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1963-02-01 第43回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月一日(金曜日)    午前十時十二分開議  出席委員    委員長 上林山榮吉君    理事 有田 喜一君 理事 岡本  茂君    理事 神田  博君 理事 始関 伊平君    理事 中川 俊思君 理事 岡田 利春君    理事 多賀谷真稔君 理事 中村 重光君       安藤  覺君    有馬 英治君       岡田 修一君    亀岡 高夫君       藏内 修治君    齋藤 邦吉君       白浜 仁吉君    周東 英雄君       中村 幸八君    井手 以誠君       滝井 義高君    細迫 兼光君       松井 政吉君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         厚 生 大 臣 西村 英一君         農 林 大 臣 重政 誠之君         通商産業大臣  福田  一君         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         郵 政 大 臣 小沢久太郎君         労 働 大 臣 大橋 武夫君         自 治 大 臣 篠田 弘作君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         内閣官房長官 八田 貞義君         内閣法制局長官 林  修三君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  山口 一夫君         大蔵事務官         (主税局長)  村山 達雄君         大蔵事務官         (理財局長)  稲益  繁君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      五十嵐義明君         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         通商産業事務官         (大臣官房長) 渡邊彌榮司君         通商産業事務官         (石炭局長)  中野 正一君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      八谷 芳裕君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      塚本 敏夫君         中小企業庁長官 樋詰 誠明君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君         労働事務官         (職業安定局         長)      三治 重信君         労働事務官         (職業訓練局         長)      村上 茂利君         建設政務次官  松澤 雄藏君     ————————————— 二月一日  委員木村守江君、澁谷直藏君及び濱田正信君辞  任につき、その補欠として安藤覺君、亀岡高夫  君及び岡田修一君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員安藤覺君、岡田修一君及び亀岡高夫君辞任  につき、その補欠として木村守江君、濱田正信  君及び澁谷直藏君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第一一号)  石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一二号)  産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三号)  炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一四号)      ————◇—————
  2. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案及び炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案議題として質疑に入ります。  なお質疑に先だち、質疑をされる方に念のため申し上げておきますが、先ほどの理事会で御協議いただいた時間を厳守して下さるようお願いいたしておきます。  なお、政府側が定刻に少しおくれられたことは遺憾であります。  質疑の通告があります。これを許します。神田博君。
  3. 神田博

    神田委員 さきの第四十二臨時国会は、石炭国会と言われながら、肝心の石炭関係法案審議未了となりましたことはきわめて遺憾なことでありまして、法案の流れた原因はいろいろありましょうが、世上、その最も大きな争点はいわゆる石炭三項目と言われるものであると思います。この点につきまして、去る一月二十五日の本会議において、総理を初め関係大臣答弁されましたが、まずこれらの点を中心に質問を進めて参りたいと思います。  あらためて申すまでもなく、明年度より実施せんとする政府石炭政策の大綱は、昨年秋の有沢広已氏を団長とする石炭鉱業調査団答申に沿ったものであります。石炭鉱業調査団答申は、需要確保生産体制確立雇用の安定、産炭地域振興、その他きわめてきめのこまかいものでありますが、その基調をなすものは、第一に、現在の石炭鉱業世界的エネルギー革命の影響のもとにあって非常な苦境にある状態では、雇用労務者に安定した職場を提供しているとは言えないということ、第二に、石炭鉱業を安定するためには可能な限り需要を増大することが望ましいが、エネルギー革命は今や世界的現象であり、流体エネルギー優位性が決定的である現状において大きな需要を造出することはきわめて困難である、しかし政府を初め消費者金融機関も含めて石炭関係者協力の上適切な施策が講ぜられるならば、昭和四十二年度において五千五百万トン程度需要確保されるであろう、エネルギー安全保障観点からも、この程度石炭生産は必要であるというのであります。言葉をかえて申せば、関係者協力犠牲を分かち合って、適切な施策を講ずるならば、昭和四十二年度五千五百万トンの生産体制石炭鉱業を安定せしめることは可能であるから、目標をここに置いて石炭政策を進めるべきだというのであります。総理はこの際、このような考え方を十分御認識の上、安易な妥協をせず、総力をこの点に置いてやっていただきたいと熱望するものでございます。  そこでまずお聞きしたいことは、需要確保についてであります。  あらためて申し上げるまでもなく、石炭政策の大原則は、エネルギー安全保障国際収支とともに、消費者に安いエネルギーを供給するという考え方、言いかえれば、経済性を無視してはいけないということであります。社会党は昭和四十二年度に石炭需要を六千万トンまで確保すべしという意見を持っておりますが、私は、まず五千五百万トンの生産体制を完全に整備し、ともかくも昭和四十二年度までに石炭鉱業を安定せしむることが重要であると考えますが、需要確保についての総理の御所見をまず第一に明らかにしていただきたい。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りでございまして、現状から申しますれば、有沢調査団も言っておられるごとく、五千五百万トン確保にも相当努力を要するのであります。しかしわれわれといたしましては、五千五百万トンはわが国国際収支あるいは雇用の問題あるいはエネルギー確保意味から申しましても、ぜひこれを実現いたすべく努力をしようといたしておるのであります。そのためには、御承知通り大口需要者すなわち石炭鉄鋼等はもちろん、セメントあるいは九電力以外の火力発電等の助成をいたしますと同時に、新しい石炭需要面への研究も続けていきたいと考えております。
  5. 神田博

    神田委員 そういたしますと、重ねてお尋ねいたしますが、有沢調査団答申に基づいた五千五百万トンというか、経済性というものを考えると、六千万トンというようなところまではなかなか容易なことではない。とにかく調査団答申にもある五千五百万トンの確保ここまで一つ整備して、将来のことはまた先に考えると申しますか、需要の問題についてはとにかく安定ということに中心を置かれて整備をやっていく、こういうふうに考えてよろしいのでありましょうか。今新しい需要ということもおっしゃっておりましたが、新しい需要とは具体的に何だということになると、これはなかなかむずかしい問題だろうと思います。これから考えるということであって、具体的なことは、これはお聞きする方が無理とも思いますが、調査団の報告を十分生かしていきたい、こういうふうに考えてよろしいのでございましょうか。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 その通りでございます。先般の閣議決定におきましても、有沢調査団の趣旨を尊重いたしまして、あの線で大体進んでいく。しかしいろいろな点がございますので、将来、研究と申しましたが、石炭の今までの用途以外に用途を見つける研究もいたさなければいけません。ただいまのところ、大体五千五百万トンの確保に全力を尽くす。なお今後におきまして、需要関係その他経済界のあれで、多いにこしたことはございませんが、今のところは有沢調査団の線に沿っていきたいと考えております。
  7. 神田博

    神田委員 よくわかりました。新しい需要の場合につきましても、もとよりこれは経済性ということが十分考慮のうちになされることと私了解いたしまして、この第一項は了承して、その次に移りたいと思います。  次にお尋ねいたしたいことは、いわゆるボーダーライン炭鉱に対する融資の点でございます。この点につきましても、去る一月二十五日の本会議質疑応答がなされておりますが、ボーダーライン炭鉱というのは、客観的には合理化計画の中で言われている増強、維持分に属する炭鉱であり、従って経済炭量がありながら、労使関係の不安定その他の理由により経営状態の悪い山をさしているのだと思うのであります。この点はどういうふうにお考えになるでしょうか。もしそうだとすると、明年度資金ワクは少し少ないのじゃないか。昭和三十七年度は合理化資金として開発銀行より百二十五億円、整備資金として百億円のワクをとっておったのでありますが、三十八年度は開発銀行資金が百十億円、整備資金が六十億円というのは、合理化事業団業務計画とのかね合いより考えても少ないのじゃないか、こういうように思うのであります。財政投資ワクを減らしておいて特別融資制度を云々することは論理的にもおかしいし、納得ができません。一体どういう意味であるのか。責任を持ってやるのか、また、財政ワクを減らした理由はどういう意味なのか、この点について御所見を伺いたいと思います。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 ボーダーライン云々のことがございましたが、先般は所管の大蔵大臣が答えたのであります。これは、ボーダーライン云々は、私の了解するところでは、五千五百万トンのうちの炭鉱であって、しかもお話のように、炭量その他からいって将来立ち直りができるもの、ただ一時的に資金が不足して困るというふうな場合をさしておると私は了解いたしておるのであります。しこうして開発銀行の百十億円、また事業団の六十億円、こういうものにつきましては、大体まかなえると私は考えておるのであります。やはり今後の状況を見ていかないとはっきりいたしませんが、えてして石炭に対しまする融資は、従来の例から申しますと、予定しておってもそこまで行かないのがおおむねの例だったのでございます。しかしこういう画期的なことでございますから、一応はそう見ておりますが、具体的の問題が起こったならば、その事情にマッチするように努力することはもちろんでございます。詳しくは大蔵大臣から答えさせます。
  9. 神田博

    神田委員 そういたしますと、従来の実績等から考えると、石炭鉱業のそうした資金面については、いつも全部使い切っておらない、それでも大体の目的を達しておるんだから、今度は絶体必要というか、そういうことも勘案して組んだので、これでやっていけると思っておる、こういう御所見のようでありますが、もしやっていけないということが現実にはっきりしたというような場合においては、もちろんこれは追加でもなさる、こういうお考えと了承してよろしいでしょうか。これはどうも大蔵大臣にお聞きした方がいいのかもしれませんが、きょうは国会対策から総理だけにしてくれという、向こうの方からのことなんで、私の方からの希望じゃないのでございます。時間の関係上そういうような申し合わせになっておるのでございますが、この点を一つはっきりしてい光だきたい。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 大体まかなえると思っておりますが、御承知通り炭鉱資金というのは開発資金とかあるいは政府資金ばかりではございません。やはり民間資金相当活用していかなければならぬのでございまして、事態に応じまして、民間協力を得まして善処いたしたいと思います。
  11. 神田博

    神田委員 総理の御答弁で了承できるのでございますが、もちろんこれは民間資金も年々そういう方面に出ていることも今御答弁通りでございますが、今度の整備計画から参りますと、いろいろ他の方からの議論もございまして、ボーダーライン層そのものについての線の引き方についての議論もございますものですから、私先ほどから申し上げましたように、炭鉱そのもの経済性があって、しかしその他の事情によっていわゆるうまくいっていないと申しますか、苦境にあえいでいる、それを融資の面で生かしていこう、こういうことでございますから、今総理がお述べになりましたように、それは民間資金も動員し、足らなかった場合にはなお増してもいいんだ、こういうことがはっきり御答弁がございましたので、そういうようになさるということについて、私も了承いたしたいと思います。  次に、産炭地域振興についてお聞きいたしたいと思います。石炭政策を実施して合理化計画を推進することに伴う産炭地域疲弊は宿命的なもので、まことにこれは御同情にたえないところであります。特に北九州地区においては深刻な社会問題になっておることは、御承知通りであります。産炭地域市町村はもとより、労働者地元住民等は、石炭鉱業にかわる他産業誘致を強く要望しており、去る第四十回国会において設立された産炭地域振興事業団に対し、産炭地域振興の唯一の中核体としての多大の期待希望を寄せておるのであります。しかるに事業団資金量融資ワク等がまだ十分ではなく、殺到しておる資金需要をまかなうことが困難であり、加えて現在の貸付融資ワクは一件当たり四千万円程度で、これでは中小企業工場誘致がやっとであると思うのであります。石炭鉱業調査団答申にも、新たに数千人を雇用する大規模機械工場建設政府関係機関直営工場設置等を行なうべきことが明記されておるのでありまして、これらの誘致を容易ならしめるため、産業立地条件整備を早急に実施すべきであり、さらに事業団業務の範囲についても検討すべきであると思います。総理はこのような実情を勘案の上、産炭地域振興産炭地域住民期待にこたえるため、特に政府関係機関直営工場設置については、他に先がけて具体化するよう閣議決定等をなされることが、民間企業の進出の呼び水となるのではないか、同時にまた雇用拡大期待され、産炭地域振興に寄与する一石三鳥とでも申す効果があると思うのでありますが、この点はどういうふうにお考えでありましょうか。  さらに雇用の面について、広域職業紹介等によって他地区への転職あっせん等が行なわれておりますが、もちろんこれも大切でありますが、産炭地域内に大工場誘致することに伴い、住宅等についての特別の措置を講ずるならば、相当数離職者地元に吸収することが可能であって、産炭地域疲弊より救う大きな方法であろうと思いますが、総理の御所見を聞きたいのであります。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 お話の点はまことにごもっともでございまして、有沢調査団におきましても、そういうことを答申なさっておられるのであります。政府ボタ山整理土地造成、あるいは政府直営工場を努めて設け、あるいはセメント等石炭需要度の多い工場につきまして、産炭地に設ける場合には融資その他の特別の措置を講ずる等、できるだけの措置を講じまして、積極的に産炭地振興をやって、お話通り、それが雇用拡大にも相なりますので、重点的にそれを考えていきたいと思っております。
  13. 神田博

    神田委員 産炭地振興に対する総理熱意は十分了承できるのでありますが、今申し上げましたように、たとえば、一つの例と申しますか、専売公社等が増設をするというようなこともほのかに聞いておりますが、そういうことが事実とするならば、政府直営事業でもございますので、この閣議決定というか、何か一つ強力な御指導のもとに、産炭地疲弊を救うために政府機関を持っていく、こういうことを第一にやっていただくと、今総理がお述べになったようなことも、民間もずっとついていくのではないか、こういうように思うのでございます。専売公社等が増設するというような際に、そういう熱意一つ具体的にずばっとお示しをいただく、こういうことについてどういうお考えをお持ちになっておられるか、もっとはっきりお答え願えれば非常にいいのじゃないか、こう思うのでございます。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 関係各省でいろいろ検討しておると思います。専売公社たばこ工場ということも話題に上っておるようでございます。これは十分検討の上、できるだけ早い機会にそういう結論を出したいと思っております。
  15. 神田博

    神田委員 これは、くどいようでありますが、関係官庁総理の御方針でおやりになっていることも承知いたしております。しかしこういうことはやはり、もとより経済性を無視してやることはできないと思いますが、大方針というものはもうこういう際は樹立されて、そしてむしろ閣議決定というか、上の方からずばりとおろしてやるというようなことに、なお一段の御指導一つおやりになっていただきたい、こう思うのであります。  それからもう一つ、この総合エネルギー政策確立についてのお尋ねをいたしたいと思います。これは非常に大事なことでございます。総合エネルギー政策を樹立すべきであるという意見は、もうすでに国会にも出ておりますれば、各界でも非常な議論になっておりますが、実情は依然として、各界各様希望と思惑のもとに勝手な考え方をされておるようであります。今後石炭政策を進める上において、多くの問題を残すおそれがあると考えるのであります。私は総合エネルギー政策について最も重要なことは石炭石油電力を適切に調整し、協力態勢の上に安定せしめることが必要であると考えておるものでございます。現状のごとくお互いがあたかも敵対関係にあるがごとき形は、愚の骨頂である。いたずらに自己の体質をそこない、不健全にしておるだけであります。エネルギー産業は、重要な基幹産業であり、従って電力石油石炭の各産業を健全化することが望ましいわけでございます。そのためにはまず官庁機構を改めて、三つエネルギー業界協力してやれるような素地をつくるべきである。従来までのごとく、ともすれば政府が各業界代弁者的立場をとり、調整のできないような現行機構をすみやかに改めるべきである、こういうふうに考えるわけであります。このようなことをしない限り、真のエネルギー政策はなかなか行なわれないと思います。総理はこの際、燃料省であるとかあるいはエネルギー庁設置する、こういうようなことをお考えになって、できるだけすみやかに実施されるということが必要なんじゃないか、こういうふうに考えておるのでございますが、どういうように考えておられますか。この点についても一つ大胆率直にお考えをお漏らし願いたいと思うのであります。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 エネルギー総合的研究につきましては、お話通り非常に必要なことであります。従いまして、ただいま通産省にあります産業構造調査会エネルギー部会で、この点につきまして検討を加えておるのであります。行政機構の問題になりますと、幸い今通産省電力石油石炭、これを一省でやっておりますし、しかもこれは産業行政の根本とも言うべきものでございますので、私は、今の通産省にこういう三つ部門があるというので、新しい機構をつくるよりも、今のものでやった方が他の産業とのつり合いその他から考えまして、適当じゃないかと思っております。
  17. 神田博

    神田委員 今やっておられる行政についてはその通りでございますが、総理のお考えをもっと突っ込んでみると、燃料省をつくるということはどうだろうか、今やっておられる通産省三つ部門行政をもっとスムーズにやる、私が今申し上げましたようなエネルギー庁というか、外局といいますか、何かそういう一つにまとめたもので行政指導をやる、そういうことがむしろいいのじゃないかというふうにも聞き取れるわけでありますが、これは私がそう思ったのか、あるいは私の考えがそうであるものだからそういうふうに受け取ったのか、この点をもう少し明らかにしていただいて、とにかく現在ではどうもうまくいっていない、いろいろ議論のあることは総理も御存じの通りでございますので、もう少し突っ込んだ御意見一つお聞かせ願いたいと思います。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 電力石油石炭、いわゆる燃料庁と申しますか、省の必要はないと思いますが、燃料庁として設けたらどうかという御意見のようでございますが、私は、こういう大きい仕事を、しかも相反するといいますか、相競合するものを一人で持つ、そして一つの役所ということはなかなかやりにくいのじゃないかという考えを持っておりますが、一つの新しい構想として今後研究してみたいと思います。
  19. 神田博

    神田委員 ぜひ一つ構想として御検討を願いたいと思います。いろいろ他の省その他等々との関係もありますが、日本の経済を伸ばしていく一番大事なエネルギー源でございますので、このままでいいのかどうか。私が先ほど来申し上げておることは、国会でも、また国会外でも非常に強い意見が出ておりますが、総理が御検討されるというのでございますから、私はぜひ御検討願いたい、こういうことを申し上げて、この点は終わることにいたします。  最後にもう一つ、これは運輸大臣にも聞いていただきたかったのでございますが、運輸大臣がおられないようでございますので、総理に特にお聞きしたい。  それは、石炭鉱業を安定してわが国経済発展の一翼をになわすことは、貿易の自由化のもとにおいて幾多困難のある問題でありますが、国民のあたたかい協力によって推進すべきことであります。今後五カ年に千二百万トンの整理をする、また七万人の炭鉱離職者の発生が予想されるのでありますが、これらはすべて民間企業がその対象となっております。そこでお聞きいたしたいのでございますが、国鉄志免炭鉱というのがございますことを総理も御承知だと思っております。志免炭鉱は現在三十万トンの出炭構想で、年間三億円の赤孝を出しておるといわれております。トン当たり一千円の赤字でありますが、今回のスクラップ化を予想されるものには、トン当たり五百円の赤字を出している炭鉱も含まれているやに聞いておるのであります。民間炭鉱分に比べて、経理内容と申しますか、採算的に見て悪いのではないかと考えられますが、もしそうであるならば、単に国鉄経営という理由だけでスクラップ計画より除かれているというのは、石炭政策観点から了解に苦しむわけであります。民間企業のみ犠牲をしいられることは、これは許されないと思う。エネルギー政策見地から、国民経済的見地より、志免炭鉱についてもっと厳粛な判断を下すべきであると思いますが、総理は、こういうことについてどういうふうなお考えを持っておられますのか、これはなかなか相当の批判もございますので、この際総理答弁一つお願いいたしたいと思います。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 先年志免炭鉱問題が相当議題になったことを承知しております。国鉄におきましても経理合理化の点から、私は考えていかなければならない問題だと思っております。ただ、具体的の炭鉱につきましては私はよく承知しておりませんので、方向としては私は合理化に進むべきものだと思いますが、いずれ所管の大臣からこの問題はお答えすることにいたしたいと思います。
  21. 神田博

    神田委員 私はこれでけっこうです。
  22. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 時間を節約していただいてありがとうございます。  多賀谷真稔君。
  23. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 総理にお尋ねいたしたいのですが、働けば働くほど仲間が首を切られるという矛盾した政策を一掃してもらいたいというのが、労働者の切なる要望であったと思います。この要望がむげに退けられたわけでありますが、これに対する総理の心境をお聞きしたい。と申しますのは、昭和三十四年十二月に、今後の石炭政策のあり方として、当時の石炭鉱業審議会基本部会は、昭和三十八年度には五千五百万トンとして、能率を十四・九トンから二十六・二トンにする、人員を二十六万八千から十七万五千にすると決定しました。労働者はかなり首切り反対をいたしましたけれども、現実は昭和三十八年を待たずして、人員は十七万台になりました。能率は約二倍の二十六トン以上に達したわけです。こういうように労働者は要求された事項を順守をしておる。ところが今度出されました政府石炭大綱というのは、さらに輪をかけて、ここに数万の首切りを要求してきておる。これで一体、生産性の向上を叫び、人づくりを提唱されておる総理として、どういうようにこの事態をお考えになりますか、これをまずお聞かせ願いたいと思います。
  24. 池田勇人

    池田国務大臣 今の御質問の点が、このエネルギー革命によって、今後の炭鉱がどうなるかということを示しておるのであります。働けば働くほど首切られるということが、今の石炭鉱業の宿命であるのであります。それをいかにかして、働く者は十分働く場を持ち、そうして過剰人員につきましては別の新しい健全な働き場所を設けるというのが、私の考え方でございます。
  25. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それほどきわめて深刻なる事態を認識されておるならば、私はあらゆる面において画期的な政策がほしかったと思うのです。なるほど総理は、臨時国会におきまして、本会議答弁において、今回の石炭政策は画期的なものであり、私は世界的にもあまりないほどの画期的措置であると思います、こう答弁をされております。ところが、はたして世界的に見て画期的な政策であるかどうか。私は今日までの石炭政策を振り返ってみるときに、総理の認識がはなはだ違うのではないかと思うのです。第一には、歴代の政府のそのときの思いつき思いつきで描いた石炭政策にも問題があるでしょう。しかし、第二には、資本主義の西欧諸国においてやっておる状態、この状態は一体どういうように認識されておるのか。それは、イギリスの石炭における国有、電力における国有、石油行政措置における調整、フランスにおける炭鉱の公社、電力の公社、石油の一手買い取り。また、自由企業でありますけれども、西ドイツの場合は日本の状態とは非常に違うわけです。西ドイツの場合は、炭鉱はむしろ鉄鋼会社が経営しておるといっても過言でないくらい、その結合体は強い。さらにその炭鉱電力を卸売りしておるという状態であります。しかも販売は、鉄鋼、電力を除きましては、一つの会社で行なっておるのです。流通機構は一元化されておるのです。ところが日本の状態はどうかといいますと、日本の状態は、需要業界と供給業界は、資本系統からいいましても全然別々です。それは日本の資本主義の発展の過程を見ると、なるほど三井は石炭を持ち、販売は三井物産がやり、あるいは三菱においても、炭鉱をやるとともに海運をやり、あるいは九州の鉄道をほとんど経営しておった、あるいは北海道炭礦汽船株式会社も同じような状態です。ところがその後経済の変遷によって国家資本が入ってきて、今炭鉱の一番の需要先である鉄道も、御存じのように国有鉄道、電力も日本発送電株式会社という国家資本になった。製鉄も日本製鉄株式会社という国家資本の会社になった。そこで資本系統からいってもこれは分断をされておるわけです。ですから、これだけの大きな業界が常に、石炭が余る場合にはたたき、あるいはまた、石炭が足らない場合には高く値段をつり上げる、基幹産業でこういう状態を放置しておるところに、私は非常に問題があったと思います。この点が今度の解決にも何ら出ていない。これが第一点。  第二の問題は、日本の石油市場の若いというところに、今日のごとき石油業界の非常に大きな争いがあるわけです。昨年一年だけでも、石油業界は四百億の損をしたといわれておる。そうしてお互いにダンピングをし合って、気がついたときにシェアはあまり変わっていなかったということで、最近少し落ちつきを取り戻しております。ある石油会社のごときは、外国の会社に身売りをしなければならぬ、すなわち増資をして、その増資を買い戻し契約によって引き受けてもらわなければならぬという状態を現出した。ここにやはりエネルギーの総合調整の問題が必要ではないか、これをやらずして、ただ多くの法律が出ておる。確かに外国からみて、これだけ多くの石炭法律を擁している国はないでしょう。ないでしょうけれども、私は根本が解決していないところに問題があると思います。  総理にお尋ねいたしたいのは、これらの問題をどう認識されておるか。第一にはエネルギーの総合調整をどういうようにお考えであるか。国産エネルギーと輸入エネルギーとの調整が依然としてついていない。一体新潟や秋田から出る国産石油は、だれが買い取るわけですか。いまだに決定を見ていないじゃありませんか。これらの問題を含めて御答弁を願いたいとともに、鉱区調整の問題、流通機構整備の問題は、かねてから話に上っておるけれども、いまだこれが解決の方向にいっていない。今度予想される法律も、文章だけです。現実に鉱区調整があの条文で行なわれるかどうか疑問であると思います。一体どういう認識であられるか、お尋ねいたしたいと思います。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 石炭生産とそして消費の関係につきまして、これは各国違っておりますが、例に引かれましたドイツのごときは、石炭の産地、鉄鉱石の産地、これは似ておりまして、送電関係が非常にうまくいくものでございますから、ああいう状態を築き出しておるのであります。日本は石炭の産地と消費地が違っております。そうして今後四十万、五十万ボルトの送電ができるようになれば、よほど緩和できると思いますが、これは日本の置かれた宿命的な問題でございます。今、石炭のために鉄鋼あるいは電力石炭会社と一緒にするというわけには参らないと思うのであります。従いまして、生産と消費の調整をどうするかという問題が、有沢調査団にも出ておるわけでございます。従ってわれわれとしては、大口需要の九電力会社に対しましては、年別に引き取りの長期契約を結ばす、それについての経済措置政府が進んでとる、あるいは鉄鋼につきましても、また国鉄等につきましても、できるだけ火力発電にするように、こういうようにして生産と消費との調整を政府が間に入って、そうして合理的に運営されるようにしようといたしておるのであります。流通面におきましても、数年来いろいろ問題がありました。また炭種につきましても、二千、三千という炭種を統合しなければならぬということも議論され、その方に向かって進んでいくということも有沢調査団が言っております。また鉱区の調整、これもはっきり政府が決定したのは、私は今回が初めてだと思います。従来からいろいろ多賀谷さんなんか議論してこられたのをわれわれは聞いておったのであります。今度は政府もそういうふうに調査団意見を聞きまして、乗り出そうといたしておるのであります。ほんとうに今までは実はなまぬるかった点もございます。昭和三十年にやりましたときも、その後ちょっと石炭の景気が出ますと計画がまたくずれたり、また三十四年の私が通産大臣のときにも、ここまで重油が下がろうとは思わなかった。計画通り十四トンが二十六トンの産出量になりましたけれども、しかしそれでもまだいかぬようになったので、今回画期的な措置をとることにしたのでございまして、生産と消費の関係、また新しい消費、流通、鉱区の調整等も、今後は思い切ってやる考えでおるのであります。
  27. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 まだ実際合理化法の一部改正の条文が出ておりませんから、あるいは鉱業法の条文が出ておりませんからわかりませんけれども、総理お話になるように、今後は画期的にやるのだというような状態に残念ながらなっていないわけです。ほとんど条文は動かないのですよ。未開発炭田の鉱区調整と同じ条文だろうと思いますけれども、それでも現実は一つも動かないのですよ。それから流通機構整備の問題も、形は長期取引で政府がお約束いただきましたからけっこうでありますけれども、現実価格の問題はどういう状態ですか。各社みんなダンピングしているわけですよ。こういうことでは一体石炭を立ち上がらそうと政府考えておってもできないわけですよ。そして依然として大手と中小の値段の差はあるわけです。ところが中小の方は、最近はその値段を大手並みにしてくれと言わなくなった。言わなくなったのは、差があってもけっこうだから入れてもらいたい、さもなければわれわれはオミットされる可能性がある、こういうところまで現実はきておるわけであります。ですから、私はこの点は、海運が大合同をやるように合同せよと言うわけではないのですよ。ただ、ああいう心がまえで改革をやらないと石炭というものはできないのだ、こういうことを私は申し上げたいわけです。経営者の問題でもその通りですよ。例をよそにあげるとはなはだ迷惑であろうと思いますけれども、ある化学会社は重役は総退陣し、課長は三分の一首切りをやりましたね。そして、従業員に希望退職を申し出ているわけです。あるいはある石油会社は、重役は総退陣をして投げ出した。今の日本の炭鉱でそういう経営者がありますか。ここまできておるならここまできておるようにその実態認識をして、そして労働者にも要請をすべきですよ。そういう状態になっていないのです。政府はいろいろ法律をつくられるけれども、確かにこれだけ多くの法律石炭に要るのだろうかとわれわれがびっくりするくらい、表面には至れり尽くせりのような形の法律ができておる。しかし、現実は少しずつそれが行なわれるだけであって、結局私は前進しないと見ている。ですから、抜本的な対策であるならば抜本的なように、まず生産構造、その次は流通構造ですよ。これを改革せずして石炭政策はないと思うのです。どういうようにお考えですか。
  28. 池田勇人

