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1963-02-08 第43回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月八日(金曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 秋山 利恭君 理事 田中 正巳君    理事 岡本 隆一君 理事 佐野 憲治君       安倍晋太郎君    大高  康君       大野 市郎君    川村善八郎君       倉成  正君    小島 徹三君       首藤 新八君    谷垣 專一君       松浦 東介君    石田 宥全君       稻村 隆一君    田口 誠治君       堂森 芳夫君    西村 力弥君       広瀬 秀吉君    三宅 正一君       吉村 吉雄君    玉置 一徳君  出席国務大臣         国 務 大 臣 河野 一郎君         自 治 大 臣 篠田 弘作君         国 務 大 臣 志賀健次郎君  出席政府委員         総理府総務長官 徳安 實藏君         防衛政務次官  生田 宏一君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  大來佐武郎君         文部政務次官  田中 啓一君         厚生政務次官  渡海元三郎君         厚生事務官         (社会局長)  大山  正君         農林政務次官  津島 文治君         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君         運輸政務次官  大石 武一君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         郵政政務次官  保岡 武久君         労働政務次官  田村  元君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (道路局長)  平井  學君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君         自治政務次官  藤田 義光君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         外勤課長)   三角 嘉裕君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    宮崎  仁君         大蔵事務官         (主計官)   高柳 忠夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    加藤 悌次君         運 輸 技 官         (気象庁予報部         長)      鯉沼 寛一君         建 設 技 官         (道路局次長)尾之内由紀夫君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      松島 五郎君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君     ————————————— 二月一日  委員仮谷忠男辞任につき、その補欠として井  村重雄君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員池田清志辞任につき、その補欠として田  澤吉郎君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員井出一太郎君、正示啓次郎君、綱島正興君、  中馬辰猪君、濱地文平君、石山權作君五島虎  雄君、坂本泰良君、中村英男君及び松前重義君  辞任につき、その補欠として小島徹三君、倉成  正君、安倍晋太郎君、大高康君、松浦東介君、  石田宥全君堂森芳夫君、三宅正一君、稻村隆  一君及び西村力弥君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員安倍晋太郎君、大高康君、小島徹三君、松  浦東介君、石田宥全君稻村隆一君、堂森芳夫  君、西村力弥君及び三宅正一辞任につき、そ  の補欠として綱島正興君、中馬辰猪君、井出一  太郎君、濱地文平君、石山權作君中村英男君、  五島虎雄君、松前重義君及び坂本泰良君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(豪雪による災害対策等)      ————◇—————
  2. 稻葉修

    稻葉委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  御承知通り、去る五日、本院における今回の災害に対する雪害対策に関する決議において、除雪交通の打開、物資の供給と物価騰貴の抑制、商工、農林水産業救済保健衛生対策等災害復旧救助等緊急措置並びに抜本的な恒久対策等の確立を政府において措置するよう決議されたところであります。また、河野北陸地方豪雪非常災害対策本部長がいち早く現地におもむかれたことでもあり、この際、対策本部としての雪害対策の基本的なものにつきまして、河野本部長から説明を求めます。河野北陸地方豪雪非常災害対策本部長
  3. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま委員長からお話がありました通りに、私は本部長就任の翌日、まず北陸三県、続いて新潟地方状況を視察に参りました。  これら四県におきまする雪害状況調査視察いたしました結果といたしまして、まず第一に申し上げて御参考に供したいと思いますことは、御承知通りに、これらの地方は、一部の山間地におきましては例年相当降雪量を見ておるわけであります。また一部の地方におきましては、あえて山間地と申しませんでも、ある程度降雪量のあるところがあるわけであります。ところが、今回の雪は、これら例年相当量降雪いたしまする地区とは別に、従来比較的降雪量の少なかったところに非常な多くの雪が積んでおるのでございます。たとえて申しますれば、新潟県の三条その他その周辺の地区におきましては、一メートル内外の雪が例年降っておりまするところに、本年は四メートル、五メートルという雪が積んだわけでございます。知事さんのお話によりますと、従来は山間地に降りまする雪が、本年は里の方に雪が降ったのだ、しいて申せば里雪というべきものであって、そこに予想せざる被害が起こっておるのである、こういう御説明でございました。視察いたしますと、全くその感を深くいたしまするものでございまして、こういうことが言えるかどうか知りませんが、従来例年にわたって相当量降雪を見ておりまするところにおきましては、それぞれ地元諸君が、雪に対する防除、防雪の準備が行き届いておりまするから、これらの地方には比較的災害と思うようなものは少ないように見受けられます。ところが、今申し上げますように、従来雪の少なかったところに多量の雪が降っておりまするところは、そういう用意準備に欠けておりまするために、その災害が非常に大きいということが言われると思うのであります。この証左といたしましては、たとえば東京からこれらの地方に参りますにいたしましても、おおむね、丘陵地帯山岳地帯を乗り越えて平地に入るところあたりから積雪の量を増しております。でございますから、新潟の場合でございますと、清水トンネルを越えて、相当山地帯を通って長岡に入りまする手前のあたりから急激に雪が多くなり、そうして地元方々の困窮しておられる状態が見受けられます。とりわけ、ただいま申し上げました三条中心にしたところは、町幅も非常に狭うございます。従って、その狭い町幅に密集した人家の間に一面に雪が詰まってしまって、どうもこうもならないというような実情になっておることが見受けられます。もっとも、雪の量は新潟が第一、富山が第二、以下石川、福井というようなふうではないかと思います。その後の積雪によって多少の変化があるかもしれませんが、おおむねそういうふうに見受けられます。  そこで私といたしましては、ただいま委員長からお話のありましたように、御決議のありました通りに、まず第一に交通確保輸送、運送の確保という点に重点を置きまして、万難を排して国鉄輸送量は絶対に確保する、国道の開設も絶対にこれを行なうという意味合いにおきまして、それぞれ関係機関、さらに自衛隊諸君の御協力を得まして、私現地に参りましてから数日を経ずして、御承知通りにこれらの地方ともいずれも交通確保されておるのでございます。これは引き続き、今後も相当降雪がございましても、万全を期しまして、交通途絶は、何日というものではない、何時間という、時間の問題で解決するようにそれぞれ指示をいたしております。  最も御心配でございました生活必需物資一般物価等につきましては、かねて用意準備がありましたことと、各地方長官その他関係官もしくは市町村長さん、住民の諸君協力によりまして、物価騰貴はほとんど見受けられないのでございます。従って、一応民生は安定いたしておると申し上げて差しつかえないのじゃないかと思います。もっとも、ごくまれに一部の方々が非常に高い取引をやられたというような事例がないわけではないようでございますが、これらに対しては遅滞なくそれぞれの機関において取り締まりを励行いたしまして、現に生活は非常に安定しておると申し上げてよかろうと思います。  次に、保健の問題でございます。現在は、さしあたって保健の問題で問題になっておりますのは、屎尿の処理等でございますが、これらにつきましてもそれぞれの自治体の長等においていろいろと御苦心になっておられますが、日を経るに従って個々には相当の問題が起こるというふうに考えられますので、一日も早く町並みの中の除雪が必要であるというような意味合いから、最初におきましては、自衛隊出動の限界を、主要道路もしくは国鉄幹線ということに限ってお願いをすることにいたしておりましたが、やむを得ざる事情と考えまして、これら三条その他の、機械力をもって除雪困難な都市の中における除雪も一部自衛隊諸君お願いをして、すみやかにこれらの積雪を排除するということに手配中でございます。  さらに、中小企業、一部大企業経済行為の問題でございますが、これはこの大雪でございますために、原材料の入手難輸送の困難、さらに製品処理輸送困難等のために相当に大さな打撃を受けておいでのことは事実でございます。従って、これが金融面に及ぼす影響等考えつつ、また金融上これらの裏づけをいたしまして、経済の異常なる状態の起こりませんように、たとえて申しますれば、手形取引等が混乱いたしませんように、地元日銀支店長もしくは出張所長、さらに公社、公団の地元責任者、さらに民間金融機関等とも懇談をいたしまして、そして、こちらで通産、大蔵大臣から承って参りました感覚と地元のこれら諸君とのお考えとを調整いたして、現に地元におきましては金融経済取引について問題があるようには考えられません。いずれも正常に運営されておりますと同時に、今後、一部中小企業等におきまして、雪害のため相当打撃を受けられました諸君に対しては、非常の貸付をするというような心がまえを金融関係諸君お願いをいたして参りました。  次には、農村関係のことでございますが、これは、何と申しましても、だんだん雪の解けて参りますに従いましていろんな問題が起きる。今、この何メートルという雪の中では、さしあたって打つべき手はそうないのじゃないか。ただし、たとえば植林等相当被害を与えておるのではなかろうかという地元の非常な心配がございますので、これにつきましては、雪をのけてその下にある植林がどうなっておるかということを、まず解雪前に調査をして、しかるべき手当指導するように指示をいたして参りました。また、雪解けがおくれますために早場の苗しろ等に支障が起こるだろうという御心配もだいぶあるようでございますから、これについても、関係機関はすみやかに調査研究の上、いかような処置をとったらよろしいかということを、前もって前向きに指導するように指示をいたして参りました。  その他、さしあたり最も困っておられるのは畜産関係でございまして、酪農製品、たとえば開拓地における牛乳の処理、もしくは販売適期にきております豚の販売困難というような問題から、えさの問題等もございますが、これらについてもそれぞれの機関においてしかるべく協力を申し上げて、が最小限度にとどまるように指導して参ったつもりでございます。  ただ、これらの問題をこえまして、今後、地方責任をとっておられる方に一番問題になりますことは、何と申しましても、政府関係機関並びに各地方がどの程度対策費を使ってよろしいだろうか、使った場合に政府からどの程度補助がもらえるだろうかというようなことだろうと思いますので、各地方庁も、十分御検討の上、すみやかに意見を具して政府にお申し出を願いたい、政府関係機関に対しましても、自治省初めその他の関係機関におきまして、これら地方との間に緊密な連絡をとりつつ、どの費目についてはどの程度補助をいたしましょう、どの程度補助率補助をいたしますから、遅滞なくというような、前もって指導をするように、政府の方針をすみやかにきめて各地方庁に通達をするようにということで、目下鋭意検討中でございます。相なるべくは、事前指導において地元関係機関が十分活発に活動のできるように御協力申し上げたい所存でやっておるのでございます。  この間にあって、先ほどごく一部触れましたが、遺憾に考えられます点は、自衛隊諸君が非常によく活躍しておられますが、これらの諸君の活躍に対して、たとえば相当距離雪の中を現場まで往復しなければ、それぞれ泊まるところ、休むところがないということのために、直接の除雪の努力に加えて、現場に往復するむだな労力を払わなければならぬというような問題、さらに、すみやかに全国から機械力を導入すべく手当をいたしましたが、その輸送について一部手違いがございまして機械力導入が遅延した問題等々、必ずしもわれわれとして遺憾に思うことがないわけではございません。しかし、今日では、それらの問題——機械力にいたしましても、これら四県に対して所定いたしております数字は事務当局から申し上げますが、何百台かの大型の機械現地に到着いたしまして、それぞれ除雪作業に加わっております。  これらの御報告を申し上げるに関連いたしまして、この雪の中にあって、地元の方と政府関係機関、もしくはこれらの災害防除に当たっております者との間の関係ということになりますと、今後お互い考えなければならぬ点が相当にあるということを私は見聞いたしました。これらは今この際どうこう申し上げる必要もないことでございましょうし、また、申し上げたところでそれがどうなることでもないことと思いますから差し控えますけれども、問題は、地元方々の盛り上がりに対して、われわれ政府におきましては、あくまでも最大の御援助、御協力を申し上げるという態勢であることが望ましいと私は思います。ところが、今申し上げるように、あまりに雪が深いので、三条その他の市民の諸君のように、あるいはぼう然自失の状態にあられた数日間もあることは、これはもう申し上げるまでもないことであります。しかしながら、鉄道沿線等において、皆さんもお聞き取りのように、異常な賃金の高騰、さらに、ただいま申し上げますように、平たい言葉で申し上げれば、せめて自衛隊諸君現場付近方々が一晩の宿でも貸してねぎらっていただいたならば、もっと能率が上がるだろうと私はひそかに考えたのでございます。ところが、そういうようなことはどこにも見受けられないということでございます。また、除雪にあたって第一に困ることは、雪を捨てる場所のないことでございます。これだけ大量の雪でございますから、この雪を川に流すだけでは川もたまってしまう。どこにも捨てる余地がない。といって、雪を捨てるためにある一定の空閑地を用意しておくということは、できることではないと思います。やむを得ざる災害でございますから、お互いにそれぞれ融通し合って、あと多少の被害があるにいたしましても、ときには黙って雪を捨てさしていただいて、あとからでも問題を片づければいいじゃないかと思えるようなところも、事前に、雪を捨てるがよろしいか、同意がなければ許さぬというようなことのために、非常にこれらの除雪に困難を来たしているという事実、これらはいずれも、地方地方方々地方とこれらの事務に携わる者との間で今後十分考えなければならぬ点ではなかろうかと思うのでございます。  これを要するに、ただいま申し上げましたように、ただいままでのところでは一応の当面の処理はしてありますが、さらにすみやかに除雪をしなければならぬ場所等につきましては、全力をあげて除雪に当たっておるということをこの機会に御報告申し上げ、さらに、皆さんのいろいろ御注意によりまして、地元方々にできるだけ御協力を申し上げたいと考えておる次第でございます。     —————————————
  4. 稻葉修

    稻葉委員長 次に、災害対策に関し質疑の通告がありますので、順次これを許しますが、まず委員長から、概括的に三点、河野本部長に対しお尋ねをしたいことがありますので、お答えを願いたいと存じます。  第一点は、今次の非常災害対策本部設置はおそきに失したのではないか。  第二点は、北陸地方豪雪非常災害対策本部名称についてであります。北陸以外の全国各地においても豪雪による被害が発生いたしておりますので、この際、その名称の変更について、たとえば豪雪地方非常災害対策本部とするなど、お考えを必要とするのではないか。すなわち、所管区域名称は一致する必要があると存じますが、いかがですか。  第三点は、非常災害対策本部長権限についてであります。すなわち、災害対策基本法の第二十四条と自衛隊法第八十三条災害派遣との関係についいてでありますが、自衛隊災害派遣要請権、及び災害派遣時における本部長自衛隊に関する権限についていかがにお考えでしょうか。すなわち、非常災害の場合でありますから、自衛隊災害派遣につき本部長もまたこれを要請する権限がなければならぬと思うのでありますが、現在の自衛隊法ではそうなっておりません。この点について本部長及び防衛庁長官の所見をただします。  第二に、知事市町村長に対し、自衛隊に対する協力等について本部長指示権を持つ必要があると思います。ただいまの報告にも、自衛隊に対する災害地協力関係が薄いという報告がありましたが、そういう場合には、本部長みずからが、府県知事市町村長に対し、協力方について指示権を持ってはどうか。  以上三点につきましてお答えをいただきとう存じます。
  5. 河野一郎

    河野国務大臣 第一の、災害対策本部設置はおそかったのじゃないかということでございますが、御承知通りに、雪害というものが今次のように大きく強くきたことが、お互いにあまり経験がなかった。そのために、われわれといたしましては、地方報告地方要請によってこれが対策中央として講じて参ることが定石と考えます。委員長も御承知通りに、私が富山県に参りましたときに、その富山県は前日に対策本部をおつくりになったというようなことで、県の方から中央に御要請もしくは県の御報告が多少のそごがあったのじゃなかろうかというように考えるのでございまして、決してそれなるがゆえにどうこう申すのではございませんが、中央といたしましては、県の要請、県の報告を承りまして、遅滞なく処置をいたしたのでございます。しかし、今後におきましては十分一考を要する問題だろうと考えますので、検討はいたしますが、今次の本部設置につきましては、地方要請にこたえて中央としては遅滞なく処理いたしておるということで御了承いただきたいと思います。  第二の、北陸四県というような名前はということでございますが、実は私もそう考えておるのでございます。今、政府におきましては、これら四県以外の地区、たとえば島根を中心にした山陰地区、さらに東北地区等についても調査をいたしまして、これら四県と同様に対策を講ずる必要があるということでございますならば、その上で、今委員長の御意見等を十分参酌いたしまして、名実とも対策を拡大して参るということにやぶさかではございません。  第三の、自衛隊に関する問題でございますが、これは私は法律はふなれでございますが、緊急やむを得ざる場合、緊急中の緊急の場合には、御承知通り総理大臣がその発動について指示指導できる。現に今の雪害について対策本部をつくってそうして行なうという場合におきましては、むしろ私は、地方長官から要請をして、そうして自衛隊出動されて緊急に処することができないということはない、対策本部長はそれぞれ地方長官合議をして、そうして自衛隊に向かって出動要請するということで適当ではないか、こう考えております。ただし、そうは申しましても、今後におきまして、法に示してありますような緊急の事態が起こりますれば、これはまたおのずから別でございまして、これから本部長として当面を処理して参りますには、今申し上げたように、地元県知事合議の上、府県知事から要請するということで事欠かないというふうに考えております。  それから地方自治体等本部長として指導し、自衛隊協力いたすということ、これはその通りにいたす必要があれば、いたす所存でございます。
  6. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 防衛庁に対してのお尋ねでございますが、ただいま河野本部長からもお話のありました通り現行自衛隊法第八十三条によりまして、自衛隊または政府の判断でいつでも自主的に派遣のでき得るように相なっておるのでありますから、この点の運用によって、ただいま委員長からのお尋ねの点が解決せられると思うのでございます。従って、これまた河野本部長の申された通りに、自衛隊派遣につきましては、地方実情または事態状況を一番よく把握いたしております知事等要請を待って派遣するのが適当と考えておる次第であります。
  7. 稻葉修

