運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1963-03-02 第43回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二日(土曜日)     午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 秋山 利恭君 理事 細田 吉藏君    理事 岡本 隆一君 理事 角屋堅次郎君    理事 佐野 憲治君       小沢 辰男君    大野 市郎君       倉成  正君    小島 徹三君       谷垣 專一君    前田 義雄君       松田 鐵藏君    柳谷清三郎君       石山 權作君    稻村 隆一君       五島 虎雄君    田口 誠治君       堂森 芳夫君    西村 力弥君       三宅 正一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       上林 忠次君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    加藤 悌次君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君         気象庁長官   和達 清夫君         労働政務次官  田村  元君         労働事務官         (大臣官房長) 松永 正男君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      大島  靖君         労働事務官         (職業安定局         長)      三治 重信君         自治政務次官  藤田 義光君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      玉置 康雄君         大蔵事務官         (主計官)   船後 正道君         大蔵事務官         (主計官)   田代 一正君         大蔵事務官         (主計官)   熊田淳一郎君         大蔵事務官         (主計官)   松川 道哉君         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    新保 実生君         通商産業技官         (大臣官房総務         課技術主任)  加藤 博男君         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  佐藤 光夫君         郵政事務官         (大臣官房秘書         課長)     浅見 喜作君         労働事務官         (大蔵官房労働         統計調査部参事         官)      不和 寛昭君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      松島 五郎君         日本国有鉄道常         務理事     滝山  養君     ————————————— 三月二日  委員首藤新八君辞任につき、その補欠として小  島徹三君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(豪雪による災害対策等)      ————◇—————
  2. 稻葉修

    稻葉委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  災害対策に関し質疑の通告がありますので、順次これを許します。細田吉藏君。
  3. 細田吉藏

    細田委員 先般来数次にわたりまして、当災害対策特別委員会は、政府非常対策本部以下各省懇談の形をもちまして、各般問題点につきまして問題をしぼって参ったのでございますが、本日は、自治省関係につきまして、すでに政府当局にも要望なり当委員会問題点として各般項目を差し上げてございますので、初めにこれら諸点につきまして、自治省当局より御説明をお願いいたします。
  4. 藤田義光

    藤田政府委員 それでは、ここに御質問の要綱が出ておりますので、簡単に御答弁申し上げます。  まず第一の、被災者に対する租税減免徴収猶予等措置並びに地方税の減収に対する補てん措置。この点に関しましては、去る一月三十一日、税務局長名で、とりあえず徴収を二月末まで延期するような通達全国自治体に対して出しております。とともに、昭和二十八年十二月三十一日付事務次官通達もあわせて参考として自治体に再通達いたしまして、激甚災に対する租税徴収猶予等に関して措置をいたしておりますが、所得税確定申告については、その期限を延長する必要があるかどうかは、国税の態度が決定次第国税に準じて取り扱いをいたす方針でございます。  減免措置に関しなしては現在検討中でございます。  第二番目の、市中金融機関による融資円滑化は、自治省所管外でございますので、関係省から答弁することといたします。  次の、同定資産税平均価格における寒冷、積雲、凍害等補正率引き上げ措置。この点に関しましては、積雪地固定資産についてその実態に即した評価をなし得るよう、評価基準を改定する際に中央固定資産評価審議会の意見を十分しんしゃくしてきめたいと思いますが、御案内の通り固定資産の再評価を明年の一月一日から行ないますので、現在自治省におきましては、税務当局で明年一月一日に開始する固定資産の再評価に備えた諸般の準備をいたしておりますから、この準備段階において、十分一つ今回の豪雪災害に対する固定資産評価の問題も加えて検対したいと考えております。  その次の、普通交付税の繰り上げ交付及びつなぎ資金融資措置。これはすでに新聞等でも御存じの通り普通交付税の繰り上げ交付は、二月四日及び二月十五日の二回にわたりまして、合計二十九億円を関係十四府県交付いたしております。つなぎ融資は、今回は自治省としてはタッチしておりません。これは大蔵省で実施いたしております。  次に、豪雪害における特別財政需要額に対する特別交付税増額交付。これはすでに一昨日確定をいたしましたが、今回の特別交付税三百十五億円の配分にあたりましては、豪雪地帯中心に、第二番目には産炭地考えまして、思い切った傾斜配分をやったつもりであります。従いまして、北陸四県、あるいは岐阜、京都その他の豪雪地帯には、従来に見ない相当思い切った額の特別交付税を支給したはずでございます。  最後の、地方交付税積雪度補正に関する措置につきましては、松島参事官から御答弁させていただきます。
  5. 松島五郎

    松島説明員 地方交付税積雪度補正につきましては、従来からいろいろ検討を進めてきたのでございます。昭和三十五年から六年にかけました雪害等の事情も勘案いたしまして、昭和三十七年には相当大幅な積雪度補正引き上げをやってきたのでございます。すなわち、昭和三十六年度においては積雪度補正関係普通交付税で約十四億円でございましたが、昭和三十七年度は二十五億円と倍に近い十一億円の増額をはかって参っておる次第でございます。
  6. 藤田義光

    藤田政府委員 それから、誤解があるといけませんので補足して御説明申し上げておきますが、豪雪地帯に対する特別交付税ワクでございます。昭和三十八年度に繰り越す予定でございました交付税の百二十二億円の中から二十二億円を今回の豪雪対策特別交付税に入れるとともに、当初配分を予定しました二百九十三億円の特別交付税ワクの中からさらに十五億円をとりまして、繰越金を流用した二十二億と十五億円を加えた三十七億円を豪雪地帯に重点配分いたしておることを御了承願いたいと思います。
  7. 細田吉藏

    細田委員 豪雪地帯固定資産税の問題でございますが、ただいま藤田次官から御説明がございましたように、明年の一月一日を期して再評価をされるとのこと、大へんけっこうだと思います。この評価審議会に諮問をしておられると思うのでございますが、豪雪というものを考慮した評価をしなければならぬと思うのですが、これには、事務当局といいましょうか、自治省当局から相当資料をお出しになっておるのではないかと思うのでございますが、こういう点についての事務当局としての準備はどういうふうになっておるのでございましょうか。前々から豪雪地帯固定資産評価についてはいろいろ問題があるわけでございまして、これについては十分調査研究をして、資料としていろいろお出しになっておると思うのです。あまりこまかいところは要りませんけれども、大体どういうふうにして調査をしたり、あるいは検討して、評価審議会の方へお出しになっておるのか、そういう点についてお答えをいただきたいと思います。
  8. 藤田義光

    藤田政府委員 御指摘中央固定資産評価審議会は、まだ二回開会した程度でございまして、本格的な審議はこれからでございます。従来自治省におきましては、交付税算定基準として、基準財政需要額の中に常時降雪地帯に対しましては一般交付税を特別計上いたしておりますが、そのような資料も、過去長年にわたる気象台その他の資料も持っておりますし、また、今回の豪雪地帯におきまして災害基本法に基づく地域指定が行なわれておりますが、この新しい今回の豪雪地帯地域指定等も勘案いたしまして、なるべく正確な新しい資料に基づいて中央固定資産評価審議会審議が地元の実情に即した審議をするように、一つ完璧な資料を提出して参りたい、こういうように考えております。
  9. 稻葉修

  10. 前田義雄

    前田(義)委員 実は私、建設省関係のときには欠席しておりましたので、どういう御答弁があったか知りませんが、融雪期除雪による路面損傷については、過般の懇談会の席におきまして、われわれといたしましては補助制度検討していただきたいということを強く要請いたしたのでありますが、大蔵省だったと思いますけれども、これらは特交措置をするつもりだというようなお話があったのであります。なお、都道府県議会豪雪災害対策協議会等におきましては、この問題については災害復旧事業債増額配付する、特に融雪除雪による損傷路面復旧及び補修費に対しては特別起債を認め、その元利を国庫で補給することというような要請も受けておるわけであります。  先ほど、特交につきましては三十七億決定をいただいて、すでに配分指示があったようでありまするが、こういうような問題、融雪時におけるところの損傷路面復旧というようなものもそういう点が考慮の中に入っているのかどうかということ、及びこの豪雪地帯都道府県におきましての要請であります特別起債、こういうようなことについて、自治省としてどのようにお考えになっているか。
  11. 藤田義光

    藤田政府委員 私も雪害調査団長現地を見ましたが、御指摘通り路面災害、これは実に言語に絶するものがあります。特に、前田委員出身地である岐阜県の郡上郡等は、ほとんど降雪前の路面の原形をとどめぬほど深刻な路面災害を受けておる。この問題に関しましては、東京に帰りまして、臨時災害対策本部会議の席上でも真剣に討議されたところでございます。また、二月五日には、自治省の方から関係各省要望事項通達いたしておりますが、その中にも、路面災害路面損傷ということを一つの大きい項目に取り上げて建設省の善処を要望しておるという実績もございます。ただ、この問題に関しましては、事務的にいろいろ非常にむずかしい問題もありますので、現在事務当局検討中でございますが、詳細は松畠参事官から御答弁させていただきます。
  12. 松島五郎

    松島説明員 特別交付税配分にあたりまして、除雪後の路面復旧の問題を考えたかどうかというお尋ねでございますが、各県からいろいろ御要望はございますが、現段階においては、一部の府県を除きましては、砂利を入れるにいたしましても、その砂利をとる川自体が雪に埋まっていて、早急に砂利を入れることができないというようなことでもあるようでございまして、はたしてどの程度経費が必要であるかということがなかなか把握できない状態でございます。そこで、特別交付税配分にあたりましては、主として道路除雪関係、あるいは建物除雪関係中心といたしまして経費算定をいたしたのでございますが、その他なかなか捕捉できない経費がいろいろかかっておるという実情も勘案いたしまして、一定割合でその除雪費加算をいたしまして、特別交付税配分をいたしております。従いまして、僅少な程度補修でございますならば、その中である程度やていただけるのではないかとも考えられますけれども、相当広い範囲にわたり、かつ相当ひどい補修を必要とするような向きにつきましては、これは別途また考慮をいたさなければならないと考えるのであります。  その場合に、どういう方法でいくかという問題でございますけれども、これはいわば一般修繕費的なものでございますので、この取り扱いがなかなかむずかしいものがあろうと考えております。  ただいま、元利補給つき起債でというお話もございましたけれども、激甚法がかりに適用になりました場合においても、こういった路面補修程度のものがいわゆる災害復旧に属するかどうかという問題もございますので、激甚法適用になったら直ちに路面補修について元利補給づきの起債が可能であるかどうかという問題は、なお疑問が若干残ろうかと思います。もちろん中には、路面そのものなだれ等によって崩壊をしてしまったというようなものの復旧は、これは災害復旧の中に入ると思いますけれども、単に路面だけが損傷したという程度のものでございますと、災害復旧としての取り扱いにもなお問題が残ろうと思います。  いずれにいたしましても、現段階におきましては、どの程度であるかということがなかなか捕捉できがたい状態でございますので、ある程度事態が明らかになりました際には、これは何らかの方法対策を講ずるということについて検討いたして参りたい、かように考えております。
  13. 前田義雄

    前田(義)委員 ただいま、特交については除雪にどれだけか加算をして配分をしたというようなお話もあり、また特別起債についてもお話しいただいたのでございますが、さらに現段階においては状態が把握しがたいとして、これがはっきりすればある程度対策を講じたいというような御意向のようでございます。特にこの際申し上げておきたいと考えますのは、懇談会を通じて考えられることは、豪雪対策についていろいろな方法対策として示されておるわけでありまするが、その中で特に不明確な問題についてはすぐに特交処理をせよ、処理をいたします、とこういうようなことがすぐ出てくるわけであります。一体特交というのは無尽蔵にワクがあるのではないのでありまするから、おそらくそういうことによって自治省の方では特交にしわ寄せせられて、そうして自治省自体も困られるでありましょうが、われわれといたしましても、被災地といたしましては、そのようなことで了承するわけにいかないわけであります。  この際一つ、こういう問題については自治省としても十分に御検討下さいまして、そうして大蔵省との折衝におきましても、あるいは建設省関係におきましても、十分な配慮の上にこの問題の処理に当たっていただきたいことを申し添えまして、私の質問を終わります。
  14. 細田吉藏

    細田委員 特交の問題、除雪費の問題に関連して、私、考え方を承りたいのであります。  これは、実は運輸交通関係のときにも私は質問したいと思っておったのですが、道路除雪につきまして、バス業者を初めといたしまして、自動車業者というものが、かなり、何と言いましょうか、身銭を切って除雪をやっておるのであります。運輸省の先般の懇談会における報告によりますと、除雪費に各地合わせまして約三十九億と言っているのです。この額は私は少し大き過ぎるのではないかというふうには思っておりますけれども、現実にはバス業者あたりは、自衛上も待っておれないから、会社経費出してある程度除雪をする。また地方庁からも要望があるということで、実際問題として除雪をやっていると思うのです。  ところが、これにつきましては、筋といたしましては、たとえば県が除雪すべきところであれば、今回の特交あたりからある程度とにかくめんどうを見るというのが建前ではなかろうかと思っております。ところが、実際問題とすると、なかなかこれはむずかしいことのようでございまして、事実はサービスということになっている例が多いのじゃないかと思うのでございます。また、各自動車会社というものは、除雪費というものはある程度経常的に計上いたしておりまして、そういうものが、通常の場合でございますと運賃その他にも考慮されていると思うのです。ただ、今年のような異常な場合におきましては、これはどこかで考えてやらなければそれだけのものは特別な赤字になって出てくる、こういうことになると思うのです。  そこで、こういう自動車会社というもの、特にバス会社ですが、今年度のような場合にはどういうふうにめんどうを見得るだろうか。これは融資等大きな問題はあると思うのでございますが、これは別途やることにいたしまして 本来地方公共団体があけるべき、あるいは道路管理者があけるべき道でございます。こういう点の関係についてどういうふうにお考えになっておるか、自治省のお考え方をお聞かせ願いたい。
  15. 藤田義光

    藤田政府委員 実はその問題に関しましては、私も再三現地私鉄関係あるいは個人経営バス会社等の方から要望を聞いたのでございます。原則といたしましては、私鉄あるいは会社経営バス除雪費特交という姿でめんどうを見るわけにはいかないことは事実でございます。実際問題といたしましては、府県あるいは市町村が、私鉄またはバス軌道路面確保のために一体となってやっておりまして、どの限度まで特別交付税除雪費でやったかということを見分けることは困難な実情でございますが、ある程度受益者負担は当然でございますけれども、今回のような豪雪におきましては、御指摘通り、これは非常に大きい研究題目になってきたわけでございます。ただ、補助金等の名目で除雪費を出すということになりますと、現在の運輸省関係の法令の建前上、株式配当の制限を受けるというような矛盾した規定もあるようでございますし、運輸当局とも相談いたしまして、自治体等からも質問が一、二来ているようでありますから、一つ十分検討して、現実に合ったような解決をいたしたいと考えております。今回の特別交付税配分にあたりましては、特に私鉄あるいは会社経営バス等除雪に要した経費として支出はいたしておりません。
  16. 細田吉藏

    細田委員 今の次官お答え、実は鉄道バスの走っている一般道路と、話が違うのです。鉄道の問題につきましては、これは別途考えなければいかぬ点があろうかと思う。ただ、一般道路、これは本来からいうと、つまりその上を通るバス会社ならバス会社自動車業者除雪をやるべき性格のものでないわけであります。地方鉄道の場合は非常に問題がございます。国有鉄道などの場合も、これは国有鉄道責任においてやっておるのであります。市電のように路面の上を鉄道が走っている、軌道が走っているのですから、これはまた問題がもう少し複雑になって参ると思うのですが、一般道路、たとえば国道、これは重要なバス路線なんです。そういうところをバス会社除雪をする。これはもちろん金の問題などとやかく言うような事態ではございませんから、今お話がございましたように、全力をあげて、だれでも、とにかくやれるものがやる。当然やらなければならぬ、なすべきことたと思うのでございますが、ただ、もともと経費的に見ましては、道路上の除雪をしなければならぬという責任はないという性格のものではなかろうかというふうに思います。この点、御検討いただくそうでございますが、さらに一つ御研究いただきませんと、いろいろな点で会社側にしわ寄せをして、しっ放し、こういうことになるんじゃなかろうかと思うのであります。この点一つあらためて伺いたい。
  17. 松島五郎

    松島説明員 特別交付税算定いたします際に、ただいま御指摘のような問題、あるいは道路と申しましても、国道あり、県道あり、市町村道あり、いろいろ入り組んでいるわけでございますので、どこからどこまで国があけ、どこからどこまで県があけ、どこからどこまで市町村があけるかというような問題を明確にして、そこから先は県の道路でないからやらないんだとか、あるいは県道だから市町村はやらないんだというような実態にはなっていないようであります。従いまして、県道市町村が自分の町の中であけた、あるいは国道をあけたというような事例も相当ございます。  そこで、私の方といたしましては、一応区分といたしましては、県は国道県道市町村市町村道をあけるという前提に立って計算をいたしておりますが、その計算の根拠にいたしました除雪実績率というようなものは、その市町村現実にあけました道路実績をとって、それを市町村道除雪率に置き直して計算をいたしたのであります。  そういうような関係から申しまして、ただいまお話のございましたバス会社があけたとか、その他の方々があけたとかいう問題は、多少入り組みがあろうかと思いますけれども、一応県道については県、あるいは府県が管理しております国道については児、市町村道については市町村一定割合であけるのだ、こういうことで計算をいたしておりますので、あとの問題は結局、最終的ないわば精算の問題になるのではなかろうかと思うのであります。その場合に、適正な範囲における受益者負担というものはどれだけであるべきかという問題につきましては、現地実情もいろいろ異なろうと思いますので、私どもといたしましても、適正な処理をされますよう各府県市町村にもお願いをして参りたい、かように考えております。
  18. 稻葉修

