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1963-02-15 第43回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月十五日(金曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 臼井 莊一君    理事 足立 篤郎君 理事 鴨田 宗一君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君    理事 平岡忠次郎君 理事 堀  昌雄君       天野 公義君    伊藤 五郎君       大久保武雄君    岡田 修一君       金子 一平君    川村善八郎君       田澤 吉郎君    田中 榮一君       田中 正巳君    高見 三郎君       濱田 幸雄君    藤井 勝志君       藤枝 泉介君    古川 丈吉君       坊  秀男君    佐藤觀次郎君       田原 春次君    坪野 米男君       芳賀  貢君    広瀬 秀吉君       藤原豊次郎君    武藤 山治君       春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  池田 清志君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      上林 英男君         大蔵事務官         (理財局長)  稲益  繁君  委員外出席者         外務事務官         (アメリカ局北         米課長)    西堀 正弘君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    川村博太郎君         国税庁次長   泉 美之松君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      谷川  宏君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月十四日  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国とニュー・ジランド  との間の条約の実施に伴う所得税法特例等に  関する法律案内閣提出第九七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二四号)  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第四  八号)      ————◇—————
  2. 臼井莊一

    臼井委員長 これより会議を開きます。  産業投資特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑を続けます。通告がありますので、順次これを許します。武藤山治君。
  3. 武藤山治

    武藤委員 ただいま議題になっております産業投資特別会計法の一部を改正する法律案について、すでに坪野議員から御質問がございましてあるいは重複するかもしれませんが、できるだけ重複を避けてお尋ねしてみたいと思います。  まず最初にお尋ねしたいのは、きょうは大臣おりませんから政務次官からでもけっこうだと思いますが、この法律改正しなければならないという積極的な理由最初にまずお尋ねをいたしたいと思います。
  4. 池田清志

    池田政府委員 この法律を御審議いただいておりまする理由につきましては、すでに提案理由でも御説明を申し上げておりまするし、法律の方にもあとの方につけてあることによって御理解をいただいておるわけでございますが、実質的に二、三の点を申し上げますと、産投会計の中に一般会計から資金といたしましても出資することができるようにしたいということと、そのつど法律によってお願いをしておりましたことを今回は予算措置によってそのことができるようにしよう、こういうところに重きを置いてこの提案をいたしておる次第でございます。
  5. 武藤山治

    武藤委員 今までは法律議決事項として附則として挿入しておったのが、今度はそういう必要はない、予算に計上すれば自動的に法律としての議決事項でなくなるという必要性ですね、どういうところからそういうことを考えてきたのですか。
  6. 池田清志

    池田政府委員 これは今まで法律で御審議をいただいてお許しをいただいておったのでありますが、予算措置によりましてその目的を達するように立法を直していただきたい、こういうわけでありますけれども国会立場におきましては、法律の場合におきましても予算の場合におきましても、ともに国会お許しを得なければならないことでありますので、結果的には同じことが実現される、こういう考えのもとに、私どもといたしましては、予算措置によってお許しをいただきたい、こういうお願いをしておるわけであります。
  7. 武藤山治

    武藤委員 結果的に同じであるならば、改正の必要はないと思うのです。今までのように、やはり国会議決事項として付則に入れていったらよかろうと思うのですが、それを取りはずさなければならぬという積極的な理由は何かございますか。
  8. 池田清志

    池田政府委員 その点につきましては前からも御説明申し上げたと思いますし、私も単刀直入にお答えを申し上げておりまして、政府予算措置によってお許しを願う方がよろしい、こういうふうに考えて参っておるわけです。
  9. 武藤山治

    武藤委員 予算議決事項でなくする方がよろしいという積極的理由を私は聞いておるわけです。なぜよろしいのか。先ほどあなたは、予算の中で予算として計上されれば、予算議決されることと、別の付則として、法律として議決をすることと効果においては同じだ。効果は同じでしょうね。しかしながら、議会の権能とか民主的な財政審議権というような立場から見ると、その過程が同じじゃないのですね。そこで、そういう法律事項からはずした方が好ましいという積極的な理由です。あなたたちがそうしたいのだ、望ましいのだという理由、それはどういうことですか。
  10. 池田清志

    池田政府委員 政府といたしましては、御提案通りにする方がよろしいということで考えておるのでありますが、なおまた、事務的な関係においても二、三の事柄があろうかと思いますから、担当の者から御説明させます。
  11. 上林英男

    上林(英)政府委員 この問題につきましては、前々から御説明申し上げておりますように、特別会計一般会計との関係につきましては、一般会計から特別会計財源補てんいたします場合に、制度的にはその特別会計一般会計から金を入れますのに、予算におきましてお認めをいただきます場合には、その通り執行できますようにいたします場合と、そういうような場合には個々に法律をもちましてまた別途の措置をいたす場合がございます。その後者の場合につきましては、その特別会計性格から申しまして、一般会計から繰り入れる場合がほとんど例外的な措置であるというような場合には、そういう措置を講じておりますけれども、それに反しまして、一般会計から特別会計資金を入れますことが通常の例であり、従って、そういうような機構自体を、組織自体をつくっておく方がより妥当であるという場合があるわけでございます。そういう場合におきましては、ほとんどすべての特別会計におきましては、一般会計から予算の定めるところにより財源を受け入れることができるという旨を明定いたしておるわけでございます。この産業投資特別会計におきましては、当初は、前から御説明申し上げておりますように、主として見返り資金の回転によりその財源をまかなう予定でおったわけでございます。その後いろいろと情勢が変化して参りまして、特に今後も相当の投資需要が見込まれるわけでございます。この傾向は今後もますます盛んになるものと思われるわけでございます。従いまして、特別会計機構自体につきまして、一般会計から財源を受け入れることが今後はある意味では相当恒常化する可能性があるわけでございますので、特別会計組織といたしましても、一般会計から財源補てん予算の定めるところにより受け入れることができますように機構整備をはかることが妥当である、こういうふうに考えたわけでございます。
  12. 武藤山治

    武藤委員 そういう機構整備をする方が妥当であるという——妥当か妥当でないかという判断をする立場は、政府与党野党ではまた違ってくるわけですね。今日の財政運営の原理は、あくまで、民主的な財政運営ということを憲法精神やあるいは今日の日本における民主主義から特に強調されておる段階においては、民主的な権利というものが国会に集中されるわけですね。従って、国会でできるだけ国民の税が審議される、あるいは使い方というものが十分検討される、そういう方向がより望ましい方向だと思うのです。ところが、今度の改正は、そういう議決事項一つでも減らしていって、恒常的に一般会計から繰り入れがあるから、そういうように改正してしまった方がうるさくなくていい。野党の攻撃や批判ややかましいことがなくなる方が運営がしやすい、そういう観点から妥当だと思うので改正をする、こういう意味ですか。
  13. 池田清志

    池田政府委員 ただいまのお言葉でございますが、野党の皆さんからやかましく言われるから、あるいはまたうるさいから口封じのために予算措置お許しを願いたいというふうにしておるのではないのでございまして、先ほど来申し上げておりますように、いろいろとまた御理解もいただいて参ったと思いますが、政府といたしましては、ここにこの法案を出しておるわけです。
  14. 武藤山治

    武藤委員 それでは説明にならぬです。私は、腹を打ち割って、今まで産投会計繰り入れるたびに食いつかれて、しかも三十八年度に使う金じゃないのを、緊急に必要と思われないような金を、とにかく繰り入れるのですから、これはいつも審議のときに議論になるわけです。こういうことを年じゅう繰り返すのでは、どうも厄介でしょうがないから、今度は付則なんというものはきめないで、予算に計上すればさっと通るようにしてしまおう、こういう気持からじゃないですか。それでなければ、先ほどの法規課長説明説得力はないですね。なぜこういう改正をするかという積極的な理由がないです。ただ年々繰り入れするという習慣になってきたから、手続を少し簡略にするのだ、そういう簡略にすることが妥当だ、この程度では、積極的な改正をしなければならぬという理由がないような気がするのです。私が言いたいのは、結局今の財政というのは、弾力的運営ということと民主的運営ということの矛盾、この両方をどう調和するかというところに非常な苦悩があると思うのです。ところがそういう財政弾力性ということを考える場合には、単年度主義という今日の原則からいくと非常にむずかしい。しかし、現実の日本財政法というものは、単年度主義建前としておるわけですから、そういう中における産投会計あり方というものを考えた場合には、できるだけ国民の監視と、議会における審議が十分尽くされるような法の建前が私は正しいと思うのです。そういうものを今度取っぱずしていくのですから、これはやはり積極的な説得できる理由を示してもらわぬと、どうも賛成しかねるような点があるので、しつこいようですが私は尋ねておるわけです。法規課長、もう一回積極的な理由を、さっきみたいなことでは納得できませんから、もう少しざっくばらんに御答弁をしてもらいたいと思う。
  15. 上林英男

    上林(英)政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、今回の措置国会審議過程を省略するのではないかという御議論でございますけれども、私どもはさように考えておらないわけでございます。特別会計あり方といたしまして、どういうあり方がその特別会計として適当であるかという観点から特別会計機構整備をはかっておるわけでございます。ほかの特別会計におきましては、そういうような一般会計からの財源補てん通常の例であるというような場合にはすべてそういう道を開いておるわけでございます。また、しいてつけ加えさせていただきますのは、蛇足になるかもしれませんが、日本憲法におきましては予算法律という法形式が二つございます。もちろん国政運営にあたりましては、古い言葉で申しますと綸言汗のごとしといいますか、国の意思として二言がないという言葉がいわれております。常に予算法律というものの二つの法形式を持っておりますためにこの意思が食い違うという場合は、これはそういうために何らかの措置が要るのではないかという御議論が常に行なわれておるわけでございますが、実際の政治の運営といたしましては、この予算法律という法形式が相調和して運営されるべきものであるというふうに私ども考えておるわけでございまして、従いまして、予算で御議決を願うこともまたこれは国会の御意思に従って国政運営して参るという趣旨にほかならないわけでございまして、これをどういうふうに運営していくかということになりますと、たとえばこの一般会計から特別会計への繰り入れ制度自体につきまして、特別会計の実態、そのときの現状にかんがみましてどういう制度がより運用上合理的に運用できるか、もちろん国会の御審議は十分御審議をいただくことは当然であります。それにつきましては予算につきまして御審議いただいて、その御審議いただきました暁におきましては、それに従いまして運用をさしていただきたい、こういうことでございます。
  16. 武藤山治

