○井堀
委員 せっかく
厚生行政の立場から基本
調査をおやりになっておりながら、実際を拝見いたしますと、どうも総理府の家計
調査や商工
会議所の
調査などが、存外影響力を持っておるように思われます。そうすると、われわれとしては、一応総理府の家計
調査の問題を堀り下げていかなければならないことになってくる。もちろんそれはそれといたしまして、ここで問題にいたしたいのは、一体地域的な差も問題になりましょうが、それでさっきの農村と都市の
関係、あるいは所得者の中でも、ただ単に所得が低いから、高いからということを名目的な所得だけで判断するのでなくて、質的な問題が取り上げられてくるようにならなければならぬじゃないか。こういったような
関係が今後当然出てくると思うのです。そういう
意味で、私は
厚生省の
厚生行政基本
調査というようなものが存外ものを言ってくると思う。そういう
意味で、あの
調査に対しては相当私は期待をかけておるわけです。問題は、要するに、
調査のやり方についてもっと堀り下げて問題にする必要があると思うのでありますが、他の問題もありますから、この
関係につきましてはいずれ近く機会があろうかと思いますので、その節にお伺いしたいと思います。ただ、注文だけをいたしておきます。少なくとも、やっぱり理論生計費というものがある程度出てくると思いますが、その理論生計費に実態生計費というものが見合ってきてないという事実を、あまり無視しているのじゃないか。日本の場合は、先ほど来
大臣に
質問いたしましたように、産業構造、あるいは人口構造、あるいは
生活の実態というものが、統計の上で把握されていないという悩みがあると思うのです。こういうものを総合的に、一応
厚生省としては問題にしてもらいたい。たとえば労働省は労働省で統計をとっております。それから地方の府県では力のあるところはやっているし、ないところは何もやっていない。実に突っ込んだ話をしますと、こんなでたらめはない。専門家に言われるようなつかみで
基準をつくっておる。その
基準を上げた下げたで、われわれも予算を承認したり、批判をしたりしておるわけです。これもずさんだ。少なくともさっき申し上げたように、日本の
国民生活の
基準というものをどこに置いたらよいか。それを厚生白書の中でも明らかにすべきだと思うのです。それは今日の
段階においてこれだ、
社会保障制度を十年後にはと言っておりますけれども、一体十年後の日本というのは、ちょっとおかしいと私は思うのですけれども、それは別な
意味があると思うのですが、十年も待っていたのじゃ競争に負けである、だめになってしまう。だから
社会保障それ
自身がそういう姿を整えてくるという抽象的な
意味だと思うのでありまして、少なくとも
生活保護のような低所得者対策、特にそれが勤労者層に多いという場合においては、もっと他のものに率先して、
生活水準というものはここにある、たとえばエンゲル係数を持ってくるということは、これだけの労働力を捻出するためにはこれだけの再生産費がかかるというものは持っていなければならない。しかし、
厚生省の見解とあるいは他の行政庁の見解が違うという場合はあるかもしれぬ。しかし、そういうものを出して
国民の批判を受けて、修正をするなりあるいは成長させていくという、そういう気魂がなければ私は権威がないと思う。そこで、私は失礼な言い方ですけれども、
国民生活の水準とは具体的には何かと言ったら、さっきあなたに御
答弁をいただいたように、総理府の統計と二、三の資料を出されるに違いない。それを私が追及してそんなものは
国民のどこだと言ったら、実にたよりないものになっちゃう。存外こういうところに
厚生行政のおくれがあるのではないかと思う。おくれを取り戻すためには、大胆に、
厚生省の基本
調査によれば、
国民の——これは地方のいろんな色分けはあるでしょうけれども、それはここだという線を出して、そして批判を求めればいい。そういうあり方でなければならないじゃないかと思うのです。まあいろいろな立場があってやりにくいが、
大臣がいませんから次官に注文しておきたいと思います。
事務当局としては、
政策にそれによって大きく影響させますから、
政策上の見解が固まって、そうして許可がなければ出せないでしょうと思いますから、そういう意欲を具体的に
実現してもらいたい。そうすると、それだけでも
一つの進歩になる。今一般の賃金や所得の問題を論議する場合には、どうも日本の場合には腰だめが多い。その一角として、
厚生行政の中で最低
生活という以上は、その最低
生活は、こういう理論生計費と実態
調査でこうなる、しかし、われわれはこういう答えを求めるということをはっきりさせることを
要望しておきたい。そうしませんと論議がから回りする。きょうはこの程度にとどめておきたいと思います。
それから保護法の運営の上で、
方々で私どもはいろいろ陳情を受けるのです。それは、
一つには地方公共団体の財政が困窮しているというような事情も影響してくると思うのでありますが、なるべくああだこうだという条件をつけてチェックするという傾向がある、最近はだいぶ改まってきたようですが。それから一般の人がそういう事務に不案内だということで、手続などにももちろん落ち度があるものもあります。そういうものは指摘したらいい。やはり窓口の指導だと思いますね。これはむずかしい他の行政と違いまして——もちろん法律に規定された仕事でありますから、それ以上のことはやれぬでありましょうけれども、少なくとも
厚生行政の場合においては、保護行政の本質というものをはっきりつかんで、そうしてその精神にのっとって運営が行なわれていくということが望ましいのであって、そのためには一般の職員と違いまして、そういう教育といいますか、訓練といいますか、そういうものが必要ではないか。もっと言いますならば、
厚生行政についてさっき
大臣にお尋ねいたしましたことに対して、お答えは全く同感の意を表されたのですが、そうだとするならば、これは末端についてもっと
要望をするという前提に立ってでありますが、どうもほかのものに比べていろいろ条件が悪いのです。せっかくそういうものに精通して専門家になるといいますか、なっても栄進の道が閉ざされる。それから待遇がほかのものに比べてあまり上昇してこない。一口に言えば割に合わないということ。私は