    稻葉委員長 それでは、次は労働省関係に移ります。五島虎雄君。
  19. 五島虎雄

    五島委員 私は労働省関係についてのみ質問をいたして終わりたいと思います。  先日の打合会によっていろいろ問題点となった事柄が二項目ほどございます。問題は非常に少ないわけですから、これについて質問をいたしていきたいと思うのです。  今次豪雪に対するところの労働関係としての被害の状況、それからこれに対処するところの労働省考え方は、どのように対処される考え方であるかということであります。
  20. 三治重信

    三治政府委員 労働省といたしまして、今度の除雪にあたりまして、まず一つは、こういう大災害によって新しく失業者がどの程度出るであろうか、それに対する対策というのが一つ重要な問題であるわけでございます。  これにつきましては、一つは失対事業がございます。失対事業につきましては、豪雪のために既存の計画による作業ができない場合におきましては、除雪作業の方に作業計画を転換してもよろしい。しかも、それは事後承諾でもいい。従って、失対労務者についての作業は確保するように、こういうふうに処置をしております。現在それが順調に行なわれているというふうに考えております。  それからさらに、新しく、山間僻地と申しますか、交通の非常に不便なところにおきまして、炭焼きとか特殊な作業に当たっておられる方が、生業の道をこの積雪の間失うおそれがあるというところに対しまして、若干の特別ワクを、期限を切って措置してございます。  それから、非常に積雪の多い北陸三県並びに新潟県につきましては、特に調査団を派遣いたしまして、工場操業状況——それには二つの場合があるわけでございまして、工場豪雪にもかかわらず作業は続けられている、しかし通勤者が通勤できなくて、いわゆる出勤不能の場合と、出勤は可能だけれども、行く先の工場雪害のために休業をしている、この二つの場合を調査したわけでございます。いずれにいたしましても、現在のところまだ十分な調査とは申しませんが、できる限り調査団を派遣し、また県当局も督励していろいろ調査させました結果、大体において、その二つの場合における作業に就労できなかった者のうちでも約八五%は、賃金が、休業にもかかわらず保障されているというふうな結果がわかっております。あとの一五%程度につきましても、今後事業主との、また労働組合その他労働者側との話し合いでどういうふうに処理されますか、逐次報告がくることになっております。いずれにいたしましても、割合そういう、いわゆる労務者側について無措置状態になっているものは非常に少ない。その人数が現在約四千人程度というふうに判断しております。こういう災害による労務者側の損害につきましては、今後とも基準局ともよく連携をとりまして、万遺憾なきよう処置して参りたいと考えております。
  21. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、目下まだ調査中である、一生懸命調査したけれども、大体賃金不払いのところはないようだ、その賃金が大体保障されているところは八五%程度に達する、あとの二五%程度についても、なお措置するように指導するつもりだということは、三治局長の説明でわかるわけです。  しからば、これに対するところの、会社工場の休業したところは大体幾らの数に達しておるのか。あるいはそれに対して労働者が通勤不能、あるいは工場が休業して就業ができなかったというようなところが一体何カ所あって、何万人ぐらいに相当するのか、というようなことは調べてありますか。
  22. 三治重信

    三治政府委員 新潟県と北陸三県、鳥取、島根の合計で、事業所が一週間以上休業したところの被保険者数が約三万人でございます。で、最近の調査で、その休んだために、休んだあとの裏づけの保障がなかった人員が三千人でございます。それから、工場は操業しているけれども、本人の通勤が一週間以上にわたってできなかった被保険者数が約一万六百人。そのうちで、この調査時に、給与が本人の通勤不能でできなかったのが約千百人というふうなところでございます。合計、被保険者の該当者数が、事業所の休業と本人の出勤不能と両方で三万六百人、そのうちで、この調査時にまだ給与の保障措置がとられていないのが四千百人、こういうことでございます。
  23. 五島虎雄

    五島委員 今の調査は、新潟、北陸三県あるいは島根、鳥取のことが報告されました。しかし、今回の豪雪はそれだけではございません。そこで、労働者あるいは会社工場の休業というところは、調べられた数以上に達するものと判断しなければなりません。それからまた、新潟あたりの金物産地の三条市においては、二千数百の事業場が資材の入手不能、あるいは生産の不能。それに伴うところの労働者二万数千人以上が、どうにもならない状態になったというようなことを聞いておるわけであります。従って、調査対象がなお不十分ではないかというようにも推定されるわけです。なお該当者が、今発表された数字以上に出るであろうと私たちは判断しておる。  そこで、この問題については、昭和二十八年も、昭和三十四年災につきましても、今言われたような工場の休業あるいは交通不能によって就業ができなかった労働者に対する失業保険の特別措置、これに対して今回も同様にこれを実施いたしまして、労働者の生活を確保し保障する必要があるのではないか。あると私たちは考えるわけですけれども、政府は、労働省は、この問題について、今回の豪雪災害についてどのような措置をとられる考えであるか、質問いたします。
  24. 三治重信

    三治政府委員 この調査の結果が過小であるという御判断のようでございますが、われわれとしては最大の努力をしての資料考えております。当初、非常にショッキングな豪雪によって、非常に膨大な休業なり賃金未払いが出ると予想されて憂慮いたしましたが、その後政府の施策によって相当融資も回り、また事業所自身が金融機関とも連絡をとる、そういうことによって、県の今日までの報告では、この失業保険の特別措置をとっていただかないと労働者に非常な迷惑がかかるというふうな状況では、現段階においてはないという報告になっております。今後ともわれわれの方は実際の状況をよく注視しながら、検討して参りたいと考えております。
  25. 三宅正一

    ○三宅委員 ちょっと関連して。ただいまの調査数につきましては、なお一つ慎重に調べていただきたいと思いますが、数の問題を別にいたしまして、現状を申し上げますと、三条だとか、燕だとか、栃尾だとか、見附だとかいうような中小企業の地帯におきましては、実際上まだ賃金が休んだ者には払われないという事例は非常にたくさんありますので、私の方としては、どうしても一つこの前の災害の法律を適用するようにしていただかなければなりません。  さらに一つ考えてももらいたい点は、この点は、一体その法律を適用しても入るのかどうなのか、もう少し進んだ法律を立法する必要があるのかどうかという点について、私もその点非常にしろうとですから、お伺いしたいと思います。  一つは、たとえば、今問題になっておりますが、与板というところは、国道がなくて、道も通わない。それから、私鉄も通わない。そして、その与板という地方から三条、長岡、燕等へ通勤しておるのが非常に多い。二十日以上休んでおるという状態であります。二十日以上休んでおる者に対しまして、会社が普通の給料を払ってくれれば別に問題はない。しかし、会社も小さいから、よう払わないという場合には、何割しかもらわぬような勘定になる。そこへ臨時失対も適用してやらなければならぬ。これはもう当然のことだと思いますので、これはやっていただければなりません。  それとともに、一体、被保険者の中に社外工だとか臨時工だとかいうようなものは入っているのか、入っていないのか。一番困っているのはこれだから、かゆいところに手の描く施策をしてもらいたい。そういう諸君が今度は実際上働いているのですから、臨時にその被保険者の中に加えてでも、特に出してやるというようなことをしなければ、一番弱い層が一つゆ恩恵にあずからぬということになります。その点が根本の問題じゃないかと思うのであります。その点についての調査はどの程度やっておって、施策としてはどういうふうにしたらいいというふうに考えておられるのか。  それで、もし今の法律で足らぬということであれば、委員長にもお願いいたしまして、そういう点については特別立法でも何でも議員提案としてやらなければならない。やるについては、労働省の御意見等も承って、できれば政府提案で出してもらえれば一番いいし、行政措置でやれればなおよろしいし、もしくは、この前の災害のときに適用した法律を生かしさえすれば、それでできるならそれでよろしい。前の法律を生かしましても、被保険者になっておらない社外工とかなんとかいう者は、なっておればよろしいが、なっておらない者に対する恩恵をどうするか。現実にそこで働いておって、それで雪のために十日なり二十日なり休んだ。そうして、自分自体も非常に迷惑しておるというのに対しまして、労働省がようやらなければ、厚生省がやるということになりましょうけれども、本来働いておる雇用者ですから、労働省関係において、しかもできれば失業保険の関係の拡大的な適用においてこれを解決していただきたい。その辺のこまかいところを、もう少し具体的に一つお話を願いたい。
  26. 三治重信

    三治政府委員 今のお話の社外工、臨時工の問題ですが、失業保険の方につきましては、そういう雇用の形態によって被保険者を区別するということはございません。従って、臨時工でも六カ月以上継続して雇われている者につきましては、五人以上の事業所で適用事業所になっている場合におきましては、臨時工でも被保険者になっております。  社外工のお話ですが、社外工を雇っている事業主が社外工として五人以上別会社で雇って、そうして社外工としてほかの事業所に人を派遣したり、事業を請け負ってやっている場合においては、その五人以上の事業所の方が適用事業所になっておれば適用がある。これが現在の失業保険法でございます。  ただ、今度のいわゆる実態調査におきまして、社外工、臨時工で被保険者になっていない数がどれだけあるかということについての調査は、まだわかっておりません。こういう点につきましても、今後実態調査して善処して参りたいと思います。  しかし、原則的に、この前の伊勢湾台風にとりました失業保険の特例の臨時立法におきましても、この失業保険法の適用を現に受けておる事業所の労務者だけしか適用はございません。これは保険経済でございますので、災害のときに被保険者以外の者にも全部失業保険の方から処理できるということは、法制上不可能でございます。従来やっております特別措置におきましても、この被保険者を対象の臨時立法であったわけでございます。  それからなお、三条につきましては、市当局からの要請で、県と市との話し合いで、ここには臨時に失対ワクの拡大をして、県で市当局と話し合って善処する、こういう報告がきております。三条市につきましては、失対事業ワクを拡大して、そこでそういう市の要求を満足できるように県が処理するから、ということの報告を受けております。
  27. 三宅正一

    ○三宅委員 もう一つ。そうしますと、臨時工、社外工で、五人以上を使っておるところで、六ヵ月以上おれば当然失業保険の被保険者としては認める。従って、特例法さえ発動すればそこへは失業保険だけはいく、臨時に休んだのはいく。  そうしますと、そういう事業所におきましても、三ヵ月前から入った者とかなんとかいうものは、やはり適用されないんですね。これをどう拡大するかということが一つ。  それから、もう一つは、一番弱い五人以下の事業所において、事業者も弱いし、労務者の方も給料も低いし、弱いというところを、これは失業保険に入っておらぬから仕方がありませんといって、ほうっておく筋は私はないと思うのです。  こういうところについて、労働省として何かの案があるかないか。それは労働省だけでできないから、厚生省との関係においてやるというならば、これは非常な重大な問題だと思いますので、一つ委員長におかれましても、頭の中へ入れておかれまして、私どもも労働問題にはちょっと弱いですから、だんだん、くろうともおられると思いますので、これも一つ片づけてやっていただきたいと思います。何か一つ研究して下さい。数のことは別にして、あることは事実ですから、非常にたくさんありますから、どうぞ一つよろしくお願いをいたします。
  28. 小島徹三

    ○小島委員 関連して。五島君の質問に関連してお伺いしたいのですが、兵庫県におきましてはそういう例はございませんか。
  29. 三治重信

    三治政府委員 兵庫県には、直接こちらの方から調査員を派遣しておりませんが、兵庫県にはこれと同じような報告をするように通知してございます。今日までまだ報告はございません。
  30. 小島徹三

    ○小島委員 実は兵庫県におきましては、漁港が積雪のために漁業ができない。あるいはまたちくわなどの加工業者が材料を北海道から求めておったのが、雪のために北陸線が通らないので、北海道から来ない。たまたま来たやつは、もう何日もおくれてしまって、腐っておったというようなことで、実際上の問題として加工業者は相当やられておる。加工業者がたくさんあるわけです。それが約二カ月間ほどというものは、雪のために全く仕事ができなかったという状態があったはずなんですが、兵庫県はそういうものは報告しておりませんか。
  31. 三治重信

    三治政府委員 兵庫県からまだ報告が参っておりません。
  32. 五島虎雄

    五島委員 私は京都などにも見に行きましたけれども、奥丹後付近の織物業は仕事が全然できない。労働者も休ませておる。賃金の問題については保障されているのやらされてないのやら。業者は非常に困っていて、長期融資を何とかしなければやっていけない、事業場も閉鎖しなければならない、こういうような状態もあるということを見てきたわけです。  そこで、私がさいぜん言うように、今発表された調査資料は、非常に少ないのではないか。しかも、伊勢湾台風のときはこれらに該当するところの労働者が多かったから特別立法になった。ところが、今回はそれに比較して数が少ないから立法をしないというような考え方ならば、それは誤りではないかと私は指摘したいのです。ですから、労働者が少ない多いにかかわらず、災害によって起こったこれらの問題——これは労働問題だけではなくて、全般について政府考えなければならない問題ではなかろうかと思うにつけて、この労働者の対象人員が少ないから立法措置をする必要はないとかいうようなことでは、どうもならぬと私は思うがゆえに、特に質問をし、ただしておきたいと思っておるわけです。  ところが、今、三宅先生が質問されたように、五人以下の事業所の労働者、あるいはこれに該当しない労働者、それから日雇いの人たちは、直ちに失業対策事業ワクを拡大して、これを事後に、報告をしてもいいから、除雪等々に回すようにというように指示されたことは適切であろうと思うのですけれども、しかし、指示したからといって、直ちに失業の日雇いの労働者諸君が除雪の方に回っていくというような円滑なことはできない。しかも、日雇い労働者の連中みずからの家そのものが被害にかかっていて、いつつぶれるかわからないというような状態のとき、仕事には手がつかないとい」うような面もあろうと推測されるわけです。待期期間は通算三日ないし五日要る。そうすると、三日や五日休んでおればそれに対するところの手当は出ないし、かつまた日雇い失業保険も支給されない。こういうような状態であるならば、まことに気の毒ではなかろうかと思う。それらに対するところの対策は行政措置等々で——おととしの風水害のときは行政措置でやられたと思います。そうして、全国的に支障がなかったと私は判断をいたしておりますけれども、今回はそういう支障がなかったのか、あったのかということについて見解を求めてみたい。
  33. 三治重信

    三治政府委員 日雇い労務者につきまして現在職安で扱っておりまするのは、失対労務者と一般の民間への紹介の日雇い労務者と、二種類あるわけでございます。一般の民間への就労の日雇い労働者につきましては、むしろ引く手あまたで、除雪作業その他日雇いの賃金が非常に上がったために、若干労働は困難であったかもしれませんが、所得はむしろ相当ふえた。日雇い労務者のうちでも、そういう高い賃金の除雪作業にみずから出られた方も相当ございます。  それから、自分の家の除雪作業のために出頭できなかった、あるいはからだが虚弱なためにそういう除雪作業みたいな重作業には出られなかったというふうな場合におきましては、先ほども申し上げましたように、いち早く、事後承諾でいいから、失対労務者の就労については、事業計画を、従来のたとえば道路事業とかそういうものについては、除雪作業事業種目を切りかえて工事をやって、あとの事後承認でいいからという処置をしてございますから、この失対労務者については、県が、また事業主体が、作業生家雪のために中止して、あぶれたということは特別ございません。それは過去の経験にもかんがみて万遺憾なきを期している、こういうふうに考えております。
  34. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、先日の委員会で農林水産関係として質問された足鹿委員質問の中にも、農林漁業、あるいは山間の炭焼きの林業者、そういう人々はボーダー・ラインの生活をしている者が非常に多い、といっては語弊があるかもしれませんが、一体にそういう者が多いということを指摘されておりました。さいぜんの三治局長の説明によれば、そういう人々の出た地域においては、失業対策事業考慮するようにという指導だけであって、それを実施されたところはございませんか。  それからまた、日雇いの失業者の問題については、今後万遺憾なきように措置されることを望みます。
  35. 三治重信

    三治政府委員 先日の足鹿先生の御質問に対しましては、これは島根、山口、広島、鳥取、この点についての炭焼き関係の方たちについては、特別臨時に失対の処置をいたしまして、現在島根県その他からは感謝電報が来ておりまして、炭焼きの関係の方には処置してございます。
  36. 五島虎雄

    五島委員 感謝電報が来ているということですが、今言いましたことは万遺憾ないように処理してもらいたいと思うのです。  それから、さいぜんから三宅委員要望されておったように、この失業保険の特例立法措置政府はやる必要はないという見解でございますけれども、私たちは、この調査の数はもっともっと多くなるのではないかと推定しておる。ですから、特別立法の措置政府はやられますか、やられませんか。
  37. 三治重信

