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1963-05-23 第43回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月二十三日(木曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 上林山榮吉君    理事 神田  博君 理事 始関 伊平君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 中村 重光君       有馬 英治君    木村 守江君       倉成  正君    藏内 修治君       中村 幸八君    井手 以誠君       滝井 義高君    細迫 兼光君       松井 政吉君  出席政府委員         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      八谷 芳裕君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第六四号)      ————◇—————
  2. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  3. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭鉱山保安臨時措置法が施行されてから、私の手元にある資料では、今年の三月末までの石炭鉱山整理交付金交付した炭鉱数は、四十八炭鉱勧告が行なわれておって、しかも交付金を引き渡した炭鉱数が十炭鉱、こういう資料が実は手元にあるわけです。  そこで、一年有半経過した本法施行以来の業務実態は一体どうなっておるか、この点についてまずお尋ねしたいと思うわけです。
  4. 八谷芳裕

    八谷政府委員 ただいま先生の御指摘のありました三月までに勧告いたしましたのは四十九鉱山になっておりますが、合計で約年産額に直しまして七十四万トンでございます。その後四炭鉱をやっておりまして、一応この四十九炭鉱に対しましては、約四割の十九鉱山が、鉱業権者に対して交付金交付をしておるような状況でございます。  おととしの二月に始めたわけでございますので、事務的に非常におくれておる点があるのじゃないかというような御指摘だと思いますが、このやり方につきまして三つ段階考えられるわけでございます。第一段階といたしましては、廃止勧告をやりまして、それから交付金決定いたしまして交付指令を行なう段階でございます。それからその次には、鉱業権者がそれに基づきまして、鉱業権消滅登録をやる、こういう段階があるわけでございます。その次に、鉱害公示等を行ないまして、鉱害量決定いたしまして、賃金債務とそれから鉱害債務比率等決定していく、こういう段階になるわけでございます。全般的に私どもも、御指摘のとおり事務が必ずしも順調に進んでいないのではないか、こういうふうな気もいたしまして、石炭局の方とも局同士の連絡も十分とりつつ、一日も早く——未払い賃金あるいは鉱害被害者あるいは鉱業権者、この三方面にいくわけでありますけれども、その方面に金がいくように進めておるわけであります。  どういう点が一番大きな難関になっておったかと申しますと、合理化事業団あたりでやりますものは、申し込みをいたしまして、みずから事務を非常に進めてまいるわけでありますが、この保安不良炭鉱は、いままですでに先ほども申し上げましたように四十九炭鉱、約五十炭鉱で七十三万トン。といいますと、一万四、五千トンの小さな山ばかりでございまして、交付金決定いたしますには出炭額がどれだけかということを一つ確定しなければならぬわけでございます。ところが、決定の基礎になりますいろいろな資料というものが非常に不明確であるというようなことから、あと疑義が残らないように、いろいろな資料からこれを調べ上げていくというような段階が相当時間がかかっていくということが一つでございます。それから、鉱業権を抹消するといたしましても、差し押えあるいは抵当権者事前話し合いということもありまして、鉱業権の抹消に移る段階までにまた相当な時日を経ておる炭鉱もあるわけでございます。それからその次には、鉱業権が抹消されますと、二カ月間の鉱害公示期間を経まして物件が出てまいりまして、この鉱害をいろいろ調査いたさなければ鉱害債務というものの総額が決定しない。そういうことで、勢い未払い賃金比例配分もできない。こういうことになって、おおむねこの三つ段階が一番問題になるんじゃないかと思うわけでございますが、それぞれの段階につきまして、いろいろ事務的にもだんだんなれてまいっておりますし、所要の改善も加えられておりますので、今後いままでのようにおくれることのないように十分つとめたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 岡田利春

    岡田(利)委員 大体、この三月までの資料ですが、この法によって、廃止勧告は第七次に実は及んでおるわけです。その後第八次勧告が行なわれたかどうかしりませんけれども、いま局長が説明しましたように、廃止勧告が行なわれてその後交付申請がそれぞれの炭鉱から行なわれ、その申請に基づいて調査をし、鉱害を確定し、賃金未払いを確定して、そして最終的に交付金を引き渡す、こういう順序になるわけでありますが、この間非常に時間がかかり過ぎるのではないか、こういう感じがするわけです。ケース・バイ・ケースで若干違いがあろうかと思いますけれども、大体勧告が行なわれて交付金交付されるまではどの程度の日数が平均値としてどうしても必要なのか、この点について若干詳しくお聞かせ願いたいと思います。
  6. 八谷芳裕

    八谷政府委員 これは個々に非常に違ってまいりまして、指定統計があって、その指定統計がもうすでに出されておりまして、しかも指定統計自体疑義がない——いろいろな指定統計というのは一方的に出してこられるわけでありますが、そういう書類疑義がないというようなことになりますと、地方通産局でこれを調べまして、それから本省のほうへ上がってまいりまして、本省の方でそれを確認していくというような行為、それから交付決定をする会計法上のいろいろな手続というようなことになりまして、比較的順調に進み得るわけでございますが、先ほども申しますようにそういう統計面、日ごろから出されている書類、それからまたそういう書類も出されていないというようなものが非常に多いわけでございます。平均どのくらいというようなことは、非常にこういう零細な炭鉱になりますとむずかしいということでございまして、事務煩瑣の一端を申し上げますと、過去三年間の平均出炭をとるわけでございますが、そういう中で施業案違反出炭とか、あるいは侵掘炭とか買いつけ炭というようなものを、みんな洗っていかなければならぬわけであります。そういう操作のために出炭査定までに非常に時間がかかっているわけでございます。この段階におきまして平均がどのくらいということは的確に申し上げかねますけれども、非常にスムーズにいきましたのは、これは宇部の一つの例でございますが、二月九日に勧告をいたしまして三月二十二日という時期にはすでに交付決定ができている、こういうものもございます。それから、そのあとでございますけれども、五月の中旬にやりまして八月の中ほどというふうに、やはり三カ月かかった、こういう例もございます。みんなそれぞれの差がありまして、非常にスムーズにいけば、この一つの例が示しますように、こういう状態でいき得るのじゃないだろうか、かように考えるわけであります。
  7. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は合理化法に基づいて買い上げをする場合と、この石炭鉱山保安臨時措置法に基づいて廃止勧告をして交付金交付する場合とは、いずれも合理化事業団でその業務をしておるわけですが、その立法趣旨精神からいっても当然大きい違いがあると思うわけです。もちろん現実の問題としてはいろいろあるでしょうけれども立法趣旨からいえば、これは保安が不良であって労働者が稼働しておることが適当ではない、こういう認定のもとに廃止勧告がなされるわけですから、その精神からいうならば、廃止勧告と同時にその山の操業というものは停止されるのが本来の筋ではないか、こういう感じが実はするわけです。保安が危険なんだからこれはどうしてもつぶさなければならぬ、政府勧告交付金交付してつぶすんだという実態勧告するのですから、勧告をされて保安改善をする山もあるかもしれませんけれども改善ができないという大体の前提を立てて勧告をするわけですから、そういう筋からいうと、勧告をすれば即操業停止、そうして事務的な手続をして交付金交付するというのが立法趣旨であり、法の精神ではなかろうか、私はこういう感じがするわけです。しかし、本法が施行されて実際運用されているのを見ますと、普通一般合理化臨時措置法に基づく買い上げと同じような手続方法があるわけですから、その間非常にいろいろの問題が実は出てくるわけです。しかも相当の期間を要する場合もあるということもあるわけですから、そういう面から見て、私は本法はむしろある程度再び改正をして、廃止をしろという勧告が行なおれた場合には、具体的な勧告に基づく改善計画というものを出して即実施計画を出さない限り、当然これは操業が停止さるべきである。もちろんその間の事務的な手続その他の期間労働者がおればこれに対する補償というものは、基準法なりこういうものを準用してその間ある程度生活保障する。そして正式に交付金交付されるときに賃金未払いを確定し、鉱害を確定して、その山が即正式に閉山になる。こういうケースの方が私は立法趣旨からいっても望ましいのではないか、こう思うわけです。  こういう考え方に立つと、本法は若干不備な面がある、こう私は理解をするのですが、実際保安勧告というものは単なる政治的に行なわれておるのではないのです。操業が危険である、だからこれを廃止せいという勧告なんですから、当然電光石火、即決的な措置がとられないところに、今日多くの問題がかもし出されている、こう思うのですが、その点の見解を承りたい。
  8. 八谷芳裕

