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1963-06-05 第43回国会 衆議院 商工委員会 第33号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十八年六月五日(水曜日) 午前四時二十三分
開議
出席委員
委員長
逢澤 寛君
理事
小川 平二君
理事
岡本 茂君
理事
白浜 仁吉君
理事
中村
幸八君
理事
南 好雄君
理事
板川 正吾君
理事
田中
武夫
君
浦野
幸男
君 大高 康君 海部 俊樹君 金子 一平君 神田 博君
始関
伊平君 正
示啓次郎
君
田中
榮一
君
田中
龍夫君 中川
俊思君
藤井 勝志君 山手
滿男
君 早
稻田柳右エ門
君 岡田 利春君 小林 ちづ君 多
賀谷真稔
君
佐々木良作
君
出席国務大臣
通商産業大臣
福田
一君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長
渡邊喜久造
君
大蔵事務官
(
主税局長
) 泉
美之松
君
大蔵事務官
(
銀行局長
) 高橋 俊英君
中小企業庁長官
樋詰
誠明君
通商産業事務官
(
中小企業
庁振
興部長
) 加藤 悌次君
通商産業事務官
(
中小企業庁指
導部長
) 影山
衛司
君
労働事務官
(
職業訓練局長
)村上 茂利君
委員外
の
出席者
議 員
田中
武夫
君 専 門 員
渡邊
一俊君
—————————————
六月四日
委員浦野幸男
君及び
中村重光
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
西村直巳
君及び
小松幹
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員西村直巳
君
辞任
につき、その
補欠
として浦
野幸男
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
中小企業基本法案
(
内閣提出
第六五号)
中小企業基本法案
(
永井勝次郎
君外三十名
提出
、
衆法
第一〇号)
中小企業組織法案
(
永井勝次郎
君外三十名
提出
、
衆法
第一一号)
中小企業基本法案
(
向井長年
君
提出
、
参法
第四 号)(予)
中小企業指導法案
(
内閣提出
第七六号)
中小企業信用保険法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第一一九号)
中小企業等協同組合法等
の一部を改正する
法律
案(
内閣提出
第一二三号)
下請代金支払遅延等防止法
の一部を改正する法
律案
(
内閣提出
第一六七号) ————◇—————
逢澤寛
1
○逢澤
委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
の
中小企業基本法案
、
永井勝次郎
君外三十名
提出
の
中小企業基本法案
及び
中小企業組織法案
、
向井長年
君
提出
の
中小企業基本法案
(
予備審査
)、並びに
内閣提出
の
中小企業指導法案
、
中小企業信用保険法
の一部を改正する
法律案
、
中小企業等協同組合法等
の一部を改正する
法律案
、及び
下請代金支払遅延等防止法
の一部を改正する
法律案
、以上八案を議題とし、
審査
を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。
田中榮一
君。
田中榮一
2
○
田中
(榮)
委員
私は、
政府提案
にかかわりまする
中小企業基本法案
、
社会党
から
提案
にかかっておりまする
中小企業基本法案
、並びに
政府提案
の関連する諸
法案
の
内容
につきまして、逐次
質問
をいたしたいと存じます。時間がたいへん迫っておるようでありますので、勢い私の
質問
も多少急ぎますので、あるいは
答弁
のほうも、そのお含みでなるべく簡単明瞭にひとつお願いを申し上げたいと思います。 今日、
わが国
の
中小企業
というものは、非常に苦境におちいっております。しかしながら、今日、
わが国
の
中小企業
がまだ不完全ながらも
存立
をしておるということは、学者の説によりますると、
わが国
の
中小企業
の
不完全競争性
がその
中小企業自体
の中に残っておるというようなことで、他の諸外国に比しまして、この
ため
に
中小企業