    三治政府委員 従来の特例の場合におきましても、災害救助法の適用地域に限られ、しかもそのうちの激甚災害地域というふうに、地域が非常にしぼられる。それから、実際に今後どういうふうに事業主が対処するかということも、その現場におきまして、事業主としてもやはり金融上の問題や、今後の原料の入手、出荷の見込みということによって、当面はその目標について.確信がなくて、相当大きなことに予想されるわけでございますが、逐次主要な交通も回復し、金融の道もつき、原料の入手、販売の方も逐次見通しがついてくるに従って、事業主としても相当善処されることとわれわれも思います。  なお、先ほど申し忘れましたのですが、適用事業主に対しましては、失業保険料の徴収延期、延滞金の免除というふうな、そういう緩和措置もいち早くとってございます。  従って、今までの二十八年災害、熊本の災害のときと、伊勢湾台風と、二回この臨時立法が適用されておりますが、それとの比較関係では、まだ少し実態とその推移を見てみたい。それで、府県とも十分連絡いたしまして、府県当局実情の把握や各業界との接触の状況から判断いたしますと、この臨時立法を至急してほしいという要望は今のところありません。しかし、われわれの方は絶対要らないのだということでなくして、現実処理でき得るように、また、どうしてもこれが必要な場合もあるいは予想して、現実の動きを逐次情報を集めて、万遺憾ないようにしていきたいというのが現在の考え方でございます。
  38. 五島虎雄

    五島委員 三治局長の説明の趣旨はわかりました。しかし、なお調査して万遺憾ないようにやるということになると、この災害に対するところの民生の安定はすみやかなることを要しますから、われわれも特別立法を議員立法で出したいと考えておる。政府もなおこの問題についてはすみやかに調査をして、やはり国民のこういうような問題については、数が多かろうと少なかろうと、民生安定のためにはいろいろの施策をすみやかに講ずる必要があろうと思います。だから、この問題について十分すみやかに検討をしていただきたいと思うのです。委員長一つ覚えておいて下さい。  それから、この豪雪対策の労働者の賃金の問題について、今、三治局長は、大した問題はないようだという報告ですけれども、事業場を閉鎖し、勤労者を就業せしめなかったことによって、賃金カット等をしている事業場はないか。あるいは、この前の懇談会の席上で、労働省説明によっても明らかになりましたように、この賃金を支給するか.保障するかというような問題で、年次有給休暇をこれに代替して、労働者が就業しなかったその日を年次有給休暇に切りかえてこれを解決しているというような事業場もあるということでございます。それが石川交通に一件ある。全国でそんなようなところがありはしないかと思うのです。年次有給休暇というのは、私が論ずるまでもなく、労働者が一年に八〇%以上の労働をしたとき初めて、翌年に六労働日以上二十日まで労働者の権利として休養せしめるということが趣旨である。にもかかわらず、こういうような重大な災害にあたって、労働者の責任でもないような災害で、その労働者の基本的権利の年次有給休暇をこれに代替するというようなことが、労使双方が合意に達したからこれを解消するのだということでなしに、災害のためにこういうことが解消されていいかどうかということです。労働者の権利として付与された年次有給休暇の解消の問題があるのですが、これについてその後調査されましたか。そして、労働省はこれにいかなる見解をお持ちですか。そういうようなことが今後災害のたびごとに、たとえば会社経営が非常に困難であるから、労働者に対して、お前たちの持っているところの年次有給休暇をこれに代替してくれというようなことがある。非常に経営が不都合な事業場におけるところの労働者も、やはり自分の職場というものはかわいいから、左前にならないように、そういうことについても賛成していかざるを得ないというような立場の労働者諸君も、全国的には非常に多いと思われる。この問題についてどういう見解を持ち、そしてどういうような指導をされるのかということが非常に疑問になりますから、特にこの賃金保障の問題について質問をいたしておきたいのです。
  39. 大島靖

    ○大島政府委員 ただいま先生御指摘の、たとえば通勤不能の労働者の休業に対する扱いを年次有給休暇でとるという問題につきましたは、たとえば新潟県では新潟交通でありますとか、福井県では福井乗合とかあるいは大野交通、こういったところでこういう形で措置したところもあると承知いたしております。労働基準法の三十九条によりますと、年次有給休暇の請求の時期は、労働者の自由にまかせられておるわけです。従って、使用者が労働者の意見も聞かないで、一方的にこれを年次有給休暇でその扱いにするというようなことは、法律上非常に問題があろうと思います。もちろん、ただいまの雪害を労使協力して乗り切っていこうというようなことで、労使が合意をいたしまして、その一部をこれに充当するというような場合は、実情に徴して別であろうと思いますが、労働者の意向を無視して、使用者が一方的にこれを有給休暇扱いにするということは、法律上非常に問題があると思うのでありまして、これはかねがね五島先生から私どもに御指摘をいただいておるところであります。先生の御趣旨のように、そういう労働者の不利になるようなことがないように、私どもも適切な指導を加えて参りたい、かように考えております。
  40. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、一方的取り扱いでやったのか、あるいは労使双方の合意でこの有給休暇をやったかということの、その調査はまだできていないのですか。  そうすると、その調査の結果をお知らせ願いたいということと、それから、基準法三十九条によるところの年次有給休暇の問題については、労使が合意に達すればいいのだというようなことに私も判断をするわけです。しかし、こういうような豪雪あるいは災害によって起こった就業不能の場合に、この年次有給休暇が労使合意に基づいて解消するということは違法でないと言われるわけですけれども、こういうことは、どこから起こってくるのかということは、あとで運輸省にも細田委員から、いろいろ鉄道軌道、あるいはバス豪雪に対するところの被害対策というような問題で質問になろうと思われます。そういうような事柄が起こること自体が、豪雪に対して経営者が窮余の一策として、こういった問題を労働者に対して要望される。たとい合意に達した場合ということを想定いたしましても、そういうことになる。そうすると、かねてわれわれが陳情を受けておるように、私鉄企業、あるいはバス企業、あるいはその他の多くの工場事業場において、豪雪のためにもう四苦八苦、やっていけないような状態であるから、こういうようなことをやる。企業者の労務対策として、必ずしも故意からそういうことを労働者に要望されたりなどはされないと思うのです。しかも、有給休暇を代替し、あるいは賃金を保障するからといって、月給者ならば特別休暇になりますから、何ら事業場には影響がないわけですね。そうすると、会社経営には一向に影響がないわけですね。それもほかの日に労働者を休ませたら企業に影響があるというようなこと、労働者は労働者の立場から、こういう豪雪災害、非常災害の場合において、やはり何とかして自分たちの職場を守っていこうとする。それは非常に事業が安定し、利潤が高まっておるならば、労働者もあえてこれに合意するというようなことはあるまいと私は想像する。そういうようなことがあるから、こういう問題が生ずるのではなかろうかと思う。だから、運輸省も来ておられると思うのですけれども、運輸省関係として私鉄鉄道軌道あるいはバスその他の問題についてもうんと配慮していただかなければならぬと思うのです。そこで、この問題はどういうような措置をされるのですか。たとえば、私はこの間石川交通だけを聞いておりますが、たった一社がこういうようなことをするということはおかしい、理屈が通らない。こういうようなことは、将来あり得べからざる問題である。ところが基準局長の話では、大野交通やあるいは新潟乗合とか福井交通とか、四社も五社もこういうことになっておる。それは経営内容が比較的——この豪雪のために収入が落ちた、あるいは被害が多かったというところにこれが出ておるわけです。そういうようなことは今後やはり労働省としては適正な指導が必要ではないかと思うのです。運輸省一体どういうようなことを考えられておりますか。労働省と、運輸省の方が来ておられれば、ちょっとこれについての見解を求めたいと思うのです。
  41. 大島靖

    ○大島政府委員 ただいま五島先生が御心配になり、また御指摘になる点は私どももよくわかるのであります。新潟交通の場合は、三日分を年次有給休暇として扱い、その他は七〇%の賃金補償をするというような労使の合意に達しておると私ども承知します。福井の場合は、四日をこします場合にこれを年次有給休暇として取り扱い、その他につきましては六〇%の賃金補償をする、こういうようなことで労使合意に達しておると思います。基準法によりますと、休業の場合、こういう天災地変の場合においては賃金補償、休業補償の基準法上の義務はないわけであります。ただ、こういう際でありますから、経営者としてはできるだけ払ってやりたい、こういう気持で措置をしておるのだろうと思います。従って、私ども承知いたしておりますものは、この年次有給休暇の問題と賃金補償の問題、この辺をいろいろ労使でお互いに研究し、納得し合って、こういう措置をとっておるのじゃないかと思います。今こういう際でございますので、私必ずしも法律解釈をどうこう申し上げるつもりはないのですが、方針といたしましては、先ほど私申し上げましたように、これを一方的に措置する、労働者に不利を与える、こういうことがあっちゃならぬと思いますので、適切な指導を加えたい、かように思っております。
  42. 岡本悟

    岡本政府委員 この問題の主務担当省は労働省でございますので、労働省とよく連絡をとりまして善処いたしたい、かように存じます。
  43. 三宅正一

    ○三宅委員 もう一ぺん確認しておきますが、そうしますと、自由労働者に対する失対事業が雪のためにできなかったものについては、労働省通達せられて、除雪作業に転換してやらせろ、その仕事についてはあとからの報告でもいいからという非常に進んだ態度をとっていただいておるわけです。これに関連して、三ヵ月も炭焼き等の仕事がなくなったものも、その村で除雪作業に使ってくれれば、それはあとからの報告でよろしい、こういう措置をとるということが第一ですね。そういう理解でよろしいか、ちょっと、違っておったら……。
  44. 三治重信

    三治政府委員 事後承認でいいと申しましたのは現に失対事業をやっております県、市町村の当該地域で、たとえば百人の失対事業をやって、それが道路事業とか河川事業をやっていた。しかし、雪のためにその計画の失対事業ができない。その当該県、市町村のその事業について、作業転換を自分の独自の判断でやって数量を確保して、あと計画変更は事後承認でもよろしい、こういうことでございます。炭焼きとか、山間僻地で今まで失対事業をやっていないところは、法律によって労働大臣が指定することになっておりますので、先ほど申しました島根県とか鳥取県の一部の炭焼きについてやったように、県当局からそういう指定の申請を出して失対事業の指定を受けないとできない、こういうことでございます。
  45. 三宅正一

    ○三宅委員 その点はわかりました。  そうしますと、五舟君の質問に関連いたしますが、私もさっき、関連で質問したのですが、昭和三十四年の七月及び八月にも失対の特例法を出したのだが、今までの解釈では、今度のあれについては融資等もしているから、賃金は払っておると思うのです。今のところその必要を感じないが、必要があれば考える、こういうことですね。  それから、その際五人以上の事業場で、そうして六カ月以上という制限がついておりますから、もしお考え下さるとすれば、六ヵ月以内のものでありましても、こういう事態において休んでおるということで、それも一つ考えの中に入れて、法を考えていただきたいということが一点であります。  第二点は、五人以下の事業場については、自由労働者の失対の関係ででも処置するのか、もしくは、これも実際は自由労働者の方の失対に加入しておらぬのだから、従ってそれについては、もし法を作るとすればどういう建前でやるか。それから、法なしでやるとすれば、そういう小さいものの労務者の休業、賃金のカット、いろいろの処置について、どういうふうに考えておられるのか。それからやるとすれば、どういうふうにやったらいいか、その点がポイントだと思います。そうしてこの問題をこの機会に解決することは、政治の大きな建前からいって、一番弱いものがほうっておかれるということで、ちょうど健康保険と国民健康保険と同じことで、あとから適用されたけれども健康保険よりはずっと待遇が悪いということと同じことであって、現実労働省が管轄しておられますほんとうの零細聖業の従業員及び経営主がほんとうに困ります問題について、私はこの問題は、それこそ特別立法でも何でもこの災害についてはやるべきであって、しかもその形式は災害委員会との合意の上で内閣提出で出していただきますことが一番適当だと思いますので、その点についての御所見を承りたい。
  46. 三治重信

    三治政府委員 失業保険につきましては、先ほども申し上げたかと思いますが、五人以上の適用事業場で、しかも、もしも何らかの措置でやられた場合でも、いわゆる六カ月未満で受給資格がない方に対する特別な措置と申しても、これは失業保険法ではできない。それから五人未満のところでも任意加入で入っておられるところはいいのですが、この災害のときに、従業員五人未満の事業所で、保険適用事業所として入っておられないところは、たとえ特別立法をつくっても対象にはならない。しからばそういうふうな失業保険で特別措置をするとしても、そういう適用漏れ、あるいは無適用ということで、そういうところから休業したり、失業者が出た場合の処置ということにつきましては、先ほど三条市の例で申し上げましたように、市当局の要請で県と話をして——たしか三条市だと思いますが、三条市その他のところでも新しく失対のワクを広げて、臨時に期限を限って失対事業を増加するという措置は、これは行政措置として現にやっているところでございます。ただそれにつきまして、失業保険の被保険者でしかも受給資格がない者、あるいは無適用事業所に雇われていて被保険者でない方たちの休業をも、失業保険と同じようにたとえやるとしても、やる場合を何とかというお話でございますが、これはちょっと、全然別個の新しい立法の構想は別といたしまして、失業保険でそれを拡大適用するということは、これは立法技術としてもできません。
  47. 三宅正一

    ○三宅委員 そこで、委員長雪害地だからよく御存じですけれども、風水害と違いまして、雪害の場合におきましては、汽車が二週間不通であった、それから道路が開かなかった、その間通えなかった、そして賃金がもらえなかった、こういう事情です。従って、これからさらに失対事業を起こしてもらっても、現実は五人以下の工場へ行ってもう働いておる。前の二十日間の給料がもらえないために非常に穴があいているという者の救済でありますから、その特別の失対事業ワクを広げて下さることは、これはこれで日雇いの関係でけっこうですが、そうでない、ともかく職場で働いておって、交通途絶のために行けなかった、それで少ない者は三日、四日、多いのは二十日失業せざるを得なかった、しかも被保険者ではない、こういう者に対しまして、これが日本では二重構造と申しますか、非常な数があるのですから、そういうところを、立法技術上むずかしいからといって、そういうものは仕方がないといってほうっておくという性格のものではないと存じますので、一つ何らかの工夫をしなければならないと思うのです。これは事務当局に御答弁を願いましても無理だと思いますが、政務次官おいでになっておりますから、一つ政務次官から御答弁をいただきたい。私の希望といたしましては、一つ部内においてよく御相談を願って、こういう問題こそ国会とも協力して解決するという線で、何らか一つ、そういうことで委員長とも御相談下さればけっこうでありますから、御答弁いただきたいと思います。
  48. 田村元

    ○田村政府委員 私自身が、雪害地ではありませんが、台風常襲地帯に住んでおりますから、災害というものに対し非常に敏感な立場に立っております。でありますから、この間この委員会懇談会の席でも私は申し上げたように、とにかくできるだけのことをしてこの被災者を救うというのが政府でなければならぬし、またそれを推進されるのが国会でなければならぬ、これはもう当然であると思います。でありますから、法律上どうしても救済し得ないような人々も非常にたくさんあるわけでございますから、事務当局を督励いたしまして、当委員会の方々ともよく御相談を申し上げて、この機会に間に合う間に合わないは別としても、できる限り問に合わすように、また、よしんば間に合わなくても、今後こういうことが起こった場合において万遺憾なきを期するように、十分の努力を私なりにいたしたい、かように考えます。
  49. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ちょっと関連して問題を提起したい、こう思うのであります。  実は労働省に答弁を求めてもちょっと無理かと思いますので、田村次官の私見でもけっこうですからお聞かせいただきたい。それから委員長には、はっきりした考え出してもらいたいと思うのです。それは、労働金庫がこの災害にあたって、労働者の収入減、支出増あるいは住宅修理、そういう問題で相当貸し出しワクを広げなければならぬ。しかも労働金庫の金利というのは、御承知の通り一般に高い。だから、これを下げて貸さないと実態に合わない、こういう事態にあるわけなんです。それで、会社とかあるいは中小商工業者に対しては、市中銀行の融資ワクを拡大し、日銀の貸し出しワクを拡大する、あるいは政府関係の金融機関のワクを拡大する、こういう措置がありますが、労働金庫のワクを拡大するという措置、しかもその貸し出しの金の金利を下げるという手当を含めて、この際やはり考えていく必要があるんじゃないか。そのことをやるには、やはり厚生年金の資金でも、長いことは言わぬから、一年程度を限度としましてでもこれを融資する、豪雪地帯の労働金庫に融資をする、こういうような措置が資金のワクも拡大されるし、またその方法ですと、低金利で貸すことができるのです。そういう方法をこの際思い切ってとっていくということが大事じゃないかと思うのです。この点については、先ほど私冒頭に申し上げましたような工合に、一つ通商産業省の方か大蔵省の係官、これは相当責任ある人を呼んでくれてもいいし、また委員長から話し合ってくれてもいいし、この点はぜひ一つこの際実現してもらった方がよろしかろう、希望をしたいものだ、こう思うのであります。田村次官からお答えがあれば……。
  50. 田村元

    ○田村政府委員 これは労働省としての見解を今申し上げるわけには参りますまいかと思いますが、今西村委員から、私個人の私見でもよいから何か言えという御要望でございますから申し上げますと、実は私は個人的に労働金庫というものに今まで非常に関心を持って参りました。と申しますのは、私のおじが労働金庫の三重県の専務理事なんかをしておった関係もございまして、いろいろとその内容も今まで聞いて参りました。そこで、労働金庫そのものの資金繰り、いろいろな問題があるかと思いますが、非常にいいことを伺いましたから、早速労政局長にも命じまして、また私自身も検討いたしたい、かように心得ます。
  51. 稻葉修

