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1963-02-13 第43回国会 衆議院 商工委員会繊維に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月十三日(水曜日)    午後一時十九分開議  出席小委員    小委員長 中村 幸八君       浦野 幸男君    小川 平二君       海部 俊樹君    笹本 一雄君       山手 滿男君  早稻田柳右エ門君       田中 武夫君    小林 ちづ君       伊藤卯四郎君    中村 重光君  出席政府委員         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         通商産業事務官         (繊維局長)  磯野 太郎君  小委員外出席者         外務事務官         (経済局米国カ         ナダ課長)   高杉 幹二君     ————————————— 二月十三日  小委員浦野幸男君同月十一日委員辞任につき、  その補欠として浦野幸男君が委員長の指名で小  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  繊維に関する件(繊維産業現況等)      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより商工委員会繊維に関する小委員会を開会いたします。  繊維に関する件について調査を進めます。  去る八日政府より説明を聴取いたしました繊維産業現況等について質疑の通告がありますので、これを許します。山手滿男君。
  3. 山手滿男

    山手委員 前回局長からいろいろお話を承りましたが、私、議論するのじゃなくて、二、三お伺いをしてみたいと思うのです。  天然繊維業界構造上に大へんな問題があることは、私たちもよくわかるのでありますが、業者が多過ぎるとか、設備が過剰であるとかいうことで過当競争を続けて参りまして、昭和二十七年には七五%程度あった天然繊維が、三十六年にはすでに五九%程度にまでウェートが小さくなったということであり、さらに四十年には、これが化学繊維半々くらいまでに構造上変わってくるということでありますが、この間の事情をもう少し詳しく堀り下げて御説明を承りたいと思います。と申しますのは、問題を申し上げますと、設備そのほかはこうでありますが、生産されます製品輸出や何かについては、どういうふうな割合になっているかということを中心にして御説明を願いたいと思います。
  4. 磯野太郎

    磯野政府委員 輸出でございますけれども輸出の点を、天然繊維の中で今お話のございました綿製品に限って申し上げますと、綿製品輸出につきましては、いまだに日本は世界一の輸出国でございます。それから一番最近の数字を申し上げますと、大体全体の日本の総輸出額の中の一一%程度を占めております。それからまた綿製品の総生産の中でどの程度輸出されておるかと申し上げますと、大体これも一番最近の数字で三七%が輸出されております。そういうふうな状況でございまして、輸出の点につきましては一これは今申し上げましたような全体の輸出の中での地位、つまり一一%というものは、これはよく御承知でありますけれでも、いろいろ機械その他の日本輸出伸びておりますから、戦前は大体二〇%程度を占めておったのが、相対的には、比重としては減ってきておるというふうなことでございます。絶対額につきましては、少しずつ伸びておるというふうな状況でございます。  それから輸出につきまして、たとえば綿製品に対しましていろいろと意見議論があるわけでございますが、あまり伸びないのではないかというふうな意見としては、御承知通り後進国でだんだん綿紡績が整備されて参りますということが一つ、それからアメリカカナダ等先進国におきましては、その国の綿紡績との競合の問題がありまして、御承知のような輸出規制をやっておりますから、これも将来そうひどくは伸びないのではないかというふうな議論意見がございまして、そういう立場からします意見としては、綿製品輸出というものは、今後あるいはあまり伸びることは期待できないというような意見でございます。また一方後進国の現状につきましても、そう早いテンポで綿紡績ができるわけでもないということが一つ、それから、今先進国との問題につきましても、御承知の国際綿製品長期取りきめ等によりますと、綿製品につきましての世界の貿易を拡大するのだ、しかも、それは漸増という方針で拡大するのだということになっておりまして、長期協定でも、大体五年後には、アメリカカナダにいたしましても、初年度に比べて一五%多く輸入するのだというようなことに相なっておりますから、そういうふうな議論からいけば、綿製品につきましても、将来まだまだ伸びるというふうな意見があるわけでございます。  それからもう一つ、相当期待していいのではないかというふうな意見一つといたしましては、御承知通り、だんだん後進国との関係あるいは先進国との関係につきましても、高級品を要求されるわけでございますので、数量的にはそうひどく伸びなくても、金額的には伸びていくのだというふうなことがございます。大体そういうような議論からいきますと、綿製品輸出についても、将来相当明るい期待が持てるというふうなことでございます。
  5. 山手滿男

    山手委員 ちょっと伺いますが、この間いただいた資料別表の三は、今後の見通しについてのパーセンテージが出されておりますが、これは何を基準に出されたのですか。
  6. 磯野太郎

    磯野政府委員 別表の三の算定の仕方につきましては、この資料はちょっとまずいわけでございますけれども、ここ出ております数字は、単位はトンでございます。
  7. 山手滿男

    山手委員 製品トンですか。
  8. 磯野太郎

    磯野政府委員 製品トンでございまして、たとえば天然繊維の中の綿についていえば、綿糸換算トン数で出している、こういうことでございます。そういうことでございまして、二十七年から三十六年までは大体実績でございます。それから四十年につきましては、需給見通しでこの数字を出している、こういうことでございます。
  9. 山手滿男

    山手委員 そういたしますと、四十年には、大体天然繊維合成繊維とがとんとんになるということがございますし、輸出は微増をいたすというお見通しでございますが、実際の製品需要というものは半々になるということでございまして、内需が非常に急激に少なくなるということでございますか。
  10. 磯野太郎

    磯野政府委員 これは、別表四でごらんいただきますように、繊維別平均年成長率というのがございますが、そこで輸出需要を分けておりますけれども、その需要は、これは国内需要でございます。この表で申し上げますと、一番上にございますけれども、たとえば綿糸につきまして、これは綿糸換算でございます。輸出は毎年二・七%伸びる、それから国内需要は二%伸びるというふうなことでございまして、絶対の需要数量はもちろん減るというわけでございませんで、毎年少しずつ伸びていく、こういうふうなことでございます。
  11. 山手滿男

    山手委員 天然繊維伸び方が少ないということでありましょうが、化学繊維伸びによって相当食われていくということの実数がここに出され、説明をされておるの、だと思うのですが、こういう実態から、例の今までいろいろな問題が起きておる。特に無登録紡機なんかが六十五万錘もあるというようなことで、その取り締まりには政府が手を焼かれて参っておるようでございますが、今のような需給見通しでございますと、国内製品需要は非常に心細いものがあるのであります。無登録紡機によって、しかも六十五万鈍もあって、これが景気がよろしいとどんどん製品をつくる。それから景気が悪くなると、いろいろ操業時間を長くしてでもむちゃな過当競争をするというようなことで問題が厄介になってきておるのだと思いますが、その無登録紡機や何かに対処して、今どういうふうな手を打っておられますか、その点を伺いたい。
  12. 磯野太郎

