○堀
委員 お話のように、今の通りだったわけです。そこで、私は公社にお残りいただいたのは、公社の方に
一つお願いがあるからです。ということは、私がそばでずっと見ておりまして、率直に言いますと、その税務職員はたばこの小売の歩率のことをよく知らなかったわけですね。おまけに去年は、さっきお話のあったように、五月の何日かに公示があって歩率改定が行なわれておるわけです。一月から十二月までの
所得計算の中に歩率の改定が行なわれているのに、その税務職員は全然知らない。その知らない人がそれをやったのでは、これは第一むずかしいわけですね。そこで、ただ非常に概念的な計算
方法だけの処理をしていました。それでずっと見せていただいておったら、結果として出てきたのは、その小売人が、これだけの
所得があると思ったのよりは、逆に少ない額が出てきたわけです。持って帰れ、だめだというのより、正確な計算をしたら
所得が少なかった、これは私もちょっとおそれ入ったのですけれ
ども、これは税務職員その人だけの責任じゃないと思う、それはたばこの問題は非常に複雑な点があるから。そこで私は今の資料も見せていただきました。公社からいっている紙も見せていただきましたが、
一つこういうふうに公社で
考えてもらった方がいいんじゃないか、それは小売人が税務署でああごてごてやられてはかなわぬから、小売人は一体幾らで売ったかという方は、自分でつけていればいいのですけれ
ども、つけてないわけです。そこで皆さんの仕入れ額の方だけはきちんとあるから、それを持っていって処理しているのですが、大体それは在庫の
関係で期首在庫と期末在庫がどうなるかという問題はあると思いますけれ
ども、大体これだけ売ったときはその仕入れに基づいた売上額は一体幾らになるという欄をもう
一つどこかにつけておいてもらえば、それを計算すると、彼らは売上額と仕入れ額とでその差額が自分の
所得だということで、私は税務署に申告するのも処理がしやすいと思う。売上額が全然出てないから、たとえば八分ということなら、仕入れ額を〇・九二で割って売上額を出すということをしなければならぬ。しかし、そこらは、実際上は公社ならわかっていることだから、これこれのたばこということになれば、要するにその店では大体何万円の売上げということでしょうから、そのときにはそれを越えているならこうだというような、何かもう少し公社側としても、あのお出しになっているいろんな伝票の中を工夫をして、小売人が税制上の問題についてもっと簡単な処理ができるように、そうなっていれば税務署の側もそれを見ればもっと
説明しやすいと思うのですけれ
ども、その点が
一つ欠けているのじゃないかというふうな感じが私はしましたので、その点を特に今後の問題として
検討を進めていただきたい。
それからもう
一つは、税務署の側ですが、私はあれを見ながら感じたのです。たまたまその職員は最近まで総務課にいて、直税の方にいなかったという点もあったのでしょうが、直税にいる課員であっても、たばこ小売人のこういう問題をきちんとうまくやっているかどうかは、卒直に言いまして私は疑問があると思うのです。だからそういうふうな点については、やはり何か担当者の講習ぐらいをして、少し複雑なそういう計算過程のあるものについては予備知識を与えるということも国税庁としては必要ではないか。
もう
一つは、あそこで感じたことで一番私がかちんときたのは、持って帰りなさいという、この態度です。小売人がわざわざ歩いてきているのに、だめだから帰りなさいというなら、何のために納税相談をやっているのか、私は全然わからないと思うのです。そういうことでなくて、その人に多少時間がかかっても、やはり
事情をちゃんと
説明をして納得をさせて処理するという、これだけははっきり原則を確立してもらわないと、今の申告制度ももとから御破算になるも同じだという感じがしますから
——たまたまこのたばこの問題で、片や大口の
脱税の問題は今のように黙っていて通報はされないし、小さい、ともかく十五、六万しか
所得のないような納税人の方は帰りなさいというようなことになったのでは、まさに何ともいえない感じが私はいたしましたので、私は済んだことの責任をどうこう言っているのじゃないのですから、
一つその点は前向きに、今後はそういうことのないように、特に公社の方に対しても、そういう、たばこ小売人が納税をする場合に便利な
方法を
一つ御
検討いただきたい。また歩率の改定があれば起こることです、年度のまん中で起こるのです。今九分ですが、今度は下の方が九分二厘になりますが、おまけに公社の計算
方法というものは債み上げ方式になっているから、その点は非常に複雑だと思うのです。だからそこらは
一つ十分御
検討いただいて、小売人の立場に立って
一つ研究していただきたいということを申し添えて、たばこ
関係は終わります。