    稻葉委員長 西村君の今の問題につきましての大蔵省の答弁は、後日に譲ります。追って、機会を見つけて答弁させます。
  52. 稻葉修

    稻葉委員長 次は、通商産業省関係に移ります。堂森芳夫君。
  53. 堂森芳夫

    堂森委員 今次豪雪による災害に関連をいたしまして、主として通産省関係の二、三の点について質問をいたしまして、当局の答弁を得ておきたい、こう思うわけであります。  今次の豪雪が参りまして、われわれとしてはもちろん非常な不満でありましたが、一月二十九日に非常災害対策本部が発足いたしたわけであります。通産省から本部員としてそこに参加しておることはもちろん当然でありまして、万遺憾なき対策を講じておることは了承いたしておるわけであります。しかし、非常災害対策本部としての対策は大筋の問題で、通産省当局としては通産省としての緊急対策あるいは今後に備える——たとえば気象庁の発表によりましても、暖冬はもうこれでしばらく終わりであろう、今後は毎年雪が相当続いてくるであろう、こういう予想を発表されておるのであります。従って、今回の豪雪災害一つの重要な基礎としまして、今後その対策がなければならぬことも当然であります。今回の災害で通産省当局はどういうような形の対策をとり、どういう人的構成で対処せられたのでありますか、この点伺っておきたいと思います。
  54. 上林忠次

    ○上林政府委員 二十六日に運輸省中心にしまして各関係官庁が集まりまして、対策を講ずる懇話会をつくりまして、また現地におきましても、地方通産局あるいは現地各省の末端の局を通じまして、ときどき集まりましてこれに対する対策を講じてきたのでありますが、通産省の分としましての今回の豪雪による被害と申しますと、案外少なかったように考えておるのであります。鉄道中心になりまして運輸機関がとまった、交通機関がとまった、これにより製品の搬入、搬出また輸出用の商品の遅延、いろいろな労働関係が錯乱するというような状態が生まれまして、各種の災害が起きておりますが、運輸関係交通関係に比べますと、被害高としては少なかったのではないかと考えております。特に通産省としまして力を入れましたのは、燃料の関係でありまして、産業の関係におきましても、また運搬の関係におきましても、燃料関係を完備しなくちゃならぬ、またこれを充実しなくちゃならぬというようなことで、ガソリンまた代用ガス、燃料全般を通じまして十分な補給をするという点におきましては、もちろん皆さんからおほめの言葉をもらおうとも思っておりませんが、通産省としてはこの点はあまりしかられなくてもいいのではないかという感じがするのであります。  なお、年々続くこの災害、特にまた一昨年以来の、非常災害がいつまで続くかわからぬというような将来を考えますと、これはよその仕事になりますが、何とかして運輸をもっと充実しなくちゃならぬという感じがいたしております。これはよその省の関係でありまして、私が口幅つたいことも言えないのでありますが、通産省としましては燃料、電話、電信——これもよその関係になりますが、産業関係に関しましての基盤になるものは一応確保し得たというような感じがするのであります。
  55. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいまの答弁でありますが、後ほどいろいろと聞いて参りますが、私が伺いましたのは、どういう人的構成で対処されたか。これからまたあるかもしれない、なければいいですが、来年あるいは再来年もあるかもしれない、こういう予想が科学的にも立てられておる。こういうことで通産省は独自で、だれがチーフになってこういうふうなことをやっていこうという、局長と局長が集まってこうだ、ときどき集まって、そんなことじゃなしに、どういうことをどういう人的構成でやってくれたか、またこれからはどう備えていくか、こういうことを聞いておるのです。もう一度答弁願いたいと思います。
  56. 上林忠次

    ○上林政府委員 ちょっと先ほど問題を取り違えましたので申し上げますが、防災体制としまして、本省及び関係通産局に雪害対策本部を設置し、本省としましては官房長を本部長にしまして、通産局としましては通産局長を本部長にしまして、これから各県に向かって情報の収集をしたのでありますが、こまかいことは事務当局の方から申し上げます。
  57. 加藤博男

    加藤説明員 かわりましてこまかいことを申し上げます。  一月の二十六日に通産省の本省に災害対策本部を設けまして、これは官房長が長になりまして、庶務は官房の総務課がいたしております。それから各通産局、新潟県は担当が東京でありますので東京、富山、石川は名古屋通産局の担当でありますので名古屋、福井は大阪でありますので大阪通産局、この三つにそれぞれ通産局長を長といたします対策本部を置きまして、そこが中心になってやっております。これらの庶務はいずれも、各通産局の総務課が行なっております。  あとは各現地への派遣でありますが、これはあまりこまかくなりますので省略いたしますが、政府調査団として参りましたほかに、通産局独自の派遣員を出しまして、情報を収集すると同時に、たとえば、東京のごときは局長初め一週間余り滞在いたしまして、そこで応急措置もとるという体制であります。以上であります。
  58. 堂森芳夫

    堂森委員 政務次官に申し上げておきますが、今回の豪雪は数十年ぶりである、あるいは百年ぶりである、こう言われておるのですよ。そうして豪雪対策の非常災害対策本部が設けられて、河野建設大臣が本部長になって、内閣は真剣に取り組め、こういうふうな国会における重要な決議もある。もちろんそれがなくても、こういう重要な問題について、通産省のそういう重要な人的構成の頭の方くらいははっきり答弁願うということは、私は当然必要だと思いますので、警告をしておきます。  そこで、どこからもほめられたいとは思わないが、大体万遺憾なきを期した、こういうふうに言っておられるわけであります。そこで先刻政務次官の答弁では、燃料の確保はできた、原材料の確保も大体できた、こういうふうな答弁のようであります。しかし、現地特に裏日本、あるいはその他の地域にもありましょうが、この降雪の激しいころには、重大な問題として、やはり燃料の不足があったのであります。これは辛うじて国道筋がようやく、無理をして、一車線ではありましたが、除雪が済んでようやく危機を脱した、こういう程度であります。ほとんど燃料に対する備えはなかったと言ってもいいくらいの状態を私は知っておるのであります。特に北陸地方のガス会社において、石炭あるいは重油あるいはナフサ、こういうような燃料は必ずしも万全の策があったとは私は言えないと思うのであります。そこで、今後こういうふうなこともあるかもしれないと予想しなければなりませんが、今後そうした重要なものである燃料というものに対して、通産省当局としてはどういう備えを——特に冬は、普通の意味でのランニング・ストックというものを当然持つべきであります。しかし、そういう災害時には、普通の意味でのランニング・ストックというものは問に合わぬ。従って豪雪がきても困らないように、そういうふうな対策を今後持つ必要があると思うのであります。これに対して、どういうふうな対策を持っておられるか、事務当局から具体的に答弁を願いたい、こう思います。
  59. 加藤博男

    加藤説明員 ただいまのお尋ねでございますが、実は今回も雪の降りました地域内に、かなり液体燃料と申しますか、灯油その他ございましたのですが、実は伏木あたりにもかなり大きいタンクがありますし、かなりございましたのですが、残念ですが、それが思うように運び出せなかった。場合によっては、名古屋からわざわざ鉄道を利用して送りました方が容易だったという事態が起こってしまったわけでございまして、われわれもその点を憂慮いたしたわけでございます。従いまして今後も、たとえば十日なり二十日間の交通途絶ということを頭に置きまして、現地の貯油設備その他を増強しなければならぬかどうかということについて、あまり的確な御返事を今すぐ申し上げる自信はございませんが、かなりの貯油能力がございますので、むしろそれの運搬についての検討が今後必要じゃないか、一般的に申しましてそういう感じがいたしております。
  60. 堂森芳夫

    堂森委員 もちろん輸送機関が、特に陸上輸送がだめになって、当時予算委員会でも私質問したのですが、運輸大臣は、陸路がだめの場合には海上輸送も考慮いたしております、こういう答弁でありましたが、今後また豪雪がくるかもしれない、こういう予想の上に万全の策を責任当局が今後とってもらいたい、こういうことをお願いしておきます。  そこで、私に割り当てられました問題に入って参りたいと思いますが、今回豪雪が最もひどくきた地域は、裏日本地帯であります。北陸三県と新潟、他の地域にも相当地域ありますが、大体その方面が中心であったと思うのであります。裏日本、特に北陸、新潟というような地域は、たとえば絹、人絹というものが、非常に重要な産業であることは、御承知の通りでありますが、この絹、人絹はほとんど全国の七、八割を生産しておる、こういう地域であります。また、めがねのワクのような家内工業を見ましても、たしか私の県の福井県は全国の七、八割を生産しておる。八割をこえるでありましょう。あるいはまた金属食器の燕、三条、こういう地域もおそらく八〇%あるいはそれ以上を生産しておる。しかもこれらは零細企業ではありますが、また重要な外貨獲得の輸出零細企業であります。また化学工業も、カーバイドはおそらく全国の七、八割に達する。化学工業も相当発展してきておる、こういうようなことで、裏日本ではありますが、特殊な産業というものが古い伝統を持ったものとして相当発展してきておる地域であります。  そこで伺いたいのですが、これは北陸あるいは新潟だけを言っておるわけでありませんが、今回の豪雪で、全国で倒壊あるいは半壊したという程度までの中小工場というものは、一体どのくらいのひどい状態になっておるのか、数字はわかりませんでしょうか。
  61. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 物的な被害でありますが、一応各県から報告が参っております。ただ、その報告が非常に過大と申しますか、水増しをしたというふうな点もございましたので、私の方であらためて、直接被害はもちろんでありますが、間接被害の算定の基準等も示しまして、二月五日ごろに各通産局に通達いたしたわけでございます。現在までに手元に参っておりますのは、直接被害あるいは間接被害についての金額だけでございまして、先生お尋ねの物的な損害の、何軒倒壊したというふうな資料は、実は手元にございませんので、その点については現在お答えいたしかねるというふうに考えております。
  62. 堂森芳夫

    堂森委員 それは金額でどのくらいですか。
  63. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 ただいま申し上げました私の方の各通産局に指示いたしましてまとめた数字によりますと、直接被害いわゆる物的損害でありますが、これが十九億、それから間接被害の中で比較的金額的に張っておりますのが除雪費でありますが、これが五十三億円ばかりになっております。それからその他の被害、これがまた膨大な数字になっておりますが、二百六十二億円、合計いたしますと三百三十五億円の損害ということになっております。実はこの数字につきましても、私どもの指示の仕方が少し足りませんで、たとえて申し上げますと、除雪費算定をする場合に、通常の年に必要としたであろう、そういう通常の除雪費は除かなければいけないということなんでございますが、その点が根っこからの除雪費を全部報告してきておるというふうな点がございますので、これをさらに私どもの手元で、各通産局と打ち合わせをいたしまして再検討いたしておる、こういう状況であります。
  64. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいまの答弁で、間接被害の中で除雪を除いたその他が二百六十二億、そうすると、その他というのをもう少し詳しく説明してもらえませんか。よくわかるわけですけれども、あなたの口から答弁を願いたいと思います。
  65. 加藤博男

    加藤説明員 このたびの災害は、御承知のように、直接ものがこわれると申しますよりも、交通途絶その他によります滞貨とか、あるいは生産減少ということでございますが、今申し上げました直接と申しますのは、建物がつぶれたり、あるいは製品なんかが全然無価値になってしまうというようなものを言っておるわけでございます。除雪費は今申し上げました通りでございますが、その他のうちの幾つか申しますと、たとえば季節商品と申しますい、旧のお正月用に仕入れておりましたのが、この旧のお正月が雪でだめになりまして、そのまま手持ちになってしまったというような、季節商品が滞貨したために、これによる評価減と申しますか、例をいえばたたき売りをしなければなりませんが、その評価減が一つ。それからもう一つは、滞貨によります金利の負担増でございます。もう一つは、生産が落ちましたのにもかかわらず支払わなければならないような、いわゆる固定費でございます。これがもう一つのカテゴリー。そのほかその他のものがございますが、大きく分けますと、そういうものでございます。  先ほど申しました、若干の過大のものがあると申し上げた一つの売上減少額も、本来なら百億生産があるところが、この雪で四十億になってしまったといたしますと、六十億の生産減ではございますが、その企業に対する損害と申しますのは、原材料は使用しておりませんし、六十億全額ではございませんで、いわばむだに出費せざるを得なかったものということになるわけでございますので、その辺を県は全額を報告しておる。実態はそれをそのまま損害額と考えるのはいかぬ、そういう違いがあったわけでございます。以上でございます。
  66. 堂森芳夫

    堂森委員 そこで伺いますが、先般の本委員会委員合会で、三公庫に対して金融のワクをもっと広げるべきである、貸付条件たとえば重複貸付というものをどんどん認めていくべきである、あるいは担保についてはこれを考慮していくべきである、貸付条件の緩和と申しますか、そういうふうなことでできるだけ中小企業零細企業に対してめんどうを見ていくようにと、いろいろ各委員から意見が述べられておったのですが、大体ただいままでに二の三公庫、市中銀行のものも含めてけっこうでありますが、どれくらいの資金が流されておるか、こういうことを伺っておきます。
  67. 上林忠次

    ○上林政府委員 第四・四半期用といたしまして、あらかじめ割り当てました政府資金が、三公庫を含めまして百億、これはこのたびの災害に対しての資金ではありませんけれども、そのほかに今回の豪雪による被害に対しまして使われるべきものを、まず三公庫に対して二十億を加算しまして、もちろん融雪とともに、だんだん被害が起きてくると思いますが、これはあとで検討することにしまして、ただいまのところ、これで大体不足はないというような現状であります。貸付条件の緩和につきましても、もちろんただいま検討いたしておりますし、また、保険公庫からの貸付、信用公庫に対する貸付、これは北陸四県、鳥取、島根を含めまして八千万円の貸付を済ませておる。もちろんこれでも足らぬかもしれませんが、足らぬところはまた後ほど検討の上増していくというような慣行であります。それから延滞あるいは重複の関係も、なるべく緩和していくというような方向に検討中であります。こまかいところは事務官からお答えいたします。
  68. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 概略はただいま政務次官から御答弁申し上げた通りでありますが、少し補足して申し上げます。  政府三金融機関に対する資金のワクの拡大でございますが、とりあえず今次官から御答弁申し上げましたような措置をとっております。それで現在のところの資金需要といたしましては、いわゆるつなぎ資金的なものの需要が多うございまして、御承知のように、こういうものは大体商工中金に対する資金需要ということで参っております。その他の国民公庫あるいは中小企業金融公庫、いずれも資金需要としてはおそらく運転資金が大部分であろうかと思いますが、この運転資金はいわゆる長期の運転資金でございまして、相当損害があって、その損害を回復するためにかなり長い目で金融をつけていかなければならぬということでございますので、そういった面の本格的な資金需要は、まだこれから先に出てくるのではないかというように考えます。従って現在までのところは、貸し出しワクがないために貸付に支障を来たしておるという状況にはございません。御参考までに最近までの実績を申し上げますと、商工組合中央金庫は、二十五日現在でございますが、合計十三億円ばかりの貸付をすでに実行いたしております。国民金融公庫につきましては、先月末現在で二億七千万円、それから中小公庫につきましては、これは金額的に一億六千万と少し低いわけでございますが、つなぎといたしましては、大体代理店を使うことになっておりますので、代理店である一般の金融機関から出して、それを肩がわりの格好で公庫貸付につなぐ、こういう方法考えておるわけであります。  それから貸付条件の緩和並びに手続の簡素化、この件につきましては、すでに一月二十八日に中小企業庁長官と大蔵省銀行局長の連名をもちまして、十分に配慮するようにという通牒を出しております。手続の簡素化について具体的に例をあげて申しますと、一般の場合には信用調査等もやる必要がございますので、そういった面からのいろいろな書類の調製が必要になるわけでありますが、こういったものを省略してもいい。それからまた、すでに災害とは無関係の貸付申し込み等が相当あるわけでありますが、災害融資につきましては優先的にこれを取り上げております。また中小公庫等は、御承知のように、店舗が石川県の金沢だけにしか歩ないわけでありますが、そういう条件もございますので、福井とか富山等に定期的に支店の方から人間を派遣いたしまして、いろいろ相談に応ずる、こういったような便宜の措置を講じておるのであります。  それから条件の緩和でございますが、これはたとえて申し上げますと、普通の貸し出しの場合には大体やっておらない国民金融公庫の据置期間でございますが、これなんかも災害に限りまして、六カ月くらいの据置期間を設けたり、あるいは、中小企業金融公庫等の例をとってみますと、薄遇の場合よりも六カ月ないし一年間据置期間を長くする、こういう措置を講じております。  それから貸付の期間でございますが、これも原則的には、大体普通の場合よりも二年間くらい長い期間で融資をする、こういう方法をとっております。それから一番問題になります、先生御指摘の担保でございますが、これは国民公庫につきましては、百万円までの貸付につきましては原則として担保はとらないという指導をやっておりますので、今回の災害につきましても、その点特に留意するようにということで指示をいたしておるわけでございまして、また担保をとる場合でも、いわゆるかけ目をゆるやかにするというふうな指示も特にやっております。  かいつまんで申し上げると以上の通りでございます。
  69. 堂森芳夫

