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1963-03-27 第43回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十七日(水曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 秋山 利恭君 理事 田中 正巳君    理事 細田 吉藏君 理事 岡本 隆一君       井村 重雄君    小沢 辰男君       大野 市郎君    倉成  正君       薩摩 雄次君    谷垣 專一君       内藤  隆君    宮澤 胤勇君       米山 恒治君    足鹿  覺君       稻村 隆一君    岡  良一君       堂森 芳夫君    中村 英男君       西村 力弥君    山口丈太郎君  出席政府委員         総理府総務長官 徳安 實藏君         科学技術政務次         官       内田 常雄君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  芥川 輝孝君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 迪郎君         文部政務次官  田中 啓一君         文部事務官         (管理局長)  杉江  清君         厚生政務次官  渡海元三郎君         厚生事務官         (社会局長)  大山  正君         農林政務次官  津島 文治君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         水産庁長官   庄野五一郎君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    加藤 悌次君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君         労働政務次官  田村  元君         労働事務官         (職業安定局         長)      三治 重信君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (道路局長)  平井  學君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君         自治政務次官  藤田 義光君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  島村 忠男君         警  視  長         (警察庁警備局         警備第二課長) 後藤 信義君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    宮崎  仁君         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         大蔵事務官         (主計官)   熊田淳一郎君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    志場喜徳郎君         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    新保 実生君         農林事務官         (大臣官房参事         官)      丸山 文雄君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 梶木 又三君         農 林 技 官         (蚕糸局蚕業課         長)      大村清之助君         農林事務官         (園芸局総務課         長)      古西 一郎君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      若江 則忠君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  佐藤 光夫君         運輸事務官         (自動車局総務         課長)     小口喜久二君         建設事務官         (道路局調査         官)      宮内 潤一君         自治事務官         (行政局公務員         課長)     松浦  功君         自治事務官         (財政局財政課         長)      茨木  広君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     山本  悟君         自治事務官         (税務局固定資         産税課長)   石川 一郎君     ————————————— 三月二十七日  委員石山權作君五島虎雄君及び島本虎三君辞  任につき、その補欠として岡良一君、山口丈太  郎君及び足鹿覺君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員足鹿覺君、岡良一君及び山口丈太郎君辞任  につき、その補欠として島本虎三君、石山權作  君及び五島虎雄君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(豪雪による災害対策等)      ————◇—————
  2. 稻葉修

    稻葉委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。
  3. 薩摩雄次

    薩摩委員 議事進行について。けさ七時のラジオニュースを聞きますと、福井県の越前岬沖震源地といたしまして相当大きな地震があって、敦賀市が震度五度、福井市、武生市が震度四度、私鉄は全部不通、国鉄も不通電話不通家屋で焼けておるところが相当ある、いずれ詳細は後のニュースでお知らせします、こういうことをいっていたのでございますが、豪雪でさんざんやられた福井県が、また地震で相当の被害があるということを知りまして、災害対策委員会におきましては、当局に集まりました情報を詳細に御報告願いますと同時に、災害が相当ひどかった場合には、災害対策委員会においてこの地震被害を取り上げて、今後審議を進めていただきたいということを委員長にお願いいたします。
  4. 稻葉修

    稻葉委員長 ただいまの薩摩君の申し出につきまして、警察庁被害状況等の判明している分だけでもいいですから聴取したいと思うのですけれども、まだ参っておりませんから、後刻適当な時期に、参りましてから報告させることにいたします。
  5. 薩摩雄次

    薩摩委員 直ちに委員長の方から警察当局のその方面の係の方へ電話ででも連絡をとって下さって、集まっております情報をこの委員会に来て報告をしていただくようにお取り計らいを願います。
  6. 稻葉修

    稻葉委員長 そうやっております。  災害対策に関し質疑の通告がありますので、順次これを許します。大野市郎君。
  7. 大野市郎

    大野(市)委員 災害対策につきましても、数度の委員会において、応急対策に対してはおおむね順調に進行しておることをしあわせに思う次第であります。ただ、いまだ豪雪地帯におきましては、市街地、特に住宅地などの除雪関係が意にまかせぬために、住民の日常の生活に非常な支障が横たわっておることは、ただいまの状況においても残念な次第であります。そこで、応急策恒久策の二面から懇談会その他におきましても検討がされて参ったわけでありますが、この際、自治省並びに大蔵省、建設省、この三省に対しまして若干の質疑をいたしたいと思うわけであります。  まず第一に、除雪の問題が一番の論争点になっております関係から——総理府の方は……。
  8. 稻葉修

    稻葉委員長 総理府総務長官は連絡しております。
  9. 大野市郎

    大野(市)委員 それでは、それは見えられてからに譲りまして、特別交付税の問題が各府県市町村においては非常に関心を持っておりますので、その問題を質疑したいと思います。  御承知のように、今回の大豪雪によって、二月二十八日をもって、法の規定によって特別交付税が各府県、各市町村配分せられたのでありますが、それらの配分実態、実数をこの際お知らせいただきたい。
  10. 藤田義光

    藤田政府委員 お答えします。  内容の詳細に関しましては手元に資料がございませんが、去る二月末配分いたしました特別交付税府県分市町村分を合算した額を申し上げたいと思いますが、特に豪雪のひどかった新潟県は七億四千百万でございます。富山県が四億六千七百万、石川県が四億六千五百万、福井県が四億六千六百万ということになっております。秋田県は一億二千万、山形県は一億六千万、福島県は一億二千五百万、こういう状況でございます。
  11. 大野市郎

    大野(市)委員 失礼いたしました。配付資料の中にただいまの詳細が載っておりましたので、この点はよくわかりました。  そこで、これらの府県市町村特別交付税配分された積算根拠について伺いたいのであります。
  12. 茨木広

    茨木説明員 今回の雪害関係特交算定根拠でありますが、これは道路除雪——公共団体責任を持っておりますものを基礎にいたします関係上、道路面積延長、こういうものを一つの要素にしております。それからもう一つは、公共団体雪おろし責任を持っております公共建物面積、こういうものを基礎にいたしまして算定するという考え方をとっております。それで、その公共団体管轄内の国道県道市町村道等延長及びその面積と、それから県の地方課を通じましてそれぞれの除雪実態を一応聴取いたしたわけでございますが、それから全国的な除雪の傾向というものを大体割り出したわけでございます。従って、国道県道市町村道等によって一定除雪の率というものを出し、それに、実際の今回の除雪にあたりまして、各公共団体ブルドーザー等を雇い上げましたところの単価、こういうそれぞれ県の方を通じてとりましたところの実際に要しました単価というようなものをかける、こういうようなことによって道路関係除雪費用を出す、これが一点でございます。  それから公共建物雪おろし費用につきましては、私の方の調査課に、毎年自治団体の方から自治統計といたしまして公共建物面積が上がってきておりますので、それを基礎にいたしまして積雪量を勘案いたしながらその必要経費というものを算定する、こういうような方法をとったわけでございます。  その二つを合計いたしました金額に、さらに道路及び建物除雪以外にいろいろな経費が要ります。たとえば自衛隊が参りますと、若干その設営のための地元としての受け入れの経費が要る、あるいは災害対策本部としてのいろいろな経費が要る、それから場所によりましては屎尿関係等についても若干の経費が要る、こういういろいろなものがございます。これらについては、早々の間でございますので、普通の補助予算のように基礎を固めまして算定いたすというわけにはなかなか参りません。従って、ただいま出ましたところの道路除雪雪おろし関係経費一定の率を乗じましてその経費割り増しする、こういう考え方をとったわけでございます。市町村の方につきましては二五%増しということでそういう経費を入れる、それから県の方につきましては、やはり約二五%程度割り増しをかけるというようなことでもってその経費を出す、こういうことで一応基礎的な算定をいたしましてたわけでございます。  さらに、それぞれ各市町村につきましては、県の地方課を中心にいたしまして、市町村からそれぞれ実態をお求めいただいておりますので、その持ってきました数字というものを、私どもがそういういろいろな資料から出しましたものをさらに突き合わせをいたしまして、県の方の意向といたしましても、この程度あればいける、こういうような数字基礎にいたしまして各県の市町村分というものを県の方に一括お渡しいたしまして、県内市町村ごと配分を県の段階においてそれぞれ実施していただく、こういうことをやったわけでございます。  それから、県の方はやはり同様な方法で一応出しまして、さらにその県内市町村に対して出しました分というようなものも勘案しながら、県分を、同じようにそれぞれ県の意向も聞きながら、額を算定いたしましてお渡しした、こういうことになっております。
  13. 大野市郎

    大野(市)委員 これはこまかいお話でありますから事務当局に承りたいと思いますが、県の方に対してはその一定基準の出たものに五割増しで分けるというふうに聞いておりますが、その点は間違いでありますか。
  14. 茨木広

    茨木説明員 先ほどの答弁若干不十分であったわけでございますが、県の場合につきましては、ただいま申し上げましたように、いろいろな経費を見るということで、二五%ほど増した上に、さらにもう一度二三%ほど総体で割り増しをかけておりますので、合計いたしますと、最終的には道路家屋雪おろし経費の五割増し程度になっております。
  15. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいまの御説明で、原則としての県と市町村に対する特別交付税を割り当てる考え方は理解できたのでありますが、そういたしますと、道路にいたしましても、公共施設建物除雪にいたしましても、積雪の度、降雪量が異なるわけですから、一回で済む地帯もあれば、三回、四回と除雪をせねばならぬ地帯がある。道路などに至っては、膨大な、三メートルも積もったものをダンプカーで捨てなければならぬというような地帯もあるのです。ただいまの御説明によると、その辺が明確でない。ただ無理に解釈すれば、各市町村、各府県から要求のあった額を実際上のものさしとして勘案をしておられるというので、あるいはそこに比較的実態に沿ったものが出たのだろうと思いますけれども、今の御説明だけですと、道路延長面積に対してかけるそのかけ算の数字地方によってみんな違わなければならぬ、除雪も違わなければならぬ、そういう点がどのような形で自治省としての原案には盛り込んでありますか、それを承りたい。
  16. 茨木広

    茨木説明員 御指摘の通りでございまして、この道路などにかけます費用の問題が基礎にはございます。これは全部やはり県を通してとってみたわけでございますが、二十九センチ以上雪が降りました回数をとったわけであります。しかも、二十センチから五十センチまでのものを一という係数についていたしますと、五十センチから一メートル降ったものを一・五倍、それ以上のものを二倍にするというふうに倍率を乗じまして、そしてそれぞれの団体ごと回数といいますか、指数というものを実は出したわけでございます。一番高いものが一〇くらい、低い方で五、六ぐらい、さらにもっと低いものもございます。そういうふうに、積雪の量、回数というものを指数化いたしまして、除雪を要します回数と申しますか、そういうものをそれに反映させるという考え方をとったわけでございます。同時に、そのもとには、中央気象台の方から積雪の量の等高線の資料を出していただきまして、それによりまして、各県側の持ってきました回数等の見方というものが水増ししてないかどうか、そういうものを横にらみしながら算定をいたしたような次第でございます。
  17. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいまの基礎になった道路延長キロ、それは現実除雪に着手した延長キロですか、それとも積雪地帯延長キロ積算のもとにしたわけですか、どちらですか。
  18. 茨木広

    茨木説明員 一番基礎は、その公共団体管轄内にあります道路台帳上の面積基礎にいたしております。それに、先ほど申し上げましたように、実際除雪いたしております率と申しますか、そういうものをそれに乗ずるという考え方で出しておるわけでございます。これもやはりそれぞれ団体の方からとってみますと、やはり手が及ばないという関係があるのだと思いますけれども道路延長面積が短いところほど濃厚に除雪をやっておるという点が見られます。それからもう一つは、豪雪地帯として特にいろいろ問題がありました地帯がやはり除雪率が多い。一例をあげてみますと、新潟富山石川福井、鳥取、島根等でございますが、これでいきますと、四十九キロ未満のところが大体八割くらいです。それからそれ以上百キロ未満得度になりますと、七割七分くらいになります。さらにそれ以上百五十キロ未満のところが七割四分くらい、こういうふうに逓減していくようでございます。その他の県でありますと、四十九キロ未満でありますと六割程度、各地方課を通じて出ましたそのときまでの除雪したものと、これから除雪しようとする計画のありますものを合計してみますと、そういう実態になる。その実態をそのまま反映させて計算をするという考え方をとったわけであります。
  19. 大野市郎

    大野(市)委員 この問題は、実は特別交付税実態を押えます上での非常に問題点でありまして、特に政務次官一つお聞き取りをいただきたいのですが、そういう工合で罹災の道路延長キロ積算基礎をまず固められたわけですね。ところが、たとえば私ども新潟県に行きましても、同じ豪雪地帯でも、ほんの一部ですけれども雪の全然ない道路もある。それから、たとえば福島県のような工合に、半分は全然雪がない、半分はものすごい豪雪だというような地帯もある。それが台帳上の道路面積ということになりますと、一番最初の基礎に出るのは、降ろうと降るまいと、その県内道路面積がまず出ているという今の説明です。それから現実に物理的に機械が足らない、人間の手が足らないという関係で、除雪したいができない部分があるわけですね。そういう形で、実際に使用した除雪費用も、各地方からの持ち出し額というものはいろいろに変わってくると思います。だから、今年の特別交付税配付にあたっていろいろの不備の点があることは——むづかしいことですから、私はここでこの問題で長時間をとりたくありません。非常にむずかしいということを自治省責任者としてはご理解をいただきたい、私はこれを力説いたします。  それからもう一つは、学校などの除雪にPTAを使ったり、私どもの長岡市における第二高等学校、女子だけの学校ですが、これらは、あの豪雪の最中に、全員出動して校舎除雪をしろ、そうでなければつぶれるからというラジオ放送をいたしまして、全地域にわたっておる在校生を動員して除雪をしているという実態がある。これらは使った費用の中に入ってきていないはずです。校舎がつぶれたら勉強ができないからという、ほんとうに純真な気持で、校長初め学徒がみずから共有財産を守った。これが交付税の対象になっておらぬわけです。これは一応のあれはありますよ、尾根坪で出ていますから。しかし、何回除雪したかという内容になると、どの程度に県が金高で出したかとなると、金高は出ていないわけです。人夫を使った領収書のあるものしか出てきておらぬのであります。こういう点が、特別交付税配付の中で、実際に県から要求なり市町村から要求のあった公共建物除雪費の中で、領収書がとれないためにオミットされる。それを今度は中央で、幾らかかったのだから、まあこれくらいにという目げんでいくわけですから、はなはだ不合理な点がある。こういう点はどうやったらいいか私も実はわからぬので、それの徹底的な究明が私はできませんから、問題点指摘だけしておきます。そういう問題もあるわけです。ですから、特別交付税地方自治団体基準財政需要の、特別な災害のためにふえた部分をめんどうを見るという交付税法規定に基づくならば、他の台風や大洪水とほんとに同じ意味で雪害というものを見ていただくならば、これらの点は解決策が出るはずであります。この点は、きょう私は結論要求しませんが、そういう問題がありますから、ぜひ一つもっと合理的な算定方式事務当局で立てられることを私は要求をいたします。やがてさらに引き続いた委員会においてもこれらの問題を究明いたしたいと思いますから、御準備をいただきたいと思います。  そこで、そういうような特別交付税配付内容について、ただいま指摘したような一、二の点がまずございます。物理的に不可能なために、除雪をしなければならないのができなかったから費用がかからなかったという実態もあります。こういう点を指摘して、さてそういたしますと、今回の各県、各市町村に割り当てられました特別交付税の額に対しては、あるいはほぼ満足という地帯もあり、あるいはこれではどうしようもないという地帯も現われ得るわけであります。そこで、懇談会などでもすでに論議をいたしたことがありますので、くどいことは省略したいと思いますが、たとえば極端な例として、週刊誌などにも載っておりましたあの三条市などの実例がございますので、これらの実例を見ましても、四千五百万からもかかったという場合に対して、三千万程度が割り当てられた。これでは実際上どうも困る。しかも内容を検討すると、われわれ自身も気がつかなかったような費用がかかっておる。そのうちの顕著なものとしては、道路除雪公共建物除雪を考えておられた自治省事務当局の案に対して、自治体の使った金の中で、川の中に雪が積もって川がつかえた、自然に雪が解けるころになれば融雪災害が出て、床上浸水洪水が起こることがありますが、降りしきる雪のまっ最中に、相当大きな川まで含んで、自然に降った雪と、除雪をして捨てた雪があるのですが、その雪のために川の流れがとまった。その川も、渇水期でありますために少量の水しか流れてないというので、少量の水が辛うじて流れる程度であれで床上浸水は起きないのですけれども、少し暖気になったり、雨、みぞれが降りますと、その水がふえる、そうして流水でなくて、あふれた水で床上浸水が非常に気の毒な状況で起きつつある。ですから、自衛隊の出動を願って、深いところは胸まで水につかりながら自衛隊が入ってくれた。これはどういうわけだろうというのでよく調べますと、驚いたのですが、川の底に氷結をしまして、水が流れておるのに、その下に氷の厚い層があって、つるはしでその氷を断ち割って取り除かないと河床が広がらないことがわかったのです。それで、氷を取り除いて、川の中の雪を御丁寧に堤の上に引き上げて、川幅をまん中だけ掘り割って水を流して、床上浸水を防いだという実例が出ておりまして、二月末日に配付されたもののかかった費用の中に、そういう川の雪上げ費用というものが膨大に報告されておるのであります。これらは私どももうっかりしておりましたが、東京におられる事務当局は、わからなくてもあながち責められない。しかし、そういう極端な費用がかかっておるのです。ですから、そういう意味合いで、特別交付税算定の中にそう言う重要な項目が豪雪地帯にあるという事柄を、この経験でわれわれは知ったのでございますから、特別交付税が不均衡になる可能性がそこにもあるわけであります。  これだけのことを指摘いたしまして、そこで政務次官にお尋ねをいたしますが、地方交付税法の十五条の二項の規定で「その他特別の事由がある場合においては、三月一日以後において、特別交付税の額を決定し、又は既に決定した特別交付税の額を変更することができる。」決定した額の変更も可能だという法規をわれわれは知っておるわけであります。さらに十六条の二項の末尾で「大規模な災害による特別の財政需要額等を参しゃくして、自治省令で定めるところにより、特例を設けることができる。」として、交付の時期その他に対しても補助規定がございますので、そういう不均衡がさらに詳細に判明いたしました暁においては、自治省におかれて、すでに三月一日以降になりましたが、この点に対して不均衡の是正をしていただきたい。三条市のみならず、各地方に、特に市町村関係におきましてそれらの不合理のために泣いておる自治体がたくさんございます。それらの自治体救済策に対して政務次官の所信についてお伺いいたしたいのであります。
  20. 藤田義光

    藤田政府委員 いろいろ御指摘がございまして、私も、今回の特別交付税配分にあたりましては、地元現実に即した最も合理的な配分ということを念願したのでございますが、結論において今御指摘のような点も出ているやに拝聞いたしております。ただ御存じの通り、特別交付税も金額の制限がございますが、三十七億余万円という、自治省事務当局としましては相当思い切った数字を捻出したつもりでございます。  三条市に関しましては、再三いろいろ要望もあり、また各方面の資料も収集しました結果、特別交付税によらずして、県の別個の財源で措置を終わったという報告を受けております。  今御指摘地方財政法その他の法律による御質問でございますが、この点に関しまして、法律の体制としては、三月一日以後の特別財政需要か起きた場合の措置を規定いたしてはおりますが、現実に先月の二十八日に発表いたしました特別交付税の全国都道府県市町村に対する配分で一切の配分を終わりまして、残る百億円の繰越金は昭和三十八年度の財政計画に入れまして、すでに交付税法の一部改正案も国会を通過させていただきました。この繰り越しました交付税の百億のほかにさらに今回の豪雪対策費を計上するということは、法律的に物理的に不可能な情勢となっておることは、御承知のところと思います。従いまして、四月一ぱいに締め切りまして五月から配分を検討いたします三十八年度の各種起債の査定あるいは税制の問題その他各般の対策を総合して、自治体の不満、あるいは今回の特別交付税にもし誤りがありとすればその是正、こういうことに意を用いたいと考えておるのであります。それと同時に、私どもとしましては、建設省が道路の特別会計から出しました二億三千百万という今度の豪雪地帯に対する補助金、あるいは厚生省が災害救助法に基づいて出しました三千六百万、こういう金額等に関しましても、自治省としてはもう少しく増額再検討を要請している段階でございます。従いまして、特別交付金の足らざる点は、関係各省の面に対しましても自治省として強力に一つ額等の措置を要請したいと考えておる次第でございます。
  21. 大野市郎

    大野(市)委員 それでは確認をいたしたいと思いますが、特別交付税のただいまの不均衡の問題が判明いたしまするならば、三十八年度においてそれらのものを自治省において特別交付税の追加——表現はどうでもようございますが、実質的に穴埋めをされる、こういうふうに承ってよろしゅうございますか。
  22. 藤田義光

    藤田政府委員 過去におきましても、災害等に関連して、この行政もなかなか複雑多岐でございますので、誤りがありた場合は補正した前例が多々ございます。また、誤りがなくとも、配分にあたりまして資料不備とか、特に現行交付税法実施以来初めての豪雪でございましたので、そういう手違いも出てくるかと思います。そういう点は大胆に是正していく、こういうふうに考えております。
  23. 大野市郎

    大野(市)委員 もう一点ついでに、普通地方交付税でありますが、それの積雪度補正の件においては、当委員会においてもたびたび問題が出ておりまして、この点に対して適当な資料があるならば是正するにやぶさかでないということは事務局からの回答もありますが、政務次官おいででありますので、この点確認をいたしたいと思います。
  24. 藤田義光

    藤田政府委員 基準財政需要額の積算基礎として、降雪常襲地帯に関しましては、道路建物等の公共施設に関しまして特別のかさ上げを一般交付税の中でしていることは、御承知のところでございますが、今回の豪雪にかんがみまして、今後いろいろ資料が集まれば再検討したい、従来もかさ上げはしておりますが、さらに再検討したい、こういう方針であることを確信しておきます。
  25. 大野市郎

    大野(市)委員 次に、総務長官がおられますので、激甚法の取り扱いについて承りたいのであります。これもまたすでに当委員会においてもしばしば話題が出て、煮詰まっておるのでございますが、今回も天災関係に対しては激甚法の適用ということを中央防災会議にかけて閣議において御決定で、政令も用意があるということを承りましたが、この問題に対しまして、河野本部長と私の当委員会における問答におきましても、本法自体を——災害基本法の中に豪雪がある、従って激甚災法の本法の中にも豪雪という考え方を取り入れて改正をすべきである、こういうことを前回、二月二十八日に承ってはおるのでありますが、問題は総務長官の管轄になると思います。この点、総務長官のしばしばの言明で、実態に即するようにということも承っておりますので、激甚災法の法の改正に対して、その御意思がおありになるかどうか、政令の改正の御意思があるかどうかを承りたいと思います。
  26. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまの御質問でございますが、しばしば申し上げておりますように、激甚法が制定されます前後の事情から考えまして、必ずしもあれが完璧なものとは考えておりません。また御審議の過程におきましてもいろいろの御議論のあることも事実でございます。特に今回のごとき豪雪被害などは、この激甚法にはあまり夢想もしなかったような事態も生じておることは事実でございます。こうした点につきまして、ただいま対策本部ではとりあえず応急措置をしておるわけでございますが、これが一段落つきますと同時に、やはりこうした問題も今回の実態に即していろいろと論議されておるようでございまするし、社会党も自民党もともに党の方でもいろいろと御審議の上で私どもの方にも案を示されてもおります。私の方も引き続いて研究をいたしまして、もし足らざる点があり、あるいは不合理な点等がございましたら、これを改正するに決してやぶさかでない、こういう謙虚な気分で検討をいたしたいと考えております。
  27. 大野市郎

    大野(市)委員 ただいまの御回答で総務長官のお考えは推測できたのでありますが、この際当委員会におきましてもそれぞれ意見が出ておりまして、私どもがこの改正の要請をしたいというのは、結局、除雪事業というものの見方が、堆積土砂を排除することが公共土木事業の災害復旧であるという考え方と全くひとしい、そういう見解で法の改正をわれわれが望んでおるのでございますから、雪寒道路法に基づく道路除雪と、これらの問題の見方を変えていただかなければ、改正の気持におなりにならぬだろうと思っておりますが、これはもうすでに数回出ておりますので、重ねてわれわれの主張点を申し上げ、改正のための御参考にしていただきたい。われわれもその要請をいたすわけであります。  それから総理府の方へもう一点は、公務員の寒冷地手当の問題がございます。これは寒冷地における薪炭手当、いろいろな諸手当が公務員にはついておるわけでございますが、これが積雪寒冷の度によって変わる構想のようですけれども豪雪地帯の中においてその等級が低い、率が少ないというような問題で、有用なる人材を豪雪地帯に誘致します場合に、待遇が違うために人材を逸するおそれがあるわけです。ですから、この点に対しまして、公務員の寒冷地手当の均衡、合理化という点に対しましてわれわれは甚大な関心を持っておりますので、この点、委員会といたしましてもぜひ御検討いただいて、均衡、合理化をはかられたい。この点に対しての長官の御意見を伺いたい。
  28. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまのお説、私どもも最近そうした声を方々から聞いておりますので、今後の研究課題として、合理化の線に研究を進めていきたいと考えております。
  29. 大野市郎

    大野(市)委員 総理府の関係はけっこうでございます。  大蔵省の担当の方に承りたいのでありますが、このような状況で非常に豪雪地帯は民生の安定を失して、所得格差が広がって、個人々々のふところ勘定も淋しい。貧乏の原因が豪雪のためだと言い切れるくらいに民生は貧弱であります。そこで、ただいまの国家、地方公務員の寒冷地手当の増額などで公務員の諸君には一部の恩典がある。あるいは大会社におきましては薪炭手当の制度がある。今回の豪雪に対して、東北電力などは、社員、従業員に対して見舞金を出して、除雪費用などの補助に充ててあるというような工合で、それぞれ現状に即した、豪雪地帯の自分の関係者に対しては手厚い保護がなされているわけでありますが、その点、所得税の積寒控除制度の確立が地方住民の非常な望みになっておるところでございます。この点、ずでにそのほかの問題に対しては基礎控除の恩典などが折衝税の体系の中にすでに一、二芽が出ておりますので、この際、豪雪地帯の所得税の納入者に対する基礎控除というようなものを設けていただいて——雪囲い、除雪なとに、直接に一般家庭でも二万円前後ずつの除雪費を使わざるを得ないわけです。使わなければ家がつぶれてしまうわけです。そういうふうなせっぱ詰まった民生を維持するための必要経費でありますから、豪雪地帯に対しての、主として除雪費を中心にした基礎控除というような考えを盛り込むことができないか、これが住民の非常な熱望であります。この点に対して、大蔵当局の、今日の段階におきましては事務的見解まて——きょうは大臣が出てきておりませんので、事務局の見解をまず承りたい。
  30. 志場喜徳郎

    ○志場説明員 積雪地におきます特別基礎控除の問題でございますけれども、現在の所得税法におきましては御案内の通り雑損控除の制度というものがございまして、災害等によりまして住宅、家財その他の資産に損失を受けますと、その損失額を三年間にわたりまして所得金額から控除しまして課税するという制度がございますし、あるいはまた、同じような災害によりまして住宅、家財の五割以上の損失を受けました場合には、災害減免法によりまして所得税の減免制度がございまして、その金額が五十万円以下の場合には全額の免除、八十万円以下の場合には二分の一の減税、百二十万円以下の場合には四分の一の減税という制度が、いずれかを選択できるという制度になっているわけでございます。その場合に残ります問題は——ただいまの災害減免法にいたしましても、あるいは、所得税の雑損控除の制度にいたしましても、住宅その他の資灘に対する損失が起こったという損害額の控除あるいは減免でございます。あるいは損失が起こりました場合にその復旧のための費用ももちろん加えておりますけれども、そういうものにつきましては、ただいまのような制度で減免あるいは控除になるわけでございますが、問題は、今先生がおっしゃいましたような、雪が積もった場合に、除雪をいたしまして損失を食いとめるという、この除雪費でございます。このようなものにつきましては、ことしの雪害が特に豪雪でございましたため、労賃等の値上がり等もありまして大きな金額に上るということも聞いておりますが、わが国におきましても、北海道初めその地帯々々におきまして、そういった住宅、家財を守る、生活を守るというような一種の生活費と見られるようなものが、いろいろところによって変わるわけでございます。北海道におきましては石炭のかかり、あるいは暴風地帯におきましては、屋根の仕組みなり、家の構造その他の関係からいろいろな費用を要するという面もあろうかと思います。あるいは都会地におきましてはその他の生活費が高い。こういう狭い日本でありますけれども、その地域々々によりまして、生活の中にはそれぞれ内容の変化があるわけでございます。これらに対しまして、一々地域的な特別控除制度を設けるということは、とうてい公平な執行を期しがたいのではないかということから、現行の考え方では、大体他のものは生活費と考えまして、地域をならしました全国平均的な基準的な生活費を若干上回るような課税最低限の制度を設けまして、これを基礎控除その他の各種基本的な控除でもって、所得税のかからない範囲のものとして置いておこうということによりまして、バランスを保ちながらやっていこうという制度になっております。従いまして、この問題は、すでに政府の税制調査会あたりにおきましても、その地方からの要請によりましていろいろ検討も重ねられましたけれども、結局は、今申しましたような方向で措置することが最も合理的であり公平であるまいかということで今日に至っております。今後もなお引き続き検討を重ねますけれども、ただいまの段階としましては、現在の制度をくずすことは困難ではあるまいか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  31. 大野市郎

    大野(市)委員 この問題は長年の懸案でございますので、事務局が一朝一夕で陥落しようとはわれわれも考えていません。しかしながら、地方住民の切実な声でありますので、何らかの形においてそれらの災害に関連して豪雪災害と考えられると災害でございますので、災害に関連して重荷となっておるものを軽くしたいというので、当委員会としてもこの問題は真剣に検討さしていただきたいと思います。  それから建設省の関係でございますが、雪寒道路法の問題について若干承りたいのであります。今回も、雪寒道路法の規定がございまして、指定された路線に対する国家の補助が三分の二になった。ところが、調べて参りますと、いわゆる道路法の規定のために、一級国道でありながら逆に補助金が二分の一しか来ないというような実例があって、顕著に差がついて参りました。本来国が直轄管理をすべきものが二分の一の補助で、府県道路管理者となっておる二級国道あるいは主要地方道というようなものは三分の二の補助金が、雪寒道路法の改正によって出る形になりましたので、まことにどうも理屈に合わない点が出て参ったわけであります。この点は道路法を改正すべきものであるか、雪寒道路法を改正したらよいのか、この点矛盾がありますので、是正する方法をお考えになっておるかどうか、建設省の道路局長から一つ事務的な御処置を伺いたい。
  32. 平井學