    武藤委員 これは見解の相違ですから、幾ら議論をしても——私はどっちかといえば予算民主的規制ということに非常にウエートを置いて考えておりますし、また役人の方では弾力的運用という立場から、できるだけ資金というものは楽に使えるような財政運営というものを考えておりますから、これは大へん食い違いがあるので、なかなか議論をしても一致点は見出せないと思います。ただ、私は特に心配をしておりますのは、今日の財政というものが非常に領域拡大をされて参りまして、予算上のこまかい内容に至るまで議会承認を受けなくてもいいという項目が非常にふえてきておる。財政投融資などはしかりです。あるいは産投会計の、出ていった先についてもしかりであります。こういう点から、資金というものが非常に広範な領域にまたがって、しかも国会審議に供されないで流れていくという抜け穴があるわけでありますが、この抜け穴がだんだん拡大をされていくということは、国民税金を自由に使えるような、俗な言葉で言うならばペテンにかけるような使い方というものが非常に処々に見られておるわけで、そういう段階でありますからこそ特に法律によってこういう問題は審議をさせるという方向が、私は現在の財政法建前からいくならば正しいと思うのです。そういう点で今回のこういう改正措置というものはわれわれの目をおおい隠すための一つの卑劣な改正方向ではなかろうか、かように考えて、不満でありますが、どうもこれは平行線でありますから議論はやめます。  次に、この産業投資特別会計予算補正予算で三百五十億円追加をしていく、これは一体財政法第二十九条のどの規定の部分に当てはまる補正でありますか。これは一つ法規課長にお尋ねいたします。
  17. 上林英男

    上林(英)政府委員 財政法二十九条一号に予算追加の場合の規定がございます。それによりますと、補正予算として計上できまする経費法律契約上の義務費不足を補う場合のほかに、予算作成後に生じました事由に基づき特に緊要となった経費支出、この経費の中には、当該年度において国庫内の移しかえにとどまるものを含む、こういうものが規定されてございます。今回の産投会計繰り入れにつきましては、今申しました予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費支出である、これは御存じのようにその年度におきましては国庫内の移しかえにとどまるのでありますけれども、この資金への充実ということが、ただいまの現状から申し上げますと、御存じのように産投資金は全部取りくずしてしまってからっぽでございます。さらにわが国の置かれております国際環境その他を考えますると、経済基盤の強化その他のためにますます財政投融資の弾力的な運用によりましてこれらの体制を整備していく必要があるわけでありまするから、将来の投資財源を確保いたしますることが緊要である、こういうふうに判断をいたしたものでございまして、従いまして今申し上げました財政法二十九条に基づいて補正予算お願いいたしたわけでございます。
  18. 武藤山治

    武藤委員 二十九条一号の「契約上国の義務に属する経費不足を補うほか、」これじゃない、次の文章の「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費」問題は、特に緊要となった経費でありますが、この判断が非常にむずかしいわけですね。緊要というのは何か時間的にも非常に切迫して重要だという意味があると思うのですね。ところが三十九年度に二百数十億円を使うということは、そういう切迫した緊要さというものはないのじゃないか、そういう点どうですか。三十九年度に使う金まで緊要と受け取って正しいでしょうかね。そこはどう考えますか。
  19. 上林英男

    上林(英)政府委員 その問題につきましては、すでに御存じのように昭和三十一年度昭和三十五年度補正予算におきましていろいろと御議論があったわけでございます。私どもは、この点につきましては、資金充実することがこの際特に緊要である、こういう判断をいたしておるわけでございます。ただその点につきましては、今御指摘がありましたような意味におきまして御議論があり、また財政制度審議会などでも議論がありましたときに、法律的には政府の言っていることも正しいけれども、常識的に見た場合にそういう御議論があることはもっともであろう、従って、この際そういう疑念をなくすために、国庫内の移しかえにとどまるような、国庫の右のポケットから左のポケットに移る、ただ国庫の中に金がとどまっているようなものでも補正予算の要件の範囲にある、そういうことを明定しておけば、あとはそういうものが緊要であるかどうかという判断、それは資金充実がどの程度緊要であると考えるか、この問題である。従って、この判断は第一次的には予算提案いたしまする政府判断にかかり、最終的には国会の御判断にかかるものである。これは法律的には非常に明確であるという御判断であったわけでございます。このような改正をいたしまして先般の国会の御審議をいただき、御承認をいただいたわけでありまするので、私どもはこの条文により適切妥当な措置であるというふうに考えているわけでございます。
  20. 武藤山治

    武藤委員 まあ法律だけの範囲内で解釈をすればそうかもしれませんが、もっと高い政策的見地に立った場合に、たとえば二十九条の今の緊要であるかどうかという判断政府が勝手にきめるのだ、政府判断だ、しかしながらこの財政法の中を流れておる精神というものは、たとえば六条の剰余金が生じた場合には二分の一を償還財源に充てるという規定も、できるだけ国というものが債務を負っておるときには確実に早くなさしめる方がいいという立場に立っての規定が、六条にあるわけですね。そういうものをできるだけ残さずに食いつぶしていって、そして三十九年度に使う金を緊要なものとして、産投会計資金不足したからといって繰り入れしていくというやり方は、財政が二年間、三年間あるいは五年間という計画的な長期財政ならばそういう理屈も私は適当だろうと思うのですが、今日の日本財政原則は単年度主義でありますから、単年度内に入ってきた税金を単年度内で使って、残ったものは翌年に繰り越していって、しかも償還財源に半分を入れていく、こういう建前をとっておるのですから、それを国庫の中にとどめておく限り移しかえだからよろしいのだという考え方で、もしばたばたやられた場合には、単年度主義というものは完全にくずれるではないですか。単年度主義はくずれてもいいのだ、こういう考え方でそういう説明をなさっておるのですか。
  21. 上林英男

    上林(英)政府委員 御指摘通りわが国予算制度は単年度あるいは年度独立原則によっておるわけでございますが、御案内通りに、財政法の四十四条におきまして、一年度内に消費尽くさないような資金も、法律をもって御議決をいただきます場合にはこれを持つことができる旨が明定されているわけでございます。従いまして、資金に入れました場合におきましては、いわば歳計外にその資金を出しますことによりまして、その資金に入りました金は、その性格上おのずから年度独立原則例外をなすに至るわけでございます。従いまして、資金につきましては、年度の区分もございませんし、そのままでは歳計適用を受けないということに相なるわけでございます。もちろんこういうような資金につきましては、年度独立原則あるいは単年度原則例外でございますので、みだりに持つべきものではありませんけれども御存じのように産投会計法におきましては、将来の投資財源を確保いたしますために資金を置くことができるということになっておるわけでございます。従いまして、この資金に入れました場合におきましては、将来の投資財源を確保するために年度独立原則適用を受けないということに相なるわけでございます。なお、先ほどの御質問でございますと、財政法六条との関係がございましたが、財政法六条の規定は、御案内通り決算上の剰余金でございます。ただいま補正予算に計上いたしております財源自体は三十七年度自然増収でございまして、それを産投会計財源といたしまして産投会計資金への繰り入れに充てるわけでございますから、この財政法六条の決算上の剰余金という範疇に属さないわけでございます。御指摘のような点はどういうところに問題があるかと申しますと、ただいま御指摘がありましたような、この産投会計資金への繰り入れ緊要性がないのではないか、こういう議論でございますと確かにそういう御議論になるわけでございますが、これが補正予算として適正であるということになりますと、これはすべての補正予算を組みました場合に、財源を食うわけでございますから、必然的にそれによりまして決算上の剰余金が減って参る、こういうことになるわけでございます。
  22. 武藤山治

    武藤委員 ただ、法規課長、今までの減税をする場合の基準にしても、大体どういう財源がこの程度あるから、減税はこの程度の規模にしようとか、そういう基準になるわけですね。そういう基準になる資金を、二年後に使うものをとにかく今ここでとってしまうということは、国民立場から見たら、三十九年度減税をする際の一つ資金が、それだけ基準の数量が減るわけですから、いろいろな意味において関連があるわけです。そういうことで緊急でもない三十九年の金に二百五十七億円も国庫へしまっておくというこのやり方、これがやがては三十九年度減税の計算の場合にも、この分だけあれば減税方向にこの程度はよかろうという数字の基礎になるのですよ、そういうものを取りくずしてしまうのですから。従って国民立場から見ると、こういう財政運営の仕方というものは欺瞞だと思うのです。国民に対しては非常な欺瞞ですよ。  そこでお尋ねしますが、三十九年度に二百五十七億円の金はどう使うつもりですか。そういうことも全然目安なしに、これだけ資金があるから一応ぶち込んでおけ、こういう形でぶち込んであるのですか。そうでないとしたら、二百五十七億円の三十九年度の一応の使用目標、はっきりきまったものではないにしても、これは三十九年度でこういう工合に使うということに一応話し合いができておるのだったら、どこへどういう工合に配分するのですか。
  23. 上林英男

    上林(英)政府委員 この産投会計資金は、法律でも明定されておりますように、投資財源の一部を補足すべき原資の確保をはかるために資金を置くということになっております。従いまして、この資金は将来の投資財源を充足するためにたくわえておくものでございます。一方、産投会計投資を見ますと年々増加をいたしております。昭和三十六年度には投資計画が四百七十八億、三十七年度は五百三十二億、三十八年度は六百三十四億というふうに累年増加をいたしておるわけでございます。従いまして、産投会計への出資需要は今後ますます増大することが見込まれるわけでございます。そういう暁におきましてこの資金をどのように使うかということにつきましては、たとえば三十九年度になりますと、三十九年度予算編成の問題でございますが、その場合にこの資金を幾ら取りくずして産投会計投資に充てるかということにつきましては、その三十九年度予算編成が決定いたします暁におきましては、別途その財源として受け入れますためには、産投会計としてこの資金から歳入に受け取りまして、それを財源として歳出として投資に充てていく、そのためには三十九年度予算におきまして国会の御審議をいただく、こういうことになるわけでございまして、それによりましてこの投資財源がどういうふうに使われていくかということがはっきりするということになるわけでございます。
  24. 武藤山治

    武藤委員 ですから、まだこの二百五十七億の使い方は全然わかってないわけですからね。わかってないものをただ原資としてたくわえておくなんということは、緊急に必要な資金じゃないですよ。従ってこういうことは二十九条の精神には反するのです。三十九年に必要なものは三十九年の予算で堂堂と計上したらいいのですよ、できるのですから。しかも財政原則はいずるをはかって入るを制するで、入ってこなかったら全体の予算を縮めることが財政原則ですからね。それを無理して、去年もこれだけだったから、来年もこれだけふえる、再来年もこれだけふえるといって予算規模だけどんどんべらぼうにふやしていく財政をやれば、最後は赤字公債を発行しなければ財政は持たなくなりますよ。やはり歳入の限度内で歳出をはかっていくという考え方なんですからね。それで歳出をできるだけ押えていって歳入をできるだけ正確に計算しようという原則から見た場合に、三十九年度分のものを三十七年度の歳入から充てるなんという考え方は、全く財政の乱用ですよ。これは法規課長に聞いても私は無理だと思うのです。非常に高い政治的な判断に立って行なわれるわけですから、政務次官、その点はどう考えますか。
  25. 池田清志

    池田政府委員 法規課長からも御説明を申し上げておりますし、今までも問答があったやに伺っておるのでありますが、私ども政府といたしましては、産投の資金充実するというような建前からいたしまして、三十七年度にありますところのものを産投の資金繰り入れて、その中で二百五十七億円を三十九年度の産投の資金の中に確保しておこう、こういうのがねらいであるわけです。剰余金の問題につきましては、決算上の剰余金については財政法の定むるところによって措置するのでありますが、いまだ決算前のことでございまして、この法律によりましてその処置を許していただきたい、こういうわけです。
  26. 武藤山治