    堂森委員 大蔵省にお聞きしますが、この前の委員懇談会でも大蔵省当局にお尋ねしたのですが、この貸付の条件について国民金融公庫は非常に厳重なわけですね。もちろん、個人あるいは法人によって違いますが、重複貸付については、ワク以上はどうしても貸せない。たとえば百万円のワクの人に七十万貸している——最も極端な例ですが、雪がくる前月に七十万借りて、そして何かの補修をしたとか、いろいろなことに使った。それが雪でだめになって返せない。あと三十万借りたのでは工場なり商店がやっていけない、またさらに七十万借りたい、こういうふうな場合も出てこないとは限らぬのでありますが、従来のそうした規則といいますか、そういうような手続上からは百万が限度であるから、すでに七十万借りていて、あと三十万までは可能ということにはなるのでありますが、それを越しては貸せないということになると思いますが、こういう災害の場合には、ワクをもっと大きく広げるといいますか、そういうものを広げていくということはできないのですか。また、しておりますか、しておらないのですか。
  70. 新保実生

    ○新保説明員 ただいまのお答えの前に、雪害関係で市中の金融機関から幾ら貸し出しが出たかというお尋ねが先ほどございましたので、それからお答え申し上げます。  これはちょっと時点が古いのでございますが、二月二十日現在で、北陸三県でございますが、約百三億ほど民間の金融機関から出ております。内訳は、地方銀行が七十三億、都市銀行が約九億、相互銀行が約九億、信用金庫が十二億、合わせて約百三億、これは二十日現在で北陸三県でございます。ただいま山陰方面のものは手持ちがございません。  それからただいまの御質問でございますが、御承知のように、国民金融公庫というのは、いろいろ政府に金融機関がございますけれども、一番零細な業者の方をお相手とする。融資の対象を、国民大衆という言葉を使っておりますけれども、どこの金融機関もなかなか相手にしてくれないというような零細な、中小というよりも、小業者あるいは零細業者というところを対象にして融資を行なう、こういう建前でございます。最近ほかの金融機関の貸し出し限度というのが引き上げられる傾向にございますけれども、国民金融公庫につきましては、やはりそういう一番経済的にも社会的にも弱い地位に置かれた零細な業者を重点的に見ていくという建前でいろいろな制度ができておりますので、そういう考え方から、個人につきましては百万円、それから法人につきましては二百万円というのが貸し出しの限度になっておるわけでございます。  ところで、そういう制度のもとにおける運用の実績はどうかと申しますと、これは三十七年度の最近までの実績でございますが、大体一件当たりの貸付の平均額が三十万円になっております。そこで、法律が考えておりましたように、大体零細な方の零細な資金一需要に応ずるという考え方が、そういう実績の上にも現われておるわけでございます。  ところで、今度の雪害の問題でございますが、当然国民金融公庫に対する資金需要もあるわけでございまして、それに対しては円滑な融資を心がけなければならない。それについては、一番問題になる担保ということにつきましても、百万以下は担保はとらないというようなことで促進に努めておるわけでございます。ところが、その重複貸付は災害については認めるけれども、百万、三百万を据置のままではやはり困るのではないかという御注意でございます。この点は、ただいま、部分的にではございますけれども、申し込み額を調べてみたわけでございますが、直接貸付の場合には、一件当たりの申し込み額が大体五十七万かそこら辺になっております。それから間接貸付というのがございまして、これは代理貸しとも申しますけれども、民間の金融機関を使って政府資金、国民金融公庫の資金を融通するわけでございますが、こちらの方の申し込み額は大体平均しまして二十万くらいになっておるわけでございまして、やはり国民金融公庫の対象になる業者の方の資金需要というのは、その申込人の数字にも現われておりますように、非常に零細なものでありまして、それで現在の百万、二百万で据え置いておりましても、そのために融資が受けられなくなるというような問題はほとんどないのではないか、私どもはそういうふうに見ているわけでございます。もしもそういう問題、頭がつかえてそれ以上はできないという問題がありました場合——これは仮定の問題でございますが、そういう場合は、やはり場合によりましては、商工中金なり、あるいは中小企業金融公庫というような機関を利用していただくというのがいいのではないか、こういうふうに考えております。
  71. 堂森芳夫

    堂森委員 重複貸付につきましては、現地の人たちに聞きますと、特に国民金融公庫は、零細な金を対象にしているせいか、貸出が非常に渋いそうでありますが、豪雪に対する貸出の要請についてはできるだけ応ずるように処置を講じてもらう、こういうことを要望しておきたいと思います。  市中銀行から百億をこえる融資が行なわれておるということでありますが、先刻の答弁では、大体間接の被害が二百六十二億であるというところから見まして、今後三公庫の方に肩がわりの貸付申し込みがどんどんくると思うのであります。この委員会要望いたしましたいろいろな条件緩和については、今後とも格段の努力をしてもらいたいと思うのですが、そういう指示をしていただくことを希望しておきたいと思うのであります。  次に、でやはり金融の問題でありますが、信用保証協会に対する中小企業信用保険公庫からの長期の貸付金をもっと増額してもらいたい、こういう要望が非常にあるわけであります。もちろん、それと付随しまして、信用保険料の引き下げ及び填補率の引き上げ、こういう要望現地から盛んに行なわれております。この点につきまして通産省当局の答弁を願いたいと思います。
  72. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 御承知のように、各府県に信用保証協会がございまして、一般の市中の金融機関から金を借ります場合のいわゆる信用補完の役割を果たしておるわけでありますが、今回の豪雪災害に対処いたしましても、関係府県では、府県自体あるいは地元の市等でこの信用保証協会に対するいろいろの財政的な援助をいたしております。そういった財政援助と並行いたしまして、国の財政資金を今御指摘の保険公庫から出す、こういうのが過去の災害の場合にもやってきた例でございますが、今回の場合でもやはり同じ考え方をもちまして、各府県相当出指金をしたり、あるいは損失補償契約をやっておりますので、そうした地元の施策に対応しまして、先ほど次官からお答え申し上げました新潟を含めました北陸四県、それから山陰二県、この六つの県の信用保証協会に対しまして、すでに八千万円の長期資金の貸付を進めてございます。その他の被害府県につきましては、目下現地のそういった府県措置等も勘案しながらやるという方向で検討いたしております。  それからもう一つの信用保険料の引き下げと保険公庫の填補率の引き上げの問題でございますが、これは激甚災害の財政特例法の適用が前提に相なりますので、私どもの方で先ほど申し上げたように被害額——過去の例は全部物的損害を基準にして適用をきめるという格好になっておりますが、過去の例から見まして物的損害は、ただいま御答弁申し上げましたように非常に少ないわけでございまして、そのままでは適用が困難であるということに相なりますので、今のところは、今後おそらく融雪期を迎えましてそういったようなものもさらに増大してくるということは当然考えられると思いますが、そういった状況考えまして、激甚災害の指定が可能であるかどうかということを検討して参りたい、こういうつもりでおります。
  73. 堂森芳夫

    堂森委員 委員長にも要望いたしておきますが、ただいま事務当局の答弁では、激甚指定云々の答弁があります。私もそういう答弁があるものともちろん考えておったわけでありますが、今後委員長中心になりまして、今回の豪雪被害につきまして格段のそうした方面の御努カ——われわれも協力いたしますが、今後も一つ御努力をお願いいたします。
  74. 稻葉修

    稻葉委員長 承知しました。
  75. 堂森芳夫

    堂森委員 そこで次の問題に移りますが、原材料あるいは製品の輸送、これはすでにいろいろ答弁もありましたし、今日ではこの点はすでに解消しておるわけでありますが、これは今後の問題といたしまして、しかし、そうした十日、二週間も、あるいはもっと交通機関が麻痺してしまった、こういう建前から、輸出産業に対するキャンセル、クレームというふうな問題が相当多く出てきたことは、これは残念ながら、ある意味ではやむを得ないことではないかと思うのであります。あなたの方から資料もいただきまして、一月積み契約、二月積み契約、遅延見込み、これぐらいになる、こういうことをきょう私ここで読み上げる必要はありませんが、あなた方の方で調べられた資料でも相当額のものが出てきておる、こういうわけでありまして、こういう点については、措置としてはもちろん金融措置も必要でありましょう。もうすでに、金融措置につきましてはいろいろ間接被害についてはできるだけめんどうを見るのだ、こういう答弁でありますから、了承をしておきたい。もちろん、今後金融措置はさらに先にいってもっと深刻になってくるのではないか、こういう意味で格段の一つ努力を要望するものであります。そこで、このキャンセル、クレームという問題に対してどのような具体的な措置を持っておられるか、これをまず答弁を願いたいと思います。
  76. 上林忠次

    ○上林政府委員 出先の地方通産局から特別なメンバーを現地に派遣しまして、遅延の証明書——こういうようなことで遅延した、許してくれというような証明書を出してみたり、また、繊維関係の検査所から、そういうような今回の豪雪のために出荷が遅延しているというようなことを言いわけをしておりますし、また外国の売り先の方に対しましても、直接こちらの方から弁解状を出しております。そうしてキャンセルとか遅延が許されるように処置しております。
  77. 堂森芳夫

    堂森委員 大体そうしたキャンセル、クレームという問題に対する手当というか、措置をやって、こまかい数字のことは申しませんが、所期の目的は達しているのでございますか。
  78. 加藤博男

    加藤説明員 輸出品で問題になりますのは、御承知のように繊維品と金属洋食器、大きなものはこの二つかと存じます。繊維品の方につきましては、実はお手元に差し上げました資料の十二ページに約十万ドルぐらいの数字を記載してございますが、その後よく調べましたところ、現在わかりましたところでは、約四万ドル前後ではなかろうかと思っております。これは実は見かけ上の数字でございまして、全部損害になるとは限りませんが、四万ドルについて問題が起こっているということのようであります。繊維品につきましては現在やや市況が上向きでございまして、それからもう一つは、実は北陸災害のために品不足の傾向が同時に出ているわけであります。従いまして、割に外国のバイヤーも、キャンセルするより、従来の契約価格で引き取った方がいいという傾向もあるやに聞いております。従いまして、もちろん損害が絶無ということではございませんが、心配したよりはややいいのではなかろうかという面もございます。  それから金属洋食器の方は、実は金属洋食器の下請や何かが裏小路に多いものでございますから、鉄道輸送が回復したにもかかわらず、そこを通しての物の動きが非常に不円滑でございまして、実は生産の回復が繊維などに比べますと非常におくれているかと存じます。それからもう一つ金属洋食器について問題は、ノルウェーやスエーデンは、向こうの輸入許可書が必要でございます。従いまして、向こうのバイヤーが引き取りたくても、向こうの政府の発行しました輸入許可書の期限が切れてしまうことがございますので、これにつきましては外務省にもすでに御了解を得ておりますが、個々のケースにつきまして、そういう問題があって外国政府の期間延長を必要とする場合には、外務省を通して申し入れるという体制を整えておりますが、まだそういう申し出は実は出ておりません。従いまして、これについてあまり具体的に情勢を申し上げるのはいかがかと存じますが、それほど大きな被害にはならぬのではなかろうかという感じでございます。いずれにいたしましても、これから出てくる可能性もございますので、それについては十分監視いたしたいという現状でございます。
  79. 堂森芳夫

    堂森委員 私が今お尋ねしました重要な三点は、しぼれば、ほとんど金融措置につながっている問題であります。キャンセルがかりにうまく処理されたとしても、その間金利の問題もありましょうし、また金が入ってこないのでありますから、労賃は払わなければいかぬ、しかも、先刻も申しましたように、これらの輸出品はほとんど零細企業がやっておる企業で、従って金融的にも非常に問題が多い、こういう意味で、あなた方も認めておられるように、金融問題は今よりは今後が問題でおる、こういうわけでありますから、格別の今後の努力を要望いたしておきまして、私の質問を終わる次第であります。
  80. 稻葉修

    稻葉委員長 関連質問の通告がありますから、これを許します。西村力弥君。
  81. 西村力弥

    ○西村(力)委員 北海道東北開発公庫の貸付金償還延期、この問題について、企画庁の担当官に、これを実施するのか、この通りやらせるのか、それから大蔵省の担当官には、その通りでよろしいということなのか。大蔵省としては、開発公庫の本年度の自己資金を三十億と、相当無理な算定をしておりますが、そういうことから、こういう点にはなかなか了承できにくい点もあるかと思うのでありますが、これはぜひ償還延期の措置をとるように、その他の政府関係金融機関の償還延期措置と同じように、特別の措置をやる、こういう工合にやってもらわなければならぬと思うのです。それから償還延期というのは、一体どういう形で、期間はどのくらいやるのか、その問の延滞利子というようなことは問題ないと思いますが、そういう点も不明確でありますので、伺っておきたい。
  82. 玉置康雄

    ○玉置説明員 償還の延期につきましては、現在約定変更の制度がございますから、それによりまして、具体的なお話し合いに応ずるように、公庫と打ち合わせをしておるところでございます。
  83. 西村力弥

    ○西村(力)委員 大蔵省は……。
  84. 新保実生

    ○新保説明員 北海道東北開発公庫の償還延期を必要とする関係の案件の具体的事情をまだ伺っておりませんけれども、一般的なことを申し上げますと、ことしの二月から四月までの間に償還しなければならない金額は、十三億八千五百万円あるそうでございます。大体関係会社は七十七社でございます。そのうち、公庫の窓口で判断をいたしまして、償還延期の必要がありそうだというのも若干あるようでございますが、個々の案件につきまして私まだ直接聞いておりませんが、いずれ企画庁の方とも相談しまして、あるいは公庫の方とも相談しまして、実情に沿うように延期の措置をとりたいと考えております。
  85. 西村力弥

    ○西村(力)委員 企画庁の方に伺いますが、あなた方の窓口の相談ということになりますか。大体どのくらいの償還延期を認めるかということ、そういう大体の基準というものが示されないと、なかなか話し合いもスムーズにいかない傾向があるのでありますけれども、そういう点、それから先ほど申しましたが、もちろん延滞利子はつかないということですか。
  86. 玉置康雄

    ○玉置説明員 現在のところ、そういう方針だけ打ち合わせておりまして、具体的な話がまだ上がってきておりませんが、償還期限の延長の期間等につきましては、ここで具体的に申しかねる次第でございます。
  87. 西村力弥

    ○西村(力)委員 中小企業庁の関係で国民金融公庫及び中小企業金融公庫、商工中金の関係の償還延期をやる場合、それはどの限度で考えておられるか。もちろん、それも延滞利子というものは当然つかないということですか、こういう点についてお尋ねします。
  88. 加藤悌次

    加藤(悌)政府委員 お答えいたします。  既往の債権の償還期限の延長でございますが、中小公庫につきましては、代理店限りでやる場合には、六カ月くらいまで延長します。それからさらにそれで足りない場合がございますので、そういった場合には、六カ月から二年ぐらいまでの延長が本店の承認を得ればできる、こういう格好になっております。それから、当然のことでございますが、延長を認めました場合には、延滞利子は取らぬということになっております。  それから国民金融公庫でございますが、これは一応最大限の貸付の期間という原則は七年くらいということでございまして、普通貸しておるのが、ちょっと私覚えておりませんが、大体三年ないし四年ということだと思いますが、その七年の範囲内で実情に応じて延長を認める、こういうふうに措置いたしております。  それから商工中金は、これは半官半民ということでございますので、今申し上げました二つの公庫よりはきわめて弾力的に認める、こういう情勢でございます。
  89. 西村力弥

    ○西村(力)委員 大蔵省、御意見ありますか。
  90. 新保実生

    ○新保説明員 企業庁と同様でございます。
  91. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは指導する場合、局長だけではできぬと思いますが、早くそういう基準的なものをきめて指示していただかなければならないのではないか、こう思うわけです。以上です。
  92. 稻葉修

    稻葉委員長 次は小沢辰男君。
  93. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 二点だけお伺いしたいのですが、大体堂森先生の質疑で尽きておると思いますけれども、ただ先ほど聞いておりますと、銀行局長と中小企業庁の長官との連名通牒で、できるだけ便宜をはかる、手続も簡素化してやれ、資金ワクについても、特に雪害の問題が起こってから二十億のワクの追加もやった、いろいろお話でございますが、実は私どもが実際に現地に行きますと、なかなか容易に解決をされていない。これはこの前当委員会政府側との懇談会のときにも私からお願いをしたわけでございますが、実際になぜ末端でスムーズにいかないかということを考えてみます場合に、一番大きなものは、大体代理貸しをしている地方の銀行あるいは信用組合その他の代理金融機関というのは、中小公庫に対して自分が七割か八割かの責任を持たなければいかぬのですね。そうなると、幾ら雪害政府ができるだけ便宜をはかってやれと言われても、貧乏人といいますか、よほど締めて締めてそれでもなおかつ安心だと考えられるような相手でないと、なかなか貸さない。そこが一番問題なので、先ほど堂森先生から、絹、人絹の話から、金属洋食器についてもいろいろお話がありましたように、たとえば輸出産業で金属洋食器の生産をやっておる場合には、ほぼ一カ月の生産がほとんどストップになる、こういう場合には、つなぎ資金として一千万や一千五百万ぐらいすぐ要る、そういう問題を持っていった場合には——日常のいろいろの金融機関との取引で大体担保は目一ぱい取られる、そういう事態のときにこの豪雪が起こって、豪雪のためのつなぎ融資がほしい、こういう連中が銀行に行きますと、銀行としては何だかんだで、なかなからちがあかない。銀行としては八割自分で責任を負わなければならない問題だし、非常にそこでスムーズにいかない。十分余力のあるようなもの以外は、ほとんどと言っていいくらい、実は利用できないのです。そこで私は、この前も懇談会のときにも申し上げたように、もちろん信用保険公庫の、相当各県別にできるだけ保証してもらうような措置も県として考えておるようですが、たとえば担保の問題については、従来七割か八割、内輪に担保というものをみておったわけですが、これを自一ぱい見てやればできる、そういうような措置も具体的に一つとっていただきたい。あるいはこの雪害融資については、他の災害の場合もそうでしょうが、災害融資については、代理貸しの場合でも、中小公庫なりあるいは商工中金なりに対するその代理業務を行なう金融機関の責任を免除してやるんだとか、現実に中小公庫にしても全国に網の目のように支店網があるわけじゃないのだから、どうしても代理貸しになるわけです。そういうような点をやっていただく。あるいは、それぞれの業界は協同組合があるわけですから、その組合で一つ責任を持ってまとめて、その組合と、一県に一つ二つの中小公庫なら中小公庫の支店があるわけですから、そこの支店長とよく話をして、そして組合でまとめて、責任を持って、災害の緊急のつなぎ融資めんどうを見るとか、まだ私は考えればやり方がいろいろあると思うのですが、実際に現地に行ってみると、どうにもならぬという声が非常に強いのであります。従って、中央では非常に理解を持っていただくんだけれども、健際の窓口ではしかく簡単に事が運んでいかないというのが実情なんだから、そこのところを何とか一つ具体的ないろいろな面で知恵を出してネックを打開していただかなければならぬと思うのです。この点について、特に今私がたとえばの例示として、しろうとの考えですが、いろいろ申し上げたようなことで円滑にやっていただくことができれば大へんありがたいのですが、どうでしょうか。ここに大蔵省もおられますが……。
  94. 新保実生