    平井(學)政府委員 お答えします。  これはまさに御指摘の通りでございまして、この法律立案の際のいきさつ等もございましたが、いろいろと事情がございましてかような関係者の間に御不満のあるような結果になっております。私どもも、実は今回の豪雪以来この問題について関係者からいろいろと御注文もあり、また実際に研究する機会にもいろいろ出っくわしまして、目下大体結論に達しておりますが、道路法なり、あるいは雪寒本法なり、これはいずれの改正でもいいと思いますが、なるたけ形のいい方の面で改正をいたすという方向で検討を進めております。なお、財源措置等もございますので、その点につきましてはいろいろ大蔵方面とも寄り寄り協議をいたしております。  なお、建設省といたしましては、あえて今回の豪雪問題だけではございませんけれども道路の管理については特に意を用いていきたい、かように考えておりますし、一級国道につきましては、現在、漸進的ではありますけれども維持管理の強化をはかっておる際でございますので、そういう方向にこの問題を進めていきたい、かように考えております。
  33. 大野市郎

    大野(市)委員 そういたしますと、ただいまの直轄道路に関しての全額国庫負担とか、あるいはそれに近い制度に直す方向にただいま検討中である、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  34. 平井學

    平井(學)政府委員 少なくとも、この第六条の三分の二と二分の一の矛盾につきましては、早急な措置をとりたいと思っております。なお、建設大臣のしばしば言明しておられる一級国道全面直轄管理といったような問題につきましては、現在事務当局におきまして大臣の指示によって検討を急いでおる段階でございます。
  35. 大野市郎

    大野(市)委員 もう一つ、この雪寒道路法の改正の以前に、雪寒道路法による五カ年計画が改定せられておりまする関係から、前回の委員会においても、その雪寒道路法自体が、予算の範囲内においてという文字を削って除雪に対して格段の予算措置が可能になった今日でございまするので、その法律改正前の五カ年計画を組み直す意思があるかないかということを質問したのでありまするが、総ワクが閣議決定であるために、総ワクの中のやりくりしか今のところ答えられないというお話であったが、とにかくこの大災害を見たのであって、その機械が充実しておるならば、予算が相当量獲得できるならばこの交通麻痺が防げた部分がありまするので、この五カ年計画を繰り上げでも何でもいいが、実効が上がるように三十八年度においても画期的な雪寒道路法に基づく五カ年計画のそういう意味合いの改定——繰り上げでもけっこうでありますが、その意思があるかないか承りたい。
  36. 平井學

    平井(學)政府委員 前回の委員会でも強く御注文のあった問題でございますが、確かに本法につきましては、財源につきましてただいま御指摘のような手続等もございますけれども、幸い今回の対策につきましては、取りあえずの措置といたしまして、大蔵当局のいろいろ御配慮によってできる限りの措置はとったのでございますが、なお恒久的には御指摘のような問題がございますので、雪寒五カ年計画の改定を早急にはかりたいという意図のもとに現在財務当局の方と研究を急いでおるような状況でございますので、御了承願いたいと思います。
  37. 大野市郎

    大野(市)委員 雪寒道路の改正の意図がおありと聞きましたが、これも当委員会でも問題になりましたが、融雪時の道路の路面のいたみ、この道路路面の改修を路面災害と見るか、道路の補修と見るかによって取り扱いが違うものですから、雪寒法の中身で指定された路線に対しては、最小限度、融雪時の路面の損傷は重く救済せねばならぬ、こういう点に対して立案をせられるときにぜひ入れてもらわなければならぬと思いますので、この点の見解を伺います。
  38. 平井學

    平井(學)政府委員 融雪時における砂利道の泥濁化が御指摘の中心の問題と思いますが、これは御案内のように、現行法の解釈でははなはだ窮屈な結果にならざるを得ません。ただ取りあえずの措置といたしましては、特改の第二種事業等を応用してやっておりますが、この問題につきましても、今回北陸を初め被害を受けた各地方で、除雪後の問題としていろいろと切実な御注文は承っております。私どもとしては、恒久的には、道路整備計画を早く進めまして、少なくとも主要地方道以上ぐらいは早急に本舗装をした道路にすることが恒久的な解決の道と存じておりますが、これには相当年月もかかりますので、その間暫定措置といたしまして、この雪寒法改正の際、あるいは五カ年計画改正の際等に、実情に合うような対策を、現在総合的な豪雪対策の一環として検討を加えておりますので、御了承願いたいと思います。
  39. 大野市郎

    大野(市)委員 そこでもう一点、ただいま道路の問題は相当に明確になったと思いますが、住宅街の除雪の問題で、これが問題として残っておるわけであります。河野本部長が視察に行かれたときには、住宅街のそういう道路であっても、これはとてもそこに住んでいる人間の力ではやれないから、自衛隊まで出動さしてという発言があって、地元は喜んだのであります。われわれは、その考え方は、災害だと見るならば当然の処置であると考えておったわけであります。ただいま、道路の問題は、雪寒道路法があって、指定路線の拡充が約束される、あるいは特別交付税によって公共建物除雪はだんだんできるということになると、それらの住宅街などの、いわゆる主要幹線ではないが、住民としては生活のできないという豪雪状況の、その被害の除去という点に市町村費用を出して、住民ももちろん自分で労力を出すでしょう、そして市町村がそれを手伝って、川に雪を捨てて交通を確保するということが必要なのでありますが、これに対して、特別交付税でも普通交付税でも、先ほどの御説明によると漏れておるわけであります。私は、激甚法を総理府でお考えなさるときにも、それらの住宅地が、いまだ二階の上に道があるというふうな、そういう悲惨な状況であることを災害としてお認めになるならば、いわゆる厚生省が認めた、生活上の便益が閉ざされる、そういう妨害物の除去という考え方で見ていただくと、豪雪というものが激甚災の適用にふさわしいものだということの結論になると思うのです。ですから、これらの、どこでも助けてくれない、そしてほっておかれれば住民は生活に困難を来たすというふうな、そういう地帯除雪というものをぜひ激甚災の適用の範囲内に考えてもらわねばならぬと思います。これは議論があるところでありますから、私の見解だけつけ加えさせていただきます。  最後に、地すべり、なだれ防止でありますが、この点は、今度の災害対策基本法によりますと、警察官や市町村長が、危険であるから立ちのけと言って立ちのきをさせた場合には損害補償ができるという規定が八十二条にありますが、そういたしますと、地すべり防止法の中に、勧告または指示を受けたけれども移る金がないというようなことで、移りたくても移れないという非常に悲惨な例があちこちに出ておるわけであります。こういう点は、やはり国が勧告、指示をした場合には、家屋の移転に対する、あるいは場所を移して移転するか、新しく家を建てるかという場合の融資だけでなくて、補助金を出して何かめんとうを見てやらないと、それはとてもできないわけなのでありますが、こういう点に対して、災害対策基本法の精神を拡充して、地すべり並びに雪によるなだれの危険が迫って住民を移転する場合に、そういう方法ができないものかどうか、この点に対して建設省の見解を承りたい。
  40. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 地すべりに際しまして、地すべり地域における関連事業計画として住宅の移転等をいたします場合には、現在住宅金融公庫におきまして融資をいたしております。すでに制度ができまして以来相当な数に上る住宅の融資を行なっております。ただいまお話しの補助金につきましては、国が個々の人に補助をするという制度は実はございませんので、公営住宅をつくるとかいう場合には、国が公共団体に対しまして補助をいたしまして、住宅困窮者に貸家として提供しておりますが、特別の場合に個人に国が補助をするという制度につきましては、財政上問題があるかと思いますが、そういう場合には、やはり住宅金融公庫の融資その他によって処置をしていくのが妥当ではないか、こう考えております。
  41. 大野市郎

    大野(市)委員 災害対策基本法の八十二条でその対象物は制限があるのでありますが、損害の補償をするという規定がありますので、損害補償という形で補助ができるのではないかと思うのでありますが、その点の見解を伺いたいと思います。
  42. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ちょっと技術的な問題でございますので、私から補足的に申し上げます。  災害対策基本法八十一条におきまする損失補償の規定につきましては、この法律の六十四条、それから六十三条第二項というところで、公用負担の関係とか、あるいは市町村長の指示によって、災害の応急措置として家屋をこわしたとか、そういう場合の損失補償の規定が入っておるわけでございます。ただいまの、危険であるから住居を移転しなさいということが、この六十四条あるいは六十三条規定に該当するかどうかという点になりますと、かなり無理という感じがいたします。法律的な問題でございますのでなお検討いたしてみまするが、これを立案しましたときの作業の過程におきましては、そういうことは問題にしておらなかったということを申し上げておきます。
  43. 大野市郎

    大野(市)委員 この点は明確でありませんので、次の委員会までにさらに正確な見解を述べてもらいたいと思うので、この点だけ保留いたしまして私の質問を終わります。
  44. 稻葉修

    稻葉委員長 さっきの雪寒道路五カ年計画の改定とか、おそらく今作業を進めつつあるということでわれわれは答弁をもらったわけだが、この委員会は二十九日にやって、そしてそういう問題を五月以降に延ばしますので、五月以降にはその問題は必ずやりますから、五月以降はちゃんとわれわれの満足するような作業の進め方を財務当局とも打ち合わせの上でしておいてほしい。その他諸般の問題につきまして、先ほどの激甚法の問題とか、総務長官におかれましても、五月以降この委員会に準備が問に合いますように努めていただきたいということを申し上げておきます。  稻村隆一君。
  45. 稻村隆一

    ○稻村委員 私の質問したいことは大体大野さんと同じような問題でありまして、大野さんが詳しく具体的な質問をされ、当局からも御答弁がありましたので、私は簡単に大ざっぱに政治的な質問を徳安長官並びに藤田次官にしたいと思っております。それは、この前豪雪の問題のときに、わが党の山口議員が予算委員会においてその問題に対していろいろ質問しておる。そのときに篠田自治大臣は、金の方は大丈夫だ、特別交付金が三十七年度の補正とともに百九十三億あるから、昨年は災害が少なかったからこれをできるだけ重点的に雪の方に回すから、こういう御答弁だったので、私どもは非常に安心しておったわけです。しかも、河野本部長も現地に行かれまして、金に糸目をつけない、どんどんやってくれ、こういうふうな話で、地方雪害地の人々は一生懸命に除雪をやったわけです。ところが、ここに来ますと、今はっきりしたのでありますが、雪の方に回す特別交付金というものは三十七億だということになっているわけであります。ところが、実際は非常にたくさんかかっておりまして、先ほども私の住んでおります三条市の問題が大野さんから出ましたけれども、これは例として御参考のために申し上げておるのですが、その三条市のごときは、実際上今まで除雪のために使った金が四千五百万以上あるわけです。今後どうしても使わなければならないものが千四百万以上あるのです。合わせると六千万以上になっているのですね。これは今まで使った金、これから使おうとする金であります。しかるに実際にきたものは、二千九百四十四万四千円ということになっている。差し引き三千万円の立てかえ、つまり国県道除雪費に対して三千万の立てかえをするということになっているわけであります。こういう事態は、三条市だけでなくして、多かれ少なかれ方々にあると私は思うのです。そこで、私申し上げなければならぬことは、県の方で何か三条市に対しては特別のほかの方法で処置したというふうな御答弁もありましたが、これは実は私聞いておらないので、具体的にどういうものであるか、これをもう一度お尋ねしたいのですが、とにかくそれに対して政府の今の御答弁は、三十八年度の特交で未解決の分は補てんする、払う、こういう御答弁であります。むろん、私どもはその御答弁に対して満足するものでありますけれども、しかし、三十八年度の特別交付金が交付されるのは十月以降じゃないかと私は思うのです。そうしますと、その間どうするか、どうしても始末しなければならない、そうすれば、短期の融資でも借りて始末しなければならない、こういうことになるわけです。そういうことで、政府の方で大丈夫だからといってしばしば国会において明言し、かつ当然政府がやらなければならないものを、こういう問題が起きると、常に自治体自治体の住民に迷惑をかけるなんということは、最もいけない制度だと思うのです。こういう点に対しまして、短期の融資を借りて始末をしなければならぬというふうな場合に対してどういうふうなお考えであるか、副本部長並びに藤田次官のお考えを聞かしていただきたい、こう思うのであります。
  46. 藤田義光

    藤田政府委員 豪雪対策に関しましては、自治大臣の答弁も速記録で拝見いたしておりますが、昭和三十七年度内における各種災害、風水害あるいは七月の集中豪雨、こういうものを全部含めまして三十三億を計上したわけでございますが、それに対しまして、今回の豪雪だけに三十七億余万円を計上したということからすれば、累次の風水害その他の災害の合算額が三十三億に対して三十七億数千万ということは、割合集中的に相当思い切った額ではないかという感覚から大臣の答弁が出たと思います。ただ、この問題に関連しましては、御存じの通り大蔵省からも三十一億のつなぎ融資をやっており、厚生省が災害救助法に基づく災害救助費を出しております。また建設省が道路整備特別会計からの流用をいたしまして二億三千百万円出しております。こういう各種の財政資金を総合いたしまして御判断を願いたいと思いますが、全国にばらまきました特別交付税の末端の配分における個々の矛盾、不平などもあろうかと存じますが、こういう問題に対しまして明らかに積算の間違いであるということが判明された際におきましては、過去においてもしばしば次年度の特別交付税で訂正をしたということがございます。従いまして、御指摘三条市の場合等におきましても、先般の積算基礎が、先ほど答弁しました通り、何分にも現行の交付税法実施後希有の、かつてなき豪雪でございましたので、それに対処する特別交付税の金額あるいは配分基準等に関しまして完璧であったとは私も考えておりません。その点に関しましては、今後の検討によって、なるべく公平な措置ができますように十分是正をして参りたい、かように考えております。三十七年度内には物理的にも法律上も不可能でございますが、あと一週間で年度も変わります。ほんとうにつなぎ資金等にお困りの際におきましては、自治省としましてもそれぞれ適当な措置をとりたいと思います。適当な措置の内容を今すぐ申し上げることは、まだ研究の段階でございますが、事務当局で各種の対策を研究を始めているということだけは率直に申し上げておきたいと思います。
  47. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今の答弁からお伺いしたい点が二点あります。一点はつなぎ融資、これは私前に予算委員会でも答弁を求めたのですけれども、実際のつなぎ融資の対象、つなぎ融資をなさったらば、そのつなぎ融資の返済対象はどういうことになりますか、それが一点。  それからもう一点は、承りますと、三十七年度内で、特別交付税交付金あるいは普通交付税交付金は、これらの豪雪地帯に対しましてもうほとんど予算は使い切っておるのじゃないかと思いますが、その場合、今までの御答弁を承っておりますと、三十八年度分の普通交付税の繰り上げ支給もしくは特別交付税交付金の支給によってこれをカバーするとおっしゃる。それは大体お話がついておるようでありますから、けっこうだと私は思いますが、ただ問題は時期の問題だと思います。これらの措置をとられる場合に、その時期はいつごろになりますか、この二点をお伺いいたします。
  48. 茨木広

    茨木説明員 ただいまの御質問についてお答え申し上げます。  先ほど政務次官からお話がございましたように、総額といたしましては相当思い切った額を出したつもりでございます。全国的に見ますと、全部問題の落ちつきを見ておるようにそれぞれの団体から聞いておるわけでございます。ただ一、二の団体から、御指摘がございましたように、県内配分において、混乱期にやっておりますので、その後の、実態と合わないという団体が出てきておるわけであります。御指摘新潟県の場合におきましても、県の対策本部において知事を中心に各市町村別に御検討いただきましたものを持ってきたわけであります。いろいろ検討した結果、やはりこれが一番いいからこの程度出していただきたい、こういう連絡があったわけであります。実際私の力といたしましても、せっかく知事さんを中心にそこまで検討していただいた額であるならばというわけで、それを実は採用いたしまして出したわけであります。その後、今いろいろ御指摘あったような事態が出て参りましたので、県の方に対しましていろいろ事情を聞いたわけであります。先ほどの御質問にもありましたように、その中に、吟味してみますと、国県道分が相当含まれておるようであります。それは当然、一部は国庫補助がつくわけでありますが、県の方から、その額の中から、その実施を便宜やっていただきました市町村の方にお渡しいただくのが建前でございます。その点県の方でもわかっておりまして、従って、県内の総ワクについては異存ございませんけれども市町村別の部分について若干実態と合わない点があったようでございます。従って国の方からきます補助金と、県の方に三億六千万ばかりいっておりますが、その中からさらに市町村の方に回すようにいたしまして善処いたします、こういうふうに知嘉さん及び総務部長さんから、私どもの財政局長なり私の方に実はお話があったわけであります。まだ現地の方にそういう措置が行き渡っていないのかもしれませんが、具体的にはそういうふうな話し合いになっております。従って、問題のありました市町村について県でその対策ができますと、大体処理かつくのじゃないだろうかというふうに考えております。  なお、ほかの県の市町村で、そういうバランスで見ますとどうも問題の出てくるところがあったようであります。その点実は私どもの方に耳に入っておるわけであります。従って、いろいろ御心配のような事態は、県の方の調整がつきますと大体解決ができるのじゃないかと思いますが、万一それでもなお残るというようなものがございましたら、先ほど政務次官から御答弁がありましたように、三十八年度の際においてさらにその残りの分を調整しなければならぬという分が出てくるわけであります。本来、災害関係特交というものは前年十二月末で切るのが普通でございます。今回は非常に大きな問題でございましたので、ほとんど特交の作業は十月ごろから始めておりますから、相当数字が固まっておった過程において、先ほど申し上げましたような思い切った措置を実はとったわけであります。従って、どうしてもそういう問題が残りますれば、三十八年度ということになるわけであります。そこで私は、今の問題が処理されますと大きな額は残らないのじゃないかと思いますが、残りました場合については、一応四月になりますとすぐ普通交付税の概算交付が出て参ります。従って、団体の決算といたしましては繰り上げ充用ということで処理していただいて、今度は三十八年度の会計としてその後の処置を考えていく、こういうことに相なるわけであります。そうしてさらに来年度の特交期において最終的な帳じり合わせをする、こういうことにならざるを得ないわけであります。
  49. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そういたしますと、この特別交付税交付金が交付されるのは相当おくれてくるわけですね。そうすると、その間これはつなぎ融資とかなんとかいうことになるのじゃないか。そうしなければ地方団体も復旧作業ができません。そうなると、これは、金利がかさんで参ります。私は常に言っておるように、そうしてやってもらえればけっこうだが、しかし、それがおくれることによって大へんな利子負担をしなくてはならなくなる。従って、実質上は、そういった補助とか、あるいは復旧費に対する国のせっかくの恩恵は非常に薄くなってきて、かえって自治体が借金をして——私が前に言ったように、今でも二十八年災の結末がまだつかないという状態のところがあるのですよ。それじゃ困ります。ですから、一体それをどうなさるかと言っておるのです。私はお話し合いになっている御趣旨については賛成であります。反対はいたしません。けれども、そういうことであってはならぬと私は思うのですよ。せっかく一生懸命になって災害特別委員会まで設けて、ここで審議をして希望を言っておるのに、そういうことでは政治の不信を買うことになります。あるいは政府の善意というものが一般にまで届かなくなる。私はそれをおそれる。ですから、残った額に対する交付税交付金というものは、一体どういう工合に時期を早めてやるおつもりなのか、あるいはその利子は全額国が負担をしてやれるのか、この処理について明確にしておいてもらいたい。
  50. 茨木広

    茨木説明員 全体的には先ほどのような考え方をいたしておりますが、この一時借入金の問題は、一般の災害の場合と今回の場合と多少違っておりますけれども、一般の場合におきましては、通常の起債なり補助金なりにそれぞれ肩がわりをしていく、その間の問題になるわけでございます。それについては、台風災害の場合についても、交付税の性格から、先ほども御議論がいろいろございましたわけでございますが、補助金のようにきっちり全部積み上げましてそうして清算をするという方式ではございません。それで、たとえば今までのやり方を申し上げますと、公共災害の査定額に対しまして、一%は一律にかける、一%は、県内状況を見て県の方で御配慮いただくということで諸経費というものを出す、その中に、地方対策本部の設置費でございますとか、あるいは今お話のございますような利子分でございますとか、いろいろなものをその中でまかなっていただく、こういうような立て方をしておるわけでございます。今度の雪の場合は、非常に大きな例として出ましたのは今回が初めてでございます。この分につきましても、全体といたしましていろんな公共建物その他の三十八年度の災害起債あるいは災害補助というものに乗るものも出てくるわけでございます。そういうものについてはやはり同じ方式で来年の特別交付税の中にやはり二%内外のものが入っていく、そういうようなことがそういう一時借入金の利子というようなものもその中でまかなっていただくというように一般的には相なります。ただ、個別の団体の財政状況からいって、またその額からいって、それが非常に多額にわたりまして、そういう方法だけでは処理し切れないという事態が出て参りました分については、これはやはり個々の団体ごとに、県の力においてお調べをいただきました結果によって、総体的に最終的な当該団体の財政援助ということで処理しなければならないのじゃないか、こういうように考えております。
  51. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私はどうも納得いく答弁が得られないのですが、これは二十八年災害でも、今差し押え処分までやるといって大騒ぎしているところがあるのですよ。それは何かといったら、利子の累積によって支払いができないのです。ですから、自治体の方でたとえば河川なり何なりを改修した、あるいは農地の復旧をやった、ところが、それをみんな個人に割り振っていっている。そんなものが払えるかというわけです。ところが、自治体の方では財政の限度がありますから、そんなものは負担できない。まるっきり責任のなすり合いで、しまいには取付騒ぎまで起こっているのです。これでは何のための高額の補助をやったのか、あるいは何のための特別措置をやったのか、わけがわからぬ。こんなことでは困ると思うのです。大体大蔵省なんかけしからぬことには、雪なんというものは災害のうちに入らないのだということまで言っているという話です。そんなべらぼうな話はどこにもない。私は五十四才にもなっておりますけれども、ことしみたいな雪は私の方でも初めてですよ。五十センチも六十センチも一メートルも降ったというのは初めてです。けれども、私の方は何も豪雪地帯に入っておりません。そんなことで繰り上げてやられるなら、利子はどうしてやるのです。交付税を三十八年度繰り上げてやるというなら、それはいつやるのです。それまでにこれはこうするのだということをはっきり明示すべきですよ。それができぬなら、法律でやるよりしようがない。議員立法でやりますよ。そんなよけいなことを言わないで、はっきり答弁して下さい。
  52. 茨木広

    茨木説明員 ただいまの御質問の中にいろいろあれがありますが、河川と農地と、いろいろ二十八年災からの文例をおあげいただいたようなわけでありますけれども、河川等についてでございますと当然公共団体の方で最終的に処理いたすわけでございまして、おそらく農地の方の問題について今のような問題が起こっているのじゃないかと思います。農地の方の問題になりますと、半分は農民の負担ということになっております関係上、それを団体が立てかえておるとすれば、そういう問題がどうしても起こってくるわけでございます。それから今年度の今の雪の問題については、せっかくただいまそれぞれの県の方においても御心配していただいておるわけでございますので、片づくというふうに私どもは考えておりますが、その実情をよくとってみまして、なお相当額が残るようでございますれば、先ほどから申し上げておりますように、最終的には心配ないようにいたしたいと思っております。
  53. 藤田義光

    藤田政府委員 いろいろお尋ねでございますが、先ほど財政課長が答弁しました通り、とりあえず自治省としましては特別交付税配分を終わりまして、三十七年の財政資金の用意はございませんので、四月一日から新年度でございまして、ほんとうに豪雪地帯のいろいろお困りの向きに対しましては、年度がかわって、予算が通れば、直ちに一般交付税を繰り上げ支給できるわけでございます。起債は、四月一ぱいに締め切りまして、五月早々から査定を始める。その起債もなるべく早急に決定いたします。それから、これは自治省にはございませんが、関係各省の補助金はなるべく至急に配分を決定していただくように、自治省の財政局財政再建課で課長中心に各省に補助金の問題を常時督促する体制をとっております。そういう補助金の決定を見、起債の決定を見て、そして地方公共団体豪雪被害額とのかね合いの推移を見ながら、特別交付税の計算に十月から入りたい、それでどうしても矛盾あるいは三条市のごとき問題が出た場合においては、十月から計算が始まる特別交付税一つ最後のめんどうを見よう、自治省としましては、関係各省の補助金あるいはつなぎ資金の跡始末の補助を各省がどの程度出すかということを見合いながら、特別交付税で最後の締めくくりをしたい、こういうふうな体制でございます。御指摘の通り、二十八年災、これは私の郷里であります熊本県あたりは一番ひどい被害を受けておりまして、御指摘のような事例を私もよく体験しております。そういうことがないように、少なくとも、今回の豪雪に関しましては戦後初めての事態でございますので、そういう弊害をこの際豪雪にまで繰り返さないように十分一つ留意したい、かように考えております。
  54. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 これは関連質問ですから、私はあとでまた別にやりますけれども、今の答弁は——政務次官の答弁は了承します。けれども、今の答弁の中でこういうことを言っておる。あなたはとんでもないことを言いましたよ。農業関係などにはそういうことが起こり得るかもしれませんけれどもなんとしう それは農林関係だから私は知らぬということですか。そんなめちゃな答弁が一体ありますか。政府というものは、各省に分かれていても一体のものでありませんか。そんな不謹慎な答弁が一体ありますか。罹災された者は、政府のあのときの補助は九割ですよ。ところが実質的には五割にもなっていない。熊本県あたりでも文句があるでしょう。現在取付騒ぎまで起こっているのですよ。それをやむを得ないというのは、何ということですか。政府の適切な施策を欠いているからじゃないですか。つなぎ融資をやらないで、補助金をどんどんおくらしておいて、そうして片方では利子がどんどんかさんでくるじゃありませんか。補助をくれといったって、全部回収はできないじゃないですか。自治体や何かは限度があって、やれない。半分やったからということで取り立て騒ぎを起こしている。政治というものはもっと親切でなければならぬとわれわれは思っている。政務次官はきわめて親切丁寧に答弁している。それについて事務当局がそういうことで一体どうするのですか。今度の豪雪だって、農業関係にもずいぶん被害がある。交通関係にだって莫大な損害をこうむっている。そんな不親切なことで一体国民のための国民の政治というようなことができますか。今の答弁に取り消されるか、訂正されるか、どっちですか。私は今の答弁は承知しない。
  55. 茨木広

    茨木説明員 若干誤解があったようでございますけれども、農地関係災害復旧の場合の建前といたしましては、公共団体の方でおやりになります場合についてはいろいろ起債その他がつきますけれども、また国庫補助が出ますが、国庫補助が出ました残りのものにつきましては折半が原則になっておるわけでございます。今のお話でございますと、本来政府なり公共団体が持つべきものが農民に転嫁されておるというように承りましたが、私先ほど申し上げましたのは、折半負担が原則でございますから、従って、その内容の中に、本来農民が持つべきものについて公共団体の力が立てかえておるような場合においては今言ったようなお話が出て参るということがありますということを先ほど来申し上げたわけであります。河川、道路その他本来公共団体が管理しますものについて、さらにそれが一般住民に転嫁されるということにつきましては、私どもといたしましては、住民転嫁ということの禁止を強く叫んでおるわけでございまして、そのようなことは本来起こるべきものでもないし、また起こらせてもいけない、こういうふうに考えております。ただ、農民本来のものについてでございますとそういうことが起こる、こういうことで申し上げたわけであります。
  56. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 あなたの答弁はまだ私の言っていることと多少違っています。もちろん国からの補助額、その残余の額についての折半、それはわかっているのですよ。ところが、補助がくるのがおそかったり何かするものですから、つなぎ融資を受けてやるでしょう。工事をやらなければならぬから、やります。そうしたら、これを無利子で貸してくれるところがありますか。二年も三年もおくれたら、どんどん利子がかさんでしまうのです。その利子の負担のためにたえられなくなってしまうのです。だから私は今言っているのです。交付金を交付する場合に、三十七年度で足りなかったならばあとでやるとおっしゃるが、当然今査定しておる分についても全額じゃないと思うのです。そうすると、あとのものはやれる原則については賛成ですと私は言っているのです。けれども、その時期についてはどうしてくれる、前のそういうような轍を踏んでは困るからということを言っておるのです。あなたはちぐはぐな答弁ばかりしてはだめです。そこのところをはっきりしておいて下さい。
  57. 稻葉修

    稻葉委員長 三十七年度分で足らない分は三十八年度の交付税で見る、これは時期が一年ずれるから、その間ちょっと困るではないかということについての答弁がないのです。
  58. 茨木広

    茨木説明員 これも先ほどから申し上げておりますように、豪雪災害の中に、公共の対象になりますもの、その他いろいろなものがございます。災害対策特交の中に今回出しましたのは、除雪雪おろしその他の中心といたしますものは出したわけでございますが、やはり本年の一月以降の問題につきましては、公共災害分、それから倒壊家屋でございますとか、いろいろなものを基礎にいたしまして、来年度の特交の中にやはり二%前後のものをそれに乗じたものが出て参ります。その計算の基礎には、そういう一年以内の短期のつなぎ資金の利子分というものも一応その単位費用の計算の中に織り込んでございます。従って、そういうもので出ていくはずでございますということを申し上げたわけでございます。しかし、団体によりましては非常に差がありまして、その二%の中で処理し切れぬような場合が出てくる場合も、仮定としては考えられるわけでございます。その場合には、当該団体の財政全般の問題といたしまして、なおそれでも来年度の帳じりが合ってこないということになりますと、財政全般の援助問題として別途にさらに考えなければいけない、こういうように考えておりますということを先ほど申し上げたわけでございます。ですから、結論的に非常に簡単に申し上げれば、段階が二段、三段になりますけれども、いろいろそれらの御質問のような点も考えます、こういうことでございます。
  59. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それでは、今言われた期間までの利子はその額の中に含まれる、こういうことですね。間違いありませんか。
  60. 茨木広

    茨木説明員 さようでございます。
  61. 稻葉修

    稻葉委員長 小沢辰男君。
  62. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 私は、理事会の決定に基づきまして、雪害関係の研究機関についてだけ御質問を申し上げたいと思います。  まず、御承知の通り、三十五年から六年にかけまして大豪雪がございました。その際、本院におきましては、各委員会において、あるいはまた各委員会の合同会議におきまして、強く総合雪害研究機関の設置ということを要望したわけであります。なおその後、そのときの通常国会におきまして、たしか大野議員だと思いますが、三党共同の雪害に対する決議案を本院に上程いたしまして、その際にも強くこの総合対策研究所の設置を要望したわけであります。また御承知の通り、昨年両院において可決をされました豪雪地帯対策特別措置法という法律がございます。この法律の審議の過程におきましても、豪雪対策につきまして特に総合研究機関を設けてくれという要望が強くあったわけでございます。これにつきましては、今回またさらに異常な豪雪か起こりました。この豪雪の結果非常な問題が提起されておるわけであります。  総理府でおまとめになりました豪雪対策全般の表を見ますと、最後に、その他のところで、防災基本計画の策定等にからみまして、第三番目に、雪害関係科学技術の研究措置ということがございます。また、今回設置法の改正につきまして、国会に政府が提案をされました国立防災科学技術センターというものも承知いたしておりますが、すでに三十五年災以来要望されて参りました雪害に関する総合的な研究所の設置に関しまして、政府はいかように考え、またそれを具体的にいかなる形で行なっておられれますか、まず最初に概略承りたいと思います。
  63. 内田常雄

