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1963-06-11 第43回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月十一日(火曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 有田 喜一君    理事 岡本  茂君 理事 神田  博君    理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君    理事 岡田 利春君 理事 中村 重光君       有馬 英治君    木村 守江君       藏内 修治君    白浜 仁吉君       中村 幸八君    井手 以誠君       滝井 義高君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         通商産業事務官         (石炭局長)  中野 正一君         通商産業事務官         (中小企業庁指         導部長)    影山 衞司君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局資金課         長)      海堀 洋平君         通商産業事務官         (石炭局炭政課         長)      井上  亮君         労働事務官         (職業安定局調         整課長)    北川 俊夫君     ————————————— 六月十日  産炭地域における中小企業者についての中小企  業信用保険に関する特別措置等に関する法律案  (内閣提出第一七八号) は本委員会に付託された。 同月七日  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第九二号)は議院の承諾を得て修  正された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第九二号)  電力用炭代金精算株式会社法案内閣提出第九  三号)  石炭鉱業経理規制臨時措置法案内閣提出第一  二四号)  重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第一五八号)  産炭地域における中小企業者についての中小企  業信用保険に関する特別措置等に関する法律案  (内閣提出第一七八号)      ————◇—————
  2. 有田喜一

    有田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律案議題として、まず政府提案理由説明を求めます。福田通産大臣。     —————————————
  3. 福田一

    福田国務大臣 ただいま提案になりました産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  石炭鉱業におきましては、石炭鉱業合理化計画に基づきましてその整備ないし近代化等が進められてきているところでありますが、これに伴いまして、事業活動が縮小され、あるいは休廃止状態に立ち至った石炭鉱山が少なからずあらわれ、その結果として、経済の基盤を石炭鉱山に依存する産炭地域の疲弊が目立ってまいりました。とりわけ産炭地域における中小商工業者につきましては、こうした影響が一段と強く及ぶものと考えられる次第であります。  政府におきましては、過般石炭対策大綱を閣議決定いたしました際、石炭鉱山終閉山に伴い移住、転業を余儀なくされ、あるいは売り掛け金回収の困難となった中小商工業者に対し、国民金融公庫及び中小企業金融公庫からの融資について特段の配慮を加えることといたしましたが、さらにかような中小企業者についてば、とかくその信用力が薄弱であることにかんがみまして、信用補完制度の面で特別の措置を講ずる必要があると考えられる次第であります。  この法律案は、以上の趣旨にしたがいまして、事業休廃止され、または鉱山労働者の数が著しく減った石炭鉱山影響を受けて、事業所の移転または事業の転換を余儀なくされた中小企業者、あるいはこのような石炭鉱山等に対して持っている売り掛け金債権などの回収が著しく困難となった中小企業者が、所要の目的のために借り入れる資金についてなされる信用保証に関し、中小企業信用保険法特例を定めるとともに、国及び地方公共団体が、このような中小企業者及びその従業員職業及び生活の安定に資するため所要措置を講ずるよう努力することについて定めるものであります。  このうち中小企業信用保険法特例について申し上げますと、第一に、産炭地域関係中小企業者が受けた産炭地域関係保証については、その者に認められる信用保険通常ワクに対し別ワク扱いとすること、第二に、この関係保険におきましては、てん補率通常の百分の七十から百分の八十に引き上げること、第三に、保険料率につきましては、通常年百分の三以内でありますところを年百分の二以内において政令で定める率に引き下げることであります。  以上、この法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さいますようお願い申し上げます。
  4. 有田喜一

    有田委員長代理 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 有田喜一

    有田委員長代理 次に、内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案電力用炭代金精算株式会社法案石炭鉱業経理規制臨時措置法案及び重油ボイラー設置制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。  この際申し上げます。ただいま議題となっております四法案のうち、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣より修正申し出があり、去る六月七日、本院におきましてこれに承諾を与えました。  この際、本院の承諾を得た修正部分について、政府説明を聴取することといたします。福田通商産業大臣。     —————————————
  6. 福田一

    福田国務大臣 石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案修正点趣旨を御説明申し上げます。  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、すでにこの国会に提出しておりますが、最近における石炭鉱業状況にかんがみ、石炭鉱業合理化の円滑な実施をはかるためにその再建をはかることが特に必要と認められる炭鉱事業再建するため、新たに石炭鉱業合理化事業団による石炭鉱業再建に必要な資金貸し付け制度を設けることとし、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案所要修正を加えることといたしました。  この修正点内容は、石炭鉱業合理化事業団業務として、石炭鉱業再建に必要な資金貸し付けを加えるものとし、この貸し付けば、一定の基準に該当する採掘権者に対し、通商産業大臣石炭鉱業審議会意見を聞いて必要と認めた場合に行なうものとしたことであります。  なお、石炭鉱業合理化事業団の行なうこの貸し付け業務は、昭和四十三年三月三十一日までに廃止するものといたしております。  以上がこの修正点趣旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さるようお願い申し上げます。
  7. 有田喜一

    有田委員長代理 以上で、修正部分についての政府説明は終わりました。     —————————————
  8. 有田喜一

    有田委員長代理 これより四法案について、前会に引き続き質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。井手以誠君
  9. 井手以誠

    井手委員 まず、資金関係でお伺いをいたします。  先般の石炭鉱業審議会において、合理化整備を円滑に進めていくためには現在きめられておる資金ではきわめて不十分であるから、少なくとも二百三十三億円の資金が必要であるという意見が出、また答申があったようでありますが、その内容を承りたいのであります。
  10. 中野正一

    中野政府委員 先般開かれました石炭鉱業審議会資金部会におきまして、主として昭和三十八年度石炭鉱業資金計画資金繰り等につきましていろいろ御審議を願ったわけであります。その際に提出いたしました資料によりまして御説明をいたします。  まず、設備資金でございます。これにつきましては設備資金所要額大手につきまして二百七十三億、中小につきまして五十億、この中小というものは二十六社、大手は十八社であります。これは調査対象になったものだけについて申し上げるわけでありますが、合計三百二十四億弱の設備資金が要る。これに対してその収入源でございますが、これにつきましてはもちろん市中金融機関等からも極力これを調達するように努力させ、われわれもそういう期待を持って努力させておりますが、設備資金については、何といっても開発銀行の金、それから合理化事業団近代化資金、こういうものが相当のウエートを最近は増してきておりまして、これにつきましては、たとえば開銀は今度の昭和三十八年度財政投融資で百十億というふうにきまっております。それから近代化資金は、約三十四億程度でございます。それ以外に興銀であるとか長期信用銀行市中金融機関、それから自己資金等を合わせまして、調達のほうは三百七十三億ということになっておりますが、いま申し上げましたような新しく要る設備投資の金が二百三十三億。それ以外に借り入れ金返済、これは開銀市中金融近代化近代化はあまりございませんが、こういうものがございます。石炭産業全体として昭和三十八年度設備資金関係として所要の金が四百五十五億、したがって、所要資金が四百五十五億で収入のほうは三百七十三億でございますから、その差額の八十二億四千万円というものが不足をする、こういうことになっております。  それから次に整備資金でございます。退職金金融でございますが、これも大手につきましては、ほぼ三十七年度と同じ程度、それよりちょっと少ないのですが、退職者が出ます。それからもう一つは、勤続年数の長い人がやめるというような関係で、単価が上がってきております。それから職員が相当今度はやめるというようなこともありまして、大手が二百二十九億、中小を入れまして二百三十三億ほど金が要る。それ以外にもちろん退職金金融返済も幾ぶんございますので、全体で三百八十四億ほど金が要る。これに対して市中金融機関からも相当努力をさせますが、整備資金金融は御承知のように市中からの期待は非常にむずかしい状況にございます。もちろん退職金引き当て金であるとか、そういうようなものも全部充当させますが、どうしても借り入れ金も主として財政資金にたよらざるを得ない。これは御承知のように財政投融資で六十億計上されております。したがいまして、その関係でいろいろ努力をしても所要資金に対して百五十一億の穴があく、こういう計算になっております。したがって設備資金整備資金で二百三十三億の不足が出る、こういうことになります。
  11. 井手以誠

    井手委員 私は資金関係だけできょうは終わりますが、ただいまの御説明では、二百三十三億はどうしても必要である。これは予定よりも合理化が急速に進行したためと、さらに当初予算が非常に締められた結果であると考えております。明らかに予算が足りない。それをどう政府はまかなおうとされるのか、これは政務次官にお答えを願います。国会でそれほど明らかになった予算不足という問題を、通産大臣はどうお考えになりますか。ただこのままで済ませるわけにはいかぬと思います。国会中に明らかになった問題ですから、秋の臨時国会における補正予算というわけにまいりません。やはり重大な問題ですから、通産大臣、それから大蔵大臣にも来てもらわなければなりません。
  12. 有田喜一

