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吉村委員 潜在失業者の問題というのは、特に日本の場合には重要だと思うのです。外国の例から見てみましても、完全失業者というのは日本には非常に少ない。しかし、では一体失業者が
ほんとうにいないのかということになりますと、今各方面から言われるように、最低
生活といいますか、そういうものをようやくしているというものが
相当数おるわけですから、
労働省の今のような見解に立った潜在失業者の把握が正しいかどうかということは、非常に疑問があると思うのです。私はこの際、やはり
雇用審議会で一応明らかにしたような所得基準というものから出していくことが、
労働省的な
考え方ではないかと思うのです。なぜならば、
雇用かいなかということは、
生活ができるかできないかということが
基本の問題ですから、就業構造上の問題ではなくて、結果として、その
労働者が
生活できるのかできないのか、できるだけの賃金がもらえるような場があるのかないのか、ここが一番問題のはずですから、そういう
状態から見ますと、就業の構造、需要の
状態というもの、条件というものをどうつくるかということは別問題として、結果的に
労働者が働こうと思っても働く場所がなくて、しかもまた、その収入というものが非常に少ない、
生活に支障を来たしている、こういうところを基準にして考えていくしかないんじゃないかというふうに思うのです。ですから、この点がどうもあいまいになっているところに大きな問題がひそんでおりまするし、
雇用審議会は
雇用審議会としての
考え方で潜在失業者というものを定義づけるし、
労働省は
労働省としての
考え方で把握をしていこう、これでは的確な
対策というものは出てこないと思うのです。この点は
一つ十分検討していただいて、そうして潜在失業者の数というものを明確に把握をする、それでこれに対するところの適切な
対策を打ち出していく、そうでないと、
雇用不安というものは将来増大をするというふうに思います。この点については特に当局の方でも十分重要視してもらって、いい
対策というものを打ち出してもらいたいと思うのです。そうでないと、この潜在失業者というのがやはり大きな社会不安の原因にもなるし、あるいは
労働者にとっては労働条件低下の遠い原因にもなっている、こういうことにもなるはずでありますから、
雇用問題の
解決のために、ぜひとも潜在失業者の問題について真剣に取り組んでいただくように強く要請をしておきたいと思うのです。
まだ特に潜在失業者の問題、それから現在の
労働者の収入の実情等についても実は明らかにしておきたい点があったのでありますけれ
ども、時間の関係もありますから省略をして、あと機会を新たにしたいと思うのです。
私は最後に、
労働大臣並びに当局の方々の強く考えてもらいたいと思うことを申し上げておきますけれ
ども、今の
労働省の
労働行政の中での
雇用対策というものは、どうも経営者が勝手に経営に失敗して
労働者が首になった、あるいは
政府の
各省ばらばらの
政策によって
労働者が
離職をする、これに対するところの再就職をどうするか、こういういわば経営者のしりぬぐい、
各省のしりぬぐい、そういうことに追われているというふうに考えられてしょうがない。
雇用の問題はそういうしりぬぐいの問題でなくて、今日
労働者が働いておる
職場にどう安定をさせ、
生活を安定さしていくか、やむなく
離職をしなければならない者については直ちに次の
職場に行って
生活が安定する、こういう事前の
施策をつくり上げていくというのが、これが
労働者としての積極的な
雇用対策でなければならぬと思うのです。遺憾ながら事後処理的な、しりぬぐい的な
雇用政策に終わっている。こういう点については、十分改めてもらうようにしなければならぬと思うのです。
その次に申し上げたいのは、以上のような
考え方に立ってやっていく中でぜひとも今日必要だと思いますのは、先ほ
ども申し上げましたように、
雇用審議会等でも触れておるわけでありますけれ
ども、まず最賃法というものの検討、これは最賃法そのものにすでに国際的に見ても疑問とされることが多いわけですから、現実にもまたこのことは大へん問題になっておるわけですから、これについての再検討ないしは新たな立法、こういうことを真剣に考えることが必要じゃないかというふうに思いまするし、
完全雇用の
方向を指向する以上は、労働時間の短縮という問題についても、もっと国際的な視野に立って真剣に取り組んでいく、この前の
委員会で、
大臣から千葉県庁の問題について
答弁がありましたけれ
ども、ああいう
態度では、私は
完全雇用を口にする
労働大臣というわけにはいかないと思うのです。そういうものをやはり助長していくという積極的な
態度がなくてはならないという観点から見ましても、労働時間の短縮という
方向にもっと真剣に取り組んでいく。その前の
対策としては、超過労働時間については
法律の
改正なり、あるいは
行政上の指導という観点からしても、四十八時間以上の労働時間についてはこれを強く規制をする、こういう
方向で進んでもらいたいというふうに思いまするし、
労働力の
流動の問題については、もっと本腰を入れて積極的な職業訓練、しかもこの職業訓練の施設等については、都市に集中をしないで、もっと
農村の方に施設を拡大していくという
立場で
労働行政というものを進めていかなければ、
完全雇用ということは口だけであって、実際にはこの実現の
方向に進まない、こういうふうになろうと思います。
政府並びに与党の方でそういうことについて用意がないとすれば、社会党の方では基準法の
改正なり最賃法を新たに提案するなり、そういうことによって、
大臣が再三
答弁をしている
完全雇用の
方向に野党から協力していきたいというふうに思いますから、その際は特に
政府や与党の方で協力をしてくれるものというふうに期待をして、私の
質問は一応終わります。
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