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1963-07-05 第43回国会 衆議院 建設委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年七月五日(金曜日)     午前十一時八分開議  出席委員   委員長 福永 一臣君    理事 加藤 高藏君 理事 木村 守江君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 二階堂 進君 理事 石川 次夫君    理事 岡本 隆一君 理事 中島  巖君       宇野 宗佑君    大沢 雄一君       金丸  信君    砂原  格君       前田 義雄君    山口 好一君       兒玉 末男君    佐野 憲治君       實川 清之君    山中日露史君  出席政府委員         建設政務次官  松澤 雄藏君         建設事務官         (計画局長)  町田  充君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  宮川 国生君         自治事務官         (税務局固定資         産税課長)   石川 一郎君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 本日の会議に付した案件  不動産鑑定評価に関する法律案  (内閣提出第一七四号)(参議院送付)  請願   一 県道富山立山線の大日橋架替工事促進等    に関する請願佐伯宗義紹介)(第一二    四号)   二 道路整備事業促進に関する請願羽田    武嗣郎紹介)(第一三四号)   三 治水事業長期計画改定に関する請願    (中島厳紹介)(第三四二号)   四 同(唐澤俊樹紹介)(第四一一号)   五 同(下平正一紹介)(第四一二号)   六 同(羽田武嗣郎紹介)(第四一三号)   七 道路整備五箇年計画改定に関する請願    (中島厳紹介)(第三四三号)   八 同(唐澤俊樹紹介)(第四一四号)   九 同(下平正一紹介)(第四一五号)   一〇 同(羽田武嗣郎紹介)(第四一六号)   一一 地代家賃統制令撤廃に関する請願(木    村守江紹介)(第五〇二号)   一二 日本民営住宅協会設立のため貸家組合    法改正請願木村守江紹介)(第五〇    三号)   一三 道路整備五箇年計画規模拡大改定等に    関する請願丹羽兵助紹介)(第五〇四    号)   一四 川内川下流改修工事促進に関する請    願(池田清志紹介)(第六三八号)   一五 治水事業長期計画改定に関する請    願(増田甲子七君紹介)(第六三九号)   一六 同(井出一太郎紹介)(第七八四号)   一七 道路整備五箇年計画改定に関する請    願(増田甲子七君紹介)(第六四〇号)   一八 同(井出一太郎紹介)(第七八五号)   一九 山形朝日町地内に最上川洪水調節ダ    ム建設反対に関する請願西村力弥君紹    介)(第七六七号)   二〇 道路整備事業促進に関する請願(井    出一太郎紹介)(第七八二号)   二一 地代家賃統制令撤廃反対に関する請願    (原彪紹介)(第八二八号)   二二 同(田中榮一紹介)(第九五六号)   二三 宅地建物取引業法改正反対に関する    請願中村三之丞紹介)(第八九九号)   二四 同(田中伊三次君紹介)(第九九五    号)   二五 湯田ダム建設に伴う岩手県湯田村川尻    上台野部落移転補償に関する請願(北山    愛郎紹介)(第一一二四号)   二六 建設重機工業団地設置助成に関する請    願外二件(宇野宗佑紹介)(第二〇二八    号)   二七 鹿児島伊座敷、山川両港間にフェリ    ーボートの新航路開設に関する請願(二階    堂進紹介)(第二〇三七号)   二八 県道鹿児島県吾平町、佐田町伊座敷間    の主要地方道指定に関する請願二階堂進    君紹介)(第二〇三八号)   二九 鹿児島市、西桜島村袴腰間に架橋の請    願(二階堂進紹介)(第二〇三九号)   三〇 県道内之浦神ノ川線高山町金山、内之    浦町官行さく伐所間未開通区間早期建設    に関する請願二階堂進紹介)(第二〇    四〇号)   三一 山形西部地区循環道路建設請願   (牧野寛索紹介)(第二一六八号)   三二 同(牧野寛索紹介)(第二二八三号)   