の
存立
がまだ著しく傷つけられてない、いわば温室の中にある
中小企業
である、そういうようなことで、今日
日本
の
中小企業
がかろうじて
存立
をいたしておるような
状況
であります。低
賃金
の
労働力
の供給が容易であるということと、国内の市場が非常に分断せられて
画一性
を失っておるということ、こうしたことが、すなわち今日
日本
の
不完全競争性
をあらわして、
中小企業
というものがまあまあ
存立
しておるということであります。しかしながら、最近におきます
わが国
の
高度産業経済
の著しい伸展に伴いまして、
産業構造
が急に
高度化
されていくにつれまして、
中小企業
も当然
高度化
に即応するとともに、積極的にこれを推准する必要に迫られておるのであります。一方、また
貿易
の
自由化
によるところの
影響
によりまして、この傾向というものは特に著しいのであります。したがいまして、
わが国
の
中小企業
が、
不完全競争性
からようやく
完全競争性
への推移になったと
考え
て何ら差しつかえないと思っております。したがいまして、いまや
わが国
の
中小企業
は、新
産業体制
に入ったものであると
考え
て支障がないと思うのであります。 このような
状況
のもとにおきまして、現在の
中小企業
というものが、どういう点が脆弱であるかと
考え
てみますると、大
企業
と
中小企業
との
格差
が非常に大きいので、この
格差
を是正していかねばならない。すなわち、二重
構造
を解消するということであります。これは
社会党
の
提案
されました
中小企業
の
提案
の理由の中にも、はっきり示されておるのであります。第二は、
中小企業
の
生産性
が非常に低いので、これを高めていかねばならない。第三には、
中小企業
の
生産品
の
付加価値
が低いので、これを是正していかねばならない。第四には、
過当競争
の
ため
に、
中小企業
がその
過当競争
の戦線から
脱落
をしていきまするので、この
脱落
をできるだけ防止していかねばならないということ。第五には、
労働力
の需給の逼迫から、
近代化
、
合理化
が迫られておるということ。第六には、
設備
が古いので
競争
ができない。その
ため
に、ぜひともその
設備
を
近代化
する必要に迫られておる。第七には、
貿易
の
自由化
のしわ寄せが
中小企業
を襲いまして、
経営
の
近代化
、
合理化
が迫られて、
国際競争力
に対する
抵抗力
をぜひとも確保していかねばならないということであります。第八には、新しい
技術
の革新によって、新
技術
の導入が必要になってまいりました。第九には、
中小企業
が、これを強くする
ため
には、ぜひともその
組織
を
強化
し、整備いたしまして、団体的におのおのの
体質改善
をしていかなくては、
個別企業
の
努力
だけでは不可能である。
組織
の力によってみずからの
経常改善
をし、その地位の
向上
をはからねばならない。
中小企業
の強力なる
組織化
が絶対に必要であると
考え
られるのであります。第十には、
貿易
の
自由化
の
影響
で、先ほど述べましたごとくに、新
産業体制
といったような
混合経済
の構想や、
独禁法改正
による大
企業
の
カルテル強化
の要望などが、一方において起こっておるのであります。これに対処いたしまして、
中小企業
間におきましては、将来伸びる見込みのない
企業
を転換せねばならないか、あるいはまた
近代化
の
ため
の
適正規模
の
ため
に
協同化
、協業化、
企業合同等
を行なわねばならないかといったような問題が起こっております。さらに第十一には、
中小企業
の
経営
の安定と
従事者
の
生活水準
の
向上
に迫られておるのであります。
企業
間の
格差
が、この大きな制約になっておるのであります。これを取り除くことが、刻下の急務であらねばならないのであります。第十二には、
中小企業
の
労務者対策
としては、
福利施設
を設置し、
最低賃金制
の確保と
福祉事業
並びに
社会保障制度
の
確立
に迫られておるのであります。第十三には、
中小企業
の
経営
の
合理化
、
体質
の
改善
の
ため
に、
自己資金
の蓄積が必要である。それが
ため
には少なくとも
税制
の
適正化
の必要に迫られておるのであります。 以上申し上げましたような
背景
のもとにおきまして、われわれは、
中小企業基本法案