    磯野政府委員 無登録の点につきましては、参考資料の中の二十ページにその数字が出ておりますが、ここでごらんいただきますように、無登録の総数としては六十五万錘ございます。六十五万錘ございますけれども、これは制限外糸つまり法律上無登録精紡機でも紡ぐことができる糸を引いておるのもございますし、それから処理格納といいまして、格納を命じておるものもございますので、実際に法律上許されておる制限外糸を引くように指導はしているけれども、まだそこまでいっていないというふうなことで、制限糸を引いておるであろうとみなされておりますものが、お手元にございますように二十八万、七千錘というふうな数字でございます。この無登録制限糸の紡出の取り締まりにつきましては、御承知通り繊維工業設備臨時措置法におきまして、その第二十一条で使用の停止という措置をとり得ることになっております。ただいまそういうふうな措置をとっております。ここにございます処理格納十五万六千六百六十九錘というふうな数字は、これは今の行政指導もしくは法律の適用によって格納をさしておる、動かさないでおる無登録数字でございます。
  13. 山手滿男

    山手委員 業界の話を聞きますと、この無登録精紡機の問題がいつもいろいろな話題を投げて厄介な議論になっておるようでありますが、今局長お話によりますと、処置をしておるという話でございましたが、今までどういうふうに違反件数が現われたか、取り締まりの対象になってどういうふうな状態であったか、もっと詳しく御説明をいただきます。
  14. 磯野太郎

    磯野政府委員 無登録取り締まりにつきましては、三十五年の八月ごろからその取り締まりの要領をきめまして、取り締まりを強化いたしたわけでございます。大体今までのやり方といたしましては、無登録精紡機を持っております機業は、御承知通り主として中小企業に属するものが多いわけでございますが、そういうようなものにつきまして、大きいところから順次に格納行政指導、あるいは法律によって命じて参りました。そのやり方といたしましては、御承知通り、たとえば綿紡績関係で申し上げますと、ただいまの格納率操短率が大体三六%でございます。つまり登録設備につきましても三六%は生産過剰を防止するというふうなことから動かさない、格納をいたしておりますが、そういうふうなことと見合いまして、大体無登録のものを持って動かしておる機業につきまして、今の登録格納率よりも高い、大体五〇%、つまり半分はまず格納せいというふうなことでやって参りました。この十五万六千錘というのはそういうようなことで無登録で持っておる機業の約五〇%が格納されておる、こういうふうな状況でございます。
  15. 山手滿男

    山手委員 格納されておることはわかっておりますが、何か話を聞きますと、検査員が行きますと急に機械をとめるけれども、そうでない検査員が来ないと見ると、夜おそくまでいろいろな無理をして操業をしておるというようないろいろなうわさを聞いておるのでありますが、そういうふうな取り締まり状況はどうかということを伺っておるわけであります。
  16. 磯野太郎

    磯野政府委員 取り締まりの具体的な問題につきましては、今お話がございましたように、大体御承知かと思いますが、無登録機業というのは大体大阪の地区あたりに集団的にございますが、そういうようなものにつきまして、現地の通産局繊維担当官が出かけて参りまして取り締まりをやっておるわけでございます。この取り締まりにつきましては、通産局の者が参りましたときにすなおにその命令、指示に応ずるものもございますし、それから中にはこれはつまらない話でございますけれども猛犬を飼っておるとか、あるいは実力行使はいたしませんけれども実力行使をするような態勢を示す、そういうようないろいろ困難な状況がございますが、そういういろいろ困難を冒して今取り締まりをやっておるわけでございます。それから今の全国の各通産局の中に総合監視委員会というものが設置されておりまして、その監視員繊維関係の無登録のものが動かないように監視をしておる、ときどき回っておる、こういうふうな状況であります。
  17. 山手滿男

    山手委員 今局長からお話のありましたようなことをいろいろわれわれも聞くのでございますが、そういうふうに猛犬を飼って中に入れないようにするとか、いろいろ擬装をするとかいうようなことまでして、こそこそやったりする、しかしある程度何割かは摘発をしたような形になっておるのでありますが、その始末は今まで何件くらい、どういうふうに取り締まり実効を上げておるか、御説明を願いたいと思います。
  18. 磯野太郎

    磯野政府委員 今御指摘のございました取り締まり件数につきましては、ちょっと資料がございませんので、これは後刻お届けいたします。
  19. 山手滿男

    山手委員 結局私はこれは臨時措置法機械据付は認めたような格好になり、しかし据え付けておっても運転しちゃいかぬというような議論で来ておるものですから、そこに多小据付をしておるものからすると欲気も出ますし、無理をしているのじゃないかというような感じを持たしておると思うのであります。私はこの精紡機を据え付けさせておって、そしてこれを運転をしちゃいかぬ、格納せいと言って、かけ込みで据え付けをしたようなものに対して、無登録精紡機だからこれはけしからぬと単に言い切ろうとするところに、そういう取り締まりが厄介になるもとがないかというふうな感じがするのでありますが、その点について局長はどういうふうにお考えになりますか。
  20. 磯野太郎

    磯野政府委員 これは私の聞いております範囲で申し上げますと、この繊維工業設備臨時措置法を制定いたしましたときに、いろいろ法律問題憲法的な態度というようなことがいわれておったようでございますが、そういうような点から今お話のございますような、およそ機械を据え付けるについては、たとえば政府許可を受けなければいけないというふうな設置許可制をとることについては、今のような法律問題がございますのと、それからもう一つは、現実の問題といたしまして、ただいまのように無登録の問題が非常に大きな問題になってなかった、あるいはそういうふうな予見がなかったというふうな点からいたしまして、現在のような設置制限ではなくて使用制限というふうな格好になっておるというふうに聞いております。今の御指摘のございました点につきまして、つまり今のような使用制限ではなくて、設置制限というふうなことでもう一ぺん考え直すべきじゃないかというふうな議論も確かにございます。そういう点につきましては、これも御承知かと思いますけれども繊維工業設備審議会の小委員会におきましても、そういうふうな意見あるいはそういうふうな提案がある次第でございます。
  21. 山手滿男

