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1963-02-08 第43回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月八日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 上林山榮吉君    理事 岡本  茂君 理事 神田  博君    理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君    理事 多賀谷真稔君 理事 中村 重光君       木村 守江君    齋藤 邦吉君       中村 幸八君    井手 以誠君       滝井 義高君    松井 政吉君       伊藤卯四郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君         労 働 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         通商産業事務官         (石炭局長)  中野 正一君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      八谷 芳裕君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      塚本 敏夫君         労働事務官         (職業安定局         長)      三治 重信君  委員外出席者         自治事務官         (財務局財政課         長)      茨木  広君     ――――――――――――― 二月二日  石炭対策に関する請願(岡田利春紹介)(第  二三八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月一日  鉱害対策強化に関する陳情書  (第一八〇  号)  産炭地振興対策に関する陳情書  (第一八  一号)  同  (第二六三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一一号)  石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二号)  産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三号)  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四号)      ――――◇―――――
  2. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案及び炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。木村守江君。
  3. 木村守江

    木村(守)委員 私はこの際、政府石炭政策に関連いたしまして質問を行ないたいと存じます。都合によりまして、通産大臣がおいでになりませんので、労働関係のことから質問をいたしたいと存じます。  石炭対策に伴いまして、離職者就職につきましては、新しい就職促進手帳というようなもの、あるいは訓練所強化とか、または住宅問題、なかなか手の込み入った対策が立てられてありますことは、まことに好ましいことであると存ずる次第であります。しかしながら、現在までの労働省職安の形態からいたしますと、一たん失業者になった者が就職するということは考えられないような状態になっておるのであります。昨年の十一月十四日の毎日新聞の論説に、こういうことが書いてあります。「現在失対から再就職したものの大半は、縁故によるものであり、職業安定所紹介による場合は少ない」と指摘してあります。この状態から考えましても、現在の職安機構に何か欠陥があるのではないか、すなわち、一般職業紹介日雇い紹介というものが全く切り離されてありまして、相互の連携がないというようなところから、日雇いになったら最後もう再就職はできないというような状態が、現在の職安状態ではないかと考えられるのであります。こういう点に関しまして、労働大臣、いかようにお考えになっておるか、またこれらの問題につきましてどういうような処置をとって参られますか、御意見をお伺いいたしたいと思います。
  4. 大橋武夫

    大橋国務大臣 従来から失業対策事業に従事しておりまするいわゆる失対適格者就職の問題につきましては、なかなか事実上行なわれておらぬというきらいがございまして、その結果、現実に失対事業従事者は固定化する結果と相なっておるのでございます。これにつきましては私もいろいろその原因等を調査いたしてみたのでございますが、ただいま御指摘のごとく、失対事業を取り扱いますいわゆる日雇い関係セクションと、一般の求人、求職を取り扱います一般セクションとの関係が全く隔絶いたしまして、その間の連絡が全然とれていない。従って失対事業適格者については、事実上職業安定所はその人たちの次々の失対事業への就職あっせんをいたすのでございまして、一般職場へ復帰させるような活動はほとんどやっておらないというのが実情でございます。御承知のように、この失対事業全体につきます一般批判も高く相なりましたので、政府といたしましては、明年度において思い切った改正を断行することにいたし、これが法律案も近く提出いたすつもりでございますが、その眼目は、失対事業に従事するものにつきましてケース・ワーカー、いわゆる指導員をつけまして、そして常に一般職場への復帰ということを考えて、個々の人についての職業の相談に応じ、また必要なら職業指導を行ない、さらに一歩を進めて職業訓練を行なう。そうして第一には、一般職場へ復帰させるということを終始目標にする。失対事業へ従事させるということは、これは最後の手段だ。またそれに入った場合においても、常に一般職場へ復帰する機会を与えるように終始努力を続けていく。こういうふうな職安機構改正を行なうことにいたしておるのでございまして、今度の新しい法案の中にさような構想を盛り込むつもりでございます。私どもはこの失対事業改正によりまして、御指摘のような欠陥を根本的に改善いたしたい、かように考えておるわけなのでございます。
  5. 木村守江

    木村(守)委員 ただいまの答弁によりまして、職安機構欠陥というものを率直に認められまして、これからは、これの改編によりまして、日雇い労務者を永久化するというようなことから救われまして、就職の道をあっせんするという方に努力するというふうに承ったのでありますが、なお一歩進んで申し上げますと、どうも職安機構というものが、一方においては就職あっせんをする、一方においては失対事業というワクを持っております。従って、失対の仕事をしなければいけない。そのワクを持っておって、それを消化しなければいけないというようなところから、日雇い労務者就職させるどころか、失対労務者確保しなければならないというような格好になっているのじゃないかと私は考えるのであります。従って、そういう点から無理をいたしまして、失業者がない場所には失業者をつくらなければいけない。就職あっせんするどころか・失業者をつくるというようなことまで、極言すればやっておるのが、現在の職業安定所の姿じゃないかというふうにも考えられるのであります。そういう点から考えまして、職業安定所が、一方においては職業あっせんする、一方においては失対の仕事を消化する。失対の仕事を消化するためにはいわゆる失業者がなければならない。そういうような格好になってまいりまして、失業者をつくること——悪口を言っては変ですが、職業安定所というのは職業不安定所だ、まあ、失業者製造所というようなことまで言われるような状態になりゃしないかと私はおそれるのであります。一番おそれることは、失業救済事業というようなことの——これは悪いというのじゃありませんが、一たん失労務者になってしまいますと、その人は、どんなに善良な青年であっても、再び就職する意欲がなくなってしまう。これが、われわれが現実に目の前に見まして、非常におそれる問題でありますので、これは大臣、ただいま申されましたが、なお一そうこの点に力を注がれまして、将来かような心配のないようにしてもらいたいと考える次第であります。  次に御質問申し上げたいことは、御承知のように、この前の国会におきまして、今度の国会に継続されておりますが、いわゆる就職促進手当というものが、四百五十円という数字があげられております。この四百五十円の数字の出て参りました根拠につきまして、御説明をお願いいたしたいと考える次第であります。  どうしてそういうことを聞くかと申しますれば、御承知のように、緊急失対におきましては一日六百三十五円です。しかしこれは月間二十三日の就労日数でありまして、これを平均いたしますと一日の賃金が四百八十六円です。それから一般失対が、これは三十八年度から改正されまして四百九十七円になります。しかしこれは就労日数が二十二日でありまして、これを平均いたしますと、一日三百六十四円になるのであります。こういうようなことを考えて参りますと、四百五十円という算定の基礎が一体どういうところから出て参ったのか、一応その御説明を願いたいと思います。
  6. 大橋武夫

    大橋国務大臣 就職促進手当は、離職者失業保険が切れた後再就職をいたしますまでの間におきまして、就職活動を助け、かつその間の家庭の生活を安定させるという趣旨で設けたものでございます。この就職促進手当金額は、原則としては失業保険給付金と同様の計算をいたすことにいたしております。いわばある意味におきまして失業保険給付の延長というような気持も幾分、この制度を設けた理由の中には含まれているわけなのでございます。しかしながら、この就職促進手当失業保険金給付とは、その財源になります原資において性格が違っておるのでございまして、御承知のごとく失業保険給付金は、労使双方拠出金が主要なもとになっております。そしてそれを失業の場合において失業という事実を一種の保険事故と見て給付を行なう、こういう考え方でございます。石炭離職者につきましては、従来からも保険給付について、その失業原因事情等から考えまして、できるだけ手厚く取り扱って参っておりますが、しかしただいま申し上げましたごとく、その財源が元来産業界全体の労使拠出でございますから、その中で炭鉱離職者を優遇するということは、これは負担の面から申しましても限界があると思うのでございます。そこで、それ以上のことは別の面から考えなければならぬというので設けられたたのが、今度の就職促進手当でございますが、これは申すまでもなく、全額国費で支弁をいたすことにいたしております。従って本来の趣旨から申しまして、できるだけその金額失業保険給付に準じて定めることが望ましいのでございますが、しかしこれは一般国費という失業保険金と全然違った財源から出ておりますことを考えまして、その支給の最高限失業保険給付金よりも切り下げることにいたしました。従って、法律では四百五十円ということに最高限をきめたわけなのでございます。(「そんなこと聞いていない。」と呼ぶ者あり)この金額を決定いたしました、四百五十円の算出基礎についての御質問なのでございますが、保険給付金よりもその最高額を低目に定めたという理由が、今申し上げた点なのでございまして、全然御質問関係のないお答えをしておるわけではございません。  そこで、四百五十円というものの算出基礎でございますが、これは一般失対事業賃金、あるいはまた炭鉱離職者現実臨時就労事業就職をいたしたそれにおきましては、ただいま御指摘のように、就労日数が二十数日ということになっております。そういう収入等と比較いたしまして、あまりかけ離れたものを定めることは適当ではない、こういう考えで一応四百五十円といたした次第でございます。
  7. 木村守江

