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1963-06-24 第43回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月二十四日(月曜日)    午前十一時三十一分開議  出席委員    委員長 上林山榮吉君    理事 有田 喜一君 理事 岡本  茂君    理事 神田  博君 理事 始関 伊平君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 中村 重光君       安倍晋太郎君    安藤  覺君       有馬 英治君    久保田円次君       倉成  正君    藏内 修治君       白浜 仁吉君    周東 英雄君       中山 榮一君    井手 以誠君       滝井 義高君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君         労 働 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君         通商産業事務官         (石炭局長)  中野 正一君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      塚本 敏夫君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部長)    影山 衛司君         労働事務官         (職業安定局         長)      三治 重信君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   田代 一正君         大蔵事務官         (主税局税制第         三課長)    宇佐美 勝君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      鳩山威一郎君         大蔵事務官         (国税庁徴収部         長)      小熊  清君         通商産業事務官         (石炭局炭政課         長)      井上  亮君         労働事務官         (職業安定局調         整課長)    北川 俊夫君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      松島 五郎君     ————————————— 六月二十四日  委員木村守江君、澁谷直藏君、中村幸八君及び  濱田正信辞任につき、その補欠として安倍晋  太郎君、久保田円次君、中山榮一君及び安藤覺  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員安倍晋太郎君、安藤覺君、久保田円次君及  び中山榮一辞任につき、その補欠として木村  守江君、濱田正信君、澁谷直藏君及び中村幸八  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第九二号)  電力用炭代金精算株式会社法案内閣提出第九  三号)  石炭鉱業経理規制臨時措置法案内閣提出第一  二四号)  重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第一五八号)  産炭地域における中小企業者についての中小企  業信用保険に関する特別措置等に関する法律案  (内閣提出第一七八号)  産炭地域中小企業者等に対する特別措置法案  (多賀谷真稔君外七名提出衆法第二〇号)      ————◇—————
  2. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案電力用炭代金精算株式会社法案石炭鉱業経理規制臨時措置法案重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律案内閣提出第一七八号)及び多賀谷真稔君外七名提出産炭地域中小企業者等に対する特別措置法案を一括して質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  3. 岡田利春

    岡田(利)委員 合理化臨時措置法改正案の中で、特にこれは有沢調査団答申等に基づいて、坑内組夫使用規制をする。したがって、その規制省令においてその基準を定めるわけでありますが、一応資料として出されたその基準内容を実は検討してまいったわけです。もちろん法律用語として、営業工事あるいは起業工事というものが明確に一体区別できるかどうかという若干の問題もあるでしょうし、あるいはまた営業工事の場合でも便法的に区分をするというような場合も、ごく小工事についてはあり得ることもあるわけです。したがって、その区分明確化はできないと思いますけれども、やはりこの答申趣旨は、原則としてはいわゆる起業工事に限られるのではないか。営業工事というのは普遍的に、採炭をする、あるいは掘進をする、あるいは仕繰りをするという内容になるわけです。したがって、その基準の精神というものは原則としては起業工事に限られる、それがやはり原則であらねばならぬ、私はこう実は考えるわけです。  それと、第二点の問題は期間制限の問題でありますけれども、三カ月と六カ月の期間制限があるわけです。ただこの場合、脱法行為をとる場合、一応三カ月の期間が経過したけれども、さらに追加工事として継続的に三カ月やる、さらに三カ月が終われば、つけ加えて三カ月修正をする、こういうものがそのつど許可になるとすれば、きめても結局は何にもならぬ結果になるのではないか。たとえば炭鉱夫において、臨時夫の場合には二カ月を限って臨時夫として使用する、終わると同時に更新手続をする、そして再度二カ月使用するわけです。そういう形態で一年ないし一年半雇用内容というものが継続をしておるという実態があるわけですから、この点やはり明確にしておくことが今後の行政上大事ではないか、こう私は考えるわけです。したがって、この点の見解をまず明確にしておいていただきたいと思うわけです。
  4. 中野正一

    中野政府委員 今度の合理化法の一部改正におきまして、請負組夫規制ということを法案に出しておるわけであります。これは石炭鉱山坑内作業でありまして通産省令で定める種類作業に、その企業の使用人以外の、普通いわゆる請負夫といっておりますが、これを使う場合には、通産大臣承認を受けなければならない、こういう規定を入れたわけであります。しかも、その承認申請があった場合には、作業種類別通商産業省令で定める期間を越えず、しかも、そういう請負夫を従事させることによりまして石炭鉱業合理化基本計画の実施に支障を生ずるおそれがないと認めるときには、通産大臣承認をする、こういうことがはっきり書いてあるわけです。したがいまして、いま岡田先生がおっしゃいましたように、坑内作業のうちで、一応省令で、これは資料で出しておりますが、掘進作業採炭作業運搬作業、仕繰り作業というものは承認を受けないと使えない、こういうことになるわけでありまして、その期間原則として六カ月、運搬作業、仕繰り作業については原則として三カ月以内のものであれば差しつかえない、こういうことでございますから、したがってそれを裏からいえば、起業工事とかあるいは撤収作業というものが原則の形になっていくわけでありまして、そういうことで今後いたしたい。それからいま言われた、そういうふうにして短期的に起業工事なり撤収作業に使っておっても、それをさらに更新更新ということで承認申請をしてくるではないかということ、これは実際の運用の問題になりますが、われわれの運用方針としては、これの再延長というようなことはみだりに許可するということはいたさないつもりであります。
  5. 岡田利春

    岡田(利)委員 問題は、現在すでに組夫が使用されておることです。特に中小炭鉱の場合には、直轄従業員よりも請負組夫の数が多い。すなわち坑内作業つまり採炭作業で、直轄あるいは組夫がどういうふうに働いておるか、これは過般の炭鉱の災害の中でも、調査の結果明らかになっておるところです。そうしますと、本法が施行されたときの経過措置の問題になるわけです。この経過措置については明確になっていないわけなんですが、一応当初計画は、これを二カ年間で切りかえるという話もありましたし、あるいは昨今の事情では半年くらいでできるのではないかというように言われておりますし、非常に雇用事情が変わってきておりますから、一がいに言えない面もあるかと思いますけれども、いずれにしても、一体経過措置をどうするのかというのが非常に大事な問題になるわけです。したがって本法改正された場合に、一体経過措置はどうするのか。この点は別に資料の上にも明確でないと思うわけです。この点の考え方を明らかにしておいていただきたいと思うわけです。
  6. 中野正一

    中野政府委員 この雇用組夫規制規定は、まさに法律が通りましたときの経過措置でございますが、それから今後の組夫在籍夫に転換させる計画の問題、両方御質問になっておると思いますが、経過措置につきましては、法律附則によりまして、いま言った坑内夫の四つの種類作業員、これを従事させようとするときには、法律の施行によって六カ月間は同条の適用がない、六カ月間の余裕を置いてこれを切りかえさせるということになるわけでありまして、本年度につきましては、全体では約三千名程度の切りかえということをわれわれは計画として考えておるわけでございます。
  7. 岡田利春

    岡田(利)委員 結局本年度三千名という、三千名の数字がどこから出てきたかということになるわけです。一応六カ月の猶予期間というものがあるわけです。そうすると、全面的にこれを切りかえさせなければならぬということになるのではないか。ところが今年度は一応二千名。これは一応六千名程度は見込まれるから、半分ということになるわけです。あとの半分は結局来年度に持ち越すということは、一年半になるのか、一年になるのか、その点の経過措置がどうも合わぬではないか、こういう気がするわけなんですが、その点はどう考えておりますか。
  8. 中野正一

    中野政府委員 確かにいま先生が御指摘のような点もあるかと思いますが、これは大手中小に分かれるわけでありますけれども、大手につきましては、片方で相当合理化等のいわゆる離職者を出しておるわけでございますから、そのときの行政指導もあわせて行ないまして、できるだけいま申し上げましたような数字に持っていきたい、それからまた六カ月切れますと、これはあらためて申請し直さなければいかぬわけでありますから、申請もその間に出てくるということになりますので、そのときに適切な転換の指導をして、できるだけその数字確保する、こういうつもりでおります。
  9. 岡田利春

    岡田(利)委員 この点、特に私は、頭の中に六千名即今年度三千名という考え方があれば、本法運用とはずいぶんかけ離れてきて、むしろ違法行為というような形も出てくるのではないか、こういう懸念があるわけです。ですから、従来の考え方を払拭して一附則の六カ月というものがやはり一応厳格に断行されなければならぬ。新しい認可をする場合には、そういう考え方の上に立って認可するということでなければ、当初の六千名、三千名と機械的に言うと、違法の措置があらわれてくるのではないか、私はこう思いますので、この点は注意を喚起しておきたいと思います。  そこで、あと一、二点でありますけれども、次に電力用炭の問題であります。  先般、稲葉参考人を呼んだ場合に——昭和四十五年度において、わが国一般炭の八〇%は電力用炭として消費されるわけです。そこで、いまこの電力用炭代金精算株式会社が新しくできて、漸次これが運用されてまいりますと、特に四十二年度から四十五年に参りますと、一般炭のほとんどが電力会社にいくわけです。したがって、一般炭流通関係はきわめて合理化されてくると思うわけです。しかもその安定した条件から考えると、電力用炭はもう、一つ会社で納めてもよろしいのではないかという議論が当然出てくるのではないか、こういう感じがするわけです。したがって、一般炭のうち八〇%が電力でたかれるということは、この流通関係が合理化されれば、流通関係の八〇%は合理化されるという意見につながっていくわけです。したがってこの面は、稲葉参考人も、将来共販組織といいますか、電力用炭販売株式会社といいますか、そういう点については、この会社運用経過をたどって当然検討されなければならぬ事項である、こう実は言われておるわけです。したがって、特にこの面について大臣見解を承っておきたいと思うわけです。  それと、第二の問題は、現在、炭鉱企業から直接電力会社との契約が非常に多くなってまいりました。ところが依然としてまだ、販売会社魅力会社に納炭しておるのが、昨年の実績で三百五十万トン程度実はあるわけです。ウエートとしては非常に少ないのでありますから、この解消は当然行なわれなければならない、こう実は考えざるを得ないわけです。したがって、中小でも大手でも、わが国石炭鉱業で残る山はきまってまいるのでありますから、中小大手格差とか、あるいは電力会社間の炭価格差、こういうものがやはり基準炭価によって解消されていかなければならぬ問題だ、こう思うわけですが、この点の見解を承っておきたいと思います。
  10. 中野正一

    中野政府委員 いま先生が御指摘のように、将来の一般炭需要の大宗というものは、大部分電力炭になっていくわけであります。調査団答申によりましても、昭和四十五年度は約三千万トンという数字を出しておるわけであります。と同時に、想定される一般炭の全体の需要は約四千万トンということでございますから、相当ウエートになってくるということでございまして、その意味におきまして、電力用炭販売というか、販売体制あるいは供給確保体制というようなものは、当然石炭業界自身としても責任をもってこの供給確保するという体制をつくっていかなければならぬということは、御指摘のとおりだと思うのです。また、過去におきまして、そういう点でうまくいかなかったというようなことのために、非常に問題が残っておるというようなこともございますので、その意味合いにおきまして、一つには、基準炭価の決定にあたりましては、大手中小間の炭価格差を解消するように十分な配慮をしていくということで、さしあたりいま格差があるわけでありますから、それを一挙になくするというようなことになりますと、これはまた中小炭鉱存立そのものにも響いてくるということもございますので、そういう点を総合的に判断して措置していきたいというふうに考えております。  なお、それに伴って、現在の電力用炭代金精算会社というものは、代金決済機関ということで、これはもちろん取引の価格等についてはチェックはできるわけでありますが、これをさらに一歩進んで、一歩でなくてもう数歩進んで、共販機関に踏み切ったらどうかというような御意見もございますが、現在の石炭業界の態勢からいうと、一挙にそこに持っていくのは私としてはまだ無理があるのではないか、またそういうことをやっても、現実の問題としてうまくいかないということを考えております。ただ、将来の問題としては十分検討に値する問題であるというふうに考えております。
  11. 岡田利春