三三 建設重機償却促進のため重機賃貸共同    企業振興法制化に関する請願櫻内義雄    君紹介)(第二四七八号)   三四 山形西部地区循環道路建設請願    (牧野寛索紹介)(第二八五八号)   三五 河川法改正に関する請願赤城宗徳    君紹介)(第三二七一号)   三六 山形西部地区循環道路建設請願    (牧野寛索紹介)(第三四六七号)   三七 二級国道津山米子線外二路線の一級国    道編入等に関する請願足鹿覺紹介)(    第三五三五号)   三八 山形西部地区循環道路建設請願    外三件(牧野寛索紹介)(第三五三六    号)   三九 中小建設業者育成に関する請願(上村    千一郎紹介)(第三五九七号)   四〇 河川法改正に関する請願高田富與君    紹介)(第三五九八号)   四一 河川法改正に関する請願草野一郎平    君紹介)(第三六六六号)   四二 河川法改正に関する請願松野頼三君    紹介)(第三六六七号)   四三 首都の交通緩和及び防火のため自動車    国道建設等に関する請願中村梅吉君紹    介)(第三七三一号)   四四 河川法改正に関する請願倉石忠雄君    紹介)(第三七三八号)   四五 同(唐澤俊樹紹介)(第三七六三号)   四六 同(原茂紹介)(第三八〇五号)   四七 同(中島巖紹介)(第三九六六号)   四八 同(松平忠久紹介)(第三九六七号)   四九 国道駐車施設設置に関する請願(草    野一郎平紹介)(第三七七〇号)   五〇 山形西部地区循環道路建設請願    外八件(牧野寛索紹介)(第三七九四    号)   五一 地代家賃統制令撤廃に関する請願(上    林山榮吉君外一名紹介)(第四〇六一号)   五二 建設重機償却促進のため重機賃貸共同    企業振興法制化に関する請願池田清志    君紹介)(第四一〇一号)   五三 河川法改正に関する請願下平正一君    紹介)(第四一二三号)   五四 同(井出一太郎紹介)(第四一六九号)   五五 筑後川総合開発計画に関する請願(稲    富稜人君紹介)(第四一六四号)   五六 同(中島茂喜紹介)(第四二七一号)   五七 宅地建物取引業法の一部を改正する法    律案免許制度反対に関する請願井岡大    治君紹介)(第四一八四号)   五八 宅地建物取引業法改正反対に関する    請願井岡大治紹介)(第四一八五号)   五九 道路整備五箇年計画に関する請願(丹    羽兵助紹介)(第四三八九号)   六〇 宅地建物取引業法の一部を改正する法    律案免許制度反対に関する請願(西尾末    廣君紹介)(第四五〇三号)   六一 労働者住宅建設促進法制定に関する請    願(大原亨紹介)(第四六〇五号)   六二 国、県道交通安全施設設置に関する    請願田村元紹介)(第五二六七号)   六三 二級国道指宿宮崎線整備促進に関す    る請願瀬戸山三男紹介)(第五九九四    号)   六四 二級国道日南都城線及び人吉都城線の    整備促進に関する請願瀬戸山三男君紹    介)(第五九九五号)   六五 名阪国道建設促進に関する請願(江    崎真澄紹介)(第五九九六号)   六六 労働者住宅建設促進法制定に関する請    願(大原亨紹介)(第五九九七号)   六七 戸塚周辺土地区画整理事業に関する    昭和三十七年三月十三日付官報建設省告示    第五一二号の撤回に関する請願米田吉盛    君紹介)(第六四五三号)   六八 横浜新道戸塚支線の開放に関する請願    (米田吉盛紹介)(第六四五四号)     ────◇─────
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程全部を一括して議題といたします。  これらの各請願につきましては、文書表等により委員各位もその内容は御承知のことと存じますが、先刻の理事会におきまして、理事各位と検討いたしました結果、日程第一ないし第一〇、第一二ないし第一八、第二〇、第二七ないし第三二、第三四、第三六ないし第三九、第四三、第四九、第五〇、第五五、第五六、第五九及び第六一ないし第六六、以上の各請願は、いずれもその趣旨は適切妥当と認められますので、衆議院(しゅうぎいん)規則百七十八条の規定によりまして、採択の上内閣に送付すべきものであるとの結論を得ましたので、そのように決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福永一臣