  8. 倉成正

    倉成委員 ただいま河野本部長から詳細な御報告がございましたが、本年の一月以降の豪雪並びに寒波に対する災害対策についてお尋ねを申し上げたいと思います。  政府においていち早く北陸豪雪対策本部を設け、河野建設大臣本部長として北陸三県並びに新潟現地を視察されまして、現地において適切な指示をされたことは、従来にない政府の迅速な施策として深く敬意を表する次第であります。  そこで、本部長のお時間があまりないようでありますから、要点だけ二、三申し上げたいと思いますが、今回の異常降雪は、あるいは五十年来、百年来といわれておるわけであります。先ほど本部長も御指摘通り山陰その他の地方においては、必ずしも雪になれていないために災害を大きくしたきらいがあるということも御指摘通りであります。しかし、いずれにいたしましても、この北陸三県、新潟のみならず、山陰九州地方まで積雪がかなり大きく、場所によっては三メートルから四メートル五十という未曾有の降雪があったのが事実であります。そこで、まずこの災害対策に一番大事なことは、除雪作業をいかに能率的に迅速に進めていくかということにあるかと思いますが、除雪作業について、国鉄国道県道あるいは市町村道あるいは部落道、いろいろ分かれておるわけでありますが、これらの除雪をどういう責任分担をもってやるか。たとえば国道は国でやる、県道は県でやる、町村道町村でやるというように、分担を明らかにすることができるかどうか、またその費用分担をどうするかという問題についてお尋ねを申し上げたいと思うのであります。私の申し上げたいのは、できることならこの責任分担を明らかにして、費用分担もまた明らかにいたしまして、適時適切な対策をできるだけ講じていき、それに自衛隊なりその他の力を加味していくことにすれば、さらに迅速に除雪作業ができるのではないか、こういう意味でございますので、まずこの点についてお答えをいただきたいと思います。
  9. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。政府におきましては、ただいま御指摘通りに、建設省と自治省との間で合議いたしまして、一級国道は建設省地方建設局、二級以下の国道につきましてはそれぞれの道路管理者ということに責任分担を明確にいたしております。そこで、これらの費用といたしましては、さしあたり除雪費の残が、建設省で使いますものは一千万円、各府県に配分いたしますものは三千五百万円残額がございましたので、これをそれぞれの府県に分割送付いたしますとともに、目下四億六千万の予備費の支出を大蔵省と折衝中で、大体の了解を得ておりますから、決定次第これらをそれぞれの事業によって分けて送付するというつもりでございます。
  10. 倉成正

    倉成委員 それでは次の問題といたしまして、除雪作業を迅速に進めると同時に、交通確保するためには、交通整理が適当でなければならないと思います。これは国鉄にもいえることでありますが、たとえば、かなり道幅の広い道路の除雪をいたしましても、雪の量からいたしましてほとんど一車線の道路の開通だけしかできないわけでありますが、この一車線の道路に多数の車両が輻輳いたしますと、なかなか能率がうまく上がらないという事例が現地でもいろいろ出ておるようでありますが、これらの交通整理という点について、現地をお回りになりましてどういうふうなことをお感じになりましたか、また対策を講じられたか、お伺いをしたいと思います。
  11. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り、これら積雪地帯は比較的道路の舗装改修がおくれております。そのために、積雪除去の上に非常に困難を来たしております。幸いにして、一級国道、幹線におきましてはある程度の舗装改修ができておりますので、おおむね二車線を確保いたしております。間々、元来がまだ改修ができませんでおくれておるところもありますけれども、今申し上げた地方におきましては、最小限度二車線——というよりは、最大限二車線で、ようやく二車線すれすれに通る程度にまであげております。従って、平常のスピードの三倍ぐらいかかるようでございますが、ぶらぶら運転でどうにか通るということには相なっておりますが、これらはいずれも、先ほど申し上げましたように、機械力の導入がおくれたことがおもなる原因でございまして、その後相当多量の機械を導入しておりますから、日ごとに交通の整理はできておるということで、これにつきましては、地元警察もしくは関係の職員等の非常な努力によりまして、道路におきましては、その後、御報告で御承知通り、ごく一部を除いて確保されているようですし、また道路の方は、特別な峠——トンネルがあまり使えませんので峠になっておりまする関係から、どうしても峠を越えるところは鉄道よりもおくれます。そういうところで交通不能の個所が間々ございますけれども、その他平坦地におきましては大体確保されておるということが実情でございます。
  12. 倉成正

    倉成委員 当初においてわが党の視察団が現地に参りましたところの報告に基づいて申し上げたわけでございますが、ただいま本部長お話のように、だんだん正常に復しつつあるということは喜ばしいことと思うのであります。  そこで、次の問題として、先ほど委員長からも、自衛隊出動に関して、自衛隊法八十三条の第二項ただし書きの問題について御発言があり、本部長並びに防衛庁長官から御答弁がございましたので、この点は今後適切な措置を講ぜられるといたしまして、最近新聞で見たのでありますが、自衛隊派遣される場合に、その費用を、たとえば国鉄除雪のために派遣されるのに国鉄運賃を支払うというような問題が出ておったのであります。これは常識的に考えますとまことにおかしいような印象を受けるのであります。この点は一体どういうふうになっておるか、伺いたいと思います。
  13. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 御質問の通り、おかしいとお思いになるのもごもっともだと思いますが、従来の取り扱いといたしまして、自衛隊出動いたします際は、運賃を後払い扱いということで処理することになっておりました。今回もその例によりまして、自衛隊出動される際の運賃関係処理につきましては、一応後払い扱いということで処理してございます。しかし、この事後処理につきましては、政府御当局ともよく御相談いたしまして、自衛隊の御迷惑にならないように処理いたしたい、かように考えております。
  14. 倉成正

    倉成委員 後払いで、あとは適当に処理するということでございますから、まあ遺憾がないと思いますが、特に先ほど、本部長が府県の知事といろいろ協議をして自衛隊出動要請等の措置ができるとか、八十三条の第二項に関連していろいろ適時適切な処置をしようというときに、どうもそういった費用の問題で頭をかしげながらやるということはまことに適当でないと思いますので、こういったことについてはやはりしっかりした対策を講じておく必要があると思いますが、防衛庁長官、この点はどうお考えになりますか、長官のお考えをまず伺いたい。
  15. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま国鉄の副総裁は、後払いとして、あとで適当に措置するという御答弁でございましたが、おそらく無料であるというふうに私は判断をいたしておりますが、しかし、防衛庁といたしましては、これは平時の訓練と全く同じでございますから、国鉄の方から後払いの際において請求があれば、全額支払う所存でございます。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 私は本部長として各地の自衛隊諸君と談合いたしました。だれが見ても、地方諸君一同この豪雪の中で最も感謝をしておるのは、自衛隊の活躍でございます。ところが、自衛隊の隊員諸君に、金を持っているかと聞いてみると、月末に出動ときたので金なしで飛んできたので、タオル一枚買うにも困っておるというのが実情でございます。私は自衛隊法をよく存じませんし、これらの出動に関する手当等も承知いたしませんが、ふだんと同じことでございます、こういうことでございます。私は、演習に出かけるのと、国家の要請によってこの災害救助に出かけるのとは、おのずから趣きが違うのじゃないか、ここにある程度の配意、配慮が必要じゃないかという感を非常に深くいたしました。これが対策については、すみやかに検討を加えて善処する必要があるという感を私は深くいたしました。これは議会におかれましても適当に一つ御措置を願いたいと思います。
  17. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 ちょっと倉成委員に御答弁申し上げますけれども、自衛隊員の汽車賃でございますが、先ほど国鉄副総裁は原則的なことを申されました。原則的にはその通りでございます。しかし、今度の場合は国鉄に対する緊急的な援助であり、国鉄のためにも非常に努力いたして下すったのでございますから、これはいずれあとで大蔵当局あるいは防衛庁とも御相談申し上げますが、これは当然われわれの方では無賃といたす方針をきめておるのでございます。  なお、河野本部長お話にもございましたように、自衛隊員は非常に小づかいの不足その他で苦労しております。これに対しましては、運輸省としても、現金を支給するわけには参りませんので、たばこを差し上げるとか、下着類を買ってあげるとかして、できるだけのめんどうは見てあげておる方針でございます。
  18. 志賀健次郎

    志賀国務大臣 ただいま自衛隊の隊員の小づかいの問題で、本部長と大石運輸政務次官から非常に同情にあふれたありがたいお言葉をちょうだいいたしたのでありますが、私も現地に参りまして御指摘のような実情に接しましたので、私は現地におきまして各師団長に命じまして、直ちに方面総監から約百万円くらいの前渡金を送らせまして、それで急場をしのぐというか、給料の前払いをいたしておるような次第でございます。
  19. 倉成正

    倉成委員 自衛隊の活動に対して、やはり心配のないような体制を政府部内において今後とも十分おとりいただきたいと思います。  時間がございませんので、あと三点だけ一括して御質問申し上げますから、河野本部長からお答えいただきたいと思います。  商工関係については、大体現地である程度心配のない状態であるというお話でございますが、やはり相当量の滞貨がございますので、本部長が御発言になっておりましたように、貨物優先、また、その貨物の中でどれを優先するかというやはり交通整理が大事じゃないかと思いますが、そういった点を具体的にどう考えておられるのかということが第一点。  第二は、現地における沿岸漁民あるいは炭焼きその他一時的な失業者、職がなくて困る人が非常におるわけでございます。これらの者に対して黙ってほっておくと、生活保護者になってしまう。除雪作業その他の何らかの仕事を与えるということが必要ではないかと思うのでありますが、これをどうお考えになるかということが第二点。  第三は、融雪時のなだれ、洪水対策ということをしばしば本部長からも御発言になっておりますが、具体的にこのなだれ、洪水対策はどのようなことをお考えになっておるかということを第三点としてお答えいただきたい。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘のように、第一点の貨物輸送の問題、これは最初に申し上げました通りに、工場の活動もしくは中小企業者の営業の確保等から、非常に重要な問題でございます。幸いにして生活物資に不足をいたしておりませんことは、不幸中の幸いでございますけれども、何にいたしましても各工場が原材料の入手難、ことに新潟で申しますと、燕のような都市は、製品の発送がおくれております。従って、鉄道に対してこれらのものを緊急輸送するように指示をいたしております。幸いにして乗客については、御承知通り、新聞に発表の通りでございますが、貨物は、数日間常に一般乗客に先だって輸送計画は前進しております。従って私は、もう今日では、鉄道に持って参った貨物に関する限り、遅延しておるものはないだろう、ただ問題は、鉄道まで持っていくところの道路が、この小運搬が非常に困難をしておるというような実情は、これは避けることはできないだろうと思いまして、一段とこれらの除雪に努力する必要があるだろうと考えます。ただし、先ほども申し上げましたように、これらの取引については、十分金融関係からこれに協力するようにということは強く指摘いたしておりますが、きょうの閣議におきましても、三公庫を通じて所要の資金を送付したということを大蔵大臣から報告を受けております。大体金融関係は安定しておるということでよろしいのではなかろうか、私はこう思います。  次に、炭焼きさんや沿岸漁民の諸君のことでございます。これは御承知通りに、現地においてやむを得ざる事情とは考えますけれども、労働賃金が非常に高騰いたしておるという事実であります。これは何とか対策の講じようはないものだろうか、雪中で働くのでございますから、ある程度高騰することは当然だと思いますけれども、それにしても、二千円、三千円ということを聞かされます。これではあまりに高いのではないかという気がいたしますが、それぞれの府県におきまして協力体制を順次強化して、だんだん平常化されるようになると期待いたしておりますが、そういう実情でございますから、働こうとなさる方は、非常に労力不足でございますから、十分働く場所もあるということは言えるのでございます。ただ問題は、炭焼きをしておる人が、山の中からどうしてその仕事のあるところへ出てくるかという問題であろうと思います。先ほども申し上げた通り、炭焼きをなさる人たちのところの雪は、例年とあまり違わないということは言えると思います。従って、私は、その点についてはしかるべく現地において指導してやっていただいておるのではなかろうかと思いますが、なお注意をいたします。  第三点の、融雪時における対策であります。これは河川につきましては、すでに河川局からそれぞれの関係官指導いたしまして、流水を十分誘導いたしまして——たとえて申せば、じゃまものがたまって、それで氷になって流水を妨げておるというような個所が現にあるわけでございます。そういうものについては、特にそういうようなことのないように十分用意をするようにというような、できる限りのことは指導し、対策を講じておるわけでございます。  なだれでございますが、これは先ほども申し上げました通り、常に雪の降る場所でありますれば、そういうなだれの個所には人が住んでおらない、被害を受けるようなものはお建てになっていないというようなことから、常に降雪地帯では、なだれはあってもその被害は私は少ないと思います。ただ問題は、あまり日常に大雪でなかった地方において大雪が降ったというところに、なだれによるところの人畜、家屋の被害が起こっておるというようなことでございます。これらについては事情をみなよくわかっておるわけでございますから、どうしたらよろしいかということについて、地元においても官民一致で検討しておられるようでありますから、なお今後とも注意をしていきたいと思います。
  21. 倉成正

    倉成委員 ただいまの一時的な失業者の問題は、山陰地方北陸では事情が非常に異なっておりますので、本部長と少し見解が違うのでありますが、その点はあとに置いておきます。  河野本部長の時間がございませんので、本部長に対する質問をとどめたいと思いますが、連日現地において活動されましたことに対して深く敬意を表するとともに、今後とも、まだいろいろな問題が残されておりますので、万全の対策を講ぜられるように要望いたしまして、河野本部長に対する質問だけを終わります。
  22. 稻葉修

  23. 稻村隆一

    ○稻村委員 過般の未曾有の豪雪被害に対しまして、河野本部長は直ちに北陸三県、それに新潟県に急行されて種々な対策を立てられ、それを実行に着手されましたことに対しまして、私どもは深く感謝するところであります。また現地の被災の方々も、河野本部長の意欲と実行力に期待するところ大なるものがあるわけであります。ただし私は、一昨日の衆議院の予算委員会におけるわが党の山口委員の質問に対する政府の御答弁を承っておりますと、ある点におきまして一まつの不安を禁じ得ないものがあるわけであります。そこで、私はこの問題についていろいろお尋ねしたいのでありますが、時間がありませんので、ただ一つだけ国鉄の問題に対してお尋ねしたいと思うのであります。  これは国鉄当局にお尋ねしたって仕方がない、金がないのですから、どうしてもこれは政府に聞く以外にはない。そこで私は、この前、河野本部長新潟に行かれるときに上野駅でお会いいたしまして、とにかくこの豪雪対策というものは、住民を救うためには、何といっても国鉄をあけるのと同時に、人海戦術によって道をあけること、それ以外にないということを申し上げたはずでありますが、今日の豪雪対策の主要な問題は国鉄の問題なんです。それは、自衛隊が来てやってくれる、いろんな政府機関がいろいろやってくれる、自治体がやるというふうなことはむろんでありますけれども、中心国鉄がしっかりしていなければどうにもならない。そこで私は国鉄の現状を考えますと、国鉄の貧弱な財政では、もう一度雪が来たら——これは、雪は必ず来ます。統計を見てもわかりますが、一月豪雪があったときには、必ず二月下旬に豪雪がまた来る。これは統計にも出ておるのです。気象庁もそういう予報をしておるのです。そういう場合に、また同じことを繰り返して、また鉄道がとまった、住民が生活難に陥ったなんということになるにきまっているわけでありますから、その点につきまして政府の見解をお尋ねしたい。  第一に、国鉄除雪人夫賃は日当四百八十円なんです。協力費が百円で、計五百八十円、こんなことでは大体何もできるものじゃない。それから、国鉄雪害対策五カ年計画というものを三十六年度から実施している。その計画によりますと、わずか百二億しかない。これでは私は本腰に対策を立てるなんということは絶対に不可能だと思う。たとえば、雪害対策五カ年計画で、除雪車の新造が五十八両、流雪溝が新設五十キロ、防雪植樹が百六十キロ程度、そのくらいな程度なんです。積雪地帯の路線が百路線にも上る国鉄として、これではどうにもならない。だんだん輸送がよくなったということを今河野本部長が言われましたけれども、百路線全体を見るときにおいて、決して輸送がよくなったというものじゃないと思うのです。しかも除雪車に至っては、総計三百八十両あるといっても、すべてが旧式なんです。だから今回のように三メートル、五メートル降ると、どうにもならない。ロータリーなんかほとんど幾らもないというような状態で、ラッセルだけではどうにもならぬ。こういうふうな国鉄状態に対しまして、予算委員会におきましても山口委員から、国鉄にもう少してこ入れする気はないか、こう言ったところが、池田総理大臣は、国鉄にはもう多額のものをつぎ込んでいるから、今そういう気持はない、こういうことを言っている。私は、国鉄に対する根本的な対策を立ててやらなければ、これは何度でも同じようなことを繰り返すわけでありまして、その点一つ本部長の御意見を承りたい、こう思っているわけであります。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 私先ほども申し上げました通りに、予測せざる事態が起こることが災害だと思うのであります。予測しておるところに予測の通りのことが起これば災害にならない。北海道にあの程度の雪が降っても、北海道の場合には災害にならない。それから、同じ新潟でも、稻村さんの三条に降った雪が高田の方に降ったならばあれだけの災害にならない、こう思うのです。従って、予測しないところに予測しない事態が起こるのでございますから、そこにやはりいろんな点においてお小言を受けることはやむを得ぬと思うのです。そこで一番必要なことは、私も今回痛切に感じましたことは、雪に対する研究、対策を怠っておった。もう少し、なだれはどうだろうかと、どうすれば解けるとか、長岡でやっておりますように、地下水を道路に流して雪を解かしてしまうとか、雪はどうすれば一番処置がいいか——自衛隊が火焔放射器をもっていってやったところが、穴だけあいたというような、子供のような話も実はあるわけであります。これは要するに雪に対する知識が足らないからそういうことをやっているようなことなんでありまして、やってだめで初めてみんなそうかなというようなことなんだと私は思うのです。金の点もむろん必要でございましょうが、基本的に、抜本的に、これら豪雪地帯に雪に対する対策本部を、研究所を、ひとり国鉄だけでなしに、建設の上から参りましても私は必要だと思う。たとえて申しますれば、線路のごときでも、ちょっと金をかけて高低を少なくしておけば、あんなにたまりができて雪だまりになって、除雪に困難をしないで済むだろうというところがたくさんあるわけです。道路にしてもそうであります。少し道路を高めにつくっておけばあんなにならぬだろうというところが私はたくさんあるだろうと思います。たとえば北海道その他の雪地帯に行けば、もう少し防雪林が線路の両側には亭々と茂っておる。ところが、これらの地方には防雪林というようなものはほとんど見受けられないというようなことで、わずかの範囲でこれらの雪の害を相当に除くことのできることを実際怠っておるというようなことが各地に見受けられると思います。従って、これを契機にあらゆる角度から十分に防雪対策を講ずる、そしてそれには一方において政府機関、各省一致した雪の研究所をつくるというようなことで、雪に対してもう一ぺんあらためて再認識をするということが必要だろう、そうしてその上で予算が必要ならばそれは予算をかけるということにしなければ、問題は——地域格差の是正をするといいましても、私は、今度の雪で、おそらくこの豪雪地帯に行って仕事をするという人は、今のままではなくなってしまうだろうと思います。仕事になりません。あの雪でああいう事態が起こったのでは、少なくとも政府機関が、道路にしろ、鉄道にしろ、完全に確保するという前提に立って、これらの雪地帯に地方産業都市等が考えられるのであって、今のままなら私はとうてい問題にならぬと思います。ここに私は、格差是正その他の点から参りましても、基本的にこれらの雪に対する対策を考究すべきであって、稻村さんおっしゃった通り、鉄道の場合においてもその感を非常に深くいたしました。同時に、道路におきましても同様のことが言えるのではないかと思うのでありまして、特に私はこの機会に申し上げて御了解を得たいと思いますことは、私旅行をいたしてみまして、新潟の道路はいかにも貧弱であり、悪うございます。道路の建設が非常におくれております。どういう原因であったか知りませんが、おそらく、道路の延長が長くて、県の財政が貧困であったために道路の改修がおくれているのではないかと思うのでございますが、最近その方面の負担力も、知事さんに聞きますと、あるようでありますから、明年度におきましては、新潟県下の道路改修に私も最大限の御協力を申し上げるという所存であるのでございまして、今お話の点は十分考慮いたしまして、政府関係機関で善処いたしたい、こう思います。
  25. 稻葉修