    有田委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  13. 有田喜一

    有田委員長代理 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午前十一時六分休憩     —————————————    午前十一時二十七分開議
  14. 有田喜一

    有田委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  四法案に対する質疑を続行いたします。井手以誠君
  15. 井手以誠

    井手委員 三十七年度整備資金幾らであったか、それからことしは幾らであるか、予算のほうをお示し願いたい。
  16. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 ただいま井手委員から御質問の点でございますが、整備資金につきましては、前年度財政投融資で百億円を計上してあったのでございまして、本年度は六十億円しか計上されてないのでございます。それにつきましては、石炭鉱業審議会から答申があることでございますので、答申の線を十分尊重いたしまして、資金の額の拡大につきましては、通産省といたしましては強く主張いたしまして、ぜひとも必要なだけは財政投融資の追加を計上いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  17. 井手以誠

    井手委員 石炭局長にお伺いします。三十七年度整備幾らであったか。三十八年度計画幾らでございますか——よろしゅうございます。あとでまたそういうことをお伺いします。三十八年度は三十七年度よりも整備がふえておるのに、整備資金が少ない。当初から少なかった。私は非常にふしぎに思っておりましたが、整備スローダウンをするだろうと期待をいたしておりました。ところが、結果においては逆でございます。そこで政務次官にお伺いしますが、ぜひその百五十一億の不足資金を確保したいという強い熱意を表明なさいました。これは財政投融資資金だけでけっこうですか。整備資金はその分だけでよろしゅうございますか。
  18. 中野正一

    中野政府委員 整備資金につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、市中金融機関からの調達が非常にむずかしい。むずかしいといって、これはほっておくわけにはいきませんので、合理化事業団保証制度というものがございまして最近これもだいぶ活用されるようになりましたので、そういう保証制度等を活用することによって、できるだけ市中からも調達させるようにいませっかく努力させております。それでもなお、どうしても整備資金として財政投融資にたよらざるを得ないということで、それを先ほど政務次官が御答弁なさったのだろうと思います。ただわれわれは、財政投融資計画については決して最初から六十億で満足したわけではなくて、これでは絶対足りないということを何度も言いましたが、財政投融資全体のワクの問題もその当時ございまして、折衝の結果としてそういうことになったわけでありまして、当初からこれは不足するということはわれわれとしては主張し続けてきております。
  19. 井手以誠

    井手委員 最初から足りなかった。整備が拡大いたしましたら、さらに足りなくなった。そうなりますと、廣瀬さん、どうなさいますか。いつ財政投融資措置をなさいますか。金融機関融資努力しますだけでは、事態は済みませんよ。努力してもなお百五十一億円足りない問題ですから、これはどういうふうになさるつもりですか。足りないことが明らかになった場合、経費が不足した場合はどうなさいますか。
  20. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 ただいま石炭局長から御答弁申し上げましたように、合理化事業団保証制度を活用いたしまして、市中銀行の御協力も最大に願いたいと思っておりますけれども、それでもなおかつ足らないということは大体見通しがつきますので、私どもといたしましては、財政投融資計画を変更いたしまして増額を願うということで、ただいま努力を続けておるわけでございまして、なるべく早く実現するように、おそくとも上期中には実現するようにいたしたい、こういうような目標でいたしておるわけでございます。
  21. 井手以誠

    井手委員 九月までには実現したいということですね。それで整備計画とか合理化計画はどうなってまいりますか。その見通しが立たねば五百五十数万トンの整備を進めるわけにはまいらぬはずですが、重大な整備という問題ですから、見通しが立たないものの整備計画を進めるわけにはまいらぬはずです。
  22. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 先刻申しましたように、現在六十億円計画に入っておるわけでございますからこれで間に合う、かように考えておるわけでございまして、上期中には見通しをつけてはっきり増額を要求して決定いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  23. 井手以誠

    井手委員 六十億になお百五十一億円足りない。市中銀行の分ももちろんございます。それは半分にも満たない額です。ところが一方整備はどんどん進んでおりますよ。そこをどうなさるかというわけです。何とかなるから整備だけは進めていこうというわけにはまいりませんよ。その辺を私は確めておるんです。財政投融資の話がつかなければ、整備計画というものは変えなければならぬでしょう。
  24. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 百五十億と申しましたのは年度中の金額でございまして、ただいま六十億ございますので、一日も早く増額をはかりますけれども、当分の間は六十億で間に合うものと、かように考えておるわけでございます。
  25. 井手以誠

    井手委員 私と意見が違いますが、きょうはつなぎの質問でございますから、これで私は一応打ち切ります。
  26. 有田喜一

  27. 滝井義高

    滝井委員 先日の続きからやらせていただきます。  先日は、今年度石炭鉱業合理化実施計画にあたって六百九十七万トン、百二十炭鉱申し出があったわけです。それが政府原案をつくるときには、六百七十一万トンに変更してきた。そこで一体、申し込んだときの六百九十七万トンの内訳はどうなっておるのでしょうかという質問をいたしましたところ、鉱業権者の申告した炭量とそれから毎月報告させる生産量の申告との間に目減りがある、これが十三万トンであった、それから第二番目には、保安不良炭鉱と目しておったものが同時に買い上げ申請をしてきた、これが十八万トン、合わせて三十一万トンになる。六百九十七万トンから三十一万トンを引きますと六百六十六万トン、これが有効申請の分である、こういう御説明があったわけです。そこで六百六十六万トンの内訳は、昭和三十七年度中に閉山をして三十八年に買い上げ申請したものが二十五万トン、それから三十八年に申請をしたけれども、生産計画あるいは周囲の情勢から三十八年度閉山をしないというもの、いわゆる一応申し込んでおいて順番だけをとるというものが百七十万トンあった。同時に今度は三十八年に閉山をして予算処理をするものは三百五十万トン程度である、こういう御説明がございました。そうするとなお百二十一万トン余るわけです。この百二十一万トンは三十九年度に繰り越すものである、こういう六百九十七万トンの内容説明があった。  そこでまず第一にお尋ねいたしたい点は、一応順番だけをとるために申し込んでおったという百七十万トンです。こういうものが一体許されるのかということでございます。御存じのとおり、石炭鉱業合理化臨時措置法の三条で、合理化基本計画をお立てになるわけです。そして同時に、今度は四条で毎年の計画をお立てになる。こういうように二段がまえになっておる。合理化計画昭和四十二年までお立てになる、こういう四十二年までの計画の中に大体こういうような山をこういう順序でつぶしていくということをおよそめどをつけられるのは、これは当然のことだと思う。しかし、実施計画の中にことしつぶさない山まで入ってくるということは、少し筋違いではないかと思う。   〔有田委員長代理退席木村(守)   委員長代理着席〕 こういう意味で、ことしつぶさない、順番だけをとるために出た百七十万トンのようなものをこのままにしておくことがけしからぬというのが、この前の私の論点です。とにかく申し込んでおく、しかし、これはいつつぶすかわからぬ、三十八年度につぶすか、三十九年につぶすか、四十年につぶすか、四十一年につぶすかわからないわけですよ。たまたまどんどん掘進をやっておったところが、とてもいい鉱脈にぶち当たった、だから、わしのほうは三十九年につぶすということで申し込みしておったが、四十年につぶすというものが出てくるかもしれない。そういうものを一々受け付けておって、そして順番を待たしておるということになれば、これは異常な社会不安を地域経済にも及ぼすし、あるいは労働者にも不安定な状態を与えることになるわけです。したがって、そういうことは許されぬわけです。これはあと労働省に尋ねることになるのですが、労働省にも関連をしてくる。こういうことはいままで、われわれは有沢さんから聞きもしなかったことなんです。しかも法律もそういう体系になっていないと思う、毎年やることになるのですから。したがってこういう百七十万トンは却下すべきだという主張をこの前したが、それについて答弁があいまいもことしておったわけです。まず、こういうものの取り扱いを一体どうするかということです。
  28. 中野正一