    八谷政府委員 先生の御趣旨は非常によくわかるわけでございます。その方法といたしましては、廃止勧告をするまでの間に事前調査を十分にやっておく、事前調査を十分にやっておって、廃止勧告とともに交付金決定していく、こういう段階になってきますと、第一段階難関は突破されるわけでございます。これは私ども一つ方法として考えられる点でございますけれども、いろいろ事実の問題に直面いたしますと、総合調査をいたしまして、それから悪いということが決定いたしますと、その間にあまり一方的に事前調査はできない。やはり向こうから資料を出させるというようなこまかい点をやって、勧告段階まで運ぶというようなことが——その鉱山自体でもまだ勧告を受けるかどうかわからないというような事態にもなってくるわけでございまして、そうした場合に、労働者の動揺あるいは債権者からのいろいろな問題、あるいは販売上の問題等勧告前に露呈されてくるということが非常に心配される点でございます。そういう点がないとすれば、事前にこまかく検討をして、そのかわり勧告自体がおくれてくると思います。勧告自体がおくれてきますから、結局はトータルサムとしましては違わないかもしれませんけれども、しかし勧告するに至りますまでの間にそういう事前作業をやりまして、これが極秘裏に、相手方にショックを与えないような状態で行ない得るかということの研究をやってみる必要があるかと思いますけれども、ただいま申しますようなことが非常に難関ではないかと考えるわけでございまして、こういう点については十分今後検討いたしたいと考えております。
  9. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭鉱山保安臨時措置法に基づくいわゆる廃止勧告、それから保安法に基づく保安上の勧告、これには操業停止の問題もあるでしょうし、作業中止勧告もあるでしょうし、いろいろあるわけですが、これと同じ勧告でも、一方においては廃止勧告、一方においては鉱山保安法に基づくいろいろな勧告があるわけです。保安法に基づく勧告の場合は、即それが実施に移されなければ意味がないわけです。もちろんそのためには聴聞会を開く場合もあるわけですが、いずれにしても、勧告が出された場合には、勧告命令といいますか、命令なわけですから、従わなければならぬわけです。ところが、保安臨時措置法の場合には廃止勧告ですから、廃止勧告をして、勧告に応じないという事態も当然出てくるわけです。そういう事態が出てきた場合には——廃止勧告をする以上は保安法上の勧告命令に関する事項が存在するから、廃止勧告をしたと思うのです。ですから、これは解釈のしようでは同じものではないけれども実態は結局同一のものではないのか、こういう理解をするわけです。しかしながら、現在石炭合理化近代化という方向でいわゆるスクラップが行なわれている。そういう面では一般買い上げ保安買い上げという面があって、保安という問題もびんからきりまであって、非常に区別がつかないという場合にはある程度理解ができるのですが、厳密な意味における勧告の場合は、これは当然操業中止部分があったり、あるいは作業してはならないという個所が随所に存在するというところのみに廃止勧告は限られてくるのではないかと思うわけです。この点のかね合いはどう理解をされておるか。  それから、いままで廃止勧告が行なわれた場合にそういう面の問題点は出てこなかったかどうか、そういう事実があったかどうか、お伺いしたいと思う。
  10. 八谷芳裕

    八谷政府委員 第一点といたしまして、廃止勧告のものと鉱山保安法との関係でございますが、廃止勧告に至ります私ども考え方は、本来保安というものは、改善をされていかなければならない。廃止勧告というものは、いよいよ最後の手段である。できますならば、廃止勧告をやるべきでなくて、何とかして改善をし、法規にもとらないような災害の防止の方法を講じて操業を継続していくことが、保安監督をやっております私どもの立場でなければならぬと思うわけでございます。しかし、保安法で申します改善命令あるいは改善通達等をいろいろ実施いたしましても、どうしても直っていかないというようなものに対しまして、しかも、それが経理状態等を調べてみますと、もう改善の余地がない、あるいは立地条件的にもますます困難な状態保安上危険の状態に立ち至る、こういうものにつきまして、最終的な段階として廃止勧告をするわけでございまして、この両者間には、その限界点はおっしゃるとおり非常にむずかしい点がありますけれども考え方としてはそういうことで進めているわけでございます。  従来三月までに四十九鉱山廃止勧告をやったわけでございますが、実はそのほかに別に三鉱山廃止勧告をやっております。この三鉱山廃止勧告をやったところが、どうしても勧告に応じない、しかも改善をする、こういうことになりまして、それではどういうふうに改善をやっていくかという改善計画書を立てさせたりしたわけでございますが、そのうちの二つは、悪かった部分はほとんど放棄をされていきまして、休山状態になっているわけでございます。それから一つは、改善されていったわけでございます。そういうふうに改善勧告を聞かない炭鉱もあるわけでございますが、そういうものは、ただいま申しましたように、過去においては三つ炭鉱でございまして、現在は保安法上そう心配はないような、結局その時点ではやめた、また今後新しく続けていった場合には別途の問題が起きるかと思いますが、過去の状況はさようになっているわけであります。
  11. 岡田利春