    稻葉委員長 この際、関連して、三宅正一君、岡本隆一君、佐野憲治君、田口誠治君の発言を許可いたします。三宅正一君。
  26. 三宅正一

    三宅委員 河野本部長が長くおれぬそうでございますから、稻村君の質問に関連いたしまして、一、二点御質問申し上げたいと存じます。  その一つは、今度の雪害対策と昭和三十六年の雪害対策と比べまして、政府の姿勢が一だんと、非常に大きな、本格的に取り組むという姿勢で出て参りましたことに対しましては、われわれといたしましては非常に感謝をいたしておる次第であります。地方民としても、これだけの姿勢をもって対処してくれるということに対しましては、人心の安定の上にとりましても非常に大きな効果があったと思うのであります。この際私は、稻村君の質問に関連いたしまして、第一に御要望申し上げたいことは、今河野君も申されましたけれども、総合研究所の問題であります。道路の関係だけでなしに、河野君は新潟県をごらんになってお気づきになっただろうと思うのでありますが、三条の建物と長岡の建物とでは、雪の降り方が毎年違いますから、柱の寸法が違っておるのであります。しかるに、柱の太いところは固定資産税がよけいとられておるという状態でございます。耐用年限は少ない、そうして大きなうちをつくらなければならない。雪でありますから、家畜を飼うのにも、うちの中に置かなければならない、外には出せない。表のものとは違います。そういう事情でもって、太い柱で、耐用年限の少ないうちを自然に——豪雪でありますから、新潟の建物の柱の太さと、三条の建物の柱の太さと、長岡の建物の柱の太さと違っておるのでございます。しかるに税金は逆にきておる。われわれはいつもこれを指摘しておりますけれども、政府関係のオーソリティのあるいわゆる研究所がございませんから——そんなことは、政治の公平の上からいって、固定資産税の減免、これに伴う交付税の増加というようなことは当然の話でありますが、今日まで行なわれておらぬのであります。この一点だけでも、総合研究所というものをほんとうにやってもらわなければならぬと思うのであります。  同時に、建設省の関係などについて考えてみましても、一体、道路が雪で交通が途絶いたしますのは、市街地についていいますれば、屋根の雪をおろしてくるからであります。そうして道路に降った雪だけなら大したことはないけれども、三回も四回も屋根の雪おろしをいたしますと、屋根よりも高い——いわゆる、この下に高田の町ありというような昔の話が出た通り、それだけの雪を除雪することはできない。従って、道路政策と住宅政策の観点からいきましても、屋根の雪が水でもって自然にとけて落ちてしまうというような——現に、苦労いたしまして長岡でそういう新しいかわらが出て、河野君には見てもらわなかったけれども、その他の衆参両院から行かれた方は見てくれておるのでありますが、そういう関係については、都市計画と道路計画というようなものは関連してやらなければならないが、同じ建設省の中においても、道路局と都市計画課の方は別々の関係において、関連がないということであります。  除雪機械の問題について申し上げましても、指定の道路については、三分の二、ブルドーザーその他の除雪機械補助が出ておりますが、河野君はよく御存じの通り、ブルドーザーというものは、新しく農村におきまして田んぼを開墾いたしますにも、あるいは牧野地帯を造成するにいたしましても、除雪と関連いたしまして必要でありますが、農林省から出しておるのは三分の一の助成しかない。建設省から出しておるのは三分の二の助成である。これは道路の除雪にも必要であるし、農村の振興にも必要であるということになりますと、雪害対策に対する機械設置がどういうふうに必要かというようなことにつきましても、総合研究所における総合研究というものがいかに大きな役割をしておるかということが私は明らかだろうと思うのであります。  一昨年の雪害に関連いたしまして、御承知通り豪雪地帯の道路交通確保に関する法律を改正いたしまして、建設省におきましても道路交通確保のための五カ年計画、運輸省においても五カ年計画をつくっておられますが、道路の関係において、雪の関係で一番有効なのは水であります。流雪溝であります。しかるに、たとえば国道十七号線にも流雪溝をつくっておるけれども、水源地において、一番高いところにおいて水をポンピング・アップして、そうして水の流量がちゃんと除雪したのにかなうだけのそういう施設がなしに、途中々々に流雪溝をつくっておるということであると、ものにならないと思うのであります。  ついででありますが、河野君も見ておられますから私も申し上げるのでありますが、国鉄関係では、一昨年のあの雪にこりられまして非常に成功された点は、ケーブルを地下に落されましたために、これだけの豪雪でも通信の電話関係などが一ぺんも故障を起こさなかった点は、私は大きな躍進だと思うのであります。ところが、長岡のネックの、信越線と上越線の入ってきます一番大事な操車場などに、三億数千万円かけて流雪溝をつくられたけれども、信濃川の水がちょっと下がったということのために、また農業用水として使っておる福島への水が、農業との関連において使えないということのために——冬は遊ばしておるのでありますから、初めから総合的な研究所ができて、総合的な雪害対策ができておりますれば、あの水は使われました。信濃川を控えておって、流雪溝がつまってしまったために長岡が動かなかったということは、これは天災ではなくして、金を惜しんでおったり、総合的施策をやっておらないことがその大きな原因だろうと思うのでありまして、こういう点については、この機会に総合対策本部ができたと同じように雪害の総合研究所をつくってもらいたい。これは一ぺんに役に立つものではないけれども、つくっていただきますならば、百年の大計というものがそこから出てくるのでありまするから、これを一つお願いをいたしたいと思います。同時に、私は河野君に大きく一つお願いをいたしたい点は、雪害地帯、東北地帯が一番困っておりまする点は、予算が四月にきまりまして、予算の施行が七月か八月になって、雪が降ってしまうと打ち切らなければならぬというために、どれくらいおくれているかわからないのであります。日本のような半分積雪地帯、半分寒冷地帯の国柄におきまして、予算の暦年制をこの際一つ断固としてやりまして、それによって、ともかく十二月に予算はきまった、そうして予算が三月ごろの雪解けのときに配賦になる、そうして仕事のできるときに仕事をするという根本的なかくのごとき問題が解決しなければ、私は永久に雪害地帯の災いというものはとまらぬと思います。だんだん雪害対策は進んできますから、今まで三週間汽車の通らなかったところは二週間で通るかもしれない。しかし、産業も進みますから、今までの三週間が二週間になっても、もう裏日本の雪害地には工場などいかないということになりますから、河野君の言われた通り、どんなに雪が降っても、現代の技術をほんとうに使いまするならば、少なくとも国道においてとまることは、時間の関係において三時間とまるとか五時間とまるということはあるが、半日とまることはない、鉄道においても、時間の関係以外に、日にまたがってとまることはないというくらいに持っていかなければだめだと思いますので、予算の暦年制の問題、総合研究所の問題等、その点について、要望でありますけれども、政府の御所見を承っておきたいと存じます。
  27. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま三宅さんからだんだんにお話がございましたが、私申し上げた通りに、よく政府部内で相談いたしまして、すみやかに雪に対する基本的な調査研究には入りたいと思います。  ただ一点申し上げたいと思いますことは、予算が通っても、仕事を始めるのは七月じゃないか、そのうち雪が降るじゃないか、これは少し話が古いと思います。実は私、農林大臣もいたしました、建設大臣もいたしておりますが、おおむね農林、建設等がそれに該当するものでございますが、これは今から事業の実施について調査をいたし、研究をいたし、割付も始めよう、そうして三月三十一日予算が決定いたしますれば、四月に遅滞なく各府県に、どんなにおくれても四月末までにはかからぬうちに各府県の仕事の割付は中央においていたします。あとはそれぞれの所在の府県においてこれに協力して仕事をしていただきますならば、従来のように七月にならなければ仕事が始まらぬということはいたしておりません。ただ、建設大臣になりまして私は従来の悪いところで強く指導いたしておりますることは、予算が三月三十一日でございますから、事業の完成を三月三十一日にすればよろしいという悪いくせが役所にあります。なるべく早くできる方がいいのでございますから、お金がきまったらば仕事はなるべく早くできる方がよろしいという意味において、三月、二月を待たずして年内にも仕事を完成するようにしたいというような含みで指導をいたしておりまするから、暦年制という御意見もずいぶんおありのようでございますけれども、それにいく前に、やるだけやってみて、どうしてもいけなければさらに考える必要があるのでございますが、中央におきましは私は決してできないことではないと考えております。
  28. 稻葉修

    稻葉委員長 ちょっと関連質問者に申し上げますが、河野本部長の時間がありませんから、関連質問はなるべく簡単に、稻村隆一君の質問が十二時十分までに終わるよう御善処願います。
  29. 三宅正一

    三宅委員 今の御答弁ですが、私は一つだけ申し上げておきます。この間も県の方から非常に困ったと言ってきておりますのは、今度の災害ではありませんが、災害対策で先々月くらいに予算の配賦があった。そうしたところが、もう仕事はできません、ありがたいから受けましたけれども、もう仕事ができませんということを言ってきております。従いまして、繰り越しとか、いろいろ問題がありますが、一ぺん調べていただきたい。現実に迷惑をしておりますから、調べていただきたい。現に私が県に材料を出せといっても、県の方では、またあなたの方にどなられると困るから、しっかりした材料をよこしておらぬが、口では、非常に困ったことです、御好意はありがたいから受けますけれども、仕事はできませんと言っております。その現実はよく考えてもらわないと困ります。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 今のお話は、おそらくその後の追加予算もしくは補正で画したもの、予備費を使ったもの等についてしたものでありまして、当初割り当てたものは、全部割当を済んで遅滞なくやっております。その後、事業が早く進みましたので、さらに繰り上げてやるようなこと等についての打ち合わせでそういうものがあるかもしれませんが、新たに着手するものについてはそういうものはないと思いますが、よく調査いたします。
  31. 稻葉修

    稻葉委員長 岡本隆一君。
  32. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 本部長お急ぎのようですから、簡単にお尋ねいたします。  私はこのたび院から派遣されまして山陰に行って参りましたが、そこで痛感いたしました問題について一、二お尋ねいたしたいと思います。  まず第一は、道路の問題でございます。先ほどからの御答弁でだいぶ御意向がはっきりして参りましたが、とにかく雪おろしをいたします雪のために、はねてもはねてもまたその上から堆積していくというような現状でありますので、市街地については、本部長も新聞紙などに御所見を発表しておられますが、バイパスをつくりたい、こういう御意向で、まことにけっこうでございます。しかしながら、それにも増して必要なことは、単にバイパスをつくりましても、そこにすぐ工場なり家なりが取りついて参りまして、結局は同じ状態がすぐ出てくるのではないか。従って、つくられるところのバイパスというものは必ず高架にして、もう住家はそれに取りつけないというような性格のものにしなければ、バイパスをつくられても意義がない。長期の雪害対策としては、そういうような形の道路計画というものを考えていただくべきではないかということを考えるのでありますが。御所見を承りたい。
  33. 河野一郎

    河野国務大臣 私も同様に考えて、これら雪害地におきましては、なるべく道路は高目につくることが必要だろうと思います。ただし、そう参りません地方におきましては、家屋を建設する場合には、道路から何メートル下がったところに建てろというようなものを考究いたしまして、法律が必要なら法律も制定いたします。市街地は別でありますが、新たにつくる道路から何メートル下がったところに新設の家屋はつくるというようにしたらどうか、所要のことについて十分検討するつもりであります。
  34. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 今山陰の方では国道九号線を盛んに改良中であります。そうしてまた残されている地域が、市街地に関する部分が大部分でありますので、そういう点を十分考慮した改良方式を立てていただきたいということが、まず第一点であります。  その次にお尋ねいたしたいのは、雪というものに対する考え方の問題であろうと思います。従来、雪というものはそのうちに解けるものだという考え方があったのでありますが、しかしこのように長期間に続く雪ということになって参りますと、これは全く堆積土砂と同じことになる。しかも積もった上にまたしりから積もってくるという形で、ある場合、一時の出水に伴う堆積土砂よりもさらに始末の悪いものだということを考えなければならない。ところが、今度の雪害調査に行って参りますと、その点、先ほどから本部長からも御指摘があったように、機械の導入が非常におそいのです。一面また私は非常に参考になる点を見て参ったのですが、これは公団がやっておる松江道路なんです。これは有料道路でもありますし、雪が降り出したらすぐにどんどん除雪作業をやっております。しかも、やっております除雪作業は、ジープに斜めに排土板をつけて走っていく。松江道路は四、五キロの短い距離でございますから、そこをたえず排土板をつけて走らせておる。ただそれだけでもって全然積雪がないのです。だから、早期から機械を導入して適切な方法で道路を守れば、相当な雪に対しても道路は守れるものだということを私は痛感いたしましたので、そういう点に対するところの配慮というものが非常に足りなかった。ことに、鳥取県へ参りまして機械導入の状況を聞いたのでございますけれども、大体ブルを五十台動員した。県が持っておるのが二十五台、町村が五台、中国地建局が十台、民間借り上げが十台——業者から借り上げているのが十台程度より借り上げておらないのですね。これは除雪というものに対する考え方が、雪は自然に解けるものだということ、それから、早くから機械を導入して金をかけてやっても、さほどの被害状況にならなかった場合には、国からの財政的な補助が得られない、除雪費として与えられている予算というものがきわめて少ない、そうすると県の方で相当な財政的な負担になると困るというふうなことから、早期から思い切った作業に出るということに対する財政的な負担への危惧の念というものが非常に大きかったと思うのです。だからこの際、堆積土砂と同じような考え方に立った除雪というふうな意味におけるところの何らかの雪に対する財政援助の道というものを、これは方式というものをある程度確立しておいていただいて、とにかく大したことにならないうちにどんどん機械を導入して、早期に道を確保していくというふうなことがやれるような、各地方地方で思い切ったことがやれるような財政的な措置、こういうルールを確立していただきたいということを痛感してきたのでございますが、本部長のお考えを承りたい。
  35. 河野一郎

    河野国務大臣 ごもっともな御発言でございます。十分検討いたします。
  36. 稻葉修

    稻葉委員長 関連質問者に申し上げますが、本来の約束の時間は十一時三十分でありますが、すでに三十分も経過しております。  佐野憲治君。
  37. 佐野憲治

    ○佐野委員 ただいま河野本部長からいろいろと御説明を承ったわけですが、その中で、私は率直に申し上げますと、今回の雪害に対する政府責任、この点を明確にされることがやはり必要じゃないか、この点において欠けていることを非常に残念だと思うわけです。たとえば、本部長は第一に、降雪が異常な様態を示しておった、この点を御指摘になっておるわけですが、しかしながら、今日、雪が降るメカニズム、あるいはまた家雪をもたらすエネルギー、これらに対する研究が気象庁において全然把握されていない。ことしから北陸の不連続線というものに対する調査がようやく気象庁において始められておる。ですから、全くこれらに対する対策ができていないという中にこの豪雪を迎えたわけです。と同時に、たとえば、これらの気象の地上観測を担当する富山気象台の意見を聞いて参りましても、実は日本海側におきまして、輪島の北端にようやくレーダーがある、それ以外の地区にほとんどレーダーがないために、たとえば、三百五十キロのレーダーがあれば雪に対するいろいろな予知をすることができ得た、こういう点がほとんどできていなかったわけです。あるいはまた、単に豪雪だけではなくて、風水害のいろいろな経験にかんがみまして、気象審議会からいろいろな答申が出ておったわけです。これに基づくいろいろな措置を何ら政府がやっていない。こういうところにやはり大きな豪雪による混乱なり被害の拡大を見ておるのじゃないか、かようにも考えるわけです。  第二点として、たとえば自衛隊に対する地元の態勢を云々しておられますけれども、たとえば今回自衛隊に対する宿舎その他の問題に対して非常に混乱をいたしておるわけでありますが、この点につきましても、すでに私たちが三十六年の豪雪のときにこの点を指摘いたしまして、だからこそ、三十八国会におきまする災害対策基本法におきまして、特に大きな問題点として、政府の防災会議は、自衛隊災害派遣に対する法律的な措置を講ずることが、防災基本計画として立てねばならない緊急事項となっておるわけです。しかるにかかわらず、三十九国会において災害対策基本法が通過いたしまして、防災会議は設けられたが、防災基本計画が何らできていない。そこにおいては、災害の場合における自衛隊をいかに効率的に派遣するか、これに伴ういろいろ内部におけるところの措置、あるいは市町村、県庁、これらと自衛隊関係、あるいは災害対策本部自衛隊関係、これらに対するところの政令その他を整備するといいながらも、何らやっていないというところに今回の災害が惹起いたしておるわけです。そこに混乱が起こっておる。現地を歩いてみても、大臣は感じられただろうと思います。ですから、その地区において自衛隊に対するやり方が冷淡だと言われますけれども、たとえば過去における軍隊の宿泊に対して、雪の国のその地帯は一体どうだったか、あるいは国体開催の場合、多くの選手を収容しなければならない、宿舎がない、この場合は、民間宿泊という新しいケースをつくり出して、新しい相互扶助の精神というものを実らせておる、その地区においてこういう混乱というものが起こっておる、いわゆる事前対策が欠けておったのではないか。こういう点に対する国の責任を明らかにされるべきではないか。たとえば国が防災基本計画を立てる、防災業務計画を立てる、その計画に準拠して県は防災計画を立てる、町村も防災計画を立てる、それに対して国は助言、指導をしなければならないという法律規定がある。国ができていないために、県、市町村に対して何らの助言もすることができ得ないというぶざまな態勢の中にこの豪雪を迎えておる。大臣は、ある県においては私が来る直前にようやく災害対策本部を設けたと言っておられる。一体災害対策本部は何ですか。災害対策基本法によって設けられる。この災害対策基本法による災害対策本部は、防災会議意見を聞いてきめることができるとなっておるのです。防災会議も設けていないじゃないですか。設けることができ得ない状態の中に地方があったわけではないですか。そうするならば、混乱が起こることは私は当然ではなかろうかと、かように考えるわけです。  第三点として、機械力の問題が質疑の中にありましたので、私は省略いたしますけれども、一つの県におきまして、今百七十台の県、市町村において機械力を持っておる。この三倍の五百台を持てば、緊急の事態における処置をすることができる、こういう常識的になっていることに対して、一体今日における地方公共団体の交付税の中に見られておる積雪補正、この積雪補正分をもってしては確保することができ得ないという現状である。単なる行政事務費をながめてみましても、国が積雪補正として割り増しする分が、日常に要する経費のわずかに二割にしかなっていない。そういう状態の中において機械その他をどうして整備することができ得るか。となって参りますと、大臣の所管の積寒道路法によって除雪機械あるいは流雪溝を整備する。しかし、こういう道路法がありますけれども、この路線の決定は大臣にまかされておる。おそらく大臣は、路線の決定の——大臣の就任前における官報に公表されておるのを見て参られても御存じの通り、多くは国道、国が直轄する分を除くところの国道並びに主要地方道の一部しかこの対象になっていない。といたしますと、多くの府県道並びに町村道、これに要するところの除雪機械、こういうものは一体どこにおいて確保していくことができ得るか。大臣の指定する路線はそれができますけれども、大臣の指定する路線から離れておるこれらに対するものは一体どうなっておるか、こういうことを、大臣現地を歩かれまして、あるいは各地方が立てておる除雪計画等を参考にしながらいろいろ感じられただろうと思うのです。こういう点、私は、大臣が率直に国の施策の責任の欠けた点を明らかにされることが、今日豪雪と取り組んでおる地元民、地方公共団体に対する態度じゃなかろうかと考えるわけです。  と同時に、最後に、雪は非常に多くの被害をもたらしておりますけれども、しかしながら、例をとって参りますと、富山県の黒部川あるいは庄川、これは直轄河川です。
  38. 稻葉修