    中野政府委員 先般の滝井先生の御質問に担当の課長が答えまして数字を申し上げたのでありますが、そのうちの、三十八年度申し込みはしたが、通産省で、審議会の過程でいろいろ検討をした結果、いま言ったように、百七十万トンは三十八年度閉山をしないというふうに見て、こういう数字説明したわけであります。この中には百二十万トン以上の大手炭鉱が入っておりまして、そのうちの約百万トンにつきましては、御承知筑豊の二山の閉山取りやめというふうなことが入っておるわけであります。そういうものにつきましてはすでに通産省としては、これは審議会部会長会議でもいろいろ論議がありまして結論が出ておりますが、その線に沿って会社に対しても通知済みでございます。ただ私が申し上げたいのは、中小については一応これは申し込みを受け付けて、そうして予算の範囲内でやっていくわけでありますから、一応われわれのほうとしては見当はつけておりますが、やはり中小については幾分のフレというか、わずかの出入りがあるわけでありますから、中小についてまでそれをいまの段階で一方的に撤回をさせるというようなことはいかがかと思うわけでありまして、大手についてはすでに会社に対して話しております。ただ、これは先生のお話もございましたが、何かもう少し形を整えた形で通知するがいいかどうか、これをいま検討中でございます。
  29. 滝井義高

    滝井委員 それは局長、勘違いじゃないですか。それは私がいまからあとで問題にする百二十一万トンのことなんです。いまの百七十万トンは、それとは全然別個なんです。同じとすれば重複することになる。それじゃあとの百二十一万トンというのは、これは何なのですか。
  30. 中野正一

    中野政府委員 これは、三十七年度閉山したもの二十五万トンをことし買い上げる。それから三十八年度閉山を変更したものが百七十万トン、これは落とすわけですね。そうすると、残りが四百七十一万トンになって、そのうち本年度予算で処理できるものが三百五十万トンあります。というのは、前年のやつがずれてきておりますね。前年のやつがずれてきているものをいま処理しておりますから、それが四百四十万トンのワクを食べちゃうわけですね。その関係で百二十一万トンを来年度予算で処置する。ところが、この百二十一万トンの大部分は、やはりこれも大手です。しかも本年度末に閉山をするという予定になっておりますから、当然これは来年度予算で十分できる、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  31. 滝井義高

    滝井委員 私が言っているのは、百七十万トンのことを言っておったら、あなたはその百七十万トンの中に大手が百二十万トンくらい入っている、これは筑豊の二山です、こういうことであった。この前の説明では、四百七十万トンのうらの百二十一万トンが筑豊その他の第二会社へ行く部分、こういう説明があったのです。そうすると、あなたのいまの百七十万トンの中にも筑豊の二山が入る。百二十一万トンも筑豊の二山が入れば、筑豊が二重に入ることになって、計算が合わなくなってしまう。
  32. 中野正一

    中野政府委員 これはたまたま数字が同じ数字なので、年度末に閉山をして来年度予算でめんどうを見なければならぬのが百二十一万トンでございます。四百七十一万トンから三百五十万トンを引くのですから。これは山の名前をあげてもいいのですが、一応ちょっと遠慮さしていただきたいと思いますが、大手のはっきりした山でございます。筑豊の二山の閉山取りやめとは別の数字です。
  33. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、まことにけしからぬことになる。百七十万トン申し込んでおった。それも私が言うから、今度却下することになるのですが、そのままにしておったわけです。そうして同時に、そのほかに百二十一万トンを来年に繰り越すわけでしょう。つぶさぬで繰り越すことになるのでしょう。そうすると合わせて二百九十一万トンというものは、ことしやらないのです。申し込みしたけれども、二百九十一万トン閉山しないのです。これが現実なのです。六百九十七万トンのうち二百九十一万トンは、申し込みはしたけれども、三十八年度閉山せぬで、三十九年度に送られて閉山するのですか。
  34. 中野正一

    中野政府委員 百七十万トンのほうは、三十八年度閉山を取りやめるわけでございますね。その中には筑豊二山の約百万トンが入っておる。来年度に持ち越すのは、閉山は三十八年度末にやるという申請会社予定がなっておるわけであります。したがって、来年三月三十一日にやめるのですから、それからいろいろ調査をしてやるわけですから、来年の予算でいい。ことしもそういうものは百万トン近くあるわけです。去年の年度末近くにやめて、いま調査して金を払っておるのがことしあるのです。来年にも大体同じくらいの量がある、こういう形になります。
  35. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、百二十一万トンというのは年度末に閉山をする。したがってこれば予算としてまことしの予算でなくて、来年の予算で処理をします、わかりました。しかし百七十万トンというものは、いつ閉山するかわからぬのに申し込んできたわけなんですから、これは合理化実施計画には入らぬわけです。これははっきりしておるのです。合理化実施計画には入らぬ。合理化実施計画というのは毎年のものでありますから、それに来年、再来年のものを入れてくる。これはたいへんですよ。基本計画に入れるのならいいです。基本計画に大体筑豊のどことどこは昭和三十九年、唐津のどことどこは四十年、こういうことになるのならいいです。これは当然撤回して白紙に還元をして、来年は来年の風が吹くわけなんですから、三十九年の石炭鉱業審議会におかけになって、そうしてやるべきものなのです。それをことしおかけになるというのがおかしい。これは法律違反ですよ。
  36. 井上亮

    ○井上説明員 だいぶこまかい、御質問に入られましたので答弁さしていただきたいと思いますが、先ほど局長も御答弁になりました百七十万トンの中には、大手が百二十一万トンあるわけです。それから中小が四十九万トン入っておる。合わせまして百七十万トン。局長の御答弁したとおりでございます。これは三十八年度閉山予定を変更したものとして前回御答弁したものでございますが、もう一つの百二十一万トン、これは三十八年度閉山予定するけれども、三十九年度予算対策を講じますという性質のものでございます。この二つがありまして少し混乱しておるわけでございますが、内容を明確に申し上げますと、この百七十万トンというものは、そのうちの大手が百二十一万トン、これは御承知筑豊二山、これは石炭鉱業審議会部会長会議において、政府は一応閉山することが妥当であるという原案を出したわけでございますが、これは審議会で、地域に及ぼす影響あるいは離職者対策等を勘案いたしまして、これは規模を縮小して第二会社として一応存続さしたらどうかというような意見の出たものでございます。それがほとんどこの大部分でございます。したがいましてその意味においては、本年度合理化整備計画の対象になる性質のものでございます。それからもう一つ、三十八年度閉山予定するが、三十九年度予算対策に持ち越す、これも閉山の時点は本年度でございますから、本年度合理化整備計画で一応議論の対象にせざるを得ない。しかし予算としましては、これは三月三十一日に閉山予定というようなことになっておりますので、予算対策としては三十九年度対策でしかるべきだという内容のものでございます。
  37. 滝井義高

    滝井委員 百二十万トンについてはわかるわけです。これはまたあと質問をしますが、いわゆる筑豊の第二会社その他がある。しかしその第二会社でなくて、申し込みだけをしておって閉山をしない百七十万トンの中の百二十万トン、こういうものは閉山をしないのだから却下すべきであるということです。合理化を申し込んでも、これは政府がノーと言っているのですからね。ノーと言っているものをたくわえて置いておくべきではない。それは何とか考えましょうと言っておられましたけれども、中小はちょっと問題だ、こうおっしゃるわけです。しかしそれは中小であろうと、大手であろうと、これはまた来年申し込んでもらったらいいわけですからね。そうでしょう。それをことしからわざわざ番をとるのなら、四十年や四十一年のものもそういうことが可能になる。何ぞ来年のみならんや。そういうことは法律には書いていない。法律は毎年やると書いてある。今度の改正だってそうでしょう。石炭鉱業合理化実施計画、これは実施計画なんですからね。通産大臣は毎年、石炭鉱業審議会意見を聞いて、石炭鉱業合理化基本計画実施をはかるため必要な石炭鉱業合理化実施計画を定めなければならないということで、これで予算が裏づけされてくる。予算は単年度主義ですからね。そのときそのときですから、来年や再来年のことまで予算は見ておらぬわけです。ところが、つぶす山だけは、申し込みがあったら、それをじっとあなたのほうのふところに入れてあたためておくなどというそんなばかなことはない。そうすると鉱業権者は、受け付けてもらっておるから、おれの山はどうせつぶれるのだということになってしまう。つぶれると錯覚するのです。だから、そこらあたりは私非常に法律無視だと思うのです。行政が法律より先行している。これはいずれあと労働省のほうにも尋ねますけれども、あるいはそれと同時に、いま大蔵省を呼んでいますが、資金計画も当然それに裏づけされてこなければならぬ。そういう裏づけがなければ、通産省としては却下する以外にないのです。百七十万トンについては却下するわけでしょう。そこらあたりをもう少し明確にしてもらわぬことには、はっきりしないですよ。
  38. 井上亮