    武藤委員 まあ政務次官、許していただきたいとかなんとか、そこまで飛躍しなくてもいいのです。議決するまでいかなくても、私は科学的な事実関係を聞いておるのでありますから。ただ、今言ったように三十九年度幾ら減税をするかという計算の際にも、その財源を基礎にして、自然増なり、この程度見込みが立つという、そういう計算の基礎になるのですよ。ところが三百五十億円ここでとられてしまえば、三十九年度のそういう財源がそれだけ不足するわけなんです。従って、減税をする場合の規模なども、それだけとられることによってえらい影響があるわけですね。ですから軽々に、財源が少し苦しくなるそうだから、今のうちに産投の方にとっとけということは——産投から流れている資金というものの流れがどこへ流れているかというと、主として大きいところに勧銀を通じて、あるいは輸出入銀行を通じて、中にはちょっぴり国民金融公庫やあるいは中小企業金融公庫に行きますけれども、大半は基幹産業中心のものに流れていきますね、そういうものは優先的に二年も前に資金を確保しておいて、三十九年度減税やなんかの方の資金はちっとは減ってもかまわぬという、そのものの考え方が本末を転倒しておるのじゃないか、こういうことを平気でやられたのでは困る。もしこれを堂々とやるのだったら、日本財政法全体を改正しなさい。そうでなければだめです。これはアメリカのように三年くらいの計画を立てて、その景気循環の波動の中で財政というものを調整していこう、弾力的に運用しよう、そういう制度ならばこういうことをやってもいいのですよ。ところが財政原則は従来通り原則になっていて、部分々々を勝手にこういう形でいじり回すと、財政そのものの原則が私は全くじゅうりんされると思うのです。乱されると思うのです。そういう意味産投会計に三百五十億繰り入れて、そのうち二百五十七億は三十九年度に使うなんというやり方はけしからぬ。いやしくもこれを翌年度に使うならまだ緊要さの度合いが違うのですよ。三十八年度に使うならね。一年飛んだ翌年ですからね。これは乱暴ですよ。こういうことは私はいけないと思うのです。政務次官どう思いますか。
  27. 池田清志

    池田政府委員 三十九年度におきます減税の問題等につきましては、三十九年度のいわゆる財源でありますところの租税、印紙収入及び専売納付金並びに三十七年度からの剰余金などが大元になりまして、幾ら減税するかということが案出されるわけであります。この配分にあたりまして、すでに産投につきましてこれだけの資金を確保しておるのでありますから、いわゆる歳出の面におきまして、産投について資金が少ない場合においては考慮されるであろうということが想像されます。
  28. 武藤山治

    武藤委員 これは幾ら議論しても、政務次官とやり合っても結論は出そうもありませんから——ただこういうことでは、先ほど申し上げましたような財政原則が乱されるおそれがあるし、政治的な判断財源を食いつぶしていく。しかも産投会計というのはそのまま通り抜け勘定ですからね。会計監査だのあるいは国会審議だの、決算だの、そういうところに一切回ってこないのです。従って、国民税金というものが乱暴に使われても、民主的な監視ができないようになっている資金ですから、それだけに私は、もっと慎重に法律議決事項にしておいて、十分国会議論というものを通しておくのが正しい筋だと思うのです。そういう点で非常に不満です。不満ですが、これを議論しておっても仕方ありませんからやめます。  その次に、産投から出ておる会計の問題について少しく尋ねてみますが、本年からできる鉄道網整備公団、これに産投会計から五億円の出資がございますが、この三十八年度の事業計画は具体的にどんなことを計画しておりますか。
  29. 稲益繁

    稲益政府委員 一応、私ども産投会計からの五億の出資は予定いたしておりますが、この公団が、この国会で公団法を御審議いただきまして発足いたしました後に事業計画をつくりますので、現在のところはまだ未定でございます。
  30. 武藤山治

    武藤委員 しかし大体の輪郭は、この公団で三十八年度中こんなことを一つやろう、大体の目標というのはあるんじゃないですか。目標も何もないうちに、予算をばんと出しておくのですか、融資をきめておくのですか。何かの目安があるからこそ五億という金額がきまって、たとえば一千億の事業をやろうという場合に、まさか五億の融資をするわけはないのですから、大体どんな程度のことを三十八年度にやろうという目標くらいはあるでしょう。
  31. 稲益繁

    稲益政府委員 輪郭と申しますか一応の規模といたしましては、産投からの五億の出資と別途五億の融資を行ないます。そのほかに国鉄から七十五億、従来新線建設で予定いたしておりました資金、これを移しかえまして出資があるわけです。大体そういうところで、従来から行なわれております新線はいろいろ予定がございますが、これを継続して行なって参る。その詳細な内容についてはただいままだ未定である、かような意味でございます。
  32. 武藤山治

    武藤委員 大蔵省はこういう査定をする際に、大体この公団、この事業団にはこの程度の仕事を三十八年度はやるという計画があるから、それについてはこれくらいつけてやろう、これにはこのくらいやろうというある程度の、たとえば鉄道の新線を何キロくらいやろう、あるいは電化だったらどういう程度の電化をやろう、そういう計画というものはちゃんと主計局の方へは出るのじゃないですか、全然そういうものは出てないのですか。ただ鉄道の方から、一つこのくらい金を融資してくれぬか、そうか、それじゃ産投でこれだけ何とかなるからやろう、そういうようなずさんな形で金を配分するのですか。
  33. 稲益繁

    稲益政府委員 従来ともに、先ほど申し上げましたように大体七十五億円という鉄道の新線建設を国鉄でやっております。現在考えておりますのは、三十八年度では産投の出資でもって当初のいろいろな調弁費がございます。公団としましての事業の規模としましては、大体三十八年度では従来の鉄道の新線建設、これを引き続き行なって参るという予定でございます。
  34. 武藤山治

    武藤委員 それじゃ従来やっておるどことどこなんということは、全然大蔵省ではこういう融資の査定をする際には検討はしないわけですね。たとえば予定として何線と何線とどこを三十八年度はやりたいのだという国鉄からの計画書というものは、全然出ないのですか。
  35. 稲益繁

    稲益政府委員 従来ともに国鉄がやって参っております調査あるいは着工線、こういうものが四十七線ほどあります。一応そういったものを継続してやって参るということで、詳細な事業計画は公団発足後に作成する、こういう予定でございます。
  36. 武藤山治

    武藤委員 この問題の詳細は、予算分科会で国鉄当局からよく開くことにして、この程度にします。  次に海外移住事業団ですね。これは大蔵委員の田原先生が特に力を入れて、何度も要望しておったのでありますが、この来年度の事業計画、輪郭でけっこうです、皆さんの方は直接その事務担当じゃないのですから、あまりこまかい点はわからぬと思いますが、海外移住事業団というのはどんなことをして、どんな組織をつくって、何をやろうとしておって、本年日本から何人くらいをどこへ移住させようとしておるのか、そういうスケジュールがある程度はわかっておると思いますので、一つお聞かせ願いたいと思います。あなたの方で産投から八億出ますね。
  37. 稲益繁

    稲益政府委員 事業の詳細な内容は、あるいは外務省の担当局の方がいいと思いますが、一応私どもの方で事業資金として予定いたしておりますものは、投融資の関係、それから移住地における事業資金、そういったものが大体中心になっております。
  38. 武藤山治

    武藤委員 移住地の事業というのは、たとえば具体的にどういうようなことを計画しておるのですか。たとえば、やるのはどんなことですか。
  39. 稲益繁

    稲益政府委員 土地改良事業です。
  40. 武藤山治

    武藤委員 場所はどこですか。ブラジルですか。それ以外の土地もあるわけですか。大体の目標にしておる場所はどこですか。
  41. 稲益繁

    稲益政府委員 ブラジルが主でありますが、そのほかにボリビア等もあります。
  42. 武藤山治

    武藤委員 この事業団は、東京へ本部を置くのですか。それともブラジルの方へ、この事業団は移るのですか。
  43. 稲益繁

    稲益政府委員 東京が本部になると思います。
  44. 武藤山治

    武藤委員 一年間の大体の移住者計画は、どのくらい日本から移住させようというのですか。新たにこういうものをつくるのですから、従来とはどこか抜本的に違う点があろうと思うのですが、どんなことになりますか。
  45. 稲益繁

    稲益政府委員 ちょっとそこまでまだ私ども承知しておりません。
  46. 武藤山治

    武藤委員 次に、ことしから新たにできる金属鉱物探鉱融資事業団、これはやはり産投会計から資金が出るわけでありますが、具体的な事業計画というものは大蔵省に一応申請して融資をするわけですか。計画内容をちょっと教えて下さい。
  47. 堀込聡夫

    ○掘込説明員 ちょっとこまかい数字ですから、私から申し上げます。  前回も御説明をいたしましたが、非鉄金属の自由化に伴いまして、現在の金属鉱物の品位であっては国際競争力等が十分でないということで、非鉄金属の品位の優秀な鉱山をより多く探鉱しなければならぬということが、この探鉱融資事業団ができましたそもそもの趣旨でございます。現在はまだ法律案お願いしておる段階でございまして、こまかい事業計画は進めておりませんけれども、現在通産省の方の計画によりますと、大体来年の、非鉄金属の銅、鉛、亜鉛でございますけれども、大体の探鉱事業の所要資金が五十億ぐらいというふうになっております。それに対して、その中で最も重点的な探鉱に対しまして、五億円程度の融資を行ないたいという考え方でございます。
  48. 武藤山治

    武藤委員 私が、今新しくこれから発足しようとする事業団についてお尋ねをしたのは、どうも今までの予算使い方を見ますと、事業計画がはっきり定まっていないのに、新たな事業でぱっと、なわ張り争いか何か知りませんが、それぞれの機関がみだりにこういうものをつくりたがって、予算はとったものの仕事はさっぱりやらぬ。決算を見ると膨大な資金が遊んでおる、繰り越しになっておる、こういうのが非常に多い。従って、おそらく主計局が査定をする際に、事業計画というものを十分検討して、これはこの程度融資しても、この程度の事業を目標にするならばよかろう、そういう判断を誤らぬようにやらないと、せっかくつけた資金というものが、効率的に使われないといううらみがある。こういうことを私は心配をして、今質問をしているわけなんです。ただいまの尋ねた中では、まだ具体的な内容がよく、当該官庁でなければわからぬということでありますから、これ以上ただそうとはいたしませんけれども、とにかく十分そういう点を配慮して、しかも財政法四十六条ですか、それには、予算が成立した後において、国民にいろいろ報告をしなければならぬという規定があり、しかも内閣は、国会及び国民に報告しなければならぬということになっているが、予算使用状況などについても非常におざなりで、ただ単に予算で決議された数字と対比してざっと書くだけで、その事業がどういう欠陥が今日あるかとか、どういう点に妥当でない点があるかという、大蔵省としての批判の立場に立った予算の使用というものを報告しておらぬわけであります。ただ数字だけざっと並べているわけであります。こんなものは出さぬ方がいいと思う。出すからにはもっとぴしゃっとした、国民のためになる、国民方向を向いた、財政法上の規定をじっくり運営する必要があろうと私は思う。そういう点からも、どうも日本財政というものは、きめるときだけは真剣に議論をするけれども、きめたあとはさっぱりかまわぬ、こういうような状況が今日の姿じゃなかろうかと思うのです。そういう点から、私は今できようとしているこれらの公団や事業団について、一つ大蔵省としても、これらの予算の執行状況というものを十分監視をしながら、予算を大切に、しかも効果的に使えるように指導すべきだ、こういうことを一つつけ加えておきたいと思います。  午前中、あと有馬議員も質問することになっておりますので、きょうはこの程度質問を終わっておきますが、ただいま申し上げました点を大蔵省当局としても十分留意されて、今後の監督をしていただきたい、かように要望して終わりたいと思います。
  49. 臼井莊一