    木村(守)委員 この問題につきましては、必ずしもただいまの御答弁で納得したというわけではありませんが、時関関係がありますのであとに譲ることにいたしまして、次の質問に移りたいと思います。  次にお尋ねいたしたいことは、最近の日本労働力分布ということを考えて参りますと、非常に労働力分布が正常ではないという考えを持たざる得ないのであります。一方におきましては失業者離職者、そしてこれに対して多額の国費を使っておる。ところが他方においては、労働力不足ということから、農業あるいは中小企業等は非常な困った状態を現出していることは、御承知通りであります。こういうような状態が出て参りますことは、日本経済機構の外国と違った二重構造というような点が大きな原因をなしておりまして、これに関連しまして、あるいは賃金の問題、あるいは労働時間の問題、あるいはその他厚生施設等のいろいろな問題がその原因であろうとは存じまするが、はたしてそれだけによるものであろうかどうか。こういうような状態下日本現状におきまして、こういうような労働力分布の不正常な姿をそのままにしておきまして、これに対して何らの的確な施策を施されないということは、労働政策としての大きな欠陥じゃないか。労働政策はもっとそういう点を突っ込んでいって、初めてりっぱな労働政策と言えるのじゃないかというような考え方を持つのでありますが、この際、これらにつきましてどういうお考えを持っておられますか。これと同時に、わが国は御承知のように四つの島に一億に近い人口がおります。そしてお互いにもうかきにせめぐような状態でありまして、こういうようなときにこそ、私は日本民族発展する場所を見つけ、海外進出というようなことに踏み切るべきではないかと考えるのであります。ただ食えない食えないといって赤旗を振り、鉄かぶとをかぶって騒いでおるというような姿を演じておって、しかも、十分働けるような場所に進出するというような国民の積極的な意欲をつくらないというようなことは、これは日本の将来、日本民族の将来の発展の点から考えても、重大問題じゃないかと考えるのであります。こういうときこそ、私は積極的に日本民族海外進出の時期じゃないかと考えております。こういう点まで私は日本労働政策というものを考えていかなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  8. 大橋武夫

    大橋国務大臣 一方においては労働力不足が感ぜられながら、他面において離職者が出てくるというのは、確かに現在の実情でございます。これは経済高度成長の過程におきまする、一つ雇用摩擦的現象であると存ずるのでございます。そしてその原因は、いわゆる労働力移動性が乏しいというところにあるのでございまして、この点は御指摘通り先進国に比べますと、日本労働現状は非常な欠点と考えてよい面であろうと思うのでございます。労働行政といたしましてこうした面を解消するのは当然の使命でございまして、ただいま労働省といたしましても、労働力流動性をいかにして大きくしていくか、そしてこれによっていかに当面の問題を解消いたして参るかということを考えておるのでございます。  その方向といたしまして、ただいまやっておりますことは、まず職業紹介の機能を拡充しまして、広域の職業紹介を行なう体制をつくり上げつつあります。それから次には、職業訓練職業指導等によりまして、新しい職業上の知識、技能を与え、新しい転換職場への適応性労働者につけるということ。それからまた、今日、国内におきまする生活本拠移動ということにつきましては、住宅面において非常な問題がございますし、労働省といたしましては、建設省の公営住宅にいろいろお願いをいたしまするほか、就職に関連して、労働省自体管轄下において、この就職者のための住宅の建設をやるということもいたしておるわけなのでございます。さらに、この雇用問題の摩擦の多くの部分は中高年令者に現われて参りまするので、この中高年令者の再就職対策につきましても力を入れたいと思っております。  これらの労働面における流動性強化ということのほかに、一面におきまして、産業界の二重構造からきました労働条件規模別アンバランスということが、かなり雇用問題の解決の障害となっておる事実を認めざるを得ないのでございます。この面におきましては、結局労働条件アンバランスをできるだけ解消していくということが、やはり労働行政一つのねらいとなるべきものだと思っております。この労働条件につきましては、特に中小企業労働条件が大企業に非常におくれておるということは、御承知通りでございますので、中小企業経営基盤強化をはかるとともに、特に労務管理面における改善を目途として、労働省としても今後中小企業指導をいたして参りたいと思います。さらに、最低賃金制度の普及をはかることによりまして、逐次労働条件格差解消をはかっていきたい。  かように、労働力流動性を拡大強化する、また労働条件格差を縮小していく、こういう両方の面からこの問題の解消に力を入れたいと思うのでございます。
  9. 木村守江

    木村(守)委員 ただいまの答弁の中に、私が聞きました海外移民の問題がなかったのでありまするが、これに対しまして、どういう考えを持っておられますか。
  10. 大橋武夫

    大橋国務大臣 どうも答弁漏れいたしまして申しわけございません。  海外移住の問題は、確かに私どもも大事なことであると考えております。従来までは、この海外移住につきましては、外務省、農林省の両省に仕事が分かれておりまして、いろいろな面で批判があったのでございますが、近く外務省に統一いたしまして、海外移住事業団が設立されるということを聞いております。私どもは、この国内における失業問題の解決の一助といたしましても、この新しい事業団と十分に連絡をとり、必要ならば国内におきましてそのための準備の訓練を行なう等、できるだけ事業団活動に協力いたして参りたいと思います。
  11. 木村守江

    木村(守)委員 日本労働問題の非常にやかましい状態は、何と申しましても、小さな島に人口が多過ぎるということがその大きな原因をなしておると思うのです。そういう点から考えますると、一方においては労働問題の解決、それから一方においては日本民族発展ということから考えますれば、相当の国費をこれに投入しても、この際こういう根本的な問題を解決していく、少しでも解決に近づけていくということが、一番大事な問題ではないかと考えますので、特に今後労働大臣として御考慮を願いたいと思う次第であります。  ちょうど通産大臣が参りましたので、それでは通産大臣にお尋ねしたいと思います。  政府の昨年暮れに閣議決定されました石炭政策大綱、これは有沢調査団の答申があったので、それに沿って立てられたものであります。ところが有沢調査団報告によりますと、石炭需要確保生産体制の拡充あるいは雇用の安定、産炭地域振興、その他きわめて詳細をきわめております。また需要確保につきましても、数字をあげて、その裏づけといたしまして、生産目標昭和四十二年に五千五百万トンといたしておりますが、政府石炭大綱の中には、電力業界引取数量あるいは鉄鋼、ガス用炭に対する引取数量というような数字があげられておりまするが、一番大事ないわゆる生産目標が書いてありません。聞くところによりますと、この生産目標有沢調査団の五千五百万トンと明記してある生産目標を書かないということの理由には、世界の現象であるエネルギー革命は、液体エネルギー優位性が決定的であるからして、従って五千五百万トンの確保も困難である、そういうところから、数字を書くことは控えるべきだ、明記すべきではないというような考え方から明記しなかったのだというようなことも漏れ聞いておるのでありまするが、どういうようなお考えのもとに明記されなかったのでありますか、お答えを願いたいと思います。
  12. 福田一

    福田国務大臣 御承知のように、有沢調査団報告は、昨年の四月六日の閣議決定趣旨に基づいて調査団が設置されまして、その閣議決定の線に沿うての調査団報告でございます。閣議決定には大体五千五百万トンという数字がすでに明記されておるのでございまして、われわれが書かなかった意味は、五千五百万トンは大体確保していくのだという意味を含めておるつもりでありまして、書かなかったからそれはもう認めないとか、あるいはまた、そのほかのエネルギー源との競合関係で認めないとか、書かないとかいうような意味ではございません。ただ、今の御質問で非常に新しい問題が提起されておると思うのであります。われわれはエネルギー対策をやる場合においては、一応推定というもので、いつでもものをやっておるわけであります。ところが今後、たとえば原子力発電というものが非常に安くなったという場合には、私は油自体だって決して安穏だとは言えないと思うのでありますりそういうようなことになったときに、もう一ぺん石炭問題が起きるのではないか。そうしたら、そういう責任はどうなるのだということまで追及されてきますと、これはもうとても政府としても、何人といえどもその案は立てられないだろうと思うのであります。そこで現状において、現在われわれが見通し得る限度においてこの案を立てるということに相なっておると思うのでありまして、これはあなたの御質問とはいささかそれた答弁になっておるかもしれませんけれども数字を明記しなかったのは決して油との関係等を考慮して明記しなかったわけではございません。
  13. 木村守江

    木村(守)委員 五千五百万トンは確保するということは四月の閣議決定できまっておるのだ。そういう意向であったのだというのでありますが、政府の決定した政策大綱に五千五百万トンと明記しなかったことは、われわれはきわめて善意的に解釈いたしておるのであります。ところが御承知のように、先般本会議におきまして、社会党の成田君からの質問に対しまして池田総理は、「六千万トンの需要確保現状より見て非常に困難であるが、政府としては雇用の安定、国際収支エネルギー安全保障を考慮し、需要拡大につき極力努力する」云々と答弁しております。こうなりますと、約一年近くかかって、ほんとうに選ばれた有沢調査団が衆知をしぼって、努力目標は五千五百万トン。政府の最初の方針も五千五百万トンということでありまするが、これは、池田総理努力目標は六千万トンとなったということに考えられるのではないか、そういうような考え方を持たせるのではないかと私は心配するのでありますが、一体どういうような考え方の違いでこういうふうに六千万トンと変わって参ったのでありますか、お聞かせ願いたいと思います。
  14. 福田一

    福田国務大臣 予算総会には私も出席いたしておりまして、総理答弁を聞いておりましたが、総理は決して六千万トンを努力目標にすると言ったことは私は聞いてはおりません。総理が申し上げたのは、五千五百万トンすらなかなか困難であるが、五千五百万トンは確保するのだ。しかし今あなたが仰せになったように、雇用の安定とか、あるいは国際収支というような面から考えてみると、もし使えるならばよけい使えるように、需要があるならば、これはふやせればふやすように努力したらいいと思う、しかし今考えられる限度ではそれはなかなかむずしい思う、非常に困難であるという大きな前提がまずついておるのでありまして、六千万トンを努力目標にしたというものではないのでございます。そこで、それでは全然意味がないじゃないか、何だ、六千万トンと言ってみたところで、非常に困難なら何の意味もないじゃないかということになりますと、私はこれは決して意味がないことじゃないと思っております。それはどういうことかといえば、今考えられる限度においてはなかなかむずかしいけれども、たとえば石炭を、燃料としてではなくて、エネルギーではなくて、何か原料にでも使う工夫はないか、あるいはまた採炭をする方法等が今のようなやり方でなくて、もっと画期的な方法考えられないか、あるいはまた石炭山を何か化学処理でもしまして、液体でもって動力を導き出すというような工夫はできないだろうか、こういうことはまだこれから研究して、そうして非常に安いエネルギーが提供できるということになれば、それはあえて五千五百万トンという線にこだわる必要はないと私は思っております。しかし今考えられるような状態においてはどうだということになりますと、総理が言った、非常に困難であるがというのがまず出てくるわけなんです。私があとで申し上げたような何か方法が出てくれば、今度はそれはもちろんふやせるということが出てくるわけでありまして、こういう努力は当然われわれとしてはしなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  15. 木村守江