    岡田(利)委員 大体、法の運用としては鉱山保安法が優先すると思うのです。そうして、いわゆる保安法並びに保安規則に準拠して改善通達が行なわれ、あるいは改善命令が下されていく。しかもそれで改善の見込みがないという場合には本法が適用されて、廃止勧告が行なわれて、整理交付金というものが交付される。これが大体たてまえだと思う。しかし、実際問題としては、鉱山保安法の場合は、その運用が非常にむずかしい。勧告通達までは出せるけれども命令というものを出すには、裏づけがないために、非常に困難を伴うということで、保安法運用というものが法の目ざしている方向になかなか困難であったというのが過去の実績だと思うのです。しかし、今度石炭鉱山に限っては、保安臨時措置法という法律ができているわけですから、そういう意味では、この鉱山保安法を厳密に運用していく、こういう態度はやはり必要ではないか。そうして改善ができない場合においては、即これを買い上げる。しかも事前調査については、この法の第四条に明確に示されているわけですから、そういう考え方でやはり強力に運用する必要があるのではないか、実はこう考えるわけです。そうしますと、炭鉱というのは、ぽっとできて操業に入っているのではありませんから、大体日本の炭鉱で要保安注意炭鉱といいますか、しかも改善が資力的にも非常に困難である、こういう炭鉱は、改善ができなければ自然廃止されなければならぬのではないか。そういう可能性を持っている炭鉱というものは、おのずからきまっくると思うのです。それは全部が廃止勧告されるというのではないでしょうけれども、そういう面については、事前調査のブロックというものがあらかじめ予想されて、綿密に調査が行なわれて、そうして法を運用するときには迅速に運用できる、こういう運用の方針というものが明確でなければいかぬのじゃないか。これは事保安の問題ですから、そうゆうちょうにやっているわけにはいかぬわけですから、そういう点が行政上、運用上必要ではないか、とう実は私は考えるわけです。  したがって、この法どおり運用は非常にむずかしかろうと思いますけれども、この法の精神をより生かしていくために、いま一歩積極的なそういう調査事前に継続的に行なわれておる、しかも廃止勧告される場合には、それが迅速かつ適正に廃止勧告が行なわれる、それに基づいてすみやかに交付金交付されるということが望ましいと思うわけです。  いまの鉱山局における要保安注意炭鉱といいますか、要保安炭鉱という注意炭鉱については、あらかじめ大体認定ができるのではないか、こう思うのですが、こういう点についてはいかがでしょう。
  12. 八谷芳裕

    八谷政府委員 法の運用考え方につきましては、先生指摘のとおりに考えてやっているわけでございます。現実の問題として、両者が非常に入り乱れてむずかしい点はございますけれども考え方としてはあくまで保安法を厳正にやっていく、これが基本でなければならないし、それによってまた改善さしていく。しかし、万やむを得ない場合に臨時措置法を適用していくというような考えを持っているわけでございます。したがいまして、保安の悪いような炭鉱は月々特別に、少なくとも月に一回くらいは調査をいたしまして、ずっと追跡をしていっているわけでございます。そういう中から非常に、どうしてもこの段階ではもう勧告をしなければならないというようなものを勧告をやっていく。こういう段階になっておるわけでございます。  現在昭和三十八年度でも三十万トンの廃止勧告をする考えでおりますけれども、私ども考えでは百二十五万トン程度要注意炭鉱がある、かように考えておるわけでございます。この百二十五万トンの要注意炭鉱につきまして、ずっといろいろ追跡をしたり、それから保安法に基づきます通達あるいは改善命令、こういうものをやってきているわけでございます。こういう中から三十万トンの廃止勧告が一応三十八年度では行なわれるように予定しているわけです。
  13. 岡田利春

    岡田(利)委員 大体いままで廃止勧告が行なわれた炭鉱が四十九であり、その年間総出炭量が七十四万トンであったということになりますと、一炭鉱あたりの大体平均出炭規模は一万五千トン程度。したがって、日産にすると千百トンくらいのそういう山になるわけです、平均値を求めれば。そうしますと、一万トン以下の炭鉱が最近は減ったでしょうが、大体百五十前後くらいあったと思われるわけであります。大体一万トン以下の山なんというものは、諸外国には例を見ないものなんで、わが国特有な炭鉱であるわけです。そういう面から考えると、もちろん北海道のようにごく浅い斤先掘り、タヌキ掘り程度炭鉱もあるでしょうが、大体保安上の見地から見た場合に、この年産二万トン以下程度の山はほとんど問題になってくるのではないか、私はこういう感じがするわけです。  したがって、要保安注意炭鉱というのは、いま百二十五万トン程度というお話もありましたけれども、すでに廃止勧告が行なわれた以外に、まだ保安勧告に至るのではないかという可能性を持っている山は大体どの程度規模なのか、これをもう一度お尋ねしたい。
  14. 八谷芳裕

    八谷政府委員 私ども考えでは、いままでの過去の実績程度生産額のものではないだろうか、かように考えております。ただし、ただいま百二十五万トンと申しましたけれども、この法施行の当時には二百五十万トン、こういうものを考えて、非常に零細炭鉱だけを考えておったのですが、その中に合理化事業団あるいは自然廃山というような形で非常に整理をされてきまして、この百二十五万トンの中には五万トンあるいは六万トンというようなものも入っております。しかし、そうして平均いたしますと、いままでの一万四、五千トンというくらいの規模のものが大部分でございます。
  15. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は石炭鉱山保安臨時措置法に基づく廃止勧告による交付金交付は、もちろん毎年度予算が計上されるわけですが、それはやはり一応予算は計上されても、それ以上にのぼる場合も考えられると思うのです。しかし事保安の問題でございますから、そういう面はある程度予算を流用しても、あるいは予備費等を支出しても、すみやかに整理すべきものは整理すべきである、保安上の見地に立てば私はむしろそういう積極的な意見を持っておるわけです。いままでは大体予算なりに運用してきたと思うのですが、将来そういう場合は当然そういう考え方で対処すべきではないか。もちろんそう膨大な額にはのぼるものではないですが、特に今年から来年にかけてそういう面が相当弾力的に運用されることが望ましいのではないか。それは単に保安上の見地だけでなくして、いまの政府の志向しているスクラップ・アンド・ビルドの合理化の方式、方向からいっても、事保安上問題のあるものは、やはりこれはすみやかに処置をしていくということが人命を尊重することにも通ずるわけですから、そういう態度が私は至当だと思うのです。この面、政務次官からその見解をお尋ねしたいと思うわけです。
  16. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 だだいま御指摘の問題につきましては、さような必要もあるいは起こってこようかと考えられるわけでございまして、必要に応じて予備費流用等考えてまいりたいと思います。昨年度も予備費を流用いたしております。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 本法が二カ年の時限立法を、さらに一カ年有効期限延長するという提案がなされておるわけで、これは来年の十一月まで延長されることになるわけなんですが、石炭合理化計画昭和四十二年度を目ざして、これは有澤調査団の答申に基づきその計画が一応きまっておるわけです。私は保安の問題というのは、よほど産炭構造というものが合理的にならない限り、ついて回ってくると思うのです。やはり最終的に産炭構造がヨーロッパのように近代化合理化されれば、廃止勧告というようなことは起きないで、むしろ保安法に基づいてこれは運用されるべきだ、こう思うわけです。そういう最終的な合理化体制産炭構造体制が完全にとれるまでは、やはり若干でもついて回るのじゃないか、こういう感じが実はするわけです。  そういたしますと、一年間の延長というものは、これは短過ぎるのではないか。むしろこれは二年ないし三年の時限立法としてさらに延長さるべきではないか、こういう見解を持っておるわけです。この点、一年間の延長で事足りるという考えなのか、当面一年間延長するということになるのか。実際問題として、私はこの点非常に理解に苦しむ点が実はあるわけです。私に言わしめると、実際にそれはなくても、なければないほうがいいのです。しかし、二山でも三山でも、十炭鉱でもあれば、当然この法というものはそう簡単に廃止するわけにいかぬと思うのです。炭鉱合理化が完成するまでは、やはり考えなければならぬのではないか、こういう気がするわけなんです。そういう面で、一年間延長の根拠あるいはその背景というものは、一体とう把握されておるのか、お伺いしたいと思います。
  18. 八谷芳裕

