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小林(進)
委員 年度計画について、
大臣が今計画を進めていただいておるということは、これはまことに
感謝にたえません。
一つ早く完成していただいて――おそらくこういうものを御完成になるときには、あなたの部下の厚生官僚は、やはり四囲の
状況を見ながら非常に臆病になるはずであります。これはこの諸君は、本質的に臆病になる性質を持っておる。とくに、御存じかもしれませんが、今から三年ばかり前ですが、三十六年の厚生白書ですか、出しましたときに、われわれが見てもややすっきりした、厚生省としては画期的な白書をつくった。よくやったなと思うと、たまたま時の総理
大臣の逆鱗に触れた。そうして中山マサ女史がそのときに
厚生大臣をやっておられて、非常に彼女の
大臣の余命を短くしたという、世にも悲しき物語があるのでございます。そういうわけあります。それからまた厚生白書の
内容がくるっと変わってしまったのです。何が何やらわからぬ、
目的があるような、ないような、わけのわからない白書に形が変わってしまった。こういうことがありまして、私
どもは今でも何かの拍子には三十六年の例の問題の白書を持ち出しまして、今でも見ておるが、見て味なところを感ずる場合がしばしばあるのであります。しかし、今度はとにかく長期の計画なんですからね。将来の厚生行政はどうあらなくてはならぬという問題でありますから、そこは
一つ勇敢につくってもらわなければいけない。何も今すぐやれというのではない。時の
政府を批判するのではないのですから、かくありたいという
一つの社会保障のビジョン、夢を描き出すのでありますから、その意味において
大臣も、そのときにはしっかり官僚諸君のふらふら腰ぐらいはどやしつけても、おそれるな、おれが責任を持つから、
ほんとうに後世だれに見せても恥ずかしからざるものをつくってこいというぐらいな勇気を与えて、りっぱなものをつくらせるように
一つ御指導をいただきたいと思うのであります。過去にそういうおかしな例がありますので、あえて御要望申し上げる次第でございます。
なお、今の国民健康保険の仮定の問題でございますが、四十三年の五カ年計画を四十二年まで縮めて、そして家族、世帯主を含めて七割給付をやって、あと残された三年間で社会保障制度
審議会の答申のように九割給付まで持っていきたいという、こういうお
言葉でありますが、そこには若干苦しさがあります。それは、ちゃんと世帯主を含めて七割まで持っていくのに五年かかるのに、そのあとまた全部含めて二割上げるのに、あと残された三年くらいでできるなんというこは、いささか無理があります。しかし、それは将来の問題でありますから、ここで議論をすることはやめたいと思いますが、せいぜい早くそこに至るコースを具体的に示す、そういう長期計画書を作成していただきいたと思います。
それから第二番目は、今も申し上げましたように、先ほどの
年金の問答の中に出ましたが、どうしても五百円以内の減税、二割、八百六十万人という数字は、これは僅少に過ぎるのでありす。いま少し腹をきめて、今年度は別といたしましても、来年度
あたりはもっと大幅に負けてもらえないかと
考えるのであります。
それから、
大臣にこんなことを言っては釈迦に説法でありますけれ
ども、
所得の低い大衆に国として与え得るものは、病気になったときに、まあ安心せい、
一つ国が
めんどうを見てやろうという、ぎりぎり決着の
医療保障くらいは完成して与えておく。四十年、五十年、何も恵まれない低い
所得の中に、文化の恩典にも浴さないで暮らしてきたそういう
所得の少ない人たちに、六十なり六十五になったら、これから先は、
一つ君の晩年は国が保障してやろうじゃないかという
所得保障、この二本くらいの柱は、私は思い切って社会保障の面でやっていただかなくてはならないと思う。そんな面において、農村に農林
大臣が行ったりして、怪しげな農林行政なんかやっていますけれ
ども、あんなのはだめなんです。私はあなたにばかり言っているのじゃない。この前も農林
大臣に予算
委員会で言いました。あなたの農林行政なんか、怪しくて聞いていられない。百姓をしたこともない者が、百姓に対して適地適作主義だ、この土地に適した農作物をつくれ――その土地で生まれて、その土地で百姓をして、その土地で死んでいく者は、その土地に何が一番いいかぐらいなことは、しろうとの農林
大臣に聞かなくても知っている、そんなことを指導している農林省はだめだ。おかしくてしょうがない。何ぼそんな農林行政をやったって、限られた土地で、限られた現在のわが日本の農政の中で、農民の生活や中小零細業者の生活が、その格差を縮めて、人並みの生活ができるなんということがあろうはずがない。できるというのは、ごまかしなんです。そんなことはできるはずがない。できるはずがないその生活の中で、
ほんとうに
めんどう見得るものは、厚生行政しかないんですよ、
大臣。今も言う
医療の面と晩年の
所得保障の面と、これは二本だけで、その恵まれざる
所得の格差をその面で補ってやるという以外には私はないと思う。われわれの理想とする社会党の天下になって、社会主義の世の中になればこれは別だが、資本主義の世の中、資本主義の経済と資本主義の
政治の中では、私はぎりぎり決着はそれしかないと思うのであります。その意味において、ここは
一つ大臣もふん切っていただいて、そんな貧しい諸君から無理に保険料をとるなぞというようなことのないように、がんばっていただきたいと思ってこます。これは
大臣の姿勢の問題ですよ。先ほどから繰り返すように、各省と比較対照して厚生予算はよその省より比率でよけいとったという、そういう次元で争っている問題ではない。全く別の角度から
一つがんばっていただかなければならぬ問題だと思うのであります。
大臣、いかがでありましょうか。年収十万円にも満たない者が多数を占めている層の中から取り上げている現在の保険税が、はたして適当であるとお
考えになっておりますかどうかをお聞きいたします。