    木村(守)委員 ただいまの答弁を聞いておりますと、何か有沢調査団雇用の安定とか、国際収支とか、エネルギー安全保障というようなことを考えていなかった。そのほかの理由があって六千万トンという目標が掲げられたというようなふうに考えられますが寸われわれ有沢調査団報告も読んでみましたけれども、いかがでございますか、そういうことですか。
  16. 福田一

    福田国務大臣 有沢調査団は、やはり雇用の安定とか国際収支というようなもの、それからまた安定したエネルギーの供給というようなこともいろいろ含めて考えた上で、五千五百万トンぐらいが適当であろう、こういう数字を出されたわけでありまして、私がその内容を今さら申し上げないでも、木村委員は十分おわかりと思いますから、それについては申し上げませんが、今言ったようなこともよく考えた上で数字を出されたのだと存じております。
  17. 木村守江

    木村(守)委員 私のただいま聞いておる理由は、成田君が国会質問いたしました気持は、何とか炭鉱労働者失業者をなくしたい、炭鉱労働者生活の安定した職場をつくりたいというようなことから、それにはまあ六千万トンの努力目標にしてもらうことによって、幾分でも失業者離職者が少なくなるというようなことのために、そういう質問をいたしたのだろうと思います。ところがそれに対しまして、総理は、六千万トンが努力目標ではないと申しまするが、これは努力目標でないと考えている人はだれもないのじゃないかと私は思うのです。これにつきまして、有沢調査団報告にはこういうことを書いてあります。涙の出るような言葉が書いてあります。労務者雇用の安定を第一義的に考慮すれば、できる限り多くの炭鉱労務者が、現在の職場で安定した形で働き得るような条件整備をしていくことが必要である、しかしながら、すでに指摘したように、現在の石炭鉱業そのものは、その雇用する労務者に安定した職場を提供しているとはいえない。炭鉱労務者生活をささえている石炭鉱業そのもの安定がなければ、いわゆる炭鉱労務者職場の安定はない、こういっております。これは、何とかして現在の職場で働かしたいのだが、働かしておくことによって石炭鉱業の安定はないのだ、それだからやむを得ずこういうような処置に出るのだというような、真実赤誠を込めた言葉が書いてあります。これを裏返しに考えてみますと、炭鉱労務者職場の安定というものは石炭鉱業そのものの安定によるのだ、石炭鉱業の安定には、いろいろな努力をしても、五千五百万トンがぎりぎりだということだろうと私は考えます。それで一時的の合理化、近代化をおそれて、不可能であると考えられる六千万トンというような数字を出すことは、いたずらに炭鉱の合理化、いわゆるビルドする山の合理化を遅延するのみである、そしてこのスクラップができない状態に伴って、これが炭鉱労働者生活職場の不安定を来たす原因になる。現在であればあるいは七万人でよかったのが、七万五千人になるような状態になるかもしれない、いつまでも不安定な職場を続けさせることは見るに忍びないから、最後の方策としてこういうような方法をとりたいのだと有沢調査団は言っている。最後の、こういうことはもうやらないというようなことを言って、これは非常に強い信念のもとに申し述べております。私はこういう点から考えまして、この六千万トンという数字は、一時は炭鉱労務者に大へんにいいような、喜ばせるような言葉であるかもしれないが、実際問題としては、これは将来に大きな禍根を残すのじゃないかということをおそれますので、重ねて御意見をお伺いしたいと思います。
  18. 福田一

    福田国務大臣 総理は、六千万トンを努力目標とするということを委員会で述べておる場合においても、総理自身が何も自発的に述べたわけではないのでございまして、それには前提があったわけであります。質問があったから述べておるわけなのであります。その質問というのは、六千万トンを努力目標にしてはどうか、こういう質問でございます。その質問に対して、今あなたがおっしゃったように、有沢調査団が心血を注いで書いた報告書の中で、いわゆる労務者にできるだけ石炭鉱業の中で安定した職場を与えようと思うけれども、今の状態ではできないんだ、それだからやむを得ず、こういうことにするんだということを総理は腹の中へ入れて、そういうわけだから、調査団が言っているようにすこぶる困難だ、しかしながら将来何かいい工夫でもあったらそれは考えるということは、何も悪いことじゃないんだから、そういう意味では一つ考えましょう、こういって答弁されたのだと私は解釈をいたしておるわけでございます。
  19. 木村守江

    木村(守)委員 どうもあまりしつこいようでありまするが、私は有沢調査団が五千五百万トンという数字をきめる場合に、これは総理質問に答えたのだというのだが、同じような要請があったと聞いております。しかしどう考えてもこれは不可能なんだ、そういうことをすることによって、せっかく合理化をしよう、いわゆるビルドをしていこうということが不可能になるんだというようなことから、これは涙をのんで五千五百万トンという数字を出したんだと私は思います。それはどうも質問に答えたんだということで過ごせる問題じゃないんじゃないか、その影響するところがすこぶる重大じゃないかと考えますので、重ねてお伺いします。
  20. 福田一

    福田国務大臣 これは、言葉をお返しするようでまことに恐縮でございますが、政治というものには——そんなことを言うと怒られるかもしれませんけれども、やはりいろいろ表現とかなんとかいうことは非常に、ものも言いようでかどが立つということもございまして、なるべく円満にやっていこうというような場合においては、そこら辺は言い回しをうまくするという面もあります。それからまた、希望を与えるということ、ぬか喜びをさせては悪いじゃないかということも、これも一つの悪い結果になると思いますが、しかしやはりそういうことについて心配しているんだ、何とかしてあげたいという気持があるのです、事実はできないかもしれぬが、しかし気持だけはそういうものを持っているんです、こういう表現をするということも、私はやはり一つ考え方だと思っておるのであります。(多賀谷委員努力すればできるんだ」と呼ぶ)そういう意味において総理は言っておられるのだ、こういうふうに解釈をいたすわけであります。
  21. 木村守江

    木村(守)委員 この問題で大臣と言い合ってもしょうがないと思うのですが、今多賀谷君からも、努力すればできるんだという声がありました。私はこういうようなことになりはしないかと思う。これは努力すればできるんだ、できるんだということで希望を持たせると言いますが、その希望というものは、将来大きな落とし穴のような、失望するような希望であっては、ほんとうの希望ではないと思うのです。そういう点を考えまして、これは政府としては、ほんとうに五千五百万トン以上は無理なんだというような確固とした態度をもって進んでいかなければ、せっかく政府が立てました政策大綱を行なっていくことができないと思いますので、よくお考えを願いたいと思います。  それから次に方向を変えまして、有沢調査団報告も、また政府閣議決定石炭対策大綱におきましても、将来の石炭需要確保のためには、従来の長期取引に加えて、当面はあるいは既設の火力発電所の石炭混焼率を上げるとか、重油火力を石炭火力に置きかえるとか、あるいは石炭火力発電所の建設をするとを、これに対しては資金を国で処置をするとか、あるいは弱粘結炭を極力国内炭を使用させるとか、セメント用炭あるいは暖房用炭、特に官公庁需要の優先確保の処置をとる。またそのほかに法制上、税制上の事柄を実施して五千五百万トンの精炭を確保いたしたいということを言っておられます。そうであるならば、私はお聞きしたいのですが、一体石炭対策大綱をきめられましてから、有沢調査団の答申を得てから、どんな施策をとっておられますか、これを具体的にお聞きしたい。  一例を申し上げますと、セメント用炭の需要低下、これは現実の問題であります。私の知っているところによりましても、現実の問題であります。そういうものに対しまして、政府は強力なる行政指導をやると言っておりますが、強力な行政指導をやっておられますかどうか。やった結果はたしてどのくらいな効果をもたらしておりますか。それから火力発電所の建設計画、これは一体どういうふうになっておりますか、この具体的なことをお聞かせを願いたい。それから官公庁需要の優先確保をはかるということを言っておりまするが、これについても明示してもらいたいと思います。こういうことを言いますと、これはこれからやるのだ、政府はこの関係法案、今度の予算が通ってからやるのだということを言われるかもしれませんけれども石炭鉱業界は現在すでにスクラップを断行して、幾多の善良な、働くことを希望しておる労働者が首を切られておるのです。これが現実の問題として行なわれておるのです。そういう点から考えますと、これは予算が、法律が通ってからやるのだということでは間に合わないと思うのです。一体現在どういうような御計画を立てておられますか、お聞かせを願いたいと思います。
  22. 福田一