というものを今後審議していかなければならないと思うのでありますが、すでに
農業基本法
におきましては、
昭和
三十二年に、
政府
に
農業基本法制定
の
ため
の
調査会
が設置せられまして、たぶん三十四年かと思いましたが、これが成立いたしたのであります。
農業基本法
が成立する
ため
には、三カ年の
調査期間
を置きまして、ようやく成立いたしたのでありますが、
中小企業基本法
におきましては、以上申し述べましたような
背景
のもとに、
事情
の急激なる変化によりまして、
全国
の
中小企業
は、このままでは生きていけない、何とか
体制
を変えていかなくてはならない。それが
ため
には、
中小企業
を今後
育成
強化
するところの
基本法
とも言うべき、憲法とも言うべき何らか
中心
となる
根本法規
が必要であるというようなことからいたしまして、一昨年、わが自民党におきましても、
商工議員連盟等
が
組織
されましてもっぱら
中小企業基本法案
の策定にかかりまして、昨年の
通常国会
におきましては、与党、野党そろって
議員提案
の形式によりまして、
中小企業基本法案
を
国会
に
提出
いたしたのでございます。このことは、好むと好まざるとにかかわらず、
客観的情勢
がさようにさしたものでありまして、
中小企業基本法案
を成立させるということは、
全国
民の
一つ
の声であり、しかも、これが
国民運動
として展開されてきておるのであります。かような
情勢
のもとに、今回、
政府
におかれまして急速に
中小企業基本法案
が
提案
されましたことは、まことに時宜に適したことと
考え
ておるようでありますが、ただ、その
内容
につきましては、私
ども
もいろいろ検討の余地があろうかと
考え
ております。
中小企業基本法案
の前文の末尾に、「
中小企業
の進むべき新たなみちを明らかにして、
中小企業
に関する
政策
の
目標
を示す」、かように掲げておるのでありますが、私
ども
、この
中小企業
が今後進むべき新たな道をこの
基本法
によって明らかにしていただき、また
中小企業
に関する最も重要なる
政策
の
目標
をこの
基本法
の中に掲げていただいておる、かように確信をいたしておるのであります。 そこで、私はまず
福田通産大臣
にお尋ね申し上げたいことは、かような必要に迫られました
情勢下
におきまして、
中小企業基本法案
が
提案
されたのでございます。先ほど申し上げましたように、
全国
の
中小企業者
は、この
中小企業基本法案
が成立することを、あたかも干天に慈雨を求めるごとくに、みなこれを渇望いたしておるのであります。しかも、新
産業体制
に突入しまして、この
基本法案
ができた場合におきまして、
通産省
が従来のような安易な、しかもマンネリズムにおちいった
中小企業振興
に関する
政策
を立てておったのでは、私は、
全国
の
中小企業
というものは非常に失望するのではないか、かように
考え
るのであります。その
意味
におきまして、私は、三十九年度におきまして、あるいはその後におきまして、
通産省
として
中小企業
に関するいかなる
施策
をお立てになるのであるか、その
決意
のほどをまず第一にお伺いしてみたいと思うのであります。
福田一
3
○
福田国務大臣
ただいま御
説明
をいただきましたように、
日本
の
中小企業
は、
不完全競争
といいますか、特殊の
事情
があり、しかも十三の項目をあげて述べられましたような
必要性
に迫られておる。しかも、一方においては、
自由化
あるいは
関税一括引き下げ等
、
世界的規模
において
日本経済
が移り変わっていく段階における
日本
の
中小企業
、こういう
考え方
に立ってこれからの
施策
をやっていくわけでございます。したがって、われわれといたしましては、
中小企業基本法
というものは、その
施策
の方向を示すものではございますが、この
法律
に基づきまして、今後の
施策
については、いままでとは違った
格段
の
努力
をいたしてまいらなければならぬと思います。特に
中小企業
のいわゆる
合理化
、
近代化
を促進をする、そういう
意味
において、
税制
、
金融
の面については特にわれわれは
予算面
その他においても
努力
をいたさなければなりません。その他いわゆる小
企業
のものに対する手厚い保護というような面についても、従来とは
格段
の変わった
やり方——