    岡田(利)委員 自治省から来ておると思うのですが、来ていますか。
  12. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 自治省はまだ来ていません。
  13. 岡田利春

    岡田(利)委員 では、それはあとにしまして、昨年の臨時国会の本会議で私が通産大臣質問した中で、鉱区整理統合鉱区の調整問題で質問をいたしておるわけです。この質問にあたって私は、現在すでに維持もしくはビルドアップの山として残す場合に、その坑口を基点として合理的に最終的に採掘可能な区域、この中に鉱区調整の要因があるとすれば、これは前向きの姿勢で調整すべきだ、実はこう質問いたしたわけです。これに対して大臣は、まことに質問者の言うとおりであるという同感の意思を実は表明されておるわけですが、今回のこの法の改正に従って、姿勢が一番問題だと思うのです。積極的にやるのか、業界で声が上がってきたものをやるのか、むしろ石炭局で、ある程度合理的な採掘ができるように、初めから一応要鉱区調整地域調査をしてみるという姿勢が必要ではないかと実は私は思っておるわけです。そういう点について、積極的、前向きの姿勢でやる考えであるかどうか、この際承っておきたいと思います。
  14. 福田一

    福田国務大臣 お説のとおり、この問題はやはり今後相当重要な問題として考えておりまして、これはただいまお話がありましたとおり、前向きの姿勢解決をはかっていきたい、かように考えております。
  15. 岡田利春

    岡田(利)委員 重油ボイラー規制法の問題でございますが、問題は、先般大臣にも私はこの点について質問をいたしたわけですが、産炭地のいわゆる重油ボイラー設置の場合、これは従来の伝熱面積五十平米が百平米まで基準が上がった。しかし産炭地の場合には、一応石炭のほうが安いのだから石炭がたかれるのではないか、こういう感じがあると思うわけです。しかし、これもそう一がいに言えないと私は思うわけです。内陸地帯はなるほどその点がはっきり出てくるわけですが、特に海に面している産炭地域の場合には、そう一がいに言えない面が実はあるわけです。したがって、一応基準は上がったけれども、産炭地の場合には、もし政府資金を貸すとか、いろいろな融資等の関連のある場合には、やはりこれは産炭地の場合にはできるだけ石炭をたくように行政指導をすることがしかるべきではないか。これは基準を上げたのだからそれでいいというものではないと実は思うわけです。そういう点について、特に大臣として、この基準の変更を含めて延長するという場合に、この産炭地域の場合はどう考えておるか、どういう指導を行なっていく考えかを承っておきたい。
  16. 福田一

    福田国務大臣 お説のとおり、産炭地の場合においては、これは炭価も安いという事情もありますし、また産炭地振興というようなことをわれわれが考えておるときに、やはり一般からも協力をしていただきたいというのがわれわれの切なる願いであります。そういう点から考えてみまして、そういうような、ボイラーをつくられる場合において、金融面において何らかの、好意的といいますか援助的な措置を講ずるということは、これはわれわれとしても十分考えておるところでありまして、今後行政面においてそのような指導を積極的に推進してまいりたいと考えておる次第であります。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 これからのわが国電源開発の問題でありますけれども、火力の場合には油が主になり、石炭が従になっていくわけです。そこでもちろん、答申に基づく四十二年度二千五百万トン、四十五年度三千万トンの引き取りについては、それに見合った石炭火力発電所電源開発が行なわれてまいると実は思うわけであります。しかし大臣も御承知のとおり、与野党間並びに政府の間で確認をしましたことは、長期的に、五千五百万トンの需要確保は困難な面はあるが、五千五百万トンから六千万トンまでの確保方向に努力していくということが実は確認をされておるわけです。そういたしますと、その場合、これはやはり相当部分一般炭の部面が占めると思うわけです。その六千万トンに努力する場合に、一般炭ウエートを占めるとすれば、やはりこれは固体エネルギーを流体化するという面で、どうしても電力に依存せざるを得ないのではないか、こう実は感ずるわけです。答申では、国鉄のいわゆる自家発電という問題も示唆されておるわけです。私はやはり現時点では、現在のこういう国策石炭火力をつくるという場合に、金利や、あるいはまた減価償却というものがエネルギーコストの中に、発電コストの中に相当ウエートを占めていくということになりますと、電力料金の値上げという事態も招くわけです。現在国が水力開発については、国策電発を組織して、水力開発計画的に行なっておるわけです。したがって私は、今年の十月ごろおそらく電気事業審議会結論も出ると思いますが、やはり石炭火力の場合にも積極的に需要確保するという立場に立つ場合には、いまの発電をそういう国の政策的な石炭火力がやり得るようにすべきではないか。すでに低品位炭の場合には、廃物といいますか、未利用資源の活用といいますか、そういった面で、すでに若松に十五万キロワットの低品位炭火力発電所ができておるわけであります。しかしそれは一応低品位炭に限ってであって、まだ、いわゆる五千カロリー等の高品位炭火力発電所に関しては実績がないわけです。電発内容を検討してみますと、できないということではないと思うのですね。したがって、今年秋にはおそらく産業構造調査会エネルギー部会答申も出るでしょうし、あわせて電気事業審議会結論も出され、それが答申も出されると思うわけです。したがって今年の秋は、私に言わせると、わが国総合エネルギー政策基礎的条件がそろう時期である、こう言うことができると思うのです。したがって、そういう時期に、特にエネルギーに関する政府政策というものを考えあわせて、いま申し上げました点を十分含めて検討さるべきではないか、またそういう絶好の時期ではないか、こう実は考えておるわけです。したがって私はこのことを強く希望するわけですが、この際大臣の所見を承っておきたいと思います。
  18. 福田一

    福田国務大臣 たいへん貴重な御意見であると考えます。十分いま仰せになったような趣旨を考慮に入れながら、エネルギー問題の解決に積極的に努力をいたしたいと考えます。
  19. 岡田利春

    岡田(利)委員 自治省が参りませんから、一応一言だけ申し上げておきますけれども、国の政策として中央ではセントラル・ヒーティングという方式で、石炭一般需要確保する一つの手助けにしよう、こういう方針が、いまその方向が具体化されてまいるわけです。ただこの場合において、地方自治体の場合に問題があるわけです。たとえば北海道の札幌はすでに六十万以上の人口を擁し、あるいは九州の福岡についてもそうですが、概して最近の傾向として合同庁舎が建設をされ、大体オフィス街というものは漸次集約的な傾向をそれぞれの地方都市においてもとられているわけです。したがって私は、特に産炭地におけるこれらの施設というものが分散すると、たとえばボイラーの場合に油をたくという傾向も実はないわけではないわけです。私の記憶しておるところでも二、三あるわけです。したがって私はこの国の政策考え方は、地方の場合にもできるだけ及ぼすべきではないか、こう考えるわけです。それから石油ボイラーの場合には、むしろ施設費が安いわけです。石炭の場合より施設費が高い。燃料としては、産炭地の場合、石炭が安くても、当初の施設費が油のほうが安いという問題があるわけです。これは地方自治団体に対する、特に産炭地地方自治体に対する起債の面で考慮しなければ、幾ら石炭でやれと言っても、起債の額が少ないから、油のほうが施設費が安いから油でやる。燃料としては高くても、施設費が安い、こういう問題が実は起きてまいります。したがいまして、まだ自治省のほうから来ておりませんけれども、特にこれは石炭政策として大事な問題ですから、この問題はぜひひとつ通産大臣のほうからも自治省に話をして、石炭需要確保における起債の問題については、特にそういう問題を加味して承認をする、積極的に奨励をする、こういう立場を特に強く要望していただきたいと実は思うわけです。
  20. 福田一

    福田国務大臣 産炭地等における地方公共団体石炭をできるだけ使用するように、自治省をして、連絡をとらせるということは、私非常にけっこうなお考えだと思います。私、通産省のほうからも自治省に対して、十分連絡をいたしてみたいと思います。
  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 もう一問で終わりますが、これは産炭地中小企業売り掛け代金信用保証の問題で法律案が出されているわけですが、すでにこれは北海道あるいは福岡等では、道庁あるいは県庁が積極的に取り上げている問題なわけです。特に私の調べた内容では、系統的に措置をとっておるのは、北海道道庁の場合には特に系統的にこの措置をとっておるわけです。したがって、すでに行なわれておる政策と、それから今度この法律政府が行なう政策の中のずれというものが若干あるのではないか。もちろん本法で定めている以外のこともすでにやっているわけですから、そういう面の調整については一体どうなのか。それからすでに実施している面と本法とは、どういう政策上の差があるかないか。私は同じではないと思うわけです。そういう点についてお知らせ願えれば幸いだと思うわけです。
  22. 影山衛司

    ○影山政府委員 お答え申し上げます。  すでに、産炭地その他一般の関係といたしまして、信用保証の充実を常に政府ははかってきておるわけでございますが、今回提案いたしまして御審議を願いました、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置につきましては、従来一般的な措置と比べまして、災害並みに産炭地域中小企業の信用補完の措置を充実していこうという趣旨のものであります。それから従来やっておりますものとの調整でございますが、これにつきましては第七条のほうに、「国及び地方公共団体は、産炭地域関係保証が円滑に行なわれるよう努めるものとする。」というふうに書いてございますのを受けまして、政府といたしましても、信用保証協会の保証能力の充実強化のために、すでに保険公庫から融資差金という制度がございますので、その融資基金を重点的に流していくということを考えて調整をしていくということを考えております。
  23. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 中村重光君。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 石炭対策大綱に基づいて産炭地関係についてのいろいろの措置が行なわれておると思うのでありますが、産炭地関係の中小企業の融資関係に対しての法案内容をお尋ねする前に、従来とってこられた措置に対しての経過、融資の助成に対しましていろいろな措置が行なわれておるようでありますが、その状況について簡単に御説明願いたいと思います。
  25. 影山衛司

    ○影山政府委員 産炭地域中小企業者に対する特別の融資措置につきましては、三十七年の十一月二十九日における石炭対策大綱に基づきまして、産炭地域における中小企業者が移転、移住、転業等を余儀なくされておる場合、あるいは売り掛け金の回収が困難なために事業資金に不足をしておるというような場合を、前向きのかっこうで解決するというために、中小企業金融公庫及び国民金融公庫の災害並み、あるいはそれ以上の特別の融資措置を講じてまいっておるわけでございますが、その実績といたしましては、中小企業金融公庫におきまして、昭和三十八年の五月末現在で売り掛け金に対する特別の融資措置におきましては二十六件、四千八百八十万円、国民金融公庫におきましては、売り掛け金関係が四十三件、一千五百九十万円、それから、移住転業関係につきましては、国民金融公庫が主としてやっておりますが、三十三件で一千六百万円程度を五月までにやっております。これはまだ末端に対する徹底、PRが足りない点がございましたので、三月ごろまであまり軌道に乗っておりませんでしたけれども、四月以降、中小企業の各産炭地域の通産局長を中心にいたしました中小企業対策連絡協議会におきまして、RPあるいは手続の推進簡素化ということにつとめました結果、四月、五月からそういう融資措置がだいぶ進んできたという状況でございます。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 いま御説明のありました融資額は、大体申し込み額の何%くらいになっておりますか。
  27. 影山衛司