    ○内田政府委員 小沢さんからお話のように、雪害に対する総合研究所設置の要請が従来各方面からあったことを私どももよく承知いたしておりますが、雪害に限らず、防災に関する試験研究というものは、一つの独立した試験研究機関で達成できるものではなく、非常に関連する分野が広範であって、現に存在するような建設省なり農林省なり気象庁なり北海道開発庁なり、あるいは民間の新潟にありますところの財団法人の積雪研究会でありますとか、あるいは国鉄の技術研究所に設けられております雪害研究所とか、そういう各方面においてやっております試験研究というものを総合的に統一的にやるにあらずんば、ただ一つの名前を持った総合研究所という名前をつけましても、一つの独立した機関をつくったのでは、かえって所期の目的から遠ざかるであろうというような見地もございまして、各方面とお打ち合わせをいたしました結果、科学技術庁における総合研究機関といたしまして、防災科学技術センターというものをつくって、それに従来の構想の雪害に関する研究機関というものの機能を吸収していこう、そのかわりに、その国立防災科学技術センターというものは、自分のうちの主要な機能の一つとして、雪害に関する総合研究というものを、先ほど申しましたような各機関と十分協力して、また予算も弾力的に使いまして所期の目的を達成していこう、こういう構想で、衆議院の方は、この防災科学技術センターの設立を含む科学技術庁設置法の改正が通されましたが、現に参議院においてそれが審議されておるという形でございます。従いまして、それができました暁におきましては、お話のように、総合研究所というものをつくったと同じように、あるいはそれ以上の機能を十分に持たしていくように運営をして参りたいということが私どもの構想でございます。
  64. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 政務次官の御答弁を承りまして、大体御趣旨はわかるのでございますが、この国立防災科学技術センターの業務について科学技術庁で決定されております要綱を拝見いたしますと、実はこれは、関係行政機関に重複して設置することが、経費を多額に要するので適当でない。それで、特にこの要綱の中をずっと見て参りますと、関係行政機関のそれぞれ持つ研究所とか、あるいはいろいろな施設というものはそのままにして、それらの関係行政機関の共用に供するために、総合的な、あるいはその技術者の養成訓練に資するためにこういうセンターを設けておられるようにむしろ思うのでございます。要綱を拝見いたします場合でも、各要綱については、やはりわれわれとしてはそういうように受け取らざるを得ないのでございます。そういたしますと、たとえば豪雪地帯対策特別措置法によりまして、御承知の通り、雪害対策の審議会として豪雪地帯対策審議会というものがつくられておりまして、その審議会の会長が、特に今次の豪雪を契機にいたしまして積極的に総合的な研究を行なわなければいかぬのだということで、豪雪に関する総合研究所を早急に設置してくれという建議も政府にいたしておるのでございますが、どうも防災科学技術センターというのは、何か各省で持っております小規模な研究機関の共用をやるため、あるいはそれらの研究機関に働いておる技術者の賛成訓練に資するような、非常に総合的なもののような印象ではありますけれども、何か最大公約数的で、また共用機関的であって、われわれが長年言って参りました豪雪による被害あるいはこれの防除、あるいは特にわれわれがこの前から言っております自然科学的な研究と同時に社会科学的な研究もやるのだというような趣旨とは少し違うように思うのですが、この点はどういうふうにお考えですか。
  65. 内田常雄

    ○内田政府委員 小沢さんがお述べになりましたように、今度の防災科学技術センターの機能の一面は、各省の機能はそのままとしておいて、各省に足らざる、各省それぞれが持ったならば非常に経費もかかって実現が不可能だというような共用施設あるいは設備というものを持って、たとえばシミュレーターのようなプロセス・モデルを何億円かかけてつくるとか、あるいは何億円の電子計算機を持つとか、あるいはその他のどえらい施設を持つということ、つまり今のあなたのお言葉をかりて言いますと、最大公約数的な機能を果たすということも一面でございますが、今先生のお考えからちょっと漏れておった最小公倍数的な仕事をすることが、実は非常に大きな一つの機能でございます。でありますから、今度の国立防災科学技術センターというものは、自分で仕事をする、自分で施設を持って、各省が来て使うなら使いなさいということではなくして、むしろ各省の機能を強化して参る、そうして各省全体の機能——こういうことを申すのはなんでありますが、従来、先ほど申しましたいろいろな政府関係の機関でも、それぞれの行政目的だけに沿うような試験研究が多かったために、これは雪害に限らず、たとえば地すべりでも洪水でも高潮でも、総合的な研究の面に欠けておった、つまり最小公倍数的な仕事の面が従来のままではできなかったので、最小公倍数的な仕事をしようということで、そのために、御承知の研究調整促進費というものも、従来の目的のほかに、雪を初めとして今度の防災科学技術の研究のために、特にこの三千万円は、私どもの今度のセンターが使うのではなしに、在来の各研究機関——これは政府の研究機関でなくても、新潟積雪研究会であってもよろしいわけでありますが、そういうところにそういう予算をも回して、むだがあってはいけませんけれども、最小公倍数的な機能を果たすために使う、こういう機能を持っておるものでございます。また人間にいたしましても、これも御承知の流動研究員というような制度を取り入れまして、自分のところの技術センターで試験研究をするのじゃなしに、在来それぞれの面から防災あるいは雪の研究をしております各機関に随時必要に応じて派遣してお手伝いをさせるというような機能も果たして参りたい。ことに雪の災害につきましては、他の災害洪水、高潮あるいは台風等と違いまして、これもそうでありますけれども、特に地域性がある。北陸、東北方面に限られておりますから、中央にある各省庁の試験研究機関と協力するばかりでなしに、地方における試験研究機関とも十分協力する、さらにまた、地方公共団体の行なう防災研究所とも協力するというように、地方の方にも十分気を配りまして、最小公倍数的な役割を果たしていこう、こういうことを考えております。でありますから、今度の防災科学技術センターの中にも、特に第二研究室につきましては、雪害に関する試験調査研究を初め、その方の最大公約数的な仕事及び最小公倍数的な仕事をさせるということで、これは今御質問の中にありました豪雪地帯対策審議会の会長の田村文吉氏を代表として、昨年暮れに雪害に関する総合研究所設置の要望が内閣にも出されております。これは私どもも承知いたしておりますので、先ほども触れましたように、あたかもこの総合研究所ができたと同じというよりも、もっと機能的な、ファンクショナルな研究活動ができるようにぜひしたい。ただ残念なことには、本年度は初年度でありますから、人員も少ない、また予算も不足であります。でありますので、今直ちに十分な活動はできないかもしれません。また、地方の支分部局といいますか、出張所のようなものを直ちにつくるという考えはありませんが、先ほどからいろいろ述べましたような研究機関を別につくるということを吸収した意味を私ども十分心得ておりますから、皆様方の御指導、御援助のもとに十分その目的を果たしていきたい、かように考えております。
  66. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 そういたしますと、この機構、人員あるいは所掌事務の割当のうちの、今政務次官が言われました第二研究室、これが中心になって雪害関係に関する試験研究をやる、こういうことなんですが、これにつきまして一つお尋ねしたいのです。現在定員が二名、しかもそれが東京にある、そうして将来研究所の組織及び人員は、構想といたしますと、昭和四十年までに全体で今の二十一名が百七十三名になるというふうに聞いておるのですが、雪害関係には相当の部門をおさきになる意思があるかどうかという点と、もう一つは、私ども、東京でりっぱな技術、機械を持ちまして研究されることもいいと思いますが、北陸なり、あるいは設置場所はともかくといたしまして、この第二研究室自身が総合雪害対策の研究の機能を果たしますように、たとえば豪雪地帯に独立に第二研究室の支所といいますか、そういうような形で置いて、そこでたとえば今塩沢にあります国鉄の研究所とか、あるいは新井にあります建設省の研究機関、そういうものとよく連絡をとって総合的に研究を進めていくということを将来われわれが期待していいのかどうか、この点をまずお伺いしたい。
  67. 内田常雄

    ○内田政府委員 ことしは先ほど述べましたように初年度で、まだできておらないわけであります。これはおそらく七月か八月ごろできるであろうと思いますが、初年度の人員は全体で二十一人、その中で、今おっしゃったように、第二研究室という、雪の研究を専管いたします研究室には専担任者は二名でありますが、さっき触れましたように、流動研究員が別に三名あります。でありますから、状況によってはその流動研究員の三名を全部雪の研究にぶち込むこともできますし、別に調査室というものがありまして、初年度におきましてこれも四名ほど調査員がおります。その方の人員をさくこともできますから、数名くらいは本年度といえども雪の研究のためにさくことも可能ではないかと思います。しかし、先ほどから繰り返して申し上げますように、この数名だけで雪の研究を総合的にやるのではないのでありまして、これは最小公倍数的な仕事をやる幹事役でありまして、むしろ各省庁における試験研究機関の方をできるだけ充実して参って総合的な仕事をして参る、そのためには研究調整促進費も、必要に応じて、自分で使うのではなしに、各省庁の中央または研究機関の方にもこの金を使って参るということで出発いたします。しかし、これは五年計画、十年計画で人員も百数十名にふえます。その際は、——たびたび繰り返しますように、別に雪の研究所というものをつくればそれだけよけいな人間も金もかかるわけでありますから、そういうことを避けた意味でこの総合研究センターができたわけでありますから、別のものをつくったと同じように十分機能を果たし得るように、第二研究室を中心とする人的あるいは予算的、機能的な面を重視して参りたい、かように考えております。  それから、先ほども触れましたけれども、第二研究室の分室のようなものを現地につくる、新潟なり、富山なり、あるいは東北なりにつくるということは、今直ちには考えておりません。この防災センターの第二研究室が幹事役となって、現地の公共団体あるいは政府関係機関の現地の機構と協力をしていけば、それでいけるんじゃないか、できるだけそれでやりまして、どうしても現地に幹事役的な防災センターの機構が必要だということになりますれば、それはその際研究して参ろう、こういう気持でおるわけでございます。
  68. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 ちょっと途中で総務長官にお伺いしたいのですが、御承知の通り、山形県や新潟県等に各省の研究機関が、民間を入れますと八つばかりございます。これらと、防災科学技術センターの第二研究室、今の雪害関係の第二研究室でありますか、これと政府として相当密接に協力をさして、総合研究機関としての効果を発揮するように、政府として何か御指導を——この防災科学技術センターというものをおつくりになる際に、そういうような調整といいますか、指示をされたことがございましょうか、また今後あるいはされる意思がございましょうか。
  69. 内田常雄

    ○内田政府委員 私ちょっと申し落としたのでありますが、総理府の方と協議いたしまして、たびたび申し上げるように、防災センターが自分だけで仕事をするのではなしに、現存の各関係省庁の研究機関を総合して一体的に運営していくという趣旨から、各政府関係機関の長または直接の研究官にお願いをいたまして、今度の防災センターに運営委員会というものを置くことになっております。でありますから、今の新潟、山形、それらの方面の雪害の方を担当せられる機関の長あるいは直接の担当官に今度の防災センターの参与になっていただき、その参与会の中に第一部会、第二部会というようなもの、あるいは第三部会というものもつくりまして、第二部会が、雪害に関する、今お尋ねの各機関の連絡調整の機能も果たしていくということにしようではないかということで、総理府、行政管理庁の方にも私の方で説明をしておりますし、そういう意味で総理府令などもただいま用意しております。
  70. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 それから最後にちょっとお尋ねしたいのですが、われわれが、本院の決議、あるいは豪雪地帯対策特別措置法をつくりますときに、総合研究機関の設置を非常に強く要望しましたのは、一つにはもちろん自然科学的研究ということがございますが、同時に、積雪地帯の社会科学的な研究をやってもらいたいという非常に強い要望がこの中に入っておるわけであります。これらの点について、今度の構想によります防災科学技術センターで第二研究室が担当されるのか、あるいは科学技術センターそのものがこういう面の社会科学的な研究もあわせてやっていただけるのか、この辺のところはどういうお考えでございますか。
  71. 内田常雄

    ○内田政府委員 つまり、雪害がしばしば起こる地域の生活環境とか、あるいは地域開発などに関する試験研究あるいは調査というものもやってほしいということも私どもよく承知をしております。ところが、今度の防災科学技術センターあるいはその中の第二研究室としましては、今のような生活環境、地域開発に関する社会科学的な研究はできないと思いますが、その面につきましては、科学技術庁といたしまして、技術庁の中の研究調整局あるいは資源局——資源局などでは、かなりそういう方面の研究を、従来から資源調査会として経済企画庁から引き継ぎまして調査などいたしておりますので、科学技術庁の機能といたしまして今の御要請の点はやっていけるのではないかと思います。ただ、これも小沢さん御承知だと思いますが、科学技術庁の設置法に重大なる限定がありまして、科学技術庁は科学技術の振興に関する総合的な施策をやるところだけれども、その科学技術というのは、人文科学のみに関することはやっちゃいかぬと書いてあるわけであります。でありますから、人文科学だけのことはできませんから、今のような地域開発とか、あるいは雪害に関する研究、生活環境の研究ということと兼ねあわせてやる分にはこれは差しつかえないだろうと思いますので、そういう面から取り上げて参る、こういうつもりでおります。
  72. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 私は、この豪雪地帯につきましては、どうしてもやはり自然科学的な研究以外に社会科学的な研究というものをあわせてやっていただくことが、地域住民のこれからの福祉増進にとって非常に必要だと思う。それから、先ほど、第三研究室の支所を設けるということよりも、むしろ各機関の運営協議会において総合的にこれらの研究機関の総合調整をやったりしていって効果をあげたいというお話がありましたが、できますならば第二研究室というのは豪雪地帯一つ面接出向いた研究室であってほしい、同町に、将来防災科学技術センターの中でそうした特に豪雪地帯については自然科学的な研究以外に社会科学的な研究が大事なんだということを考えていただきまして、ぜひ一つこれらの部門をこの中に、予算上もあるいは組織上も入れていただきたいと思っておりますが、将来のことでございますので、あるいはまた、政府全体の方針に関連をいたします、またわれわれ今まで考えておりましたのは、なるほど、政務次官の御答弁ではもっともだとは思いますけれども、単刀直入にこれら八つのいろいろなばらばらな豪雪地帯の研究機関というものを一本に独力に総合して、そして豪雪地帯に直接その所在地を持った総合的な雪害の研究所がほしいのだというのが熱烈な要望であったわけでございますが、それになるべく近づけしめるように、第二研究室そのものが向こうへ出向いて、機構ももっと大きくなり、同時に社会科学的な研究も総合的にやっていく、同町に各政府機関のそれぞれの研究機関についても相当強力な指導を持っていただくというくらいの将来の答弁がほしいわけなんですが、総理にかわって総務長官からこの点についてどうです。
  73. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまの考え方につきましては、内田政務次官が申された通りでございましょうが、いろいろお話の点もございますし、私どもも現地等の強い要請や国会方面のそうしたお話を承りまして、今後に強い統制力のある一元的な運営ができるものをという気持を持っておりますので、私どもの気持を十分関係役所にも通じまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  74. 稻葉修

    稻葉委員長 この際、先ほど薩摩委員の発言もありました福井地方地震による被害状況について、とりあえず警察当局から説明を聴取することにいたします。後藤警察庁警備第二課長
  75. 後藤信義

    ○後藤説明員 ただいままで私どもの方に入りました状況について申し上げます。  ただいまお話しの地震は、けさの六時三十五分に、福井県の越前岬付近に震源地を持った地震が起こったわけでございます。その震源地は、大体海底二十キロと推定されておるのでございます。その震度は、福井県の敦賀、兵庫県の富岡におきまして震度五でございます。これは強震ということでございます。それから、福井、名古屋、姫路、この方面におきましては震度四、これは中震でございます。それから金沢、高山、神戸、静岡、この地方におきましては震度三、これは弱震でございます。それから富山震度二で、軽震でございます。  この被害状況でございますが、ただいままで私どもの方で把握しております状況では、福井県下のみに被害が起こっておりますが、その状況は、負傷者が一名、これは逃げ出すときに負傷したものだそうでございます。全壊家屋が一戸、これは海岸に建っておりました家がくずれて海中に没したということでございます。非住家、これは物置小屋等を含むわけでございますが、その損壊が六戸でございます。それから、逃げ出すときに石油こんろをひっくり返したために火事が起こりまして全焼しました家が一戸ございます。それから鉄道の関係では、福井県の武生の付近におきまして鉄橋の損壊と地盤沈下がありまして、そのために北陸本線はただいま徐行運転をいたしております、そのほか、道路の損壊が二カ所ございます。  ただいままで入りました状況はこの程度でございますので、災害の規模といたしましては比較的小さかったように思われます。  以上でございます。
  76. 稻葉修

    稻葉委員長 堂森芳夫君。
  77. 堂森芳夫

    堂森委員 大蔵省にお尋ねをいたしますが、豪雪地帯におきましては、公共事業の進捗が非常におくれまして年度内にこれが竣工しない、こういう場合が非常に多数出てきておるのであります。財政法によりまして、もちろん繰り越し川井費というものがございまして、次の年度に繰り越しまして、年度内に完成しなくても予算を使うことは可能でありますが、しかしながら、事故繰り越しと申しますか、必ずしも明許繰り越しというのでは処理できない面が相当あると思いますが、先般来委員会において、あるいは理事懇談会等におきましても——この公共事業の費用が年度内に支出をしない場合、これはもちろん政府の厳重な監督は当然なことでございますけれども、あるいは督促と申しますか、いろいろな問題が起きてきておるのであります。こういう問題に対して大蔵当局はどういうふうな考え方で臨んでおられるのか。あるいは財政法の改正が必要であるというならば、われわれそうした点も考えなければならない、こういうふうに考えておりますが、大蔵当局の答弁をまず伺いたいと思います。
  78. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 御指摘の通り、公共事業の繰り越しの問題につきましては、たびたび御要望もあった次第でございまして、私どももいろいろ御意見を承っておるわけでございます。御指摘のように、通常の公共事業費につきましては、財政法の規定によります繰り越し明許費となっております。これは国会の議決を経まして、繰り越しについてあらかじめ明許費としての指定が行なわれておるわけでございます。従いまして、このような予算につきましては、特別の事由がなく翌年度に繰り越しが自動的にできるようになっておるわけでございます。ただ問題になりますのは、災害等がございまして予備費支出をしたというような場合もあるわけでございますが、こういった経費につきましては、その経費の性格上、繰り越し明許費とはいたさないことにいたしてあります。従いまして、このようなものにつきまして、今回の雪害のような事態が起こりまして工事の遅延をいたしたいという場合には、従来でありますと、なかなかその手続が厄介である、場合によっては認められないというような事態もあったわけでございます。今回、御指摘によりましていろいろ事態を検討いたしますると、こういう豪雪というような特殊の事態でありますので、事故繰り越し手続というものにつきましても特段の措置をとることが必要じゃないかということになりまして、すでに三月の初旬に主計局長通達をもちまして、財務局長あてに、今回の豪雪にあたっての工事遅延等による繰り越しという問題については、できる限りその措置をとるようにという通達を出した次第であります。実際上の手続は、今関係各庁から御相談がくる段階だと思いますが、そういう通達を出しておりますので、遺憾のないことと思いますのが、なお実際の運営にあたりましてそごを来たしませんように気をつけて参りたい、このように考えております。
  79. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいま答弁がございましたが、実際には現地においてはいろいろと折衝の段階でやはり摩擦といいますか、円滑にいかない面も出ておるように聞いておるのであります。なお厳重に大蔵大臣の認可が迅速に行なわれるように、そして雪による公共事業の遅滞がごうもないように、取り計らいをしてもらう、こういうふうに重ねて要望しておきたいと思います。  そこで次の問題でございますが、時間もおそうございますから、簡略に質問をいたしたいと思います。自治省政務次官藤田さんに、お願いかたがたお尋ねをするわけでありますが、詳細は事務当局でけっこうです。  実は今回の豪雪によりまして、雪の著しい地方におきまして各方面のあらゆる階層の人たちに、損害というものは別にいたしまして、さらに多くの経済的な負担が起こっておるのであります。実は先般も国鉄の職員に聞いた話でありますが、雪の手当として——私の県は福井県ですが、福井地方の国鉄の職員は千八百円もらったと言って、みな笑っておるわけです。毎日々々朝早くから夜おそくまで除雪に協力をして千八百円もらった、こういう全く信じられないような給与というか賞与というか、そういうものが行なわれておるのであります。そこで、私のところにたくさんの公務員の諸君から陳情がきておるのであります。おそらく他の議員諸君にも、あるいは自治省にもきておると思うのでありますが、公務員の共済組合法という法律がありまして、たとえば地方公務員の共済組合法を見ますると、第七十二条及び第七十三条でありますが「組合員か前条——第七十二条——に規定する非常災害によりその住居又は家財に損害を受けたときは、災害見舞金として、別表第一に掲げる損害の程度に応じ、同表に定める月数を給料に乗じて得た金額を支給する。」その災害とは、水害あるいは地震あるいは火災その他の非常災害、こうなっておるわけでありますが、この別表を見ましても、雪で家がつぶれた、これはもちろんこの条文によって見舞金というものが出るわけです。しかし、家がほとんど三分の一以上痛んだ、こういう場合が規定してあるわけですが、三分の一までは痛んでいないが相当痛んでおる、こういうようなことは、普通の家屋は全部そうであります。といが痛む、あるいは下見板がだめになってしまう、かわらが割れてしまうとか、これは雪のある地帯ではそういう損害があることは当然のことでございます。しかし、この規定にいわれているような意味の災害にはなっていない。しかも豪雪地帯では、いつもの雪と違いまして、最もひどい地帯では雪おろしは数回以上はやっておるでありましょう。雪おろしだけではなしに、あるいは通路の除雪ももちろん一回では済まぬのは当然であります。いろいろな意味で非常に経費がかさんでおる。そういう意味で、この公務員の共済組合法にはこのままでは該当しないけれども家屋その他の損害あるいは雪おろし等によるいろいろな費用の負担というものを考えると、現在ある共済組合法の本法には該当しないので、何らかの特例をつくってもらって、そして何がしかの見舞金を出してもらうような改正をわれわれは要望する、こういう意味の陳情がきておるわけであります。そして組合員の諸君は、おれたちが出して、そして災害あるいはいろいろなときに備えてつくっておる組合である。めったに、百年に一ぺんしかこないようなこういう豪雪に対して、何らかの、経済的な大きな負担に対して見舞金としてもらうというようなことは、これは常識上あたりまえではないか。もちろん自分たちが積み立てておる金をもらうのでありますから、これは何も政府におんぶしてもらうものでもないし、もちろん、それは全国の組合員の金がプールされておるのが渡るわけでありますから、組合員全体の負担にはなるにしても、百年に一度しかないこういう豪雪時には、これは何らかの特例をつくってもらってやってもらいたい、こういう陳情が盛んにきておるわけでありますが、自治省としては何らかのことを考えておるかどうか、あるいは考えておらぬというふうなお考えであるか、それを一つ明確に御意見をお伺いしたい、こういうわけであります。
  80. 藤田義光

    藤田政府委員 ただいま御指摘の問題に関しましては、何十年あるいは百年に一回の豪雪であるということで、地方公務に従事されておる御労苦、財政負担、私もよく了承できるわけでございます。ただ、昨年の十二月一日にこの制度が法制上発足いたしまして、まだ四カ月でございます。機構的にも、運用の面におきましても、現在せっかく検討中でございまして、まだ軌道に乗っておらないことは、御承知の通りでございます。そのさ中にこういう大異常災害が起きたということでございまして、自治省としましては、法規の範囲内の見舞金は当然出すわけでございますが、それに該当しないところをどうするかという御指摘の問題等に関しましては、実は農業関係あるいは中小企業関係、農家の方、中小企業の商店の方等の間にも類似の問題が政府機関に相当強くいろいろと要望が出ておりまして、災害対策本部長である河野建設大臣等も、こういう問題に関しましては、政府部内の会議で相当真剣に討論をやったことはありますが、現在のところ、この法規以外に特例をつくってやろうという準備までは、率直に申し上げてまだいっておりませんが、何分にも何十年に一回の異常なる豪雪でありますので、よく実情を調べまして、大体今までつかんでいる資料もありますが、さらに今後十分検討はしてみたいと考えております。
  81. 堂森芳夫

    堂森委員 せっかく政務次官の御答弁ですが、そうすると、これはやらぬ、やるのにどうもむずかしいという御答弁のように受け取れるのですが、先ほどあなたの方では——これは理屈を言うわけではないのですが、一般の中小企業者や農民の方々云々、これはわれわれも、援護法を従来の伊勢湾台風においても出して、一般にも渡す、こういう主張をしてきたのですが、これは別としまして、共済組合というのは、御承知のように組合でございましょう。だから、自分たちが出して助け合うんだというのとはちょっと意味が違うと思うのです。もっとも、成立して間もないものであって、財政的にもいろいろな問題があると思うのであります。そういう意味では私もよく理解ができるのであります。また豪雪地帯でない地域の組合員の諸君が、今の規則にもないようなことを広げて出すということに対しては、相当の意見もあるだろうと思うのであります。しかし、ともかく百年に一回というようなこういう災害が起きて、経済的にも大きな負担をかぶっておる、そういうときに出すということは、私はその方がどうも筋が通ると思うのでありますが、財政的に非常にむずかしい。これは当然そうでありましょう。従って、特例法をつくって、さらに組合費をふやすとかいうような措置が出てこないと、なかなかむずかしいのではないかというふうには考えますが、やっていこうという方向で考えられるのか、これはどうもむずかしいが、答弁上そうしていこうというお考えなのか、それをもう一ぺん聞いておきたいと思います。
  82. 藤田義光

    藤田政府委員 御存じの通り、豪雪地帯には国家公務員も多数おりますし、国家公務員の関係になりますと、また大蔵省の態度もございます。具体的な点に関しましては公務員課長から御答弁したいと思いますが、私としましては、十分好意を持って検討したいという意味で御答弁を先ほど申し上げたわけでございます。
  83. 松浦功

    ○松浦説明員 ただいま政務次官から答弁がございましたが、この問題につきましては、ただいま御指摘がございましたように、現在の法律の規定によりますれば、家財あるいは家屋被害を受けたものについて見舞金を出すようになっております。従って、家財の全部または家屋の三分の一でございますから、相当大きな被害に対して〇・五カ月分から三カ月分にわたるものを、その被害程度に応じて、損害補償という意味ではなく見舞金という格好で出すという制度でございます。従って、この範囲を著しく広げるということになりますれば、現在持っております掛金の割合ではとても支給ができないわけでございまして、相当掛金、負担金を上げなければならぬという問題も出て参ります。それのみならず、具体的にどういう被害をつかまえるかということが、こういう制度のもとにおいては、比較的客観的に明瞭につかめるものを対象にいたしませんと、本人の申告で被害が幾らあったかというようなことを基準にしてものをやるということになりますと、組合の統制がなかなかとれなくなる、そういう事態をもあわせ考えますときには、なかなかむずかしい問題であろうということを考えておる次第でございます。
  84. 堂森芳夫

    堂森委員 もう時間ですから、終わりますが、国家公務員について大蔵当局は何かお考えでございますか。今のと関連して……。
  85. 平井迪郎

    平井(迪)政府委員 地方公務員においては、自治省からただいま御答弁のあった通りでございますが、国家公務員につきましても、先ほど松浦公務員課長から御答弁のありましたことと同じような考え方で処理いたしたいと考えておる次第でございます。
  86. 堂森芳夫

    堂森委員 それではもう質疑を終わりますが、そうした声が、一般組合員にしろ、国家公務員の諸君にも、地方公務員の諸君にも、豪雪地帯には非常にある、こういうことを皆さん頭に置いていただきまして、組合員諸君の意向、あるいは審議会がございましょうが、その方面の意見も十分しんしゃくされまして善処されるように要望しまして、私の質問を終わります。
  87. 稻葉修

    稻葉委員長 以上で総理府、大蔵省、建設省に対する質疑は終わりました。  午後は、農林省、通産省、厚生省の順で質疑を継続することとし、午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時から再開することとし、暫特休憩いたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後二時十一分開議
  88. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  災害対策に関し質疑を続行いたします。細田吉藏君。
  89. 細田吉藏

    ○細田委員 私は、通産省関係につきまして三点ばかりお尋ねをいたしたいと思います。  第一点は、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、いわゆる三公庫の融資の問題でございます。今回の災害に際しまして、この三公庫の資金ワクの増大その他手続上の問題等に関しまして、中小企業庁としては、かなり満足すべき——と言ってはあるいは言い過ぎかもしれませんが、かなり大幅な措置をいろいろとられたことは、すでにこれまでの委員会におきまして御報告があった通りでございまして、私どももこの点認めるにやぶさかでないわけでございますが、本日最終的にお尋ねをいたしておきたいと思いますることは、さらに今日の状態におきましてこれら三公庫の資金ワクその他について問題が起こっておるかどうか、こういったような点、さらに融資の手続の問題で現地から若干の不平などがあるのでございます。こうした条件の緩和、手続の簡素化あるいは償還の期限の問題、これらにつきまして政府当局から総括してお答えをいただきたい、かように考える次第であります。
  90. 加藤悌次

    ○加藤(悌)政府委員 お答え申し上げます。  政府系の三金融機関の雪害融資のための資金ワク問題につきましては、御承知のように、この第四・四半期分として一般的な追加を百億ばかりやっておりますが、それをできるだけ雪害地にも重点的に回すようにということを指示いたしております。それから、二月に入りまして特に雪害地向けとして二十億ばかりの資金の増ワクをいたしたわけでございますが、その後の状況を見ておりますと、必ずしもそれだけでは十分でないというふうな状況にもなっておりますので、実は現ナマはあるわけでございまして、それを新年度への繰り越しという格好で実は持たしてあるわけでございますが、それにさらに手をつけて、原則的にはワクがないために融資の御要望に応じられないということがないようにしたいということで指示をいたしまして、その後の融資の実行状況を見ておりますと、かなり出ておるわけでございます。これは資料として差し上げてあるわけでございますが、三月の二十日現在、大体五十億ばかりすでに三機関で融資の実行済でございます。それから三月末までに、これは相当馬力をかけなければ困難かと思いますが、一応それぞれの機関の見通しといたしましては八十四億ばかり実行をいたしたいということで、各機関とも努力をいたしておるわけでございます。  それから手続の簡素化あるいは事務の迅速化、さらに融資条件の緩和の問題につきましては、これもいち早く、中小企業庁長官と銀行局長の連名で、一般の災害の場合と同じように、あるいは一般の災害の場合以上に、たとえば、一般の災害の場合ですと、物的な損害を受けた、その損害を復旧するために必要な資金というふうに、非常に限定的に運用をいたしておるわけでございますが、今回の場合は、御案内のごとく物的被害はそうない、むしろ、操業度が非常に低下してそのために困っているというふうな事情にもございますので、そういった操業低下によるいわば長期運転資金的な色彩での資金需要、こういうものについてもめんどうを見るようにというふうな指示をいたしておるわけであります。  それから融資条件の点につきましては、一般の原則に比べまして、据え置き期間を最低六カ月、あるいは貸付の期間を一般の場合よりも二年ばかり延長する、あるいは既往の債務につきましても、それぞれの実情をよく聞きまして、その償還期限の延長をはかる。貸付限度の問題につきましても、たとえば中小企業金融公庫におきましては、百五十万円までなら、代理店限りの裁量で、一般の限度を超過するようなことがあってもできる。これは一例でございますが、そういうことで指示をいたしておりまして、その方向で現在融資をいたしておるわけでございます。  それから手続の迅速化につきましては、災害の場合と同じでございますが、いろいろと調査のための資料を実は要求するわけでございますが、そういったうるさい資料をつけなくても金を出す。さらに、国民金融公庫あるいは中小公庫につきましては、現在人員が現地で足りない、そのために審査がおくれるというふうな状況でもございますので、もよりの母店からそういった人員を派遣する、あるいは店のない富山とか福井につきましては、そこへ一週間のうち幾日間かこちらから出向いて参りまして融資の御相談に応ずる、こういうふうな手を打っておるわけでございまです。  大体、手続の簡素化、迅速化、融資条件の緩和、ワク、この三つの問題につきまして、簡単でございますが、以上でお答えといたします。
  91. 細田吉藏

