○
稻葉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。
本日はこの
程度にいたし、次会は、来たる十二日火曜日、午前十時から開会いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時十七分散会
————◇—————
〔参照〕
派遣委員調査報告書
派遣委員第二班(福井県、石川県、
富山県)
調査報告書二月二日から、
富山、石川、福井三県における
豪雪による
被害状況等について
現地を視察して参りましたので、御
報告いたします。昨年末から、
北陸地方に降り始めた雪は、次第に激しさを加え、また季節風も強く吹き続け、一月六日には、福井県の越前町海岸に押し寄せた高波が小型トラックもろとも五人をさらい、翌七日には、冨山湾では、高潮と吹雪に見舞われ、八日には新湊市に対し
災害救助法が発令されたのにはじまり、
北陸の各県を
中心に各地で季節風と大雪による大きな
災害が相次いで起ったのであります。その後も冬型の気圧配置がおとろえず、十一日頃から激しくなった
豪雪は、各地に
被害をもたらし、山間部のみならず平野部でも連日多量の
降雪があり、二十三日、二十四日が最大の山で、これがため
北陸本線、私鉄、バスの各
交通機関は全面運休の非常態勢に入り、
国道八号線も寸断されるに至ったのであります。
この未曾有の
豪雪は、多数の人命の損失をはじめ、住宅、教育、産業施設等に多大の損害を与え、
国鉄をはじめとする
交通機関は杜絶し、
生活必需物資の欠乏と、
物価の値上り、ぼう大な
除雪費の支出、工業生産の減退を来たしたのであります。
現地へ
調査に行った時の県側の
説明によれば、
富山県における
被害総額は、死者行方不明十一名、負傷者二十六名、民家で全壊したもの四十一、半壊二十三をはじめ、
被害総額は、約六十六億円にのぼり、更に、
被害額が増加する見込みとの事であります。その内訳の主なるものは、農林水産
関係約七億七千五百万円、商工
関係約三十五億円、建物約九億一千万円余であります。
石川県においては、死者七名、負傷者九名、住家の全壊二十二、半壊九をはじめ、
被害の総額は、約百十五億七千万円余に達し、その内訳は、農林水産
関係の約十八億円、商工
関係では約八十九億七千万円となり、そのうち、繊維工業は二十七億七千万円、鉄工業は二十二億四千万円、繊維
関係卸業二十一億円、小売業十七億円で更に
被害が増大しつつあります。
福井県では、死者二十九名、民家の全壊二十、半壊二十六、非住家の全半壊百七十九をはじめ、物的損害の総額は約百十三億三千四万円余であり、その内訳の主なるものは、農林水産業
関係二十億円、商工
関係約七十六億三千万円で、そのうち繊維工業では四十三億三千万円の
被害をうけ、土木
関係は十億円となっております。
以上
北陸三県
被害は約三百億円にのぼり、これらの
被害は、今後増える見込みであり、各県ではこれらの
被害をくい止めるため、今なお、必死の努力をいたしておるのであります。
今回の大雪の特徴は、期間の長かったこと、寒さが強く季節風も吹き続けたこと、山岳部、平野部とも大雪があったことであります。この
豪雪に加えるに、この
地方の雪は、湿度が多く、その重みが、
被害を更に多くしております。
この際
政府においても、
対策を更に強力に推進し、これら各県の
被害を
最小限度に止めるとともに、次に述べます
地方の要望事項を充分考慮されたいと思います。
次に、各県からの数多くの要望のうち、その主なるものを申し述べます。第一は、一般
関係として、
(イ)「
豪雪地帯
対策特別措置法」 の積極的推進。
(ロ)「激甚
災害に対するための特 別の財政援助等に関する法律」 よる激甚
災害指定。
(ハ)
雪害に対する総合的
調査研究 機関の
設置。の三点であります。
豪雪地帯
対策特別措置法は、昨年四月公布施行されたのでありますが、未だ具体化されていないので、早急に、地域指定、基本計画の樹立等同法の促進を図られたく、また、今日の
豪雪による
被害は、かつてないものであり、激甚
災害指定については、
政府において特別の考慮を払うとともに、今後の