    ○新保説明員 政府三機関がございますが、そこは若干ずつやり方が変わっておりますので、個別に申し上げた方がよかろうかと思いますが、まず国民金融公庫でございます。先日のお話も国民金融公庫が発端になったようでございますが、これは、先ほどもお答え申し上げましたように、貸し出しの額が百万以下の場合は担保をとらないという制度になっております。この趣旨はさらに国民金融公庫側に対しましても強く指示をいたしておるわけでございます。ところで、申し込みの平均額は、間接、代理貸しの場合は、先ほど二十万と申し上げたかもしれませんが、大体二十六万六千でございます。それから直貸しの場合は約二十七万でございまして、いずれにしましても百万以下ということでございますから、物的な担保を徴求する必要はないわけでございまして、保証人で足りるわけでございます。  それから先ほど、担保の見方を目一ぱいということでございますが、これも先般御指摘がございましたので、私どもも研究いたしまして、目一ぱいどころではなくて、もう貸し出し金額の半分でいいのだ——もっともこれは無条件でばございませんけれども、ほかに適当な担保物件がなくて、しかも貸付金の全額が運転資金である——今度の場合は運転資金が多いと思うのですが、運転資金であって、しかも緊急の場合には、大体半分ちょっとあれば、半分をこえる程度のものであればいいのだというようなところまでこれは指示をいたしておるわけでございます。  それからもう一つの問題は、この代理店に対しまして、大体あなたのところではこの辺までは災害として貸し付けてよろしいのだといういわゆるワクの配付というのが若干おくれまして、これが大体二月の末ごろには各代理店には徹底したわけであります。そこで、そういうワクとの見合いというような点から多少貸し出しがおくれたというような事情もあったかと思うのでありますけれども、その辺はこれから漸次解決していくのではなかろうか、こういう面も考えられます。  それからもう一つは、代理店の保証責任の点でございますが、これは国民金融公庫の場合は五割になっておるわけでありまして、中小公庫の場合は八割、そこでそれをさらに引き下げるかどうかという問題ですが、これはちょっと私どもしてはどうもむずかしいのではないだろうか。国民金融公庫の五割というのは、もともと零細な方に対する融資の円滑ということをねらって、中小公庫の場合と差を設けておるわけでございまして、その五割の責任というものは、やはり金融機関として持っていただく必要があるのじゃないだろうか。代理店としましてはそれをさらに保証協会の保証にかけることができるわけでございますので、その制度を利用していただくと、まるまる代理店の危険負担ということにもならないわけでございまして、ここら辺はあるいは御意見があろうかとも思うわけでございますけれども、国民公庫の場合は、今の五割はかなり低い割合ではないだろうかと考えております。  それから中小公庫の点でございますが、これは二月の九日から二月の十五日にかけまして、間接被害に起因するところの長期の運転資金も貸し出しの対象にするように、あるいは災害救助法発動地区以外の地区でも、これに準じてやるようにという指示をいたしております。それから各支店別にいわゆる災害ワクというものを示しましたので、これから出てくるのではないだろうか。三機関比較いたしますと、中小公庫は比較的一番おそく資金需要が出てくるのではなかろうかと考えております。  それから中小公庫の担保の扱いでございますが、これも代理店において担保の扱いは適宜措置するということで、支店長の裁量に大体まかせておるわけですが、大体の方向としましては、百二十万円以上の貸付については、原則として担保を徴求する必要はない、必ずしも担保を条件としない。ところで、今、中小公庫に対する借り入れの申し込みは平均百三十万でございますので、平均値をとりますと、必ずしも担保を必要とするという線までいっておらないわけでございます。それから、かりに担保の必要がございましても、今度の場合は、水害とか、そういう場合と違いまして、家屋なり工場そのものは物的な損害は少ないわけでありますから、担保物件そのものは、ほかの水害とか火災とか、そういった場合に比較すると、事欠くような事情はないのではないかと考えております。  商工中金の場合は、これは貸し出しがかなり伸びて、十三億近くなっております。これは組合を相手にいたしまして、一括転貸という方式を利用しておるためであろうかと思うのでありますが、これはまず問題は少ないのではなかろうかと考えております。
  95. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員 ただいまのお話で、国民金融公庫の関係は、これはよくわかるのであります。中小公庫は全国平均で百三十万くらいだと言われますけれども、私どもの方で、たとえば燕の例をとりますと、これは輸出産業が多いわけです。一カ月間の生産停止になると、運転資金として一千万円くらいの金はどうしても必要になってくる。雪害の場合、今、新保さんは、担保は半分ちょっとであれば国民金融公庫はいいとか言われますけれども、実際には経済はもうずっと雪害と無関係に動いておるものですから、そこでみんな借りておるわけですよ。雪害になってから新担保といっても、全部の運転資金なり設備資金なりで目一ぱいの仕事をしている。そういうような関連ですから、雪害のときに借りようと思っても、担保をたくさん持っているのは少ないのです。ですから、そこで銀行に代理貸し等を通じてやる場合には——普通の金融でありますと、当然大事をとっていろいろ金融機関がそういう慎重な態度でやることはわかるけれども、雪害のような場合には、政府がある程度そういう点の一割や二割の損は覚悟ぐらいのつもりでほんとうにスムーズにあっせんをしてやらぬと、実際の被害者は困るのではないか、こういうことなんで、一つなおよく実情調査を願いまして、よろしく御善処を願いたいと思います。
  96. 稻葉修

    稻葉委員長 次は、運輸関係に移ります。細田吉藏君。
  97. 細田吉藏

    細田委員 私は、気象関係、運輸関係、郵政関係につきまして若干の質疑をいたさんとするものであります。  今回の豪雪災害にあたりまして、一番基本的な問題である気象、交通、こういったようなものが一番あとになっておるのでございますが、本来は一番先にやられるべき重大な問題だと思います。これは順でそうなったと思うのですが、時間がございませんので、懇談会の経緯もございますので、項目はたくさんございますが、私は要点だけお尋ねをいたしたいと思いますので、答弁も結論だけ一つ簡略にお願いを申し上げたいと思います。  第一に、気象庁長官にお尋ねをいたしたいのでございますが、先ほど堂森委員からも話が出ておりましたが、長い間いわゆる暖冬であった、これが三十五、六年、引き続いて本年といったように、雪がまた非常にふえて参っておる、この点につきまして、やや長期的な見通し——もちろん困難なことではございましょうが、現在気象庁として得ておられる長期的な結論について、長官から御表明いただきたいと思います。
  98. 和達清夫

    和達政府委員 お答え申し上げます。  昭和二十四年ごろから暖冬といわれておりまして、一般に気温が高く、雪も少なかったのでございますが、この暖冬は一昨年あたりからぼつぼつ解消いたしまして、今後はその暖冬以前におきまして雪が相当降った時代に返ると予測されております。
  99. 細田吉藏

    細田委員 気象庁の今回の豪雪に対するやや長期的な予報につきましては、かなり見通しが立っておりまして、警告を発しておられたようでありますが、地域的あるいは短期間的に見ますると、まだまだ予報必ずしも的確でなかった面もあるようでございます。現地へ私ども参りますと、そういう時期的、地域的には不十分な点も多かったと思うのでございます。これは単に気象庁を責めるというよりは、こういった点で気象庁の業務面における整備あるいは研究の強化、こういう点につきまして今後特段の方法を講じていただかなければならぬ、こう考えておるのでございますが、気象庁としては現在どういうふうにお考えになっておられますか。
  100. 和達清夫

    和達政府委員 お答え申し上げます。  まず第一に、今回の予報は、現在の施設、人員としましては適切に行ない得たと聞いておりますが、この大雪に対して、職員が通勤するにも不便、また観測するにも不便をいたしましたので、それらを改善いたすことは当然でありますが、そのほか、さらに的確なる予報を出しますために、たとえば観測面におきましては、レーダーの増設あるいは高層気象観測の拡充、局地雪量観測の充実あるいは海上気象観測の強化、あるいは部内部外の観測資料の収集の拡充というようなこと、またそれに必要なる気象観測班の通信を増強するというようなことを考えております。また、これらをいたしますにも大雪に対する研究が必要でありますので、豪雪に対する研究を十分に進めたいと考えております。
  101. 細田吉藏

    細田委員 気象庁につきましては、まだまだ詳しくお尋ねいたしたいと思っておるのでございますが、時間がございませんので、ただいま私が申し上げましたような業務面における整備あるいは研究の強化に対する具体策については、資料をもってお出しをいただきたい、かように存ずる次第でございます。  次に、日本国有鉄道の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。国有鉄道の幹線がとまるということが、いかに大きな被害をもたらすかということにつきましては、もう本委員会の各部面についてすでに私が申し上げるまでもないほど現われておるわけでございますが、まず除雪の問題について私申し上げたいと思います。  国有鉄道も、私は三十五、六年にも雪害地に参りまして、その節にも申したのですが、長い間の暖冬で、除雪、防雪ということについて、これはやむを得ないと言えるかもしれませんけれども、やや手が抜かれておったのではなかろうかという感じがいたすのでございまして、その点、三十五、六年以来、防雪計画を立てられるとかいろいろやっていただいて、今回若干の効果はあったようでありますが、とにかく間に合わない、従ってこうした大きな雪の被害をさらに大きくするという結果になったと思うのでございます。そこで、まず除雪につきまして申し上げたいのですが、鉄道道路、これは国有鉄道私鉄、本線、幹線、こういったものにつきまして私ども現地で見て参りますと、除雪の順位といいますか、これは運輸省、国鉄だけの問題ではないと思うのでございますけれども、もっとあらかじめはっきりさせておくべきではないかということを痛感いたしておるのでございます。と申しますことは、たとえば国鉄の北陸本線、上越、信越線、こういったようなものをまつ先にやらなければならぬということは、これは当然のことでございますけれども、これが支線でありまする、道路との関係、どういう順序に考えていいかというような点、これは自衛隊の出動等にも関連するわけですが、必ずしも大事なものが先に開かれておったというふうにも見るわけにいかない点も多いのでございます。これはあるいは政府全体の問題かもしらぬと思うのですが、私鉄にいたしましても、これは簡単に、私鉄ならやむを得ないというような感じがあるとすれば、大へんなことでございます。私は現地へ参りましたときに聞きましたのは、富山臨港線  御承知の通り工場地帯が富山臨港線の先にあるわけでございますが、臨港線の開通のごときは非常におくれておる。そうしたことで、政府全体としての順位の問題、それから国鉄の中の順位の問題等についても、これはあらかじめ準備をして考えておいていただかなくちゃならぬ。こういった点について、これは運輸省の方と両方からお答えをいただきたいと思います。
  102. 広瀬真一

    ○広瀬(真)政府委員 ただいまおっしゃること、まことにごもっともでございまして、今回の雪害におきましても、現地対策本部で知事が中心になりましてそれぞれ順位を考えておる次第でございます。まず第一に国鉄の幹線、これは申すまでもないことでございますが、その次、私鉄あるいは国鉄の支線というものは、現地で国鉄当局と打ち合わせをいたしまして、たとえば私鉄につきましても、重要な交通路につきましては、国鉄に従事しておりました自衛隊の除雪要員というものを一部さいてあげたというような例もございますので、道路との関係も、交通全体をにらみましてそういった点は一応やってきたつもりでございますが、今後さらにそういった点を十分に考慮して参りたいと考えております。
  103. 細田吉藏

    細田委員 国鉄も同じ意見だと思いますから、私がお願いすることは、具体的に今後計画を立ててやっていただきたい、準備を持っていただきたい、こういうことでございます。それからさらに、先般懇談会でも西村委員から話が出ましたが、これは日本国有鉄道の中の話ですけれども、国鉄の中には縦のいろいろな系統がある、また横にも支社組織その他の問題がありまして、これらの関係が、除雪、防雪という点、あるいは開通後の輸送というような点につきまして、若干の問題を各方面で起こしておるようでございます。こういう点につきましては、災害全体についても言えることですが、豪雪は、ただいまも気象庁長官の言われるように、今後しばしば起こると考えられるのでありまして、こういう点につきまして平素から組織的にあらかじめ考えておいていただきたい。また、国鉄の本社の、どこが中心になって防雪、除雪というようなものを今後やっていかれるか、あらかじめの準備、あるいは災害が起こった場合の対策、こういったような組織の問題についてお考えがあれば承りたい、こう思います。
  104. 滝山養

    ○滝山説明員 今の先生の御質問に対してお答えいたしますが、国鉄の平常の組織というものは、平常の態勢に対処するような形になっておりますけれども、輸送を使命としておりますので、非常の場合には、本社に対策本部をつくり、また支社、管理局にあるいは出先の対策本部をつくることになっておりまして、今回もそういう措置をしたわけでございますが、しかしながら、不なれな点もございまして不手ぎわになっております。こういう点につきましては、対策本部で今後の問題を今まとめておりまして、先般も支社、管理局の意見を徴し、本社並びに各主管局の愚見をまとめまして、今後こういった場合の組織の問題、それから輸送体制の問題、それからまた、今後技術開発をしなければならぬ問題と分けまして、今まとめておる最中でございます。
  105. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私、西村ですが、細田委員が言うたところはどこだか、あなた御存じでございますか、私が言うたところはどこだか御存じかどうか。御存じでないとするならば私申し上げますが、米坂線です。あそこは新潟管理局と秋田管理局に分かれておりますが、当然通るべき地域もそのために交通が不通であるという、こういう事実があるわけでございます。その点つけ加えておきます。
  106. 細田吉藏

    細田委員 もう一点、除雪の問題について、現地でいろいろ問題になっておりますことは、国鉄の除雪人夫の問題でございます。人夫賃の問題、並びに労力自体の問題、農村部の労働人口の構成が非常に変わってきていることは、私が申し上げるまでもないことですが、現地ではいわゆる除雪に出てもらう人手の問題、それから金の問題でございます。これにつきましてはいろいろむずかしい点もあろうかと思いますが、むずかしいと言っておれない問題でございます。そこで、これらについての今後の十分なる対策を国鉄としてはあらかじめ考えておいていただかなければならぬ。人手が足りなければ——これはあとから申し上げようと思っておりますが、機械力強化といったようなことは五カ年計画でおやりになっておるようでございます。あとから聞きますけれども、これをもってかえるとか、とにかく鉄道だけはあけておくんだという強い御決意のもとに準備が必要かと思うのでありますけれども、この辺お伺いしたい。
  107. 滝山養

    ○滝山説明員 御指摘の、従来の国鉄は、沿線に除雪組合をつくりまして、冬になりましたら労力を提供していただくという体制であったわけでございますが、今次のような豪雪になりますと、人手の問題も限度がございまして、それから御指摘の賃金も、平生ならばこれであまり問題にならなかったようでございますが、今回は非常の場合で相場として非常に高いやみの値段が出たために、従来安いんじゃないかという御意見もございましたが、この点につきましては、従来労働省の基準を尊重してやっておりますので、失業保険との関連その他も十分検討いたしまして薄処したいと思っております。それからなお、従来は労働力に依存しておったのでございますが、御指摘のように、農村人口の今後の減少もございますし、私どもといたしましては、今後これにはやはり除雪の設備、並びに機械力によってこれにかえなければならぬということを痛感しておる次第でございます。
  108. 細田吉藏