    ○井上説明員 ただいまの御質問は、百七十万トンの内訳の問題に関連すると思いますが……。
  39. 滝井義高

    滝井委員 内訳じゃない。百七十万トンそのもの……。
  40. 井上亮

    ○井上説明員 これにつきましては、前に御説明申し上げたと思いますけれども、政府といたしましては一応、この中に占めます大部分の山につきましては、政府の原案の中に入れまして、これは政府としては閉山が適当であるという判断のもとに、合理化審議会に付議したわけでありますが、合理化審議会としましては、先ほど言いましたような理由で、一応これは第二会社に渡すべきだということになったわけでございまして、申し込みそのものにつきましては、現行法に照らしましても、却下するという措置は特に私は必要でないのじゃないかというふうに考えております。ただ実際問題として、この合理化審議会の結論ないしは政府計画につきましては、滝井先生よく御存じのとおり、政府は一応大きな計画の方向につきましては、審議会審議をしていただきまして方針をきめるわけでございますが、具体的にどの山を閉山するとか、あるいはどの山を第二会社にするとかいうようなことは、政府が決定すべきことではなくて、労使の話し合いによって決定すべき筋合いでございますので、現在この該当の山につきましては、労使折衝中でございますから、その結論によって——第二会社がしかるべきだという意見審議会が出したわけでございますが、これは労使がもし閉山がしかるべきだという意見であれば、閉山されても、現行法の立場からしますれば、そういう行き方もあるのではないか。また、労使が話し合いで第二会社がしかるべきだということになれば、そのときは閉山をしないで、労使の話し合いがついたときに初めて、事業団に対しては閉山申し込みを取り消すなら取り消すという措置をすべきであるというふうに考えております。
  41. 滝井義高

    滝井委員 井上さんのように労使の自主性に今後の閉山計画をまかせるといったら、これは立たぬですよ。そういう山は整備資金もなければ、再就職計画もない、ほったらかされたことになる。それでは労働者は絶対納得しないですよ。自由主義ですから、それはいいですよ。申し込んだが、受け付けられなかった、あるいは却下された、したがって、おれら労使で話し合って山をつぶそうじゃないか、そこで労使の意見が一致を見てやることは一向差しつかえない。しかし、それは労働省の再就職計画の中にも入らなければ、大蔵省や通産省のお立てになる整備資金ワクの中にも入らぬわけです。これはどうしてかというと三十八年度の中に入っていないのです。かってにやったのですから、かってにやったものはかまわぬわけです。しかし、それでは労働者が絶対納得しない。退職金をくれるかくれないかわからないような閉山には、絶対納得しないですよ。井上さんのような議論をすれば、こんな法律を一生懸命審議する価値はない。法律審議をやる価値があるのは、国が政策的な裏づけをやるところに、法律審議する価値が出てくる。したがって、その価値をとるためには、このワクの中に入らなければいかぬのですよ。そうでしょう。だからあなたの議論は、自由経済のもとにおける自由放任主義的なものなら私は納得します。しかし少なくともこの政府立て合理化実施計画の中に入ろうとすれば、入れてもらえば資金の裏づけもあれば、雇用の裏づけも出てきますから、入ろうと思えば、三十八年度ワクの中にきちっと入ってこなければならぬ。百七十万トンは入っていないのですから、政府としては親心があれば却下しなさい。却下をしてから労使の間で話し合ってやることは自由ですから、却下してもちっとも話し合いを妨げることにはならぬわけでず。しかし、おまえの方は予算ワクにも入らぬのだ、こういうことだけは明確にしておく必要がある。そこらを言っておる。それを、百七十万トンをポケットに入れたままにしておく必要はないということです。理論的なことで、それは法律の構成からいえば当然でしょう。だからこれは、局長も何とか処置したいと言うけれども、私は却下という形だと思う。一番いい例は、タクシーの免許を陸運局に出します。私のところにタクシーの免許をぜひ下さいと言ってきても、一定の日にちがきたら、だめですと、許可しないで却下してしまう。それと同じですよ。持っておれば、そのうち許可がおりると思って、みな待つわけですからね。運動もするでしょう。ところが、これを却下する、だめです、昭和三十八年度のタクシーの開設は、君のところはならなかった、また来年申し込めばいい。来年もまたやってくれる。だから年度末のものについては、これははっきり三月三十一日閉山するのだから、一日でもいい、昭和三十九年三月三十一日にやっても、それは三十八年度ですから、それはいいでしょう。しかしそれ以後に閉山するものを受け付けて、じっとためておく必要はない。来年また新しくやりなさい、これでいいのではないかということです。あなた方がこれにこだわるのは、どうも納得いかない。そうして折り目を正してきちっきちっとおやりにならないことには、野方図になって、何が何だかわからない。そのために、実施計画基本計画の二つの体制をとっております。しかも基本計画は四十二年度までと年限を切っております。それを三十九年、四十年に閉山するものを申し込んだからといってそのまま受けつけて置いておくなんというのはおかしいと思うのです。これはどうですか。却下ということが悪ければ、事務処理でもけっこうですよ。
  42. 井上亮

    ○井上説明員 ただいま御質問筑豊二山の問題でありますが、これは百七十万トンの大部分大手筑豊二山でございまして、あと中小炭鉱が五十万トンでありますが、これは別の問題でございますので、一応その問題を中心にお話し申し上げますと、これにつきましては、通産省といたしましては個別の山について、その山の今後の行き方について相当慎重に検討を加えつつあるわけでございます。審議会には山別の閉山計画は一応原則として審議は遠慮するというような立場になっておりますので、マクロ的な答弁になるわけでありますが、これにつきましては、私どもとしては一応閉山がしかるべきだという認定をいたしたわけでございますが、先ほど来申しましたような事情で、一応この山は第二会社。そこで滝井先生のお説は、そういうような事態になれば、申請申し込みを却下をさしたらいいんじゃないかというお説だと思うのでございますが、その点につきまして私どもは、先ほどの意見をまた繰り返すようになるかもしれませんが、要するに閉山するとか、あるいは存続するとか、あるいは第二会社で企業の経営形態を変更してやっていくとかいうようなことは、やはり労使の自主的な話し合いにゆだねるという基本方針は、今度国会に新たに改正法案をお願いいたしておりますが、この法律趣旨からもそのように考えておるわけでございます。したがいまして、いま審議会審議の結論として、政府原案修正されて第二会社になったからすぐ労使の話し合いも待たずして却下するというのは、趣旨として行き過ぎになるのじゃないか、むしろ労使の話し合いを見守りまして、その結論が出たところで、もし閉山が行なわれないということが明確になれば、そのときに事業団としてはこれを本年度買い上げの対象から正式にはずすというような行き方が妥当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  43. 滝井義高

    滝井委員 そういうことまでやるということになると、四十二年までのやつをやってもらわなければならぬということになってしまうから、それは私は法律の権限を越えていると思うんですよ。毎年やるんですから、来年のことは来年またおやりになったらいい。何も労使の話し合いまで御心配いただかなくたって、話し合いがつきましたと言ったときに処理したらいいと思います。それはことしじゃなく、来年のことです。話し合いはことしからやっても、予算措置は来年しかつかないのですから、ことしじゅうは閉山しないのです。
  44. 井上亮

    ○井上説明員 来年の問題になりますのは——どうも百二十万トンが二つあるものですから、非常に話がこんがらかるおそれがあるわけでございます。百七十万トンの中の百二十万トンのほうは、これは本年度合理化実施するものでございます。もう一つの百二十万トンといいますのは、これは来年度予算対策でやるというものでございまして、百七十万トンに関係する百二十万トンという問題は、本年度合理化をするという性質のものでございます。ただ、本年度合理化しますが、それは閉山という形でなくて、第二会社として本年度中に企業の形態を変えて再建するという性質のものでございます。したがいまして、これを来年度に延ばすわけにはまいりません。
  45. 滝井義高

    滝井委員 もう少し別の方面から詰めてみたいと思います。いま六百九十七万トンの内訳をいろいろ御説明いただいたわけです。そうすると、今度は六百七十一万トンになった政府原案内訳、二十六万トン程度違うわけですが、この内訳をひとつ御説明願いたい。さいぜん御説明になったような形で御説明願ったらわかると思うのです。
  46. 井上亮

    ○井上説明員 これは自然消滅としましては、約四十三万トンほど考えております。それから保安不良整備関係は、予算は三十万トンあるわけでございますが、一応二十九万トンということで計画を組んでおります。それから事業買い上げが、最終案は五百九十九万トンを考えております。合計いたしまして六百七十一万トン、そういう内容でございます。
  47. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、自然消滅の四十三万トンというのは交付金を受けないんですね。いままでの国会答弁では、自然閉山のものは石炭審議会にはかけませんという答弁をしてきた。ところが今度は、突如としてこれが入ってきておるわけです。これはどういうことですか。いままで私が質問をしたときには、全部一貫してそう答えてきた。石炭鉱業審議会には自然閉山のものはかかりません。それならば自然閉山の者にも離職者手帳をやりますかと、私はわざわざ大橋労働大臣に予算委員会で念を押したのです。すると、ちょっと答弁をためらったけれども、いろいろ相談した結果それについてもできるだけ離職者手帳をやるように努力したい、こういう答弁になってきたのです。それで審議会にはかからないというような一貫した答弁だったのだが、どういう理由でこれが審議会にかかるようになったのですか。
  48. 井上亮

