○
田中国務大臣 で、六カ月以上ばということでありますが、これはこの法律で
——今有名無実だと言われましたが、これが厳に行なわれるようにならなければだめなのであります。しかしこれを強く主張すればお前さんは下請にはしない、こういうことがあります。この
日本の産業構造というものと、人間の
考え方自体から是正しなければならない問題でありますので、
政府としても、中小
企業があまりにも複雑多岐であるがために、これをどういうふうに処置していけばいいのか、ただ山を見て暗然としておるだけではどうにもならないので、これはやはりつくった法律というものが実効を上げるようにしなければならぬ。私たちもそういう
意味では非常に熱意を持っておるわけであります。今度は中小
企業投資育成会社というものに手をつけたわけでありますが、これをもってしても何ほどの効果が上がるかどうか、なかなかむずかしい問題でありますが、とにかく
一つずつ片づけていこうということであります。しかし
自由化を前にして
一つずつ片づけておっては間に合わぬじゃないか。中小
企業というものは、普通の
金融ベースからいいますと、結局経営が不安定である、信用度が少ない、同時に担保余力がない。実際、中小
企業対策とは何かというと、
金融と、
資金量が豊富でなければいかぬ。大
企業よりも
金利が高い、劣る率も何段階か劣るわけです。少なくともある
企業は三カ月手当のものが中小
企業は一カ月だぞ、こういうことで中小
企業が非常に困っておるということは私も事実認めております。なぜそうか、これに対する抜本的対策はないのか、
——その六割は中小
企業である、こういう問題、また中小
企業というものが多様化されておって、しかも
日本の中小
企業は、西ドイツなどとも比較されますが、これは全然違う。私もこれに取り組んだときがありますが、西ドイツなどは、ナットはナット、ボルトはボルトばかりつくっておるのです。だから、単一工業でありますから、これをぱっと集めれば時計になる、非常に精巧なカメラになる。
日本は、中小
企業で二人おるところも三十人おるところも三百人おるところもふいごで原料を吹いて、原料からだんだんやって、最後には彫金工がりっぱな彫刻までやる。ゼロから一〇〇%までやるというところに、
日本の中小
企業の非常にむずかしさが私はあると思うのです。同時にたくましさがあると思うのです。私はそういう
意味で中小
企業というものを将来どういう
方向にだんだん育成強化をしていくか、またそういうことをしなければ、大
企業に対して親
企業との間に
ほんとうに合理的な取引関係をつくっていくわけにはいかぬ。それと地域的な問題もあります。東京や大阪の中小
企業は何とかしてスクラムを組めるけれども、雪の新潟などは、少なくとも雪の中でもって、注文したものがこないじゃないか、それは大へんなことなんだ。こういうことで、
日本全国の特にめんどうを見なければならない中小
企業、そういう僻地の人たちのことを
考えるときに、これは
日本の特殊性というものに対してやはり
ほんとうに深刻な
考え方で、中小
企業を短い間にどういうふうに再建していこうかということまで
考えないと、ただ現状だけ見て、何とか要るだけ金をやっていくんだということでは、おのずから限度があるという問題で、
大蔵省でも中小
企業というのはとにかく百億前年度よりはふえましたからこれでいいんです、こんなことでは産業
政策になりませんよということで、こちらも
相当前向きで
考えておりますし、それから運転
資金その他に対して、今のところ中小三公庫でやっておりますが、
市中金融機関、特に
窓口になっておる代理貸しは
市中、
地方銀行というよりも、
金利コストの高い信用金庫とか、それから
相互銀行が使われておりますから、必然的に
金利が高くなってくるわけです。だからそういうものを何とかして
財政資金を入れるとか、できる限りの措置をして、中小
企業にはやはり絶対必要な金に対しては長期安定的な、しかも適正な
金利のものを与えるというようなことをしなければいけない。特に百万円要るものに八十万円だけ渡して、あとの二十万円を
市中金利というか、高利に手をそけたために元も子もなくなっている。これは事実たくさんの事例があるわけでありますから、このような問題に対して
地方銀行やその他のものに対して、
先ほど申し上げた三%しか持たなかった公社債を七%なり一〇%なり、やがて十何%ということになるのでしょうが、そういう場合に
政府がこれに対応して、これらの
機関から中小
企業に貸し出すものをどうカバーしてやれるかという問題を
一つ今検討しておりまして、具体的にここで申し上げられないことを遺憾といたしますが、しかしこれはやはり
市中金融機関やそういうものを中小
企業に向ける場合、
政府も
相当思い切った
施策をするということにならなければなかなか解決はしない。同時に無制限に広がっていくものに対して、何年、どの程度でもってめどをつけて構造
改善を進めるか。農業の構造
改善、中小
企業の構造
改善はむずかしいです。むずかしいけれども、これをやはり
前提にしないとこれらの問題は解決しない。私はもう
財政金融というような箱の中におさまった
考え方でなく、こういう事実に対して
大蔵省がやはり漸進的に片づけていけば一番話が早いから取り組んでごらんなさい、こういうことまで言っておるような
状態でございます。