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1963-06-12 第43回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月十二日(水曜日)    午前十時四十一分開議  出席委員    委員長代理 理事有田喜一君    理事 岡本  茂君 理事 神田  博君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 中村 重光君       有馬 英治君    木村 守江君       藏内 修治君    白浜 仁吉君       中村 幸八君    井手 以誠君       滝井 義高君    細迫 兼光君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業事務官         (石炭局長)  中野 正一君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      塚本 敏夫君         労働事務官         (職業安定局         長)      三治 重信君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      海堀 洋平君         通商産業事務官         (石炭局炭政課         長)      井上  亮君         労働事務官         (職業安定局調         整課長)    北川 俊夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第九二号)  電力用炭代金精算株式会社法案内閣提出第九  三号)  石炭鉱業経理規制臨時措置法案内閣提出第一  二四号)  重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第一五八号)      ————◇—————
  2. 有田喜一

    ○有田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、指名により、私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案電力用炭代金精算株式会社法案石炭鉱業経理規制臨時措置法案及び重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、前会に引き続き、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。井手以誠君
  3. 井手以誠

    井手委員 通産大臣が見えておりますので、主として大臣にお伺いをいたしたいと思います。  お伺いする前に、福田通産大臣に一言、合理化に対する政府方針について申し上げたいことがございます。三十八年度閉山は、きのうの質疑によりまして、五百五十三万トン、しかし第二会社に移行を予想される三井の九州筑豊の二山と北海道を加えますと、六百七十万トンになるのでありまして、現実には百十八万トン、筑豊の百万トン、北海道の一八万トンは、これは合理化されたものと思わねばならぬのでありまして、これほど予想を越えた合理化——調査団やあるいは世間からは、離職対策関係からも、なるべく合理化対策はスローダウンすべしという要望があったにもかかわらず、急激にこういう閉山をしなくてはならなかったこと、そういう事態になったことに対して、政府に断固たる決意がなかったことを非常に私は残念に存じております。法律も通らないのに、何ゆえに一番大事な三十八年度合理化計画を強行なさったのか。私は二月の初めに、この事態のあることを予想しまして、何回も通産大臣福田さんに注意を促しました。法律も通っていないのに、一番大事な合理化計画の山といわれる三十八年度閉山を受け付けますならば、五カ年にわたるせっかくの合理化計画もこわれてしまうおそれがある。現実の問題から申しますと、閉山受付をいたしますと、現場の炭鉱においてはもう閉山同様の実態になってまいるのでありますから、たとえ労働者が、労働組合が承諾したものであるといえ、それはやむを得ない事情労働組合労働者は追い込まれておるのでありますから、当時の情勢から申しますと六百万トン、いな七百万トン前後になるという心配が非常にございましたから、受付を一時中止してもらいたいということを、この委員会においても、あるいは大臣室においても、党の諸君と一緒に私は要望しました。しかるにかかわらず、とうとう会社の一方的な閉山計画を受け付けてこういう事態になってしまったことを、私は非常に残念に存じております。私は、その既成事実をつくって今日合理化法改正案審議されることに、実は熱意を失いました。勝負あったと私は考えております。したがいまして、私は非常に残念でございますが、いまさら死児のよわいを数えたくはございません。合理化計画に対する当局のその態度に対しましては、同僚の滝井委員から十分せんさくがございましょう。私はもはやこの点については触れませんが、この事態に追い込んだ当局態度会社の一方的な閉山申し出を受け付けたという、そのことが今日の事態に追い込んだということに対して、私は非常に残念に存じておりますから、この機会適度大臣から、もしそれに対する所感がありましたならば承っておきたいと思います。将来の参考に私は承っておきたいと思います。すでに石炭合理化という、あれほど世間を騒がした問題が、事実上はもう峠を越してしまっておる。しかしなお、石炭問題は今後といえども決して重天性が薄らいだものではございませんから、将来の参考のために、なぜわれわれの注意を受けられなかったのか、その点についての通産大臣所感がありますならば、この際承っておきたいと思います。
  4. 福田一

    福田国務大臣 井出さんの御質問といいますか、御要望といいますか、私としても十分納得のいく面もあるわけでありますが、ただわれわれといたしましては、現行の法律のうちで、合理化をするために重要事項審議することができるという条文がございますので、いままでもそれで大体やってきておりましたし、この段階においてもやはりやれる。また、これは意見の相違になって恐縮に存じますが、そうやるほうが、残って仕事をされる労働者人たちのためにもプラスになるし、それからまた長い間どうなるかわからないで不安な状態に置かれて、結局は離職をされなければならない労務者のためにも、ある程度はっきりさしたほうがいいのではないかという観点もございまして、法律の認めるところに従って措置をとってまいったつもりであります。井出さんのお話のように、いわゆる調査団計画よりはかなり先行してしまったじゃないか、しまっておるということになりますと、われわれはそれほど先行したとも思いませんが、しかし、確かにそういう面もあると思います。あると思うけれども、この種の問題というものは、病気で手術をするようなもので、手術をするかしないかということが大事で、手術でうみを少し残してもいいというわけにはいかない、手術をする以上はうみを出してしまったほうがいい。これは場合によっては当てはまらない例になるかもしれませんが、それもどういうことかといえば、やはりその人の生命を助け、将来りっぱに立ち上がって仕事ができるようにする手段であります。どの手段によっていくか、手段をどういうふうにしていくかということでは、私はやはり、ある程度押し切るところもあることがかえって生かす道にもなるのではないかという感じがいたします。もちろん私たちは、調査団調査を全然無視してやっておるわけでも何でもありません。法律の規定に基づいてやっておるつもりであります。  ただ、井出さんのあれからいえば、法律を直すというのに、直さないうちからやってしまったのはおかしいじゃないかという点を特に強調されておるかと思いますが、しかしやり方としては、政府としてはいままでのような、スクラップするというだけでなくて、スクラップ・アンド・ビルドすると同時に、雇用対策も十分考えてやるのだという政府方針なんです。そして今度の法案において雇用対策という面を改正していただくようになっておりますが、しかしスクラップ・アンド・ビルドすることも、雇用の問題も、いわゆる重要事項である、これはできるのであるというたてまえで、臨時国会のときにも、また通常国会の冒頭においても、私たちは、政府としてその見解で今日まで臨んできておるのであります。こういう意味でわれわれとしては措置をいたしてまいったのでございます。あるいは、いわゆる計画とは少し先行しておるじゃないかというようなおしかりを受けるかもしれませんが、決してそこにわれわれ、悪意とかあるいはそういう労務者に対する配慮が足りないということではなくて、むしろすっきりさせていくということが将来の石炭産業を健全に育てる道でもあるというような観点も加えつつ、しかもなお調査団の意向も一面において十分参酌して処置をいたしておった、こういうふうに御了解を賜わりたいと思います。
  5. 井手以誠

    井手委員 せっかく大臣のおことばですが、なかなか納得するわけにはまいりません。大臣はかって議運委員長もなされました。国会の権威については、先頭に立って戦ってこられた人のはずであります。十分御理解になっておるはずであります。さほど審議会を開いて合理化計画をきめなくてはならぬ急のものであるならば、なぜこの大事な法案審議促進をはかられなかったか、三月中に成立するような努力をなぜされなかったか、私はその点を申し上げたいのであります。なるほど、いまの法律によってもできるかもしれぬとおっしゃる。しかし、私はこのくらい、政党政治家として、あなたの口から聞くことの不愉決なことはございません。何のために法律を改正するのですか。何のためにあれほど政治問題になりましたか。いまの法律でやれるならば、なぜ改正案を出す必要がありますか。私は、そういうことば局長なり課長から出るのは、官僚けしからぬと言って済むかもしれませんけれども、議運委員長をやり、あれほど議会政治のために努力してこられた福田さんが、いまの法律でもやればやれたのだ、そういうことばを使うのは非常に残念に思います。私はこれに対しては返事は求めませんが、その点は十分戒心を願いたいと思う。この合理化案がもう実際は済んでしまったような事態になってこの法律案審議するということ、私は非常に残念でございますことを重ねて強調いたしまして、この点についてはもう申し上げません。  そこで、あとは二、三事務当局でけっこうですが、炭界事情はここ半カ年の間に事態が一変したと私は考えております。炭界において、残ったビルド山においても事情は変わってまいったと私は思います。あるいは雇用の問題においても、技術者の面においても、炭価の問題その他についても変わったと考えておりますが、通産当局で今後石炭対策としてとらねばならぬことはどういうふうにお考えになっておりますか。もちろん、今日の合理化計画を円滑に推進していくということが前提でありましょう。それはよろしゅうございます。そのほかに最近のような事態になって、通産当局はどういうふうにお考えにならねばならないか、その検討されておることについてこの機会に承っておきたいと思います。
  6. 中野正一

    中野政府委員 いま井出先生のおっしゃいましたように、今後の石炭政策重点をどこに置くか、これは昭和三十八年度合理化実施計画につきましては、いま御質問がありましたように、この四月に、非常に早急を要するというので、石炭鉱業審議会にかけたわけでありまして、まず第一は、いま言われました本年度合理化実施計画というものを円滑に実施をしていく、これによりまして残る山の企業、またその企業に働く人の生活安定ということを第一に考えていかなくてはならぬというふうに考えております。これが前提といたしましては、やはり一番大事なことは需要確保、これがまた非常にむずかしい事態になってきておるのじゃないかというふうに考えておりますが、まあ幸いにして皆さま方の御努力によりまして、本年度は五千四百五十万トンの需要確保するという目標を立てまして、これを五千五百万トンに広げるべく、さらに政府としてもきめのこまかい対策実施をしていく。さらに今後昭和四十二年度にかけまして、この需要確保ということが一番大事じゃないか。これにはやはりどうしても電力鉄鋼等中心といたしまする大口長期取引の拡大、あるいはセメント用炭確保、あるいは重油ボイラー規制法によるところの一般炭需要の減少の食いとめ、いろいろな政策をいまやっております。そういう政策を力強く、しかもきめこまかくやっていくことが一番大事じゃないかというふうに考えておるわけでございます。  同時にやはり千二百円引き路線、これは石炭業界にとりまして、またわれわれが見てもそうなんですが、非常にシビアな線でありまして、これは業界としてもどうしてもやっていくということで、いままで着々千二百円引きの線で値段を下げてきておりまして、本年度も二百五十円引きということをやっていかなければならぬ。この問題につきましては、やはり千二百円引きの線というものを保持するように、関係業界協力を得ることによりまして、政府相当指導力を発揮してやっていかなければならぬ。これがやはり先ほど言われましたように、最近における需給の関係からいいますと、なかなかむずかしいというような実勢にあることも認めざるを得ないわけでございます。これにつきましては、今度の法律によりましても、基準炭価というようなものをきめると同時に、一般炭大口需要でありますところの電力用炭につきましては、電力用炭精算株式会社というような特殊機関をつくって精算させるというふうな仕組みを考えておるわけであります。そういうことによって価格の安定をはかっていかなければいけないのではないかということを考えております。  さらに問題は、離職者対策を十分にやっていくということは当然のことでございますが、山自身の問題として最近起こっておる問題は、やはり炭鉱の将来に対して働く人が希望をだんだん失いつつあるのではないか、そういうことでやはり技術者中心として、若いほんとう働き手というものが山を去っていく、こういうふうな事態になる傾向が出てきておるわけでありまして、将来とも、有沢調査団答申にもありますように、五千五百万トンの石炭生産というものは、エネルギーの総合的な見地からいっても、最小限どうしても必要である、また、これを需要する面の国内の重要な産業というものがこれを期待しておるわけでありまするから、その意味におきまして今後は、やはり供給の確保ということもあわせて考えていかなければいかぬ。したがって、そのためにはスクラップ・アンド・ビルドを円滑に適正に行ないまして、残った山ができるだけ近代的な雇用形態で、山自身ほんとうに安定した経営を続けるというふうな環境をつくり上げるということによりまして、そういう必要な労働力確保というか、働き手確保という面にも重点を置いていかなければいかぬというふうに考えております。  さらに、今後の整備あるいは合理化を進めていく上に、実は昨日来井出先生が御指摘になっておりますように、ここ数年間はまだ非常に石炭産業としては重荷をしょいながらやっていかなければいかぬときでありまして、特に市中一般金融機関にもその所要資金確保については相当努力をしてもらい、また協力をしてもらわなければいけませんが、やはり調査団答申で述べておりますように、基本的には、政府がこれに相当の金を合理的に投入することによりまして、所要資金確保ということも考えていかなければいかぬというふうに考えております。   〔有田委員長代理退席神田委員   長代理着席〕  さらに、合理化するに従いまして、御承知のように、産炭地が疲弊をしてまいるわけでありまして、これも何度も議論がされておることでございますが、産炭地振興ということにつきましては八月の中旬ごろには産炭地振興審議会中間答申を得て、政府として所要施策をやっていくつもりでおるのでございまするが、この審議会審議を促進いたしまして、また緊急な問題につきましては、別途緊急措置も逐次講じていくことによりまして、産炭地振興ということにさらに力を入れていく、こういうふうな方向でわれわれは考えていきたいというふうに思っておるわけであります。
  7. 井手以誠

    井手委員 今後の石炭対策について、石炭局長は五点をあげられました。その一つ一つをお伺いする前に承っておきたいのは、調査団が描いた四十二年度末における炭界見取り図、青写真がだいぶん変わってきたと思うのです。いまの状態で参りますと、いま局長お話の中にもあったように、将来に希望を失う者は労働者ばかりじゃない、業者においてもしかりである。予想以上の閉山申し出がある事実からいたしましても、何とか自分の山だけは守っていきたいという熱意、熱情が昨年の九月ごろまではあったのが、最近非常に冷却して、そんなめんどうなことはやめてしまえという空気に変わっておる。そういうことを考えますと、調査団調査された当時に比べると、私は四十二年度末における石炭見取り図というものは変わってくると思うのですが、石炭当局はその点はどういうふうにお考えになっておりますか。炭鉱の数がどのくらいになるか、そういう点について見当がついておれば承っておきたい。
  8. 中野正一

    中野政府委員 最近の石炭産業の置かれている環境が非常にシビアであるということは、御指摘のとおりでありまして、この点につきましては、有沢調査団も十分その当時から検討をされた問題でございまして、私の見るところでは、有沢調査団の出された基本路線というものが、現在の情勢あるいは政府がやっている施策というようなものからいろいろ考えまして、基本的に変わっておるというふうには考えておりません。ただ、これも調査団当時予想されたことでありますが、スクラップ・アンド・ビルドは三十七年度、三十八年度相当集中的に行なわれざるを得ないであろう。したがってまた、施策もそこらに重点を置いていく。もちろんこれは三十九年の問題もあるわけでありますが、そういうお考えもあったようでございます。この点についてそう変わりはないのじゃないかというふうに考えております。ただ、炭鉱の数がどうなるということになりますと、これは調査団当時もいろいろな試算はいたしておりますが、試算といたして参考資料検討資料段階においてはいろいろ検討しておりますが、いまここで当時検討した資料がどういうふうに変わったかということは、またわれわれも、今後さらに検討を続けなければならぬ問題である。将来の問題についてはその程度のお答えしかできないような状態になっております。
  9. 井手以誠

    井手委員 大臣にお伺いいたしますが、ビルド炭鉱の能率がどんどん上がってまいりますと、生産制限をしなくてはならぬ事態になってまいります。一方では需要確保という重大な問題がある。その需要確保について、政府がきめられた石炭政策大綱どおりに進む確信がございますか。需要確保について政府石炭対策に述べられた、あのとおり確保される自信がございますか。
  10. 福田一

    福田国務大臣 われわれが五千五百万トン最低の線において押えるということを言うておるのでありますから、そのように施策をしてまいりたい、かように考えております。
  11. 井手以誠

    井手委員 いや、施策はおやりになるでしょうが、ずっと変わってくる経済状態に対処して、これなら大丈夫という強い確信がおありになるかと聞いているのです。
  12. 福田一

    福田国務大臣 変わってくる経済に対応して、やはり施策も変えていかなければならないと思いますが、変わってきても、エネルギーの中においてそれだけの分はどうしても使うように施策をしていく、こういうことでありますから、変わればやはり変わった施策をしてこれに対応していく、こういうことに相なると思うのでございます。
  13. 井手以誠

    井手委員 基準炭価の問題でありますが、三十九年からは千二百円を下げた線を維持するというのが方針でありますが、いまお話しになった、経済が動いた場合にどういう対策をおやりになるのか。これはそのときそのときというわけには参りません。やはりこれは関係者が安心して仕事ができるような政府方針を示しておくことが、まず大事であると私は考えておりますが、どういうきめ手がございますか、どういう方針でございますか。重油に対しくあるいはその他の関係に対して、動いた場合に、千二百円下げたままでそれを必ず維持できるというその確信をお伺いしたいのです。
  14. 福田一

    福田国務大臣 電力用炭中心として、千二百円下げて運営していくわけですから、その面では政府電力業界との間の話し合いで話をつけられると思っております。ただ同値は、そういうことよりは、もっと油の値段が下がった場合どうなるかということのほうが大きい問題ではないかと私は思います。そういうような場合においても、政府としてやはり五千五百万トンの石炭出炭量は最低限として認めるということを明らかにした以上は、政治の信用の面からいっても、その場合にどういう措置をとるかということは、これはいろいろあるでしょう。何らかの形で、金利の問題で処理するか、あるいは価格の問題で処理するか、買い上げの措置によってやるか、それはいろいろあると思います。しかし、そういうことは別にしても、とにかく五千五百万トンはやはり維持して、それだけはいわゆるエネルギー源として使っていくという施策をやるのだということで、問題は大体いまこの場合に、それじゃ原油がトン当たり千円下がったらどうだ、三千円下がったらどうだ、五千円下がったらどうだという個々の問題ではなくて、政治の心がまえとしてそういう態度をとって、そしてそれに応じた措置をとっていくということで御了解を願う以外には道はないと私は思っております。
  15. 井手以誠

    井手委員 需要の問題よりも、私は特にこの際お聞きしておきたいのは、炭価維持の問題です。現在安売り競争が行なわれて、ひどい値段です。だから炭鉱予想以上につぶれていくのです。炭価がある程度安定するならば、そうおれもやめよう、おれもやめようという閉山の続出は起こらないと思うのです。そこで、あくまでも政府は、千二百円を引き下げたその線で維持したいという決意に変わりはございませんとおっしゃるけれども、今日までの政府のやったことについては、物価対策と同様です。そう安心できるものじゃございません。みんな非常に不安に考えておりますから、そういう場合にはこういう方法をとって御迷惑はかけませんという言明をあくまでもほしいのです。  それではいまお話になった千二百円引いた値段政府が買い上げるというのが一つであると、いま大臣がおっしゃいました。それから、価格差を補給しようという案もあるとおっしゃいました。それに引き下がった分に相当する金利を見てやろうという案、三つの案をおっしゃいました。そういう大体三つの案で価格維持していこう、こういうことでありますか。私は大臣に同じことを何べんも繰り返したくはないのですが、この点はやはりみんなに安心させぬと、いかに通産省が努力をいたしましても、引き合わぬ値段になったら石炭界はだめですよ。どんな大手であろうと、いまのように安売り競争になったらしまいです。政府石炭政策の大事な点は、一つの大きな柱は価格維持にあると思うのです。千二百円はこれはもうやむを得ない、不承不承みんな従ってきた。それ以上には下げませんというならば、この際、重油との関係でもっと下がるような場合にはどうするという、その場合には安心して政府にまかせろという施策を示すことが、私はほんとうの親心であると考えます。それを示していただきたい。
  16. 福田一

    福田国務大臣 もちろん今度の石炭対策も、われわれは自由主義経済の範疇の中において石炭政策をどう育てていくかということを考え措置をいたしておるわけであります。したがって、合理化をして、そして十分にそういう価格の面においても競争力が持てるようにしていこうというのが大きな一つの柱になっていることは、御承知のとおりであります。何も石炭国管にしたというわけではないのであります。国営にしたわけではない。こういう観点から考えてみまして、いまあなたは、価格の問題、維持の問題で私があげたのをその対策だとおとりになったようですが、たとえばそういうような考え方もあるというので、私はそれをやると申し上げたわけではありません。しかし、そういうようないろいろな考え方があり得る、こういうことを十分いつも考えておりながら、その場合に応じて措置をしていくようにしたほうがいいであろう、そういうことであって、もし、いまあなたがおっしゃるように、価格の問題について何でも政府に責任を持たせるということであれば、これはもう国民経済全部についてやはり一種の統制でもやって、すべての問題にそういう措置をしなければできないだろうと私は思う。あなたのおっしゃるようなものは、全部ぴったり割り切った形というものは、なかなかできるものじゃありません。要するに石炭の場合におきましても、価格の面で千二百円引きしたところくらいでやれば、大体それで合理化をしていけば石炭産業は立ち直れるはずだ、また立ち直れるようにしていくべきだということで、いまめどを示してそれをやっている。これが非常に値が下がるということになれば、石炭価格というものは、電力用炭でもって、大体基準はあそこになるわけで、なおかなりそれと違った値段も出ますけれども、あそこが基準になる。だからこそ、今度はいわゆる会社をつくって、そこで電力会社がどれくらいで買っておるかということを明らかになるようにして、そうして私たち価格の推移を常に見守れるようにしておこうという措置もとっているわけでありまして、電力用炭があまり値が下がらないようであれば、大体いまの油の値段でいけば、それほど価格の変動が起こるとは私は考えておりません。価格はもちろん需要供給の関係もありますから、供組面は大体押える、需要面をひとつは喚起して、そうしてよそからの競争の割り込みを防ぐ、こういうような三本立てで価格問題は考えていくよりしかたがないと思うのであります。よそからというのは、いまのところさしあたりは油の問題である。一方需要の問題については、国内炭の国内における消費をできるだけふやすために、ボイラー規制法の延長を考えるとか、その他、電力業界とかその他のところにもできるだけ石炭を使わせるようにするということをやっているわけであります。こういうことをしながら、一面においてその値段を、どの程度になっているかということを特に電力用炭について明らかにする方法をとっているというように施策をしているのでありまして、大体これで石炭鉱業を安定して、そうして運営をして、石炭鉱業が成り立っていく方向に向いていると思います。  将来どういうことが起きるかということになれば、それは、もういま世界は非常な変わり方で経済自体が動いておりますが、それについて一々ここで想定をして申し上げるわけにはいかないわけであります。しかし、国内資源をある程度活用するということは、国がそれに対して何らかの損失負担をしても、やはりそれだけのメリットの出てくるものだという考え方を実は私は持っております。国内資源を活用するということは、それ自体が大きなメリットを持っておる。だから、少なくとも五千五百万トンくらいの石炭、いわゆる国内の石炭というものを使うということは、外、財界からの何らかの事情が起きてきたとしても、ある程度これはやっていっていいのじゃないか。しかし、それでも重油トン当たり三千円になったらどうなる、そういう想定をして問答をしましたら、これは際限がないことであります。そのときに応じて処置を考えるということであればいいと私は思っているのであります。実はこれは私がここで申し上げる必要もないし、井出さんなんか一番よくわかっておられることですけれども、大体私たちが職場を得るというのは結局は生活、いわゆる文化的な生活ができるように収入を得るというのが目的でありまして、時と場合によってその職場が変わるとか、あるいは職業が変わったからといって、それが絶対悪とは言えない。政治からいえば、絶対悪とは言えない。一定の収入を確保させる仕事があれば、それは絶対悪ではなくて、むしろ善になる場合も相当あると思います。もし職場が変わるのが絶対悪ということにすれば、経済環境の変化ということを認めないということにならざるを得ない。そういうことは、いまのような激変する世界経済の中においては、とうてい行なわれる筋ではない。ただし、統制をやれば別であります。国家統制をやって、そうしてみなをきちっと動かしていくということであればできるかもしれないが、いまの自由経済のもとにおいてはそれは非常に無理なことであると私は思っております。こういう観点から考えてみまして、その場に応じて、われわれとしてはできるだけ価格維持して、石炭産業をこの方向で処理していきたい。油もまだ、過剰ぎみではありますが、いまのところこれ以上下がるということはありません。第一日本の国内の油は、世界的に見ても非常に安売りをされている場でありまして、これ以上、赤字を出してもダンピングしょうということは、ちょっと考えられない。しからば、外からの脅威はいまのところあまりないといわなければならない。結局国内における需要供給の関係でありますから、供給は五千五百万トンという最低限の数字で押えて、需要のほうは政府のいろいろな施策によって、電力その他に消費させるような施策をとるということであれば、これは大体有沢調査団の構想でもあり、われわれもそれを納得して受け入れている方針でありますが、まあまあこれでしばらくやっていけるのではないか、また、そうすれば石炭産業も十分に立っていけるし、そこに働かれる人の生活も守れるんだ、こういう考え方をとっているわけであります。
  17. 井手以誠