同じことをやるにしましても、力の人れぐあいによってうんとものごとは違ってくると思うのであります。大いに力を込めて、そしていわゆる
中小企業
というものの
育成
といいますか、今後のそういうような世界的な
規模
の中における
日本経済
、その中における
中小企業
を育てていくという
意味
で
格段
の
努力
をいたしてまいりたい、かように
考え
る次第であります。
田中榮一
4
○
田中
(榮)
委員
最近
各省
の
所管事項
の中で、いわゆる
基本法
ばやりでございまして、先般
観光事業法本法
というものができまして、
農業
には
農業基本法
、
観光
には
観光事業基本法
、今後
中小企業
には
中小企業基本法
というようなものが制定されるのでありますが、この
基本法
ができたからといって、私
ども
は、これによって直ちに
予算
が増額されるということは
考え
られないのであります。しかしながら、
基本法
ができた以上は、
基本法
を
中心
にして何か新しい
政策
が策定せられ、それによって新たな
予算
が
計上
される、それによって
中小企業
は、
基本法
ができたからこういうふうなことになったという、
一つ
の期待を持っておるのではないかと思うのであります。そこで、この中
基法
ができまして、
通産省
だけが力こぶを入れてやりましても、ほかの省がこれに
協力態勢
ができておりませんと、せっかくできましたけれ
ども
、それは絵にかいたぼたもちになってしまうおそれがあるのであります。少なくとも
通産省
が、その
主管省
としまして
中小企業基本法
を成立させる。それに関連いたしまして、
社会党
の案によりますと、
中小企業基本法
の
提案説明
の中に、五本の柱を立てております。まず第一は、二重
構造
の解消と
経済
の
民主化
、第二は、自主的な
協同化
、第三は、個々の
中小企業
に対する積極的な助成、第四には、
中小企業労働者
の
所得増大
、第五には、さらに
中小企業者
、
労働者
、
農民相互
間の調和の
五つ
の柱を明確に提示してうたっておりますが、私
ども
もまた、別な
考え方
によりまして、この
中小企業
にはやはり
五つ
の柱が必要であろうと思っております。その
一つ
は
金融
であります。その次は、すなわち
租税負担
の問題でございます。それから第三には、
労働力
をいかにして確保するかという問題であります。その次は、いわゆる
税制
の
適正化
といいますか、
合理化
といいますか、
税制
をなるべく
適正化
いたしまして、
中小企業
の
負担
の軽減をさせていただきたいということであります。それから第四には、
設備
の
近代化
であります。第五には、
産業分野
を明確にここに
確立
をしてもらいたい。この五本の柱を私は立てておるのでございますが、この五本の柱を立てる上におきましては、それぞれあるいは
労働省
、あるいは
大蔵省
、あるいは
厚生省
、場合によりましては
運輸省
、
各省
の
権限
に属する
所管事項
がみんな異なっておるのでございます。今日、
各省
にまたがっておるが
ため
に、その実効が伴わないというような例が間々でございます。たとえば
観光事業
におきましては
運輸省
、
農林省
、
厚生省
、建設省、
労働省
、各方面にまたがっておるが
ため
に、その効果があがらないという例が間々あるのでございます。したがって、この
中小企業
の問題につきましては、いま私が申し上げました五本の柱をいかに解決するかということにつきましても、いずれも
各省
の
権限
に属するのであります。したがって、私は、今回この
基本法
ができましたならば
一体内閣
としてどのような
決意
を持っておるか、きょうは
総理大臣
がお
見え
になっておりませんので、この意向をお伺いすることはできませんが、まず
大蔵省
のお
考え
を聞きたいと思います。 それは、第一に
通産省
の
予算
でございますが、本年度におきましては、
一般会計
の
予算総額
二兆八千五百億八百万円、その中で
通産省
の占める
予算
の額が四百三十億六千八百万円。しかるに、
農林省
の
予算
というものが、二千五百三十一億二千七百万円であります。
中小企業
の
事業所数
が、三百五十二万五千五百二十七
事業所
でございます。この
事業所
でこの
通産省
の
予算
を割ってみますと、一
事業所当たり
が一万二千二百十六円、こういう
数字
になってまいります。それから
農林省関係
では、
農家数
