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田中国務大臣 イギリスのEEC加盟に対する失敗ということは、原則的に
考えて、EECの発展の
過程をずっと見て参りますと、このようなことが予想せられることではないかという平岡さんの意見もわかります。これは先ほどの御質問でございましたが、EECがどういうふうにして発展をしてきたか、いろいろな人が言っておりますが、私たちが平たい気持で見る場合に、戦後西ドイツ、フランスを中心にして国境撤廃ということがデンマークに通じ、ベネルックス三国に通じ、だんだんとEFTA諸国も含んでいくような趨勢にあることは御
承知の
通りです。しかもこの国々は第二次大戦を契機として膨大な植民地を解放せしめられておりますし、新しい
経済機構の中で共通の防衛体制をとらなければならないというような
考え方でEECが発展的に今日まで来たわけであります。私は、そういう
意味においてイギリスとの間にある
程度のトラブルがあるということは予測できたじゃないかということもあとになっていわれますが、確かにこれは
過程においてこのようなことは予想せられた、同時に中断せられたイギリスのEEC加盟の問題に対しては、私は、あくまでもこれは中断であって、EEC発展の
過程を見て参りますと、やがてEECに英国が加盟するという事態はくると思います。これがEECに加盟できないという場合にどうなるかというと、OECDやそれからガットの場を通じまして、昨年の九月のIMF、その他世銀の総会等も非常にこれらの問題は強く各国の代表によって意見が出されたわけでありますが、やはり主要十カ国というものは何らかの形で団結をし、またお互いに
一つの共同体のようなものをつくる必要がある、こういう非常に強い意見が出されました。これがIMFにおける主要十カ国の
大蔵大臣会議になり、いろいろな
議題になったわけでありますが、そういう機運はお互いにあるのでありまして、私はそういう
方向というものは、一時中断したことをもって絶望的に
考えることはないだろうと
考えます。
イギリスは確かにこの結果、英連邦諸国との特恵の継続強化というようなことをしなければなりませんし、それからEFTA諸国の結果も強化していかなければならぬと思うのです。それから米国が唱えておる一括関税引き下げという、いわゆるガットの場における交渉というものに積極的になって、EECに加盟したと同じような目的が達成せられるか、もしくはEECに加盟というイギリスの当初の目的が達成せられるような
方向に対して動いていかなければならないだろうというふうに
考えるわけであります。先ほど外務
大臣が言われた
通り、国内的にはなかなか大
へんだと思う。ある
意味においては景気刺激対策等もとらなければならぬと思いますが、現在のイギリスの
状態で景気刺激対策はとり得るかどうかという問題は、これは常識的にもなっておりますし、それらの問題に対して相等困難な道をたどらなければならない場面が出てくるであろうと予想されます。米国は、先ほど外務
大臣が言われた
通り、イギリスがEECに加盟することを
前提として通商
拡大法も通したわけでありますし、これが中断したのは晴天のへきれきというふうには思わなかったでしょうが、失望しておるということは当然だと思うのです。私たちも九月、十二月と、二回アメリカに参りましたときに、まずイギリスが加盟し、それを中軸としてアメリカが一括関税引き下げをし、
日本もそのあとにというような口ぶりでありましたが、池田訪欧を契機として面接EECとの接近をはかった成果に対しては、アメリカ側も十分に十二月の会談で認めておった事実に徴しても明らかだと思います。イギリスと同じように一括関税引き下げというような態勢で進むと思いますし、またEEC自体も、ジロンとの交渉によって明らかにせられておりますように、五カ年間で五〇%引き下げるというようなところまでいくかは別として、二〇%
程度の共通関税引き下げということを打ち出した経緯もありますから、これらの
情勢にかんがみて、アメリカもイギリスもEFTA諸国との連絡を密にしたり、またガットの場を通じての関税引き下げ交渉等をも進めていくだろうというふうに
考えます。
日本への
影響は、私はさしてないのではないかと思うのですが、具体的な問題から言いますと、日英通商航海条約を締結しまして、これを通じてイギリスのEEC加盟のルートを通じて
日本も非常に接近をしていくというような
考え方であったのに対しては、ある
意味で中断的な
状態になったと言わざるを得ないわけであります。しかしEECの諸国は
日本に対して相当好意的でありますし、
日本の国際的な評価もだんだん上がって参っておりますから、
日本は今まで
通りの気持でEECに対する接近と対処していくべきだと思います。このイギリスのEEC加盟が中断したからといって、EECと
日本との貿易が
拡大の
方向をたどっておりますが、これが激減をするとか、そういう現実的な問題は
考えられない。ただEFTA諸国との
実情等を
考えますと、OECDの
日本加盟という問題は、欧州がより結合しようというような機運の中にあるときに、必ずしも促進せられるかどうかという問題に対しては疑問があると思いますが、しかし世界の大勢としては、IMF総会の
事情等を十分しんしゃくして
考えますと、
日本としては比較的に前向きの姿勢で今まで
通りのラインでEEC接近がはかれるのではないか、こういうふうに
考えます。