    池田国務大臣 今後はお話通りにいくべきだと思います。それが今まで十分徹底していなかったということは、先ほど申し上げた通りであります。今回は海運業におきましても、また化学工業等におきましても、産業構造体制が変わっていくべきだ、そしてお互いに労使がよく前向きに、構造改革の線で進まなければやっていけないと考えております。
  29. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 さらに具体的な問題につきましては、法案が出ますから、その際お尋ねしたいと思います。  次に需要拡大の問題ですが、私はやはり制度的にこれを解決しなければならない幾多の問題があると思います。第一に、ボイラー規制法は延長されるのですか、どうですか。通産大臣でけっこうですから、お答えを願いたい。
  30. 福田一

    ○福田国務大臣 ボイラー規制法につきましては、御承知通りことしの十月まで有効でありますけれども、今国会におきましてこれを延ばす方針で、今検討をしております。
  31. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 次に、私はセメント用炭についても、これは今の価格体系ではなかなかセメント業界に買わすということはむずかしいと思うのです。率直に言うと、今カロリー計算をしておりますけれども、高カロリーは低品位炭よりもずっとカロリー当たりの値段が高いのです。そうして、今のように大規模でたけるような状態になっているときに、カロリー当たりの格差はあまりないはずです。それを高カロリーは非常に高く売っておる。低カロリーは必要以上に低く売っておる。ですからセメントは買わないですよ。価格形態というものが、配炭公団がやっておった時代そのままの価格形態でいっている。ですからそういう価格形態を改めて——例の植村さんが電力には二千三百万トンを四十二年に引き取って下さいと言ったときに、セメントには六百万トンを要請したわけです。ところがその六百万トンが、有沢調査団の計画によると百五十万トンに下がっておるわけです。今電力セメントと比べますと、熱効率からいうと、セメントの方が石炭はいいわけです。熱効率は高いわけです。少なくともセメントは九三、四%いく、電力は八五%ぐらいいく。とにかく官公需が四割以上を占めているわけですから、セメントの場合は私はそこに政策があるのではないかと思うのです。政府の政策次第では、現在でも四百万トンか三百万トン台になっておりますけれども、それが百五十万トンにしなくても、少なくとも現状維持の方法があるのではないか。昨年までは御存じのように、六百万トン引き取るということが話題に上ったくらいですから、こういったことがどうしてできないのか、これを一つお聞かせ願いたいと思う。
  32. 福田一

    ○福田国務大臣 お説のような熱効率の問題があり、また、これが価格にも関連しておるということも聞いておりますが、政府としては、さしあたりは今後セメント工場をつくる場合におきましては、開発資金その他の融資等の関係から見て、まず石炭を使うものを優先させるという一つ方向を持っていきたい、かように考えておるわけでありまして、そういう面から一つ行政指導もしたいと思っております。また、今多賀谷議員が言われましたような点についても、一つ十分研究をしてみたいと思っております。
  33. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 当時通産大臣であられた池田さんがボイラー規制法の改正をなさったときに、われわれはセメントのことは、重油を使っておりませんでしたから、あまり考えていなかった。ところがセメントは直接火ですから、ボイラーでない。ですから問題は、電力をボイラー規制法によって許可制にしておるのですから、セメントもやはり、ボイラーではないけれども、法律を延長するというならば、あれも同じような考え方で進んでもいいと思うのです。食料品や化学繊維等にボイラー規制法を適用するならば、セメントだってやはり同趣旨で考えていいと思う。ただそれがボイラーでないというだけです。ですから、国の政策をもう少し弾力的に考えるべきではないか。セメントというのは何をいいましても、石炭とまぜて、かすが出るわけじゃない、そのままセメントになるわけです。しかも、石油よりも石炭を使ったセメントの方が良質であると言われておる。そう言われるぐらいですから、私はもう少し、業界がなるほど電力業界のような状態ではないでしょうけれども、政府は制度的に考える必要があるのではないか、このことをあとから御答弁願いたい。  続いて、電力用炭についても、実際現在の九分割の状態で、しかも石炭をたいてもそれほどの恩恵がない、ただ原油の関税の還付をしてもらうという程度では、電力会社はおのおの私企業ですから、非常にむずかしいんじゃないか。そこで、かつて水火力調整金がありましたように、石炭をたいて高くつくところの電力のコストと、それから重油専焼で安くつくところの電力のコストとの調整制度を、ある一定期間設ける必要があるのではないか。大臣御存じのように、イタリアはやっておるわけです。イタリアは今度電力国有法案を出しましたけれども、その前には、安いコストと高いコストの電力料金の調整をやっておる。こういう制度的のものがやはり必要ではないか、かように考えるわけです。  もう一点は、国鉄の自家発電について調査団答申をしておるわけですが、これらについてどういうようにお考えであるか。以上三点について質問いたしたい。
  34. 福田一

    ○福田国務大臣 第一のセメントの場合において、同じようなやり方でというか、考えていってはどうかというお話でありますが、これは一つ今後研究をさしていただきたいと思います。実はまだ十分私もその点は研究をいたしておりませんが、お話のような点であれば、一つこれは研究さしていただきたい。  それから電力が使っております石炭につきまして、いろいろそれぞれのところで種類が変わっておるに従って、値段等も変えておることも事実であります。しかし、先ほどちょっとお話があったから、そのときにお話をしようと思ったのですが、あまり値段を低くたたいて買っておる、いわゆる中小なんかの値段で、低くたたいて買っておるようなものは、今度は考えてやらなければならぬのじゃないかということは、私も実は気がついておるところであります。  それから国鉄の問題は、われわれの方で国鉄に対して、ぜひ一つやってもらいたいということを実は今要求しております。国鉄としても研究をしておる段階でありますが、しかし、これは運輸大臣がおいでになればですが、運輸大臣がおいでにならなければ、適当な機会に運輸大臣からお答えしていただいた方がいいかと思っております。
  35. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで、以上私が述べましたような需要拡大の方向に努力していただきますならば、六千万トン、四十二年度に出るわけです。ボイラー規制法を延長しただけでも、百五十万トン。あれはこの前は内数だとおっしゃいましたけれども、あなたの方が調査団に出しておる資料では外数です。百五十万トン外数になっておる。対策外になっておる。ですから、セメント用炭につきましても、電力用炭につきましても、国鉄にしても、そういう努力をしていただくならば、私は六千万トン不可能ではない、このことを希望して、今後もこれらについていろいろ相談をしていきたい、かように考えております。  そこで、次に特別融資制度についてお尋ねをいたしたいのですが、大蔵大臣から先般の国会で増強、維持並びにボーダー・ラインの炭鉱を強化育成するため、特別の融資制度を設ける、こういう御答弁をいただいたわけです。ところが、今までの現状からいいますと、現在制度がありますのは、開発銀行を通じての設備資金合理化事業団を通じての近代化資金と、さらに、整備資金であります。ですから、これは新しい制度を設けられるというわけですから、別に何らか制度を設けて、融資体制があるものだ——先ほど総理から御答弁がありましたように、従来とも炭鉱融資ワクを設けてやっておるけれども、それだけ使い得ない、こういうお話がありましたが、それはまさに今私が申しましたようなことを裏づけしておるわけだと思うのです。そこで総理から御答弁を願いたいのですが、何らかの新しい制度を設けて、直接政府の金を貸すという方法を考えられるのか。私はどの炭鉱にもということは言いません。これはやはり労使あるいは政府とも再建をしようという炭鉱、そうして再建途上にあるけれども、残念ながら資金が枯渇して閉山をしなければならぬという炭鉱です。ですから、これらの炭鉱を何とか維持するためには、私は今までの制度ではできない、なかなか困難である、こういうように感じまして質問をしておるわけですが、そういうように理解をしてもよろしいかどうかお尋ねいたしたい。
  36. 池田勇人

    池田国務大臣 われわれは、そういう場合につきましては、個々の事態に沿って考えていくのであって、別にそういう機関を設けたり、あるいはこういう場合にはこうしろという条文とかあるいは規定を置くという考えは、今のところ持っておりません。そういう事態、ボーダー・ラインで、しかも五千五百万トン以内の分で、一時的な資金不足だ、しかし将来は有望なんだという場合につきましては、これは考えていくのが私は当然ではないかと思います。
  37. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ところが総理、それがなかなか、政府考えていただきましてもできないんです。制度がなければ金が出ないんです。開発銀行から運転資金が貸せますか。それから近代化資金ははっきりワクがきまっておるし、その坑道なら坑道、この機械ならこの機械ということで対象物によって金が出されておる。整備資金というのは退職者の退職金です。ですから、これだけはっきりしておるのに、何か政府考え方いかんによっては金が出せるというような情勢になっていないと思うのです。私は、残念ながらなっていないから、これを要望しておるわけです。ですから一つ制度的に解決してもらいたい。私はどこの炭鉱もと言いません。たとえば合理化審議会でその審議をしてみて、これは必要である、こういう結論を出した炭鉱でもけっこうです。ですから、その出すべき炭鉱の対象というものは、これは私は無制限というわけにはいかないし、そういう制度の中で、機関の中で、あるいは政府を入れて検討すべき性質であろうと思う。しかし、今の仕組みでは金が出せるようになっていないというところに問題がある。ですから、私は特別の新たな融資制度を設けてもらいたい。大蔵大臣、その通り答弁されたわけですから、その通りと理解してよろしいですか。
  38. 田中角榮

    ○田中国務大臣 お答えいたします。設備資金については開発銀行を通じ、それから近代化資金整備資金融資に対しては合理化事業団を通ずるわけでありますが、設備資金の対象範囲が、先ほど申された通りきめられておる。このきめられた対象範囲内だけでもってやれば特別な処置にはなりませんから、これが対象範囲を広げようという考えを持っております。それから整備資金につきましては、資金の調達能力が乏しいということでありますから、これが融資比率を高めようという考えであります。それからもう一つは、返済能力がないというような場合には、返済猶予も行なおう、こういうことも考えておるわけでありまして、もっと具体的に申し上げれば、先ほども申された通り、主要坑道以外の坑道とか、それから炭住とか事務所とか厚生施設とか、現在のワク内では入っておらないようなものでも、そういう特殊な炭鉱に対しては広げていかなければならないと思いますし、設備資金融資比率につきましても、今まで四割、整備資金についても四割五分というものを、場合によっては全額十割までということも考えなければいかぬと思いますし、なお返済猶予も行なうというふうに、合理的な処置を考えておるわけであります。
  39. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それは設備の対象を広くしただけでは解決しないのですね。問題は、とにかく賃金が払えなくて、人的な面から行き詰まるという問題も今までに惹起した。あるいは今後も予想されるわけですよ。ですから、そういった面に一体開発資金の金が出ますか。退職者の退職資金には金が出ても、労働者のもち代は金が出ないのですよ、現実に、一体開発銀行からそういう金が貸せますか。
  40. 田中角榮

    ○田中国務大臣 御承知通り設備資金開発銀行を対象にいたしておりますし、それから整備資金その他については合理化事業団も、また市中金融機関考えておるわけでありますが、ただいま申した通り開発銀行で主要坑道以外は貸せないといっておるものに対しても、他の設備資金も、対象のワクを広げます、こういっておりますし、合理化事業団からの金に対しても、現在四割、四割五分のものに対して十割までもやりますといっておりますし、なおそのほかに返済の猶予も行なうということでありますから、当然これらの問題は、中小企業三公庫からも現在出ておりますし、政府がそのような姿勢で政府関係機関の対象範囲を広げたり、あらゆる措置考えておるのでありますから、これらが具体的な施策を行なう場合に、市中金融機関の——今までも何回かとっておりますが、協調を求めて、合理的な措置をするということでありますから、今あなたが質問をせられたような事態に対しては十分対処していける、こういうふうに考えております。
  41. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三十七年度は、例の炭鉱整備保証基金出資金三億円ありました。これが三十八年度の予算にはゼロになっておる。なぜゼロになったか。この制度が動かないのです。八割保証するけれども、銀行は貸さない。この制度が動かないから、出資金がゼロになっているわけです。こういう事態の認識ですよ。総理がおっしゃいましたように、働けば働くほど仲間を山から去らさなければならぬという状態です。だから私は、大蔵大臣答弁なかなかもっともなような点が聞えますけれども、しかし大蔵大臣、そういうわけにいかぬでしょう。あなたは岡田利春君の質問に対して、新しい制度を設けない、こういう答弁をされた。成田さんの質問に対しては、特別の金融制度を設ける、こうおっしゃった。ですから、そこで変化があっていいわけです。今まではやらないとおっしゃっておったのを、今度はやるということに変わったのですから、変わったような説明を願いたいと思うのですよ。昔と同じような説明では困るわけです。
  42. 田中角榮

    ○田中国務大臣 私が当初申し上げましたのは、法律等を改正して新しい機関を設けるというような考えはありませんが、炭鉱の個々のケースに対して、特に例としては、貝島炭鉱のようなものに対しては処置をいたしておりますから、また貝島炭鉱のような例のものが出た場合にどうするか。一律、画一的な整備を行なってもらっては困る、こういう問題でありまして、私もその意味で申し上げたわけでありますが、本会議答弁についても、従来の答弁をいたしたところ、両党の申し合わせがあるということでありますので、申し合わせに従ったわけであります。でありますが、内容については、先ほどから申し上げておる通り議論ではなくて、実際にこれを行なって、あなた方が今御質問をしておられるような状態炭鉱に対して、政府が誠意をもって措置をしていくということであればいいと思いますし、また政府もそのような基本姿勢をとっておるのでありますから、あなたが今御質問をせられたような事態に対しては遺憾なきを期して参るという基本姿勢には変わりはありません。
  43. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私はその姿勢には賛成です。ところが具体的な問題になると、残念ながら大臣がおっしゃるようには現実は動かない。炭鉱の例をあげられましたから、私もあまり個々の炭鉱の例をあげるのは好ましくないと思いますけれども、貝島炭鉱も、これは実は設備資金なんですよ。すなわち露天掘りをやる設備資金開発銀行から借りられた。それから合理化事業団からは、首を切った労働者の退職資金に出たわけですよ。今問題になっておるようなところの金じゃないのですよ。それでは開発銀行怒りますよ。開発銀行だって限界があるのです。法律に基づいて金を出しておる。残念ながらそんなに自由自在に、公的な金融機関が弾力性をもってやるわけにいかないのですよ。だから特別の制度がどうしても必要だ。それも、今返済猶予のお話が出ましたが、返済猶予をするような炭鉱でけっこうです。それを審議会にかけて、この炭鉱は救ってやろうという結論が出たら、やってやればけっこうです。ですから、対象を限定してやる場合に、どうしても今までではいかないから、私が申し上げておるわけです。
  44. 田中角榮

    ○田中国務大臣 先ほどからお答え申し上げておりますように、開発銀行で対象にしておらない設備も対象にいたしますということでありますし、また合理化事業団からのものに対しましても、融資比率四〇%、四五%のものを一〇〇%までこれを上げてよろしいということでありますし、なお、あなたが今言われた通り将来有望であるというものでありますから、一時的な救済資金というか、一時的な資金であります。でありますから、そういう問題について、今までは石炭鉱業に対する政府及び民間お互いの方針というものがまだその過程にありましたが、今度は御承知通り三十七年度予算、三十八年度予算、また前の国会からこの国会を通じて、このくらいはっきりとした線が打ち出され、石炭鉱業に対する育成強化という問題に対しても、種々の施策、予算、立法等の処置が行なわれておるのでありますから、そのように、審議会の議を経て、当然ある時期だけ救済融資をすれば立ち直る、また十分ペイしていくのだというものに対して、政府関係機関がこれほどの処置をする場合、当然これらの炭鉱に対して地方銀行その他民間資金の活用も求められますし、協力も求められるので、私は現在大蔵大臣として、あなたが今言われたような事態に対しては、民間機関等の協力は十分得られるという自信のもとで申し上げておるわけであります。
  45. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは、私はさらに具体的な問題として政府と話し合っていきたい。そしてきょうは総理お忙しいようですから、大蔵大臣に質問をしたいと思います。  どうも、残念ながら事実関係の認識が少し違うようですね。ですから、あなたは運用でいかれるというが、運用でやって、佐藤通産大臣がどうにも動かなかったわけです、一生懸命大臣がやろうとしても、残念ながら動かなかったわけです。ですから、これは十分具体的な事実に——はたして大臣が思っておられる制度で救えるのかどうか、今後検討して、再度質問をしていきたい、かように考えております。  次に、炭鉱の閉山が地域経済に及ぼす場合の処置の問題でございますが、これはスクラップ計画についてはその経済性とその地域に及ぼす影響等を考慮して、その方途を講ずるということになっておるわけです。そこで、この地域に及ぼす影響というものも、雇用計画と同じように一つ考えてもらいたい。今度は政府は、合理化審議会に再就職計画を出されるわけです。ところが、労働者の場合は、再就職計画が明確なものが出れば転職の方法もあると思いますけれども、地域経済というのはまさにつんぼさじきに置かれておる。極端な話をいたしますと、ある炭鉱は、開発銀行から膨大な資金を出して第一立坑、第二立坑を数十億円の金でつくって、その翌年には、今度はスクラップだということを言っておる。一体こういうことがありますか。どういう書類を出して、一体開発銀行はどういう審査をしたのか、一年前にやっと完成して、町の人が、これならこの炭鉱は五十年、百年あるだろうというのでアーケードをつくって、商店がにぎやかになったわけです。ところが翌年になると、これはスクラップだというのです。一体こういう迷惑を勝手にかけていいのかどうか。これだけ膨大な炭鉱になるならば、私は公的色彩を帯びていいと思うのです。社会的責任がありますよ。ですから、地域経済の再建計画というのは、やはり合理化審議会においてスクラップ計画検討する場合には、再就職計画と同じように考えるべきであると考えまずけれども、総理はどういうように判断せられておるか、お聞かせ願いたい。
  46. 池田勇人

    池田国務大臣 経済性その他万般の点から考慮して決定すべき問題と思います。やはりそういう設備をしたから、採算は問わずにそれを続けていくということは、長い意味で私はとるべき策じゃないと思う。しかし何とかやりくりができるものならば、そういうことは考えていくべきでしょう。
  47. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで、答申には書いてございませんけれども、私は再就職と同じように地域経済の発展計画というものを提示すべきじゃないかと思うのです。大体、炭鉱は他の産業と違いまして、ほとんどその売上代金というものは地元に落ちるわけです。それは物品費にいたしましても、わずか鉄材その他の機械類くらいです。あるいは坑木くらいでしょう。火薬でも全部その地元でつくっておるわけです。あるいは機械でも、修理なんかは全部そこに関連工業があるのです。それから労務費は全部地元に落ちるわけです。経費も、そのおもなものは鉱害です。鉱害も地元に落ちるわけです。ですから炭鉱の売上代金というものは、そのまま地元経済と直結しておるわけです。あるいは鉄鋼のごとく、鉄鉱石を外国から輸入したり、原料炭を輸入して、そのコストの半分は外国から仰ぐという状態ではないわけです。ですから、少なくともここに一万の労働者が解雇されると、どのくらいの関連業者がそれによって店をしまわなければならぬと考えるか、あるいは農民にはどういう影響があると考えるか、とにかく一労働者を解雇することによってどのくらい関連の業者がそのうき目を見ると考えられておるか、一つ通産大臣お聞かせ願いたいと思います。
  48. 福田一

    ○福田国務大臣 地域に及ぼす影響ということも考えなければならないということについては、私も同意はいたしますが、それだからといって、経済性を無視してこの問題を処置するということは、私は困難かと思うのであります。そうすれば、どの程度にその問題を見ていくかということになるのでありますが、しかし、これはまたその影響する範囲をどういうふうに認定していくかということが非常にむずかしいことが一つ、またそういうことをいたしました場合に、ほかの地域で、ほかの産業でそういう問題が起きたときのこと等も考えてみますと、お説のようにこれを条件として取り入れて、そして休閉山をするというところまで持っていくことは私はなかなかむずかしいのではないかと思うのであります。しかし、あなたがお考えになっておられる地域の問題も十分考えなければいかぬということについては、政府十分考慮を払うつもりでありまして、あるいは産炭地振興事業団を通じ、あるいはその他の官公需の工場誘致とか、あるいはその他そういう市町村の財政的な問題を別途の方法で考えるという意味において考慮していくということには努力はするつもりでございます。
  49. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 市町村財政も大へん窮迫しておるわけですけれども、地域住民がその十分の一くらいに減らなければ普通の生活はできないのです。個々の炭鉱の町を見てごらんなさい。もとの四万人のところは四千人、二万人のところは二千人くらいの人口が大体生活ができるような状態になっておるのです。それはそうでしょう。私が申しましたように、賃金というものが今度はなくなって失業保険と考えても、あるいは離職するということを考えても、とにかく今の人口を養うことは不可能です。少なくとも十分の一くらいに圧縮しなければ、筑豊炭田その他で人口を養うということは不可能です。これだけ深刻な状態であるのですから、そこで政府が方途を考えて、単に経済性だけでなくて、やはり再就職計画と同じように、そのウエートをもって地域経済計画というものを急いでつくらして、そして一方ではスクラップをするけれども、一方では、つちの音やあるいはコンクリートを打たれておるという状態でないと、私は炭鉱の住民は安心できないと思うのです。今のようにゆっくりやっておるということではどうにもならぬでしょう。ダムを一つつくろうと思っても、御存じのように工業用水が四分の一です。四分の一の補助金で一体だれがダムをつくりますか。境やあるいは水島のように、海のかなた沖まで工場がくることを計画されているわけではありません。どの工場がくるかわかりません。ダムをつくって、一体だれがその間受益者負担を負担しますか。そういう制度が全然できていないじゃありませんか。ですからダム一つつくるにしても、今の工業用水の四分の一の補助金、受益者負担はだれが持つかはっきりしない、こういうことで、スクラップだけがどんどん進行する。この認識をわれわれは考え直してもらいたいと思うのです。労働大臣も通産大臣も雪の日においでをいただいて、その実情はつぶさに見られたわけですけれども、大へんな状態にあると思うのです。少なくともあの筑豊炭田の六割は生活不安人口になる。そういうような状態ですから、私は、今行なわれておるようなスクラップ計画がどんどん実行されるならば、まさに暴動化寸前といっても過言でない、こういう状態になると思う。そこで、地域経済計画について、やはり再就職計画と同じようなウエートを持ってもらいたい。これを一つ総理から明確な答弁をお願いしたい。
  50. 池田勇人

    池田国務大臣 離職者に対しましては、万全の措置をとるべき必要があることは当然であります。地域の問題につきましては、そこにはおのずから軽重がある。従って、産炭地振興、その他いろいろな方法を講じてやる。同じウエートというわけには、ちょっと私はいかぬと思います。しかし、できるだけの産炭地振興につきましての措置はとっていく覚悟でございます。
  51. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 滝井義高君。
  52. 滝井義高

    ○滝井委員 まず、池田総理が把握されておるかどうか知りませんが、三十七年度における石炭生産規模というのは、一体どのくらいになっておりますか。
  53. 福田一

    ○福田国務大臣 大体五千四百万トン前後かと考えております。
  54. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、これに対する需要というものは、どういう状態になっておりますか。
  55. 福田一

    ○福田国務大臣 今のところでは、大きくて五千三百万トン前後と考えております。
  56. 滝井義高

    ○滝井委員 有沢調査団の大綱の中の順に従って、ちょっとそれを読み上げていただきたいと思います。電力、原料炭、火力発電、セメント、暖厨房用、国鉄用炭、こういうように有沢調査団が三十八年度の需要について重要な項目をずっとあげておりますが、そのあげた中で、三十八年度の需要について調査団の大綱の中に数字の出ておるのは、電力二千五十万トン、それから原料炭千百四十万トン、そのうち鉄鋼用炭八百十万トン、ガス用炭三百三十万トン、これだけの数字が出て、あとは数字が出ていないのです。そこで、われわれが三十八年度の需要を推定する場合には、今あなたの御指摘になりました五千三百万トンという、三十七年度の需要の実績というものが重要な基礎になるわけです。そこで、今の五千三百万トンというものを、電力、原料炭、火力発電、セメント、暖厨房用というように、ずっと当てはめてみていただきたいと思うのです。これは事務当局でもけっこうです。——では、時間がたちますから、わからなければけっこうです。  そうしますと、政府は一体三十八年度の生産規模と需要規模をどの程度に見ておるかということです。これが一番大事なところなんです。これがもしわかっていなければ、あとの政策、予算の対策は立たないわけです。そこで、あなた方が胸の中に秘めている数字をここに明らかにしていただきたいと思う。
  57. 福田一

    ○福田国務大臣 ただいまの現実の姿からいきますと、また一部で伝えられておるところによりますと、やはり三十八年度においても、需要の限度は大体五千三百万トン前後ではないかという説があります。これはまだ確定ではございませんが、そういう説があります。しかし、われわれとしては、五千五百万トンはこれは生産をし、もしまた生産をした場合に、そこに余ったらどうなるかということもあるでありましょうが、五千五百万トンは確保するという立場に立って、すべての政策を実行していきたい、かように考えておるわけであります。
  58. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、その場合に需要というものをどう見ておるかということです。これは私、特に池田総理にお尋ねをいたしたい。  池田総理は、わが党成田書記長の質問に対して、六千万トンは困難であるが、努力をする、こうおっしゃっておるわけです。それは四十二年の話であって、問題は、この三十八年度にどうなるかということです。池田総理は、六千万トンについて努力をされるならば、まずその第一歩に当たる三十八年度については、どの程度のものを確保しようという政治的な決断をお持ちかということです。
  59. 池田勇人

    池田国務大臣 六千万トンを確保するとは言っていない。今の現状から見れば五千五百万トンでもなかなか困難、しかしいろんな点から考えまして、多いに越したことはないのです。しかしそれも需要があってからでございます。そこで将来六千万トン可能になるように努力はいたします、現状からはなかなかむずかしい、こう言っているわけです。
  60. 滝井義高

    ○滝井委員 だから、従って四十二年はむずかしいにしても、三十八年はもうすでに予算をお組みになっているわけです、需要確立をしなければ。この予算の数字というものは架空のものになってしまう。需要がある程度確立をし、しかもそれに見合った生産というものは五千三百万トンだが、五千五百万トンまで持っていこう、こういうことになってきておる。そうしますと、需要が五千五百万トンにいけるかどうかという、この判断が大事なところなんです。あなたは五千五百万トンを確保するという、こういう決断をここで御答弁できるかどうかということなんです。
  61. 池田勇人