    福永委員長 御異議なきものと認め、さよう決定いたしました。  なお、以上の各請願に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  5. 福永一臣

    福永委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付いたしましたとおり九十四件であります。念のため御報告申し上げておきます。     —————————————
  6. 福永一臣

    福永委員長 不動産鑑定評価に関する法律案議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。石川次夫君。
  7. 石川次夫

    石川委員 不動産鑑定評価に関する法律案について質問をしたいと思います。  審議日程がきょう一日しかないということで、審議時間が非常に短過ぎるといううらみがあるわけであります。しかし、事実それだけの時間しかありませんから、なるべくはしょって簡単に質問したいと思います。  まず最初にお伺いしたいことは、土地鑑定制度というものができたということは、わが党としても前々から要望しておったわけでございまして、地価の安定の一助として鑑定士法というものができることをわれわれは望んでおったわけです。  地価安定の方策については、いろいろ考えられるのでありますけれども土地評価制度というものもそのうちの重要な一環として考えなければならぬ。その一つといたしましては、地価問題を含めて土地政策一般を有効に行なう準備として、私権の行使を制限する地域的な土地利用区分制度というものを確立するということが、まず第一の条件ではないかと考えております。それから、地価を安定させる二番目の対策といたしましては、全国的な規模で行なう土地価格公示制度というものを確立をする、信頼性の高い公示価格を求める評価機関を設ける。三番目としては、正常な土地価格が形成されるメカニズムとしての不動産鑑定人制度確立する。これが土地の異常な暴騰を押えるための土地評価制度に関連する必要欠くべからざる三つの条件ではないかというふうに、われわれとしては考えざるを得ないわけでございますが、この点については局長のお考えはいかがですか。
  8. 町田充

    町田政府委員 地価高騰に対処いたします対策といたしまして、いま石川委員のおあげになりました問題、私どもも全くそのとおりと考えておるわけでございまして、御指摘の中にありました評価機関確立の問題ということの一つの手がかりとして、このたびの法案を御審議いただいておるわけでございます。  それから、価格公示制度の問題につきましては、宅地制度審議会でも地価公示制度を採用すべきであるということを提案いたしておるわけでございますが、答申の中におきましても、これはまず権威ある鑑定士制度確立した後に、すみやかに地価公示制度を検討すべきであるというふうにもいっておりますので、私どもといたしましては、まずもって鑑定人制度確立に全力を傾注いたしたい、こう考えておるわけでございます。  なお、自治省におきましては、三十九年一月一日以降、固定資産税相続税等課税標準額となっております時価について、相当根本的に検討して新しい評価方式を採用されようとしておるわけでございますが、公示制度の問題も、固定資産税相続税等におきますそういう新しい評価方式というものの実施状況を見た上で実施をすることが適当であろうと考えたわけでございます。  それから、法律的にはこの法案の中に地価公示制度として採用はいたしませんけれども、私どもとしては、でき得べくんば予算措置あるいは行政措置によって、将来こういう地価公示制度を創設するための準備として、地価を調査していくという作業を進めたい、かように考えておるわけであります。  それから、一番最初におあげになりました土地利用区分確立の問題、これも大きな問題でございまして、宅地制度審議会でいろいろ地価の問題を御討議いただきました際にも、何はさておいても、土地利用区分確立ということが先行しなければ、いろいろな施策十分効果をあげ得ないということが盛んに指摘されたわけでございます。しかし、この問題は、地価対策の一番基本問題ではございますが、基本問題であるだけに、非常にむずかしいという要素がございまして、私どもも、今後さらに宅地制度審議会におきましていろいろな施策考えてまいりますとともに、この土地利用区分確立という問題に取り組みたい、かように考えておる次第でございます。
  9. 石川次夫