    ○井上説明員 これは一応離職者対策等の関係もございますので、やはり自然消滅する山であっても、閉山という事実には変わりございませんので、一応事業買い上げあるいは保安不良炭鉱の買収というようなことだけでなしに、やはり自然消滅まで入れるほうが、かえって事後の再就職計画を万全を期して、遺漏ないようにするというような、計画の一致をできるだけはかるためには、そのほうがより合理的ではないかというような考え方からいたしたわけでございます。
  49. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、六百九十七万トンの説明の中には、自然閉山というものはなかったわけですよ。六百九十七万トンを説明するときには、目減り十三万トン、保安買い上げと重複するもの十八万トン、あと六百六十六万トン残るうちの三十八年買い上げ申請の二十五万トン、それからいま問題の百七十万トン、これは明らかに合理化にかかるわけですから、そうすると三十八年に閉山して予算処理するもの三百五十万トンというものは、これは明らかに交付金ですから、そうすると、この六百九十七万トンの中には四十三万トンというものは入っていないことになるが、入っていないんでしょう。
  50. 井上亮

    ○井上説明員 入って、おりません。
  51. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、二十九万トンの保安はわかりましたが、五百九十九万トンの内訳が六百九十七万トンの内訳と一体どういうぐあいに照合してくるということですか。
  52. 井上亮

    ○井上説明員 六百九十七万トンですか。
  53. 滝井義高

    滝井委員 六百九十七万トンというのは申し出たものですから、申し出たものの中から五百九十九万トンというものが、今度は具体的に事業買い上げで処理されてくるわけでしょう。だからこれは、六百九十七万トンの中に五百九十九に当たる分はどういうぐあいに分布しているかということなんです。
  54. 井上亮

    ○井上説明員 御説明申し上げます。事業団の買い上げの総申請量は、御承知の六百九十七万トンでございます。そのうち三十七年度にすでに閉山したものであって、ことし申し込んだという性質のものが十七万トン入っております。それから申し込み数量が私どものほうが審査いたしまして少し過大ではないかといって補正したものが、十三万トンほどでございます。その点は前と同じでございます。それから保安不良の整備との重複量が十八万トンございます。これも前と同じでございます。こういったものを差し引きますと、有効申請量といたしまして六百五十九万トンという数字が出るわけでございます。それから三十八年度閉山予定を変更するものが五百五十三万トンの計画のときには百七十万トンであったものが、ただいまのこの案でいきますと、百万トン削りまして、七十万トンになるわけです。七十万トンは閉山予定を変更する。したがいまして、六百五十九万トンから七十万トン引きますと、五百八十九万トンになるわけです。これに十万トン加えましたのは、これは先ほどもむしろ私五百八十九万トンと言ったほうがよかったのかもしれませんが、五百九十九万でもいいのですが、筑豊の一山が、三十八年度中に閉山するけれども、事業団の買い上げ申し込みは三十九年度予定されている十万トン、私はそれを加えまして五百九十九万トンと申し上げたわけですが、これを削れば五百八十九万トンでございます。したがいまして、先ほどずっと六百九十七万トンから差し引き差し引きして五百八十九万トンと申しましたが、これにただいま申しました筑豊の、ことし閉山するけれども申し込みは来年するという十万トンを加えますと、五百八十九万トン、プラス十万トンでございますから、五百九十九万トンになる。要するに、最終結論といま申しました政府原案との違いは、筑豊二山の百万トンと北海道の十八万トンを差し引いた、その違いが最後に残る問題でございます。
  55. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、結局事業団が買い上げるのが五百九十九万トン、その中で筑豊の百万トンと北海道の十八万トン、合わせて百十八万トンは五百九十九万トンの中に入っているのですか。
  56. 井上亮

    ○井上説明員 入っております。
  57. 滝井義高

    滝井委員 百十八万トンが入っておるということになると、予算はことしつかないけれども、山はことし閉山すると同じ形をとられることになるわけですね。そういう形になるわけです。そういうことが一体この合理化でできるのかどうかということですよ。われわれ審議する法律は毎年のものしか書いてないのに、それだったら再来年のことだってできることになる。どうもそこらあたりが、これは法律をつくっておるけれども法律のとおりに動いていないということです。  さらにもう一歩前進しますが、そうしますと、六百七十一万トンの原案というものは、自然消滅四十三万トンと保安不良、予算は三十万トンだが実際は二十九万トン、そうして事業買い上げ五百九十九万トン、これがいわば昭和三十八年度買い上げだ、この中で幾分三十九年にずれるものもある、こういうことですが、これが最終的に五百五十三万トンになってきた。五百五十三万トンの内訳をいまのように説明してください。
  58. 井上亮

    ○井上説明員 五百五十三万トンの内訳は、自然消滅が四十三万トン、保安不良炭鉱が二十九万トン、それから事業買い上げが四百八十一万トンという内訳でございます。
  59. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、さいぜん御説明いただいた六百七十一万トンの中の五百九十九万トンの事業買い上げが、四百八十一万トンに下がってきたわけですね。したがって、いわゆる筑豊二山と北海道の百十八万トンが結局そこに余ってくる、こうなるわけです。明らかに百十八万トンというのは、ことしの予算の対象にならないわけです。ならないものをこれはやはりあたためる、こういうことになる。百十八万トンがそういう形であたためられるばかりでなくて、さいぜんの一番初めの、今度はもとのところの六百九十七万トンに返っていきますと、そこでも三月三十一日に閉山する百二十一万トンがありますね。そのほかにさいぜん言った百七十万トンが出てきておる。その中の百二十一万トンというものがあるわけでしょう。百二十一万トンは百十八万トンと数字が違うわけです。すなわち百十八万トンと百二十一万トン、そこに三万トンぐらい違ってくる。三万トンといったら、中小の一山ぐらいですよ。こういうようにずっとこまかく数字を当たってみると、ちょっとしろうとにはわからぬですよ。私はまだもう一段階質問しますけれども、廣瀬さん、これでわかりますか。ここを大臣がつかんでおかぬことには、役人に引っぱり回されますよ。これは審議会の委員だってわからぬですよ。たまたま私は数字を少し見るからこそ、こういうことを追及するのです。  そこで、それならば、予算をつくるときの四百四十万トン、保安三十万トンの関係です。これをもう一つ先まで技術的に御説明願いたい。そこで四百四十万トンの予算をつくったときの内訳ですね。どういう方向で四百四十万トンという予算国会審議してもらったのか。その当時私は不敏にしてどうもその資料を要求するひまがなかったのですけれども、これは当然四百四十万トンの予算があるはずです。それから保安の三十万トンについても、いまになってみれば、たとえば十八万トンは重複しておりますと言う。およそわかっておるはずです。保安でつぶす山がわかっていなければ、十八万トンが重複するなんということは言えないわけだから。だから、四百四十万トンの予算のときには一体どういう形になっておったのか。
  60. 井上亮

    ○井上説明員 予算は三十八年度の四百四十万トンということで一応決定されたわけでございますが、この予算要求に際しましては、率直に申し上げますと、予算要求の時点が、これは昨年の、石炭はちょっとおくれましたが、九月末ないし十月の初めぐらいから大蔵省に計画を提出しまして説明をいたしたわけでございます。したがいまして、調査団の答申が出る前後から、これは制度の仕組みがそうなっておりますので、一応予算要求書というものを出して検討願ったわけでございます。したがいまして、答申は出ましたけれども、答申内容は年次別の計画答申はございませんので、最終年度の目標というような点でございますので、私どもといたしましては、調査団の答申趣旨に沿いまして、おおむね来年度閉山予定されるだろうと思われる量を一応想定いたしまして、予算規模といたしましては四百四十万トン程度あれば、一応差し迫った中小炭鉱閉山にも支障はないのじゃないか、それからまた、どうしても非能率炭鉱で整理を余儀なくされるだろうというような山の実態からいいましても、なおその閉山のタイミング等を考えますと、大体四百四十万トン程度予算があれば、本年度としては一応いけるのではないかというような考え方で、一応四百四十万トンということで予算が決定したわけでございます。
  61. 滝井義高