    池田国務大臣 それに向って努力をいたします。そうして具体的の数字につきましては事務当局からお答えさせます。
  62. 滝井義高

    ○滝井委員 五千五百万トンについて努力をされるそうですから、あとでその数字は一つ事務当局で資料として出していただきたいと思います。そうしますと、まず生産規模が五千五百万トンになり、需要が五千五百万トンになった、こういうことに一応前提をしてこれから議論を進めていくわけです。  そうしますと、これは池田総理お聞きになっておるかどうか知りませんが、三十八年度の閉山計画というものは一体幾らになっておると政府は見ておりますか。
  63. 福田一

    ○福田国務大臣 すでにおわかりのことと思いますが、政府有沢調査団答申を尊重しつつ施策をやっておるのであります。そうしますと、今後のスクラップ・アンド・ビルドの計画につきましては、これは地域別にまた炭田別にこれを策定をいたしまして、審議会にかけまして、そうして今後のスクラップ・アンド・ビルドをする方向というものをここできめて、そうしてきまったのに基づいて大体これを実施していく、こういう方針でありまして、今回法律案の提出もいたすように考えておるわけであります。従いまして、この現段階においてそれでは何万トン、どこまでやるかということについては、大体の考え方はありますけれども、確たる数字を申し上げることは、かえって誤解を生ずると思いますので、差し控えさしていただきたいと思います。
  64. 滝井義高

    ○滝井委員 そうかたくならなくてもけっこうだと思う。大臣、これは予算をもう少し御勉強になると、数字はみな出ているのです。だから、ここを一つ総理の前ではっきりしておいて総理に尋ねなければならぬのですから、はっきりして下さい。
  65. 福田一

    ○福田国務大臣 予算の数字として一応考えておりましたのは、三十七年度で四百八十一万トン、三十八年度で四百七十万トン、これはもちろん保安不良、閉山を含めた分でございます。
  66. 滝井義高

    ○滝井委員 これではっきりしてきました。そうしますと、今度は大橋さんにお尋ねをいたします。三十七年度四百八十一万トン、三十八年度四百七十万トンの予算上の閉山計画が出ているわけです。これに対する失業者はどの程度出ますか。
  67. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 お答えいたします。今年度の四百八十万トンにつきましては、大体一万二千人程度整理が行なわれるものと存じます。また、来年度四百七十万トンに対しましては、一万四千人程度整理が見込まれております。
  68. 滝井義高

    ○滝井委員 これで大体数字が揃いました。三十七年度四百八十一万トン、一万二千人です。問題はここから始まるわけです。そうしますと、四百八十一万トンの計画に対して、現在一体どの程度の山が具体的に閉山をされていったか。いわゆる合理化事業団の買い上げの業務を終わってほんとうに死んでしまったかということです。
  69. 福田一

    ○福田国務大臣 事務当局より説明いたさせます。
  70. 中野正一

    ○中野政府委員 現在までに約三百六十万トン程度の閉山が行なわれておるものと推定いたしております。
  71. 滝井義高

    ○滝井委員 三百六十万トンの閉山が行なわれておるが、買い上げの業務は終わっておりますか。現在、ニュー・スクラップ方式で三十七年度には三百二十万トンやったわけです。現在買い上げの業務を終わっておるのは百十一万トンぐらいしかないはずです。あとまだ残っておるはずです。そうすると山を——池田総理、これからが大事な点です。山をつぶしてしまって、全部坑内に水を入れてしまったら、この山は買い上げにならないのです。保坑しておかなきゃいかぬ。労働者も置いておかなきゃいかぬ。従ってニュー・スクラップの三百二十万トンのうち、終わっておるのは百十一万トン程度じゃないですか、十二月末で。
  72. 中野正一

    ○中野政府委員 今先生のおっしゃいましたものは、すでに買い上げが完了したものでございまして、私の先ほど申し上げましたものは、調査が終わっておるものを申し上げた。これから金が出るように準備をしておるものであります。
  73. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、調査が終わっても、どうですか、山は保坑をしておるわけでしょう。
  74. 中野正一

    ○中野政府委員 事業団の調査が済むまではもちろん保坑しなければいけませんが、調査が終わりますれば、あとは金が出るのを待つばかりで、実際上閉山になっても差しつかえないわけです。
  75. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、そこの労働者は一体どうなっておりますか。これはまだ離職金ももらわなければ、そのまま放置されておるわけですね。問題はここです。池田総理、今御説明のあった通り、四百八十一万トンのうち実質的に調査が終わったのは三百六十万トンで、なおまだ百二十万トン終わっていないわけです。それならば、四百八十一万トンのうち交付金が炭鉱に支払われたのは一体幾らなのですか。——今、私の調査したところでは、十二月末現在で百十一万トン、すなわちニュー・スクラップ方式の三百二十万トンのうち三分の一です。従ってこの三分の一に当たる労働者については、離職金その他の処置がとられたわけです。あとの三分の二の炭鉱については、調査が完了して、そうしてもう坑内に水をためて、労働者はそのまま滞留した形になってきたわけです。  そこで、こういう形になって一万二千人の労働者が出ていくんですが、これに対してさきの衆議院の本会議における大橋労働大臣の御説明を見ますと、どういうことになったかというと、三百二十万トンについては国と政府機関で——三百二十万トンで失業者が八千人出るのですが、その八千人のうち国と政府機関で千人、広域職業紹介で五千人、その他の縁故で二千人、こういうようにして片づけますという御説明はあったのですが、今の三分の一については一体具体的にどうなっておるのか。三分の一、百十万トンの労働者についてはどういうように処置をされておるか。
  76. 三治重信

    ○三治政府委員 三百二十万トンにつきます八千人の離職者というのは、大体三十七年度で買い上げられた場合に八千人くらいの離職者が出る。そういう方たちが再就職されるまでの最終の姿を大体千人、五千人、二千人というふうに予定しておるというふうにこの前お答えしておりますが、現実にわれわれが処理しております離職者につきましては、合理化計画で買い上げられる方も、それから一時人員縮小で整理される方も、現在の統計やわれわれの資料では一々それが区別はできません。そういうことで、一応そういう従来の合理化離職者について、再雇用に最終的につかれるには、大体従来の傾向からそういう割合である。また今後私たちが三十七年度、三十八年度の予算措置で地方に示しております雇用、再就職をさせる目標数字からいってそういうふうになるというように申し上げておるわけでございまして、現実にその三百二十万トンの買い上げで、そのうち百十万トン買い上げで、その離職者がどういうふうになっておるかということにつきましては、そういうことについての統計というものは、調査というか、実際上もなかなか不可能ではないかというふうに考えております。
  77. 滝井義高

    ○滝井委員 総理大臣、今お聞きのように、炭鉱が閉山をする、合理化事業団がこれを処置していく、そうすると、すぐにこれから雇用計画というものを、それに見合わして立てていかなければならぬわけです。一体炭鉱労働者が一万二千人首を切られたのは、その運命というものは、どういう工合にきちっと処置をつけられていくかということが、今の御答弁を聞いてみてもはっきりしない。ただ国の機関その他に千人と、応域職業紹介で五千人と、その他縁故で二千人いくというくらいの、ただそういう机上プランだけで、そのかゆいところに手の届くような処置というものが行なわれていない。これが実態です。そういう実態の上に、事務も三分の一しかはかどっていない。なおあとに三分の二が残っておる上に、今度は四百七十万トンが予算上それにかぶさってくるわけですね。そればかりではない。そういうかぶさってくるばかりではなくて、今度は新しく失対事業の改善のためにどういう方策をとるかというと、今度は通常雇用に持っていくわけです、失対の一般の労務者を。そうしますと、これが今大体三十五万おりますが、一番石炭関係のある福岡県で三万五千人程度おります。これの二割を通常雇用に大体持っていくというのが山中篤太郎先生の意見である。そうすると、福岡県の三万五千の二割で七千、これが加わる。そうすると、三十七年と三十八年の炭鉱の閉山による失業者と、それから失対事業からいく失業者と、同時に現実に滞留しておるのが二万人おるのです。この滞留者、そしてその上に関連の中小企業と農民の失業者が出てくるわけです。こういう状態で、これを今度はみな職業訓練に乗せるというのです。そうすると一体、ことしの職業訓練の炭鉱関係の人数は幾らかというと、九千三百五十人です。これでは、これからやろうとする合理化計画に見合った受け入れ態勢というものができていないのですね。これはどんどん滞留してくるわけです。そうすると必然的に、こういう計数をずっと当たっただけでもつじつまが合わない。  そこで池田総理にお尋ねするわけですが、こういう状態で、炭鉱労働者を放り出したままでいかれるつもりなのか。今言ったように、山は閉山になっておるけれども、もう一年半も二年も前に閉山になっておるけれども、まだ離職金も何ももらえぬままで、事務がはかどらぬために、そのまま放置されておる、こういう形なんですよ。その上になお四百七十万トンことしやっていこう、こういうことなんですから、まず今後、新しい計画をおやりになるならば、今まで残っておるものを片づけてから、きちっとして、そしてやはり合理化政策に国民の信用をつけてやることが私は筋じゃないかと思うのですが、この点、池田総理はどうお考えになりますか。
  78. 池田勇人

    池田国務大臣 従来、閉山の場合におきましても、炭鉱の事業主が申請しまして、そしてそれが結局結論が出てお金が支払われるまでは、かなり時間がかかったわけです。そこで直ちにそれが整理でき、金が払えるならば、失業者、離職者に対しましても、また炭鉱資金整理にしても非常によかったわけです。これが従来おくれがちであったということは、まことに遺憾な点があるのであります。そういう事例がたび重なって、石炭の閉山その他合理化について支障がありますから、今回法案を出して、そして合理的にまた計画的にやっていこうというのが今度の案であるのであります。従いまして、この石炭合理化、再建の関係法案を一日も早く通してもらって、今お話しのような事態を解決しようというのがわれわれの考え方であるのであります。もちろん、今までの押せ押せのものもございましょう。少なくとも今後こういうふうな合理的な方法でやろうというのだから、今までの分は知らぬというわけにはもちろんいきません。そこでお話の点がありますので、早く一つ法案を通して軌道に乗せていきたいというのが私の考え方でございます。
  79. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、今後の重要なかなめは、今度の法案を出して、すみやかにやろうというならば、かなめはどこになるかというと、いわゆる生産構造計画と申しますか、あるいは合理化整備計画と申しますか、それに関連する雇用計画、こういうような一連の重要なものを審議するのは石炭鉱業審議会になるわけです。一体この審議会を池田総理としてはどういうように改組をして、どういう運営をおやりになる方針ですか。
  80. 池田勇人

    池田国務大臣 有沢会長さんの答申に基づきまして、ほんとうに今のような問題を円滑にかつ合理的に処理するような機構にしていきたいと考えております。
  81. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、その機構は、当然、円滑に処理しようとするならば、これは三者構成でなければならぬと思うのです。この石炭鉱業に関連のある事業主の方と、これに使われる労働者、それから同時に、高い見地から、いわゆる池田総理の得意の大所高所からものを見ていこうとするやはり学識経験者の、三者構成でこれはやられなければならぬと思いますが、池田総理としては、そういうお考えでしょうか。
  82. 福田一

    ○福田国務大臣 そういう構成の問題は、現実に今度改組する法案を出しましてから、出すと同時にきめることになっております。考え方といたしましては、もちろんそういう中立の委員中心にして委員を任命する考え方でおります。
  83. 滝井義高

    ○滝井委員 中立委員を任命するのでなくて、三者構成にするかどうかということです。
  84. 福田一

    ○福田国務大臣 そういうような方針考えております。
  85. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、その三者構成でやる運営において、今までの合理化計画を立てる事業団業務方法書を見てみますと、大体山をつぶすときには、そのつぶす山の労働組合の同意を必要とするように慣行上なっておるのですが、依然としてその慣行というものは継承していくつもりなんでしょうね。
  86. 福田一

    ○福田国務大臣 その従来の慣行を尊重するつもりでおります。
  87. 滝井義高

    ○滝井委員 次は、そういうように合理化計画を立てていく場合に、問題は、合理化の計画、雇用計画が出てくる。もう一つ欠けておるものがある。何かというと、それはその炭鉱の所在する自治体の財政の再建計画というものがないのです。これを私は今後政府としてはぜひ考えなければならぬと思うのです。篠田自治大臣非常に熱意を持っておられますが、池田総理は、一体この荒廃しようとする自治体の再建計画についておやりになる意思があるのかどうか。
  88. 池田勇人

    池田国務大臣 自治体の再建計画というのは、炭鉱整理された後の状況を見て考えなければならぬ問題だと思います。従いまして、今の地方財政制度と交付金あるいは特別交付金等々によって、あとから処理していくということに考えております。しかし、炭鉱整備が進んで参りまして、前もってやらなければならぬというような事態が発生すれば、それはそのときに善処いたしたいと思います。
  89. 滝井義高

    ○滝井委員 現実に筑豊における福岡県の市町村は四十幾つあります。そのうち一昨年までは二十くらいは黒字だったのです。ところが、昨年ごろから軒並みに赤字です。福岡市と芦屋町くらいが黒字で、あとは全部赤字に転落しちゃった。そうして自治体はただ生きておるだけです。ほんとうに税金をとって、吏員の給料を払い、細々ながら学校を運営するというくらいのことで、全く気息えんえんたる状態です。これから先を見るのでなくて、現実にそういう状態になっておる。そこで、これはぜひ一つ総理熱意をもって自治体の再建計画というものを私はやっていただかなければならぬと思いますが、再度総理の見解を伺いたい。
  90. 池田勇人

    池田国務大臣 これは市町村の財政事情財政支出との関係で普通交付金がもらえるわけであります。しこうしてまた特別の際におきましては、特別交付税で処理していくわけでございまして、そういう事態に対処するような制度は今もできておるのであります。それを急いで活用するということでございましょう。しこうして、それだけでは財政のつじつまだけでございますから、これでもう十分とは言えません。今後そういう市町村に対しまして再建の道をどうするかということは、産炭地振興法の方で考えていくという建前になっておるのであります。
  91. 滝井義高

    ○滝井委員 財政的に見ても、交付税あるいは特別交付税ということだけではカバーできない面が非常にあるのです。この点はなお細目にわたりますから、いずれ機会を改めて自治大臣といろいろ質疑応答をやってみたいと思います。  最後に、産炭地における財政を圧迫しておる項目は非常に多いのですが、一番多く圧迫するのは生活保護、それから失業対策事業あるいは緊急就労対策事業、それから学校における生活保護児童並びに準要生活保護児童の学用品あるいは給食の問題です。準要生活保護児童の経費については二分の一自治体が負担をするわけですから……。それから同時に、国民健康保険に炭鉱離職者がなだれを打って入ってきて、国民健康保険が財政的に非常に窮乏化するわけです。それから鉱害です。われわれ、この有沢調査団の報告に基づいて、炭田における影響を調査したものがあります。現在、福岡県に百六十有余の炭鉱がございますが、文字通り有沢調査団答申を実施していきますと、大体九炭鉱くらいしか残りません。そうすると、百五十七くらいの炭鉱が四十二年までに閉山されることになります。ところが、その百五十七の炭鉱経理を見てみますと、ほとんど全部が、鉱区が差し押えをされたりあるいは莫大な売掛代金を持っておったりしまして、鉱害の復旧その他をやれる経済力がほとんど欠乏しているのです。そうしますと、今後こおける鉱害の復旧というものが非常に大きな問題になるわけです。一体、この鉱害復旧について総理はどういう基本的なお考えを持っておるのか、これをこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  92. 福田一

    ○福田国務大臣 鉱害復旧につきましては、確かにまだ相当量が残っておりますし、今後もまたふえる公算があります。これについては、今度も相当予算をふやしまして対策を講じておりますが、今後もその方針で、鉱害復旧はできるだけ措置をして参りたい、かように考えております。
  93. 滝井義高

    ○滝井委員 私、それを具体的に聞きたいのです。一体あなたの方ではどうおやりになろうとするのか、今度新しく、何か積立金制度みたいなものをおつくりになったでしょう。その内容を一体どうおやりになるつもりなのか。これから四十二年までに、百五十七炭鉱というものはほとんど無資力化する傾向があるわけです。あるいは現実に生きている炭鉱の鉱害というものはどんどんふえつつある。一体、生きている場合はどういう方策をとる、死んだ場合、無資力になった場合はどういう方策をとる、これをここで明らかにしてもらいたいのです。
  94. 福田一

    ○福田国務大臣 有資力の場合におきましては、できるだけ行政措置によってその方面の復旧に努めさせますが、一番問題になるのは、無資力のもの、また無資力になる公算のあるものが一番おくれる場合であります。そこで、もう無資力になるということがわかっておるものならば、その認定をなるべく早くしてやる、そしてすぐにそれに着工できるように考えていく。従来、石炭山は掘ったがもうどこかへ行っていなくなってしまったというようなほったらかしになっておるのは、現地の実情を見て、なるほどこれは気の毒だという感じを持つわけであります。またそういうふうになりそうなものは早くからこれを認定しておいて、すぐ鉱害復旧をする、こういうふうな措置をとって参りたい、かように考えておるわけであります。
  95. 滝井義高

    ○滝井委員 そうすると、ことし積立金制度というものをおつくりになったでしょう。大臣、その一番大事なところをどうして抜かされるのですか。これはやらないのですか。通産大臣、もう少ししっかり勉強してもらわぬと、そんなことではこの難関は背負えぬですよ。鉱害賠償資金の調達のため、特段の融資措置を講ずるとともに、鉱害賠償供託金及び積立金の活用につき、検討するということが書かれているわけです。一体具体的にどういう工合に制度として確立していくかということです。  それから、この活用の仕方、これを見ると、財政融資がちっともこれに使われていないのです。一体どうしてこういう緊急に必要とするものに財政融資を入れて、もっと大々的なものをやってくれないかということなんです。
  96. 福田一

    ○福田国務大臣 私は、大きな方針を今申し上げておったわけであります。具体的にこの問題を言えとおっしゃれば、将来発生する鉱害の賠償の問題を早くやっていくためには、従来の制度を改めていこうというわけで、今度でも予算措置はやったわけであります。そうして、政府から出資金を三億円出し、また、従来積み立ててある五億円と、これから積み立てることにする五億円と合わせて一つの基金をつくって、これで大いに積極的にやろうということであります。ただし、その場合においては金が足りないではないかとあなたはおっしゃっておられるではないかと思います。そういうことについては、われわれとしても問題があると思っております。問題があると思いますが、そういうことはいよいよ具体化した場合、また大蔵省とも十分あれをして、必要な措置を講ずるように考えて参りたい、かように思っております。
  97. 滝井義高

    ○滝井委員 財政融資答弁を。
  98. 福田一

    ○福田国務大臣 今お話しのような財政融資の面についても話を進めていきたい、こう考えております。
  99. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 岡田利春君。
  100. 岡田利春

    岡田(利)委員 政府は、前国会石炭関係の四法案を提出いたしたわけでありますが、この致命的な欠陥は、石炭鉱業合理化臨時措置法の改正にあたって、何といっても有沢調査団答申のかなめになる石炭鉱業審議会の改組強化を明確にしなかったことで、これは当然合理化法の性格そのものも変わってくるものと私は理解をするわけです。この法の改正がなされなかったところに致命的な欠陥があると思うのです。しかも、この審議会の性格なり運用については、先ほど滝井委員の質問に対して総理も答えられましたが、これはあくまでも有沢調査団答申に基づき石炭鉱業審議会の改組、強化を行なう、有沢調査団考え方に基づき審議会の運用が行なわれるものである、このように私は理解をするのでありますが、総理の見解を承りたいと思うわけです。
  101. 池田勇人

    池田国務大臣 その通りでございます。このたびの石炭鉱業に対しまする施策は、大体有沢調査団の報告をもととしてやっていくつもりでおります。
  102. 岡田利春

    岡田(利)委員 今日炭鉱労働者がきわめて不信感を持っているのは、まだ改組強化された石炭鉱業審議会の構成ができない状態にあるからです。しかも審議会がいまだ開催されていないわけです。昭和三十七年度はもう二カ月を残して終わるのです。三十八年度以降の合理化を各社それぞれ発表されておることは政府も御存じの通りだと思います。三井においては三井美唄、田川、山野の閉山構想が発表になり、三菱については三菱芦別あるいは勝田、昭和四十二年までの展望を明らかにして鯰田あるいは崎戸の閉山構想まで発表され、北炭についても同様に、空知鉱業所の閉山構想中心にして六千名以上の合理化首切りをするという態度を発表している。大手各社ともそれぞれその構想を明らかにしているわけです。しかも、明治その他については具体的に団体交渉が行なわれているというのが実態なのであります。ここに改組強化された審議会がいまだできない。審議会は開催されない。一体いつ審議会の審議が行なわれるのか。毎年度審議会に合理化計画をかけ、雇用計画についてもかけると言いながら、その方については一向進めないで、各社ごとに首切りが発表される。ここに炭鉱労働者のきわめて大きな不信があり、将来に対する不安があるわけであります。   〔委員長退席、神田委員長代理着席〕 この石炭問題は、政府としても一年有余にわたって取り扱ってきたのでありますから、当然、これらについては至れり尽くせりの措置というものを経営者にする以上、そういう不信感を招くような行為をさせないとか、あるいはまた、将来に対する不安を招くようなそういうことをいたずらに経営者に発表させないというような、強力な行政指導が今日必要ではないか、しかも、それを行なうことが、今日石炭政策について閣議決定をした政府の責任でもないのか、この点についての総理の見解を私は承りたいと思うわけです。
  103. 福田一

    ○福田国務大臣 われわれとしては、石炭鉱業審議会を改組強化して、なるべく早くこれを開きたいという考え方もございまして、特に、少なくとも昨年の暮れに開く予定でおったわけでございます。しかし、あなたも御承知通り、今度の石炭問題については、やはり与野党を通じてできるだけ円満な措置がとれればとりたいというのがわれわれの考えであった。そういうことになりますと、法案が昨年の暮れに通過しなかったのに、これを開いて無用の誤解をお互いの間に起こすことは、決してこの問題解決の方法ではない、こう考えましたから、今日まで延ばしてきておるのであります。従いまして、できるならばこのただいま出しておりまする四法案をすみやかに可決していただきまして、その上ですぐにでも審議会を開いてこれを実現して参りたい、こう考えておるわけであります。
  104. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣の答弁は私も理解できるわけでありますが、そうしますと、各社が個々ばらばらに発表している合理化計画、このことをすでに具体的に労使間における正式機関に提示しようとしておる。これらについては、当然政府としてそういう意図に基づいて何らか善処すべきではないか、このように私は考えるのでありますが、いかがでありましょうか。
  105. 福田一

    ○福田国務大臣 それは先回にもお答えをしたと思っておりますが、会社の社長あるいは重役が将来の自分の会社の経営方針について意見を述べるということを、われわれはとめるわけにはいかないわけであります。しかし、通産省としましては、今あなたのお話通り、先ほども御質問がございましたけれども、労使双方の合意ということが一応の慣例になっております。今後もそれを認めるということになっておりますから、そういう話が出たからすぐに閉山になるというわけには相ならぬと思うのであります。そういうこともございますし、今後のやり方としては、審議会にかけて、まず地域別、炭田別のワクをきめる、そしてその後に山元においてその山と組合との話をつけていく、こういうことでスクラップ・アンド・ビルドが進められていくのだ、こういう考え方に立っておりますので、誤解は生むかもしれませんが、われわれとしては実害はあれによってそう特には起きておらないと考えておるわけであります。
  106. 岡田利春

    岡田(利)委員 この際総理にお尋ねしますが、総理は今まで、これからの石炭政策を進めるにあたって、いわゆる労働者雇用の安定、さらにエネルギー安全保障、加えて国際収支の面を考えて、これからの石炭政策、あるいは大きく言えばエネルギー政策を進めていくのである、こういう見解を繰り返し述べられておるわけです。私は、特に総理が言われておるエネルギー安全保障をはかるということは、総合エネルギー政策確立しなければ困難だと思うわけです。しかし、現実の問題として、総合エネルギー政策がないとしても常に経済活動は行なわれておるのでありますから、エネルギー安全保障について特段の留意をはかっていかなければならぬと思います。しかも、これは短期的に見るのではなくして、ある程度長期的に見つつ補正をする必要もあると思うわけです。従って、総理の言うエネルギー安全保障というのは、一体どういう見解から言われておるのか、この点についての考え方を承りたいと思うわけです。
  107. 池田勇人

    池田国務大臣 エネルギー安全保障ということは、やはり経済性とか雇用の問題等と兼ね合いの問題でございます。御承知通り電力、水力はございますけれども、これから重要部分を占めようとする石油関係はほとんどないというふうな状態でございます。だから、安全保障ということは、できるだけ安全保障に向かって努力しようということでございます。従いまして、今までも原料炭なんかをトン当たり千五百円から二千円違うようなところを自由化せずにやっておるということも、これは安全保障一つの現われでございます。これは程度問題で、できるだけ国内資源を開発していこうということが安全保障でございます。
  108. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、特にエネルギー安全保障の面から今後の日本の石炭政策についても確定されていかなければならぬと思うわけです。有沢調査団答申の内容を見ますと、昭和四十五年度まで一応需要についての展望をいたしておるわけです。ところが、これからの石炭産業というものは、従来の石炭産業と違って、生産体制が非常に弾力性を失ってくる。今日生産額の大体三分の一を中小炭鉱生産をいたしておるわけです。これが比率がぐっと下がって参ります。従って、生産体制については漸次弾力性が失われてくる。大手については採算上マキシマムの出炭をする、あらゆる設備を最高度に活用するという方法で生産が行なわれる。だから生産体制は弾力性がなくなってくると私は思うわけです。一方において、需要の面についても非常に弾力性が失われてくると思うわけです。原料炭を除いて一般炭は、昭和三十八年度で大体二千万トンの石炭が一応景気の変動による流動需要ではないか。私は、これからの政策では、電力、鉄鋼、ガスあるいはまた豆・練炭、山元消費、暖厨房用、こういう石炭は一応固定需要と見ることができると思う。そうしますと、昭和四十年度には一般炭は一千二百万トンが流動需要の数量になるし、昭和四十二年度には九百四十万トンになる。昭和四十五年度に至ってはわずか四百七十万トンという数字になるわけです。ですから、需要の面でも非常に弾力性が失われてくるわけなんです。この傾向に対して私は今からやはり何らかの措置をとるべきではないかと思う。たとえば輸入エネルギーが漸次増加をする。今日問題になっておるように、石油製品あるいはまた原油の貯油について一体どうするか、これはきわめて重要な問題であると思うのです。国内資源であっても、石炭はそう簡単に増産ができませんから、今日のように渇水になると、四百四十万トンの貯炭が一ぺんになくなる。これがもし夏場において貯炭がないとするならば、緊急輸入をしなければならぬという状態に今日追い込められておるはずです。しかも電力需要は将来三千万トンに膨張していく。そうなればなるほど流動需要が少なくなってくるのであります。私は、やはり石炭をある一定の限界まではこれをかかえるということを今日考える必要があるのではなかろうか、そういう検討をする必要があるのではなかろうか、このように考えるわけです。たとえば昭和四十五年度において電力用炭の二〇%、六百万トンになりますが、今日においても大体六百万トンを限度としてある程度の貯炭をかかえるという政策が必要ではないか。もちろん、六百万トン以上に貯炭が累増するときには、大胆に生産制限をする、やはりこういう積極的な施策がなければ、非常に異常な天候で渇水が毎年のように起きる今日では、私は石炭の安定供給もむずかしくなる傾向を来たすと思うわけです。こういう点について、総理石炭の安定供給に対する見解とあわせてお考え方をお伺いしたいと思うわけです。   〔神田委員長代理退席、委員長着席〕
  109. 福田一