    ○細田委員 ただいまの三金融機関の措置につきましては、ただいまの御答弁にありましたように、ほんとうに末端のこまかいところまで気を配って、これに対する中小企業者からの不平不満等は絶対にないというところまでおやりいただくように強く御要望を申し上げたいと思います。  さらに第二点といたしまして、信用保証協会に対する中小企業信用保険公庫よりの融資の問題でございますが、これにつきましては、すでに雪害地に対しましてかなりな貸付の増額がなされたようでございますが、さらに保険料の引き下げ、また填補率の引き上げ、こういった点についても御配慮をいただきたい、こういう要望が現地から非常は強いものがあるのでございますが、この点につきまして政府のとられました措置について御説明をいただきたいと思います。
  92. 加藤悌次

    ○加藤(悌)政府委員 保険公庫からの被害地の信用保証協会に対します低利資金の貸付につきましては、すでに現在までで九千五百万円、大体対象が九県になっております。これは実行済みでございます。  それから後段の保険の填補率の引き上げ並びに保険料の引き下げ、この問題につきましては、激甚災害の財政特例法の適用が前提になる、さもなければ特別の立法を行なう必要があるというふうな状況にございます。御案内の通り、今回の雪害につきましては、激甚災害特例法の適用の基準に、そのまま適用いたしますと達しないという問題がございまして、私どもまだあきらめておるわけではございませんが、融雪とともにその被害額もだんだん判明してふえてきておるという状況でございますので、この点につきましては、今後の被害の判明ともにらみ合わせましてさらに検討を続けたいというふうに考えております。ただ、各被害地の保証協会の状況をいろいろ伺ってみますと、今回の災害は、普通の他の災害の場合と違いまして物的な被害が非常に少ないということで、いわゆる保険の事故率は非常に少ないのではなかろうかという楽観的な見通しを持っておられるようでございます。ですから、かりに填補率を引き上げましても、ぬか喜びといいますか、実益がないということで、それよりも、先生御指摘の低利融資の金額をさらにふやしてもらった力がいいではなかろうか、こういう御要望等もございまして、ただいま申し上げました激甚災害特例法の適用の問題ともからむわけでございますが、現在のところは非常に問題がございまして、必ずしも適用の問題については楽観できないというような状況にもございます。すでに九県については融資資金を出しておりますけれども、さらにそれを増額するということで埋め合わせをしたらどうだろうかというふうな気持で現在検討いたしておる、こういう状況でございます。
  93. 細田吉藏

    ○細田委員 ただいま御答弁ございましたように、激甚法の適用の問題につきましては、今後融雪期の問題もございますし、私どもといたしましては、どうしても激甚法の適用がしかるべきであるというふうに考えておるのでございますが、この問題につきましてはこれ以上申し上げることを省略いたします。  次に、商工関係の間接被害についての措置でございますが、ただいままで申し上げましたような点もあるいはこれに関連し含まれると思いますが、雪害によりまして各種の被害があるわけでございますけれども、その中でやはり非常に大きいのは間接被害であろうと思うのでございます。この点が他の災害豪雪災害が著しく異なる点であろうかと思うのでございます。そこで、根本的な問題として、間接災害をどのように扱うべきかということは、今後残された非常に大きな問題だと思います。これは商工関係だけではございません。全体として間接災害というものをどういうふうに今後考えていくか、この点につきましては、当委員会としてもさらに検討を進める要があろうかと考えておるのでございます。ただ、その中におきましても、特に商工関係におきましては間接被害が大きいのでございまして、直接的な被害と申しますよりは、ほとんど間接被害であると言っても言い過ぎではない。雪害に関します限り、そう言っていいような状況ではなかろうかと思うのでございます。これに対しまして、単に通産省だけで問題が解決するとは思いませんが、ただいま述べられたようないろいろな金融措置を講ずる、これだけではたしていいのかどうか、こういう点につきましては、よほど今後考えていかなければならぬ点であるかと思うのであります。もちろん、商工関係の間接被害を一番大きくしておるのは、道路、鉄道その他の交通機関の途絶というようなことでございますから、今後はこうした道路、鉄道その他の交通機関の確保ということが、間接被害を最小限度にする最も有力な手段であるということは申し上げるまでもないのですが、ただ通産省の関係といたされても、今回いろいろ間接被害に対しておとりになった措置で十分であると言えるかどうかという点については、若干の疑問なきを得ないのであります。これらの点につきまして今後さらに考えられる余地があるかないのか、どういうことをお考えになっておるのかただいま金融措置等について御説明がありました以外に、間接被害についての救済措置をお考えになっておるかどうか、こういった点について通産当局の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  94. 加藤悌次

    ○加藤(悌)政府委員 間接被害は操業度の低下等によって相当受けておる実情を私どもも聞いておるわけであります。これに対してどう対処するかということでございますが、私どもは先ほど申し上げましたように、一般の災害融資の観念をさらに広げまして、先生御指摘の間接被害を復旧するために相当長い期間を要しますので、そういった意味から、長期の運転資金を政府機関から出すことによってその穴埋めをしたらどうだろうかということで目下のところは考えておるわけでございます。実は中小企業関係だけに限定をいたして参りますと、現在産炭地につきましては特別の措置を行なっておりますが、それと並びまして、北九州一帯につきまして例の鉄鋼関係の不況のしわ寄せを受けて、注文も一時の三〇%あるいは五〇%というふうに非常に減っておる、これを何とかしてほしいというような御要望等もございまして、そういった面をもやはりいろいろ考えながら進めていく必要があるのではないかというふうに考えられますので、現在のところは、先ほど申しましたように、長期運転資金、これをできるだけ政府金融機関でごめんどうをみようということで進めて参っておるということでございます。
  95. 細田吉藏

    ○細田委員 商工関係の間接被害につきましては、ただいまの法制のもとでは、今御答弁にございましたように、せいぜい融資条件を緩和するとか、あるいは低利長期の融資をするといったようなことしかないのじゃなかろうかと思うのでございます。すでに当委員会でも明らかになっておりますように、先のことでございますからよくわかりませんけれども、今の見通しと状況では、毎年とは言わぬまでも、今後しばしば豪雪に襲われるのではないかという点もあるわけであります。ただいま御答弁にもありましたが、特に中小企業については何らかの措置をお考えになっていただきたい、こう思うのでございます。この点、今北九州のお話も出ましたが、あわせて十分御検討をお願いいたしたいと思います。これは要望でございますから、答弁は要りせまん。私としましては通産関係は以上でございます。  次に、運輸省関係につきまして二、三点御質問を申し上げたいと思います。前回の委員会におきまして、私からすでにるる御質問申し上げ、政府側からも一応の御答弁があったのでございますが、本日は締めくくりの意味もございまして、簡単に明確にお答えをいただきたいと思うのでございます。  その第一点は、地方鉄道軌道、自動車業者、これらに対しまして、現在は特別な資金の融通につきましての方法がないのでございます。ところが、雪害といったようなことがございますると、何としても交通の確保が最大の問題でございまして、ただいま通産関係でも御質問申し上げましたように、間接被害を大きくいたしますのは、交通機関がとまる、これが最大の原因であるわけでございます。従いまして、地方民から考えますと、業者の採算とかなんとかということではなくて、一日も早く道をあけてくれ、交通を確保してくれ、こういう要望も強いわけでございまして、どうしてもこれらの地方鉄道軌道、自動車業者が除雪をいたしますとか、その他の雪に対する措置をすぐとらなければいかぬ、こういったようなことでございます。また、これらの機関につきましては、中小企業関係の政府関係三金融機関の融資というようなことも希望がかなり大きいのでございますが、適用がございませんので、その道もございません。また、開発銀行等につきましても、現在のところではこうした雪に対する資金を融通するというような道はないのでございます。これは言うならば盲点のようになっておるのじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。くだくだしく説明を申し上げませんが、これら地方鉄道軌道、自動車業者に対する資金の融資について、しかも低利長期の資金の融資につきまして、政府当局のお考え方を伺いたいと思います。
  96. 岡本悟

    岡本政府委員 全く仰せの通りでございまして、今回の豪雪によりまして中小私鉄は多額の市中銀行からの借り入れをいたしておりますけれども、これらはいずれも相当高い利率でございまして、しかも短期のものが非常に多うございます。中には三カ月とか、あるいは七カ月というふうな短期のものが多いのでありまして、こういう公共性のある私鉄あるいはバス、そういったものに対しましては、長期低利の資金をめんどうを見てやる必要があると考えておりますので、でき得れば、運輸省といたしましては、農林漁業関係にございますいわゆる天災融資法、そういったような利子補給の道を講じていただきまして、長期低利の資金を確保してもらう道をぜひとも講じてほしいということで、目下準備を進めておるような次第でございます。
  97. 細田吉藏

    ○細田委員 ただいまの御答弁ですが、準備を進めておるというお話でございますけれども、もう少し具体的に一つ御答弁をいただきたいと思います。どの程度に進めていらっしゃるかということと、それから、先ほども申し上げましたように、今後豪雪というものはしばしばくる、こう私は思っておりますし、またそういう準備をしておく必要があろうと思うのでございます。今年の雪害ですでに北陸その他の中小私鉄またバス業者等は参っておるわけでございますが、これは今年の雪からもう適用があるように、すでに市中銀行等から、今もお話のように、三カ月とか六カ月とかいったようなことであるいは融資を受けておるかもしれませんが、これはもう非常に短期間で、しかも利率も高いものでございますから、今年の雪害から何とかこういった措置の恩恵——という言葉は当たらぬでしょうが、措置が適用できるように政府当局においておはからいをいただきたい、こういうふうに思うのでございますが、この点いかがでございましょうか。
  98. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいまの私鉄に関する融資の問題でございますが、しばしば御指摘を受けておりますし、私の方も金融の関係当局などともいろいろこの問題について議論をいたしておるわけでございます。確かに、今までの状況といたしまして、このような非常な豪雪というようなことを経験いたしておりませんために、こういうものについての対策と申しますか、施策と申しますか、そういったものについて十分でなかった、考えが及ばなかったというような問題はあろうかと思います。従いまして、金融上の問題につきましても、御指摘のようにぴしゃりとした方式というものがないわけでございますが、ただ、問題を考えて参りますと、こういった除雪という問題は、いわば毎年起こる問題であるといっていいのではないかと思います。気象庁などのお話を伺っておりますると、本年度の豪雪というのは非常なものであるけれども、今後やはり相当の雪が降るのじゃないかというようなことも言われております、そういたしますと、現在の北陸地方、ああいった豪雪地帯の経済の発展ということを考えて参りますると、こういう鉄道とか道路というものは、従来とは違いまして、やはり雪が降っても常時通っていくというような形で整備されていかなければならぬものではないか、こういうふうに考えるわけでございます。そういう点をいろいろ考え合わせてみますると、これを災害的なもの、あるいは災害対策的な方式ということで考えていくことがはたしていいのかどうか、その辺のところもいろいろ議論はあるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。今回の豪雪に対する措置といたしましては、すでに御承知の通りでございまして、現在の金融措置でできるところで至急措置を講じよう、こういうことでございまして、主として市中金融機関に依頼をいたしまして、円滑に融資が行なわれるようにはからったわけでございますが、現在までのところで見ておりますと、借り入れ希望のあったものについては大体行なわれておるというような状況でございまして、当面の金融上の問題は解決いたしておるというふうに伺っておるわけでございます。今後こういった金融について、何らかの特別な低利といいますか、そういうものをやるかどうか、こういう問題がございます。これはいかなる金融機関がこの融資に当たるかという問題とも関連がございますけれども、私どもの現在までの考えといたしましては、少なくともそういう工合で十分に融資が行なわれた次第でありますし、まずこれでもって一応事は片づいた、こういうふうに考えていいのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。今後の問題ということになりますと、今申しましたようないろいろ広範な問題もございますので、さらに慎重に検討して参りたい、こういうふうに考えております。
  99. 細田吉藏

    ○細田委員 私は、根本的に考えますと、交通機関に対する長期低利の融資については、災害の問題を離れてももっと考えるべきだというふうに行えておるのでございます。たしか、私の記憶に間違いがなければ、私鉄運賃の値上げの問題が政府部内でいろいろ検討されました際、地方鉄道軌道等については値上げの率はなるべく低く押える、しかし、税制面であるとか、財政面であるとか、金融面であるとか、そういった方面のことはできるだけのことをしようじゃないか、そういった方面のことをできるだけやって、私鉄運賃の値上げによってその地方の人たちが全般に迷惑を受ける、物価の値上がりにも影響するということは押えようじゃないかというのが、政府の基本的な考え方だと思うんです。そういうことをバック・グラウンドとして、しかも雪害地のこれらの機関を考えますと、それにさらに、年によって雪が多いとか少ないということはございましょうけれども、地域格差といったようなこともいろいろ言われておる今日でございまして、それだけまた不利な条件が加わっておるのであります。雪害地のこれらの業者は、いわゆる大私鉄といったようなものはないわけであります。大私鉄についても、私どもは、やはり融資だけについて言えば、もっと長期低利の融資の道を講ずるべきだ、このように考えておるのでございますが、特に雪害に見舞われることが多い、程度の差こそあれ年々雪害に襲われるような地域については、どうしても考えてやる必要がある、このように考えるのであります。  そこで、もっと端的に伺いますが、このごろ開発銀行の地方ワクというものがございます。これからお出しになる道をお聞きになるというようなお考えはございませんでしょうか。御研究になっておるのでございましょうか、どうですか、この点を伺いたいと思うことが一点と、本年はもう済んでしまったからまあいいというようなことは非常に困るのでございまして、先ほど申し上げましたように、本年につきましては、市中銀行の融資その他については大蔵省方面からのいろいろな行政指導もあったことと思います。しかし、とりあえずやらなければいかぬから金を借りてやったと思いますが、これで済んだからあとはどうなるか、さらに……というゆっくりした考え方では困る、私どもは実はかように思うわけでございまして、この点重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
  100. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 開銀の地方開発融資のワクというものは、御承知の通り近年非常にそのワクがふえているわけでございますが、開銀の使命といたしましてやはり設備資金ということになっておりますので、こういった除雪というようなものについて融資をしていくということは、非常に困難があるのではないかというふうに考えております。現在、銀行局の方でも、改良復旧についてどうするかという問題について検討をいたしておるそうでありますから、何らかの結論をできるだけ早く得るように督促をいたしておきますが、当面の問題についてはちょっと期待できないということになるのじゃないかと思います。  後段のお尋ねでありまするが、結局、地方鉄道軌道というような企業は、これは国の公益企業として非常に重要な使命を果たしておるということは、議論の余地のないことでございます。そのために、税制あるいは金融上その他各般の措置にわたっていろいろと国として考えていかなければならぬ点があることは、御指摘の通りだと思います。ただ、ここで今問題になっております今回の豪雪に関する除雪その他の経費の問題について考えて参りますと、やはりこういったものそのものをつかまえて、これに低利の融資をしていくというような災害対策的な考え方でいくことが適当かどうか、これはかなり議論があろうかと思います。特にまたそういう目で見ていったとしましても、その場合に、たとえば中小企業等とのバランスというようなことも考えて参りますると、なかなか簡単に割り切るということにもいかないと思います。従いまして、従来国が助成いたします場合等も、地方鉄道軌道整備法の補助規定によって補助の基準ができておるわけでございます。そういうものに照らしまして、従来の例からこれはその対象となるというようなものについては、助成の道が講ぜられるということも適当であろうかとも思いまするが、今回の状況を見て参りますると、一般的にそういったものに該当するというわけにもいかないようであります。そういう点を考えて参りますと、地方鉄道軌道の関係であるからということで低利融資をするということも、なかなか簡単には割り切れない問題がある。やはり従来の制度で運営ができていくのであれば、それで一つやっていただくということが適当ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  101. 細田吉藏

    ○細田委員 ただいま他の中小企業とのつり合いとかというような言葉もございましたが、私は言葉じりをとらえようとは思いません。しかし、現実の問題として、交通が一日も早く確保されるかどうか、また全然とまらぬようにするかどうかということは、非常に大きな問題だと思います。これは他の中小企業は、道があいてくれて自動車か通る、地方鉄道軌道が通るということによって特に間接被害が非常に減るのです。ですから、この点は、交通機関を確保することによって中小企業の被害が減る、こういう特別な関係にあると思うのであります。この点は、どういう方法をとられるかその方法は別としまして、何らかの長期低利の融資の方法を講ずることを考えるということぐらいまではおっしゃっていただかなければ、私はおかしいと思う。たとえば雪が降りましたその際に、また銀行へ行って借金をお願いして、短期の利子の高いものを借りて除雪しなければいかぬか、こういうのと、こういうものについてはこうした長期低利の融資の道があるのだということでやるのとは、うんと違うと思う。これは単に地方鉄道軌道なり自動車業者の経営がよくなるか悪くなるかという問題だけじゃない、その地方全体の産業、民生に重大な影響があるものですから、これをほかのものと並べて論ぜられることは私はおかしいと思う。今までこういうことがなかったことの方がむしろおかしいくらいであると思うのでございまして、こうした機会でございますから、先ほどの御答弁では、今後も毎年雪が降るだろうというようなお話もございましたが、これは方法は別としまして、この必要性については十分お認めいただいて、実際どうするかということについては今後検討したいという御答弁をいただきたいと思うのでありまして、どうも中小企業との関係やほかのものとのつり合いもあるからということだけでは、筋が少し違いはしないか。除雪その他が迅速にできることによって全部が助かる、私鉄業者や自動車業者だけが助かる問題ではない、そこに私は特異性があるというふうに考えるのでございますが、どうでございましょうか。
  102. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 私、金融関係の問題は担当いたしておりませんので、どうも答弁が責任をもって行なえないのはまことに遺憾でございますが、御指摘の点は、私もまことにごもっともと思う点もございます。関係の方にも十分伝えまして、今後の方法について一つ十分検討するように伝えることにいたしたいと存じます。
  103. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 ちょっと速記をやめて。    〔速記中止〕
  104. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 速記を始めて。
  105. 細田吉藏

    ○細田委員 それでは、ただいまの点は関係の方がお見えになるまで保留いたしまして、次に第二点でございますが、私鉄関係除雪費につきまして、地方鉄道軌道整備法の運用方針を改め、また補助率が現在政令で二割ということにきまっておるのでございますか、これを五割程度まで引き上げてもらいたいということを、災害対策委員会ですでにしばしば政府に要望いたしておるのでございますが、その後の進行の状況についてお尋ねいたしたいと思います。  なお、この際つけ加えて申し上げておきたいと思いますことは、現在の地方鉄道軌道整備法につきましては、補助金を出した場合には配当制限がございます。この配当制限がございますのも少し酷かと私どもは考えたのでございますけれども、しかし現実には配当なとしておらぬ会社が雪害地の大部分の鉄道でございます。やっておりましても、非常に貧弱な配当しかないのでございます。今期あたりはおそらく雪害地の各私鉄は配当はなくなるのじゃないかというふうにも実は考えておるのでございますが、この点つけ加えて申し上げまして、その後どのように政府部内において進行しておられますが、お尋ねいたしたいと思います。
  106. 岡本悟

    岡本政府委員 大蔵省と私の方でいろいろ検討を進めて参りましたけれども、どうしても意見の調整ができません。やはり豪雪といえどもこれを異常な天然現象による災害とは認めないということで、意見の調整ができないわけでございます。
  107. 細田吉藏

    ○細田委員 この点は、実は現行の法律で、政令並びに運輸、大蔵両省の申し合わせによる運用方針を改めればできるということでございますので、私どもはあえて立法措置を講ずる要がないというふうに当委員会で考えて、政府に要望しておるわけでございます。ところが、その後一向これが進行しないということでございますが、私は、交通機関に対する基本的な考え方が政府部内におきましておかしいのじゃなかろうか、雪害の一番大きな影響というのは間接被害だと思う。間接被害をなくする一番大事な方法というのは交通路の確保なんです。その交通路の確保という点から考えて、さきに申し上げました融資とか、また私鉄に対する、しかも配当をしていない、あるいは微々たる配当しかしていてないような、常時災害を受ける私鉄に対する除雪費の補助、こういうものは、もっとあたたかい——というよりも、当然考えられてしかるべきだというふうに思うのでございまして、もしこういう措置を全部やらないということであれば、どうしてやらせていこうとしておるのか。これは私企業ではございますけれども、単なる私企業ではございません。非常に公共性が強いのです。どうしてやろうと政府は考えておられるのか。どうも大蔵省の御反対ということでございますけれども、何とかやるだろうという以外に何らあれがないのじゃなかろうかとさえ実は思うのでございまして、当然過ぎるくらい当然これはやられてしかるべきことだ、かように考えるのでございます。もしこういうことをやらぬということであれば、これは運賃を上げろということなんでありましょうか。その辺大蔵省のお考えを、きょう主計官が見えておりますから、どうして交通を確保しようとしておられるか、私にはちょっと想像がつかないのでありますが、どういう筋道でこういうことが非常にいけないとおっしゃるのか、この点をむしろお聞かせいただきたいと思うのでございます。
  108. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 前回もこの委員会で答弁申し上げましたが、先ほど宮崎調査官からもお話しいたしましたように、今回の雪害につきましては、すでに融資措置をもって災害は復旧しておるという程度のものでございまして、今回の災害が、地方鉄道軌道整備法にいいますところの大規模な災害であるということは言えないというふうに考えます。と申しますのは、これを従来から私どもが取り扱っております方針に照らしてみましても、たとえば昭和三十二年の風水害によります島原鉄道の場合の災害復旧、この費用は相当大きなものでございまして、全事業収入の一五%というような大きな災害でございましたので、これは整備法を適用いたしたのでございますが、今回の災害程度をこれと比較してみますと、施設の損害だけを見ますと、全体を平均してみればわずかに二%程度のものでございます。それから、それにさらに除雪費用をかりに災害とみなして加えてみましても、三%というように、全体を平均いたしますと非常にわずかの災害額でございます。これを個々の鉄道軌道に分けてみましても、除雪費をも含めて考えて一〇%をこえるものはわずかに一社でございまして、あとはすべて一割以内であるというような災害程度でございます。こういうような状況でございますので、私どもは整備法を適用することは適当ではないというふうに判断をしておるわけでございます。
  109. 大野市郎

    大野(市)委員 関連。今の熊田君の話を聞いておると、それは除雪費がかからないと言ったって、やれないのだから除雪をしなかったのですよ。除雪をしなかったのだから金を払ってくれないわけですよ。それで住民全般の公共の福祉が大へんに阻害されておる、間接被害が出てきておるのです。だから、私鉄や軌道を持っておる会社が幾らの金を使った、幾らの損害だったという問題ではない、住民全体の問題でわれわれは論じておるのだから、その立脚点が違うのだよ。関連ですから、私はその事実を指摘しまして、それならそれで、住民は納得しないのだから、住民の安定できるような方策をわれわれ立法府で考えなければならぬと思う。
  110. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 お言葉を返すようで恐縮でございますけれども、今回の私鉄の災害は短期間に復旧いたしまして、もうすでにほとんどすべてが運行しておる状態でございますから、付近の住民に対して大きな間接的な被害を及ぼしたということはないというふうに考えます。
  111. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 関連。何ということをあなたは言うのですか。私はあとから質問しようと思ったけれども、そんなことを言われて黙っていられません。それなら電車もバスも全部をとめてやろうか。そうしたら経済活動はどういうことになるか、あなたわかっているか。何ということを言うのですか、私は義憤を感ずるのだ。あまりにも交通機関をばかにするものじゃないか。大蔵省がそういう考えを持っておるから、それだから地方開発はできない。何ということを言う。私は怒りますよ。  それなら災害実態を言ってやろう。鉄道の収入減は、十社ありますが、減収分については一億四千四百十六万一千円ある。自動車については、収入減は四億三千三百八十八万一千円ある。合計いたしますと、この鉄道関係の会社の損失だけでも五億七千八百四万二千円。平年度以上に要した除雪費用は二億四千六百九十五万五千円、復旧に関する費用は一億八千二百二十三万三千円、豪雪によって損傷した車両費用は一億八百五十一万円、併用軌道の損傷復旧費は一億一千五百四万七千円、合計すると、平年度以上に損をこうむった鉄道軌道の損害というのは十二億三千七十八万七千円を出ておる。では、バスの方はどうか。バスの方になりますと、これは結論だけ言うと、十三億二千四百九十八万三千円、こういう莫大な損害をこうむっているじゃありませんか。あなたの今の言い分は何ですか。融資をやったから、雪を取ってしまったから、もう平常になったからいいということは、そんな言い方はまことにもって無責任ですよ。そんなものの言い方がありますか。それであなたはまともな、正常な答弁だとお考えになりますか。鉄道従業員というものは、これは経営者も含めての話ですが、軌道が流れた、あるいはそこに大きな災害がいった、その場合に考えていることは、あなたらのような採算だけをもって考えているのじゃないですよ。命も捨ててそうして復旧のために努力している。どれだけ経費が要ったかどうか、あとでその企業においてどれだけのものが要ったかを心配しているのですよ。それが経営者を含めた全交通従業員の考え方ですよ。この精神というものを取り除いたら、いつまでたったって雪はほうっておきますぞ。そういう精神でやっているのですよ。それに、銀行で短期の融資をしてやった、雪は取り除いた——雪を取り除くためにダンプカーが走った、自動車が走った、いろいろなことをやって、軌道はめちゃくちゃにこわされておる、それの復旧は、融資をやってやったのだから、あとは現金商売だから勝手にしろ、そんなべらぼうな話がどこにありますか。そんなことでは政治はできませんよ。あまりにもあなたの言い方というものはめちゃくちゃな言い方だから、私は義憤を感ずる。一体どうするつもりなんだ。あなた方がやらぬというなら、私はここで立法をやりますぞ。あなた方が何と言おうと、これは与党も野党もないと私は思うのだ。地方開発、産業の振興のためには、どうしても交通機関というものはなくてはいけないじゃないですか。あなたはそれをお認めにならぬのか。これら諸点についてあなた一つ明確に考えを言ってみなさい。
  112. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 ただいま災害の具体的な金額を仰せになりましたが、運輸省の調査したところによります災害額でございますが、これは私どもが承知をいたしております今回の被害額でございます。これは福井石川富山新潟の四県下の私鉄のほかに、島根、鳥取まで含めまして十二社でございます。減収分を含めまして合計六億五千三百万円、そのうちで施設の災害を受けたものが二億四千万円、それから除雪費用が一億九千九百万円、こういうような数字でございます。これが最近の数字ではさらに縮まっております。最近の数字では、被害額総額が五億七百万円、災害施設の復旧費が二億一千八百万円、除雪費用が一億五千八百万円、こういうような数字になっております。私が先ほど、一割の範囲内である、それほど大きな災害ではないと申し上げましたのは、今の数字をもとにした率でございます。私鉄はもちろん公共性の強い事業でございますけれども、やはり私営のものでございまして、これに対します補助というものは厳格に解すべきであるというふうに考えます。地方鉄道軌道整備法が制定されましたけれども、その法律の規定の仕方を見ましても、非常に厳格に制限的に規定をいたしておる理由のものは、やはり私企業に対する補助というものを厳格にやるべきだという精神から出ておるものと私は考えます。たとえて申しますと、整備法の八条におきましてはその「地方鉄道業者がその資力のみによっては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるとき」に初めて予算の範囲内で災害復旧事業費の一部を補助することができるというふうに、厳格に規定をしております。また整備法の三条一項四号におきましては、「異常な天然現象により大規模の災害を受けた地方鉄道」というふうに制限をいたしております。これらはいずれも補助の規定というものを厳格にすべきだということの現われであると思います。今回の災害程度から申しましても、この法律の精神に照らしましても、整備法を適用することは適当でないのではないかというふうは私は考えるわけでございます。
  113. 細田吉藏

    ○細田委員 島原鉄道という会社は、非常に貧弱なというか、非常に小さな会社でありまして、被害が非常に大きかったということにつきましては、私もその通りだと思います。しかし、それじゃ島原鉄道の程度に至らなければみなだめかという議論になりますと、私は必ずしもそう解釈すべきではないと考えておるのでございます。  それから、これは言葉の端でございますが、間もなく開通したから間接被害は非常に小さいというような言葉がありましたが、そういうことはおっしゃらない方がよろしいと思う。間接被害などは大したことはなかったというふうな言い方をされては、雪害地では大へんなことになると思うので、あんなことは——大したことかなければ、災害対策特別委員会でこれほどわいわい言う必要もないわけだが、そういうことではないと思うので、これは訂正いただく方がいいと思う。私はこれ以上ここで議論をいたしません。しかし、交通機関が一日も早く開くということは、今後の雪害で私は現地も数県回りましたが、この地帯の住民は、あげて、一日どころか一時間でも早く開通してくれというのが強い要望なんです。これについて、さっき申し上げた融資の措置なり、あるいは異常な場合に補助を出す、いつでも出せというわけじゃありませんから、いつを異常と認めるかという点について、いろいろ制限すればよろしい、異常な災害のときにはそういう道をあけておく、それによって業者は、こういう道もあるのだから、とにかくあけろ、銀行へわざわざ行って金を借りたりいろいろあとのこともあろうけれども、とにかくあけろということで、その意欲が非常に強くなっていくというような点から考えまして、私どもはどうしてもこれはやるべきだというふうに実は考えておるわけであります。これ以上ここで大蔵事務当局の方々と御議論をいたしましても、いかんともしがたい問題だと思いますので、これはいずれ三十九日に当委員会の御決議なり何なり願いまして、今後いろいろ方法等につきましては考慮する余地もあろうかと思います。相談をしてきめらるべきものだと思います。必要がないという点につきましては、どうも私見解を全然異にいたしております。また、今までの当委員会の経過、また理事会、懇談会等の席上におきましてこの議論はすでにし尽くされておりますが、ただいまの大蔵事務当局の見解とは違っておるようでございます。あらためて二十九日に決議もされると思いますし、決議をさらに実行に移していくようにやっていただきたい。  本日はこの程度でこの問題はとめておきたいと思います。
  114. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連。とにかく、鉄道がとまって、それが開通したときには、最初に汽車が通ったほど住民は喜んだ、こういうことになっておるのです。それほど喜んでおるのです。汽車がとまった、あるいは電車がとまったということは、住民に対する経済的な、あるいは心理的な影響というものは実に大きいのです。それで、国鉄においては、今後こういう事態にならないように対策を一歩前進させなければならぬですが、運輸省は、指導として、いつごろまでにそういう具体的な方策を国鉄側に立案させるか。運輸省の指導をその点についてどういう工合に考えておるか。私は、この前に、路線は機械力で、構内は人力でとか、あるいは人夫の単価が安い、あるいは小型ロータリーなんかでやろうという節約主義は実態に合わないというようなことを申し上げておったはずです。そういう私の発言ばかりでなく、いろいろな発言その他、運輸省、国鉄自体において考えてみると、ここは国鉄の名誉にかけてとめないのだという方策を早急に具体化してもらわなければならぬと思う。その点について運輸省の指導というものを一体どういう工合に考えておられるか、それを一つはっきりしてもらいたいと思う。今度からとめないでもらいたいというのが住民の国鉄に対する強い期待であります。
  115. 岡本悟