    井手委員 大臣が後段にお話しになりました職場転換の問題について、私はお聞きしたのではございません。私どもも職場転換が絶対不可である、悪であるとは申しておりません。ただお話しのように、いまの経済情勢雇用情勢の中では簡単に安定職場が得られないから、スローダウンをすべきであると主張してまいりました。誤解のないように願いたいと思います。  大臣はいま山元で大体どのくらいで炭が売れているか、御存じですか。御存じなら承っておきましょう。とんでもない安い値段です。電力用炭はなるほど一定の値段で取引ができておるでしょう。しかし一般に売られている炭は、ものすごい安いものです。それらを含めて私はお伺いをいたしておるのであります。私ここで重ねてお聞きしたいのは、あなたはよく自由主義経済のもとでは、資本主義経済のもとではとお話しになる。しかし何もかにも自由でということでは社会悪が出てまいります。不幸が出てまいりますから、修正資本主義とか、あるいはそういうイデオロギーは抜いても、やはり自由というものにある規制を加えなくちゃならぬことは当然だと思うのです。それが政治だと思うのです。そしてまた、石炭が成長産業とはいわれない事態になってまいりましたから、やむを得ない、合理化計画を進めていこう、しかし一面においては、これを近代化して少なくとも五千五百万トンは確保していこうというお考えですから、いま困っておる炭の安売り競争の中に、将来どうなるかという不安がございますから、その分についてはもっとみんなが安心される担当大臣の、責任大臣のおことばが私はほしかったのです。そのときはそのときでやってまいりますとおっしゃいますけれども、いままでの政府のやり方を考えてごらんなさい。物価対策一つをとっても、たいへんな違いじゃございませんか。そういう状態であるから、私は特に基準炭価の問題についてお伺いをしておるのであります。一言でいいのですよ。政府の責任でこうしますということをおっしゃっていただきたい。私は何も一銭一厘まけませんとは言っていないのです。そんな幅のないことは私は申し上げておりません。千二百円を引いたならば、あと著しい変動のないように、もし変動した場合には政府がこういう対策をもって皆さんの安心のいくように政策を断行しますということばを私は聞きたいのです。あなたはそう言質をとられないように逃げ回る必要はないのですよ。安心させるところに、大臣の値打ちがあるのですよ。それが福田さんの値打ちですよ。その権威にかんがみて、ひとつ言明を願いたい。
  18. 福田一

    福田国務大臣 私は何も、自由主義経済だからいわゆる個人の権利、経済行為に制限を加えてはいかぬというのではない。その点はあなたと同じことなんですから、誤解のないようにお願いいたしたい。また、そうでなければ今度のようなことはできないわけです。それはかなりな統制的なものの考え方が入っておるわけであります。しかし、にもかかわらず、そのこと自体は原理としてはそういうような自由主義、資本主義の中において行なわれる。それは価格の形成、価格の決定においても同じであります。もし下がったときにどうするんだということをおっしゃるならば、上がってもうけたときはどうするのか。上がらないときは、これまた保証できないでしょう。上がったときには返すという原則ならば、下がったときに全部カバーするという原則も成り立つでしょう。しかし、上がったときも下がったときもあり得るわけであります。しかしそれが異常に上がったり、異常に下がったりしては困るのであります。その異常の限度がどれくらいかというところは、ある一定の幅というものがある。その幅を割っているということになれば、これはまた問題は生ずる。それからその量にもよります。たとえば石炭の数量を百とした場合に、百分の一が非常に安値で売られ、百分の九十九は普通の値で売られたという場合に、百分の一はどうするんだ、需要供給の関係で実はどうしても売らないわけにいかないんで売ったんだという場合を取り上げて、石炭価格の問題全般をあれすることはできない。実はいまあなたに石炭が幾らで売られているか知っているかと仰せられても、私は各地各地の値段を知っておりません。井出さんは地元ですから、おれのところではこういうのがあるんだということをちゃんと腹の中に入れて質問されておるから、ちょっとこっちは困るわけですけれども、しかし全体としてそれほど隔たっておるのではない。そうなればもちろん私のところにも、そういう話がこなければならないと思っておるのです。そういう点から考えてみまして、そういうふうな極端な例があるとすれば好ましいことではございません。しかし全般として千二百円引きよりうんとまだ下がった値段だということになればたいへんですが、私はそこまではいっていないんじゃないかと思っております。特に電力炭が二千万トン以上、その他一応われわれの目の届く範囲の売買できるものが三千万トン以上ございますから、その分についてはそれほどのことはない。残りの二千万トンかれこれのうちにおいて、それじゃどうなっておるかということは、全部分析してみなければわからないことでありますが、特にそういう場合において需要者が買いたたきをした、何か変なやり方をして安値でたたいて買ったとかいうことであれば、そういうことに対してはわれわれとしても行政的に何か手が打てるわけですが、しかし価格というものは需要供給の関係できまりますから、その場合に、会社のボーナスを出すために、あるいは賃金を出すために、いま資金が何としても要る、銀行からも借りられないからというので、安売りをする場合がないとはいえないと私は思います。私、価格がどの程度に下がってやられておるかということを、はなはだ申しわけないのですが、まだ事務から聞いておりません。もしそういう事態があれば、われわれとしても十分対策考えなければならないと思っておる次第であります。
  19. 井手以誠

    井手委員 非常に不満ですが、次に移ります。  これは中野さんでけっこうですが、経理規制の問題ですね。これは該当する山は幾らであるか、それから利益金処分の認可基準はどういうものであるか、第三点は勧告を会社が無視した場合はどうなさるおつもりであるか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  20. 中野正一

    中野政府委員 石炭鉱業経理規制臨時措置法案をいま提案して御審議願っておるわけでありますが、これは一定の指定会社を指定いたしまして、その指定会社について経理規制をやる、こういうことになっておるわけであります。これは、特別に政府のほうから手厚い資金の手当て等があっておるという趣旨でこういうことをいろいろやるわけでありますから、法律にもありますが、石炭鉱業合理化事業団から借り入れておる、それから同時に開発銀行からも六分五厘の金を借りておるわけですが、その借りた金の残高が五億円以上で政令で定める額をこえているということで、一応いまこれは五億円というふうに考えておりますが、それを指定する。それから前一年間に掘りました石炭の数量が、十五万トン以上で政令で定める数量をこえている、これは中小炭鉱は対象から除く、こういうことでありまして、これは毎年一月一日現在で、いま言った基準に合うか合わぬかということで毎年指定をする、こういうことになっております。現在のところでは、いわゆる大手筋というのは十八社ということになっておりますが、大手のうちで十五社、それから中小二社というのが、いま言った十五万トン以上の生産で、合理化事業団と開発銀行からの借り入れ残高が五億——合理化事業団のほうは、近代化資金と整備資金両方入っております。そういうことになっております。  勧告につきましては、勧告の規定がございまして、通商大臣は、指定会社の事業計画または資金計画石炭鉱業の合理化の円滑な実施に支障を及ばすおそれがあると認めるときは、当該指定会社に対してそれらの計画の改善に関する勧告をすることができる。これはその前提として、毎年事業計画なり資金計画を届けさして、これを十分審査をするわけでありますが、その内容が石炭鉱業の合理化の円滑な実施という上から見て非常にぐあいが悪い、支障を及ぼすというふうに通産大臣が認定をされた場合には勧告をいたすわけであります。これは勧告でありますから、罰則というものはないわけでありますが、しかし実際問題としては、御承知のように、こういう指定会社につきましては、ビルドのときの開銀資金、近代化資金あるいは退職金金融の整備資金、そのほかいろいろ資金面等につきまして相当の援助をしておるわけでありますから、その面で、勧告を聞かないというような会社があれば、そちらのほうで締め上げると言うと言葉は悪いのですが、そちらのほうと関連をさして、もちろん勧告を聞かせるように行政指導をする、こういうふうにお考え願いたいと思います。  利益金処分につきましては、規定がございまして、第三条にございますが、この申請にかかります利益金処分が次の各号に適合するときには認可をしなければならないということになりまして、まずその営業年度におきまして、減価償却その他の費用——これは政令できめることになると思いますが、減価償却その他の費用について必要な経理を行なった後に利益金処分をやっておるということが一点、それから、石炭鉱業の合理化の円滑な実施に支障を及ぼすおそれがない、こういうふうな認定をいたしたときに認可をする、こういうことの方針でございます。
  21. 井手以誠

    井手委員 趣旨のほうは大体承知しておりますから、ひとつ簡単に願います。私が聞いておるのは、該当の会社の数、これは承りました。勧告を無視された場合はどうかということについてもお答えがございました。  問題は利益金処分の認可基準でございまして、そういう抽象論ではございません。利益金処分の、配当とか、そういう面です。そういう数字を聞きたいのです。たとえば一割をこえるとか、あるいは預金金利を越えるとか、そういう面に重要性があるから私は承っておるのです。
  22. 中野正一

    中野政府委員 利益金処分というのは、結局内容は配当と役員の報酬ということになるわけでありますが、いま法律にもありますように、必要な減価償却その他の費用について経理を行なっており、しかも石炭鉱業の合理化の円滑な実施に支障を及ぼすおそれがないということで認可をするわけでありまして、現在、御承知のように、石炭各社というものはほとんどの山が無配でございます。ごく特殊の、御承知のような一、二の山、それから兼営会社、こういうものは配当をやっております。一割以上の配当をやっておるところはないかと思いますが、一割以下においてある程度適正な規模に、できるだけ配当率というものは押えて、できるだけ社内留保というものを多くさせて、それによりまして企業の内容の充実をはからしていきたいというのが一般方針でございます。ただ、それを、最高限を幾らにするか、あるいはまたどの程度が適正なのか、これはもちろん各山の事情によって非常に違うわけでございますが、その点は今後慎重に検討して決定をいたしたいというふうに考えております。
  23. 井手以誠

    井手委員 利益配当を幾らに押えるかという問題ですが、調査団答申は、昭和四十二年にはかなり黒字が出るという想定で答申が行なわれておるのです。その利益金処分です。これほど手厚い保護を受けておる炭鉱に対しては、当然経理の規制を行なうべきであるという局長お話、そのとおりであります。そうであるなら、いまは赤字であっても、これだけ金を出して近代化しておるのですから、将来うんともうかるような場合にはこういたしますという、一つの基準を持つことが非常に大事なんですよ。政府の強い決意というものは、そこなんですよ。ほかに何カ条あるか知りませんが、中心はそこなんですよ。そこを会社が非常にいやがっておるのです。そこが自民党内でも問題があったと思うのです。政府内でも問題があったと思うのです。だから、それはどこに押えられるのか、六分で押えるのか、幾らで押えるつもりなのか、それを聞いておるのです。
  24. 中野正一

    中野政府委員 いまの利益金処分の基準でございますが、少なくとも配当率は一割以下に押えるということで検討いたしたいと思います。
  25. 井手以誠

    井手委員 一割というのは高過ぎます。しかし、これ以上は議論になりますから多くは申し上げませんが、その点は、これほど手厚い保護をしておるなら、まだ現実問題でそう簡単に起こりそうもないものであるなら、もっとしっかりした態度を持ってもらいたい、強く申し上げておきます。  この機会に、ひとつ労働省にお伺いいたしますが、ことしのこの通常国会の当初に予想された三十八年度の再就職計画、あれとはだいぶ変わっておると思うのです。あのときは幾らであったか、幾らふえたか、その点をお伺いいたします。
  26. 三治重信

    ○三治政府委員 調査団答申がありまして三十七年度をきめ、三十七年度をきめたときに三十八年、三十九年の見通しを一応部内でつくっておったわけでございますが、その後、予算要求それから実際の今度の三十八年度計画について、正直に申し上げまして、三十八年度計画そのものが離職者が増加になったという結果はございます。われわれの方としては、従来の経験から三万人程度に押えたいというふうな要求を持っておったわけでありますが、これがごらんのような三十八年度計画になっておる。ただしこの場合、われわれが当初申し上げましたときの数字は、いずれも労務者の数で申し上げております。その点はお断わりしていなかったわけでありますけれども、法律が変わりまして、職員と組夫が入るというような関係で、従来われわれが共通の場として労務者の数で申し上げておったのが、職員、組夫の数も今度の合理化計画の中に入れてきたということで、三万四千四百人ということになったことを御承知願いたいと思います。われわれのほうとしては、そういうものを全部含めて三千人ちょっと増加したということを申し上げます。
  27. 井手以誠

    井手委員 語尾がわからなかったのですが、二月ごろの推定に比べて、職員を含めて幾らふえたのか、そして総計幾らの再就職が必要になったのか、それをお聞きしたい。
  28. 三治重信

    ○三治政府委員 三千人ちょっと増加でございます。それで先ほど申し上げたように、三十八年度合理化離職者の要就職対策者として計上したのが三万四千四百人というふうになったわけでございます。
  29. 井手以誠

    井手委員 この的二月ごろお伺いしたときに、当時の推定では労働省の能力では精一ぱいだというお話がありましたが、いまではどうですか。雇用情勢が非常によくなりましたか。
  30. 三治重信

    ○三治政府委員 そう変わっていないと思います。むしろわれわれのほうではわりあい控え目に見ておりましたけれども、今後の見通しは、今年度計画からいけば、われわれが予想したよりか悪いということは絶対にない、よくなることはあっても悪くはならないということは言えるのじゃないかと思います。だから結論からいけば、そう変わらないであろう、こういうことであります。
  31. 井手以誠

    井手委員 あとでけっこうですが、最近の再就職の実績を出していただきたい。  それから、すでに論議されたことの重複は避けたいと思っておりますが、三十八年度末には一万八千人の繰り越しになる、この前の答弁では、年度末に閉山になったものであるから、やむを得ず一万八千人、かなり繰り越しになりますというお話がございましたが、今度の場合は、四月に審議会があって、ほとんど閉山状態になっております。そうなりますと、繰り越しがあるということ自身に私は矛盾があると考えますが、どうですか。この前聞いたときは、労働大臣から、年度末に閉山されたものがありますから、やむを得ず繰り越しになりますという御答弁がありました。今度の場合は、四月に審議会が行なわれて、すでにほとんど閉山になっておる、あるいは合理化が進んでおる、その場合と従来の答弁とはかなりの開きがあるようですが、その点どうですか。
  32. 三治重信

    ○三治政府委員 二月ごろの見通しの場合においても、三十七年度で、三月の閉山あるいはその他による離職者が相当多いという見込みであったわけですが、三十八年度につきましても、大手会社計画その他実際の動きから見ても、また私たちが当初予想したよりも、事業主のほうで閉山あるいは合理化を、政府相当押えてもやりたいというふうな希望から見て、またいまの実際の動きも、労使が合意された後に離職者が出るというふうな関係からいくと、今年みたいに非常に多い離職者が出る場合には、どうも年度末、年度後半に集中していくというふうに考えざるを得ないわけであります。ただ、三十七年度から三十八年度に繰り越しました一万八千人、それから今度の計画で三十八年度から三十九年度に繰り越す一万八千六百人という計数は、われわれの二月ごろの予想では少なくするという腹づもりでおったわけでございますが、実際の石炭業界のきびしい現状に照らして、やはりこの数が減らせなかった、二百人でも増加したということについては、計画担当者として非常に残念に思っておりますが、実際の問題としては、われわれはこういう繰り越しが少しでも減っていくように努力をしていきたいと考えております。
  33. 井手以誠

    井手委員 この委員会で労働大臣が、大手の閉山合理化の場合には、四割以上は会社の手で職場転換あるいは傍系会社に就職させるというお話がございましたが、それはどういうふうになっておりますか、実行されておりますか。
  34. 三治重信

    ○三治政府委員 これは各会社、それから石炭大手の十八社の社長を、この計画答申がありまして後、大臣みずから東京会館に呼ばれまして、これは国会でも約束したことだし、皆さん方と事務当局との話でも、大手各社が四割の転換職場の確保計画もなされていることだし、これだけはぜひひとつ実行してもらいたいということで、各社長、二、三常務が出て来られたのですが、ひとつわれわれのほうとしても責任を持ってやるように協力をします、ただ労働省の現地にもいろいろお世話にならなくちゃならぬから、その点はひとつよろしくということで、われわれは再度確認しているというふうに考えております。それで、実際の各大手のそういうことからいきましても、大手の炭鉱会社の就職あっせんの体制も整えてもらうように要請しまして、現在、各大手の就職対策で人員を配置しておりますのが、その当時調べましたのが、専任の就職対策部の職員を三百名置くということをやっておりまして、これは政府、経営者側が協同してやれば、また産炭地融資、その他系列会社の設立という計画相当通産省と業界とも進んでおり、われわれも要望してそれにタッチしておりますので、大体においていくようになるのではないかと思っております。   〔神田委員長代理退席、有田委員   長代理着席
  35. 井手以誠

    井手委員 実績を承りたいのです。
  36. 三治重信

    ○三治政府委員 今年の四月、五月の具体的なものはまだ資料は持ち合わせておりませんが、三十七年度におきましては、会社あっせんによるのが七千八百人、今年度計画は七千九百人でございますので、この計画は必ず達成していけると考えております。
  37. 井手以誠

    井手委員 労働省で特に注意を願わなければならぬことは、安定職場の問題です。常用であるということです。その点は確認してございますね。どこでも、どの場合でも、すぐ一年か半年で首を切られるような事態の起こらぬような保障はございますか、その確認はしてございますか。
  38. 三治重信

    ○三治政府委員 これはわれわれの方として、安定した再就職の場ということは、これはもう当然なことでございますし、強く指導しております。会社のほうがあっせんする場合においても、それを強く要望しております。しかし、結果としてただ一人も再離職をしない、会社が絶対首を切らぬという保障をしろとおっしゃっても、やはりそれはなかなか一人もというぐあいにはできませんが、これはそういうふうになることを強く注意をして実際の面にやっていく。また、実際において再離職を余儀なくされるという場合においても、別に手帳の交付、あるいはそういう人を優先して再就職をさしていくということ、そのアフターケアについて従来とかく批判のあったことについては、十分の注意を持っていきたいと思います。さらにその点につきまして私たちは、今度事業団の協力員が予算上増員になりましたのを契機にしまして、それのほとんど全部を炭労、全炭、また炭職組等の組合のほうからチェックをしてもらうということで、協力員を全部そういう了解を得まして、それからアフターケアをやってもらう。山元、需要地という両方に分けてそういう就職後の安定、または不平不満の相談ということについて、さらに組合側のほうからも御協力を願うようにいたしまして、それの任命も現在非常に強力に協力関係を進めていただいておりますので、この再就職者がほっぽり出されて路頭に迷うということのないように、その措置は私のほうとしては従前にまして強力な措置をとっていると考えております。これの活用についても十分努力をしていきたいと考えております。
  39. 井手以誠

    井手委員 塚本広益事業局長さんにお伺いいたしますが、石炭火力発電が具体的問題としては非常に重要になってまいりますので、四十二年度ごろまでの建設計画がすでにできておると存じます、またできておらねばならぬはずでありますが、この機会にどういう計画であるか、差しつかえない限度で何年度には幾ら、どこに何基とお示しをいただきたいと思います。
  40. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 石炭を四十二年度二千五百五十万トンを電力側で引き取りますにつきまして、石炭火力をどういうように建設するか、これにつきましては、御承知のように、いままで電力業界としましては千八百万トンを引き取るという態勢で長期計画を組んでおったわけであります。その計画が一応現在あるわけでございまして、そのほかに今度の二千五百五十万トンを上積みする場合には、石炭火力をどういうふうに追加すればいいかという問題であると思います。一応現在までに各電力会社石炭火力としてどういうような計画を持っておるかということを御説明申し上げまして、あとの対策についてまたふえんして申し上げたいと思います。重油をあわせて申し上げたほうがいいかと思いますが、三十七年度は、石炭が八カ地点で百二十五万八千キロワット、重油が四カ地点で八十七万六千キロワット、合計しまして十二カ地点で二百十三万四千キロワット、これは運転開始のベースで計算しております。それから三十八年度が、石炭が四カ地点で八十三万二千キロワット、重油が十五カ地点で三百二十六万二千キロワット、合計で十九カ地点で四百九万四千キロワット。それから三十九年度が、石炭は二カ地点で二十八万一千キロワット、重油が九カ地点で二百七十万八千キロワット、合計十一カ地点で二百九十八万九千キロワット。四十年度が、石炭が三カ地点で四十八万七千キロワット、重油が七カ地点で二百二万五千キロワット、合計十カ地点で二百五十一万二千キロワット。これから四十一年度が、石炭が七カ地点で百十九万四千キロワット、重油が六カ地点で百九十八万一千キロワット、合計で十三カ地点で三百十七万五千キロワット、そのはかにまだ正式に会社から出ておりませんが、会社で予定しておりますのが、重油が四十一年度におきまして約百十万キロワット程度であります。それからさらに四十二年度重油専焼としまして二百四十万キロワット程度の会社希望があるようであります。一応こういうような長期計画会社では持っておるわけでありまして、これによりますと、大体三十八年度におきましては、会社側の計画に対しまして、われわれとしましても、石炭の、長期契約に合わせるために、できるだけ重油を繰り延べて石炭をつくってもらいたいということで、三十八年度に、会社に要請いたしまして五カ地点、八十八万二千キロ、これだけをつくるようにいたしたわけであります。これでも、もちろん四十二年度の二千五百五十万トンを消化するには不足でありますので、さらに三十九年度につきまして重油専焼火力を繰り延べ、あるいは中止しまして、石炭火力をそのかわりにつくってもらうということを要請したい、かように考えております。
  41. 井手以誠

    井手委員 千八百万トンの引き取りに対する計画はわかりました。そうしてまた、三十八年度の五カ地点の火力発電の建設で八十八万二千キロワット・アワーはわかりました。しかし、これで二千五百五十万トンになるわけではございません。それではあとの六百万トンですか、その分はどういうふうに計画なさるおつもりですか。何カ所にどのくらい発電しなければならぬのか、もう少し詳しいところをお示し願いたいと思います。
  42. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 あと、三十八年度に八十八万キロワットつくりまして、三十九年、四十年に二百万キロワット以上をつくる必要があろうかと思います。これは御承知のように、重油専焼火力の負荷率と申しますか稼働率の問題等いろいろむずかしい問題がありまして、どこの電力会社石炭火力をつくるかということによって稼働率が違ってまいりますので、その点は会社別にある程度計算いたしませんと出ませんが、大体二百万キロワット以上のものを三十九年、四十年につくる必要があるのじゃないか、かように考えております。しかもそれにつきましては、産炭地はもちろん中央三社に相当重点がかかるのじゃない史かように考えております。
  43. 井手以誠

    井手委員 この計算でまいりますと、三十九年度以降に二百万キロワットアワーとおっしゃいますが、足らぬような気がしますが、それでだいじ上うぶですか。それでその二千五百五十万トンに相当する発電計画について、どういう確信がおありになりますか、あわせてお伺いいたします。
  44. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 さっき申し上げました会社側からの大体の計画だけで申しましても、もし重油専焼火力を六割くらいの稼働率にしますと、物理的には一応二千五百五十万トンはふえるわけでありますが、重油専焼火力を六割の運転ということは非常に不経済でありますので、大体七割から八割の稼働率というところにもってまいりますと、やはり石炭専焼火力を二百万キロワット以上つくらなければならぬ、かように考えております。もちろん会社の経理によりまして、石炭専焼をつくらないで、重油専焼の稼働率を落として、古い石炭の火力を動かすという方法で石炭を食えないわけではないわけであります。しかしこれは非常に不経済でありますので、会社の経理上会社としてはどっちをとるかという選択の問題はあるかと思いますが、大体新しい石炭専焼火力をつくるのじゃないか、それは大体二百万キロワット以上くらいの石炭専焼火力が必要である、かように考えております。そういう二百万キロワット以上の石炭専焼火力を、おそくとも四十年の中ごろまでにつくりますれば、四十二年の二千五百五十万トンの石炭の消費は大体安心していいのじゃないか、かように考えております。
  45. 井手以誠

    井手委員 これは参考までにお聞きしますが、会社計画した三十八年度以降の発電地点、石炭が四カ所、重油が十五カ所ですか、その地点だけをずっとお示し願いたいと思います。
  46. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 それでは地点をちょっと申し上げます。三十八年度石炭で東京の川崎、関西の多奈川三号、四号、西日本の新苅田、北海道の新江別、この四カ地点であります。それから三十九年度北海道の新江別、九州の大村の二カ地点、それから四十年度は東京の川崎、関西の尼東、四国の新西条の三カ地点、四十一年度北海道の奈井江、中部の武豊、関西の尼東、中国の下関、九州の佐賀、新湊、常磐共同の勿来の七カ所であります。
  47. 井手以誠

    井手委員 三十八年度追加の五カ所はわかりますか。
  48. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 三十八年度に追加しました分が運開しますのは、四十一年度の運開で申しました中部の武豊、関西の尼東、常磐共同の勿来、北海道の奈井江、中国の下関、この五カ地点であります。
  49. 井手以誠

    井手委員 それは先刻おっしゃったのと重複することになるのですか。
  50. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 これは三十八年度に着工ということで一応審議会の議を経しておるわけでありまして、さっき申しましたように、運転開始の時期は四十一年になります。三十八年度審議会の議を経ましたのが四十一年度に運開しますので、運開としましては四十一年度にかかるわけであります。
  51. 井手以誠