    臼井委員長 有馬輝武君。
  50. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 最初に、外務省の北米課長にお伺いしたいと思いますが、昨年ガリオア・エロアの返済協定が論議されました際に、関連して本会計についていろいろ論議がかわされたわけでありますが、ガリオア・エロアにつきましては、私どももいろいろな観点から論議をいたしましたが、そういったことは、本会計には大きな関連はありますけれども、今度の改正について直接のあれはありませんので、ただ関連する点だけについてお伺いいたしたいと存じます。  それで、返済額が四億九千万ドルで、年二分五厘の利子で、十五ヵ年賦払いということになっておったと思うのでありますが、その返済金の一部は、日米間の教育文化交換に充てるということになっておりましたが、現在まで返済された額が幾らであり、そして、日米間の教育文化交換ということになっておりましたけれども、それは具体的にどのような形で使用されているか、この点についてお伺いをいたしたいと思うのであります。
  51. 西堀正弘

    ○西掘説明員 ガリオア協定は、御承知のように昨年の九月十一日に効力を発生いたしました。従いまして、規定によりまして、第一回の賦払いというのは六ヵ月後、すなわち、ことしの三月十一日に第一回の賦払い期が来ることになっております。従いまして、今先生が仰せられました、すでに返済金が払われておって、そのうちの教育文化交換のための資金がどのように使われているかということに対しましては、実はまだ第一回の賦払いも了していないのである、こうお答えいたします。
  52. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 昨年私たちがかリータイについて論議をいたしましたときに、マックの占領地行政報告等の内容、あるいは当時の援助のおもな部分を占めておりました食糧が、一九五〇年前後、アメリカにおいてはどういう需給状況であったかというような観点、それと、さらに援助を受けた国民がその対価を支仏っておったというような観点からいろいろ論議をいたしました。そういう意味で、やはりこの返済金については、今私が御質問いたしましたように、教育文化交換云々というような点についても、重大な関心を払わざるを得ないわけであります。それで、三月十一日だということで、まだその時期が参っておりませんが、しかしその使用方法については、日本としても、ただ日米間の教育文化交換ということだけでなくて、その大宗をなす東アジア諸国の経済援助についてさえも、日本は重大な関心を払わなければいかぬし、またそれについて、私は相当の発言権があってしかるべきだと思います。その時期も近づいておりまするが、最初の日米間の教育文化交換については、そういう立場からいたしますと、日本としてはどのような希望を持っておられるのか。また現在まで別な形で進められて参りました東南アジアの援助計画、そういったものとも関連しまして、それなりの構想というものを当然持っておられるべきはずだと思います。それについてこの際お聞かせをいただきたいと思います。
  53. 西堀正弘

    ○西掘説明員 日米間の教育文化交流のための資金の使途につきましては、もうすでにこのガリオア協定が発効いたしました九月十一日、その当時から、実はこれは在京の米大使館、主としてファース文化公使でありますが、これと外務省の文化参事官との問で、内々交渉が進められておりました。もちろん、この支払われる金は、アメリカの金になるわけでございますけれども日本といたしましては、これは円貨で支払うことでございますし、日本で使われるものでございますから、日本の希望と申しますか、このように使ってもらいたい、こういう希望はこの文化参事官の方からファース公使を通じてアメリカ政府に十分に申し入れている次第でございます。ファース公使は本件で昨年のたしか十一月だと思いましたけれども、アメリカへ帰りまして、本国政府とも協議をいたしまして、日本の希望しているところは十分に伝えている、こういうことで、さらにその後も文化参事官とファース公使との間で協議を進めております。日本といたしましては、もちろんフルブライト奨学資金でございますか、こういうものも行く行くはなくなる運命にございますし、そういうものにとってかわるような方法で、末長くこの教育文化交流のために本資金が使われることを希望いたします。そのラインで交渉しておるやに聞いております。  それから先生の御質問のもう一つ、低開発地域の経済援助にこのガリオア協定の支払金を充てるということにつきましても、これはもちろんアメリカの対外援助法に基づいて使われる資金の一部に入るわけでございますけれども、ガリオア協定に付属しております交換公文に明記されておるところに従いまして、日本といたしましては、できるだけ低開発地域の経済援助、特に二番目に明記されております東アジア方面の低開発国の経済援助に使われるように、十分に緊密なる協議をする、こういう約束がございますものですから、アメリカ政府とそのラインで交渉し、こちらの希望を向こうに伝えております。
  54. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 稻盆さんにお伺いしたいと思いますが、この会計の前の見返り資金特別会計の使用状況につきまして、私は昨年ガリオア・エロアの返済協定の論議の際に、使われましたものを部門別にずっと見て参りまして、大きく分けまして公企業、私企業、中小企業それから債務償還、こういうのをずっと見て参りまして、この会計の本来の目的がそうであったと言い切ってしまえばそれまでのことでしょうけれども、二十四年度から二十七年末までの累計でパーセンテージを見て参りましたが、公企業が三〇・二%、それから私企業が三七・三%、これに比べまして中小企業が一・一%、このパーセンテージであまりにも中小企業というワクをあげておること自体に疑問を感じたのであります。やはりこういったパーセンテージにつきましては今後も変わらないのじゃないか、このように思うのでありますが、三十八年度にはどのような構想を持っておられるのか。もちろんそれぞれの会議なり何なりにまかせてあるといえばそれまでのことですけれども、やはりこの資金の使途については、大蔵省としても、ただ、ああそうかということだけではないと思うのであります。またあってはならないと思いますので、この点について、来年度のおもな構想について、特に本年度予算編成、これは昨年度の場合とは、いわゆる日本の産業に対する政府の取り組み方というものが違って参っておることは御承知の通りでありますので、そういったことと関連させながら構想についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  55. 稲益繁

    稲益政府委員 冒頭にお話ございました見返り時代の金と申しますか、当時の事情からいたしまして仰せのような事情があったわけであります。現在におきましては、この見返りを引き継ぎました産業投資特別会計そのほか全般の財政投融資として考えますると、現在のところ、三十八年度での中小企業関係は、大体割合で申し上げますと、一一・八%程度になっております。
  56. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 今私があげましたように、公企業の中には鉄道なり電気通信業なり住宅金融公庫その他ありますし、私企業の中にも、一般産業なり、電気なり、海運なり、石炭なり、それぞれあるわけでありますが、おもな項目だけでけっこうでございますから、その構想についてお聞かせをいただきたいということです。
  57. 稲益繁

    稲益政府委員 お話の点は、大体財投の使途別分類の点だと思うのでありますが、使途別分類で申し上げますと、いわゆる住宅、生活環境整備、厚生福祉施設、文教施設、中小企業、農林漁業、こういうものを合わせました、いわゆる国民生活に直結する部門、この割合が三十八年度におきましては全体の中で四九・一%になっております。それから国土保全、災害復旧、道路、運輸通信、地域開発、いわゆる国民生活の基盤を強化するといった部門でありまして、こういった部門への財投の占めます割合が、三十八年度で三三・五%であります。以上合計いたしますと、三十八年度におきまして八二・六%、これが国民生活に直結する部門、ないしは国民生活の基盤を強化するといった部門に向けておる。個々の部門につきましての割合は、詳細に申し上げますと住宅関係で二二・七%、それから生活環境整備で一一・一%、厚生福祉関係で三・二%、文教施設関係で二・八%、中小企業一一・八%、農林漁業六・五%。次に国土保全と災害復旧でありますが、これが三・二%、道路の関係が八・七%、運輸通信二二二%、地域開発八・四%で、残りが基幹産業と輸出振興、基幹産業が大体一〇・一%、輸出振興の関係が七・三%、以上のような割合になっております。
  58. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 次に、外務省にもう一ぺんお伺いしたいと思いますが、第一次、第二次の余剰農産物協定、これによりまして、返済については四十年間という工合になっておりますが、おもに電源開発、あるいは愛知用水公団、それから農地開発機械公団、森林開発公団、これらに使用されることになっておったと思うのでありますが、その使用状況について、おわかりの範囲でけっこうでございますからお聞かせをいただきたいと思います。
  59. 西堀正弘

    ○西掘説明員 大へん遺憾でございますけれども、私ガリオア協定の方の主管課長でありまして、今の余剰農産物の方は、経済局の方で担当しておりますので存じません。
  60. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 じゃ稻盆さんにまたお伺いしますが、政府関係の外資導入、世銀借款それから輸銀からの借款、それから外債、この三つについて、現在までの一番最近の残高についておわかりであるならば、お聞かせをいただきたいと思います。
  61. 稲益繁

    稲益政府委員 最初に、世銀借款の関係でありますが、これは契約額で申し上げますと、現在までの累計が四億八千七百万ドル、それからワシントンの輸出入銀行の関係でありますが、これも借り入れ許可額で申し上げますと、累計三億三千万ドルであります。
  62. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 政保債と開銀債については……。
  63. 稲益繁

    稲益政府委員 戦後発行されました外債で申し上げますと、国債が三千万ドルであります。それから政府保証債、これが電電、開銀、それからすでに出ましたもので大阪府市債のマルク債がございます。これを合計いたしますと、政保債で一億二千三百五十万ドルでございます。
  64. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 次にお伺いしたいと思いますが、私は昨年開銀の融資の問題につきまして、その返済状況等についてお伺いをいたしました。その際明らかになったのでありますが、企業によりましては、こげつきが非常にたくさんできておりまして、しかもその企業努力はもちろんしておるでありましょうし、またその企業の置かれておる位置なり何なりという点から、返済に困窮をきわめておるというような事情についても、若干わからないでもない面もありましたけれども、しかし資金の高率的な運用という面から見ますと、そのままほうっておいては、少なくとも国の資金として芳しくない面が端的に出ております。この点については、局長も十分御承知だろうと思いますが、こういう点について、たとえば今問題になっております海運についていろいろ具体的な案が準備されておるようでありまするけれども、そういったものが、その資金運用の面から見て、はたしてそのまま進めてよろしいのかどうか、私は疑問なきを得ないのであります。こういう点について、局長としてはどのように考えておられるか。あまりにも抽象的なのでおわかりにくい面があるかもしれませんけれども、とにかくものすごい焦げつきがある、その上にさらに貸し出しをしていく、あるいは利子のたな上げを行なう、そういうことが全般的な資金運用の面から見て緊急やむを得ないということで許容さるべきものであるかどうか、この点についてのお考えを伺いたいと思います。
  65. 稲益繁