    岡本政府委員 すでにしばしば申し上げておりますように、昭和三十五年の暮れから正月にかけて豪雪がございまして、その経験を生かしまして、国鉄では五カ年計画をもちまして豪雪に対する対策の実施を進めて参りました。しかし、今回の豪雪は、さらにその当時経験したものより規模がはるかに大きいのでございまして、あの当時の経験をもとにして立てました対策では問題にならないということで、全面的に再検討を命じまして、月下新しい対策を実施に移すべく予算措置も講じているような次第でございます。もちろん、仰せのように、やはり機械力による除雪能力をふやすということでございまして、きわめて常識的ではございますけれども除雪車両をディーゼル化するとか、あるいは老朽ラッセル車を更新するとか、あるいは先ほど仰せられた構内除雪用の小型機械の開発を行なう、こういうことで対策を進めておるわけでございます。さらに根本的には、当委員会でも御指摘のございました主要幹線の複線化につきましても、ただいま新五カ年計画でこれを推進中でございますが、さらにこれを積極的に推進していきたい、かように考えまして指導いたしております。先般の豪雪のときには、そのほか、流雪溝の整備、あるいは通信線を地下ケーブルにするとか、そういうことも相当進んで参っておりますけれども、今後これを強力に一そうテンポを早めまして実施をしていきたい、かように考えております。
  116. 西村力弥

    ○西村(力)委員 いろいろ対策を進めておられるわけですが、ことしくらいの雪でも汽車はとめないぞ、こういう保証が出るのはいつごろになりますか。それのめどを立てるのは、ちょっとむずかしいかもしれませんが、そのめどの話よりも、いつになったら汽車がとまらないようになるのかということを住民は願っているのですが、そういう点はどうですか。
  117. 岡本悟

    岡本政府委員 きわめてむずかしい御質問でございまして、はっきりした期日を言えということでございますけれども、まず主要幹線の複線化ができまして、除雪車の増備が完了いたしますと、御期待に沿える時期がくるのではないかと思いますが、主要幹線の複線化は、御承知のように新五カ年計画で取り上げておりますけれども、たとえば奥羽線あたりになりますと、昭和四十一年以降に取り上げるというふうになっておりますので、そういったことを考えてみますと、やはり御期待に沿えるような時期になるにつきましては、ここ十年くらいは絶対必要であるというように判断しております。
  118. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは神代以来がまんしてきたのですから、十年かかれば早い方かもしれませんが、そういうふうに複線化の方向で緩和することができないところは、そのかわりに、可能な限り別途の方法で対策を進めていただきたい、こういうことを希望します。
  119. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 足鹿覺君。
  120. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、去る二月二十八日の本委員会で、農林省所管の今次豪雪等による被害対策について三時間余にわたる質問をいたし、政府の対策をただした次第でありますが、その後約一カ月経過いたし、本日その締めくくり的な農林水産桑に対する被害対策についてのお尋ねをいたすことになりました。私の個人的見解ではなく、委員会を代表する質疑でありますので、政府もその御所存で十分答弁を整理し、誠意をもってお答え願いたいと存じます。  先ほども申し上げましたように、今次農林水産業の被害につきましては、日がたつにつれまして、施設の倒壊あるいは破損等が、融雪期を迎えると同時に実態が明らかになって参りまして、各地で予想を大きく上回る被害報告が刻々と政府にも入っておることと存ずるのであります。従って、去る二月二十八日の際は被害実態も十分でなく、また政府側も、緊急の場合でありますから、いまだ検討中の事項がたくさん質疑応答の中で繰り返されたのでございます。従いまして、私は、二月二十八日の質疑の際に明確を欠く政府の対策、あるいは検討を約された事項、あるいは大蔵省と折衝の後お答えをすると言われた事項といったような点を取り上げまして、簡潔にお尋ねを申し上げますので、この際明確に御答弁を通じて被災農林漁民の切実な要望にこたえられんことを期待いたします。  私の質疑は、大体大きく分けまして六つ程度ございます。第一点は、果樹、桑、茶等の被害対策、第二点は開拓者対策、第三点は土地改良関係の対策、第四が営農資金、農林漁業金融公庫融資に関連する事項、第五が恒久対策、第六は、海の気象異変について、その原因と対策、こういったようなことを主としてお尋ねをいたしますが、なおこのほかに、現在農林省が先般の質疑に対してなお検討中の炭がまの補助の問題であるとか、あるいは豪雪による倒伏造林木の対策であるとかいったような点につきまして、さらに若干つけ加えてお尋ねいたす所存でありますので、よろしく御答弁をわずらわしたいと思います。  そこで、第一点の果樹、桑、茶等の被害対策についてでありますが、果樹等の早期復旧のために農災法の適用について考えてもおるし、またほかにいろいろと新しい措置を考えておると林田官房長は先日お答えになりましたが、新しいいろいろな措置とはどういうことを御検討になっておりますか、明らかにしていただきたい。
  121. 丸山文雄

    ○丸山説明員 官房長がほかの方に出ておりますので、私がかわってお答え申し上げます。  新しい対策と申しましたのは、ただいま御質問がありましたように、先般の御質問の時点におきましては、各般の、たとえば、統計調査部の資料でありますとか、そういうものができませんでしたので、いろいろな問題について目下検討中であると御答弁申し上げたのであります。それは御質問の通りでございますが、その後農林省といたしまして大体判明したものもございますし、判明いたしておらないものもございます。たとえて申しますと、一般農作物につきましては、大体二回目の統計の資料といたしまして、これは三月十日前後の締め切りでありますが、それによりまして、雪地帯につきましては推定が入っておりますけれども、いわゆる寒波の地帯につきましては、今後そう大きな狂いはなかろうという数字ができておるわけであります。それに基づきまして、ただいまの御質問の新しい対策という意味でございますけれども、御存じの通り、天災融資法の発動手続は完了いたしましたし、それに伴いまして激甚法の財政援助に関する第八条、天災融資の関係でありますが、これも手続を完了したわけであります。それから補助金等につきましては、たとえば被害率その他につきましてはっきりいたしておりますものと、いたしておらないものとございますが、そういう点につきましては、現在資料整理中、あるいはなお今後のデータを待たなければできないものもあるわけでございます。そういう角度から、いろいろ具体的に計数の整理に入っておるものもございます。ただいま申し上げましたように、各種融資関係の法律の発動、あるいは公庫融資につきましてのいろいろな金利の問題、そういう問題について具体的検討に入っておる、そういう段階でございます。
  122. 足鹿覺

    足鹿委員 その程度のことはこの前でも一応明らかになっておるのです。これはちゃんと速記録もありますから、あなた方はその速記録をお読みになって出てきておられると思う。林田君はこう言っておる。「果樹災害につきましては、改植とか補植とか、あるいは果樹だなに対する融資とか、そういうことをいろいろ融資の面でやっていくとともに、先ほど次官からも申しましたように、果樹の早期の復旧につきましていろいろ新しい措置も考えたいということで、せっかく検討をしておる次第でございます。」一カ月たっておりますよ。今の参事官の御答弁はそれから何ら進展してない。ないならないとおっしゃい。特に、この際大蔵省もおいでになっておると思いますが、果樹、桑、お茶の復旧について、三十四年災に準じて、樹勢回復その他の肥料、農薬代の助成について、富谷園芸局長は大蔵省に要求したいと答えたが、大蔵省と折衝の結果は一体どうなったのでありますか。一部の新聞には、幼齢樹の改植または補植等につきましては助成措置が可能であるかのごとき報道も伝えられておりますが、とにかく考えておるけれども、これは大蔵省とはこういう折衝の段階である、そういった少し前向きの——一カ月たっておるのですから、具体的な御答弁を私は求めておるのであります。
  123. 古西一郎

    ○古西説明員 お答えいたします。  果樹等の共同育苗施設の設置に対する助成、それからまた、災害の総合的な実態調査を行ないまして、将来における災害防止の一助とするというような考え方での助成につきましては、目下大蔵省と折衝を重ねておるわけでございます。
  124. 足鹿覺

    足鹿委員 それだけですか。
  125. 古西一郎

    ○古西説明員 なお、御指摘のありました農薬の補助あるいは樹勢回復用の肥料代の補助等につきましては、融資の道も開かれておることでもあり、かつまた、従来の補助の結果についていろいろ問題があったというようなことで、目下省内においてこれらの点について助成を行なうかどうかということを検討いたしておる段階でございます。
  126. 足鹿覺

    足鹿委員 これは果樹に限らず、永年作物について災害資金の制度をもって救済をしていく、こういう方針のようでありますが、この永年生植物というものは、申し上げるまでもなく、植栽から果実または桑葉あるいは茶といったようなものを収穫いたしますまでには、ある程度の年月を要するのであります。この種のものの災害資金としては、果樹農業振興特別措置法による果樹園経営計画にかかる果樹農業者の被害については、農林漁業金融公庫から災害復旧として行なう、果樹の改植または補植について年利七分、据置十年以内、償還期限十五カ年以内の制度資金の借り受けの道が従来開かれておるのであります。これはもうすでにできておる制度でありますよ。そこで、一般の果樹業者に対しては、天災融資法の適用による災害復旧資金が唯一の制度金融ということになるわけであります。この資金が被害農家にどの程度役立っておるかということは、決して十分と言えないのではないかと思っております。樹勢回復の肥料代や、あるいは農薬代の使い方に問題があると、この前相沢主計官は言われた。それはたまたま会計検査院等の調査でそういった事態も出たでありましょう。しかし、今度の災害というものは、あなた方がお考えになっておる過去の災害とはよほど性格を異にしておるのであります。要するに、被害を受けて回復に二年ないし三年、長いものになれば七年、八年の歳月を要するような大被害を受けておるのであります。特にこの雪害では枝や幹が裂けてしまっておる。改値するにしても、補値するにいたしましても、大打撃であるということは間違いないのであります。従って、融資が再生産に役立つまでには年月がかかるものであることは、これはもう頭からわかっておる。長期間の樹勢回復のための被害を受けた年と同様に毎年諸経費がかかってくるわけであります。しかるに天災融資法の貸付金の貸付期間は、その災害年度が原則となっておるわけであります。一年をこえない期限に一度限り貸し付けられることになっておりまして、次年度以降の必要経費については自己資金でまかなうか、一般資金で処理せざるを得ない制度となっておるのであります。これは申し上げるまでもなく御存じのことでありますが、念のために申し上げておるのです。従って、災害復旧資金ば、災害を復旧するに必要な資金であるといたしますならば、一般農作物の一年で再生産されるようなものについては、今までの天災融資法の考え方で、その一年間に必要な資金を貸し付けることで事足りるわけでありますが、一応現行法である程度まかなえるのでありましょうが、ただいまも述べましたような数年を要する果樹、桑、お茶といったようなものに対する被害を側々の被害について市町村長が認定することになっておりますが、これを区別しましてその災害復旧期限を定める、あるいは現実に果実の収穫を得る時期まで引き続き毎年融資を続けていくというような措置がとられていくならば親切な措置であって、それはあるいは考え方によっては、わずか三分五厘でありますから、補助金にかわる措置とも言い得るでありましょう。しかし、被害果樹農家その他桑園や茶園の経営者の希望を満たすということは、今のままではできないのであります。ですから、農林省がほんとうにこの問題と取り組まれるならば、政令指定の際の貸付条件、つまり期限であるとかいう点について、果樹、桑あるいは茶については、何年から何年までのうちで貸し付けた資金とするという方法を明示するとか、あるいは昭和何年以降何年間とするというふうな、いわゆる貸付条件を指定するように、政令の内容にもっと検討を加えられる必要があるのではないですか。樹勢回復の肥料代も補助しない、薬代も出さぬ、それは要するに天災融資法一本やりでまかなう、こういうことでありますならば、今度の被害の特に著しいのは果樹でありますから、当委員会がこれだけの論議をする必要はないのであります。天災融資法で事足りる。しかし、その天災融資法の融資内容についても、一年生の作物と永年生の作物というものに対して、もっと融資条件が変わってしかるべきでありませんか。検討しておられるのですか。
  127. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 園芸局長がおりませんので、私から、補助金の関係については申し上げられないのでありますが、それとの関連におきまして融資の対策について申し上げます。  今御指摘になりました樹勢回復と申しますか、初年度だけでなくて、二年、三年目にも、樹勢が衰えたために、表には出なくても実質的な減収があるというような点につきましては、ただいま検討いたしておるわけでございます。具体的に申し上げまして、天災融資法の改正についても検討はいたしておりますが、そういう場合におきまして、二年度以降におきまして経営の維持が困難になるというような事態が出ました場合、むしろ自創資金でこれに対処してはいかがかというような方向で検討いたしておる次第であります。
  128. 足鹿覺

    足鹿委員 天災融資法の条文に、果樹被害というものを災害資金として貸し付けるという条項がございますか。
  129. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 そういう規定はございません。
  130. 足鹿覺

    足鹿委員 だから、こういう機会には——当然今まては一年生の農作物被害に対する天災融資の行き方であったのです。あなた方は、選択的拡大という農業基本法の規定に基づいて果樹を奨励なすっておるのですが、それがこういう事態が起きたのですから、当然天災融資法の中にもそれを永年作物として明記し、そうしてその融資条件についても、一年生作物と永年生植物との差をやはりお考えになる必要があるのですよ。必要ないとお考えになるのですか。そういう点を検討して実施されるならば、あるいは樹勢回復の肥料代や、あるいは農薬代というものを今度は補助しないのだ、だから天災融資法でかわってやるのだという理屈も、私は満足はいたしませんが、卑属は一応それで通る。けれども、今まで通りの指定をしておいて、これで樹勢回復もやった、それでは通らないじゃないですか。相沢君、大蔵省の見解はどうですか。何でもあなた方は融資だ融資だと言う。それは私は無理を言っておりません。筋の通った話をしておりますから、あなた方も、天災融資法のいわゆる適用条件というものについて、永年生植物に対してはこうだ、再生産が開始されるまでには相当の期間を要するわけですから、当然でしょうが、そういうことくらい大蔵省となぜ話し合いができないのですか。大蔵省は話し合いがあってもそれをけっておるのですか。それはいかがですか。
  131. 相沢英之

    ○相沢説明員 天災融資法の対象に果樹農業もこれは当然なるのでありまして、特に天災法にそのことは書いてございませんが、それは農業の中に当然含めて読めるということでございます。従って、天災融資法ももともと果樹の災害対策にも適用があるということは、従来の措置からしても当然判断されるところであります。今回の災害につきましては、すでに天災融資法の適用政令を出しましたが、激甚災の指定をすると同町に、果樹につきましては、特に専業者については、天災法の一般融資限度十五万を、五十万に引き上げる、また主として果樹を栽培する者については三十万に引き上げるとともに、その融資の期限については、原則五年を特に果樹に関しては七年に延長するといったような措置をとったわけでございます。なお、お話の果樹の減収について、二年度以降の分も天災法の適用の際に考慮するという件につきましては、これは農林省から私どもの方に特に要求があって私どもが断わったといったような経緯はございません。
  132. 足鹿覺

    足鹿委員 お聞きの通りではありませんか。あなた方の御検討が足りないんですよ。主管省としての御検討が足りないと御反省になりませんか。
  133. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 先ほども申し上げましたように、天災融資法を改正するかどうかにつきましても検討をいたしております。しかし、方法といたしまして、何しろ二年目、三年目の被害というものを前もって測定するということがなかなか困難でございます。これはこの前からお話がありましたので、農林省の内部におきましても、どうやって測定するかということについて検討いたしたのでありますが、技術的には結論を得ないという状況でございまして、それを初年度から融資するということがなかなか困難です。もう一つは、二年目、三年目の損害を前もって融資するということに若干の問題かあるということでございます。そこで私どもといたしましては、天災融資法の改正につきましても検討はいたしておりますが、もう一つ方法として、自創資金によりまして二年目、三年目以降の必要な資金を融通する方法を目下研究いたしておるものでございます。
  134. 足鹿覺

    足鹿委員 研究するだけで、それは実現する見込みがあるのですか。大蔵省とも折衝は進んでおるのですか。農林省が単独でそういう研究をしておるのですか。それから今度の間接被害と直接被害と両方受けているいわゆる家畜獄も天災融資法等の対象になりますか。また、今あなたがおっしゃっておるような、このごろ多頭羽飼育ということが相当盛んになってきておりますし、それが積雪のためにいろいろ障害事故を起こしておる。斃死したり、あるいはいろいろな病気になったり、あるいは産卵率が落ちたり、豚の障害も起きるといったような事態は各地に出ておりますが、そういったようなこともあわせて御検討になっておるか。要するにこれは水かけ論なんですが、あなた方がどうしてもおやりにならないというならば、これは委員長、当然今までの事例を見ましても、昭和三十四年災のときにも樹勢回復は出ているのです。これは水害なんですけれども、それがことしだけ切っちまう。ことしのような激しい被害のときにこそ、樹勢回復等の緊急措置というものがやはり私は必要だと思うのです。いつもとは申しません。先例かあるから何もかにもやれというような無理なことは私は言わない。しかし、ものの判断というものを誤ったならば、政治にならないと思うのです。生きた政治をやってもらいたいと私は思うのです。何でもかでも大蔵省が融資でまかなうと言えば、あなた方もそれにちゃんと屈従する、そういうことでは、農林省の権威というものは保持できないんじゃないか、農民に対する信頼を受けるに足る施策を持たないということになりはしないかと思うのです。自作農資金にかりに別途に考えるにいたしましても、それはやはり融資に相違ない。ですから、融資でいくならば、三分五厘の天災融資を当初五十万円にした、こういう話でありますが、それはワクを拡大したということはけっこうです。けれども、あらかじめ、長きにわたっての損傷、被害の復旧の程度を予見できないと言われますけれども、木が裂けたり、枝が折れたり、茶が、この間ごらんになったように粘れてしまう、桑は胴枯病でみな倒れてしまうのですから、予見できるのですよ。この木は何年くらいたてば復旧する、そういうことはあらかじめわかるわけです。ですから、あらかじめ被害程度等が予見できないということは、経済局長の言葉でありますが、それはいささかあなたは農業を知っておられるかと疑わざるを得ない。そんなはずはないですよ。
  135. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 第一点の家畜の問題でございますが、家畜の死亡につきましては、天災法の対象になっております。  間接被害につきましては、なお大蔵省と折衝中でございます。その点を御了承願いたいと思います。  それから、樹勢回復の問題について、補助するかどうかということもにらみ合わせまして、融資の方を検討いたしておるのでございます。樹勢回復用の補助について農林省はやめるんだということではなくて、それとにらみ合わせまして、二年目、三年目以降の対策として融資の問題も検討しておる、こう申し上げたのでございます。
  136. 足鹿覺

    足鹿委員 それは、この間の委員会で相沢さんは、樹勢回復の補助はやらないんだと、頭から言っておるんですからね。ある程度これは話がついたのですか。私が今言ったような趣旨を御了解になってそうしてそういう方向へ進んでおるのですか。おるならばよろしいのです。私はしかりも何もいたしません、けっこうだと思います。ですけれども、この間の相沢さんの御答弁というものは、そういう方針はとらぬとはっきり御言明になっておるわけで、だからそれでは困るというわけなんであります。あなた方はおとりになるということはけっこうでありますが、それが実現しなければ意味をなさないので、私はくどく申し上げておるのです。従って、相沢さんも、前はそうだったかもしらぬが、今後はやらぬのだというふうな一点張りな答弁ではなしに、今私が申したような趣旨からいって、また被害実態が明らかになったら——あなた方現地に行ってごらんなさい。どういう果樹が被害を受けておるか。そうすれば、これは気の毒だなということになる。そのときこそ、樹勢回復の対策が必要だなということはおわかりになるだろうと思う。この間お話しになった、今までは反当五万円の肥料をやっておった、補助金として、二千円の肥料分をやったけれども、その区別がつかぬ、協同組合に行って帳面を調べてみたところが、どうもその帳面が怪しい、そういうのもそれはあったかもしらぬ。しかし、それをもってすべてを断ずるということは、私は、いささか今度の豪雪被害というものに対する認識とそして理解と愛情を持たない、通り一ぺんの対策に失しはしないか、かように思うのです。そういう点について、もう少し生きた政治という立場からやってもらいたい。これをやったから毎年々々出せということには——私は、そのときの情勢によってそれはお互いが判断すべきことだと思います。こういうときにこそやる必要があるのですが、いかがでありますか。再考を約して農林省とさらによく御検討になる用意があるならば、私はこれ以上申し上げませんが、この点は十分御判断の上、御答弁を願いたい。一事務官の相沢さんを信用しないわけではありませんが、あなたももう一ぺん考え直す。そして委員長、これはやはり政治的な判断の上に立って、少なくともこれは所管大臣等が政治的な判断をもって指示をすべきことになってくるかもしれません。あるいは当委員会が何らかのそれにかわるところの措置を、農林省も検討しておるということであれば、それを聞いて立法化すべきか、あるいは何らかのかわるべき措置をとるべき事項だと思います。まだ先がありますのでこの程度で申し上げませんが、相沢さん、何かこの点については御勘考になる余地ありやなしやということをいま一応お尋ね申し上げておきます。
  137. 相沢英之

    ○相沢説明員 先般の災害対策特別委員会足鹿先生の御質問に対しまして、私、樹勢回復のための肥料あるいは病害虫防除のための農薬に対する補助は目下のところ考えるつもりはないということを申し上げました。その後農林省から、実は昨日でございますが、果樹、茶、そういったものに対する農薬あるいは肥料の補助の要求が参りまして、私、きょう委員会があるということを聞きましたので、午前中に中で相談して参りました。結論的に申しますと、前回私が申し上げましたと同じように、農薬あるいは肥料の補助に関しては、私どもとしては出す考えはございません。先般も申し上げましたことの繰り返しになりますが、この農薬または肥料の補助金は、一件当たりにいたしますときわめて零細なものになっております。まだ要求の段階で私どもがその中身を申し上げるのはいかがかと思いますが、たとえて申しますと、農薬につきましては、一反当たり、常緑果樹では千円程度、落葉果樹では五百円程度、あるいは樹勢回復のための肥料につきましては一反千二百円程度、こういった経費に対する要求になっておるのであります。私ども判断いたしますと、平均果樹五反としましても、農薬で多くて五千円、肥料で多くて六千円、その程度のものに対しまして国か何分の一補助するということが、はたして果樹の災害対策として効果があるかいなか、非常に疑問に思うのであります。私の手元に、昭和二十八年、二十九年の会計検査院の決算報告から、果樹関係の補助金の批難事項を抜粋して持っておりますが、その当時から現在までにはこういった点はかなり是正されてきておると思いますが、相当に目に余る事例が多いのであります。従いまして、三十三年以降、こういう零細な、また効果の確認しがたい農薬あるいは肥料の補助金というものはやめるべきではないかということで方針を立てて今日に至っておるわけであります。それではこれにかわるべき措置としてはどういうものがあるかということになりますが、それは先ほど申し上げました通り、たとえば天災融資法におきましては、一件当たりの融資の限度を引き上げ、あるいは据え置き期間を延長する、また果樹農業振興法ができました際に、農林漁業金融公庫法の改正をやりまして、昭和三十六年以降、農林漁業金融公庫から果樹の災害復旧についても融資できるような措置を開くことにいたしましたが、そういったように融資の面で対策を講ずることにいたしまして、こういった零細補助についてはやめるというようなことにしてきたわけであります。従いまして、私どもといたしましては、今回の災害は相当な額に達して、まことにお気の毒だと思いますけれども、この補助に関しましてはやはり従来の方針を変えるべきではない、かように考えているわけであります。
  138. 足鹿覺

    足鹿委員 それは、昭和三十四年の霜雪害対策補助金交付要綱も、申し上げるまでもなく、果樹の病虫害防除薬剤費に対して助成をいたしておりますし、桑の木の樹勢回復肥料代も出しております。果樹についても同様肥料代を出しております。当時の霜雪害というものは、あのときといたしますと相当強いものだったと私も思います。あの際に初めて果樹に適用になったと思うのです。ですから、それはそれでよろしいのですが、今度の被害というものはそれを数十倍上回っているかつて見ざる被害で、しかも選択的拡大で国が推進途上にある果樹被害ですから、そういう特殊な意義というものをやはり大蔵省当局も真剣に考えられて——会計検査院が批難事項で指摘をしておるということは、それは私先ほどちょっと申しましたが、知っております。しかし、それはたまたまそういうのもあるでありましょうが、すべてかそうであると断ずることは、私はいささか早計ではないかと思うのであります。そこで、先ほど相沢さんは、茶と果樹については農林省から要求があったということでありますが、桑は全然オミットしておるのですか。今まで私が果樹々々と言っておりますことは、果樹等で、等の中には、茶と桑を含んでおる。これは果樹に劣らない大きな被害を受けておるということをあわせさしておるということを念のために断わっておきますが、この三つはいずれを落としてもよくないです。片手落ちな措置のないように今後施策を講ぜられるよう、よく御判断の上、慎重に対策を立てていただきたい。この三つをさしておりますか、あなた方の見解を一つ明らかにしていただきたい。
  139. 丸山文雄

    ○丸山説明員 ただいま園芸局総務課長のお話ししたのに関連いたしますけれども、桑につきましては、果樹と同じような被害の集計がまだできており、ません。それで、桑につきましては、計数整理の段階においても若干おくれかあります。そういう意味で、実は果樹と桑とは若干時日がずれて参ります。御了承願います。
  140. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連。桑については確かに集計がおくれておるかもしれませんが、私は県のモデル集約桑園を見て参りました。そうすると、九割の桑がまだ先っぽも全然出てないという状態です。二月中旬に掘ってあった地域でも、枝は全部折れておるのです。その掘るのに一反歩当たり四十人かかったというから、とてもとても仰ることはできぬということになる。立木ももちろん折れております。それでだんだん雪が締まって参りますと、ますます被害がよけいになるし、また桑は、私専門的なことはわかりませんけれども一定期間以上雪の下になると、胴枯病になって全部やられることになります。そしてネズミが盛んにその下をくぐって食い散らしておる。あけてみると、これはひどい被害が出て参ると思うのです。ですから、これもやはり果樹等の等の中に入れられてその対策を十分に考慮せられてしかるべきである、さように私は思うのです。今集計中であるということでありますが、せいぜい努力をせられて、同じように取り扱ってもらいたいものと考えるのですが、蚕糸局の方から答弁を願いましょう。
  141. 大村清之助

    ○大村説明員 桑園につきましては、改植、補植の必要な面積がまだわかっておりません。統計調査部の力では、三月三十一日までにはある程度わかるように申しておりますが、まだ雪の下に大部分ございまして、わかっておりませんものですから、きめかねております。
  142. 西村力弥

    ○西村(力)委員 養蚕家は、繭の値ごろがだいぶいいので、ことしあたりうんとはき立てようとやっておったところに、桑園の被害で、県あるいは地方事務所あたりの指導は、あまりひどく被害を宣伝すると、はき立てを必要以上に減らしてしまうだろう、それは、桑の被害が実際にわからないから、はき立てをよけいにやり過ぎて、よそから桑を買ってやったのではたまったものではないから、あぶないところは渡らないで、こわがって必要以上にはき立てを減らすのではないかということもあって、そういう点非常にむずかしいところにきておる。そういう点よく考慮されたい。樹勢回復なんというものは、被害を受けた桑の木や葉っぱに十分豊富に、部厚く栄養分ができるような方策を早急にとることがぜひ必要だと思うのです。こういう点、専門の皆さん方には、果樹と同じような、それ以上の対策をとっていただかなければならぬと思う。  それで大蔵省に申し上げます。また農林省全体にもお聞き願いたいのですか、私は果樹の被害地に再度行って参りました。この前は大野議員と一緒に行って参りましたが、雪が解けてブドウが現われておりました。オロチを八切りにしたように、ブドウのつるがずたずたになって出ておる。農民諸君はもう金を借りる意欲も出ない、こういう状態にあるのです。それで私たちとしましては、いろいろな理屈もあるでしょうが、そしてまた、これはある程度ロスも出るかもしれませんけれども、そういう虚脱的な状態にある果樹農民に対しまして刺激剤を与える必要がある、こういうことを私は強く感じて参ったのであります。その刺激剤というのは何であるかということになると、やはり政府は、まあいろいろの問題はあるけれども、そのために助力をするという、補助金なら補助金というものをはっきり打ち出して、そういう農民諸君の奮起をこの際促していくということが、政治のあり方として、ぜひ必要だということを強く感じて参ったのであります。そういう観点から農林省自体が実際は考えていただかなければならぬ。足鹿委員がるる説明された農民の現状からいいまして、それを申し上げますと、やはりこれはぜひ必要だ、私たちの判断からいいますと、そう言わざるを得ないわけなんです。  それから融資関係を盛んに言いまするが、天災融資法の申し込みというものは非常に少ない、むしろ自創資金の申し込みの方がよけいである、こういう事態が起きています。天災融資法がまだ行き渡らないからかもしれませんけれども、非常に申し込みが少ないのです。こういうところに、融資々々と言うても、ほんとうにその融資によって何年間か、収入が完全に復元するまでこれによって支えられるかどうかという確信が、農民には出てこないということになる、ですから申し込みが少ないという工合になるのだろうと思うのです。こういう点も相当思い切った、前進した融資方法というものを考えないと、果樹農業の被害から農民を立ち上がらすことはできない、かように思うわけなんであります。でありますからこういう点については、再度答弁を求めてもどうもならぬ、と思うのですが、農林省のどなたか適当な人から、私が農民の置かれている現状をお話し申し上げたことに対しまして、どういう所見を持たれるか、お答え願いたいと思います。
  143. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 先ほどもお話し申し上げましたように、天災融資法によります三分五厘の資金の融通、及び激甚災の指定はすでに完了したわけでございます。さらに先ほども、二年、三年以降の場合等につきましては自創資金を活用することを目下検討しておるということを申し上げたわけでございますが、そのほかに、幼齢木、未成木につきましては、まず経営計画を樹立しまして知事の認定を得たものにつきましては、植栽資金のほかに育成資金をも融資するという方向で処理して参りたい、かように考えておるわけでございます。  それから、そのほかにさらに天災融資法でもやれるわけでございまするが、改植、補植に必要な植栽資金につきましては、公庫資金を融資するということを考えておるのでございます。この金利の引き下げについて目下交渉中でございます。  大体以上のような措置を融資の面から果樹に災害につきまして講じたいということで、必要な折衝あるいは検討を加えておる次第でございます。
  144. 足鹿覺

