○
滝井委員 実は私が心配するのは、そういう水道というのはもう明治以来大手の
会社ができて、そして水道を引いておるのですから、その水道の鉄管というのは
相当老朽化しているわけです。したがってこれをかえるとすれば、何億という金が要るわけです。その場合に、両方が話し合ってどちらかが管理するというけれ
ども、この問題は水源地の問題もからまってくるし、それから同時に、第二
会社になるときは、
従業員の数はたいがい第一
会社の三分の一か五分の一しか使わないのですね。われわれのところで大峰とか方城
炭鉱というのがありますが、たとえば千五百人とか千八百人おったのが、三百人とか五百人になってしまうのです。三分の一か五分の一に
従業員はなるのです。いままで千人おるとか一万人おるとかいう
炭鉱が、第二
会社になったらがたっと人数が少なくなるわけですから、とても町じゅうをまかなうような水道の管理運営はなかなかできないわけです。といって、第一
会社はそこにおる必要がないわけですから、ばく大な水道料その他を払うわけにもいかぬ。それからへまをすると、これは全部水道の配管が老朽化してやりかえなければならぬということなら、何億の金を出してやりかえなければならぬし、打ち切りも出さなければならぬ、水道料金も見なければならぬ、こういう問題も起こってくるわけです。だから、早いところ逃げようということになるのです。できれば第二
会社に全部まかしてしまいたい、こういうことになるのです。今後これが
鉱害の問題と関連をして、重要な問題になるわけです。そこで第一
会社から第二
会社に移行する場合における水道の処理を、今後どういう
基本方針で
指導していくかということ、第二
会社がやめた場合住民に迷惑をかけないようにきちっとしておいてもらわなければいかぬわけです。そうしないと、市が全部かぶらなければならないことになってしまう。なぜならば、水の問題ですから、水道がとまったときには一刻も住民は許さぬですよ。もう市に押しかけてきますよ。いわんや水源地が期限つきできめられているようなところなら、なおそうです。たとえば水源地は十年間だけは水をとらせますということになっておって、
炭鉱が十年目にやめたというようなことになったら、目も当てられぬことになってしまう。こういう錯雑した複雑な問題が、第一
会社から第二
会社に移行する場合に、今度の五五三における第二
会社の
可能性のあるようなところには、そういう問題をはらんでおるということです。こういう点をひとつ見落とさないように、十分
調査研究をしてもらいたいと思うのです。そうしてわれわれが
質問をした場合には、打てば響くがごとく
方針を出し、それに対応した
対策が立てられるようにしておいてもらわなければ困ると思うのです。それは、たとえば第一
会社が第二
会社に移行するときに、この水道を市に移管をしたい、あるいは町に移管をしたいという問題か出てくるわけです。そのときに、一体その負担金をどうするかという問題が起こるわけです。どの程度のものを
鉱業権者が負担をするのかという問題が出てくる。こういう問題はなかなか簡単に片づかない。それは第一
会社から第二
会社に移そうというときには、財政が火の車ですから、石炭業者としては一文だって金を出さないほうがいいのです。だから話がまとまらないで、重大な政治問題として発展してくる
可能性がある。そういうときにこの四分の一の改良費というものをもっとうんと出すようにすると、問題は解決しやすい。ところが七割五分は
鉱業権者負担なんですから、なかなか簡単にいかない。それは人口が五万とか十万の市の水道というのは、千万とか二千万で片づく問題じゃない、何億とかかるのです。水源地を含めると何億とかかる。こういう問題がある。これは問題が具体化すればまた
質問をしますけれ
ども、ひとつ五五三の新しい
合理化の中にもそういう問題が十分あるということをお
考えになって、いまから着々と研究しておいていただきたいと思うのです。
次は、このニュー・スクラップの申請をして、
交付金の決定をして、
鉱害の被害者から申請が出て、そこでいよいよ
鉱害の
復旧にかかることになるわけですが、さいぜん申しましたように、いよいよその山が
閉山してから
鉱害の
復旧が具体的に個々の家にやられるまでには、早くも三、四年はかかるのです。そんなに長くかかったのでは大へんなんです。そこで
交付金の決定をする前でも、もう明白にこれはその
炭鉱の
鉱害だとわかっておるものについては、
鉱害の
復旧をやってもらえぬかということです。これは私は当然のことだと思うのです。いまの各山の実態を見ますと、どういうことになるかというと、
鉱業権者が、ニュー・スクラップに申請しようという腹をきめたら、もう絶対に
鉱害復旧はやらぬですよ。絶対にやらぬです。そして、
交付金がくるまで引き延ばしてしまうのです。もとだったら、これはやっておった。ところがやらない。全部やらないですよ。だから、住民はあわれなものです。したがってその決定が早くなればいいのだが、決定するまでには、どんなにスピードでやっても、これは事務処理だけで半年はかかる。私の経験から言うと、最も早いもので半年ですよ。へまをすると、一年半から二年はかかる。そうしますと、この被害を受けた住民というものは大へんですよ。だから、明らかにその
鉱業権者の
鉱害であるということが明白で、しかも安定をしておるものがあったら、やはりやってもらわなくちゃならないのじゃないか。ところが、それが全然行なわれない。もう
鉱業権者はできるだけあとに延ばそうとする。できるだけあとに延ばせば、どういうことになるかというと、もうあっちこっちから金は取られて
鉱害は私はできませんと手をあげたらいいのです。したがってこれは、前にやれる方策をとる必要があるのじゃないか。どうせ
交付金を留保するのですから。もちろん交付決定ができない場合は大へんなことになるけれ
ども、しかしその場合だって、これはどうせそういうところは無
資力になるのですから、国がやらなければならぬのですから、迷惑料その他はとにかくとして、
復旧だけはやってみたらどうか、そこまでの
合理化政策をおやりになろうとするならば、やはり
鉱害復旧については先手々々を打ってちょうどいいくらいな感じがするのです。その勇断がありますか。