雪害問題の抜本的解決を図るため、国において総合的
調査機関を設け、
積雪被害の総合的
防除策を樹てる必要があると思われます。なお、
豪雪地帯の気象台の予算の増額についても配慮されたいと思います。
第二は、建設
関係として、
(イ)「
積雪寒冷地域における道路
交通の
確保に関する特別措置法」 による
除雪事業費の増額及び指定 路線の
確保、
除雪機械の整備、増 強等。
(ロ)
除雪作業経費についての国庫 負担も対象とされたい。
(ハ)路面損傷に対する国庫負担制 度を実施されたい。
(ニ)公共建築物の単価及び坪数の 基準を
実情に即して引き上げられ たい。なお、個人住宅についても 、基準、規格、単価を引き上げられたい。以上の四点であります。
積雪の
被害を最少に止めるには、まず
除雪であることは申すまでもないことであります。今回の
豪雪に対処するため、各県から、
除雪機械の増強が最も強く要望されております。三県とも、県有をはじめ、民間借上げ、
自衛隊、奉仕、市
町村の
機械等を総動員し、不眠不休の活動をしております。できれば各市
町村に一台は欲しいところであるが、
富山県では最低四十五台、石川県では八十台、福井県でもその増強を切望しており、水害等があった場合の復旧にもまた役立ちますので、国の予算の増額を図られたいと思います。なお、
除雪機械の整備と相俟って、雪捨場、流雪溝の速やかな整備も必要であります。
公共建築物及び個人住宅については、今回の
被害を受けたものに対しても、又将来に対しても、
豪雪に耐えうるよう、基準、規格、単価等に特別の考慮が必要と思います。例えば、校舎の鉄筋化、久期間は運動場が使用できないので、屋内体操場の基準坪数の補正、個人住宅に対する融資についても、食糧、燃料の貯蔵等の必要からみても、坪数の基準を
考えてやる必要があると思うのであります。
なお、
積雪地帯の道路についてでありますが、
国道八号線を例にとれば、現在、
除雪により、二車線のところを一車線が
確保されている現状でありますので、
豪雪地帯は、幅員を二車線のところは、四車線に拡張しなければ、
交通の
確保が困難と思われます。また、
除雪した場合に待避所を設けること、
交通整理に留意することが必要であります。
第三は、農林水産
関係として、
(イ)
雪害による、果樹、立木、家畜及び漁網、漁船の損傷に対し、速やかに「天災融資法」を適用するとともに、農林漁業
金融公庫の
災害復旧資金枠の増額措置をとられたい。
(ロ)木炭、窯及び倉庫の復旧に対する国の
補助の途を講ぜられたい。
(ハ)倒伏造林木雪起し
補助制度及び幼令林倒伏木の雪起機購入資金
補助を確立されたい。
(ニ)融雪に対する諸施策を緊急に講ぜられたい。等であります。
農林
関係については、今後、
被害が増える見込であり、融雪時には
相当被害も見込まれるので、この際早急に所要の
対策を講ずる必要があります。また殆んど一カ月操業出来なかった漁業
関係の
被害者についても融資等の措置をとられたいと思います。
第四は商工
関係として、
(イ)商工中金、
中小企業金融公庫、国民
金融公庫の
災害復旧、つなぎ融資等のため大幅な特別融資枠を早急に設けるとともに金利の引下げ、貸付期間の延長を考慮されたい。
(ロ)信用保険料率の低減、てん補率の引き上げ、信用保険協会に対する資金の貸付等の措置を講ぜられたい。(ハ)
雪害に伴う税の減免、納期日延長等大幅に考慮されたい。等であります。
滞貨
金融、
除雪費、手形決済、原材料の
確保、滞貨及び
製品の輸出等の問題が多くありますので、これらに対する
手当を十分にとる必要があります。これは
災害対策のみならず、
積雪地帯の産業助成の上からも特に速やかな措置をとられんことを望みます。
第五は、運輸
関係であります。
(イ)
北陸本線をはじめとする各線の正常運行について、早急に措置を講ぜられたい。
(ロ)
北陸本線の複線化電化の完成、
国鉄の防雪
除雪体制の確立と、緊急
輸送対策をより整備すること。等であります。
今回の
災害にかんがみ、各駅には、地形、水の
関係等の条件もあるが、流雪溝の設備を進める必要があります。
国鉄の
除雪機械は
相当陳腐化したものも多く、水分含有量の多い雪の