    ○福田国務大臣 お説の考え方には私も実は非常に共鳴するものがあります。ただし、どういうふうにして保存をしておくかという問題がありますので、そういう点もあわせながら一つ考えてみたいと思っております。ということは、あなたのおっしゃるように、一般炭というものは非常に需要がどんどん減る可能性があるのでありまして、従ってセメントとか、鉄鋼とか、そういう面で需要がふえても、五千五百万トンというものがはたして維持できか、需要が落ちつくかどうかということが実は大きな問題になると思う。そういうようなときにでも、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドするときには、一応基準というものがなければいけません。そうなると、五千五百万トンという一つの基準を示してそして一応生産体制をやっていく場合に、さあそれでは使わない二百万トン余ったのはどうするかというようなことが起きないとは言えないわけであります。こうなると、貯炭ということも一応考えてみなければならぬ。ただ、それが技術的にどういうふうにできるのかどうかということも考慮する必要がありますので、実は私は今これを事務当局に研究させております。
  110. 岡田利春

    岡田(利)委員 私はこの点特に検討をお願い申し上げておきたいと思います。  次に、わが国エネルギーの総合調整をする上にあたって、何といっても、輸入エネルギーの、特に油の半数は、昭和四十五年度には火力発電でこれを消費するわけです。一方において、国内石炭についても五五%が火力発電によって消費をされるわけです。ですから、国内の石炭についても、輸入石油についても、その半分はもう全部電力で消費をする、こういう消費構造に相なってくるわけです。そうしますと、今日一応策定されておる火力発電所計画というものは、抜本的に再検討しなければならぬときにきているのではないか、特にエネルギーの安定的な供給という面から考えても、重油専焼をむやみにふやすのではなくして、むしろ混焼設備に弾力性を持たすべきではないか。石炭が足りなければ油の量をふやせばいい、石炭の量が余ってくると油の混焼率を下げるという、こういう面から考えて、いわゆる混焼火力発電所というものを、ある程度——供給予備率の方は全部これでまかなう、これくらいの考え方でこれからも検討する必要があるのではないか、特に産炭地の発電所については、長期的な実施計画というものを優先さして作成する必要があるのではなかろうか、こういう見解を私は持っておるわけです。特に大事なことは、電力資金対策及び石炭対策の面も含め、あるいはエネルギーの調整等を含めて、あらゆる面から考えて、今の九電力だけにまかせるのではなくして、これらの混焼発電所を中心にして、むしろ電発において火力発電所の開発を促進させる、こういう点についても今日検討すべき段階にきておるのではないか、いわゆる具体的な面からエネルギーの長期的な調整、エネルギーの弾力的な消費構造をとる、こういう考え方が今日非常に大切であると私は考えるわけです。従って、制度的にも私は今日火力発電所計画については抜本的に検討すべき段階であると思うのですが、この点についての、できれば総理大臣の見解を承りたいと思うわけです。
  111. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の第一点は、混焼を拡充すべきではないか、こういうことでございますが、御承知通り、混焼だと非常な設備費がかかるわけでございます。やはり安い電力ということを考えますと、混焼を基本にしていくということはなかなか困難ではないかと思います。なお、石炭関係から火力発電所の増設につきましてはわれわれも努力する考えでございますが、火力発電、石炭の発電を電発のみに限るということは、私はいかがなものかと考えております。電力の再編成の問題につきましては、いろいろ議論が出てきつつあるようでございますが、政府としても相当やはり考えていかなければならぬ問題だと思っております。
  112. 岡田利春

    岡田(利)委員 所得倍増計画の予想によりますと、国際収支の面から考えて、昭和三十四年度には、輸入総額のうち、エネルギーの輸入の総額は一四・七%で、五億八千万ドル程度だと思います。ところが、四十五年度になりますと、これは大体一九%から二〇%に増加をする、しかもそのときの輸入総額は九十八億九千万ドルを一応予想しておるようでございます。私はやはり国際収支の面からいろいろ考えて、わが国の貿易構造から検討し、大体輸入エネルギーの総額は、輸入総額のうちどの程度わが国の場合には限度と考えられるか、この辺、特に経済に詳しい総理の一応の見解を承りたいと思うわけです。
  113. 池田勇人

    池田国務大臣 原子力の問題もございますし、今、輸入総額に対してエネルギーの輸入総額が何パーセントかということは、これはなかなか言い得られない。少ないに越したことはございませんけれども、しかし経済性ということを考えなければなりません。
  114. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほど多賀谷委員から産炭地振興について質問が行なわれたわけです。産炭地振興というのは、文字通りに解釈いたしますと、ある程度石炭が出ておるうちにその地域を振興させる。石炭を掘り尽くしてしまって、もう閉山になってしまったあとは、産炭地ではなくなるわけです。旧産炭地振興ということになるのではないかと思うのです。ですから、産炭地振興ということは、まだ石炭炭鉱があって、これが将来閉山になる、そこで地域経済疲弊をするから、これに見合って産炭地振興をはかっていこう、こういう政策が、私は産炭地振興の政策だと思うのです。ところが、今政府のやっておるのは、旧産炭地振興対策、いわゆる産業再開発という、こういう政策ではないか。この点、私は今日の産炭地振興対策について非常に疑問を持っておるわけです。ですから、炭鉱が二年なり三年でなくなる、ところが、もうすでにある程度その地域についてはその開発計画が考えられておる、それが実施に移されておる、ここまで大胆に踏み切らなければ、地域住民の御理解と納得を得ることはおそらく困難だと思う。筑豊の現状についてもるる同僚委員から説明がございました。この具体的な実情の認識についても、政府と現地の間には相当大きな違いがあるのではないか、私は実はとういう理解があるわけです。まして、日本の産炭地を分けますと、九州、北海道、常磐、山口と、四つの地区に分かれるのでありますが、北海道等についてはこれはもう心配ない、これは大したことはないというのが、今日政府の認識ではないかと思う。しかし、市町村単位に見る場合に、今日筑豊に起きておる現状は、今これから北海道に起ころうとしておるわけです。たとえば美唄のように、会社の構想で三井美唄を閉山する、あるいは三菱美唄は場合によっては第二会社にする、でなくても従業員は半分に減らすということになると、約八万人おる美唄市は半分以下になるでしょう。あるいはまた、一つの県と同じ面積を持つといわれる芦別市は、三井芦別一山より残らなくなる。あるいはまた、歌志内市は、六割を占める空知が閉山になれば、これも半分以下の町になる。市町村にしてもこういう例があるわけです。ところが、北海道は総体的に生産の量がふえるのだから、これは問題がないという認識が政府にあるのではないかと思うわけです。市町村単位に見れば、これは筑豊の市町村単位と比べてむしろ何ら変らない現状がこれから北海道に起きてくるわけです。ですから、当然北海道の産炭地振興についても、ある程度同様に並行的に施策が講ぜられていかなければならぬのではないか。産炭地振興についても、全然そういう相談の窓口も開設をされない。これははなはだ現状認識に対する不足ではないかと考えるわけですが、特に全国的に見て、これからの合理化計画を進めるにあたって、この面についてはどういう一体お考えを持っておるか、お伺いをいたしたいのです。
  115. 福田一

    ○福田国務大臣 北海道を特別扱いといいますか、軽視しておるのではないかというような御趣旨かと思いますが、われわれはそのようなことは毛頭考えておりません。北海道においてもこれは重要な問題でございますので、筑豊と同様に十分対策を考えて、万全を期して参りたいと思っております。
  116. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんからこれで終わりますが、私は最後に総理にお尋ねいたしたいのであります。  今日、地域経済に著しく影響を及ぼす炭鉱の閉山については、特に私は十分配慮が払われなければならぬと思うわけです。その炭鉱のみに依存しておる町の経済が、炭鉱とともに破壊されるという工合になるわけでありますから、地域経済に重大な影響を及ぼす炭鉱の終山、閉山、スクラップについては、十分慎重な配慮がなされなければならぬと思うのです。この閉山は、ほかの場合の閉山と違って、ある程度計画的に準備期間を置いて閉山をして、できれば縮小しつつある一定期間をとにかく維持する、こういうことが今日最も望ましいのではないか。しかも特に地域から出てくる要望は、この点に関する要望がきわめて強いし、きわめて深刻なのです。従って、もちろん、これらは鉱業審議会で検討するということになるでありましょうが、これをある程度行なっていくとするならば、やはり政府施策の裏づけあるいは政府の強力な指導というものがなければ、私は実際実行は不可能であると考えるわけです。この点特にそれぞれの市町村にとっては深刻な問題でありますから、この面に関する見解について、できれば総理からお伺いしたいと思うわけです。
  117. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど大手炭鉱が四十二年までの整理を発表したことにつきまして通産大臣が答えた通りでございますが、私は、御質問にありましたごとく、そういう計画を立てるのはよろしゅうございますが、実際の面にあたっては、やはり地域別、炭田別に整理が円滑、合理的にいくよう、そして摩擦が起こらないようにやっていかなければならぬことは、政治の根本だと考えます。従いまして、審議会におきまして十分そういう点は考えていただくよう政府指導していきたいと思います。
  118. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。  なお、総理を除いた各大臣は午後も必ず出席されるよう要望いたしておきます。    午後零時三十二分休憩      ————◇—————    午後一時四十四分開議
  119. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  石炭関係法案に対する質疑を続行いたします。井手以誠君。
  120. 井手以誠

    ○井手委員 本日は雇用計画を中心にお伺いしたいと思いますが、その前に二、三点お伺いいたします。  午前中、通産大臣は、五千五百万トンはぜひとも確保いたしますという御答弁がございました。さらに、両党の申し合わせ並びに総理大臣の答弁によって、六千万トンの需要拡大努力するという御答弁もござました。そこでお伺いいたしますが、五千五百万トンはいかなる場合でも確保しなくてはならぬ、さらに六千万トンに拡大しなくちゃならぬのでありますが、午前中、通産大臣は、五千三百万トン程度になるかもしれぬというお話がありました。一部では、三十八年度の需要が五千二百万トンを下回るのではないかという説すら出ておるのであります。政府の言明通り五千五百万トン確保しなくちゃならぬ。もし不幸にして確保できないときにはどうなさるつもりですか。これは政府の責任でありますから、十分お考えになって御答弁が願いたいのであります。
  121. 福田一

    ○福田国務大臣 五千五百万トンは少なくとも確保するという方針整備計画その他も立てるのでありますから、そこで五千五百万トンの供給は確保するという建前でなければならないと思うのであります。しかる場合に、需要の方がこれに見合わないという場合があったとしたならば、これに対してどういうふうな措置をとるかということになれば、やはり先ほど岡田議員からもお話がありましたけれども、場合によってはその一部を貯炭に回すとか、何らかの方法を講じてでも一応五千五百万トンという数字は確保するという建前でやっていかなかったら、この計画というものは立たないのじゃないか、こういう考えを私は持っておりますので、そこで、そういうことについても一つ十分今後政府として対策を具体的にきめていく。ということは、その貯炭の方法でもいろいろ技術的に問題があります。長い時間積んでおけば燃えてしまうということもあると聞いておりますし、それをどういうふうにしてどこでやっていくかということを考えなければいけません。これが百万トンや二百万トンの間だったら、何らかの方法で今の機構の形でやっていけるが、これが三百万、五百万ということになると、なかなか今の形ではできなくなると私は思うのであります。そういう意味で慎重に検討しよう、こう考えておるのであります。
  122. 井手以誠

    ○井手委員 政府の責任の裏にはその保証がなければならぬのであります。また、政府の確固たる画期的な政策ですから、あやふやなことでは、これは業界はもちろん、働いておる労働者も非常に不安ですから、その点をもう少し聞いておきたい。  六千万トンはぜひわれわれは拡大してもらわなければなりませんが、もしとりあえず五千五百万トンの需要確保ができない場合には、ただいま貯炭を考えているとおっしゃった。しかし、それは政府機関で貯炭をお考えになりますか、業者でお考えになるのですか。この点はまだ研究が進んでいないかもしれませんけれども、この際この席である程度聞かなければ私は引き下がるわけには参りません。政府が五千五百万トンを確保しますと言っておるのですから、需要がどうかわからぬという場合はともかくも、五千二、三百万トンといわれておる今日、非常に不安ですから、政府の裏づけが絶対に必要だと私は考えます。時間を与えますから、十分打ち合わせてから御返事願いたい。これは政府が責任をもって業界にあるいは関係の人に不安を与えないような措置をするという、はっきりした確固たる態度を一つお示しを願いたい。
  123. 福田一

    ○福田国務大臣 もちろんこれは重大な問題でありますが、五千五百万トンを確保するということは、少なくともこれだけ問題になり、政治的にも、あらゆる意味において問題になっている場合において、それは需要が少なくなれば減りますよという形でこの問題を解決するのでは、解決にならないと考えております。従って、五千五百万トンまでは確保しなければならない。その場合に、需要がこれに見合わなかった場合には、場合によっては金融措置によって山元に貯炭させる工夫も一つの方法でしょう。あるいは何らかの機関を政府がつくってそれに持たせておくというのも一つの工夫でしょう。どういう工夫があるか、これは研究する必要があると私は思うけれども、少なくとも、百万トンや二百万トンのことであれば、現在の山元貯炭でもできないはずはないと思っております。そういうことであれば、今ここでそういう技術的な問題等も十分考えた上で一番いい方法をやるというのがいいわけでありますから、ここでの御答弁としては、五千五百万トンはわれわれの責任において確保していくのだということさえ申し上げておけば、一般の人もそれで安心をしてもらえる、こう思っております。
  124. 井手以誠

    ○井手委員 そう簡単に安心されるものではないのですよ。過去何回か合理化計画を進めて参りましたが、現実はどうなんですか。何回も同じことを繰り返しておるのじゃありませんか。確保するという言明だけではいけません。もしきょうその具体的な方針をお示しにならぬなら、幸い合理化法の改正案が出ておりますが、この合理化法案を通過させるに際しては、どうしてもその点の保証を得なくてはなりません。政府確保しますと言っても、金を貸すのか、政府が買い上げるのか、その点が明確でなくては困るのですよ。どうですか、通産大臣。これは合理化法案の審議に非常に重大な影響があります。この点は今後の審議に私ども十分関心を持って当たりたいと思っておりますから、合理化法の成立前に、いな、衆議院で採決前にぜひともその具体案をお示し願いたい。国民を安心させる具体案、関係者を安心させる具体案をお示しになるように一つここでお約束を願いたい。
  125. 福田一

    ○福田国務大臣 法案が通る前後まで待つまでもなく、われわれは、さしあたりのあれとしては融資をもってやれる、こう考えておるのでありますから、そういう時間を延ばすという方がかえって不安を与えると思うのでありまして、この際明言をしておきますが、少なくとも三十八年度については融資でもって十分その措置ができると考えております。また、三十七年度の貯炭についてもこれは考えております。余る分については融資をもって措置をするということに方針をきめておるわけでありますから、それでおわかりを願えるのじゃないかと思っておるわけであります。
  126. 井手以誠

    ○井手委員 融資をすることはわかりました。  それでは、その融資はどうなりますか。政府が五千五百万トンの需要確保に責任を持つならば、そう金利の高いものをいつまでも貸すというわけにはいかぬでしょう。その点はどうですか。
  127. 福田一

    ○福田国務大臣 その問題になりますと、ちょっと井出さんとそこに認識の相違ができるかもしれません。私たちは、やはり石炭産業というものを将来は自由主義経済の中において合理化をして、そして立ち行けるような工夫でこれを助成していくという形でありますから、そういう場合において、融資した場合においても、なるほど金利の問題も出てくるでありましょうが、ある程度はこれは経営者の方においてものんでもらうというような形に相なっていくかと思います。しかし、その場合に、その貯炭が大きくなって一部の人だけに非常に大きな影響があるというようなことになれば、これは考えなければならないかもしれませんが、さしあたりの問題としては、ことしあたりはやはり融資をやるということで処置をしていってもらえると思っておるわけであります。そうしないと、それじゃもうかったときには今度はどうするのだ、もうかったときははき出すか、こういう問題が出てくるわけであります。だから、やはりこれは経済の原則に従って一応事業としてやっていく。その事業としてやっていく場合において、その分金が足りないということであれば、それは融資をしてやっていく。しかし、それが今私が申し上げたように百万トンや二百万トン程度であればあれですが、非常に多くなったという場合においては、これは当然考える問題は起きるかもしれません。また、そういうことについては、貯炭の技術の問題もありますから、あわせて十分研究をしていきたい、こう言っておるのであります。
  128. 井手以誠

    ○井手委員 もうかったときにはどうなるかという反論がありましたが、それは石炭鉱業現状の認識が足りない所論であると私は存じます。  ここで続けてお尋ねいたしますが、六千万トンの需要拡大努力するというのは、これは厳粛な申し合わせであり、政府の言明である。単に努力だけではいけないのであります。それじゃどういうふうに努力なさるつもりですか。すでにその話があったのは昨年の十二月です。もう相当日にちもたっておりますし、ある程度の成算がなくてはそういう言明はないはずです。困難であるけれども努力するということであれば、また二大政党の約束であるならば、当然用意があってしかるべきだと私は考えるのであります。二、三点でもけっこうです。お漏らしを願いたい。
  129. 福田一

    ○福田国務大臣 御承知のように、六千万トンということについては非常に困難だ、現実の問題から見て困難だということを言っている。ただし、四十二年度においてということでありますから、できるだけ何らかの方法で、しかも経済的に石炭が役に立つような工夫がないかということを研究していくことは、これはわれわれも努力をいたします。しかし、今ここにおいてすぐにこういう方法があると言えとおっしゃても、われわれとしてはこれは言えません。ただ私たちは、予算の面におきましても、石炭を燃料としてではなく、何らかの方法で工業化するような工夫がないかということについては、予算もつけて勉強をしているのでありまして、今後におきましても石炭をそういう燃料以外に使う、あるいは燃料としてももっと合理的に使う研究などをいたしまして、経済的に利用する工夫があればそういうふうに努力する、こういうことを言っているのであります。
  130. 井手以誠

    ○井手委員 この点は、総理出席の上あらためてお伺いをいたしたいと思います。  次に、建設省にお伺いをいたします。  産炭地の道路建設は、産炭地振興の大きな約束の一つでありましたが、来年度は幾ら産炭地の道路建設に組んでございますか。
  131. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 三十八年度においては予算に計上願っておりますものが、五十七億余万円であります。本年度の三十七年度においては約四十億円であります。
  132. 井手以誠

    ○井手委員 本年度は四十億円、来年度は五十七億円で、十七億円ふえるというお話がございましたが、それはどういう地区でどういう計画なのですか。
  133. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 ただいまお答え申し上げたのは、主として筑豊、九州方面の産炭地区及び北海道産炭地区を含めて、両方合わせたものでさようになっております。
  134. 井手以誠

    ○井手委員 県別に言って下さい。
  135. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 県別でいきますと、福岡、佐賀、長崎、これが主体性をとっております。
  136. 井手以誠

    ○井手委員 大蔵大臣にお伺いをいたしますが、今度の政府石炭対策大綱には、有沢調査団答申を尊重するとなっているのであります。そしてまた、その大綱の中にも産炭地道路が非常に強調されているのであります。その産炭地道路、今建設省からお話になったのは、いわゆる建設省の計画を繰り上げあるいは拡充しておやりになるものであって、産炭地をつなぐいわゆる有沢調査団産炭地道路ではないと私は考えております。従って、その有沢調査団から答申のあったあの産炭地道路は幾ら計上なさっておりますか。
  137. 田中角榮

    ○田中国務大臣 お答え申し上げます。  三十八年度の予算案におきまして、一般会計及び財政融資で道路費に最重点を置いたことは、御承知通りであります。三十七年度すなわち本年度予算に比べて七〇%以上の投融資財源等の投入等もはかっておりますし、なお外債等の資金確保も行なっておるわけであります。しかし、御承知通り、道路に関しましては、道路整備五カ年計画がありまして、年次計画においては閣議の決定を経ておるわけであります。三十八年度の予算に対しましては、直轄国道及び地方道、その他市町村道、里道等の補助工事があるわけでありますが、これが総ワクは予算書にお示ししてございますが、府県的な区分に対しては、これから予算が通過をする三月三十一日までに建設省においてこれが配分を行なうわけでありまして、三十八年度計上の道路に関する総予算額のうちで、有沢調査団答申になった部分を十分加味して参るという方針であります。
  138. 井手以誠

    ○井手委員 大蔵大臣は少し勘違いなさっておるようですが、私がお伺いしておるのは、有沢調査団答申によりますと、「筑豊地域および佐賀、長崎地域については、産炭地域を結ぶ道路建設整備を促進するものとし、特に筑豊地域の今後の開発に資するため、この地域と北九州工業地帯および福岡市とを結ぶ幹線道路の早期建設整備を行なうべきである。」という、この点であります。九十八億円を要するこの産炭地道路がどうなっておるかと聞いておるのであります。
  139. 田中角榮

    ○田中国務大臣 ただいま申し上げますように、三十八年度予算は、有沢調査団答申の線に沿うように道路の総ワクで認めてありますから、三十八年度予算が通過をする三月三十一日までに、建設省において各府県との意見を調整してこれが工事費の決定を行なうわけでありますから、本年度の末までにおいて策定をされ、道路整備五カ年計画に基づいて閣議決定を求める段階においては、今質問になられた部分の道路に対しては、御期待に沿うような予算配分ができ得る、このように考えておるわけであります。
  140. 井手以誠

    ○井手委員 松澤さん、今のお話は間違いございませんね。三月三十一日までにこの有沢調査団長の答申のものは建設省の計画で入れますということでしたが、間違いございませんか。
  141. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 現在建設省と大蔵省との打ち合わせのもとにおいておよそ予定を組んでおりますのは、有沢調査団からの報告に基づくものを基準にいたしまして、主として八幡−鳥栖線、あるいは福岡−行橋線、あるいは福岡−有田線、これは二級国道でありますが、主要府県道といたしましては、小倉−日田線、あるいはまた福岡−直方線、直方−芦屋線、こういうふうなところを結びますと、ほとんどこれに出ておりまする線に当てはまってくる、かように考えております。
  142. 井手以誠

    ○井手委員 これはあらためてまたお伺いをいたしまして、本論の雇用の安定をお伺いいたしたいと思います。  この前の臨時国会におきまして、労働大臣はかなり良心的なお考えがございました。三十七年度において八千名の離職者予想に対して、政府機関には千名を雇用する予定である、縁故その他で二千名、それから広域紹介で五千名だというお話でありました。三十八年度はどうなっておりますか。
  143. 三治重信

    ○三治政府委員 この前のお答えにつきまして、けさも滝井先生からもお話がありましたのですが、この八千名は——三十八年度につきましては、まだ政府関係機関に最終的に各省別には決定はしておりませんが、今まで打ち合わせたところにおきましては、政府関係機関において約二千八百名三十八年度で吸収するように、われわれの方と関係各省と今準備中でございます。
  144. 井手以誠

    ○井手委員 三十七年度のすでに買い上げが進行しておりまする八千名の離職者雇用計画、この中に千名の政府機関雇用がございますが、その内訳をお示し願いたい。郵政省に幾ら、国鉄に幾ら、どこに幾らという内訳を承りたい。三十七年度分です。
  145. 三治重信

    ○三治政府委員 その井出先生のお尋ねの一千名につきましては、三百二十万トンの買い上げの離職者八千名について、私の方が三十七年度ということでなくして、最終的に、再就職計画として、千名、五千名、二千名くらいの配分で再就職計画を予定しております。こういうことでございまして、三十七年度に一千名、八千人のうちで政府関係機関雇用するというふうに御理解になったら、今私が申し上げたように訂正さしていただきたいと思います。あるいは八千名につきまして三十七年度中に再雇用するということではございません。三百二十万トンも、けさほどありましたように、まだ百十万トン程度しかその買い上げが決定してないというふうなこともありまして、また今後とも、何と申しますか、まだ全部も済んでいるわけでもなく、当然翌年度にも繰り越されますし、従って、三十七年度中にということで御理解になっておりましたら、その点は訂正さしていただきますが、八千名の離職者に対する再就職の最終的な計画としてそういうふうな予定をしております。なお、八千名につきましては、年度間のその他合理化による離職者も含めまして、そのうちの一部になるわけでございますので、その閉山、買い上げだけの就職の割合というものは、比率でわれわれの方は出したわけであります。全体の年度の合理化離職者に対する雇用計画となりますると、そういう閉山ばかりでなくて、その他の方たちも一緒に全体の数として含めて計画をやっていきたいと思っております。
  146. 井手以誠

    ○井手委員 私は今の答弁を聞いてびっくりいたしましたよ、労働大臣。この前は、あなたは非常に良心的な御答弁でしたから、私は途中で産炭地問題に質問を変えたわけです。農地問題がひっかかったわけです。今聞いてみると、雇用計画というものはほとんど立っていないじゃないですか。この点は今からじっくりお伺いをします。  その前に通産大臣にお伺いいたしますが、あなたの方は、まだ雇用計画も立っていないのに三十八年度の四百四十万トン買い上げをすでに実行に移されておるようですが、事実ですか。合理化事業団はすでに、二月の十一日から三月の二十日まで受け付けると発表しておる。これは事実ですか。
  147. 福田一

    ○福田国務大臣 合理化事業団が受け付けるといっておるのは、三十八年度分からについて受け付けるといっておるわけであります。
  148. 井手以誠

    ○井手委員 この前、あなたはこういうふうにおっしゃった。雇用計画を立ててこれに見合う合理化計画を立てますということを、はっきりあなたは言明なさった。御不審であれば、ちゃんとここに速記録は用意いたしておりますから、今労働省の答弁では、三十七年度の雇用計画も立っていないじゃないですか。  そこでお伺いいたします。郵政大臣は、三十七年度に炭鉱離職者は何名お雇いになるつもりですか。それから三十八年度は何名炭鉱離職者雇用なさる計画ですか。
  149. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 郵政省といたしまして炭鉱離職者を三十七年度に採用する数でございますけれども、第一次といたしまして、八月十日に四十四名採用いたしました。それから第二次といたしまして、ことしの三月十日予定でございますが、それに七十五名採用する予定であります。合計いたしまして百十九名採用する予定であります。
  150. 井手以誠

    ○井手委員 三十八年度は……
  151. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 三十八年度は、労働省の方からは千名要求されております。私の方といたしましては、その努力目標に対しまして極力一つ努力したい、こう思っております。
  152. 井手以誠

    ○井手委員 郵政大臣に重ねてお伺いいたしますが、あなたの方の来年度の定員増は七千九百名かになっておると思いますが、その中に千名を炭鉱離職者から雇われるという計画ですね。
  153. 小沢久太郎

    ○小沢国務大臣 その点はまだ需給関係でわかっておりませんけれども、労働省の方から千名の目標を言われておりますので、私の方といたしましては、あとう限りその数に近づけるように努力いたすつもりでおります。
  154. 井手以誠

    ○井手委員 運輸大臣にお伺いいたしますが、国鉄炭鉱離職者は何名お雇いになる計画でございますか。三十七年度の計画と三十八年度の計画を同時にお示し願いたい。
  155. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 今の労働者の問題につきましては、労働省とよく協議をいたしまして、適格者があれば三百名くらいのことは国鉄としては採ろうというつもりであります。
  156. 井手以誠

    ○井手委員 綾部さん、三十七年度には何名今後お雇いになる計画であるかと聞いているのです。三十八年度はどのくらいですかと聞いている。参考のために申しますが、国鉄の三十八年度の増員計画はたった五百名ですよ。それを頭に置いて返事をして下さい。
  157. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 あなたのおっしゃる通り五百人ですが、適格者があれば、あるだけ採るつもりでおります。
  158. 井手以誠