    福田国務大臣 有沢調査団にいろいろ石炭需要確保についての案が出ておることは仰せの通りでございますが、それにつきましてはまず第一に、極力、鉄鋼等の業界に対しましてはすでに交渉をいたしまして、三十八年度においてはこの需要確保いたしております。  それからセメントの問題につきましては、実はこの間委員会においても私は答弁をいたしておりますが、これは行政的な指導を今やっておるところであります。それはできるだけ石炭を使わせるような工夫をしたい、こう思って資金面、その他の面で規制をするというようなことも考えておるわけであります。  それから官公需の問題につきましては、これはもう言うに及ばず、今まで通り使わせるように指導いたしておりまして、私たちは決して法案が通ってからやろうという気持でやっておるわけではございません。その面は、きょう今日においてもそういう問題でいろいろ打ち合わせをしたりしておるのでありまして、別に法案の有無にかかわらず、そういう方向で努力をいたしているということを申し上げておきます。  火力発電所の計画も、今計画をさせております。しかし御承知のように、これは資金計画というものとすぐうらはらになるものでありまして、現に電力会社はすでに四十年くらいまでの火力発電所の建設計画はつくってしまっております。それはこの問題が起きないときにできておりますので、どんどん工事が進んでおりますから、一部は手直しができると思いますけれども、三十八年、九年にできる分は、どうしても油専焼のものが多いのであります。しかし四十年くらいになると混焼にするようなこともできますし、どうしても四十年前後を目途としてつくっていく分ということになりますので、そういうものについては極力石炭を使う工夫——少なくともだんだんふやしていくわけです。来年は二千五十万トン、四十二年には二千五百五十万トンというようにだんだんふやしていきますから、その分に見合うだけの火力発電所がなければたけないわけです。それに見合うような建設をやるという考え方であります。もちろんその場合のやり方としては、現地で火力発電所を起こして需用地に送電させるというような工夫も加味しながら、今計画を立案させておるところでございます。
  23. 木村守江

    木村(守)委員 ただいま電力の問題が出ましたが、今大臣は、四十年までは火力発電所の建設計画はきまっているのだと言われております。それは電力業界の長期引取計画に基づいたものだと思うのです。ところが有沢調査団並びに政府石炭対策大綱によりますと、御承知のように、三十八年度は今年度より大体二百五十万トンよけいになる。明年度の長期引取が千八百万トン、つまり明年度の分だけでも二百五十万トン増量になります。従って、火力発電所の建設計画は変えていかなければならないということになります。二百五十万トンもよけいに電力会社に使わせることになりますから、これを変えていかなければならない。ことに三十九年度から四十二年度までは五百万トンふえることになりますから、年間百二十五万トンずつ電力用炭がふえて参ることになります。こういうことになりますと、今までできた四十年までの計画よりも、もっと早くいわゆる火力発電所をつくっていかなければならないことになるだろうと考えております。  私はその一例を、私の地方の常磐炭田にとってみます。これは年間大体四百万トンの石炭が出ます。四百万トンのうち、大体三〇%が中塊炭であります。あとの七〇%が粉炭、これがいわゆる電力用炭、二百八十万トンです。現在共同火力に五十五万トン使っております。それから東京電力あるいは東北、中部電力に四十五万トン使っております。そうなりますと、大体二百八十万トンのうち百万トン使っている。あと百八十万トンを来年からどうしていくかというような目の前の問題が起こって参ります。こういうような問題を取り上げて地方的に解決していかなければ、なかなか問題は解決しないのではないかと考えますので、特にそういう点に対しましてお考えを持っておられますかどうか伺いたい。
  24. 福田一

    福田国務大臣 お説のように、炭田別に考えてみまして、そういう特殊な事情が起きていることも事実でございます。ただ問題は、そういう火力発電をつくるといいましても、電力会社が一応全部つくることになりますが、それじゃ電力会社は今五カ年計画をつくるときにどういうふうに考えているかというと、火力発電だけでは電気の需用には応じ切れません。水力発電をやって、ピーク時の発電計画とにらみ合わせながらやっていくわけであります。ここで一応計画を立てております分を変えていくということになりますと、水力の分とにらみ合わせながらやっていくということになりますから、急に変えるわけにはいかない。電力会社が火力発電だけでやっていると計画の変更は楽なんですが、御承知のように、水力発電は時間がかかりますから、発電計画にいくまでに長く時間がかかるということで、四十年以後の発電計画ということになりますと、今から計画して、四十年ならまだある程度変えられますけれども、三十八年、三十九年分までも全部入れかえてやれということはなかなかむずかしい。しかし電力会社としては、そういうような場合に、専焼火力はできるだけ石炭を使うようにする、それから混焼火力の分は、混焼率を高くしてできるだけ石炭をふやすようにして、とにかく来年は二百五十万トンふやして使いますといって承知をいたしておりますから、行政指導のやり方によって、一応その分については少なくとも電力会社にたかせなければならないというか、たいてもらわなければならない、電力会社の需要というものは何とか減らさないで済ましていけるのじゃないか、こういうふうに私は考えております。がしかし、今あなたのおっしゃったような面も特に考慮いたしまして、火力発電をつくるときには十分指導して参る、なるべく現地に困難や苦労をかけないように一つ指導して参りたいと思っております。
  25. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 木村君に御相談があります。あと質問者が控えていますから、今度限りくらいでお願いします。
  26. 木村守江

    木村(守)委員 多賀谷さんの了解を得ました。  大臣の御答弁よくわかるのですが、これは来年から急に二百五十万トンよけいに使うことになっているのです。そういう点を考えまして、火力発電の問題も、これは水力との関係でいろいろむずかしい問題があると思われますが、特にお考えを願いたいと思う次第であります。  ちょっとこれは変な質問でございますが、御承知のように、石炭政策大綱並びに有沢調査団報告によりますと、四十二年度で現在の二十六トンの能率を三十八・六トンに上げるのだ、そして五千五百万トンを確保するのだ、そのようにすることによって、現在十九万八千人の従業員を十二万人程度に整理する、すなわち七万人余を首切りせねばならぬことになるのだ、こう言っております。しかし四十二年度に五千五百万トンという目標だと、能率がもしも三十八・六トン以上に上がって参りますと、これはまた人員整理をせねばならなくなってくるのじゃなかろうか、こういうふうに、能率を上げれば上げるだけ、いわゆる失業者をつくることになるのじゃないか。ことに、最近の科学の進歩は著しいものがあります。脅威的なものがあります。先ほど大臣がどういう事態がくるかわからないと言われましたが、脅威的なものがあります。こういうような進歩をしまして、能率は上がって参りました。能率を上げることができないということは、何人も言うことはできないと思います。どういうふうになってくるかわからないと思うのです。こういうような場合に、一体どういうふうなお考えを持っておられますか。先般私は三池炭鉱に行ってみました。ところが三池炭鉱は、スト前に比べて一躍二倍も能率が上がったと言っております。それは機械化したのじゃなくて、いわゆる精神的革命によって二倍になったのだということであります。そう言っております。精神的革命で二倍も上がるのですから、ほんとうに科学の進歩によってどのくらい伸びるかわからないと思うのです。そういう場合も、先ほどの大臣答弁とも関連して、どういうふうにお考えになっておられますか。
  27. 福田一

    福田国務大臣 ただいまの状態から考えてみて、相当合理化をしていき、今言われたような精神的革命を加えましても、まあまあそれくらいまでしかいかないのじゃないだろうかというのが、今の想定であります。しかし科学の進歩等のことを考えてみますと、仰せのような問題が起きないとはわれわれ保しがたいのであります。これはエネルギー全般について言えることであって、近年のよううな技術革命あるいはまた発明、進歩のはなはだしい時代におきましては、明日どういうような問題が起きてこないとも予測はできないのであります。そのときはそのときで考えるより仕方がないと思います。政治は現実でございますから、その時点において考え得る最善の方法をもって努力したいということでやるよりほかに、われわれとしては、神さんや仏さんではありませんから、とても先の先までは見通せない、こう考えておるわけであります。
  28. 木村守江

    木村(守)委員 最後に、石炭政策に伴いまして、産炭地の疲弊はまことに言語に絶するものがあります。ほんとうに深刻な社会問題化しつつあることは、御承知通りであります。これらの対策といたしまして、産炭地域の市町村はもとより、労働者、地域住民、すべての方々が、いわゆる産炭地振興事業団仕事、これに対しまして大きな期待を持っております。ところが、産炭地振興事業団の資金のきわめて僅少な点、それから融資が大体三〇%、最高が四千万円というように区切られておる点、それから該当地域が六条地域というように狭められているというような点を考えますと、産炭地振興事業団に期待する地元の方々の要望を非常に減殺するものがあると考えますので、これは第一の問題として、この産炭地振興事業団事業を拡張していく、そういうようなことを考えると同時に、地域を拡張いたしまして、政策大綱にも、大規模な工場の誘致をはかるといっておりますが、これは今の六条地域だけでは、ほんとうにどこも下ががらあきというほど掘ってあるのですから、大きな工場も建たないのです。大きな工場を建てるには、どうしても二条地域でなければだめなのです。そういうふうな地域の拡張を考えてもらわなければならぬと考えております。  これと関連いたしまして、一度に聞いておきますが、この市町村財政の現在の疲弊した状態につきましては、特に地方交付税の増額というようなことを考えていただかなければならない。それから中小商工業者に対するいわゆる売掛金の問題につきましては、これは特に考慮をしてもらいたいと考えますが、大臣どういうようなお考えを持っているのですか。  それから自治省には、市町村財政に対する特交の問題、以上の問題につきまして答弁を願いたいと思います。
  29. 福田一