    ○影山政府委員 申し込み額につきましては手元に資料がございませんけれども、たびたび中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等に対しまして、できるだけ申し出のあるものは優先的に考慮するようにということを指導しておりますので、パーセンテージは後刻資料をもって御報告申し上げますが、できるだけ優先措置を講ずるようにということで指導しております。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 私どもが漏れ承るところによりますと、ただいま御説明がありましたような手続の簡素化であるとか、あるいは貸し付け申し込みから貸し付け実行まで、日数の問題その他いろいろな面において、必ずしもただいま御説明のあったような状況ではない、非常にシビアな取り扱いを受けておるという不満が非常に多いわけです。しかし、それらの問題を具体的にお尋ねをいたしますと、時間の関係等もございまするので、特段の配意をひとつ期待をするという程度にきょうはとどめたいと思うのでありますが、大体いま私が申し上げましたようなことに対してどのような特別の措置を具体的にとっておるのかということと、それからこの資金手当ては、別ワクとしてどの程度配分をされたのか、その点について伺いたい。
  29. 影山衛司

    ○影山政府委員 政府関係金融機関が行ないます特別融資措置の推進につきましては、従来から産炭地域の通産局単位に産炭地域中小企業対策連絡協議会を設けまして、協議会の会長に通産局長、それから関係県、商工会議所、商工会、それから関係の金融機関という人が委員になりまして、それで融資手続の簡素化あるいは推進等について協議をしております。それがずっと政府のほうにも上がってきまして、それをまた政府で協議いたしまして、大蔵省とも相談して推進をするというふうな仕組みになっておりまして、それを今後とも活用していきたいというふうに考えでおります。  それから資金手当ての点でございますが、これは産炭地域中小企業者に対する特別措置でございますので、必要があれば中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫の本店から所要資金を随時流していくというかっこうになっておりまして、実質上特別ワクみたいなかっこうをやっておるわけであります。そのために何億というふうな特別ワクは組んでおりませんけれども、実質上そういうふうな必要資金は流していくというかっこうになっております。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 産炭地関係の中小企業者に対する金融の緩和をはかるということにおいて、きめのこまかい対策をとっていくことは当然であります。しかしながら、やはり資金のワクは、その一つの限度をきめていくというような意味ではなしに、国民金融公庫、中小企業金融公庫、その他の政府関係の金融機関に対しましては、一般の金融との関係も生じてまいります。したがいまして、その資金手当てをするために一般中小企業に対する資金手当てというものに影響が生じてくるということは、十分配慮しなければならぬと思いますが、その点に対する配慮が行なわれておるのかどうか。
  31. 影山衛司

    ○影山政府委員 一般中小企業に対しての融資に対して影響がないように、それは十分配慮いたしております。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 私もある程度承知いたしておることについて、いろいろまだ突っ込んでお尋ねをしなければならぬし、指摘もしなければならぬのですが、きょうは与党との話し合いの関係もありまして時間の制約がありますので、いずれまた適当な機会にひとつ十分ただしたいと思っておるのであります。  そこでお尋ねしておきますが、売り掛け代金の総額並びに回収可能のもの、回収不可能と認定されるもの、その点について、できれば、たくさんの県でもありませんので、各県別にお答えを願います。
  33. 影山衛司

    ○影山政府委員 手元に各県別は出てまいっておりませんが、各通産局別の資料がございますので、それでごかんべん願います。そこで、売り掛け金につきましては、昭和三十五年四月一日以降に終閉山した石炭の鉱業所に対しまして、札幌通産局が、売り掛け金残高が四千八十二万円、そのうち、回収困難なもが二千六十五万五千円、比率が五〇・六%、それから終閉山はいたしませんけれども、出炭減だとか経営不振の石炭鉱業所等に対する売り掛け金の残高が、同じく札幌通産局管内で四億八千六百七十一万九千円、そのうち回収困難なものが三千二百九十九万八千円、比率といたしまして六・八%であります。それから広島通産局管内が、終閉山した石炭鉱業所に対しますものが一億八百十九万八千円の残高ののうち、回収困難なものが七千七百四十七万六千円、比率といたしまして七一・六%、それから終閉山しないが、出炭減、経営不振の石炭鉱業所に対するもの、これが七十四万五千円で、回収困難なものはゼロでございます。  それから福岡通産局管内が、終閉山炭鉱に対するもの、これが十三億八千五百十七万円の残高に対しまして、回収困難なものが十一億八千三百四十八万六千円、比率といたしまして八五・四%でございます。そたから経営不振の石炭鉱業所に対するものが十三億三百四十九万九千円、そのうち回収困難なものが八億八千八百九十九万七千円で、比率といたしまして五七・三%でございます。  それから東京通産局管内が、終閉山炭鉱に対するものが五百七万四千円、そのうち回収困難なもの四百八十四万五千円、比率九五・四%でございます。それから経営不振炭鉱に対するものが二百三十五万八千円、回収困難なもの八十八万円、比率が三七・三%。  それから仙台通産局管内が、四千三百十三万五千円の終閉山に対する残高に対しまして、回収困難なものが三千百六十四万六千円でございまして、七三・三%になっております。それから経営不振のものに対しましては、一億三千二百二十八万三千円の残高に対しまして、回収困難なもの千九百十六万二千円で、比率が一四・四%でございます。  以上合計いたしまして、昭和三十五年四月一日以降に終閉山した石炭鉱業所に対する売り掛け金の残高合計が十五億八千二百四十万七千円、そのうち回収困難なものが十三億一千八百十万八千円、比率が八三・二%でございます。それから終閉山しないが出炭減、経営不振の石炭鉱業所に対しまして有しておる売り掛け金残高が、合計で十九億二千五百六十万四千円、そのうち回収困難なもの九億四千二百三万七千円、比率でいきまして四八・九%、以上のようなことになっております。これは通産局を通じまして、福岡だけは三十八年二月末現在でございますが、他は三月末現在において調査した結果でございます。その中には、石炭鉱業所の中には、購買会それから消費生活協同組合も含んでおります。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 いまの御説明は、私どもの調査し、あるいは業者の陳情等によります数字とだいぶ違うのでありますが、この回収可能あるいは回収が困難、不可能であるという認定は、どういう基準でおやりになりますか。
  35. 影山衛司

    ○影山政府委員 これは調査に際しまして、市町村長あるいは商工会議所を通じまして、各中小企業者に対してアンケートを出しまして、それを集計したものでございますので、各人の判断によって、各中小企業者のほうで判断して回収困難あるいは困難でないというものを出しておるのでございます。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 直税局にお尋ねしますが、ただいま御説明がありましたような回収困難である、また、回収できるといたしましても、回収がなかなか円滑にいかないという面があろうと思いますが、徴税上の観点からこれらの点についてどのような取り組みをしておられるのか、その点をひとつ。
  37. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 産炭地の売り掛け金の処理につきまして、焦げつき債権の処理に関しましては、これは先般、昨年の閣議決定がありましてから、庁といたしましては、各第一線のほうに弾力的に運用するよう指示をしてございます。それで、ただいま福岡の国税局のほうでは、さらに非常に詳細な、具体的な運用方針をつくりまして、それを各署長のほうに昨年末、十二月二十七日付で指示をいたしております。一般に売り掛け債権が回収不能ということになりますと、これは一般原則といたしましては、いろいろ相当シビアーな線があるのでありますが、一般的に炭鉱の不況という問題に際しまして、その地域的に非常に一般的な不況状態があるというので、それをある程度緩和いたしております。不良債権と申しましてもいろいろあるわけでございますが、現在では、全損として全額落とせる場合、あるいは償却引き当て金として半額を落とせる場合、大体大まかにいって二種類あるわけでありますが、炭鉱の場合、炭鉱が閉山になるとかいうような場合には、大体において全損を認めるという方向で処理をいたしておると思うのであります。また、閉山に至りませんでも、近々これは閉山になりそうだというような計画がある場合におきましては、事業の再開の見通し等がない場合には、一定の条件のもとにそういうものも認めるように指導してございます。また、炭鉱の従業員等に対します債権につきましても、たとえば従業員が失業中であるとかいうような場合には、こういったものも、売り掛け債権としてこの償却を認めるというふうに指導してございます。大体そのように、非常に弾力的に処理をするように指導をしております。なお、特定の問題につきまして非常に運用が悪いというところがありますれば、また御指摘をいただけば、そういう点は今後改善をしていきたいと思います。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 産炭地関係の税の問題に対しては、いま御答弁がございましたように、終閉山あるいは終閉山が見込まれるものに対する焦げつき債権、いわゆる貸し倒れの認定、これだけが弾力的運用という形であって、その他回収が非常におくれている。そうなってまいりますと、結局納税に影響してくるわけです。そうなってくると、税金を納める方法なんかでも、延納の措置考えられましょうし、あるいは分割納税の措置考えられる。そういう場合には延利の問題をどうするのか、いろいろなことがきめこまかく考えられなければならぬと思いますが、それらの点に対していわゆる弾力的運用ということでどのような取り扱いをしておるのですか。
  39. 鳩山威一郎

    ○鳩山説明員 徴収の段階につきましては、これは私どもの役所では徴収部長の職責になるわけでございますが、徴収の面につきましても、実際の資金繰りが納税に困難であるというような場合には、一年とか二年とか限りまして納税の猶予をするように指導をいたしておるようでございます。なお、こまかい点に対しては、また後刻責任者からでも報告させます。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 いろいろ私ども調査いたしておりますので、突っ込んでお尋ねしたいこともありますが、いずれまた適当な機会にお尋ねすることにして、きょうは法案に対して御質問申し上げたいと思います。この、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律案、これは法案の名称のとおり、融資法案ということになっておるようでありますが、単なる融資というのじゃなくて、債権を確保するという、中小企業者の経営の健全化をもっと積極的にはかっていくという取り組みが必要ではないか、こう思うのでありますが、これを単に融資法案という程度にとどめられた理由というか考え方、それに対する大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  41. 福田一

    福田国務大臣 石炭産業によって中小企業が受けておる被害をどういうふうにして解消するというか、積極的に救済するというか、その方法はいろいろあることだと私は思います。しかし現段階におきましては、石炭産業自体に対しても、また従業員のほうに対しても、相当積極的な施策をとったわけであります。それによってこうむる中小企業者の損害についても何らか考慮しなければいけないということから、いろいろ研究をいたしまして、まずこの程度の融資措置によって一応めんどうを見ていく、先ほど税制の面におきましてはかなり実質的に実損を認めてやるということもいたしておりますので、そうすればあとは、それによって現実に金が足りないで困るという問題を考慮する、もう一つ踏み込んで言えば、それによって売り上げがだんだん減ってくるじゃないか、人がいなくなるし、山がなくなる、そのほうもどうなるのだ、そこまでいくわけでありますが、そこまでということになりますと、これはなかなか限度がむずかしくなってまいると思うのでございまして、この程度で一応がまんをしていただきたいというのが、今日この法案を出しておるところでございます。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 どうも大臣の、この程度でがまんをしろというのは、ちょっと冷酷じゃありませんが。やはり炭鉱に資材を納入するとか、あるいはいろいろな物品を販売するとかいうことは、関連産業なんですね。炭鉱がある、そこで関連産業として事業を営んでいく、そういうことで取り組んでこられた中小企業者、それが、炭鉱政府政策によって転換をしてきた、これはもうやむを得ないのだ、これは個人の事業だからいいじゃないかというふうにもとられるでしょうけれども、そうであってはならない。少なくとも石炭産業に対する取り扱いに準じて、もっと手厚い措置というものがあるべきだと私は思うのであります。従業員の問題に対しましても、しかりであります。しかしこの法案内容から見てみますと、そういうことが考えられていないし、また政府政策の中からも、そのようなことを知ることはできないのであります。この程度でいいじゃないかということでなしに、もっと前向きの積極的な施策があってしかるべしと私は思うのであります。されたことがないのかどうか、この点に対して伺っておきたいと思います。
  43. 福田一