    山手委員 私がさっき聞きました輸出については、多少は伸びるかもわからぬが、大したことはない、しかも内需についても必ずしも楽観をするわけにはいかない、こういう状態が続いていきますと、化学繊維伸びていきまして、天然繊維については非常に問題が厄介になってくる。機械が精密になって参りまして、ますます運転なんかが上がっていきますし、同じ設備でも、スイスでも非常に生産量がふえていくということでございまして、この設備の問題は非常に今後私は厄介な問題になっていくのじゃないか、こう考えます。  そこで聞きたいことは、日本は、おそまきながら今日こういう厄介な問題を日本の従来最もはなやかであった繊維工業において起こしておるのでありますが、英国ランカシャーにおいては、すでに早くから繊維藤業が非常にはなばなしかったのが衰退をして、ちょうど今日日本がたどろうとしておるような方向に行っておりまして、すでにそういう時代を経験をして参ったわけであります。英国はそういときにどういうふうに対策をいたしましたか。通産省の方でお聞かせをいただきたいと思います。
  22. 磯野太郎

    磯野政府委員 英国状況につきましては、多少数字は正確を欠くかもわかりませんが、私の承知しておる限りでは、大体五十年前と現在とを比較いたしますと、——でございますから大正元年ごろということだと思いますが、当時におきましては、イギリス綿紡績鈍数は六千万錘ございました。それからたしか六一年から、イギリスはその綿紡績精紛機が過剰であるということで、計画的な整理に入ったわけでございますが、六一年におきましては二千四百万錘に減っておるわけでございます。つまり五十年間に六千万鈍から二千四百万錘に減ったわけでございますが、その二千四百万錘につきまして、イギリスはまずそれを半分にしようとして千二百万錘にしたわけでございます。その千二百万錘にするにつきましては、その過剰と見られます残りの千二百万錘につきまして、五千万ドルの金をもちまして買い上げを行なっております。買い上げをやりまして、その五千万ドルのうち大体三分の二を政府が金を出し、残りの三分の一を業者負担金として出しておるというふうな状況でございます。なお、一応千二百万錘にしたわけでございますけれども現実需給関係からはなお過剰であるというふうなことになりまして、その千二百万錘につきましても、これは八百万鎌程度が適正であるというようなことで、現在第二段階の整理に入っておるというふうに聞いております。
  23. 山手滿男

    山手委員 英国は二千四百万錘から半分にして、さらに八百万錘にまで思い切った措置をとろうとしておるようでありますが、それについては、日本もいろいろよく調査し、参考にし、今後抜本的な対策を立てることにしていただきたいと思います。  そこで私がもう一つ聞きたいことは、化学繊維合成繊維が今後日本繊維業界製品の五〇%を出産することになるだろう、片棒を大きくかつぐことになろうといわれておるのでありますが、この化学繊維合成繊維輸出状況はどういう調子でありますか。
  24. 磯野太郎

    磯野政府委員 最近の現象といたしましては、たとえば東南アジア等の諸国におきましても、どっちかといいますとテトロンとかナイロンとか、そういうふうな合成繊維需要が非常に高まっておる状況でございますので、合成繊維輸出は、ここ三、四年間は毎年大体倍増をいたしております。三十六年の暦年の合成繊維輸出額は、金額にいたしまして大体八千万ドル程度でございますが、六十一年は四千万ドル程度、その前は二千万ドル程度、この三年くらいは大体倍増しておるというような状況でございます。
  25. 山手滿男

    山手委員 私は天然繊維化学繊維合成繊維等との村区分の問題、いろいろな問題がこれからさらに重要なことになってくると思うのでありますが、どうも長い目で見ますと、天然繊維がたどった道をまた化学繊維合成繊維がたどって、いろいろ過当競争的な様相を呈する場面が近い将来にあるのじゃないか、秩序よくうまく国家的に育成をしていかなければ、同じことを、歴史は繰り返すことになるのじゃないかというような気もいたしますが、そういうこと等について通産省当局のお考えを承りたい。
  26. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 繊維の問題につきましては、政府といたしましても真剣に考えなくてはならない大へん重大な場面に際会いたしておるというように考えておるわけでございますが、御承知のように、繊維工業設備臨時措置法につきまして、その根本的な改廃を目ざして、ただいま審議会あるいは小委員会で検討を続けております。ただいままで小委員会は十一回の多きに及んでおりますような状態でございまして、いずれ近く、五月ごろには結論も出ようかと思いますので、政府といたしましてもその機会に——ただいま局長から御調明いたしましたように、綿紡にとりましても、今九百万錘あるということは、将来の、昭和四十年租度の見通しをつけましても、二百万錘は過剰ではなかろうかという考えを持っておるわけでございまして、これにつきましては国から財政投融資等考えてやらなくてはならぬのじゃないかというような気持が、これは私の私見もまじっておりますけれども、いたしておるわけでございます。そういうようなことを考えあわせまして、根本的な繊維対策をとらなくてはならない、充実しなければならない、そういうようなことをしなければ、また第二の石炭というような事態になろうというような心配もあるわけでございまして、十分考えてみたいと思っております。
  27. 山手滿男

    山手委員 臨時措置法関係で取り締まるべきもの等について実効が上がってないということ等もあり、業界の中にも非常に不満もあるわけであります。法律があるわけでございますから、もう少し通産省の方ではきちっと、取り締まるべきものは取り締まり検査をすべきものは検査をやってもらいたいと思うのであります。  ここで話の観点を変えて対米輸出についてお伺いをいたしたいのであります。  先般来いろいろな談話やなんかが発表され、会談も行なっておられますが、日本綿製品の対米輸出について、業界を撹乱しておるとアメリカ側指摘をいたしております三十六品目というのは何と何でございますか、お伺いをいたしたい。
  28. 磯野太郎

    磯野政府委員 三十六品の中身は、綿布関係の第一次製品が十七品目、それから、いろいろこまかい第二次製品縫製加工品が十九品目でございます。十七品目の第一次製品の中の典型的なものを申し上げますと、たとえばギンガムでございますとか、別珍でございますとか、プリント・クロス、シャーチング、それからギンガムを除きました糸染め綿布でございますとか、そういうふうな綿布関係が十七品目であります。それから、十九品目の第二次製品にきましては、これは非常にこまかいものでございまして、たとえばまくらカバーでございますとか、ディッシュ・タオルでございますとか、手袋でございますとか、レーンコートでございますとか、メリヤスのシャツ、それからナイト・ウエア、パジャマというふうないろいろこまかいものがございます。
  29. 山手滿男

