○尾村
政府委員 ただいま保健所機構、組織の西欧諸国との比較の御質問でございますが、これは比較いたしまする場合に、見方によっては
日本が世界一である、こういう見方もあるわけでございまして、そういう声も出ております。といいますのは、
日本の全人口を全部一定の区域に分けまして、これを全部保健所がおおって衛生行政の先端としてやっておる。現在八百三地域に分かれておりますが、西欧諸国には、衛生行政組織が画一的におおっておるというところはまだないのでございまして、大体アメリカにいたしますれば、市町村の衛生課というものと、それから主として乳幼児等の診療サービスをするいわゆるヘルス・
センター、これらがあるところとないところ、ないしは一方だけというふうに組み合わさっておりまして、
日本のように、国の
立場で
法律に基づいて一挙に全部をおおって、必ず規格的に置くというところはいわゆる西欧諸国には少ない。ただ英国だけが
日本の保健所と違いまして、国家
医療組織という中で地区を分けております。これは、中心はそこの
医療サービス、いわゆる国営の
医療機関を末梢まで及ぼして、これが同時に保健指導の仕事を預かっておるというような形の混合制度は、英国は国営衛生制度ですからございます。従いまして、今の
日本の保健所機構そのものは、世界的には先端をいっておるということをしばしばいわれております。いわゆる世界の保健機関であるWHOにおきましても、大体
一つの形としては、
日本のような形に
相当な国が到達するということが、むしろ目標としていわれておることが多うございます。ただし、この保健所の組織の問題になりますと、これは一個々々の保健所は、先ほど
大臣も申されましたように、現在
医療関係従事員の非常な獲得難でございまして、組織的には保健所長以下三課長、係というふうにがっちりしておりますけれ
ども、現実の人を得られなくて、場合によっては、医師は保健所長たる者一人というようなところも
相当数あります。保健婦にいたしましても定員を満たせなくて、全国的には現在約七二%、医師は約六〇%しか充足できない、こういう状況でございまして、組織上には確かに問題がございます。
それから未来図といいますか、到達点、指標という
お話でございますが、大体保健所法でも人口平均十万に一カ所ということがうたってありまして、これから見ますと、九千五百万とすれば九百五十カ所は一応要るわけでございますが、現在、ただいま申し上げたように本所八百三カ所でございます。それだけでも百何カ所が現実に不足しているということでございます。しかし、私
どもの
考えでは、あくまで平均数はそういうふうに持っていく。従って、四十五年度までには、その年の一億二百万という到達人口に対しましては、やはり千カ所近くの保健所を持つ。ただし、配分の仕方は、やはり地域の広さと人口の密集度によりまして、大都会には必ずしも十万単位で置かないで、非常に連携の保てる地域をおおいまして、あるいは十五万あるいは二十万というのが適切な場合もございます。それから小さい人口であるけれ
ども非常に交通が不便というような場合には、三万ないし五万程度の所あるいは支所を分割しておくというようなことも必要でございます。大体さような意味でこの四十五年度の長期計画の中に算定中でございまして、大体保健所の機構としての指標はそれを目標にする。さらにその従事員の充実策につきましては、現在も、
昭和三十五年に都会型、中間型、農村型、僻地型と新しく変えましたので、これに理想人員を算定しておりますのが、先ほど申し上げました分母になっている定員数でございますが、これをもっとさらに改編すべきものは合理化しまして、要はこれを百パーセント充実するという形でいろいろな手をその間に打っていく、こういう形でございまして、本年度もその
一つの方策としては、やはりまず待遇改善が必要であるということで、医師の単価につきましては、前年度の
補助単価をさらに一割引き上げるという
予算をとりあえず編成をいたしております。昨年度も前年度に比して
相当額の引き上げをいたしましたが、これを例年
相当額ずつ進行させまして
相当なところまで到達する、これが必要でございます。これは、ほかの保健所員の処遇につきましても、医師ほどの格差を一般職員に設けるのはまた不適当な面もございますが、できるだけ需要供給の困難な面には待遇改善を特別に
考えるということで、今進行中でございます。
それからいま
一つの問題は、建物があまりにもひどうございます。これは先ほど
大臣が申された
通りでございます。来てみると、今にもこわれそうなまるで居心地の悪いところでは、こういう忙しいまともな業務がとれませんので、これの改築、修築の方を今スピードを上げております。三十六年度に比しまして三十七年度は改築も倍増になりましたが、さらに今年は、前年を五割上回るという形で二十五カ所の根本的な改築というのがことしは
通りました。大体今の計算では、これによりますことと、それから毎年五カ所ずつ今新設をいたしまして、もちろんこれの職員は採りますが、こういう形でいきますと、四十五年の目標には、もう少しスピードを大幅に上げればこれは到達できる、こういうような形で進んでおります。
それからなお、医師を中心とする
専門家職員の獲得には、どうしてもやはり設備が近代化しつつありませんと、せっかく来ましても十分な
医療活動ができないと同時に、興味もわかないということでございますので、保健所の設備の
経費も若干ふやしましたが、それと同時に、保健所が各
事項別に委託を受けておりますたとえば灰、いわゆる原子灰の分析の委託を受けておる、あるいはヴィールスの
関係の委託を受けておる、そういうような
関係で、
事項別にある程度ずつこの整備を、それぞれの費用を受け入れてやる、こういう形も今増加いたしております。そのような形で、なかなか思うようにはなりませんが、保健所の機構、組織をほんとうに需要に合うように充実する、こういう線でただいま
努力中でございます。