実情にマッチした高度の能力を発揮できる新
機械の装備が必要と思われます。これらに対しては国の
相当の負担も考慮すべき点があると
考えられます。
第六は教育
関係でありまして、
(イ)公立学校施設
災害復旧費国庫負担法の適用と復旧事業費の早期決定と基準の引上げ。
(ロ)
除雪費の
補助。
(ハ)老朽校舎の改修、改築。等であります。
第七は、税財政
関係であります。
(イ)被災者に対する税の減免及び納入の延期。
(ロ)
除雪、道路損傷補修等多額になった財政需要に対し、特別交付税の交付。等であります。
豪雪地帯においては、
積雪により各種の
被害及び支出増が伴うので、税の減免、徴収猶予等の措置をとられることを望みます。
また、普通交付税における
積雪度にかかる寒冷補正については、係数の基礎データーの修正並びに特別交付税の配分が今月であること等を
考えますと、今回の
被害に対する
地方自治団体の実施した
雪害対策経費が多額にのぼっておりますので、この財政需要に対しては、
政府において、十分考慮されんことを望むものであります。
第八は、民生
関係であります。
(イ)社会福祉施設及び
生活保護
関係については、
除雪費の
補助を行なうとともに、燃料費、
物価値上り等による運営困難にかんがみ、基準及び単価を引き上げられたい。
(ロ)し尿、塵芥、下水道終末
処理施設の整備拡大。等であります。
このうち、し尿の
処理については、各県とも非常にこれが
対策に苦慮いたしておりますので、下水道事業及び清掃施設事業に対する起債又は
補助金について、特別の考慮を払われたいと思います。
第九は、
除雪のための
自衛隊の増援を計られたいことであります。
自衛隊は、一月二十一日から
出動し、現在は、
国鉄操車場、貨物側線の作業を
中心とし一部道路の
除雪を行ない、一般人の三乃至五倍の能率を上げ
地元から感謝されております。また
地元では私鉄の
除雪にも
協力方強い
要請があります。なお隊員の宿泊には、小学校、公会党又は客車等を利用しておるのでありますが、暖房、照明も十分でなく、又作業で濡れること、糧食については、特に二十円増額を認められたとのことでありますが、
物価高に吸収されておりますので、作業能率の低下及び病人の出ぬよう十分考慮されたいと存じます。
以上の各要望を緊急に達成するためには、補正予算を組む等の措置をとられるよう強く要望いたしております。以上、今回視察いたしました。
北陸三県の主なる要望事項を挙げましたが、
政府においても、その救済について強力なる施策を早急にとられるとともに、この地域の発展のために特別の助成を望むものであります。
以上
報告いたします。
—————————————
派遣委員第三班(鳥取県、島根県)
調査報告書
第三班の
調査の概要について、御
報告いたします。
第三班は、松田鐵蔵
委員及び岡本
隆一委員の二名で、去る二月二日より五日間にわたり鳥取、島根町県の
雪害状況について
調査を行なって参りました。
山陰地方は、昨年十二月末より日本海沿岸を襲った寒波により、
北陸地方と同様曾つて経験したこともない
降雪が続き、両県とも沿岸
地方は暴風をしのぐ激しい風雪に見舞われ、又、中国山脈に沿った山間部には三米ないし四米余の
豪雪をもたらし、山間平地部で二米前後、更に従来比較的
積雪量の少ない米子、境港市、松江市の市街地にも平年の三乃至四倍の一米前後の
降雪があって、尊い人命の損失の外、各方面に予想外の大
雪害を生じております。我々の
調査中もなお大雪、雪崩注意報が出されている
状況であって、今後の
降雪と雪崩、融雪時の洪水による
被害は更に増大する事は明らかであり、この点が最も被災地でも憂慮されておるところであります。
以下、両県下における
被害の概要について述べますと、先ず
国鉄関係でありますが、両県の日本海沿岸を走る
山陰本線と、中国山脈を越える各支線は、一月中旬を
中心に不通個所が
相当ありましたが、
関係方面の非常な努力により、目下のところは運休や遅延はあっても、概ね開通の
状況であります。しかし、今後の
降雪、雪崩により危険にさらされている個所が多く、当局のこれに対する早急なる
対策が必要と思われます。
次に、道路
交通の
状況でありますが、両県下とも最悪時はその殆どの