    稻葉委員長 佐野君に申し上げますが、関連質問は簡単に願います。
  39. 佐野憲治

    ○佐野委員 直轄河川の中で、雪によって起こってくるエネルギー、この水によって大阪市一カ年間の電力をまかなっておるわけです。雪の効率というものの日本経済に与えている力というものは、いかに偉大であるかということ、一面において、この雪のために受けている地元民の被害というものに対して、私は、三十九国会において、豪雪に対する諸調査の機能の充実、被害防除に対する総合的、抜本的対策を立てるべきだと決議されてから今日に至るまで、何ら政府の施策に見るべきものがなかったことを非常に遺憾だと、かように申し伝えて、一応本部長の所見を求める次第でございます。
  40. 河野一郎

    河野国務大臣 お話、一々ごもっともでございますけれども、きのう気がついたことを、きょう、なぜやってない、やってないとお小言を受けても、やるといっても準備がありますから、たとえば災害防除法が通っているじゃないか、なぜお前早くやらないか——それは、それぞれいろいろな点から総合して研究して、そして会議を開いて本部をつくりましたのが去年の九月、それから順次各般の処置を総合してやっておる。それがまだ下部まで浸透していく段階に至ってない。そういう段階があるということは御承知通りであります。今あなたのおっしゃるように、そんなことはきまり切っておることを、お前やらないでぼやぼやしておって、悪いじゃないかとおっしゃられても、国会で御決議を受けてから政府は今日まで決してほっといたわけじゃない、忘れていたわけじゃありません。やるだけのことはみなやって参っております。それで私はいいとは申しません。そこらのところは、これはみんなでやらなければならないのですから、気のついたことはおっしゃっていただけばそれはその通りやりますけれども、ただ頭から、あなたのおっしゃるように、全部みなお前の責任だ——これは私の責任でもなければ、地元の人たちみなでやらなければならない。総じて、法律があるとかないとか、本部があるとかないとかということは別にして、なかったときでも雪害対策は行なわれていたのですから、また、法に基づいての本部をつくるとかつくらぬとかということは言うべきでない。あれだけの雪が降ったら、地元の方がまずやかましくやるべきじゃないか。それが中央へ反映して、中央がそれを取り上げてやるのが順序だ、こう私は申し上げたい。地方で本部をつくるのがおくれておって、現に富山県がやらなかったからといって、お前何をやっておるかということをおっしゃる、それはそうじゃないだろうと思う。それから黒部川云々とおっしゃるけれども、黒部川は毎年降っているんです。今度は里の方に雪が多くて、それだからこういう災害が起きている。これは各県通じてのことです。従って、どれがいいとか、どれが悪いとかということは別にして、官民一体となってこの災害防除する。さらに、先ほども稻村君からお話がありましたように、これから雪が降るのでありますから、これから降る雪に対して少しでも災害を少なくするように心がけなければなるまいというので、せっかくいたしております。  機械力に対してもそうでございます。機械力をもっと早く導入することができればしたのですが、何さま工場の原材料等も困っておる際でございますから、それらのために——初めてのことです。調べてみますと、実は緊急輸送しなければならぬ雪害対策機械が、鉄道の方で一般の貨物として受けつけるとか受けつけないとか、そういうようなことで、頼みに行った建設省にも責任があるし、また運輸関係の方でも、ブルドーザーを頼みにきたら、これは雪害だというので受けつけて運んでくれればいいのに、これはどっちに責任があるかわかりませんが、そんなことのためにおくれている点もある。というようなことで、何分初めてのことで、ふなれでございましたから、いろいろなそごを来たしている点はございますが、これからも十分に努力するつもりでございますから、せっかく御協力をいただきたい、お願い申し上げます。
  41. 稻葉修

    稻葉委員長 大野市郎君。
  42. 大野市郎

    ○大野(市)委員 今回の雪害に際しまして、本部長はただいま退席されましたが、現地雪害の除去の問題に対しましては、それぞれ担当者は非常の努力をもって、寝ずでこの災害防除しようと苦悩いたしておることは事実でございまして、民生安定のためにこれはぜひ続けてもらいたいと思うわけであります。また、対策本部の動きに対していろいろな批判の声もありますが、私の承知いたしておるところでは、これらの基本計画の樹立がその進行途上であること、それから豪雪対策特別措置法がせっかく成立したけれども、それがいまだこの基本計画の樹立に至っておらぬという、非常に残念な事態のもとでこの災害が起きたのでありまするから、前向きの考え方で見ますると、この大災害を契機にしてそれらの法に基づく基本計画が大躍進をすることを私どもは望むのであります。それが早いおそいということで論議をしておりましても、今困っておる災害が今救えるわけではありませんので、私は、その点、それらの法に基づく措置を一刻も早く樹立確定されることを、まず冒頭に望むわけであります。  そこで、具体的な問題で何点かお伺いをいたしたいのでありまするが、災害救助法の発動を、今回、厚生大臣と都道府県知事との協議を省略して、機動的に府県知事に委託をせられた措置は、まことにけっこうな措置であったと思う。そこで、その災害救助法発動を受けた市町村では、この法発動に基づいていかなる利点、恩典が罹災民に与えられまするか、この問題を、これは厚生省であろうと思いますので、まず具体的に伺います。
  43. 渡海元三郎

    ○渡海政府委員 今回の豪雪災害のために現在まで災害救助法を適用いたしました県は、新潟、石川、福井、兵庫、島根の五県でありまして、大体現在まで五十二カ市町村に——今御指摘がございました通り、前に北陸四県に対して、一昨日はその後島根、兵庫、鳥取、秋田等の九県に対して、事前協議を行なわなくても知事権限においてやっていただきたい、そういうふうな措置をいたしております。  なお、ただいま御指摘のこざいました同法に基づく救助といたしましては、大体避難所への収容、たき出しのために要する費用、もしくは障害物となるところの雪の除雪費用、それらは、この法の規定によりまして財政的に援助していく、こういうように考えます。
  44. 大野市郎

    ○大野(市)委員 障害物の——つまり除雪でありますが、雪害であるので、その除雪費用がただいまの法律に基づいて出るというのでありますが、具体的にそれは幾らほど出るのでありますか。
  45. 大山正

    ○大山(正)政府委員 災害救助法によりまして、従来障害物の除去ということが認められているわけでございますが、今回の豪雪に際しまして、この障害物の除去という形におきまして災害救助を新潟県においては行なっているわけでございますが、従来障害物の除去につきましては、自力あるいは自分の資力ではそういうものが除去できないというようなものに対しまして、公共団体の力で除去する、その費用を見る、こういうことに相なっておるわけでございますが、雪につきましては、やはり屋根の雪等で家が倒壊寸前である、どうしてもこれを除去しなければ人命に危険があるというような場合、あるいは道路に対する出入口というふうなことで、どうしてもこれを除去しなければ日常生活に著しい支障があるというようなものにつきましては、災害救助法による応急救助ということに該当すると考えられますので、この分につきましては、災害救助法による費用負担が行なわれる、かように考えます。
  46. 大野市郎

    ○大野(市)委員 今のは、それでは幾らかかっても、それらの災害救助法適用の市町村に対しては全額除雪関係費用を出せますか。
  47. 大山正

    ○大山(正)政府委員 ただいま申し上げましたように、災害救助法によります障害物除去というところに該当します、いわゆる低所得階層について、必要やむを得ない範囲の除雪をするという費用につきましては、災害救助法の国庫負担がある。災害救助法によります国庫負担は、百万円をこえます場合は二分の一国が負担する。そのかかりました費用と、その県の財政力との見合いにおきまして、最高九割までの補助額がございますので、実際に新潟県でかかりました費用を見まして、それによって補助率が変わって参るわけでございますが、最低限度二分の一の補助は必ずある、こういうことに相なります。
  48. 大野市郎

    ○大野(市)委員 そういたしますと、災害救助法の発動を受けた市町村と、受けない市町村と、たくさんある。現実にそういう形の被害を受けた市町村は、豪雪地帯にはざらなんですね。そうすると、ただいま五十数カ市町村が適用を受けたというが、それにはずれた地帯は、当然でありますが、費用が国から出ないことになりますが、この点に対して、知事に委任はせられたが、それは委任しっぱなしで、本省においては、それの条件などに対して助言あるいは指導、そういう事柄は文書をもって出される意思がありますかどうですか。
  49. 大山正

    ○大山(正)政府委員 先ほども御説明しましたように、道路その他につきましては、もちろんこれは道路管理者の除雪ということになりますので、地方交付税その他で別に見られることになると思うのでございますが、個人住宅につきましては、ただいま御説明申し上げましたようなことに相なるわけでございます。そこで、災害救助法を発動して、公共団体の力で個人住宅について今のような措置を行なうかどうかという判断は、これは知事にまかせる、こういうことにいたしておるわけでございまして、緊急やむを得ないような場合には知事の判断でやってよろしい、従来は、こういう場合一々事前協議を要したわけでございますが、今回はそれをやめまして、緊急やむを得ない場合には知事の判断でよろしいということにいたしまして、その点は電話連絡をいたし、また、どの程度災害救助をなすかというようなことにつきましては、文書では間に合いませんでしたので、とりあえず電話連絡をいたしておるような次第でございます。
  50. 大野市郎

    ○大野(市)委員 そうしますと、いわゆる生活保護世帯はまずよくわかるのでありますが、いわゆるボーダー・ライン層に対してはどういう形をとられますか。
  51. 大山正

    ○大山(正)政府委員 ボーダー・ライン層につきまして、先ほど申し上げましたように、自分の力あるいは自分の資力でとうていできない、それで公共団体の力でやらざるを得ないというものにつきましては、これに準ずるものとしてある程度扱ってよろしいというように考えておるわけでございます。この範囲等につきましては、従来の災害救助法の解釈、事例を県に示してございますので、その範囲で現在新潟県でも行なっておるように私ども承知をしておるわけでございまして、この点につきましては県と何ら行き違いはない、かように考えております。  それから災害救助法以外につきまして、お話生活保護世帯あるいはボーダー・ライン階層につきましては、生活保護世帯につきましては生活保護費の方で見る、ボーダー・ライン階層につきましては、世帯更生資金から災害資金の貸付等を行なう、このような方法を講ずることとして県に指示をいたしております。
  52. 大野市郎

    ○大野(市)委員 そういたしますと、新聞などの報道では、雪害地のそういう家庭には、個人の力で除けない場合には全額公費、一軒当たり五千円の公費負担の除雪を施すというふうな報道が見えたのであります。それからいわゆるボーダー・ラインの人たちに対しては、家屋補修費として雪おろしの費用をつなぎ融資の形で見るというような発表があるのですが、そういう五千円という金額は本省でも承知しておられるものでありますか。
  53. 大山正

    ○大山(正)政府委員 従来、災害救助法によります障害物除去の場合に、一応の目安といたしまして一戸当たり五千円以内ということを指示してありますので、その限度でありますれば、私どもの方としては、特に知事の協議を受けませんでも、処理できる、それ以上どうしてもかかるという場合には、あらためて知事から協議を受ける、こういうふうに考えております。  それからボーダー・ライン層については、お話通りであります。
  54. 大野市郎

    ○大野(市)委員 時間があまりないそうですから、次の問題に移ります。道路の問題でありますが、先ほど本部長のおられたときにも出ましたが、国道筋は最低一車線は開かれておるという報告を受けておられるようです。ところが、われわれが三十日から二月の三日まで北陸を視察したときに、いわゆる八号線国道は、一車線は開いておるのでありますが、大型の車が無制限に往復いたしたために、待避所もつくってない、しかも交通整理はしていないというために、開いておるというものだからその道路を使おうとするが、実は道路が通れないという形で非常に混乱しておって、われわれ視察団もその目にあいまして、二時間で行くところを、午後二時半に発して、石川から福井に着くのに朝の六時半というように、十五時間かかった。そういう状況で悪路をたどり着いたのであります。こういう例からいたしましても、地方警察によって国道筋が開かれたという報告を受けて、それを真に受けて行った者が被害を受けるのでありますから、この点、国警は各地方警察に対して、交通の安全を期するためにどういう手を打っておられるか、伺いたいと思います。
  55. 三角嘉裕

    ○三角説明員 ただいま大野先生から御指摘の点でございますが、県の方にも十分指示しておりますが、この豪雪除去の最初の段階におきまして、先生御指摘通りの不手ぎわがありましたことは、県の方から連絡を受けております。直ちに注意をいたしまして、石川、富山、福井、新潟その他関係府県に対しましても、先ほど来本部長も非常に強調せられました通り交通確保ということが一番緊急問題であるということで、その後におきましては、各県警とも交通整理要員に最もカを入れて対処いたしておりますので、その後におきましてはあまり御迷惑をおかけするということはないように存じております。当初御迷惑をおかけしたことを心からおわび申し上げます。
  56. 大野市郎

    ○大野(市)委員 ぜひそういうことで万全を期していただきたいと思います。  それから、これは建設省の道路局の方に御質問をいたしたいが、一車線を通す場合に、これは常識的に、待避所をつくるのが、しろうと考えでもあたりまえでありますが、一車線をつくって待避所をつくるのは、ブルの使い方でたやすくできる。なぜかというのに、あの悪路を通るときに、初めはつかみ合いのけんかになって無政府状態、それが、運転手同士がシャベルを持ち出してお互いにどちらかの端を削り取ると、通れるのです。ですから、待避所をつくるというのは常識でありますので、今日の段階で機械が足らない、人間が足らないという実情は、冒頭申し上げましたように、雪の問題の基本がまだできていない今日なんだから、私は前向きの形でそれは責めません。今後充実してもらえばよろしい。しかし、できることです。それは待避所です。待避所をつくれば、そういう警察方面の交通整理と相待ってスムーズに貨物も乗用車も通行できるのでありますが、これを怠っておられたのはどういうわけか、これからどうされるのか、この点を確かめたい。
  57. 尾之内由紀夫

    ○尾之内説明員 ただいまのお話、全く事実でございまして、私ども当初、八号線一車線がかなり開いたという報告を受けましたので、実際に一車線の通行が保てたと思っておりましたが、その後の報告によりますと、お話のように、除雪いたしました一車線の雪の深さが三十センチ以上ある、幅もお話のように大してない、こういうような事態でありまして、一般の交通に対して十分耐え得る一車線ではなかったというように反省いたしております。これは思うに、とりあえず除雪車を不通区間をなくすために早く通したいということで一車線を先にあけたということであったと思いますので、自今気をつけたいと思っておりますが、もちろん一車線では不十分でございますので、直ちに二車線あけるように指示を出しまして、二車線をあけるべく鋭意努力いたしております。なお、現在でも一車線の個所が残っておりますが、大体十日か十一日前後、おそくとも十五日には二車線ができる、こういうふうに考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  58. 大野市郎

    ○大野(市)委員 もう一点。大体それが非常に悪路であったもう一つの条件は、アスファルトの完全舗装であったにもかかわらず、三十センチぐらい雪を残して除雪をやっておったためなんです。これは一日暖気がきますと、三十センチ程度の雪はぐしゃぐしゃになって、ジープでもほとんど腸捻転を起こすような悪路です。こういう点も、初めて雪が降ったわけではない、長いことそういう目にあっておるのだが、これらの除雪の技術、そういう面に対して欠けるところがあったと私は指摘したい。こういう点は、やはり三十センチなど残さないで、洗ってすっかり路面まで出す方法をやらないと、非常な難儀をされながら効果が出ない。こういう点に対して、技術的な問題であるけれども、私はそういうふうに観察したが、この点の御回答をいただきたい。なお、その施策の改善ができるかどうか、お示しを願いたい。
  59. 尾之内由紀夫

    ○尾之内説明員 ただいまお話いたしましたように、除雪につきましては、従来大体十センチくらい残すのが常識であります。でありますから、そういう指示を従来いたしておりますが、今回は非常に多くの雪が一度に降りましたために、ただいま申し上げましたように、とりあえず作業車を奥へ奥へ入れるということに重点を置かれたために、お話しのように三十センチぐらい残したようであります。すぐわだちでその後の車が通れなくなるようになりましたので、これにつきましても、二車線の問題と同じように、直ちに三十センチの雪の厚さを少なくするように、また、できれば舗装面まで出すように指示いたしておりますので、これも今申しましたように十五日ごろまでにはそういう状態になると思います。御了承いただきたいと思います。
  60. 大野市郎

