○
伊藤(卯)
委員 きょうは
池田総理に四点の問題について
質問をしたいと
思います。
第一点は、
総合エネルギーを強力に
調整、
指導して、国の
産業経済の
目的に一〇〇%沿わしていく、ところが現在はもちろん、将来のためにも、今日のような
状態のままにしておいたのでは、とうていその
目的を達成していくことは不可能であると
思いますので、この点について
総理にお
伺いをするのでありますが、まず、その御
答弁を願う前に、
石炭問題について少し
総理にお聞き取りを願っておきたいと思う点がございます。
それは、現在のように
エネルギー界を、また特に
石炭と油の
混乱状態をこのままにしておいたのでは、とても
産業経済目的を達成していくことは不可能でございます。ところが、三十四年度以来
政府が
石炭問題に対して示しました点に対して、
炭鉱側は一〇〇%の
協力をしてきておると私は信じています。たとえば
炭鉱は
在籍者一人当たり一カ月の
出炭能率を二十四トンに増産せよ、そして炭価を三十八年まで五カ年間に千二百円
値下げしろ、それについては毎年二百五十円ずつ
値下げをしなければならぬぞ、こういうことを指示されております。これに対して
炭鉱経営者はもちろん
労働者側も、身を切るような
思いでこれに
協力してその
目的を達成してきておることは、
総理も
御存じの
通りであります。ところが、
石炭生産に必要な機材はもちろんのこと、
電力、
輸送、そういうものがとめどもなくどんどん値上がりをしてきつつある中に、この五年間に千二百円の
値下げがいかに
炭鉱側にとって辛かったかということは申すまでもありません。そういう点から、
炭鉱労働者にもそれがしわ寄せをされます。従って、
炭鉱労働者の賃金の安いこと、また諸待遇の悪いこと、それから
大手炭鉱以外の中小などに行きますと、十年、二十年働いておっても
退職金は一文ももらえない、こういうところなどの相当あることも、
総理は
御存じだと
思います。そういうような辛い
思いをしながら、この
政府の示した
方針に、
炭鉱側は
協力してきておるわけでございます。こういう点から見ましても、
炭鉱側がいかにこの四、五年間苦しい
状態を続けてきておるかということは、現在ほとんどといっていいくらい
炭鉱は
赤字でございます。特に炭労に参加をしておるところのその
経営者、そういうところは全部
赤字だといってもいいと思っております。でありますから、
炭鉱の
経営が非常に苦しいというところから、最近
炭鉱経営者は、みずから
経営しないで、これを第二
会社に落とす。第二
会社に落としますと、不思議に、
会社がやっておった当時より一カ月に十二、三トンくらい炭がよけい出ている。でありますから、
会社は直営すれば
赤字になるが、第二
会社に落として炭だけとれば黒字になる。こういうところから、第二
会社に落とすということが最近非常に行なわれてきておるわけです。こういう点は私は、これは
経営者の
指導性も弱体だが、
労働組合の
協力の足らぬことも認めなければならぬ、こう思っております。こういう点に対して、
政府の方ではこの
労使関係に対して
指導というものをほとんどやられてないわけです。だから、これは
池田総理がよく言われておる
人づくりという面において、やはり
経営者はもっと強くなければならぬ、それから
労働組合ももっと
協力的でなければならぬというような
点等についても、
労使のあり方などについても、
政府はある
指導を指示する必要があるんじゃないか。というのは、たとえば
能率を上げろ、単価を下げろということを指示しているのですから、ついては
経営に対してもこうあるべきであるということなども、私はやはりやられる必要があるだろう、こう思っております。そういう点に対しては、全然指示をされておりません。
そこで今後の問題ですが
有沢調査団の答申を
政府が
石炭対策として
炭鉱側に示されるわけでありますが、これを受け取ってやる
経営者、
労働者は、私は容易でないと思っております。というのは、油と
石炭は
御存じの
混乱状態に陥っておるし、そこへ持ってきて
通産省では、油の輸入に対して百三十万キロリットルを百五十万キロリットルも多く入れ、しかもその
外貨割当が足らなくなってきておる。それで十二月に一月、二月分を食い込んでしまっておる。あるいはまた四月、五月分まで食い込んで、スリッページを出してやっておる。そういうように油をどんどん
計画以上に入れておりますから、そういう点から私は、
有沢調査団が出しておる五千五百万トンあるいは五千二百万トン論が出てくる結果になっておる、こう思う。これは私はやはり
通産省が油をあまり入れ過ぎて、そういう
混乱状態をあえて
通産省側から引き起こしたと言っても過言でない、こう思っております。そういう点から、今のままにしておいたのでは、とても
エネルギー界を今後安定化していくことは不可能だ、そういうところから、
与党の幹部の
人々の中にも、また
与党の
委員の中からも、先日は
神田委員からも
総理に
質問したと思っておりますが、このままじゃいかぬ、だから
燃料省をつくったらどうかというようなことなども
質問をされておるようでございます。そういう点から見まして、やはり
エネルギー界を
日本の
産業経済の発展のために、
国民生活に寄与さすために、これはやはり
現状のままではやっていけませんから、従ってこの
エネルギー界の
調整、あるいは強力な
指導をして、そして
安定性を維持しない限りにおいては、この
エネルギー界をして
日本の
産業に貢献さすことはとても不可能だ。たとえば
昭和四十五年になりますと、今の
エネルギーの
消費量が三倍にふえるということは、
通産省側でも認めておるように私は思っております。そういうようにふえていきますのに、
石炭だけは減っていく。一体そういう
状態をどういうようにされるつもりか。でありますから、やはり油を
幾らにする、
石炭を
幾らにする、
火力、水力の
電力を
幾らにする、あるいは
ガスを
幾らにする、そういう数量の組み合わせ、
調整、それから価格についての
安定性、こういうものをどこかできめられなければ、この
混乱を救うことはできません。いわんや、
通産省の中にあれだけたくさんの局がありますが、この
エネルギーを取り扱っておる局は
二つか
三つしかありません。その
二つ、
三つの
局同士がまた争い合いをしておる。
エネルギーを取り扱っておる局が、他の局は
エネルギーを使う方ですから、そういう多くの局から
まま子扱いをされておる。こういう
状態で、
日本の
産業経済、
国民生活の全体に重大な役割、使命を持っておる
エネルギー界をこのままの形で放置されておくということは、およそ常識のある政治としては
考えられぬと思うが、こういう点について
総理の、今後どうしていくという点についての所信、それから信念を
一つ明確にお聞かせおきを願いたい、こう思っております。