○
滝井委員 大体これで一応
基本計画と
実施計画ができることになるわけですが、そうしますと、この前五カ年
計画を
立てたけれ
ども産業災害がそう目立って
減少をしなかった
理由は一体どこにあるのだということで、局長さんのほうで五つばかりあげられたわけですね。
雇用労働者が非常に
増加をしたということと、それから特殊の産業に
災害率が依然として高い。たとえば鉱業、林業、貨物、それから建設業ですか、こういうところが高い。それから一日以上の休業が全
災害に占める割合というものは、
中小企業が非常に多い。大企業の二倍以上だ。それから四番目は、新しい職場に入った人が
災害を受けることが高い。同時に、重大
災害が
減少されなかった。こういうことが、
産業災害がはかばかしく
減少しなかった
理由であるということをおあげになったわけです。そうしますと、われわれが
基本計画を
立て、毎
年度の
実施計画を
立てる場合には、やはり特殊の
災害の非常に高い産業に重点を置かなければならぬことは当然だし、同時に、
中小企業に重点を置かなければならぬ、それから新しく入った人に重点を置かなければならぬ、こういうことになるわけです。実は私も学生のときに専門的にやったことがあるのですが、軍隊でも、馬から落ちるのは、月曜日に馬から落ちるのが一番多い。
災害も、曜日を見るとやはり月曜日と金曜から土曜にかけて多くなる。週の初めと週末。それから時間的に見ると昼めしの前、もうやがてめしを食うのだからという安心感がぽっと出たときに
災害が出る。それから、やがて
会社がひけるぞという四時か
そこらに多くなってくる。そういういろいろのこまかい
対策というものが必要になってくるのですが、この前
災害が
減少せぬ
原因として基準局長さんがおあげになったのは、産業としては鉱業、林業、貨物、建設業等をおあげになったし、特に目立って多いのは
中小企業で、大企業のおよそ二倍ある。それから新しく職場に入った者。これらの具体的な
対策をやるためには、当然これらの教育をしなければならぬだろうし、同時に、人の
行動によって起こるものと
機械によって起こるものと二つある。
機械によって起こるものということになると、やはり安全装置をつけるとかいうような設備の更新上の金が要るわけです。たとえば八幡製鉄の煙突からまつ黒い煙が出る。集じん装置をやらなければならぬ。集じん装置をやると、一本の煙突に八百万から千万かかる。八幡製鉄は二百本の煙突を持っておるから、これをやると二十億の金がかかる。こういうばく大な金がかかるので、企業はまつ黒い煙を出しておるけれ
どもやらないわけです。それを厚生省がやらせようとしても、通産省が待ったをかける。そんな金を通産省はとても出せない、こういう問題が起きてくるわけです。ちょうど公害を
防止するのにばく大な金がかかるのと同じように、
災害防止についても、特に
中小企業その他に重点を置いてやる、あるいは新規に入った人に安全衛生の教育を十分にやるということになると、やはり相当金がかかってくるわけです。こういう企業に対する財政上の措置、これはちょっと見るとこの
法律にはないわけです。普通は、やはり
災害を
防止するためには、金融機関その他から金を貸してやるというのが必ずついておらなければならぬと思うのですが、罰則のみがついておって、そういう財政的な援助の問題というのが欠けておる
感じがするのです。りっぱな
基本計画ができ、
実施計画ができても、これはやはり財政的な援助措置というものを考えてやらないと、竜を描いて眼を入れないことになる。煙はうんと出る。この煙を吸ったら肺ガンになる、横浜ぜんそくが起こることはわかっておるけれ
ども、川崎の煙をとめることができない。とめようとすればばく大な金がかかって、企業が倒れるという問題があるわけです。それと同じ形が、大なり小なり
労働災害防止の問題についてもあると思うのです。だからわれわれは学生のときから、
労働災害を
防止する安全衛生の教育というものはおやじ教育だということを言っておった。やはり経営者の教育が一番大事だ。そういう意味で、あとから御
質問をいたしますが、協会をお
つくりになると思うのですけれ
ども、こういう
実施計画をやり、
災害の
減少目標を
立てる場合に、それぞれの
産業別、
業種別に
防止のための
対策をやろうとすれば財政上の措置を必要とするが、それらの問題に対する
労働省の見解をひとつお聞かせ願いたい。