    井手委員 四十一年度の七カ所に五カ所が加わるということですか。その七カ所のうちになりますか。
  52. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 さっきちょっと会社計画だけを申しましてその数字を述べましたが、その中にわれわれが三十八年度石炭火力をつくってもらいたいということも含めてこの数字を出してありますので、五カ地点は、さっき申しました四十一年の内数になっております。その四十一年の七カ地点のほかに五カ地点があるというわけではありません。
  53. 井手以誠

    井手委員 そうなりますと、あと二百万キロワットアワーですか、その程度で二千五百五十万トンはだいじょぶだとおっしゃいますけれども、どうもその数字は私は不審にたえませんが、常識で稼働率を考えてだいじょうぶですか。
  54. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 二百万キロワット以上と申しましたのは、実は少しアローアンスがあるわけでありまして、正確に申しますと二百三、四十か二百四、五十になるかと思います。その程度をつくりますれば大体だいじ上うぶと思います。
  55. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ちょっと関連して。そうしますと、四十一年度石炭専焼火力の総計の発電力はどのくらいあるのですか。
  56. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 四十一年度の総計の石炭専焼火力の発電力は千二百四十二万二千キロワット、これが四十一年度の全体の石炭専焼火力の発電力であります。
  57. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 休廃止が四十一年度まで行なわれるわけですね。大体七十三万キロ行なわれる予定になっております。したがって休廃止の計画は、当初計画に変更はないかどうかというのが第一点。それから第二の問題は、石炭火力の場合には、普通今後の計画を立てるにあたって、運転率、操業率は一体どの程度に見込まれるか。もちろん年度によって違うでしょうし、石炭事情によって変わってくると思われますが、現行はどの程度の実績か。それと四十年、四十一年はどの程度を一体想定しているか、これをお伺いしたいと思います。   〔有田委員長代理退席、木村(守)   委員長代理着席〕
  58. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 ただいまの千二百四十二万二千キロワットは、三十八年から四十一年までの廃止予定の八十一万二千キロワットを除いてあります。それから稼働率の問題、負荷率の問題でありますが、大体石炭火力は現在のところ非常に古くなっておりますので、稼働率が相当落ちております。大体三十ないし四十程度の稼働率です。ただ新鋭になりますと、これは六十ないし七十の稼働率でありますので、その辺はそのときの石炭火力の新しいか古いかの構成によって非常に違ってくる、かように御了承願いたいと思います。大体四〇%の稼働率、こういうようにお考え願えばいいのじゃないか。ただ、これからつくりますのは石炭の新鋭が相当ふえますので、大体五〇くらいまではいくのじゃないか、かように考えております。
  59. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いま局長から説明のあった発電総量について、先ほど計画の中に出てきたのですか、常磐共同火力等がちょっと言われたわけです。私もたんねんに毎年度いままでの決定分からずっと調べたのですが、数字はだいぶ違っておるのですけれども、九電力分だけなのか、それから電発等の今度完成した若松火力等も入っておるのか、あるいはまた住友とか常磐の九電力外の石炭専焼火力が入っておるのか、という計算になっておりますか。
  60. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 ただいま申しました千二百四十二万二千キロワット、これは九電分でありまして、そのほかに八十七万五千キロワットがその他電力として石炭火力があります。
  61. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そこで、稼働率の問題と負荷率の問題と同時に、石炭の場合に、石炭専焼から新鋭火力の場合に特に石炭混焼という面が非常に出てきた。最近審議会で決定しているのは大体そういう傾向なわけです。極端にいいますと、四国電力のように一石炭混焼でありながら重油専焼に切りかえておる。これは事実私行って見てきたわけです。一基は石炭混焼で、一基は重油専焼に切りかえております。許可されたときには、石炭混焼になっているわけです。そういう面で、あまり金はかからぬと思うのですが、そういうこともやはりあるわけです。したがって石炭重油の混焼比率が、当初われわれが常識的に一応想定しておった分よりも、重油混焼が多い。大体四〇%以上重油混焼しているのが今日常識ではないかというような気がするわけです。そういう点は発電コスト、燃料費の問題になるのでしょうけれども、その点については将来石炭引き取るという場合にどの程度に見込んでおるのか。それから従来石炭混焼で許可したのにかかわらず、重油専焼に切りかえられておるという部面があれば、これはちょっと問題だと私は思うのです。そういうものを正式に認可しておるのかどうか。ただ電力会社がかってにやれるんだということになれば、新鋭火力は全部できるわけです。重油専焼できるわけです。しかし一方において、これだけの石炭はたかなければならぬというワクがあるんだから、そう心配はないということは常識的に考えられますけれども、そういう点についてどうお考えになっておりますか。
  62. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 この二千五百五十万トン、四十五年三千万トンの引き取りに対しまして、われわれとしましては重油の混焼をどの程度考えるかということでありますが、いままでは、いまの御説のように、重油相当たいておったわけであります。この引き取りに際しましては、全国平均一五%程度の混焼率にしなければならぬじゃないか、かように考えております。なおまた従来混焼で発足したものが重油ばかりたいているじゃないか、こういう問題でありますが、もちろんこれは会社のいろいろな経理上の問題もありますが、各社に対する石炭の割当の問題にも関連いたしまして、各社別に、経営の苦しいところは石炭の量をある程度減らし、経営のある程度楽なところは石炭をよけい引き取ってもらおう、こういうような各社間の話し合いになっておりまして、そういう面で幾らか重油の混焼率を上げるという面もあるかと思います。ただこれは、三千万トン引き取るにつきましては各社相当苦労しているわけでありまして、そういう点で今後は混焼率は一五%程度にみんななっていくのじゃないか、かように考えております。
  63. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 関連質問ですからこれで終わりますが、いま局長の説明した計画からいって、昭和三十九年度は休廃止の計画が非常に多いわけです。したがってこの場合は、二十八万一千キロワットの火力発電所が運開されるけれども、結果的に三万九千キロ、約四万キロ、火力の新設分に対して廃止の分が多い、こういうあれが出る。四十年度になりますと、先ほど四十八万七千と言ったのですが、六万三千キロ程度廃止になる。四十一年度には十九万、数字は違うかもしれませんが、当初計画からとった数字なんですが…。こういう面から考えると、三十九年は新設されてもむしろ減るということになりますと、四十年にすべり込む、四十年の分は四十年の後半から四十一年にすべり込むわけですから、四十年というのが非常に問題だと思うのです。したがってそういう面から考えると、石炭火力の早期繰り上げ完成といいますか、こういう面で検討しなければならぬのではないかという気がするわけです。あるいは休廃止計画の三十九年度の三十二万キロワット、こういう点についても計画を再検討するという面が生じてくるのではないか。計画はずっと組まれておるのですから、やるならばいまからその措置をすべきだと思うのですが、この点についてはいかがでしょう。
  64. 塚本敏夫

    ○塚本政府委員 ただいまの御説ごもっともでございまして、われわれもその点非常に苦労しているところであります。特に三十九年、四十年の石炭引き取りに対して、石炭の専焼が間に合うかどうかという点が非常に問題であります。その点はわれわれとしてもできるだけ石炭の専焼を繰り上げるようにいたしたいと思いますが、知のように、重油ももうすでに工事にかかっておりまして、これを繰り延べることは経理的にマイナスが非常に大きいという面が出てまいりますので、その点を考えまして、古い石炭のほうもなるべく予備力として持っておきまして、石炭がはけない場合にはできるだけそういうものを使うようにというように指導したいと考えております。もちろん重油の工事の進捗状況によりまして、これを延ばして石炭を繰り上げることができます場合にはそれをやりたい、かように考えております。これも工事中のものでありますので、工事中のものを延ばすということは非常に不経済でありますので、その点も見合って十分指導していきたい、かように考えております。
  65. 木村守江

    ○木村(守)委員長代理 滝井義高君。
  66. 滝井義高

    滝井委員 昨日の続きをやらしていただくわけですが、大臣がおれば先に資金計画をもう少し詰めたいと思ったのですが、大臣もおらぬし、昼からやらしていただきます。あとで大臣がいらっしゃったら集約して要点だけを答えてもらいますが、昨日まで一応ざっと、買い上げ申し込みをした六百九十七万トン、それから政府原案となった六百七十一万トン、さらに合理化審議会が最終決定をした五百五十三万トン、その数字の内容についていろいろお尋ねいたしました。同時に資金計画の概要をお聞きした結果、整備資金として百五十一億、設備資金として八十二億が不足であるということも明白になってまいりました。そこでそれの補てんをどうするかということを、あとでまた大臣がいらっしゃってからお尋ねいたしますが、きょうはさらに引き続いて、合理化計画の中における重要な一環をなす再就職計画についてお尋ねするわけです。  ことしの二月一日に私質問をいたしまして、昭和三十七年度四百八十一万トン、昭和三十八年度四百七十万トン、これで一体炭鉱離職者はどの程度出るかという質問に対して、こういう答弁をしているのです。昭和三十七年四百八十一万トンについては一万二千人、それから三十八年四百七十万トンについては一万四千人の炭鉱離職者が出ますという御答弁をいただいたのですが、それは間違いありませんか、確認をしておきたい。
  67. 三治重信

    ○三治政府委員 当時そういうふうに答弁しております。
  68. 滝井義高

    滝井委員 いや、いまもその認識は間違いないかということです。
  69. 三治重信

    ○三治政府委員 そのとおりでございます。
  70. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、お尋ねをしたいのは、今度逆にやっていくわけですが、五百五十三万トンの山を一応合理化実施計画にはめることになったわけです。その場合に、この五百五十三万トンというのは、昨日資料を要求しておったのですが、まだこないんですが、自然消滅が四十三万、保安不良が二十九万、事業団買い上げ四百八十一万トン、こうなっておるわけです。そこで、これに対する人数を、四十三万トンから幾ら出る、保安不良二十九万トンから幾ら、事業団買い上げ四百八十一万トンから幾ら、そしてその五百五十三万トンから総計幾ら、こういう御説明をちょっとしていただきたい。
  71. 三治重信

    ○三治政府委員 四百八十一万トンに対しまして一万七千人、それから保安の関係の二十九万トンに対しまして千五百人でございます。四十三万トンは四千七百人でございます。総計で二万三千人でございます。
  72. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、二月の予算のときには、三十万トンの保安の中から、二十九万と同じですから千五百人ですね。そうすると四百四十万トンの中から出るのは幾らかというと、一万二千五百人しか出ないわけです。四百四十万トン、いわゆる予算面では当時四百七十万トンから一万四千人しか出ないという説明を受けているわけですから、ちょっと数字が違ってくるわけです。当時の御説明は、三十八年において四百七十万トンが一万四千です、こういうことを言っておったわけです。その数字の違いは一体どうして出るかということなんです。
  73. 三治重信

    ○三治政府委員 一万七千人と申し上げましたが、これは職員や組夫、その他労務者以外のものを今度は計画の中に含まれるようになった、それで一万七千人というふうになるわけです。
  74. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、当時は職員、組夫は入れておらなかったのですか。
  75. 三治重信

    ○三治政府委員 先ほど井出先生の御質問にもお答えしましたのですが、いままで全部労務者ベースでずっとお答えしていたわけです。今度法律も変わりまして、新年度から職員、組夫も計画の中に入れるということで、入れたわけでございます。
  76. 滝井義高

    滝井委員 当時は職員は入っておったのです、二月一日のころは、予算委員会のころですから。
  77. 三治重信

    ○三治政府委員 確かに法の対象とか予定としては入れておったわけですが、離職者数と言った場合には、職員、組夫、そういうベースは言っていなかったわけです。労務者のベースでずっとお話が進んでいたものですから、労務者離職者数ということで申し上げた。その点は、いまからそれはうそだと言われればやむを得ないかもわかりませんが、皆さん方の御質問もずっと労務者ベースであったので、われわれのほうも、答えとしては労務者ベースで答えたというふうに御了承願いたい。決して他意あるわけではございません。
  78. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、百十八万トンですね、六百七十一万トンのときには、きのうから北川さん、お聞きになっているが、六百七十一万トンのときには、買い上げは五百九十九万トンになるのです。そしてあと自然消滅四十三万トンと保安不良でつぶれる二十九万トンは同じなんです。狂うところは、買い上げの五百九十九万トンが五百五十三万トンになりますと四百八十一万トンになり、いまの一万七千人になる。この五百九十九万トンが四百八十一万トンに変化することによって、百十八万トンだけこちらが減るわけです。これによって労務者は幾ら減ることになるのでしょうか。
  79. 三治重信

    ○三治政府委員 千二百名でございます。
  80. 滝井義高

    滝井委員 こういう場合に、いま、たとえばAという山が七千人雇用しておる。そうしてそれが第二会社になっていくというときには、あなたのほうはこれは山が存続するものとしてやっておるのか、再就職計画の中に入ってくるのか、どっちなんです。
  81. 三治重信

    ○三治政府委員 第二会社とはっきり計画された場合には、再就職計画には入れておりません。
  82. 滝井義高

    滝井委員 そこらが非常におかしくなるのです。これは明らかにもとの山ではないのですから、滝井鉱山が閉山するわけですから、そうして新しく生まれ変わった、全く経営形態が違った第二会社ができるわけです。そういう理論で言いますと、たとえば滝井鉱山がつぶれてその関連会社にこの労務者を持っていったときには同じことになってしまう。それと同じですよ。これは再就職計画に入れないというのはおかしいと思う。
  83. 三治重信

    ○三治政府委員 私のほうの考え方は、石炭産業から他産業へかわられるということが再就職計画であるわけです。石炭産業から石炭産業へかわる場合には、職安の窓口へ新しく失業保険の受給者、求職者として出てこられた場合は従来は入れておったわけです。これも調査団段階で、炭鉱離職者をまたすぐつぶれる山へ就職させること、そういう計画を行政上やることはまずいということで非常に議論になった。法のたてまえやその他われわれの計画では、石炭産業の中で、第二会社にとどまろうがどうであろうが、とにかく石炭産業にとどまる人員は再就職計画に入れるのは矛盾する。たとえ同じ会社がセメント会社なり、あるいは運送会社なりをつくっても、これは他産業である。それが会社による雇用というものと、石炭産業から他の産業に職場転換ということの違いになるかと思います。そういうふうに御理解いただければいいんじゃないかと思います。われわれはこの点は検討いたしまして、第二会社を抜くべしということで、元会社から第二会社にたとえ会社の性格なんか変わっても、これは石炭産業にとどまるものだ、第二会社が、そう言っちゃなんですが、つぶれた場合には、再就職計画に入れなくちゃならぬ、こういうふうに思想統一したわけであります。   〔木村(守)委員長代理退席、藏内委員長代理着席〕
  84. 滝井義高

    滝井委員 その場合に退職金やらその他もらうことになるのでしょう。鉱害も全部違うのです。そうしますと、明らかにこれはもとと違うのです、石炭山かもしれぬけれども。そうすると、労働省は、大手の山から今度は中小の山に行く場合には、再就職計画にならぬですか。これはあとでまただんだんやっていきますが、これは大手の就職あっせん九千人というのがあるのです。これは大手の山が今度は自分の下請というか斤先というか、こういうところに世話をする場合だってずいぶんあるのですよ。日本の炭鉱労働者というのは、古水が回るように大手から中小、中小から零細と回っているのです。いま数は忘れましたけれども、炭鉱労働者は、いままでは離職した者の半分はそういう形でいっておったのです。だからこの九千人というのはそういう者は全然含んでいない、こう理解して差しつかえないですね。
  85. 三治重信

    ○三治政府委員 そういうふうに御了解願っていいのじゃないかと思います。私のほうも自分の石炭会社の子会社、それから自分の会社一つの山からほかの山へ転換さすというふうなのは再就職計画会社雇用計画の中には入れさせておりません。そういうふうな石炭産業の中でかえる部分につきましては、計画外と申しますか、いわゆる離職者の数には入れておらないわけであります。
  86. 滝井義高

    滝井委員 これは退職金ももらいますし、一応第二会社が発足するまでの間は、きょう滝井鉱山がつぶれたら、あしたからすぐというわけにはいかぬですよ。第二会社に移るためには相当の準備が要りますし、へまをすると、その間一カ月、二カ月くらいの休業期間があるかもしらぬのは当然ですよ。そこで失業保険をもらうことになる。失業保険をもらって、新しく第二会社に就職するという形になるでしょう、退職金をもらうのだから。そういう場合にこれを解雇とみなさずにやるということは、どうもおかしいじゃないですか。
  87. 三治重信

    ○三治政府委員 第二会社に移る場合に、そういうふうな二カ月の猶予期間とかいうふうな場合には、そういう矛盾がありますが、この点は行政的な取り扱いとしてわれわれのほうとしては、第二会社に行く人は現在そういう計画の中には入れていないわけですし、実際の指導の上においてもそういうふうにしていきたい。  それから失業保険のことを申されましたが、失業保険の受給者でも、これは合理化解雇ではない離職者も相当いるわけです。石炭産業から出た離職者で失業保険をもらう者が、全部この合理化計画に入っているわけではないのであります。その点は、われわれのほうが今度手帳制度をつくったゆえんも、そこにある。ほんとう政府がめんどうを見る会社が、みずから特別にわれわれが協力関係を要請する合理化解雇者と、普通の産業の現在行なっている離職者、退職者というものとの区別がそこに出てくるわけであります。その点実際の運用の部面については、個々のケースをとりますと矛盾が、解釈上、取り扱い上、種々なケースが出てくる。現在も各所から、始めましてから非常にたくさんのケースの質問が出てきております。こういう問題はやはりその立場立場で、現状に照らして合理的な解決をしていくというよりほかに、あらかじめ一つの線を引くということは困難であります。
  88. 滝井義高

    滝井委員 それは法律論としてはちょっと答弁にならぬですよ。そうすると、まず百十八万トンの千二百人については、これは職員も入ってますね、組夫も入ってますね。
  89. 三治重信

    ○三治政府委員 入っております。
  90. 滝井義高

    滝井委員 それにしてはちょっと少ないですな。五百五十三万トンから出てくる労働者の数は、組夫も入れましたら二万三千二百人になりました、ところがその五分の一の百十八万トンだったら、組み夫もみな入れてたった千二百人だった、これは数字が合わぬですよ。
  91. 中野正一

    中野政府委員 先ほどからの御議論を聞いておりますと、ちょっと誤解があるのじゃないかと思いますが、労働省のほうの計算からいうと第二会社へ行って、そこへ残る者の人数が一応想定されるわけですから、その分は他産業への再就職計画というものは要らないじゃないかということで計算上落としてあるわけです。ただ、通産省のほうは、先生がいま御指摘になったように、第二会社になる場合は一度閉山をして新しい会社をつくるという形になるわけですから、第一会社から退職するわけでございます。したがって、第二会社に移る者を、退職金関係対策、退職金金融、そっちのほうの人数には通産省としては入れてある。しかしそれは大体第二会社にじかに行く人間ですから、労働省のほうの再就職計画には入っていない、こういう形になるわけです。  それから千二百人、これは六百七十一万トンと五百五十三万トンですね、そのうちの筑豊二山の百万トン、このうちの一部が第二会社に行くわけですから、その第二会社に行く分の人数だけは、労働省関係の再就職計画の対象からははずれる、こういうことでございまして、私のほうの計画からははずれない、こういう関係になるわけであります。
  92. 滝井義高

    滝井委員 まず第一に、百十八万トン残るのに千二百人という人数が少ない、こういうことを言っているのです。少なくないでしょうが。五百五十三万トンで二万三千二百人という答弁があった。これは能率を上げるから少なくなるのかもしれぬけれども、坑道はいまの坑道を全部使うのですからね。そこらの解明をひとつしてもらわなければならぬということと、それから退職金は整備資金の中に入っております、これはわかりました。しかし労働省の計画にはそれは入っておりません、こうおっしゃるけれども、きょう山をつぶしたらあしたすぐというわけにはいかぬのですよ。われわれのほうの大峰にしても、あるいは方城炭鉱にしても、きょうしたらあしたすぐというわけにいかない。これはやはり退職金を一ぺんもらって、そうして会社が第二会社に入りたい人を募集するわけです。そうして、おれは第二会社に行こうか行くまいかと考える。その考えるときには労働者はどうするかというと、まず離職票ですか、手帳を今度もらうのです。したがってこれをもらうからには、労働省の再就職計画に入ってくるわけでしょう。へまをすると、第二会社にだれも来手がいないかもしれないのですよ。だから第二会社になるからといって、炭鉱労働者を千二百人とるということは問題が出る。というのは、すでに大峰にその例があるのです。ここへ大峰の重役の大滝さんだったか来て、私の会社は今度七百人採用いたします、こう言ったのですよ。間違いなく採用します。ところがどういうことになったかというと、いまも問題になっておっておるのだけれども、働いておった労働者を、あれは組合運動をやっておったからだめだ、扁平足があるからだめだといって、どんどんはね始める。そうして同時に労働者側も、第二会社になったら労働時間も長くなるし、賃金も安くなる、だからもう行かないといって、七百人が結局三百人かそこらになってしまったのです。だから再就職計画をお立てになるときには、まず金は余ったっていい。繰り越し明許もできるし、幾らでも他にたくさんあるのです。労働省は金が足らぬのだから、これは第二会社に行く分も全部ひっくるめて再就職計画に入れる。そうして第二会社は第二会社別建てでやるべきだと私は思うのですよ。そうしないと、第二会社に行くはずだと思っておった千二百人が来たら、あなた方の繰り越しの一万八千六百人に、また千二百人足さなければならぬ。そうでしょう。そういう形になる可能性があるのですよ。だから計画というのは、やはり初めからそういうことを見込んでおいてもらっておかぬと、第二会社に千二百人やるのだ、これはだいじ上うぶだといって除外しておったら、たいへんなことになるのです。実施段階になると、私はそういうものだと思うのです。それを初めから除外しておいて、お互いに責任のなすり合いをされたのでは、労働者はいい迷惑です。これは今度ちゃんと法律の改正で、その一項を入れてもらっている。石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案の第四条の二「労働大臣は、毎年、前条第一項の規定により通商産業大臣が意見をきくに際し石炭鉱業審議会の意見をきいて、整備計画実施に伴い離職を余儀なくされる炭鉱労働者の再就職に関する計画を定めなければならない。」と、こういうことをきちっと書いておる。わざわざこの条文というものは新しく入れたんです。第二会社に行くか行かぬかということは、労働者の自由意思なんです。だから滝井鉱山をやめた者は、一応これに入れるわけなんです。それからあと第二会社に行ったら、その分の余裕ができるけれども、まだあとたくさんつかえているんだから、その人たちを入れてやったらいい。そのくらいの予算の余裕と弾力を持って大蔵省にやっておいてもらわぬことには、これはもう大峰の例でこりごりですよ。これはあなたにも御迷惑をかけたけれども、まだ片づかないのですよ。福岡の地方労働委員会でまだ片づかない。扁平足があるの何のと言って、会社は雇わないのです。そういうことになれば、労働者はあわれなものですよ。どうですか、そこらあたり明白に——千二百人なんかを除外せずに、あなたのほうに入れる。どうせまたあとからも触れますけれども、石炭鉱業審議会に今度本式に再就職計画をかけなければならぬですからね。いままでのは参考資料だそうですから、まだ本ものになっておらぬ。首を振りよるけれども、法律ができておらぬのだから、今度法律が通ったら正式におかけになって、本ものにかためてもらうんだから、当然千二百人修正してもらわなければならぬと思うのですが、どうですか。
  93. 三治重信

    ○三治政府委員 まず最初から申し上げますが、百十八万トンのうちの、いま石炭局長から答弁されたように百万トンの部分が、一応審議会では第二会社を予定する、閉山をやめるということになる。その場合に結局千二百名がそういうふうに第二会社に在籍労務者として移ることになります。その間にいまおっしゃったように、二カ月なり三カ月なり間があるかどうかという問題はこれは間をなくするということで計画しておりますし、事実上そういうふうに取り計ろうということになっておりますから、間違いないと思います。それからもし万が一にもそういうふうなことになれば、その千二百名は計画に載ってないから対象からはずすというふうなことは絶対ない。これはいま法律をお読みになったとおり、完全に法律の対象者になりますから、労働者に迷惑がかかるということは絶対ありません。  それから再就職計画をこの法律が通ったあと、さらに鉱業審議会にかけるかということ、これはもう石炭鉱業審議会のほうへ今年四月かけた場合に、あらかじめお断わりしてありますし、これは法律が通ることを予想して、形だけの参考資料であって、実質上は三十八年度の再就職計画だということで御了解はとってあります。それでさらに法律が通ったあと、結局各部会が今後の計画についてのアフターケアというのですか、トレースというのですか、そういうことについて委員会や部会を開くということの要望があって、それらが了承された。したがって、いま滝井先生がおっしゃったように、新しく三十八年度雇用計画だけ出すということはない。これは法律にも書いてありますとおり、通産大臣合理化実施計画を諮問するに際でありますから、この雇用計画を再変更するという場合は別といたしまして、年度計画の場合、全体計画としては、これはあくまで合理化計画と見合ったものになるわけですから、新しく別個に三十八年度雇用計画を詰問するということはしない了解になっております。
  94. 中野正一

    中野政府委員 いまの問題に関連しまして。これは先ほどの井出先生の御質問で何度も大臣が言明されておりますように、昭和三十八年度の、合理化計画、また、これに伴う再就職計画というものは、適法に審議会審議をされ、答申をされておりますので、改正法案が通った場合に、あらためてその点について審議会は開く必要はないということは、もう大臣が先ほどから何度も言明をしておられますので、御了解を願いたいと思います。
  95. 滝井義高