    八谷政府委員 先生の御指摘を裏返して申しますと、一年間延長すればもう保安不良の炭鉱はなくなるのかというようなことにもなるわけです。事保安に関しましては、特に石炭鉱業のように、地下を掘り進みまして、日々地質条件その他地下の保安状況が違ってきますものにつきましての確実な見通しというものは困難でございますけれども、もともとこの臨時措置法の制定当初から振り返ってみますと、これを二年の時限立法にしましたときには、二年間とにかく進めまして、そのあとは、ただいま議論になっておりましたような保安法の基本に立ち返って当然改善させるべきもの。こういう、ある意味においては保安法と車の両輪というようなもので、当然改善されるべきものをやめなさいというような姿のやり方がいつまでも続くべきでないのじゃないか、こういうことから二年の特別の一過程として取り上げられてきたわけでございます。その後、いろいろやってみますと、当初考えました以上の、御承知のとおりの石炭界の状況で、二年間をさらに二年間延長して考えていく。三十六年と三十七年を、三十八年、三十九年までやっていく。こういうことが一年延長という、期間的には一年で足りるわけでありまして、当初の二年を倍の四年に実施していく、こういう考えになるわけでございます。それで、当初一応考えました二年間のほかにこの二年間をやって参りますと、合理化法に基づきます整備が、御承知のとおり、本年度と来年度と大幅に——来年度のことは私どもとしては申し上げられませんけれども、おそらく大幅に拡大されて、しかも急速に進行していくように考えられるわけでございます。そうしますと、それ以後の四十年、四十一年というようなときになりますと、ほとんどがビルド山というようなことになるのではなかろうか。合理化自体がそれで完了したという意味ではなくて、整備としてはそういうような進行をするのではないかと、私らは想像するわけであります。そういたしますと、一応ここで一年間を延長しておけば、数字的に一応の計画といたしましては、三十九年度になりますと要注意炭鉱年産額にして四十万トン程度になるのじゃないか、こう想像されるわけであります。そういたしますと、この半分程度を一応いま予想いたしまして作業を今後進めていきたいと思いますけれども、この四十万トンと二十万トンとの差額につきましては、合理化事業団にいくもの、あるいは自然消滅するもの、改善するものというような形になるのではないか、こういうように予想されるわけでございます。以上のような一応の根拠から、来年度、昭和三十九年度までをやる、こういう考えに立ったわけでございます。
  19. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭鉱山保安臨時措置法ができたゆえんというものは大体諸外国ではこういうばかな立法措置をし工いるところはないわけです。これはいままでの政府石炭政策というものが非常に野方図であって、どんな小さい山でもどんどんつくらせる。しかも、合理化臨時措置法が施行されても非常に無制限に山がつくられる。だから景気の変動によって、一ぺんに二百の炭鉱ができる、景気が悪くなれば二百五十の炭鉱が一ぺんにつぶれる。こういう現象を歴史的に繰り返してきたと思う。エネルギーの消費革命の中で、こういう急速な合理化の中で、どうしても急速にこういう立法措置をして、一方においては保安を守り、一方においてはそういう山を整理をして社会問題を解消していこうというところに、保安臨時措置法というものができたゆえんがあるのではないか、私はこう理解をしておるわけです。  しかも、今日の合理化というのは確かに急速に進んでおるわけです。しかし、いま石炭鉱業審議会なり政府合理化の政策を進めていくのにあたって、その視点というものは、どうしても大手炭鉱に向けられておると思うわけです。大手炭鉱については、会社から明細な資料も出させ、十分これを検討して、しかも影響が大きいですから、それだけに雇用対策、その他についても対策を立てていく、こういう方法がとられるのですが、一方、中小炭鉱については、そこまで綿密な調査が行なわれておるわけではないわけです。大体概念的な調査の上に立って、石炭政策とにらみ合わせると、中小炭鉱というものは最終的には大体いまの二割程度の山しか残らない、こういう想定に立って中小炭鉱の場合には合理化を進めておると思うのです。  私は、中小炭鉱の場合には、政府考えているように、あるいは調査団が考えているような方向には、そう簡単には参らぬのではないかと思う。やはり中小炭鉱でも、条件のいいと申しますか、細々でもやっていける、非常に市場性のある、また炭がそれに向く、そういう特殊な面というものがいろいろ条件として出てまいりますから、そういう面では、中小炭鉱というものは、いまは急速にある程度整理をされていっても、案外予定どおりにはいかぬのではなかろうか、こういう感じがするわけです。しかし、資本の側からいえば、炭鉱はいま撤収作戦の時期だと思うのです。ですから、新たに投資をするなり、そういう体制の中では長く生き延びていこうというところまではまだまいらぬのではないか、こう考えるわけです。そうしますと、一応の合理化体制ができるまでは、そういう保安上の廃止勧告をする山というものはどうしてもある程度ついて回るのではないか、こう考えるわけです。しかし、政府として一年間延長して、一年間でそれも一応区切り点をつけるのだ。あとについては、それは自然解消されるのか、あるいはニュー・スクラップ方式でいくのか、一般の整理でいくのか、ここが非常にむずかしいところではないかと思うのです。一度制度を立てたのですから、二年間やって一年延長して、それではっきり区切りがつけ得るものかどうか。一方において政府石炭政策の合理化というものは、四十二年度を目標として、四十二年度には一応自立できるという想定を描いているわけです。ですから私は、そういう意味では、この法の適用が少なくなっていくということは望ましいことです。しかしながら、本法としては、やはり一応石炭合理化の一翼もある面ではになっておるわけなんですから、そういう点ではこの期間というものは一応四十二年度を目標にして生かされていったほうが、より望ましいのではないか、こう考えるわけです。毎年四十万トンなくても、あるいは二十万トンなくてもいいわけです。十万トンでもいいわけなんですから、最終的にはなくてもけっこうなんです。しかし、いまの石炭政策の大きい柱の面から見れば、その一翼をになっておるわけなんですから、そういう面では一年の延長というのは大体よかろうというところで一年の延長。当初二年の時限立法であるから、さらに延長しても一年、最高二年だというのが常識ですから、そういう面から一年の延長のほうがきているのではないか、こう私は私なりで判断しておるわけです。この点、一応一年で事足りるという考えでありましょうけれども、いま申し上げました面からいうと、この点は私がいま言った趣旨というものは十分考えられて今後対処されるのか。いや、それはもう区切り点をはっきりつけるのだ、ほかの立法措置と違いますから、保安廃止勧告なんというものは、私企業をやめろというのですから、そういう点について一体どこまで確たる検討が行なわれたのか、行なわれておるのかおらないのか。この点、もう一度政務次官からでも御答弁願いたいのです。
  20. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 鉱山保安については、鉱山保安法臨時措置法の二本立てでいくことがいいか悪いかということにつきましてはいろいろ御議論があろうと思いますけれども、とにかく二つの方法でやるということになりまして、一方は一年延長いたしたい。一年延長いたしまして、その時限がまいりましたならば、それでまたなかなかデリケートな問題が起こるのじゃないかという御指摘でございまして、私どもも必ずしも全面的な異存があるわけではないわけでございまして、実ははたして一年延長でいいか、あるいはもう少し延ばす必要がありやせぬか、御指摘のように石炭合理化政策は四十二年を目途としておるわけでありますから、そういうことを考え合わせまして、いろいろ検討いたしたのでございますけれども予算も伴う問題でございまして、いろいろな関係もございまして、結局一年の延長ということにいたしたわけでございます。そこで、御所見もございますが、事態の推移をもう少し見守りまして、この際一年の延長をいたしまして、現在の私ども考えといたしましては、その上は、一歩進んでおります合理化整備の方策もございますし、そういうことでございますので、鉱山保安法でいけるかと思っておりますけれども、さらに事態の推移を見守りたいと思います。
  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 こういうことを言うのはどうかと思うのですが、私はいま日本の炭鉱保安法並びに保安規則を完全に順守している炭鉱というのは、厳密にいえば一炭鉱もないのではないかという見解を持っているわけです。その証拠には、保安法保安規則を順奉すれば、ある程度作業能率が落ちるということは、もう常識だと思うのですね。こういうことは国会で言っていいかどうか知りませんけれども、実は私はそういう実態認識をしておるわけです。したがって、そういう面から考えますと、保安が守られていないという認定と、それに基づいて廃止勧告をするのと、それから一方においては合理化臨時措置法に基づいて山の買い上げ、スクラップ化が行なわれておる。この面にも保安の問題がやはりあるわけです。全然ないわけじゃない。買い上げ炭鉱は相当悪い保安の問題も内蔵しておるわけです。ですから明確な区切りというものは、実際問題としては、そうつけ得るものではないと思うのです。実際に悪いものはあります。かつて暴力炭鉱というのがあったわけですから。いまはそれは一応終わった。なかなか明確に区切りがつかない面がある。ところが残念なことには、一方の買い上げ方式は埋蔵量その他を基礎にして買い上げ額がきまるわけです。一方の合理化臨時措置法の場合には出炭規模が問題になるわけです。ですから埋蔵炭量が少ないところは、保安のほうで安くとも買ってもらったほうがいい、手っとり早いという面も実は出てくるわけです。一方において、埋蔵炭量の多いところは、これは保安上の問題があっても、勧告されて廃止するよりも買い上げてもらったほうがよろしい。残念ながらこういう矛盾がある。しかも保安上のけじめというものは、改善をしてもできないといえばそれまでなんですから、これはめんどうだということになると、実際の立法趣旨の目的はそうでなかったけれども、いまのエネルギー革命の中でスクラップ方式が急速に進んでいるという面では、これは離して考えるわけにいかなくなってきたのではないか、残念ながらこういう判断を実は持っておるわけです。そうしますと、そういう実態が容認されるとするならば、立法趣旨はそうであっても、この石炭政策の面で見ると、やはりスクラップ・アンド・ビルドのスクラップ方式を促進していく、そうしたものを合理的に促進していくという面にどうしても入ってこざるを得ないと思うのです。そうなればそうなるだけ、昭和四十二年度までに一応合理化が達成するまでこの法というものは残しておく必要があるのじゃないか、こういう理由も出てくるわけです。私はそういう弾力的な運用が、残念ながら現実実態認識では望ましいと思うのです。大体私どもの見ているところでも弾力的な運用をしておると理解しておるわけです。そうすると、立法趣旨、法の精神だけを考えて主張すると問題があるでしょうけれども、その面のかね合いというのは実態認識で今日いかざるを得ないのではないでしょうか。いかがでしょうか。
  22. 八谷芳裕