交通が途絶し、全県下麻痺
状態と相成ったようでありますが、
自衛隊の
出動又県下の各土木
事務所を
中心として地建、民間等の
機械力と人力を投入し、不眠不休の努力、然も莫大な経費の投入により、概ね主要幹線の
交通は
確保されつつありますが、島根県下におきましては、今なお一級
国道の五十四号線をはじめ、広島、山口県に通ずる道路は不通となっている
状態でありました。このような連日にわたる
降雪と強風は、両県下の活動を麻痺におとし入れ、
交通機関の途絶により各般の産業及び
経済活動はその機能を停止し、各方面に多大の損害を与えている現状でございます。
即ち土木
関係では風雪浪による港湾施設等の損壊、舗装及び砂利道の破損、建物、公共建物等の損壊、山地の崩壊等が多く、又融雪時の洪水による損害等は今後更に多額にのぼるおそれがあります。
次に農林
関係でありますが、長期間の
積雪のため
相当の
被害が予想され、農作物では麦類、特に雪に弱いビール麦、裸麦の損害が大きく、又そさい類は茎葉の折損、凍害長期
積雪による腐敗、出荷不能による滞貨でその損害はひどく、特に移出そさいの産地である米子市、境港市の
打撃は大きいものがあります。又、鳥取県の特産たる梨等は、枝折と梨棚等の損壊も広範囲に及んでおり、島根県の夏みかんも
相当の
被害をうけているようであります。
畜産関係につきましては、
交通途絶によって牛乳が出荷できず、又飼料の
確保も不可能となり、乳出量の低下、鶏の産卵率低下による
被害が大きいようであります。
次に林業
関係でございますが、立木の倒木による
被害は
相当大きいと推測されますが、製炭地帯においては、炭窯の全壊等も多く、又、
積雪のための製炭不能と山林労務者の就業不能は
生活資金にも困窮する
状態であります。又、沿岸漁業者は強い風雪のため長期間に亘って全く操業不能の
状態であり、巾着網、底引網漁業の根拠地で、又
山陰随一の漁港といわれる境港市の水揚量は平年漁獲量の一割
程度ということであって、水産加工業の操業停止と相まって深刻な問題となっております。
次に、商工鉱業
関係でありますが、工場建物設備等の直接損害の他、
交通麻痺による出荷不能、原燃料の
入手難、通勤不能のための操業低下、卸商の荷動き不能、小売商の売り上げ減、観光客の激減といった間接
被害が広範囲にわたっており、その損害額は莫大と
考えられます。
その他、更に予想される雪崩、融雪時の洪水による建物、土木、農林
関係施設、公共施設等の
被害は益々増大するものと
考えられますが、現在推計出来る
被害額としては、県側の
説明によれば、鳥取県の場合、二月三日現在で、死者三名の外、
除雪費五千万円、公共施設等の
被害約六億二千万円、農林作物等の
被害六億九千四百万円、商品、商工業施設の
被害一億一千五百万円、
生活困窮者等の援護費一億二千万円、
経済上の損失三十五億一千七百万円、合計五十一億一千五百万円となっており、又、島根県につきましては、二月四日現在で、死者十三名、行方不明一名の外、施設等の
被害、十三億二千百万円、
経済上の損失見込額十九億円で、内訳は、建物
被害約一億九千九百万円、公共施設
被害約三億九千八百万円、農林業
関係約六億六千二百万円、水産
関係約三千二百万円、商工鉱業
関係二千万円、公共
機関関係約八百八十万円であり、その他推計しうる
経済上の間接
被害十六億五千万円で、合計約四十八億七千万円となっているようであります。以上述べましたように、かってない
豪雪による
被害に対し、両県及び
関係市
町村から数多くの切実な要望がありましたが、その主なる事項としては、
一、「
豪雪地帯
対策特別措置法」に基づく
豪雪地帯の指定についてであります。
例年の
積雪により産業の発展、住民の
生活水準の向上が阻害されている両県とも本法に期待するところ多く本年の
雪害の
状況又地理的気象的諸条件を勘案し早急に全県を指定されたい。特に島根県では、全県指定が難しい場合は、少なくとも過去二十年間において、一米以上の
積雪を観測したことのある市
町村を指定されたいとのことであります。
二、「激甚
災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」第二条の規定により、今次