    石川委員 地価高騰を抑制しなければならぬという問題は、何回もこの委員会で取り上げて言っておりますから、私は繰り返して申し上げようとは思わない。それから、これは何といっても物価騰貴の根っこになっている、国際競争力を弱める、あるいは勤労意欲を失わせるというようなこと、あるいは住宅地の根本でもあるし、地方開発ガンになっている、いろいろな点で宅地問題は、国際問題を除くと、最近の新聞などでは最も多く取り上げられているというきわめて重要な断面がそういう面にも出ていると思う。したがって、先ごろ、実はいろんな議論の余地はありましても、新住宅市街地開発法案を、住宅地を確保するという面では必要ではないか、疑問の点、問題の点はありましても、積極的に賛意を表すべきものだとして、これはやはり地価を抑制する一つのささやかなる柱になるのではないかという期待があったからこそ、われわれは無条件に通すということであったわけでございますけれども、実はこの法案は、鑑定士についての法案でありますが、私から申し上げるまでもなく、局長自身よくわかっていると思うのですが、これは骨抜き法案です。これは地価暴騰を抑制するというためには何らの働きもなし得ないという点で、私たちは大いに不満です。しかし、いま局長が言われるように、これを足がかりとして将来公示制度を設けるのだ、あるいはけさの朝日新聞の社説にも出ておりましたけれども地方開発というようなときに、この鑑定士制度というものが確立をして、これにゆだねてきちんと評価をするというようなことになるならば、地方開発ガン一つが取り除かれるという意味では、非常にこの鑑定士制度というものに期待が大きいわけでございますけれども、この法案だけでは何の働きもしないという点で、私たちはきわめて遺憾だと考えておるわけであります。  それで、この鑑定士法案審議する過程におきまして、建設省当局としては、公示制度まで含めるという意欲を持っておったというふうに私たちは理解をしておるわけですが、こういう公示制度というものが、宅地制度審議会のほうから答申になって、法案の原案に盛り込まれながら途中で消えてしまったということは、一体どこに原因があったかということを率直に御説明願いたい。
  10. 町田充

    町田政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、宅地制度審議会では、御指摘のとおり、答申の第二部として、地価公示制度を創設すべきであるという答申をいただいたわけでありますが、この審議会過程でも、いろいろ御議論がございまして、やや時期尚早であるというふうな御意見も多分にございました。そのために、答申の中でも、まず十分な質のいい鑑定士というものが確保された後にすみやかに公示制度を創設すべきであるというふうな答申になったわけでございます。そういう経緯にもかんがみまして、私どもといたしましては、将来の問題として公示制度を検討すべきは当然でございますが、何はさておき、まず社会的信用のある鑑定士制度確立することが先決であるというふうに考えました点が第一点。  それから、固定資産税相続税等課税標準額につきまして、自治省目下中央固定資産評価審議会の御答申に基づきまして全面的な改定作業をやっておるわけであります。したがいまして、来年の一月一日以降、新しい固定資産税課税標準額である時価というものが市町村長によって決定される、こういう段階になっておりますので、私どもといたしましては、地価公示制度考えます場合に、そういう固定資産税の新しい時価決定方式というふうなものの実施状況を十分勘案した上でやるほうが適当なのではなかろうか、こういう判断をいたしまして、さしあたりこの法案公示制度を織り込むことは一応見合わせたような次第でございます。
  11. 石川次夫