    八谷政府委員 実態問題に触れてまいりますと、先生指摘のように、非常にむずかしい問題、むずかしいというか、結果的に見ると非常に混淆されているような状態が見受けられるわけでございますが、私どもといたしましてはやはり、こちらから積極的に廃止勧告をしていくという形をとるべきであろう、また、そういう信念で運営しておるわけでございます。しかし合理化臨時措置法に基づきまする中にも非常に保安の悪いものが、どんどんいわゆる買い上げというような形でも進んでおるわけでございまして、これが保安法と、それから整備という形では保安臨時措置法合理化臨時措置法、こういう三本立てと申しますか、そういう形がいいのか、あるいはもう一つ保安の純粋性から申しますと、保安的に悪いものは保安法の本来の姿に立ち返りましてどんどん監督を厳にいたしますし、保安法の施行を厳重にいたしまして、結局合理化臨時措置法の面に追いやっていくというような二本立てという面も、保安の純粋性からは考えられるわけでございます。そういう点について現実の姿として奉仕する者のいろいろな悩みも持っておるわけでございますが、こういう点につきまして、三者の問題につきましては、いまのところ一年延長でございまして、ただいま政務次官からお答えがありましたように、今後の推移は十分に見て、また再検討すべき時期が来るのではないかとも考えるわけでございます。一応私ども考え方といたしましては、来年度までやっていけば、それから先は何とかして保安法の厳正な施行によりまして保安改善をし、改善ができないものはおそらく合理化臨時措置法で処分が行なわれる結果になっていくんではないだろうか、こういうようなことをただいままで検討したわけでございまして、今後のことは十分に現実の姿で再考してまいりたいと考えるわけであります。
  23. 岡田利春

    岡田(利)委員 その法の運用については弾力的になされる、一応めどは本法は一年だ、こういうことですからその点は一応理解できるわけです。ただ先ほど来申し上げておりますように、実際問題として立法した当時と現実の情勢が大きく変化しているのだということがやはり忘れられてはならないと思う。それだけにそういう弾力的な運用をしてまいるのでありますから、ある一点で切ってしまって制度が廃止されるということになりますと、それに若干の問題が残ってくるのではないか、これは合理化臨時措置法に基づく制度と全く同じであるならば問題はないわけです。ところが違うわけです。炭鉱実態によっては、保安のほうで整理したほうがよろしいという面が出てくるわけです。しかもそういう買い上げ申請するようなところは、保安上は撤収作戦が長い間行なわれておりますから、よくないという実態があるということになるわけですから、この点将来非常に問題になってくるのではないか、こう思いますので、この点は特に十分今後御検討願いたいと思うわけです。  そこで、この廃止勧告が行なわれて買い上げ申請が行なわれる。ところが一方、時間が非常にかかる場合もあるわけです。長いのは三カ月以上四カ月もかかる山もあると思うのですが、問題はそこにいる労働者の問題なんです。保安がだめなんだ、だから廃止しなさいという勧告が行なわれた、ところが買い上げまではずいぶん事務手続がかかる。もちろん炭鉱によって差異があるし、いろいろな問題も出てくるでしょうし、あるいは鉱害の確定の問題もあるでしょうし、未払い賃金というのは概して問題はないでしょうけれども、そういう面で非常に時間がかかるという面があると思うのです。その場合の労働者の問題なんです。いろいろケース・バイ・ケースで違う面があると思うのですが、一応いいところで作業を継続していくという面もあるでしょうし、これはどうもおもしろくない、保安上の見地からすれば、ここで操業を続けることはどうも問題があるという場合も当然出てくると私は思うわけです。ですから労働者の場合には、廃止勧告されてどうせだめだということになる、ところがすみやかに交付金決定が行なわれないと、未払い賃金ももらえない、けじめもつかない。これに基づいて退職金等の政府施策による手続等もとれないということになるわけです。ですから非常に不安な、いらいらした気持ちで相当期間置かれるという問題が実はあるわけです。この点特にいままで問題はないのか。いろいろな問題が出てきたとすれば、その点をお聞きしたいのと、この場合何らかの措置をとるべきではないか、これはある程度運用可能である、こういう見解を持っておるのですが、こういう場合に何か特殊な運用上のケースというものがあれば、この場合お伺いしたいと思います。
  24. 八谷芳裕

