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岡田(利)
委員 石炭鉱山保安臨時措置法ができたゆえんというものは大体諸外国ではこういうばかな
立法措置をし工いるところはないわけです。これはいままでの
政府の
石炭政策というものが非常に野方図であって、どんな小さい山でもどんどんつくらせる。しかも、
合理化臨時措置法が施行されても非常に無制限に山がつくられる。だから景気の変動によって、一ぺんに二百の
炭鉱ができる、景気が悪くなれば二百五十の
炭鉱が一ぺんにつぶれる。こういう現象を歴史的に繰り返してきたと思う。エネルギーの消費革命の中で、こういう急速な
合理化の中で、どうしても急速にこういう
立法措置をして、一方においては
保安を守り、一方においてはそういう山を
整理をして社会問題を解消していこうというところに、
保安臨時措置法というものができたゆえんがあるのではないか、私はこう
理解をしておるわけです。
しかも、今日の
合理化というのは確かに急速に進んでおるわけです。しかし、いま石
炭鉱業審議会なり
政府が
合理化の政策を進めていくのにあたって、その視点というものは、どうしても大手
炭鉱に向けられておると思うわけです。大手
炭鉱については、会社から明細な
資料も出させ、十分これを検討して、しかも影響が大きいですから、それだけに雇用対策、その他についても対策を立てていく、こういう
方法がとられるのですが、一方、中小
炭鉱については、そこまで綿密な
調査が行なわれておるわけではないわけです。大体概念的な
調査の上に立って、
石炭政策とにらみ合わせると、中小
炭鉱というものは最終的には大体いまの二割
程度の山しか残らない、こういう想定に立って中小
炭鉱の場合には
合理化を進めておると思うのです。
私は、中小
炭鉱の場合には、
政府が
考えているように、あるいは
調査団が
考えているような
方向には、そう簡単には参らぬのではないかと思う。やはり中小
炭鉱でも、条件のいいと申しますか、細々でもやっていける、非常に市場性のある、また炭がそれに向く、そういう特殊な面というものがいろいろ条件として出てまいりますから、そういう面では、中小
炭鉱というものは、いまは急速にある
程度整理をされていっても、案外予定どおりにはいかぬのではなかろうか、こういう
感じがするわけです。しかし、資本の側からいえば、
炭鉱はいま撤収作戦の時期だと思うのです。ですから、新たに投資をするなり、そういう
体制の中では長く生き延びていこうというところまではまだまいらぬのではないか、こう
考えるわけです。そうしますと、一応の
合理化体制ができるまでは、そういう
保安上の
廃止勧告をする山というものはどうしてもある
程度ついて回るのではないか、こう
考えるわけです。しかし、
政府として一年間
延長して、一年間でそれも一応区切り点をつけるのだ。
あとについては、それは自然解消されるのか、あるいはニュー・スクラップ方式でいくのか、一般の
整理でいくのか、ここが非常にむずかしいところではないかと思うのです。一度制度を立てたのですから、二年間やって一年
延長して、それではっきり区切りがつけ得るものかどうか。一方において
政府の
石炭政策の
合理化というものは、四十二年度を目標として、四十二年度には一応自立できるという想定を描いているわけです。ですから私は、そういう
意味では、この法の適用が少なくなっていくということは望ましいことです。しかしながら、
本法としては、やはり一応
石炭合理化の一翼もある面ではになっておるわけなんですから、そういう点ではこの
期間というものは一応四十二年度を目標にして生かされていったほうが、より望ましいのではないか、こう
考えるわけです。毎年四十万トンなくても、あるいは二十万トンなくてもいいわけです。十万トンでもいいわけなんですから、最終的にはなくてもけっこうなんです。しかし、いまの
石炭政策の大きい柱の面から見れば、その一翼をになっておるわけなんですから、そういう面では一年の
延長というのは大体よかろうというところで一年の
延長。当初二年の
時限立法であるから、さらに
延長しても一年、最高二年だというのが常識ですから、そういう面から一年の
延長のほうがきているのではないか、こう私は私なりで判断しておるわけです。この点、一応一年で事足りるという
考えでありましょうけれ
ども、いま申し上げました面からいうと、この点は私がいま言った
趣旨というものは十分
考えられて今後対処されるのか。いや、それはもう区切り点をはっきりつけるのだ、ほかの
立法措置と違いますから、
保安の
廃止勧告なんというものは、私企業をやめろというのですから、そういう点について一体どこまで確たる検討が行なわれたのか、行なわれておるのかおらないのか。この点、もう一度政務次官からでも御答弁願いたいのです。