしてはとっておらないのであります。ただ、先ほど大臣も申し上げましたように、酒類製造業者あるいは販売業者の中には、必ずしもその経営基盤が強固ではない者がおります。それらのものにつきまして資金的な援助をするなり、あるいはその適正な生産量、あるいは適正な販売量というものを見出してもらって、ふさわしい経営形態でやっていくというような努力をいたしましても、それは必ずしも早急にできませんので、基準販売価格はそういう努力とにらみあわせて、これをどうするか考えていかなければならない。そういう意味では、われわれの行政指導の効果がどういうふうにあがっていくか、もちろん業者みずからの努力に大いに期待するわけでありますが、そういう点をよくにらみ合わせて基準販売価格の廃止をどうするかということを考えるべきものと考えておるのであります。
  109. 藤井勝志

    ○藤井委員 いまの局長の御答弁決して私は理解しないものではないわけでありますけれども、同時に私が先ほど申し上げました四つの特殊な条件の上に成り立っておる価格であり商品であるということについて、決して否定されておるとも思いません。そういった側面もあることを私は申し上げておるわけでございまして、特に私が先ほど大臣から御答弁がありましたので心配をすることは、酒類の行政のあり方が、従来酒の税金を確保するという、いわゆる酒税行政というものに重点が置かれておって、農林省であるとか通産省であるとか、こういった面が助長行政をとるごとく、いわゆる産業行政として酒に対して大蔵省が全然臨んでおらない。しかも世は貿易の自由化ということで、先般の委員会でもいまいろいろお話が出ておりましたようにスコッチ・ウイスキーが関税なしで入ってくるという。こういったことに対処する酒類業界の体質改善の急務をわれわれは決しておろそかにしてはならぬと思うのでありますけれども、しかし、いま申し上げましたようないろいろな惰性があることと、それから商品が置かれておる条件、そういった特殊性があることを考えないで、いきなり取っ払ってしまうというようなことは、特に八割近い中小規模のメーカーが酒類業者にはありますから、これをひとつよく考えてもらいたい。私は、一つ考え方のたてりとしては、専売品に準ずるものであるという性格は決して間違った考えではないと思う。ただこういったワクの中でじんぜん業界の体質の改善を怠ってもらってはいかないから、とりあえず先般一級酒あたりをはすされたということについて一応成り行きを見守りたいと思うのでありますけれども、ただ他の商品と同じように自由化という名のもとに簡単な処置をとってもらってはいけない。大蔵大臣の先ほどの答弁はいささか軽率のそしりを免れない。先般塩の専売をやめたらどうかというようなことに簡単に答弁があったことも思い合わせますと、その点ひとつ慎重に補佐役として取り運びを願いたい。こういったことを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  110. 臼井莊一

    臼井委員長 次会は来たる二十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会