    山手委員 三十六品目はわかりましたが、向こうが言っておりますような、そういう市場を撹乱しておるような実績が、日本側調査をしてみてもあると思われるような品目があるのでありましょうか。あるとすれば、そういう業者といろいろ話し合いをしたり、自粛をするような処置をとられておりますか。その辺のいきさつを聞きたいと思います。
  30. 磯野太郎

    磯野政府委員 三十六品目について市場撹乱のおそれがあるから六十三年の輸出ワクについて協議をしたい、こう言って参ったわけでございますが、御承知通り長期協定をつくりますときに、市場撹乱とは一体どういうことであるかというようなことが議論され、一応の定義がされております。それによりと、まず第一に、数量が急増するというふうなこと、二番目に、輸入品と自国の製品との値段の関係につきまして、同一製品について輸入品の力が安いというプライスの問題、第三番目といたしまして、その輸入によって輸入国の同一産業に損失が起こって産業が困っておるというふうな三つの状況があるときに市場擾乱のおそれがある、こういうことになっておるようであります。今お話のございました三十六品目につきまして、そういうふうな意味合いから、日本のその商品の輸入が、一つ考え方としましては、たとえばアメリカの同一製品生産量に対してどれくらいの比重を持っているかということが一つ考え方基準になろうかと思います。そういう点から申しますと、一応私どもの調べといたしましては、そのうちの四品目が一〇%以上になっておる。従いまして、三十二品目につきまして五%以下というふうに比重はきわめて低い、こういうことになっております。そういうふうな意味合いから、私どもといたしましては、同一製品生産量に対して三%にもならないものとか、あるいは五%以下というようなものについて市場撹乱があったとかそのおそれがあるということについては、問題があるというように考えております。
  31. 山手滿男

    山手委員 アメリカ生産額の一〇%以上というのはわずか四品目、他は五%前後だというようなお話でございますが、そういう量の問題と同時に、最近急増して向こうを非常に刺激しているという品目は何でありますか。
  32. 磯野太郎

    磯野政府委員 これは、私ども考え方といたしましては、つまりアメリカが言って参りましたのは、三十六品目につきまして、六二年のアメリカ輸入が六一年に対して二〇%ぐらいもふえておるというふうなことで言ってきております。言ってきておりますが、私どもが調べました範囲では、そういうふうに二〇%も急増したというふうなものはございませんで、大体これは、いろいろ期間のとり方にもよりますけれども、一〇%程度であるというふうに考えております。それからもう一つは、御承知通り、六二年と六一年とを比較いたしますと、六一年の日本輸出は全体として非常に伸びておりませんし、従って繊維輸出もあまり高い水準ではなかったわけですが、六二年は金融引き締めあるいは国内需要関係もありまして、多少伸びたというふうなことがございます。従って、六一年対六二年では多少比率の高いものもございますけれども、いずれにいたしましても、日本綿製品輸出につきましては、一九五六年から六一年までは、事実上はアメリカとの話し合いによりますところの自主的な規制をやっておりまして、そのワクを越えておりませんし、それから六二年につきましても、御承知通り日本アメリカの二国間の協定がございますが、その協定のワクの中でやっておるわけでございます。いずれにいたしましても、そういう点からいっても、市場撹乱が三十六品目についてあるという言い方はおかしいと思います。
  33. 山手滿男

    山手委員 アメリカ側が言おうとする意図を私は十分知っておるわけではございませんが、今のお話伺いましてもわかることは、数量的にはあまり伸びておらない、しかも市場撹乱がある、こういうふうに向こうが言っておりますことは何を意味しておるかということでございますが、それは数量的に急増したというようなことではなくて、価格に問題がある。向こう業者の価格と比較をした場合、日本製品が非常に安い、話にならぬほど安い価格で輸出をしたりいたしております。そういう数量的にどんどん話し合いをしておる線以上に出たというようなことではなくて、安い価格で、日本国内に問題があって、無理な過当競争をしておる、一種のダンピングをやっておるのだというような感じの非難があるのではないかと思うのですが、その点はどうなんですか。これは外務省の方から御意見を伺ってもいいのですが……。
  34. 高杉幹二

    ○高杉説明員 アメリカの言い分は確かに三十六品目につきまして、数量のみならず、価格についても相当の値差があるということを突いてきておりますけれども、わが方の考え方は、一部については値差のあるものはもちろんあるけれども日本側の方が高いものすらあるのであって、アメカ側の言い分は、価格についてアメリカ側が言うほどの大きな値差はないというところであります。そしてある程度日本側が高いというのは——貿易をやっている以上、値差があるから貿易ができるのであって、日本側が安いというのは、ある程度貿易というものの必然に伴う性質のものである、そういう程度の値差は、向こうが言う市場撹乱の中に規定されている実質的な値差というふうにはとっていない、こういうふうにわれわれは考えております。
  35. 山手滿男

    山手委員 私は繊維についてどの程度向こうと値差があるかについては的確に承知しておりませんが、私、昨年の暮れにアメリカへ短期間でございましたが行きました。たまたまアメリカの経済人と会って話が出たのでありますが、日本が金融調整や何かをやって昨年国内需要を相当抑えたような格好になった関係があって、日本の鉄製品、薄板なんかが日本からシアトルへ輸出される。ところが価格が非常に安いものですから、シアトルの方でそれを受けて、さらに日本から買った製品をローロッパへ逆輸出する。鉄製品についてそういう現象が現われておりますということで、実はアメリカ関係業者が悲鳴を上げたような議論をいたしておりました。私は、これは大へんなことだということを直感いたしたのでありますが、繊維についても数量は一〇%前後でおおむね頭打ちになっておる。しかし問題はそこよりか、向こう業者に言わすと、非常に安売りをしておる、日本業界人が安売り競争を国内過当競争のために売らんかなの競争をしているということが、向こう業者にぴんと来ているのじゃないかという感じがするのでありますが、その点、もちろん数量もありましょう、数量も少ないに越したことはないのでございますが。そういう点はどうなんですか。
  36. 磯野太郎

