○泉
説明員 各酒類のうち、特に生産業者が多うございますのは、ただいまお話しの清酒製造業者でございます。全国で約三千八百八十
程度の業者がおるわけでございます。この業者につきましてはすでに御
案内の
通り、非常に小規模の業者が多いのでございます。そのために、生産数量全体が
増加いたしますと、その販売になかなか骨が折れるというのが実情でございます。そして
基準販売価格
制度に移りますときから予想されておったことでございますが、
基準販売価格
制度になる前まではマル公ということで全国の酒が一本でほとんど取引されておったのでございますが、マル公を廃止しますと、だんだんと銘柄差が現われまして一もちろんそれは必ずしも品質だけの差によるのではないのでございますが、消費者に好まれる酒は多く売れ、しからざる酒はあまり売れない。しかも四千業者おりまして、さらにそれぞれラベルと申しますか、商標を
一つだけでなしに二つないし三つを持っておりますので、商標の数にいたしますと八千をこえるといったような状況にあります。そのために名前の通ってない酒につきましては売れ行きが芳しくないという状況にあるわけでございます。国税庁といたしましては、かような清酒業界の状況にかんがみまして、ここ数年来、何としても清酒業者の企業基盤というものを強固にしなければいけないのじゃないかという考えのもとに、業者の団体とも協力いたしまして、いろいろの
措置をとって参りました。その第一は共同びん詰の
制度をつくりまして、製造は別々にいたしましても、共同びん詰にしてラペルの数を少なくして、そして販売単位を上げる、宣伝費その他の
経費を生み出させるように販売単位を上げていこうというのが共同びん詰という
一つの
制度でございました。それからさらに進みまして共同製造、数カ所でつくっておりますとかえってコストが上がりますので、それを一カ所に集中いたしまして共同製造することによってコストの低下をはかろうというようなことで共同製造を奨励する、こういった共同製造、共同びん詰の場合におきましては、製造用の米を特別配分いたしましてその促進をはかるというようなことをいたしておるのでございます。さらにこの形態が進みますと合併、企業同士合併していくという
方向になるのでございまして、この合併の場合におきましても原料用の米の特配をいたしましてその促進をはかることといたしておるのでございますが、何分清酒製造業者は古くから製造を続けておる人が多いのでございまして、それぞれ先祖代々の歴史を背負っておりますために、合併ということにつきましてはなかなか難色がございましてあまり進んでおらない状況でございます。こういうような
措置をとりましてだんだんと企業基盤を強化するように努めて参っておりますけれ
ども、まだまだ決して十分どころか、至って不十分と思っておりますので、今後におきましても業界の組合とも協力いたしまして、この
方向を進めることによりまして業者の企業基盤が強固になるように考えていきたいというふうに思っておる次第でございます。