    福田国務大臣 産炭地域振興につきましては、今の事業団といたしましても、仕事を始めましてからもう百何件の融資希望がありますが、こういうのは逐次許すように今仕事を進めさしております。しかし、今仰せになったような大規模な工場誘致ということになりますと、水の問題がどうしてもすぐに出てくるというようなことになりまして、なかなかこれは問題があると思います。私はそういう意味からいって、水を使わないでやれるような工業も相当ございますので、そういうものをやはり中心にしてさしあたり考えてみてはどうか、こう考えております。と同時に官の方におきましても、この間も閣議において総理がそういう発言をして、できるだけ一つ官の関係でもやろうといたしております。それから地方財政の問題は自治省の問題でございますが、売掛金の問題につきましても今いろいろと研究をいたしておるわけでございまして、何とかいたしたいと思っておる次第であります。
  30. 茨木広

    ○茨木説明員 市町村の財政問題についてでございますが、御案内のように、歳入の方が減ってくる半面、いろいろ需要が高まっております。それで私の方といたしましてもいろいろな面でこれについて考えてみたいというふうに考えておるわけでございますが、約七つの項目について申し上げたいと思います。  まず最初は、生活保護費についてでございますが、これは十分の八の国庫補助が出ております。その残りの地方負担分につきましては、一部普通交付税の中に入っておるものがございます。ただ、生活保護対象の増加に伴いまして増減がありますので、この普通交付税で見た残りの差額の方は特別交付税において全額見て参りたい、こう考えております。  それから失業対策事業関係でございますが、この関係は国庫補助が三分の二ないし四分の三、ものによりまして二分の一が出ておりまして、普通交付税の中で平常のものについては見ておりますが、やはりその残りのものについて特別交付税の方で見ていくようにしたい、こういうように考えております。  次は炭鉱離職者緊急就労対策事業関係でございますが、これについても国庫補助が五分の四ばかりいっております。残りの地方負担分は二割になりますが、この六〇%を市町村の場合は地方債で見ておりますが、その残りの四割につきましては特別交付税の方で見ていくということを考えております。それから地方債を充当した債務償還金につきましては、単独災害並みに一部交付税で見ていくという措置をとっております。  次は鉱害対策事業関係でございますが、この分についてはそれぞれ国庫補助の制度が定まっておるわけでありますが、残りの地方負担分について七〇%をやはり起債で見て参ります。それから、三割残りますが、その地方負担分の三割についてさらに八割を特別交付で見てやる、こういうふうに考えております。それから七割地方債を充当いたしました分については、元利償還金を緩漫災害並みに五七%見て参りたい、こういうように考えております。  次は準要保護児童等の問題でございます。これは主として文部省関係でございます。これは二分の一の国庫補助が出ておりますが、普通の交付税の中に入っておるもの以外のものは、やはりどうしても差額が出て参りますので、その残りのものにつきましてやはり特別交付で一〇〇%見て参りたいというふうに考えております。  次は鉱山労務者関係住宅等について、固定資産税の減免が行なわれたわけであります。その分につきましてはやはり特別交付税の方で見て参るようにしたいと考えております。  そのほかに、以上申し上げた項目ごとに見がたい財政需要があるものでございますから、その分は一応石炭及び亜炭に関係する鉱産税の三十七年度の基準税額の一割程度のものを、やはり特別交付税の方で別途措置いたしたい、こういうふうに考えております。  それからあとはいろいろなものを見るという趣旨におきまして、過去三カ年程度の離職者の数を基準にいたしまして、それに三千円程度と考えておりますが、それをかけましたものを、いろいろなものを見るという趣旨でやはり特別交付税の場合に措置して参りたいと思います。大体以上でいろいろなことを総合的に考えていきたいというふうに考えております。
  31. 木村守江

    木村(守)委員 ただいま通産大臣からの御答弁でありますが、大工場をつくる場合に工業用水が足りないというような話でありますが、その工業用水が足りないということも、これは六条地域に限るようなことを考えておるからじゃないかと思うのです。六条地域は、先ほど言ったように、下が全部掘ってありまして、大きい建物が建ちません。二条地域まで拡大してもらいますと、水の問題も解決して参りまして、相当の大工場を誘致することができます。問題は融資の問題でありまして、東北等は産炭地振興事業団の金を借りて、余分なやつは東北開発から借りなければならない。東北開発の金は金利が高いということで、非常な隘路になっております。そういう点から考えまして、産炭地振興事業団事業の拡大をはかるということが、一番大事な問題じゃないかと考えますので、特に御考慮を願いたいと思います。
  32. 福田一

    福田国務大臣 お説の趣旨は十分考慮いたしますが、私が申し上げておるのは、物理的に不可能だということを申し上げておるのではないのでございまして、経済性の問題があるということを申し上げたのです。産炭地域それぞれについて調べてみまして、経済的に合うか合わないかという問題があります。経済的に合わぬのは国で補助したらいいじゃないかという御議論はあると思いますが、一応の基礎として、経済性というものを考えると、なかなかいい地点がないということを先ほど申し上げたわけであります。しかし御趣旨の点は十分考えながら措置をいたして参りたいと思っております。
  33. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 多賀谷真稔君。
  34. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労働大臣並びに通産大臣一緒のところで質問する前に、今答弁がありました地方自治関係についてまず質問しておきたいと思います。  生活保護の問題は、御存じのように、普通交付税では人口数でいくわけですね。われわれはかねてから、これは失業対策と同じように、失業者数字に準拠して行なうべきだと言ってきたのが、なかなか変更にならないのであります。そこで、普通交付税で見てやるものを除く全額を、特別交付税で実数において見られるかどうか、これが第一点。  次に鉱害ですが、鉱害をまず起債と特別交付税で見てやる。その起債のうちで五七%をさらに特別交付税で補てんをするという制度をとってあるけれども、これは本来地方自治体は被害者で、起債の性格はないと私は思うのです。これは明らかに特別交付税の性格であって、起債の性格がない。市町村の方は被害者で、これによって市町村の財政が潤うわけでも何でもないわけですから、初めから特別交付税で見る、こういうように考えるべきではないか。それによって恩恵を受ける、もとあった姿よりもよりよき姿になるということは考えられないのですから、これは起債という面はあり得ない、こう考えるわけです。これは当然交付税全体で見るべきである、この点が第二点。  さらに第三点としては、これは給食費あるいは要保護を中心とする準要保護児童の問題ですが、従来でも全額、普通交付税を除いた部分は見てやります、こう答弁をされておるわけですけれども、この前もこの特別委員会質問をしたわけですが、三十七年度に例をとると、補助対象者は五%見てやる、単位が九百人ですから、五%ということになると四十五人ですが、実数は、給食費については二十五人をもって五%と換算をしてあるわけです。   〔委員長退席、岡本(茂)委員長代理着席〕 ですから、あなたの方で全額見ると言われましても、五%の範囲内は見てやるということになると、四十五人と二十五人の差が依然として残っていく、こういう問題が起こる。そこで実数を特別交付税で見られて、それを差し引き、普通交付税見合い分は現実に自治省の方で七%になるわけですから、七%でどのくらいの数字を充てられるかわかりませんが、この数字の差をもって、それを勘案して交付税を充当されるかどうか、これをお尋ねいたしたいと思います。  それから今お話がありましたいろいろな換算できない出費があるわけでして、その出費は、従来の鉱産税の基準税額の一割程度見ていきたいということでありますが、これは平均にそういうようにおやりになるのか、あるいはその財源をもって個々の市町村別々におやりになるのか、それをお伺いいたしたい。  それから離職者に対する計数をはじいて、その出費を見るというのですが、これは具体的にはどういうことであるかお聞かせ願いたいと思います。
  35. 茨木広

    ○茨木説明員 まず生活保護の問題と準要保護の問題でございますが、こまかい資料を今手元に持っておりませんが、国庫補助対象額が一応基本になるわけでございます。それから国庫補助を引きまして、残りが二割なり、それから準要保護児童の場合には二分の一残るわけであります。それから今度は普通交付税の中に、当該団体ごとに見てくるわけであります。それを差し引きました残りを特別交付税で全額見る、こういう方式でございます。  それから鉱害復旧対策事業関係でございます。これはいろいろ議論のあった問題でありますが、市町村側から見ますれば、おっしゃる通りに被害者でございます。被害を受けておるわけでございます。これをどういうふうに見るかという問題は、一番基礎になっております臨時石炭鉱害復旧法の問題との関係が非常にあるわけであります。できればそちらの方で根本的に解決がつくことが一番いいのでありますが、いろいろ論議しました末で、現在の建前というものは、先ほど申し上げましたように、国庫補助分、地方負担分、一部業者負担等もあるわけであります。そこで地方公共団体負担分につきましては、やはり一部見るということも、地方交付税の方自体にも限界がございますから、先ほど申し上げましたように、七割程度のものを地方債で見て、それをさらに後年度の特別交付税等でもって、元利償還の時期に来ましたときに逐次見ていく、こういう方式をとっております。この考え方も、これがいわゆる天然災害でございますとすぱっと割り切れる考え方もあるわけでありますが、一応原因が人為にきざしておるという面がございますので、そこで今までのいろいろな過去の例からいたしまして、いわゆる緩慢災害ということ風なるわけでございまして、緩慢災害並に五七%という見方をしておるわけであります。それから鉱産税の関係でございますが、これは、一割分につきましては、各団体ごとにそれぞれの基準財政収入額の方に見た鉱産税の基準額がございますが、それを基礎にいたしまして一律に見ます。  それから最後の、今言ったように個別的に大体産炭地に予想されますもので国庫補助制度なりいろいろな制度がありますのにつきましては、それぞれごとに拾って参ったわけでございますが、それ以外のものについては、それぞれ個々の団体については個別にいろいろなものをおやりになったりしております。そういうものについては必ずしも国庫補助制度というものが確立していない。従って、そういうよるべき数字もないわけであります。しかし、当然に税収が減る。七割は国庫の方で補てんされますけれども、税収の減というようなものもある。それからいろいろな需要があるということで、最近の各町村の実態等を調べてみまして、その中から需要額を取り出しまして離職者との比率をいろいろ求めてみましたところが、大体先ほど申し上げましたように三千円程度の額になるというようなところから、三千円というような数字を一応基礎にしまして計算した、こういうふうに考えているわけであります。
  36. 岡本茂