    磯野政府委員 価格の点でございますが、たとえば向こうの方から言って参りました書面によりますと、ギンガムについて、申し上げますと、アメリカ国内生産のものは、たとえば五十ないし五十五セントで売られておる。これはCIFだと思うのですが、五十ないし五十五セントで売られておるのに、同じ組織の輸入の織物は四十二ないし四十七セントで売られておるというふうに書いてございます。大体これで申し上げますと、二〇%ばかり安いというふうなことであります。いろいろございますが、大体向こうが言っておりますのは、一〇%ないし二〇%安いというふうなことを言ってきております。ただ、この安いという点でございますが、これを申し上げますといろいろあろうかと思います。たとえば、今御指摘通り、毛織物なんかにつきましても、六二年にいろいろそういうことがあった、こういうことが言われております。これはいろいろな関係でございますけれども、たとえば毛糸は従来大体千四百円ばかりしておったやつが、今回金融引き締め等があって千百円くらいで低迷したというふうなことがございますし、そうすると原糸の方が安くなるわけですから、その安い原糸で織った毛織物はやはり安いというふうなことでございます。そのほか賃金の関係等もあると思いますが、そういういろいろなことがございまして、日本アメリカの全体の経済的な要因からいけば、必ずしも日本の品が安いということは、ダンピングしておるということじゃないというふうに考えておる次第であります。
  37. 山手滿男

    山手委員 先日局長から伺った市況なんかによりますと、一月を底値にして上昇をしておる。その説明によりますと、おおむね人絹にいたしましても、七月ぐらいが最低値百六十二円ぐらいであったのが、二月には、今月は二百十円、組織物にしても、十月から四十二円くらいのものが四十八円くらいにまで高騰しておる。非常に好況であります。こういうふうな市況の報告でございましたが、昨年あたり低迷をしておりました当時の価格で貿易をやり、それが向こう業者にどういうふうに響いておったか、どういうふうな価格で売られておったか、一つそういう関係について、これは非常に向こうには神経質になっておる者もおるようでございますが、そういう関係等から御説明をいただきたい。
  38. 磯野太郎

    磯野政府委員 向こうでどういうふうな価格で売られておるかということでございますが、実は私どもといたしましては、綿製品については、特に、たとえば去年そういうふうな問題が非常にあったというふうにはあまり聞いていないわけでございます。去年多少問題になりましたのは、実は毛織物につきましてそういうふうな話がございまして、今申し上げた通り原糸が安くなったというふうな関係もありまして、日本アメリカに出しております高級毛織物が、同一のアメリカ国内生産品と比べますと、ある程度安く売られている。そうしてそのためにアメリカの販売業者から多少いろいろ文句がきたというようなことを聞いております。
  39. 山手滿男

    山手委員 数量の問題もさることでありますが、要はいい品質のものを、価格をむちゃくちゃに引き下げないで安定的に輸出をするということであれば、アメリカでもそれだけやかましい議論にならないのではなかろうかと思うのでありますが、何せ日本国内では、先ほど来の綿紡関係だけでも、お話の出ましたように非常な過剰設備でありますし、毛についても人絹についてもいろいろ問題があるわけでありますから、業者が話し合いをして、むちゃくちゃな価格の引き下げ競争をしないような措置を相互にし合うということができないような状態になっておることが、非常に大きな原因になっておるのじゃないかと思います。アメリカ側を責める前に、私はまず日本国内体制の整備、アメリカ側をまず刺激をしないようなふうに体制を整えるということを一応反省をしてみることも必要じゃないかと思うのであります。先般来通産省において国際競争力の強化に関する法案等を用意しておられるということでありますけれども、そういうことの内容はまだ私は十分つまびらかに聞いておりませんが、中小企業や何かの関係の商品について、特にそういう安売り競争、安定的な輸出ということがおろそかにされておるということを考えるのでありますが、繊維の面についてどういうふうにお考えでございますか、お聞かせをいただきたい。
  40. 磯野太郎

    磯野政府委員 今お話がございましたように、確かに今非常な議論になっております輸出秩序を確立するというようなことか言われておるわけでございますが、その内容といたしましては、御指摘通り数量の問題もございますけれども数量の問題よりもむしろ現状からいきますと価格の点が確かに根本的な問題になっておるようでございます。ただいま申し上げました毛の関係についてもそういうようことがあったということでございますが、特に繊維につきましては御承知通り国内的にいろいろ相場が立っておりますので、その相場の動きを見ながらいろいろ向こうのバイヤーも考えるというようなことがございまして、御承知通り繊維については特に価格がフラクチュエーションしない、しかも国内価格もフラクチュエーションしないということが一そう輸出を伸ばす上に大切であるというように考えております。
  41. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 ただいま局長からお答えいたしたのでございますが、先刻来山手委員からいろいろ御指摘になっておりまする繊維の問題に適合するかどうかは存じませんけれども山手委員もちょっとおっしゃいましたように、一昨年来の不況でメーカーも販売業者も非常に困っていた。そういうような業者が現金をかせぐには大いに外国に売らなくちゃならぬというようなことで無理をした——ということは、結局安く売ったということになるわけでございますが、そういうようなことも一般的なこととしてはあったのじゃないかと思われるのであります。しかしそういうことはよろしくない。結局輸出秩序の確立ということを考えますとともに、ただいま御指摘になりましたように、繊維産業につきましてはやはり設備の問題に直接つながってくる課題であろうかと思いますが、そういうことも考え合わせまして、さらにただいまお話のありましたように、すでに八八%の自由化をし、さらにIMFの八条国に移行しようとしております日本でございますし、アメリカの通商拡大法に対抗——と言うと言葉は妥当でないと思いますけれども、考慮のうちに入れていかなくちゃならない問題でもございますし、ヨーロッパのEECに対処していかなくらやならぬというようなこと、日本産業体制に国際的な競争力をつけるというようなこと、ただいまお話のありましたような産業体制の整備確立、国際競争力の強化というようなことでただいま検討を続けておりますわけでございます。そうしたこととも関連を持たせまして、繊維産業設備の面につきましては、先刻私がお答え申し上げましたような方途で政府も十分考えなくちゃならない非常に重大な段階であるということを痛切に感じておりますわけでございます。
  42. 山手滿男

