○
八木(一)
委員 ただいま提出をいたしました
麻薬取締法等の一部を改正する
法律案についての附帯
決議案について、
提案の内容並びに理由を御説明申し上げたいと思います。
まず、最初に附帯
決議の案を朗読いたします。
麻薬取締法等の一部を改正する
法律案(
内閣提出)に対する附帯
決議(案)
政府は、
麻薬禍の早期撲滅を期するため、左記事項について速かに
対策を講ずるよう努むべきである。
一、
麻薬禍防止には国際的連けいを保つことが重要である点にかんがみ、速かに千九百六十一年の
麻薬に関する
単一条約を批准すること。
二、国は今後
麻薬取締りに関し国庫支出の増額を考慮し一層其の
施策の充実を図るとともに、都道府県知事並びに
関係市町村と強力な協力を得るよう連絡を密にすること。
三、
麻薬中毒者対策は、
患者が退院後再び中毒に陥らざるよう措置することが重要である点にかんがみ、その社会復帰について十分なる
施策を講ずること。
四、
麻薬取締法別表に
規定する
麻薬の指定等については、迅速適確な措置をし、更に
麻薬以外の薬品であって
麻薬類似の害悪があるもの(睡眠薬等)の
対策につき万全を期すること。
五、特に強迫、監禁、暴行等によって強制施用するが如き悪質事犯に対し、厳罰をもって処断すると共に、政府は更に刑罰の
強化を考慮すること。
これが案の内容であります。
ごく簡単にその理由を御説明申し上げます。
第一項につきましては、
麻薬禍の撲滅のために国際的連携が非常に重要であることは言をまちません。この点につきまして、
単一条約をいまだわが国が批准していないことは非常におくれておるわけでございますので、すみやかに批准することが必要でございます。この点で第一項を
提案するわけでございます。
第二項につきましては、いろいろの問題が当
委員会において論議をせられました。たとえば、
取り締まりに関しまして、
警察であるとかあるいは
厚生省関係の
取り締まりの人員が、最初に各行政官庁で要求した人員よりも削減をされておる。このようなことでは十分な
取り締まりができないのではないか。またその装備についても、あるいはそのような設備についても十分な
予算要求が通らなかった。またその待遇に対しての考慮も、十分に払われていないように判断できるような
状況でございますので、このようなことを十分にして、この
取り締まりを完全にすることが必要でございます。さらにまた、ただいま申し上げました官庁のほかに、たとえば税関の
関係であるとか、あるいはまた海上において取り締まる
関係であるとか、あるいはまた
外国に人員を駐在さして根元においてこれを断つという問題であるとかについて、非常にまだ不十分な
状態であります。そういう
施策を充実するための国庫支出の本年度の要求が二十数億であるのに、合計して十億以下に削減されたような
状態では十分でないので、そのような支出を飛躍的に増大してこの
麻薬禍を完全に撲滅することを推進しなければならないという
趣旨において、第二項の
決議を出すわけであります。さらにこの問題については、
地域住民と非常に
関係の深い都道府県あるいは
関係市町村と、強力な協力
体制をつくらなければならないという点を強調しているわけであります。
第三に、
麻薬中毒者対策でございまするが、一時的に
取り締まりをしても中海者は完全になくならない
状態においては、またこのような
状態が起こってまいります。またそのような
麻薬によって健康を害し、社会的に非常にぐあいが悪い
状態になる人、この
人たちの問題を解決するためには、
中毒者の中毒を完全になくする、あるいはまた、あとの社会復帰をするという問題については、ただいまの政府の考え方より以上に強力にやらなければならないと思いまするので、この問題の推進について当
委員会として
決議をいたしたいと思うわけであります。
第四に、
麻薬禍を推進する
連中の手口が非常に複雑でございますので、現在の
取り締まり法規に触れている
麻薬を、幾、ぶん薬品の性質を変えて、さらに害毒を流すというようなものにすりかえて犯行をなすおそれがございますので、薬品が変わったことによって
取り締まりができないようなことのないように、
厚生省がその権限を十分に、迅速に発動することをすべきであるという考え方であります。さらにまた、睡眠薬等で青少年が非常に悪い
状態になっておることは周知の事実でございますので、このような
状態は
麻薬禍をさらに推進するバックグラウンドになるわけでございまして、その根元から断つために、このような
麻薬類似の同様な害悪のあるものについて、あらゆる行政的な
方法によってそのような害悪を起こさないように対処する必要があると考えるわけであります。
次に、第五番目の問題でございまするが、今後の
麻薬取締法等の一部を改正する
法律案について、刑罰を
強化してこの
麻薬禍を断とうということが大きく推進をされております。しかしながら、その中において供給源を断つという点においては相当重点が置かれておりますけれ
ども、利用者を少なくする、少なくても本人の意思によらぬ利用者をなくするという点についての配慮が少ないように思われる点が多いわけであります。また、本人の意思によらずして
麻薬中毒者になるという人の人権のじゅうりんされる
程度は、非常に大きなものであります。このような凶悪な
犯罪に対して断固として処断をする必要がある。無期懲役を加えた刑罰の
強化をはかる必要があるということが、この
委員会において論議をせられました。法制的にいろいろな問題がございまするから、直ちに
法律改正ということはできないにしても、行政的手段でこれを厳罰に処してこのような凶悪な事犯が起こらないように、またそれを完全にするために、刑罰の
強化を法的にできるような措置を推進して考慮することが必要であると考えられたわけでございます。さらに、ここに「強迫、監禁、暴行等」と書いてありますが、「等」の中には、睡眠剤を
注射して意志能力を失わせて
注射をするというような、あらゆる欺瞞的な
方法によることも含んでおることを明らかにしておきたいと思います。
以上のような理由でこの
決議案を提出したわけでありますが、どうか満場一致の御賛成を願いたいと思います。(拍手)