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坂田(英)
委員 それならさらにこういうことは——私が
豪雪地帯へ行って調べてみますと、
地帯によって違うでしょうけれども、この雪起こしの経費が、一年生から五年生でありますすと、一町歩一万四千七百円かかる。それから六年から十年だと三万八百円かかる。十一年から十五年のものになりますと六万八千二百円かかる。これは労賃も入れてです。十六年から二十年までのものは七万円かかる。この十六年から二十年の費用の七万円のうちで、資材費——鉄線やら雪起こしのいろいろな機械、そういう資材費だけで三万円、地方によって若干の違いはあろうと思いますが、そういうふうであります。これだけのものを小さい連中に融資でやれといっても、やれないのです。
造林というものは補助制度が根幹である。これは当然そうあるべきであると思う。それに融資を加えてきた。融資も要ります。両々相まっていける、これは言うまでもない、はっきりしたことであります。まだ
大蔵省のほうと折衝をされておらぬなら、早く折衝されてやっていただきたい。いま
大蔵省のほうから答弁を得ようとしても、まだ交渉されておらぬとなると、研究もされておらぬのだが、これは間違いない、こういうふうに私は確信するものであり、また、そうするにあらずんば雪起こし事業というものはできない。そこで、六齢までは何とかできる。六齢以上は——いまおっしゃったが、六齢以上のものはいままでは倒れたことがないのです。それは一本や二本ぐらいは倒れるでしょうけれども、ことしの
豪雪で初めてこういう現象が起こったという大きなものです。これは先ほども申しましたように、それにはいろいろの原因があるので、私はこれをよく調べておるのです。なぜそういう大きなものがしかも多量に倒れたかということは、これは長官もよく御存じであろうと思うが、沈降の弊だ。「今年の雪がシマッていて結合力が強いため、この害が大へん多い。匍行によって苗木の根がういてくる」これは小さいものはそうなんです。「今、目にみえるところでは3〜4令級(15〜20年生)の
造林木に対する匍行の
被害がひどい。これは成長の途上にあって幹の抵抗力が弱い上に、この
豪雪が幹上方から押してくるのでひとたまりもなくやられてしまうのである。」これは現地でこうなっておる。これはことしの雪の性質にもよるわけですね。非常にたくさん降ったということのほかに、ことしの性質にもよるわけです。だから、こういうことはなかったことでありまするほど
被害が大きいということ、そのためにこれほど一町歩当たりの経費が多く入用であるということを考えたならば、これは
造林費と同じである。そうでしょう。そうしてこういう山林の、いわゆる国土保全の上からも絶対必要であって、ほっておけない費用です。しかも植えるだけでは長い間収入が上がらぬ、
豪雪地帯では間伐が非常にむずかしい、こういうことである。収益の道がない。大きなものは何とか融通はつくでしょう。これは商業をやっておる兼業の人なら融通がきくでしょう、そうでない以上、融通がつかない。つかぬものを無理にやらそうとすると、貧弱な
農業経営なり、ほかの経営の中からとにかく利息やそういうものを払っていかなければならない。こういうものでありまするがゆえに、これは
造林と同じほどの金がかかる。こういうことしのような状態におきましては、絶対にこれは両々相まってやらなければ、せっかくの救済が死んでしまう。せっかくの救済を志した以上は、これはどうしてもその目的を達するようにしていただきたい、こういうわけでありますから、特にその点をお願い申し上げます。ある意味においては長官の確信を私は考えまして、
大蔵省のほうでもおそらくこれは反対するとがなかろう、こういうふうに私は考える次第であります。
それから、主計局の方がおられますれば、先ほどの
地域差の問題について私は御
質問をいたしたいのであります。
これは先ほども申したのです。政治の問題となれば、これはもう釈迦に説法でしょう。言う必要はないけれども、現在における政治上あるいは
行政上一番大事なのは、
格差の
是正ということです。これを政治力でやらなければ何にもならぬ。経済の動くがままにまかしておいたのでは、ますます
格差ば大きくなる。もう現になりつつあるのです。そういう面から見まして、これはお互いに大いにひとつやっていきたい。これは
大臣がおられたならばもっと
根本的なことをお聞きしたいのたが、きょうはおられませんので、皆さんよく御了承でありましょうから深くは申しませんが、そういう観点に立っていきまするときに、山林所得税の概算控除率も全国一律一〇%ということになっておる。ところが、雪の降るところと降らぬところとを比較しますと、
造林のときにはや問題がある。雪の降るところは、段階をこ
しらえていかなければならぬのであります。これは非常に経費のかかる、また労費のかかる仕事です。そこへ植える。ところが、植えてからの生長率が非常に低いのです。これは全部が全部と言いませんが、石川県の例をとってみますと、研究されましたものによりますと、五十年生の杉に実例をとりますと、収穫材積が、一ヘクタール当たりにみまして、表日本が七百六十立方メートル、ところが石川県の例でいきますと四百四十五立方メートル、こういうぐあいに非常に生長率がおそい。一所によって若干の違いはありましょうが、そういうことである。それから育成費についてみますと、
積雪地帯は、ことしは特別ですけれども、御存じのとおり平年でも雪起こし経費が要るわけです。ことしは特別に十年以上だとか、十五年から二十年までのものが倒れた。こういうことはめったにない。ことし初めてである。しかし、十歳以下のものは毎年倒れるのです。あるいは六歳以下のものは毎年倒れる。そこで、いわゆる雪起こし経費で二万円平均要る、こういうことになっている。また、先ほども申しましたように、雪の降るところでは密植ができない、そこで間伐ができない、そういう問題がある。そこで、同じ収穫は上がっても——一般に三〇%ぱあっと引いていく、その概算控除率というものがあることはけっこうだ。税制も進歩していきますから、非常にけっこうなんでありますが、雪の降るところと降らぬところには、いまそれくらいの大きな差があるわけです。それを一律に三〇%でいいのだというととは——税は均衡をもって一番大切な問題とすることは言うまでもございません。公平でなければならぬ。これは税制の
根本原則であろうと思います。こういう点から見まして、どこもここも一律に三〇%ぱさっと引いて、それでいいものかどうか。こういうことに対して、おそらく気がついておられるし、また改正の機会をねらっておられるのだろうと私は思いますが、これについて、どういう経過でありますか、ひとつ御答弁を願いたい。