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滝井委員 実は私もそういうことを知っておるから
——大臣に言っておるからなんだったけれども、これはもしあなたが、傷病手当金について生命
保険会社に許す、病室についてもデラックスなものを許す、こうなりますと、今度は生命
保険会社はどうするかというと、優秀な医学生を養成するわけです。心臓外科なら心臓外科の一流に仕立て上げてしまう。そうしてこれを専属にするのです。それはわけなく被
保険者だけを見せることができる。すでに郵政省はそれを始めている。郵政省の
事業団で、被
保険者だけしかそこへ行くことができないようにすればいいのですから、これは可能です。営利会社が、契約した者を、自分のところのおかかえの
——昔でも請願巡査というのがありましたが、それと同じで、おかかえの専門の
日本一流の外科医者を養成して、それにやらせればちっともかまわぬことになる。ですから、あなた方がそういう今の考えならば、これは大へんなことなんです。
大臣、今の
保険局長の御答弁をお聞きになった通りです。これは
日本の
社会保障をどういう方向に持っていくかという根本問題に関連してくるのです。すなわち、問題は、
日本の
社会保障を個人保障中心のアメリカ型にするのか、あるいは完全な
国家保障のイギリス型にするのか、むしろ日経連のこのねらい、生命
保険会社のねらいは、個人中心のアメリカ型と
国家保障のイギリス型の中間に持っていこうとするわけです。そしていわば
国家財政、
池田内閣の低
医療政策の援護射撃になるのです。こういうものをもし許しておったら大へんなことになる。もうすでに法人税で負けたんです。今度は短期のものに目をつけてきているわけです。
ヨーロッパ諸国、アメリカ等を見て、これはアメリカに行ったら、もう
保険会社が独自の都市
計画を立てて、そこに団地をつくって優秀なアパートをつくり、それから住宅を建てるわけです。それはしかも保養地なんです。それでそこに定年になった御
老人を入れるわけです。病気になれば、その
保険会社の生命
保険でやっていくわけです。こういうビジョンなんです。これは
日本の中産階級、今の
家族制度がこわれて、そして老後を保障するために、
日本の中産階級にとっては非常に大きな魅力なんです。こういうビジョンを
大蔵省が出しているのですよ。そのペースの中で傷病手当金と病室だけならいいでしょうというくらいの認識しか
保険局長が持たなかったら、
厚生省は要らないですよ。もう
大蔵省に全部、われわれは大蔵委員会と
一緒になって、これから
厚生行政をやった方がいい。何もそこには
日本の
社会保障に対する何らのイニシアチブもなければ、
主導権も何にもないじゃないですか、それでは私は困ると思うのです。むしろ
大蔵省がこういう案を出すならば、
厚生省の方からこういうビジョンを
大蔵省一つどうだ、こういうことでなければいかぬですよ。
大蔵省から言われることではだめです。もう少し、
大臣、この問題は
日本の
社会保障の根本に関連する問題ですから、もうちょっと真剣に御
検討になって、今の
小山さんのような御答弁では私
たちは満足することはできません。生産性本部そのもののあり方についても、われわれは非常にこれができるときから反対をし、問題にしてきているわけですが、もう生産性本部の調査によってそういうことが企画をされるということになれば、ますますこれは問題なんだ。もちろん私
たちは、
社会保障というものは大きな生産
政策の一環でなければならぬし、経済
政策の一環でなければならぬと考えております。しかしそれが、
社会保障がやはり企業の労務
政策に奉仕するというような形であってはならぬし、またそれが企業の恣意によって運営されても困るのです。そういう点では、もう少し
厚生省、しっかりしてもらいたいと思うのです。一応これは機会をあらためてもう少し私も勉強しなければならぬと思いますが、大蔵委員会その他で出れば、言ってやりたいと考えております。とにかくこういう問題があるということは
小山さんも
御存じになっておるし、
大臣一つ十分勉強をしてやっていただきたいと思います。
次に、私がお尋ねをしたいのは、
医務局長さんの方に関係をしてきますが、去年の九月の二日に、
医療法の改正が成立をしたわけです。
御存じの通り、
医療法は、多分公布の日から起算して八カ月をこえない範囲内で政令の定める日から施行する、こうなっているわけです。
一体今この準備の状態はどうなっておるかということです。われわれが
医療法を改正した目途は、現実に公的
医療機関が乱立をして、そしてお互いにしのぎを削って公的
医療機関同士が共倒れになっている。いわば
財政投融資、
公共投資というものが二重、三重に重なって、非常なロスとむだが出てきておる。これを排除して、都市の集中を排除すると同じように、
医療機関の集中排除をしなければならぬ、これは
日本の人口構造の老齢化その他の点から考えても、あるいはあなたのおっしゃっている都市における
生活環境の非常な劣悪、悪化の状態から考えても、やはり病院の配置その他もこれにマッチしていかなければならぬ、そのためには
医療機関の整備審議会と
医療審議会というものが整備されなければならぬのは当然なんです。
医療審議会というのは、すでに今までの
医療法の中にきちっとあるわけです。ところが、これは委員も任命されていない。法律があって法律を施行しない、医務局は……。
厚生省は
一体医療審議会の委員を、あの法律ができてから九月、十月、十一月、十二月、一月、もうすぐ二月になります、五カ月たっております、
医療審議会の委員は任命されておるでしょうね。同時に、各都道府県にある
医療機関整備審議会は、十分行政指導をして整備をされておるだろうと思いますが、これは
一体どうなっておりますか。そういうことと、
医療法の施行の準備状況はどうなっておりますか。