    ○井手委員 それは返事になりませんよ。政府機関が三十七年度には千名、三十八年度には二千八百名雇用しようというならば、各省ごとにその計画がなくてはならぬはずですよ。努力しようでは返事になりません。もう一ぺんおっしって下さい。三十七年度は国鉄炭鉱離職者を何人雇うことになっておりますか。三十八年度はどのくらい雇用なさる計画ですか。
  159. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 国鉄といたしましては採用する意思はありますけれども、適格者がないときにはどうしようもないですから、適格者のあるだけ採用すると申しております。
  160. 井手以誠

    ○井手委員 適格者があるかどうかについては、これは大体常識でわかるだろうと思う。  それでは、自治省について篠田さんにお伺いをいたします。警察官に離職者は三十七年度には何名なさいますか。三十八年度もあわせてお答え願います。
  161. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 御承知通り、警察官は、高等学校卒業で、年令は二十五才まで、それが警察官の適格者であるかどうか試験を受けまして、それで採用することになっております。そこで今回私の方といたしましては、できるだけ炭鉱離職者を警察官に採用したいというので、二十五才を炭鉱離職者に限って三十才まで年限を上げまして、そして試験を受けさせる。そうしますと、今的確な数字はありませんけれども、炭鉱離職者のうちで、高等学校卒業生であって、満三十才以下という者は数が限られております。その中からまた警官に志望する者が何名あるか、大体の予想を立てているわけでありますが、そしてそのうちでまた合格する者が何人あるか、こういうことでありますから、警察官に関しては、試験を終わらないと、実際において何名採用するかということはできないわけであります。
  162. 井手以誠

    ○井手委員 この間の一月の試験には、離職者はあまり受験をしていないようです。二千名募集なさった場合に、離職者は、そういう受験の資格がございますから、ほとんど受験しておりません。そうすると、あなたの方にはあまり見込みがないということですね。  労働大臣にお伺いいたします。  それじゃ、三十七年度の一千名はどこどこに採用なさるつもりでございましたか。三十八年度はどうなっておりますか、一つ具体的にお示しをいただきたい。
  163. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 今年度におきましては、ただいままでのところ三百三十名ほど各関係庁に採用されております。それから、先ほど申し上げました千名というのは、局長から申し上げました通り、昨年の買い上げの八千名の中で千人を結局政府機関にお世話をしたい、こういう目標数でございまして、これは今年度中にその作業が終わるという意味ではございませんので、その点は一つ申し上げておきます。  それから来年度の二千八百人につきましては、一応見当は立てておりまするが、関係各省にそれぞれ目標数をお示ししてお願いをいたしてあります。たとえて申しますと、法務省に十名、大蔵省に六十名、文部省に十名、厚生省に四十名、農林省に百四十名、通産省に五十名、運輸省に三百十名、郵政省に千六十名、労働省五十名、建設省五十名、それから北海道十名、防衛庁十名、地方機関に千名お願いするつもりでございます。
  164. 井手以誠

    ○井手委員 わかりました。  それじゃ各省にお伺いしますが、大きいところから聞きましょう。  通産省五十名、あなたは本家ですから間違いないでしょうが、五十名お雇いになりますね、来年は。
  165. 福田一

    ○福田国務大臣 五十名採用する予定であります。ただし、これは今までもいろいろお話がありました通り、予定でございまして、適格者がいないとかなんとか、あるいは志望者がないとかいうことになりますと問題でありますけれども、極力五十名は、ポストだけはあけてそれをとるように努力をいたすつもりであります。
  166. 井手以誠

    ○井手委員 地方庁の関係、これはあと回しにしましょう。労働省も、五十名、大丈夫ですね。
  167. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 申すまでもないことでございます。
  168. 井手以誠

    ○井手委員 それじゃ各省にお伺いしますが、これは政府機関雇用するのは常用であると、この前言明がありました。定員法の方はどうなっておりますか。国会に提案なさっておりますか。定員法の改正にそれを盛られておりますか。それを各省にお伺いいたします。まず手前の方からずっと、通産大臣から……。
  169. 福田一

    ○福田国務大臣 私は井出さんにお答えをいたしたいと思うのでありますが、これは、三十八年度分については、これからそういう交渉をして計画をして、そして大体どこでもそういう計画ができたところで、三十八年度のいわゆる合理化の計画を立てて、それに見合っているかどうかということをよく見た上で、そこで審議会にかける、こういうことであります。ただ、今は労働省において計画を一応つくって折衝をしておる段階であります。従って、私らのところのように連絡の早くついておるところは、すぐこういうふうにお答えができますけれども、これは全省にわたって全部できておるかということになりますと、いわゆる審議会に計画をかける段階において御質問をいただきませんと、的確なお答えができないんじゃないかと考えるわけであります。  また、官制の問題についてお話がございましたが、私の方で今考えておりますのは、いろいろの公団その他等を含めております。そういう分については、官制も必要としませんので、十分その余地があると考えておるわけであります。
  170. 井手以誠

    ○井手委員 私は各省に一々今からお伺いしようとは考えておりませんから、その点は御放念なさってけっこうです。  私は一括してお伺いしたいのは、労働大臣、これは雇用計画が立ってから合理化計画というものを立てなければならぬ、これは何回も言明なさっておるその合理化計画というのは、法案はすでに国会に出ておりますよ。しかも、今二千八百名の政府機関雇用は、大体お示しになりました。もしそれが事実ならば、定員法の改正に入っておらなければなりませんよ。どこも入っておりません。それははっきりしておる。ただ郵政省だけは数が多いから、そのうちで採用ができるでしょう。しかし、ほかの官庁では、五十名、百名というところは、それぞれ技術の関係その他いろいろな都合があって、炭鉱離職者を雇うような余裕はないはずです。そうでしょう。どうですか、大蔵大臣。それはまとめて御返事願いましよう。
  171. 田中角榮

    ○田中国務大臣 三十八年度一般会計、特別会計及び政府関係機関予算等を策定いたします段階において、労働大臣から申し込まれてありますものに対して、一般会計でこれを雇用するというだけではなく、ただいま申し上げましたように、各省関係の機関において、これらの炭鉱離職者の状況を十分承知をして、それを前提として雇用する場合に配慮をすべし、こういうことで、各省とも了解をしながら予算をつけてあります。なお、定員の問題は、ただいま郵政省その他特別会計の定員法の改正は追って提案をいたす予定であります。今までの御説では、一般会計の中でというようなお考えのようでありますが、関係機関を合わせてこれが消化に努めるという予算編成方針をとっております。
  172. 井手以誠

    ○井手委員 私は一般会計、特別会計、政府機関関係、全部調べて参りました。それは特別の技能を持った特定の職場に、やむを得ず、行政管理庁がやかましいから最小限度の採用を定員法改正その他でやろうというのですよ。各大臣、お考えになって下さい。そうでしょう。予算折衝のときには、自分の方は二百名どうしても必要だけれども、大蔵省がやかましいというので八十名、七十名、五十名に引き下げられた。それも特別の技能のある特殊な職場だけになっておるのですよ。炭鉱労働者をそれだけ雇うところが政府機関にありますか。大蔵大臣、あなたは、一般会計じゃない、特別会計もあります、政府機関関係もございますと逃げようとなさいますが、どこにありますか。あなた、おっしゃって下さい。私も政府関係機関はずっと調べてきたのですよ。あるところは十名、あるところは五名の増員になっておるけれども、それは特別の事情によって増員が認められておる。ほんとうに炭鉱離職者のなにはどこにありますか、それじゃおっしゃって下さい。
  173. 田中角榮

    ○田中国務大臣 これは井出さんも御承知だと思いますが、これは誠意の問題でありまして、政府答弁をいたしておりますのは、おざなりに答弁をしておるわけではないのであります。炭鉱離職者の現況を十分に承知をしながら、前向きで誠意を持って、これが就職に対して、人にだけ雇ってくれと言うのではなく、法的な処置やいろいろな処置はしておりますが、政府機関みずからが率先してこれが雇い入れ協力の体制をとろうということでありまして、私が予算編成の場合でも、各省各庁の関係機関でこのような問題に対しては真に誠意を持ってやるように、こういう考え方を確認をしております。また、先ほど篠田大臣からお答えがありましたが、警察官採用の問題等に対しては、交通警察官一万人の採用を決定するときに、総理が特に閣議で発言をし、警察官の採用に対しても、積極的な条件緩和等を行なっても採用すべしということを了解をしておるような状態でありまして、政府はこの就職につきましては、誠意を持ってこたえたいということであります。  しかし、現実の問題から申しますと、あなたは今受け入れ側の状態だけ申されましたが、この離職をする方々が一体地元で働きたいのか、また特殊な技能があるのか、またこういうところに行きたいというような個人々々の事情がありますので、そういうものをお互いが前向きで意思の疎通をはかりながら緊密な連絡をとって、これが雇用に対して遺憾なきを期したいというのでありまして、三十八年度の予算編成に対してはもとよりでありますが、きょうからでも、あすからでも、ただいまの発言の趣旨に沿った体制をとっていきたいということであります。私の大蔵省なども、一体大蔵省はどこで幾らとるのかということで、これは率直に申し上げ過ぎるかもわかりませんが、今百円紙幣やその他硬貨にかえたいというような問題もありますので、そういうような何か恒久的な施策を行なって、まとめてとれるような方法はないかとか、非常にまじめに、あなたと同じ、より以上に考えておりますということで一つ御理解を賜わりたい。
  174. 井手以誠

    ○井手委員 私はいつまでも追及しようとは考えておりませんが、この炭鉱離職者雇用問題というのは、今一番大きいんですよ。あなたは誠意の問題だとおっしゃる。政府にほんとうに炭鉱離職者を二千八百名、三十七年度は千名雇用しようというならば、ちゃんと受け入れの用意をしておくべきじゃないですか。資格がなかったらやむを得ない場合もあるでしょうけれども、用意だけは五十名、自分の方は三十名、自分の方は百五十名とちゃんと定員法を改正して、受け入れ体制を整えておくことが誠意じゃございませんか、大蔵大臣。今、受け入れの場所がどこにありますか。きょうばかりじゃございません。今から法案が成立するまでには日にちもございます。それまでにじっくりお伺いしますから、ここで結論だけをお伺いしておきたいのは、三十七年度は千名、三十八年度は二千八百名、これは一般会計、特別会計、政府機関関係を問わず、どこでもけっこうです。一応生活が安定できる、いわゆる安定職場、必ず大蔵大臣、あなたはこれを確保なさる決心がございますか。
  175. 田中角榮

    ○田中国務大臣 御質問でありますから、御質問に対してただ型通りのお答えをするようなつもりは全然ありませんから、御理解を賜わりたいのですが、一般、特別会計を通じて約、三十八年度一万四千名の定員増を決定をいたしておるわけであります。この定員増加の際は極力炭鉱離職者を採用するようにということは、各省庁にも予算編成の際に意思を通じてございますし、各省もまた前向きでこれにこたえる体制をとっておりますことはただいままでの通りでございます。大蔵省においては六十名の割当だということを今お話がありましたが、税関関係だけでも百二十二名の定員増をはかっております。これらの問題に対しても炭鉱離職者を優先的に考えるようにということで、今事務当局はこの問題に対してどうしているのか、いや百二十二名の採用に際しても炭鉱離職者を優先的に考えておりますということでありますから、おしかりを受けるほどではなく、相当前向きで真剣に毛のを考えておるということだけは事実であります。  なお、これは懸命にやりますといっても、実績が証明しなければどうにもならない問題であって、これは与党、野党を問わず、政府も一体になって、日本人としての就職問題を考えるのでありますから、まじめな意味考えて参りたいと思っておりますし、先ほどもちょっと申し上げたような、いわゆる何かたばこの工場をつくれとかセメント工場をつくれとか、いろいろな問題もありますが、わが省においても積極的に、何かつくれるものがあるならそういうものに対しても積極的な体制をとりなさいということを私自身からも言っておるのでありまして、できるだけこれが就職に対しては、各省は力を合わせて万全を期したい、こう考えております。
  176. 井手以誠

    ○井手委員 大蔵大臣にはなお質疑応答の機会があると思います。特に念を押しておきたいのは、この雇用計画が立てられなくては閉山ができませんから、少なくとも三月一ぱいには定員を改正して、受け入れの用意をしてもらわなくちゃなりませんよ。炭鉱離職者のこの雇用計画は、臨時じゃございません、常用ですから。必要があれば、私どももその定員法改正には喜んで審議を促進する用意がございます。どうぞその点は、この三十八年度に入らない前にはっきりした態度をとってもらいたいことを、念のためにもう一ぺんあなたと確約しましょう。
  177. 田中角榮

    ○田中国務大臣 これも、井出さんでありますから、そんなことを私の方で心配する必要はないのですが、先ほどから常用々々と何回も言っておられますが、もちろん政府は長期安定的な雇用をしなければならないということは、これはもう当然のことであります。ただ、それが一人でもみな定員による正規な採用でなければならないと、そう四角ばってお考えになっておられるわけでもないと思いますが、いずれにしても、基本的な問題に対してあなたと同じような気持で、政府も鋭意努力いたしておるわけであります。しかも、これは四月一日から行なわれる離職者に対して三月三十一日までにきめろ、これは理想的でありますが、今度御審議をいただいておりますように、雇用促進手当とか、また職業訓練とか、非常にいろいろな施策を行なっておりますから、それと政府関係機関、省庁もあわせて、いろいろな機関がほんとうに誠意を持って、一人でも落伍をしないように、できるだけ一日も早く、一ときも早く生活の安定をはかろう、こういうつもりで三十八年度の予算措置を行なっておるのでありますから、この間の事情を御了解賜わりたいと存じます。
  178. 井手以誠

    ○井手委員 時間もだいぶ経過いたしましたし、この点長くなりまして、この程度で終わろうかと思いますが、最後に労働大臣にお伺いいたします。  雇用計画が立てられなくては合理化計画は進まない、立てられないわけであります。まだ法案も通っていない、雇用計画もまだ、今大蔵大臣の話のように、一番大事な肝心の政府機関の二千八百名も具体化していない今日、すでに買い上げの受付を行なうということは、これはできないはずです。まだ閉山計画はできないはずです。会社はどういう計画をしようと、政府並びに政府機関関係はそういう態度をとってはならぬはずであります。あなたの方の雇用計画はいつごろ明確になるのですか、具体的に。一万四千人の離職者があるとおっしゃいましたが、その一万四千人に対して、安定した職場を具体的にいつおきめになるつもりですか。その日にちと、それに見合う合理化計画でなくてはならぬことをもう一ぺん念のためにお伺いしておきたいと思います。
  179. 福田一

    ○福田国務大臣 井出さんにお答えを申し上げます。私に対する直接の質問ではありませんが、関連をしておりますからお答えをしておきたいと思うのであります。御承知のように、十一日から受付をするということは、それを全部認めるということではございません。スクラップ・アンド・ビルドの計画を立てるには、山元においてどういうふうな意向があるかということも聞いておかなければ計画が立ちませんから、一応その計画があるかどうかということを受け付けておるだけでありまして、受け付けたということが、すなわちそれがいわゆるスクラップされるということには相通じていかないのであります。ここのところは誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。  また、今お話がございましたが、スクラップ・アンド・ビルドする、その場合の計画と雇用の計画とは、ある意味で相関関係でありますが、本来の姿を言えば、やはりこれは雇用の方が先にいくのではなくて、これはスクラップをどれだけするからどれだけの離職者が出るか、そしてはたしてその離職者に対してどういうような計画が立つか、こういうところになるのであります。しかし、それは表裏をなしますから、これは議論にはならないかもしれません。しかしながら、それがないのにスクラップの計画を立てるというわけには、これはいかないかもしれませんが、雇用の計画の方を先にというようには私たちは考えてはおらないわけであります。ただし、これは表裏をなしておるということは事実であります。
  180. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 井手君、この辺で……。
  181. 井手以誠

    ○井手委員 それじゃ、合理化審議会はいつ開いてそういう計画をお立てになりましたか。今申し出るについては、受け付けるについては。
  182. 福田一

    ○福田国務大臣 受け付けるということは準備の行為であります。審議会にかける議案の準備行為をいたしておるということでありまして、これは当然行政的にやらなければならない措置であると考えております。
  183. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 井手君、結論をこの辺でお願いいたします。
  184. 井手以誠

    ○井手委員 準備行為ならば、それは労働組合の承認を得たものでございますか。
  185. 福田一

    ○福田国務大臣 計画をつくりまして、そうしてその計画を審議会へかけて、方向をきめて、そして炭田別あるいは地域別の方向、いわゆるワクをきめて、それから今度は山元と組合との話で具体化をしていくのである、かように理解をいたしておるのであります。
  186. 井手以誠

    ○井手委員 これで終わりますが、通産大臣は実態を御存じないようです。炭鉱が閉山を事業団に申し出るときにはどういう実情であるか。もうそういう炭鉱は、坑内に入って仕事をしたくとも、その坑道はばらばらになるほどに、撤収の作戦がすでに行なわれているのですよ。もう労働者承知しなくてはならぬ、同意しなくてはならぬような、賃金がどんどん減るような事態に追い込んでいるのですよ。ところが、一方では、そういう事態にあるのに雇用計画が立っていないでは、どうしますか。  あなたは、この前の御答弁ときょうの御答弁とはだいぶん違っておる。私はもっとお話し申し上げたいけれども、時間がありませんので、きょうはこの程度で終わっておきます。
  187. 福田一

    ○福田国務大臣 お答えを申し上げておきます。私たちは、もちろんそういう井出さんの仰せになるような山もあると思いますが、しかし、現実にどんどん動いておる山であって三十八年度に休閉山するものもやはりあると思っておるのであります。そこで、井出さんの仰せになるような山だけではないと思いますし、いずれにいたしましても、その希望といいますか、決定ではないのでありまして、どういうような考え方を持っておるかということを聞いておくことは、やはり計画をつくる上では必要だと思うのでありまして、そこら辺は私は決して労働組合の意思を無視したという形には相なっておらないと思っておるわけであります。
  188. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 多賀谷真稔君の質問に対して政府側答弁漏れがございますので、この際、運輸大臣から御答弁願います。質問の要旨は、国鉄の自家発電に関する質問でございます。綾部運輸大臣
  189. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 国鉄の自家発電につきましては、石炭の火力発電所の建設につきましては、現在の国鉄財政状況からいいますと、買電する方がより利益なんです。がしかし、こういう石炭対策の非常にやかましいおりでございますから、なるべく消費地に近い炭田、炭鉱が利用されるような発電は、極力その発電所を起こすように努力いたしたいと考えております。がしかし、それは現在の国鉄ではなかなかむずかしいのじゃないかということを私は申し上げておきます。
  190. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それはどういうのですか。財政的に政府から援助があればやりたいというのですか。
  191. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 もちろん、政府が金を出して、そして高いものを使ってもいいというなら、それはやれますが、買電計画の方が安くいくので、国鉄の一般の財政面からいえば、なかなかむずかしいのです。がしかし、極力そういうことがやれるように努力しようという考えでございます。
  192. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 中村重光君。
  193. 中村重光

    中村(重)委員 簡単に質問いたしますが、石炭の問題は非常に重要な、かつまた深刻な問題であるわけです。先ほど大蔵大臣が、この問題は与野党を問わず、日本人として真剣に取り組んでいかなくちゃならぬ問題だ。全くその通りだと私も考えるわけであります。ところが、午前中から各同僚委員から、この問題に対しましていろいろ質疑が行なわれ、総理を初め、それぞれ関係大臣から御答弁がありましたが、非常に問題のポイントというような点に対しては、検討する、研究中とか、あるいは御趣旨はごもっともであるといったような、全くつかみどころがない、という言葉は言い過ぎになるかもしれませんが、臨時国会、続いてはこの通常国会において、再開国会ではいわゆる正常化の問題をめぐって、この石炭の問題に対して政府の態度が明らかにならなければならない、こういうことで数日を費やして、いわゆる前向きの姿勢をもって自民党と社会党との間に、臨時国会の会期中において懸案であった三つの了解事項に対しては一致点を見出して審議に入ったということは、これは関係大臣承知のところであります。従って、この石炭の特別委員会においては、この三つの問題を中心として貴重な地下資源、エネルギー資源である石炭産業の問題に対して前向きの論議が行なわれるであろうし、政府石炭政策に対する抜本的な答弁が明らかにされるであろうという期待を持っておる人たちは、単に炭鉱の経営者、あるいは炭鉱労働者だけではなく、田中大蔵大臣が言われたように、日本人がひとしく考えておったところであろう、こう私は思うのであります。  しかしながら、きょうの論議の中に、六千万トンあるいは五千五百万トン、この需要の問題に対しましても、福田通産大臣の答弁は、かつての佐藤通産大臣が委員会において明らかにしておった、五千五百万トンの需要確保は、もし消費者においてこれを引き取らなかった場合、政府が貯炭をしてでもこれに対しては責任を持つという答弁が、伊藤委員の質問の中に明らかにされておったのであります。しかし、きょうの政府答弁は、むしろ後退をした態度である、このように考えられなければなりません。六千万トンの問題にいたしましても、五千五百万トンの需要確保することは非常に困難だ、けれども努力はしなくてはならぬが、四十二年度のことであるから、といったような答弁でありました。政府は、政党内閣の中において与党と同じ立場の上に立つということは間違いありません。しからば、この六千万トンの問題を自社の了解事項として決定をし、前向きの姿勢で取り組んだということは、五千五百万トンではいけないのだ、五千五百万トンの需要では産炭地疲弊をする、たくさんの石炭労働者が山から追放されるのだ、これを何とか食いとめていかなくてはならぬのだ、この考え方の上に立って六千万トンの需要確保をはかる、こういう考え方の上に立って了解事項はでき上がっておると私は思うのであります。それならば、四十二年度になって六千万トンを確保する、そのことは三十八年度よりも三十九年度に、あるいは四十年度に、四十一年度にと生産をふやし、需要確保していくという姿勢がなければならない、そういう態度でもって取り組んでいくということが私は大切であろうと思うのであります。しかし、繰り返された論議の中におきましては、そうした積極的な前向きの姿勢というものがありません。国会において六千万トンの需要に対して努力をするんだ、そういう答弁をしたから、それに合わせていかなければならぬという、単に体裁をつくるといったような感じをもって私は受け取りました。私はそういうことであってはならぬと思うのであります  かつて、炭鉱労働者が山から追放される、能率を上げれば上げるほど仲間が次から次へ首切られていくのだ、これではいけないのだということで石炭の政策転換の戦いを続けて、そして御承知通り、四月六日に池田総理の回答としてもたらされた、雇用を第一とする、エネルギー安全保障をはかるのだ、さらに国際収支考えるのだ、この三つの問題を中心として権威ある調査団に委嘱をして、石炭政策を打ち出すのだ。このことは、三つの問題はすべて関連性があるものである。雇用を第一とすることは、申し上げるまでもなく炭をたくさん掘るということであり、エネルギー安全保障ということは、これまた私が貴重な時間に多くを費やして申し上げる必要もありませんが、輸入石油に依存するのではなくて、国内資源である石炭をできるだけ掘っていかなければならぬのだ。いかに千円札を山のように積んでも買えない、石油でなくて石炭生産する、これを需要するということが外貨の節約であり、国際収支にとって有利である。この総理考え方は、五千五百万トンではいけない、五千五百万トンの需要を行なうことによって自分たちは山から追い出されてしまう、このことが総理の回答によって解決をしたのだ、前向きによる石炭政策というものが抜本的に打ち出されてくるのだ、という期待感を持って山の労働者は山に帰っていったと、私はこのように考えております。  そのことを考えてみますとき、少なくとも私は、田中大蔵大臣熱意ある態度をもって答弁したような姿勢というものが政府においては打ち出されなければならぬと思う。しかし、その言葉、その態度は熱意があるようでありますけれども、形式であります。しかも、政府は議員とは違います。具体的な計画というものがなければなりません。ただ熱意、それだけでは政府の態度としては私は了解はできないのであります。そのような考え方からこの問題に取り組んで参ります場合、どうして五千五百万トンの需要というものが、もっと拡大をするという態度というものが、政府においてはっきり具体的に打ち出されてこないのかということであります。従来の出炭あるいは需要の実績、そういうことから見るならば、六千万トンあるいは七千万トンということは無理であろうという考え方は出てくると思う。また、資本主義経済の中において、経済合理主義、企業合理主義といったものを一擲しろということも、これは無理ではありましょう。しかしながら、経済の合理主義というものは、ただ単に企業合理主義という狭い範囲において考えるべきものじゃない。国民経済的な上に立って経済の合理主義というものは打ち出されてこなければならないのではないか。そういうことを考えてみますとき、同じ資本主義経済の中における西ドイツが、日本と同じく石油資源を持たない西ドイツが、石炭の地位というものを非常に高く見ておる。西ドイツができることが、どうして日本においてできないのか。またそれを実現するように努力をしないのか。福田通産大臣は、経済合理主義、これを無視してはできないのだ、そういったような答弁に終始しておるようであります。  そこで私は具体的に通産大臣にお尋ねをいたしますが、電力用炭に石炭をもっとたくさん使わせるという場合、一キロワット・アワーの電力を、石油でなくて石炭を使うという場合、その差額はどれだけになるのか。三百万トンの石炭を多く消費させるという場合に、それではどれほどのコスト高になるのか。その点をどう考えて、経済の合理主義というものを無視して石炭を使うわけにはいかないのだといったようなことに終始しておられるのか。まずそれらの点を明らかにしていただきたいと思います。
  194. 福田一

    ○福田国務大臣 お話通り石炭の問題を扱うときに経済合理性というものを広い意味で解釈しなければいけないということについては、私たちはもちろん同意をいたしておるのであります。これはあなたの言葉じりというか、私は反駁をするというような気持で申し上げておるのではありませんけれども、もし石炭を純経済、いわゆる損得、利益ということだけから使わせるということになったら、昭和四十二年ごろには三千万トンくらいになるのではないか、それほど需要というものは減退するのではないかと、われわれは考えておるのであります。しかしながら、そういうことをしたのでは、いわゆる国際収支関係、あるいは大きな意味での総合的な経済性ということを考えてみると、それではいけないという考え方から、やはり五千五百万トンという一応の数字が、有沢調査団考え方によっても出てきておると思うのであります。私たちとしましても、そういう意味で、いわゆるあなたの言われるような大きな意味でのその立場をとりますがゆえに、五千五百万トンはどんなことがあっても確保するようにしていきたいと思う、ということをはっきりこの場において明言をいたしておるのでございまして、実際問題として、もし石炭を使うか油を使うかということになりましたならば、おそらく電力業界あたりも油を使いたいということを申し出ることは明瞭であります。しかし、それではいわゆる純経済だけになってしまって、大きな意味での総合的な経済にならないと思いますから、これはやはり三千万トン四十五年くらいには使ってくれということをわれわれは主張しておるということは、一つ御理解をしていただきたいと思うのであります。  そこで、もう一つ前に返りまして、とにかく石炭六千万トンは使うようにする具体的な方策がないじゃないかということでございます。これは前の御質問にもお答えしたのでありますけれども、非常に困難であるけれどもという前置きがついておるのであります。もしここに何らか政府に案がありますならば、非常に無理であるけれどもなどという言葉を前に出す必要はないのでありまして、努力をいたしますというだけ言えばそれで済むのだと思うのであります。非常に困難であるということは、今考えてみてはなかなか考えがつかないけれども、しかし御趣旨はやはり十分よくわかりますから、そこで一つ何らかの工夫をしてみたいと思います、こう言っておるのでございますから、努力をしないというのではありませんけれども、具体的にこういう、こういうことをしろと言われても、なかなかここにむずかしさが出てくると思います。  それから、需要確保の問題では、五千五百万トンといううちでも、御承知のように、電力に将来は三千万トンも持たせるというような考え方に立っておるのでありますが、一番われわれがやりにくい点は一般の需要でございます。これはどうも規制の方法がない。セメントとか鉄鋼というような、数社に分かれておるようなものを対象にして何かやることはできますけれども、しかし、一般の人が、どうも石炭をたくよりは、油あるいは石油を使った方がいいというような空気というものは、いわゆる完全統制をやればどうか知りませんが、なかなかむずかしい。そこに実はわれわれのほんとうの苦労がある。これは中村議員もよくおわかりのことだと思うのでありますが、実はそこにわれわれは非常に苦労をしておるのだというわけでございます。  そこで、最後の御質問でありますが、石炭を使った場合と重油を使った場合の一キロワット・アワーの差額はどれくらいかというお話でございます。これはところによっても違いますが、石炭を火力でやりました場合には大体三円三十銭から三円五十銭くらいと見ていただけばいいと思います。油の場合は二円六十銭から二円八十銭くらいというふうに私たちは理解しておるのでありまして、それくらいの差額はあると考えておるわけであります。これは現段階において申し上げておるわけであります。
  195. 中村重光