    ○岡本(茂)委員長代理 関連質問を許します。滝井義高君
  37. 滝井義高

    ○滝井委員 今自治省から御説明があったのを通産大臣お聞きの通り、実に複雑なんですよ。これはしろうとはわかりません。たとえば、この前の重政さんの発言の農地にしても、あるいは水道にしても、無資力になると、たとえば水道について言えば三七・五は自治体で持つのです。そして六二・五を国が持つわけです。三七・五の自治体の持つ分についてはどうなるかというと、その七割を起債で、今言うように見てくれるわけです。その起債で見てくれた七割のうちの五七%を、今度は災害並みで特交で見る。そして七割起債で見た残りの三割は、その八割をまた特交で見るわけです。こういう複雑な事務処理なんです。そういうように特交で翌々年度にずっと見ていくというならば、六二・五の国分と三七・五の自治体分の負担を変えて、もう初めから九割を国が持ちます、一割は自治体が持って下さい、そしてその一割について特交で見る、こういうように単純化されなければいかぬわけですよ。普通交付税で見る、起債で見る、特交で見るといったら、自治体はそれが入っておるのか入っていないのかさっぱりわからぬ。それはもう入っておるといえば入っておる。篠田さんの言うように、それは滝井君、全部見ておるのだ、これはこの前石炭委員会説明した。全部見ておるけれども、もらった金を調べてみますと、出した金の六割七分しか入っていない。そうすると、あとの三割三分は超過負担になって、自治体が自分の経費から出す、こういうことになっておる。自治省の方に言えば、それはみな見ておるのだという説明だ。だから私は、これを単純化する必要があると思う。どうせ国がお出しになるのならば、やはりすみやかに、後年度にちびちびと金をやってその金が死に金になるより、初めからきちっとおやりになった方がいいと思う。これは自治大臣も、多賀谷君も横におって指摘しまして、これは私もやはり変えなければいかぬと思っておりますという答弁をしておるわけです。そこでまず通産省の方の、無資力になった場合の負担区分、これを言うとまた、重政さんの方が全額国でやるのどうのとなるから、全額負担でなくてけっこうです、公費負担ということでかまいませんが、たとえば農地にしてみれば、無資力になったら八割三分国が見て、県が一割七分見るわけです。その一割七分が積もり積もると何億となるわけですから、篠田さんが言うように、だんだん詰めていくと五%くらいにしかならぬのだというのならば、復旧工事については五百万円だけは県が持ちなさい、九千五百万円は国が持ちます、こういうふうに初めからしてくれた方が、政策としては合理的で、事務が簡素化になって、能率的なわけです。こういう点は、自治省の方も、これはぜひやり方を簡素化しなければいかぬとおっしゃっておるのだから、大臣の方も、公費負担でけっこうですから、幾分自治体の負担があってもけっこうですから、この際自治省と話し合って、英断を下す必要がある。鉱害復旧が英断を下すことになると、今度は生活保護だって、これは二割自治体に負担さしておるけれども人口割で見たり生活保護者の数で見たりするようないろいろ複雑なやり方で、結局国が九割見るということになっておるわけです。だから、ここはまず通産大臣の方から開いていっていただく。これは篠田さんもああいう御答弁をされておるのですから、両者が話し合っていただくと、非常に前進した政策になると思うのですが、どうですか。   〔岡本(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 福田一

    福田国務大臣 お説の点もわからないわけではないのですが、何しろ私だけの所管でもありませんので、ここで御答弁申し上げるのは適当じゃないと思います。予算の関係もありまして、これは実現するまでにはまだいろいろなことがあると思いますが、お考えの基本は、何かそうした方が合理的なような気がするわけでありますけれども、はっきりわかったというところまではいかないので、一つ将来研究したいと思います。
  39. 滝井義高

    ○滝井委員 実は今お聞きの通り、これはなかなか計算がわかりにくいのですよ。わかりにくいから、そこは自治省のお役人にころっとうまくごまかされてしまうのかもしれませんが、やはりお互いにそういう気がするのなら、これは単純化する方がいいのです。どうせやる金ですから、二年、三年に分割してやるより、一年でやった方が、仕事の能率も上がるし、事務も簡素化されるし、気持もいいわけです。ですから、ぜひ一つそういう気持ですみやかに御検討願いたいと思う。そうすると、大橋さんの方も、たとえば緊就は五分の四です。ところがその他のものは三分の二になったり、二分の一のものもあるわけです。そういうものがだんだん右へならえしてくれば、事務的に非常に簡素化してくるわけです。そうすると、それは自治省までいかなくても、労働省と自治体、あるいは通産省と自治体で問題が片づいて、自治省の方は特交だけ、やればいいという形になるわけです。あまり起債だ、特交だ、普通交付税だといって、陳情政治をつくらない方がいいのです。そういう意味で、ぜひ勇断をもって、そういう気持もされるそうですから、すみやかに検討してもらいたいと思うのです。
  40. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 鉱害の今の特別交付税、滝井さんもおっしゃったことですけれども、今後この無資力鉱害というものはものすごく発生するわけですが、無資力鉱害はほとんど放置されておるわけです。今度交付金ができて、事業団によって整理される炭鉱は、ある一定資力の範囲内においては直すでしょうけれども、ほかはほとんどが無資力鉱害になる。そういたしますと、地方財政負担が十分できないために鉱害の復旧がおくれる、こういうような状態になるのですよ。通産省とよく話し合って、地方財政の方に予算化されてないという状態もあるわけですか、これは一つ十分考えていただきたい。それから基準年度を設けて、鉱産税の一定割合を交付するということですが、この基準年度のとり方に問題がある。旧産炭地になっておる地域がある。今の産炭地域振興法の第六条指定の場合も、われわれうっかりしたわけですけれども、岡垣村というのは実は元産炭地であって、法律ができるときは産炭地でなかった。だから出炭がなかったわけです。そこでうっかりして六条指定にしていない、こういう例があるのですよ。これは自治省も石炭局も責任があるわけですね。しかも、合理化事業団が買った山です。それもうっかり初期に買った山です。そうして産炭地域に入れるときに、当時の出炭で、御存じのように、産炭地域の指定をした。ところがあまり以前にやったために、失業者が多かったけれども、基準年度のとり方が悪くて、旧産炭地域になって産炭地域になっていないという例があるのですよ。ですから、これは一つ実情に相応したような年度をとっていただきたいと思うのです。あまり近く年度をとりますと、出炭は一つもなかったけれども炭鉱離職者は相当停滞しておるという例がある。これは自治省並びに石炭局にお願いをしておきます。そこで、労働大臣にお尋ねいたしたいのですが、炭鉱労働者が閉山によって解雇をされる、あるいはまた合理化によって、山は生きておるけれども閉鎖される、こういう状態の中で、その炭鉱離職者の帰趨ですね、一体どういうようになっておるのか、それをお知らせいただきたいと思うのです。この労働者がその地域には一体どのぐらい停滞をして、あるいは広域職業にはどのくらい乗って、一般紹介にはどのくらい乗っておる、こういう点を役所ではどういうふうに把握されておるかお聞かせ願いたい。
  41. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府委員から詳細申し上げさせます。
  42. 三治重信

    ○三治政府委員 臨時措置法ができましたのは三十四年一月末でございますが、それ以来今日まで約十万人の炭鉱労務者の純減がございます。それに対して、この臨時措置法ができまして、合理化の離職者につきましては約四万三千人ほど就職させたという数字になっております。これは安定所の紹介、そのほか会社あっせん、縁故就職というふうな関連で三万三千六百人、雇用労働者としてでなく自営業、農業という方面に帰趨された人が約六千六百人、それからほんとうに労働力からリタイアしたという方たちが三千八百人ほどおられます。合計いたしますと、約八万七千五百人ほど帰趨が出た。三十七年の九月末現在で安定所に求職申し込み中の方たちが約一万六千人、こういうふうに把握しております。
  43. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 まず、就職をした四万三千人の内訳を聞きたい。
  44. 三治重信

    ○三治政府委員 広域紹介で一万一千二百、一般紹介と申しまして、他府県でなくて当該地域で再就職された人が三万二千三百人というふうになっております。
  45. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三万二千三百人の大部分は、炭鉱に入っていく人ですか。
  46. 三治重信