    稲益政府委員 政府関係機関、今御指摘の開銀のみでもないわけでありますが、開銀について申し上げましても、お説のように相当額の——相当額と申しますか、率から申し上げますれば、われわれさほど大きいとは思っておりませんが、延滞が出ておるというような実態がございます。私どもといたしましても、極力開発銀行その他こういった政府関係の金融機関は政府の金を扱うわけなのでありますから、資金の貸出先、その管理、これについては、十分な注意をいたすようにいたしておるわけなのであります。  お話がございましたような海運の関係その他で、いろいろ情勢の変化によりまして、ああいった延滞が起こる、もちろんこれは決して望ましいことではないわけでございます。今回海運につきましては、特別の措置をもってこういったものの解消をはかるようにしたい、前向きの形でこれを解決するという方針が打ち出されたわけであります。海運に限らずほかの貸付企業につきましても、そういった面で、もちろん初めから延滞が起こるといったようなものには、貸付は行なわないのでありますが、何らかの事情でそういうものが起こりました場合には、極力これの解消に努める所存であります。個々の問題については、銀行局からまた答弁すると思いますが、私ども財政資金を融資する立場から申し上げますと、基本的にはそういう考えでやっているわけであります。
  66. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 個々の問題についてはそれなりの指示をしたいとおっしゃるのですが、私が申し上げておるのは、その個々の問題じゃなくて、全般的に見まして、少なくとも国の資金の使途という面から考えますと、私はゆゆしき事態になっておると思うのです。それについて、そういう事態の中で今考えられようとしておる措置というものが、妥当かいなかという点についてお伺いをしておるわけです。局長から答えにくかったら、せっかく政務次官お見えになっておりますので、一つ政務次官の方からお答えをいただきたい。
  67. 池田清志

    池田政府委員 財政投融資が、御審議をいただいております三十八年度予算におきまして、イイワクナ、一兆一千九十七億円というものがございます。これにつきます相手も計画されておるわけでございます。有馬委員のお尋ねは、今まで融資してきた先が返済と申しましょうが、そういうことが滞っておる事実がいろいろあるじゃないか、これはおかしいことだ、こういうお尋ねであります。まことにごもっともでございます。政府といたしましては、国民のお金をお貸ししておるのでありますから、それが有効に活用せられまして、わが国経済の基盤がいよいよ強化するようにということでお貸ししておるわけです。しかしお貸ししたお金でありますから、借りた方におきましては、これを返すというのは当然なことです。先ほど来お話がありました開発銀行の関係からいたしました、海運等に貸しておりまする融資がいまだ計画通りに返済ができておらないという事実があることは御承知の通りでございます。でありまするから、政府といたしましては、今般海運基盤強化方策というものを立てまして、予算並びに法律関係におきまして、国会の御審議をいただいておるのでございますが、これらをいたしまするゆえんのものは、国の方に返さなくちゃならない、返済を強行して参りますると、海運自体もなおさら窮屈になって参りまして、海運の再建ができないであろう、従いまして、しばらくの間、その利子等を猶予いたしまして、その間それを会社が活用して、海運の基盤強化をしていこうじゃないか、こういう前向きの考えが基本となりまして、法律及び予算関係を御審議いただいておるわけです。かくのごとくいたしまして、融資を受けましたところの諸会社等がそれぞれ経営がよくなりまして、国家の方にしかるべき規定の返済がどしどしできていくように、それを育成していきたいというのが私ども政府の考えでございます。
  68. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 今前向きの方向で、特に海軍関係等については考えなければならぬ時期だし、またそれに従って強化策を検討してもらいたいということであります。私が最初にお尋ねしました見返り資金自体からの使途別のパーセンテージ、局長の答弁の中でも明らかにされておりますように、たとえば中小企業に対しましては、ただ一項目としてやられておるだけだ。先ほどの御答弁でも、三十八年度は、中小企業に対しまして十一・八%、あるいは住宅なり文教なり農林あるいは厚生等についてもある程度の配慮が加えられておりまするけれども、今の政務次官のお言葉を借りて言いますならば、前向きということは、国の資金であるからには、一部のものに限った前向きであってはならぬと思うのであります。やはり政治の恩沢というものは、普遍的なものでなくちゃならない。一部の企業だけに限って、これが不況だから、返済能力が今のところ整わないからというようなことで限定された政策というものが推し進められるということについては、私どもどうしても納得できがたい面があるわけであります。この点につきましては、いずれ具体的な問題として論議を深めて参りたいと考えておりますけれども、昨日から堀委員またけさ武藤委員から財政法上の立場からもいろいろ問題点が提起されておったことは御承知の通りであります。私どもは、昨年のガリオア・エロア返済協定の問題が出ました際に、この産投会計におっかぶせるということは、木に竹を継いだよりももっとひどいものだ、産投本来の性格を大きくゆがめるものだという立場から反対をいたして参りました。しかもその軍営面において今申し上げますようなことが今後そのままやられていくということであれば、その本来の持つ性格というものをゆがめるだけではなくて、私は、根本的な問題までさかのぼらなければならない、このように思うわけであります。  そういう意味合いで、私はこの際、政務次官にお尋ねをしておきたいと思いますけれども、この産投会計それ自体を根本的に再検討される考えがあるかないか。この点について、この際お聞かせいただきたいと思います。
  69. 池田清志

    池田政府委員 産投会計は、有馬委員御承知のように見返り資金二千九百十九億円というものを引き継ぎましたのがそもそもの勘定でございます。財投の中の一翼をになって、今日まで産投が努力して参ったこともおわかりの通りでございます。御質問の中に、ガリオア・エロアの関係におきまする対米債務支払いの問題もちょっと御指摘になったのでありますが、そのことについて申し上げておきますと、このガリオア・エロア物資は、国民はそのときに買ったのです。お金を払ったのです。そのお金を政府が所管しておりまして、そのつどつどアメリカに払っておらないわけです。と申しますのは、政府といたしましては、アメリカのメモランダムによりまして、支払いの額をどうするということも将来相談をする、こういうことになっておりました関係上、国民からは代金をちょうだいしたのですが、政府がこれを持っておりまして、いわゆる見返り資金ということにしておりましたことは御案内通りです。そこで将来になりまして、日米両国の間に意見がまとまりまして、いわゆるガリオア・エロア返済協定によりまして、わが国が条約上債務を確定されたわけです。そもそも産投が見返り資金からできておりまするものであり、国民がガリオア物資の支払いのお金をためておったものでありますから、その中からガリオア・エロアの対米債務を支払っていこう、こういうことにいたしておるわけです。ガリオア・エロアの代金が積もり積もりまして四千百二十九億円、こういう計算になります。そのうち対米債務を完済いたしますと、二千八十五億円ということで済むのです。なおかつ余りがありますが、これは産投といたしまして、従来わが国経済の基盤を涵食するために努力して参りましたこと等もあわせまして、将来におきましても財投の中の一翼として努力をさしていただきたい、こう思います。従いまして、産投自体はそれを改善いたしていくという方向に向かってはいろいろに私ども検討もいたしますが、お尋ねにはなかったのですけれども、産投そのものをやめるとかあるいは配付先を縮小するとかいうような消極的な御意見につきましては、政府は同意できないのであります。
  70. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 私が言っておるのは、今池田さんのおっしゃったような経緯があったけれども、少なくとも昨年のガリ・タイの返済協定に基づく支払い、これをやることになったことと、それから私が先ほど指摘いたしましたように、その使途についてこの会計が設けられた当初の意義というもの、性格というものから大きくずれてきておる、しかもその資金運用についても非常に問題がある。私どもは昨年この返済協定の場合に、今池田さんがおっしゃったように、国民からはその対価を受け取って、また一般会計から繰り入れられている、そういうような意味で、二重払いになるというような点も強く指摘いたしたわけであります。いろいろ申し上げましたようなこことを詰めていけばいきますほど、やはりその運営面については、国民全般的な立場からやっていかなければいかぬのじゃないか、そういう意味でお尋ねをいたしたわけであります。  いろいろまだお伺いしたいこともありますが、きょうはこれで一応とどめておきたいと思います。  なお、先ほど私の質問に答えられました海運基盤強化の問題等につきましては、全般的な視野から詳しくお尋ねいたしたいと思います。  本日はこれでやめておきます。
  71. 臼井莊一

    臼井委員長 この際、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ————◇—————    午後一時三十八分開議
  72. 臼井莊一

    臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  酒税法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑を続けます。通告がありますので、これを許します。佐藤觀次郎君。
  73. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 泉さんにお尋ねします。本委員会でも非常に問題になりました酒団法が施行されましてからちょうど三年になると思うのですが、酒団法ができてから酒造界一般にはどういうような傾向が現われてきたのか。非常に問題になっていた法案でありますから、そのことをまず泉さんにお尋ねしたいと思います。
  74. 泉美之松

    ○泉説明員 お話しの酒類業組合法の改正が成立いたしましたのは三十五年でございます。それから今日まで約三年を経過いたしたわけでございます。改正いたしました事項は御承知の通り価格制度が中心でございまして、それまで約二十年間続きました酒類に対しまする公定価格制度、いわゆるマル公を廃止いたしまして基準販売価格制度に乗り移るという点が非常に大きなねらいであったわけであります。この点につきましては、昨日から申し上げましたように三十五年の十月に基準販売価格を改訂いたしまして、その後基準価格は改訂をされずに今日に至っておるわけでございます。基準販売価格改訂後の酒類の価格の推移につきましては、昨日間税部長から申し上げたところでございますが、各酒類ともその後若干の原価の値上がり等があったわけでございますが、概して申し上げますと、ビール、みりんは基準販売価格通り販売されておるのでございます。そのほかの清酒及び合成清酒、しょうちゅうにつきましては、基準販売価格より若干高目に売られておるものができてきておるという状況になっておるようでございます。概括的に申し上げますとさような次第でございます。
  75. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 酒は御承知のようにたばこと同じように国民の間接税をとる関係で非常に重要な面のあることは御承知だと思うのでありますが、最近の傾向は、酒の業者におきましてもいろいろ慎重な態度をとっておりますけれども、しかし泉さん御存じのように、四千人の酒屋さんが必ずしも楽観できないような情勢に追い込まれると私は思うのでありますが、こういう点について政府はどういうような指導をしておられるのか、この点もあわせて泉さんに伺いたいと思います。
  76. 泉美之松