    山手委員 私は価格についてそうした何か強力な措置がとれるような体制をどうしてもつくらなければ、今後自由化した暁には、この国際輸出競争に対処できないんじゃないか、こういうふうな気がいたします。私は価格の点についてそういうふうなことを考えるのでありますが、また角度を変えますと、日本繊維産業自体の生産の合理化をやらせなければいかぬと私は思うのです。生産の合理化をやらさして、多少の不況や何かがあっても十分切り抜けていける内部充実や何かもさせなければならないと思うのでありますが、平明に言いますと、われわれが個人でつき合いをいたします場合でも、あなたのところは自分のつくっている品物を買うてくれという場合に、向こう側から、それじゃ買いましょう、そのかわり私の方の品物も買うてくれといって交換条件を持ち出されるということは、きわめて自然でございますし、今日の状態では普通の商売のやり方じゃないかと私は思うのです。そこで、日本繊維に関しては、原綿や何かをアメリカから大量に買い付けておる非常にいいお得意さんなんであります。そのお得意さんがつくって輸出をする品物について、品物を買ってもらうアメリカ側からこんな苦情が出るということは、普通の商取引では全く想像もできないようなことなんでありますが、それがなお出る。それは御承知のように、農産物価格に対するアメリカ政府の特別な措置があるからでありますが、今のようにアメリカの原料を大量に買って、それを加工して繊維製品として向こうに出すような場合においても、お得意さんの力について非常な苦情が出るわけであります。普通の個人間の商売では想像もできないような商売が行なわれるわけでありますが、これはアメリカの通商拡大法が成立をいたしたり、欧州の共同体ができたり、いろんなことを契機にして、さらにこういうやっかいな議論になってくると思うのであります。私は、そこで、日本側としては政府も少し肝いりをして、向こう側から買います原綿などの輸送や何かについても、業界が船を共同で雇って輸送する。あるいは買付を共同でする。共同購入する。あるいは第三国の船や何かを使う場合でありますと、その運賃や何かを値切る交渉をする。そういうふうな輸送一つとってみても、業界自体がいろいろな話し合いをして、共同して合理化をし、国際競争に立ち向かって勝っていけるような競争力を持ち得るような態勢をつくり得る道は、政府指導の仕方によっては幾らもあるのじゃないかと思いますが、そういうことや何かについてどういうようにお考えでありますか。
  43. 磯野太郎

    磯野政府委員 今御指摘がございました通り、たとえば輸送の問題にしましても、鉄や石炭につきましては専用船というふうなこともございます。それから共同で輸入をするというようなことも、鉱石等についてはやっておるわけでございます。日本綿紡績業界につきましても、過去においてはそれに似た形があったように聞いておりますが、今御指摘がございました通り、全体として今のが綿製品輸出水準を維持し、今後それを伸ばしていく上につきましては、綿紡績業について、生産の過程についての合理化をはかるだけではなくて、全体として、そういうふうな輸送の問題でございますとか、原料の仕入れでございますとか、いろいろ問題になっておりますが、たとえばオーストラリアからの原毛の買付につきましては、日本の商社が過当競争をやっておるというふうな点もあるわけでございまして、そういういろいろな点について、今後大いに広い立場から合理化をはからなければ、なかなか国際競争力を維持していくことはむずかしいと考えております。そういう点、今後、今繊維工業の再編成と申しますか、合理化についていろいろ考えておるわけでございますので、その一環として研究をしていきたいと考えております。
  44. 山手滿男

    山手委員 通産省の方でお考えをいただくということで大へんけっこうでございますが、今のような状態の法体制では、そうした生産の合理化に向かって共同行為をするというふうなことはなかなか問題があるのじゃないか、厄介じゃないかという感じが、私はいたすのであります。これは自由化されて、非常にきびしい対外環境の中で日本が勝ち抜いていかなければならぬのでありますから、一般的に輸出入取引法や何かの問題としてお扱いになるようなことではなしに、やはり何か特別の措置をしなければ、法的にも措置をしなければ、今のような状態では、なかなかそういう共同行為や何かには入っていけないのじゃないか、公取や何かでも問題が起きるのじゃないかという感じもいたします。通産省は、今局長お話のように措置をしたいというようなお話でございますと、どういうことになりますか、お聞かせいただきたい。
  45. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 ただいま御指摘のように、輸出入取引法とも関係がございますし、また、独禁法とも関係があろうかと思うのでございます。そこで先刻申しましたように、何とかこの際根本的な対策考えなくちゃならないというようには考えておるわけでございますけれども、実は設備臨時措置法の結論待ちというような考えもあるわけでございまして、そうした結論をいただきますとともに、何とか一つ対策考えてみたいというように、ただいま考えておるわけでございます。
  46. 山手滿男

    山手委員 それから私、これも事情をよくわかりませんので伺いたいのでありますが、アメリカ側日本品について苦情が出ておる、文句がいろいろ出されておりますのは、輸出業者から出されておるということではなくて、アメリカ生産者、メーカーの方からの苦情が燃え上がってああいう形になっておる、こういうことじゃないかと思うのですが、その点はどうなんです。
  47. 高杉幹二

    ○高杉説明員 繊維品の場合のみならずでございますが、生産者からはもちろん出ております。それ以外に労働組合から、雇用の面から、そういう苦情が出るという場合もございます。
  48. 山手滿男

    山手委員 今お話の労働組合あるいは雇用の問題等にからんで出ておるというのは、日本が低賃金で云々というようなことにもからんでおるかとも思いますが、結局貿易業者から日本品に対する苦情が出ておるという話は、私は、昨年も向こうへ行ってきたのですが、あまり聞いていないのです。現実には、向こうのメーカーがこういう火の手を上げておるように思うのであります。そこで私は問題があると思うのであります。日本輸出入取引法を私ども審議をいたしましたときに大へん議論があったのでありますが、あれは一時的には輸出業者間の協定をさすという建前になっておって、メーカー間の話し合いによって価格や何かについても、あるいは数量や何かについても話し合いを求めていくということは、メーカー間の話し合いというものは禁じられておるわけではないのですが、生産者間の話し合いができたあとということで、原則としてそうではないような状態になっておるわけでありますが、ここに私は大きな問題があろうと思います。日本においても、今日繊維でこういうふうに不況になって云々ということで、非常にやかましい問題になり、悲鳴を上げておるのは、輸出業者というよりか、むしろ繊維業者、メーカーなんですね。それで、いろいろ大きな引き合いか何かがきたときは、もちろんメーカーが前面に出ていきますが、そうでない場合は、普通のノーマルの状態では、輸出業者が前面に出ていっていろいろ商談をする。そしてそれが売られたあと、最後に向こう業界にどういう影響を与えるかということで、こういう問題が起きておるのでありますが、それがはね返ってくるのは、輸出業者というよりか、メーカーにその至大な影響を与える、非常な関心を持たすことになるわけであります。死活の問題が出てくるわけであります。そこで私は、今の輸出入取引法のようなああした輸出業者本位の、貿易業者本位の法体制というものについては、現在の繊維関係一つとってみましても、非常に問題があると思うのでありますが、その点についてどうお考えになりますか。
  49. 磯野太郎