    足鹿委員 まだたくさんありますから、果樹はこの程度でやめます。  次に、開拓者対策の問題について。去る二月二十八日に、開拓者の債務延長等について、相沢主計官は、債権管理法の第二十四条の五年以内の延期の特例について、農林省から話があったら、十分実情に即するよう協議したい旨の答弁を私になさったのでございますが、その後協議の結果はどうなりましたか、明らかにしていただきたい。
  145. 丸山文雄

    ○丸山説明員 現在のところ現地の方から協議が出てきておらない、そのためにまだ大蔵省の方に持ち込む段階ではないということであります。
  146. 足鹿覺

    足鹿委員 現地から意見が出てないからやってないとに一体何ですか。そういう答弁は意外じゃないですか。皆さんが何べんとなく会合を開いて、そうして、もう認めておるのですよ。まだぼう然自失しておる状態なんですよ。だから、今まで一ぱい借りたものが次のものを借りるというような事態も出てきましょうし、償還期が来ておる、それが返せなくなるから、借りたものでまた借りかえをするとか、いろいろな問題かこれから出てくるのです。天災融資法を発動したばかりで、先ほど西村委員から、あまり申し込みがないというようなお話がありましたが、これは何ぼでも出てきます、実施はこれからなんですから。発動してまだ間がないし、これが末端に融資条件等が知られてくれば、これは当然出てくる。しかし、開拓者の受けた打撃というものは著しい。従って、これらの点については、いわゆる国の債権管理法第二十四条の規定に基づて、農林省から話があったら、十分実情に沿うように協議すると大蔵省が言っているのですが、現地からないからやってないとは一体何ですか。一体そういう答弁は——委員長、私は農林省の誠意を疑いたいです。私個人の意見ではないですよ。委員会を代表して私は質問しているのですよ。ちゃんとした答弁をしな、さい。
  147. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  148. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 速記を始めて。
  149. 足鹿覺

    足鹿委員 私は農林省に恥をかかしたくないから言っておるのですが、もう少し価値のある答弁を——もう一月もたっているのですから、その場限りの答弁は許しません。大蔵省自体が協議に応ずると言っておるものを、丸山さんのただいまの御答弁は怠慢です。ただし、正直でよろしい。(笑声)  開拓営農振興臨時措置法第五条の貸付金の支払い猶予の規定の発動について、任田農地局長は、十分今後検討したい旨の答弁をいたしておるのでありますが、その後発動することにされましたか、どうでありますか。
  150. 丸山文雄

    ○丸山説明員 三十七年度につきましては、先ほどの統計の資料関係いたしますけれども、開拓地だけの被害というものを把握できませんでしたので、おそらく今後統計調査の全体の資料の中から、漸次開拓地の被害分はどの程度あるかということが個々にわかってくると思います。その時点において、発動する条件に該当するものがあるかどうかによって決定いたしたいと思います。
  151. 足鹿覺

    足鹿委員 開拓農民の窮状を救うため、支払い延長のほか、利子の減免等についても、任田農地局長は、実態に即して関係当局と十分打ち合わせしたい旨の答弁を、二十八日、私に与えておりますが、その後の状態はいかがでありますか。
  152. 丸山文雄

    ○丸山説明員 その点につきましても、ただいま申し上げましたことに関連いたしますので、開拓者自体の被害状況が把握できますれば、その段階において、前述の答弁の趣旨に沿って検討いたしたいと思います。
  153. 足鹿覺

    足鹿委員 開拓者の住宅は、特に耐雪、耐寒力を必要とするが、耐雪住宅を初め、雪上車、特に保健婦の活動用を中心に、開拓者の施設につきまして補助率を引き上げる意思はございませんか。現行は二分の一となっておるようどありますが、その点はいかがでありますか。
  154. 丸山文雄

    ○丸山説明員 これも、雪害地につきまして開拓者の住宅の倒壊状況その他はっきりいたしておりませんが、従来は、御質問の通り、普通の場合において二分の一の予算補助をやっておるわけでございます。今後におきまして、資材費その他の価格の関係における問題はあろうと思いますけれども、補助率を二分の一以上に上げるということはなかなか簡単には参らぬ、こういうふうに考えております。
  155. 足鹿覺

    足鹿委員 次は、大きな第三点として、土地改良事業についてお尋ねをいたします。農地、農業用施設の復旧について激甚法第五条の適用は、査定額を見た上でと答弁をいたしておりますが、その適用はどうなっておりますか、適用の範囲、指定基準等はどのようになっておりますか、明らかにしていただきたい。
  156. 梶木又三

    ○梶木説明員 豪雪に対しましての激甚災指定でございますが、これは先生の御質問のように、否定が済みましたら適用をきめたい、こういうふうに考えております。査定は、四月早々、被害が発生しました直後に実施する予定でございます。基準でございますが、基準は一般の風水害と同じ指定基準になっております。全国的な規模といたしましては、推定の査定額が農業総所得の〇・五%以上、大体七十億円くらいに相当する被害でございます。これが全国的な規模として発生すれば全面的に激甚災の指定になり、さらに局地災といたしましては、全国農業所得の〇・一五%、大体金目にいたしまして二十億円くらいでございますが、それ以上の災害でありまして、かつ都府県の農業所得の〇・四%あるいは十億円以上の県が一つある、こういう条件が局地災の場合はついておる、そういう基準になると思っております。
  157. 足鹿覺

    足鹿委員 冒頭にも申し上げましたように、融雪が始まりますと同町に私どもの方へ次々と情報が入ってきておりますが、施設の倒壊、破損が予想以上に出てきております。十分その実情を把握の上、この適用基準等については、事情に即するようにさらに一段と御協力をお願い申し上げておきたいと思います。  これは見込みがなさそうなふうになっておりますが、念のために次にお尋ねしておきますことは、農業倉庫等の除雪について、堆積土砂の排除の特例に似た補助助成法を考えるべきではないかという私の質問に対し、伊東次官は検討したいと答えましたが、その後の検討状況はいかがでありますか。
  158. 丸山文雄

    ○丸山説明員 その点につきましては、具体的数字も持っておりませんし、非常に困難であると考えております。
  159. 足鹿覺

    足鹿委員 きょうは問題点指摘するだけにとどめておきます。追及は追って責任者の御出席を求めていたします。  土地改良事業費の拡大、補助率のアップ、採択基準の引き上げ、五町歩以上、機材購入補助の確立、補助金の長期交付、年度繰り越し施行を大幅に認める考えがありますかどうか。
  160. 梶木又三

    ○梶木説明員 積寒地帯あるいは豪雪地帯での一般の土地改良でございますが、普通の西南暖地等の土地改良事業と非常に違いまして、工期が非常に短かい、こういうことで工事費が割高になるという点から、根本的な問題として今後検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  161. 足鹿覺

    足鹿委員 さらに、土地改良事業の災害復旧につきまして、現に土地改良事業を実施中の農地等が災害を受けた場合、その災害復旧事業は、現行法では原形に復旧することを原則としている建前から、改良事業を完了したものはその完了した形に、事業進行中のものは、改良後の形でなく、改良前の形に復旧し、その後に改良工事を再び実施することになろうかと思います。これは工事費のむだ使いともいうべきことでありまして、このような場合には、土地改良工事計画を復旧工事計画として実施することが実情に沿った方法であると考えますが、農林省の見解はいかがでありますか。
  162. 梶木又三

    ○梶木説明員 現在実施中の事業につきましては、建前上、災害とは別にいたしまして、そのやっておる事業の工事費でまかなう、こういう建前を今のところとっております。
  163. 足鹿覺

    足鹿委員 これは重要な点だと思います。十分再検討をお願いいたしたいと思いますが、御検討になる余地はありますか、ないですか。
  164. 梶木又三

    ○梶木説明員 責任者でございませんので、帰りましてからよく上司に伝えたいと思います。
  165. 足鹿覺

    足鹿委員 災害が発生した場合、常に同一個所が被害を受けて大被害の原因になっておることがあまりにも多いということは、御承知の通りでございます。これは災害の起きるたびに、改良事業を十分取り入れられるように叫ばれておるにもかかわらず、当局はこれに耳をかそうとしないために起きる、人災といわれる趣旨のものであります。このような改良工事が防災上からも十分取り入れらるべきであると考えておりますが、その点について、しかと上司にもお伝えを願って、そうして今後このような事態が起きないように十分根本的に御検討を願いたいと思います。特に強くこの点を指摘をし、要請を申し上げておきます。上司にもしかとお伝え置きを願いたと思います。  次に、営農資金と農林漁業金融公庫の融資についてお尋ねいたします。  第一は、自作農資金について、農林省は、三月中には本年度の残りワク二億でまかなえると思うと述べ、追加の要望があれば必要に応じて大蔵省に協議してワクをもらうよう措置すると、この前私の質問に答えておりますが、今日までの、実績はどうでありますか。二億円で足りるかどうか、足りなければワクをふやしていくのかどうか、その点も明らかにしていただきたい。
  166. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 これも農地局の関係でございますが、特に私からお答えいたします。  二億で足りるかどうか、まだ農地局から聞いておりませんが、もし足りなければ、まだ余地がございますので、これはワクをふやすように交渉いたしたいと思います。
  167. 足鹿覺

    足鹿委員 十分見込みがありますか。
  168. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 ふやすのは可能だと思います。
  169. 丸山文雄

    ○丸山説明員 経済局長のお話に補足いたしますけれども、二億円の金は、大体申し込んでから一カ月くらいの期間を見まして、三月中に消化できるということで、具体的に県の希望等をとりまして解決しておるものがあるはずでございます。おそらく三十七年度のものはないと思います。ですから、三十八年度中においてどの程度の金額になるかということが、今後検討の対象になろうと思います。
  170. 足鹿覺

    足鹿委員 次に、公庫の災害資金の金利についてでありますが、一般よりたった五厘安いだけだということを私が指摘をいたしましたのにつきまして、伊東次官は、大蔵省と協議して検討してみたいと答えておりますが、協議を行なわれた結果はいかがでありますか。
  171. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 これは御指摘の通り、理由ありと私どもも考えておりますので、今大蔵省と話し合っておるのでございます。遠からず結論が出ると考えます。
  172. 足鹿覺

    足鹿委員 どのような結論を想定しておりますか。
  173. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 まだ交渉中でありますので、人の方を拘束するようなことは申し上げにくいわけでございますが、私は可能ではないかと考えております。
  174. 足鹿覺

    足鹿委員 あなた方の希望しておることぐらいは言ってもいいんじゃないですか。協議中なんですから、大蔵省もおられるわけで、別に秘密を要するものじゃないでしょう。
  175. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 私どもから持ちかけておるのは、据置期間中は五分五厘、一般に六分に引き下げる。これは、今回改正法を御審議願いましてすでに成立いたしました果樹園経営改善資金と同じ条件まで引き下げる、こういうことでございます。
  176. 足鹿覺

    足鹿委員 天災融資法の発動前に、公庫で災害復旧資金を貸し出したかどうか、今回の災害でそのような事例がありますかどうか。
  177. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 これは主務大臣指定の災害復旧を言っておられるのものだと考えますが、これは、天災融資法が発動になりますと、自動的に融資を行なうことにいたしておりますので、先般政令を定めまして、天災融資法を発動いたしましたが、これからも続々と融資申請が出て参ると考えております。
  178. 足鹿覺

    足鹿委員 貸し出しの手続の簡素化の問題についてでありますが、伊東次官は、便法を考え、被害者に不便をかけぬようにしたいと言い、また仄聞するところによりますと、これ以上簡素化はできぬほど簡素化した言っておりますが、中央の解釈と現地の実情とは必ずしも一致しておりません。私どもの方にはいろいろ簡素化についての要請がございます。具体的にお考えになっておる点がございますかどうか。
  179. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 これにつきましては、公庫と目下話し合いをやっておりますが、公庫におきましてもすでに以前から事務の簡素化の委員会を設けまして検討もいたしておりますので、できる限りすみやかにその措置をとるようにいたしたいと思います。
  180. 足鹿覺

    足鹿委員 さらに、農林漁業の災害資金の貸付条件についてでありますが、最近の農林漁業金融の動向は、農林漁業の転換を反映して大きな動きを見せております。すなわち、農業及び沿岸漁業の経営構造改葬事業及び農林漁業経営の近代化事業が強力に進められることになり、これに必要な資金については、特に条件の緩和された資金が融資されることになっております。これは昭和三十八年から実施されるものについて、構造改善事業資金にはすべて三分五厘資金を、近代化資金については四分資金から五分五厘資金を貸し付けることになっております。当国会において、昨日参議院を通過して成立を見たわけであります。そこで、昭和三十四年には、北海道の畑作及び養畜を行なうものには年利五分五厘、据置期間を含む償還期限二十年以内、俗にいわれるマル寒資金制度が創設されております。このように農林水産業の各種資金の条件が大幅に緩和されておるにもかかわらず、ひとり災害資金のみは、公庫資金によらず、天災融資法による天災融資資金によらず、据え置かれ、何ら見向きもされていないということは、政府の災害に対する認識の不足というか、農林漁業が育成産業であるということを忘れておるのではないかと断ぜざるを得ません。政府はこの際貸付条件の大幅な緩和をはかるべきであると思うが、今後もこのままで十分であると考えておりますか。改正する意思があるかどうか、この点についてお尋ねをいたしたい。
  181. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 災害に対します対策といたしましては、まず補助がございます。それからいわゆる災害補償法によります共済制度があるわけでございますが、そのほかに、農林公庫から、施設災害に対しまして長期低利資金を相当に出しておるのでございます。天災融資法で貸し出しますのは、比較的短期の経営資金を中心に出しておるわけでございます。経営資金といたしましては、現在最低三分五厘までの低利で貸し出すことになっておることは、御承知の通りでございます。今回の豪雪等に対します融資におきましても、六十億円の融資を決定いたしましたが、その過半、あるいは大部分と申してもよいかと思いますが、三分五厘が利用される見込みでございます。そういうように考えて参りますると、まず日本じゅうで、あるいは農業の中でも最低の金利の三分五厘の条件でございますので、これ以上に引き下げるということにつきましては、実際問題としてなかなか困難ではないか、さように考えまするが、その他の面におきまして、貸付限度等につきましては今後も十分検討して参りたい、かように考えております。
  182. 足鹿覺

    足鹿委員 私が申し上げているのは、松岡さんは三百億の構造改善資金のうち主十六億の例をとってお話しになったが、そのことではないのです。そのことはけっこうであります。農地担保金融とはいえ、そのことについては私たちは条件を付して今国会の成立に賛成したわけでありますが、その他、農林金融公庫自体も、記憶にとどまらないくらいの各種各様の資金が出ております。私の今お尋ねをいたしましたのは、いわゆる各種資金がだんだんと合理化されていく、その中にあって、災害対策の資金というものについてもっとこれは考慮さるべきではないかという趣旨の質疑でありまして、その点については検討の余地ありというお考えかいなかということであります。
  183. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 私の申しましたのは、災害対策に関する融資でございます。御指摘になりましたのは、おそらく天災融資法の問題であろうと考えまして御説明申し上げたわけでございますが、天災融資法につきましては、今回出します六十億円の融資にいたしましても、その大部分が三分五厘で貸し出されるということで、今お話のありました、新制度で三分五厘で三十六億円貸し出すというのは、別な、漁業経営構造改善資金として今回つくったものでありますが、それではなくて、天災融資法でも三分五厘の資金を相当大幅に出し得る、こういうことを申し上げておるわけでございます。それで、天災融資法は五年とか七年とかいう比較的短期の資金でございまして、これは性格上、経営資金でございますので、どうしてもそうならざるを得ない、こういうことを申し上げているわけであります。しかしその他の点につきましてはなお検討すべき問題があるであろうと思いまするので、今後も検討は十分いたしたいと思います。
  184. 足鹿覺

    足鹿委員 問題点指摘するだけにとどめておきます。  次に、農業及び漁業構造改善事業等の実施中に災害を受けた場合の災害復旧事業資金は、構造改善資金の三分五厘と、その事業ごとの貸付資金の条件で融通されるかどうか、一般の六分五厘の資金等、あるいは公庫天災資金の貸付条件に戻るのかどうか、この点について、今回の豪雪を受けた地帯で指定を受けている地域があるかないか私もよく存じませんが、おそらくあろうかと思います。今後もそういうことがあり得ると思いますが、これに対する所見いかん。
  185. 松岡亮

    ○松岡(亮)政府委員 これは実は私どももまだ検討しておらなかった問題でございますが、大体におきましても、天災融資法の三分五厘の資金とか、それぞれの災害の性質に応じまして、現在の災害対策の融資でまかなって参ることがまず考えられるべきことではないか、さように考えます。
  186. 足鹿覺

    足鹿委員 次官がおいでになりましたので、この際ちょっと申し上げておきます。私は、去る二月二十八日の当委員会において、三時間余にわたって、委員会を代表する農林関係の質問を申し上げました。そのとき、検討を約し、あるいは関係省との協議を約し、いろいろ善処を約したにもかかわらず、今まで質問をいたしましたところでは、このことについて進行状態がきわめて悪い。農林省もいろいろと努力しておられるでありましょうが、検討を約しておきながら、一カ月もたってまだ関係省とも打ち合わせが済まない。私、足鹿個人が質問しているのではない。委員会で何べんも打ち合わせをし、あなた方も交えて時には懇談会を開き、そうしてそれを明らかにするというので、今から一カ月前の二月二十八日に御質問申し上げた。そのときに公式に検討を約され、善処を約され、いろいろ公約を与えられたのに、何ら目鼻がついておらない。一体これはどういうことでありますか。このようなことで、当委員会は先ほど打ち切ろうかという話も出ましたが、一応事務当局に対して問題点だけは指摘しておきたいというので、もはや会期もあとわずかになっております、地方選挙が済んだらまた国会が正常化してくるでありましょうけれども災害意識が希薄になってから、陽春、初夏のころになってから雪害対策をやりましても、もうすでに気の抜けたビールのようになりはしないかと思のです。実態把握等いろいろ理由を並べられますが、いささか熱意に欠くるものがありはしないかと私どもは疑わざるを得ない。その点について、次官としていかようにお考えになっておりますか。今後なるべくすみやかに責任大臣の御出席を求めて、農林省の誠意ある態度、また政治家としての大所高所に立った判断に基づいた画期的なものを求めたいという気持を持っておりますが、今までの御答弁に対しては私どもはきわめて不満でありますので、とりあえず、この点について政務次官の御所見をこの際承り、今後いかように対処されるかを明らかにしていただきたい。
  187. 津島文治

    ○津島政府委員 お答え申し上げます。  災害に対処するのは迅速でなければならないのであります。災害をこうむった方々の生活状態を考えますと、やはりなるべく早く救いの手を差し伸べるというのが、行政の本来の姿であるのであります。従いまして、私もたびたび、なるべく迅速に事を運ぶように委員各位にも申し上げ、またそのつもりでおったのでございます。しかし、ただいまお話を承りますと、なかなか足鹿先生の思うように参っていないようでございます。まことにこれは重々遺憾に存ずる次第でございます。この災害の救済の道につきましては、いろいろと折衝する関係各方面もあったことでございしょう。それにもまた思わぬ手間をとったことも想像できるのでございますが、いずれにせよ、結果から見まして、決して迅速に運んだと申し上げられないようでございます。この点は私からほんとうに深く遺憾の意を表する次第であります。と同時に、私もこうしてお答えを申し上げまして、いよいよ責任があります以上は、今後十分この対策の方に心を用いまして、でき得る限りただいまの御趣旨に沿うようにいたしたいということをはっきりと申し上げておきます。
  188. 足鹿覺

    足鹿委員 津島さんの非常に誠意のある御答弁でありますので、これ以上は追及いたしません。二月二十八日の災害対策特別委員会において、私が委員会を代表して、農林省所管について三時間以上御質問を申し上げ、あなた方もいろいろ善処を約された。きょうまたその問題で解決のつかないものを、全部一応おもなものを拾い出しております。炭がまの問題とか、あるいはその他重要な点はきょうは一応残しておりますけれども、いずれまた別な機会に申し上げます。きょうの速記録も早速にお読みいただいて、そしてそれぞれ与えるべき指示は与え、事務的な限界以上のもので何らかの措置を政治的に講ずべきものは講ずるような考え方を、首脳部においてすみやかにまとめられ、その構想に基づいて、災害対策特別委員長にも御相談をなさって、すみやかに対策を講じられんことを強く御要望申し上げておきます。  最後に、水産庁長官にお尋ねをいたします。これは当委員会の申し合わせとはちょっと離れておりますけれども、今次災害と密接不可分な現象が起きておりますので、お尋ねを申し上げておきます。  海の気象異変について、その原因とこれが対策についてでありますが、この冬は北国に百年来といわれる大豪雪をもたらし、また、ひいては、なだれ被害を各所に起こした気象異変が、今度は形を変えまして海に現われた。太平洋岸の海水の異常低温化という、これまた前代未聞の現象といわれております。利根川でオットセイがとれるというような状態、そのオットセイを捕獲した者はオットセイ捕獲条例違反に問われるという珍現象が起きておる。これは御案内の通り、随所に凍死した魚の群が浮かび上がって、漁場から魚が姿を消すなどといった漁業異変が起きておりまして、関係漁業者の心配の種になっておることは、御存じの通りだろうかと思います。しかも、この原因については、いろいろ議論もあるようでありますが、気圧の低下が潮位を変え、さらに流れの方向を変え、この寒流を南下させる結果となったとされております。また低温化の週期説をとる者もあり、その他まちまちであるようでありますが、この冬における寒波等と何らかの関係があるようにも一応考えられるわけであります。政府としてはこれが原因をいかように考えておられますか、この点について、まず水産庁長官の御見解を承っておきたい。
  189. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御指摘のように、太平洋岸におきまして、今年に入りまして非常に海温が低下しておる、こういう異常現象が起こっております。これは銚子沖、それから駿河灘沖に非常に大きな冷水塊ができており、それから何年か前にも問題になりましたが、熊野灘の冷水塊もある。それからなお、鹿児島の南方でございますが、薩南と申しております付近にも、冷水が非常に旺盛である、こういうふうに報告されております。これにつきましては、ただいま東海区水産試験場の蒼鷹丸が中心になりまして、それから関係県の試験場の調査船等もこの方面に協力するように要請して、いろいろ調査を続けております。御指摘のように、海温は銚子沖におきまして、昨年十五度から十七度内外のものが、本年は五度程度に下がっておる、こういったような異常現象が起こっております。この原因は、今御指摘になりましたように、まだ十分はっきりつかめておりませんが、北半球、特に北方地域におきまする高気圧の発達が非常に強い、それから気圧配置の関係で、北半球におきまする気圧が下がっておる、そういうことで、この方面における海水の潮位が高くなって、それが原因で寒流が南の方に大きく南下しておるのじゃないか、こういうことが報告されております。この点につきましては、気象台の海洋の方ともよく連絡をとって調査を進めておりますが、まだ確たることははっきりしておりません。北半球におきまする高気圧の異常発達あるいは空冷といったものが寒波として南下して、先ほどから問題になっておりまする裏日本におきまする豪雪といったようなものにも非常に大きな影響があるわけでございますが、それと同様のことがやはり海流にも起こっておる、こういうふうに承知いたしております。それで、銚子沖におきます寒冷現象は、これは御指摘のように非常に、昨年も下がったわけですが、昨年以上に十度近くも下がっておる。こういうことで、一月にはサバがある程度とれたわけでございますが、二月に入ってからサバ等の浮き魚の姿が見えない。これは寒冷のために回遊して回避したのか、あるいは死滅したのか、その点は明確でございません。それがら底魚等につきましては、薩南等におきましても魚が非常に弱り、あるいは斃死して浮き上がっておる。これを漁師がつらないで網でとり、相当漁獲が上がったといったような珍現象も起こっておるわけでございます。われわれといたしまして、こういう寒冷現象が短期なものか、あるいは相当長期に続くものか、あるいは持続的にこういう流れが継続して、寒流が旺盛になってくるか、こういう点は今後の調査に待たなければならぬと存じます。  それで、今後の調査につきましては、蒼鷹丸等、その他の県の試験場にも協力を求めて十分調査して参りたい、こう思っております。また海洋気象台の方ともよく連絡をとりまして、調査の分担もよくきめて、穴のないようにいたしたい、そういう打ち合わせも至急やりたい、こういうように考えております。ただいま、県の試験場関係の方も御参集願って、きょうだと思っていますが、報告等を聞き、またそれに対する調査方法あるいは対策というものをどういうふうにやったらいいかということも協議いたしておる段階でございます。寒流によりまする問題といたしましては、親魚がどこかへ行ってしまうか、あるいは死んでしまうか、あるいは稚魚がどういうふうに斃死するか、それから産卵場が荒れて産卵の状態がどういうふうになるか、そういった問題等も、これは当然水産庁の調査として、海流の変化ばかりじゃなしに、生物学的な調査もあわせてやらなければ対策が立たないと思いますが、そういう点も今後さらに強化して調査して参り、対策を立てたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  190. 足鹿覺

    足鹿委員 これに関連をいたしまして、沿岸海域におきまする水温の異常低下現象が相当長期にわたって持続されるという心配があるわけであります。もしそういう事態が起きますと、沿岸地域では当然夏に気温の低下現象を引き起こし、稲作等に冷害が憂慮されるのではないか。この点については今から十分対策を考えられて、遺憾なきよう検討しておいていただきたい。この前の東北、北海道の冷害のときも、九年週期説を——大後博士あるいは中央気象台の権威者等から、私ども農林水産委員会において参考人として意見を聴取いたしました。あのとき、九年週期説を言っていた学者がありました。まさにその通りの事態が起きておるのではないか、かようにも考えられますので、この点は今から十分御留意を願いまして、十分手落ちのないように事前の措置を講じておいていただきたい。これに対して御所信があれば、農林大臣にかわって政務次官からお答えをいただきたい、これが一つ。  それから最後に、もとへ戻りまして、この海流異変対策について、具体的な問題で重要な点が一点あります。それを伺いますが、海流異変によって、太平洋岸はもちろん、日本海岸においても寒流による被害が続出いたしております。このため、沿岸漁業者、特に零細漁民は凶漁に苦しんでおる。幸い、政府の助成によって行なわれておる農業共済制度があり、これによって相当部分の漁民は救済されるでございましょう。しかし、これに加入していない零細漁民も相当数に上るものと思われます。このような海流異変については、これを天災とみなし、天災資金の融通をする考えがあるかどうか。また、漁業共済は、現在本格的の実施を行なっているのではなく、全国水産業協同組合共済会を通じ、政府の調査、委託事業も兼ねた事業を実施中であります。そのため、昭和三十八年度においても、支払いに不足を生ずることがあった場合に備え、三億六千万円の債務負担行為をする旨が予算書の総則にも規定され、衆議院を通過し、近く参議院を通過いたしましたならば成立するわけでありますが、これは三十八年度の一般的な気象の変化等を想定して計画された事業に対する予備金的性格のもので、想像することのできなかった今回のような海流異変については、たとい債務負担額に不足を生じたと申しましても、これは超異常災害として別個に見るべきであろうと考えますが、いかがでありますか。この点が一点。  また、漁業共済は、その漁期の末日における漁獲量の減少額を基準として、その不足額を支払うという制度でありますから、寒流による不漁と、一般的な他の理由による不漁と、その区別をつけることが困難であろうかと思います。そういう意見があるのであります。そこで、寒流通過帯が明確に把握されるのでありますから、その寒流帯に接する沿岸漁場を持つ漁業についての漁獲減少は、その寒流帯の存在した区間の部分は当然異常災害分として特別扱いにすべきであろうと考えますが、基本方針について農林大臣の御所見を承っておきたい。  これは、昭和三十二年三月十四日、農林水産委員会において、当時の渡部伍良農林経済局長は、「干拓による漁業の被害と水産関係の豪雨または融雪等の出水により堤防の決壊あるいは土砂の流出等の影響を受け、海流に異変を生じて魚類、貝類及び海藻類が著しく被害を受けた場合、これは漁業者の損失となるのでございますから、この場合はこの天災融資法の適用を受けられるかどうか、この点をはっきりしていただきたい」という委員の質問に答えて「第一条の天災の中には入ります。これは実際運用する場合にそれを一つ一つ指定してやっていく」旨の答弁を行なっております。従って、私はそれらの点から考えまして、この際においては当然この適用を受けるべき筋合いのものだと考えるのでありまして、この点について農林省の御所見をこの際明らかにしていただきますと同時に、もし三十七年度の債務負担額の二億円内で処理するといたしますならば、負担額が不足いたしました場合は次の年度で処理されるのかどうか。この災害によって支払い不足のために、本制度が現行通りだということになりますと、実施が困難のようになってきまして、そのはね返りが漁民負担に返ってくるのではないか、そういうことも心配をされますが、そういう点についての心配を除去する用意ありやいなや、この点についてお尋ねを申し上げます。
  191. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 第一点の、寒流異変につきましての一般農業等への影響等につきましては、私も、一昨日いろいろ東海区水研の技術者から報告を聞きます段階におきまして、これは当然冷害等の可能性のおそれあり、こういう感じを持っておった次第でありまして、御指摘のように、この点につきましては、われわれ並びに海洋気象台等の調査とあわせまして、そういう点、農業部門との連絡をよくして、対策を講ぜられるように事前に連絡をいたしたい、こういうふうに考えております。  それから漁業共済の点でございますが、御指摘のように、漁業共済は、漁獲高につきまして災害によって減収した場合に保険する制度でございして、私の考えといたしましては、こういった寒流異変によりまして漁獲が低下したということになりますれば、保険の対象ということにいたしたい、こういうふうに考えております。ただ、現状におきまして、これが漁獲高にどう影響するかということにつきましては、今後の推移を見なければならないと思うわけでありまして、その不足額が出た場合にはどうするか、こういうふうな御指摘でございますが、その点は、今後の推移をよく見まして、支払いに支障のないように善処して参りたいというふうに考えておる次第でございます。なお、天災法の災害ということにつきましても、やはりこういう異常な場合には天災ということが言えると思うわけでございますが、天災法につきましては、御承知のように、養殖とか、そういった限られたものに今まで運用しておるわけでございして、寒流異変によりまして漁獲ができいなというような場合まで運用できるかどうか、こういう点は今後十分検討して参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  192. 足鹿覺