    細田委員 除雪の問題でもう一点だけ申し上げたいのです。これは詳しく言うと何ぼもあるのですけれども、自衛隊が国鉄に対して非常にたくさん応援をされて、非常な活躍をされております。私ども現地で隊員の皆さん方にも感謝の気持でお会いをいたしたのでございますが、この受け入れ態勢につきましては、現地ではいろいろ骨を折っておられるようでございますが、遺憾ながらまだ十分とは言いがたいものが多々あると思うのでございます。こういった点につきまして、今後もこれは必ず起こるといってよろしいかと思うのでございまして、これの受け入れ態勢を、個々のことは私申し上げませんが、万全を期してもらうということと、また他の支社、鉄道管理局等からの応援隊が参っておりますが、大体雪のないところからの応援隊が——今度のように全国的に雪が降りますと、雪はあまり知らぬというようなところからの保線の従業員等の方々の応援隊が行っておられるようでございますが、こういった受け入れ態勢につきましても、国有鉄道として十分な御考慮が必要であろうと思うのでございます。この点につきましてお伺いしたい。
  109. 滝山養

    ○滝山説明員 今回の豪雪は何分にもわれわれとしては初めての体験でございまして、北海道を除く全管内の保線の工手、個人々々で申しますと約半数に当たるものを動員したわけでございますが、御指摘のような点はあったと思います。また自衛隊につきましても戦後最大の動員ということでございますので、いろいろと困難もございましたけれども、今回の体験を生かしまして——やはり地元の県当局、地元の御協力がなければなりませんが、われわれといたしましてもこういう体験を生かして、今後の準備を十分事前に打ち合わせておきたいということを今考えております。
  110. 細田吉藏

    細田委員 もう一点、除雪の問題で準備がいいか悪いかということに関連しまして申し上げたいのですが、私どもは高山線を通って富山に参ったのでございます。高山線が開通しておったということは、今回の北陸三県にとっては非常に大きな生命線になったわけでございまして、もし高山線が不通であったら、もっと大きな被害になったのではないかというふうに思うのであります。ところが高山線の状況を聞いてみますと、元来が非常に雪の多いところであるせいもあろうと思いますが、非常に準備がよろしいし、またいろいろな除雪に対する手配等がよかったと私は見て参ったのでございます。新潟方面につきましても、磐越西線があいておったということは、これまた非常に大きなことでございます。信越、上越がとまったときに、磐越西線があいておった、ここらに全体としての国鉄の雪に対する対策について遺憾な点がなかったかどうか。まあよくやったところはほめていただかなければなりませんが、こういう点は別段御答弁を求めませんが、今後一つ今回の実情検討された結果を十分に生かしていただきたい、これはお願いいたしておきます。時間がありませんから、答弁は求めません。おっしゃる通りというようなことでございましょうから、答弁は要りません。  次に施設関係について申し上げたいと思いますが、国鉄の防雪計画は、三千五、六年の豪雪に対処いたしまして、防雪林、流雪溝その他をいろいろやっておられるようでございます。これにつきまして五カ年計画を立てられたことは、おそきに失したかもしれませんが、とにかくある程度の効果を今回の豪雪で持ったと思います。しかし、残念ながらスピードがおそい、間に合わないというようなことが今回の豪雪で実証されたわけでございます。これらについて改訂をなさる用意があるかどうか。また、一部山陰に今起こっておりますが、今後各地に起こりますなだれというような問題につきましても、あわせて強くこの計画を改訂して入れていただく必要があろうと思うのでございますが、いかがでしょう。
  111. 滝山養

    ○滝山説明員 御指摘通りでございまして、三年前の豪雪時の体験を生かしまして雪害対策五カ年計画をつくったのでございます。総合計約百億ばかりのものをきめまして、その中で即刻効果の上がります通信線のケーブル化あるいは無線化というようなものもすでにでき上がって、今回は非常に大きな効果があったわけでございますが、ほかの設備につきましては、やはり地・元の協議その他もございまして、若干おくれております。それから除雪車につきましては、昨年以来いろいろ技術開発をいたしまして新しい型のものを試作、試行中であったのでありますが、今回の体験にかんがみまして、今後暖冬がなくなってまた豪雪が続くということになりますと、もっと力を入れなければならぬじゃないか、それから雪の範囲が非常に広がって参りましたので、従来の地域よりも拡大しなければなりません。従って、今除雪対策の案をまとめておりますが、おそらく従来の数倍の規模にしなければ十分対処できないのではないかと思っております。それから、何と申し上げましても大きいのは、やはり幹線が単線であったがために十分にラッセル車も入れなかった、あるいは上越についても、あとの復旧に非常に困難を感じておりますので、やはり主要幹線は早く複線化しなければならない、こう痛感しているわけでございます。現在の五カ年計画では、いわゆる豪雪地帯につきましては、北陸線の富山以西あるいは上越線の大部分というものは入っておりますけれども、この経験にかんがみまして、それ以外の富山から東の北陸線とか、信越線、羽越線、奥羽線あるいは東北線の北部、あるいは山陰線というような地方につきましても複線がどうしても必要だと思われますので、今度の五カ年計画の終わりごろから次の五カ年にかけましてこの複線化を織り込むような計画を目下検討中でございます。
  112. 細田吉藏

    細田委員 複線の話は実はこれから申し上げようと思っておったのでございますが、世界水準をいくという東海道新幹線もできます。また最近は青函トンネルも試掘孔を掘ろうか。また国有鉄道の技術陣営というものは世界的なものだといわれておるのでございます。鉄道技術研究所も非常にりっぱなもので、これも世界的なものだと思うのであります。そこで、ほかの技術が非常に進んでおるにもかかわらず、雪に対する技術的な立ちおくれというものは、これは争うことができないと思うのでございまして、この点につきまして技術研究所なんのか雪に対する体制はどのようになっておるか。この機会に徹底的に強化し、新しい機関車が、除雪機関車が一時できるというようなことでなくて、やはり根本約に考えていただく必要があろうかと思うのでございます。今でもカンテラをともして、カンテラでポイントを暖めておる、また一部電流を流してポイントを守るということもやっておりますが、これも現地で聞いてみますと、吹雪の場合などには必ずしも役に立たなかったというような事例もあるようであります。私は北陸から帰りましてすぐ総裁に対して、技術研究所の方が現地へ行って現場の人たちの声を聞いていただくようにというふうな御要望もいたして、多分そうしていただいたと思うのでございます。こうした科学技術の研究につきまして、現況と将来に対する考え方、これをお尋ねいたしたい。
  113. 滝山養

    ○滝山説明員 国鉄の技術研究所の中に雪の部分の研究部門がございまして、ここにおきましては、風洞によります、雪と同じような粉を飛ばしまして、どういうようなさくなり防雪林をやったらいいかというようなことを基本的に研究しております。それから除雪機械につきましても、北海道の雪あるいは北陸の雪に適したような機械の開発をやっておりますが、何と申し上げましても国鉄として誇り得るものは、塩沢に現地の実験所がございます。ここは昭和二十三年から開きまして、一五名の人間が常駐いたしまして、ここで雪の基礎的な研究、それから雪がいろいろ構造物に及ぼしますいわゆる力と申しますか、なだれの対策、なだれの実験というようなものをやっておりまして、こういった事柄が今回非常に大きな役割を果たしております。各線区のなだれに対する警戒もヘリコプターを今使っておりますが、これに対する指導とか、あるいは危険な個所の人工なだれによりまして危険を防止するというようなことも、この塩沢の技術員が現地で指導をやっております。また、今御指摘のような点につきましても、今後一そうこの研究の成果を生かしまして対策をとりたい、こう考えておる次第でございます。
  114. 細田吉藏

    細田委員 そこで、先ほど一部御答弁があったのでございますが、複線電化の問題でございます。この点につきましては、先ごろの懇談会でも非常に大きな問題として取り上げられ、複線電化については、これも予算を伴う問題でございまして、むずかしい点もあろうかと思いまするが、特に雪の地帯に対して複線の方がより大きな効果があると思うのでございます。こういう点につきましては、国鉄の五カ年計画というようなものを改訂される機会もすぐきておると思うのでございまして、先ほど答弁がございましたが、重ねてこの点にお伺いしたいと思います。  それで、今計画されておる複線電化区間はさらに検討していただいて、たとえば山陰でございますとか、あるいは高山線でございますとかいうようなところにつきましても御検討願う余地があるのではないかと思うのでありますが、具体的な線は別といたしまして、さらに御検討いただきたいと思うのでございます。
  115. 滝山養

    ○滝山説明員 御指摘の、国鉄の幹線が単線でございますために、平素の輸送に弾力がございませんので、いろいろ御迷惑をかけておりますし、こういう有事の際にも十分公共性を発揮し得ないうらみがございますので、その点は十分反省いたしまして、今五カ年計画の改訂を検討しております。しかし、これの実現には、根本的には何と申し上げましても資金の問題がございますので、その実現には先生方の力をお願いいたしたいと思います。
  116. 前田義雄

    前田(義)委員 関連して。ただいま五カ年計画の改訂というような問題も御配慮があるということをお聞かせいただいたのですが、過日の懇談会の席上で常務理事の話によりますと、大体計画路線があるようでございます。その計画路線というのは大体どんなふうになっておるのか、発表できればちょっと御発表願いたい。——今こちらから御注意もありましたから、資料一つお知らせをいただきたいと思うのでありますが、特にこの際申し上げておきたいことは、先ほど細田委員からお話がありましたように、縦貫する鉄道というようなものが今非常に役に立ったというお話があったわけです。これは非常に重要な問題だと思いますので、こういう点についても十分御配慮の上、一つ資料をいただきたいと思います。
  117. 細田吉藏

    細田委員 国鉄の問題はこれだけにいたしたいと思いますが、これも御答弁は要りません。私が現地で見て参りまして今後十分に御検討願いたいという点でございます。  、長距離列車をやめる、こういう措置につきましては、一部を除いて私はやむを得なかった、適切な措置であったと思うのでございますが、しかし、いろいろ困難な事情がございましょうが、短距離列車をやめるということについて、これはいろいろ批判するのはどうかと思うのですが、行き過ぎた点があるのではないだろうか。短距離でも、これは通勤あるいは除雪、いろいろなことに、先ほど来話が出ておりますように非常に関係を持っておるのであります。線路がとにかくあいておって、何とか短距離でも動かせたら、一般の間接の被害というものが非常に少なくなったのではなかろうか。一級国道でも、除雪されたといっても、これはあとから申し上げますが、事実は、交通の要に供すべくもないというような程度の啓開の状況であるというのが実情でございます。そういたしますと、何とかして通れるものならば、しかもそのために全体の除雪をおくらせるとかなんとかいうことは困りますけれども、もう少し短距離列車について、特に通勤者等の輸送についての考え方を入れる必要があるんじゃなかろうかというふうに、現地を見て参りまして思ったのでございます。この点につきましては、今回の実情をごらんになって、一つ十分——短い距離のものはどうでもいいとはお考えになっておらぬかもしれないが、非常に工場や商店その他いろいろなところで大事な問題になっておるわけでございます。たとえば、富山と金沢の間を、小運転といいますか、その運転をするだけでも非常にたくさんな通勤者が助かったりいたしますので、この点は十分な御研究をいただきたいと思います。これは御答弁の要はございませんので、念のために、今後の問題として十分なる御検討、御配慮をお願いいたしたい、かように考える次第でございます。  なお、貨物の問題につきまして、私はおそらく現在でも輸送制限が相当なされておるのではないかと思います。先ほど通産からもいろいろお話がございましたが、膨大な量の送り不足がなかなかそう簡単に解消するというようなことはないと思うのであります。従って、この輸送制限も、ある程度能力がございませんければやむを得ませんが、それだけに、何を送るべきかという点につきまして、通産、農林その他関係方面との御連絡を十分にとっていただく必要があろうと思います。この点は十分おやりいただいておると思いますけれども、これも組織的に一つ平素からお考えおきをぜひお願いいたしたいと思うのであります。これも答弁は要りません。考えていただくということですから、あとで何かありましたら一括御答弁いただきたいと思います。  最後に、国有鉄道については、収入減も含めましてかなり大きな赤字が出ておると思うのでございますが、この点についてはどのようにお考えになっておりましょうか。
  118. 滝山養

    ○滝山説明員 今御質問の点につきましては、正確な数字は掌握しかねますが、大ざっぱな減収といたしまして、除雪のために要しました経費というものは大体十八億くらいと見られております。それから収入減というものは三十四億くらいございまして、大体合計五十三億くらいではないかという今見通しでございます。これは正確なことは、もう少し時間がたってみないとわかりません。
  119. 細田吉藏

    細田委員 まだまだありますけれども、あくまでも最後にお願いしておきたいことは、国有鉄道がとまるということは、非常に各方面に与える影響が大きゅうございます。今後は絶対にとめないというかたい御決意のもとに、万全の措置を講じていただきますことを国有鉄道当局に特に要望申し上げ、また運輸省の方に御要望いたしたいと思います。  それから次に私鉄の問題に入りたいと思うのでございます。私鉄につきましても、今申し上げましたようないろんなことが国有鉄道と同じようにございます。この点につきましては、時間がございませんので省略いたします。全部私鉄も同じでございますから、今申し上げたようなことにつきまして、運輸省におかれて、国有鉄道一体になって、除雪の問題あるいは除雪計画、いろいろな点を御検討いただきたいと思うのです。  これから私申し上げたいことは、私鉄の特殊な問題でございます。道路除雪につきましては、雪寒道路確保法によりまして、国が補助金を指定された道路については出すことになっておるのでございますが、これは私鉄の併用軌道の問題ではなくて、単独的な、国鉄と同じような私鉄につきまして、除雪をしなければならぬ責任者は私鉄であろうと思うのでございます。ところが、平素の除雪につきましては——平素と言いましょうか、雪が格別でない通常の状況でございますれば、これは初めから経費考えられておると思うのでございますが、今日のような異常な雪害の場合、これの除雪は、しかも地方からはやいのやいのと言われる、これを会社は一日も早くやらなくちゃならぬ、雪どけを待っておって、それまで手をこまぬいておるというわけにはいかないことは、申し上げるまでもないことでございます。こういう点から考えますと、私はどうも片手落ちがあるのではなかろうか、私鉄除雪についてこれは何らかの方法考えてやらなくちゃいかぬのじゃないか、かように考えておるのでございます。その点につきまして、地方鉄道軌道整備法を先年改正いたしまして、これは集中豪雨、台風災害についてでございましたが、若干の道が開けておるというふうにも考えるのでございます。しかし、この法律では私は不十分だと思うのでございまして、根本的な考え方として、この私鉄除雪——私鉄は私企業であるから会社でやったらどうだ、やるべきだ、こういうお話懇談会の席上でございましたが、私は、単なる私企業と考えるべきではないので、ただ私鉄が、あける方が得か、あけない方が得かということで、そろばんずくでやらるべき性格のものじゃないと思うのです。そういう点で、根本的な考え方として、これは何らかの救済の方法を講ずる必要がある、こういうふうに思うのでございますが、この点について今日までいろいろ御検討いただいておると思いますので、運輸省から簡単に一つ御答弁いただきたいと思います。
  120. 岡本悟

    岡本政府委員 地方鉄道軌道整備法の第三条第一項の第四号で、「災害復旧事業を施行してその運輸を確保しなければ国民生活に著しい障害を生ずる虞のあるもの」というふうに出ておりますので、この適用で、ただいま仰せの除雪経費については国庫で援助できる、かように解釈いたしております。ただし、運用方針というのがございまして、これは大蔵省との問できめたものでございますが、法律上はそうなっておりましても、運用上、異常な天然現象による災害というのはどういうものかということをきめておるのでありまして、異常な天然現象による災害とは、洪水、地震のほか暴風雨、暴風雪、高潮、山くずれ、地すべり等により生じた災害をいい、積雪のため運行休止した場合は含まない、こういうことになっておりますので、この運用方針を改める必要がある、かように考えております。法律上の解釈といたしましては、これを対象といたしまして一向差しつかえないというふうに存じます。  それからもう一つは、この補助率でございますけれども、政令で二割となっておりますので、二割ではいかにも少ないので五割にしたい、かように運輸省考えておりますが、政府部内の調整はまだできておりません。
  121. 細田吉藏

    細田委員 この問題につきましては、すでに懇談会の席でも詳しく申し上げてございますので、地方鉄道軌道整備法が適用できるということであれば、別に新しい立法は要らないと思うのでございます。しかし、現状のままでは両省申し合わせに入らないということになっておったり、あるいは二割の補助といった点、あるいは配当制限、これも五分という配当制限がある、こういう点について御検討いただくということになっておるのでありますが、結論だけ、運輸省大蔵省両省からお答えいただきたいと思います。私どもは、異常な雪害、異常な量の除雪をする際には、これは考えてやるべきではなかろうかということを確信いたしておりますので、両省の今までのお考えだけをお聞かせいただきたい。
  122. 岡本悟

    岡本政府委員 運輸省考え方は、先ほど申し上げました通りでございまして、異常な豪雪でございますので、当然この運用方針を改める必要があるというふうに考えておりますし、なお、補助率の二割は非常に低いので五割程度に改正すべきである、こういう意見であります。
  123. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 大蔵省考え方を申し上げます。  まず除雪の問題でありますが、従来から大蔵省考え方といたしまして、積雪災害ではないという考え方でずっと参っております。この鉄道軌道整備法にありまする大規模の災害の中に、積雪が入るか入らないかという問題でございますが、これは本来雪の降るべきところにただ雪が積もっただけのことであって、災害ではないというふうに考えております。従いまして、積雪の排除事業であります除雪、これは鉄道の維持のための事業でありまして、災害復旧ではないという考え方に立っております。
  124. 細田吉藏