    ○大野(市)委員 第三点に、地方都市が孤立をいたしておるのであります。たとえば、織物の産地である栃尾市が孤立をしておる。この栃尾市に対して、私鉄軌道がある。県道もある。いずれも県道は指定路線でありますが、この順序は、やはり幹線の確保が先であることはやむを得ないと私は思います。しかし、それらの問題全体を含んで、機械の多量投入ということが可能であれば、それも、順序は順序ながら、多少のおくれで追いつけたと思います。この点は、豪雪対策特別措置法あるいは災害対策基本法の中でもそれぞれ計画を立てて予算化して充実すべきもので、きょう困ったから今すぐ持ってこいと、私はきょうは言いませんけれども、しかし、まだこれから買えるものもある。三月一ぱいまで降るのですから、そういう点で、予算の中でそういう除雪機械の増強あるいは他地区からの移動ということで、頭を使えば今できることで機械の増強策があるはずでありますから、この点は、道路確保の担当の建設省に対して厳重な御注意を申し上げておきまして、その努力を望みます。  そこで、私鉄の問題であります。運輸省に承りたいのでありますが、地方鉄道軌道整備法がありまして、その中の第三条の四号で、異常な天然現象により大規模の災害を受けた場合に、災害復旧事業を施行して民生を安定させるという規定がある。そうしてその場合に、第八条では、補助を出す、その補助は、施行令の第二条で、補助率は二割は出すと書いてある。二割では少ないと思うが、たとい二割であっても、現行二割があるのに、全然手も足も出ないでそれらの重要な地方軌道が困り果てている。この点に対して、配当五分制限というのがあるので、裕福な地方鉄道はそういう補助は望まないと思います。しかし、たとえば宇奈月に参ります私鉄、これはこの豪雪の中を堂々休まないで通っている。しかるに実際上、冨山の方とか、あるいは先 ほど申した越後鉄道の来迎寺に向かう支線とか、あるいは栃尾に向かう軌道はとても力がないものだから、人間もない、金もないというので困り果てて、今日は自衛隊お願いして、県知事自衛隊の師団長の協議に基づいてそれらの軌道の開さくに力を入れてもらうように、私はきのうの夜着いたのでありますが、現地ではそういう話が進んだといっておりますが、運輸省は、一体、これらの規定がありながら、地方鉄道に対していかなる配慮——そういうことに対する指導というようなことはなされるのであるかどうか、承りたい。
  61. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 今のお説の通り地方鉄道、私鉄に対しましては、補助の道は開いてございます。ただし、今までの慣例によりまして、一応雪に対しては補助はいたしておらないような方向で歩んできたようであります。そうしてまた、雪以外のいろいろな災害につきましても、補助をほしいという鉄道からの申し込みはほとんどなかったようでございます。これはいろいろな事情もございましょうが、一つは、配当制限その他の問題もあるからだろうと考えております。従いまして、今度の豪雪による除雪の問題につきましてはどうしたらいいか、十分検討しなければなりませんが、根本は、会社でほしいという申し込みがあるかないかの問題でございます。今のところ、まだ補助をほしいという申し込みはないようであります。無理々々こちらから補助を差し上げるというわけには参りません。これは会社の配当を規制するとかいうことがありますから。会社の申し込みを受けましたらどうするかということをわれわれも検討いたしておりますが、大蔵当局とも十分検討いたしまして、できることならば、補助をほしいという申し込みがありましたら補助を出し得るような予算の措置をとりたい、こう努力したいと考えております。
  62. 稻葉修

    稻葉委員長 大野君に申し上げますが、きょうは本会議との関係上時間が少ないようであります。次会にまたやりますから、ごく簡潔にお願いいたします。
  63. 大野市郎

    ○大野(市)委員 そこで、さらに、この点、政務次官からのお答えでありますが、金沢の場合は、今度は町のまん中に軌道が通っている、そうしてそういう問題に対しても、各地方鉄道の経営者はやはりぼう然としておって、何とか補助の道がないかというので——行き届かぬ点もごさいましょう、現在の軌道を守るためにこういう法があるのに、運用を知らないのですから。実際はそうですから運輸省が認可してそうして民生を守るためにやっているのだから、私は、ないからやらなかったのだというのは、局長のお答えならまだいいが、政務次官がそういうお答えをされるのはどうも心外です。これはやはり目を広くされて、この点はどうかということでやっていただく。さらに、設備の改良の問題につきましてもこの法の適用があるはずだ。だから、たとえば除雪車を買いたい、しかし金がなかなか回らぬ、そういう問題に対しても何とか国の補助が出るような方法はなかろうかということを切実にわれわれは訴えられてきたわけです。これが真相ですから、どうかこの法の運用に対しては、言ってこないから何とかということでなくして、ぜひあなたの方から相談をかけて、みんな困るのだから、そういうことでこの問題は善処していただきたい。まだおそくないです。まだもう一回降りますから。この点御検討いただきたい。  それから屎尿処理の問題で厚生省にもう一ぺん伺いたいのですが、二階の上に道ができているようなわけで、水洗便所以外の、屎尿をためるためつぼは大へんな混乱になっておる。そこで、例のバキューム・カーの、そりで乗れる小型があるのです。そういうそりで乗れる小型のバキューム・カーをこの際緊急購入、配備して、それらに対して政府が力を入れてやれば、座敷の中でもいいからあの管を通して二階の上から糞尿をくみ上げて、それを処理場まで持っていく方法があるのです。だから、屎尿処理の問題で下水を整備せねばならぬというのは原則だけれども、私はきょうの質問は、ほんとうのたった今してもらいたいことだけに限定して言っている。これは予算措置で——起債が要るなら起債措置をして、そうして応急措置をとって、それらの小型のバキューム・カーをそりをつけて運べるものがあるから、これを豪雪地帯に緊急配備するような計画をぜひ立ててもらいたい。この点に対して対策を伺います。
  64. 渡海元三郎

    ○渡海政府委員 今バキューム・カーの適切なる御指摘をいただきまして、まことにありがとうございました。実は災害対策本部に私の方の技術官も差し出しまして、そりに乗って屎尿を集めておるということは聞いたのでございますが、今のそりに乗る分に対する使用はまだやっておられないようでございます。私も今初めてお聞きしたのでございますが、そういったものがあれば、至急に手配できるかどうかということを現地と打ち合わせます。それに対する財政的な援助ということにつきましては、早急に検討させていただきたいと存じます。
  65. 大野市郎

    ○大野(市)委員 いろいろ恒久的な問題、急いでいただきたい問題もまだたくさんありますが、ルールを守りまして、これで発言を次会に譲ります。
  66. 稻葉修

  67. 石田宥全

    石田(宥)委員 時間の関係がございますので、二、三の点だけを御質問申し上げたいと思うのであります。  まず最初に国鉄当局にお伺いをしたいのでありますが、今回の雪害あたりまして、牛乳の処理に非常な支障を来たしたわけです。牛乳の運搬ができませんために、各地において非常な被害が出ておる。私どもちょっと調べたところだけでも、長岡で大体二百石から三百石をむだにしておる。新潟で百五十石くらい、富山市で百五十石くらいを、家畜の飼料にするか、あるいは廃棄処分をいたしておる。ところが、これは新潟で起こった事案でありますけれども、列車が出るときに駅にかけつけて、駅長と話をつけて牛乳を客車に持ち込んだ。ところが、公安官が出て参りまして、それは違法だからまかりならないということで、ついに追徴金のような形で料金を取った。ところが、駅長は、その程度のものは、病院でも病人が待っておるであろうし、町でも子供が待っておるであろうから、よろしいということで、駅長と話をつけて積み込ませたにもかかわらず、公安官がそういう措置をとったといって、これは大きな問題になっておる。私は、これは時たま起こった小さな問題のようであるけれども、今申しましたように、町では子供が、あるいは病院では病人が待っておる。農民の方では、輸送ができなければ、廃棄処分にもしなければならないというような緊急事態にあたって、しかも駅長と了解がついたものを、列車の中でかれこれ紛争を起こし、そうしてその翌日は一部の青年が怒って遂に持っていかなかった、こういうような事態が起こっておるのであります。なるほど、公安官は一定の基準で取り締まりを命ぜられておるでありましょうけれども、しかし、こういう緊急事態に対処する心がまえというものの融通性がそれほどないものだとすると、これは私は不届きしごくのことだと思うのでありますが、こういうものに対しては、ただいま大野委員からも指摘されましたように、引き続いていつまた豪雪が起こるかわからないのでありまして、やはり適切な緊急な手配をお願いしたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  68. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄といたしましては、緊急物資輸送というものにつきましては、もう何ものにも優先してやらせるように指図をいたしておりますし、そういう取り扱いをしておるはずでございますが、ただいまの御質問のことにつきましては、実は詳しくは私もまだ承知しておりません。さっそく取り調べたいと思います。ただ、今回の緊急物資の必要なものの輸送は十分できるように指図しておりますけれども、いわゆるやみ屋さんなんかの輸送や何かというものはやはり若干あるようでございまして、そういうのを公安官が取り締まっておるのがあるということは聞いております。ただいま御指摘のような、駅長が承認しておるものを公安官が押えるというようなことは、まことに不都合のようでございますし、十分取り調べまして、そういうようなことのないようにいたしたいと思います。
  69. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは取り調べられるよりも、そういうような不都合の起こらないように一つ御注意を願いたいということです。  それから、ついででございますから申しますが、実は雪と鉄道との関係というものは非常に大きな問題でございます。先年来貨物駅の集約を行なっておるわけであります。この前の雪害のときに、私は国鉄の当局に対して、道路の悪いところ、ことに国道などについては除雪も行なわれますけれども、そうでない市道などになりますると除雪は行なわれないので、運搬の方法が鉄道以外にはつかない、そういう地域における貨物駅を集約するということは、地方産業に及ぼす影響が重大であるから、慎重にやっていただきたいということを再三申し上げておったわけです。ところが、この間の報告でありまするが、新津の隣の荻川駅、それから羽生田駅、ここの貨物駅を廃止することが内定したということです。ことに荻川駅などは、あそこに駅があるということを条件の一つにして枝肉処理場ができておる。いろいろな加工設備もできておるわけです。ところが、貨物駅をなくされると、今後のそういう畜産物の輸送等に重大な支障を及ぼすわけです。羽生田は羽生田で事情があるわけでありますが、全く豪雪というものを考慮しないで、画一的な、一年間の取り扱い総量二万トンというような標準で処理をされるということは、私ははなはだ不都合千万だと思うのであります。  もう一つ、これは、私、地元のことで、申し上げにくいのでありますけれども、私がしょっちゅう使っておる駅で、猿和田駅というのがある。ここは定期の乗客だけで七百人からあるわけであります。今日では千五、六百人もあるわけでありますが、今ここの勤務者は二人しかいない。私は実は三人ほしいと思っておったのでありますが、今度は無人駅にするということであります。一日に千五百人から二千人も乗り降りするようなところに、二メートル、三メートルの雪が降ったときに、一体円滑に業務が行なわれると考えるかどうか。これは非常識きわまるといわなければならぬ。こういうような点で、私は、やはり豪雪と鉄道の輸送というものに対して、これは特別に考慮をわずらわさなければならない重大な問題の一つであろうと思うので、これは別に御答弁は要りませんが、特に一つ留意していただきたいと希望を申し上げておきます。  次に、農林政務次官に一つ伺いたいのでありますが、今回の雪害では、まだ農作物の被害は、関西方面の特殊な作物以外は、ことに北陸、東北地方ではあまり被害はない、被害の大きなものは果樹であります。この果樹の被害はやはり全国的に及んでおるのでありまして、大体聞くところによると、天災融資法の地域指定をなさる御方針のように承っておりますが、いかがでしょうか。
  70. 津島文治

    ○津島政府委員 ただいまのお尋ね通り、私どもも果樹に関する被害相当多いと思います。豪雪によりまして枝がさけ、あるいはまた根元がゆるむ、従いまして樹勢もまた弱い、これに対しまして非常に心配をいたしておるのでありますが、まだとうていその状況がつかめないのであります。ただ、夏ミカンに対しましては、ちょうど今まだ木についておるのでありまして、三月から四月の間が出回り期であります。この夏柑に対する被害につきましては、いろいろ具体的に考究いたしておるのでありますが、とにかく天災融資法でも発動しまして、果樹に対しては徹底的に救済をしていかなければならない。御承知通り、果樹は、最近国におきましても非常に力を入れておる成長作物でございます。この際に農民の気持がくじけるようなことがあってはいけない、かように考えておる次第でございます。
  71. 石田宥全

    石田(宥)委員 天災融資法の地域指定は当然行なわれるものと実は了解をいたしておるのでありますが、そこで、そこのところに問題があるのです。これは初めてこの地域指定を受けるような地域ではあまり問題は起こりませんが、新潟県の果樹地帯などでは、もうすでに何回かこの融資を受けておるわけです。そういたしますと、連年災害で天災融資法の融資を受けており、まだ償還に入ったばかりのところにまた受ける、こういうような場合になりますと、従来はややもすると、その融資を受けてもそれは返済に充てるにとどまるというような場合があり、先年これが問題になりましたときには、前回の融資分を償還してなお若干の融通性を持たせる程度の融資が行なわれておったのでありますが、今度三回くらいに重なるところがあるわけです。そういたしますと、今度融資を受けても、前回の償還に充てるということになる、それがほとんど役に立たない、用をなさないというおそれなしとしないわけでありまして、この点については、やはり今回の災害復旧に役立て得るような措置を十分とっていただきたいが、できるかどうか。  もう一つは、末端になりますると、末端の農協では、一つの貸し出しの限度額というものがある。限度額がある上に、相保証を認めない。相互保証を認めない。保証人がなければ貸さない。ところが、部落全体、村全体が被害を受けておると、お互いに保証人になり合わなければ、手続上できない場合がある。そういう場合には貸せられないという例が今日までたくさんあったわけです。これは公庫の業務方法書等の取り扱いでいかようにもなる問題の一つでございますが、この二点だけいかがでございましょうか。
  72. 津島文治

    ○津島政府委員 ただいまのお尋ねごもっともなことでございまして、天災融資法によりまして融資をする、こういいましても、すでに満度に至っておるという方では、この恩典になかなか浴しかねるのであります。それを十分承知いたしておりますので、この際に何とかしまして検討を加えまして、今のそういう方々にもまた御融通をするというふうに考えていかなければならないと考えておるのであります。またもう一つは、御承知でもございましょうが、果樹には補植あるいは改植というものの費用、これは農林漁業金融公庫から天災融資と関係なく貸し出せるのであります。こういう面もなるべく広範に適用するようにしなければならない、かように考えておる次第であります。
  73. 石田宥全

    石田(宥)委員 時間がありませんから、自治省の政務次官にお伺いをしたいのでありますが、先ほど来お話がありましたように、融雪時の被害が予想されるわけです。私どもすでに経験をいたしておるのでありますが、信越線の相当部分が実は水びたしになってしまって、何か内海の中を列車が走るような事態が起こることがあります。大野委員指摘された栃尾鉄道なども、完全に水の中にひたったことがあるわけです。こういう融雪時の被害対策としては、あらかじめ排水の措置を立てておけば、その災害はある程度免れる。それから今すでに起こっておるなだれでありますが、これはやはりなだれに対する監視を常時やっていなければならない。それぞれ消防隊なりその他の方法があるわけでありますが、そういうような融雪時の水害に対する排水の措置、あるいはなだれに対する事前対策というものは、当然今度の特別交付税で見てもらえるものと考えておるのでありますが、ややもすると、従来自治省が非常に厳重なワクをはめておるものでありますから、下に十分届かないような事態がしばしばあったわけです。そこで、今回は災害地の公共団体に対して、資金運用部から北陸二億、東北一億、中国一億というような短期資金の手当も行なわれておるわけでありますが、特別交付税を交付されるにあたっての基準をつくるための資料を今収集中だと思うのです。そこで、その収集されるにあたって、ただいま申し上げましたようななだれや融雪時の水害をあらかじめ防除するような対策は、当然その中に算入されなければならないと思う。しかし、そのほかいろいろな関係のものがあると思うのでありますが、その資料をお集めになるにあたって、どんな標準でその資料を収集しておられるか。私が申しました点などは当然と思われるのでありますけれども、いかがなものでございましょうか。
  74. 藤田義光

    ○藤田政府委員 お答えします。  ただいま御指摘のなだれ防除、融雪時対策等は建設省の所管でありまして、それぞれ担当官庁において措置すると思いますが、御指摘通り、現在自治省におきましては特別交付税の配分の準備をいたしております。実は本日午前中の閣議におきまして、交付税の三十八年度繰越額の中で二十二億円だけ今回の特別交付税に追加して豪雪地帯に重点的に配分するという緊急措置も決定したばかりであります。(発言する者あり)資料の収集にあたりましては、特に重点事項を摘記してはおりませんが、大体、従来、公共建物、道路あるいは学校等に関しましては、一般交付税の基準財政需要額の算定に考慮いたしておりますが、今回の豪雪は特殊の事態でありますので、当然特別交付税の配分対象になるわけであります。御指摘の点もわれわれ全く同感でございますので、特別交付税の配分資料の中にはもちろん入ってくると思いますが、具体的な配分にあたりましては、一つ十分考慮して特別交付税の額を決定したい、かように考えております。
  75. 石田宥全

    石田(宥)委員 通産省の方がおられると思うのですが、今回は、中小企業金融対策といたしまして、三機関に対して財政資金の追加百億、中小企業向けの買いオペレーションに百億実施を予定されておるということであります。この問題も、先ほどの天災融資法の実施にあたっての問題と同じような面があることを指摘申し上げなければならないと思うのであります。いろいろ金融措置は政府はかなり大幅になされておるようでありますけれども、末端に参りますと、中小企業は、それでなくてももう自転車操業をやっておるような事態になっておるわけでありますが、さらにこの豪雪でかなり無理をいたしておるわけです。そういたしますと、いろいろな金融関係が道は開けておって、政府は予算を組んでおりましても、末端に参りますと、銀行の貸し出し限度額という仕切りがある、そうすると、すでに限度額まで借りてしまっておる者には、何百億の予算措置が行なわれても、それは高ねの花で、実は銀行は貸してくれない。そういう事態に対して今度は何か特別の配慮が行なわれておるかどうか。何か特別の配慮が行なわれなければ、全く手のつけられないもので、一番困っておるところに、いわゆるかゆいところに手が届かないものになってしまうと思うのでありますが、いかなる配慮をなされておるかを伺いたいと思います。
  76. 加藤悌次

    ○加藤説明員 ただいま御指摘の点、そういう場合も間々ございます。それで、今回の雪害の場合にも、過去において災害融資の場合同じ措置をとっておりますが、既存の債務との関係については、弾力的に別ワクで考えるという措置をとっております。
  77. 石田宥全

