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福田国務大臣 もちろん今度の
石炭対策も、われわれは
自由主義経済の範疇の中において
石炭政策をどう育てていくかということを
考えて
措置をいたしておるわけであります。したがって、
合理化をして、そして十分にそういう
価格の面においても
競争力が持てるようにしていこうというのが大きな
一つの柱になっていることは、御
承知のとおりであります。何も
石炭を
国管にしたというわけではないのであります。国営にしたわけではない。こういう
観点から
考えてみまして、いまあなたは、
価格の問題、
維持の問題で私があげたのをその
対策だとおとりになったようですが、たとえばそういうような
考え方もあるというので、私はそれをやると申し上げたわけではありません。しかし、そういうようないろいろな
考え方があり得る、こういうことを十分いつも
考えておりながら、その場合に応じて
措置をしていくようにしたほうがいいであろう、そういうことであって、もし、いまあなたがおっしゃるように、
価格の問題について何でも
政府に責任を持たせるということであれば、これはもう国民
経済全部についてやはり一種の統制でもやって、すべての問題にそういう
措置をしなければできないだろうと私は思う。あなたのおっしゃるようなものは、全部ぴったり割り切った形というものは、なかなかできるものじゃありません。要するに
石炭の場合におきましても、
価格の面で千二百円
引きしたところくらいでやれば、大体それで
合理化をしていけば
石炭産業は立ち直れるはずだ、また立ち直れるようにしていくべきだということで、いまめどを示してそれをやっている。これが非常に値が下がるということになれば、
石炭の
価格というものは、
電力用炭でもって、大体基準はあそこになるわけで、なおかなりそれと違った
値段も出ますけれども、あそこが基準になる。だからこそ、今度はいわゆる
会社をつくって、そこで
電力会社がどれくらいで買っておるかということを明らかになるようにして、そうして私
たちは
価格の推移を常に見守れるようにしておこうという
措置もとっているわけでありまして、
電力用炭があまり値が下がらないようであれば、大体いまの油の
値段でいけば、それほど
価格の変動が起こるとは私は
考えておりません。
価格はもちろん
需要供給の
関係もありますから、供組面は大体押える、
需要面をひとつは喚起して、そうしてよそからの競争の割り込みを防ぐ、こういうような三本立てで
価格問題は
考えていくよりしかたがないと思うのであります。よそからというのは、いまのところさしあたりは油の問題である。一方
需要の問題については、国内炭の国内における消費をできるだけふやすために、ボイラー規制法の延長を
考えるとか、その他、
電力業界とかその他のところにもできるだけ
石炭を使わせるようにするということをやっているわけであります。こういうことをしながら、一面においてその
値段を、どの程度になっているかということを特に
電力用炭について明らかにする方法をとっているというように
施策をしているのでありまして、大体これで
石炭鉱業を安定して、そうして運営をして、
石炭鉱業が成り立っていく方向に向いていると思います。
将来どういうことが起きるかということになれば、それは、もういま世界は非常な変わり方で
経済自体が動いておりますが、それについて一々ここで想定をして申し上げるわけにはいかないわけであります。しかし、国内資源をある程度活用するということは、国がそれに対して何らかの損失負担をしても、やはりそれだけのメリットの出てくるものだという
考え方を実は私は持っております。国内資源を活用するということは、それ自体が大きなメリットを持っておる。だから、少なくとも五千五百万トンくらいの
石炭、いわゆる国内の
石炭というものを使うということは、外、財界からの何らかの
事情が起きてきたとしても、ある程度これはやっていっていいのじゃないか。しかし、それでも
重油が
トン当たり三千円になったらどうなる、そういう想定をして問答をしましたら、これは際限がないことであります。そのときに応じて処置を
考えるということであればいいと私は思っているのであります。実はこれは私がここで申し上げる必要もないし、
井出さんなんか一番よくわかっておられることですけれども、大体私
たちが職場を得るというのは結局は生活、いわゆる文化的な生活ができるように収入を得るというのが目的でありまして、時と場合によってその職場が変わるとか、あるいは職業が変わったからといって、それが絶対悪とは言えない。
政治からいえば、絶対悪とは言えない。一定の収入を
確保させる
仕事があれば、それは絶対悪ではなくて、むしろ善になる場合も
相当あると思います。もし職場が変わるのが絶対悪ということにすれば、
経済環境の変化ということを認めないということにならざるを得ない。そういうことは、いまのような激変する世界
経済の中においては、とうてい行なわれる筋ではない。ただし、統制をやれば別であります。国家統制をやって、そうしてみなをきちっと動かしていくということであればできるかもしれないが、いまの自由
経済のもとにおいてはそれは非常に無理なことであると私は思っております。こういう
観点から
考えてみまして、その場に応じて、われわれとしてはできるだけ
価格を
維持して、
石炭産業をこの方向で処理していきたい。油もまだ、過剰ぎみではありますが、いまのところこれ以上下がるということはありません。第一日本の国内の油は、世界的に見ても非常に安売りをされている場でありまして、これ以上、赤字を出してもダンピングしょうということは、ちょっと
考えられない。しからば、外からの脅威はいまのところあまりないといわなければならない。結局国内における
需要供給の
関係でありますから、供給は五千五百万トンという最低限の数字で押えて、
需要のほうは
政府のいろいろな
施策によって、
電力その他に消費させるような
施策をとるということであれば、これは大体
有沢調査団の構想でもあり、われわれもそれを納得して受け入れている
方針でありますが、まあまあこれでしばらくやっていけるのではないか、また、そうすれば
石炭産業も十分に立っていけるし、そこに働かれる人の生活も守れるんだ、こういう
考え方をとっているわけであります。