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渡海政府委員 第一点の現在行なわれておるところの
医療保険制度には、その
給付内容に種々
格差がある。これを
改善しなければならないという点は、御
指摘の
通りでございます。特に
国民健康保険の
財政が非常に弱いために、その運営等においても、社会
医療保険としての
実態を阻害されつつあるという現状は、御
指摘の
通りでございます。私自身、
国民健康保険の運営をやって参りまして、その苦しさを十分なめて参ったつもりでございます。答弁になりますかどうか、余談にわたりますけれども、私、先般も東北の大会に参りましたときに、本
年度の
予算獲得目標に向かいましての大会でございましたが、
要望通りの獲得が得られても、なおそれで
保険者としての苦しさは減るのでなくして、七割
給付にした分の幾分かでもふえるのであって、結局これに対するところの抜本的なてこ入れがない限りにおいて、
保険者の苦しさは続くものと思います。ぜひともそういった方向で行ないたい、かように述べたような次第でございまして、今、
井村委員御
指摘の点につきましては、私
たちとしても今後早急に検討しなければならない問題である。またこれなくしては
医療保険の
実態は完備しないと、かように
考えておる次第でございます。
具体的に現在ありますところの保険
制度を地域的に統一してはどうだ、こういうふうな御
指摘がございましたが、御承知の
通り社会保障制度審議会から出されておりますところの
答申も、ある
程度の統合を唱え、またこのための
プール制を叫んでおります。今、
井村委員が一例としてあげられたすべての保険を地域的に統一してはどうか、
財政的強化をはかってはどうかという御
意見も、医療担当者側の
団体等から出ておる
意見でございます。率直に申し上げますと、私
たちといたしましては、この
社会保障制度審議会の
答申も、幾分おそきに失するのではなかろうか。また今、
井村委員が事例としてあげられましたやり方は理想ではございますが、
現実の問題として非常に困難性が伴うのではなかろうかと、私
たちは行政を預かる上におきましては、そういった点も考慮しながら
考えておるのでございますが、そのやり方といたしましては、
被用者保険全般に通じましては、
プール制の
実施等によりまして、ある
程度の
財政の均衡化に資していきたい、かように
考え、その
プール制の
実施の
方法も、行なわれやすい一定の共同施設に対する
実施を行なって、この
プール制を実現に移していきたい。しかもそれは早急にやりたい、かように
考えております。
国民健康保険の強化については今後とも努力いたして参りますが、これと現在の
被用者保険との統合という問題は、御
意見でございますが、なかなか困難であろうと思います。さしあたりはでき得る限りの
財政力豊かな
被用者保険の
給付内容の拡大によりまして、間接的に
国民健康保険の
財政の強化というものもはかって参りたい、かような
考え方で、本
年度におきましても、
被用者保険における
給付期間の延長とか、あるいは
任意継続の期間の延長等を行ないまして、間接的ではございますが、
国民健康保険の
財政強化の一端にいたしたい、こう
考えておるような次第でございまして、今後とも早急にさらに根本的な検討を加えまして、御
要望のございますような線に持っていきたい、かように
考えております。
第二番目の医療行政
全般にわたる問題で、現在
保険者側と医療担当者側との対立によりまして、国民に非常に御迷惑をかけているということは、まことに申しわけないことでございまして、私
たちも全国民に向かいましてぜひともこれの確執をなくして、医療を
ほんとうに国民のための医療といたしたいと思って、日夜努力しておる次第でございますが、微力まだその域に至っておりませんので、御了承賜わりたいと思います。
今いろいろ
保険者団体に対する御批判、あるいは医療
団体に対する御批判等がございましたが、
当局という立場でございますので、今の御
意見に対する私
たちの
意見はお許し賜わりたい、こう思うのでございますが、私
たちといたしましては、大体だれがその責任を持つのだと申しましたら、自主性がないじゃないかと言われますが、私は厚生大臣が医療に対する全責任を持っておる、かように
考えております。この点はあくまでも堅持して、国民医療に差しつかえないように、全責任を持って行なわなければならない、かように
考えております。しかしながら民主政治でございますので、できる限り学識経験者、しかもこれを直接担当される
保険者あるいは医療担当者側の御
意見を聞いて、運営ができるのであれば、より適切な、よりりっぱな医療が行なわれると思いまして、そういった
制度を法定していただき、この
法律のもとに
ほんとうの民主的な運営のあり方をなし遂げたいと思って、努力いたしておるのでございますが、事志と反しまして現在まだその域に達しておらぬ、かえってこれらの
制度が阻害をして、医療の責任はだれがやるのだというふうな御
質問を受けるような現状に陥っていることは、私
たちも率直に反省しなければならぬと思っておりますが、根本的に責任は厚生大臣にあるのだ、その運営を民主的にやりたいために、直接の
関係者の御
意見を聞く
制度をやったのでございますが、なかなか利害
関係が相反するものでございます。長年の感情的な問題も含んでおりますので、これが困難であるということは事実でございます。しかしながら私
たちは、自分らの責任とともに、これらの運営をやることが、真に国民医療を完全ならしめる目的であるというところから、誠心誠意、何ものにもとらわれず、民主的運営の
実態に向かいまして突き進んでおるような状態でございまして、この責任を果たされないような事態に立ち至れば、あるいは現行法の
改正その他また国会の
先生方の御
意見をお聞きしたい、こう
考えざるを得ないだろうと思いますが、とりあえず私
たちは、民主的な運営として示されました現行法のもとに、私
たちの責任として、何ものにもとらわれず、偏せずに、
ほんとうに国民の医療のための医療のあり方を求めて、
関係者団体に協力方をお願いしておるような段階でございますので、せっかく
委員各位の御援助を賜わりますよう、この機会に特にお願いいたしておくわけであります。
特に私見でございますが、私は日本の医療というものは、世界にある
程度誇り得べき水準に上がったのではなかろうかと思うのでございます。この世界的なレベルに達しております医療を、すべての国民が享有することができてこそ、初めて日本の医療が世界的レベルにあるのだということが言えるとともに、この現在ある水準をより一そう伸ばしていくための医療
制度でなければならぬ。それであってこそ初めて国民のための医療である。そういった根本観念に立って、今後保険運営というもののあり方を
考えていただかなければならぬ。全責任は厚生大臣にあるのだという立場から、国民の医療として欠くことのできない点は私
たちは堅持しつつ、しかも現行法で示された民主的運営を求めまして、今後ともに努力を続けていきたい、かような決心で目下当たっておる次第でございますので、何分御了承賜わりたいと存じます。