が六百五万六千五百三十四戸となっております。その
農林省
の三十八年度
予算
が二千五百三十一億二千七百万円、これを六百五万で割ってみますと、
農家
一戸
当たり
の
経費
が四万一千七百九十四円。そういたしますと、
農林省
の
農家
一戸
当たり
の
予算
の
数字
が、
中小企業者
の約三倍強、ことばをかえて言えば、四分の一強ということになるわけでございますが、
農家
に対する
予算
の
計上
と
中小企業者
に対する
予算
の
計上
とにおいて、かように大きな差があるのであります。しかも今日
中小企業
の実態は、いわゆる国の
産業
、
経済
の
基幹産業
、その母体として重要な役割を演じておる
中小企業者
、それに対する国家の
予算
の
計上
のしかたがかように差異のあるということは、われわれとしましては納得のできないところであります。この点につきましては、私は
田中大蔵大臣
にお伺いをいたしたいと思うのでありますが、
大蔵大臣
御欠席でありますので、
主計局長
の御意見はいかがでございましょうか。
——主計局長
もお
見え
になっていないそうでありますから、ただいまのことにつきまして、
通産大臣
からひとつ御
答弁
願いたいと思います。
福田一
5
○
福田国務大臣
大蔵大臣
から
お答え
をすべき事柄ばかりと思うのでありまして、また他日
大蔵大臣
から
お答え
をいたすかと思いますが、
通産省
としてではなく、
政府
の
中小企業
に対する
基本的態度
はいかがあるかということにつきましては、昨年私が閣僚に任ぜられて
通産大臣
になった直後から、どうしてもこの
中小企業基本法
だけは通さなければいけない、そうして
中小企業
の
育成
をはからなければいけないということは、
池田総理
が就任早々私にも言われたことでございまして、その後も一貫して、
政府
としては
中小企業
の
育成
ということについて
努力
はいたしておるつもりであります。したがって、今後もそういう方針で臨むことに変わりはないわけで、むしろ変わりがないというよりも、
基本法
を通して一そう熱意を込めてやるようにいたしたい、かように
考え
ております。 なお、ただいま御
説明
がございました
予算
の問題でございますが、そういうような
比率
の点から見ますと、確かに相違がございます。われわれは、これについて満足いたしておるものではございませんが、ただ
中小企業
の場合におきましては、いわゆる
金融
というものが、御承知のように非常に大事なことであり、またそういう面での
施策
も相当いたしておるわけでございまして、直接これを
育成
していく国の
経費
というものと、またこれに必要とする
資金
なり何なりを供給していくという面から
考え
てみますと、私、
数字
はいまここに持っておりませんけれ
ども
、あるいはその
比率
はいま御指摘のものより幾分よくなるのではないかと思いますが、いずれにしても、私たちとしては、今後、大いにいま
仰せ
になったような
趣旨
を体して、
農家
に比して
中小企業
が軽く扱われることのないように、これに対しても同様な国の
施策
が行なわれるように、大いに
努力
をいたしてまいりたい、かように
考え
ております。
田中榮一
6
○
田中
(榮)
委員
私は、
内閣
としての一貫した
施策
を
実施
をする上におきまして一もちろん、
関係大臣
は緊密なる
連絡
をとっていただくことはもとより必要でございまするが、それと同町に、また一面、その
施策
が
お互い
にちぐはぐのないように、そごのないように、また
お互い
の
政策
が相反するようなことのないように、円満に
実施
をする
ため
には、
各省
間に何らかの
連絡機関
といいまするか、あるいはこれが運営を円滑にしかも完全に
実施
する
ため
の何らかの
連絡機関
というようなものを設置して、これを十分に効果あるように
実施
するの御意志があるかどうか、その点につきましてお伺いしてみたいと思うのであります。
福田一
7
○
福田国務大臣
中小企業
を
育成
していく上において、
各省
が緊密な
連絡
をとる。ところが、
各省
の間で、たとえば
農業
と商業との
関係
において利害の衝突を生ずるおそれがある、あるいは
労働省
の
関係
その他の役所との
関係
で、そういうような問題が起きないとは限らない。したがって、そういうような場合を想定して、何らかの
連絡機関
をつくっておいたらどうか・こういうお
考え