    石川委員 地価抑制ということを慎重に検討するということは、非常にむずかしい総合的な施策が必要だという意味ではわかるのですけれども、しかし、現実に非常に困っているということは説明するまでもないと思うのです。私の友人なども地方から東京に転勤して、うちを見つけるというこにとなると、退職手当を全部入れてもうち一軒建ちません。そういうふうなことから、現実の衣食住の住の問題が、土地の問題で非常な難関に逢着しているということは、私たちが説明するまでもないと思います。そういうことも含めて、地価を抑制するということのためには、相当積極的に早めに強引な手を打たないと、とんでもないことになるとはいうこと言うまでもないので、そういう点については、鑑定制度というものを設けるというのはそういう意味だと解釈しているのです。そういう点では、画竜点睛ではなくて、全然骨抜きになってしまったということで非常に不満なんです。たとえば、具体的に内容に入りますけれども公共用地などを取得する場合には、普通の商売人的な鑑定士でやるということでは不十分だと思うのですけれども、これを公的鑑定士というようなものを設けて、そこで公的な機関については公的な鑑定士評価させる、それから、そういうものの団体のようなものを設けて——これはあとで質問いたしますけれども、公的な機関というものを設けて権威のあるものにして、それで公共用地というものは評価させるという制度をこの中で一点つけ加えないと、画竜点睛を欠くのではないかと思うのですが、その点はこの法案で考慮されておらないように考えますけれども、どうなんですが。
  12. 町田充

    町田政府委員 御意見のとおり、各国の実例を見てみますと、公的な鑑定機関制度をとっておるところもあるわけでございます。たとえば西ドイツあたりはもとからこういう制度があるというふうに承知をいたしておるわけでございます。しかし、片やアメリカイギリスの例を見ますと、これは純然たる民間機関として発達をしてきておる、こういうふうなことでございますので、私どもも、この制度考えます場合に、公的機関あるいは民間機関、その利害得失をいろいろ考えたわけでございますが、まずアメリカイギリスあたりの、民間機関でそういうものが十分に社会的な信用を得、かつ技術的な団体を結成をして、お互いの間で業界なりあるいは鑑定士のレベルを向上していく、こういう自主的な民間機関ということのほうが、形としては望ましいのではないか、こういう結論に達しまして、この法案では公的鑑定士制度というものをとらないで、民間団体ないしは民間鑑定士というものにしぼったわけでございますが、将来の問題として、先生御指摘のようなこともございますので、公的な機関の問題についても十分検討してまいりたいと思います。
  13. 石川次夫

    石川委員 時間がないので残念なんですけれども公的鑑定士がないと、日本ではやたらにたくさんある群小の宅建業者自体鑑定士を雇って自分の営業用に使うということがある。それで逆に地価をつり上げていくというふうな現象が出てこないものでもないわけです。したがって、日本の場合は、理想としてはいま局長の言われることは理解できますけれども日本の実情というものを考えた場合には、公的鑑定士というものがなければ、地価を抑制するという面での働きというものは果たし得ないのではないか。したがって、将来の問題として早急に公的鑑定士を設けるということを確約してもらわないと、われわれは、鑑定士というものは地価を抑制する一環としての働きという意味での期待は持てない、こう思わざるを得ないのです。これは強い要望として申し上げておきます。  それから、こまかに具体的にあげるとたくさんあるのですが、大蔵省自治省の方が来ておりますから、そのほうを先に片づけます。  先ほどの話に戻りますが、宅地制度審議会から、地価抑制機関として、不動産鑑定士制度というものの確立と、同時に、公示制度というものを設けるというような答申案が出ております。先ほど答弁の中で、土地利用区分というものはなかなかむずかしいというお話ですが、これは宅地制度審議会自体建設省の中にあるということで制約ができてしまうと考えます。これはあくまでも内閣全体として土地の問題は解決をはからなければならぬという重大問題である。したがって、建設省の中だけで土地利用区分考え、あるいは地価抑制対策考え、それを宅地制度審議会の中だけで処理しようとするところに根本的なガンがあると考える。そのことについてはあらためて議論することといたしまして、とりあえずこの公示制度というものに対する反対は、私の仄聞するところでは、自治省大蔵省から出ておる、こういうふうに聞いております。それは、自治省では固定資産税評価のための作業というものをやっておりますし、そういうことで今度の鑑定士評価というものと重複する。しかし私は、将来のあるべき形としては、公的鑑定士というものができれば、そこで鑑定をした評価というものを権威のあるものに持っていき、それを基準として固定資産税評価基準にもする、そういうことも考えますから、私は、どうも建設省だけで処理しようとすることに限界があるのではないかと言うのも、そういう点にも理由があるわけでございますけれども大蔵省自治省反対をされた——反対したとここでは言わないかもしれませんけれども反対したと言い切れなければ、どういう点に問題があるというふうにお考えになっているか、大蔵省自治省の両課長さんにお伺いしたい。
  14. 宮川国生