    福田国務大臣 できるだけそういうお方たちをお救いする、あるいは苦痛を緩和するというのが政治の目的であります。検討は十分いたしたつもりでございます。いまでも検討しておるわけであります。しかしそれは、これ以上は、私が申し上げないでもあなたもわかっておいでになることだから申し上げませんけれども、ほかの産業とか、ほかのこととの関連性というものを無視するわけにはいかないと思うので、どの程度で——政治というものは最後に来る人をも助けるということが目的でありますが、そこに経済上の面とか、あるいは財政上の面とか、あるいはよその仕事との均衡の面、いろいろのことが理由になって出てくるわけであります。そういうことから考えてみまして、まずこの程度で、十分だとは考えませんが、ひとつがまんをしていただこう、こういうことであります。実施した上でまだ、どうしてもこれはこういうわけでいかぬというようなことがあれば、また考えさせていただきたい、かように考えておるわけであります。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの御答弁は納得いかない答弁でありますが、高きにつけるか低くにつけるかという問題なんです。大臣のいまのような答弁だと、他との関係もあるのだ、こうおっしやる。先ほど私が申し上げましたように、石炭産業というものに対しては、これで十分ではありませんけれども、前向きの取り組みをしておられる。これと関連する中小企業に対する取り扱いは、それに準ずる措置が当然あってしかるべきだと私は思うのであります。しかし、私がこの点をいかに大臣指摘いたしましても、おそらくいまの答弁を繰り返すという程度でありましようし、これは平行線になりますが、少なくとももう少し積極的な取り組みをしてもらいたい、このことを強く大臣に要望しておきたいと思います。  そこで、融資法案をお出しになりましたけれども、いかにいい、きめのこまかい法律ができ上がったにしましても、仏つくって魂入れず、絵にかいたもちということになってまいります。やはり裏づけになるところの資金というものが当然確保されなければならないわけでありますが、この資金の確保政府関係の金融機関に対してはもちろんでありますけれども、民間の金融機関に対しましても、預託金であるとかその他いろいろな措置考えられなければならないと思います。そのことをどうお考になっておられるのか。  また、時間の関係上一緒にお尋ねいたしますが、再保険の問題にいたしましても、保険公庫の資金の確保、協会の保証能率を高めていくというための資金の措置は、どうお考えになっておられるのか、それらの点について部長から詳しくお答え願いたいと思います。
  45. 影山衛司

    ○影山政府委員 市中金融機関がこの制度に応じて融資を拡大していくというための資金の確保をどういうふうにやっていくかという御質問と拝承するわけでありますが、政府といたしまして第一番目に市中金融機関のほうに要望いたしたいことは、政府のほうでも災害に準ずる特別措置を保険の面で講ずるわけでございますので、その趣旨に賛同されまして、市中金融機関のほうでも積極的に産炭地域中小企業者の所要資金についての融資の積極化ということを自主的に講じていただきたいということを、産炭地域の市中金融機関に対して熱望する次第でございますが、政府といたしましても、中小企業信用保険公庫の融資基金を保証協会のほうに流します際に、地方公共団体のほうでもこれと同額の出損等をやるわけでございますが、それとあわせまして、産炭地域の市中金融機関のほうに保証協会から資金を預託をいたしまして、それによりまして市中金融機関の融資能力の増大をはかっていくというふうな措置をとるように、指導を今後とも積極的にやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、この制度に対しまして中小企業信用保険公庫としての資金上の措置をいかに講ずるつもりかという御質問に対しましては、先生も御承知のように、現在保険公庫のほうで融資基金の制度がございまして、三十八年度は約百五億程度を各保証協会のほうに配分する予定になっております。その際に産炭地域の保証協会については、この制度の趣旨にのっとりまして重点的に配分をしていきたいというふうなことを考えておるわけであります。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 資金の問題も特段の配慮が当然なさるべきでありますが、保証する第一線の取り組みの問題なんです。保証というのは当然てん補率をこの法案内容では七〇を八〇に上げた、保険料率も引き上げた、こういうことにもなっておるわけです。それだけなめらかになったということは十分わかるわけです。しかし、やはり回収ということにあまりウエートを置いて保証するということになってまいりますれば、なかなかうまくまいりません。中小企業者の中でも相当まだ信用力を持っておる業者もおるでありましょう。しかし、もう売り掛け代金が非常にかさんだために、回収もなかなかうまくいかない、こういうことで、信用力が非常に低下をしておる中小企業者が非常に多い。特に終閉山に主としてなるような中小炭鉱に対する資材の納入あるいは物品の販売をやっている中小企業者は、いわゆる零細な業者が多いわけなんです。そういう人が特にこの制度を活用してまいらなければなりません。したがって、私は単刀直入に申しますが、回収が非常に不可能になる、こういう事態が起こってくると、いうことが想像されるわけです。こういう点を十分覚悟してこれに取り組んでいく、むしろ社会政策的な立場からこれに取り組むという姿勢がなければならぬと思うのであります。しかしながら、独立採算制だというようなことであまりシビアーな取り扱いをされたのでは意味がありません。そういうようなことに対してどのような指導をおやりになる考え方であるか、端的にひとつ決意のほどを伺っておきたい。
  47. 影山衛司

    ○影山政府委員 この制度の発足の趣旨趣旨でございますので、先生がただいまおっしゃいましたような方向に沿いまして強力に指導いたしていきたいというふうに考えておりますが、やはり政府といたしましては災害並みにてん補の限度を七〇から八〇に上げております。さらにあとの二〇%につきましては、北海道あたりでは北海道の道庁と保証協会との間で損失補償契約等もやっております。そういうふうなことも地方公共団体にも期待をいたしまして、今度これが実効をあげますように強力に指導していきたいというふうに考えております。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 質問が前後いたしますが、中野石炭局長と三治職安局長にお尋ねをいたします。  先ほど大臣に御質問したことと関連してくるのでありますが、この産炭地の転業する業者あるいは従業者、これに対しては一般の職業訓練というようなこと、あるいは広域職業紹介をする場合に、おそらく雇用促進事業団の普通の取り扱いということ以外に考えていないようであります。こういうことであっていいのかどうか。就職促進手当の問題であるとか、あるいは雇用奨励金の問題であるとか、あるいは住宅確保のための奨励金の問題であるとか、それらのことをきめこまかく、手厚く考えていくということが必要ではないかと思うのであります。これらの点についてはどのようにお考えになったのか、主として三治局長の管轄だろうと思うのでありますが、ひとつ両局長からお答えを願いたいと思います。
  49. 三治重信

    ○三治政府委員 石炭離職者以外の産炭地の失業の問題につきましては、石炭の合理化に伴う離職者につきましては臨時措置法によって特別な措置がとられることは御承知のとおりでございますが、それ以外の者につきましても、職業安定法によりまして、広域職業紹介命令地域につきましては、特別の援護措置をとるようになっております。その援護の業務も、御承知のように、雇用促進事業団が行なうようになっております。さらに、今度職安法及び失対法の一部改正が通りますれば、職業指導手当並びに職業訓練手当のほうも一般のほうよりかずっと拡充されまして、ことに職業訓練手当につきましては、石炭離職者と同じように手当がつくようになります。この点はわれわれのほうとして、単に石炭離職者に特別措置をとったということでなくして、これに関連して、そういうような失業多発地域につきましては、新しい立法措置計画しております。これができるようになりますれば、そういう多発地域につきましては特段の配慮が行なわれることを確信いたしております。
  50. 中野正一

    中野政府委員 産炭地域中小企業者並びにその従業員の職業あるいは生活の安定ということをはかっていくためには、石炭産業のほうが衰微していくわけでありますから、どうしても産炭地の振興ということをやることが基本でございますので、その点については通産省としても、関係省と連絡をとりながらこれを早急に具体化し、実現するように努力しておる次第であります。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 どうも、中野石炭局長は、この前の広域職業紹介の場合の旅費の支給等に対しましても、きわめて前向きの答弁というか、特別の措置をやるかのごとく非常に親切に御説明があったのだけれども、内容を調べてみると、従来のことをさも新しいことのように御説明になった、こういうところのようであります。まあそれはそれといたしまして、ともかくそれが実行段階において、第一線はいま政府考えておるような取り扱いをなかなかしません、非常にシビアーな取り扱いをするということになってまいりますから、その点については格段の配慮をされて、行政指導に遺憾なきを期してもらいたいということを強く要望いたしておきます。  それから、適用範囲というか期限を見てみると、昭和三十五年四月一日以降から、こういうことになっておるわけでありますが、その以前のものに対しては必要ないというふうにお考えになっておるのかどうかという点と、いま一つは、事業の整備に伴って鉱山労働者の数が著しく減少した、そういうことであるとか、債権の回収が著しく困難であるとか、非常にシビアーに書いておるわけですね。この著しくなんというものの限界はどうなるのか。法文ではこうむずかしく書かねばならぬのかもしれませんけれども、中小企業者のために親切にこの法文を活用していこうということになってまいりますれば、これはゆるやかになりましょうけれども、資金的な関係とかいろいろな面で、著しくというのをきわめてシビアーな取り扱いをするということになってまいりますれば、なかなかこの法律もうまく動かない、こういうことになろうかと思うのでありますが、これらの点に対する考え方を聞かしていただきたいと思います。
  52. 影山衛司

    ○影山政府委員 適用の対象の期限を昭和三十五年四月一日以降といたしましたのは、石炭合理化計画の改定基本計画の実施時期が昭和三十五年度から動いていくというところで、一線を画したわけでございます。それでは、昭和三十五年四月一日以前のものについて何ら措置は必要ないかということでございますが、私どもといたしましては、できるだけ一般的な政府金融機関の資金融資措置等を講ずるということで、できるだけこちらの方もめんどうを見ていきたいというふうに考えております。現に国民金融公庫におきましては、今度の特別融資のほかに、昭和三十七年八月から、通常の利率でございますが、産炭地向けの融資を行なっておりまして、三十八年五月末の累計で二百二十九件、七千八百三十一万円というふうに上っておるわけでございまして、そういうふうに並行してやっていきたいというふうに考えております。  それから、著しくという表現がシビアーに運用されると困るという御質問でございますが、債権の回収が著しく困難というような場合に、著しくと申しますのは、普通五〇%程度を解釈上、運用考えておるわけでございます。ただ、いろいろ実情を見てみますと、経営不振によりまして売り掛け金の回収困難な炭鉱に対しまして、中小企業者が非常に困っておる実情がございますので、できるだけこれは弾力的に考えていきたい、実情に即してケース・バイ・ケースで弾力的に運用していくというふうに考えております。
  53. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 関連して、著しくというのは二つあるわけです。要するに、この二条の二項の一号のロ、すなわち「昭和三十五年四月一日以後において石炭鉱業合理化臨時措置法第三条第一項の石炭鉱業合理化基本計画に基づく事業の整備に伴って鉱山労働者の数が著しく減少した石炭鉱山であって」という、こういうまず先のほうの「著しく」というのは一体どの程度考えられておるか。これを御説明願いたい。
  54. 影山衛司