    石田(宥)委員 今の抽象論ではよくわかりません。しかし、私が申し上げたように、それが実際困っておる者のところに手が届かないことのないように、特別の配慮をぜひ一つやっていただきたい。今後の成り行きを見まして、またお伺いもし、要望申し上げますけれども、強くこれは要請申し上げておきます。
  78. 西村力弥

    西村(力)委員 ちょっと関連して。今の通産省関係ではなく、その前の自治省関係の問題で、私不規則発言をしましたけれども、正式に一つ発言したいと思うのです。  翌年度繰越分から二十二億さいて雪害対策に回す、こういうことでございますが、この交付税を翌年度に繰り越すこと自体に問題がある。一体、二十二億さいて、あと残額繰越分は幾らになっておるのか。私どもは、交付税の性格からいいまして、それは全額当年度において使うべきである、しかもこういう緊急事態にあたっては、法的にも疑義のある繰り越しなんかやめて、全部豪雪対策にこれを入れるべきだ、こう主張したい。二十二億、これは相当の努力かもしれませんが、しかし、こういうことでいかにもいいことをやったような考え方に立つことは、私たちはとても受け取るわけには参らない、こう思うのです。一体この繰越分は何ぼ残っておるのか、それをこれから豪雪に回すという努力、これについての答弁を願いたい。
  79. 藤田義光

    ○藤田政府委員 ごもっともな御質問でございますが、実は繰り越し予定額は百二十二億円でございます。ところが、特別交付税のワクといたしまして二百九十三億円ございます。昨年に比較いたしまして特別交付税のワクは三十六億増加いたしております。今回の昭和三十八年度繰越額の中から二十二億流用が決定いたしましたので、当初豪雪等がない場合に予定しておりました特別交付税の二百九十三億プラス二十二億で、三百十五億を特別交付税として配分いたします。そうしますと、昨年より三十六億円ふえた上に二十二億ふえるわけでございます。ただ、豪雪対策のほかに、御存じの通り産炭地振興のための市町村にも重点配分の必要がありますので、昨年よりふえた分を豪雪対策に全部充てるというわけにも参りませんが、十分今回の豪雪対策実情に即するような傾斜配分をやりたい。今年は昨年に比べて一般災害もだいぶ減っております。その方面にいく特別交付税も、昭和三十六年度に比べまして減額できると思いますので、そういう点もなるべくならば豪雪対策に充てたい、かように考えておるわけでございます。御指摘通り、交付税の翌年度繰り越し問題はすでに三年続いておりまして、この問題に関しましては、西村委員指摘通り、交付税の繰り越しはけしからぬという理論もございますが、繰り越されたる交付税は、当年度におきまして給与改善あるいは突発の災害その他に従来最も効率的に流用してきた金額であります。従来の財政体系からすると、繰り越しをここで全部遮断するということには非常にむずかしい問題が介在いたしておる、かように御了解をお願いしたいと思います。
  80. 西村力弥

    西村(力)委員 私は繰り越しそれ自体に疑義があると思う。これもやはり自治省としては相当無理をしてやっておるんだと私は思う。やっておるから、私たちの立場が正当であるがごとく言いますけれども、これはやっぱり無理だと思う。  それから二百九十何億ですか、それに上積み二十二億、こういうことで三百十五億円、それだけあるんだと言いますが、今おっしゃったように、産炭地の極端な状態に対する特別交付税の配分——豪雪相当傾斜配分するといいますけども、石炭対策特別委員会では、産炭地の地方自治体に傾斜配分する、こう言わざるを得ないのですよ。それから非鉄金属の鉱山を持っている市町村においても財政事情は非常に悪い。そういうところにも相当重点的な配分をしなければならぬ。幸いにして昨年は一般災害というものは少なかったという利点はありまするけれども、それだってゼロではない。そういたしますると、やはり百億を次年度繰り越しをやるということを、もっともっと狭める、もっともっと少なくする。そうしてどうしてもやればきりがないし、しかも緊急を要する問題がどんどんと各委員から出されております。ですから、次年度繰り越しに疑義があるということを一応伏せても、もっともっと削って、特別交付金を充当する方向にもっとプラスするという工合に、ぜひ一つ再度努力をあなた方の方でやっていただきたい。これについて強く希望しておきます。
  81. 石田宥全

    石田(宥)委員 時間がございませんから、あと一問だけにいたしたいと思いますが、徳安総務長官にちょっと伺います。  先ほど来お話がありましたように、災害救助法が相当発動され、適用されておるのですが、災害救助法というものは、当座のたき出しだとか、水の給与だとか、毛布の給与だとか、きわめてささいなもの、しかしそれは必要なものでありますけれども、しかし今回の豪雪のために、たとえば工場に働いておっても、月給の者はまあまあ何とかなりますけれども、日給で工場に通っておるというような人は全然所得がなくなる、あるいはまた、建築作業などの日雇い賃金で生活している者も、そういう状態、あるいは工場などでもやはりそういう者が相当あるわけです。小さな家内工場などをやっている者は、全く材料も入ってこなければ、製品もつくり出せないという実情に置かれておるわけです。それで、私はここでよけいなことを申しませんが、前回の愛知、三重、岐阜の台風の災害の際に、救助資金というものを五千万円ほど、金額はわずかでありますけれども、出されておる例があるわけでございます。社会党としては、これはどうしても救助を内容とした立法が必要だということを常に申し上げておるわけでありますが、立法措置もさることながら、災害救助法適用地区に対する何らかの救済的な予算措置がどうしても必要であると思うのです。私はここによけいな例をあげませんが、今回は、特別に生活に困窮を来たしておるような人たちというものは、大体市町村役場等で把握ができると思いますので、そういう実情を御調査の上に適切な救助のための予算措置をぜひ一つお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  82. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまお話のような点につきましては、すでに党からもあるいは社会党の方からも要請が出ておりまして、ただいま検討いたしておりまして、さらに関係の通産省初め自治省、あるいは各府県知事に対しましても、御趣旨の点につきましてはもう通達してございます。政府の方でもどういう処置をとるかにつきましては、さっそく検討いたしまして、なるべく御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  83. 石田宥全

    石田(宥)委員 時間の関係がございますから、また別の機会に御質問申し上げることといたしまして、以上で質問を終わります。
  84. 稻葉修

    稻葉委員長 田口誠治君。
  85. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 簡単にお伺いをいたしたいと思います。  今度の豪雪に対して、現時点においては、政府が非常なおカを入れていただいておりますし、また自衛隊の非常な御協力をいただいていることに対しては敬意を表しているわけでありまするが、そこで苦情がましい御質問になるわけですが、ふだん自衛隊の内容を強化される場合でも、民生安定ということを大きく打ち出して国民にもアッピールし、愛される自衛隊というようなPRがなされているわけです。従って、一昨々年の水害等には一般の大衆から自衛隊相当見直されたというようなこともあり得るのでございます。そこで、私は昨年の予算分科会で強く要望を申し上げておいたわけですが、こういう除雪の場合でも、風水害の場合でも、協力をしていただく場合には、隊員は相当数動員をされまするけれども、それに必要なところの機械器具が全く不足であるわけなんです。従って、人員の動員はなされても、能率が上がらないで、せっかく努力をしていただいておっても、それがそのように国民に感謝されないというのが実態であるわけなんです。そこでお伺いいたしたいことは、水害の場合には、施設部隊が相当機械器具は持っておりますけれども、除雪作業なんかの場合は、そういう準備が非常にないわけなんです。それで、今度の豪雪にかんがみて防衛庁はおそらく考え直されたであろうと思うのですが、そういう点について、将来もこういうことがあり得るということを頭に描きつつ、今後どうするのか、この点を明確に答弁をしていただきたいと思います。
  86. 生田宏一

    ○生田政府委員 自衛隊災害出動の場合は、おおむね施設部隊が参るのが普通でございます。施設隊は自衛隊の中でも個々に駐屯しておりますが、その数には限度がございますので、今回のような多人数の動員をいたしまする場合には、施設隊だけでは足りませんので、施設隊以外の部隊につきましても動員いたしております。それで、豪雪対策あるいは除雪対策等につきましては、北海道部隊には割合に施設隊が充足しておりますが、北陸方面には多少その点が欠けておりますので、今後の考え方としては、北陸方面にも施設部隊を増強していきたい、こういう考え方は、今回の経験にかんがみて持っているわけであります。
  87. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私の申し上げているのは、部隊の増強ということでなしに、今回のような災害があった場合に、施設部隊だけでは足らないから一般の隊員にも協力をしてもらうのだが、そのときに多くの隊員を動員しても、簡単に言えば、機械器具が足りないから仕事にならないということなんです。だから、もう少し必要な機械器具をふだん備えておく必要があるのではないか、こういうように考えて、昨年の予算分科会でもこの点を強く要望しておるわけなんです。ところが、今年もそういう配慮が多くなされておらぬというのは私は非常に残念に思うわけなんですが、将来の問題もありまするので、この点一つ約束をしておいてもらいたいと思うのです。
  88. 生田宏一

    ○生田政府委員 自衛隊の本義からいたしまして、これをすべて施設隊に編成するわけには参りません。その点はおのずから限度があろうかと思います。ただし、新潟あるいは北陸三県の場合におきましては、鉄道の除雪につきましては、機材が不足したという事態は発生いたしませんでした。むしろ、シャベルによる人力作業でありますので、人力を必要といたします。ただし、道路の上における除雪でございましたならば、ダンプでございますとか、ブルドーザーでございますとか、そういうものが必要でございますが、今のところ、お尋ねになりましたような、機材がきわめて不足をした、そうして人間ばかり多くて作業が進まぬではないかという事態は、まだ発生しておらぬと思います。しかし、鉄道が啓開いたしますると、今度は市街地の除雪あるいは道路の除雪という方向へ自然に作業が向いて参りますから、各地にございます施設隊の機材を集めまして、そうしてその作業量が不足を来たさないようにする配慮でございます。
  89. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 かたくならないように御答弁をいただきたいと思うのですが、単なる委員会の質疑応答の取引だけではないのです。私は、こういうような事態には、やはりまじめに考えて、ふだんの準備をしておく必要があるわけです。今、次官の説明からいきますると、隊員は相当動員していただいて、除雪作業には支障を来たさなかったと言われておられますけれども、現地のいろいろな情報を聞いてみますると、そうばかりでもないのです。私は、せっかく努力していただいたのだから、どう悪かったというようなことは言いたくないから申し上げませんが、まだまだやはり機械器具の不足によって作業の能率を上げ得ることができなかった、そういう隘路があるということなんです。従って、私は、単なる個々の質疑応答の言葉のやりとりだけでなしに、今後の問題でこういう場合に処するにはどうしたらいいかということを考えてみれば、これは私が昨年要求をした通りのことが今年実現をしたわけでございまするから、もう少しかたくならない考え方で、今後のこうした問題を善処する場合の処置を、やはりここで心がまえとして御答弁をいただいておきたいと思います。
  90. 生田宏一

    ○生田政府委員 別にかたくなってお答えをしておるわけではございません。ただ、自衛隊といたしましては、その編成上、すべてを施設隊にするわけにはいきませんが、できるだけ災害出動に対して十分な作業ができるような隊の準備をしたいということは、われわれといたしましても当然持っておるわけでございます。しかし、今回の場合、私の聞いておりますのは、たとえば鉄道の除雪にいたしましても、自衛隊の作業能力は上がりましても、除雪をする運搬車、これは鉄道でございますから、鉄道の輸送力でございます、排除しました雪を鉄道が輸送する輸送力でございます、それがむしろ不足をしたというような状態が生じておったということを聞いております。しかしながら、お尋ねのことにつきましては、災害出動に対して十分の機械器具をそろえておきたいという気持におきましては、全くわれわれも同感でございます。そのように考えております。
  91. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ただいまの件につきましては、豪雪の場合だけでなしに、風水害の場合も考えての私はお願いでございますから、そのように受け取っておいていただきたいと思います。それから今度は国鉄の方でございます。国鉄の方も大へん努力はいただいておりますが、率直に申し上げまして、独立採算制ということが頭にき過ぎておるのか、また百年来のこのような豪雪があるとはいうことは予期しなかった面もあろうと思いまするけれども、旧来あるところの除雪ラッセル車、こういうようなものが多くて、全く近代的なものが少し欠けておるのじゃないか、ふだん備えておられぬのではないか、こういうように考えられまするので、こういう点につきましても、この機会を通じて、どのようなお考え方を持っておられるのか、この点もやはり明確にしておいていただきたいと思います。
  92. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 お答え申し上げます。  今回の豪雪対策につきましては、別に独立採算制とかなんとかいうことは一切考慮しておりません。一日も早く交通が回復して民心の安定と経済の向上に資したいということだけで、一生懸命に努力をいたしておるような次第でございます。お尋ねのように、いろいろな旧式の機械が多いではなかろうか、新しいものはあまり考えぬではなかろうかということにつきましては、必ずしもそうではございませんと申し上げられないかもしれません。なるほど、お説のように、もっともっと今の日本の鉄道の規模に合うような、あるいはいろいろな大きな雪に耐え得るような、もっと新しい機械を整備することが必要かと考えます。その意味におきましては十分に努力をいたしております。ただ問題は、機関車とか、そういうものだけではございませんで、線路の問題、すべての点が一貫して密接な関連がございますので、そういう面につきましてもいろいろ努力いたすつもりでございます。
  93. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 今度の除雪作業について、独立採算制を頭において作業をされたと私は言っておりません。ただ、ふだん国鉄を経営する上に立って、要らないものを多額の金をかけて買い求めておくというようなことに欠けておるのではないか、それが今日の、近代的な、必要な除雪機械が不足をしておるのじゃないか、こういう点を指摘申し上げたのであって、その点については、次官の方から、私の申し上げておることと同じような考え方を十分持っておられて、今後の処置をしていただくように受け取りましたので、その点はけっこうでございます。  それから建設省でございます。建設省も機械器具の関係もございますが、第一回の委員会を開きましたときにいただいたこの資料を見ますると、建設省から出された資料の中で、孤立町村が二県しかないわけなんですね。そして二県の場合でも、孤立町村を調べてみれば、十二町村しかないわけなんです。しかしながら、実際的には相当多くの孤立町村全国的にあったわけなんです。従って、私は、こういう調査なり資料というものは、これは建設省からお出しになっておるのですが、当然これは自治省から各地方自治体へいろいろ連絡をとって、そして建設省といろいろ話し合いをされて資料をつくらなければ、資料ができてもおそ過ぎるのではないか、こういうように考えておるわけなんですが、こういう点についてはどういうようにお考えになりますか。
  94. 平井學

    ○平井政府委員 お答えします。  ただいま御指摘の点は、確かにごたごたしておった際で私どもも十分な連絡を関係筋ととれなかったうらみはあるのでございますが、実は建設省といたしましては、とりあえず生活物資の補給その他で問題になるような孤立町村の数を実は各県の方にお願いして調べたのでございまして、毎年の例によって孤立するところは大体予定されておる。従って、調査でも、食糧その他の物資について一月、二月、三月貯蔵しておるというところは、一応道路打開の目的からいいまして省きまして、そういう物資補給という点から急を要するという点を特に県の方にお願いをして調べたのであります。従って、それ以外の町村で漏れたものも相当あると思いますが、さような調査の趣旨を明らかにしていなかった点はまことに遺憾でございますが、その点はとくと御了解の上御解釈を願いたいと思います。
  95. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 年々免疫性になっておる孤立町村をまず除外して、そうしてその他のところを報告さしたということでございまするが、その前の免疫性になっておるところは、食糧とかその他の物資輸送等について何ら支障のないところであるかどうかということも承っておきたいと思います。必ずしもそうではないという事実を、きのうも陳情者が来て訴えていきましたのですが、そうばかりではないわけなんです。その点一つ明確にしてもらいたい。
  96. 平井學

    ○平井政府委員 お答えいたします。その点は、今言ったような、ほかの一級国道地方道も同時に除雪に当たることがむずかしかった段階におきましては、やはり順序を考えてやらねばならぬ関係上、私どもがそういった被害報告をもらう場合に、初期の段階におきましては、やはりほかを犠牲にしても早急に道路をつけてやらねばならぬようなところをとりあえず報告を願いたいということで知事さんの方にお願いをいたしたのです。多少県によりましてはその判定がいろいろございまして、当然報告していただいた方がいいと思うところもあるいは漏れておるかもしれません。また、私どもは、毎年例になっておるところはそのままほうっておいていいという意味ではございません。大ていそういうところは県道あるいは市町村道が多いと思いますが、そういった点は、知事さんの方で、とりあえずそういった中から特に急ぐところを建設省の方に連絡したいという趣旨でお知らせを願ったものだろうと解釈しておるわけであります。そのほかにそういう孤立したところがあるだろうということは予想いたしておりますので、その辺は十分考えております。
  97. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 一度に一級国道、二級国道を作業することは困難であると思う、必要な個所から必要に応じて作業を進めていった、こういうことなんですか。必要、必要でないという点については、いろいろ考え方によって意見はあると思いまするが、一級国道にしましても、二級国道にしましても、これはやはり経済、文化その他の面からいって必要なところがやはり一級、二級の国道になっておるのであって、そうした場合には事欠かないように作業をさしてもらわなければならないと思うのです。それで、それができなかったということは、人的不足か、それとも機械数の不足であったのか、その点も明確にしていただいて、そうして今度の降雪にかんがみて、こうしたらいいだろうというようなことがあれば、その配慮をここで明確に意思表示をしていただきたい、こう思うわけです。
  98. 平井學