    宮川説明員 私は管財局国有財産第一課長でございます。国有財産を売る立場の役所でございますが、管財局のほうとしましては、公示制度をとられるということには反対はいたしておりません。
  15. 石川一郎

    石川説明員 自治省固定資産税課長でございます。ただいま御質問のございました地価公示制度の問題でございますが、先ほど計画局長から御答弁がございましたように、私どものほうで昭和三十九年度から新しい評価やり方によりまして固定資産評価を行なうことになっておるわけでございます。いままでも固定資産評価を行なっておりますが、今回のやり方は、売買比例価格基準として適正な時価を求めるということで、それを基本にした土地評価を行なうことにいたしておるわけでございます。不動産鑑定士による評価、これは将来の問題でございまして、個々の鑑定士の方がどういう評価の方法で評価をやるかということが、まだ確定しておらないのでございます。固定資産税といたしましては評価の方法は確定はいたしておりますが、しかし、その結果がどうなるかということは、まだ現在のところでは見通しがつかない状態でございます。そこで、私どもといたしましては、現在行なっておる評価の状況を見たい、同時に、不動産鑑定士による評価の状況がどうなるか、この両者をにらみ合わせて慎重に検討していきたい、こういう趣旨で建設省意見を申し入れておったわけでございます。その状況をにらみ合わせて検討していきたいというのが自治省考え方でございます。
  16. 石川次夫

    石川委員 自治省固定資産税課長さんに言っても始まらない話だと思うのですが、鑑定士制度を設け、公示制度を設けるということは、国の一番大きな問題の一つになっている地価を抑制するという重大な目的があり、固定資産評価という単純な問題ではない。こういう重大な目標があって、これを建設省だけでやろうということは無理があると思います。そういう点でいろいろ批判の余地はありますけれども公示制度と、将来権威ある鑑定士というものができれば、それが一つの柱になって、それに準拠して全部行なうという習慣を確立することが土地暴騰を抑制する一番必要な一つの柱ではないか、こう考えるので、あなたに申し上げてもしかたがないことでありますけれども自治省としても、そういうなわ張り的な考え方でなく、大所高所から見た判断に基づいて、これに協力するという体制がぜひほしいと思う。いずれあらためて大臣に来てもらって話をしたいと思いますけれども、そういう意見があったということを十分にお伝え願いたい。  ついでに、せっかくいらっしゃっておりますから伺いますけれども大蔵省のほうの関係で国有財産鑑定官が四十五名、それから監査官というのが九十名ございます。これは当然鑑定士になるのか。あるいはまた、規定のように、一次、二次試験というものを受けて、ある実習期間というものがあるということを前提として、三次試験を免除するかどうかわかりませんけれども、そういう手続を経てやるのか。それとも、従来の百三十五名の実績も経験も十分ある人については、どういう形で鑑定士にするのか、しないのか、あるいはこういうものは全然除外するのかというふうな点を、参考までにひとつお聞かせを願いたい。
  17. 宮川国生