    ○泉説明員 各酒類のうち、特に生産業者が多うございますのは、ただいまお話しの清酒製造業者でございます。全国で約三千八百八十程度の業者がおるわけでございます。この業者につきましてはすでに御案内通り、非常に小規模の業者が多いのでございます。そのために、生産数量全体が増加いたしますと、その販売になかなか骨が折れるというのが実情でございます。そして基準販売価格制度に移りますときから予想されておったことでございますが、基準販売価格制度になる前まではマル公ということで全国の酒が一本でほとんど取引されておったのでございますが、マル公を廃止しますと、だんだんと銘柄差が現われまして一もちろんそれは必ずしも品質だけの差によるのではないのでございますが、消費者に好まれる酒は多く売れ、しからざる酒はあまり売れない。しかも四千業者おりまして、さらにそれぞれラベルと申しますか、商標を一つだけでなしに二つないし三つを持っておりますので、商標の数にいたしますと八千をこえるといったような状況にあります。そのために名前の通ってない酒につきましては売れ行きが芳しくないという状況にあるわけでございます。国税庁といたしましては、かような清酒業界の状況にかんがみまして、ここ数年来、何としても清酒業者の企業基盤というものを強固にしなければいけないのじゃないかという考えのもとに、業者の団体とも協力いたしまして、いろいろの措置をとって参りました。その第一は共同びん詰の制度をつくりまして、製造は別々にいたしましても、共同びん詰にしてラペルの数を少なくして、そして販売単位を上げる、宣伝費その他の経費を生み出させるように販売単位を上げていこうというのが共同びん詰という一つ制度でございました。それからさらに進みまして共同製造、数カ所でつくっておりますとかえってコストが上がりますので、それを一カ所に集中いたしまして共同製造することによってコストの低下をはかろうというようなことで共同製造を奨励する、こういった共同製造、共同びん詰の場合におきましては、製造用の米を特別配分いたしましてその促進をはかるというようなことをいたしておるのでございます。さらにこの形態が進みますと合併、企業同士合併していくという方向になるのでございまして、この合併の場合におきましても原料用の米の特配をいたしましてその促進をはかることといたしておるのでございますが、何分清酒製造業者は古くから製造を続けておる人が多いのでございまして、それぞれ先祖代々の歴史を背負っておりますために、合併ということにつきましてはなかなか難色がございましてあまり進んでおらない状況でございます。こういうような措置をとりましてだんだんと企業基盤を強化するように努めて参っておりますけれども、まだまだ決して十分どころか、至って不十分と思っておりますので、今後におきましても業界の組合とも協力いたしまして、この方向を進めることによりまして業者の企業基盤が強固になるように考えていきたいというふうに思っておる次第でございます。
  77. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 谷川さんにちょっと伺いますが、この三年くらいの間で特に二級酒なんかの伸びはどういうような傾向になっておりますか、概略でけっこうですからちょっとお知らせいただきたいと思います。
  78. 谷川宏

    ○谷川説明員 過去三年間の二級酒の伸びについての御質問でございますが、最初に清酒全体の中におきまして、二級酒の割合は若干この三年間で減っておりますが、大勢としては清酒の中で二級酒が大部分でございます。そこで三十五年度の二級酒の出荷の数字はキロリットルで申し上げますと、六十六万一千キロリットルでございます。それから三十六年度におきましては七十三万二千キロリットルでございます。本年度は八十二万キロリットル程度になる見込みでございます。
  79. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そうなりますと昨日も堀委員からもいろいろ問題が出ておりましたが、ある点までどんどん伸びていく反面には——私は四、五年前九州に行ったときにもすでに酒が上がってきている傾向があるということを聞いておりましたが、私は今の日本の経済状態を考えると、なかなか中小の三千八百という四千近いところの酒屋さんの経営ということは容易ではない。これは泉さんがまだ国税局の局長をやっておられたときにいろいろ伺ったわけですが、昔は地方では酒屋さんといえば土地を持っておったし、米も入ったし、それから設備の投資も持っておったのですが、戦争という大きな問題がありましてから企業整備が行なわれ、また酒の醸造の様子が一変したので、そのために金がたくさんかかる。その割にはなかなか今のような程度の伸びでは経営が困難だというような問題が出てくるわけだと思うのです。そういう点で企業合同という問題がありますが、実は昨年大蔵委員が佐渡へ行きました。佐渡では、あの小さなところに十七軒かあって、五百石ぐらいな酒をつくっているようなそういう状態があることも、これは鳩山さんからも聞いたのでありますが、非常に困難な問題がひそんでおる。そういうような問題をやはり前向きの姿勢で何とか政府が指導する責任があるのじゃないかというように考えておるわけですが、谷川さんは一体どういうふうにお考えになっておりますか。私は非常に心配しておるのですが、そういう点についてはどうお考えになっておるのか、そういう点を伺っておきたいと思います。
  80. 谷川宏

    ○谷川説明員 酒類業界の内部におきましては、一般的に申しますと、あらゆる面におきまして保守的な気分が強いわけでございますが、私どもといたしましては、まず第一に、そういう企業経営のあり方という点につきまして、合理的な経営をするという点について、経営の基礎的な、根本的な考え方の土台の問題といたしまして、全体の空気をそういう方向に持っていくということが一番大切であろうと考えまして、そういう方向で、業界の組織を通じまして、そういう空気を助長するように努めるということが第一に必要だと考えております。  次の問題は、具体的な問題になるわけでございますが、生産地と消費地との関係、また生産地における個々の企業のあり方、こういう問題でございまするが、酒の消費地に近いところに酒の生産業を集中的に興こすということがいいのかどうか、こういう点についても、根本的に業界内部において再検討をする、と同時に、具体的な問題として今御指摘のように、企業の合併、合同、あるいは共同びん詰、共同製造という点につきましても、今に自分の蔵は自然によくなるのではなかろうかという安易な気持がございまするので、そういう点をもう少し科学的に合理的に、将来の自製酒の販売計画を、ここ三年なり五年先の日本経済の状態を見つめながら、どういうことになっていくかということからいたしまして、各自の企業としての将来の経営の見通しということを十分に合理的に科学的に立てまして、全体の企業の中において、それぞれの企業がどうしてもコストの面において、あるいは販売の面におきまして、立ちおくれであり、不利であるということがわかった場合におきましては、何とか系列化、共同びん詰あるいは共同製造、あるいは合併という方向に持っていく以外に伸びる道はない。それによって全体の酒類産業が発展をするのだという考え方のもとに、個別的に従来の実績からいたしまして、そういう部類に入るかどうかということについて、税務署なり、国税局あるいは国税庁におきまして、十分業界と協力しながら相談をして、将来の方向づけを検討し、具体的な場合におきましては、もちろん業者が自発的にそういう方向に行くことが望ましいわけでございまするが、そういう点について御援助申し上げる必要がございますれば、そういう意味において行政指導をするということも必要かと考えております。
  81. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 設備が昔と変わりまして、私も最近醸造家を見てきたのですが、非常に金がかかるような設備になっておりますが、愛知県にもたくさん零細な酒造業者を持っておりますが、問題になるのは、私は、設備投資とか共同経営するのには、やはり国家から、酒屋さんのためにある金融機関、金融公庫というような、そういうものを設けて、一面においては、間接的に税を取る酒造業者のためにそういうような方法をとれば、企業合同なりあるいは設備の共同化などというような問題もうまくいくと思うのですが、一体政府では酒類の製造業者に、あるいはお医者さんに医療公庫ができたように、そういうような考え方があるのかないのか。これは将来の問題になりますが、そういう計画が全然ないのかという問題を谷川さんに伺っておきたいと思います。
  82. 谷川宏

    ○谷川説明員 大へんごもっともな御質問でございまするが、ただいまのところ、酒類業界のみが金融を受ける金融機関をつくるということにつきましては、いろいろ検討したわけでございまするが、現在はそういうことはほかの金融機関との関連におきまして適当ではないというふうに私ども考えておりますが、しかし、そういう特定な金融機関が必要でないということは、そういう金融が要らないということではないわけでございまして、そういうただいま御指摘のような資金につきましては、大蔵省といたしましても、商工中金であるとかあるいは中小企業金融公庫の資金の貸し出しを容易に受け得るように、お申し出がありました場合に側面的に御援助申し上げ、それによりまして企業の合理化が促進されるように努力して参る。なお設備の一部でございまするが、小企業の業者におきましては、中小企業振興資金助成法の適用業種といたしまして昨年から清酒の製造業が認められるに至りましたので、特定の機械類につきましては無利子の貸付も受けられるようになっておりますが、さらにこの制度を一そう活用するという意味におきまして、機械の指定等につきまして、なお今後一そう増加するように私ども努力して参りたい、かように考えております。
  83. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 谷川さんは、中小企業金融公庫とかあるいは商工中金を利用することができると言われておりますが、現実はさようしかじかにたやすくは借りられないという現状であります。これは私は現実をよく知っております。だからそれは他日の問題として、先ほど泉さんから酒の増加率のいろいろな説明を聞いたのですが、戦後になって、洋酒の需要とかあるいはビールなどというものは莫大にふえているような傾向でありますが、そのふえた率を、簡単に、二、三年でいいですから、大体統計からちょっと教えてもらいたいと思う。
  84. 谷川宏

    ○谷川説明員 ビールでございますが、最初に実数で申し上げますると、三十五年度は九十三万一千九百九十五キロ、三十六年度は百二十八万四千キロでございます。三十七年度は百五十万キロ程度になる見込みでございます。それから洋酒でございますが、その中でウイスキー類でございますが、ウイスキーの増加率につきましては、年々一割から一割五分程度は伸びておりまして、三十七年度のウイスキー類の見込みといたしましては、四万六千キロ程度となる予定でございます。三十五年度、三十六年度につきましては、雑酒の分類で計算をしておりまするので、後刻正確な数字は申し上げますが、大体その程度の傾向であります。
  85. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 戦前と比べ、酒はまだ戦前と同じような石数には回復していないと思いますが、洋酒やビールは何十倍という形になっておるでしょう、倍数からすれば。簡単でいいですから……。
  86. 谷川宏

    ○谷川説明員 ビールにつきましては、戦前の昭和九、十年を一〇〇といたしますると、三十五年が四七三、三十六年が六五二、三十七年は七五一、すなわち戦前の七・五倍程度になっております。
  87. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ビールはそういうように伸びておりますけれども、酒の類は戦前の昭和九年、十年くらいに比べて、あまり伸びはないでしょう。
  88. 谷川宏

    ○谷川説明員 清酒につきましては、昭和九−十一年に対しまして、三十七年は大体一・三倍程度になるという状況でございます。
  89. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そこで、今度貿易の自由化のために酒類なんかが相当な圧迫を受けるのじゃないかと思いますが、それに対する方法は、今まで通りある程度規制するという話を聞いておりましたが、そういう方法はどういうふうにせられるのか。この点も承りたいと思います。
  90. 谷川宏