    滝井委員 そうしまずと、四百四十万トンというのはたいして数字の基礎はなかった、おおよその腰だめ的なものだった、こういうことになるわけですね。申し込みを見て、その上で四百四十万トンぐらいあったらいいだろう。保安三十万トン加えて四百七十万トン、昨年は四百八十一万トンだったから、まあそこらあたりと、こういうことなんですね。ところが実際は五百五十三万トンになったんだから、約百万トン程度の増になった、こういうことになるわけですよ。ここらの、四百万トン、五百五十三万トン、それから六百七十一万トン、六百九十七万トン、この数字の変遷をずっと見ていって、そうしてきちっとしたものにするというなら、これはよほどしっかりした資料をわれわれに出してもらわぬと、われわれは変遷がわからぬですよ。二転、三転、四転しているのですからね。当然それに見合う資金計画とそれから再就職計画ですね、これはいまから尋ねることになるのですが、それを尋ねる前に、百十八万トンは筑豊二山と北海道の一山か二山か知らぬがなったわけですね。そうすると、この百十八万トンとそれから申し込んでことし閉山しない百七十万トンとの差、五十二万トンの差が出てきたわけです。この差は一体どういうことなんですか。
  62. 井上亮

    ○井上説明員 恐縮でございますが、申し込んでない五十何万トンというのはどういうことでしょうか。
  63. 滝井義高

    滝井委員 百七十万トン三十八年に申請したけれども、生産計画並びに周囲の事情から三十八年に閉山をしないというのが百七十万トンであったわけです。百七十万トンのうちに大手が百二十一万トンで中小四十九万トン、合わせて百七十万トンですね。ところが実際には、今度は五百五十三万トンのときになって具体的に出てきたものは、六百七十一万トンにおける百十八万トンと同じものが出てきておるわけですね。百十八万トンというのは、これは筑豊二山と北海道で百十八万トンでしょう。ところが百七十万トンの中にも筑豊二山と北海道が入っておったわけですから、あなたが説明したように入っておったわけですから、そうすると、そこに入っておってよろしい、よろしいが、百七十万トンと百十八万トンを比べたら五十二万トンの差が出たのだが、この五十二万トンはどこに行きましたか、こういうことです。
  64. 井上亮

    ○井上説明員 北海道の十八万トンというのは六百七十一万トンの中に入っておるわけでございます。六百七十一万トンの中に、北海道の十八万トン最後に削りました分が入っておるわけであります。それから筑豊の二山も六百七十一万トンの中に入っておるわけです。ですから、あと残ります五十万トン、中小炭鉱の百七十万トンのうち約五十万トン——正確には四十九万トンですが、約五十万トンが三十八年度閉山を変更したものでございます。だからこれは入っていないわけであります。初めから落としてあるわけであります。
  65. 滝井義高

    滝井委員 筑豊の二山の百万トンは大手だ。北海道の十八万トンというのは、これは大手じゃないわけでしょう。
  66. 井上亮

    ○井上説明員 これはあまりはっきり大手中小か言いたくないのですが、率直に言いまして、中小でございます。中小でございますが、この中小はこの四十九万トンの中に入っていない中小でございます。むしろ閉山予定の六百七十一万トンの中に入っている中小でございまして、この四十九万トンの中には一応入っていない数字でございます。
  67. 滝井義高

    滝井委員 四十九万トンは中小だと言って、四十九万トンの中に入っていない中小があったりなかったりしたのでは、われわれはさっぱりわからぬのですよ。まるきりあなた方の恣意によって山が生きたりつぶされたりする、こういうことが困るのです。だから、やはりきちっとガラス張りで、山をつぶすならつぶすということにしないと、じゃ、北川さんに尋ねるが、十八万トンと四十九万トンの雇用計画は一体どうなっているか、こうなるとあなたのほうはわからないでしょう。あるときはつぶす、あるときはつぶさない、大手に入っておったり中小に入っておったり、こんなことでは資金計画も立たないし、再就職計画も立たないでしょう。われわれはわからぬ。だから、これはあとから労働省に尋ねますけれども、いまのようにこまかく分けて一つ一つ尋ねていきますが、こういうようなあまり不明瞭なことでは困ります。そのときそのときの勝負にしてもらわないことには、労使の間の話がついたらこれは入れようとか入れまいとかいうことでなくて、資金計画というものはその年度年度にきちっとけじめをつけるべきだと思う。そうでないと、一々、あるときは入り、あるときは入らなかったりする。四十九万トンは中小だから、その十八万トンは入っていない。ところがれっきとして百十八万トンの中に入ってきているのですからね。そこらあたりどうもこの数字のところは、廣瀬さんおそらく何が何だかわからなくなったのではないかと思うのです。
  68. 井上亮

    ○井上説明員 非常に明快に実は計画はできておりまして、私の説明が非常に要領を得ない、説明が悪いのかと私反省いたしておるわけでございますが、縦と横と、大手中小というぐあいに、体系的に説明しますとわかるわけでございまして、たとえば六百七十一万トンも、これは地域別炭田別に大手中小と明確に計画はできておるわけでございます。これは山別、会社別にもありますが、会社別でなくても、要するに審議会に出しました資料の付属資料としても、一応北海道中央地域では大手が何万トン、中小が何万トン、計その当該炭田で何万トンというぐあいに、各地域別に出ておりまして、その地域別の大手中小別の数字と、さらにそれに伴う離職者も当然出したわけでございます。そういう形と、先ほど来御説明いたしましたような、これを今度は自然消滅とか、保安不良とか、事業買い上げとかいう範疇で整理しますと、それがどういう姿になるかという推計をいたしましたり、あるいは実際にその年に閉山するもの、あるいはその年度末に閉山して対策は次年度だ、一日違いで次年度だというような性質のもの、そういうようなものを整理いたしておりますので、この数字につきましては、大体不明瞭なんということはございませんで、その点は説明が悪いわけでございまして、明瞭に計画はされておるわけでございます。
  69. 滝井義高

    滝井委員 炭鉱整理促進交付金の地区別の申請状態を、あとでいいですから、一表にして出してもらいたいと思うのです。  たとえば、北海道が二十八炭鉱、二百十五万トン、東部十四炭鉱、二十一万トン、西部十一炭鉱五十五万トン、九州七十一炭鉱四百六万トン、計炭鉱百二十四、トン数にしますと六百九十七万トン、これはあなたのほうの資料にちゃんとあるわけです。それがどういうぐあいに変わっていったかというと、北海道二百十五万トンが二百一万トン、東部二十一万トンが二十二万トン、一万トンふえたのですね。西部五十五万トンが五十三万トン、二万トン減った。九州四百六万トンが三百二十五万トンで、八十六万トン減って六百七十一万トン、こうなったわけです。それが今度五百五十三万トンになると、北海道が百八十三万トン、さいぜんの十八万トン減ったのですね。問題の十八万トンです。東部二十二万トン、同じく二十二万トンですね。西部五十三万トン、そのまま五十三万トンです。九州三百二十五万トンが二百九十五万トン、三十万トン減ったのですね。合わせて五百五十三万トン。これをさらに今度は内訳をしてもらいたいのは、百八十三万トンの北海道の中で、自然消滅が幾らで、保安不良が幾らでと、内訳が各地区別に出るわけだ。それから四百八十一万トンの事業団の買い上げ幾らと出るわけです。これは出なければならぬはずです。それをひとつ、一表にして出してもらいたいと思うのです。  同時に、いまから質問をしますけれども、今度はそれに伴う整備資金と再就職計画、これがやはりあわせてついてこなければいかぬのです。それをいまからちょっと資金のほうを質問をして、同時に再就職計画質問しますから、質問をしたあとで今度は一括してきちっとした資料で、もう大臣が見、政務次官が見ても、一覧表でさっとわかるようにしてください。いまから質問しますから、それだけ前もって言うて質問します。
  70. 中野正一

    中野政府委員 いま先生の資料要求のことで、私のほうでできると思いますのは、要するに今度の三十八年度合理化実施計画は、審議会で五百五十三万トンという答申があったわけでございます。そのときに、地域別炭田別にこれはきめなさい、こういうことになっておりますから、地域別炭田別にそれを出して、そして、先生の御要求でありますから、大手中小で分けて出す、これが一番わかりいいのではないかと思います。それでいろいろの買い上げ規模の事業申し込みのほうから説明されると非常に話がややこしくなるので、要するに審議会できまったものは五百五十三万トンですが、それの内訳は井上炭政課長が何度も説明しておるように、自然消滅が四十三万トン、保安不良整備が二十九万トン、事業買い上げが四百八十一万トン、三十八年度予算の四百四十万トンのうちの三百五十万トンで処理して、あと百三十一万トンは年度末に閉山するんだから来年度予算で処理いたします。こういうことで非常に簡単なことですが、ただ問題は、地域別に大手中小にこれを分けるその程度の資料をさっそく出したいと思います。それで御了承願いたいと思います。  それから資金計画なり再就職計画は、五百五十三万トンで全部組んでおるわけです。ただ、整備資金については、先ほど井出先生の御質問があったように、資金部会でも金が足りないのではないかという御指摘はあっておるわけで、これは政務次官が先ほど御答弁になっておるわけです。
  71. 滝井義高