    磯野政府委員 輸出秩序の維持、確立という点につきましては、いろいろ問題があり、いろいろな意見がございますので、通産省といたしましては、御承知の最高輸出会議というのがございます。その最高輸出会議の各産業別の部会がございますが、その各産業別の部会におきまして、輸出秩序を確立するためにはどういうことが必要であろうというようなことにつきまして、大体四月下旬ごろまでにそういう議論をしてもらいまして、通産省にその意見を出してもらうというふうなスケジュールになっております。  それから輸出入取引法につきましては、今お話のございました通り、まず第一に、貿易業者につきまして、必要な場合に共同行為を認めておりまして、あるいは協定を認めておりまして、生産業者の関係は、大体輸出貨物につきまして、もちろん全体として輸出貨物だけでございますけれども、生産業者の関係は、それを貿易業者の協定あるいは共同行為を補完するというような仕組みになっております。そういうような点につきましては、たとえば繊維につきましても、いろいろなむずかしい問題が従来からあったわけでございまして、今山手先生のおっしゃいましたような意見が、実は措置法の改正にからんで稻葉小委員会に出ております。そういうような点について小委員会で今そういうような点も議論されておる、こういうような状況でございます。
  50. 山手滿男

    山手委員 議論をされておることは私も知っておるのでありますが、実際問題として、貿易業者は、むしろ今の繊維状況なんかについて、自分の腹はそう痛むか痛まぬか知りませんけれども、関心は薄いのではないかと思われる点もあるといわれておる貿易業者だけに、この問題を話し合いをさせるというふうにしておくというところに非常に問題がある。アメリカ側も非常な強い指摘をいたしますのは、メーカーでありますから、受けて立つ日本のメーカーについてもそれは自粛すべきで、安売り競争をして、過当競争をするとか何とかというふうなことをやるにいたしましても、もとはやはりメーカーありますから、そのメーカーについて一つのくぎをさすような体制を整えなければいかぬのじゃないかというふうな気がいたしますが、その点について、実情をよくお取り調べをいただきたいと思います。要は、私は、アメリカ側のそうしたいろいろな非難についも、こっち側もよく反省をし、また万全の体制を整えて出ていくということが必要であって、ただ目先のことでああだこうだといって議論しているのでは、自由化し、アメリカでも通商拡大法が成立をし、欧洲に共同市場ができた今日では、なかなか先行きは明るいものにはならないのではないか、こういう気がいたしますので、一つその点についてしっかり検討してもらいたいと思います。  そこでもう一つ伺いたいことは、アメリカ以外で、こういうふうにこの問題を起こしております国がありますかどうか。たとえていえば、豪州の羊毛の買付の過当競争だとか何とかいうふうな問題について、どういうふうに見ておられますか。通産省の方から伺いたいと思います。
  51. 磯野太郎

    磯野政府委員 羊毛の買付につきまして、もう少し商社とそれから紡績業者間で協調体制ができれば、ややもすれば起こるような羊毛の買い付け競争が、それによる過当競争は阻止ざれるというふうな意見がございます。それからアメリカのようなたとえば今度の三十六品目のような綿製品のインボークがありましたけれども、たとえば繊維について申し上げますと、カナダなどにおきましても、やや繊維製品日本輸入がラッシュするというような声があるわけであります。
  52. 山手滿男

    山手委員 それでは、私は、きょうはこの程度にいたします。
  53. 中村幸八

    中村委員長 海部俊樹君。
  54. 海部俊樹

    ○海部小委員 山手先生の御質問に関連しまして、二点ほどお尋ねをしたいのでありますが、最近、繊維産業というものは、石炭産業に次いで斜陽産業であるというような、はなはだしいことまで言われるのでありますが、私どもは、そういった言葉にはもちろん反発を感じておるのでありますけれども、とにかく絶対需要量は、繊維の場合、私は減らないと思います。内在する病的な欠陥を除いていけば、繊維産業はりっぱに成り立ち得るものであると信じておりますが、そういったものは、当面繊維業界全体に関連する問題で、山手先生の御質問に該当しない点についてお尋ねしたいのでありますが、無登録の紡機の問題につきましては、通産省からいただきました最近の資料及び山手先生の御質問で明確になりましたけれども、もう一つ問題になっておりますのに、織機がございます。中小企業団体法の規制によって、いわゆる無登録織機というものが相当数現存すると思いますが、通産省の方で現在おわかりになっている資料でけっこうでありますから、無登録織機の現状をお聞かせ願いたいと思います。
  55. 磯野太郎

    磯野政府委員 今御指摘のありました通り、織機の関係についても、無登録のものがございます。ただいま手元に数字がございませんので、後刻申し上げます。
  56. 海部俊樹

    ○海部小委員 実はこの織機の問題につきまして、社会問題といいますと大げさ過ぎるかもしれませんけれども、そういったような動きが最近起こっておるのであります。といいますのは、そもそも織機の無登録のものを今まで設置した人々というものは、何か非常に団体法の規制というものを甘く考えておるような気がするのであります。一時は、この無登録織機が、登録をやみで買いますやみ値段というものがありまして、それが大体十五万円しましたのが、最近では六・七万円に低下しておるという事実がございます。それから昨年毛織物工業組合が、四千台というワクを設けまして、合繊織機から毛織織機への登録がえを呼びかけたのでありますが、これに応じたのが、わずかに二千台であります。われわれの聞いておりますところでは、無登録織機はおそらく二万台近くあるのではないか、こうもいわれておるのでありますけれども、それがこういった登録がえにも応じない、あるいはやみの値段もどんどん下がっていくということは、何を物語るかといいますと、昭和四十年になればうやむやの間にこの法律はなくなってしまうのだから、何もまじめに登録をする必要はないというようなおかしなムードが流れておるわけであります。そこで、正直者がばかを見ないようにしたいという点から申しますと、どうしても無登録のものの取り締まりを強化していただかなければならないわけでありますが、現実に私どもが歩いて調べてみますと、無登録織機を持っておりますのは、実は一台、二台というほんとうの家内工業的なものが多くありまして、その原因などを調査しますと、土地を売ったお金で手っ取り早く織機を買って下請を始めた、こういうのがほとんどであります。しかも悪いことに、最近、東海道新幹線とか名神高速道路というものが、機業地帯のまん中を分断しまして、農地を奪われる農家がたくさんあります。それらの人々が手放した農地を何にかえるかと申しますと、そのほとんどの人が織機を買うために申し込みをしております。そうしますと、無登録の織機がどんどん野放しで伸びていくというような状態が現在あるわけでありますが、これに対して何か手を打とうというお考えがありますかどうか。
  57. 磯野太郎