と承ったのでありますが、それも
一つ
の
考え方
でございますけれ
ども
、まずさしあたり、立法の過程におきましても、実は
各省
との間でいろいろ打ち合わせをいたしたこともございます。また
各省
としても、何も
中小企業
に対して横を向いておろうというような
考え方
ではないやにわれわれはいま理解をいたしております。しかし、御
趣旨
を体して今後も緊密に
連絡
をとって、いま
仰せ
になったような欠陥を露呈しないような行政をいたしてまいりたい、かように
考え
ておる次第でございます。
田中榮一
8
○
田中
(榮)
委員
私は、この
中小企業基本法
の中で特に重要と認められることは、やはり何と申しましても
金融
でございます。
金融
の道を
中小企業者
に講ずるということは、
中小企業者
としましては最も要望するところでございますが、
基本法
の第二十四条には、「
民間金融機関
からの
中小企業
に対する適正な
融資
の
指導
等必要な
施策
を講ずるものとする。」ということになっております。しかるところ、
農業基本法
第四条によりますると、円滑なる
融資
の道を講ずるということがはっきり
規定
されておりまして、
政府
みずからが
融資
の道をはかりますということを、
農業基本法
の第四条にははっきりうたっておるわけであります。
農業基本法
第四条第二項の中には、「必要な
資金
の
融通
の
適正円滑化
を図らなければならない。」ということをうたっております。しかるに、中
基法
第二十四条には「
資金
の
融通
の
適正円滑化
を図る
ため
」にとなっておりまして、そしてその
内容
につきましては、
政府
みずからが
資金
を
融通
するのじゃなくして、あるいは
民間金融機関
からの
中小企業
に対する適切な
融資
の
指導
とか、そうした必要な
施策
を講ずる。要するに、
政府
みずから
資金
を
融通
いたしますというはっきりした
規定
がこの中にうたわれてないということは、私
ども
としては非常にさびしく思うのであります。あるいはそうではない、それはおまえの間違いである、第五条を見てみろ、第五条の
規定
の中には、はっきり国は
財政
上の
措置
を講ずるとあるからして、
予算措置
のほかに、
財政投融資等
の
資金ワク
の
拡大等
につきましては、
政府
としても
十分努力
をするんだ、こういうふうにあるいは御
答弁
があるかと思うのでありまするが、私
ども
としましては、この中
基法
を
明定
する上からには、やはり国みずからが
融資
をするということの責任ある
態度
をはっきりととって、この
規定
の上に
明定
をしていただくことが望ましいのであります。
農基法
には、すでに第四条第二項に「
円滑化
を図らなければならない。」と、
融資
の道をはかるべく義務づけられている
規定
が置かれておるのでありますが、中
基法
第二十四条の中には、何らそれが
明定
されなくて、ただ第五条に
財政
上の
措置
を講ずるということで逃げておるのでありますが、この点に関する
大臣
の御見解を承ってみたいと思います。
福田一
9
○
福田国務大臣
財政資金
の問題については第五条、それから第二十四条でございますが、われわれとしては、書き方の問題でございますから、おしかりを受けて恐縮でございますが、われわれとしては、いま
田中委員
が
仰せ
になったようなことがこの条文の中にあらわれておる、かように
考え
ておるのでございまして、「国は、
中小企業
に対する
資金
の
融通
の
適正円滑化
を図る
ため
、
政府関係金融機関
の機能を
強化
、……等必要な
施策
を講ずるものとする。」「
信用補完事業
の充実、……等必要な
施策
を講ずるものとする。」こう受けていくわけでございますから、ただいま
仰せ
になったようないわゆる
農業基本法
の場合と同じようなことが、ここに大体
規定
されておる。ただ問題は、
農業
と違いまして、
中小企業
の場合には、
民間金融機関
からの
融資
というものが非常に大きなウエートを占めておるものでございますから、それもここに
規定
をいたさなければならないので、ここに「
民間金融機関
からの
中小企業
に対する適正な
融資
の
指導
」という言葉でこれをあらわしまして、国の
財政
投
融資
はもちろんのこと、国の
中小企業
金融
公庫とか、
国民
金融
公庫その他
政府
金融