    滝井委員 よくわかりますから、五百五十三万トンの自然消滅、保安不良炭鉱整備それから事業申し込み、三十七年度処理の分が回ってくるものがありまして、非能率の分と両方ありますが、炭鉱整理促進、それから今度の三十八年度炭鉱整理促進、こういうふうに地域別炭田別に分けたものを出していただけばけっこうです。いまのとおりにやっていただきたいと思います。  次は、井出さんの質問ではっきりしてきたのですが、私もお尋ねしようと思ったのですが、それは設備資金が八十二億四千九百万円ですか、それから整備資金が百五十一億四百万円ですか、二百三十三億五千三百万円程度の、私が調べたのではそのくらいの不足になっておったのです。大蔵省もきていただいておりますから、大蔵省もひとつ一緒に、これを少し今度は内容的にきちっとしておいていただきたいのです。まず資金計画昭和三十八年の財源を見てみると、合理化事業団への融資六十億円、産炭地域振興事業団十九億、開発銀行ワク百十億、計百八十九億、これだけは予算書なり皆さんの説明を聞けばわかるところです。   〔木村(守)委員長代理退席、藏内委員長代理着席〕 それで問題は、これから先がちょっとわからぬのですが、この六十億の整備資金というのは、四百七十万トンの整備を前提としておったわけですね。保安三十万トンと、合理化事業団の交付整理方式で四百四十万トンで、四百七十万トンを前提としておった。しかしこれはさいぜん局長さんも言われたように、大蔵省で削られてこれでも足りなかったのだというお話があった。いろいろ書いたものを読んでみましても、そういうことが書いてある。閉山規模が五百五十三万トンになったわけですね。これは、第二会社にするにしても金が要ります。なぜならば、第一会社から第二会社に生まれ変わりますから、新しい企業になるわけです。三井鉱山あるいは三菱鉱山が第一会社のままでいくならば話は別ですが、新しく生まれ変わってくるわけですから、五百五十三万トンにきめたということになると、相当いま言ったような不足が出てくることは明らかでしょう。三十七年度も初め十五億円だったのです。それを第一次で三十億追加して、第二次で五十五億追加をして、八十五億追加をして百億になったわけでしょう。そうしますと、まず第一にお尋ねをいたしたいのは、五百五十三万トンになることによって、退職金を含めた整備資金の総額を、ちょっと私さいぜん井出さんのときに聞き落としたのですが、その総額が幾らになるか、それからコストダウンのための設備資金所要額の総額が幾らになるのか。ちょっとその数字だけ先に説明してもらいたい。
  72. 中野正一

    中野政府委員 先ほど井出先生に御説明したのでありますが、これは大手中小込めて三百二十三億九千万円設備資金が要る。それから退職金のほうは、大手中小合わせまして二百三十二億九千万円。それからさらに、前年度に整理をして退職金が未払いになって本年度にずれ込んでいるのがあります。これが六十三億ございます。これはプラスされるわけです。したがって二百九十五億ほど整備資金が必要である、こういうことになるわけであります。
  73. 滝井義高

    滝井委員 そうすると、コストダウンのための設備資金が三百二十三億九千万円と、整備資金が二百九十五億九千万円、こういうことですね。それで予算に組まれておるのを、設備資金整備資金をちょっと言ってみてください。
  74. 中野正一

    中野政府委員 予算というか、財政投融資でございますが、近代化資金が三十三億、それから開銀資金が百十億、これが設備関係でございます。それから整備資金は先ほど説明のように、本年度合理化事業団に対する財政投融資として六十億、こういうことになります。
  75. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、二百九十五億九千万から六十億を引くと二百三十五億九千万円ですね。これだけ不足ということになるのですか。
  76. 中野正一

    中野政府委員 いや、それはそう簡単に考えないで、要するに設備資金がいま言った数字が必要でございます。それから金としては、今度は開銀とか市中とかの借り入れ金返済がございます。そういうものが要るということ。それから今度は収入のほうは、減価償却を充てる。それから退職手当引き当て金を充てる、あるいは、ものによっては増資とか社債とか。それからいま言った近代化資金開銀資金以外に、市中の機関から設備資金も借りる。返すと同時に、借りるわけです。返すのもあるし、借りるのもある。それから整備資金についても、これは市中調達は非常に困難とは申しますが、これも極力やらせるということで、例の保証制度等を活用していく。だから、いま言った差額が結局自己資金市中金融機関からの借り入れということで、それをいろいろやった結果が、先ほど言ったように、計算上は整備資金で約百五十億、設備資金で約八十二億不足する、こういう計算になるわけです。
  77. 滝井義高

    滝井委員 今のような簡単な説明では、石炭問題は簡単にいかないのです。そこでいま言った三百二十三億九千万円の設備資金が必要である、こういうことになれば、まず大手なら大手をとって、必要とする設備資金の総額が一体幾らで、その総額の中で自己資金でまかなうものが幾ら、それから負債の返済のために幾ら要る。それから同時に、借り入れ金政府資金にたよらざるを得ないならば、一体開発銀行が百十億円のほかに幾ら貸す、それから合理化事業団幾ら出す、したがってどういうぐあいに不足が出るから、この不足はどうするのだ、こういう説明をしてくれぬことには、いまのような説明だけではさっぱりわからぬ。だからまず、昭和三十八年度における合理化実施計画実施するためには、コストダウンのための設備の総額が幾らで、その資金調達はどういうぐあいにやる、そして幾ら不足する。それから退職金その他の整備資金は総額が幾らで、その資金調達はどうやるのだ、これが出てこないと話にならないのです。そこで、私も新聞その他で見ているのではおおよそわかるのですが、どうもどの程度の信憑性があるのか。各紙いろいろ書いてあるものを全部書いてきております。書いてきておるけれども、どうも全貌がはっきりしない。それから最近は資金計画その他でも、いろいろ申し出たものも削減されておりますから、はっきりしないわけです。幸いにきょうは大蔵省の資金課長に来ていただいておるのですから、ここで私書きますが、あとで資料は資料で出してもらって、概要を大体御説明願いたいと思うのです。新聞その他で見ると、本年度必要とする設備資金は、借り入れ返済を差し引き純増ベース二百八十四億、うち自己資金百七十億、残り百十四億と、それから社債の返済が借り入れを上回って穴があく分が六億、だから、百二十億の借り入れ金をどこからかしてこなければならない。このめどが立たぬということがあるわけです。こういうことのほかに、五十万トンの貯炭の問題が出てくる。これは廣瀬さんは、市中銀行その他できるだけ協力をしたいとおっしゃってはおるのですが、そこらもはっきりしないことになっておるわけです。予算は御存じのとおり繰り越し明許があってどんどん繰り越してもいいことになっているが、予算は繰り越されても、実際に山が閉山してしまったら、労働者退職金はもらわぬというわけにはいかない。そこでその資金計画の全貌をここで具体的に説明をしてもらわなければいかぬ。石炭山が借りているのは、開発銀行だけではなくて、興業銀行からも、長期信用銀行ですか、こういうところからも借りているし、それから市中銀行設備資金その他申し入れをしておって、自己資金ですか、こういうものだって、もう担保力がなくなっておるところですから、簡単に貸してくれるとは考えられないわけです。そこらのきちっとした見通しと責任ある政府の答弁がなかったら、とてもこれはたいへんなんですよ。そこでまず、石炭鉱業における資金計画概要をひとつ御説明願いたいと思います。五百五十三万トンに見合うものです。
  78. 中野正一

    中野政府委員 数字は先ほど来説明したとおりでございますが先生の御指摘のとおり、数字が非常に入り組んでおりますから、昭和三十八年度資金計画、これは先般の石炭鉱業審議会資金部会で十分議論していただきましたそのデータがございまして、それを印刷したものがございますので、いますぐ取り寄せましてお配りしたいと思います。しりの数字は、一番大事なところは先ほど私が読み上げたとおりであります。
  79. 滝井義高