    宮川説明員 お答えいたします。建設省からお聞きしたところでは、現在大蔵省の各財務局でやっております鑑定官は当然鑑定士になるというものではなくて、やはり原則としましては一次試験、二次試験、三次試験を受けて鑑定士になる、こういうことになると思います。ただ、一次試験の免除規定、あるいは二次試験の免除規定というものがございまして、これは政令で定められる段階になると思いますが、そのときは、私どもの役所のほうでやっております鑑定官というものは、相当の経験を持っておりますので、そういう政令の中へ盛り込んでいただきたい、こういう希望を出しております。
  18. 石川次夫

    石川委員 それから鑑定評価にあたりまして、この法案の中には書いてありませんけれども鑑定基準というものをきめなければ、評価がまちまちになるというだけではなくて、先ほど私がちょっと触れましたように、業者が鑑定士を雇って鑑定業務を営む場合に、買うとき、売るときというようないろいろな場合がありまして、そのときに都合のいいような評価を自分のところでさせる、あるいは人を介してそういうことをさせるということがあると思います。そういう例がありますと、地価を抑制するという面ではわれわれは鑑定士法というものに期待をしておるのですけれども、その期待と反する結果が出てくる。むしろ逆に地価暴騰するという懸念だってなきにしもあらずだと思う。そこで、こういう制度を用いる場合には、鑑定評価基準というものが当然前提としてつくられていなければならぬ、こう考えるわけでございますが、たとえばこの基準価格というのは、一般価格、正当な価格、いろいろありますけれども、売買実例比準法、達観式評価法、収益還元法、路線価式評価法、こういうようないろいろな方法があるわけです。この方法のうちのどれに一体準拠しようというふうに考えておるか。それから、さらに目的によって価格というものは若干変わってくると思います。売買の目的、金融の目的、保証の目的、貸借の目的、経営の目的、課税の目的というふうに、その目的によっても多少変わってくると思いますけれども、この評価をするときの基準を一体どの方式によってやろうとするのかということがまず確立をされないと、各自かってにやるということでは、非常にまちまちな、逆に地価をつくり上げるような結果も生まれないものでもないので、基準をきっちりきめてもらいたいというふうに思いますか、その点についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  19. 町田充

    町田政府委員 全く御指摘のとおり、鑑定士不動産の経済価値を判定いたします場合に、どういう基準によってやるかということが一番基本の問題になるわけでございます。そしていまおあげになりましたように、一般に市井では、復成原価方式であるとか、あるいは収益還元方式であるとか、あるいは売買実例方式であるとかいうふうないろいろな方法が一般に用いられておるようでございますが、どういう方法が適当であるかということにつきましては、私どもも専門家ではございませんので、実はこの法案の附則の第十八項に規定してございますとおり、宅地制度審議会におきまして専門の先生方に委嘱をいたしまして、この法律の施行になりますまでの間に、不動産鑑定評価基準その他、この法律を施行するために必要な重要事項を調査審議していただこう、こう考えておるわけでございますが、その中で一番問題になりますのは、不動産鑑定評価基準、こういう問題であろうかと思います。
  20. 石川次夫

    石川委員 実は私も若干勉強しまして、鑑定評価というものは非常にむずかしいものだということをいまさらながら知らされたものでございますけれども、地域によってまた地点によって、非常に評価のしかたが違う、また目的によって違うということで、非常にむずかしいとは思いますけれども、しかし、この鑑定士制度というものを設けておきながら、鑑定基準がないというのでは、これはかえって弊害が大きく出てくるという心配があるわけです。したがって、これは実施をするまでには必ず基準確立をするということでなければ、この法律はむしろないほうがいいと言ってもいいくらいです。したがって、その基準実施をするまでに必ず確立をするということをひとつ確約をしてもらいたいと思うのですが、その点はどうですか。
  21. 町田充

    町田政府委員 この法案の中にもそうなっておりますので、この法律の施行になりますまでの間に、ぜひとも先生御指摘基準についてはっきりしたものをきめたい、かように考えております。
  22. 石川次夫

    石川委員 この評価のしかたについて私も意見があるのですが、きょうは時間がありませんので省略いたします。特に私はその点を心配するのですが、いわゆる宅建業者が不動産鑑定業務を兼ねるでしょう。この法案では制限をしておりませんね。
  23. 町田充