機関は、そういうことを十分にやる。また、いわゆる信用保証協会等の利用等の問題をもっと充実してやる。同時にまた、民間の
金融
機関をうまく
指導
をして、
中小企業
にできるだけたくさんの金が
融資
されるような適正な
融資
の
指導
を講ずる、こういうふうな
考え方
でこの条文をつくっておりますので、ひとつその点は御了解を賜わりたいと思う次第であります。
田中榮一
10
○
田中
(榮)
委員
実は前回議員立法として
提案
された中には、そうしたことのニュアンスが出るような文句が
明定
されておったのでありますが、今回はそれが削除されておったのであります。ただ、私
ども
が第二十四条を拝見しますと、人の
資金
をあっせんするとか、あるいは
中小企業
に対する適正な
融資
の
指導
をするとかといったような、何となく他力本願的なことのみのように
見え
るのでありまして、この点は、
中小企業
の連中も若干失望するのではないかと思うのであります。どうせ
政府
が
融資
をあっせんするならば、
農基法
のように、
円滑化
をはからねばならぬというように、はっきり
態度
を示していただいたほうが私はむしろよかったのではないかということも
考え
るのであります。これは私の見解でありますから、いま
通産大臣
の御
答弁
で私は一応了といたします。 なお、私は、もう
一つ
通産大臣
にこれは意見として申し上げてみたいと思うのでありまするが、今度の
中小企業基本法案
をざっと見て感じますることは、現在大
企業
から小
企業
がいろいろと圧迫を受けておるということは、
通産大臣
もよく御存じのことでございますので、私から一々こういうことを
説明
する必要はないと思います。たとえばその
一つ
が、いわゆる下請代金の支払いが遅延をするという点。それからもう
一つ
、これは
大臣
御存じであるかどうか存じませんが、現在の大
企業
メーカーが、御売り等に対しましてリベートというものを出しております。これはもう商慣習で、いかなる大事業も、大メーカーも、その販売網に対しましてリベートを出しておるのでありますが、大体五分程度のリベートを出しておる。そのリベートを出す場合におきまして、その支払いが、大体半年払いか一年払いである。しかも、その支払いが、五五%を払って、あとの四五%はとめ置く。しかも、その支払いの場合においては、一本の通知で、おまえさんのところのリベートは百万円だ、五十五万円はキャッシュで渡すけれ
ども
、あとの四十五万円は私のほうへとめ置きますということです。なぜそうするかというと、半分だと、この大
企業
メーカーのほうにおきまして利益勘定に入りまして、法人税がかかるのです。今度は逆に五五%、五十五万円のリベートを
中小企業
がもらいますると、これは五五%の——現在の法人税そのほかいろいろの諸税がかかりまするが、二百万円以上におきましては、大体五五%の税金がかかるのであります。その税金を、百万円の分について税金が取られるのであります。こうしたことは、リベートならば、毎月決算のときに支払うべきものが、半年あるいは一年の後に支払われる。しかも、とめ置かれたリベートというものは一大
企業
がこれを見返りにして一担保として
融資
を受ける。これが今日、
全国
的にこのリベートのとめ置いた
数字
をもし合算をいたしましたならば、私は、数十億にのぼる額になると思うのであります。これがもし月々
中小企業
に手渡されたといたしまするならば、
中小企業
の
金融
というものがそれだけ潤うのでありまして、これのごときは、リベートでありますから、一種の贈与であります。これは一方的の恩恵でありまして、これは
中小企業
がこれに対して抗議を申し込み、あるいは異議の申し立てをすることのできない弱い立場にある。これはちょうど下請代金支払い遅延と同様な姿でございまするが、かようなあらゆる点におきまして、
中小企業
というものは大
企業
から目に
見え
ないいろいろな圧迫、不利というものを受けておるのであります。そういう場合におきまして、この
中小企業基本法案
の中に、しからば
中小企業基本法案
が、大
企業
に対して
中小企業
をどういうように保護しておるかということを探してみますると、ほとんどないのであります。ただ一カ条だけ、
中小企業
の
基本法
の中に、法第三条第一項第五号の
規定
がわずかにあるのであります。その第五号の
規定
と申しますものは、「
中小企業
の取引条件に関する不利を補正するように過度の
競争
の防止及び下請取引の
適正化