厚生行政は特にそうだと思うのでありますが、そういうところにはもっと優遇をしていくようにしなければいけない。これは一般に言えることであります。どうも一般的に見ますと、貧乏人を相手にしておるものだから貧乏くさくなって、同情はするけれども意欲がなくなっておる。もっと私は意欲が持てるようにしなければいかないと思う。これは今の待遇の改善が前提になると思います。もし
厚生行政が軌道に乗るか乗らぬかということになりますならば、
一つには、先ほど来
質問いたしましたように、基本的問題について
政府の方針がはっきり示され、同時にまた、それが末端にまで行き届いて、そうしてその人
たちの仕事が認められるという体制をつくり上げていく。これは保護行政だけではありません。全体の
厚生省の出先の問題であります。とかく権力を持たせると勇ましくなるが、権力の乏しいところは、どうも萎縮してしまう傾向が残っております。せっかく局長は全国的にそういうものを指導なされる立場ですから、そういう方面にも大いに予算を請求されて、待遇改善、さらにはそういう人
たちに栄進の道を開くというようないろいろな
方法があるかと思います。意欲を持たせる
方向にしていただかないと、せっかくいい法律をつくっても、末端にいきますとどうも隔靴掻痒のきらいが非常に多い。私に陳情が多いのですが、この機会に
要望いたしておきたいと思います。
次に、社会福祉施設
関係の問題でありますが、これは先ほど
大臣に
質問いたしましたように、今まんべんなく割り振りをするといいますか、国の助成金あるいは交付金のような形の場合はある程度やむを得ぬかと思いますけれども、われわれが国政
調査で地方を回ってみましても、どうも画一的に、どこの府県は何ぼというようなやり方がまだ依然として強いようです。そればかりではもちろんないでしょう。やはり現在の姿をもっと再
検討されて、来たるべき日本の人口構造なり、あるいは経済の躍進などに備えて、そしてこういう施設はここになければならぬというようにしなければならない。私は思ったのですが、かなり山間
僻地に鉄筋の四階建の公団住宅ができているんです。どこにも分けてやらなければならぬということで分けておるのかもしれません。それもいいかもしれませんが、ある
意味において悪平等ではないか。だからそういう末端の山の方は、むしろ鉄筋のコンクリートで建てるよりは、材木も近いところにあるでしょうし、風致
関係からいっても、木造の方が案外いい場合もある。これはしろうと
考えかもしれません。こういうような実際にその土地にそぐわないようなもの、それは地方庁に委任してあるからそうなったのだとおっしゃられるかもしれません、あるいはそうかもしれません。しかし、それにしても、やはりもっと
厚生行政としては一貫したものが地方にも流れて、下の地方の意見も十分採用するということは大切なことでありましょうが、おまかせにならないで、やはりある程度こちらの企画を明らかに示して——もちろん、その前に企画がなければならない。さっき
大臣の御
答弁では、そういう点、心細いのです。そういう
方法で、
厚生省関係の予算をもっと効率的に運営するというところに
一つふんばって、そうして必要な経費、必要な事情を明らかにして強く訴えていくべきじゃないか。われわれ野党といいながら、
厚生省の予算その他については、決して協力を申し上げるのにやぶさかではありません。いな積極的に予算の確保をしていただいて、自由主義経済の中における
厚生行政のあり方を
一つ敢然としていただきたいと思うのです。そういう
意味で、今言う福祉施設なんかについて、幾つか材料を持っておりますけれども、抽象的な
要望だけいたしておきたいと思います。
それから次に、これはあなたの
関係ではないかもしれませんが、非常におもしろい例を見てきたのであります。これもさっき申し上げた厚生年金の還元融資
関係、今度は
国民年金
保険が一緒になったものでありましょうけれども、どうもおかしいと思ったのです。府県の名前は遠慮させていただきますが、全体の統計からいうと、非常に低所得者の多い県です。そこが
国民保険の加入率が非常に高いのです。低所得者がこんなに多いところでどうして
保険の加入の成績が良好なんだろうと思いまして、少し立ち入ったのでありますけれども、いろいろと資料をちょうだいして
検討してみた。ところが、厚生年金の還元融資を受けるとして、
国民年金事業団の資金を借り入れるためにはそういうことが必要だということらしかったのです。とにかく私がそういうことをここで申し上げるのは、いろいろなやり方が必要でしょう。ということは、どうもお役所の仕事の中でつらいところであるかもしれませんけれども、形式にこだわって実質を見失っている。こういう点は、他の役所と違ってもう少し
政策が流れてきて、そういう場合にも——それは実際だれでもわかりますよ、向こうでも言っておりました。これも手ですといって、まんまとその手に乗っているようです。手ではないかもしれません。あるいはそういうことできめると、役人にやかましく言われないで済むということかもしれませんが、これはほんの一例でありまして、どうも
厚生行政がこういうことになると
意味をなさなくなる。それと似たようなケースは随所に見受けられる。たとえば託児所の設置の要求がありましても、府県の順番をつけて出すのです。順番をつけて出すと、その順番に乗っていけば
責任が軽くなるからでありましょう。一体
厚生行政の基本
調査をやる場合に、府県の資料だけでおやりになるのか、あるいはそういう実態を直接統計の上で把握なされるような仕組みになっておるのか、実はこの機会に伺っておきたいと思う。一体実態
調査をおやりになるときは、たとえば労働省の場合は、労働
基準監督署を使って
調査をやるというようなことは、これは権力もありますし、それから手足を持っておるということであります。
厚生行政の基本
調査は、非常に勉強になりますから私ずっと見ておりますが、信憑力を疑う点が非常に多い。これはどなたからお答えいただけるのですか。