○中川
委員 ちょっと私が調べたところと違うのですが、あなたは向こうの要求でとおっしゃるのですが、あなたがこの会談でまず口火を切って、こういうことを言っておられる。「先づお詫びしたいのは、非常にむさくるしい所にしかも固い椅子に坐って話をしなければならない様な所に御出席願った事をお詫びする。」これは本庁事務所では新聞社の記者の目を避けるのが非常に困難であるからである。此の点よろしく御了承順いたい。これを見ると、あなたが何か御招待なさったようなごあいさつのように承る。それから
内容を見ますと、あなたがパーカーさんに質問しておられる
内容、これは実に私は、こういう企業を経営しておる者として、こんなばかげたことがあるのかと、これは速記ですが、これを読んで実に
日本人として、正直言って恥ずかしくなったのです。どういうことを言っておられるかと言うと、その条件の
一つに、株式収得を、議決権のない株式を持ってくれないか、それから議決権を第三者に委任するよう
指定した株式でできないだろうか、これはまああり得ることです。それからユニオンの収得した株式を丸善がいつでも買い戻すことができるという条件をつけておる。このあとの二点はいいですが、お前の方が持つのは議決権のない株式にしてくれぬか、こういうばかげたことが、普通の常識であり得るかどうか。また、それに対してパーカーさんがこういうことを言っておる。「米国の実業家の間でラクダの背骨を折った藁と云う言葉があるのを御存知か?」——あなたはよく知っておられるでしょう。こういうことを言うたでしょう。「一体
日本政府は困っている
日本の
石油業界及び丸善を救いたいという意欲があるのかと疑う人間も出てくる始末だ。幸いにして今迄は各種の条件を受入れてきたが、今申された様な事が条件として提出されると、之が私が云ったラクダの背骨を折った藁にもなりかねず、今迄の若心も水泡に帰すかもしれない。従って若しこの二つの点を
両方共かなえなければならないのか、或いは何方か一方でよいか、又実際に条件として
お話しになったのか、判然として頂きたい。」ということを言っておる。一体
通産省が外資
委員会の席上参考になるというのでお聞きになったことはいいのですけれども、その企業の
内容にどの
程度立ち入ってそういうことを干渉する資格があるかどうかということです。たとえば、純然たる民間企業と、
政府が出資しておる企業とは違うと思う。純然たる民同事業の経営人事にまで立ち入って、
通産省がそういうことをする資格があるかどうか。
これといま
一つ、十月二十二日午前十一時から午後一時の間、オークラ・ホテルのパーカーさんの部屋で、三和銀行の上枝頭取と村野専務、これが話をしておるのを見ましても、結局
通産省としては、現在の丸善の和田を追い出さなければだめだという観点に立って進められておると思う。たとえば十月二十二日のオークラ・ホテルにおけるパーカーさんの部屋の会合で、上枝頭取がまっ先に言っておることは、「
通産省としては現在までに丸善及び丸善の和田社長よりなされた説明を通じて金融引締め及び丸善の経営陣の不備によって丸善が現在の苦塩に陥っている事はよく了承している。」ということを上枝氏が言っておる。ですから、
通産省と十分にそういう点を打ち合わせて、和田を追い出さなければだめだという根拠に基づいて、こういう会合をあなたもお持ちになったんじゃないかと思う。同時に、これは全部一々読んでおるいとまがありませんから読みませんが、これを全部読んでみますと、明らかにそういうことが出ておるのです。一体
通産省は、経営人事にまで立ち入ってそういうことをやる権能があるのかどうか。この点をあなたから伺ってみたいのです。