    中村(重)委員 大臣が答弁されたように、そのままで政府が何も施策を講ぜずして企業にこれをまかせる、こういうことになって参りますと、当然高いものより安いものを使うことが利益でありますから、企業は安い石油を使うという形になってくると思う。そのことは、午前中から繰り返されたように、いわゆる政治の問題、そのままではいかないというところに、いかに資本主義経済といえどもこれを調整していかなければならぬというところに私は問題が出てくると思う。  ここで考えてみなければならないことは、高度経済成長政策の中においてエネルギー需要というものは年々膨大をしてくるということであります。そこで、石炭を五千五百万トンよりふやさない、こういうことになって参りますと、石油の輸入というものはそれだけ大きくなってくる。これでは総理炭鉱労働者に回答したこの三つの問題というものは生きてこない、生かされない。ここにやはり問題が出てくるのではないか。やはり国内の貴重な資源をできるだけ活用しようという努力施策の面において明らかにされなければならぬ、こう私は思うのであります。ただいまの大臣の答弁では、重油と石炭の差というものは私が調査いたしましたよりも若干高いようであります。私はその差額を一キロワット・アワー三銭の違いであるというように資料でもって見ております。そうなって参りますと、多額の差ではございません。石炭山をスクラップ化するということになって参りますと、これまた私が申し上げるまでもなく産炭地疲弊、地方自治体の財政の欠乏ということになって参りましょうし、鉱産税も入らない、事業税も入らない、関連産業の事業税も入ってこないというマイナスの面が出て参りましょう。さらにまた、離職者対策の問題等々、膨大な支出が必要になってくるわけであります。そのことを考えてみますとき、やはり石炭石油より高くつくから、こういうことによってそのウエートを石油にあまり多く置き過ぎる考え方では、政府施策はないにひとしいと申し上げざるを得ないのであります。そういったような点も十分御調査になっておられることと私は思うのでありますが、かりに三十八年度の計画である三百七十万トンのスクラップ化をするといったような場合、これのプラスの面とマイナスの面、このことに対してはどのような試算をしておられるのか、まずその点を伺ってみたいと思います。
  196. 福田一

    ○福田国務大臣 今ここで具体的な数字を申し上げることはできませんけれども、四百七十万トンのスクラップをしない場合、またした場合どうなるかということになりますと、これは直接の問題と遠い将来の問題と、二つに分けて考えなければいかぬかと思うのであります。直接の問題から言えば、そういうところへ政府の金を相当、離職金とかあるいは何かを出していくのだから、その分を出しておけばいいじゃないかというものの考え方に立ちますと、今ここにそれほどの大きな問題はないように見えますが、しかし、このままにしておくことによって山がみんな赤字を継続して、みんなパンクしてしまう。そして、これに対して何らの施策もないということになったときの社会状態というものを考えると、これまた大きな問題があります。それからまた、将来において油を使った場合と、そういうような場合に石炭を使った場合との関係はどうなるかということ、いろいろこれは考えてみませんと、ぴったりしたお答えが出ないと思いますけれども、しかし、私たちは有沢調査団がいろいろ調査をされました段階においても、油と石炭の問題を将来どういうふうに見ていくか、将来需要構造がどういうふうに変化していくかということも十分研究をされたと聞いております。また、私たち自身も、あの調査団の報告を読んだときに、そういうことも一応研究いたしてみました。しかし、この段階においては、赤字経営をずっと続けさしていってしまうということがもたらす社会問題を考え、また将来の日本の、いわゆる輸出によって日本の経済を立ち直らそうとする場合において、やはり安価なエネルギーをできるだけふやすという一つの要請もある。それだけが何も経済の要請ではありませんが、そういう面から見ていった場合においても、まあ五千五百万トンを限度としなければなりますまい。現に、私は午前中にも申し上げました通り、今年あるいは来年の石炭需要については悲観的な見方をする人もあるわけであります。そういう人たちの考え方によると、五千三百万トンといい、二百万トンという人もあります。私たちは必ずしもそれを信用するものではありませんけれども、それほど現実はシビアなものだと思うのであります。しかし、シビアであっても、われわれとしては、今あなたが仰せになったような建前をとって五千五百万トンまでは確保していく、こういうことであります。  しからば、四十二年になれば油などはまだまだもっと使うようになるじゃないか、それを石炭に置きかえる工夫があってしかるべきではないかというお話なんだと思うのであります。しかし、私は、そういう場合においても油を使った方が安いということになりますと、その経済性というものを無視していくわけにはいかない。もちろんあなたが仰せになるように、国内の資源を使えばそれだけ外国からエネルギーを買わないで済む得があるじゃないか、比較をせいと言われるお考えだと思うのでありますけれども、しかし、大きく考えてみて、やはり日本は輸出によって今後の国民生活を充実していくという一番大きな命題が残っておると思うのでありまして、またそういう点を有沢調査団考えられたと思うのであります。そういう点を考えてみると、とにかくだんだん需要が減っても、五千五百万トンだけは少なくとも確保するようにしなければいかぬわけであります。しかしながら、エネルギーとして使った場合においてはそうであっても、原料として使った場合にはどうなるか、あるいは今のような山をああいうふうなやり方でエネルギーとして使う場合と、ほかの何らかの工夫をしてエネルギーとして使う場合がないかということについては、今度の予算においてもちゃんと研究費を盛っておるのでありまして、決して私たちは五千五百万トンで満足するという意味で申し上げておるのではありません。しかし、この段階においてエネルギーとして使うやり万にしてみると、大体今のところは五千五百万トンが限度だ、しかし、できるならばこれをもう少しふやすように考えよう、こういう考え方で御答弁をいたしておるのであります。
  197. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 川島行政管理庁長官がお見えになっておりますので、中村君の御了解を得て、井手以誠君の関連質問を許します。
  198. 井手以誠

    ○井手委員 川島さんにお伺いをいたします。  この石炭問題で雇用対策、雇用の安定がきわめて重大であることは御承知であろうと思います。先刻質問に対して労働大臣は、三十八年度の雇用計画で政府並びに政府関係機関で二千八百名雇用するという内容を御発表になりました。また大蔵大臣は、誠意を持ってその実行を進めていきたいというお答えがございました。  そこで、川島行政管理庁長官にお伺いしたいのは、今日出ております定員法の改正、これは安定した職場ですから、労働大臣の言明では全部常用工になっておりますので、定員法の関係があると思います。今日出されております定員法の改正に、政令定員も含めてどのくらい予定が入っておりますか。二千八百名の中に、どのくらい定員法の改正に離職者対策が含まれておりますか。また、もし含まれていないとするならば、あらためて定員法の改正をやらねばならぬと思いますが、その点についてどういうお考えでございますか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  199. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 三十八年度の予算面におきまして、公務員の増加員数はざっと一万四千名でございます。そのうちには事務系統と現業系統と二つありまして、現業系統が比較的多いのであります。事務系統の方につきましては、炭鉱会社の事務系統の職員をそれに転換するということはあり得るのでありますが、ただ、公務員は一定の資格が要りますからして、そういう点をどうあんばいいたしますか、これから検討いたしたいと思っております。  御質問は、主として炭鉱労務者じゃないかと思うのです。現業関係は、防衛庁の関係、また文部省の大学の学科増設、新たにできる高等工業学校の新設等の職員などは、炭鉱離職者を転換し得る性格のものじゃないと思うのでありますが、郵便関係の労務者を相当ふやしております。これらは炭鉱離職者を当然転向し得るのであります。その他にも炭鉱離職者を転用し得る職場が幾つかあると思うのでありまして、予算編成の際、前手島郵政大臣ともいろいろ相談をいたしておるわけであります。  ただ、公務員の定員を改定しまする趣意というものは、炭鉱離職者を吸収するというのが根本趣旨じゃございません。国の行政をやる上において必要なる数の、しかも最小限度の増員をいたしておるのでありまして、炭鉱離職者を特に収容するという見地からは定員増をやっておりません。おりませんが、定員増をやる機会に、なるべく多く炭鉱離職者を収容しようということは、大蔵大臣並びに労働大臣が説明しており、政府方針でございまして、ただ、これには住宅その他の関係もありますので簡単には参りませんが、誠意を尽くして私どももこれに協力いたしまして、なるべくよけい収容したい、こういう考えでただいま進めております。
  200. 井手以誠

    ○井手委員 そういう意味でお伺いしておるのじゃございません。数の問題ですよ。一万四千人の炭鉱離職者が出るのです。その一万四千に対して安定した職場を確保しなくては、雇用計画が立てられませんし、同時に、雇用計画が立てられなくては合理化計画ができないわけですから、政府機関で予定している二千八百名というのは、どうしても受け入れ体制をはっきりしておかねばならぬはずですよ。努力するということじゃないわけです。二千八百名の箱だけは、ちゃんと用意をしておかなくては、合理化計画は立てられぬわけです。だから、政府は、二千八百名をどのように受け入れ計画を立てておられるのか、定員法改正をお考えになっておられるのか、その数をお示し願いたいとお尋ねしているわけです。
  201. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 行政管理庁といたしましては、炭鉱離職者を受け入れる方の準備をする立場じゃありませんので、これは労働大臣なり、それぞれの所管の官庁の大臣がやることであります。従いまして、二千八百名を受け入れる準備を私の方でするわけじゃないのです。ただ、政府方針といたしまして、二千八百名程度離職者を収容しようということは報告として聞いておりますけれども、一々内容については、私は承知はいたしておりません。ただ、政府として、誠意を持ってやろう、こういうことは行政管理庁長官として報告を受けている、こういうことでございます。
  202. 井手以誠

    ○井手委員 それは、あなたの方では雇われぬことは私も承知しておりますが、あなたの方は行政管理庁ですから、定員法の関係については大きな発言権を持っておられるはずです。だから、定員法改正にあたっては、炭鉱離職者であるならば、それは今回の定員法改正には、炭鉱離職者何名よろしい、そういうあなたの方の了解がなくてはならぬと思うのです。その了解された今回の定員法改正には、何名になっておりますか。もしそれに足らぬ場合には、石炭対策に協力する意味において、定員法改正を考慮するというお考えであるかどうかとお尋ねしておるわけです。
  203. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 先ほどお答え申し上げた通り、定員法の改正は、炭鉱離職者を収容するという立場から考えておりません。行政を円滑にやる上から考えておる。その結果増加した定員に炭鉱離職者を収容しようというのが趣意でございます。従って、ただいまお話しのように、炭鉱離職者のために今後さらに定員法を改正しようという意思はございません。ございませんけれども、すでに三十八年度で増加と決定している一万四千名のうちに、なるべくよけい炭鉱離職者を収容しよう、こういう考えで作業を進めているということを申し上げているわけであります。
  204. 井手以誠

    ○井手委員 では、これで打ち切ります。通産大臣、お聞きの通りです。政府の思想は統一されておりません。二千八百名を受け入れようというはっきりした態度は出ておりません。これはあらためてお伺いいたしますが、それでは合理化計画は進められませんから、合理化法の改正について、私どもは十分な関心を持って、政府がそういう態度であるならば、それが審議の障害になるかもしれぬことをこの際警告を申し上げて、関連質問を終わります。
  205. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣の答弁を聞いておると、あなたはこれが現実だ、そういうことから御答弁になっておると思うのであります。五千五百万トンという需要確保という事態が困難だ、そういった考え方、それから、いろいろと先ほど広い意味経済という御答弁もありましたけれども、非常に企業合理主義というものにこり固まっておられるという感じを受げるのです。私はそれじゃだめだと思う。あなたは、有沢調査団の報告について研究をいろいろやったんだ、こういった御答弁があったが、有沢調査団の態度というか、これも当初とあとからとはずっと変わってきた。これはどういうことなのか。独占資本の圧力がかかったのか、国際石油資本の圧力がかかったのかは知りません。知りませんが、少なくとも有沢調査団長が、ずっと炭鉱を調査のためにお回りになって、出先で新聞談話等をお出しになりました。その当時出された談話、その後、日がたつにつれてその態度が変わってきたということは、これは何人も否定することができないと私は思っている。そのことは、経済界の圧力というものが非常に強くかかり過ぎている。大なり小なりあなたにもその影響がなきにしもあらず、私はこう判断をいたしております。同じ資本主義の中で、同じような石油を持たないという条件の中における西ドイツは、石炭の地位というものを非常に重視しておるということ。しかも、先ほど私が申し上げましたように、産炭地の問題であるとか、あるいは関連産業の問題であるとか、あるいは公課公租の問題等々、いろいろなことを考えてみるときに、トン当たり二千円高くとも石炭の価値はあるんだ、こういうことを言っておる。しかし、あなたの考え方の中にはそれがない。むしろあなたということよりも、私は、池田内閣の考え方の中はそれがない。あなたの答弁の中にも出て参りましたが、やはり経済国民経済見地に立って、これらの問題と取り組んでいかなければならぬと私は思う。いま少しく、あなたはこの五千五百万トンの需要確保、それ以上はできないんだといったような、そういう考え方の中に、与野党の中において了解事項となったいわゆる六千万トン、これを確保するといったようなその考え方の上に立って議論をする、答弁をする——答弁は裏づけというものがなければなりませんが、そういったような前向きの考え方がなければならぬと思うわけでございます。あなたは、このことに対しましてはもっと具体的な考え方が私はあるだろうと思う。まずその点を一つ明らかに、ここに建設的な前向きの考え方として答弁を得たい、こう思います。
  206. 福田一

    ○福田国務大臣 前向きで考えていくということについては、私はあなたの御意見に何も反対はいたしておるわけではありません。しかし、経済性というものを、あなたは狭い意味でおっしゃいますが、その狭い意味にいたしましても、経済性というものを無視していくわけにはいかない。また人の好みというものを無視していくわけにもいかないというところに問題があると思うのであります。経済性の問題から言えば、たとえば電気とかあるいはセメントとか鉄鋼とかというものが、どちらのエネルギーを使った方が得かという意味における経済性であります。また一方、一般の家庭炭におきましては、これは石油の方がおれは好きだとか、その方が安いとかというような二つの理由が出てくるでありましょう。こういうことがございますので、そういうことをいろいろ考えていきますと、なかなか五千五百万トンも現段階においてはむずかしい。しかし、むずかしいと言ったのでは、われわれは一応こういうふうなスクラップ・アンド・ビルドの計画を持っているのに、事ができないのであります。従って、むずかしくてもやはり五千五百万トンは確保するという建前に立ってやっていく。しかし、それでは五千五百万トンで満足しているか、決して満足しておるわけではございません。何かほかにうまい工夫があり、そうして用意があり、何か計画があればやっていきたいと考えるが、今のところそういう具体的な計画がありません。それじゃ、油にかえたらいいじゃないか、油とかえる計画をつくれ、こうおっしゃっても、油とかえる計画をつくってもこれを使わないということになったらどうするか、これを使わせるというには、今度は政府は補給金を出してでも使わせなければいけない、こういう問題が起きるでありましょうが、われわれとしてはそういう策はとらないということになりますから、そこでは今度はあなたと私たちとはもしそういうことで論点が出てくるとすれば、経済的な立場における意見の相違ということになるかもしれません。しかし、今すなおに考えてみて、これを六千万トンにする工夫をせいとおっしゃっても、具体的にわれわれの今の経済の知識から言えばなかなかむずかしいのです。そこで、むずかしいけれども、しかし何か工夫がないかということを調べるためには、今、予算でも実は五、六千万円の予算をとって、そうして科学的に何か工夫をすることはないか、あるいはほかに原料に使う工夫はないかというようなこともいろいろ調べさせておるというわけでありますので、御了解を賜わりたいと思います。
  207. 中村重光

    中村(重)委員 あなたは、補給金は出さないのだ。こういった御答弁があった。補給金であるか何か知りませんが、今度の重油消費税の問題にいたしましても、これを関税にする。その消費者に対しては特別の措置考えておられるということは、これは間違いありません。また有沢調査団長がこの委員会におきまして御答弁された中にも、電力の需用はずっとふえてくるのだ、石炭需要を若干高めてきても、需要全体がふえるのだから、要するに大した影響はない、といったような答弁がなされたということを記憶しております。電力料金といったような問題等も、やはりコストの中においては考慮されるでありましょう。いろいろな施策考えられると思うのです。しかし、そのような施策国民経済的に見てそれがプラスになるならば、私はやるべきだ、こう思う。三十八年度の三百七十万トンのスクラップ計画において、これをスクラップ化するためのマイナスの面が多々出てくる。これをてこ入れをして、経済的には非常に無理ではあるけれども、炭を掘っていく、こういう場合においてその差額はプラス、マイナスどのような経済的な影響が出てくるのかということに対しては、あなたはそこまでの研究はなされていないという形で、明確な答弁はありませんでした。しかし私はそれではならぬと思う。これほど重大な問題を、五百万トン、スクラップ化するならばどういう経済的なマイナス面が出てくるのだ、あるいはプラスの面が出てくるのだといったような、そういうきめのこまかい計画の中において取り組んでいくことが、通産大臣としては当然の態度でなければならぬと思う。そうした真剣な、慎重な前向きの態度がないところに、石炭の問題がより深刻になり、より困難が起こっておる、このことは私は否定できないと思う。先ほど各委員から質問されたことに対しましても重要な問題をそらされた。しかもそのような研究程度で、取り組みの態度でいいのだろうか、そういった感じを私は聞いていて率直に受けたのであります。だから私はこのように申し上げるのであります。  しかし時間の関係もありますので進めますが、エネルギー安全保障というものは軽視できない問題であると思うのであります。需要は伸びてくる、石油の輸入量はふえてくる、こういう場合に当然安全保障という立場から貯油というものが考えられなければならぬと思う。どの程度の貯油、しかもまたその貯油をすることにおいての外貨はどの程度必要になってくるのか、それらの点に対して安全保障確保という面からお答えを願いたいと思います。
  208. 福田一

    ○福田国務大臣 どの程度の貯油をするがいいかということになりますと、各国の例は、その国で使う大体二月くらいの分の貯油はしておるところが多いように調査を聞いております。しからば日本の場合はどうなるかといいますと、今そういう意味での貯油の計画は持っておりません。しかし将来はそういう問題ともいろいろ取り組んで考えていきたいと思っておるわけであります。  ただこの際、なぜそういうことが今日まで議題にならなかったか、真剣に取り上げられなかったかというと、一つは油というものが大東亜戦争時代にはいわゆる軍需品といいますか、一番大きな軍需資材であった、今でもそうではありますが、ウエートが違ってきておると思います。そういう問題を取り上げることはまたそういう戦争に通ずるとか、あるいはそういう意味を持ちはしないかというようなことが一つあったと思うし、また、財政的にもそれだけの余裕がまだなかった。民生の安定その他に、あるいはまた産業振興等に使う費用が必要であったために、そこまでの余裕がなかったという二つがあると思いますが、将来は私はあなたのお考えのようなことも十分考慮して、いわゆるエネルギー対策を考えなければならないと思います。  そこで私は、午前中にも申し上げたのでありますが、もし需要が少なくていわゆる生産量が余ったような場合には、ある一定限度までは貯炭をしておくということも、今あなたのおっしゃった意味を含めて私たちは研究したいと思っておるということを申し上げているわけであります。
  209. 中村重光

    中村(重)委員 貯炭の問題は何といったって国内資源でありますから、安全保障の問題に対してはそう大した心配はないと思う。しかし輸入エネルギーということになって参りますと、これはやはり安全保障の立場から貯油の問題、さらにそのために要する外貨、それが日本の経済に及ぼす影響といったような点は十分御検討にならなければならないのじゃないか、EECのエネルギー計画におきましても、九十日間は貯油が必要である、こういわれております。その点から計算をして参りますならば、大体三億七千五百万ドル程度の外貨が、私は日本にこれを当てはめて参ります場合においては必要である、このように考えておるのであります。しかし、そのような議論は、また適当な機会にするといたしまして、いろいろ経済合理性といったような問題もお話しになりました。私は、資本主義経済の中におきましては、先ほど申し上げましたように、一がいにこれを否定するものではありません。重ねて申し上げることは、十分一つきめのこまかい計画を立てて、国民経済見地の上に立って計画をお立て願いたいということを強く要請をいたしたいと思います。今、推し進めておられる甘味資源の問題にいたしましても、あるいは硫安対策の問題等々、いろいろ今おやりになろうとしておられるようなことに対しましても、必ずしも経済合理性ということだけに立っておられない。やはりその資源を守っていこうというような考え方が優先をしておるということは、あなた自身も実は関係がありますので、十分おわかりのところだろうと思うのであります。ましてやエネルギー産業という中においては、そういう狭い意味経済合理主義、企業合理主義ということよりも、国民経済エネルギー安全保障ということに重点を置いた施策が望ましいのだ、私はこのように考えるわけであります。  次に、石炭経営者に対する信頼の度合いの問題でありますが、この前、日にちは忘れましたが、本会議の質問の場合に大臣が御答弁になったことは、一手買い取り機関の問題を考えないかという質問に対しては、これは全面統制になるから反対であるという御答弁がありました。石炭経営者が戦後ずっととり続けて参りました態度は、企業努力ということよりも他力本願、国に依存をするといったような態度が露骨である。もうかるためには消費者の立場を第二次的に考えて、露骨な商業主義が非常に強かったということが消費者の信頼をなくしたということ、これも否定できないことだと私は思うのであります。さらにまた、石炭経営者は自分の利益をはかる、このことにおいてはともかく労働者に対する労働強化、労働者の首切りといったようなことで石炭経営者は今日まで経営を続けてきた、これも否定できないと思うのであります。さらに近代化資金その他の国の投資が相当行なわれております。しかしこの反面、石炭経営者の社外投資が年々大きくなっておる。昭和二十五年と昭和三十五年とを比較してみますと、総資本の中に占める石炭経営の社外投資は、二十五年は〇・六%であった。しかし三十五年は一五%という高い比率に達しておるということであります。石炭経営者といえども、石炭ばかりを事業とするのではない、いろいろな事業をおやりになることは当然でありましょうし、やむを得ないことだと思います。しかし、戦後石炭経営者がずっととってきた態度とこのことを切り離しては考えられないと思う。もっと積極的な設備投資、石炭の経営の近代化、合理化熱意を持って取り組んできたならば、今日石炭経営、石炭産業は、いかにエネルギー革命の中にあろうとも、もう少し健全な運営ができておるのではなかろうか、こう私は考えるのであります。そのことを考えてみますとき、今度また設備資金整備資金等に二千五百億という膨大な国の金が投じられます。こういう中に、一手買い取り機関は全面統制になるからこれは反対だ、ただ単なる経理監査、経理規制、ただそういうことだけで石炭資本を信用して石炭産業の経営の健全化、経営の安定を期待できるのかどうか、もう少し国の積極的な介入が何らかの形においてなさるべきでないか。たとえば今申し上げました一手買い取り機関のことも必要になって参りましょう。あるいは石油電力石炭の価格のバランスをとるといったような調整の方法も考えられなければならぬと私は思う。それらの点について、もう少し前向きの考え方が出てこなければならないのではないか、こう思いますが、大臣の考え方はいかがでございましょう。
  210. 福田一

    ○福田国務大臣 お説のように、石炭産業がほかの事業に投資しておる数字がふえたことは事実でございますが、これは不況産業においては石炭産業のみならず、どの産業でも実はやっておるところでありまして、硫安などは、最初は一〇〇%であったのが、今は三〇%が一番大きい。あとはほかの事業をしておるというような状況でありまして、多くは一〇%以内になってきておるというようなこともございまして、必ずしも石炭産業だけが自分の資本をほかの仕事に投じておるというわけではありません。そしてまたそういうふうに投じたというのも、どうももうからないので、何とかほかの方でもうけて埋め合わせして経営をしていこうという考え方であったと思うのでありまして、必ずしも最初から悪意でそっちの方へ金を持っていって、そっちの方でもうけてうまい汁を吸おうという考え方でやったとも私たちは考えておりません。しかしながらあなたがおっしゃいましたように、今度は二千五百億円もの金をつぎ込んで合理化をしようというふうなそのときに、何もしないでその金をつぎ込むというわけにはいきませんから、これはいわゆる審議会の中にもそういう監査をするような部会も置くし、また事実監査もするようにいたしたい、かように考えておるのであります。一手買い取り機関ということになりますと、もうそこへ全部の石炭を買い取って、そしてまた全部売り渡すということになりますから、これはもう国がやる完全統制ということに相なりますので、今回やっておりますのは、やはり石炭産業を自由主義経済の中において一応将来やらせていくというわれわれの考え方に基づいてやるとすれば、現在のような方法でやるより仕方がない、こういう考えから、一手買い取り機関まではやらなかった、こういうわけでございます。
  211. 中村重光

    中村(重)委員 もう少し進歩的なあなたの答弁を実は聞きたい。私は率直に言って、石炭産業はもう私企業の段階ではどうすることもできない状態に追い込まれてきていると思う。現に石炭経営者が、新鉱開発は国でやってもらいたいということを言っている。行き着くところにいってしまって、もうこれはどうにもできないという状態にきておるのではないか、私はそう考えるのであります。少なくともあなたは賢明なる保守政治家として、そういう態度の上に立ってこの石炭の問題に対しては取り組んでいただきたい。今ここであなたから一手買い取り機関の問題、あるいはエネルギーの価格のバランスをとるということに対しましてただいま御答弁になった以上の前向きの答弁期待することはきょうの段階では無理でありましょう。どうぞ一つこの点に対しては、もっとあらゆる角度から総合的に検討していただきたいということを要請いたしておきたいと思います。  次に、離職者対策に対してお尋ねをしたいのですが、三治局長おられますから、簡単に一つ聞いておきます。  先ほど滝井委員から御質問、御指摘がございましたように、三十七年度に一万二千名、正確には一万二千四百十四名だとか聞いておるのでありますが、その今の一万二千名というのは昭和三十七年の九月まで、さらに昭和三十八年三月までには、先ほどの御答弁の中にもありましたが、一万四千名程度離職者が出る。それからすでに滞留しておる離職者が五万ともいわれ二万ともいわれる、そうしたたくさんの離職者があるわけです。ところが三十八年度の予算の中を見ますと、訓練所に収容する人員は一万二千名、こういうことにすべてをひっくるめてなっておるようであります。私はこの離職者対策として訓練というものは大きな柱だと思うが、わずか一万二千名の訓練によって、膨大な失業者に安定した職場を炭鉱以外に期待することができるのかどうか。この一万二千名はどういうことで割り出されたのか、まずその点を伺っておきたいと思います。
  212. 三治重信