    八谷政府委員 廃止勧告後のいわゆる鉱業権消滅までの問題だと思いますけれども、法的には鉱業権が消滅するという時期までは稼行することができるわけでございますが、廃止勧告をいたしましても、それから承諾するかしないかということを労使間において話し合いを進め、そして承諾書を出して交付金申請する。ところが、そういうふうにしてそのあと鉱業権の消滅ということが起こるわけでございますが、実際問題としては、そういうふうにいろいろ操業が続けられ、それもこちらが指摘した悪い部分をやめまして、鉱業権消滅まぎわまで掘るということが可能であるし、そういう例もあったわけでございます。しかし先生指摘のように、早く離職金、未払い賃金等を交付しないと、ややもすると人心の動揺から逆に災害がそういう期間に起きる、こういうことを私ども非常に心配しておりましたが、いままで廃止勧告をした炭鉱では幸いその後災害が起きたというような事例は、私どもは聞いていないわけでございます。大部分が、ただいま申しますように、すぐに労使双方で話し合ってやめるか、あるいはいい部分だけを掘って手続を待つというような実態であろうかと思いますけれども、いずれにしましても、先ほど申しますような人心の動揺というのがある場合には大きな災害に結びつくということもあるわけでございますので、こういう点につきまして、一日も早く鉱業権消滅まで持っていく、その段階は、小さくなりますけれども出炭させて、あるいは相手方の決断を早くさせる、交付金申請を早くせさるというような指導になってくると思うわけでございます。そういう面の事務を的確に急速に進めるように今後も大いに努力してまいりたい、かように考えます。
  25. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほど説明を受けたところでは、廃止勧告をして廃止勧告に応じなかった炭鉱数は、いままで本法運用してから三炭鉱である、そのうら二炭鉱廃止勧告に基づいて改善計画を出して改善をしておる、こういう説明が実はあったわけです。私はこれは非常にふかしぎな問題点ではないかと思うのですが、廃止勧告をされて、その勧告に基づいて改善ができるような炭鉱廃止勧告が行なわれるということになりますと、鉱業権者保安をサボる最たるものだ、こう思うわけです。日常保安監督業務が行なわれておるのですから、それはもう相当指摘をしておると思うのです。その場合には、保安法に基づく勧告あるいは通達にはなかなかうんと言わないで改善をしない。ところがいざ廃止勧告が行なわれたら、それに基づいて改善計画を出してその実施をする。それだけの力も実はあるということになるわけです。そういう炭鉱が三炭鉱ある、先ほどこう聞いたのですが、このうち二炭鉱改善をした。との三炭鉱の現状の保安状況は、保安監督行政の立場から見て満足なものと理解されておるかどうか、お聞きしたいと思います。
  26. 八谷芳裕

    八谷政府委員 ただいま私が申しましたことが、そのまま改善されたというふうにもし聞えたとしますと、私の説明が不十分でございまして、そういう姿で改善をされておるわけではなくて、ごく手前のほうの掘りやすい部分だけに移っていった、そういう姿でやっているわけでございまして、従来も私どもが、将来こういうところが経理的に、あるいは技術的に、立地条件的にやっていけるかどうか、現状は悪い、こういう姿で勧告をしているわけでございますが、いままでの姿をすっかり変貌させまして、手前の掘れるところを掘っていく、こういう姿で生き延びまして、結局三つ炭鉱のうち二つは、改善されたのではなくて、ほとんどそういう姿で廃棄されてきた。その中には共同鉱業権者との問題等でなかなか調子が合わないというようなことも権利者間であったわけでございますが、いずれにいたしましても二つはほとんど閉山状況に現在なってきているわけでございます。それからまた残りの一つは、その当時においては改善されたわけでございますが、その後の追跡ではまた若干どうも悪くなってきている、こういうところもあるわけでございます。しかしこれは今後も十分に監督をして、改善も聞かなかったわけですから、最後に保安法の厳正な運用による以外にはない、かように考えております。
  27. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは法の運用からいえば、当然そこは危険だから改善すべきだという改善勧告をする、あるいはそれで聞かなければ命令が出せるわけですね。それがなくて、法としては裏づけのある保安臨時措置法もあるし、比較的小さい炭鉱であるし、これは廃止勧告をしたほうが手っ取り早いという面もあるわけですね。そういう中からいま述べられたようなケースが出てきたのです。これはむしろ、移って採掘できる地域が残っておるならば、これは当然改善勧告を出してそれが改善できないとすれば、どういう部分か知りませんが、新しい地山のそういう個所に移るということが、実際は保安法の中ですでに行なわれなければならぬ事項だと思う。そういう実績があって廃止勧告が行なわれるというのが、私はたてまえからいって常道ではないかと思うのです。ですから廃止勧告というのはいわば死刑の宣告である、こう実はわれわれは理解しておるわけなんです。たまたま死刑宣告をしたけれどもこういう山もあったというケースが出てくるわけですが、私はそういう意味で、この廃止勧告をする前に保安法上の運用というものがやはり先んじて考えらるべきだ、それが改善できなければ廃止勧告になりますよというのが、運用する場合には筋のような気がするわけです。概してそういう方向で行なわれておると思うのですが、そういうことの不十分な面から、廃止勧告に応じないで、改善できないから今度新しいところに移るということになってくるのだと思うのですが、このケースの場合には、保安法上の改善通達、あるいはそれ以上の改善勧告、あるいは命令というものが出されておったかどうか伺っておきたいと思うわけです。
  28. 八谷芳裕