    磯野政府委員 今の機屋の段階につきましては、これは中小企業でございますので、その織機そのものにつきましても、たとえば精紡機につきましては今のような使用制限になっておりますが、機屋の段階の織機につきましては、設置制限となっております。でございますから、規制につきましては、より強いような規制に法律的な仕組みとしては相なっております。ただ、今御指摘のございましたように、現実には相当無登録のものがございまして、これが動いておるそうでございます。今おっしゃいましたようないろいろのことがあろうかと思いますけれども、この機を織ると申しますか、織布を織るというふうな企業、あるいはそういうふうな仕事につきましては、これは割合ごくわずかの資本でその織機が買えるというふうなことがございまして、そこで多少もうかるというふうな状況になりますと、そういうようなものが出て参るわけでございます。これは今御指摘のございました通り、全体として調整の問題もございますし、それから正直者がばかを見るというふうなことがありまして、それを強く戒めてやっておりますから、今後厳重に取り締まりをやっていきたいと考えます。
  58. 海部俊樹

    ○海部小委員 昨年の四月ごろだと思いますが、通産省繊維局の方が全国の毛織工業組合の理事長を集められまして、無登録織機をなくすように厳重な通告がありますと同時に、監視官の方が現地に声もむきまして、実際に一軒々々たずねて回って無登録の数を調査しておられるはずあります。それから、四台以下のところは一応全部見のがしまして、四台以上の無登録の織機を持っておった人を全部呼び出し状を出して通産局へ来ていただいて、そして自粛といいますか、あるいは格納するようにという強い勧告を書面でなされておるはずでありますけれども、そのとき、一体どれだけの台数が発見されて、どれだけの台数にそういう勧告をされて、忠実に守ったのがどれだけあったのかということがもしわかりましたら、あとでけっこうでありますから、お知らせをいただきたいと思います。  それからもう一つ一番問題になりますのは、そういうときにきぜんたる態度で言っていただきませんと、やはりこの法律はあってなきがごとくであるし、昭和四十年になれば今のままでいいのだというようなことを、無登録織機を持っておる人々がムードのようなことで口から口へ言い伝えておりますので、やはりそういったことがありませんように、厳重に御注意をいただきたいと思うのであります。  それからもう一点、角度を変えて御質問いたしますけれども、私どもは、繊維取引所のあり方というものにつきまして、これが相当病的な現象になっておるのではなかろうかということを日ごろから考えておるわけであります。特にこれも全然町放しになっておるわけではなくて、たとえば毛の相場の問題にいたしましても、下がってきますと、毛振会の底入れが入ったり、上がって参りますと、二千円のストップ令が出たり、いろいろ制限があるといえばいえますけれども、納会期日寸前になって、一日に三百円も四百円も上下の変動がはなはだしくなりますと、中小機屋、特に加工度の高いことを要求される輸出製品を専門に扱っておるまじめな機屋が、この糸の相場のために非常にしわ寄せを受けて苦労しておるというのが、現実の声でございます。そういったときに、去年のことでありますけれども通産省繊維局の方で、何か四八双糸の現状からいうと、そういったものを相場に置いておるのはどうも病的であるから、いっそ思い切って毛糸の相場は羊毛なりトップの段階に変えてみたらどうか。そうすれば、オーストラリアやアメリカイギリスの毛糸の相場の制度とも一致してくるから、値段の上がり下がりがはなはだしいことがなくなって、それだけ業界は安定し、糸によって輸出業者が迷惑をこうむるということがなくなるというような考え方通産省の中にできて、そうして、繊維局長さんを中心にして、非公式なものだそうだと聞きますが、研究会がつくられておるということも承っておるのでありますけれども、もしそのような研究会が現実につくられて検討されておるといたしますれば、トップについてどのようなお考えを持っておられますか、お聞かせを願いたいと思います。
  59. 磯野太郎

    磯野政府委員 上場品目として、毛糸ではなくてトップの方がいいではないかというような考え方がございまして、確かに去年その点につきましても、羊毛紡績会からの一応の答申が通産省の方に出ておりますが、その答申によりますと、毛糸の上場を廃止してトップを上場すべきであるというような結論になっております。そういうことでございますが、それも御承知かと思いますけれども、最近イギリスにおきましては、トップは将来も上場していくわけでございますけれども、それと同時に、原毛を上場品目にするというふうなことがございまして、そういうような関係から、今、日本におきましても、トップを上場すべきなのか、あるいはトップでなくて、原毛を上場品目にするのか、あるいはトップと原毛を両方やるべきか、あるいは現在の通り毛糸がいいのかというような点について、いろいろ意見議論がございます。従いまして、そういう点につきまして、どうすればいいのかということについて、今通産省で、これは内部的なものでございますけれども、研究会というようなものをつくって研究をいたしております。
  60. 海部俊樹

    ○海部小委員 この問題は、もちろん、短期間に結論が出る問題でもありませんでしょうし、時間をかけていろいろ議論をしていきませんと、悔を千載に残すことになってもいけませんので——ただ、通産省の中で御検討中だということであります。そもそもこの繊維取引所の設置されましたころには、四八双糸の総需要量が全体の三〇%にも達しておったということを聞いておりますが、最近ではそれが非常に変わって参りまして、全需要壷の中に占める位置は、わずかに六%にまで減ってきたといわれております。ですから、実情に合わないというのも、こういうところからも出て参りますけれども、これはそもそも繊維業者の健全な運営といいますか、業界の安全弁のためにつくられたようなものであるにかかわらず、最近では繊維業者以外の外部の人々の、極端にいえば投機の対象になっておるような感さえするわけでありますから、御研究下さるときには、こういった面を十分御判断下さいまして、繊維業者、特に中小機屋の将来の安定のためということを十分に頭の中に入れて御研究し、結論を出していただきますように要望いたしまして、きょうは私はこれで終わります。
  61. 中村幸八

    中村委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十一分散会