    ○影山政府委員 ただいまちょっと答弁をとり違えまして失礼いたしました。  第二条の第二項の第一号ロの「鉱山労働者の数が著しく減少した石炭鉱山」の「著しく」は、どういうふうに運用していくかという御質問でございますが、通常五〇%程度減少というところを考えておるわけでございまして、たとえば大正炭鉱あたりは、三十五年四月一日現在と比べまして、三十八年三月末現在において大体三七%にまで労働者の数が減少しておるわけでございますが、こういう場合は問題なく適用があるわけでございます。また、たとえば貝島炭鉱等におきましては、三十五年三月末現在と比べまして、三十八年三月末現在では約六〇%にまでしか労働者が減少していないわけでございますが、三十九年三月末までには五〇%以下ぐらいに減少するという見通しもあるわけでございます。そういう場合には、通産局長のほうで、これは適用があるように指定するというふうに、弾力的に運用していくということでございます。
  55. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労働者の数が著しく減少したという場合は、実は率直に言いますと、操業しておる炭鉱でも未払い代金が非常に多い、しかしとらえ方がなかなかないということで、労働者の数が出たわけです。だから、労働者の数が基本になるわけじゃないのです。労働者の数が売り掛け代金の算定のいろいろな要素に入ってくるというのは、本来おかしいのですね。そういう因子というものは本来おかしいのだけれども、出炭が著しく減少するということになると——実際は出炭は減少してないんじゃないか、こういうことになるわけですが、やむを得ずこういう処置をとったわけですから、私はその点は、従来の著しくというものとは違うと思う。大体根拠のないものをもっともらしく一つ要素の中に入れたんですから、苦労の点はわかりますから私はそれ以上言いませんけれども、これはひとつ十分弾力的に——昭和三十九年の三月になったら五〇%になりそうだなんというようなことを説明されたんじゃどうもならぬ。というのは、ある程度以上労働者が減ると、操業ができなくなるのです。炭鉱自体がいい労働者がいなくなって、操業ができなくなる。そういう点もありますから、御配慮願いたい。これはもう一度御答弁願いたい。
  56. 影山衛司

    ○影山政府委員 認定につきましては、ケース・バイ・ケースで通産局長が指定するということになっておりますので、通産局長の指定に際しまして、実情に応じて弾力的に処置していきたいというふうに考えます。
  57. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 次に、これは確認だけしておきますが、産炭地域というのは、従来の産炭地域振興法に基づく二条とか六条とかいうことにわかかりなく、政令で指定するわけですか。
  58. 影山衛司

    ○影山政府委員 法律上のたてまえといたしましては、別個に指定するということになっておりますが、実質的には産炭地域振興法の二条地域を頭に置いておるわけであります。
  59. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三十五年の四月一日というのは、いまあなたのほうは合理化計画が出たとおっしゃいますが、合理化計画が出たのはそのときじゃないのです。この合理化法ができたときなのです。その後何回も改定しておるわけですね。ですから三十四年度が、買い上げトン数から言うならば一番多いのです。三十三年度は、買い上げトン数は三十五年と同じ。ですから、そういう点は基礎にならない。現在の合理化計画というのは逐次改定をされておるわけですから、ひとつ一歩を踏み込んで、三十四年という気持ちはないわけですか。あるいは三十三年……。
  60. 影山衛司

    ○影山政府委員 どこで線を引くかという問題になるわけでございますが、当初私どもが考えましたときは、石炭対策大綱ができました昭和三十七年の十一月二十九日以降というふうに考えたぐらいでございますが、やはりそれでは実情に合わない点がございますので、できるだけさかのぼっていきたいということで、それではどこで線を引くかということになりますと、改定いたされました合理化基本計画が実際上動き出した昭和三十五年四月一日から実施するということにいたしたわけでございます。それ以前のものにつきましては、政府関係金融機関の一般的な融資というものを重点的に行なっていきたいという措置で、御了承を願いたいと思います。
  61. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どこかに線を引かなければならぬということで線を引かれたのでしょうけれども、少なくとも、合理化計画によって買い上げ勧告がぐっと急増したという時点から引くべきです。三十四年から比べると、三十五年四月というのは減っているのですよ。全然根拠がないじゃないですか。減っているところから起算したというのは、おかしいですよ。ですから、むしろ急増した三十四年度から行なうべきじゃないですか。私は三十三年と言いたいけれども、一年譲歩して、三十四年度は御存じのように、六割ぐらい出炭買い上げトン数がぐっとふえているのですからね。
  62. 影山衛司

    ○影山政府委員 おことばのやり方も一つの方法でございますけれども、出炭の規模のほかに、終山の山の数等を考えてみますとあまり段落がございませんので、やはり改定合理化基本計画が実施に移された時期というものを一応の基準にいたしまして、それ以前のものも、先ほど御質問がございましたように、全然めんどうを見ないというわけではございませんので、政府関係金融機関の一般融資等につきましてできるだけの配慮をいたしていきたいというふうに考えております。どうぞ御了承をお願いいたします。
  63. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三十四年度から、中規模の炭鉱が閉山になっております。炭鉱数は変わらなくてもトン数がぐっとふえておるというのは、そういう関係ですよ。ですから、その中規模の炭鉱売り掛け代金というのも多いのですよ。最初のころは中規模は比較的合理化に入らなかったが、三十四年度からずっと中規模が入ってくるという状態になっておるわけです。この売り掛け代金を中心にものを考えるわけですから、売り掛け代金が非常に大きくなってきた、こういう時期を判定すべきではないですか。
  64. 影山衛司

    ○影山政府委員 御説ごもっともなところもあるのでございますけれども、一応昭和三十四年度以前のものにつきましても、政府関係金融機関等でできるだけごめんどうを見ていきたいと思っております。よろしくお願いします。
  65. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 めんどうを見ていくということですから、弾力的に考えていただきたい。  それから、利子は大体どのぐらいなんですか。
  66. 影山衛司

    ○影山政府委員 政府関係機関の特別措置につきましては、六分五厘でございます。
  67. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 多賀谷真稔君、できるだけ結論を願います。
  68. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 償還期限、運転資金あるいは設備資金、それらを別々にお答え願いたい。
  69. 影山衛司

    ○影山政府委員 政府関係金融機関におきます特別措置におきましては、償還期限等におきまして災害並みに扱っております。通常三年から四年のものを五年から七年の範囲内で、できるだけ延ばしていくようにというふうに指導しております。それから据え置き期間におきましては、運転資金で六カ月、設備資金で一年というふうに、災害並みに扱っております。
  70. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 政府機関である中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫には、あなたのほうから特別な資金を出されるわけですが、市中銀行にはどうされるわけですか。
  71. 影山衛司

    ○影山政府委員 市中金融機関につきましては、特別財政上の措置を講ずるというようなことは、前例もございませんので、そのかわりといたしまして、中小企業信用保険公庫から信用保証協会に融資をいたします際に、地方公共団体も大体同額程度を出すわけであります。それを産炭地域の市中金融機関に預託をするということで、市中金融機関の融資能力というものを増大していくという方向指導していきたいと考えております。
  72. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私はこの法律が十分運用されて実効があがることを希望しております。ただ、一つ危惧がある。それはこの法律ではつぶれた炭鉱と運命をともにした中小企業は、金が十分借りられないのじゃないかという気持がある。むしろそのつぶれた炭鉱に若干売り掛け代金があるほうが、まあまあ金が借りられて、その炭鉱と運命をともにした中小企業というものは、この法律の外に置かれるのじゃないか、こういう危惧が非常にしてならぬのです。こういうことであってはこの法の精神が死ぬわけですから、その点は十分ひとつ考慮してもらいたいが、大臣から御答弁を願います。
  73. 福田一

    福田国務大臣 お説のように、この法案炭鉱に売り掛け金を持っておる中小企業者を助けるというのが目的でありますから、本来のそういう大事な人が救済できないというようなことがないように、ひとつ配慮いたしてまいりたいと思います。
  74. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 滝井君から十分間くらい質疑したいという通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
  75. 滝井義高

    ○滝井委員 御注文もありまして、これはほんとうは一日半ぐらいかかるところを十分間くらいでやれということだから、よほどいい答弁をもらわないと十分間でできないわけです。  まず、宿題になっておった資金計画です。整備資金が約百五十一億、設備資金が八十二億、約二百三十三億の不足であった、これを一体どうするかということで、大臣はこの前十五日に、二十一日か二十二日ごろにこれをあげるときまでには何とかひとつ話し合ってみよう、こういうことだった。大蔵大臣をここに呼ぶはずだったのですが、ごたごたして呼べなかったのです。何か新聞を見ると、大臣が閣議でこの委員会の模様を説明して、資金が相当不足しているという記事を見たのですが、結論をひとつ。イエス、ノーだけでけっこうです。
  76. 福田一

    福田国務大臣 滝井委員からの御質問もありましたので、次の閣議にあたりまして、整備資金並びに設備資金において不足額が相当あるということを明らかにしまして、特に整備資金についてはすみやかに出すようにということを閣議で発言いたしまして、大蔵大臣からこれを了承する旨の答えがありました。また設備資金のほうは、これは順次やっていく問題でございますので、極力趣旨に沿って処置をいたす、こういうように閣議で大蔵大臣から私に答えがあったわけでありまして、この答えに基づきまして、ただいま事務的に内容を詰めておる段階でございます。
  77. 滝井義高

    ○滝井委員 いまの答弁のとおり、ひとつ実行してもらいたいと思います。  第二問は、臨時石炭対策本部です。臨時石炭対策本部は、合理化によって生ずる雇用対策、鉱害対策、産炭地振興対策、その他諸問題を現実の実情に即して迅速かつ適切に処理して、具体的、計画的な石炭対策を円滑に行なっていくために、当面九州につくることになっておったわけです。同時に、地元関係機関からなる石炭対策連絡協議会を設置することになっておったわけです。合理化はもうどんどん進んでおるわけですが、現状はこれらの二つの機関が積極的に動いておるかどうかということです。動いておれば、雇用対策だって鉱害対策だって、円滑に進捗することになるわけです。動いていなければ、速急にこれを動かしてもらわなければ困ることになるわけです。現状はどうなっておるのか。
  78. 中野正一

    中野政府委員 九州に置かれました臨時石炭対策本部は、発足以来数回にわたりまして関係の部員会議を開催いたしておりまして、石炭政策が円滑に順調に実行できるようにやっております。これはいま言われましたように、産炭地振興あるいは鉱害の問題等も含めまして、非常に広範な問題がございますが、非常に関係省もよく協力していただいておりますので、この機構を通じて、対策本部長みずから先頭に立って非常によく努力して、相当実績をあげておる。もちろんまだ不十分な点は非常にあろうと思いますので、叱咤激励をいたしまして、これを十分活用できるようにいたしたいというふうに考えております。
  79. 滝井義高

    ○滝井委員 叱咤激励をしてひとつ円滑に、順調にいくようにお願いします。  第三間、債務処理です。今回新しい合理化をやるについては、保安の臨時措置をやった場合には、三割が未払い賃金にいき、七割が鉱害と未払賃金の案分になって、債権者には一文もいかぬわけです。同時に、今度は、合理化で整理交付金をもらったときは、これは二割が未払い賃金にいって、それから三割が債権者にいって、あとの五割は未払い賃金と鉱害が案分をする、こうなっておるわけでわけです。そうしますと、第一の場合における保安の臨時措置の場合は、たとえば国税庁鉱区を差し押えをしておる場合には、国税庁には一文もいかないわけです。一文もいかなくて、国税庁はこの鉱区の差し押えを解除して、鉱区の登録の抹消してもらわなければならぬわけです。そうでなければ交付金をもらえません。それが異議なく、国税庁は何ももらわずに無手勝つ流で抹消してくれるかどうかということが一つ。  それから第二番目の、三〇%の債権の処理のしかたです。この三〇%は、国税庁も押えている、自治体も押えている、中小企業金融公庫も開発銀行も商工中金も、みんな押えている、県も市町村も押えている。こういう場合に、一体国税庁としてはどういう処理の方針をとるのか。これもやはり国税庁にまず判を押してもらわなければ、抹消できないのです。こういう点が一つ。  そうすると、残りのその三割の債権の中で、そういう国税とか自治体とかあるいはその他の金融機関がお取りになると、中小企業に対してはどういう配分の方針を持ってくれるのかということです。この点についてまず国税から、一の保安の場合、二の合理化にかかった場合についてお答えをいただいて、方針を明白にしていただきたい。
  80. 小熊清