    ○谷川説明員 輸入酒類に対する輸入の自由化の問題でございますが、全体としての傾向としては、将来輸入酒類を自由化することによりまして、国内の酒類産業の健全な発展の一助にする必要があろうと思いますけれども、今すぐ自由化すると困るものもございまするので、たとえばウイスキーであるとか、ブランデーとか、ジンというものにつきまして、あるいはそのほかブドウ酒というものにつきましては、いろいろ国内のそれぞれの生産業の合理化との見合いにおきまして、そういう方向である程度時間をおいて自由化をすることが適当であろうと考えております。
  91. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 国内のサントリーとか、ニッカとか、そういうウイスキーがあるのですが、ウイスキーでも、外国のウイスキーより質が悪いとか、あるいはそういうことでなくて、何かで需要が低いのじゃないかと思うのですが、そういう点はどういうように考えておられますか。
  92. 谷川宏

    ○谷川説明員 特にウイスキーについて申し上げますると、市販するに至るまでの製造過程におきまして、その原酒を相当長期間たくわえて醸成する必要があるわけでございまして、年々ウイスキーの消費の伸びがございまするので、過去において今日の事態を見通して生産をしておればよかったわけでございますが、そういう準備もいささか足らない点もございまして、なかなか需要の伸びに応じて品質のいいものを供給するということについては問題があるわけでございます。そこで、外国のウイスキーが国内にどっと入って参りました場合に、企業といたしまして、国内の企業の採算がそれについていけるかどうかという問題があるわけでございます。もちろん現在のウイスキー業者は研究等に相当力を入れておりまして、品質的には、嗜好品でございますので、人によっていろいろ違いますが、そう外国に負けるということではないわけであります。たとえば国内のあるウイスキーは、アメリカ市場に昨年以来進出しておりまして、そのアメリカ市場における販売価格はイギリスのものに比べまして遜色のない値段で販売し得ているという状況であります。ただ問題は、国内の洋酒の需要数量に対する供給数量がうまくいくかどうか。長い月日かかってつくる製品である関係上、いましばらく国内の洋酒産業において原料の確保に努力をする必要がありまするので、しばらくは外国のウイスキーの輸入をある程度制限をする必要があろうかと思います。
  93. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ちょっとそれと離れまして、昨年いろいろ問題になったのですが、ビール麦の問題で、ビール業者はビール麦を輸入をしろという意見がありますけれども、私たちは、今の日本の農業の中で米に次いでは麦だ、麦の中でもビール麦は一俵について四百円くらい高いと思うのですが、そのビール麦を生産するのに対しまして、政府の指導があまり感心しないのじゃないか。それはほとんどの大きな業者の立場からのみ考える、こういう観点に立って、百姓の立場でビール麦をつくらせる方法に事欠いているのじゃないかというような非難があるわけです。そこで私は、今の日本の農村がだんだん疲弊していろいろな問題を起こしておりますが、少なくとも食糧の確保という立場と同時に、日本の農業を救うためにも、やはりビール麦なんかを外国から輸入するようなことではなかなか自給自足ができないという考えを持っておるわけです。そういう点で、私どもの愛知県なども、最近キリンビールのどえらい大きな建物ができ、今度はまた守山にアサヒビールのどえらい建物ができるということになって、愛知県名古屋を中心といたしまして相当大きなビール会社が地元にくるようになっておりますが、しかしそれと同時に、今度は愛知県はビール麦の指定がキリンビールに変わったということで、そのために、独占的な仕事であるから、結局においてはビール麦をつくっても——ビール麦は普通の麦と違いまして生産費が非常にかかる、骨が折れるわけでありますが、そういう点について日本全国でもビール麦の栽培をやれば相当伸びるのじゃないかと思うのですが、そういう観点ではどういうようなお考えを持っておられますか、これを伺っておきたいと思います。
  94. 谷川宏

    ○谷川説明員 ただいまの御質問まことにごもっともなことでございまして、私どもも、できる限り国内のビール麦の生産を増加させまして、必要なビール麦についてはできるだけ国内でまかなう、と同時に、その価格もできるだけ農家の方にとりましても、またビール製造業者にとりましても、ほどほどのところで、両者まあまあというところで手に入るようにということを考えておるわけでございます。従来各会社が農林省のあっせんによりまして地方の農協といろいろ契約をし、また栽培等について指導をして参ったわけでございますが、いろいろ問題がございますので、ことしからは農林省がさらに積極的に会社からの必要量の申し出を受けまして、農林省を中心に、ビール会社あるいは農業団体、それに国税庁も加わりまして協議会をつくりまして、必要量は必ず国内で生産するという方向関係者一同協議いたしまして、そういう方向で進むということになっております。
  95. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そこで、農業の経営者にいろいろ聞いてみると、このごろ米以外にも野菜が非常に安い。都会地は高いのでありますが、生産地は非常に安いので農村が非常に疲弊をしておりますが、私は少なくともどんどん需要のふえるビール麦などを農村でつくらせれば一石二鳥じゃないかという考えを持っておるのですが、それにはなかなか検査がやかましい。ビール会社というのは四つか五つしかないですから、ほとんど独占的に仕事をやっておるというような立場から、百姓にはたまらないようないろんな検査を受けて、ビール会社の圧力のために、農民がせっかくつくりたいビール麦をつくれないような情勢にあることを伺っております。そこで、大蔵省は、こういう点についてもう少し農家の立場を考えて、あたたかい思いやりがあってしかるべきだと思いますが、これは農林省の管轄の面もありますから、一がいにどうこうということは言いませんけれども、何かもう少し安易にビール麦ができるような方法はないものかと考えておりますが、谷川さん、どういうようにお考えになっておりますか。
  96. 谷川宏

    ○谷川説明員 なかなかむずかしい問題でございまして、日本の気候、風土との関連もございますが、国内のビール麦でできるだけ需要をまかなうという建前といたしますと、農民の方ができるだけ労力を少なくして、そしてほかの農作物との関連においても十分償えるような価格でビール会社に売ることが望ましいわけでございますが、問題は、第一に、でき上がったものの検査をやかましく言う前に、耕作段階における指導をもう少し親切にやる必要があろうかと思います。従来は指導の点におきまして若干不十分な点もあったわけでございますが、昨年以来、ビール麦産地の各県におきまして、県の担当部局と農協とで協議会をつくりまして、その協議会を通して指導をする、その指導する場合におきまして、ビール会社からある程度の補助金を出すということによりまして指導面に相当力を入れております。と同時に、会社の方におきましても、農家の要望を十分聞きまして、原料として差しつかえない範囲におきまして、耕作方法その他についてできるだけ簡便なことができるように、寄り寄り相談をやっているような状況でございます。
  97. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 手つとり早い話でありますが、農家の立場とすれば、せめでビール一本くらいずつ百姓に回してもらえば非常にいいビール麦をつくるということを言うのですが、これは非常に重大な問題であると同時に考えなければならぬ問題だと思うのです。実は酒でもビールでも問題になるのは、やはり税金が高過ぎるということです。だから、私は、少なくともビールなどはある点まで——あとで問題になるビールびんの問題もあるし、それからマージンの問題もありましていろいろ問題を起こしておると同時に、これは前の上田さんが部長のときに、私もビール販売業者の大会へ行って聞いておりましたが、上田さん、気の毒なくらいつるし上げられたが、もとはやはり大蔵省が税金を取り過ぎるからだ。酒、ビールは昔は奢侈品、ぜいたくなものだというようなことになっておりましたけれども、今は二級酒とかビールなどというものは必需品のような形になっていると私は思うのです。そういう点について、ビール一本たしか六十円税金を取っているそうでありますが、これはもう少しまけることができないものか。泉さんなどは国税庁の次長ですから、これを少し考えて、ある程度まければ相当収入もふえると思うのですが、そういう抜本的な——これは大臣に聞いた方がよいのですけれども、そういう考えはないか。これは一番重要なことだと思うのですが、どういう考えを持っているか一つ伺いたい。
  98. 池田清志

    池田政府委員 酒類についての税金が高いというお示しであり、具体的にはビールをもっと安くしてビール麦をつくっている農家方面に一本ずつでもよいから配ってほしい、こういうお話でございます。これは釈迦に説法でございますが、税金をとりますことについて法律もでき、皆さんの御協賛を得ておりますわけでありまして、この税金は、御承知のように一般歳入の中の三つの税の一つの柱であるわけでございます。何しろ、国といたしましては、歳入そのものをふやすように努力しなくちゃならないという政府立場もございまして、ただいままでのところおきめいただいておりますこういう税率が妥当であるのではなかろうか、こう考えております。
  99. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 谷川さんにお伺いします。ビールをもう十円下げてもやはり税収は変わりがないと思うのですが、どうですか。その点はどういうようになっておりますか。
  100. 谷川宏

    ○谷川説明員 ビール一本の小売価格は百十五円でございまして、その税金は六十円十三銭ということに相なっておりますが、かりにこの一本の価格をさらに十円下げたらもっと売れるのではなかろうか、こういう御質問でございます。そういう見通しもあろうかと思いますけれども、現在のビールの需要、消費の状況を見ておりますと、今まで都会中心に売れておりましたものが、最近は農村にもものすごい勢いで入っております。これは農村の消費資金が相当潤沢になっている結果かと思います。今の値段でも相当出ておる。それを下げたらもっと出るかどうかという点でございますが、私どもいろいろの階層の人に聞きますと、ビール一本のうちの税金が相当高いから全体として高いという印象をお持ちの方も中にはおられますが、全体としてはほかの物資に比べましてそれほど高いという感覚を持っていない人々も相当いるわけでございまして、これを下げたら相当ふえるかどうかという点についてはいろいろ問題があるかと思います。
  101. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そんなばかなことはないので、私ビール会社の社員でも何でもない、関係ないのですが、百十五円のうち六十円の税金を取っていて安いなんということは世界じゅうにない。半額税金でしょう。そういうことを言っておるから、谷川さんはお上の役人だと言われるのです。どうですか、外国、たとえばイギリスとかフランス、西ドイツあたり、西ドイツはビールが多いのですが、こういうようなところの酒に対する税金はどのくらいの率になっておるのですか。谷川さんのような百十五円のうち六十円も税金をとって安いなんというばかな話はないじゃないですか。
  102. 谷川宏

    ○谷川説明員 安いと申したのではないのでありまして、ほかのものに比べて感覚的に百十五円ではひどく高いというふうに思っている方もおりますけれども、そうでない方も、たとえば若い人——最近は女性なども相当ビールを飲んでいるわけでございます。安くすれば消費者としてはそれだけ助かるわけでございますが、現在のところそういうことでございます。  それから外国は、御指摘通り、ビールの小売価格に占める税率は非常に低いわけでございます。日本は相当高いということは御指摘通りでございます。
  103. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 僕は、ビールが安いの高いのというのじゃなくて、税金を五割もとっておって安いという観点がおかしいというのです。私は、ビールだけじゃない、酒でももっと税金を下げるべきだという立場に立っておるわけです。外国に比べて生活程度も違いますし、一般のあれも違いますから、外国がこうだからこうだということは私は考えませんけれども、現在の事情では、酒の販売業者のマージンの問題が出ておるし、それからこの前もビールびんの問題が問題になった。きょうは私は言いませんけれども、そういう問題があった。それからビールを販売しておる業者あるいは酒を販売しておる業者のマージンの問題も出てくるということになりますと、比較すれば大蔵省が一番多く取っておる。そういうことを比較しなければ、安いなんという観点にはならないと私は思う。少なくとも大蔵省がその点で一これはあなた方は事務官ですから、池田さんでもなったばかりですから、あまりいろいろ責めませんけれども、そういう点で、私は酒もビールもたばこもあまり飲みませんけれども、しかしいろいろな事情が変わってくればくるほど、そういうものをもっと流動性を持たせて安く売ってたくさん飲めば、結局ほかのものとのつり合いがとれる、こういうふうに思うのですが、こういう点について、池田さんはまだなられたほやほやですから、あまりいろいろ言いませんけれども、あなたは良心的にどういうようにお考えになっておるか。これは政務次官のあなたに、政治的な発言をしなければならぬので、お伺いいたします。
  104. 池田清志