災害を激甚
災害として指定されたい。
三、土木
関係
(一)
豪雪による
交通途絶地区への
交通路
確保のため「
積雪寒冷特別地域における道路
交通の
確保に関する特別措置法」による
除雪事業費を大巾に増額する措置を講ぜられたい。又、同法による路線指定を拡大し、防雪凍雪防止工事及び
除雪機械の整備を促進する措置を講ぜられたい。特に鳥取県に於ては米子市、境港市内の道路、島根県に於ては益田市、美濃郡、鹿足郡、隠岐島の道路であります。
(二)長期にわたる大量の
降雪のための舗装及び砂利道の路面並びに木橋の損耗、破損が甚だしく、又融雪時には多額の補修費を要するのでこれを国庫
補助の対象とされたい。
(三)公営住宅法による公営住宅基準の「多雪寒冷
地区」として県を指定されたい。又、
豪雪のための家屋倒壊の復旧について
補助並びに融資の途を講ぜられたい。
四、農林水産
関係
(一)天災融資法の特別
被害県に指定するとともに、特に薪炭地域の就業不能、沿岸漁業の出漁不能並びに増殖水産物等の流失損害による漁業者等に対し、
政府資金による低利融資の措置を講ぜられたい。農林漁業
金融公庫の融資枠を
確保するとともに、自作農維持創設資金の
災害資金枠を
確保されたい。
(二)被災地における開拓者の転落を防止し、その経営を維持せしめるため、融資枠の増設を講ぜられたい。
(三)農作物の病害虫
防除費、並びに生育回復
対策費の助成、牧草種子代の助成、炭窯の復旧助成、林業苗圃
防除費の助成を講ぜられたい。
(四)幼令林倒木
被害を森林保険の対象とされたい。
(五)農地、農業用施設及び林業施設の早期復旧並びに
補助率の引上げ、漁港
被害の早期復旧を講ぜられたい。五、社労
関係
(一)
豪雪のため
生活の場を失ったものに対し、
生活の支えとなる
災害援護資金の融資枠の拡大を講ぜられたい。
(二)
豪雪により、
被害をうけた保育所、医療
機関、水道施設等の復旧について、国庫助成措置並びに融資の途を講ぜられたい。
(三)職場を失った沿岸漁業者、山林労務者等に対し、緊急就労
対策事業を実施し、又失業
対策事業の拡大をせられたい。
(四)
雪害に起因する
生活困窮者に対する世帯更生資金の国庫
補助額並びに
生活保護費の増設をせられたい。
(五)操業不能によって減収の甚だしい漁業者に対し、船員保険料の納付を減免する措置を講ぜられたい。
六、文教
関係
(一)文教施設
災害復旧の早期実施を行なうため、
補助率の引上げと早急なる交付の措置を講ぜられたい。
七、商工
関係
(一)商工鉱業
関係被害の復旧及び
取引上の損害を補填するため、国民
金融公庫、商工
中央金庫及び
中小企業金融公庫に対する既存の融資枠を拡大し、特別融資として低利の融資金制度を講ぜられたい。
(二)特に鳥取県では、
地元金融機関に対する資金
手当として、鳥取大火の例により特別に
政府資金の預託の途を講ぜられたいとのことであります。八、財政
関係
雪害による税収減並びに
除雪費、
災害復旧
対策等に要する県及び市
町村の特別の財政需要に対する特別交付税及び起債について、格別の考慮をたまわりたいということであります。
両県は、資源的に又財政的にも乏しく、県財政に占める自己財源の割合は、わずかに鳥取県で二〇%、島根県で二五%
程度という
状態で、本
雪害に対処するための国庫に対する依存度は極めて大きいと言わねばなりません。
この際、国としては、只今の両県からの要望事項については、これを十分に取り入れられ
被害対策を早急に樹立し、これから予想される雪崩、融雪時の
被害発生を最小限に食いとめるとともに、早急なる民生の安定と諸産業の生産維持発展に万全を期すべきだと思うのであります。
なお、この際両県下の
雪害を視察して痛感いたしました諸点について述べますと、第一に、いわゆる
雪害に対処する従来の
政府の態度を根本的に改めなければならぬことであります。
即ち、
政府は、風水害に対しては、凡ゆる方面に対し、これに対処する方策と又各種の財政的援助に関しても手厚い保護が従来ともなされて参ったのでありますが、
雪害に対しては一昨年の
豪雪により二、三の立法がなされておるにすぎず、これらの万全の
