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村山政府委員 今度配当に関して
改正いたしました点は、
源泉徴収税率の一〇%を五%に下げるという一点でございます。それは結局
利子に対して分離課法をやっているもので五%であるときに、本来前取りである配当について五%以上にする
理由がないわけでございます。本来は前取りでございますので、
総理も言うように、本来からいえば増
減税とは
関係ない問題だ、それから特に減収にも
関係のないはずだ、こういうわけでございましょうが、実際は減収が立つことは再々御
説明した
通りで、平年度で八十八億、そのうち十八億くらいは後年度ずれでございますが、いずれにしても平年度八十八億、初年度七十六億くらいの減収が立つわけでございます。中身は、結局現在
投資信託というものがほとんど総合できておりませんので、事実上は
分離課税と同じでございます。これが一〇が五に下がるということは、事実上それだけ減収になるわけでございます。それからもう
一つは、支払い調書の
提出限度以下の人につきましては、これは
所得税法上はやはり納税義務のある者とない者があるわけでございます。ただ支払い調書の
提出義務者の方も義務を免除しておるわけでございまして、
税法上は納税義務のある者とない者がありますが、そのうち申告してこない人たちがあるわけであります。そういう人たちにつきましては、
源泉徴収の一〇%だけが働いている。この人たちについて五%になることは、それだけの減収になる。それから納税義務がない人たちについて、現在の
源泉徴収の一〇%というのが若干取り過ぎになっているという部面は考えられるわけでございます。というのは、給与
所得者で、その他の
所得が五万円以下でございますと、これは初めから
申告納税義務がないわけでございます。しかし源泉段階ではこの人たちも取られております。そういう人たちが清算の段階で還付申請してきませんと、そのまま取り切りになるわけでございます。そういう人たちも相当ある
程度は含まれているであろう。そういうものを突っ込みで、平年度八十八億、初年度七十六億の減収が立つということでございます。従いまして、この
源泉徴収の税率を下げるということ自体は、
利子とのバランス上、私は当然なことだと思います。
ただ先ほど佐藤先生からお触れになった、この前の参考人が二重
課税という問題からいえば現在でも引き足りないのじゃないかという観点につきましては、いろいろな議論があり得ると思うわけでございます。と申しますのは、日本の今のいわば配当控除なりあるいは配当益金不算入というのが、税制上二重
課税を完全に排除すべきだという立場でやっているというふうにはわれわれは考えておりません。もしそうであるとするならば、同じような
意味において株式に対しての譲渡
所得に
課税をしろという論理に、シャウプが言っている
通り当然なるわけでありましょう。それからまた、特に法人が解散した場合の清算
所得を源泉だけの一律税率で取るということは許されぬはずでございます。また論理としては、非同族会社に対しても、留保
課税しなければおかしいという理屈になるだろうと思います。シャウプがこの二重
課税を排除したときには、いずれもこれらの問題はその
通りやっておったわけであります。その後日本の税制は相次いでそれらの一本々々をはずして参りまして、今日あるものは
配当所得の益金不算入、個人の場合の配当控除だけが残っておるわけでございます。そういうものとして考える場合に、二重
課税を完全に排除すべきだという税制の潔癖論に立って現在の税制を行なっていると前提すれば、それは参考人の言ったようなこともそのまま当てはまるだろうと思うのであります。われわれはそういうふうに考えておりません。ただこの問題は、
一体どういうふうに考えるべきか、あるいは今後どう持っていくべきかという問題は、今後
税制調査会でも慎重に
検討していきたい、かように考えております。