    滝井委員 しかし、その点はわれわれは了解しないのですよ。
  96. 中野正一

    中野政府委員 だから了解をお願いいたします。
  97. 滝井義高

    滝井委員 井出さんも言っておったんだけれども、法治国家では、法律に書いていないことは権限がないんですから、審議会はそんなものをやる権限がないんです。この再就職計画なんという新しい部面は、何も法文に書いてないんだから。僕は今井さんが石炭局長のときに何回もそれをやったことがあるのです。これは山をつぶすということになっておるのに、一体人間のスクラップについてはどうするんだ、人間をスクラップにしてしまうじゃないか、それについては当然ここで人間の問題をやらなければいかぬということは、私は何回もやったのです。ところが、それは法律にないからといってそれまではやらなかったのです。われわれはそれを迫ってきたのです。ところが今度政府は、自分が改正するほうになったんだからといって、この前言ったときには、いや、これは参考資料でございますから、参考資料をつけておきますと井上さんも言っておったが、この法律が通ればこういうことをやらなければならぬことになるんですからね。これがあって初めて有効になるのです。いわゆる合理化審議会がやる権限ができるわけです。いままで権限のないものをやっておった。だからあくまでも参考資料にすぎないもので、われわれはこれを政府に迫る権限もなかった。ところが今度この法律が通れば、迫る権限ができてくるわけです。そうでしょう。法治国家ですから、法律にないことをやっておっても有効だということには、法律の形式論からいえばならぬのですよ。
  98. 中野正一

    中野政府委員 ちょっと誤解がありますので申し上げますが、先生よく御承知のように、第七十条に「石炭鉱業の合理化に関する重要事項調査審議する。」とあります。だからその一環として、最近の石炭鉱業の現状にかんがみて雇用問題を取り上げるべきであるという議論が何度も国会であり、また調査団もそういう意見を出し閣議決定でもそういうことになっておるわけですから、現行法で最近の情勢にかんがみてこの重要事項として調査審議をしていただいた、こういう解釈でございますから適法である。こういうふうにわれわれは解釈をしておるわけであります。これはいささかも疑問がないというふうに思います。
  99. 滝井義高

    滝井委員 それはいま客観情勢がみんなそういう気持ちになったからそう言うので、実はこの合理化法が出てから私は本委員会で何回もやったのです。わが党の政調でもそれを議論するときに、私は勝間田政調会長にこれを一番主張したのです。ここに人間の計画がないということが、この合理化法の欠陥だった。われわれはそのとき自己反省もしたのです。この合理化法審議するときには、われわれは悲しいかな、逐条的にこまかくやらなかった。反対反対ということで、あまり審議せずして通したものだから実はこういうことになったんだ、だからこれからの国会審議というものは逐条的にきちっとやらなければいかぬということをそのとき主張したのです。ところが政府のほうはそのとき、そういうものではないからというのでやらなかったのです。あなたのときになって初めてこれはやったのです。あなたの前任者はそれをやらなかった。その前の前々任者も前の今井局長もやらなかった。再就職計画なんか雇用計画なんか一回だって出したことがない。僕はそれを何回出してくれと言ったかわからないですよ。あなたの善意はわかるけれども、歴史的な経過からいって、出さなかったのですよ。それは資金計画はあった。資金計画は出したけれども、人間の計画については出さなかったのです。
  100. 中野正一

    中野政府委員 いま滝井先生のおっしゃるとおりだと思います。私の前任者、前々任者がどういうふうにしたか知りませんが、再就職計画が非常に大事だということになったのは、去年の四月のいわゆる政策転換闘争、その後の有沢調査団の内閣総理大臣による任命、その答申、それを受けた昨年の十一月二十九日の閣議決定の石炭政策大綱、これによって問題が新展開をしたわけでありますから、法律上はこれで読めるということははっきりしておると思います。
  101. 滝井義高

    滝井委員 たとえば、この法律の第一条を見ても、石炭鉱業合理化及び安定をはかるとある。この安定の中に雇用の安定を入れるなどという、そういう無理な解釈をまだしておるくらいですから、それだったらもうほんとうは、第一条の目的の中に石炭鉱業合理化及び安定並びに労働者の生活の安定とか雇用の安定とかいうのを入れなければいかぬわけです。それを入れてくれと言っても、なかなか入れてくれない政府なんですから、ここらあたり、いまのような御意見なら、さらっと修正をしてくれることになるかもしれませんけれども、まあいいでしょう。そこらあたりはわれわれとちょっと意見が違うということだけは言っておきましょう。  そうしますと、ことしの離職者の数をこの資料で見ますと、三万四千四百人になっておるのです。去年からの滞留者の繰り越しが一万八千四百人でしょう。そうして三十八年度離職者が三万四千四百人、これは数字が違うのです。これは常用労務者、職員、臨時夫、組夫、みな入れていますね。常用労務者二万九千五百人、職員三千四百人、臨時夫、組夫千五百人、こういうことで三万四千四百人になっておりますが、いまのは二万三千二百人、やはり数字が違う。
  102. 三治重信

    ○三治政府委員 それは、そのほかの数字がいわゆる合理化、山は閉山しないけれども、合理化による解雇者というふうに御了解願いたいと思います。
  103. 滝井義高

    滝井委員 そういうものは幾ら出るのですか。
  104. 三治重信

    ○三治政府委員 閉山、保安買い上げ、自然消滅以外の合理化による解雇者が一万一千四百人でございます。
  105. 滝井義高

    滝井委員 そうするとまた数字が二百人違うでしょう。いまの数でいきますと、一万一千四百人、二万三千二百人で三万四千六百人になるでしょう。そうすると、政府の三十八年度新規求職者は三万四千四百人ですから、二百人違う。その二百人がついたりつかなかったりするのですがね。
  106. 三治重信

    ○三治政府委員 先ほどの買い上げの一万七千人と申しましたのが、実際のこまかい数字を申しますと一万六千七百五十二人、それを四捨五入して二万七千人と申し上げましたが、そういう端数をこまかく申しましょうか。
  107. 滝井義高

    滝井委員 いや、いいです。それは、あとでいいですから資料で出してください。これは二百人といったら、小山といっても相当の山です。家族を合わせたら五百人以上ですからね。三・三五人おるのですから、六百人ぐらいの人がおるということになります。  そうしますと、この三万四千四百人というのがことしの予算面に一体どういうぐあいにあらわれてきておりますか。
  108. 三治重信

    ○三治政府委員 予算の場合には、三万一千百人で予算の一応積算の基礎にしておるわけでございます。したがって、正確に申し上げれば三千三百人ですかの違いが出る、上回ったということであります。
  109. 滝井義高

    滝井委員 そうすると三万四千四百人なので、それだけ予算が不足をしてくるわけですね。
  110. 三治重信

    ○三治政府委員 積算の基礎としてそれだけの違いがあるということでございまして、実際の解雇者の再就職がこの予定どおりいくか——この中でおもに金がかかるのは、結局安定所のやる場合にかかってくるわけであります。その点は実行を見まして足りなくなれば——私のほうでやることのほとんどが事務費の関係になりますので、予算のほうは御心配ないと思います。私どもとしては再就職がこれ以上にいくように努力して、予算がないからやらないということは絶対ありませんから、御心配要らないと思います。
  111. 滝井義高

    滝井委員 昨日四百四十万トンの質問をしたときに、石炭当局は、四百四十万トンというのはおよその腰だめ的なものでやっておった、今度は五百五十三万トンときちっときまりましたから、地域別炭田別にきちっといきます。四百四十万トンを地域別炭田別にやるというわけにはなかなかいきませんでしたが、今度は資料を出しますと、こうなった。あなたのほうも、いままでの四百四十万トンのときであったら、いまの御説明のように三万一千百人、およそそのくらいをやったらいいだろう、こういうことなんですよね。そうなりますと、今度五五三ときちっと固まった数字になってきたのですから、それに見合う予算の数字というものは、二月にわれわれに説明したものとは違ってくるはずですよね。北川さんがわれわれに資料を、こまかく書いたものをくれておるわけです。あれと同じにならぬと思うのです。それはどうしてかというと、山をつぶすのは地域別、炭田別につぶしていくわけですね。したがって地域別炭田別の閉山のものと、この合理化離職するものと、こう変わってくる。そういうものはみな分布の状態が違ってくるわけです。したがって当然、分布の状態が違えば、当初机上でつくった予算を現実に合わせていかなければならぬから、北海道で百人と思っておったのが二百人になるかもしれぬ、筑豊では千人と思っておったのがあるいは八百人になるかもしれぬ、こういうアンバランスが数字の上で出てくるわけでしょう。それは四月十八日ごろに原案はおできになっているわけですから、大体もう全部煮詰まっておりますか。数字の配列がきちっとできておりますか。
  112. 三治重信

    ○三治政府委員 確かに、この数以上に、いまおっしゃるような地域別の離職者の出方というものが、予想より変わっている。その一番大きな変わり方は、北海道が昨年来予想したよりか、離職者が三十八年度には非常に多く出るようになってくると私は思います。したがって、われわれのほうでは、住宅計画におきましても、大臣北海道に行きました場合に、北海道の実情を聞いて、急速そちらのほうの住宅計画を変更したということもございますので、これはやはり、ただ三千三百人ふえたからまた予算を変えてどうのこうのというよりか、実行上、その出方に応じて、各府県とも相談をして、また事業団とも相談をして、緊密な連絡をとって円滑に対処していくようにやっていきたい。そうして最後に年度末になって足りなくなれば、これは予備費なり補正なりで補正していって、金がないから離職計画ができないというようなことのないようにしていきたい、こういうふうに考えております。
  113. 滝井義高

    滝井委員 そうなりますと、再就職計画合理化計画というのはうらはらの関係でございます。再就職計画が立たない間は絶対山はつぶしませんというのが、有沢さんのわれわれに対する答弁だったわけです。したがって、労使が意見の一致を見ない限りこれはつぶすことはできません、こう言っているわけでしょう。そうすると、再就職計画がいまのように、四百四十万トンをきめたときとは情勢が非常に違ってきておるわけですから、北海道は少ないと思っておったら多くなるわけですから、しかも合理化計画で、いわゆる買い上げ閉山ではなくて、合理化だけによって、山はつぶれぬけれども、山は生きておるけれども、人間は切らなければならぬというのが一万一千四百人も出るわけですから、これはたいへんなことなんですね。したがって、こういう面が新しい面として出てきておるのですから、そうなりますと、来年に失業者を繰り越すというような山を一体つぶしていいのかどうかということです。山は生かさなければならぬ、しかし人間だけは失業させてほうり出す、これはこういう理論になるのですよ。すなわち、山を守るためには人間を犠牲にしていいという、逆な思想になってきておるのじゃないですか。それならば、どうせ人間のためには金を出さなければならぬのですからね、就職促進手当も出さなければならぬし、訓練手当も出さなければならぬ、その出す金を山につぎ込んで、山を動かしていったらいい。そして出てきた石炭を、極端な言い方だが、使い手がなければただでみな使わしてもいいですよ。ただにひとしいような安い値段で使わしてもいいのじゃないかと思うのです。政治ほんとうに人間を守るという立場に立てばです。一体人間に重点を置くのか、それとも山を生かすことだけに重点を置くのかということです。私は当然、人間のスクラップ化を防ぐべきだと思うのです。それだから人間につぎ込む金を山につぎ込む、そして、そこで人間が生きていくという形をとればいい。そうすると、今度出てくる石炭はそれだけ安くなる。何かそういういままでの経済合理主義の頭を、石炭については切りかえなければならぬという状態があるのじゃないかと思うのです。それを労働省は、去年一万八千四百人をうまく処理し切らずに、ことしに送っておる。そして一万八千四百人よりかさらに多い数を、来年に送ろうというのですよ。こんな再就職計画はない。これは再就職計画に当たらぬですよ。そうすると来年、来年と繰り越すものは、だんだん時間がたてばたつほど、どういう結果が出てくるかというと、炭鉱労働者の平均年齢は三十九歳です、これは来年になれば四十歳、再来年になれば四十一歳になるのです。一つずつ年を重ねるのですから。若い労働力炭鉱に入ってこないのです。そうすると、ますます就職は困難になる。翌年、翌年と繰り越す労働者の数は、これは雪だるま式に大きくなってくるのです。そうすると、労働政策の面からいったら、合理化をチェックせざるを得ないでしょう。それをあなたのほうが、資料につけたこのものを有効だといって、そして、一万八千六百人も繰り越すなんというようなことは、われわれは認められない。もし有沢さんがこういうことを了承するというなら、われわれは有沢さんを不信任する。再就職ができない限りは絶対に山はつぶしませんと言っておるのだから、まさか有沢さんに二言はないと思います。それだったら不信任です。こういうことまでお認めになるということなら不信任です。そのために両党は書記長会談までやって、そしてそういう山には金を出すという約束をしているのですから、金を出してやったらいい。金を出したって、いま言ったように、労働者にやる金は働かしておれば要らないわけです。そして石炭で少し損をしたって、やむを得ないですよ。貯炭ができてもやむを得ない。その金は何とかしなければならぬ。政府石炭政策のやり方が間違っておったのだから。それを労働者におっかぶせて、そして一万八千六百人、いまのような話になると、これはもっとふえますよ。合理化が深刻になってくると、もっとふえる可能性がある。一万八千六百人どころじゃない。そうすると、この一万八千六百人の三十九年度への繰り越しというものは、さらに増加する。予備費を組むとかいろいろおっしゃるけれども、それはそのときの話であって、いまから一万八千六百人を繰り越すんだから、繰り越すならば、この分の予備費を組んでくださいと言わざるを得ない。そうでしょう。だから三治さん、こういう計画ではとても、失対の問題で職業訓練をやって三百二十円くらいの金をやるなんと言っても、だれも信用しないですよ。あれだけ闘争した石炭労働者がこの実態だから、ことしの一万八千四百人繰り越してきたのよりかさらに多く来年、三十九年に繰り越していくんですから、これはとても納得できぬですよ。
  114. 三治重信

    ○三治政府委員 一万八千四百人、三十七年度から三十八年度に繰り越す計画であったわけですが、その中身を申し上げますと、このときの計画では、労務者が一万六千九百人、職員が千五百人の計画になっております。ところが、三十九年に繰り越す一万八千六百人の内訳は、労務者は一万五千四百七十人で、約千五百人減らす計画でございます。職員は、これは初めての経験で、今度新しくつけ加えたわけですが、二千百八十人の繰り越し、臨時、組夫が九百五十人という内訳で一万八千六百人であるわけであります。だから、従来議論されておりました労務者ベースからいけば、われわれのほうとしては繰り越しの数は少なくしていく。なぜこういうふうになったかというと、閉山合理化を三十八年度で集中的にやらないと山がもたないということ、むしろこれを押えていったならば、政府相当金融したりいろいろしていっても、炭が売れないために山自身が、残るもの全部がどうにもこうにもならなくなる、最小限度、無理ではあるけれどもこれだけはやむを得ない、われわれのほうも通産当局と事務的には相当やって、いろいろ無理を言って、当初の計画よりか減らしてもらっているわけであります。これ以上整理を少なくするということになれば、残った山の労務者自身が給与ももらえなくなる。山自身が信用がなくなって、金融も受けられなくなる。特別融資するというても、それは政府は貸すかもしれないけれども、そのほかの運転資金その他が、銀行から全然借りられない。いろいろ山ごと、会社ごとそれぞれの事情があって、万やむを得ない線ということで、ここまで圧縮してこうなったというふうに御了解願いたい。これはふやしてこうなったわけじゃない。結果としては、それはふえているかもわかりませんが。  それからもう一つは、一万八千四百人の場合におきましては、失業保険、訓練手当以外には、この滞留者に手が加えられていなかったわけですが、これが今度の繰り越しの場合におきましては、訓練の部面もずっとふえますし、そのほかの部面につきましても手当がつくようになるし、それから、これだけ大量の解雇になるので、いろいろの計画に当たってみますと、先ほども井出先生のときに御答弁したのですが、三十七年度におきましても、年度末、年度後半に非常に合理化閉山が多かったわけでありますが、三十八年度はまた、三十七年度に増して、やはり年度の前半と後半に分けると、後半に片寄る。それはなぜかというと、三十八年度合理化計画のほうは、大手のほうに相当問題があるわけであります。その大手になりますと、これは組合が非常にしっかりしているし、閉山合理化について、いま話し合いが緒につきかけているというような状態で、実際の解雇者になると、私たちの見込みでは、やはり年度後半あるいは年度末ということに一まあ三万四千四百人が毎月同じに出るわけではないのであります。これは、年度後半に相当しわ寄せされるということもあります。われわれの方では二万八千人のうちで、約一万一千人が失業保険の受給者になるというふうに考えております。したがって、われわれのほうも今度の計画では、これは毎月の予想はとても立ちませんけれども、実際を見ていきますと、やはりことしも昨年度以上に年度後半に、離職者が出る場合でも、そういうふうなことになるというふうに考えているわけでございます。
  115. 滝井義高

    滝井委員 失業保険をくれるとか何とか言ったって、いまの炭鉱労働者の失業保険の平均は四百四十八円くらいだと思います。それじゃ食ってはいけぬですよ。私もきのうあなたに言ったように、これから三治さんとぼくと一カ月間、一日四百四十八円で家族も養って生活して、そしてお互いに国会に出て大きい声で話して、栄養失調にならなくてやれるか。やれぬですよ。あなた、そこの議員食堂へ行って食ってごらんなさい。三食そこで食っておったら、四百四十八円ではめし代にも足らぬですよ。それに家族がいるのですし、着物も着なければならぬ。そういう無理なことをやらせておって、そしてやめていかなければならぬ人間は失業保険で食わせるのだからそれでいいということでは、われわれのヒューマニズムが許さぬ。そういう計画が有沢さんの答申大綱であったとは、われわれは考えておらぬです。有沢さんはそんなことは言わなかった。もう首を切って出したら、あと失業保険をやるから、それは来年、再来年に繰り越されてもやむを得ぬというようなことは言わなかった。必ず再就職計画を立てます、その再就職計画と見合って山はつぶしていくんだから、つぶれたときは必ず再就職計画で就職させるんだ、こう言っている。一年も二年も待たしておって、今度はいつ就職できるかわからぬというような状態では、これはたいへんなことです。それなら山をつぶすのはちょっと待った。山を生かしていかなければならぬ。それには、政府が金を貸す以外にないと思う。これは無理な言い分じゃないと思う。人間さまのために世の中があるのであって、石炭山のために世の中があるのじゃないのですから、人間の生きる道をやるのが先決です。それが逆になっておる。私が気に食わぬのは、法律もできぬうちにこういうものを出して、認めていいですというのが気に食わぬのです。だからやり返してもらいたい。そして一万八千六百人も来年に繰り越してはいけない。来年に繰り越さぬでやるのですよ。そうやってみて、万やむを得ず五人か十人繰り越すというのなら、これはやむを得ない。しかしそうではなくて、初めから繰り越すような再就職計画では、これは再就職計画じゃないです。これをあなた方は再就職計画というなら、私は池田総理に出てもらわなければならぬ、絶対に。これは、私の言うのは無理じゃないと思う。あなた方がその立場になってごらんなさい。炭鉱離職者の立場になってみたら、私が言うよりももっと不平不満を言うだろうと思う。それは私たちはこういう政策を論議するときは、やはりみずからが炭鉱離職者になったところで、一ぺんものを考えてみる必要がある。人の痛さを知るには自分の身をつねってみたらわかるということは昔からいっておるが、これは単純な真理ですよ。炭住に住んだ気持ちで政策を実行してみたらいい。四百四十八円をもらって、自分の家族と、そして中学や高等学校へ行っている息子に、どう一体親として対処するかということを考えてもらったらいい。それではあなた、めしも食わせられぬ。それで一年や一年半はほうり出されるのですからね、ことし山はつぶれるのですよ。そのうちの、おそらく私はこの実態を見ると、一万八千四百人と一万八千六百人と加算しても相当人がおると思うのです。去年からことしに繰り越された同じ人間でことしから来年に繰り越されるのが、相当おると思うのですよ。これはあなたたち、一体幾らと見ておりますか。
  116. 三治重信

    ○三治政府委員 三十七年度から三十八年度に繰り越される員数の中の、実際まだ一年たっても再就職ができないという方はほとんどないようにわれわれのほうはしたいというふうに思っておりますが、これは今後、求職手帳をいま交付しておりますので、この実績を見ないとわかりません。そのためにわれわれのほうとしては、個人別にトレースするように求職手帳を出し、それを就職指揮官に預けて、そしてずっとめんどうを見ていこうということでございます。これは従来から見れば画期的な再就職対策であると思います。  それから、よく、繰り越しが一人もないようにしなければ再就職計画でないとおっしゃいますけれども、これは再就職する場合に、会社が自分のところで整理する者を全部あらかじめ雇用先を見つけて、それでなければその解雇ができないということだと、そういうことになる。それは理想でありますけれども、現実の各産業におきましても、どこでもやはり希望退職を募る場合におきましても、また会社の経営が不如意になって整理が行なわれざるを得ない場合でも、これは全部が全部再就職がきまらなければ解雇ができないというふうなことはとてもいかぬ。しかしながら今度の計画におきましても、われわれは少なくともこの点については大臣みずから社長も呼んで、自分たちの解雇者について最大限の再就職をやるようにということでいろいろ話した結果、四割は最低線としてめんどうを見る、しかもこれを具体的に計画も事務段階で話をして、それをさらに社長段階で確認させておるわけでございますので、したがってこの繰り越しという問題は、先ほども申し上げましたように、年度後半になった場合に、それは会社があらかじめ全部雇用先を見つけてやる場合は別といたしまして、そうでない場合に、各人が失業保険をもらいながら就職先をきめる場合に、従来の慣例からいけば、離職後三カ月ないし六カ月は最小限かかっているのが実情でございまして、本人たちもやはり、就職口があるからさっと飛びつくということでなくて、相当慎重にあれこれ選択してやっているわけであります。われわれの経験からいけば、一人の就職者に対して大体平均三つの就職口をあてがわないと、なかなか就職がうまくいかない。それくらいわれわれのほうとしては、離職者の数に対して就職口は大体三倍程度が平均として要る。もちろん一対一で済む人もあります。五つの就職口を出してもなかなかきまらぬ人もおりますが、平均大体三対一くらいになっております。そういうことからいって、その年度の区切りは、これは時間的な区切りだけであって、人の流れというものは逐次年月とともに流動しているわけなんですから、これを三月三十一日に残った失業者だけがいかにも不幸である、いかにも政府がほったらかしておるというふうな考え方は、私はどうかと思うわけであります。
  117. 滝井義高

    滝井委員 それだったら何も私は三月三十一日につぶれる山をそのときにやれとは言わぬのです。だからおのずからこれは、合理化事業団に申し込んでおる順序に大体買い上げの事務は進んでいくんですよ。そうしますと、福岡地区では大体どの山とどの山が六月に片づく、どの山とどの山が七月に片づく、どの山とどの山が八月に片づく、こういうことがきまっておる。大体事務の見通しがつくのですよ。それから同時に今度の中には、すでに昭和三十七年に閉山をしておって、三十八年に処理してもらうところもあるのです。こういう労働者が滞留しているわけですから、こういうものは計画にずんずん乗らなければならぬわけですよ。そうすると七月のものは何人出るから大体どこにいける、八月は大体どういう形になる、九月はどういう形になる、しかしいまのところわがほうとしては、二月と三月のものは大体わかりません、こういうことは言えると思うのです。そのくらいのことはあなたのほうと、つぶす大手なり中小の山の事業主と相談をしなければ——あとでこれは内容に入りますが、政府関係機関が二千八百人、これは内訳はこの間新聞に出ておりました。労働省に何人使うとか、厚生省に何人使うとか、警察官に何人なるとか出ておりました。やはりああいう形が必要なんです。そうせぬと、ただ大手の就職あっせん者が九千人と言ったって、帰農する者が五千百人だと言ったところで、帰農するかどうかわからぬ。鹿児島なら鹿児島に帰る。二、三カ月するとすぐまた出てくる、そういうのが多いのです。だからこれを五千百人もお見積もりになっているということは、こういうところだってずいぶん不見識な話だと思うのです。もう少しかゆいところに手の届くような世話をやる必要があると思う。そうしないと政府を信用しないですよ。そうしますと五百五十三万トン、これは大手と中小の内訳はどうなるのですか、つぶすトン数は。それから今度は労働省に、つぶすのに見合う大手の人数、中小の人数。
  118. 三治重信

    ○三治政府委員 閉山の場合におきまして、大手が全部で一万人でございます。それから中小が一万三千人。
  119. 井上亮

    ○井上説明員 五百五十三万トンに該当します大手、中小の閉山炭鉱数と規模を申し上げますと、大手につきましては十一炭鉱、二百六十五万トン、中小炭鉱は百三十五炭鉱、二百八十八万トンでございます。
  120. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、いまの五百五十三万トンに対して、大手が一万人、中小一万三千人。合理化による一万一千四百人の内訳は……。
  121. 三治重信

