○
福田国務大臣 ただいま
足鹿委員からの御
質問でございますが、この百三億円を
融資いたしました基礎についての
数字については、
事務の方から
あとで御
説明をさせていただきたいと思います。
一応どういうような
考え方で二百九億円の金をつけていったかということについて、私からお答えをいたしたいと思います。
すでに
足鹿委員は十分そういうことはおわかりではございますが、御
承知のように、
硫安二法をつくりましたときには、
肥料、特に
硫安が非常に高くて、しかも十分に供給される確信を持てなかったので、そこで十分な
硫安を、しかもできるだけ安く
農家に供給して、
食糧増産の実をあげようという
目的で、あの二法ができたわけであります。そういう場合に、
内需の場合においては、
価格決定において
バルク・
ライン方式というのをとりましたが、
海外へ
輸出した場合に、当時の六十三ドル前後の
硫安でありますと、当然
赤字が出ます。しかし、その当時
考えておったのは、五十二ドルくらいにまで
トン当たり合理化をすれば
黒字が出てくるというつもりで、あの二法を立案をいたしまして、そのときになって、五十二ドルで
生産して、今度は
海外へ五十六、七ドルで売れば、四ドルなり何なりの
黒字が出るだろうというようなことから、いわゆる
輸出会社というものをつくって、そこに
マル公でといいますか、
硫安を渡しまして、そしてこれを
輸出させて、
赤字はそこへプールしておく。将来
黒字が出たときにこれで埋め合わせをするというような
考え方でやってまいったのであります。ところが、事実は、こちらが
合理化をしていく速度よりも、
海外に
硫安に対する
ダンピングの値段のほうがずっと早く先走りをしていったという形から、
黒字が出ることは一度もなくて、
赤字の
累積ばかりであったわけであります。そしてそのいわゆる
輸出会社にたまった
赤字は、約二百十五億円にもなってしまったのでございますが、その二百十五億円というのは、表面の
赤字であって、実質的にはどれくらい
赤字になるかということを調べてみますと、約百二十五億円ということでございました。そこで、その間におきましても、今度の
措置をとる以前において、約五十二億円前後のものにつきましては、
合理化資金をつけたり、あるいはまた税制上の
措置をすることによって、一応の
赤字の
対策ができておる。したがって、残りの七十三億について何らかの
措置をしなければならないということで、今度の百三億のいわゆる
開銀融資というものを決定したわけであります。
赤字が出てきた理由はそのとおりでありますが、いまあなたが
お話しになったように、
肥料の中に占める
硫安のウエートといいますか、この範囲といいますか、それがだんだん狭まってきておるという
状況でございまして、
尿素とかあるいはその他の
肥料がだんだん度合いを強めてまいっております。ところが、
法律で規定をいたしておりますのは
硫安対策だけでありますから、その
意味では、いわゆる
肥料対策というものが、昔は
硫安だけすることによってほとんどやっていけたのでありますが、いまはもう
硫安だけでは
肥料の
対策にならぬじゃないかという
議論も、もちろん成り立ってくるわけなのでございます。しかし、いずれにしても、そういう
法律をつくって、
赤字が出ておるものをそのままほうっておくというわけにはまいりません、何とか
措置しなければならない。そして
硫安の
会社がみんな困っておるのに、また
措置のしようがないという
段階にきておりますので、これに対する
対策をまずきめよう、こういうことでございまして、昨年末踏み切ったわけであります。そのときに実は問題になったのは、ことしまだ
肥料二法が存在しておって、いわゆる三十七年度の
肥料年度のみならず、三十八年度の
肥料年度についても、
輸出をすれば
赤字が出るじゃないか、それをどうするんだということが問題になったのでありますが、二百十五億の
赤字に加うるに年間五十億前後の
赤字が出るということになりますと、ことしの一月一日からの分は見ないということになっておりますから、われわれの推定しておるところでは、おそらくまだ七、八十億の
赤字が出るのじゃないか。それをまためんどうを見なければならぬということになりますと、ますます
資金をよけい使う。だから、この際はすみやかにこの前の
赤字を処理する方針をきめ、今後出るであろうところの
赤字については、これは各
企業の
責任においてこれを処置するようにしてもらおう、
政府としてはもう
責任をとらないんだという形でこの問題の処理をしようということで、昨年の暮れに実はああいうような
措置を決定したわけでございます。
そういうことでありまして、
足鹿さんは
専門家でいられるから、私が申し上げるまでもなく、これくらいのことはもう十分御
承知のところではありますが、
政府といたしましては、当初
考えておったのとは違った結果が出てきておりますので、そこで
硫安工業に対して七十三億円の
実質赤字を埋めるという
意味で、百三億円の
開銀資金の
融資をした。その
あとの百六億円というものは、今後やはり
硫安をできるだけ安く
農家に供給をしなければならないという
意味合いにおいて、
合理化をまた促進させていく、こういう
考え方でこれをつけたわけでございます。
こういうわけでございますので、われわれとしては、確かにあなたの
お話しのように、今後どういうふうに
肥料対策を
考えるかということは、これは非常に重要な問題でございますが、しかし、いま
現実に二法が存在しておりまして、来年の七月末日まではあの
法律は生きておるわけでございますから、そこで私たちとしては、少なくとも来たるべき今度の
通常国会までには、各方面の
意見も十分聞いた上で、
肥料二法がなくなった後にどうしたらいいかという
対策を
考えなければならない、こういうことに相なると思うのでございます。そこで、そのときにおける
考え方はどうであるかということになりますと、これは
皆さんからいろいろ御
意見を聞かなければ、きのうも実はその御
質問があったわけでございますが、私がここで言明するわけにはいきませんけれ
ども、しかし、私のいまの
考えで申し上げますならば、何といっても安い
肥料を十分に
農家に供給するという
目的だけは、どういう形か知らぬが、
考えていかなければならないのではないか。どういうふうにしてやるかというととは、これはまた十分に
研究をしなければならぬのじゃないか、私はそういう
考えを持っておりますけれ
ども、この点は、まだ
政府部内において十分に話したわけでもないし、まだ
閣議で意思の統一をしたわけでもございませんが、この点はわれわれとしても
十分注意をしていかなければならないのではないかということは、私はいまの時点においても申し上げることができる。ただしかし、それはどういう
やり方でやるんだ、
肥料二法をそのまま延ばすのか、あるいは
肥料二法にかわる何かをつくるのか、どういう
やり方をするのだということになりますと、これはひとつ十分
研究をさしてもらった上で、
皆さん方にまた次の
機会に十分御検討を願うようにしていただきたい。いまの
段階においてこれをどうするのだということは、まだわれわれとしては態度はきめておりません。こう申し上げざるを得たい、かように
考えておるわけでございます。