    ○平井政府委員 確かに除雪機械の面と人力の面と両方の面からいたしまして、あとに回されねばならないような路線なり町村ができたことは、まことに遺憾でございます。従って、私どもは、今後のこういう豪雪対策といたしましては、除雪機械の面と、これを操作するオペレーターの確保の問題、こういった二点について、将来より以上に研究しなければならぬとは存じております。除雪機械の各豪雪地帯に対する補助にいたしましても、実は予算面でも御案内のように、逐年補助額も増加していただいておりますし、また直轄用の機械も、同様に五カ年計画のワク内で逐年相当率でふやしてもらっております。ただ私どもが遺憾に思いますのは、今回のような豪雪に対しては、従来私どもが考えておった五カ年計画による除雪機械設置、これが間に合わなかった、こういうようなことを痛感いたしておりますので、今後はこの除雪機械補助等につきましてもさらにより以上努力をいたしたいと存じております。また、これを操作するオペレーターの確保、こういうことにつきましても配慮したい、なお、さらに、国費あるいは地方費でのみこういう機械を平素から常備することも大へんでございますので、民間の除雪機械に転用し得るようなダンプカーとか、あるいはその他の機械類も、できるならば、平素から知事当局あたりと十分連絡をとって、登録とまではいかぬでも、民間にどの程度あるかということを調査しておいて、いざという場合にこれが動員できるような、もっともっと完備した平素の計画を充実しておきたい、かように考えておる次第でございます。
  99. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは次に移ります。  今度の降雪の場合には、気象庁の方から、非常に大きな寒波が襲来する、豪雪の注意報というものが出されておったわけなのです。それで、僕らしろうとが考えてもそうなのですが、その予報通りにどんどん雪は降り積もっていった、どうにもこうにもならぬようになってから騒ぎ立てて、自衛隊へ動員を依頼をしたりその他努力をされたというのが、実態であるわけです。従って私は、そういうような予報の出た場合には、やはりその時点で除雪の態勢をとるということになれば、それほど長期間交通が途絶するというようなことはあり得なかったのではないか、こういうように考えますので、本部長は見えませんので、徳安長官からその点はお答えを願えると思いますが、徳安長官からのお答えと、それから気象庁の方にその点をお伺いいたしたいと思いますが、従来もやはりこういう場合には予報なり警告を発していただいてあるわけなのですが、今度の場合には格別にそういう予感の数字が出たのかどうか、こういう点もやはり明確にしてもらいたいし、それからもしそういう数字が出たとするなれば、特別の強い警告をしてもらわなければならないと思うわけなのですが、この点について一つ御答弁をいただきたいと思います。
  100. 徳安實藏

    徳安政府委員 結果から見ますと、なるほど至らぬ点がたくさんあったと思います。私どもがこの雪は大へんな雪だという気持が起きて参りましたのが二十四、五日ごろでございまして、もちろんこれは各県におきまして自主的に相当なお考えがあり、手当があり、防災計画も立っておるわけでございますから、大体その程度で済むんじゃないかというようにも考えておりましたが、どうもこれは大へんだと思いまして、二十六日に防災会議事務局長として、各県知事に対しまして、この雪に対して緊急に政府の方に援助を求めたいとか、こういうことをしてくれというようなものがありますれば遅滞なく申し入れてほしいという電報を私の名前で打ちました。二十七日ごろからそういう電報に対する御返事はちょいちょい承りましたが、これはとてもそんなことではいかぬと思いまして、御承知のように、二十八日には政府の方で調査団を組織して現地派遣したわけでございます。電報、電話等の連絡をとりますと、政府の方の調査団が帰って参りましてその報告を受けた上で処置をしますことは、手おくれになるんじゃないかと考えましたので、二十九日の早朝の閣議におきまして私から発言を求めまして、どうしてもこれは非常災害対策本部というものを総理府に設けることが必要ではなかろうかという提議をいたしまして、総理を初め各閣僚から御賛成を得ましたので、すぐにその手続をとることにいたしました。そうして即日防災会議を開き、また臨時閣議の手続が、晩方でございますから、できなかったのでありますが、持ち回り閣議で書類を整えまして、そうして御承知のように本部長を建設大臣に頼み、私が副本部長になりまして、さらに各省からより抜いた、この方に関係のある諸君を職員に委嘱いたしまして、即日発足いたしました。三十日に初顔合わせをいたしまして、本部長は即日現地の方に参られるというようなことでございまして、各方面と連絡を密にして十分努力したつもりでございます。しかし、これほどではなかろうと思って——今日から考えてみますと、もっともっとやるべき点があったのではなかろうかと、私どもの方も少しおそかったというふうに考えるのでありますけれども、この点はあとのことでございまして、自来はほとんど不眠不休で処置をとっておるわけであります。災害救助法の発動のごときにいたしましても、最初新潟知事から私に、何とか民心安定のためにも早く処置をしたいという電報が参りました。すぐ総理に話をいたしまして、総理から、これは運営の面において、こうした緊急なものを、あるいは厚生省と相談せんならぬ、厚生省はさらに大蔵省と相談せんならぬ、その結果処置をするなんというのではおくれるから、そういうことのないように処置をしたらどうだというお話がありました。たまたま大蔵大臣が見えまして、それはけっこうだということで、すぐに、厚生大臣には連絡がとれませんでしたけれども、事務当局と連絡をとりまして、そうして即日各知事には処置をとられるように電報を打ったわけでございまして、あらゆる面におきまして努力するだけは努力したつもりでございます。また法の運用につきましてもそうこだわらずにやっておるつもりでございますが、しかし皆さんの方から言いますと、まだ足らないところがあろうかと思いますから、どうぞ一つよく教えていただきまして、そうして今後もあることでございますから、どんどん地方民の方々が御満足のいくように処置いたしたいと思っております。
  101. 大石武一

    ○大石(武)政府委員 ただいま田口委員の仰せのように、除雪に関し、あるいは気象の予報の連絡につきまして手落ちがなかったかというお話でございますが、ないとは申されないと思います。もっともっと除雪の時期を得ればということでございますが、これにつきましては、言いわけではございませんが、一言だけ実態を申し上げたいと思います。  気象庁並びに気象台の天気予報が近ごろだいぶ当たることは、仰せの通りであります。特に私ども運輸省所管でございますので、お互い緊密な連絡をとりまして、特に約束をいたしまして、いろいろと汽車の運営の場合には十分な連絡がとれるような手配をして、そのようなことを実行いたしております。ただし、御承知のように、幾ら気象予報が進んで参りましても、当分の間は、何時に降るとか、どのくらい雪が確実に降るとか、あるいは新潟県なら新潟県の各こまかい部分にわたってまでこまかい予報は絶対にできません。そういうわけで、やはりある程度までの予報の確実性ということは限られるわけでございます。そういうことと、もう一つは、その予報に従っていろいろと計画的な運休をいたしまして——御承知のように、除雪するには、除雪車と普通の列車との速度がまるきり違いますから、どうしてもほかの車を一切線路から取っ払って除雪しなければ、完全な除雪はできません。そのために、雪が降ってあぶないという場合には、すぐ汽車をとめて除雪するという計画は立てておりましたが、この雪が早急にきたのと、大量にきたのと、そういうことによりまして、計画運休、除雪が必ずしも計画通りはいかなかったといううらみはございます。そのためにいろいろと手配もおくれまして、除雪がおくれたことは事実でございますが、この点も今後は十分手配をいたしまして、根本的な対策によってできるだけ効果をあげたいと考えております。
  102. 鯉沼寛一

    ○鯉沼説明員 先ほどの予報の点についてお答え申し上げます。  私どもの方で一カ月予報というのをやっておりまして、昨年十二月十日に出しましたが、大体この冬は寒くて雪が少し多くなりそうだということは予報いたしましたが、こんな大雪だということは、われわれ見通しを立てることはできませんでした。ですから、ただ多そうだということを発表しただけでございます。
  103. 稻葉修

  104. 堂森芳夫

    堂森委員 徳安総務長官にお尋ねをいたしますが、自治政務次官の藤田さんもいらっしゃいますから、あわせて御答弁を願えばいいわけですが、今回の雪害の、まずまっ先にやらなければならぬことは、除雪であると思うのであります。これによって民心も安定し、従ってまた産業も復活していく。いろいろな意味で、まず除雪が第一であると思うのであります。そこで、各豪雪地帯の自治体は財政的に非常な困難を来たしておる、これは当然でありますが、先刻石田議員でありますか、特別交付税のことにつきましてはお尋ねがございましたから、私は省略をいたしまするが、府県あるいは市町村等に対して財政的な調整資金の特別貸付を相当高額にやらなければ、自治体はとうていたえられないと思うのでありますが、その基本的な態度について災害対策本部はどのような方針でおられるのか、具体的には藤田政務次官からお答えを願いたい、こういうふうに思います。
  105. 徳安實藏

    徳安政府委員 公共施設等につきましては、各省それぞれの所管に従いまして、法令、予算に従って補助等の措置をとっておるわけであります。その残額が公共団体の負担になります。そこで、こうした問題に対しましては、今後自治省と関係各省が話し合いをいたしまして決定しようということになっておりまして、ただいま話し合いをしておると思いますから、詳細のことは自治省の方から聞いていただきたいと思います。
  106. 藤田義光

    ○藤田政府委員 お尋ねの点に関しましては、すでに大蔵省と自治省が打ち合わせまして、預金部資金の融資を急遽やっております。引き続きまして、現在各県の地方課長、総務部長を召集いたしまして、市町村分の特別交付税の配分作業を急いでおります。来週一ぱいにこの作業はぜひ終わりたい、引き続いて都道府県分を急遽配分したい、こういうことによりましてさしあたっての対策を一つ進めていただきたい、かように考えております。
  107. 堂森芳夫

    堂森委員 さらにお尋ねをいたしたいのでありますが、時間がございませんから、これでこの質問は終わりたいと思いますが、企画庁の豪雪地帯対策特別措置法のことであります。一昨年新潟地方を主体とした豪雪がございまして、昨年の四月でございますか、この法律ができたわけでありますが、この法律によりますと、豪雪地帯対策審議会ができ、そして基本計画が樹立される、こういうことになっておるのでありますが、私の知っておる範囲では、審議会の委員が昨年の暮れにようやく任命されて、一昨年の豪雪を機会としてできたこの法律は、政府によって今日まで全く放置されておるような事情でありますが、これはどういうわけでございますか。今回の豪雪対策が立ちおくれておる基本の原因は、こういうところに政府の怠慢があると思うのでありますが、この点、経済企画庁としてはどのような態度で今日まで臨んで参ったのでありますか、時間もございませんから簡単でようございますから、お答えを願いたいと思います。
  108. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 ただいま御指摘通り豪雪地帯対策特別措置法が昨年の四月に制定されておりまして、実は関係各省と幾たびか幹事会を開催いたしまして、昨年の十二月に第一回の審議会、ことしの一月二十日でございましたか、第二回の審議会を開きまして、まずこの法律に従って豪雪地帯の指定の準備をただいまやっておるわけでございます。実はこの法律は一種の恒久対策でございます。そこへ今回の豪雪が参りまして、審議会としてもやや審議が立ちおくれの格好になったわけでございますが、私ども今後の災害に備えて、長期対策をこの審議会で十分検討して参るというつもりでやっております。事務的におくれましたことははなはだ申しわけないわけでございますが、昨年度予算、準備等もゼロでございまして法律が成立したという事情も一部はございますが、それにいたしましても、今後できるだけ促進してやって参りたいと思っております。
  109. 堂森芳夫

    堂森委員 時間がございませんから、経済企画庁に対しまして厳重に警告をいたしまして、こうした豪雪が今日参っておるのに、昨年成立した法律が——もちろん長期的な見通しのもとにしっかりした対策を立てる、そういう建前ではありましょうが、法律ができて一年近くもほってある、こういう態度に対しまして政府の態度を追及したい、こう思うのであります。  そこで、次に労働政務次官にお伺いします。この間北陸地区を回ったわけでございますが、各工場で相当労働者諸君の賃金のカットが行なわれておる事情を各地で陳情を受けたわけであります。かつて伊勢湾台風の当時のような災害では、もちろん工場が水つきになる、流れる、いろんな災害で職場がなかったわけでありますが、雪の場合には工場はあるわけです。しかも往復の時間が非常にかかりまして、九時の出勤が十一時、十二時になる、帰るのはまた、道があぶないから、四時、三時に帰る、こういうような事情のあることはやむを得ないことだと思うのでありますが、十五日間あるいは二十間くらいの賃金カットが行なわれておる工場が相当ある、こういうふうにわれわれは陳情を受けたわけでありますが、こういう事態に対して労働省は調査をしておられるのか、あるいはどんな態度で今後臨まれるのか、具体的に答弁を願いたいと思います。
  110. 田村元

    ○田村政府委員 実はこの就業時間の短縮のもたらす賃金カットという例は、非常に少ない例でありまして、今までの災害でもほとんどそういう事情というのは多くなかったわけであります。ただ、二十八年と三十四年にはこれに類似した問題で特例法でこれを救ったという前例はございます。現在われわれが考えております失業保険法の一部改正というものがあるわけでありますが、その新しい改正点では、こういう問題を何とか救えるようにしたいと考慮しておるわけでありますが、現在のところでは、現行法でこれをどうこうということがちょっと不可能なようでございます。そこで、今私も聞き初めで実はまことに申しわけないのでありますが、その実態を調査するために、ここでお約束できますことは、今明日中に必ず労働省の相当の者を現地派遣しまして、実態調査をいたさせますことをここでお約束いたしたいと思います。
  111. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいま労働政務次官から、豪雪地帯に労働省の担当者を派遣して実情調査してもらうということですが、そうして政府としてはそういう企業に対してまた融資の道その他を考えてもらわなければいかぬわけでありますが、責任持ってそうした調査お願いいたしたいと思います。  あとは次会に譲りまして、私の質問をこれで終わります。
  112. 稻葉修

    稻葉委員長 本日の質疑はこの程度にとどめ、次会に譲ります。     —————————————
  113. 稻葉修

    稻葉委員長 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
  114. 稻葉修

    稻葉委員長 速記を始めて。  この際、お諮りいたします。  本委員会からすでに北陸山陰地方委員派遣して雪害状況調査に当たったのでございます。委員長の手元までその調査報告書が提出されておりますが、本日は本会議も始まっておりますから、この際派遣委員報告はこれを省略し、調査報告は本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 稻葉修