    ○三治政府委員 大手が一万三百四十人、中小が千六十人、合計して一万一千四百人です。
  122. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、昨日地域別炭田別の資料を要求しておったわけです。北海道、東部、西部、九州と五百五十三万トンの内訳をずっと要求しておきましたね。同時に労働省で、閉山合理化資料を、通産省に見合ったものをつくってもらいたいのです。これは閉山合理化、職員も入れて、そして今度は同時に大手中小も一緒に入れて、きのうはそこまで要求しておったのですけれども、入れていただきたいと思うのです。  時間が来ましたから、午後にまたやらしていただきます。午後は再就職計画の内容に入っていきます。いまは外回り、周辺だけ聞きましたけれども、今度は内容に入ります。同時に、三省の資金計画も一緒に聞かしてもらいます。
  123. 藏内修治

    ○藏内委員長代理 午後二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十二分休憩      ————◇—————    午後二時四十九分開議
  124. 有田喜一

    ○有田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  四法案に対する質疑を続行いたします。岡田利春君。
  125. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 今回提出されております石炭鉱業合理化臨時措置法の目的でありますけれども、石炭鉱業の合理化及び安定ということで、新しく安定ということばが目的に追加されたわけです。私は、その安定は標準に通じ、標準は合理化に通ずると思うのです。合理化されたものは安定すると思うのです。日本語の解釈はどうなるか知りませんけれども、私はそう思うわけです。法律用語として、石炭鉱業の合理化という説明は、これは何も単に炭鉱労働者の首を切るだけではなくして、炭鉱の近代化、石炭鉱業の安定、こういうことが合理化だと思う。また、そう答弁されてきておるわけです。今回さらに安定ということばが追加されたわけですが、この安定に対して、成田質問通産大臣は、これはほとんどが雇用の安定だ、雇用の問題が非常にやかましくなって、池田総理の石炭政策の三本のうち一本の柱だから、その問題を取り上げて安定というのは、ほとんど雇用の安定、あるいは炭鉱から離職する者の再就職が安定的に行なわれる、そういうことを九〇%意味するのだという趣旨の説明がなされておるわけです。そうであるならば、合理化及び安定ではなくして、合理化及びいわゆる再就職の問題、さらに残った炭鉱労働者雇用の安定というように、明快に目的の中に入れることが、あとから出てくる労働大臣雇用計画をつくるという趣旨にも合致するのではないか。私はどうもこういう用語を使った法律案というものは、ほかにないと思うのですね。ほかに合理化及び安定というのはないと思うのです。この点どうでしょう。妙案がなくて安定にしたのか、何かほかに意味があるのですか。
  126. 中野正一

    中野政府委員 今回の改正にあたりまして、特に「石炭鉱業の合理化及び安定」というのを入れましたのは、もちろん、いま先生の御指摘のありましたような、企業の安定、ないし、それによりまする石炭産業内部における雇用の安定ということを考えておるわけであります。そのために、これはもちろん外へ出て行かれる方々のためには再就職計画がございますが、それ以外に、たとえば請負夫の使用の規制であるとか、あるいは基準炭価の設定によるところの炭価の安定、そのほかいろいろな改正を含んでおります。そういうことによりまして、企業の安定ないし雇用の安定をはかっていきたいという趣旨の改正であります。
  127. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 趣旨のところは私も成田質問了解をしているわけです。ただ、読んだだけではこの意味はそうとれないわけです。合理化の究極の目的は安定なんです。不安定だから合理化するのですが安定であれば合理化する必要はないわけです。だから結局、合理化するというのは、安定することに通ずるわけなんです。ですから問題は、私は、むしろ再就職の問題とか、きちっとやはり目的の中に入れたほうがいいのではないか、そのほうが親切ではないか、こういう気がするわけです。この点は、法案を出しているたてまえからいって、別にしましょうというわけにも答弁としてはまいらぬと思うのですが、この点を適切に表明したほうがいいのではないかという私の見解だけを一応ここで述べておきたいと思うのです。  次に第五条、計画の変更。第四条、第五条の中に再就職計画が新しくつけ加えられてきております。この条文に書いておる内容を読みますと、私は、有沢調査団長の説明から考えて、その説明どおりではないのではないかという気がするわけです。しかし、法律用語にした場合、こういう題になるのかもしれませんけれども、そこでお聞きしておきたいのは、第五条で、通産大臣は、石炭生産条件その他経済上の著しい変動のため特に必要があるときは、石炭鉱業審議会の意見を聞いて、この石炭鉱業の合理化基本計画または石炭鉱業合理化実施計画を変更しなければならないと書いてあるわけです。雇用情勢も、もちろん経済情勢によって著しく変動が出てきて雇用情勢も非常に変わってくる、そういう意味では、経済事情の中に当然密接不可分の関係として含まれておる、こう私は理解するわけです。ところが、この経済事情の著しい変動というのは、法律用語としては、内閣がひっくり返るかどうかというような経済事情の変動でなければ、一応著しい変動にはならぬ、こう一般に言われておるわけなんです。そういう意味考えると、そういう重大な経済事情の変動でなくても、相当程度の経済事情の変動があれば、雇用事情は非常に悪化するということが、考えられるわけです。ですから、ここの意味は、そういう点では非常に大事な問題だと思うのです。雇用事情の問題も含まれるから、大事な問題だと思うのです。例を引いて申し上げますと、今年度就職のできない者が結果的に一万八千人になった。来年度雇用計画を立てたけれども、来年はまた三万近くの炭鉱労働者が首を切られるので、どうしても二万五千人繰り越しをしなければならぬというようなことになった場合、少なくとも前年度の繰り越し以上に上回る場合には、私は合理化計画についても十分検討しなければならぬと思うわけです。ですから、その基準が非常にむずかしいのですけれども、雇用計画合理化計画というものをバランスをとって合理的に進めていくという場合に、どういうことが考えられるのか。去年の繰り越しが一万五千だから、来年二万人あるいは二万二、三千人の繰り越しになっても、雇用計画を立てておるのだから、三年間受ける雇用促進手当があるから、それはふえてもいいのだという考えであれば、たいへんな問題だと思うのです。現実に今年度雇用計画で数字が出ておるのですから、その点について、これは通産省としてはどう考えるか、労働省として、特に雇用問題について、いま私が言った趣旨から見てどう判断をされるか、お伺いしておきたいと思います。
  128. 中野正一

    中野政府委員 第五条の、一度立てました毎年度計画を変える場合、これは、ここにもありますように、石炭生産条件その他経済事情の著しい変動のために特に必要があるときということになっておりまして、その他経済事情の著しい変動の中には雇用事情ももちろんいま御指摘のように含まして考えておるわけであります。一度立てました計画を変える場合でありますから、相当著しい変動のために特別に必要がある場合ということでございます。この運用にあたっては、この法律の条項に従ってわれわれとしては検討いたしたいと考えます。
  129. 三治重信

    ○三治政府委員 通産省と見解が同じでございまして、われわれも石炭合理化計画に見合っていくわけでございまして、ですから、石炭合理化実施計画というものが変れば雇用計画も変わるというふうに考えております。その後段のほうに、生産計画について特別になくても雇用の著しい変動がある場合というのを特別に入れてあるのも、そういう別の場合も予想される、しかし、一般的にいけば、石炭生産事情が変わる場合には経済の変動が非常に著しいということで大体一致するだろうと思うけれども、雇用の場合は別個に特別の事情があるかもわからぬということで、ここで特に留意して万遺憾なきを期するために、雇用事情の著しい変動がある場合には計画を変更することがあるということを入れたわけであります。
  130. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ただ後段の場合には、雇用計画を再検討するということです。当初相当な期待のもとに雇用計画を立てた。ところが順調にいかなかった。まして、来年度繰り越しがさらに上回るということになりますと、これはその間努力しているのですから、再検討しても、ぱっと雇用先が見つかるということは考えられないわけです。そういう場合には、首を切って出すほうもある程度セーブをしなければならない。常識的な繰り越しでひとつ何とか雇用転換を円滑にはかろうというのが、有沢調査団答申した趣旨なわけです。ですから、雇用計画のほうだけを検討しても、これは順調にいっている場合はいいです。あるいは、ちょっと努力すればやれるという場合には検討はいいのですけれども、実際本年の実績は出た、ところが雇用計画はなかなか思うようにいかない、さらに来年三万人なら三万人の離職者を含めると、たいへんなことになる。首切り、合理化するだけで三万人の計画なんですから、さらにこれ以上上回ってくると思うのです。そういう場合には、さらに合理化計画のほうもある程度再検討しなければならぬ面が出てくる。ところが、通産大臣のほうは、雇用計画のほうを検討するのだとしきりに答弁をされるわけです。この点、いま私が言ったように法律に書けば非常にいいのだけれども、有沢さんが言っているようなことをすなおに書かないで、とにかく、経済事情が著しく変動ということになりますと、これはまあそういうことはあり得ない、しかしあり得る場合があるから、法律としてはこう書いておかなければならぬという趣旨だと思うのです。この点の理解、受ける感じが違うのです。ですから、私は、雇用計画が順調に進まぬという場合には、これはやはり合理化計画でこの山は来年度閉山するのだけれども、たとえば再来年の上期まで一応延ばすとか、当然そういうことが総合的に考えられなければならぬのではないかと思うわけです。労働省の立場としては当然そうだと思うのですが、一方、通産省のほうは、切るものは切ってしまうのだということなんですから、なかなかたいへんなわけです。大臣はどうですか。雇用計画の問題について、今年度初めて総合的な雇用計画を立てたわけです。この実績がもし順調にいかぬという場合には、合理化計画についても、初めからスローダウンするという思想でなくて、相当考慮しなければならぬと思うのですが、通産大臣はどうですか。
  131. 福田一

    福田国務大臣 お答えをいたします。  第五条を今度直しましたが、これは追加をしたわけでありまして、「通商産業大臣が第四条第二項第三号に掲げる事項について、石炭鉱業合理化実施計画」云々としてあるわけであります。第五条には「生産条件その他経済事情の著しい変動のため特に必要があるときは、石炭鉱業審議会の意見をきいて、石炭鉱業合理化基本計画又は石炭鉱業合理化実施計画を変更しなければならない。」こうあります。でありますから、私はあなたの言われる気持がわからないわけじゃない。それはよくわかりますけれども、しかしこの法律のたてまえというのは、とにかくスクラップ・アンド・ビルドということが基本になってできておるわけであって、雇用中心にした、先に考え法律ではない。だからあなたも、それを十分考慮のうちの一部に加える必要があるのじゃないかという表現をされておる。当然しろとは御質問にもならないのであります。私は、そこら辺のところは常識でもってやっていくのが一番いいのじゃないか。常識とは何ぞやということになると、これはなかなか問題になりますが、非常にそういったような面がきつくといいますか、実際に行なわれておらない。雇用の面が非常なそごを来たしておる。非常というのはどこだ、こういうことを言われると、そこに限界を引くことは非常にむずかしくなると思うけれども、そういうことが起きるということは、経済事情に著しい変動があって、一応役所が計画を立てておるのに、その計画とあまり違った計画ができるということはあり得ない。ところが、著しい経済のへ事情に変動があったりしますと、そういうことが起こり得ると思う。私はその項に引っかけられるほどのことであれば、ちゃんと条文にも書いてあるわけですから、それでやって少しも差しつかえないのじゃないか。だからこれにかかってくる。なぜそれができなかったかという事情をよく究明してみた上で、それが経済の著しい変動によるものであるということであれば、計画の変更もあり得る、こう考えますが、およそ役所が計画を立てておるのに、経済事情の変動もないのに著しい誤差がそこに出てくるとはわれわれは考えておらない、こういうわけでございます。
  132. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そうすると、基本の問題になるのですが、今年度四百二十万トンのスクラップについて通産省が予算を要求した。ところが、実際に審議会に提案をする場合には、六百万トンを上回る、しかも最終的には五百万トンを上回る閉山規模になっておる。四百二十万トンのこの閉山規模を一応想定して予算要求をした根拠は何ですか。何が根拠ですか。私は、全体が非常に問題があるから、なお再検討の余地があると思う。何を基礎にして四百二十万トンのスクラップ、いわゆる閉山規模をきめて予算要求したのですか。
  133. 中野正一

    中野政府委員 本年度の買い上げの予算は四百四十万トンでございますが、予算要求の際には、第一に三十七年度閉山の分で、実は三十七年度閉山が御承知のように、三百二十万トンに、新方式によって途中で変わったわけなんですが、そういう関係もございましたが、三十七年度閉山をしても、その処理は三十八年度にずり込む分がある、これはどうしてもやむを得ない、予算手当せざるを得ませんから、この分がどれくらいか、それから、三十八年度閉山の見通しはしからばどの程度になるかということを、大きなところにつきましては調査団以外に調査をしておりますから、そういうものをベースにして大体調査団調査当局資料というものをもとにして、閉山の見通しを立てて、中小もそれに幾らというふうに見込みまして、そしてそのうちで、百万トン以上の三十七年度から三十八年度にずれ込んだのがあるのですが、今度は三十九年度にずれ込むものが幾らくらいか、こういう計算をしまして、その結果四百四十万トン程度の買い上げ予算、これは約五十億でございますが、五十億の金があれば、三十八年度合理化整備計画というものは、大体調査団答申の線に沿った実施ができるのじゃないか、こういう想定を立てて予算をとったわけでございます。
  134. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 いま局長の言われた前提である四百二十万トンの要求というものは、調査団答申大綱にはないが、おそらく付属資料の中にあると思うのです。三十七年から三十八年にかけて四百十六万二千トン程度の規模の縮小、いわゆる閉山をするでしょう。これが基礎だと思うのです。だから四百二十万トン要求した。ところが、買い上げの場合には、三年間の実績で四百二十万トンという数字が出てどうしても上回るわけです。そうすると、保安のものも、自然閉山を加味しても、大体四百二十万トンというのが正しいわけです。ですから、調査団答申した付属資料といいますか、そういうものを基礎にして予算としては四百二十万トンを要求したと思うのです。これは数字を検討すればそういう数字になるのです。私の検討した結果では、ちょうど四百二十万トンになるわけです。ところが一方、石炭局は、予算が通過した途端に六百七十一万トンの近く閉山規模をかけたわけです。もちろん、これには保安の買い上げもあります、あるいは自然閉山もあります。それを除いてもとにかく四百二十万トンより相当上回っておることは間違いがないわけです。ですから、ここに問題があるのです。それが修正をされて五百五十三万トンに実はなったわけです。ずり込むやつがあるから、予算上は何とかそれは処理できるかもしれません。そのことを私は目くじらを立てて言うつもりはないのです。ところが、当初の調査団計画というものが、事スクラップだけに関しては、繰り上げてスクラップにしなければならぬ。ほかの政策については、おそくやろうとか、少なくやる——出ている法案なんかもそうです。経理規制だって、全部調査団の説明している内容とは違っている。骨扱きになっているわけです。そういう点は手を扱いて、スクラップだけはとにかく先行して来年度分もとにかくやる。ここが一番問題なんですよ。これに伴って、労働省のほうの予算も、先ほど滝井委員質問したように、これに合わせて雇用計画を出したというのが真相なわけです。ですから、私が前の委員会でも、答申大綱に基づく詳細を有沢団長が報告する、こう明確に答弁しているのに、今日に至るまで詳細を答申していないのはけしからぬと言う理由がここにあるのです。一体この資料というものはいつ出るのか。もうまとまっていなければおかしいですよ。出れば、結局政府調査団答申以上に、企業の言うことだけを聞いて、それを受けつけて、とにかく六百七十一万トンの閉山規模を審議会に出したのだということが明らかになると思うのです。そして政治的に、九州は二山は第二会社をつくって百万トン減らす、そして北海道は十八万トン減らして五百五十三万トンという最終的な審議会としての答申が出た、こうなるわけなんですよ。これが真相なんですよ。来年度もこの調子でやられたのでは実際かなわぬわけです。資金繰りだってそうですよ。先ほどから設備資金の問題がずっと委員会で問題になっているけれども、非常に資金が枯渇している。これもこのような閉山規模の繰り上げをやり、急激な合理化をすれば、毎年こういうことがつきまとうと思うのです。ですから私は、大体千二百万トン、前三カ年の平均でいけば、炭政課長が説明したように千五百万トン程度の閉山を四十二年度までにするのですから、それが来年さらに四十一年度分まで繰り上げてやられたらかなわぬですよ。しかし企業家は、この際つぶすものはすみやかにつぶす、あとは政府のごやっかいになって、人はどこかにやってもらうということで、早く自立をしたいのですから、当然労働条件もできるだけ下げるという方向に集中的にくるわけなんですね。この調整をとるのが、私は審議会の任務ではないかと思うのです。それをチェックできないような審議会であれば、審議会をやめて——それは通商省の考え方、通産省のやり方を合法化する単なる隠れみのにしかすぎないのです。ほかの審議会ならいざ知らず、人間の問題まで扱うこの審議会は、それでは何も改組強化されたのではなくて、人員と部会だけふやした、それが改組強化だ、こういうことに通ずると思うのですが、こういう点についていかがですか。
  135. 中野正一

    中野政府委員 調査団調査当時の資料からいいまして、いろいろな面で情勢が幾分変わっているのじゃないかということは——もちろん経済は生きものでございまして、これは調査団も半年以上もかかって非常に詳細な調査をされたわけでありますが、それにもかかわらず、最近の情勢を見ますと、やはり石炭産業を取り巻く情勢というものが非常にシビアである。特にこれは一つの大きな原因は、昨年度経済の調整過程の影響がほかの産業よりも石炭には非常にひどくこたえておるということが、一番情勢の差があるかと思いますが、やはりこの整備合理化計画につきましては、四十二年度までの大筋は調査団は出されたわけでありますが、毎年の計画というものは、毎年つくって始末していく、あくまで調査団もそういうお考えでございます。もちろん、調査団の出された大きな路線を踏みはずすということは、政府としてやりたくございません。また、やるべきではないと思います。その大きい路線には私は合致しておるというふうに考えております。しかし閉山の規模等が、これはざっと数字を申し上げればすぐわかることですが、三十七年度が大体四百七十万トン、今度が五百五十三万トンですから、合わせて大体一千万トンをオーバーする。先ほど先生がおっしゃったように、千二百万トンの生産減のスクラップというものを買い上げ規模に直せば大体千五百万トンになるわけですから、三分の二近くは三十七、八年度に行なわれる、こういう形になっていくわけでありまして、三十七年度自身についても途中で計画変更をせざるを得なかったというような情勢もあるわけでありまして、これはやはり大きな筋は目標をつけておきながら、その年その年の情勢に合わせて政府施策をやっていく、こういうことでなければならないというふうに私は考えておるわけであります。  それからなお、調査団答申は、これは昨年の十月十五日に、御承知のように、答申大綱というものが出たわけであります。これが正式な答申として内閣総理大臣に出され、それを内閣として受理をして、その後十二月二十九日に政策大綱をきめて、予算をつくり、法律もつくって御審議願っておるわけであります。その意味で、調査団はすでに昨年の年末に解散をしておるわけであります。今後この大綱についての細論が調査団から提出されれば、これは答申大綱の付属資料として受理をするつもりでおるわけでございます。
  136. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 有沢団長が、私が、答申大綱だから、答申詳細というのか、報告というか、名前は別として、そういうものを報告するのかと聞いたら、報告します、すみやかに報告しますと答弁をされておるわけです。それがいまになっても出されていないということは、非常にナンセンスだと思うのです。そういうものがなくて、国会だけで十の石炭関係法案が特別委員会に出されておるわけです。この法案審議が終わってから出したって、意味がないですよ。団長が出すというのに、通産大臣が付属資料でいいと言う権限があるのですか。団長は報告しますとわれわれにはっきり答弁しています。今度の調査団の性格からして、それに対して通産大臣が付属資料でいいですよと言う権限があるのですか。
  137. 福田一

    福田国務大臣 これは局長からも申し上げておるのですが、われわれとしては答申大綱を受理いたしましたが、その後何をしなさい、かにをしなさいという筋のものではないので、向こうのほうから出してくれば受け取るということでございます。出してはいけませんと言ったこともなければ、そういうことは一切触れておりません。
  138. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 触れる権限がないのですから、触れないのはあたりまえだと思う。通産大臣が任命したわけでもないし、委嘱したのでもなく、内閣直属の権威ある調査団ですから、これに出せとか出すなとか言う権限はないですよ。そうすると、有沢団長が国会証言でうそを言ったということになるのですが、細論、再報告は出します、できれば年内、おそくても来年の初めに報告しますといって、私の第一問に答えておるのです。有沢団長はそれまでやらないで、団の方は解散してしまって、あとは野となれ山となれ、こういう理解になるのですが、そういうことにならぬでしょうか。団長が国会で言ったことをやらぬのですから——しかも、できれば年内おそくとも一月の初めごろには、答申詳細になるか、付属資料になるか、大綱資料になるかどうかは別にして、正式にもちろん出します、その責任はありますと明確に国会で証言されているのですが、この点はどうですか。
  139. 中野正一

    中野政府委員 私も昨年のあれで有沢先生がそういう意味合いのことを、時期までは言われなかったと思いますが、細論というか、そういうものはまたあとで出したいというふうにおっしゃったように記憶しております。また、調査団はすでに解散されておりますが、その当時の資料もございますので、それを整理して出したいということで努力しておられるようでありますので、そのうちに出てくるんじゃないかというふうに私は期待をしております。
  140. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 あす、団員である稲葉氏が当委員会に来るわけです。これは団として、団長がそう言っておる。とにかく、解散した団がさらに資料を出すなんておかしい。何で出すのですか。調査団の団長が出しますと言っているのですから、調査団の責任で出さなければいかぬのですが、解散してしまってどうするのですか。個人で出すのですか。これは明らかに国会証言を愚弄した、単に通産省で適当にやった——適当にやったということが語弊があれば、それはあまりこまいものを出されたんでは問題だから、そういうものはちょっと出せません、だからそれは付属資料ではなくして、あくまでも事務的なものにとどめておきたいということじゃないかと私は思うのです。交渉に差しつかえるから、これはまあ参考資料というか、ほんとうに事務的な書類にしておく。だから大綱に付属する積算基礎というものは、正式に答申に付属して公表しないのだ、出さないのだということじゃないかと思うのです。この点どこかでけじめをつけなければいかぬ。けじめがないとすれば、あの大綱に基づいた積算基礎を調べた内容、資料というものはいつ公表してくれるのですか。聞けばまだできない。いつできるかというと、まだだいぶかかるということです。もう調査団発足以来一年こえるのですよ。これはどうしたらいいのですか。
  141. 福田一

    福田国務大臣 このことは私からどうするということを申し上げられないことは、岡田さんもよくわかっていて言うていられるのですから……。
  142. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 催促することはいいでしょうう。
  143. 福田一

    福田国務大臣 だけれども、私がやったわけでもないし、私がやらしたわけでもないのです。これは私の仄聞しておるところで、これは直接関係はいたしませんが、何か出すように努力をしておられるというお話は聞いておりますが、しかし、こちらから出せと言うわけにはいかぬし、出すなというわけにもいきませんし、あなたの御意見は承らしていただいておりますけれども、これ以上申し上げるわけにもいくまいかとも思います。
  144. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 しかし、そういう点について事務関係の担当は通産省ですよ。総理大臣が任命したけれども、そういう事務関係は主として通産省が担当する。総理もこう私に説明している。だからその点については、やはり責任があるわけです。いつまでも出さないものを出せと言うことはあたりまえです。整理しなければいけない。ところがまた反面、合理化審議会に出している資料を見ると、必ず調査団見通しというのがついておる。今度の審議会資料も、調査団見通し、違いというものが出されて、そして事業規模がきまる、今年度生産規模がきまる、いわゆる今年度のスクラップ規模が審議されているのですよ。そうするとこれは、見通しというのが出ているのだから、出ていないというのはおかしい。ないとするならば、わざわざ権威ある審議会調査団見通しというのを出すのがおかしい。それを明確に調査団見通しとして出しているのですから、これはやはり手元になければ、どうして通産省が責任を持ってあの審議会調査団見通しを出せますか。これは出しているのですよ。私も通産省からもらったやつに調査団見通し、それに伴う最近の食い違いとか、全部比較して出しているのです。それがないというのはおかしいと思うのです。
  145. 中野正一