    滝井委員 それはあとでけっこうです。その質問は次会にそれを見せていただいてからしでいいですから、あとで届けていただくなりしていただきたいと思うのです。  大蔵省の資金課長さんがいらっしゃっておるが、さいぜんの質問で、二百三十三億程度設備資金整備資金不足をするということがはっきりしてきたわけです。これをまかなうだけの資金計画が立つのか立たないのかということです。私が心配するのは、国立病院の特別会計をつくって、特別会計で労働者のほうの金である厚生年金の積み立ての還元融資でやっている年金福祉事業団から、今度は国立病院が借りるんですよ。労働者の金を国が借りなければならない。資金計画が窮屈なんですよ。これを撤回せいと言うけれども、これはこの前、大蔵大臣のそでを引っぱって資金課長がどうしても答弁させないんですよ。これは五億か十億のわずかな金なんです。ところが今度は二百三十三億五千三百万円ですよ。五億や十億じゃないんです。相当大きな財政投融資の変更をやってもらわなければならぬことになるんですが、これは大蔵省としては大丈夫ですか。
  80. 海堀洋平

    海堀説明員 先ほど石炭局長からも御答弁申し上げたように、要するに財政投融資だけが、しかも、たとえば整備資金だけが問題ではなくて、資金としては全体がやはり問題であり、資金のソースとしましては、もちろん石炭鉱業のことでございますから、財政資金に非常にウエートがかかりつつありますが、先ほどもお話にありましたように、興長銀だとか市銀とか、そういう関係もございます。したがいまして財政投融資としまして現在、お尋ねの整備資金をどう手当てするかということはまだ、関係しております企業の成績もありますし、要するに収益も予想で立てておりますので、したがいましてその収益予想の見通しの問題もございます。それから興長銀からの期待というふうなこともございます。それから市銀からどういうふうに協力を受け得るかという見通しの問題もございます。さらに、これはあまり関係いたさないかと思いますが、退職時期の問題もあろうかと思います。しかしいずれにしましても、事は整備資金という問題になりますと、やはり具体的な退職していく方の生活の問題にも関連することでございますから、大蔵省としましてもあらゆる手段を尽して、その後どうにもならない面というものはやはり、どういう手段によるかは現在のところまだ年度が始まったところで、原資の見通しということにつきましては非常にむずかしいかと思いますが、何らかの点で手当を考えざるを得ないんじゃないか、こういうふうに考えております。
  81. 滝井義高

    滝井委員 何らかの形で考える、さいぜん井出さんの質問に対しましても、ことしは六十億程度あるんですから、それで泳いでいきます、九月ごろになったら、こう言うけれども、これは申請をしてやり始めますと、労働者もざあっとくずれちゃうんですよ。働かなくなっちゃうんです。山は、申請をして合理化事業団から鉱内の調査が来ると、もうやらぬですよ。ただポンプアップだけです。もう調査が終わったら、ポンプアップもやめちゃうんです。こういう形になるんですよ。すでに百十八万トンの中に入っている山でも、そういう傾向が出てきておるんですよ。もう賃金の分割払いです。期末手当その他はもう来年でなければやれません、こうきているんですからね。そうなると、労働者は浮き足立ってやめていくことになる。やめていけば、退職金をもらわなければならぬ。だから、資金は九月以降にゆっくりつけたらいいというようなものではないんですよ。こういう点については、やはり五百五十三万トンができたならば、それに対するきちっとした財政資金の裏づけをしてもらわぬことには、もう話にならぬわけですよ。まだことし閉山せぬでもいいものまで受け付けて、そして閉山させる。三十九年三月三十一日に閉山するものまで入れてしまっている。しかしその金の手当はまだついていなくて、二百三十三億不足です、こういうことでわれわれにこれを納得せいと言ったって、とてもこれは納得できるもんじゃないですよ。そのときになって、金がつかぬと言って投げ出されるかもしれぬですからね。やはりわれわれは疑い深くならざるを得ない。だから年度初めにきちっと、金に糸目はつけない、金の頭はそろっておりますよと、こういうようにきちっとそろえてくれて、五百五十三万トンをつぶすという問題が出てこなければ話にならぬですよ。この問題はどうせ大蔵大臣にも来てもらってこれははっきりしないと——この前私、病院の特別会計をつくるときもやったんです。労働者の金を国立病院が借りるというんですから、前代未聞だと思うんです。こんなばかなことはないんだけれども、資金課長さんどうしても——この資金課長さんじゃなかったけれども、大蔵大臣のそでを引っぱって答弁させないんですよ。答弁させなければこれを通さぬということで、しぶしぶ答弁したんですよ。五億か十億ですからわずかな金なんです。それを労働者の年金福祉事業団から国立病院が借りる。そしてそれを等ということにしてごまかしてしまった。そういう実態だから、なかなか資金課というのは渋いですよ。これは局長さんや井上さんが交渉しておわかりのようになかなか渋い。五億や十億の金じゃない。二百三十三億というのは、いまの状態からいえばばく大な金ですよ。それでこれは大蔵大臣その他に来てもらってもう少し詰めなければならぬが、資金課長さん何かあれば……。
  82. 海堀洋平

    海堀説明員 ちょっと先ほどのに補足さしていただきたいのですが、私先ほど御答弁申し上げましたのは整備資金について申し上げましたので、設備資金のいま二百三十三億と申されましたのは、多分整備資金の百五十一億と設備資金不足の八十二億と足された数字だろうと思うのです。先ほど私が申し上げましたのは、退職金という問題は閉山に直接つながる問題でございまして、これはあらゆる市中の協力とか、各企業の自主的な努力とか、そういうすべての努力を払った後になおかつ残る問題は、財政資金見通しとしましては、現在のところ投融資はまだ二カ月しかたっておりませんが、あらゆる努力を傾けて問題を解決していかなければならないであろうということを私たちも考えていますということを申し上げました。設備近代化のほうの問題につきましては、これは将来の四十一年までの、要するに石炭合理化計画全体に関連する問題でございます。現在はたしてこれだけの設備投資が必要であるかどうかという問題は、さらに十分に検討する必要があろうかと思います。それは前提として炭価もすでに合理化計画立てたときの前提よりもくずれておりますし、はたしてその投資が有効なる投資なりやどうかというふうな問題もありますので、設備資金につきましては別に十分な検討を遂げたいというふうに考えております。
  83. 滝井義高

    滝井委員 そういうように、今度設備資金については非常に先に延ばしてもいいというようなことになると、たとえば第二会社その他に持っていったところで、これは相当設備資金をもらわなければやっていけないということになるから、そういう能率の思い山には金が回らぬということになると、第二会社も怪しくなるということになって、すべての前提がくずれてしまうんですね。やはり金のことがはっきりしないと、計画というのは空のものになってしまうのです。これはいまのような、整備資金は何とか考えるけれども設備資金は、ということになるとますます——整備資金設備資金は不離一体のものなんですからね、そういう形になってきているんですよ。たとえば三井でいえば、相当の金を三池に入れていく、したがって三池に金を入れるから三井田川、山野から三池に相当の配置転換ができます。したがって、首を切るのはよけいに切らなくても、第二会社でここは何とかやっていけます。こういうように関連してくるのです。ところがそれを設備資金のほうはということになると、三池に設備資金が入らなければ山野、田川は引き取れません。それだけ引き取れないということになれば、そこに泣かなければならぬ人が出てくるわけです。そうすると、今度はどういうことになるかというと、首切りの資金がもっとよけいに要るということになる。だからここらあたりの関係は、関係がないようであるけれども、これは一枚の紙を二枚にはぐようなもので、不即不離の関係にあるわけです。だからここらあたりの点について、石炭局は資金課長に対する教育が足らぬ。もう少し教育をしておかなければ、こんなことではとても話にならぬですよ。
  84. 中野正一

    中野政府委員 通産省としての答弁は、先ほど政務次官がお答えになったとおりでございますが、通産省としては、石炭鉱業審議会答申もあることでございますので、この答申趣旨を尊重して、設備資金整備資金——もちろん整備資金のほうに重点を置くべきであるという議論は成り立ち得ると思いますが、両方の問題につきまして、早急にこの不足資金の手当てというものを考えていきたい、そういう方針でおるわけであります。大蔵省の資金課長から御答弁があったように、大蔵省はこのむずかしい石炭の問題に非常に理解があるわけです。これは政府全体としての問題であるわけでございますので、そういうふうに御了解願いたい。
  85. 滝井義高

    滝井委員 理解があれば、次に田中さんが来てから、二百三十三億の数字はとにかくとして、検討して出しますという言質をとるように下から根回しをひとつ。  次は労働省になるのですが、労働省は北川さんではちょっと困るのです。職安局長なりにやはり来てもらわぬと困る。だから、ここでちょうど切りがよくなりましたから……。
  86. 藏内修治

    ○藏内委員長代理 次会は明十二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時一分散会