    ○小熊説明員 保安の場合、それからこのたびの合理化の交付金の場合に、国税関係の債務処理をどうするかという御質問でございます。  保安の場合には、国税の廃止業者に対する債権、その半分が確保されれば差し押えは解除いたします。ただ、保安の要請が非常に強くて、国税が半分確保できない場合でも差し押えを解除しなければならないといったような非常な必要がございます場合には、現地の国税局のほうから国税庁に上甲をしてまいりまして、それによって判断してまいる、かようなことになっております。  それから今回の合理化の交付金の場合でございまするが、交付金の中から優先的に鉱害債務それから未払い賃金に充てられるわけでございますが、その鉱害債務なり未払い賃金に充てた残額の百分の七十までは、国税なりあるいは地方税、あるいはその他の抵当権等のある私債権もございますが、それからの各私債権がそれぞれの優先度に従って弁済を受ける。それから、七割までがさように優先度に従って弁済を受けるわけでありまして、残りの三割については、これは優先権を言わずに、その七割以内に弁済を受けなかった債権まで全部含めまして、その債権の額に応じて弁済を受ける、かような債務の処理に従って、その結果国税の差し押えを解除する、かような方法でやってまいることにいたしまして、本年の一月に、国税庁長官の名前で管下の国税局長に通達を出しております。さようになっております。
  81. 滝井義高

    ○滝井委員 わりあい明白になりました。そうしますと、もっと具体的に言いますと、まず第一の保安の場合には、二分の一を確保することが原則である。たとえば千万円の差し押えをしておるならば、五百万円だけは廃止業者からもらわなければならぬ、こういうことになります。それがどうしてもさかさまにしても鼻血も出ないというときには、上申をしてくる、それによって判断する。事実問題としては、われわれの経験から言いますと、今後合理化にかかるものの——中小もそうですが、大手だって必ずしも債権の全部をなかなか払えないような情勢が出てくるのではないかと思うのですが、中小はその七割から八割は無資力になると思うのです。そうしますと、この国税庁の事務処理がなかなかうまくいかぬということは、労働者にとっては未払い賃金の三割をもらうことが非常に長引いてくるし、同時に、鉱害復旧の計画も立たなくなるわけです。したがって、これはぜひひとつ国税庁のほうで早急に決断をしてもらいたい、こういうことです。  それから第二の問題ですが、三割のうちの七割すなわち全体の二割一分というものが、優先権に従って弁済されることになるということになりますと、まずその二割一分について、国税も差し押えをしているし、県も差し押えをしておる、自治体も差し押えしておる、開発銀行や中小企業金融公庫も商工中金も、全部差し押えしているという場合が相当あるわけです。そうすると、この全体の二割一分の配分のしかたは、だれかが中に入ってあっせんをしないと、国税さんのほうが、いま言ったように、保安で政府でつぶしたものでさえ半分取る、こういうのですから、二割一分、たとえば一億円だったら二千百万円を、国税さんがそのうちの半分の千万円ちょっとを取る、こうなると、なかなか他のものがうんと言わないことになるのです。そこでこの多くの差し押えをしておる優先順位の方々が集まって、その債権額について案分をしてやるのだということになりますと、これは話はわりあい簡単にいくのです。ところが、ここで国税が、いや、おれのほうは少なくとも債権額の半分を取らなくてはだめだということになると、二割一分というものを全部国税が取らぬと国税はなかなか帳面を消してくれぬ、こうなるのです。鉱区の登録を消してくれぬ、こうなるのです。ここらのやり方は、一体どうやるかということです。これが一番大きな問題です。  それから、優先債権二一%とすると、あと全体の九%残るわけです。この中で、中小企業というものは、これは通産大臣にお尋ねするのですが、九%の中にワクがもらえるのかもらえないのかということです。中小企業は金を貸すだけで、ここらあたりも何ももらえないということでは、たいへんです。債務処理要綱の中には、中小企業には、少なくとも九%の中の二%でも三%でもいいが、優先的に差し上げます、こういうことになってくれると、これは中小企業もだいぶ、じょうろよりかいいのですね、何ぼかでももらえるということになると、泣き寝入りもしやすいわけです。そのかわり、これももらったが金も貸してもらいたい、こういうことになるわけです。この二点です。
  82. 小熊清

    ○小熊説明員 ただいま滝井委員の御質問でございますが、三割のうちの七割、すなわち全体の二割一分、これが優先権に従って配分されるということでございますが、必ずしも国税が優先権があるというふうにきまっておらないわけでありまして、場合によっては国税に優先する債権、あるいは地方税というものもございます。そういう場合には、国税があるいはゼロになる場合もあるわけでありまして、結局この問題の解決は、すべての債権者がある程度それぞれの立場を認め合って解決していくということ以外にないと思います。それで、おそらく現地の通商産業局のほうでごあっせんいただいて、各債権者が相談してきめていくということになろうかと思います。必ずしも国税が自分だけ取るということではございません。
  83. 中野正一

    中野政府委員 中小企業の売り掛け金につきましては、いま先生の御指摘の、九%の中から弁済を受ける。ただこの場合は普通の一般債権もございますので、それとの全体の案分比例で弁済を受ける、こういうことの取りきめにしておるわけでございます。
  84. 滝井義高

    ○滝井委員 中小企業が優先的でないのですね。これを見ると、労働者の生活必需品の代金、資材代金、鉱業施設代金及び修繕料、電気料金、石炭の運送料及び荷役料、運転資金としての貸し付け債権とか、こういうようになっておるのですね。坑木代とか何とかいうことになると、電力料金が先になります。これは電力料金が大きいのですよ。はなはだしいところは、何千万円とあるのです。したがって、中小企業にはいかないのです。だから、こういう親切な債務処理要綱をおつくりになるとすれば、中小企業問題ですから、たとえば九%の中の三%でも四%でもいいから、中小企業に別ワクとして確保してやるというような、一般に優先、二段に炭鉱に資材を納めておるというようなもの、それから一般中小企業、そしてそこにワクを何ぽかきちっと置くほうがいいのではないかと思うのです。これはどうせ政令でやるわけです。最後の店じまいなんですから、何かそこらあたりをもう一ぺん考えていただけませんか。まだそのとおりさっさとやっておるわけではないですから、最後の九%のときに幾分中小企業にきちっとワクを取ってあげる、こういうことをしていただく必要があるのじゃないかと思うのです。いま国税もわりあい折れてきたのです。いままで国税は簡単にいかなかったのです。そこらあたり踏み切って、中小企業のためにある程度のワクはとりましょう。こうなると、筑豊の中小企業はだいぶ安心してくるのですね。  それからもう一つは、あっせんのしかたについて、これは相当積極的にやらぬとあっせんができないと思う。みんな金をよけい取りたいのですから。それを上に報告するのに、たとえば中小企業金融公庫とか商工中金も、よそは債権をとったのに自分のところが取れなかったら、お前は何をぼやぼやしているかと上からやられてしまうのです。ですから、積極的なあっせんを通産局長がやるということをここで言明をして、それでできなければわれわれも加勢しますけれども、やはり行政が責任をもってやるという形をとってもらわぬと困ると思うのです。
  85. 中野正一

    中野政府委員 債務処理要綱にもありますように、いま国税庁のほうからも非常に親切に御答弁があったのでありますが、地方の地元の通商産業局長が関係行政機関の協力を得てあっせんをやるということで、先生の御指摘のように、積極的にあっせんをやるように指導していきたいと考えております。
  86. 滝井義高

    ○滝井委員 中小企業のほうのワクを少し設けるということはできないですか。
  87. 中野正一

    中野政府委員 この問題については、この要綱にありますように、資材代金あるいは労務者の生活必需品の代金というような、大部分中小企業の債権でありまして、この中でさらに区別をつけるということは妥当ではないというふうに考えております。したがって具体的ケースにつきまして、通産局長のあっせんによって御趣旨の点は十分生かしていきたいというふうに考えております。
  88. 滝井義高

    ○滝井委員 私実際にやっておるのをよく知っておるのですが、電力料金を先にとると、みんなとられてしまうのです。電力は大きい公益事業ですから、少しぐらい減らしたって倒れることはない。だからむしろこの中をAとBとに分けて、電力みたいな大きなところにいくのと、資材その他小さいところにいくのと分けて、四・五なら四・五でもいいですから、何かきちっとしてもらわないと、小さいものも大きいものも一緒にしてしまうと、中小企業のほうには全然いかないというようなことでもできてくると思う。二一%と九%の二段階に分けたのですから、それを三つに分けたってちっとも差しつかえないでしょう。最後に法案をあげるときですから、ここらあたりをもう少しきちっとしてもらいたいと思うのですが、大臣どうですか。
  89. 中野正一

    中野政府委員 いま申し上げましたように、通産局長の積極的なあっせんによって、ケース・バイ・ケースの問題としてこれは処理していきたい。これはもうほとんど大部分中小企業者の債権でございまして、具体的ケースについてあっせんをしていくという線でいくのが、一番妥当ではないかと考えております。
  90. 滝井義高

    ○滝井委員 電力料金あたりが非常に多くて、なかなか中小企業にいかぬところがあるのです。
  91. 中野正一

    中野政府委員 ケース・バイ・ケースで……
  92. 滝井義高

    ○滝井委員 ケース・バイ・ケースで弾力的に、これは何かお経みたいになってしまったのですが、ケース・バイ・ケースで弾力的にとおっしゃるけれども、なかなかそうはいかないですよ。二一%と九%と分けたんですから、たとえば電力のような大きいところに四・五%、中小企業に四・五でもいい。私、電力に行って四千万も五千万もあったのを百万にまけてもらった例もあるのですから、できると思うのです。
  93. 中野正一

    中野政府委員 債務処理問題は非常に大事な問題でございますので、実情に即するようにやっていきたいと考えておりますが、先生の御提案の、この一般債権の中をさらに区分するということは、いまのところ通産省としては考えておりません。
  94. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると、中小企業の売り掛け金はとれないですよ。
  95. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 申し合わせの時間が十分経過しました。できるだけ結論をお急ぎ願います。
  96. 滝井義高

    ○滝井委員 ちょっと待ってください。この問題は、この前宿題として出しているのですからね。二一%と九%に分けたのですから、九%の中を大きいところと小さいところと、およそ半分半分ぐらいでやれということは指導でできると思うのです。われわれ現実に籾井の処理で、電力に行って、四千万のものを百万にまけてもらった例があるのですから、通産局長が一生懸命やればできると思うのです。ケース・バイ・ケースでは、中小企業にいかないのです。なぜいかないかというと、中小企業は差し押えをしていないからです。大きいところは炭鉱を差し押えたり、社宅を差し押えたり、みな差し押えをしておる。中小企業は自分の納めた物さえ、多くの場合差し押えをしていないのです。だから私たちの処理したものでも、中小企業は全部泣き寝入りです。だからこれをある程度確保してやると、そのワクは差し押えをされないのです。とってやれるのです。だからここらあたり、どうして局長答弁できないのか。頑強にケース・バイ・ケース、弾力的というが、その弾力のところを、大きいところに五%、中小企業に四%でもいいですから、数を示していただきたい。法案をあげるのですから、検討するじゃだめですよ。
  97. 福田一