    稻葉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。  本日はこの程度にいたし、次会は、来たる十二日火曜日、午前十時から開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十七分散会      ————◇—————   〔参照〕  派遣委員調査報告書  派遣委員第二班(福井県、石川県、富山県)調査報告書二月二日から、富山、石川、福井三県における豪雪による被害状況等について現地を視察して参りましたので、御報告いたします。昨年末から、北陸地方に降り始めた雪は、次第に激しさを加え、また季節風も強く吹き続け、一月六日には、福井県の越前町海岸に押し寄せた高波が小型トラックもろとも五人をさらい、翌七日には、冨山湾では、高潮と吹雪に見舞われ、八日には新湊市に対し災害救助法が発令されたのにはじまり、北陸の各県を中心に各地で季節風と大雪による大きな災害が相次いで起ったのであります。その後も冬型の気圧配置がおとろえず、十一日頃から激しくなった豪雪は、各地に被害をもたらし、山間部のみならず平野部でも連日多量の降雪があり、二十三日、二十四日が最大の山で、これがため北陸本線、私鉄、バスの各交通機関は全面運休の非常態勢に入り、国道八号線も寸断されるに至ったのであります。  この未曾有の豪雪は、多数の人命の損失をはじめ、住宅、教育、産業施設等に多大の損害を与え、国鉄をはじめとする交通機関は杜絶し、生活必需物資の欠乏と、物価の値上り、ぼう大な除雪費の支出、工業生産の減退を来たしたのであります。  現地調査に行った時の県側の説明によれば、富山県における被害総額は、死者行方不明十一名、負傷者二十六名、民家で全壊したもの四十一、半壊二十三をはじめ、被害総額は、約六十六億円にのぼり、更に、被害額が増加する見込みとの事であります。その内訳の主なるものは、農林水産関係約七億七千五百万円、商工関係約三十五億円、建物約九億一千万円余であります。  石川県においては、死者七名、負傷者九名、住家の全壊二十二、半壊九をはじめ、被害の総額は、約百十五億七千万円余に達し、その内訳は、農林水産関係の約十八億円、商工関係では約八十九億七千万円となり、そのうち、繊維工業は二十七億七千万円、鉄工業は二十二億四千万円、繊維関係卸業二十一億円、小売業十七億円で更に被害が増大しつつあります。  福井県では、死者二十九名、民家の全壊二十、半壊二十六、非住家の全半壊百七十九をはじめ、物的損害の総額は約百十三億三千四万円余であり、その内訳の主なるものは、農林水産業関係二十億円、商工関係約七十六億三千万円で、そのうち繊維工業では四十三億三千万円の被害をうけ、土木関係は十億円となっております。  以上北陸三県被害は約三百億円にのぼり、これらの被害は、今後増える見込みであり、各県ではこれらの被害をくい止めるため、今なお、必死の努力をいたしておるのであります。  今回の大雪の特徴は、期間の長かったこと、寒さが強く季節風も吹き続けたこと、山岳部、平野部とも大雪があったことであります。この豪雪に加えるに、この地方の雪は、湿度が多く、その重みが、被害を更に多くしております。  この際政府においても、対策を更に強力に推進し、これら各県の被害最小限度に止めるとともに、次に述べます地方の要望事項を充分考慮されたいと思います。  次に、各県からの数多くの要望のうち、その主なるものを申し述べます。第一は、一般関係として、  (イ)「豪雪地帯対策特別措置法」  の積極的推進。  (ロ)「激甚災害に対するための特  別の財政援助等に関する法律」   よる激甚災害指定。  (ハ)雪害に対する総合的調査研究  機関設置。の三点であります。豪雪地帯対策特別措置法は、昨年四月公布施行されたのでありますが、未だ具体化されていないので、早急に、地域指定、基本計画の樹立等同法の促進を図られたく、また、今日の豪雪による被害は、かつてないものであり、激甚災害指定については、政府において特別の考慮を払うとともに、今後の雪害問題の抜本的解決を図るため、国において総合的調査機関を設け、積雪被害の総合的防除策を樹てる必要があると思われます。なお、豪雪地帯の気象台の予算の増額についても配慮されたいと思います。  第二は、建設関係として、  (イ)「積雪寒冷地域における道路  交通確保に関する特別措置法」  による除雪事業費の増額及び指定  路線の確保除雪機械の整備、増  強等。  (ロ)除雪作業経費についての国庫  負担も対象とされたい。  (ハ)路面損傷に対する国庫負担制  度を実施されたい。  (ニ)公共建築物の単価及び坪数の  基準を実情に即して引き上げられ  たい。なお、個人住宅についても  、基準、規格、単価を引き上げられたい。以上の四点であります。  積雪被害を最少に止めるには、まず除雪であることは申すまでもないことであります。今回の豪雪に対処するため、各県から、除雪機械の増強が最も強く要望されております。三県とも、県有をはじめ、民間借上げ、自衛隊、奉仕、市町村機械等を総動員し、不眠不休の活動をしております。できれば各市町村に一台は欲しいところであるが、富山県では最低四十五台、石川県では八十台、福井県でもその増強を切望しており、水害等があった場合の復旧にもまた役立ちますので、国の予算の増額を図られたいと思います。なお、除雪機械の整備と相俟って、雪捨場、流雪溝の速やかな整備も必要であります。  公共建築物及び個人住宅については、今回の被害を受けたものに対しても、又将来に対しても、豪雪に耐えうるよう、基準、規格、単価等に特別の考慮が必要と思います。例えば、校舎の鉄筋化、久期間は運動場が使用できないので、屋内体操場の基準坪数の補正、個人住宅に対する融資についても、食糧、燃料の貯蔵等の必要からみても、坪数の基準を考えてやる必要があると思うのであります。  なお、積雪地帯の道路についてでありますが、国道八号線を例にとれば、現在、除雪により、二車線のところを一車線が確保されている現状でありますので、豪雪地帯は、幅員を二車線のところは、四車線に拡張しなければ、交通確保が困難と思われます。また、除雪した場合に待避所を設けること、交通整理に留意することが必要であります。  第三は、農林水産関係として、  (イ)雪害による、果樹、立木、家畜及び漁網、漁船の損傷に対し、速やかに「天災融資法」を適用するとともに、農林漁業金融公庫の災害復旧資金枠の増額措置をとられたい。  (ロ)木炭、窯及び倉庫の復旧に対する国の補助の途を講ぜられたい。  (ハ)倒伏造林木雪起し補助制度及び幼令林倒伏木の雪起機購入資金補助を確立されたい。  (ニ)融雪に対する諸施策を緊急に講ぜられたい。等であります。  農林関係については、今後、被害が増える見込であり、融雪時には相当被害も見込まれるので、この際早急に所要の対策を講ずる必要があります。また殆んど一カ月操業出来なかった漁業関係被害者についても融資等の措置をとられたいと思います。  第四は商工関係として、  (イ)商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫の災害復旧、つなぎ融資等のため大幅な特別融資枠を早急に設けるとともに金利の引下げ、貸付期間の延長を考慮されたい。  (ロ)信用保険料率の低減、てん補率の引き上げ、信用保険協会に対する資金の貸付等の措置を講ぜられたい。(ハ)雪害に伴う税の減免、納期日延長等大幅に考慮されたい。等であります。  滞貨金融除雪費、手形決済、原材料の確保、滞貨及び製品の輸出等の問題が多くありますので、これらに対する手当を十分にとる必要があります。これは災害対策のみならず、積雪地帯の産業助成の上からも特に速やかな措置をとられんことを望みます。  第五は、運輸関係であります。  (イ)北陸本線をはじめとする各線の正常運行について、早急に措置を講ぜられたい。  (ロ)北陸本線の複線化電化の完成、国鉄の防雪除雪体制の確立と、緊急輸送対策をより整備すること。等であります。  今回の災害にかんがみ、各駅には、地形、水の関係等の条件もあるが、流雪溝の設備を進める必要があります。国鉄除雪機械相当陳腐化したものも多く、水分含有量の多い雪の実情にマッチした高度の能力を発揮できる新機械の装備が必要と思われます。これらに対しては国の相当の負担も考慮すべき点があると考えられます。  第六は教育関係でありまして、  (イ)公立学校施設災害復旧費国庫負担法の適用と復旧事業費の早期決定と基準の引上げ。  (ロ)除雪費の補助。  (ハ)老朽校舎の改修、改築。等であります。  第七は、税財政関係であります。  (イ)被災者に対する税の減免及び納入の延期。  (ロ)除雪、道路損傷補修等多額になった財政需要に対し、特別交付税の交付。等であります。  豪雪地帯においては、積雪により各種の被害及び支出増が伴うので、税の減免、徴収猶予等の措置をとられることを望みます。  また、普通交付税における積雪度にかかる寒冷補正については、係数の基礎データーの修正並びに特別交付税の配分が今月であること等を考えますと、今回の被害に対する地方自治団体の実施した雪害対策経費が多額にのぼっておりますので、この財政需要に対しては、政府において、十分考慮されんことを望むものであります。  第八は、民生関係であります。  (イ)社会福祉施設及び生活保護関係については、除雪費の補助を行なうとともに、燃料費、物価値上り等による運営困難にかんがみ、基準及び単価を引き上げられたい。  (ロ)し尿、塵芥、下水道終末処理施設の整備拡大。等であります。  このうち、し尿の処理については、各県とも非常にこれが対策に苦慮いたしておりますので、下水道事業及び清掃施設事業に対する起債又は補助金について、特別の考慮を払われたいと思います。  第九は、除雪のための自衛隊の増援を計られたいことであります。  自衛隊は、一月二十一日から出動し、現在は、国鉄操車場、貨物側線の作業を中心とし一部道路の除雪を行ない、一般人の三乃至五倍の能率を上げ地元から感謝されております。また地元では私鉄の除雪にも協力方強い要請があります。なお隊員の宿泊には、小学校、公会党又は客車等を利用しておるのでありますが、暖房、照明も十分でなく、又作業で濡れること、糧食については、特に二十円増額を認められたとのことでありますが、物価高に吸収されておりますので、作業能率の低下及び病人の出ぬよう十分考慮されたいと存じます。  以上の各要望を緊急に達成するためには、補正予算を組む等の措置をとられるよう強く要望いたしております。以上、今回視察いたしました。北陸三県の主なる要望事項を挙げましたが、政府においても、その救済について強力なる施策を早急にとられるとともに、この地域の発展のために特別の助成を望むものであります。  以上報告いたします。     —————————————  派遣委員第三班(鳥取県、島根県)調査報告書  第三班の調査の概要について、御報告いたします。  第三班は、松田鐵蔵委員及び岡本隆一委員の二名で、去る二月二日より五日間にわたり鳥取、島根町県の雪害状況について調査を行なって参りました。  山陰地方は、昨年十二月末より日本海沿岸を襲った寒波により、北陸地方と同様曾つて経験したこともない降雪が続き、両県とも沿岸地方は暴風をしのぐ激しい風雪に見舞われ、又、中国山脈に沿った山間部には三米ないし四米余の豪雪をもたらし、山間平地部で二米前後、更に従来比較的積雪量の少ない米子、境港市、松江市の市街地にも平年の三乃至四倍の一米前後の降雪があって、尊い人命の損失の外、各方面に予想外の大雪害を生じております。我々の調査中もなお大雪、雪崩注意報が出されている状況であって、今後の降雪と雪崩、融雪時の洪水による被害は更に増大する事は明らかであり、この点が最も被災地でも憂慮されておるところであります。  以下、両県下における被害の概要について述べますと、先ず国鉄関係でありますが、両県の日本海沿岸を走る山陰本線と、中国山脈を越える各支線は、一月中旬を中心に不通個所が相当ありましたが、関係方面の非常な努力により、目下のところは運休や遅延はあっても、概ね開通の状況であります。しかし、今後の降雪、雪崩により危険にさらされている個所が多く、当局のこれに対する早急なる対策が必要と思われます。  次に、道路交通状況でありますが、両県下とも最悪時はその殆どの交通が途絶し、全県下麻痺状態と相成ったようでありますが、自衛隊出動又県下の各土木事務所を中心として地建、民間等の機械力と人力を投入し、不眠不休の努力、然も莫大な経費の投入により、概ね主要幹線の交通確保されつつありますが、島根県下におきましては、今なお一級国道の五十四号線をはじめ、広島、山口県に通ずる道路は不通となっている状態でありました。このような連日にわたる降雪と強風は、両県下の活動を麻痺におとし入れ、交通機関の途絶により各般の産業及び経済活動はその機能を停止し、各方面に多大の損害を与えている現状でございます。  即ち土木関係では風雪浪による港湾施設等の損壊、舗装及び砂利道の破損、建物、公共建物等の損壊、山地の崩壊等が多く、又融雪時の洪水による損害等は今後更に多額にのぼるおそれがあります。  次に農林関係でありますが、長期間の積雪のため相当被害が予想され、農作物では麦類、特に雪に弱いビール麦、裸麦の損害が大きく、又そさい類は茎葉の折損、凍害長期積雪による腐敗、出荷不能による滞貨でその損害はひどく、特に移出そさいの産地である米子市、境港市の打撃は大きいものがあります。又、鳥取県の特産たる梨等は、枝折と梨棚等の損壊も広範囲に及んでおり、島根県の夏みかんも相当被害をうけているようであります。  畜産関係につきましては、交通途絶によって牛乳が出荷できず、又飼料の確保も不可能となり、乳出量の低下、鶏の産卵率低下による被害が大きいようであります。  次に林業関係でございますが、立木の倒木による被害相当大きいと推測されますが、製炭地帯においては、炭窯の全壊等も多く、又、積雪のための製炭不能と山林労務者の就業不能は生活資金にも困窮する状態であります。又、沿岸漁業者は強い風雪のため長期間に亘って全く操業不能の状態であり、巾着網、底引網漁業の根拠地で、又山陰随一の漁港といわれる境港市の水揚量は平年漁獲量の一割程度ということであって、水産加工業の操業停止と相まって深刻な問題となっております。  次に、商工鉱業関係でありますが、工場建物設備等の直接損害の他、交通麻痺による出荷不能、原燃料の入手難、通勤不能のための操業低下、卸商の荷動き不能、小売商の売り上げ減、観光客の激減といった間接被害が広範囲にわたっており、その損害額は莫大と考えられます。  その他、更に予想される雪崩、融雪時の洪水による建物、土木、農林関係施設、公共施設等の被害は益々増大するものと考えられますが、現在推計出来る被害額としては、県側の説明によれば、鳥取県の場合、二月三日現在で、死者三名の外、除雪費五千万円、公共施設等の被害約六億二千万円、農林作物等の被害六億九千四百万円、商品、商工業施設の被害一億一千五百万円、生活困窮者等の援護費一億二千万円、経済上の損失三十五億一千七百万円、合計五十一億一千五百万円となっており、又、島根県につきましては、二月四日現在で、死者十三名、行方不明一名の外、施設等の被害、十三億二千百万円、経済上の損失見込額十九億円で、内訳は、建物被害約一億九千九百万円、公共施設被害約三億九千八百万円、農林業関係約六億六千二百万円、水産関係約三千二百万円、商工鉱業関係二千万円、公共機関関係約八百八十万円であり、その他推計しうる経済上の間接被害十六億五千万円で、合計約四十八億七千万円となっているようであります。以上述べましたように、かってない豪雪による被害に対し、両県及び関係町村から数多くの切実な要望がありましたが、その主なる事項としては、  一、「豪雪地帯対策特別措置法」に基づく豪雪地帯の指定についてであります。例年積雪により産業の発展、住民の生活水準の向上が阻害されている両県とも本法に期待するところ多く本年の雪害状況又地理的気象的諸条件を勘案し早急に全県を指定されたい。特に島根県では、全県指定が難しい場合は、少なくとも過去二十年間において、一米以上の積雪を観測したことのある市町村を指定されたいとのことであります。  二、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」第二条の規定により、今次災害を激甚災害として指定されたい。  三、土木関係  (一)豪雪による交通途絶地区への交通確保のため「積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する特別措置法」による除雪事業費を大巾に増額する措置を講ぜられたい。又、同法による路線指定を拡大し、防雪凍雪防止工事及び除雪機械の整備を促進する措置を講ぜられたい。特に鳥取県に於ては米子市、境港市内の道路、島根県に於ては益田市、美濃郡、鹿足郡、隠岐島の道路であります。  (二)長期にわたる大量の降雪のための舗装及び砂利道の路面並びに木橋の損耗、破損が甚だしく、又融雪時には多額の補修費を要するのでこれを国庫補助の対象とされたい。  (三)公営住宅法による公営住宅基準の「多雪寒冷地区」として県を指定されたい。又、豪雪のための家屋倒壊の復旧について補助並びに融資の途を講ぜられたい。  四、農林水産関係  (一)天災融資法の特別被害県に指定するとともに、特に薪炭地域の就業不能、沿岸漁業の出漁不能並びに増殖水産物等の流失損害による漁業者等に対し、政府資金による低利融資の措置を講ぜられたい。農林漁業金融公庫の融資枠を確保するとともに、自作農維持創設資金の災害資金枠を確保されたい。  (二)被災地における開拓者の転落を防止し、その経営を維持せしめるため、融資枠の増設を講ぜられたい。  (三)農作物の病害虫防除費、並びに生育回復対策費の助成、牧草種子代の助成、炭窯の復旧助成、林業苗圃防除費の助成を講ぜられたい。  (四)幼令林倒木被害を森林保険の対象とされたい。  (五)農地、農業用施設及び林業施設の早期復旧並びに補助率の引上げ、漁港被害の早期復旧を講ぜられたい。五、社労関係  (一)豪雪のため生活の場を失ったものに対し、生活の支えとなる災害援護資金の融資枠の拡大を講ぜられたい。  (二)豪雪により、被害をうけた保育所、医療機関、水道施設等の復旧について、国庫助成措置並びに融資の途を講ぜられたい。  (三)職場を失った沿岸漁業者、山林労務者等に対し、緊急就労対策事業を実施し、又失業対策事業の拡大をせられたい。  (四)雪害に起因する生活困窮者に対する世帯更生資金の国庫補助額並びに生活保護費の増設をせられたい。  (五)操業不能によって減収の甚だしい漁業者に対し、船員保険料の納付を減免する措置を講ぜられたい。  六、文教関係  (一)文教施設災害復旧の早期実施を行なうため、補助率の引上げと早急なる交付の措置を講ぜられたい。  七、商工関係  (一)商工鉱業関係被害の復旧及び取引上の損害を補填するため、国民金融公庫、商工中央金庫及び中小企業金融公庫に対する既存の融資枠を拡大し、特別融資として低利の融資金制度を講ぜられたい。  (二)特に鳥取県では、地元金融機関に対する資金手当として、鳥取大火の例により特別に政府資金の預託の途を講ぜられたいとのことであります。八、財政関係  雪害による税収減並びに除雪費、災害復旧対策等に要する県及び市町村の特別の財政需要に対する特別交付税及び起債について、格別の考慮をたまわりたいということであります。  両県は、資源的に又財政的にも乏しく、県財政に占める自己財源の割合は、わずかに鳥取県で二〇%、島根県で二五%程度という状態で、本雪害に対処するための国庫に対する依存度は極めて大きいと言わねばなりません。  この際、国としては、只今の両県からの要望事項については、これを十分に取り入れられ被害対策を早急に樹立し、これから予想される雪崩、融雪時の被害発生を最小限に食いとめるとともに、早急なる民生の安定と諸産業の生産維持発展に万全を期すべきだと思うのであります。  なお、この際両県下の雪害を視察して痛感いたしました諸点について述べますと、第一に、いわゆる雪害に対処する従来の政府の態度を根本的に改めなければならぬことであります。  即ち、政府は、風水害に対しては、凡ゆる方面に対し、これに対処する方策と又各種の財政的援助に関しても手厚い保護が従来ともなされて参ったのでありますが、雪害に対しては一昨年の豪雪により二、三の立法がなされておるにすぎず、これらの万全の処置がなされておりません。なるほど、雪害は風水害の如く急激な災害はもたらさないが、今回の如き、豪雪としかも長期の降雪が続けば、広範囲にわたり各交通機関は途絶し、経済活動は麻痺状態となり、雪の重圧、雪崩による家屋等の倒壊、埋没がおこり、尊い人命の損失をはじめ、各方面に甚大なる損害を与えることは今回の例を見ても明らかであります。従って、政府は、今回の経験にかんがみ各豪雪地帯に対しては、豪雪地帯の指定を急ぐとともに、早急な、しかも、抜本的な恒久対策を確立し、災害防除に遺憾のないよう措置すべきであります。  第二として、除雪事業に関する問題であります。  積雪地帯で最も困難な問題ともなるのは除雪事業であります。除雪事業は、人員と機械の大量の投入が必要であり、これに要する県、市町村又個人の負担はばく大なものでありますが、現在国は積雪寒冷特別地域における道路交通確保に関する特別措置法に基づき、県に対し若干の補助を与えているにすぎません。雪害による経済の麻痺を未然に防止し、災害を最小限に食いとめる上からも、又本事業が広範囲でありばく大な費用を要する点からしても、堆積土砂の排除と同様の、若しくはこれに準ずる高率の国の補助が必要であり、又、市町村除雪費に対しても、国は十分なる補助を行なうべきであると考えるのであります。  第三として、市街地における主要な幹線道路の建設の問題であります。  即ち、今回の場合、主要幹線道路が市街地を通っている関係で、両側の家屋からおろされた雪が道路に積まれ、道路の幅員は益々狭められて、これが交通障害となり、又機械による除雪の際は、両側の家屋及びこの雪が最大の障害となって、益々交通麻痺を起こす原因と相なっているようであります。これらの実情にかんがみ、積雪地帯における市街地道路の建設に当っては、少なくとも主要幹線は市街地を通さず、やむを得ず通す場合は、自動車専用のバイパスを設けるべきだと痛感いたしたのであります。  第四として、陰陽連絡道路の整備促進の問題であります。  山陰地方、特に鳥取、島根両県は、地理的、経済的立地条件から山陽方面との関係が深いのでありますが、陰陽を結ぶ道路の整備は、他の地域に比し、特にその遅れが目だち、今回の豪雪に際しても、この方面の道路は、その殆んどが途絶の状況であります。従って、政府は、今回の雪害実情にかんがみ、又低開発地域たる山陰地方の開発のため、陰陽連絡道路の整備を急ぐとともに、豪雪に対しても交通確保が維持できるような早急な対策を講ずべきであると考えます。第五として、積雪地帯における畜産、特に養鶏、酪農の指導の問題であります。  最近、農業の体質改善と多角的農業経営への指導により、各方面に酪農が盛んでありますが、今回の豪雪により山陰地方の酪農は、交通途絶のために集乳不能、飼料の欠乏が深刻な問題となっておりまして、酪農の将来に暗いかげを投げかけている現状であります。これは、国及び県の積雪地帯における酪農指導に手落ちがあったと指摘せざるを得ないと感ずるわけでありますが、今後は、今回の如き豪雪に際しても、集乳確保の方途を講ずるとともに、飼料の確保と供給、又酪農地区における成る程度までの加工処理工程の設備等についても適切なる指導と助成を行なうべきことを痛感いたしたのであります。  最後に、鳥取、島根両県は、山間部はもとよりでありますが、平素雪を余り予想しない平地部の降雪がひどく、その被害は、全く予想外でありますので、この点を十分考慮され、北陸地方と同様、各般にわたって十分なる対策を講ぜられるよう要望いたすものであります。なお、詳細につきましては、委員長の御手元に資料として提出いたしておりますので、それを御覧いただきたいと存じます。  また、城崎にて、兵庫県但馬地区豪雪による被害について、その状況を聴取し、その資料は委員長の御手元に提出いたしておりますが、その被害の激甚なるにかんがみ、でき得べくんば、当地並びに京都府北部等の被害甚大なる未調査地域にも、本委員会より、調査のため、委員派遣されることを要望して報告といたします。