    ○三治政府委員 炭鉱に入られた方は、自県内就職で千二百人、それから他府県たとえば長崎県から福岡へ来られたとか、福岡から佐賀へ行かれたというふうに、県にまたがってほかの方の産炭地に行って炭鉱に入られたのは百六十人、全国の構成比率からいうと一・四%、再就職された方の比率で一・四%。これは安定所の紹介によって炭鉱に再就職された人の数でございます。そのほかに、自分で縁故就職なんかされた方はまだ相当あると思います。
  47. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 実は、常用労働者移動を見ますと、大手関係は非常に少ないのです。ところが、その他の炭鉱の場合は非常に多い。三十六年度をとりましても、大手炭鉱の雇用率というのは三・九%です。ところが、その他の炭鉱は四六・七%という数字を示しておる。これは石炭統計です。ですから中小炭鉱は半分の労働者が一年間に入ってきておるという計算になるのです。これは統計では大手炭鉱と中小炭鉱統計ですが、中小でもかなり大きなのがありますよ。とにかくそれらを含めて、半分炭鉱に入ってきておる。ですから私は、縁故就職一般職業紹介による就職の中には、かなり炭鉱へ入っておると思うのです。これが入るところがだんだんなくなっていくと、問題があると思うのです。この就職というものは、もうプールでなくなるものですから、中小炭鉱というのは根こそぎなくなっていくわけですから、政策的に非常に問題があると考えるわけです。と申しますのは、あなたの方の統計でも、昨年通常国会に出された労働省の資料によりますと、当時、昭和三十六年四月から三月まで、前期末の繰り越し求職者というのが四万六千二百五人、それから新規求職者が八万二千八百四十九人、安定所による就職者が二万二千六百八十二人、縁故就職その他による帰趨者が六万一千八百二十六名、さらに繰り越しが結局四万四千五百四十六人という数字が出ております。この縁故就職その他による帰趨のうち、半分以上私は炭鉱に入っていると思う。こういう状態になる。そこで今後の安定行政というのが非常にむずかしいのは、ここですよ。従来の統計通り政策をやっていくと、大間違いが起こるわけです。従来は、炭鉱で失業をして炭鉱に入る。大きな炭鉱で失業して小さな炭鉱に入る。さらに小さな零細炭鉱に入る。これが大体通常行なわれておる例ですけれども、このプール機関というものが、御承知のように、保安臨時措置法によって勧告を受けて閉鎖する。さらに買い上げの対象になる。こう来るのですから、失業問題というものは非常に深刻になってくるわけですね。ところが政府昭和三十八年度の予算なんかを見てみると、やはり私が申しますような計数によってはじいてあるのではないか、こういうように考えるわけです。そこで私は県に、一体福岡県内における今までの実数はどうなっておるのかというのを調べさせた。そういたしますと、石炭合理化臨時措置法ができましてから今日まで、福岡県下で大体六万三千名失業しておる。そうしてそのうち、一般失対が四千名、それから緊急就労が五千名、公共事業が四百二十一名、鉱害復旧が千五百三名です。それから広域紹介が九千七百十六名、それから県内就職が二万五千四百三十二名、それから結局生活不安定層といいますか、これが一万六千八百四名、こういう数字になっております。二六・八%というのが一般失対にも行っていないし、緊急就労にも行っていない、こういう層が残っておる。  そこで私はこの数字をいろいろの面から検討してみたのですが、ちょうど生活保護がふえた数字と大体同じですよ。産炭地における生活保護というのは、こういうような数字になっておるのですよ。すなわち昭和三十年の三月に産炭地域で八千二百十世帯、これは世帯数でいきます。人口じゃありません。人口でいきますと二万四千ぐらいになるわけですが、世帯数で産炭地域における生活保護者が八千二百十世帯。昭和三十七年の八月には二万七千五百五十九世帯。生活保護がその地域においてふえておるのですね。そこに滞留をしながらふえておる数字がそうです。ですから結局合理化法ができてから昨年の八月までに、生活保護世帯が一万九千三百四十九世帯ふえておる。そういたしますと、今申しました不安定層というよりも少し多い。多いというのは。一般失対にも若干行っておるからでしょうね。ですから多いわけですが、大体数字が合うわけです。そこで今後、今までプールをされておりました中小炭鉱がなくなって、働き場所がなくなるわけです。そうして全面的に出てくる。そうして今、有沢さんがいっております十二万以上の労働者がいるんですね。それは組夫という形でいるのです。それからこの統計に載らぬ炭鉱があるのです。これは変な話ですけれども、統計に載らぬ炭鉱があるのです。災害が起こって初めてわかるという炭鉱が相当あるのですね。山田の奥とか二瀬の間の奥にある。この労働者が全部、炭鉱不況と一緒に失業戦線に飛び出してくる。一体政府はどういうように把握をされておるか。福岡県なら福岡県に限定してもけっこうですけれども、どのぐらい失業者が出て、一体どういう状態になるか、一つお聞かせ願いたい。
  48. 三治重信

    ○三治政府委員 福岡県の今申されました数字につきましては、福岡県としての分析で、私どももまだ十分検討しておりませんが、大体の傾向と申しますかは示しているのではないかと思います。今おっしゃいました中小炭鉱の離職者がまた中小炭鉱に入ってくるということにつきましては、われわれ有沢調査団の段階におきましても相当分析してみました。それで過去の実態調査によりましても、中小炭鉱の離職者のうちの約六割は中小炭鉱へ再就職しておるというのが、大体の結論だったかと思います。従って、その中小炭鉱がだんだんスクラップされていく場合に、相当膨大なのが出てくるんではないかという御心配でございましたが、われわれの調査や分析の結果によりますと、その中小炭鉱の今までの離職が多いのは、やはり中小炭鉱の賃金の支払いなり労務管理などが悪いために、中小炭鉱の山をあちこち移動する。それは何もスクラップされて離職するとか、解雇されて離職する、こういうことではなくて、むしろやはりこれは労働条件が悪い、雇用条件が悪いということで、本人の責めではないということにも理解できますが、移動という部面からいきますと、やはり離職を余儀なくされた離職者ではなくて、自発的と言ってはちょっと語弊があるかもわかりませんが、自己の意思に基づいての移動である。離職と雇い入れがそこでやはり相当相殺されていく。従って新しい中小炭鉱がスクラップされる場合に、その数をスクラップされることによる離職者にさらにプラスする必要はない。それは相互で交流していたのだけれども、これが一つ一つなくなっていきますと、そのなくなる分だけを考慮していけば結果としてはいいんじゃないか。それを、相互に動いているのをさらに加えるのは、二重の加え方になるというのが私たちの考え方でございます。  それから福岡地区は今後どうなるかという問題でございますが、それにつきましてはそういう地区別の四十五年度までのやつにつきましては、まだちょっと御答弁できるまでの資料は整理してございません
  49. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうも認識が違うんです。私が申しました十年間に六万三千名減ったというのは一絶対数が減っておる。首を切られて移動した人なら六万三千と言わない。私が質問しているのは、六万三千という数字は絶対数が三十年から今日まで減っている、こう言っているのです。そうしてその内訳を言ったわけです。その移動数を考えれば、ものすごい移動をしているわけです。ですから私が質問しているのは、結局その移動のことよりも、再就職をしたというけれども、その再就は中小企業にしておるのです。そうして、それは移動でなくて、絶対数だけでいっているわけです。結局その絶対数としてはこれだけいっているのだ、こういうことを言っているわけですね。ですから中小企業がなくなった場合に、今までの縁故その他による自己開拓の就職場というものはなくなるのではないか、こういうことを言っているわけです。私は初めからその差引計算をしておるわけではない。ですから私が申し上げておるのは、そういう職場がなくなった場合には自己開拓というものがほとんど考えられない、そうすると全部政府の政策による、結局安定所を通じての就職場を探さなければならぬ。そうするとあなた方は既存の統計によって政策を立てられようとしおてるけれども、それはうまくいかないのではないか、こういうことを言っているわけです。どこか摘出して、佐賀でもどこでもいいのですが、摘出して将来の見通しを考えたことがありますか。
  50. 三治重信

    ○三治政府委員 今の一つの地区を過去を調べ、現在どうなっていて、これを将来どうするというこまかい産炭地別まではまだ資料は整っておりませんが、私たちのこの再就職計画、雇用計画におきましては、その純減の人たちを今後雇用計画でどういうふうに再就職させていくかということでございます。それには、労働省といたしましては、できる限り再就職人たちについて広域紹介を主としてやっていく。それで、今までの実績が芳しくないので、その芳しくない最大の原因住宅にあるということで、住宅を万と数える数でつくる。今後もそういう広域紹介の方で、再就職のために移転就職者住宅をつくっていくというのが、一つの裏づけの基本的な態度でございます。それから今後は大手の方にも相当合理化解雇者が出る予想になりますので、大手につきましては、昨年以来就職対策部なり、各地区の事業地にも支店にも特別就職係を設けさせまして安定所と協力する。大手として自己の責任をもって再就職さすように、会社の機構も整備されつつございます。それからさらに、やはり家庭の事情やその他いろいろの事情で、産炭地をなかなか離れにくい方たちも相当いるわけでございますから、それにつきましては、政府としても産炭地で再雇用ができるような産炭地振興対策をとることになります。両々相待って再就職ができる限りうまくいくように努力していきたいというのが、基本的な考え方でございます。
  51. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 昭和三十七年度、このスクラップの山は、石炭局長は四百八十一万トンと言っておりましたが、そこに出る失業者はどのくらいか、さらに普通合理化によるものはどのくらいであるか、一体炭鉱離職者はどのくらい三十七年度出ているのか、これをお示し願いたい。従来は三百二十万トンだけの話がされておりますけれども、三百二十万トンについては八千名という話でした。買い上げ炭鉱あるいは保安不良の炭鉱を一緒にして、さらに今維持されておる炭鉱における合理化計画がこのまま実施されたら、大体三月末見込みでどのくらいになるのか。すでに常磐炭砿にも宇部興産にも出ておるわけです。これを一つ通産省からお聞かせ願いたいと思います。
  52. 中野正一

    ○中野政府委員 合理化事業団の買い上げに伴う整理人員でございますが、三十七年度が一万二千名、これは先般労働大臣お答えになったかと思います。それから三十八年度は、四百七十万トンの閉山に見合う分が約一万四千名と推定をしております。
  53. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 スクラップだけの話をされているから一万二千という話ですけれども、問題はそれ以上の数字が合理化で出ているわけでしょう。その合理化で出ている分はどのくらいかというのです。
  54. 中野正一

