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滝井委員 労働災害について
安全衛生上の
措置を講ずるのは、今の基準法なりの建前から見れば、当然これは事業主の責任でございます。しかし、これは
労働災害を
防止するために事業主の
団体による自主的な活動を促進する、こうなっておるわけです。事業主だけで
災害防止を目的にする
団体をこの
法律でお
つくりになる、こういうわけなんでしょう。それならば、もっとさらによくするために、
労働者もこれに加えた方がいいわけなんです。この
法律の目的をごらんになっても、基準法等と相待ってやるわけですから、基準法は基準法です。基準法は事業主がおやりになったらいい。そして外につくる
団体は、労使が
一体になって
産業災害を
防止する運動をやる。その目的は、この
法律の目的から出てくるいわゆる
労働災害防止団体中央協会の
業務をごらんになると、どういうことをやるかというと、「事業主、事業主の
団体等が行なう
労働災害の
防止のための活動を促進すること。教育及び
技術的援助のための施設を設置し、及び運営すること。
労働者の技能に関する講習を行なうこと。情報及び資料を収集し、及び提供すること。調査及び広報を行なうこと。」こういうことは、
労働災害を
防止する労働
団体も当然考えなければならぬ
問題点なんです。従って、これは労使
一体になってやることの方がいい。私がなぜこういう主張をするかというと、こういう事業主ばかりの
団体ができると、これは選挙にも利用されるわけです。しかも
労災の金を出しておるわけです。たとえば、ここであまり例を言いたくないんですが、今全国安全何とか協会というのがあります。これはまだ国の金が出ておるかどうか知りませんけれ
ども、あるわけです。これはやはり事業主ばかりがつくっておるのです。そうすると、これは選挙に利用されてくるわけです。そこで中央
労働災害防止協会というものを事業主だけでやると、そういうおそれが出てくるのです。
災害を
防止するためにできた
団体が、選挙に利用される
団体になったら大へんなんですね。今度私たちも痛切に感じたのは、北九州の市長選挙で、八幡製鉄が下請をぎゅうぎゅう締め上げた。そうして、もしおれの方の言うことを聞かなければ発注しない、こうまでやられるわけです。こういう形が出てきたわけです。なぜ
一体そういう形が出てくるか。それは八幡製鉄におけるあの七色の煙を出す煙突に集塵装置をつければ、一本について千万円くらいかかる。二百本あれば二十億円になる。こんなものを、社会党が市の天下をとってやられたら、大へんだという杞憂なんです。全くの杞憂なんです。社会党が天下をとったって、そんな無茶なことをやるはずはない。会社の経理なんかも考えますし、住民の福祉も考えまして、ちゃんとやる。そういうことがあるわけです。だから、私たちはこの問題については反対です。事業主ばかりでやるなら、私一人でもこの
法律は通さない。だから労使双方が入る、そういうふうに修正をしてもらわなければならぬ。そうしないと、
労働者の金を出すのですから……。そうして労使
一体になって、
産業災害を
防止するという
方向に向くべきだと思う。そういう
方向に向かないと、これが事業主だけの
団体になると大へんなことになる。必ず選挙に利用します。殷鑑遠からず、幾らでもあるのです。だから、たとえば、隣に柳谷さんがおると怒るかもしれぬが、国の金が出ておる国民健康保険
団体、それから社会福祉
団体、こういうものは自由民主党の現役の代議士が全部会長になってきておる。こういうものができると、やはりそういうおそれがある。そういうことは明朗でないのです。われわれの税金にひとしい金が出ておるところの会長に、現役の代議士がなる。そうすると、やはり
予算の取引は、一種の体のいい収賄、贈賄の形になってくる。だから、それは
予算を現役の代議士が行ってとってくるわけですから、それはフェア・プレーじゃないわけです。大政党だから、そういうけちなことをやらなくても自由民主党、絶対多数をとれますよ、今の社会党の
状態では、率直に言って。だから、そういう点では、やはり国保連合会なんというものは、現役の代議士なんかは入らぬという政治的な良心が必要なんです。こういうものも、ほんとうに
災害を
減少させようとすれば、労使
一体にならなければだめだ。労使協調をほんとうにやろうと思うならば、こういうところからフェア・プレーをやっていかなければならぬ。そうでなければ、私は全部
一般会計から出すべきだと思う。そうして厳重な会計検査を受けるようにして一これでも受けられるけれ
ども、やはり
一般会計からやる、
労災からは出さない。そういう形に持っていかないと、やはり不明朗になってくる。従って、今の理論は、労働基準法で
安全衛生その他のものは事業主がやるんだから事業主の責任だけれ
ども、これは何も事業主の責任ではない。外につくる
団体ですから、労使双方が入っていい。
労働者は入っていけないですか。入ったら何か
労災防止に大きな支障がありますか。むしろ逆じゃないですか。
労働者を入れて、お互いにここは悪いところがあるといって、現実に働いている
労働者からその資料をそこに出させる、そうしてフランクな立場で事業主がこれを受け入れてもらって、直していく。これは主として啓蒙宣伝的な役割を演ずるのですから、まさか
労働災害防止団体が、各
企業に行って金を助けてやるわけにいかぬのですから、啓蒙宣伝的な役割、いろいろな
機械器具の試験研究をやって、こういう
機械器具を用いた方がいいとか、こういう
方向に
安全教育をやった方がいいとか言うことが主だと思う。それならば私は、労使
一体になってやるべきだと思う。この点は、大臣は
一体どうお考えになっておるか。