    中野政府委員 いや、関係資料がないということは申し上げてないのです。それからまた大臣もいまおっしゃったように、これは旧調査団のメンバーということになりますが、もちろんそういう詳細な資料を出すときには、有沢団長の御了解なり何なりを得て、これは実際どなたが取りまとめをやられるかわかりませんが、了解を得てお出しになるものだというふうに私は解釈しております。そうすればわれわれは受理をする、こういうことです。  それからいま、審議会調査団資料というものが出してあるじゃないかということ、これは御承知のように、審議会のメンバーは調査団の当時のメンバーが全部なっておられまして、やはり三十八年度の見通し、これは時期の問題のときに出したと思います。調査団当時で見た見字というようなものを参考にしないと、よくわからぬ。だからそういうものを出せというおことばがありまして、われわれのほうとしては出したわけであります。その意味では何も隠しだてするようなつもりはないので、審議会には出しておるのでありますから、そういうように御了解を願いたいと思います。
  146. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私は、公表できないものはできなくていいのです。公表できるものはする。特に個別には、現に生きている山ですから、それが全部すらっと出されたら、銀行が金を貸さぬということは常識的にはわかる。だからこれは、全部けじめをつけなければならない、いつかそのうちに出すだろう。ところがこれは審議会には出てくるのですから、やはり事務を担当する通産省としては、きちんとけじめをつける必要があると思います。有沢団長が言っているように、昭和四十二年度には炭鉱労働者は十二万台になります。大体十二万五、六千人、台というのは五、六千人のことを言うのでしょうが、いまの情勢からすると、おそらく昭和四十年に十二万台になるかもしれない。へたをすると、二年早まってなりますよ。それだけ合理化テンポが早まっているのです。単に合理化基本計画だけを考えていくと、どうしてもそれぞれの企業の申請に基づいて、通産省としてはこれはやらさるを得ないのですね。そうなってきますと、これはとても雇用計画は立たぬし、来年あたりどうなるだろうかという心配が当然出てくると思うのです。特に今年度に限っては、これは結局は三井対策です。三井をどうするかという問題です。たとえば田川というのは今年度やめる計画ではないでしょう。それをとりやめて第二会社にするわけです。これは三井が極端に企業内容が悪いから、三井対策として普通一般に考えられない線が打ち出されてきたのが、今年度審議会だと思うのです。実際はあまりにも三井の企業とほかの企業との格差がひどいものだから、三井を自立させるためにはやむを得ぬ。しかし一般的に見ると、これはどうも当初の計画からいっても問題がある。だからそういう論法でいくと、企業が悪くなれば、そこは集中的に会社企業合理化の手助けをする。そのことをただ通産省は審議会にかけるということになったのでは、権威ある改組強化をする審議会でなく、また炭鉱労働者、一般の人たち審議会にすべて望みを託したその期待が、全然裏切られてくるわけです。ここに審議会自身の性格として問題があると思うのです。審議会はむしろ通産省の出されたものを審議するというだけではなくて、政府に対して、こういうことができればこうなるというような意見が出てくるように、審議会というものは運用されなければならぬと思うのです。これはもう生殺与奪の権を、四十二年度まで、少なくともすべて審議会が握るわけですから、この性格が非常に大事であると思います。この点今年度審議会が開かれて審議されたような、改組強化された審議会に一切のものを託するという、そういう審議会でいいのかどうか。この点通産省としては、われわれの考えておった審議会はこれでいいんだというお考えですか。
  147. 中野正一

    中野政府委員 ちょっと御意見が違うかもしれませんが、私が実際に自分でやっておりまして、通産省にいろいろ審議会がございますが、その審議会の中で石炭鉱業審議会ほど実質的に内容の審議をやり、また通産省のほうは、その審議会事務当局というか、下請というか、資料を提出するというようなことで、どんどん実質的な審議をしていただきますし、また各先生方も、たとえば需要確保等の問題についてもやはり関係業界——もちろん審議会のメンバーにはいろいろ有力な方になっていただいておりますが、そういうところで相当自主的な審議、折衝が行なわれておるわけでございます。これは先般開かれた資金部会においても、その前の合理化部会、雇用部会、またその前に開かれました需給部会においてもそういうことでございます。また特に今度の調査団が重要視した合理化計画あるいは再就職計画等その後のトレース、需給問題についても同様でございますが、そういう点も非常にきつく言われておるわけでございます。この間開かれました合理化部会におきましても、通産省のほうは六百七十一万トンという事務当局の原案を一応提出をして詳細に説明したわけでありますが、その間において、二日間にわたって相当実質的な審議が行なわれて、その結果五百五十三万トンのスクラップ計画が妥当である、こういう答申を受けたわけでございます。その答申を受けた通産大臣がこれをきめたということでございまして、この点については、そういうことを申し上げるといかぬのですが、石炭鉱業審議会でも、今度の審議会の動きというものが初めて自主的な——いままではいつも役所のほうの出した案をぐじゃぐじゃ質問してそれで終わりというようなことであったのですが、そうでなかったというおほめのおことばを某労働界出身の委員からいただいたというふうなこともございまして、われわれとしては審議会の活動に非常に期待もしておりますし、関係業界も、あるいは労働者の代表の方も、そういうふうな運営になっていっているので、これはぜひそういう運用を今後とも続けていったらいいじゃないかというふうな感じを私は持っております。
  148. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 生産規模の問題ともう一つ、原案というのは通産省がみな出されておるわけですね。大体国会なり政府でとにかくあれだけ問題になって、五千五百万トンは需要確保をするというのに、通産省は五千四百五十万トンの原案を出したわけでしょう。五千五百万トンは絶対に確保するのだ、もし確保できない場合には政府施策が伴うということをあれだけ言明された。通産大臣もこの点は明確に言明されているでしょう。ところが原案は五千四百五十万トン、きまったのも五千四百五十万トン、何ら意見も出てきていない。通産大臣国会であれだけ明確に、ずいぶん当初は渋ったけれども、最終的には、絶対に五千五百万トンは確保をすると明言をされておるわけです。それをあなたが諮問する審議会に、わずか五十万トンくらいだからいいだろうというお考えかもしれませんけれども、値切って五千四百五十万トンというのを出したのはどういうわけですか。しかも、そういう政府政策が明らかなのに、審議会がそれに対して、議事録を見ると何も言っていないわけです。五十万トンくらいだからいいだろうというような考えじゃないかと思うのですが、通産大臣はどういうお考えで五十万トン値切って出したのですか。
  149. 福田一

    福田国務大臣 五十万トン値切ったというわけじゃないのでありまして、いまのところ需要をすなおに見てみると、五千三百万トン前後しかない。五千五百万トンまでは供給を認めるという程度で、それ以上になっては困る。そうなれば年の半ばごろか、あるいは年末になって少し力を入れれば五十万トンくらいすぐ出てしまう。ところが今度は五千六百万トンにでもしておいて、そうして百万トン減らすということになると、これはまた非常に問題が起きてくるわけであります。そこら辺の感じをみて、これはほんとうをいうと、五千五百万トンの需要は確かにある、貯炭には絶対にならないというような感じなら、これは五千五百万トンで出したほうがいいと思っておったのです。あまりオーバーしては困ると思うものだから、そこら辺は手ごころをした、と言ってはおかしいけれども、それが一番すなおなあり方だと思って、そのくらいにして出したのです。ほんとうはあれは、五千三百万トンで出そうじゃないかという意見もずいぶんあったが、私はそれに反対したわけです。そんなばかなことがあるか、五千三百万トンということで、需要がないからそれで出すということにしておくと、それじゃ九月、十月ごろになって、やはり需要がないということでふやせないという事情が起きたときに、手違いやいろいろな問題が起きる、それ自体が労働者の収入等にも影響しないとはいえない、歩増し、奨励金というようなものの関係等を考えてみても、そういうことも起きる、だからなるべくそれに近い数字、しかしそれをオーバーしない数字、こういう感触で出したわけであります。
  150. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私もそうだろうと思うのです。近いから、五十万トンくらいだから見のがしてくれるだろうというような気持ちで——いろいろ検討もし、努力もされたんでしょうけれども、そういう感じがあるのじゃないかと思うのです。しかし本委員会に出されておる法案検討すると、十万トンが確保できない、だから五千四百五十万トンなんだ。一方では五十万トンを削る法案も出しておるのじゃないですか。これはどういうわけですか。ボイラー規制法も延長はしたが、改正しているでしょう。伝熱面積で五十平米を百平米にしているでしょう。明らかに五十万トン違いますよ。これは五千五百万トン確保できるわけです。五千四百五十万トン確保できるのだから、あとの五十万トンはできるわけです。それをごていねいに五十万トン程度の需要減の法案を出しておるわけです。これは理屈に合わないじゃないですか。
  151. 福田一

    福田国務大臣 それは、いまあなたがおっしゃるとおりだと、五千三百五十万トンということになるだけです。五千五百万トンにはなりません。たとえばいまあなたがおっしゃったとおりだとして、われわれがいま考えておるのは五千三百万トンくらいしがなくて、五千五百万トンだと貯炭が二百万トンふえるのじゃないかということがあるわけです。それはあっても何とかしなくてはいかぬじゃないか、それは政府としても何かめんどうを見ていこう、こういう感じを持っているから五千四百五十万トンという数字が出てきたのです。でありますから、ボイラー規制法であなたのおっしゃる五十万トン、それが減らないものだとしても、いまの需要という意味からいえば、五千三百五十万トンにしかならない。しかしわれわれとしては、五千五百万トンといっておるから、五千五百万トン前後は掘ってもらおう、掘って実際に需要がそれについていかなかったときは、われわれとしても何か考えよう、こういう気持ちで五千四百五十万トン、これを五千五百万トンにしておくと、去年みたいに年度の後半でもってまた減らさなければならぬというような事態も起きるということから、かえって混乱を起こすおそれがありますので、ちょっと控え目にした、こういうところであります。
  152. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 当初の引込みが五千三百五十万トンであろうと五千三百万トンであろうと、とにかく貯炭その他を想定しても、政府は五千四百五十万トンの需要確保する、それで審議会にかけて、審議会はそれを了承した。したがってそれが通産省の告示になった、こういうことでしょう。それは大臣、あたりまえですよ。五千五百万トンとあなたは確約されておるのだから、少なければ上げるのに努力するのは当然のことですよ。何か大臣の答弁を聞いていると、五千三百五十万トンだけれども、ずいぶん努力をして五千四百五十万トンにしたのだ——あなたは五千五百万トン確保すると言っておるのだから、それはあたりまえですよ。五十万トンの努力が足りないのですよ。その五十万トンを、わざわざ本委員会にこの法案を出して改正する。五十平米を百平米にしたことによって、実際数字がなかなかむずかしいのですが、私の想定では七十万トンないし八十万トン、こう見ておるのです。それを五十平米を百平米まで上げて需要の減退するボイラー規制法の改正を提案している理由がわからぬわけです。これは大臣、あなたもあれだけ明快に答弁されたのですよ。少なくとも本年度は五千五百万トンの需要確保するのがあなたの任務ですよ。これは修正されますか。この点については十分検討して話し合いをしてもいいのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  153. 中野正一

    中野政府委員 先ほど岡田先生のおっしゃった御質問で、五千四百五十万トンというのは審議会の需給部会で決定をした数字で、通産大臣の告示のほうは、生産ベースは五千五百万トンでございます。ですから、表に出ておるのはあくまで五千五百万トンです。それから五千四百五十万トンという数字は、相当審議会では問題があって、通産省もいろいろ苦心してつくった数字なんですが、これでは足りないじゃないか、少なくとも五千五百万トンには持っていくべきである、こういう議論は、議事録にどういうふうに載っているか、議事録を見なければわかりませんが、相当議論があって、やはり政府としては努力する、さらに五十万トンをふやすように努力するということを何度も言っております。また、そのつもりで、決して五千四百五十万トンで満足しているわけではございません。そのことはひとつ御了承願いたいと思います。
  154. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 なるほど、告示は五千五百万トンになっております。ただ問題は、石炭生産で、一般炭で五千九百カロリーですよ。カロリーは出ていない。五千五百出るのです。これはわからぬのです。調査団のあれですか、われわれに約束したカロリーと同じですか。
  155. 中野正一

    中野政府委員 同じでございます。
  156. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 五十万トンですから、数字としてはじき出すのは、これは簡単にできるわけですよ。ただ一方においては、五千四百五十万トンという需要想定がなされる。一方においては、現在の出炭規模というものが五千七百万トンないし五千八百万トン程度、これもスクラップがずれることによって変わりますからね、一応そう言うだけであって、五十万トンや百万トンは、三カ月スクラップを早くするかおそくするかで自由自在に変わる。五千五百万トンだって、労使の話し合いで、あなた方の予想と違って、十月に閉山する予定のが三月に閉山した。すると、たとえば美唄とか田川の山なんか大きいですから、百万トンぐらい非常に簡単に違うわけですね。ですから数字だけにこだわってやると、非常に実態と遊離する面があるわけです。ですから五千五百万トンをこえる場合には、一方において生産制限をしなければならぬ。通産省は生産制限の指示を出しているわけですね。各社が集まって、大体その生産について話し合いが行なわれておるわけです。これは五千五百万トンですか、大手、中小、五千五百万トンですか、今度の生産制限は。
  157. 中野正一

    中野政府委員 さようでございます。大手、中小合わせて五千五百万トンに押える、こういうことであります。
  158. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 これも大手のほうは生産数量をかってにきめているのだけれども、中小のほうは全然それはやっていないわけです。だからこれも実態はわからぬのですよ。大手のほうだけは確かに生産制限会議で一応割り当てをきめています。中小はもうつかまえ得ないのです。通産省でもつかめないでしょう。つかめますか、中小の場合。
  159. 中野正一

    中野政府委員 従来は大手だけ生産制限をやって、中小のほうには石炭鉱業連合会がございまして協力を求めるという形でやっておったのですが、今度はだいぶ情勢が変わりまして、中小の連中も相当真剣になって、大手のほうでこういうふうに五千五百万トン・ベースに合わせるのなら、われわれのほうも良心的にやります——石炭鉱業連合会のメンバーに入っていない連中がおりますから、そういうところまで統制は及びませんが、地区別に数量を展開しまして、過去の実績に対して三%減、約二十万トンの削減ということで、今度は相当やはり情勢が変わってまいりましたので、真剣に考えてやってまいっておりますから相当効果はあがるのじゃないかというふうに期待をいたしております。
  160. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ボイラー規制法が運用されてきてから、当初のボイラー規制法の運用と、ここ二、三年の傾向のボイラー規制法の運用とは、ずいぶん変わってきているのではないかと私は思う。かってこの法案が再度延長されたときに、通産大臣は、現在の池田総理ですが、その延長趣旨について商工委員会でいろいろ説明しておる。その議事録を私は持っているのですが、池田さんの言っていることをずっと読んでみますと、火力発電でも重油専焼なんというのは例外中の例外です、こういう明確な答弁をしている。ですから決して御心配なく、こういうことをずいぶん具体的に明確に言っているわけです。ところが三十五年からいよいよ重油専焼火力発電が許可されて、三十五年が九件、三十六年が十八件、三十七年が十五件、もちろん経済の成長もありますけれども、急速にこれは伸びてきているわけです。今日もはや火力発電所というのは、油をたくのが常識になっているというのが現状なんです。ところがこれだけならまだがまんできるのですが、精密調整、更新、あと排熱ガスとか、可燃性ガス、それから廃油混用、これは別にして、更新、精密調整、移設、そういう面も同様に、三十五年を契機にして急速に容量が大きくなってふえてきている。これは明らかに昭和三十八年度の十月でボイラー規制法が切れる。だから、いま設備投資をしてボイラーをつくっても、完成するのは大体ボイラー規制法が切れてからだ。また一応延長しないという前提が当時あったものですから、これはボイラー規制法がなくなるあとにできるものならばいいんではないか、こういう傾向に拍車をかけているのが池田さんの高度経済成長、これが拍車をかけてこの法案は実質的に骨抜きにされてきたというのが経過ではないかと私は思う。大臣はそのように理解になりませんか。
  161. 福田一

    福田国務大臣 だんだんボイラーが大型のものになってきているということは、先ほど申されたように、経済事情その他いろいろ関係があると思っております。
  162. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大型になってきてもそうなんですが、私は一つの例をあげて大臣にお聞きしたいと思う。大臣は自分の権限を法律によって通商産業局長に、この重油ボイラー設置許可の権限を、省令の定めるところによって与えているわけです。各通産局長があなたの権限の委譲を受けて、政令の定める基準に従ってやられているわけです。これは大臣にお聞きしたいのですが、これは石炭でなければだめです。重油ボイラーは許可しません、こう正式に言ったわけです。ところがそれを聞かないで、そういう決定をしたのにかかわらず聞かないで、一方会社のほうではかってに重油ボイラーをつくってしまった。これは重油ボイラーができたんですからしようがありません、ですから許可されなかったけれども、許可して、あとから許可を変更してもらいたい、実績をつくられて、しぶしぶ通産局長がこれに許可を与えるというようなことがあれば、私はこの法案なんというのは意味をなさないと思うのです。一度許可したものが、既定事実をつくられてこの許可を変えなければならぬということは、実際問題としてはあり得ないと思う。そういうことがあり得てもこれはいいものでしょうか。私はあり得ないのがほんとうであって、そういうことをやったものには罰則を当然適用さすべきたと思うのです。それが法の運用のほんとう態度ではないでしょうか、この点についてはどうでしょう。
  163. 福田一

    福田国務大臣 そういう事情があるとすれば好ましからざることでありまして、やはり法は厳正に守られなければならぬと思っております。法は厳正に守らるべき筋合いのものだと思います。
  164. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 前に私もこのボイラー規制法の問題でいろいろ質問したのですが、法は厳正に守らねばならぬという答弁をいただいたわけです。法は厳正に守らなければならぬわけですよ。しかし、これは許可の問題ですよ。許可しないと出した以上、最後まで許可しないのがあたりまえではないですか。それを許可と違ったことをやれば、当然これは罰則を適用しなければならぬのではないかと思いますがね。二度通産省が許可しませんと言ったのに、既定事実をつくられてから許可するということがあり得るのですか、あっていいのですか。
  165. 中野正一

    中野政府委員 ちょっと私から御説明申し上げますが、御指摘のようなケースがあったといたしますれば、たとえばこの省令で、先ほど岡田先生が言われました精密調整で、要するに温度とか蒸気のぐあいが、その構造の特質から精密に調整を要するような施設であって、このために重油ボイラーでないと、石炭ボイラーではどうしてもうまくいかない。これはボイラーから発生する蒸気がきわめて精密に圧力なり温度あるいは量を調節し、または急激にボイラーの負荷を変動させる必要があるという場合にこれは許可できるということになっておりましてそういう点で、役所側の見解とそれから会社側の見解が食い違っておって、われわれのほうはむしろ行政指導によっていろいろ調査をして、この構造の特性であるところのその程度の精密調整なら、石炭でいけるじゃないかという行政指導をしたわけでありますが、会社側からいうと、どうしてもこれはやはり例外措置の規定で許可してもらって、重油専焼ボイラーでないとやれない、こういうことで調整に時間が長くかかって、結局、役所側としては、これはやはり例外措置に該当するという認定をして許可をしたというケースじゃないかと思うのであります。そういう点につきましても、たとえば特に産炭地等については、われわれとしては従来からそういうことで行政指導をしておるわけでありますが、やはり産炭地については石炭値段も安いわけですから、油と比較してそんなに変わりはないというような事情もありますから、技術的に、いま言ったように、どうしても重油でなければだめだということが非常に明白な場合はやむを得ませんが、そうでない場合はできるだけ石炭ボイラーでやっていただくように、従来から行政指導でこういう措置をやっておるわけでございます。
  166. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 それは局とか通産省は、科学とか技術に弱いわけですね。言うなれば、しろうとなわけです。そうすると、申請するほうは精密調整であるということばかり説明するわけです。聞くほうはわからぬから、ああそうですかということになる。これが許可の実態なんですよ。ところが一方、大学の技術関係に意見を聞くと、それは別に会社が言っている程度のものではなくて、石炭ボイラーでけっこうです、こういう意見が出てくるんです。許可する場合に、ここが問題なんですね。私がいまはっきり名前を言わなかったのは、考え方をただしたかったから言わなかったのですが、これは北海道の大日本製糖の事件なんです。当初重油ボイラー設置許可願いが出たが、これを却下した。許可しないで、石炭ボイラーということに正式決定をしたわけです。ところがずっと組み立てをして、一番最後の機械の装置の認可を持ってきたときに、それは重油ボイラーであった。あとは石炭ボイラーとみな同じですから、一番最後に持ってきて、これは重油ボイラーです、これはもう発注してでき上がってきます、こういうケースなんです。そんなことがあっていいんですか。初めに許可するかしないか態度を保留しておったなら、私はわかるんです。しかし札通局では、これは許可しません、こういうことを言っている。これは私は非常に大事な問題だと思うんです。いま政府の甘味資源対策昭和四十二年度には国内糖は総需要量の半分は自給する、自給度を高める。そこでてん菜糖の育成をする、保護をする、そうして続々と工場が認可されて、今回大日本製糖とそれから北連工場、二工場が認可になった。同じ条件です。一方は忠実に石炭ボイラーでやっているわけですよ。まして産炭地でもある。一方は言うことを聞かないで、許可を得ないのにかかわらず、自分で強行して、最終装置の場合に、これは重油ボイラーです——これをもし事後にあなた方が許可をしたとするならば、大へんな話です。そういうことがあり得ていいんですか。これは大臣にお聞きしたいのです。非常に大事な問題です。これがいいということになりますれば、これからできる明治製糖あるいは名古屋精糖あるいは台湾製糖ですか、続々とこれは重油ボイラーになりますよ。しかも北海道において。たいへんな問題です。重油ボイラー規制法なんというものは、そういうことをやられたのでは意味がないと思う。最近の傾向として、大なり小なりその傾向があるのです。私はここが非常に問題だと思う。大臣は真偽のほどはどこまで知っておるか知りませんが、そういうケースがあってはならないということは、私と大臣は意見が一致するのじゃないでしょうか。
  167. 福田一

    福田国務大臣 全くそのとおりでございます。
  168. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そうすると、これがあったとすると、これを許可した通産局長というのは責任問題ですよ。私がいま申し上げたとおりの事実で許可したとすれば、通産局長は責任問題です。取り消しても、すでに稼働しておるのですからね。はずすわけにまいらない。そういたしますと、初めにあなたの権限を受けて、許可しないと言っておったにかかわらず、既定事実をつくり上げられて許可したということになれば、責任問題です。これは北海道議会においても問題になって、議事録があります。ですから、この問題は明らかに立証できるのです。この場合に、この法を今後厳正に運用するためにも、通産大臣は何らかの措置をとりますか。
  169. 福田一

    福田国務大臣 私、何も責任をのがれようとして申し上げるのではありませんが、過去にどういうことがあったかどうか実情をつまびらかにしておりません。今後の問題としては、そういうことはないようにいたしたいと思っております。
  170. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私もあまり過去にこだわってどうのこうの責める気持ちはない。しかし私は、それだけの立証できる資料なら整えることも可能です。そういうことでこの法が運用されてはかなわない。まして政府は延長すると態度をきめたのですから、厳正にこれをやってもらわなければならぬわけです。したがって通産大臣は、今年度十月に切れるという予定のものが、石炭対策のためにさらに延長されるのですから、あらためてあなたの権限を委譲する各通産局長には、この法を延長した政府の趣旨、それから法の運用についてやはり通牒か何か出すべきだと思うのです。それは単に、今度延長したからというのではないんですよ。そういう例があるから、厳正にこの法が運用されるように——精密調整ということが多くなるのですから、精密調整というのはぼくもわからぬが、局長もわからぬのですから、そういう点は十分慎重に配慮して、意見を聞いてやらなければ、これは一角がくずれればみなくずれていきますよ。だからそういう点についてあらためて——もちろん局長会議もあるのですから、そういう説明もできるでしょうが、その面の適切な措置をとっていただきたいと思います。よろしいですか。
  171. 福田一

    福田国務大臣 仰せのとおりに措置いたしたいと思っております。
  172. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 そこで先ほどの、中小企業対策のために五十平米の伝熱面積を百平米まで上げる、こういうことになったわけです。私はこの法律はそのまま延長されることを期待しておりましたし、大体いままでの国会の討議の過程から見れば、ボイラー規制法の延長というものが、すんなり与野党の間でも理解されておったと思う。ところが法案となって出されてきたのは、中小企業の場合にこれは百平米まで上げる。私どもは七十万トンないし八十万トンの需要減になると一応の想定をいたしておるわけですが、この点についてはどういう根拠なのか。揚げ地においては、単価は千二百円下げておるのですからね。産炭地の場合、へたをすると重油を使うという面も出てくるわけです。しかし今度の法案は別に、産炭地だとか産炭地でないとか、これまた区別はしていないわけですよ。とにかく全国一律に百平米の伝熱面積まで引き上げる、こういう考え方で出されてきておるわけです。私は逆にいうと手元に資料があるのですが、これは一昨年の実績ですが、四十から百の間、これは大体新設で千五百件、廃止が五百三十六件、現存が八千百七十二件。しかし、四十平米以下が圧倒的に多いのです。現存が二万四百二十四件あるわけです。もちろんこれは、ある程度許可基準で押えられておったから、こういう数字が出てくると思うのです。ところが一方百平米以上になると三千三十三件、それから二百平米から三百平米までが七百六十四件、三百平米から五百平米の間が五百八十八件、五百平米以上が二百八十一件、非常に少ないのです。そうすると、従来の運用が非常に緩慢であったという面に比べても、実質的にこの法案というものは半分用をなさないことになるのですね。私はこの数字、実績から見て、そう思うのです。だからボイラー規制法の延長は、その効果は当初の半分より及ばない、こう言っても過言ではないと思うのです。そして一方においては、五千三百五十万トンよりないやつを五千四百五十万トンまで上げてやったのだが、五千五百万トンの需要確保はいまだ遠しということは、矛盾だと思うのです。この点は一考を要すべき問題ではないか。私は特に委員長にもこの点十分数字を検討して、再考願いたいと実は思っておるわけです。ですから、やはり現時点では、昭和四十二年、石炭が自立するまでなんですから、これは従来のボイラー規制法をそのまま延長すべきだ、こういう見解を持っておるわけです。実績がそうなんですから。大臣いかがですか。
  173. 福田一