    福田国務大臣 私は滝井委員のおっしゃる気持ちもわかりますが、しかしたとえば電力料金が、いま言ったうちの九〇%を占めておる場合、あるいはわずかに五%にしか当たっていない場合、いろいろあるだろうと思うのです。だからその場合々々を考えて、いまあなたの言われた御趣旨を十分考えて、中小企業者にも金が回るように具体的な措置をしていきたい、こういうのでありますから、私はこれは行政の範囲でお認めを願って、そういう趣旨でやっていこうというのでありますから、これは了承を願ってけっこうではないかと思うのであります。これをパーセンテージできめることがかえって公平に合わない場合も起こり得ると思うのでございます。
  98. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣は実情を知らぬから。どうしてかというと、電力会社炭鉱がやめるまで、納めなければ保安電力を切りますよと言って圧力をかけることができる。だから、あなたのほうで山が買い上げられてから幾ら金をくれるか一筆出せ、そうなると、弱い立場石炭業者は一筆書かざるを得ないのですよ。そうなったら石炭業者は、必ずこれだけ払いますと言って、電力を最後までもらいます。これは閉山したって、歩行する電力はもらっておかなければならぬ。それは事業主が弱いところを押えられているからです。ところが中小企業の売り上げ代金というのは、モーターをやったり、配給所に石けんを売ったりした代金ですから、そんなものは差し押えしようと思ったってできない、もう国税その他が全部差し押えしてしまっている。だからそこらあたりをもう少し、せっかく債務処理要綱を新しくつくってもらったのですから、考えてくれるべきだと私は思うのです。それさえやらぬというのだったら、これはとる方法はないですよ。私は自分でやって経験がある。とる方法がないのです。
  99. 福田一

    福田国務大臣 現地の局長に、いま言われたような趣旨を体して実施をしろ、こう私のほうから言うのでありますから、電力業界がどういうことを言うか私は知りませんが、実際にあたってそれがうまくいかなかったときに、あなたのほうからお話ししていただきたい。私は行政指導でできると思っております。
  100. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 申し合わせの時間をうんと超過しておりますから、協力してください。
  101. 滝井義高

    ○滝井委員 行政上の指導でやるということでございますから、そう理解をしておきます。  次は無資力の手続です。今後、炭鉱は無資力が非常に多くなるわけです。これは質問をしておると長くなるから、あとでこういう手続をしたら無資力になるという、無資力の手続を文書でひとつ配付していただきたい。  それから、これは幸い小熊さんがいらっしやっておるから——今度合理化で、炭住は買い上げないようになった。ところが、その炭住を国税庁が差し押えしているわけです。この業者は無資力になってしまっておる。そうすると国税庁としてはこの炭住を、差し押えしておる物件ですから、競売する以外に方法はないわけです。ところが炭住には全部、生活保護者が住んでいるわけです。炭鉱労務者は生活保護になっておる。そこでどういうことになったか。これはこの前言って、研究してくれるという約束だったから最後に尋ねるのです。どうなるかというと、これを競売に出しますと、今度は他の債癖者が来てこれをとろうとするわけです。なぜとるかというと、生活保護者が住んでいるわけですから、生活保護者から家賃をとれる。その家賃はだれが出すかというと、国が八割を出し、自治体が二割を出す。そうすると、無資力の人の炭住について、国税が差し押えしてしまっているものを、競売に行って落としてしまう。落とすと家賃がとれるようになり、労働者を追い出すことができる。この問題については競売以外には処理の方法がない。これを労働者に払い下げたらいいのですが、いまの国税徴収法では競売する以外に払い下げる方法がない。そこで労働者はこれをもらいたい、金を出したい、だから幾分安く——たとえば合理化事業団ならば、一棟について一万円くらいで労働者に払い下げておる。ところが国税がこれを差し押えしておるために、国税はどうしても坪価委員をつくってこれを評価しなければならぬ。合理化事業団ならば一棟一万円でおりるものが、国税ならどうしても五万とか六万に評価せざるを得ないことになる。したがってこれは、競売をすると、労働者にいかずに他の者がとって、今度は家賃をとることになる。もうかるわけです。だから国税ががんこに自分の主張を通すと、国に大損を与えるという結果になる。ここに政策の矛盾が出てきたわけです。だから国税は何とか競売以外に、自治体に払い下げるとか、住んでおる炭鉱離職者に払い下げる方法を講じなければいかぬわけです。いまの鉱区の問題については、国税はおりることができることになったわけです。ところが炭住についてはおりる方法がないのです。国税は評価額だけをとらなければならぬ、こういうことになっておる。これはこの前、こういう問題がありますからひとつ研究して最後に御答弁願いたいといって、宿題を出しておいた。これが現実の問題として起こってきた。御答弁できなければ、これはあとで何らかの形で処理をしてもらいたいと思うのですが、鉱区についてはおりることができるのですよ。ところが、かつては買い上げの対象になっておった、しかしいまはならなくなってしまった、これをどう処理するか。これはきょう答弁ができなければ、研究してもらってその対策を速急にやってもらわなければならぬと思う。
  102. 中野正一

    中野政府委員 御質問の問題は十分に研究いたしたいと思います。
  103. 滝井義高

    ○滝井委員 ぜひひとつ労働者に行けるようにしていただきたい。  あと、六問と七問の二問を一緒にしてやります。今度、産炭地振興事業団ができておるわけです。ところが地方自治法の一部を改正する法律で、地方開発事業団というものができることになった。そうして地方開発事業団も、産炭地振興事業団と同じように用地をつくるわけです。この関係は一体どうなるのかということです。この関係は、地方自治体地方開発事業団をやるわけです。そうして同じように用地その他をつくることができるわけです。この関係は一体どうなるのか。産炭地振興事業団がやらないと、産炭地の自治体はみずから事業団を興して仕事をやることになる。これは起債その他もたぶん認めることになるわけです。  それから最後は、これは労働省ですが、結局失対事業に関連してくるのですが、一般失対事業の管理監督員の設置に基づく国庫補助金に対する地方自治体の財政負担、すなわち監督員とか事務員とか技術員、これらの者に対する事務費の中に人件費が入っておるわけです。そうしてその人件費が、たとえば就労者一人一日について三十八円七十銭入っておるわけです。各種保険料が十八円七十銭で、一般事務職員及び人件費が二十円になっておるわけです。これらの者の事務費は、副監督員とか事務職員のものが入っておる、こういうことらしいのですが、その事務費の単価の算出の基礎もはっきりされないし、人件費としての支出する範囲もはっきりしていないのです。そこでこれは仕事をさせるのに、緊就だって何だってみな同じですが、技術職員がいるわけです。ところが技術職員というのは、普通の事務職員よりもばく大な給料をとって特別金が要る。たとえば福岡県でいえば、この技術職員が四十六人くらいいる。そうすると、金がないのですから、一般の県の仕事の技術職員をこれに持ってこないとできない。ところが三万も三万五千も失対労務者がおる。一方においては緊就が五千人もあって、あとから三千人も殺到しておる。これに技術職員をつけると、県の他の仕事が全然できなくなってしまう。こういうものに対する事務費というものが全然ないのですが、これを一体どう処理するか、この二点で終わります。
  104. 中野正一

    中野政府委員 今度できるはずの地方開発事業団ですか、これを産炭地振興事業団は、その企図する目的も違うわけであります。現実に産炭地等についてこれが競合する等のこともあるかと思いますが、これはむしろ両機関がそれぞれ協力し、また必要な調整をとりながら、逐次その事業を遂行してその目的を達するように努力したいと思います。
  105. 三治重信

    ○三治政府委員 失対事業につきましては、今度三十八年度予算から、監督要員の事務人件費につきましては特別計上して、二十人ないし三十五人に一人の経費をめんどう見るようにしております。  それから技術職員の問題につきましては、いまおっしゃるような県市の一般の定員の中でいままでやってきたわけですが、これについても特別によけい人員を配置する場合には、事務費の配分で考慮しておりますが、不足なことはいま言われるとおりでございますので、今後その予算の配分については、そういう福岡県のような困難なところには、特別な事務人件費の実情に合うような交付のしかたをしていきたい、こういうふうに考えております。
  106. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 藏内修治君から、五分間くらい質疑したいという申し出がありますので、これを許します。藏内修治君。
  107. 藏内修治

    ○藏内委員 時間がありませんから、問題を二点にしぼって承りたいと思います。  第一点は、この条文についてちょっと確認をしておきたいと思う点であります。この産炭地の売り掛け金の回収に関する今度の法律でありますが、これは政府の善意と努力をわれわれは非常に高く評価しますので、これが末端において差しつかえというか不徹底が起こらないように、ちょっと一、二点確認をしておきたい。  法案の第二条の「当該整備による影響の著しい地域であって、政令で定めるものをいう。」この「政令で定める」ということは、産炭地域振興臨時措置法の第二条あるいは六条と全然別個の政令指定であるかどうか、この点が第一点。  それからその次は、第二条の第二項にあります「通商産業省令で定める団体に対する売掛金債権」この「通商産業省令で定める」というのは、どういう団体であるか。  それからその次の行にあります「通商産業省令で定める債権」この債権とはどういうものであるか、いまの三点をまず最初にお伺いいたしたい。
  108. 影山衛司

    ○影山政府委員 第二条の政令でございますが、これは形式上はやはり産炭地域振興法の第二条、地域指定の政令とは別個に形式的には制定いたしますが、実質的には第二条地域を指定したいというふうに考えております。それから第二点につきまして、「これらの者と密接な関係がある消費生活協同組合その他通商産業省令で定める団体」というその団体は、石炭鉱山と資本的あるいは人的に非常に密接な関係のあるものを指定するつもりでございまして、別会社の購買会というようなものもこれの中に含めるわけでございます。それから「その他通商産業省令で定める債権の回収」というものは、これは特に現在のところ頭に置いておりません。念のための規定でございまして、あるいは未収金等も頭に置いておるわけでございます。
  109. 藏内修治

    ○藏内委員 もう一点最後に、第七条に「国及び地方公共団体は、産炭地域関係保証が円滑に行なわれるよう努めるものとする」という訓示規定が置いてあります。この規定があることはたいへんけっこうではありますけれども、具体的に一体どうするのか。たとえば、こういう法律ができるということになりますと、考えようによっては、炭鉱売り掛け代金の支払いというものがかえってルーズになるおそれも実際は考えられる。そういう際に、この炭鉱中小企業者に対する支払いの遅延の防止のためにいかなる行政指導考えられておるか、その点について承りたい。
  110. 影山衛司