を図ること。」、こういう
一つ
の
規定
がありまして、これが大
企業
より
中小企業
を保護する
規定
と思われるのでありますが、そのほか、
中小企業
を大
企業
から保護するような、せめて道徳的
規定
でもよいから何かはしいと思うのでありまするが、これらにつきましては、何ら保護の
規定
のないということは、私はまことに残念に思うのであります。この点は、他の法条をいろいろ解釈をいたしまして、そういう保護の
趣旨
がこれにあらわれておるのだということになればそれは別でございますが、私
ども
は、下請代命支払い遅延につきましては、その特定の
法律
がありますし、それによって保護されておりますが、これとても、あとで御
質問
申し上げますが、ざる法中のざる法でありまして、これによって全然保護されていないということであります。こういう点から申しますと、私は、この
中小企業基本法
というものは、何か肝心な
一つ
のくぎが一本欠けているのではないかというような気持がいたすのでありますが、その点につきまして、
福田通産大臣
の御所見を承りたいと思います。
福田一
11
○
福田国務大臣
仰せ
のごとく、大
企業
は
中小企業
に対して何らかの圧迫といいますか、不利益をもたらしておるような事例は、私
ども
承知をいたしております。ただ、いま御指摘になったようなりリベートの問題等は、実は私寡聞にして存じておりませんが、おそらく御指摘のことはあるかと思うのでありますが、こういうことは、今後ひとつ大いに研究いたしまして、是正をいたしたいと
考え
えるのであります。 なお、
中小企業
に対する大
企業
の圧迫を是正する、はねすというような
措置
について、御指摘のような条文があるのでありますが、その
趣旨
を受けまして、十七条、十八条、十九条というようなもので、大体その
趣旨
を明らかにさせていただけをのではないか、かように
考え
ておりますが、しかし、いわゆる大
企業
が
中小企業
を圧迫することというものは、これはぜひとも是正すべきことでございますので、条文の問題は別といたしましても、今後ひとつ大いにそういうことのないように
努力
をいたしてまいりたい、かように
考え
る次第でございます。
田中武夫
12
○
田中
(武)議員 ただいまの
田中
さんの
政府
に対する御
質問
は、
政府
案の一番欠けたところをついておると思います。したがって、私が、当
委員
会及び本
会議
において、わが党案を
提出
いたしましたときの
提案説明
にも言っておるように、大
企業
の
ため
の
中小企業基本法
である、われわれはかように見ておるのであります。
田中
さんの御意見ごもっともでございます。
福田一
13
○
福田国務大臣
答弁
の
答弁
をしてはまことにあれでありますが、私たちは、決して大
企業
擁護の
ため
にこういう
中小企業
本本法を出しておるのではありません。また下請の問題につきましては、第十七条の「国は、
中小企業
の取引条件の
向上
及び
経営
の安定に資する
ため
、
中小企業者
が自主的に事業活動を調整して過度の
競争
を防止することができるようにその
組織
を整備する」、これは
組織
の力を借りて大
企業
をはね返せるような
措置
を講ずるようにせよということであります。第十八条では「下請取引の
適正化
」ということで、「国は、下請取引の
適正化
を図る
ため
、下請代金の支払遅延の防止等必要な
施策
を講ずるとともに、下請
関係
を
近代化
して、下請
関係
にある
中小企業者
が自主的にその事業を運営し、かつ、その能力を最も有効に発揮することができるようにする
ため
必要な
施策
を講ずをものとする。」、こういうふうに明らかに
規定
をいたしております。また、「事業活動の機会の適正な確保」については、十九条においてこれを
規定
いたしておるよなわけでございまして、その点は誤解のないようにひとつお願いいたしたいと思います。
田中榮一
14
○
田中
(榮)
委員
本件につきましては一応留保いたしまして、なおまだ
大蔵省
関係
、他省
関係
についての
質問
が相当残っておりますが、時間も迫っておりますので、私の
質問
は、本日のところはこれをもって打ち切りまして、後日に譲りたいと思います。
逢澤寛
15
○逢澤
委員長
次会は、明後七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時十分散会