    福田国務大臣 石炭に対する対策というものは、実は例外的な措置でございまして、これはあなたもおわかりだと思います。中小企業対策というのも、これは与野党を通じてやらなければならない問題であると思います。ボイラーの問題をあまりきびしくいたしますと、いわゆる中小企業合理化あるいはその他の、いわゆる投資効果を上げていく意味においてどうもうまくいかないような事情もありまして、それらを勘案して——いずれも政治であります。どちらのほうを助けるか、どちらのほうにウエートを置くかということは、これは私は政治の問題だと思う。利害というものはいつでも、相反する場合が多いのであります。その利害をどこで調和するかということを考えて、政治はやらなければいけません。今度の場合に百平米というところまで上げたのは、その調和はここら辺が適当であろうということでやったわけであります。  なお、重油ボイラー規制法はそのまま延長すると言ったことは、私は一度もございません。延長するということは、申し上げたが、それはどういう形においてやるかは、慎重に研究させていただきたいということをずっと言っておるのでございまして、当初からそのままというようなことは申し上げておらなかったつもりでございます。
  174. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 しかし、重油ボイラー規制法の数字の実態を知れば、そのまま延長するか、やめるかなんですよ。それをみみっちく五十平米を百平米まで上げるということ自体が、私はどうも理解ができないのです。確かに抽象的に言われれば、いま大臣が言うようになる、具体的に内容を検討してみますと、これが影響を及ぼす中小企業の燃料費の比率というものは一体どうか。これは微々たるものですよ。一%から二%じゃないですか。一%から二%がどんなにたいへんなんですか。しかもこの比率は、石炭だけじゃないのですよ。油、石炭、電気、全部入っています。ですから、この比率が石炭を使うことによって、ボイラーに石炭を使うというだけによって、私はそんなに重大な影響を及ぼすものじゃないと思うのです。この数字を検討してみても、燃料費ということはいつでもずいぶん問題になるのですが、しかしそう重大な問題ではないのです。たとえば関西電力で三百万トンの石炭をたいても、それはわずか何銭か何厘ですよ。非常に微々たるものなんです。水力から何から一切ならすと、微々たるものになるのですよ。ですから観念的に、抽象的にとらまえると大臣が言われたようになりますけれども、実際のわが国の燃料費、国際的な比較、こういうものからずっと検討してみると、ほかの国でも石炭対策には膨大な予算を支出してやっておるわけです。五千五百万トンの需要確保できないという中では、せめて従来の保護立法措置というものはそのまま踏襲する。しかしながら、そういうものを変更して、通産大臣が五千五百万トンの需要は容易にできるのだ、私にまかせてくれというなら別です。ここが問題なんですね。一方ではできない、一方では上げなければならぬ。ところが燃料比率というものは、そう膨大なものではない。国際的に見ても、そう大した問題ではないわけです。それはボイラーですから、若干の努力によってカバーできる問題であるわけなんです。ですから私はそういう意味において、自家火力発電以外に、さらに蒸気をほかの精密調整、たとえば食品加工等に使われる場合と違って、きわめて小さいボイラーなんですから、それが重大な影響を及ぼすという大臣の理解自体が、数字やあるいは燃料比率その他ずっと実績を調べてみますと、そう当たっていないと思うのです。ただ感触としては、非常に反対が強いことを私は理解しています。また、こういう法律自体廃止をせよという強い、ある方面からの要請があることも承知をしております。しかし大臣が、どうしても五千五百万トンの需要確保できますと言うなら別ですが、それがまだほど遠い状態では、いままでの保護措置は四十二年度まで延長するというのが、当然の考えだと思うのです。二者択一、いずれかだと思うが、どうですか。
  175. 福田一

    福田国務大臣 それは、私はあなたとちょっと意見が違います。たとえばいま労働賃金を一円下げたって、何も響かない、マッチ一つに及ばない。しかし一円下げるのでも、下げるということはたいへんなことなんです。やはり重油ボイラー規制法というものを置いておく、それを百平米まで上げたということは、確かに影響はあると思います。影響はあるけれども、全部なくしてしまうということは、石炭をつくっておる人々に与える影響というものは非常に大きいと思います。やはり政治というものは、現実の面における数字も大事でありますし、一方においては、そんなものは撤廃してしまえという意見があるにかかわらず、政府としては石炭のために使ってもらうのだという気持ちをあらわすということは大きな政治であって、これはちょっと岡田さんのおことばとも思えないので、そんなものは二者択一でやめるかやめないかだ、こんなものを出すくらいならやめた方がいいんだということには——そういう意味で言われたとすれば、私はちょっと言い過ぎじゃないか、こう思います。それからまた、中小企業に実際問題として大して影響はないのだ、こうおっしゃるかもしれませんが、そういうふうに私はお聞きしたのですが、たとえ一円損しても、損しないほうがいいのでありますから、やはり中小企業から言えば、少しでも損することはやめたい、こういう考えでいることは当然のことであると私は思っておるのでありまして、われわれとしては中小企業のことも考え、また石炭のことも考え、両者を考えた上で、これくらいがよかろうという考え方で出しております。もちろんこれによって需要は幾分減になることも考えられますが、しかしその点については、ほかの面でできるだけ需要確保努力をいたしてまいりたい、こういうような考え方で改正案を出しておるわけでございます。
  176. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 私も欲ばりだから、重油ボイラーの延長も必要だし、それ以外の政策も必要だ、こう実は思っておるわけです。ただ、オーソドックスに考えるなら、大臣が言うようなそういう趣旨であるなら、それは全部廃止して、それにかわる需要をつくればいいわけです。簡単に言えば、何もボイラー規制法を延長しなくても、百五十万トンであるならば、確実に百五十万トンの石炭が消費できるものをつくれば、これは要らぬわけです。ただ問題は、たとえばそういう百五十万トンなら百五十万トン使う発電所を別に政府がつくるとしても、それは実際は三年かかるのです。三年間もかかりますから、いま緊急の問題としては間に合わぬわけです。ボイラー規制法の延長というのは、これは延長すれば今年度、来年度、この需要確保されるわけです。そこに問題があるのです。ですから、この重油ボイラー規制法を延長しないならば、それにかわる措置をとらなければならぬという問題になってくると思うのです。私はそういう考え方を持っているわけです。いまここで百平米に上げるということは、五十から百の間が急速に重油ボイラーに転換されるということです。この数は、私は相当な件数に上ると思うのです。四十平米以下で二万件以上に上る件数が登録されておるのです。実績として出ておるのです。ですから、これは万件以上のものが急速に出てくると思うのです。このことは案外私は、来年度需要想定の場合に問題になってくるのじゃないか、こういう気持ちが非常に強いわけです。日本の企業というのは、こういう法律が緩和されると、金利や設備投資の減価償却等を考えないで、すぐ新しいものを設置をするという癖があるのです。これは通産大臣としても気をつけられたほうがいいと思うのですが、そういう傾向がヨーロッパに比べて強いのです。ですから、案外ばかにならない数字になって出てくるのではないか、こういう懸念がするわけです。  そこで大臣の認識でお伺いしたいのは、あなたは、百平米に上げても、産炭地の場合は石炭が安いから、油に切りかえるボイラーというものはないと考えられておるのですか。これは一般的に基準を上げるのですから、産炭地というのは区別されていないのですよ。そうすると、産炭地はとにかく石炭は安いのだから、それは簡単に重油ボイラーに切りかえるところはない、石炭は従来同様にたくだろう、こういう期待なんですか、そういう認識でしょうか。
  177. 中野正一

    中野政府委員 ちょっと、数字のことでございますので私が申し上げますが、一応通産省として算定をしておる数字を申し上げますと、伝熱面積が五十平方メートルから百平方メートルの産業用ボイラー、これがどれくらい消費しておるかと申し上げますと、伝熱面積五十平方メートル以上の全体のボイラーに石炭を使用しておる数字は、三十六年度で一千八十万トン、そのうちで五十から百平方メートルのものが三百八十万トンであります。それから、そのうちのいわゆる暖厨房用、これは今度緩和しておりません。産業用だけでございます。これが約九十万トン、そうすると三百八十万トンから九十万トン引きますと、二百九十万トンということになりまして、そのうちで産炭地については大体二割程度というふうに見ておりまして、五十八万トン、その程度はこれは将来転換しないとは言えませんが、大体いまの炭の値段と油の値段関係からいえば、しいて転換をしないのじゃないかというふうに見ております。というのは、大部分が中小企業者等でございまして、特に油を使ったほうが非常に有利であるという場合でなければ、転換しないのじゃないか。そうしますと、二百三十万トンというものが転換の対象になるというふうに見ておりまして、これは大体十年ぐらいでボイラーの寿命がきて転換をするということになるわけでありますから、そうすると二十三万トン程度が毎年減る。ただこれは緩和した年には、ある程度それを繰り上げて転換をするということも考えられますので、これ以上の数字になるというふうに考えております。したがってその意味で、いま岡田先生が言われたように、影響は相当あるのではないかということはごもっともでございますが、しかし百平方メートル以上のもので七割程度の石炭使用量がありますので、これをひとつがっちり押えるということが、政策としては大事ではないか。  もう一つ、先ほど燃料費というのが大体一%か二%ではないかというお話がございましたが、通産省の調べによりますと、いまの五十から百平方メートルで一番困っておるのは、たとえば京都あたりの染色整理、これが揚げ地で、非常に石炭生産地が遠いということで、石炭もある程度高い。油よりも相当高いのとでございますが、こういう業種がいわば典型的であります。   〔有田委員長代理退席、藏内委員   長代理着席〕 この染色整理が六・八%、これは燃料費の製品出荷額に対する割合でございます。紙が五・三八%、それから窯業関係にいきますと一一・五%というようなことで、ここらのところが一番影響を受ける、しかもわれわれの調査ではそれが全部中小業者であるというようなことで、先ほどの大臣の断が下った、こういうふうに考えております。
  178. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 滝井委員が来ましたから、私はそろそろやめますけれども、いま説明されたとおり、先ほど私が言いましたのは、労働省で安全衛生規則で把握しておる能力別のボイラーの数、それで私は数字をずっと述べたわけです。だから百平米以上になると、急速に数としては減るのです。容量は大きいけれども、設置数からいうと、ものすごく数は減るわけです。百平米以下が非常に多いわけです。もちろん五十平米以下はなお多いわけですが、そういう点で相当な影響がある。いま石炭局長が言われたように、確かに燃料費は高いところもあるわけです。いまあなたの言われた点はそうです。それ以外はほとんど一%ないし二%です。あげた三つ程度は、業種別に見ると高いのであって、そうすると案外、この点は基準を変えることによって、そういう燃料費の高い指定業種をきめるとか、あるいは地域をきめるとか、それで可能ではないか。ですから問題は、五十平米を百平米に上げるのではなくして、その許可する基準の中で指定業種をきめれば——中小企業で燃料費が高くて影響のあるものは、指定業種をきめれば事足りるのじゃないか。それを一律に産炭地であろうと、地域も業種も問わず、百平米に上げるという認識が、いまの石炭政策の現状に合うのかどうか。私は無理な話をしておるのじゃない。中小企業のそういう実態があれば、それを否定するのではなくして、ここはもう少しくふうするところがあるのじゃないか。せっかく許可基準があるのですから、基準の中で業種指定をするとか、地域を考慮するとか、そういう措置がとられれば、きめこまやかな、しかも実態に即応した石油ボイラー規制法の延長ということになるのじゃないか。何も本文を変更しなくてもいいのじゃないか、あるいは本文をこうするならば、基準のほうで変えて、いま私が申し上げた趣旨を生かすとか、いずれかを私は、この法案審議にあたって結論づけるべきだ、こう思うのですが、そういう実態は説明されればされるほど、その実態を私は無視をするのではないという立場で、この点については当然、法案でいくか基準でいくかは別にして、本委員会でも研究しなければならぬし、政府当局として五千五百万トンの需要確保されない段階では、もう少しきめこまやかに検討すべきじゃないか、こう考えるのですが通産大臣いかがですか。
  179. 福田一

    福田国務大臣 お説のような方法もあったと思います。われわれとしては、このやり方でやるのがいい、こういうことでございまして、あなたの御意見が悪いという意味でお答えをいたしておるのではありません。われわれとしては、これでやらしていただきたい、こう思って提案をさしていただいておるわけでございます。
  180. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 この際、委員長にちょっと申し上げておくのですが、これはあとからひとつ、代理で恐縮ですが……。この問題は、いま私が指摘をしましたように、実態に即応して、その実態に対処して、やはり法案はきめ得るものであって、そのほうが石炭対策の面からいって好ましいのじゃないか。この問題は、当委員会としては、ボイラー規制法の延長を審議する過程において、十分に与党のほうでも検討をしていただきたいし、また当委員会として十分に検討してもらいたいということを要請して、滝井委員が来ましたので終わります。
  181. 藏内修治

    ○藏内委員長代理 滝井君。
  182. 滝井義高

    滝井委員 どうも申しわけないのですが、引き続いて二、三十分間、せっかくお待ちいただいたので、やらしていただきます。  再就職計画ですが、二月に予算を審議するときに、今年度四百七十万トンの買い上げをやった場合には、一万二千人程度だということであったわけです。ところが今度五百五十三万トンになりましたところが、大手、中小合わせて二万三千人。トン数は百万トンしか違わないわけです。ところが人数は一万人も違ったというのは、一体どういうところにあるのですか。
  183. 三治重信

    ○三治政府委員 御質問の四百四十万トンに対するやつの今度の四百七十万トンにつきましては、先ほど御答弁いたしましたように、一万六千七百五十人でありまして、二万三千人になりましたのは、これは保安とか自然消滅というものを全部合わせた数字でございますので、この前一万四千人と言ったのは、ただ買い上げの閉山対象だけの問題でございますので、範囲が違うのです。
  184. 滝井義高

    滝井委員 トン数は四百七十万トンで、さいぜん一万二千人と言ったけれども、一万四千人の間違いです。  三十八年は、予算の説明では四百七十万トンで一万四千人だ、こういうことになっていたわけです。ところがいまの五百五十三万トンのうち、大手十一炭鉱、二百六十五万トン、それに対して一万人、それから中小百三十五炭鉱、二百八十八万トン、一万三千人、こう出てきたわけです。そうするとこれは、二万三千人になるわけです。ところがトン数でいくと四百七十万トンと五百五十三万トンですから、百万トンと違わないわけですよ。差は百万トンないわけです。ところが人数にしてみると九千人ですけれども、約一万人近くの違いが出てきたわけです。あまりにも違いが大き過ぎるわけです。そのほかに、あなたの方が予測をしなかった一万一千四百人という合理化の分まで加わってきたのです。いわゆるビルドアップをすることによっての失業者が出てきますから、これが加わってきた。これは全く労働省の予測しなかったところなんです。  そうしますと、四百七十万トンで昭和三十八年度の予算は組まれたわけです。その場合の炭鉱離職者の職業訓練費は、四億七千九百八十二万二千円で、人数にしたら九千五百三十人です。そうすると第一ここに、再就職計画の一大前提である訓練のところに狂いが出てくるわけです。そこらあたりの説明を少し……。
  185. 三治重信

    ○三治政府委員 閉山以外の合理化による解雇が、本年は一万一千四百人でありますが、いままでそれが予想していなかったというのではなくて、三十七年度計画におきましても、閉山以外による合理化のやつは計画の中には入っているわけでございまして、これは当然閉山合理化による解雇者というものは、両立してずっと従来ともある数字でございます。  それから訓練の計画が合わない、全体の離職者が多くなって、訓練計画が当初予算どおりであれば割合が減るのじゃないかということの御質問については、これは数字上からの対比でいけば、割合は確かに減ります。しかしながら、この前も御説明いたしましたように、予算との純増の差額は三千三百人なわけですから、今後その訓練の経費が足らない、また訓練の希望が多くて訓練の施設が足らないという場合につきましては、その拡充なり訓練の経費については、われわれのほうとして増加に努力することにやぶさかでないわけであります。ただ、今年の計画を見ていただいてもわかりますように、公共職業訓練所による訓練施設という問題については、そう臨機応変の措置はなかなかとれません。これはもちろん設備をやっていく場合に最低一年かかる、そういうことからいって、昨年の補正予算で三カ所総合訓練所を入れているくらいでございますが、これが三十九年度からでないと全部完成しない。三十八年度後半で一部開所ができる、こういうかっこうになるわけでございます。そういうふうでありますので、訓練につきましては、幅広くいわゆる短期速成訓練を入れましてこれで弾力性を持たす、ことに中高年齢層の職業訓練になりますと、従来やっております公共職業訓練のいわゆる長期訓練よりか、やはりそれぞれ中高年齢層に向く、いわゆる国家試験をとるとか、または、非常にその技能の資格試験のために求人が足らないという部面について、それを充足するような短期速成訓練をやるということで、予算を組んでいるわけでございますので、そういう部面につきましては、今後ともこれは予算措置をとれば幅広く組めるわけでございます。  さらに今年から入れます委託訓練、そのおもなる内容は自動車の運転手でございますが、これは公共職業訓練所で施設をつくってやるよりか、現在施設がある、いわゆる民間の自動車学校に委託訓練をしていく、これはもう予算だけで、そういう収容施設がなくても、民間の自動車学校との委託契約で、幅については弾力性を持たせる。現に福岡県におきましては、どれぐらいの希望者があるのかということで、三百五十人くらいの予定にしておったわけでございますが、福岡県では千五百名くらいが自動車訓練をやりたいという計画を持ってきておりますので、これが福岡県の中で、各自動車学校でそれだけのものができるならば、われわれとしては予算の繰り上げ使用をするのはやぶさかでないから、それはどんどんやりなさいということで、福岡県には同意を与えているような実情でございますので、訓練の幅がそう非弾力的でないということを御承知願いたいと思います。
  186. 滝井義高

    滝井委員 いろいろくどくど御説明をいただきましたが、私の尋ねているのは、五百五十三万トン山をつぶした場合には、二万三千人でございます。四百七十万トンのときには、一万四千人でございます。その差は八十万トンです。たった八十万トンしかふえていないのに、人数は九千人になるのはおかしいじゃありませんか。一方第二会社にしますときには、百十八万トンであるが、第二会社にします人数は千二百人、こうおっしゃったでしょう。あまりにもえてかってな数字ではないだろうかというのです。——前のほうの石炭局を指さしておられるけれども、前のほうではこうおっしゃっておるけれども、それじゃあまりに議員がばかにされ過ぎでおりはせぬか。二月に説明したときには、四百七十万トンで一万四千人でございます。こういう説明をしてくれたのです。そのときには職員その他を入れておりませんでした。これを入れたって九千人にもなりはしませんね。一千人か二千人です。ところが、一方百十八万トンという第二会社に持っていくのは幾らですか、たった千二百人、八十万トンつぶしたときには九千人というよけいな失業者が出る。ところが雇用する再就職の計画の中には、百十八万トン繰り延べたが、千二百人です。これはあまりにも、小学校一年生でもおかしいと思うですよ。だから、そこらをもうちょっとわかるように説明をしてくれぬと、そのときそのときのあれでは困る。われわれはこういう予算書をもらっています。失業対策として職業訓練をことしはやります、去年は六千三百人だった、ことしは九千三百五十人ですと言うけれどもそれだけの数が違うということになれば、この九千三百人だってあやしいものになってくる。だからお互いに、これは数字ですから、ごまかそうと思えばごまかせる。あまりにごまかしようが激し過ぎると思うのですよ。百十八万のときに千二百人で、八十万のときには九千人だというのでは、どう考えても納得がいかないのです。
  187. 三治重信

    ○三治政府委員 確かにそのとおりなんです。トン数当たり大体平均すれば何人というふうなことで計数が出れば、非常に簡単なことだと思うのですが、この点での当初の通産省の買い入れ申し入れ後のところから、通産省のほうでいろいろ計画された閉山規模、そういうものに対して、閉山規模を変えた場合の人数の減り方が、いわゆる比例的に変わらぬわけです。この点については、そういう小学校の生徒が算術的に出すことからいうと、非常な矛盾です。ところが実際に山ごとに当たったり、閉山の、この山は買い上げトン数は多いのだけれども、もう前年でほとんど整理が終わっているという山だとか、この山は合理化でだんだん整理されていくから、最終の山を買い上げるときにはこれだけしか人数がいないのだ、こう言われるとしょうがないのです。したがってその点はそういうふうに算術的にいかなくて、むしろ山別に通産省が当たられて、しかも通産省がその山別にどこでどうということを、実情をいろいろ計算するのだけれども、これは算術計算ではなくて、各山の在籍人員や動きというものの実際を各会社から聴取し、また各地方の実情を見て計算されるという説明でございます。私どもが、これはトン数でこれだけの閉山規模だから、これだけの離職者しか出ないというふうに計算をするとすらっと出るわけですが、実際各山別に当たられて、そこから結果を出されるものですから、われわれとしては、滝井先生のおっしゃるとおり、結果から逆算して出していくと、とんでもない矛盾が出てくるということは申し上げますが、しかしこのほうがむしろ実際の計画においては実情に合っているというふうに、われわれは通産省との事務的な折衝では、そう了解しております。それを技術的にやると、今度は具体的な山別の、ここをこうしたからこうなるのだというふうな数字になってしまうので、それは言わないということになっておるから、やむを得ないことだと思います。
  188. 井上亮

    ○井上説明員 ただいま滝井先生のお話の中に、筑豊百万トンについて千二百人というお話がございましたが、この千二百人と申しますのは、これは第二会社に移るのであろうと想定される数でございまして、離職者数は別でございます。なお、御承知のように、筑豊百万トンの二山につきましては、一山が四千七百人ぐらい、もう一つは千五百人ぐらい、合計しますと六千人近くもの労働者がおるわけですが、これにつきましては、実際の計画としましては、そのうちの相当部分は他のビルド山に配置転換になる。一部は、先ほど言いました千二百人程度は第二会社になるのじゃないかというようなこと。第二会社の場合には、率直にいいまして、まだ数はわかりません。労使交渉中でございます。それからなお、会社あっせんその他、これは労働省の再就職計画の中に入っておるものもあるということでございますので、千二百人というのは、百万トン千二百人という意味ではございません。
  189. 滝井義高

    滝井委員 百十八万トンでどの程度の人数ですかと言ったら、千二百人だとあなたのほうがお答えになったものだから、こっちは真に受けておるわけです。いま一山が四千七百人、一山は千五百人、その中から千二百人程度は第二会社に行くであろう、そういうことなんですね。
  190. 井上亮

    ○井上説明員 千二百人程度は再就職計画には入らない、つまり炭鉱の中に残るというふうに想定されるものでございます。
  191. 滝井義高

    滝井委員 初めからそういうぐあいに説明してくれるとよくわかる。したがって、百十八万トンではまだ新しく炭鉱労働者雇用しなければならぬという問題が起こってくるわけですよ。そうすると、千二百人と区切ることがすでに問題なんです。いま滝井鉱山に働いておる者が、今度は第二会社に千二百人しか行かないだろうと推定しておったものが、あにはからんや、四千七百と千五百、六千二百の中からあるいは二千人ぐらい行くかもしれない。私はここらが問題だとさいぜんから言っているわけですよ。そういうふうにきめてかかっているところに問題があるから、再就職計画はその六千二百人の人を全部再就職計画の中に入れておいてくれ、そのほうがいいのではないか。というのは、退職金をもらって離職手帳をもらうのだから、そうしておかないと問題が起こりますよというのは、そこなんです。そういうことです。それを、トン数で百十八万トン千二百人と機械的に説明してくれるし、一方では四百七十万トン一万四千人だ、または五百五十三万トンは二万三千人だ、こういうように説明してくれるものですから、人間はトン当たり何ぼと石炭山はきまっておるのだから、今度は三十トン掘ってもらいますよということで計算して話を進めていっているのですから、そこらあたりもう少し意思統一して、人数を出すときには注釈でも入れてくれないと、質問したときにオウム返しに答えてくれると「そのままうのみにしますからね。そうすると、いまの説明を聞くと、再就職計画はいいかげんと言ってはおかしいけれども、はなはだあいまいもことしておることになるのですよ。だんだん煮詰めていきますと、どうも数字がはっきりしない。それでどうですか、地域別の離職者、といっても、北海道とか東部とか西部とか九州というのを出していただくようにしておりますから、それにならって、通産省でできるのか、労働省でできるのか知りませんけれども、やはり出してもらいたいと思うのですが、閉山合理化職員、これはおつくりになっていますよ。同時に、それに基づいた再就職計画北海道における再就職計画、それから東部本土における再就職計画、これはやはり出してもらわぬことには話にならないと思うのですよ。問題は地域別、炭田別に処理をしていこう、こういうことなんですからね。そういうことにしてもらわぬと、わかりかねるのです。私はあらゆる資料を出して自分でつくってみたけれども、つくればつくるほどいろいろ数字が違ってくるのですよ。どれがほんとうの数字かと思ってやってみると、二百違ったり、全部違うのですよ。足し算してみると違う。人間動くのですから、生きものだからじっとしておるわけではないから、違うのがあたりまえかもしれないけれども、非常に違ってくる。だんだん追い詰めていくと、その数は端数があったのだ、こういうことになって、一万六千二百五十二人とかいって、端数まで読んでくれるけれども、そういうきちっとした、これが最終の石炭鉱業審議会にかけた後の、予算の裏づけのある数字でございますよということで出してもらいたいと思うのです。それから、われわれがあなたのほうからもらった資料で、百十八万というのがありますよ。これだって四百七十万トンの架空の数字を基礎にしてできた。いまとなってみれば架空の数字ですから、五百五十三万トンになった場合にはこれがどういうぐあいに数字が変化してくるかというものをつくってもらわなければいかぬと思うのです。これだって先になるとまた違ってきますけれども、いまの時では、それをわれわれは審議するよりしょうがないと思う。だからそれを一ぺん出して下さい。
  192. 三治重信

