○井堀
委員 失業保険法の
改正に対しまする大臣の提案理由の説明を伺いまして、まことに感に打たれたところもございますが、なお隔靴掻痒の点もありますので、一、二疑問の点をただして、われわれの党の意思を明らかにしていきたいと思います。
提案理由の中でも強調されておりますが、最近の傾向として、斜陽産業といわれております石炭産業、金属鉱業などから出てきます
失業者の多発的な量と質の点について、
政府もその異常性をお認めになっているが、一般的には中高年齢の
失業者が非常に増加しつつあって、しかもその
就職が困難である事情をお認めになって、この
失業保険法の
改正にこれを取り入れる
意味の御説明がございました。まことにごもっともなことであります。ところが
改正案の
内容を検討いたしてみますと、なるほど保険金の限度を引き上げる、あるいは
扶養加算を実施する、あるいは
職業訓練のための
期間中の
給付を実施するといったような、従来にない画期的な
改正を試みようとしておる点については、われわれは敬意を表するにやぶさかではありません。しかしその
内容が、実情とかなり間隔があることに難があるという点であります。実情を認識しておるものに対しまする対案としては、あまりに微温的であるといわなければならぬのであります。私はこういう種類の
改正を行なうときにはいつも言うことでありますが、日本の
国民経済あるいは国の財政能力というものとのバランス、調整を
考えることは当然だと思うのであります。きょうは時間がありませんからその数字をここで引用することは避けたいと思いますが、
国民経済の実力なり財政能力というものは、
政府がたびたび他の機会に明らかにし、またその成長を誇っておりますことは言うまでもないのであります。こういうものに見合いますこの保険法の
改正は、私は全く羊頭を掲げて狗肉を売るといった式の
改正であると言わざるを得ないのであります。羊頭狗肉と言えば多少言い過ぎであるかと思いますが、それは先ほど言いますように、今日の
失業保険法の
改正は、あなたの主張しておられるとおり非常に喫緊を要するし、適切な機会であると思うのであります。そういうときにこそ、やはり国の財政能力に見合う
改善が行なわれてしかるべきと思うのであります。こういう点に対しまして、どうも総括的に見てまことに不徹底である。
そこで具体的なお尋ねをいたすのでありますが、先ほどの
質問者との間にもかわされておりましたから重複を避けますが、まず保険金の限度を引き上げるということの目的は、
失業保険法の大目的であります離職者の
生活の安定をはかるのだ、そして次の健全な
労働につけるようた準備態勢を整えてやるということが最重要目的でなければならぬのであります。そういたしますと、今度引き上げております金額が問題になるのでありますが、最高七百円を八百六十円に上げたということは前進ではあります。しかし不徹底ではないか。すなわちここで言っております。
労働省は
法律の義務づけもありまして、毎勤統計などによってはじき出してくる作業がありますが、この点について、私はきょうは納得のいくように御説明を願い、
質問を展開していきたいと思ったのでありますが、少なくともこの
質問をいたしますためには、二時間ないし三時間を要すると思うのであります。それだけの時間をかけて討議をしませんと、かえって誤解を生むような結果になると思うので非常に遺憾に思うのです。
私は今後のこの
委員会の
審議でも、
委員長にも要望いたしておきたいと思う。わが党はなるほど比較少数ではありますけれ
ども、こういう基本的な政策に
関係を持つ
法案の
改正については、やはり一党の
意見が十分述べられて、そうして
質疑応答ができる最小限度の時間だけは与えてほしいのであります。
理事の申し合わせによりますと、私の時間をむやみと制約されるような御注文がありますが、私は限度があると思うのです。自民党の中にもこれに対しては権威者もおいでのようであります。
労働省所管の法典としてはかなり重要の位置を占める大法典です。
労働政策の基本をなすものであります。こういうものを、わずかの時間で
質疑をさせられるということはまことに遺憾と思いますので、皆さんのお約束もあるようでありますが、決して私は無理な注文をいたしておるつもりではありません。
まことに遺憾でありますが、私
どもの
質問をいたしたい要旨は、
労働大臣並びに事務当局にはおわかりいただけると思いますので、簡潔でけっこうでありますから、この際これはついでに申し上げますけれ
ども、
社会保障制度審議会でもその
答申の中で指摘をいたしております。すなわち
給付率の
増大という抽象的な
答申であります。もちろん当局を拘束することをはばかって提案をいたしておるものと思うのであります。しかしこの
趣旨は、全体を一読いたしますれば、一通りの良識を持っておりますものであれば深く理解のできることでありまして、その前文にも明記してありますように、要するに
失業者の
生活の安定が得られるという
内容のものでなければならぬことは言うまでもないのであります。それにいたしましては、その最高額をわずか百六十円引き上げたということは、PWの計算の中からもこういう数字は出てこない、あまりに低きに失すると私は思うのであります。これが終戦直後のように、日本の財政、日本の
国民経済の貧弱な場合において、いかにそういたしたくてもできないという
状態のときにおける上げ方と同じ上げ方をいたしておる。特に
最低の百二十円を百八十円にしか上げなかったということは、これは
答申案の精神にもありますように、低額の賃金
労働者がまだ一方残っておるのであります。要するにこれは日本の賃金政策の基本をなす問題であります。こういうところに、賃金安定政策を
政府が世論に問おうとする態度からいたしましても、いかに弁解をいたしましても賃金が
生活の
最低を
保障するという原則、国際的な良識の上からいっても、こういう際にこそ、いかに
失業者といえ
ども最低が百八十円で一体成り立つかどうかということは、あまりにも明白な数字であると思うのであります。何ゆえにこういう低い数字にとどめなければならなかったかについて、われわれは理解ができないのであります。まずこの点についてひとつ当局も
政府も、基本政策との
関連もありますから、
質問ははなはだ要を得ないかと思いますけれ
ども、おわかりいただけると思いますので、
お答えによりましては多少時間をちょうだいして、いま少しこの点についてお伺いしてみたいと思います。ひとつ簡潔でけっこうでありますから、要領を得た御
答弁を願いたいと思います。