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滝井委員 関連して、そこが認識不足なのです。一トンといえども、
幾ら話し合ったって
買い上げぬと言うけれども、
買い上げてもらわなくていい場合が出てくるわけです。どういう場合かというと、まず労使双方が話し合ってしまう。これは資本家側の圧力で話し合いをやる。どういう工合にやるかというと、まず
賃金の
未払いをやる。
賃金の
未払いをやると、今度は、今
労働者は配給所で物を買っているわけです。従ってその配給所の物が買えなくなる。そこで金券が出るか、あるいは、
大手は金券のかわりに配給所で物を現物でとらせる。ボーナスも分割払いでやってしまう。そうなりますと
労働者の方は、もうこんな山にはおれぬといって、見切りをつけてどんどんやめていき始めるのです。すなわち、やめていくということは、どこかつてを求めて就職をするか、もう失業保険をとった方がいい、こうなるわけです。そうしますと、残った労働組合と
会社側がきゅっとやっちゃう。話し合っちゃうのです。そして話し合いがついてから、今度は
会社はおもむろに
ニュー・
スクラップなり旧方式で
買い上げをやっちゃう。こういう方式をとるのですよ。これは
大手でもみな今までそういう方式をとった。ここで名前を言うと語弊がありますから私は言いませんが、やっちゃったのです。そうすると、
離職金をもらう者はどのくらいになるかというと、
保安保持のための少数の
労働者だけを残しておくことになり、それらの人たちだけが
対象となる、いわゆる保坑だけをやればいいのだから、何々組という直轄の組を入れて、そしてポンプ・アップだけをやる、いわゆる水揚げだけをやるのです。そうするとその二、三十人だけが
離職金の
対象になって、何百人とおった
労働者はぱあになるのです。何も
対象にならない、こういう形をやるのです。これは三井でも、美唄なら美唄をこうすることができる。田川なら田川でもこうすることができるのです。こういう提案を
大臣は簡単に
考えておるけれども、政治的な影響は実に重大なのです。新聞でぱっと打ち揚げるでしょう、そうすると
労働者は動揺しますよ。もう、反対だという決起大会をやっているのです。そうしますと、動揺しますと、気の短い連中は、もうやめたといってやめていきます。だからこそ、四月六日のあの閣議決定以来、労使休戦で
労働者は月に三千人ずつやめたのですよ。お互いに解雇もやらぬ、ストライキもやらぬといっておったのだが、三千人ずつやめた。いわんや今のような提案を
会社側が出すとすれば、もうそれは、その
買い上げを待たずしてやめてしまう。
会社側は七十万くらいの特別
退職金を出します、こうなりますから、もう早く現金をもらって行った方がいいということになる。なぜならば、大正鑛業みたいに、ぐずぐずしておったら
退職金の出ないのも出てくるぞということになる。だから、これは官僚統制でも何でもないのです。有沢
調査団の答申が出て、その答申を今から実施しよう、審議会を改組しようとする前に、
会社で勝手にどことどこを今年つぶすのだ、こういう提案というか発表をすること自体が、これは
政府に対する反逆ですよ。官僚統制ではない。
政府に対する反逆以外の何ものでもないと思うのです。だから、こういう不安な
状態を
炭鉱につくるということは、朴政権よりかもつと悪いですよ。池田内閣は、朴政権よりかもっと悪い。だからこういう点は
大臣、もう少し
実情を御
調査になって、そして実態を見てもらわないと困る。
買い上げの
対象にならぬうちに、山はつぶれてしまうのですよ。私は今全部調べておりますから、いずれ私の
質問の番になりましたら、一つ一つやりますからね。だから、それはやはり順序よく、外へ発表せずに
通産省に出してこい、こう言ったらいいのです。そしてそこで話がまとまったら、労使双方がこれで
通産省に、話しがまとまりましたからと……。そういう順序になっておるでしょう。これはそうなっておりますよ。「各企業は、この計画枠と方向のもとで、それぞれ労使が話し合い、今後の具体的方針を決定すべきである。」ということをちゃんと書いてあるのですから、前もってそれは話してもいいのですけれども、そう世間へ打ち揚げて、どことどこの山をつぶすというようなことを言うことは、これはワクが第一、四百四十万トンのワクしかことしはないのですからね。これをあなた方がうんとふやせば別です。だから、そういう点は、われわれとあなた方と違うとすれば、われわれは、われわれの主張をあくまでこの
委員会に主張して直させなければいかぬと思うのです。それは大体どっちですか。先に勝手に出していいのですか。そうして世間に公表して、勝手にやっていいのですか。