処置がなされておりません。なるほど、
雪害は風水害の如く急激な
災害はもたらさないが、今回の如き、
豪雪としかも長期の
降雪が続けば、広範囲にわたり各
交通機関は途絶し、
経済活動は麻痺
状態となり、雪の重圧、雪崩による家屋等の倒壊、埋没がおこり、尊い人命の損失をはじめ、各方面に甚大なる損害を与えることは今回の例を見ても明らかであります。従って、
政府は、今回の経験にかんがみ各
豪雪地帯に対しては、
豪雪地帯の指定を急ぐとともに、早急な、しかも、抜本的な恒久
対策を確立し、
災害防除に遺憾のないよう措置すべきであります。
第二として、
除雪事業に関する問題であります。
積雪地帯で最も困難な問題ともなるのは
除雪事業であります。
除雪事業は、人員と
機械の大量の投入が必要であり、これに要する県、市
町村又個人の負担はばく大なものでありますが、現在国は
積雪寒冷特別地域における道路
交通の
確保に関する特別措置法に基づき、県に対し若干の
補助を与えているにすぎません。
雪害による
経済の麻痺を未然に防止し、
災害を最小限に食いとめる上からも、又本事業が広範囲でありばく大な
費用を要する点からしても、堆積土砂の排除と同様の、若しくはこれに準ずる高率の国の
補助が必要であり、又、市
町村の
除雪費に対しても、国は十分なる
補助を行なうべきであると
考えるのであります。
第三として、市街地における主要な幹線道路の建設の問題であります。
即ち、今回の場合、主要幹線道路が市街地を通っている
関係で、両側の家屋からおろされた雪が道路に積まれ、道路の幅員は益々狭められて、これが
交通障害となり、又
機械による
除雪の際は、両側の家屋及びこの雪が最大の障害となって、益々
交通麻痺を起こす原因と相なっているようであります。これらの
実情にかんがみ、
積雪地帯における市街地道路の建設に当っては、少なくとも主要幹線は市街地を通さず、やむを得ず通す場合は、自動車専用のバイパスを設けるべきだと痛感いたしたのであります。
第四として、陰陽連絡道路の整備促進の問題であります。
山陰地方、特に鳥取、島根両県は、地理的、
経済的立地条件から山陽方面との
関係が深いのでありますが、陰陽を結ぶ道路の整備は、他の地域に比し、特にその遅れが目だち、今回の
豪雪に際しても、この方面の道路は、その殆んどが途絶の
状況であります。従って、
政府は、今回の
雪害の
実情にかんがみ、又低開発地域たる
山陰地方の開発のため、陰陽連絡道路の整備を急ぐとともに、
豪雪に対しても
交通の
確保が維持できるような早急な
対策を講ずべきであると
考えます。第五として、
積雪地帯における畜産、特に養鶏、酪農の
指導の問題であります。
最近、農業の体質改善と多角的農業経営への
指導により、各方面に酪農が盛んでありますが、今回の
豪雪により
山陰地方の酪農は、
交通途絶のために集乳不能、飼料の欠乏が深刻な問題となっておりまして、酪農の将来に暗いかげを投げかけている現状であります。これは、国及び県の
積雪地帯における酪農
指導に手落ちがあったと
指摘せざるを得ないと感ずるわけでありますが、今後は、今回の如き
豪雪に際しても、集乳
確保の方途を講ずるとともに、飼料の
確保と供給、又酪農
地区における成る
程度までの加工
処理工程の設備等についても適切なる
指導と助成を行なうべきことを痛感いたしたのであります。
最後に、鳥取、島根両県は、山間部はもとよりでありますが、平素雪を余り予想しない平地部の
降雪がひどく、その
被害は、全く予想外でありますので、この点を十分考慮され、
北陸地方と同様、各般にわたって十分なる
対策を講ぜられるよう要望いたすものであります。なお、詳細につきましては、
委員長の御手元に資料として提出いたしておりますので、それを御覧いただきたいと存じます。
また、城崎にて、兵庫県但馬
地区の
豪雪による
被害について、その
状況を聴取し、その資料は
委員長の御手元に提出いたしておりますが、その
被害の激甚なるにかんがみ、でき得べくんば、当地並びに京都府北部等の
被害甚大なる未
調査地域にも、本
委員会より、
調査のため、
委員を
派遣されることを要望して
報告といたします。