    八谷政府委員 この三炭鉱につきましては、これはいずれも九州の炭鉱でございますが、再三にわたりまして通達等を出してまいったわけでございます。しかしどうしてもこちらが考えているような改善が行なわれないということで、最終的に廃止勧告をやったわけでございまして、九州のこういうふうな山につきまして、ただいま何回というような資料を持ってまいっておりませんけれども、再三にわたり改善すべくやってきたその結果に基づいているわけでございます。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは保安局に直接関係がないのですが、先般大浜炭鉱にまいりましたときに、遺族の方から、いま炭鉱は資金繰りも非常に苦しい、しかし雇用の場を失うということはこれはまた非常に問題であるという立場の中で、炭鉱労働者は相当合理化に協力をしておる。しかも、話し合いで労働組合が大幅な賃金ダウンをするというケースも非常に多くなっておるわけです。大浜炭鉱の場合には労働組合がないのですが、これも低賃金で会社の再建に長い間協力しておる。ところが一たび災害が起きると、死亡した方々は、賃金を下げて協力したために、これは災害補償が非常に少なくなるわけです。八十万もらえるところが五十万か四十万であるという矛盾が出ておるわけです。もちろんこういうケースは中小企業の場合にもあるでしょうが、特にエネルギー革命の激しい炭鉱の場合には、そういうケースが非常に多くなりつつあるわけです。私はこれは非常に問題だと思うわけなんです。しかも非常に災害が多い、他産業に比べて比較にならないほどの災害率を示しているという問題も実はあるわけです。これは直接所管でありませんけれども現実鉱山保安の行政の面から、死亡災害は最近減ったといっても、産業別から見ると比較にならない高率を示しておる。   〔委員長退席、始関委員長代理着席〕 したがってそういう面は私は、石炭合理化政策の中から、通産省としてもやはり労働省に対してこの面の臨時的な措置といいますか、特に運用について何らかある一定期間研究をする必要があるのではないか、こう思うわけです。これは直接所管の問題ではありませんけれども、通産省としてそういう点についてこの矛盾を解決するために、最低保証といいますか、そういうような面も出てくると思うのですが、そういう面で努力を願いたいという気持ちがあるわけです。そういう点の努力をせられるかどうか、政務次官にひとつお伺いしたい。
  30. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 御指摘の問題は、直接通産省の所管ではございませんけれども、きわめて不合理な点があるようにも考えられますので、労働省ともよく相談いたしまして検討いたしたいと思います。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 保安局長はよく御存じだと思うのですが、いま大体大手あるいは中小でも比較的規模の大きいほうの中小炭鉱では、災害者が出ておる。重傷で身体障害と認定をされる、手足を切断するとか、あるいは相当大きい機能の障害が残るという実例が、これまた非常に多いわけです。あるいは死亡災害がある。そこで死亡した場合には未亡人の対策というものが、炭鉱では閉鎖性が非常に強いために、ある程度可能な限度において未亡人に職を与えるというのが、長い間の戦後の慣行としてとられておるわけです。したがって夫がなくなれば、生計をささえるために、あるいは子供が就労でき得る年齢に達するまで、未亡人が稼働している、こういうケースが非常に多いわけです。今度閉山を予定されておる美唄炭鉱でも、三百二十名の未亡人がおる。従業員総数が千八百くらいですが、そのうち三百二十名も未亡人がおる。田川でもあるいは山野でも、相当高率の数を示しておるわけです。加えて身体障害者が相当おるわけです。これは、けがしたあと始末は保安の問題ではありません。しかしながらそういう非常に災害率が高いという中から、こういう問題が派生的に生まれてきておると私は思うのです。そうすると、そういう人を簡単に首切るわけにいかぬですよ、その炭鉱に自分の夫が生命をささげたのですから、あるいは炭鉱で働いて、そしてけがをして不具になったわけなんですから。これが実はいま非常に大きな問題になっておるわけです。私はこれは災害のあと始末の問題だと思うのです。一方労働省では、これは山が閉鎖をされたり、あるいは会社で首を切れば、それは何とかあと始末をしなければならぬといっても、就職あっせんもなかなかできない階層なんです。これは、未亡人だけでおそらく全国で七千名近くになっておるのではないですか。それに身体障害者が相当プラスされておる、こういう面があるわけです。私はやはりこの点は災害のあと始末でありますから、こういう人々を仕事につけるという問題が、単に労働省だけで考えられて解決できるかどうか。合理化を進めていく場合の炭鉱の特殊性として、これはやはりいずれ仕事につけなければならぬわけですから、広い意味で申し上げますと、やはりある産業に再びつくわけなんです。したがってこの点は、私は特に雇用者、あるいは労働組合もあるでしょうが、主として雇用者、企業家になるわけですが、それと労働者、通産省でこの対策を一体どう進めるかということは、石炭合理化政策を進める上に非常に大きな問題だと思うのです。一方において厚生省にも関係があるわけです。普通一般の場合は厚生省です。そういうことでは非常に高率なために、実際問題は解決できないわけですね。ですから私はやはりこの点は、単にこれは労働省だとか厚生省とか言わないで、広い石炭政策という意味で取り上げるべき問題だと思うのです。ですから、これはそれぞれの省で十分連絡をとって検討してもらって、石炭関係閣僚会議あたりでこの問題を提起されなければならぬ時期にきておる、こう実は判断をしておるわけです。いままでの災害率を調べれば、未亡人がどのくらい出たのかわかるわけです。一年間に六百名ずつ死ねば、戦後十八年を経過しておるのですから、相当たいへんな数になるわけです。十年間に六千名、七千名になる。それが十八年ですから、一万五千名くらいになるわけです。これは全部残っておるわけではありませんけれども、これは相当の数です。いまでも六百名近くは、毎年なくなっておるわけです。したがってこの身体障害者、未亡人というものが、閉鎖性の強い炭鉱社会に今日依然として残っておる。この問題が今日社会問題になりつつあるという時期でございますので、私は通産省としても、関係次官会議あるいは連絡会議等で、この問題は石炭産業の合理化を進める上においてどうしても問題になってきまずから、関係省と十分打ち合わせをして、この対策は近く石炭関係閣僚会議でやはり方針がきめらるべきである、こう思っておるわけです。したがってそういう点について、特に石炭合理化を進めていく直接の通産省として、この面の努力をひとつ払っていただきたいと思うのですが、この点次官からひとつお伺いをしたいと思います。
  32. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 ただいま御指摘の問題は、かなり重大な広範囲にわたる問題であろうかと思いますけれども石炭対策に非常に強い関連を持っておりますので、御趣旨を体して十分検討を進めてまいりたい、さように推進してまいりたいと思います。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 あと二、三の質問でやめたいと思うのですが、本法の場合には期限の延長だけの問題ですが、私は本法の期限延長一年というのは、二年の時限立法で三年延長するというのは問題があると思うのですが、二年の時限立法ですから、さらに二年延長するということは、あまりたいした問題ではないと思うのです。与党の議員の人も出席しておりますので、この点はひとつ検討しておいてもらいたいと思うのです。原案が一年で出ておるのですが、私は二年の時限立法だから二年の延長までは可能である、当初二年のものが三年というのはどうかと思いますが、当面私はそういう措置をとらなければ、本法は実際は十一月までですから、昭和三十九年度は十一月ではんぱになりますよ。ですからこの点はひとつ政府のほうとしても若干検討しておいてもらいたいと思います。  それから保安に関する一、二の問題だけで私は質問を終わりますけれども保安行政といいますか、各炭鉱における保安監督の面ですね、実際問題として保安と生産は車の両輪である、こう言われておって、生産をするには必ず保安がついておるわけです。ところが保安法のたてまえから見ると、これはアメリカの鉱山保安法か何かそういうサゼスチョンの影響を受けてできた鉱山保安法であるわけです。そうして監督員という制度が設けられて、監督員の勧告というものが、当初立法されたときには非常に大きいウエートを占めておったのです。勧告を日本的に解釈すると、どうも非常にあいまいになって、最近こういう制度が完全に死んでおるのじゃないか、実はこういう感じがするわけです。といいますのは、鉱業権者がおって、所長がおる。所長かあるいはその下の人が、大体保安管理者になるわけですね。そうして保安監督員というのは、下におる人が保安監督員になってみたり、あるいは保安行政を担当しておる者が、指揮を受けておる者が保安監督員になっておる。これが一般のケースなわけです。私は、これは立法のたてまえからいえば矛盾ではないかと思う。ですから、保安監督員というものは当然鉱業権者のもとに属して、保安管理者と対等でなければならぬ、こう思うわけです。あるいはその年功とかいろいろな序列が下であっても、制度上は少なくともそうあらねばならないのが法の精神だと思うのです。ところが、別にそれをそうせいという規定も締めつけも実はないわけです。やはりそういう面については、法の精神を解釈する場合には、保安監督員というものは、これは少なくとも保安管理者の指揮を受けるものであってはならない。ですから、鉱業権者のもとに——鉱業権者保安管理者の場合もあるでしょうけれども、概して多くの場合は鉱業権者のもとに保安管理者と保安監督員というものが、大体その年功序列は別にしても、制度的には並列されなければならない、実はこう思うわけです。そういうところもないわけではありませんが、ないのが非常に多いわけです。そして、保安監督員というものは、そう毎日入るわけにはいかぬわけです。大体いまの能力でいえば、おそらく月に一ぺん入ればいいほうではないかと思うのです。実は月に一ぺんも入れぬところもある。そうすると、保安法に基づいてそこの企業に配置されておる監督員の勧告というものは、一体どう行なわれておるのか、そういうチェックがどうなされておるのかということが、政府保安行政につながっていく一つの面ではないかと思うのです。この点やはり、できるならば自主的にやられることが望ましいと私は思うわけです。十何年間運用したけれども、そうなっていないわけです。ですから、この問題は保安協議会等でもひとつ論議をしていただいて、私はやはり法の精神どおりにそういう制度を行政的に指導すべきではないか、こういう見解を実は持っておるわけです。この点についてひとつ見解を承りたいと思います。
  34. 八谷芳裕