    細田委員 本日は別に議論をいたそうと思っておりませんので、ただいま明白になりましたように、運輸、大蔵両省間に極端なる意見の相違があるわけでありまして、当委員会としまして、この問題につきましては今後十分善処していただくように、委員長に御要望申し上げたいと思います。  それから次に、私鉄並びに自動車に共通した問題でございますが、融資の問題につきまして御質問をいたしたいと思うのでございます。  鉄道、自動車ともに損害を受け、除雪をしなければならぬ、そのほかに収入減が大きなものがある。特に自動車につきましては、道路をあける責任は、言うまでもなく道路管理者にあるわけでございます。この道路管理者があけないために、やむを得ず動かない、こういうことのために損害がかなり大きなものが出るわけで、自動車なんかにつきましては、むしろその損害が一番大きいのじゃなかろうか。車庫がこわれたとか、自動車に水が入ったとかいうことよりは、その方が大きいと思うのであります。どうしてもこれらにつきましては金融措置を講じてやらなければならぬ。しかも、一回失われた運ぶべかりし乗客あるいは貨物、こういうものが失われましたものは取り返しがつかないわけであります。先ほど、賃金カットその他の問題について五島委員からもいろいろ御質問がございましたが、これらの問題も、労働基準局長が言われるように、バス会社について賃金カットや有給休暇を団体協約でやるというようなことが起こっているわけでございまして、これは私はそうなるのがあたりまえだと思う。バスがほとんど動かないのですから。私どもが参りましたときなどは、北陸三県九〇%運休をいたしておったのでございます。従って、これにつきましては先ほど私申しましたから省略いたしますが、自動車会社のごときは、除雪した費用については、道路管理者めんどうを見るべきだと思う。しかし、より一そう重大な問題は、低利で長期の融資をする必要があろうと思うのでございます。これにつきまして、ただい京のところでは方法がないというのが実態のようでございます。これについてどういうふうにお考えになっておりますか。これは両局長どちらか代表でお答えいただいてもけっこうでございます。それから大蔵省主計官の御意見もこれについてお伺いいたしておきたいと思います。
  125. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 自動車にも関連が多い問題でございますので、お答えいたします。  自動車につきましては、ただいまお話のように、今回の豪雪によりまして最も大きい影響を受けておりますのは、運行すべかりし路線が長期間にわたって運行休止をやっておる、そのために、平素であれば入るであろう収入の減というものが、指定地域全部につきまして最近調べました数字によりますと、約二十八億くらいになっております。これが自動車事業者として一番大きな影響でございまして、あと除雪費あるいは物的損害等がそれぞれ四億ないし五億ございますが、この減収をどうやっていくかという問題が最も大きいのでございまして、これには、ただいまお話のような思い切ったいい条件の融資をやっていただくということが何よりの救済策であると考えております。ただいまのところ、われわれといたしましては、たとえば、先般も通産の方からお話がありましたが、中小企業金融公庫あるいは商工組合中央金庫等につきまして融資のお願いをしておるわけであります。それぞれの出先の機関を通じましてこれらの金融機関あるいは財務当局にあっせんをお願いしておりまして、かなり進んではおりますが、中小企業以上の会社につきましては、ただいまもお話のように、現在のところ何ら方法がございません。政府全体の問題といたしましてこれは適当な手を打っていただくように、われわれとしてはお願いしておるわけでありまして、実情はそういうふうなことであります。
  126. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 融資の問題は、所管が銀行局でございますので、私からお答えするのは適当でないと思います。
  127. 細田吉藏

    細田委員 今の自動車局長の御答弁では非常に困るので、具体的にどこの金融機関からどうするという考え方運輸省の側から出していただいて、これについて銀行局で難色があるとかいうようなことでないと、いかぬ。方法が全然ないけれども一般的に頼むということでは、実は困ると思うのであります。そこで、どうしたら低利長期の融資ができるか、できれば政府関係金融機関あたりから出せるが、今出す道が全然ないわけであります。これは私鉄だ、バス会社だというと、みんな相当楽にやっているというふうな考え方に立っている方々も外部に多いわけです。あなた方はそうじゃないわけですが、何か市中銀行から借りればいいということなんだけれども、今問題になっているのは大私鉄のようなものじゃなくて、特に雪の降るようなところは、会社も小さいし、貧乏だ、配当も、五分だ、八分だ、あるいは無配だというようなところが半分以上あるわけです。こういう点について今まではどうも抜けておったんじゃないか、私はこう思うのでありまして、この点、時間がありませんから、詳しく御答弁を求めませんけれども、具体的な方法考えていただかなければいかぬと思う。そういうことをぜひ一つ考えいただきたいと思うのですが、何かお考え中でございましょうか。たとえばでもけっこうです。
  128. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 実は中小企業以外につきましてはただいま申し上げましたような実情でございまして、一般の市中銀行からの融資に対しまして、商業ベースにおきましては、会社状況いかんによってはいろいろ条件も違うことと思いますが、今回の豪雪対策としての融資という特例的なものはまだ何ら方法がないのでございまして、この点は対策本部の方に対しましても運輸省としてはいろいろ要求はしておるのでございます。ただ交通事業のみならず、一般的に市中金融機関からの豪雪による被害に対する融資の問題として、やはり対策本部の方で具体的な方策をきめてもらうという方向でお願いをしておるわけであります。
  129. 稻葉修

    稻葉委員長 対策本部でその問題を出したときに、本部長以下どういうことで処置をしましたか。官房長は出ているのだからおわかりだろうと思う。
  130. 広瀬真一

    ○広瀬(真)政府委員 私は本部員でありませんで、私のところの課長が出ておりますが、本部では、特に私鉄除雪費関係あるいは融資関係というものが出ておりましたが、運輸省からは、自動車を含めまして問題は提起しておりますが、来週また本部の会議がございますので、そこに具体的な運輸省考え方というものを提起したいと考えております。
  131. 細田吉藏

    細田委員 私は、これはどうしても何か方法考えなければ、最後は運賃の値上げになると思う。公共料金の値上げという問題は今やかましくて、締められる。また、雪国のものはそうでなくても貧乏しておるのが、運賃も高くなる、それも常時降るということならあるいはやむを得ないかもしれませんけれども、異常なる豪雪、そういうものが運賃にしわ寄せになるというようなことがあっては大へんなことだと思うわけでございます。踏んだり蹴たりということになりますので、少なくとも低利長期の融資くらいはめんどうを見る責任があると思う。この点一つ重ねてお願いいたしておきます。対策本部でやられるそうでございますから、ぜひ具体的に結論を出していただきたいと思う次第でございます。
  132. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 今の対策本部の考え方でございますが、これは私、本部員から聞いたところによりますと、バスにつきましては融資の問題は考えなくていいのかということを申しましたときに、バスについてはいいんだということになったそうでございます。
  133. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して簡単にお聞きしますが、最初に大蔵省に申したいのでありますが、私たち雪国の者は、開闢以来雪にさいなまれてきたので、宿命とあきらめる、こういう状況でありましたが、今やこれは明らかに甚大なる災害だという意識を持っておるのですよ。あなたの方で災害と認めない、こういうようなことをおっしゃると、これは雪国の住民の強い反感を買うということを心得てもらいたい。  次いで、今度は国鉄に申し上げますが、二つ鉄道管理局に分かれておる路線、それの連携調整が不十分だということは先ほど申し上げました。これは管理局制度でやっておるでしょうが、この間の緊密なる連携体制を完備してもらいたい。  第二番目は、国鉄の方針として、路線は機械力で、構内は人力で、こういう方針をとっておりまするが、この方針を私は悪いというのではございませんが、この方針に対しては補足する問題があるということであります。機械力でやったにしても、現実に私の方の問題なんかは機械力で通したけれども、両側が絶壁のように雪がたまっちゃって、それを人力でもって段切りをしなければ汽車は通せないということになっておるのです。ですから、単に機械力で路線を確保するというような方針だけでは、これはとうてい運行確保ということはむずかしいということをわかってもらわなければならぬと思うわけです。この基本方針に基づいて、ことしは、除雪人夫の登録ということに対しましても、機械を整備しておるから要らぬのだと言うたために、御自分の賃金収入を鉄道除雪賃金でこれを得ようとしておった人々も出かせぎに行った、こういう事態になっておるのです。ですから、路線は機械力ということにたより過ぎた結果が、結局人力を求めることが十分に行なわれなかったということになってくるわけなんです。だから、この点については、それを補足するこまかい対策というものは十分に考えられなければならぬということであります。  それから賃金の引き上げのことは先ほども話がありましたが、この場合のワクというものに縛られるのと、非常事態であるから、予算のワクは顧慮せずにやれという指示をした鉄道管理局と、二つあるのです。これはどこということは申し上げませんが、そういう場合に、ワクに縛られるということになって参りますると、必要な人間も使えないという状態になる。こういう非常事態にあたっては、そういう予算ワクというものを顧慮せずにやれという指令がはっきりと出されるように、常時指導をしておかなければいかぬ、こういうことであります。  それから、機械力にたよるといって、それも経費の節減を顧慮して、小型ロータリーというものでこの路線を確保しよう、こういう計画を立てられたが、それはまんまと失敗をしたという例が米坂線の例でございます。小型ロータリーは、線路上七十センチの積雪では、もうそれ以上になると進行はできぬということになってくる。こういうような能力の劣るもので路線の運行を確保しようとした計画、これは経費節減があまり極端に過ぎたということになってくるのでありまして、そういう点は再検討をぜひ必要とする。それから住民感情からいいますると、この線路の確保には、ここにこれだけの排雪能力を備えておるから安心してよろしいという体制は国鉄でとってもらわなければいかぬじゃないか。さあ雪が降ったから借りてこい、こういうようなことではやはり住民はこれに対して安心しておれないということになってくるので、小型ロータリーを配備する線路というものは、もっともっと雪の少ないところ、普通ラッセルなんかで簡単に排除される程度のところ、そういうところに配備するようにして、この点の技術的な再検討、これはぜひ必要であると思います。  大体そんなことでありまするが、私たちとしましては、国鉄の職員がくたくたになって、肉体の限界まで努力したということ、その労苦に対しては深く敬意を表します。それでありますので、国鉄も当然それに対する超過勤務手当というものは完全に支払いをしておるのじゃないかと思うのですが、こういう点は十分に確保してもらわなければならないと思うのです。そして理想的に申し上げますと、過般の昭和三十五年の豪雪の場合において、あなたの方の総裁が、大国鉄の面子にかけて国鉄の運行だけは確保する、こういうことを衆議院の委員会で言明されてあるはずでありますから、この言明が実を結ぶように、早急に努力してもらわなければならぬ。  以上のような点を申し上げましたが、御答弁、また反論というものがありまするならば、お話しを願いたいと思います。
  134. 滝山養

    ○滝山説明員 今御指摘の点につきまして、われわれも十分検討しておるわけでございますが、若干述べさせていただきますると、国鉄の企業性からいいまして、平素は予算のワクでできるだけ経費の節約ということは地方に努力させておるわけでありますが、一たん非常事態になりまして、ほかの交通機関がなくて、国鉄の除雪をして開通をはからなければならない事態というものが見通されました場合には、予算にとらわれずにやるという切りかえが要ると思うのであります。そういう意味合いにおきまして、今回管理局の境界を超越しまして応援体制をとらせるとか、あるいは予算についてもそういう指導はしたわけでございますが、若干管理局の局長あるいは幹部の判断によりまして食い違いがあった点ば申しわけないと思うのでございますが、今後はそういうことのないように改めたいと思います。  それからロータリーにつきましては、実は大型ロータリーというものは、ある程度線路をはさむというか、非常に速度がおそうございますので、雪にやられたときに使おうという体制になっておりますので、小型ロータリーはなるべくひんぱんに通して、なるべくそういうことをしたくないという配慮から昨年から配置したわけでございまして、決してその線区をあなどったわけではなかったのでありますが、今回の豪雪が予想以上でございまして、結果として大型ロータリーを使わなければならなかったということは遺憾でございます。そういう点につきまして、十分今後の列車の規制、それから除雪車の入れ方、それからまた、どういった種類のものがいいかということを至急検討いたしまして、今後遺憾のないようにしたいと思います。  人夫につきましては、私ちょっと詳しくはまだ検討いたしておりませんが、本線とても機械除雪だけによっているのじゃございませんので、ラッセルの通ったあと、側雪をより早く排除するために段切りをする、段切りをするためには人間も使わなければなりませんし、それからまた、一つ方法としてキマロキ運転もやるわけでございますので、若干その見通しが食い違ってあるいはそういったことがあったかもしれませんけれども、決して中間だけは機械、機内は人力というルールではございませんので、構内につきましても今流雪溝を使い、また構内に向いた機械というものを一部使っておりまして、今後もまた大いに使わなければならぬと考えております。
  135. 細田吉藏

    細田委員 二時から本会議が始まるというので、私大体やめることにいたしておったのですが、最後にもう一点だけ。これはほんとうは運輸大臣に特にお願いしたいと思ったのですが、官房長お見えですから、ぜひ聞いておいていただきたい。  昨日も私、徳安副本部長並びに建設政務次官が出ておられたから御要望しておいたのですが、道路交通の問題。私はこの雪害現地へ行ってみまして、非常に大事な問題が忘れられている。それは、鉄道の場合ですと、線路をつくる人、維持管理をする人、上を動かす人、みんな国有鉄道なら、国有鉄道地方鉄道なら地方鉄道がやっておるわけです。道路の場合はこれが違う。つくる者はつくる者、維持管理する者は維持管理する者、走らせる者、監督しておる者は別である。それから交通警察、交通取り締まりをやっている者は別なんです。そこで、一級国道あたりにしましても、除雪して通れるということは、だれだかわからぬが言う。だれが一体言うのか。これはおそらく道路管理者が言うのが筋でしょうけれども、実際には通れぬのじゃないか。何キロにもわたって一車線が開通されておるような道路は、これは私は道路交通の用に供するというものじゃ、ないと思う。たとえば東京−熱海間が単線で歩いているようなものだ。こういうものはほんとうは交通の用に供せられるというものじゃないと思うのです。ところが、残念ながら、これは道路の使命というものが変わってきたために、起こってきておって、これからどうしても検討しなければならぬ問題だと思うのですが、交通の警察でもない、交通というものを管理するというか、運営するというか、規制するというか、そういうものがおらないと、今の状況ではどうにもならぬというのが実情なんです。これは運輸省だけの問題じゃございません。役所にしていえば、少なくとも建設、自治、警察、そういうところへかかってくる問題でございますが、このために昔と違って道路の使命が強くなっておりますから、大混乱を起こしておるというのが実情なんです。詳しくは申し上げませんけれども、私は金沢−福井間を十数時間かかってやっと行ったのですが、これは道路がどういう状況になっておるかということを把握しておらないということが一つ、それから除雪についてのやり方が、これはやむを得ないといえばやむを得ないのですが、どうしても今後考えていかなければならぬのは、基準がなくちゃいけない。どこには行き違い設備をつくる、こことここの問は少なくとも二車線分あけるというものがなければ、話にならない。数キロにわたって一車線だ、まわりの雪は背の高さよりずっと高い、ちょっとやそっとで行き違いができるわけがない。現状を把握しておる者がおらない。除雪方法についても、交通考えられておらない。それからさらに、これに対して、単線区間のような一単線しか通っておらないようなものに対して取り締まり規制がない。従って、何キロにもわたる一車線のところに両側から無制限に入ってくる、こういうことでございますから、混乱を起こす。これは自動車業者の損害なんかでも大へんなものだと思いますが、それよりさらに以上に、たとえばこの災害地で待っておる品物が届かない。大阪から福井まで四日も五日もかかる、こういうようなことでございます。これは道はあいている。全然通らないなら来ないわけですけれども、一応あいておるからといっても、やはり三日、四日かかっておるというような事情でございますので、この点は、これは運輸省だけじゃありません、だからきのうもお願いしましたのですが、自動車を担当しておられる運輸省交通を担当しておられる運輸省として、もっと除雪はこういうふうにしてもらいたい、こういうふうな輸送管理をしなければいかぬ、この輸送管理はどこがやるか、相当むずかしい問題があると思いますが、こういう問題を——これは都市交通でも同じことです。都市交通のこの混乱状況というものは、やはり同じような問題があるわけですが、今後の雪の地帯の道路交通の問題として私は非常に大きい問題だと思いますし、なかなか関係するところがたくさんございますので、うまくいきかねると思います。特にこの際交通を担当しておられる運輸省の皆さん方に申し上げておきたいと思うのですが、この点について何かお考えがあればお伺いしたいと思います。官房長でも自動車局長でも……。
  136. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 雪害地において今御指摘のようないろいろな事情があることは、十分われわれも承知いたしておりますし、また推測もできるわけでございます。卑見を申し上げることになるかと思いますが、平素は道路上のいろいろなそういった制限、規制というものにつきましては、標識で指示はしておりますが、豪雪その他臨時緊急の、しかもその状況一定期間続くというふうなときに対する標識にかわる応急の指示、制限、そういったものの徹底が欠けておるところに問題があろうと思います。これはお話のごとく、輸送行政をやっております運輸省だけの問題でもございませんので、幸いに内閣に交通対策本部がありまして、今お話のような関係各省の担当局長が幹事になって、私もなっておりますので、この交通対策本部にこの問題を提起いたしまして、政府といたしまして善処するように努力するつもりでございます。
  137. 稻葉修

    稻葉委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十四分散会