    ○三治政府委員 訓練計画につきましては予算上の計数といたしましてはおっしゃる通りでございますが、われわれは、今まで石炭産業で長く地下労働についておられる方が新しい雇用の空席にいかれる場合においてやはりそのままではなかなか再就職がむずかしい。しかも現在雇用の空席がある部面につきましては、それぞれ運転手とか塗装工とかやはりそういうふうに技能的な職種において非常に不足を訴えられておるわけであります。そういうふうにいたしますと、やはり訓練を通じて再就職をする方がより雇用が確実になるという意味におきまして訓練を拡充いたしまして、その訓練を通じて再就職を確保していきたいというふうに考えて計画したわけでございます。
  213. 中村重光

    中村(重)委員 三治局長に訓練の問題に対して御質問することは、これは担当が違いましょうから、いずれまた適当な機会に申し上げたいと思います。  通産大臣にボタ山の問題についてちょっと伺っておきますが、ボタ山整備産炭地振興事業団の直営において行なわれるというように期待しておったのです。ところが必ずしも直営ではない、これは請負でも考えられるといったような御答弁があったように記憶をいたしております。事実かどうか、こうなってくると、有沢調査団がいわれたいわゆる常用という問題、その点がどの程度保証されるのか、また請負という形になって参りますと、今の特別失対事業と、ほとんど変わらない形になるであろう、こう思います。ですからこれらの点についてどのようにお考えになっておられるのか、まずはっきりした御答弁を伺っておきたいと思います。
  214. 福田一

    ○福田国務大臣 ただいまわれわれが考えておりますのは、離職者に組合なり会社なりをつくらして、それに請負をさせる、こういう考え方でやって参りたいと思っております。
  215. 中村重光

    中村(重)委員 今の御答弁は、離職者に企業組合的なものをつくらせて請負をさせる、こういう意味でございますか。他の第三者には請負はやらせない、こういうことでございますか。
  216. 福田一

    ○福田国務大臣 離職者が組合なりあるいは会社なりをつくって——いずれにいたしましても、そういうことで利益を上げるような第三者的な会社にやらせるという意味ではなくて、できるだけその離職者が組合をつくったりあるいは会社をつくって、そしてそれでやらせる、こういうふうに指導したいと思っております。
  217. 中村重光

    中村(重)委員 大体わかりました。これは法案が出ておることでしょうし、またいずれ他の機会にきめこまかく御質問していきたいと思いますが、考え方はわかりました。中小企業の問題等々、いろいろ質問したいのですが、あとでたくさん質問者がおるようでありますから、それでは簡単に御質問しておきます。  中小企業の売掛代金に対して、井手委員が予算委員会で質問をしておるわけですが、これに対する答弁は、税制上の措置ということを考えておるといったような程度、あるいは国民金融公庫から転職しようとする業者、あるいは移動しようとする業者に対しては、融資をするということを考えておるといったような程度であったと記憶します。そういうことでは、これはだめなんです。今まで炭鉱が終閉山になって、中小企業の売掛代金がどの程度回収されておるのか、これはいろいろ通産省から調査員を派遣しておられたそうでございますから、相当な内容が吸い上げられておると私は思いますが、私が調べた範囲によりますと、売掛代金の全然回収できなかったという例がある、あるいは五%だ、よい方で一〇%だといったようなことがいわれておるのであります。そういうことであってはこれは大へんなんです。国の政策によって炭鉱は買いつぶされた、そのために中小企業の売掛代金が回収できないということになって参りますと、私はこれは大きな犠牲者だと思う。それがそのまま放置されておったということに対しては、これは大きな社会問題であると考えております。この後スクラップ計画によってますます終閉山はふえてくるということになって参りますと、こういったような事例は多くなって参ります。相当時間もたちましたので、あなたの方でも研究が進められておると思います。対策もできておろうかと思いますが、この中小企業者の売掛金回収、これに対してどのような考え方を持っておられるのか、明らかにしていただきたい。
  218. 福田一

    ○福田国務大臣 調査をいたしましたところでは、終閉山をする関係の分については売掛金は大体二十億円前後、こういうことでございます。そのうちでどうしてもとれないのはどれくらいかということになりますと、これも腰だめではありますが、四、五億円ではないかといわれております。そういう数字のことはこれはまた別といたしまして、この問題をどういうふうに処理したらいいかということについては、実は井手議員からもお話がございましたとき以来政府としては真剣に考えておるわけでありますが、この前の予算総会で申し上げましたような点については、すでに税制上の措置等はこれを講じたわけであります。また金融面においても一部今あなたがおっしゃったような場合における措置はこれをやるようにいたしまして、すでに通知いたしております。たとえば個人は百万円まで、法人は三百万円まで、ところがそれ以上の金額についてどうなるかという問題がそこにまだ残るわけであります。これをどうして処置したらいいかということでいろいろ私たちは今考えておるわけでありますが、まだ今日までのところこれがいいというきめ手は出てきておりません。しかし前向きの形で何んとかしてこれを解決したいというておるわけであります。  それではなぜそういうようなことが起きてくるかといいますと、実際問題としてそういうような売掛金の問題を財政的に処置するということになる場合にどういう方法があるか、たとえば伝えられるがごとく、いわゆる買い取りまたは交付金で閉山をする場合に交付金をふやすようなことをした場合に、交付金というのは御承知のように、給料とかあるいはまた動力費とか、その他公共の事業費とか、税金とかいろいろなものがあるので売掛金だけが対象になっておりません。ところがその場合に、売掛金だけを対象にしてそういう金額をふやすということは、交付金の制度からいってどうもおかしいということがあります。それから今までの分について千五百円で買い取っておりますが、そういうものとすでに済んだものとの均衡の問題がまた一つございます。それからもう一つは、やはりそういうことをした場合において、ほかの産業で、たとえばもし八幡から金がとれない、つぶれたとかいう場合、あるいはほかの会社がつぶれた場合に、売掛金がとれないときはどうなるか。こういうようなことにまで波及していくおそれが十分にあるのでありまして、これを考えていきますというとなかなか名案が浮かばない。われわれはこの問題はよほど何とかしたいと考えておりますが、しかし何もあきらめたわけではありません。もしいい工夫がありますならば、われわれとしても前向きで解決していきたい、こういうふうに考えております。
  219. 中村重光

    中村(重)委員 どうも今の答弁ずいぶん、時間が長かったのですけれども、内容には少しも進歩がありません。そういうことでは困ります。これはやろうという気になっておやりになるならば方法は幾らでもある。私はいろんな案を持っておりますから申し上げたいのであります。しかしきょうは同僚議員の質問が控えておりますから申し上げません。ともかくもっと炭鉱の終閉山に伴う国の政策によって出てくる犠牲者であるという考え方、それを念頭に置いて施策は講じられなければならぬと思う。離職金であるとかあるいは鉱害であるとか、そういうものに次いでこの財源確保ということに対しては、政府は責任を持ってこれを解決するという態度でなければならぬと思います。  さらに転業する、あるいは商売をやめられる経営者であるとか、あるいは労働者であるとか、あるいは従業員であるとか、こういったような人たちに対しては、炭鉱労働者と同じような立場に立って施策を講ずる、そういうことでなければならぬと思います。あるいはまた移住営業をする者に対する認可、許可、こういう者に対する既得権を認めていくとか、いろいろ前向きの施策が講じられなければならぬ、こう思います。慎重におやりになることはけっこうであります。拙速必ずしも好ましいことではないと思いますけれども、この深刻な問題に対しましては、私は比較的軽視しておるという感を受けるのであります。  時間がございませんので質問を留保いたしまして、この程度できょうは終わりたいと思います。
  220. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 滝井義高君。
  221. 滝井義高

    ○滝井委員 どうも時間がないが、きちんと系統的にやらないと気が済まぬ方なので、まず大臣が御答弁ができなければ事務当局でけっこうです。さいぜんから井出さんが質問しかけてやめたところから今度継続して始めたいと思います。  それは二月の十一日から三月の二十日まで受付を始めておる。こういうお話があったわけであります。そこで問題は、一体山を閉山する、いわゆる交付金をもらうためには、具体的にはどういう事務的な処理の段階を経ていくかということを一つ簡単に御説明願いたいと思います。
  222. 中野正一

    ○中野政府委員 お答え申し上げます。  合理化事業団におきましては、最初に一定期間を限りまして申し込みを受け付けまして、その間に片方で合理化の問題なり整備の問題等につきまして石炭鉱業審議会がございますから、これは来年度の問題につきましては、今のところでは準備の関係で大体四月ころになるのじゃないかと考えておりますが、そこで整備計画、これに見合う再就職計画が決定されるわけであります。そういたしますと、その計画が大体きまりますので、この整備計画ワクと方向のもとに労使が自主的に話し合いをいたしまして、合理化、特に今問題になっておりますのは整備、閉山の計画でありますが、これについて協議をして話し合いがついて初めて閉山、こういうことになるわけであります。ただ、これは中小炭鉱なんかの場合は、先ほど来例を引かれましたように、いよいよやっていかれなくなって投げ出すというようになったようなケースがありまして、実際組合側の同意ということが最終的には必要になってくるわけでありますが、そういう点について大手の炭鉱と中小の炭鉱では幾分そこのやり方が実際問題としては違うと思います。事業団におきましては、受付をいたしましたものを審査をいたしまして、そうして調査に参るわけでありますが、この調査のときには、前に労使の話し合いがついて、いわゆる組合側の同意書といっておりますが、実際上同意がないというと調査に行かないことになっておりまして、この調査を手分けをいたしてやりまして、残存鉱量、また主要坑道というものを評価をいたします。これは一定の資格を持った調査員が公正な立場から調査をいたしまして、それをさらに審査をいたしまして交付金の評価額をきめまして、これを通知をしてやる。そういたしますと、その通知に基づきまして、今度は閉山の場合の交付金の交付につきましては、鉱業権を抹消するということが交付金を交付する条件になっておりますので、そういう交渉を鉱業権者がやりまして、その手続が済みましてから交付金が交付されるという形になるわけでありまして、この交付金のうちの全体の二割を未払い賃金等に優先的に充てる。それから残りの五割を主として鉱害の賠償の金に充てる。そうして残りの三割が鉱業権者にいく。未払い賃金につきましては、合理化事業団が直接に労務者に支払う、こういうことになっておるわけでございます。それから御承知のような退職する者に対する離職金、約一カ月分が同時に離職者に対して交付されるということになっておるわけでありまして、大体今までのところでは決定をいたしましてから実際金が出るのは約三カ月くらいかかっておる事例が多いのであります。できるだけ早くこれら手続をしまして、金が早く渡るように措置したいということでせっかく努力をさしておるわけであります。
  223. 滝井義高

    ○滝井委員 少し違うように思うのです。いいですか、申し込みを受け付けますね、受け付けたらあなたは四月ごろに石炭鉱業審議会におかけになるとおっしゃるけれども、それは石炭鉱業審議会におかけになるのは少し早過ぎはしないですか。まず先にあなたの方がおやりになるのは、政府石炭鉱業等の合理化整備計画を地域別、炭田別に定めるのです。政府が定めるのですよ。そうして、同時にその一環として雇用計画をくっつけて合理化審議会に諮問をすることになる。こうなっておる。有沢調査団答申はそうなっておる。今の御答弁では先に審議会にかげて、そうして整備計画ができて今度は調査する、こうなっておるのです。先に政府がおきめになる。政府がおきめになって、これでいいですかということを諮問することになるのですよ。ここが大事なところなのです。すべて政府の責任ですよ。だから三井とか北炭とかがいう、三十九年までには三井三山はつぶしてしまうという勝手なアドバルーンはだめなんです。こんなことを言うことは勝手だけれども、その通りにはならないのです。これは勝手にアドバルーンを上げるだけで、それは向こうはつぶす方針を出してもけっこうですが、出してもその通りいくかどうかわからない。なぜならば、政府は地域別、炭田別に合理化計画をつくり、それに裏づけのある雇用計画を一緒につくって審議会にかけることになるのですから、そうならなければならないわけです。だからあなたのように何か先にやるような格好にはならぬ。そうして今度はどういうことになるかというと、雇用計画が出てくれば、まず審議会に諮問をして、結論が出てきたならば、今度は閣議決定をしなければならぬ。そこで初めてきまることになる。この有沢調査団答申はこういう形になっておる。ここが一番大事なんです。ここできちっと政府方針を確認さしてもらっておかぬと、でたらめじゃ困る。だからもう一ぺん有沢さんの——新しいのはちょっと持たないのですが、私の古いこれによれば二ページの六にある。それをお読みになると、これは全部政府の責任です。
  224. 中野正一

    ○中野政府委員 調査団お話を申し上げますと、今申されましたように、石炭鉱業審議会に毎年度の整備計画とこれに見合う再就職計画——調査団の段階では再雇用計画と申しておりますが、これをかける。しかしこれは炭田別、地域別にきめるものであって、個々の山の閉山を政府がきめるわけではございません。それから調査団答申に書いてありますように、この整備計画は一定のワクと方向を与えるものであって、各企業はこの計画のワクと方向のもとでそれぞれ労使が話し合って具体的方針をきめる。従って閉山と合理化は企業の責任であり、これは自主的に決定さるべきものである、こういうふうに言っておりますから、もちろん政府は、全体の整備計画ワク、またそれで離職されるであろう人間を予想いたしまして、それの再就職計画はつくるわけでございますが、それができて、そのワクと方向のもとで労使が話し合って閉山なり合理化をきめる、こういうことになっております。それから申し込みの方は、これは事業団が事務をやる上から事務的に現在一応その希望を募っておるというだけのことでございまして、これは一つの参考にはなると思いますが、並行して行なわれて差しつかえないのじゃないかと思います。
  225. 滝井義高

    ○滝井委員 従って、労使が話し合って、たとえばAという山をつぶしましょうと意見の一致を見るためには、そのAという山がつぶれるだけの政府の炭田別、地域別の合理化計画がなければならぬ。たとえば地域別、炭田別の政府の計画が田川炭田で十万トンつぶすという計画を立てますと、三井鉱山なら三井鉱山がことし十五万トンつぶすと言っても、五万トンはだめなんです。そうならなければ、政府の地域別、炭田別につくったものの意義がなくなってしまう。ここが大事なんです。従って、政府がことし四百四十万トンをおきめになる——いわゆる保安の措置の三十万トンを除いたら、ニュー・スクラップは四百四十万トンです。この四百四十万トンを一体政府は炭田別にどういう工合に分けるかということです。これが大事なんです。これをまず政府がここで明らかにしなければならぬ。四百四十万トンを炭田別にどういう工合にやるかということです。そしてその四百四十万トンに見合ったところの労働省の職業訓練計画がことしは九千三百五十人。この九千三百五十人の職業訓練計画には、一般職業訓練から短期速成訓練等それぞれ六つばかりの訓練の計画がきちっと出ておるのです。これが四百四十万トンに見合って出てきておらなければならぬはずです。こうならないとだめなんです。この四百四十万トンを北海道から九州までにずっと割り当てますと、たとえば九州の筑豊炭田にはその中の二百万トンなら二百万トンが割り当てられてくる。それからさらに地域別、炭田別に割り当てるわけです。嘉穂炭田、田川炭田、直方炭田なら直方炭田というふうに分けられてくる。ここまでくると初めてその田川炭田の中のどの炭鉱が幾らどういうふうになるという計画が出てくる。そうするとそこから失業者がこれだけ出るから職業訓練所を拡充するという一貫した計画がきちっと青写真の上に出てこなければ、これは午前中私が質問したと同じように、全く五里霧中で何が何だかわからぬということになる。そこで政府は当然、この年度の初めにあたって予算を四百四十万トンでおつくりになったのだから、しかもその金はきちっとついておるわけですから、一体この四百四十万トンをどういう工合に地域別、炭田別に分けていくか、これを一つ御説明願いたい。
  226. 中野正一

    ○中野政府委員 地域別、炭田別に整備計画はつくりますので、個々の会社のものを積み重ねてそれがワクをはみ出すことがないように、できるだけワクの中に入れるように、行政指導をしたいと思います。ただ、個々の山をやめるやめぬということがそこで決定されるわけじゃございませんから、その点を私心配しているのですが、それは誤解のないようにしていただきたいと思います。地域別、炭田別に審議会では審査をしてやる。ただその場合に、実際問題としてはそれと並行して個々の問題が起こってくれば、これはどちらかというと労使の問題でありますが、政府が相談を受ければ、それはいろいろ政府としてやってやらなければならぬということは、これは当然政府の仕事でございますから……。審議会はあくまで個々の山の閉山を論議するわけではございません。
  227. 滝井義高

    ○滝井委員 わかるのです。事務的に言うとこういうことになるわけです。まず二月十一日から三月二十日まで閉山を希望する山は申し出なさい、こういうことになるのです。そうすると、たとえば昨年の三百二十万トンでも初め百二十万トンだったのです。それを二百万トンふやして三百二十万トンの閉山をやります、ニュー・スクラップ方式をとりますと発表した。そうして受付をした。受付をしたところが五百万トンぐらいの申し出があった。そこで申し出の順序に従って三百二十万トンをとったわけです。そうすると、五百万トン申し込んでおればあと百八十万トンのものはことしに回されることになる。ことしの四百四十万トンに入ることになる。そうなりますと、これは政府が四百四十万トンをつぶそうとするのですから、まず労働者と資本家が話し合って言ってくることを参考にしながら、北海道から九州までの間の山のどの地域のどの炭田をどの程度スクラップにしていくということをあなたの方も基礎調査をやっているわけです。いわゆる能率の悪い炭鉱はどこで、いい炭鉱はどこだ、つぶす炭鉱はどこだということをあなたの方は調査しているわけです。これによって地域別、炭田別の計画が出てくるわけです。そうすると、政府の方はつぶしたくなくても、資本家の方で全体の経理から考えてつぶしたいものが出てくるわけです。そうすると政府の意思に反するものが出てくるが、政府の意思と反するものは政府はチェックすることができる。もしあなたの方に資本家側から出てきたものが全部その通りになっていくというなら、政府石炭政策に対する主導権というものは何もないことになる。だからこれには明らかに政府がやると書いてある。政府が地域別、炭田別の合理化整備計画をつくる。それに見合った雇用計画を立てる。従ってこの雇用計画と整備計画ワク内に入った炭鉱——幾ら希望しておったってだめなんです。ワク内に入った炭鉱だけが昭和三十八年度においてつぶれていくということになる。そういう理解でしょう。これは大臣どうですか。われわれ明らかに有沢調査団のこの大綱からそういう理解をしている。これが違うというなら大問題です。
  228. 中野正一

    ○中野政府委員 先ほど来申し上げておりますように石炭鉱業審議会にかけまする政府の地域別、炭田別の整備計画というのは、あくまで地域別、炭田別でありまして、個々の問題には触れない、そのワクをはみ出さないように行政指導をする、こういうことでございます。
  229. 滝井義高

    ○滝井委員 従って、たとえば田川炭田なら田川炭田で二十万トンつぶす、合理化にかけるという計画が出てきたら、もう二十万トン以上はなるべく出させないように行政指導をします、こういうことですね。わかりました。その確認に立ちますよ。そうすると事務的に今度は申し出をします。あなたの方が、Aという炭田でことしは十万トンをつぶそうとしますと、資本家側から十五万トンの申し出が出た、こういうことになるわけです。そうすると、お前の山はもう五万トンだけはこれから掘り続けなさい、こういうことになる。ところが、これはここから大臣に私は知ってもらいたいところなんです。これからが行政じゃない、現実になるわけです。そうすると、一たび私の山を買うて下さいと言って申し出たら、一体山の実態はどうなっておるかということです。スクラップにしてくれと言って合理化事業団に申し出た山の実態。たとえばことしの実態で説明してもらってけっこうです。三百二十万トン申し出た、そして実質的に買い上げになったのは百十万トン。実際に、あなたのさいぜんの御説明では、四百八十一万トンの中で三百六十万トン程度は調査を終わっておる、こういうことなんですね。ところが、調査を終わってもまだ交付金もやっておらなければ、買い上げになっていない。すると、一体申し出た山の実態というものはどういうようになっておるかということです。これを一つ説明していただくと大臣が十分理解ができるのですが、どうなっておりますか。
  230. 中野正一

    ○中野政府委員 申し出た山はどうなっているかということは、これは個々の山の事情によって千差万別でございまして、一々私が知っておるわけじゃございませんが、いろいろな形態がやはりあるのではないか。たとえば大手なんかにつきましては、申し込みしたからといってすぐつぶれていくわけじゃなくて、実際ことしの例で見ましても、某社のごときは早く申し込んでおって、本年度の分に計上しておるものがまだ閉山の決定をしていない。それが労務者もちっとも困っているわけじゃなくて、どうということはないわけです。今度閉山ということになればいろいろ影響が出てきます。ただ、中小のものなんかについては、先ほど申し上げましたように、ほんとうにやっていけなくなってぶっ倒れるというふうな形で、自然に閉山といいますか、そういうような形になって、やはり買い上げという形に持っていくものについては、相当労務者なり何なりは、どんどん賃金は未払いになっていく、それから鉱害はほったらかす、売掛金はちっとも払わない、こういう形のものが、相当あることは承知しております。
  231. 滝井義高

    ○滝井委員 その通りです。大手の一、二の例外はあるにしても、大体後段で御説明した状態になってくるわけです。そうしますと、一体労働者はどういうことになるかということです。私の山を買うて下さいといって申し出たときには、もうそこには設備投資をやらないのですよ、いわゆる撤退作戦ですから。坑木も大して使わない、こういう形になるわけです。そうすると、こういう形になった場合に、政府が炭田別、地域別の計画をお立てになって、そうして行政指導はなるほどするわけです。もうしばらくお前のところは掘りなさい、三十八年度はだめだから、三十九年度まで掘りなさい、こうなったときに、資本家がサボタージュを始めたら、一体どうなります。未払い賃金をつくり、あるいは坑木代にうんと掛をつくる、こういう形をつくったときには、一体どういう形にしますかということです。これは、相当資金をその炭鉱政府がつぎ込んでやらないと、この炭鉱は歩行しないですよ。だから、それは行政指導をして、そういう炭鉱資金を貸すか貸さぬかということです。率直に申しておきますが、有沢団長からこういう山には金を貸すという言明を得ております。私は有沢団長に同じこの場所から質問をいたしまして、有沢団長は、それは政府をして当然金を貸させるようにいたします、そうして、絶対に雇用計画の立たないような山には、つぶすことはまかりなりませんという言明をここでしておりますが、政府の見解は一体どうですか。ちょっとそれは大臣にして下さい。有沢さんはそう言っているのです。
  232. 中野正一

    ○中野政府委員 一応私からお答え申し上げまして、あとでまた……。  今申し上げましたような中小には非常に悲惨な状況に陥っていくものが非常に多いので、結局そういう場合については、早く審議会を開いて方針をきめて、早く買い上げをしてやるという以外には方法はないのじゃないか。もちろん中小炭鉱でも、赤字は出しても経営の相当しっかりしているところについては銀行がまだ金を貸すというような形で、賃金も払っていくという形のものもあると思いますが、それについて政府で特別に金融をするというようなことはちょっと不可能かと思いますが、とにかく早く方針を決定して買い上げをしてやるということが、中小のそういうやめていく山については一番いい救済措置であるというふうに考えておるわけでございます。
  233. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、いいですか。三百二十万トンのワクに対して五百万トン申し出たのでしょう。これはことしも四百四十万トンに対して、すでに去年からの残りが、五百万トン申し出て三百二十万トンしかやらないのですから、百八十万トン余っておるわけです。だから、四百四十万トンに百八十万トンがまず先に殺到しますよ。そうするとあとに、もう二百何十万トンぐらいのやつに今度また出てくるから、また余るのが出てくるわけです。いわゆる三十八年度のニュー・スクラップに、申し出てもはみ出すのが出てくる。これは相当出てくる。相当出てこなければあなた方の四十二年までにいく合理化の計画はだめになってしまうのです。相当はみ出してくるわけです。そうしますと、今の石炭局長のような御答弁になって、そういうように田川炭田なら田川炭田で、ことしは十万トンときめたが、十五万トンの申し出が出た。ところが五万トンはもうやれないからというので、金融措置政府はしてくれない。そういうものは早目に合理化審議会にかけて買い上げますと言ったら雇用計画はどうなる。そのはみ出てきた五万トンの雇用計画については、予備費をもって、補正予算をもってでも雇用計画を立てるように政府努力していくのかどうかということです。それは、これに見合うところの職業訓練なり、それから就職促進手当なり、すべて予算に重大な影響をしてくるわけです。だから政府は、そういう場合には予備費をもってでも、そういう炭鉱をすみやかに救済する方法をとるということの言明ができますかね。できますね、大臣、今のような御答弁ですから。
  234. 福田一

    ○福田国務大臣 今申されたような問題についてもいろいろ考えてみたのでありますが、大体今回四百七十万トンという予算を御承知のようにつけておりますので、大体その程度において処理ができると考えておるわけであります。しかしながら、今滝井議員がおっしゃるような事態が起きました場合において、これをどうするということは政治の問題として、そのときにわれわれとして考えて処置をいたしたいと思っております。
  235. 滝井義高

    ○滝井委員 いや、政治の問題として現実に起こっているのです。三百二十万トンことし買い上げると言ったら、五百万トン申し込んだのですよ。そうして百八十万トンの山はもう歩いているだけなんです。ポンプ・アップしているだけです。歩くというのは——ポンプ・アップするだけです。そうして保安要員を何人か置いているだけです。たとえば、今まで五百人おったところが二十人か三十人が坑内に行っているだけで、あとは全部失業しておる、こういう実態です。労働者は離職金も何ももらえぬで待機しているわけです。もちろん一部は失対に行ったり臨就に出たりしております。しかし、待機しているわけです。こういう形は、いわゆる合理化審議会にかからない状態でこうなってくるわけです。そうなると、合理化審議会というものは有名無実になってしまう。実際にことしきめるのは十万トンであったのだが、あとの五万トンはもう資金的にだめだといってやめてしまって、そのままお手上げだと、政府はこれを繰り上げてやりますということになれば、炭田別、地域別の計画はいつもいつも変えなければならぬということになってしまう。だから、いわば石炭政策を私企業としてはそのままほうっておけない限界がここで出てくるのです。現実にそれはあるのです。起こってからではない、現実にもう今起こっているのです。
  236. 福田一

    ○福田国務大臣 御承知のように、ことしは最初予算でとっておりましたのが百二十万トン、ところが、非常に不景気といいますか、あれでもって申し込みが殺到いたしまして、そこで、その中でやれる分ということで、一応四百八十万トンの整備計画の予算をとっているわけであります。あなたも御存じのように四百八十一万トン、そこで来年度は四百七十万トンとったのでありますが、去年といいますかことしとは違いまして、そういうようなこともあろうかということを十分予想いたしまして、四百七十万トンの予算をとっております。だから、ことしと来年と合わせて、四百八十万トンと四百七十万トンでありますから、九百五十万トンの予算をとっておる。そうすれば大体これでやっていける、今御心配のようなことはないんじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  237. 滝井義高

    ○滝井委員 それは大臣違うのですよ。ことし、そういうこともあろうといって四百八十一万トンとったというけれども、この四百八十一万トンは、大臣、これはこうなるのですよ。ニュー・スクラップで三百二十万トンです。それから、すでに旧方式があるのですよ。いわゆる合理化事業団が連帯責任を持つという旧方式で、六十七万トンことし残っておるのです。実質的には六十七万トン以前の事務処理が、これが六百三十万トンの中で、三十七年にやるのが六十七万トンだったのですが、実際は私の調べたところでは、九十六万トン残っておるのです。それから八谷さんの方の保安が四十五万トン、それは多分十五万トン追加しましたね。十万トンですか、そうすると、五十五万トンです。こうなるのです。これは四百八十一万トンにならぬ。私の計算では四百六十六万トンくらいにしかならない。これなんですよ。大臣、ニュー・スクラップだけで四百八十一万トンで余裕をとっておるのではないのです。これはそうでしょう、局長さん。余裕をとったわけではないでしょう。今私の説明したように、旧方式から保安をかてて、合計をして、四百八十一かどうか知らぬが、四百八十一くらいの数字になる、こういうことなんです。大臣の言うように、三百二十万トンのほかに余裕をとって、四百八十一万トンということで予算をそのためにとっておるということじゃないのです。これはそうでしょう。
  238. 中野正一