    八谷政府委員 これは御質問でございませんでしたけれども、要望だったと思いますが、最初の一年延長とか二年延長という問題の事実関係だけを申しますと、法の関係では一年延長のような措置をとれば実際は二年延長ができる、こういうことになりまして、来年は十二月二十四日までの施行期間でございますか、これは勧告ベースでございまして、そのあと交付金等のベースはそのあとになっても差しつかえがないわけでございますから、実際問題としては本年度と来年度一ぱいやっていける、こういうことになるということをまず申し上げます。  次は、御質問の監督員の問題でございますが、これは監督員の実態につきましては、先生指摘の点が多々あるわけでございます。昨年の通常国会におきまして保安法の改正をやった際にも、私どもはこの点を非常に重大視いたしまして、ただいまこれが外国の流儀みたいなような話もございましたが、経過はそうであったにしろ、一つ考え方として、自主監督の面、管理の面からは、この制度を生かしていくべきである、こういう観点に立ちまして、中央鉱山保安協議会等でもこの点は真剣に論議いたしまして、一つ石炭あたりについては監督員をずっと広げていくという問題と、それから監督員の地位向上と申しますか、こういう面につきましては、その社の社内のいろいろな問題等がありまして、これを規定に書くことは現実にはなかなかむずかしいというような点もあったのでございますから、逆に、これを裏から返しまして、監督員は生産の業務につかない、純粋の立場の監督員であってほしいというようなことで、規則の改正をやりまして、監督員の本来の業務に支障を来たすような業務につかしてはならない、こういう考えで規則改正を行なったわけでございます。一方、中央鉱山保安協議会としては、要望をいたしまして、その社における監督員の地位向上というような問題も取り上げて、中央鉱山保安協議会の方から大臣に答申も出たというようなこともございます。しかし、これでもまだ監督員が十分にその機能を発揮するようになっていない。その点は、御承知のとおり、やはり社内的な監督員の地位だろうと思うわけでございます。どんな制度をつくりましても、地位の低い、実力のない人がそれについた場合には、なかなかその勧告がいれられないということもございまして、そういう点につきましては、ただいま保安規則の抜本的改正を手がけておるわけであります。この抜本的改正に基づきまして、さらに引き続いて保安法の抜本的改正という問題が起こってくるのではないかということも予想されるわけでありますが、そういう過程において十分検討を加えてまいりたい、かように考えておるわけであります。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 ぜひひとつその点の検討をお願いしておきたいと思います。特に今度制度的に監督署ができて、これが制度化されて各ブロックに配置されておるわけです。そうしますと、やはり相互補完、相補うという面が強調されなければならぬと私は思います。ですから、保安監督員がいわゆる勧告をした場合には、遅滞なくこれが監督署を経由してその内容が届けられる、あるいは保安委員会が開かれたら議事録がすぐに届けられる、こういうことが制度的に運用されていかなければならぬのではないか。そうすると、日常のそういう企業内の保安問題については、ある程度知り得るわけです。そういう相互補完関係といいますか、相補う関係が、やはり制度の問題でもけっこうで断りますし、運用の問題としてもやられることが望ましいと思います。いままでは監督署が制度的になかったのでありますが、今度できたのですから、そうすると、比較的小さい地点に監督員が配置されておるわけです。そういうダイナミックな、企業内まで浸透した監督行政がある程度相互補完の関係で行なわれていくことが望ましいのではないかという見解を持っておりますので、この点、検討を願いたいと思うわけです。  最後に、通気排水の問題ですが、炭鉱の通気排水は非常に大きな問題です。しかしながら、通気排水の一元的な機構になっていない炭鉱が、まだ非常に多くあるわけです。通気係、排水係がはっきり全坑内にわたって一元的に管理をされるという制度になっていない炭鉱もまだあると思います。大手の場合には、そういう点については比較的進んでおるわけですが、重大災害は大体通気排水関係が非常に多いわけです。もちろんそれ以外にもケースはございますけれども、大体安定してくれば、通気排水の問題がやはり一元的に管理されなければならぬし、指示権が一元的になされていかなければならぬのではないか、こういう見解を持っておるわけです。大体これから炭鉱近代化されますと、相当高名な炭鉱が残るわけです。したがって、従来起きた豊州とか、ああいう炭鉱は概して消えていく。ですから、そういう面から考えますと、通気排水の管理といいますか、あるいは指示権といいますか、そういうものが全坑的に一元化されることが望ましい。特に指定されておるガスの多い炭鉱においては、通気が独立されなければならぬ。水の比較的多いととろは、排水が独立されなければならぬ。この機構は、もし一朝何か問題があると、ものすごい災害を引き起こすわけですから、そういう面もあわせて炭鉱近代化の一環として、保安管理行政の面として検討されるべきではないか、こう思いますので、この点ひとつ検討を要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  36. 始関伊平

    始関委員長代理 次会は明二十四日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時一分散会