    足鹿委員 これで私の質疑は終わりますが、要するに、この制度はまだ本格的な実施の段階ではない、いわゆる調査研究の途上にございますが、漁民の唯一の救済事業であるという点で非常に重要な制度であろうかと存じます。これを強く育成し、支払い基金の設置あるいは債務負担額の大幅な引き上げ等の措置をも十分御検討になりまして、遺憾なきを期していただきますと同時に、この海流異変に対する漁民及び農民の不安を一掃すべく、農林省においても本格的な対策を早急に取り上げて、そうして万一の場合にはこのような措置をとってこれを切り抜けていくのであるという方針を示して、安心を与える、それでなくとも、この豪雪被害によって大きな苦難を受けておる際でありますから、万全の措置を講ぜられんことを強く要望いたしまして、本日は私の質疑をこの程度で打ち切っておきます。   〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕
  193. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御指摘の漁業共済につきましては、三十八年度で試験的なものが終わるわけでございます。われわれといたしましては、制度化するということの研究会を三十八年度に持ちまして、御指摘の点等は十分考慮に入れて制度化に努めたい、こういうふうに思っております。  なお、冷水害の問題でございますが、先ほど申し落としましたけれども、浮き魚、底魚等に被害があるわけでございますが、なお浮き魚等がどういうふうに回遊をしているか、あるいはほかに新しい漁場を形成しているのじゃないか、それから冷水塊が非常に旺盛に発達して南下しておるわけでありまして、銚子沖にも、音響探知機等で見ますと、底魚なんかに非常に違った影が映っておるわけであります。技術者の意見を聞いてみますと、タラじゃないか、こういうようなお話もございます。新しいこういう冷水の問題があれば、消極的な問題は当然やらなくちゃなりませんが、積極的にもやはり漁場をよく調査して、新しい漁場の発見に努めて、そういうところに転換していく、こういう措置もあわせて考えたい、こういうふうに考えております。
  194. 稻葉修

  195. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 先に委員長一つお願いをしておきますが、この委員会は、これはよほど政府当局は覚悟を、持って臨んでもらわないと、せっかくの災害対策の万全を期することはできないと思います。ところが、時たま予算委員会とのかね合いがありますので、大臣または政務次官など重要ポジションにある方々の出席ができない状態にあることは、私も了解をいたします。しかし、これだけ長くこの委員会をやっておるのでありますから、従って、予算の審議に当たっておられる大臣にしても、あるいは政務次官にしても、ぜひこれらの方々が当委員会に出席をされて、そうしてやられないと、この災害対策委員会の成果を上げ得ないと思います。先ほども委員の間でいろいろお話をしておったのでありますけれども、二十九日にはぜひとも、短時間でもけっこうでありまするから、委員会政務次官または大臣が努めて出席を願うように、委員長から一つ取りはからっていただきたいと思います。お願いしておきます。
  196. 稻葉修

    稻葉委員長 承知しました。
  197. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私も先ほどの細田委員の質問に関連をいたしまして、午前午後を通じて質問したのでありますけれども、大蔵大臣あるいは大蔵政務次官の御出席がなければ、事務当局だけでは、先ほどからの答弁を聞いておりますと、なかなか満足なものではありません。ただ事務的におざなりの答弁を繰り返しておるにすざません。これじゃ前進をいたしません。従って私は、強く大蔵大臣あるいは政務次官の出席を要望いたしますとともに、そのときはあらためて総括的に質問をいたしたいと思います。その点を一つ御了承願いたいと思います。  そこで私は、きわめて事務的ではありますが、政治的にもわたるわけでありますが、細田委員の質問に関連をいたしまして、大蔵当局に少しくお伺いいたします。これは再度繰り返しますが、先ほどの答弁によりますと、——私は実に憤慨したのです。というのは、一応政府としては、除雪に対する緊急経費について融資もしてやった、そうして除雪もして、今電車もバスも動いておるじゃないか、これ以上のことは何をしてやるのか、率直にいえば、こういうふうな答弁をしている。それで私は少し憤慨をしたわけであります。私は、そういうような精神がすべてを支配していると思うのです。たとえば、この前の分科会でも私は言ったのでありますけれども、こういう不謹慎な答弁をしておる。と申しますのは、道路経費についてであります。道路の改良あるいは建設等に対しての予算というものは——揮発油税が目的税になったことは、政務次官もみな御承知の通りだと思う。私はそのときに、そういうものをやると、大蔵省は得たり賢しとばかりにおんぶしてしまって、一般経費は見ないことになるだろう、そうなれば揮発油税はどんどん上がるだろう、それは結局においては運賃にしわ寄せをされる、大衆は大へんな迷惑をこうむるのだ、従ってそういうものは控えた方がいいじゃないかという意見を、私はこの揮発油税ができるときに申し上げた。案の定、今日では全く揮発油税におんぶしている形です。そしてあの揮発油税ができてからこっちというものは、事あるごとに道路といえば揮発油税を上げるというようにしてやっているのです。あのときの話では、揮発油税と一般会計ではほぼ半々の予算でやります、従って揮発油税ばかりにおんぶすることはないと、さんざん私に対して逆襲した。ところが、今日になると、全くそうじゃない。それと同じことなんです。どうでもこうでもいい、とにかく電車が動くようにしてやれば、あとの経費については、営利会社じゃないか、勝手気ままにすればいいのだ、そんなことまで見ちゃいられない、こういう言い分なんです。幾ら運輸省がそれは不合理性があるということを指摘したって、大蔵省はちっとも言うことを聞かない。そんなことでは、豪雪対策をやろうとしたって何の意味もないのです。みんなもうこれから動き出すのですよ。今の足鹿氏の質問でも、お茶の畑も三年、五年すれば芽をふくじゃないか、桑の畑だってみんな芽をふくじゃないか、それでいいじゃないかということになる。そんなことでは国民に対して、罹災者に対して万全とは言えないと思う。家がこわれたって、それは人間ですから、家を建てないで野宿しておるわけにいかない。従って、掘立小屋でもおっ立てる。そうすれば、家に住んでいるじゃないか、そう言ってしまえば事はしまいなんです。大蔵省のさっきの答弁では、そうなる。あなたはそういう根本的な考え方についてどう考えているのですか。あなたの思想を私は伺いたいと思う。まずそれから聞きましょう。
  198. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 先ほど熊田主計官からお答え申し上げた点についてさらに御質問でございますが、若干言葉の足りなかった点もあると思いますので、私から補足して申し上げます。  もちろん、今回の雪害においてこれだけ私鉄関係被害が問題になっているわけでございますから、この事態について私どもがこれを十分に意識してやらなければならぬということは、重々承知しているわけでございます。結局問題になりました点は、地方鉄道軌道整備法という法律がありまして、これにつきましては、御承知のように、二十八年の災害のときに、災害特例法としてこの法律の内容と同じようなものが特例法でできたわけでございます。その後この法律を恒久法化いたしまして運用いたしておるわけでございます。従いまして、従来でも、たとえば伊勢湾台風その他のいろいろな場合に、私鉄の被害というものはございます。そういった場合に、一体どういうような程度であればこの法律の規定を適用し、どういう程度であれば適用しないかという基準があるわけでございます。その基準が、先ほど主計官から申し上げましたように、事業収入に対する一定の割合をこえるかどうかというようなことでやっておったわけでございます。従いまして、今回の雪害という問題を考えてみますと、なるほど広範囲に、しかも多数の会社が問題になったわけでございます。またその事態と申しますのも、相当長期にわたって交通途絶を来たしたというようなことでございますから、非常にこの事態を重視しなければならぬということは、その通りでございますけれども、この被害に対する政府の助成の対策ということについて考えてみますと、水害の場合に私鉄が被害をこうむって、これを復旧するというようなことと同様に考えてしかるべきじゃないか。そういたしますと、従来から何回かにわたって実施してきました基準というものに照らしまして、そうしてこれが非常にひどいものであれば問題ないと思いますが、それに該当しない程度のものであるということならば、今回だけについてこれを緩和するということはいかがであろうか、こういう問題だと思います。実はその前に問題になりました中小企業の災害の問題あるいはその他につきまして、激灘災の発動をするかどうかというようなことと結局同じような議論かと思いますが、私どもの考えております点は、私鉄についての除雪というような問題、あるいは雪害に対する対策というような問題を今後強力に、かつ根本的に考えてみなければならぬという点は確かにあろうかと思いますけれども、今回の災害あるいは雪害という問題に関してのみ議論いたしてみますと、従来の基準からいって、これを特別に今回だけ変えるということはいかがであろうか、こういう趣旨でございまして、先ほどいろいろ数字的な問題もありましたけれども、こういう考え方で問題を処理しておるのだというように御了解願いたいと思います。
  199. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 別に運輸省の肩を持つわけではないのです。けれども、島原鉄道の災害、たしか三十一年でしたか、三十二年でしたか、そのときに、これを救済するための特別立法をやろうとしたのです。運輸省はずいぶん努力して、私は民鉄部長である岡本さんにも会ってずいぶんつるし上げをしたのです。これは最大の被害者です。どうしても大蔵省は言うことをきかないのです。しようがないから、それではというので、ようやく会期末に、これはもう全然補助ができない、それでは復旧はできぬ、こういうことで、地方鉄道整備法があるから、あれを一つ改正して、その中で少しの補助でもやるようにしようじゃないかというようなことで、これは与党も野党も一緒になって改正したのです。大蔵省は常にそういう冷たい態度をとっているのですよ。今おっしゃったように、今法律を持っておらぬからわからぬが、わずか二割ですか何ほかのきわめて低額な、蚊の涙ほどのものです。それを何か物もらいにパンでもくれてやるようなことを言って、あなた方は恩に着せているのです。そんなことで一体復旧ができると思うのですか。それから私は言うのだけれども、またあなたは揮発油税のときと同じように逃げようとしているのです。今回に限りそういうことはできないと言う。それは今日私鉄整備法でできぬというなら、なぜ私鉄整備法でできるように努力しないのです。運輸省が言うようになぜやらないのです。大蔵省は全然やる考えがないじゃないですか。どうです。私は鉄道だけのことを言っているのじゃない。全部の災害がそうなんです。どうでもこうでも息さえしておればそれでいいというのが、あなた方の考え方なんです。それは国の予算について私も無責任なことを言おうと思わない。その点については私は了解しているつもりです。人の台所も同じことです。やはりすべてのことについて限度がある。その責任を持っておるのが大蔵省であるとするならば、その立場は私はよくわかるのです。よくわかるけれども、今日のような状態において、それができないといってきめ込んでしまってやらないというのと一緒である。そういうことでは、こんな北陸なんかのちっぽけな会社はつぶれてしまいますよ。それでもいいのですか。交通機関が豪雪によってとまったために、間接災害として、中小企業から、農民から大へんな損害を受けておるじゃないですか。雪が降っても交通機関が正常に動いていれば、間接被害というものは非常に救われてくる。ところが、それがないからこうなっているのじゃないですか。こういうような災害のときには一日も早く——先ほども申したが、あなた方はその心理がわからぬのです。経営者にしても従業員にしても、とにかくそういう非常のときには経費なんか考えていないのですよ。むしろ経費どころの騒ぎじゃない。金どころの騒ぎじゃない。私も鉄道の従業員でしたから、現にやってきたのです。自分の生命を投げうってでも一刻も早くこの鉄道を開通したい、バスを開通したい、交通従業員というものはこういう精神でやっているのですよ。その精神がくんでもらえない。そして、どうにかこうにか動いていればもうあとはいいじゃないかというような、そんな無責任なことでは、そういうとうとい精神にこたえられますか。それらの諸点について一ぺん大蔵省の考えをはっきり言って下さい。
  200. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 今回の雪害によりまして私鉄等が相当長期にわたって交通が途絶したというために非常に大きないろいろの影響が出たことは、私ども重々承知しております。こうい事態を繰り返してはならないということも、その通りだと思います。従いまして、こういった問題について今後どういう措置をとっていくかということについては、運輸省の方でもいろいろお考えがあろうと思いますので、今後の措置、今後の方法についていろいろ御相談があれば、私どもの方もそのお考えについて十分協議して参りたいと思います。実は道路などにつきましても、午前中にも議論がございましたが、除雪災害的に見るかどうかという問題が非常に議論になっております。しかし問題は、豪雪の場合はもちろん、普通の場合においても、常時除雪を行なって復旧するということがむしろ根本的な問題でありますので、雪寒道路法の拡大とか、そういった問題で前向きに処置をしていくというようなことが道路の場合に言われておるわけであります。こういった鉄道関係のような問題につきましてどういった手があるか、私ども専門的なことはよくわかりませんけれども、そういう今後の措置としていろいろ考えていくということではなかろうかと思います。  当面の問題については、先ほどから申し上げておりますように、決してそういうものについてどうでもなれというようなことはしていないわけでございます。ただ従来とも、こういう災害対策というようなものについてはそれぞれ基準がございまして、それに当てはめて施策の運営が行なわれておるわけでございます。従いまして、この基準と申しますか、現在の状況に照らして非常に不合理であるというようなことがあればまた検討し直すという点も出て参ろうかと思いますけれども、そういうことで従来とも対処していたということであるならば、これに照らして措置をとっていくということが最も公平でかつ妥当な措置である、こういうふうに考えておるわけであります。
  201. 稻葉修

    稻葉委員長 山口君にちょっと申し上げますが、それから細田君にも申し上げますが、この問題についての委員会としての取り扱い方は、とにかく政府の答弁で満足すべきものは満足して、満足し得ないものは決議なり立法なりするという理事会の相談の結果やっているわけですから、どうしても委員会として希望するような答弁を得ようという努力をしてもむだなものはある程度で切り上げて、あとは委員会としての態度に留保しておいていただくという方向で進めていただきたいと存じます。
  202. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 ただいま委員長の御注意がありましたが、私もそのつもりでやっています。でありますが、細田委員の質問に対する答弁を聞いて、委員長の留守中に私はきわめて憤慨したのです。そういう態度なら、委員長がおっしゃるようにここでわれわれの力で立法してこれを行政府で実行してもらうという方法をとることもいいと思う。それにしても、やはり政府当局がどういう考えを持っておるか、私らはそういう強引なことをする前に——やろうと思えば、立法府ですから、やれます。けれども、そういうことではなくて、協調的にでき得るようにお互いにやってはどうか、こう思うから私は言っておるのであります。その態度をただしておるわけであります。ですから、その点で御了承願いたいと思います。  そこで、私はこの委員会の申し合わせなどもよく承知をしておるのでありますけれども、これは建設省にお尋ねするのがよいのかどうかわかりませんが、私鉄、バス会社など、民間会社が、自己の路線の客輸送をするということのために除雪をやった。もちろんそれは当然だといえば当然かもしれませんし、それは私鉄軌道の場合には私鉄の電車が通るということだけを目標にしたとしても、しかし結果的にはそうではない。自己の軌道内を除雪したために両側に雪の壁ができて、そこを一般の自動車が通る、トラックが通る、軌道設備はめちゃめちゃにこわれてしまう、こういう状態です。そうすれば軌道業者は復旧しなければならぬ、あるいはバスを通すために除雪をする。ところが、バスはダイヤによって一日に三回か五回通るだけである。あとはほとんど一般の用に供しておる。その除雪費を全部、私企業であるからお前らがやるべきだ、こういうことは、ちょっと話がわからぬと思うのです。こういう場合の補助などはどうなっておるのですか。これは建設省ですか、どこですか、一ぺんお聞きしておきたいと思います。
  203. 宮内潤一

    ○宮内説明員 現在の法律、それから閣議決定等もございます、これは全部道路管理者が除雪をするという場合にだけ補助をするという建前になっております。
  204. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それは私おかしいと思う。たとえば都電なら都電が走っておる。しかし全体の道路管理は都がやっておる。そこで都電の軌道を除雪して、都電がそこを走る。そうすると、そこを除雪したために両側に壁ができてしまって、ほかを通ることができないから、その軌道の上をどんどん他の車が通って、軌道はこわされるし、除雪費はかかる、そんなむちゃなことはないと思うが、どうなんですか。
  205. 宮内潤一

    ○宮内説明員 軌道法によりますと、軌道を走っている電車、これはやはり道路の上を走っておるわけです。その道路管理者というのは、そういう軌道の面積を含めた全道路の幅について除雪する、交通確保の責任を持っておるわけであります。従いまして、われわれの方としては、そういうものを対象にして補助金なり、あるいは広い意味では特別交付金を出す、こういったような財政措置を講じておるわけであります。
  206. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そうすると、伺いますが、その要した費用は、国からは道路管理者に出す。道路管理者がやらないから私企業で一生懸命やった、その費用道路管理者に請求してもいいわけですか。道路管理者がやったものとして支払っていいのですか、どうですか。
  207. 宮内潤一

    ○宮内説明員 道路管理者の方が私鉄の業者の方なり何なりに、お前のところの路線はあけなさい、頼むといったような場合には、県が何分の負担をするだろうと思います。しかし、業者の方が勝手にあけてしまったからといって、それじゃ実費を幾らか持つというようなことは、あとで何かの話し合いでやる場合は別として、法律的にはそういう制度は確立いたしておりません。
  208. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そこがいけないというのです。そういう冷たいことを言ってはだめですよ。さっき言ったように、一刻も早く自動車を通してあげたい、一刻も早く電車を通してあげたい、そのためにはどんな犠牲を払ってもいい、これが鉄道全従業員の精神でなかったら、いつまでたっても、あなたの言うようなことでは通りませんよ。ほっておきますよ。むしろ積極的に自発的にやったものに対してそれを弁償してやるということがいいんじゃないですか。なまけて、どうしてもあけて電車を通さなければいかぬのに、県から言ってくるまでほっておく、それが公共性を持つところの人間の言えることですか。
  209. 宮内潤一

    ○宮内説明員 除雪というものは、一定の距離また必要度に応じてやっていくわけでございます。従って、ある一部分、たとえば自分のところの営業に都合のいいところだけやったというのでは効果がないわけであります。従って、知事としては、全体の県内道路をどこからどこまでをまず開通なさい、それに対する協力体制はどうするか、これは運輸業者にお願いする場合もありましょうし、土建業者を使う場合もありましょうし、いろいろなものを動員して、必要に応じては自衛隊まで要請してやっているわけでございます。従って、そういう必要上、どうしても必要であるということからお願いした場合には、応分の負担をすることになろうと思うのでございますけれども、そこまで現在のところ国が関与するというところまではいっておりませんで、知事の方にまかせてある、こういうようにお話し申し上げておるわけであります。
  210. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そういうことではだめですよ。たとえそれが一キロあるところが五百メートルでも、部分的ですけれども、それでもやはりそこのところにまっすぐ道路があって、こっちからあっちへ電車が走って、五百メートルある、その五百メートルを除雪した。私はひどいことは言いませんけれども、それは営利会社がやるのですから、それを通るために利益も上がるのですから、利益目的なんだから——はっきり言ってこのごろは国鉄までが利益目的なんです。公共性も何もないのです。ですから、私は何も全部やれとは言わぬけれども、しかしそれによって、ある程度、千メートルのところが五百メートルは助かるのですから、それに対して一銭もみてやらないなんて、そんなべらぼうなことはどこにもありませんよ。どうなんです。それはできないのですか。できないなら、こっちは立法しますよ。
  211. 宮内潤一

    ○宮内説明員 現在の法律その他におきまして、国がそういうものについてめんどうをみてやるということはやれないことになっております。ただし、先ほど申しました通り、個々のケース・バイ・ケースで、県なり市町村なりが私鉄会社あるいは土建会社等とどういう話をしておりますか、実は実情をよく存じませんので、このくらいしかお答えができないわけであります。
  212. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 そういうような場合、これは総務長官、どうなりますか。なるほど、国の行政というものは、法律、規則によってやらなければならぬものですけれども、それにしたところで、いろいろな理由、解釈をつけてとんでもないことをやっておるのだから——こういうようなときには金に糸目をつけない、少しでも早くやれといって、本部長が行かれて非常に激励されて、みんな感激して、それなら何かみてもらえるのだろうと思ってどんどんやった。やったが、あとは知らないというのでは、どうにもならない。そんなものは運営でどういうふうにでもなる問題じゃないかと思いますが、そういう柔軟性はとれないのですか。
  213. 徳安實藏

    徳安政府委員 ちょっと中座していましたために前後のお話がよくわからないのですが、今のお話を承りまして、ごもっともな点もあると思います。今度の災害につきましては、しばしば申しておりますように、初めての大きな豪雪でありましたので、疑問をお持ちになるような点、また役所自身でも初めて遭遇した災害でありますために、各省、役所間でも見解等に相違のものもございまして、そこで私の方でできるだけそれを調整しまして、なめらかに進むように努力をいたしておるわけでありますが、こうした問題で少しばかりまだ未解決のものがございます。これは委員会等の御意見あるいは両党のいろいろな案等もちょうだいいたしまして、これと並行して、最後には委員会なりあるいは党で御決定になりますまでには私どもの力の態度もきめなくちゃならぬというような問題も相当あるわけでございます。私鉄関係等の問題につきましては、やはりこれも早く解決した方がいいと思いまして、大蔵省と運輸省との間に相当意見の食い違いもあるようでありますので、先般本部長に来ていただきまして、両方で話し合ってもらったわけでありますけれども、なかなか運輸省も強硬な主張でございますし、大蔵省は大蔵省としての立場から相当の開きがございますので、そこで私鉄の除雪問題等につきまして、わずか——わずかと言っては語弊がありますが、何か一億円ちょっとというようなお話があったものですから、そこで河野本部一長は、そのくらいな程度のものなら、運輸省自身が何とか私鉄の方へめんどうをみてあげられないか、ここでわざわざ法律でどうとかこうとかいうことでなくて、先は先として、今の問題は、そういうあたたかい気持でめんどうをみることによって解決がつかぬか、一つ話をしてくれないか、それじゃ話をしてみよう、こういうことだったのであります。しかし、運輸省の方でも、最高責任者ではありませんから、よろしゅうございますと言ってはっきりと承諾して帰ったわけではありません。それが多少あとに尾を引きまして、今後の研究課題にはなっておりますが、今申し上げましたような問題がほかにもございまして、政府としても、これまでの見解とこの豪雪に対する考え方とに、初めてのことでありますために、これはあたりまえなことではないかということでも、法律的に言うとひっかかることもできましたり、あるいは否定等にも困難を来たすというような問題がございまして、どうも常識的に政治家や私どもが考えるようには、事務的にはいかない面もございます。しかし、これは今申しましたように、この委員会の御意見あるいは各党の御意見もございますから、先ほど委員長のお話がございましたように、順次適当な時期に解決をしようというお考えのようでございますので、私どももそういうものをちょうだいしながら今政府内でも話し合いを詰めて、そうしてなるべく一本の姿に御協力できるようにしていきたいということで——未解決のものもあるわけです。中小企業関係等につきましても、なかなか通産省も譲られないし、あるいは大蔵省も譲られないということで、先般もとうとう話し合いがつきませんで、しばらく実情を見てさらに話をしようということで河野大臣も一応その日は留保した問題がございまして、すぐには割り切れないものもたくさんございますが、これは御意見を十分伺いまして、私どもはできるだけ善処するようにしますか、ここではっきり御答弁ができないものもございますから、しばらくお待ちを願いたいと思います。
  214. 稻葉修

    稻葉委員長 総務長官に申し上げますが、われわれの委員会の日程として、大体二十九日に委員会をやります。そこでただいまの問題、それから激甚法の中小企業の災害の問題等の答弁を留保されている点を二十九日までにできますか。そうでないと、自然休会みたいなことになってしまって、われわれの委員会は五月以降に延ばさなければならぬものは延ばすという点もたくさんあるわけです。そっちの方に入ってしまうのでしょうか。それとも、二十九日には、今言ったような点は本部において両名を調整されまして御答弁願える見込みになりましょうか。
  215. 徳安實藏

    徳安政府委員 これは簡単なものは、委員長あるいは理事の方とも御相談して、あるいは委員会の御意見を聞いて、この程度でとりあえずの処置はしましょうということはできるかもしれませんが、法律を改正するなんという問題になりましては、やはり政府の意見の統一もしなければなりませんから、あるいは法の改正というようなことにつきましては、やはり五月まで待っていただかなければならぬと思います。
  216. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 私は、委員長のさっきからのお話のように、与野党で一致している向きも相当あり、それを与党なら与党の方で、私の方は私の方で、おのおのの党の機関にかけて、そして一致すべき点を一致を早くして、大体明確になっている。ですから、これは政府の方でおやりになるか、こっちの方でやるか、そういう問題だと思うのです。しかし、これは私が言うように政府との間になるだけ意見を一致さしておかなければならぬ。そういうものを調整するためにわれわれの意見も十分聞いてもらわなければならぬ。だから言うのです。先ほど私言いましたけれども、大蔵省の査定しておる査定損害を大へんな違いがあるわけです。これは北陸三県だけですが、まだ兵庫県北部、鳥取、島根、それから九州——九州はあまり雪で途絶されたということはないけれども被害はあるようです。そういうものがあります。とにかく五十年以上、私の子供のときから知らぬ雪ですよ。ですから、北陸三県だけでも、五億何ぼとか一億何ぼとか言っているけれども、そんなことじゃないです。十三億二千四百九十八万三千円というものがこの北陸災害——十割水増しする、そんなでたらめなものは出しませんよ。削りに削る、それは責任のある者としては、査定に、水増しはないか、あるいは不当なことをやっておりはせぬか、それはいろいろ私は厳密にやってもらいたいと思う。しかし、厳密にやってもらいたいということと、削り飛ばして人を泣かすということとは話が違うのです。ですから私は、そういうめちゃな考えでやってもらっては困ると思うのです。この点は十分督励してもらいたい。  これは岡本局長にお伺いしますが、整備法の云々ということですけれども、これは今総務長官が言うように非常にむずかしいのですが、運輸省は、整備法か今実情に沿わないということは、大蔵省のさっきからの答弁でもおわかりだと思うのです。だから、これはもっと実情に沿うように改正をする要がありと私は思うのですけれども、そんな準備はしていませんか。
  217. 岡本悟

    岡本政府委員 先ほど来話が出ておりますように、昭和三十二年の島原鉄道の災害がございましたときに、私鉄に対して、大衆の足である公共機関であるから、これに対して災害復旧の道を開くべきだということで、当時私ちょうど民営鉄道部長をしておりまして、大蔵省といろいろ御協議申し上げまして、地方鉄道軌道整備法の一部を改正して災害復旧の道を開いたわけでございます。ただ問題は、異常な天然現象による災害というのはどういうのかということでいろいろ解釈の相違があったりしては困りますので、運用方針というものをきめたわけでございまして、そのときに、積雪のため運行休止をしたような場合にはこれを含まないことにするということにいたしたわけでございます。そこで今回の場合も、われわれといたしましては、この積雪のため運行を休止した場合というのは通常の積雪であるから、今回のような豪雪のような場合には、やはり異常な天然現象による災害と見るべきだということで、この運用方針を改めさしてもらいたいということを交渉して参ったわけでございます。この運用方針を改めれば、ある程度は今回の場合にも救済措置ができるのではないかというふうな考え方でございましたけれども、別に地方鉄道軌道整備法を改正するという必要は感じておらなかったわけでございます。しかし、なおいろいろ御意見も拝聴いたしましたので、今後十分検討してみたいと存じております。
  218. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 もう一点、これは大蔵省にお伺いします。総務長官でもけっこうです。私鉄といわず、北陸は大体中小企業が多いのですけれども、中小企業だけに限定しますまい。すべての企業に対して適切に融資措置をとられたことに対しては、私は非常にけっこうで感謝しております。ところが、この融資が短期、高利の金では、企業はその負担に耐えかねるものが非常に多いのです。そうなると、せっかくの好意が何にもならないのです。そう言われると、いや、中小企業には何年間のなにがありますからとかなんとか、法律をたてにとってはみな逃げておる。そんな不誠意なことではだめだと思う。私は、もっと進んで、この雪のために融資したものについては、長期、低金利の逓減方式で返済をするように処置をしてやらぬと、せっかくの好意が無になってしまうと思う。それは法律はあります、中小企業に対する法律というものはいろいろありますけれども、これも与野党一致した意見で、それは長期、低金利で融資をすべきだ、これはどなたも異論のないところだ。ところが、大蔵省のさっきからの答弁を見てみると、そんなものを考えてはせぬという考え方なのです。それでは困る。どうしてもおやりにならないというなら、まっ正面からいってもしようがない。われわれ立法府のなにで特別に立法せなければいかぬ。こういったように行政面でそういうことができないものか、できないとすれば、それに対処する対策を新たにお立てになるつもりか、その心がまえを一つ聞かしてもらいたい。親切があとではあだになってしまう、そんなことでは困る。どういう政府の考えですか。私はどうもさっきからの答弁に対して納得がいかない。これはどうです。
  219. 新保実生

    ○新保説明員 ただいまの御質問にお答えいたします前に、私鉄運輸業関係の融資問題につきまして、私がいないときに何か御質問があったようでございますから、それをまず最初にお答え申し上げます。  私鉄その他運輸業者に対する融資の問題は、建前といたしましては市中金融機関でやっていただくということで、大蔵省も特別に関係の市中銀行、金融機関に指示をいたしまして、先ほどおそらく数字的に御答弁申し上げたと思うのでございますが、三月十八日現在で申し込みが十一億二千万、それに対する貸し出しの決定が約十一億と、ほぼ申し込み額に近い融資決定額を見ておるわけでございます。これが建前でございますが、先般来国会の災害対策委員会における御要望等もございまして、私どもといたしましても、政府の関係金融機関においてできるだけのことはやはりやるべきではないかということで、関係の政府金融機関と相談をいたしまして、指示をいたしております。いろいろ業界の方からいただいておりますいろいろな数字なりあるいは御要望の項目、それ全体に対して全面的にこれに応ずるということはできないのでございますけれども、現在の政府関係金融機関でなし得る範囲のことはできるだけ好意的にやってあげるように、こういうふうな指示をいたしております。  そこで、若干具体的に申し上げますが、中小企業の範疇に入る方があるわけです。タクシー業者——陳情書にもいろいろそういう方も入っておられるようでございます。タクシー、ハイヤー業者、それからバスのもっと大きなものとか、いろいろあるわけでございますが、中小企業の関係でございますと、先生御承知のように、中小企業金融公庫というのがあるわけでございます。これは、定義といたしましては、資本金が現在のところ一千万以下、もしくは従業員が三百人以下ということでございまして、タクシー会社などであれば、相当部分はこれに入るのではないかというふうに考えております。  それから、もう一つ問題は私鉄の関係でございます。もっと大きな軌道とか、そういうのを持っておられるところ、これは中小企業の定義に該当しないわけでございますから、中小公庫からどうこうということは、法規上はできないわけです。しかし、これもちょっと先の話になりまして、どうなるかでございますが、別途政府の方で御提案申し上げておりまする中小企業の基本法というのがございまして、中小企業の限度、範囲を拡張することになっております。それによりますと、資本金は一応五千万でございますか、そういうふうになるわけでございますので、今のところ、市中金融機関からつなぎ的に融資を受けておるという方の一部は、そういう機会に、中小企業の範囲が拡大されれば、そこで救われる方も若干は出てくるのではないか、こういうふうに考えております。  ところで、先生も一番御心配になっておられるのは、私鉄の大きな——大きいと申しましても、その地方で大きいということで、程度問題でございますが、中小企業金融公庫法の対象にならない業者の方をどうするかという問題でございます。それは、一応政府の窓口としまして、もしやるとすれば、日本開発銀行あるいは北海道東北開発公庫というのがあるわけでございます。ところが、これはどういう資金に対しても応ずるという建前にはなっておらないわけでありまして、施設資金、別途、設備資金と申しますか、そういうものにつきましては一部やり得るのではないか。法律的な用語で申しますと、改修、設備の改修という言葉を使っておるのでございます。それは、その価値の増加を伴うものに限るこういうただし書きが入っておりますので、そういう条件に該当するものでございますれば、開発銀行あるいは北海道東北開発公庫といったようなところから融資し得る、こういうことになっておるのでございます。そこで、その改修というものに該当するものがどの程度あるかという問題でございますが、私どもも業界あるいは地方の方から一部そういった資料をちょうだいしておるわけでございます。そうしますと、私鉄の損害としては、収入減、それから第二の項目としては除雪費、第三の項目としては復旧費というのがあるわけでございますので、その復旧費の中には、改修に相当するものもあるのではないだろうか。その点で、開発銀行なり北海道東北開発公庫において、融資の対象となり得るものは大いに相談に乗って好意的に扱うように、こういう指示をいたしておるわけでございます。それが鉄道関係の問題でございます。  それから一般の問題でございます。一般の問題は、これも私おりませんで、通産省の方からお答え申し上げたのではないかと思うのでございますけれども、今回の雪害の特徴は、いわゆる直接被害、物的被害というものが少ない、そういったもので、この前関係各省と相談をいたしまして、激甚災害に該当する基準というのはどういうふうにするのかということで相談をいたしました、そのときにつくりました基準といたしましては、そういう物的直接被害というものを基準にして考えようじゃないか——そういう基準に当てはめた場合には、今回の分は、遺憾ながらちょっと該当しないわけなんでございます。ただし、それ以外の点では、できるだけ政府といたしましても現地のお困りの業者の方のごめんどうをみるという建前で、すでに貸し付けておって借金を返さなければならぬという場合でも、その期限を延ばしてあげるとか、あるいはお金をお貸しする場合にも、できるだけ期間を長くするというのが、借り受け人の立場からすればありがたいわけでございますので、そういうことを積極的にやるようにというような指示をいたしました。  それからさらにその資金のワクの問題でありますが、これも通産省からお答え申し上げたと思うのでございますが、必要なものはどんどん出していくというようなことをやっております。できるだけ現地の中小企業その他業者の方のお困りの点は政府の方でもごめんどうをみてあげるという建前でやっておるわでございます。
  220. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 非常に答弁としてはいい答弁だと思うのですけれども、現事にはいつ実施されるのですか。今融資しておるのは、先ほどの答弁では、市中銀行の短期融資だということですね。利子も普通利子だ。それじゃ豪雪対策をやっておるのかわからない。だから、まずそれを開発銀行に移行されるなら、肩がわりすると、開発銀行では返済方法はどういう礎前になっておるのですか。何年間でどうというような逓減方式でもとってお返しするのですか。そういうような措置でもできるのですか。この二つはどうでしょうか。
  221. 新保実生