    ○中野政府委員 ことしの四百八十一万トンの内訳は当初予算が百二十万トンで、追加が二百万トンありました。その新方式が三百二十万トン、旧方式の残りが百六万トンでございます。保安不良の買い上げが五十五万トン、合わせて四百八十一万トンでございまして、三百二十万トンというのは、昨年の十二月末までに閉山をする分ということでワクをとったわけでありまして、従ってことしの一—三からの分は来年の予算の中に入ってくるということで、四百四十万トンという数字を出しておるわけであります。従って来年度の終わりごろにやめる分の金は、再来年度にずれ込むというような形になっていくわけでございます。
  239. 滝井義高

    ○滝井委員 その通りです。従って、ここに問題になるのは、合理化計画雇用計画とがずっとずれてくるということです。ずれが出てくるのです。どうしてかというと、立てておっても、今言ったように、先に事務処理上ずれ込んでいくのです。そこで労働者としては退職金をもらい、あるいは未払い賃金をもらい、あるいは離職金をもらわなければ、大阪や東京にはそう簡単には行けませんよ。ところが、交付金が交付されるのはおそくなる。それは三月どころじゃないのです。これからの事務処理というのは、もっと長くかかりますよ。なぜならば、鉱区を抹消してもらうためには、債権者に金をやらずに鉱区を抹消してもらわなければならぬから、交付金がきたら金をあげますよというから手形で判こをもらうことになるのです。だから、簡単には判を押さぬ。なんぼか金を持ってこいと必ず言われることになる。だから、事務的に処理がずっとおくれていく。おくれていくだけ、今度は雇用計画というものがそれにくっついていけなくなる。金をもらわなければ、労働者はなかなか移動できないのですよ。だから雇用計画と整備計画とがなかなか同位的にうまくいかぬという状態が出て、そうして労働者が非常に悲惨な状態になってくるわけです。こういう形になってくるのですよ。これが今の実態です。どんなに早く政治力を働かしてやっても、三カ月では簡単にできない。今度のニュー・スクラップ方式では判こをもらわなければならない。全部差し押えをされておりますよ。へまをすると半年か一年かかる。どんなに早くても、一年でできたらいい方です。こういうのが実態です。あなた方は、前の旧方式ではそれ以上かかるものだからニュー・スクラップ方式をつくったのだけれども、ニュー・スクラップ方式においても、鉱業権者はみんな貧乏になったから現金がない。だから、判がなかなかもらえない。債権者との話し合いがつかない。あるいは市役所とか県との話し合いがつかないということで、延びていくのです。だから、ここで合理化計画雇用計画というものをよほど事務的にうまく一体の形をとっておかないと、終山の処理というものがうまくいかない、こういう形になってくる。従って、通産省の方と大橋さんの労働省の方と、やはり水も漏らさざる緊密な連携のもとにやっていただくということをぜひ一つお願いしておきます。
  240. 福田一

    ○福田国務大臣 お話の御趣旨はよくわかりましたから、今滝井議員の言われた趣旨に基づいて研究いたしたいと思います。
  241. 滝井義高

    ○滝井委員 今ちょっとうしろの多賀谷君から注意がありましたが、今年の四百四十万トンというものは、これは昭和三十八年度分でしょう。三十八年の一月から十二月までの分ですか。三十八年度分でしょう。そこらあたりをもうちょっと説明してくれませんか。
  242. 中野正一

    ○中野政府委員 四百四十万トンというものは、三十八年度一ぱいの分であります。
  243. 滝井義高

    ○滝井委員 それからさいぜんの説明で、四百八十一万トンを三十七年度に処理して、労働者の失業は一万二千人だった。ところが今年四百四十万トン処理すると一万四千人になって、能率が上がっている今年度の方が労働者の数が少なくなければならないのに、むしろ逆になっておるのはどういうことですか。
  244. 中野正一

    ○中野政府委員 来年度の見込みといたしましては、本年度に比べて大手炭鉱の閉山が多くなるのじゃないかという予想を立てまして一応計算いたしておるわけでございます。
  245. 滝井義高

    ○滝井委員 これで大体意思統一ができました。事務が進行いたします。そうしますと、途中で事務処理が長くなって、そうして金もたくさんかかるというので、交付金をもらうよりか、もうやめてどこかに行ってしまった方が得だ、こういうことで石炭山のおやじさんが、もう山を流してしまった。判こを債権者からもらって抹消の事務をやらずに、捨ててしまった。こういう山は、いわゆる審議会にかからぬわけですよ。投げ出してしまうのですから。整備計画毛交付金も何もこない。この労働者は一体求職手帳をもらえますか。いわゆる自主閉山ですよ。みずから投げ出してしまったものです。
  246. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 結局におきましてつぶれた山でございますので、やはり手帳を交付するようにいたすつもりであります。
  247. 滝井義高

    ○滝井委員 それから、五年以上の可採炭量がないとニュー・スクラップ方式の対象にならないわけですね。こういう山の離職者は一体どうなりますか。いわゆる五年以上の可採炭量がないと、山は合理化の対象になってくれないわけです。ニュー・スクラップ方式にかからないわけです。ここに働いておる労働者は一体対象になりまずか。
  248. 大橋武夫

    ○大橋国務大臣 先ほどの場合と同様に処理したいと思います。
  249. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、五年以上の可採炭量がない山は買わないということになりますと、こういう山は、何と申しますか、ぎりぎり掘り立ててしまうまでは救済の方法がないわけですよ。そうすると、こういう山はぎりぎりのところまで掘って掘って掘り尽くしてしまって、あと鉱害だけ残してどこかに行ってしまうんですね。これは必然的に無資力になるわけです。それならばこれは、希望すれば早目に買い上げてやってもいいじゃないですか。少し価格を安くしてでも。どうですか。ここらあたりは今後、筑豊炭田というものは非常に鉱区も錯綜しておるし、それから多く掘ってしまっておる山も多いので、五年以下のものが相当中小の山には出てくると思います。こういう点については何か政治的の配慮というよりか行政上の適切なる措置が必要だと思いますが、どうですか。
  250. 福田一

    ○福田国務大臣 研究をいたしたいと思います。
  251. 滝井義高

    ○滝井委員 ぜひ研究していただきたい。そういうように今度は、いよいよ山をつぶしていく過程の中で、やはり生かす山も必要になってくる。それからつぶす山には、退職金なり整備資金を出してやらなければならぬ。そこで、二千五百億というのはこれから四十五年までですか、二千五百億の金をつぎ込むわけですね。有沢さんの報告によりますと、この二千五百億の金のつぎ込みというものは、少なくとも三十七、三十八、三十九年度までにやはり重点的につぎ込まざるを得ないということを書いているわけです。そういう御説明もございました民間資金千億と政府資金千五百億の金が必要ですが、一体この資金の投入の仕方は具体的に政府はどう考えておるかということです。
  252. 福田一

    ○福田国務大臣 それはやはりスクラップ・アンド・ビルドの計画の中において、それが立った上において、それに順応して投入していく、こういうことに相なると思うのであります。今まだできてないうちから、ここの山に幾ら、ここの山にどうするということは申し上げることはできないと思います。
  253. 滝井義高

    ○滝井委員 それは、有沢さんは三十七、三十八、三十九年までに集中をしなければ、日本の石炭山というものはとても石油と太刀打ちどころじゃない、もうおくれてしまってだめだ、だからやはりここ一、二年に集中することになるという御答弁なんですよ。政府はその有沢さんの意向というものをどう考えておるのか。隠す必要はないです。この際やはりはっきりしておく方がいいんですよ。胃ガンなら胃ガンだと言われた方がいいんですよ。それなら早く手術ができるんです。やぶ医者は胃ガンを胃ガンでないように扱い回しておるから、おくれて死んでしまうのです。だから、福田名医はすみやかに診断を下してもらわなければならない。出すべき金を早く出してもらわなければならない。
  254. 福田一

    ○福田国務大臣 お説の通り、効果を上げるにはなるべく早く投入することが必要だと思います。
  255. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、いずれこれは機会をあらためてその投入の計画その他は聞かしていただきます。  続いて、済みませんが、自治省と厚生省に伺いたい。  そういうようにして大体合理化計画ができて、雇用計画が進んでいくと、一番しわが寄ってくるのは、閉山計画と雇用計画で自治体にしわが寄ってくるわけです。現在筑豊炭田における自治体の姿を見ますと、もうこれはさいぜんちょっと申しましたように、生きておるだけです。もう市なり町村役場の吏員に給料を払って、学校を細々と運営をして、そしていたずらに福祉事務所とその町にある職業安定所が繁盛をしておる。こういうのが実態です。  こういう状態の自治体を一体自治省としてはどういうように再建というか、財政的な措置を講じていくかということです。有沢調査団答申大綱の中にも、やはり自治体の財政対策というものを強化するということを、整備計画雇用計画と一緒にうたっておるのです。ところが、雇用計画とか整備計画はどんどん進んでいっているけれども、自治体の再建に対する計画といいますか、そういうものはどうも具体的に出てこないのですね。すべてが交付税か特別交付税でやられるような格好になっておる。ところが、やはり交付税というのは所得税、法人税、酒税、この三税の二八・九%というワクがあるわけです。このワクをこえた、いわゆる超過負担はどうにもならぬわけです。そこでまず、閉山計画なり雇用計画に見合った自治体の再建に対する構想を自治大臣がお持ちならば、この際ここで明らかにしておいていただきたいと思います。
  256. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 産炭地の地方自治体の振興、再建の問題につきましては、これはひとり自治省だけの仕事でもなく、また、自治省だけが考えてもできない問題でありまして、産炭地振興臨時措置法というものがあって、そこにいろいろな事業団が事業を起こしたり、あるいはまた政府が一体となりまして産炭地振興というものは考えなくちゃいけませんが、今御質問になりました地方自治体の、産炭地の自治体なるがゆえに生じた赤字、すなわち、生活保護であるとかあるいは失業対策であるとか、あるいはその他産炭地の住民の困窮による減税あるいは免税の問題であるとか、こういったことにつきましては、三十七年度はまだ途中でございますから出ておりませんが、三十六年度の計算によりますと、全国百六十の産炭地市町村の中で、要するに、産炭地なるがゆえに赤字を出しておるというのが十六でございます。その総額は四億三千六百万円、今九州地方をとってみましても、もし御必要であればあとで御説明をいたしますが、昨年度におきましては非常に赤字の自治体が少ないわけです。ことしは、石炭の模様が様変わりでございますから、相当多いと思うのでございますけれども、しかし今申しましたような産炭地なるがゆえの財政支出については、地方交付税並びに特別交付税によって十分処理して参りましたし、今後もまたそれによって十分処理し得るものと考えておる次第であります。
  257. 滝井義高

    ○滝井委員 今地方交付税の普通交付税あるいは特別交付税で処理をされるとおっしゃいました。それが一つの大きな矛盾を持っておる典型的な例を御説明して、さらに御検討をお願いしたいのですが、まず何といっても一番市町村財政を圧迫するのは生活保護です。この生活保護は県と市がいわば生活保護費の二割を負担することになるのです。この二割の負担が非常に大きな財政上の圧迫になるわけです。いま一つは失対事業あるいは緊急失対事業です。これは多発地帯五分の四で五分の一、やはり二割は自治体が単独財源でこれを補てんしていかなければならぬ。それから準要保護児童の問題です。学校です。これは二分の一です。文部行政では義務教育の国庫負担は、半額国が持つという建前になっておりますから、これは二分の一持つわけです。たとえば私の付近の学校を見てみますと、千二百人の小学校の生徒のうち六百人は準要保護児童と生活保護児童です。大体三百人が準要保護児童と生活保護児童になっておる。千二百人のうちとにかく半分の六百はそういう状態です。たとえば田川市で見てみますと、全学童の二割ちょっとのものがそういう状態です。従って市の負担する学用品とか学校給食の経費はウナギ登りに上っていくわけです。非常な圧迫になっております。それから国民健康保険で、炭鉱離職者は、やめるとみな国民健康保険に入ってくることになる。今度幾分これが改善されますが、これが入ってくる。そういう形でうんと多くなる。これに鉱害の復旧があるわけです。これは有名な重政発言ですが、農地でも六割五分を公費負担、国と県が持つわけです。三割五分は鉱業権者が持つ。その六割五分の中で、国が五割四分持って県が一割一分持っておるわけです。この鉱業権者の負担する三割五分が無資力になった場合は、ここから県の負担分が六出て国が二九ですか、だから結局、県が一七持って国が八三持つ。ところが今後これが非常に増加する傾向が出てくるわけです。家屋になると、無資力になると三五県が持つわけです、国が六五ですからますますふえてくる。たとえば水道のごときになりますと、無資力になると三割七分五厘市町村が持つことになる。こういうように鉱害というものが異常な圧迫をしてくるわけです。今や自治体の財政の総支出の中の約半分というものは、社会労働費になってしまう。いわゆる厚生関係の生活保護、労働関係の失対事業の二割持ちというものが半分を占めてしまう。そうして自治体は一般の行政が全くできなくなってしまう。人間でいえば生けるしかばねの状態になってしまう。それでこういうふうに圧迫をしますと、それじゃ生活保護の交付税その他はどういうことになるか。これは一番典型的な福岡県の例をとってみます。府県の中の交付団体の生活保護の全国の所要額が四十七億程度所要になります。その四十七億に対して基準財政需要額を四十六億程度見てくれる、すなわち九割七分程度は見てくれるわけです。ところが、生活保護者が千人について約五十人近くあるという福岡県の状態です。全国の平均は十七人です。これは筑豊炭田に行きますと、千人について百二十人です。はなはだしい町にいきますと、四人に一人は生活保護です。こういう福岡県の実態を見ますと、どうなるかというと、五億程度の所要額に対して基準財政需要額は三億しか見ないわけです。すなわち六割六分程度しか見てくれないわけです。あとの三割四分というものは自已財源です。ところがそういう産炭地のような惨たんたる状態にないところにおいては、九割七分見てくれて、三分だけ見ればいいという形になる。こういう実態が出てくる。これは一体どこに原因があるか。それは結局補正係数ですか、財政需要の見方における密度補正等がやはり幾分合理性を欠いておるということです。これは昨年においても私は特にお願いをして、何か方法を講じて下さいと言ったら、自治省が、今まで基準財政需要額の算定は人口で見ておったけれども、今度は密度補正で生活保護者の数を見ましょうといって幾分見てくれた。幾分見てくれてなおこういう状態です。こういう実態は生活保護ばかりではありません。鉱害にも全部これが及んでおるわけです。従って、こういう点について自治大臣の英断をぜひお願いしたい、こういうことなんです。
  258. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 それではこの産炭地の生活保護とか失業対策の問題で、一応数字によって御説明申し上げますと、今例をとられました福岡県の生活保護、これは三十六年度におきまして三十五億五百万円、そのうち国庫補助は二十八億四千九百万円、地方の負担が六億五千六百万円、これに対しまして福岡、佐賀、長崎、熊本、これだけ合わせますと、結局総額が四十六億一千三百万円、そのうち国庫補助が三十七億三千四百万円、地方負担が八億七千九百万円、これに対しましては全部普通交付税に算入いたしまして、それに入らないものについては、三十六年度において全部特別交付税によって処置したわけであります。それから準要保護の問題、これはやはり九州の産炭地、福岡、佐賀、長崎、熊本、合わせまして二億六千二百万円、そのうちの国庫補助が一億二千四百万円、地方負担が一億三千八百万円、これも先ほど申しましたように、全部処置いたしております。一般失業対策につきましては、これはやはりこの四県におきまして二十二億四千万円、そのうち国庫補助金が十四億五千八百万円、残りの七億八千二百万円は、これまた普通交付税並びに特別交付税によって全部処置いたしております。それから緊急就労対策とかその他、今申し上げたような処置をいたしているわけであります。それから、無資力あるいは無権者の場合の農地の鉱害につきましては、国の補助率が八三%、県あるいは地方公共団体の負担が一七%、それで県または地方公共団体は一七%に対してその一七%の七〇%を地方債で認め、その地方債については後年度元利償還の七七%を特別交付税で処置いたしております。起債以外の残りの地方負担の三〇%については、その三〇%のうちの二四%に特別交付税で処置いたしております。そうして六%だけが自己財源の負担ということになっております。でありますから、かりにここに一億の鉱害があった場合の純然たる地方負担が、初年度におきまして百二万円でございます。将来地方財源で負担すべき起債の償還額が五百十二万円でありますが、三年据え置きの十五年年賦でございますから、これは地方にとりまして若干負担ではありますけれども、それほど大きな負担ではないと考えます。  それから私に希望されたことにつきましては、これはまあ自治団体と自治省というものは、はっきり言えば親と子供でございますから、もう他人じゃありません。従いまして、私たち自治省の責任の衝に当たるものは、これはもういつでも神経の通った、血の通った行政を行なうということを念頭に置いておりますから、地方自治団体が非常に苦しんでいるものをわれわれが等閑に付したり、あるいは見ぬふりをしたりするということはありません。これはもうほんとうに親子の関係のように、身命を賭してこれが救済をする、また発展させるということを考えておりますから御安心願います。
  259. 滝井義高

    ○滝井委員 時間がありませんから、自治省はそのくらいにして、ちょっと厚生省に聞きますが、今生活保護の問題が出たわけですが、ただ、制度的に見ますと、鉱害でも七割起債でやる、それからその起債をやった五割七分は交付税で見てやる、それからあとの負担する分は特別交付税でみる、こういうような何段階にもやられるということが、行政を複雑化するので、できれば思い切って、負担した分については起債で見る、すぐその場で普通交付税か特交でその年その年にやったものは片づけてもらうというようにする方が、むしろ能率的、合理的にいくのではないかと思う。また、何回も自治省に特別交付税をもらうために足を運ばなくてもいいと思うのです。こういう点もあるのではないか。それはぜひ御検討をお願いしたいと思います。
  260. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 それはあなたのおっしゃる通りの方が私もいいと思うので、今後研究いたします。
  261. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ちょっと関連して。自治大臣、どうもあなたは認識が違うのです。あなたの方に局課長がメモを渡したのが、ちょっと違うのです。たとえば学校給食の問題でも、昭和三十七年度は五%見ておった。九百人単位ですから、児童の五%というなら四十五人ですね。これを普通交付税で見てやるということになっておる。ところが、その内訳が、教科書は四十名見ておる、学用品は四十名見ておる、給食費は二十五名しか見てない、それから修学旅行は十一名、療養費は五十三名、こういうふうに見ておるのです。これが五%で四十五人分と見てあるのですよ、そもそも交付税の算定の基礎の中に。ですから、学校給食だけ考えてみてもどうしても足らない。足らないはずですよ。四十五人分が二十八人分しか来てない。こういうところに問題があるのですよ、あなたは見てやる、見てやると言われましたけれども、普通交付税がなかなかわからないのですよ。ですからそういったところがやはり量が多いものですから、結局加算して大きく膨大な支出になってくる。一つこういう点も十分検討願いたいと思います。
  262. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 そうこまかくなると、私もよくわからない。今後研究をいたしまして、一つなるべくそういうことのないようにいたしたいと思います。
  263. 滝井義高

    ○滝井委員 大臣の言われる通り、確かに一部見てくれておるわけです。そこで厚生省ですが、やはり何といっても、一番大きな問題は生活保護です。そこでこれを八割国が見て、二割を市なり県が見るという、これを一つ私は九割にしてもらえぬかということです。このくらいは、これは時限立法でかまわぬと思うのです。石炭合理化政策が進行する昭和四十五年まで、あるいは四十二年までは、その指定する地域についてはこれは一割だけ自治体が負担したらよろしい、こうしてもらいますと、残りの一割の負担した分について篠田さんの方の自治省で交付税とかなんとかで見てもらえば、ずっと軽くなってくるわけです。何といってもやはり交付税というものは頭打ちですから、だからその見ただけを全部見るというわけにはいかぬ問題があるわけです。この問題が一つ。  もう一つは水の問題です。産炭地における水の問題というのは非常に重大な問題で、今盲点になっておるわけです。水道は、御存じの通り炭鉱がある間は炭鉱の水道があるのです。あるいはその炭鉱の付近の村や町には多く坑外水道がいっておるわけです。ところが、炭鉱が閉山して撤退してしまいますと、一体この水道はだれが管理するのだ、こういうことになるわけです。もとは合理化事業団がこの水道を買い上げておったのです。ところが、最近水道を買い上げない、めんどくさいものだから。おっぽり出される。そうすると、地域の住民は、これはその炭鉱に坑外でやってもらうかどうか以外にないんだが、さて坑外でやろうとしてもなかなか水源地がない。多く炭鉱炭鉱の坑内の水を揚げますが、その揚げる水を水道に使っておるわけです。こういう形になっておるわけです。そこでこの水道の問題、水の問題をどうするか。井戸を掘りますと金け水というまっかな水が出る。これは大臣、大分県だから、もう十分御存じだと思います。そこでお手上げです。これは大手の炭鉱でも、水道をつくって下さいというと、つくらない。井戸にする。打ち切りで井戸。お金を幾分かやって井戸。そうすると、初めのうちは、お金をもらったのだからと思って泣き寝入りしておりますが、だんだんくんでいるうちに、雨が降ったりするとすぐ水が濁っちゃって、飲める水にならない。そうすると、どうしても自治体がやらなければならぬ、こういうことになるわけです。一体この水道の問題を厚生省としてはどう処置するか。ことしの予算には出ていないです。炭鉱がどんどんつぶれていって——水の問題というのは、今東京都においても、東京は水飢饉で、東知事の死命を制するかどうかという重要な問題になっている。それと同じです。一体、産炭地の水の問題を厚生省としては、ことしどういう方針で解決される方針なのか、これを一つここでお聞かせ願いたいと思うのです。
  264. 西村英一

    ○西村国務大臣 もう滝井さん十分わかっての御質問でございますが、生活保護の第一点の問題ですが、これは生活保護者がなるべく出ないようにすることが、もう第一の……(笑声)いや、それはそういうふうに政府も十分力を尽くしますし、またお互いにそうだろうと思うのです。今の動きを見ますと、これはもう福岡県のごときは全国平均をはるかに上回りまして、ことに特定な町村では千分の百以上というようなところがあるです。全国平均が千分の十一人です。これはまことに私も同情に値すると思うのです。これは生活保護に落ち込むことはもう愚の骨頂なんですから、その辺は、生活保護々々というのではなしに、それに陥らないようにすることが第一点であろうと思うのです。しかし、真にやむを得ない人につきましては高率の補助をやっておる。十分の八なんという補助は、これは生活保護も非常に高率であると思うのです。さらに十分の九にしてくれという御要望ももっともだとわかります。わかりますけれども、生活保護がふえていって、地方負担分につきましては、今自治相の篠田さんからもいろいろ説明がありましたように、地方交付税で十分見るというのですから、これは両省打ち合わせをしまして、地方団体が困らないようにしたいと思っております。  それから水道の問題がありましたが、まさにこれは盲点でございます。と申しますのは、一つは、閉山がきまってしまって、一番しまいでなければ、どこがどうなっておるのかわからないのです。そういうのですから、非常に盲点になっておることも、私はこれはそうだと思っておりまするが、現在のところ、関係産炭地の地方を調べますと、三十一カ所ぐらいは、これはどうしても直してやらなければならぬと思っております。しかし、一般の場合の——大部分は簡易水道でございますが、一般の場合の簡易水道の取り扱いは、国としては補助を出しておらないのが原則でありまして、新設の場合にのみ四分の一の補助を出すのであります。ところが、この場合そういうことは言えませんので、改善の費用であるけれども特にこの補助を出したい、かように考えておるのであります。今は、この事業主がそれをほったらかして逃げますと、あと自主的にやっておるわけですが、私の方もなるべく早く市町村に引き継がせたいわけです。ところが、市町村が引き継ぐのにつきまして、まあ修繕をしてくれぬと引き継がぬというので、御要望もありますが、これは一つ——地域住民に水の心配は絶対させてはいけません。非常に調査がおくれましたが、さしあたり直さなければならぬところは三十一、二カ所あろうかと思われます。従いまして、明年度の簡易水道の予算でこれを一つ直したい。今水の供給ができておらぬということではございません。いろいろさびたり不便なところがあるわけでございます。それを明年度の簡易水道の予算で直したい、かように考えておる次第でございます。
  265. 滝井義高

    ○滝井委員 そうしますと、問題は、その運営費とその建設の費用なんですね。御存じの通り、水道法で——炭鉱の使っている水というのは、簡単に飲み水にならぬですよ、坑内水をくみあげてやるのですから。炭鉱の水というのは、濾過装置も何もないのです。あれは保健所側の検査をすればみなだめになるものだけれども、まあ炭鉱状態考えて目をつむっているわけです。ところが、これを市営の水道なりあるいは市の簡易水道にすると、水道法できちっとしたものにしなければならぬ。全部やりかえなければいかぬわけです。そうすると、これは四分の一の補助金ですよ。これじゃとてもやれぬわけです。それから、これは炭鉱の坑外地あるいは炭住にいくわけですから、運営費というものを市がもらわなければ、なるほど、地域住民だから自分の手銭を切ってやるのが当然だとおっしゃるかもしれぬけれども、惨たんたる産炭地財政ですから、とても惨たんの上に惨たんを加えるというわけにはいかぬわけですよ。だからこういう点については国が見なければいかぬ。それにはやはり生活保護や何かと同じ程度の四分の三か五分の四程度のものを見てもらわなければ、水の問題は大へんですよ。今われわれのところは学校の給食ができないのです。炭鉱がやめてしまって給食ができないのです。炭鉱が学校の下を掘ってしまって、井戸を掘っても赤水しか出ないのです。こういう状態になるわけです。ほんとうは鉱業権者が見なければならぬが、鉱業権者は金がない。こういう実態になったら、それは自治体が見なければならぬ。ところが、自治体が見るためには、水源池もつくらなければならぬ、今まで坑内水を揚げておったんですから。そうすると、水源池をつくるというのに莫大な金が要るわけです。だから、これを自治体の単独財源で四分の一くらいの補助でやるといったら、もう大へんなことになるわけです。これは無資力の場合についても、三七・五、自治体が負担しなければならぬ。だから自治体の負担というものは大へんなんです。だから、この水の問題については、やはり国が四分の三なり五分の四程度を見るという方針を緊急に打ち出してもらって、これは予備費か何かででもやってもらわぬことには大へんなんです。
  266. 篠田弘作

    ○篠田国務大臣 炭鉱の水道を自治体に引き継ぐ場合には、今厚生大臣から御説明しましたように、新設と同じ補助を厚生省が出します。その残額につきましては、地方債をもって全額自治省がめんどうを見ることになっている。あなたの言われる、国が地方自治体にかわって何ぼ負担するかということは、今後の問題として研究したいと思います。
  267. 西村英一

    ○西村国務大臣 ただいま自治大臣から話がありましたが、さしあたりそういうことでやりまして、将来は検討いたします。全額高率の起債、これを将来水道料等で払っていく場合に、起債の払いについて赤字が出ます。その赤字等についても特別交付税で見るというような方法を考えまして、さしあたりはそういう方法でいきますけれども、将来は少し検討してみたいと思っております。
  268. 上林山榮吉

    ○上林山委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会