    ○中野政府委員 昭和三十七年度につきましては、対策を要する離職者の数は、閉山と合理化両方でございますが、約三万一千名と推定をいたしております。昭和三十八年度の分につきましては、目下いろいろ資料を検討中でございまして、これを十分検討した上で、審議会にかけるまでにこの数字をきちんとしたい、こういうふうに考えております。
  55. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三万一千も三十七年度に出るわけですね。それから三十八年度は、私は、今の勢いでいくと相当な離職者が出るのではないかと思う。これは余儀なくされるのではないかという気持がしてならぬのですがね。今までの実績からいきますと、大体一年間に二万名以上は無理ですよ。一年間に離職者を二万以上出したら、出るのは出るでしょうけれども就職場がないということを言っているのです。十万人で、広域職業紹介に乗ったのがたった一万一千でしょう。そうして一般職業紹介で三万、こういうのですからね。しかもこれはかなり日にちをかけてやっているわけです。ですから、一体これらの人をどうするつもりか、まず昭和三十七年度は一体どうするつもりか、三万一千名が出る前の繰り越しがどれくらいあるのか、これを一つお聞かせ願いたい。昭和三十七年の四月に一体どのくらいの求職者の繰り越しがあって、それが昭和三十八年度の四月にはどのくらいになるのか。その間に新規求職者として三万一千名が出てくる。これが一体どういう就職場にいくのか、これをお聞かせ願いたい。
  56. 三治重信

    ○三治政府委員 三十七年度の四月に繰り越されました有効求職者数は、一万六千名でございます。それから広域紹介目標を六千名、それから一般紹介の数を九千名、安定所で紹介する人員は以上二つ合わせて約一万五千人、それから会社あっせん、縁故就職を含めまして一万一千四百名、それで再就職される方が二万七千名、その他自営または帰農それからリタイアという方たちが約三千五百名というふうに予想しております。以上総計いたしますと約三万人、本年四月に持ち越されます求職者数が約一万八千五百人と推定しております。
  57. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今まで会社あっせんによるものが年度別にどのくらい出ているのか、これを一つお聞かせを願いたい。
  58. 三治重信

    ○三治政府委員 この会社あっせんの数は昨年から初めてとりまして、昨年の調査団のときからいろいろ調査をしたのですけれども、会社自身に、就職対策部はあっても、そういうはっきりした資料をつくっていなかったので、昨年からしかわからないわけでございまして、今までの各年度のものは資料がないと申し上げるほかないのでございます。
  59. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 とにかく昭和三十四年の四月から三十五年の十二月、これまでやりまして五千六百です。それから三十六年の一月から十二月までで三千百です。この中の、ざっといえば炭鉱の千二百というのは、これは第二会社です。こういう仕組みになっておるのですよ。今おっしゃるのは第二会社は入っていないのです。三万一千というのは、炭鉱から炭鉱へいくのは入っていないのです。これは絶対数ですからね。ですから、会社あっせんの中で第二会社に入るのはオミットしなければならぬ。それを入れて、今申しましたように、三十四年の四月から三十六年の十二月までに八千七百しかしていないのです。それをこの不景気の三十七年に、七千八百と見込まれてもできっこないじゃないですか。約二年半ほどかかってやっとそれだけの就職をさせたのです。一体今のような機構でできるかどうか、これをまずお尋ねいたしたい。
  60. 三治重信

    ○三治政府委員 今の資料はおそらく大手の一部の会社のものじゃないかと思いますが、会社のあっせんの問題につきましては、昨年度から非常に整備されてきたわけでございます。今年度におきましては、やはり私の方の一般紹介関係においても、御指摘のように、景気調整によって十分とは決していっていないわけでございます。われわれといたしましては、こういう目標数字でせっかく努力してみたいと考えておるわけであります。  なお先ほどの会社あっせんのことにつきましては、昨三十六年度の大手八社だけの数字で八千五百八十人ほどの会社あっせんをした実績がございます。
  61. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 まあ大手十八社以外は、実際上会社あっせんというのはむずかしいのです。中小企業の場合は、やはりむずかしいと見なければならぬ。ですからほんの一部ではなくて、やはり大手を除くと実際上非常にむずかしい。そしてこれはやはり山がかなり全国的にあるような炭鉱でないと実際の就織あっせんというのはむずかしいのです。これを七千八百というのは、相当の努力をしてもむずかしいのではないか。というのは、一番問題の、産炭地で一番悲惨な筑豊炭田が、北九州の就織が全然ない、ここに問題があるのです。従来、北九州にかなり行っているのです。筑豊炭田から県内就職に行っておった。ところが北九州は、鉄を中心としてもうほとんど不況で、鉄の関連産業が、御存じのように、臨時工やその他を首切り、本工まで小さなところは切っておるのです。ですから、八幡の安定所は今までになく失業者が殺到しておるという状態です。鉄が非常に景気がよかった時代に産炭地域における県内就職がでたというのは、そういうことです。ところがこれが全然皆無になった現在、就職というものは今までの率ではとうていできないのではないか。そこで一体これをどうするかという問題ですね。それから広域紹介の中で、さすが役所がやられた人数は少ないけれども、製造業等に相当行っている。これを今後どう伸ばしていくかという問題ですね。これらが今後の中心となるのではないかと思います。  それから住宅の問題、万を数えるとおっしゃいますが、そういう認識ではいかぬのです。一万やっとですからね。ですから、この住宅がやはり問題です。私はまだ足らないと思うのです。筑豊炭田では非常な景気変動が従来ともあったわけです。ことに大正から昭和にかけて景気変動があったときには、結局そこの労働者はどこかへ行ったのです。あんなに滞留しなかった。それは当時は借家がどこにもあったからです。結局、今は借家がどこにもないというところに問題がある。停滞しないようにするには、一方において住宅政策というものが強力に行なわれなければならぬ、こういう問題になると思う。そこで、昭和三十八年度はおつしゃらないのですが、しかし昭和三十八年度の予算が今出ておるわけです。あなたの方は、就職促進手当が四千何名という数字を出しておるのですね。ですから大体どのくらいの見込みでいくのか、こういう点がわからぬと、職業訓練所の開設をしても、どのくらいやるのかということがはっきりしないでしょう。これはやはり再就職計画と関係があるから、私は聞いておる。今度石炭鉱業審議会が改組されて、いよいよ三十八年度の再就職計画をかけるわけでしょう。一体その場合に、どのくらい労働省としては就職ができる力があるか、これ以上はとても無理だ、こういう線がある程度出てくるだろうと思う。ですから一体それはどういうようにお考えであるか、まず労働大臣からお聞かせを願いたい。
  62. 大橋武夫

    大橋国務大臣 大体ある程度の離職者の数がわかって参ります。これは合理化の計画を立て、また政府の計画を立てるに従って当然計画されて出てくるのでございます。従いまして、労働省といたしましては、その全員をいかに安定職場へ転換させるか、これにつきまして役所のあらゆる機能を活用いたしまして、およその努力の限界というものを算定いたし、そしてそれを一定の計画にまとめまして、そうして合理化計画の裏づけとしての雇用就職をつくり上げたいと思います。もちろんこの雇用、再就職の計数として打ち出しますには、具体的な現実性のある、根拠のある数字をもとにしなければならぬのでありまして、これには全国的な機関を動員いたしまして、相当詰めた数字をもとにして、立てた計画が間違いなく実行できるようなものにいたして参りたいと存じます。
  63. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 合理化で解雇される人が非常に少ない場合は、労働省においてもそれに応じた再就職計画を立てられればいいわけですね。ところが予想される状態は相当膨大な数字であるというならば、むしろ労働省の方が今度は主体になって、自分の方で受け入れられるものはこの程度であるというのを出さなければならぬのです。そうしないと、合理化計画は再就職計画と全然無関係にぼっと出る。そうしてあなたの方はそれに応じた再就職計画を立てるとするならば、これは全く何のためにてる再就職計画を立てられるのか。絵にかいたもちになってしまうのです。あなたの方は合理化計画に相応する再就職計画を、とにかく机の上ではじいておけばいいということになると大へんなんです。われわれはそれを心配しておる。人数が少ない場合は、あなたの方は、合理化計画を主体として、それに即応する再就職計画を立てればいいでしょうけれども、とにかく少なくとも来年度は私は今後の、四十二年までの計画のピークになるのではないかということを憂えるわけです。ですから問題は、再就職計画の方が主体になって、ほんとうに実効ある措置がどの程度できるかというのが問題です。それに今度合理化計画を逆に合わさなければならぬという状態になるわけですよ。これが有沢さんが非常に苦労された点ですよ。これができなければ、有沢答申というものは全く意味がない。ですから、あなたの方で総動員をしてどのくらい収容ができるのだ、再就職の見通しをつけて、どのくらいできるんだということが主体的にあなたの方がきめられなければ、合理化計画、整備計画というものはできない。これは普通の状態、あなた方は通産省についていけばいいという状態ではないからですよ。ですから、近く審議会が改組をされるし、三十八年度の計画が出されるでしょうが、一体どのくらい収容ができると考えられるのか、これは一つ次の機会までにはっきりお示しを願いたいと思うのです。  時間がないそうですから私はこれでやめますけれども、一体今考えられるものはこのぐらい、いかに合理化が出てもこれ以上はできませんという、それも内輪であればなおけっこうですけれども、あなたの方を主体に私は合理化計画が出てくるのじゃないかと思う。ですから、一つ次の委員会までに大体今おっしゃいました実効ある見通しを立ててもらいたい。これで本日はやめて、あとの質問は次に回したいと思います。
  64. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会