    ○影山政府委員 こういう措置がとられました結果、炭鉱中小企業昔に対する支払いがルーズになるということを防止しますために、先般来石炭局長のほうにお願いいたしまして、石炭鉱山のほうに対して、中小企業者に対する支払いを促進するようにという通牒を出していただいております。それに基づきまして、通産局長が中心になりまして、具体的に促進をはかっていきたいというふうに考えております。
  111. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 他に質疑の通告もありませんので、ただいま議題となっております六法案中、内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案電力用炭代金精算株式会社法案石炭鉱業経理規制臨時措置法案重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案及び産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律案の五案に対する質疑は、これにて終了いたしました。     —————————————
  112. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 まず、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について、討論に入ります。討論の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  113. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、ただいま議題になりました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案に対して、日本社会党を代表して反対の討論を行ないたいと思います。  去る四月に開かれました石炭鉱業審議会において——当初政府は閉山規模に対する予算要求として、買い上げ四百二十万トンにさらに保安買い上げ三十万トンを要求いたしておったわけです。しかしながら、審議会に政府原案として提出されましたのは六百七十一万トンであり、しかもこの六百七十一万トンの閉山規模の審議に際して、九州の地域において百万トン、加えて北海道地域において十八万トンの閉山規模を縮小して、五百五十三万トンの閉山規模を確定いたしました。しかも、これに見合う再就職計画が労働省から同様に提案をされておりますけれども、昭和三十七年度の三月末で、一万八千四百人の炭鉱労働者が依然としてその職を得ていないわけです。加えて今年は三万四千二百人の人々が就職するとしても、五万二千八百人の人々が離職をするのでありますから、結局一万八千六百人の人が昭和三十九年に持ち越される、こういうことになりますと、この再就職計画というものは、少なくとも有沢調査団答申、あるいはまた石炭問題が多くの人々の関心を集めてスムーズに雇用を転換する、こういうたてまえからいっても、われわれの期待しておるところと非常に離れているわけです。さらにまた、この閉山規模を確定するにあたって、特に九州における百万トン縮小については、三井の田川並びに山野と想定される二山の企業のあり方について、付帯して一応意見書が付されておるわけです。それは当該会社の再建のために、この二山は第二会社として存続を認めるべきである、いわゆる企業形態の変更について鉱業審議会がその意見を付するということは、あくまでも鉱業審議会の権限以上の問題であり、行き過ぎであると、私は明確に指摘をしなければならないと思います。このような企業形態を変更することに介入できる権限が、審議会にあるのだろうか。この審議会にはこういう権限はないわけでありまして、この点明らかに不当であると考えるわけです。さらにまた、政府が当初予算を要求しておるにかかわらず、六百七十一万トンという、予算を大幅に上回る閉山規模を原案として出したということは、政府の合理化計画のずさんさを明らかに物語っておると私は考えるわけです。しかも六百七十一万トンというのは、一体どういう根拠に基づいた閉山規模であるか。このことをしさいに検討してまいりますと、これは明らかに、今日の石炭企業が希望するいわゆる閉山規模が、すなわち六百七十一万トンである。今日の石炭企業が希望する六百七十一万トンを、そのまま政府が原案として審議会にかけた。とするならば、一体それらの石炭鉱業の整備計画というものが、単なる企業の意思によって、それを政府が受け売りをする、こういう形態をたどることは間違いないと考えるわけです。私どもが承知いたしておるところによりますと、有沢調査団答申に基づくいわゆる閉山規模の毎年次の計画は、一応その骨格が定められておると考えるわけです。したがって、昭和三十八年度閉山の四百二十万トン及び三十万トンはこの有沢調査団答申に基づいて、しかも四十二年度までを想定した年次閉山計画に基づいて、この予算が要求されておると考えるわけです。ですから今日政府石炭鉱業の整備というものは、有沢調査団を上回って、当初の昭和三十八年度を通り越して、昭和三十九年度もしくは昭和四十年度石炭鉱業の整備を行なっている、そういう整備を促進している、このように私どもは指摘をしなければならないと思います。  さらにまた、いま議題になりました法律案改正中、特に労働大臣が再就職計画を定める点について立法上改正点として明らかに出されておりますけれども、しかしながら、石炭鉱業審議会において再就職計画を確定したのは、現行合理化法の、いわゆる重要事項については審議の対象になるということで、現行合理化法を拡大解釈してこの審議会を強行した、ここに問題があると私は思うわけです。もし重要事項がすべて石炭鉱業審議会で審議ができるとするならば、何もこのように、労働大臣が再就職計画を定めて、それを提出して審議会の審議を得る、こういう必要は全然ない、このように私は考えるわけです。そういう意味では、この拡大解釈というものは明らかに行き過ぎであり、そういう面から考えて私どもは、この審議会の最終結論はとうてい了承できないわけです。このような本法運用については、強く反対せざるを得ません。  特に、具体的な改正点についての反対点として、まず第一点は、本法の一部を改正する法律案中第五条の二項中、石炭鉱業合理化整備計画と再就職計画との関連において、再就職計画が実行困難な場合には、有沢調査団答申によれば合理化整備計画を調整する、このように明らかに本委員会においても述べられているところであります。しかし通産大臣の答弁によりますと、あくまでもこれに再就職計画を変更させて合理化計画がスムーズに進展できるようにする、したがって、基本になる整備計画は変える意思はない、これを変えるのは、現行法にもあるように、著しい経済情勢の変動があった場合のみに限るのである、こういう答弁が実はなされておるわけです。このことは明らかに調査団答申趣旨と違いますし、有沢団長が本委員会において私ども委員に説明した調査団の構想とは大きく食い違っておる重要な問題点である、このような点について、調査団答申を全然取り入れないで、整備計画を優先させる、そしてあくまでも再就職計画は机上プランであってもこれに合わせるように行き方がとられるということになりますので、特にこの点について私どもは強い反対の意思を表明する次第です。  第二の問題は、第五十七条のうちの二でございますが、請負夫の使用の問題であります。この請負夫の使用承認においては、坑内にあっては、一応先ほどの答弁で、原則として起業工事のみに限るという方向が出されております。しかしながら省令案等を検討してまいりますと、この運用については起業工事のみに限定することは非常に困難である、このように私どもは理解せざるを得ないわけです。そういう意味では、坑内組夫の使用は当該炭鉱企業における起業工事のみに限ると明確に法文化すべきである、このように私どもは考えておる次第です。それと同時に、最近の坑外における炭鉱組夫の使用、いわゆる請負夫の使用は漸次増大をしてまいりました。石炭産業は御存じのように、運搬産業である、こういわれております。石炭を掘りくずして、それが商品となって消費者の手に渡るまで、すべて運搬される、そういう性格を表現いたしておるわけでございますが、今日坑口を出た石炭を坑外の選炭機に運ぶ、さらにまた坑口から出るボタを坑外の捨て場に搬出をする、あるいはまた、選炭をした結果出る黒いボタは同様にボタ捨て場に運搬をする、これはいずれも石炭販売に至るまでの、運搬工程の一貫した職場であると私どもは考えるわけです。しかるに今日石炭合理化をどんどん推し進めている結果、坑外におけるこれらの職場は、ほとんど組夫に転換されつつあるわけです。白ズリの捨て場、あるいはまた、選炭の結果として出る黒ズリの捨て場への運搬作業のみならず、その捨てる作業、これらの作業組夫に転換される、あるいはまた、これに要する炭車の恒常的な修理についても、組夫がすべて直轄と切りかえられて充てられておる。極端なのは、石炭を受炭して選炭機におろす、この受炭場における作業についても、組夫が全面的に直轄に切りかわって作業している。こういう傾向が非常に強くなってまいりました。少なくとも直轄従業員のほうが今日どんどん首を切られるという情勢の中では、石炭産業の工程におけるすべての作業は恒常的なものでありますから、当然請負夫の使用は禁止さるべきである、そういう意味で、特に炭鉱企業の持つ性格あるいは作業内容等から検討しまして、坑外についても、特定の作業面についてはあくまでも組夫の使用は規制すべきである。残念ながら、本法における組夫使用の制限は坑内に限っておる、このことを非常に遺憾に考えるわけです。私は本法改正中、特にこの二点について強く反対の意思を表明するわけです。したがって政府は、すみやかにこれらの問題について再検討して、むしろこの法案を撤回されて、いま申し上げました趣旨に基づいて本法案をあらためて提出すべきである、このように考える次第です。  以上申し上げまして、本法案に対する反対の意思を表明する次第です。
  114. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 これにて、討論は終わりました。  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案について、採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  115. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
  116. 上林山榮吉

  117. 岡田利春

    岡田(利)委員 ただいま、議題になりました法案が原案のまま可決されたのでありますが、私どもは、ただいま反対討論で申し上げましたとおり、一年間にわたる調査団調査の結果答申がなされて、本法案の改正となって提案されてまいったわけですが、しかし第一点として、石炭鉱業合理化整備計画と再就職計画との関連において、再就職計画が実行困難なときには合理化整備計画を調整すべきであるという点が、この法案にすなおに盛られておらないわけです。さらにまた、組夫の使用の承認につきましても、坑内における使用規制が非常にぼく然としておる。さらにまた、先ほど申し上げましたとおり、坑外における請負夫の使用、これも今日、炭鉱における合理化の実情から考えて、当然規制すべきであると考えるわけです。しかしながら、私どもの意見が取り入れられなかったわけですが、本委員会がその運営上非常に困難もありまして、私どもは修正案を出して、できればこの修正案について御審議を願いたかったわけですが、時間の関係でそれができませんでした。したがってこの法案は、以上申し上げました趣旨に基づいて、あくまでも否決されるべきであるという意見であります。したがって、この少数意見を保留いたしたいと思いますので、委員長のほうでしかるべく御処置を願いたいと思います。
  118. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 ただいま議決いたしました石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、電力用炭代金精算株式会社法案石炭鉱業経理規制臨時措置法案重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案及び産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律案の四法案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  電力用炭代金精算株式会社法案石炭鉱業経理規制臨時措置法案重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案及び産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律案を一括して採決いたします。  以上四法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  120. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 起立総員。よって、四法案はいずれも原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  121. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 ただいま可決いたしました四法案に対して、それぞれ始関伊平君外二名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者に趣旨弁明を求めます。始関伊平君。
  122. 始関伊平

    始関委員 私は自由民主党、日本社会党並びに民主社会党を代表いたしまして、ただいま可決せられました四法案について、附帯決議を付する動議を提出いたしたいと存じます。  まず、案文を朗読いたします。    電力用炭代金精算株式会社法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当り次の諸点につき十分検討の上、特段の配慮を払うべきである。  一、長期引取り契約の履行の確保をはかるとともに電力用炭販売については直売方式を促進するよう強力に指導すること。  二、基準炭価の決定に当つては、大手中小炭鉱間の炭価格差を解消するよう配慮すること。  三、会社が将来、流通面の改革推進のための母体となるよう育成すること。    石炭鉱業経理規制臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法趣旨にかんがみ、指定会社の行なう社外投資については、石炭需要確保並びに炭鉱離職者の雇用の増大に資するものを重点として指導その他適切な措置を講ずべきである。    重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当りその運用の適正を期するとともに、次の諸点について十分検討を加え特段の配慮を払うべきである。  一、重油専焼火力発電所の建設に当つては、石炭引取量が円滑に消化されるよう措置するとともに、石炭火力発電所建設等の措置を講じ、以つて石炭需要確保と増大に努力すること。  二、伝熱面積百平方米以下のボイラー産炭地設置する場合は、資金のあつせん等国の援助を行ない、石炭ボイラー設置を容易にするよう指導すること。    産炭地域における中小企業者にいての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当り次の諸点ついて十分検討のうえ、特段の配慮を払うべきである。  一、産炭地域関係中小企業者が、本法の特別措置を十分利用することができるよう、政府関係機関からの融資の確保を図るとともに、市中金融機関の中小企業者に対する融資の円滑化に資するため、信用保証証協会の保証機能を高めるよう措置すること。  二、産炭地域中小企業者及びその従業員の職業及び生活の安定に資するため、政府関係事業場の設置産炭地域振興計画について早急に措置すること。 以上であります。  この四つの決議案の内容並びにその趣旨といたしますところは、おのずから明らかでございまして、特に説明を加える必要はなかろうかと存じております。ただ一点だけ申し上げておきたいことがございます。  それは、最近における石炭需給の状況等にかんがみますときに、貯炭累増に対処する問題が緊急となりつつあるということであります。したがいまして、われわれといたしましては、電力用炭代金精算株式会社法案に対する附帯決議案の第三項の、流通面の改革についての政策を進める場合には、政府といたしましては、貯炭問題をもあわせて十分検討すべきであるというふうに考えておるということでございます。  何とぞ満場の御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  123. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 これにて、趣旨の説明は終わりました。  これより、本動議を採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  124. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 起立総員。よって、四法案にいずれも附帯決議を付するに決しました。  ただいまの四法案に対するそれぞれの附帯決議に関しまして、この際、政府の所見を求めることといたします。福田通産大臣
  125. 福田一

    福田国務大臣 ただいま議決をいただきました附帯決議につきましては、それぞれの趣旨を体して善処をいたしたいと存じます。  なお、電力用炭代金精算株式会社法案に対する附帯決議のうちで、提案者からも御説明がございましたが、第三項に「会社が将来、流通面の改革推進のための母体となるよう育成すること。」とございますが、その意味は提案者の御説明のとおりと解釈いたしまして、この会社が貯炭等をも行なうことができるようなことについて検討をいたしてまいる所存でございます。     —————————————
  126. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 ただいま議決いたしました四法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七分散会      ————◇—————