    ○三治政府委員 各地域別の離職者数のものは、通産省の実施計画の中に入っております。それと、さらに大手、中小別のものは、午前中の約束で、通産省のほうから出していただくようになっております。したがって離職者数がどういう地域別に、どういうふうな理由で出るかというのは、通産省のほうの実施計画で出ておりますから、逃げも隠れもしないわけでございます。  それから労働省のほうの地域別の紹介計画につきましては、この審議会に出しました三十八年度の地域別職業紹介計画で出ております。これもお手元になければお届けするのにやぶさかでございません。三十八年度再就職計画資料という、審議会で最終的にきまった資料は、先生お持ちだと思うのですが、これ以外にまた別の資料とおっしゃるなら……。
  193. 滝井義高

    滝井委員 公共職業安定所によるもの一万九千人、広域紹介一万二千人、一般紹介七千人、こういうのは新聞にも載っておりましたし、ありますよ。ところが、こういう公共職業安定所によるもの一万九千人、広域紹介二万二千人、一般紹介七千人、こういうことでは、一体これが九千五百三十人の職業訓練所とどう結ばれるのか、さっぱりわからない。   〔藏内委員長代理退席、有田委員長代理着席〕 一万九千人の離職者が出るのですよ。それが九千五百三十人しか職業訓練所には入るようになっていない。その倍の失業者が出るのです。全部職業訓練所へ入れるというのがたてまえになっておるのです。いわゆる就職促進措置というものをおやりになるのでしょう。今度あなた方失対法をお出しになって。そうなっておるのです。そうすると半分しか入れない、一万九千ですからね。同時に今度は、大手の就職あっせんだって九千人でしょう。そうすると会社が就職あっせんするといっても、お前、職業訓練所に入ってきてからあっせんするというのだって出てきますよ。そういうものの結びつきがわからずに、ただ数字だけばらばらと並べてくれて、そしてこれが三万八千七百人何とかなります、来年は一万八千六百人繰り越します、こういうことでは、われわれが審議する上でこれは何にもならぬですよ。これが一体具体的に、あなた方の計画で言えば、この炭鉱離職者職業訓練の九千五百三十人、一般訓練へ二千七百人いくのだが、それは一体北海道地区でどのくらいいくのか、筑豊炭田でどのくらいいくのか、こういったことにしてもらわないと、一万八千六百人が一体どこに集中的に翌年に繰り越しになるかもわからないし、話にならぬわけですよ。それでは抽象論で、議論ができない。
  194. 三治重信

    ○三治政府委員 もしこの三十八年度再就職計画資料をお持ちにならなければ、そういうことをおっしゃることも、われわれ資料を早くお届けしてなかったのが悪いわけでございますが、この審議会審議していただいたときの資料の第四表で、産炭地の県を書きまして、それと県内でどれだけ、広域紹介でどれだけと、各県別に十七、八県にわたってその行く先が書いてございます。それから訓練計画におきましては、第六表で、各地区で総合職業訓練所でどう、一般職業訓練所でどう、速成訓練でどうというふうにきちんと出ております。さらに第八表では、住宅をそういう地域別にどういうふうに建てるか、そういうことが出ております。そういうふうに、先生のおっしゃることが、十分でないかもしれませんけれども、訓練計画それから地域別にどういうふうに再就職されるかという計画が全部出されていて、われわれのほうとしてはお約束の再就職計画資料としてはそういう部面で全部計画されているというふうに承知しております。
  195. 滝井義高

    滝井委員 それは委員部、いまのような資料はわれわれに配付しましたか。——ないでしょう。それからいま言ったように、再就職計画というものは、参考資料として石炭鉱業審議会におかけになったかもしれないけれども、まだ国会にも出しておらぬし、いま初めて聞くわけですね。委員部が出ておらぬと言っておる。だからわれわれはいま各種のものを、新聞のを写してきてやっておるわけだ。そういうものをわれわれに何も見せておらぬのですからね。われわれがもらっておるのは、予算のこれだけですよ。予算にはそれがないのだからね。予算しかもらっておらぬ。それから説明を受けたのは、宿舎の建設計画というのはもらっておる。あとは促進事業団の予算、こういうものしか北川さんから説明を受けておらぬです。こまかい再就職計画なんというものはもらっておらぬし、説明も受けておらぬ。当然ほんとうは、そういうことがあれば説明をしなければならぬわけですよ。少なくとも石炭鉱業審議会におかけになったら、同時に参考資新として国会にきて、重要な問題だから説明しなければならぬ。そんなもの、何も説明聞いておらぬわけですよ。予算は一月十八日のときにやった、これです。これと全然違うのだから。われわれはこれしか決定しておらぬですからね。あとの決定をしようとすれば、これはこれと違うものを決定してきておる。石炭鉱業審議会参考資料として決定してきておるわけでしょう。そんならもう一ぺん予算に合わして決定し直してもらって、国会に出してもらわぬと、話にならぬですよ。われわれ全然知らないわけだから。だから次会は何だったら時間をとって、もう少しそれをきちっとした一表にしてもらって、わかりやすく説明してくださいよ。それでけっこうです。
  196. 有田喜一

    ○有田委員長代理 次の委員会のときに配付するようにいたします。
  197. 滝井義高

    滝井委員 次は資金計画です。大臣おられませんでしたけれども、大臣のいらっしゃるうちにこの前宿題になっておるところを先にちょっとあれしますが、実は五千五百万トンの需要確保していただくというお約束をしていただいておったわけです。ところが今度は需要が五千四百五十万トンと、五十万トン需要に穴があいてきたわけです。そうしますと、必然的にそこに五十万トンの貯炭の増加ができることは、火を見るよりか明らかです。そこで貯炭の増加については、政務次官から、大臣にかわって御答弁いたしますということで、御答弁をいただいたわけです。その御答弁によりますと、これはもう政務次官の言ったとおり言わぬと、間違えるといかぬですから、そんなことないといって…。民間融資の協力を要請して、五十五百万トンの需要があったと同じような処置を、それに準じた処置をとります。こういう御説明があったわけです。これは間違いなく五十五百万トンの需要があったと同じような措置を、大臣として当然やってくれると思うわけですが、政務次官は大臣にはよく話してあるから、間違いなく大臣はそう答えるでしょう、こういうお話でございましたが、これは間違いないでしょうね。
  198. 福田一

    福田国務大臣 ちょっと、いまの御質問の内容、もう一ぺんおっしゃっていただきたい。
  199. 滝井義高

    滝井委員 大臣国会で、昭和三十八年度需要五千五百万トンを必ず確保いたします、こういうことをずっとお約束をしてこられたわけです。
  200. 福田一

    福田国務大臣 いや、言いません。
  201. 滝井義高

    滝井委員 もとがくずれたんじゃ、これは話にならぬ。こういうぐあいになるから、大臣におってもらわぬといかぬ。それでは、努力すると言ってきた。それが、需要が五千四百五十万トンと五十万トン不足してきているわけです。ところが、出炭能力は五千七百万トンあるという政府の側からの答弁があったのです。そこでまず、五十万トンの貯炭が出てくるということになるわけです。供給能力は五千七百万トンあるから五千五百万トンと五千七百万トンの二百万トンの差は、これは初めからあるんだけれども、それを言っているんじゃない。しかし需要はいまのところ五千四百五十万トンで、五十万トン少ない。この五十万トンは一体どうしてくれますか、貯炭になりますよと言いましたら廣瀬政務次官は、民間融資協力でその要請にこたえますという答弁があったわけです。これはもう間違いなく大臣と同じかといったら、同じです、大臣にも滝井さん、伝えましたよと言って、きちっと念には念を押した上で答弁をしてもらって、大臣の本委員会への出席をがまんをして政務次官でやることになって、そういう答弁があったわけです。
  202. 福田一

    福田国務大臣 私が申し上げておるのは、五千五百万トンの生産をした場合に、もし需要がそれに合わなかった場合にはどうなるか、それについては政府として何らかの措置をとることにいたしますということは、しばしば申し上げてきておりますが、需要確保の面については極力努力をすると言っておるだけでございまして、五千五百万トンを確保するということは申し上げておりません。そこでいまもお話のありましたように、五千五百万トンの供給というものは、これはもう認めておるのでございますが、これに対していまのところ五千四百五十万トンの需要であるということになれば、五十万トンの差があることはお説のとおりでございます。これについては貯炭融資その他の方法によって、われわれとしては何らかの措置考えていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
  203. 滝井義高

    滝井委員 だいぶこの前とニュアンスが違うので、こうなるとやはり初めからきてもらってあれしておかぬと、やはり質問と答えというのは雰囲気というか、ムードが非常に大事ですから、お互いにそのときのあうんの呼吸が合わなければいかぬ。あとでまとめをすると、こういうようになってしまうのです。まず、そういう五十万トンの融資の問題がある。これはおそらく二十億円くらい要るでしょう。どのくらい要りますか。
  204. 中野正一

    中野政府委員 お説のとおりでございます。
  205. 滝井義高

    滝井委員 まず二十億円出てきました。  次は昨日の委員会の説明で、昭和三十八年度の資金計画で大手、中小合わせて、全部ではないのですけれども代表的なところをやって、これくらいの金があったらいいということですが、設備資金として、端数を切り捨てて四百五十億のお金が必要なんです。ところが実際に入ってくる金というものは、三百七十三億円です。したがって、設備資金で八十二億の不足があるわけです。それから整備資金で、二百三十三億しか金が入らずに、実際に必要とする金は三百八十四億、したがってここに百五十一億不足するわけです。合わせまして二百三十三億のお金が不足をするという答弁があったわけです。これを一体、大臣としてはどう処置される方針であるかということです。画竜点睛を欠くということがありますけれども、合理化実施計画ができる、それから再就職計画ができる、できても資金の裏づけがなかったら、これはもう何にもならぬわけです。何にもできないわけです。そこでこの二百三十三億の不足をすることが、これは通産省のことしの資金計画のほうの委員会か部会かでやりましたですね、あそこからでももうはっきり来ているわけですから、なるほどこれだけ不足をするということは、大蔵省もお認めの額だろうと思うのです。それは大蔵省はもう少し査定その他をやるのかもしれませんけれども、一応なるほどそういう不足があるのかということだけは認めてくれておるのだろうと思います。そこで大臣としては、これをどういう方針でカバーしていくかということです。
  206. 福田一

    福田国務大臣 お説のとおり、それだけの資金が不足することに相なっております。おっしゃるとおり、ものごとは計画だけではできません。やはり数字の裏づけがなければできないのであります。そこで私といたしましては、この数字を確保することに全力をあげて努力いたしたいと思っております。したがって、もうすでに事務的に大蔵省と交渉を始めさせておる状況でございます。
  207. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、これは事務的に交渉するといっても、まず入るほうを増加させれば、ある程度見通しがついてくる。その上で今度は出すほうのどこを削るか、こういうことになると思うのです。そうしますと、設備資金と整備資金で、借り入れ金が設備資金で二百七億、整備資金で百二十三億、合わせて三百三十億、これだけになるわけです。そうするとこれで近代化資金とか開発銀行とか、それから長期の運転資金とか、その他政府関係機関からの借り入れ金、興銀、長銀、市中その他、こう分かれておるわけですが今後借り入れることのできる要素というものは、一体どこから一番出てくるかということです。設備資金あるいは整備資金について借り入れの事務折衝をされるとなれば、どういうところが、一番有利に展開していくか、そしておよそどの程度そこから借りられるかということを、設備資金と整備資金について御説明を願いたいと思うのです。昨日の御答弁で、大蔵省としては、設備資金はとにかく問題がある、しかし整備資金については、首切られた労働者のためなんだから何でもかんでも、わがほうとしても何とかしたいというお話があったのです。何とかするならば、一体どこで何とかするつもりなのかということになるのです。それはまだ二カ月しかたっておらぬからどことは言えませんということは、言わせられないと思うのです。なぜならば、もう首切りがどんどん進んでいっておるのですから。金は現実に要っているんですからね。そういう点においては大蔵省の資金課長さんが御指摘になったように、緊急度からいうと、設備資金より整備資金のほうが緊急度が非常に強いわけです。だから重点は必然的に整備資金になることは明白だろうと思うのです。明白だろうと思うけれども、一体市中銀行でそういう要素が非常に強く出てくるのか、開発銀行で出てくるのか、興銀や長銀で出てくるのか、そこらあたりは明らかになると思うのです。目標がなくて折衝はできないんですからね。これは大臣の御答弁をいただくとともに、資金計画を実際に受け入れる側にある大蔵省の資金課長さん、ほんとうは銀行局関係から来てもらうと一番いいと思うのですが、両方からひとつ御説明願いたい。
  208. 中野正一

    中野政府委員 まず整備資金でございますが、これはこの間も御説明いたしましたように、六十億は現在財政投融資の計画で金がついておるわけでございますが、まだ一文も使っておりません。これは整備計画全体がきまったばかりで、全体の資金の今後の見通しをにらんでやりたいと思っておりますが、いま先生が言われたように、片方で整備がだんだん行なわれてきておりますから、それに必要な金を近く配分いたしたいというふうに考えておるわけであります。しかし、しりとしては先ほどおっしゃったように、百五十一億程度のものが年度間としてはどうしても不足することになるわけであります。これについては整備資金、設備資金ともに含めて、いま事務折衝を大蔵省とやっておるわけであります。ただこのうちで、ちょっとごらんになるとわかると思いますが、収入と支出のうちで市中金融機関については、一方では返す、一方では借りるということで、純減になっておるわけでございます。ここらにも問題があるのですが、いずれにしても整備資金というのはなかなか市中金融機関から金を引っぱり出すのが——御承知のように、非常に市中の金融ベースに乗りがたい性格のものですから、その点で苦労しておるわけでありますが、これは合理化事業団の例の保証制度、事業団が八割保証して市中から借りさせる、政府の金を出す一方でこういう手もやっておりますので、われわれの気持ちとしては、できるだけ市中ベースの金もふやし、自己資金等も努力させながら政府の金を出していく、しかしいずれにしても、これが足りないということははっきりしておるわけであります。それから設備資金につきましても相当額足りませんので、これについてもなお大蔵省と折衝を続けておるということでございます。
  209. 海堀洋平

    海堀説明員 石炭合理化計画を円滑に進めていくということは非常に重要でございまして、資金計画がその裏づけをなすということは大蔵省としてもよく理解しているつもりでございます。それでどこからどういうふうにという問題でございますが、まず資金の需要からいいますと、整備資金が当面重点になろうかと存じます。しかし設備資金もまた将来の、要するに合理化の礎石でございますので、そこにはおのずから必要なものがある。必要なものを考える場合、あるいはこれをある程度縮減していただくとしても、限度があろうかと思います。しかし重点は当面はやはり整備資金であるということは、否定できないと思います。それをどこからどういうふうにという問題になりますと、これはすべて一応予定の上に立った計画でございますので、まず第一番に考えていただかなければならないのは、これは企業が出しておる計画でございますから、企業企業の都合というようなものもあろうかと思います。したがって、たとえば当面要らない不動産はもう少し売っていただいたほうが——将来また企業が安定した後には取得できるにしても、金繰り上資産を処分して少し資金の手当てをとっていただく、そういうふうに企業の自主的な努力を要請する面もあろうかと思います。さらにいま石炭局長からお話しのように、市中銀行につきましては、この計画の数字を見ていただきますと、借り入れと返済との差では純減少になっております。これはもちろん運転資金の面に触れておりませんで、設備と整備だけの数字を抽出した計画になっておりますので、はたして全体で純減であるかどうかということには疑問がありますが、少なくともこの計画においては純減少でございますので、やはり大蔵省の中で銀行局が所掌しております銀行行政についても、こういう大事業を遂行している際だからということで、市中銀行にもできるだけ協力をお願いするように、省内でも銀行局との間で話し合っております。しかし何と申しましても、現在石炭鉱業というものの経理の現状は決してよくございません。市中銀行からの協力を要請するにしても、限度があると思います。ただ去年の例で申し上げますと、貯炭融資につきましては協力を受けられましたので、ことしも貯炭融資につきましては、市中の協力は受けられると考えていいものかと思います。それ以外の点につきましても、もちろん市中銀行からの協力を各企業別に、銀行局も協力いたしまして、できるだけこういう純減にならないように持っていきたいと考えて、省内で論議いたしております。ただ、そういたしましても最終的に資金が不足する場合には、投融資計画を一番最後の手当てとして考えざるを得ないのではなかろうか。その場合、とりあえずこの合理化計画をとどこおりなく進捗させていく上で優先的に考えなければならぬ面は、整備に関する資金ではなかろうか。こういうふうに現在の段階では申し上げる以外にないのではなかろうか。現在通産省との間で、この資金計画全体につきまして論議をいたしておりますので、いずれにしましても、合理化計画の進捗に支障のないように配意いたす所存でございます。
  210. 滝井義高

    滝井委員 合理化計画の進捗に支障を来たさないように配意をすると申されますが、三百三十億の金を借り入れる、そして百九十二億の金を返す、こういうことなんですよ。そして二百三十三億が不足する、こういうことなんですから、ここらのやりくりを何か考えてもらったらいいのじゃないかと思うのです。問題は、ことし返さなければいいわけですから、返すのを何とかこらえてもらうという方法はないか。どうせ経理規制するのですからね。土屋さんじゃないけれども、借金をしばらくモラトリアムでたな上げだという意見もあったわけです。そういうものの考え方もあるわけですし、これは百九十二億あるから、全部返さなければ百五十一億の整備資金だけは確実に確保できるわけですよ。問題は海堀資金課長さんが言われるように、この百五十一億の不足というのが、合理化の進捗に非常に大きな支障を来たすわけです。このことは私が、五十万トンの需要が低下をした原因は、一体どこに狂いがあったか、それは鉄鋼でございました、じゃ、鉄鋼に必要な弱粘結炭をいままでは七十万トンか八十万トン輸入しておったのだが、それを三十万トンばかりやめて、四十万トン粘結炭を輸入します。その輸入を全部やめてしまったら、日本で出てくる鉄鋼分の弱粘結炭はカバーできるじゃありませんか、これはやめたらどうです、こう言ったら、それはもう約束だからやめられません、こういうことだった。そこで、じゃ貯炭は五十万トンできますが、その融資はどうですかということで、きょうは少しニュアンスは違うが、努力します、こうなったわけです。そうするとそれが最低二十億、どうかすると五十億くらい要るかもしれませんが、最低二十億としても、これは二十億をプラスしてこないと、これはまたその分の首切りが出てくるのです。そうすると、二十億を出さなければその首切りが出るから、またこれに整備資金がふえることになる。どうしてもこれは、ちょうどまるいゴムまりを右を押えれば左にこぶが出るのと同じです。どこかで悪循環を立ち切らなければいかぬ。どこかに無理がくる、無理がくるけれども、それは結局政治力で無理をやらざるを得ない。これは一にかかって福田通産大臣政治力にかかってくるわけだろうと思うのですけれども、だからこの借り入れ金の返済がどうにもならぬならば、それにかわるものとして、一番やさしいのは、これはもう政府の財政投融資でやってもらう以外にないということになるわけです。少なくとも百五十一億の整備資金は、それでやってもらう。こういう形にならざるを得ない。幸いにことしは、貯蓄もふえておるけれども、国民年金やら厚生年金などもずっとふえてきておるですからね。だからそこらの金を少し、財政投融資なんかふえるわけだから、金は色はついておらぬわけですから、そこらがふえるでしょうから、ほかの企業に行く分を持ってきてもらうとかなんとかする以外には、再就職計画なんか、幾らりっぱな計画ができたって、これは首は切れぬですよ。私は首切り反対なんだけれども、どうしてもあなた方、首を切ろうということでやいばをといでしまったから、切るとすればなるべく痛くないように、なるべく血の出の少ないように切る。モルヒネ打ってしてもらうわけにいかないから、百五十一億の整備資金を出してもらって、安死術をやってもらわなければいかぬ。だから何かそれを見通しを立ててくれなければ、もう不足しますということだけ発表しておったら、どういう心理的な連鎖反応が起こってくるか。石炭山の事業主は、これはどうも政府から金は出ぬぞ、金を出さぬで投げ出せということになって、やはり悪い影響を与えるですよ。金が出ぬから首を切るのをやめようというならいいけれども、やめないですよ。六十億のあるうちだ、こうなる。そうして殺到してきたら六十億は消えてなくなっていた、こういうことでは私は困ると思うのですがね。だからここらあたり、一体どこで政府重点的にこの二百三十三億の不足を出そうとするか、それは私は政治的な指針として、当然きょうは言ってもうわなければならぬ。言わなければ、われわれはそんな合理化計画を認めるわけにいかない。資金計画は立たない。立つまでは、山をつぶすのは待ってもらわなければならぬ。最近は、こういうこと事がきまらぬから、山がつぶれるのもだんだん延びていっているでしょう。四月に北海道の山をつぶすといっていたのが、六月になってもまだつぶれない。話にならぬ。特に大手の三井鉱山なんかはたいへんな火の車なんですから、金の見通しがつかなければどうにもならぬですよ。そうすると、延びれば延びるほど、あなた方の計画というものは全部狂ってくるのですよ。
  211. 福田一

    福田国務大臣 滝井さんからいろいろおしかりを受けますけれども、私らはやらないと言っていることは一つもない、やりますと言うているのに、やらない、こういうおしかりを受けているのでございますが、政治ですから、たとえば一週間とか二週間とか、そういう余裕は持たしてもらわねば。それは、いまここですぐ言えといわれても、事務的に折衝しているのをおまえ何で言わぬかと言われても困るわけです。御趣旨を体して一生懸命努力をいたします。
  212. 滝井義高

    滝井委員 それならば、一週間ばかり待てと言われるから——どうせこれが上がるのは、約束をちゃっときめているのだから、四法案の総括質疑は二十日ですよ、ちょうど一週間ある。これはぎりぎりですから、それくらいまでには事務的に十分お詰めになって、やはり二百三十三億のお金は——きょうはわざわざ、大蔵省も来ていただいているわけです。ほんとうは大蔵大臣にもきょう来ていただかなければならないと思ったのですが、十八日くらいに総理が出ますから、どうせもう一ぺん総理に詰めなければいかぬです。福田さんの政治力で十分だと思いますけれども、不定のところがあれば総理の力も借りて、田中角榮大蔵大臣とも十分話してもらって、事務当局も大蔵大臣も、その金は開発銀行なら開発銀行から出しましょうとか、合理化事業団に六十億の金を百億ふやしますとか——去年でもふやしたのですからね。初め十五億だったのが、だんだん百億にまでなってしまったのだから、どこかふやすところを見通しをつけてもらえば、ちゃっと耳をそろえて三夏二十三億を並べいとは言いません。ここでやりますから安心してくれ、これでけっこうですから、そのたよりさえいただければ、二十日にはきちっとしますから、きょうはひとつ宿題でやめておきましょう。
  213. 福田一

    福田国務大臣 いま滝井さんからそういうふうにゆとりのあるあれがあったのですが、私は何も一週間でやると言ったわけではないのです。ある程度のゆとりをつけた期限を切っていただかなければ困る、日がなくては困るじゃありませんかということで申し上げたのですから、念のため申し上げます。しかし、いま御趣旨のようなふうに努力することについては、一生懸命やらしてもらうつもりでございます。
  214. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 先ほど私の質問で五千五百万トンの基礎は調査団の平均カロリーと同じだ、こう答弁されておる。同じではないわけです。これはこれ以上やりませんけれども、次会にあらためてやりたいと思うのですが、五千九百五十カロリーです。換算するとちょうど五千四百五十万トンになります。きっぱり数字は合う。ですから五千九百カロリーで計算して五千五百万、調査団の基礎で公示すれば五千四百五十万トンです。公示も五十万トン違う。需要も五十万トン違うということだけ、きょうは同じだと言っておりますから、同じでないということだけを申し上げておきます。
  215. 中野正一

    中野政府委員 同じだというふうに私は記憶しておりますが、よく調べまして、正確にこの次にお答え申し上げます。
  216. 有田喜一

    ○有田委員長代理 次会は明十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにして散会いたします。    午後五時十六分散会