    ○新保説明員 そういう措置をとるようにということはすでに指示をしておるわけでございます。お尋ねの点は、私鉄の問題に限っての御質問ではございませんてしょうか。——そういうふうに承ったわけでございますが、実はこの問題は、一月ほど前でございましたか、ちょっとはっきり覚えておりませんけれども、私鉄に対する融資ということで取り上げられましたので、そのときに私ども関係の者が集まりまして、できるだけそういうふうな便宜をはからうようにということをきめたわけでございます。ただし、現在の法律で参りますと、先ほど申し上げましたように、いわゆる大企業に対する設備資金のうちの改修に相当するものは開発銀行から出るわけであります。ところが、除雪費用として問題になっておる点は、これは遺憾ながら開発銀行からはちょっと手当をする道がないわけでございます。それを先ほど申し上げたわけでございます。ただし、中小企業に該当するものにつきましては、中小企業金融公庫なり、あるいは場合によりましては、タクシー業者などの場合は国民金融公庫の対象になり得るものもあると思います。そういうところでごめんどうをみておるわけであります。
  222. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 それではさっぱり私の質問に対する答弁になっていませんよ。私の言うのは、開発銀行なら開発銀行に肩がわりする、それなら、そういうふうにやって、そうしてその返済方法はどういうことなんだと、きわめてはっきり聞いているのです。それから、先ほど国民金融公庫か何かそんなところから貸すと言っていますけれども、それはあなた方の運営面でやれるのかどうか知らぬけれども、実際問題として現在それをやっていないのですよ。そんな十万や二十万、三十万のはした金を借りて、そんなもので何ができますか。それからもう一つは、除雪などは融資の対象にならないという、それなら一体何があるのです。
  223. 新保実生

    ○新保説明員 私の説明で言葉が足りない点がございましたが、今私鉄の関係の方あるいは運輸業者関係の方が御要望になっておられる全部について応じ得る体制にないということは、最初に申し上げたわけでございます。どの部分ができ、どの部分ができないかということを今まで御説明申し上げておるわけでございます。そこで、私鉄と、それからその他のタクシーとかハイヤーをやっておる零細な方と、二つ大きく分けられると思うのでございますが、タクシーとか何とかをやっておられる方は、国民公庫なり中小企業金融公庫の対象となり得る。これは設備資金も運転資金も——運転資金と申しましても、中小企業の場合は一年以上ということになります。そこで、もう一つの残された私鉄の問題でございますが、これは最初から申し上げておりますように、いわゆる除雪費用としていっておられる部分につきましては、これは現行法ではできないのでございます。除雪費用というのは、別な言い方をすれば運転資金になるわけでございまして、開発銀行が出し得るのは設備資金だけでございます。設備資金のうちの設備の改修でございますね、改修につきましてはこれがやり得る。いわゆる肩がわりという形ではなくて、その設備そのものを改修する、それによって設備の価値が高まる——増加すると法律には書いてありますが、そういう場合には開発銀行でやり得る。そこで、その返済方法とかなんとかいう問題は、これは法律事項ではございませんから、これはほかのいろいろな、どれだけで何年かかったら回収できるかというように計算で別途きめるわけでございます。それから貸し出しの期間は、設備資金で一年以上、一年以下のものはお貸しできないことになっておるわけであります。
  224. 細田吉藏

    ○細田委員 関連して。私はきょう午後の初めに御質問を申し上げましたが、この問題は、事務当局から幾ら承りましても、事務当局のお考えはわかっておりますので、本委員会で決議をしていただいて、それでその実行を政府に迫る、こういう基本的な考え方でございます。今の質疑応答で問題があいまいになっているようでございますから、もうおわかりになっている通りだと思いますけれども、問題の所在だけまとめてもう一ぺん申し上げてみたいと思うのです。  まず第一には、地方鉄道軌道に対する補助の問題でございます。これは現在の地方鉄道軌道整備法の適用を、運用方針を改めて、豪雪災害については考えてもらいたいというのが私どもの意見でございます。また、現行の地方鉄道軌道整備法では二割という限度がありますけれども、これを五割に上げてもらいたい、こういうことであります。これに対して政府側の意見はまあ大蔵省の御意見でございましょうが、大蔵省の御意見は、豪雪災害と認めない、こういう、ほかの点でも関連のある問題でございまして、これはいつまでたっても平行線でございます。豪雪災害でない、そのうち消えてしまうだろう、こういうことに立っておるのでございまして、これはほかの方にも関連のある点でございまして、もうはっきりしておるわけです。私どもは、異常なる豪雪災害と認めるべきである、こう信じておるわけでございまして、そこだけのことでございます。次に融資の問題でございますが、融資の問題につきましては、なるほど、今特金課長言われますように、中小企業金融公庫や国民金融公庫の対象になるものが出ておることは承知しておるわけです。そうでないものはどうかということになりますと、これは豪雪に限りません、災害で融資する方法は、特別な政府関係の融資は交通機関については方法がないわけなんです。特に除雪費というようなものにつきましては、これは全然方法がない。これはほかの業界にもいろいろ関係があるということが言われますけれども、交通機関という特殊なもの、特に豪雪の場合の交通機関は特別なものだと思う。交通機関が通る通らぬということは、他の全体の民生、産業に大きな影響を持っておる。これに対して長期低利の融資をするということがどこが悪いのか、私はよくわからない。私は一般論として、交通関係については長期低利の融資をすべきだという基本的な持論を持っておりますが、この問題は別にして、特に豪雪のような場合、とにかく長期低利の資金が借りられる、一生懸命であけようというふうに持っていくことがどこがおかしい。絶対そうすべきだ。これが間接被害をなくすための非常に重要な問題で、豪雪の場合の交通機関は特別なものではないかというふうに考える。なるほど、今の法規では、ありません。雪のためにこわれたところを直すというのは、あるいは開発銀行の地方開発のワクか何かで出せるかもしれませんが、そのほかについてはないわけです。ですから開発銀行が適当かどうかわかりませんが、何らかの方法で長期低利の融資の道を新しくあけるということがどこが悪いのか、わからぬ。これは考えるとおっしゃればよいわけです。方法その他についてはいろいろ考えましょうということなら、納得できるのですが、今は道はありません、こういう道はありますというだけでは、わからない。それが論点でございますから、これは考えなければならぬと思うから、今の法規ではどうにもならぬが、こういう際には何か特別な方法を講ずべきだ、政府としても今後研究したいという御答弁なら、御答弁願いますし、そうでなければ、もう御答弁は要りませんので、この点を明確にしておきたいと思います。
  225. 徳安實藏

    徳安政府委員 先ほど申し上げましたように、ほとんど大部分というものは片づきまして、わずか数点、こうした問題が今残っておるわけであります。決して何もしないわけではありません。相当やって各省で煮詰めまして、地元でも了解され、また各省間でも調整がつきまして、大体は片がつきかけておるのですが、今おっしゃるような点が両省相譲らざるものがありまして、政府の方でこうだといってはっきりなし得ないものがまだ二、三あるということでございます。この問題につきましては、事務当局から申しますと、やはり法律があるのですから、その法律でいけばこうだという説明以外にはできないと思いますが、いずれにいたしましても今の法律だけでは解決つかない問題もございますし、また、先ほど申し上げましたように、この豪雪というものは予期せざるものでありましたために、日にちがたって初めて悟ったものもありますから、そういう問題はやはり政治的に解決すべき問題もあると思います。日にちが非常にお急ぎのようでありますけれども、私どもの方も、こういう問題を未解決のままで、両者対立のままでほっておくというわけにも参らぬ問題でございますから、もちろんこれは政府でちゃんとけりをつけなければならぬ問題であります。ただ、きょうそれが全部けりがついていなかったということはまことに残念でございますが、そう長くかからぬうちに、本部長といたしましても各閣僚とも相談いたしまして、適当に御答弁できるような措置をきめるということについては、腹はきまっておるわけでありますから、もうしばらくこれは一つお待ちいただきたい。今未解決のものは、これは誠意をもって努力いたします。
  226. 山口丈太郎

    ○山口(丈)委員 今の御答弁で私は了承しますが、二十九日にでき得ればその未解決の重要部分について何らかの結論ができてここで答弁ができるように、委員長も要請されたと思いますが、一つ関係大臣もできる限り来て、自己の関係事案についてはこうしたという御答弁ができるようにお願いしたいと思います。
  227. 稻葉修

    稻葉委員長 西村力弥君。
  228. 西村力弥

    ○西村(力)委員 簡単に割当の分を消化したいと思うわけです。  金融課長にお尋ねしますが、この前の委員会で北海道東北開発公庫の償還延期、こういうことを私が提起しましたところ、あなたの方では、これは公庫と借受人との間において処置すべきだ、こういう答弁でございました。そういう答弁であっても、あなたの方では何らか指導的な処置というものをなされるだろう、こう思っておったのですが、大蔵省がやった経過の説明書にはこのことが出ていない、同様に、国民金融公庫あるいは商工中金、中小公庫、そういうものについても、償還延期の大蔵省としての指導というものがなかったように見受けられるのです。ここには載っていません。こういうことはうしろ向きのやり方でありますから、好ましくないことではあるかもしれませんけれども豪雪地帯において償還延期をしてもらうということは、非常に助かることであるわけです。一体こういう点については金融課長はどういう指導をなさったのか。ここに書いていないところを見ると、全然やっていない。この通りであるかどうか。
  229. 新保実生

    ○新保説明員 これは御指摘の通り、ちょっとその点は漏れておったのでございますが、これはやったのは事実でございまして、先生の御指摘が、おそらく私が直接伺いましたのが過去において二回ございました。最初に伺いましたときにも公庫に指示いたしておりますし、二回目のときには、正式に速記録にも載っておりますし、企画庁の方もおられましたので、あまり、何といいますか、何回かお答え申し上げたことでございますので、ちょっとその点漏れておりまして恐縮でございます。やっておることは事実でございます。
  230. 西村力弥

    ○西村(力)委員 漏れているならそれでけっこうですが、では、どれくらい延期という、そういう具体的な指示はしないで、あとはその点は判断にまかせる、こういう指示ですか。
  231. 新保実生

    ○新保説明員 金融機関に対する政府の監督のあり方でございますが、これは一般的な方針を示しまして、そして側々の案件につきましてはどうこうということは言わないのでございます。しかし、国会における非常に強い御要望がございましたので、そのことはそのつど伝えておるわけでございます。
  232. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に厚生省にお尋ねします。  この豪雪関係で生活保護に適用せざるを得ないという場合に当たる世帯というのはどれくらい、ふえておりますか。
  233. 渡海元三郎

    ○渡海政府委員 豪雪被害によりまして収入を失ない、生活世帯に転落すると申しますか、そういった世帯も相当出ておるのじゃないかと思いますので、運営の面におきましては、そういったものに対します適切なる指導を行なうように努めておりますが、今どれくらいの数であるかということに対しましては、私、局長に今も尋ねたのでございますが、まだ的確な数字というものを申し上げるような調査が行なわれておりませんので、後刻調査の上報告さしていただきたいと思います。
  234. 西村力弥

    ○西村(力)委員 こちらの方の資料によりますと、生活保護の世帯については、一時扶助の弾力的活用により排雪及び家廃修理に必要な経費について措置済みである、こうなっております。こちらの方の提示された書類によりますと、ちょっと内容が違うようです。何かやったようなことは書いてありますけれども、これで除雪関係は障害物の除去、かっこして、それに限るというような表現をしておる。それから生活保護法による手当、家屋修理費の中に除雪費を認める。家屋か何か破損をして修理をすれば、その中に含まれる除雪費は出るのだけれども、そのほかは出ない。家屋が破損しないときは除雪費というものは出ない、増額されない、こういうふうな表現になっておる。これの詳しい内容は一体どういう措置をせられたか。措置済みだというのですからね。
  235. 渡海元三郎

    ○渡海政府委員 御承知の通り、生活保護に対しましては、一定算定基準によりまして、毎月々々の保謹賀を、収入認定等と合わせまして差し引き交付しておるのでございますが、その中に、一時扶助といたしまして、家屋がめげた場合の補修費を出すという項目がございます。豪雪の場合には、家屋がめげた、そういったものはないのでございますが、家屋補修に一時扶助として出す、その規定を適用して、豪雪の場合に、障害除去とか、あるいは雪おろしというものをやってもよろしいということをやっておるのでございまして、家がめげたという場合でないと渡さぬというのではなしに、雪をのける費用家屋補修とみなして一時扶助をやる、そういう指導はいたしております。  なお、今の御質問によりまして、前の点は、生活保護家庭に新たに転落した数字というふうに聞いておりましたものでございますから、お答えしなかったのでございますが、今申しました家屋補修の概算の中に入れまして、雪の障害補助として、雪おろしのために要した一時扶助をやりました世帯数は、雪補助に対しましては、災害救助法の適用されております地域に対しましては、これは公費で現物で県が——実際は市町村がやったのでありますが、市町村が雪をのけてやる。これについては災害救助費で県へ補助金を渡すという形にして、現物給与でございます。災害救助法を適用されていないところは、実際に使いました費用を、金でもって一時扶助金でやるということにいたしております。災害救助法ではなくて金で救助いたしました世帯は、大体五千戸ほどでございます。なお、現物給与として災害救助で法的にこちらがやってやったというものは、概数は出ておりませんが、大体一万戸くらいではなかろうか、かように考えております。
  236. 西村力弥

    ○西村(力)委員 災害救助法の適用されていないところは五千戸ばかりで、それについては金をやられたというのですが、一戸平均どのくらいやられたのですか。
  237. 渡海元三郎

    ○渡海政府委員 大体家屋補修で出します限度というものを、一般の場合は一万円というふうに規定しておりますから、特に必要な場合は、県を通じて申請してその額をふやすという特別の場合も考えておりますが、そういった場合の事例は現存のところあまり見ておりません。大体そのワク内でいけたのではなかろうかと思いますが、大体五千戸に要した費用は千二百万円くらいと聞いておりますので、平均すると二千四、五百円くらいになるのではないかと思っております。
  238. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、初めから生活保護費の中に加わっている除雪費とプラスになってそれの上積みになって二千何百円いくら、こういうことになっているのですね。
  239. 渡海元三郎

    ○渡海政府委員 その通りでございます。
  240. 西村力弥

    ○西村(力)委員 わかりました。この点については、せっかく御努力でありますので、これでも足らぬと思いますけれども、そうそうも言えないのではないかという気もするわけなんです。  ところで、厚生省関係の場合に、雪上車というもので急病人とか、あるいは医者の派遣とかいうような場合に備えることが必要だということを私は申し上げておったのですが、この件に関しては、厚生省としては賛成だが、今まで積極的な動きは何もしないということでございますか。
  241. 渡海元三郎

    ○渡海政府委員 特に降雨期に対するところの伝染病予防というものにつきましては、救助班をつくって待機するという形にしておるのでございますが、今申されました雪上車とかなんとかというものは、各地区においてそれぞれあらゆる点をなにしておられると思います。なお、大野委員もおられますが、大野先生から御指摘がございました屎尿処理に対するくみ集め器ですか、あれに雪上車を使うという分につきましては、各会社にも照会しましたのですが、つくること自身が大体むずかしかったものですから、なんですが、将来のなにといたしまして、来年度行ないます起債等の中にも、適当なものができましたら、将来に備えて研究するように、今のところ各県に御研究方お願いしておるような状態でございます。
  242. 稻葉修

    稻葉委員長 西村力弥君に申し上げますが、ただいまのような問題は今明日に間に合わない問題で、これは五月以降の委員会に延ばすという理事会の申し合わせになっておりますから、そういう方向でお進め願いたい。本日答弁を求めるべきもの、二十九日に決議すべきもの、あるいは立法すべきものは五月以降に延ばすという与党の申し合わせに従って本日の委員会を開いておりますから、本日答弁を求むべき点だけについてお進め願いたい。あと文部省もあり、労働省もあるのです。
  243. 大野市郎

    大野(市)委員 関連してちょっと一言。今渡海政務次官の言われたバキューム・カーの雪上車というのじゃないのです。小型バキューム・カーを購入せしめるならば、そりの上に乗せることができる。そりの上に乗せる分をはずして、それを現実に使っておる地帯があるならば、こういう豪雪のときでもまだずいぶん助かっただろう、こういうことを申し上げたのでありまして、バキュームの雪上車ということではありませんから、この点は誤解のないように……。
  244. 稻葉修

    稻葉委員長 それから質問者に申し上げますが、総理府総務長官は、こうおそくなることを予定しておらなくて、何か所用があるそうですから、総務長官に対する分を早くやっていただきたい。
  245. 西村力弥

    ○西村(力)委員 では総務長官にお尋ねしますが、先ほど私が農林関係の審議の場合に申したのですが、果樹被害を受けた農家なんかに行ってみますと、虚脱状態になっておる。金を借りようという意欲も出てこない、こういう状態になっておるのです。それで、樹勢回復とか、あるいは新しい苗の補助とか、そういう補助というものは、前例もあって有効な資金の活用効果というものが出ないから、これはできいというのが大蔵省の考えですが、しかし、そういう状態に置かれている農民に奮起を求める刺激剤をこの際やはりやらなければ、ことに農民たちはこれからどうやって立ち上がっていくかということになるわけでありますから、そういう政治的な配慮をしなければいかぬじゃないか、そのために少しぐらいロスが出てもやむを得ないじゃないか、それは私たちがやはり判断してやらなければならぬじゃないか、こういうことを言ったのですが、事務当局としては、やはりそういうものは、会計検査院からの指摘もありますし、できないというような態度に終始されておるわけです。そういう点については、全体の立場からあなたも十分に念頭に置いてやってもらいたい。  それから今の雪上車の問題ですが、これは厚生省ならば、急病人が出たから医者を、雪の中で道はないけれども送る、あるいは急病人を運んでくるとか、文部省ならば、子供の通学道路をつけてやるとか、あるいは吹雪で行けないときには、雪上車で一部落の子供を乗っけて送ってやるとかあるでしょうし、農林省ならば、なま牛乳を開拓地から運んでくるということもできるでしょうし、各方面に雪上車は使えるのです。これはやはり豪雪地帯市町村にずっと整備するという方向をとるべきじゃないか。これは全体に関連があるから、あなたの方で考えてもらいたい、こういうことなんです。  第三点は、今まで農林関係のことで桑の木のことはあまり表面に出て参りませんでしたが、だんだんとこの被害の大きいことがわかってきておるのです。しかも、ことしは雪の期間が長いものですから、一定期間を過ぎると、桑の木が胴枯病で全部枯れてしまう。今もって頭の先も出ないような状態に置かれておるのですが、この桑の木もやはり果樹と同しように対策の対象として入れるべきじゃないか、こういう三点を特に申し上げておきたいと思う。お考えを一つ……。
  246. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいま御指摘になりましたような問題は、現在法律の上で救済し得るものもあり、またやっているものもあるかと思いますが、しかし、何しろ今回の豪雪であり、寒波というようなものも、いまだかつてみないような大きな被害でございますので、果樹その他に対しましても、これは対策本部が解散する前にこうした問題を取り上げて検討したい、かように考えております。
  247. 西村力弥

    ○西村(力)委員 事務的には、やはりこの補助金なんかを出して、それが有効に使われなかったという事例があるから、そういうことができない、そういうどうしたらいいかわからぬような、意欲の出ない農民を奮起させるという政治的判断に立つやり方というものを、やはりこの際最高頭脳というものは生み出さなければならぬと思う。重点はそこなんです。それは私たちもこれから考えますが、あなたもその点は十分におわかりのことと思いますので、これでやめておきます。  次に……。
  248. 稻葉修

    稻葉委員長 総理府総務長官が御退席のようでありますから、委員長から特に申し上げておきます。  先ほど農林関係足鹿覺君の質問がありまして、一ヵ月も前に要望しておったことについて、善処を約しながら、いまだ今日まで答弁ができないというようなありさまでございました。委員会としてはなはだ遺憾に思う。ほかの点でもありますけれども、特に農林省においてそういう傾向が著しいのでございますから、対策本部におかれては、今後の委員会において早急に責任を持って答弁ができるよう、御鞭撻、御戒告を願いたい。特にこの点を委員会を代表して副本部長たる総務長官に申し上げておきます。
  249. 徳安實藏

    徳安政府委員 よく本部長に伝えまして、善処したいと思います。
  250. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは、次に文部省ですが、学校の小災害の対策の問題であります。これは公立学校災害復旧法でも、十万円以上ですと三分の二の補助、あるいは激甚災害法ですと、一学校当たり十万円以上の災害の場合ですと、元利を交付税の中に算定する、元利補給するのと同じになっておりますが、小災害は、この前申し上げましたように、たとえ一学校災害が三万円、五万円であっても、一つ市町村の一カ所から出る財布の方からいうと、これは膨大な被害になるわけですから、そういう形の対策というものを考えるべきではないか、こういうことですが、この点については、文部省の方では何かこれが困難であるというようなことであるし、大蔵省の見解を見ましても、その点は困難であるということになっておりますが、これを一つ前進させる方法というものはないのか。市町村側から見ますと、学校ばかりではなく、役場もそうだし、公民館もそうだし、その他の社会福祉施設もそうだし、全部そこの雪の被害というのは一手に引き受けなければならぬ。それを集計すると相当の額になのですから、その市町村の持ち出しというものを何か阻止するという方法をとらなければならぬのですが、文部省が相手ですから、今学校の小災害に限定して言っておりますが、市町村としてはそういう広範な負担というものが出て参るわけですから、何らかの方法を考える必要がある。この点に関する今までの努力、今後の処置についての御見解を一つ示してもらいたい。
  251. 田中啓一

    田中(啓)政府委員 まことに仰せの通りでありまして、一件々々は数万円の災害でありましても、大きな村になりますれば数多い学校やら公民館やらということでありますから、相当の額になる。でありますから、これをやはり一括して補助金をつけるなり、あるいは少なくとも起債の対象にするなり、これはぜひ前向きで解決いたしたいものというように思うのでございます。ただ、文教関係以外にもそういうような性質のものがございましょうし、それらの解決はやはりどれもしたいものだと私は思うのであります。現行法のもとでやり得る程度は起債だけじゃないかと思うのでありますが、そういった点を、先ほど総務長官の総括的な——今回の豪雪による被害に対してなお問題点は残っており、それぞれ検討の上解決したい、こういうことでありますから、その中へ入れまして、前向きで解決の努力をいたしたいと思います。
  252. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは法律改正にいけば、いけない問題でもないわけであります。最低の解決としては、今次官のおっしゃったように、こういう市町村公共施設に対する負担というものは十分に起債で見る、こういうのが最低の解釈であると思うのです。この点に関して、自治省関係はいませんが、大蔵省関係に答弁される方はおりますか。
  253. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいま文部政務次官から答弁がございましたが、いわゆる小災害の問題につきましては、従来その起債を認めて処置をしていくいとちことになっております。起債は、普通大体二カ年度で見るということになっておりまして、初年度は起債額一〇〇%、次年度は七〇%を見ることになっておりますが、程度によりましては次年度も一〇〇%認めることがございます。こういうふうに起債を認めまして、その上で、その元利償還につきましては、普通地方交付税基準財政需要として算入をいたすという措置によりまして、これの償還財源を交付税上措置をするということにしておるわけでございます。その場合の算入の率といたしまして二八・五%ということになっておりますが、大体この方式でもって従来とも措置をいたしております。起債の額について従来若干問題があった点もあるようでありますが、こういう点については、なお今後円滑に参りますように、実施にあたりまして文部当局の方とも御相談しながら措置して参りたいと思います。
  254. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今のような小災害を集積してその金額でやっていくというようなことについては、われわれも委員会において対処すべきは対処する、こういう工合に持っていきたいと思う。  次に、労働省であります。労働省に関しては、失業保険の関係は先ほど問題になったようでありますので、私が一つ提案をしました労働金庫に対する政府資金の預託の問題であります。田村次官は大へん張り切った御答弁のようであったと記憶しておりますがやはりなかなか困難であると思うのです。しかし、やはりこの労金を利用する諸君も、この豪雪には相当の負担をしておるわけなんです。収入は減るし、また雪おろし、あるいは家屋の修理、そういうことで相当負担をしておるわけですから、これに低利の金を貸すという労働金庫のそもそもというものを円滑ならしめることのためには、やはり政府資金の預託という方向をとらなければどうにもならぬと私は思っておるわけなんです。この回答書によりますると、労金の中央会が百十億円の余裕金を持っているから、それを回せばよろしい。それは金回りの点ではその通りでありますけれども、それを回したって低利にはならないということがあるわけなのでありまして、この点についてどうでしょうか。一つ労働省の努力の結果なお一段と打開に進む道はないのか。
  255. 田村元

    ○田村政府委員 先日西村委員から、特にこの問題に関して非常な御熱意あふれた御質問なり御要望があったわけでございます。そこで事務当局に対して、前向きで大いに検討しろと強く命じておいたのでございますが、結局、政府資金を市中銀行たる労働金庫に導入するということは、資金運用部資金法の第七条でございますかに抵触をして、これは事実不可能でありますから、しいてやるとすれば、これを改正でもしなければならないということに相なるわけでございます。それは労働省の所管外でございます。そこで、約百十億に近い——私は百六億と記憶しておりますが、労働金庫の連合会に金があるわけです。ところが、そのうち百四億がコール・ローンで回されておるという工合で、まあ使えばそういう金も相当多額持っておる。ところが、今西村さんは、そういう方法がかりにあるとしても、低金利でこれをまかなうことはできぬのじゃないかというお話でございましたが、これはあるいは私の思い違いかもしれませんけれども、私が調べましたところによりますと、信用金庫の連合会というものがございまして、これが災害のときに各信用金庫から預金を吸い上げて、それを採算を度外視して長期低利で貸したことがあるように、私は以前の災害かなんかでふとそういう記憶を持っておるのでございます。そういうふうにすれば労働金庫の場合可能ではなかろうか。ただ問題は、もう一歩進めて考えてみると、労働金庫に加入しておる、労働金庫の金を借り得る立場にある人々は、相当な会社の従業員である。ですから、会社自体、企業自体も災害対策をいろんな面でやっておるだろう。しかしながら、俗にいわれておる五人未満のという、例の零細企業の場合は、労働金庫の金すら借りられないような人が多いのではなかろうか。そういう面で、事務当局にもっと深く研究しろ、それから大蔵省に相談をかけて何とかいい知恵をしぼり出せと言って、今日なお督励をいたしておるような次第でございます。さような次第でございますので、先般御質問なり御要望なりがあって、きょうまだ具体的なそういう面でのお答えができないことを残念に思いますけれども、いろいろな便法がないだろうか、もし便法があるとすればどのようにすべきであるか、私は労働省の役人に、とにかく大蔵省に頼むとかなんとかということでなしに、相談をかけてこい、そうしてねばるだけねばってこい、かように申しておるような次第でございます。
  256. 西村力弥

    ○西村(力)委員 政府資金を出せないということでありますけれども、これは一昨年でしたか、年末に労働金庫に年末金融として政府資金を預託しておるんです。だから、できないというようなことはうそだろうと思うのです。それから一つ方法としては、国庫資金はできないけれども府県は預託しておる、だから、府県が預託しておる、あるいは追加預託する分を府県に融資するという方法は、一つ方法として考えられる。府県の資金として預託する、こういう方法は考えられると思う。その府県が預託する金を国が県に対して手当をしてやる、こういう方法はとれないわけでもない、こう思うわけなんですが、どうですか。
  257. 田村元

    ○田村政府委員 今の西村さんの、年末融資で国が実際に労金に預託しているじゃないかというお話ですが、これはちょっと誤りがありまして、後段のあなたの意見のようになっているわけなんです。つまり、府県に何らかの方法で流して、それが府県によって労金の方に流れたというようなことで、直接政府がこれを預託したということはございません。これは違法行為であります。  そこで今のような問題でございますが、私もこういう点を実は探り当てたわけであります。何とか検討しろといってやかましく言っておりますので、おそらく私どもの担当官と大蔵省の宮崎君あたりとが、十分練っているだろうと思います。宮崎君は災害の主でございまして、非常に人情味豊かでございますから、そういう点で何らかいい答えが出るであろうと私は期待をいたしているような次第でございますけれども、今のところまだ結論を出しておらないような状態でございます。
  258. 稻葉修

    稻葉委員長 本日はこの程度にいたし、次会は、明後二十九日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することにいたしますが、委員会質疑応答等を円滑に進行するために、委員各位で理事でない方も、理事会に御出席の上、理事会の申し合わせをよく納得して委員会にお入り願うように切に希望いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十三分散会