    池田政府委員 酒類を需要する方々がずいぶんふえまして、その消費量がふえて参っておることは、先ほど谷川政府委員からお答えした通りでございます。従いまして、税率を変えない限りにおいてはそれだけ増収になっておる理屈です。一方、国といたしましては、いわゆる歳入をはかりまして歳出面に相当の仕事をする必要があるわけです。国の仕事は年々歳々ふえて参るわけでありますが、御承知のように、それをまかないまする大元は三税並びに専売益金、そういうものが柱になっておるわけです。三税のうちの一つがこれであるわけです。従いまして、私個人としては、酒を飲む池田清志としては安いお酒がよろしいのですけれども政府立場におきましては、ただいまにおきましてはやはりそれをいきなり下げる、こういうわけにいかないという苦衷を申し上げておきます。
  105. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そういう問題は、私は大蔵大臣が来られたときに伺いたいと思うのですが、一体、これだけ下げればこれだけだということを調べたことがあるのかどうか。今六十円十三銭と言われますが、そういうような税率を五十円にしたということになれば、たとえばビールとか酒というような問題も、やはり下げればある点まで売れるという面があると思う。  そこで、もう一つ伺っておきたいのですが、しょうちゅう、それからその他のいわゆる酒にあらざる酒というと怒られるかもしれませんけれども、新清酒などというものの売れ行きはどうなっておりますか。これも最近三年くらいの様子でいいですから伺います。
  106. 谷川宏

    ○谷川説明員 最初の問題は主税局の方からお答えいただいた方がよろしいと思いますので、しょうちゅう、合成酒の最近の移出数量の推移をお答え申し上げます。合成酒につきましては、最近は年々一割程度販売数量が減っております。またしょうちゅうについても同様でございますが、戦前と比較いたしますると、戦前は、しょうちゅう、合成酒は非常に消費が少なかった関係上、昭和九−十一年に比較いたしますると、たとえばしょうちゅうの場合には三十七年度二・七倍程度になっておりますが、合成酒につきましては、戦争中、戦後の問題でございますので、ここ数年来一割近く消費が減る傾向に相なっております。
  107. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いい酒の方が売れるということはけっこうでありますが、これに関連しまして、酒の販売の機構というものについて、昔の通りになっておりますが、こういう機構がうまくいっておるのかどうかということをお調べになったことがありますか、その点もお聞かせ願いたいと思います。
  108. 谷川宏

    ○谷川説明員 酒の販売機構といたしましては、卸販売業者と小売販売業者ということに相なるわけでございますが、いずれも法律によりまして免許制度ということになっております。この免許制度が固定化するということになりますると、生産者の立場からいきましても、自分でつくった酒が十分必要とするところに売りにくい、また消費者の立場からいたしましても買いにくいということになりまするので、免許のあり方につきましては常時検討を加えておりまして、最近における住宅事情の地域的な変化ということを考慮いたしまして、卸、小売いずれも販売店舗の全国的な地域的な合理的な再配置ということをねらいといたしまして、そういう角度で免許の方針を合理化いたしておるわけでございます。  なお、経営者、卸業者、小売業者がさらに消費者の立場、生産者の立場を考えまして、本来の販売業者としての使命を十分に発揮できますように、さらにその経営の基盤を強化するということをねらいといたしまして、免許業者の経営のあり方についても、行政指導等によりまして合理化をはかって参る考えであります。
  109. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それに関連して、小売販売の許可基準というものは改められたかどうか、これもついでに伺っておきたいと思います。
  110. 谷川宏

    ○谷川説明員 小売の免許をするにあたりましての方針、基準というものも、二月一日から新しい方針で実施するということで、国税庁長官から税務署長に通牒を出したわけでございます。それによりまして、できるだけ消費者の利便をはかるという角度で、できるだけ必要なところに小売店舗の免許を与えるという方向で物事を処理するということに相なっております。
  111. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それから酒類販売のマージン、ビール会社のマージンという問題がありますが、これは谷川さんどういうふうに指導されておるのか。私はこのごろそういう会合に出ておりませんけれども、一時は、一昨年あたりは非常に問題があったのです。あきびんの問題、それからそういうようなマージンの問題などというものは一応うまくいっておるのかどうか。私は最近そういう会合に出ておりませんから知りませんが、一時は非常に険悪な空気があったのですけれども、そういう点はうまくいっておるのかどうか、あらためて伺いたいと思います。
  112. 谷川宏

    ○谷川説明員 小売りのマージンの問題につきましては、ビールの問題とそれからビールを含めました全体の問題とございまして、業界におきましては、ビールの小売マージンその他の酒類の小売マージンを相当ふやしてほしい、二割程度までなるようにしてほしいという要望はございますが、酒の販売につきましては、ほかの商品とたとえば商品の回転率が違うとかあるいはその他特殊な事情がございまして、有利な点もあるわけでございます。また酒の価格の中に占める税金の部分が大きいという点もありまして、一がいにほかの商品と比べて比較することには問題があろうと思いますけれども、二割まで上げることはそういう点からいきまして問題があろうと思います。ただ小売のマージンにつきましても、人件費、運賃等の値上がりがあるわけでございますから、できるだけ合理的な金額に持っていくということが必要であろうと思います。同時に、小売業者が酒類の販売についてもう少し自由な競争をやるということも必要かと思います。自由な競争をやりながら、お互いに努力をして適正なマージンを入手するという方向が適当な考え方であろうと思います。
  113. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 原料の値上げ、労賃の値上げなりなんなりで、いろいろな方面に波及しておりますが、みりんの価格を上げるという問題が出てきましてから、あなたの方では自由価格にするというような話もあるそうであります。これはどういうふうな方法をとられるのか、これも伺っておきたい。
  114. 谷川宏

    ○谷川説明員 みりんにつきましては新式みりんと旧式みりんがあるわけでございますが、ことに旧式みりんの生産者が非常にコスト高もございまして、販売価格の点で苦しんでおるという実情でございます。ただ新式みりん業者が値段を上げませんと、旧式みりんが売れにくくなるわけでございまして、新式みりん業者は合理的な生産方式、合理的な経営をすることによりまして、旧式みりん業者に比べればどちらかと申しますと、コストが低いという関係になっております。旧式みりん業者が値段を若干上げようとすれば、新式みりん業者が値段を上げなければなかなか売れにくいという関係にあります。またみりん自体が調味料として使われるものでございますので、ほかの酒類と同じように基準価格ということで指導するということについては問題があるわけでございまして、一月二十三日に開きました酒類行政懇談会の多数の御意見によれば、みりんにつきましては基準価格をこの際はずすことが適当であろうという御意向でございました。そういう御意向を十分尊重すべきだと思いますが、いろいろ問題がございますので、そういう方向でいろいろ関係方面と折衝し、処理して参りたい、こう考えております。
  115. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ただいまの谷川さんからもお話がありましたが、われわれの方へも中小企業者の旧式みりんの方からの陳情もございますし、それから酒造界の方でもいろいろ問題があって、大企業に対する圧力を感ずるということは、これは現実の事実であります。この点について片方は大きい資本でやるのでコストが安くいくという問題もありますが、何とか——現状のままでは中小企業者が負けて倒れていくというような危険性を感じておるわけなんですが、こういう点の調整をどのようにやられるのか、これは泉さんから一ぺんそういうふうな方法をどういうふうにしたらいいか、また政府はどういうふうな方法をとるのかということも伺っておきたいと思います。
  116. 泉美之松

    ○泉説明員 先ほど間税部長から申し上げましたように、新式みりん業者は自分のところでつくりましたアルコールを使用いたしまして、みりんをつくりますので、どうしても他からアルコールを買って参りまして、みりんをつくる旧式業者に比べましてコストが安い。逆に言えば旧式業者は新式業者よりどうしてもコストが高くつくという難点を持っておるわけでございます。それだけに競争ということになりますと、どうしても新式業者に押される。これはもう避けがたいものでございます。そこで、それではどうやって旧式業者を救っていくかということにつきましては、佐藤委員が先刻御承知と思いますが、昭和三十三年のときに旧式みりん業者はみりんをやめて清酒に転換できるという措置を三十三年と三十四年とたしか二カ年にわたってとったと思うのであります。これがそういう旧式業者を救う一つの道、いま一つの道は、先ほど清酒製造業につきまして申し上げましたように、共同びん詰めなりあるいは共同製造なり、企業合同という方式によりまして一まあ少しのものをそれぞれつくっておりますとどうしてもコストが高くなりますので、新式の大業者に対抗し得るようにできるだけコストを安くやっていくというやり方、この二つのやり方よりほかないと思います。まあ現在のところ清酒に転換することにつきましては、もうすでに一応の措置を終わって、現在残っておる人は、今後も続けてやっていきたいという意向の人ということになっておるわけでございます。ただ先ほど申し上げましたように、基準販売価格をやめるということになりますと、この際また考え直したいという方もあるいは出てくるかと思います。これらの点につきましては、もし基準販売価格をやめるということになりますれば、旧式業者からどういうような要望が出るかというようなことをもあわせ考えながら、基準販売価格自体の制度と、それからそれに対処すべき旧式みりん業者の措置を両方考えてやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  117. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 まあいろいろ説明を伺いましたが、要は、今の中小の酒造業者が非常に困難な道に逢着しておるということは、これは大蔵省の方も認められておるのでありますが、しかしこれは何も酒造業者だけの立場ではなくて、われわれは中小企業者に対して非常に強い関心を持っておりますが、少なくとも先ほど池田政務次官が言われましたように、国の酒税の仲立ちもやっておる業者であるし、同時にまた米の割り当てをする政府についてもいろいろな有無相通じるというような関係もありますし、これは政府の指導、大蔵省の指導ということが非常に大きな影響を持っておると思われるので、そういう点については、最後になって早くああいうことをやればよかったじゃないかということで、後手々々ということでなくて、先手々々を打って業者の指導をやって下さることをお願いいたしまして、私の質疑を終わります。
  118. 臼井莊一

    臼井委員長 次会は、来たる十九日午後一時より理事会、理事会散会後委員会を開会いたします。  なお、十九日は午前十時より農林水産委員会と連合審査会を開会いたしますから御出席下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十八分散会