    町田政府委員 別に兼業の制限をいたしておりません。したがいまして、宅建業者が鑑定業者を兼ねるということも可能でございます。
  24. 石川次夫

    石川委員 制限をしていないというのは、一つ不動産鑑定業それ自体で営業が成り立つかどうかということも問題がまた若干残っていると思うのです。そういう意味では、やはり兼業をするというふうなことにならざるを得ないという現実的な必要性が生まれてくるかもしれぬというふうに理解はいたしますけれども、しかし、これは兼業したことによって相当混乱が起こる。先ほど評価基準がなければなおさら混乱がひどくなりますけれども評価基準が生まれたところで、かなり弾力性があるものだし、見方によってどうにでも変えられるという点がないわけではありませんから、これについては、ある程度の規制をやらないと、鑑定士制度というものは生きてこないと考える。規制の方法については何か考えておりますか。
  25. 町田充

    町田政府委員 宅建業者が不動産鑑定業者を兼ねまして弊害が起きると考えられますのは、宅建業者として売買のあっせんの対象にしようとしておる不動産を、みずから鑑定評価をするというふうな場合であろうかと思いますが、鑑定評価は宅建業者なり鑑定業者に依頼して、売買のあっせんはまた別の宅建業者に依頼するというふうな姿になりますと、これはさして弊害も考えられないかと思います。弊害が考えられるとすれば、宅建業者である不動産鑑定業者がみずから取引のあっせんをしようとする対象である不動産について鑑定評価をする、こういう場合であろうかと思いますが、そういう場合に石川委員の御心配のような弊害があるのではないかということは、私たちも十分考慮いたしまして、そういう自分が取引の対象にしておる不動産について、みずから鑑定評価をやる、その結果、不当な鑑定評価を行なうというふうな事態に対しましては、この法案におきまして、不当な鑑定評価を行なった不動産鑑定士ないしは鑑定業者というものに対する制裁措置といたしまして、四十条あるいは四十一条に書いてございますとおり、懲戒処分として一定の期間業務を停止するとか、あるいは不動産鑑定士としての資格を剥奪するとか、そういうふうな制裁措置を考えるわけでございます。
  26. 石川次夫

    石川委員 説明としてはそういうことになるでしょうけれども、自分の買おうとするとき、自分が売ろうとするとき、自分が鑑定をするという点はどうもふに落ちない。そういう点の規制というものは当然考えられていいと思うのですが、この法案ではどうも考慮されておらない。したがって、これに対する不当な鑑定評価を受けた場合の救済措置ということで、四十二条でもって措置の要求というものが出てくる。しかし、これだけで万全を期せるかどうかということは、私は疑問だと思う。その点はどうお考えですか。
  27. 町田充

    町田政府委員 なお申し忘れましたが、第三十九条に書いてございますとおり、必ず鑑定業者は依頼者に対して鑑定評価額その他建設省令で定める事項を記載した鑑定評価書というものを交付しなければならないというふうにいたしておりますが、この鑑定評価書の中に、自分が特別の縁故がある、あるいは利害関係があるというふうな事項については、必ずその点を明記させるということを考えておるわけでございます。したがいまして、自分が取引の対象としておるような不動産についての鑑定評価であれば、特別の利害関係があるということで、必ずその点を鑑定評価書に明記をしなければならぬというふうなことを考えまして、依頼者に対する保護というふうな点を配慮いたしておるわけでございます。
  28. 石川次夫

    石川委員 どうもその点何か不安心な感じがするわけですが、それは将来の問題として検討に値する問題だと思いますから、ひとつ十分検討をしてもらいたい。必要があれば修正をするということを十分考慮してもらいたい。どうもこのままでは、都合のいいような評価をするというような懸念が、たとえこの基準確立されても相当出てくるのじゃないかと思う。それでは鑑定士を設けた意味がない。したがって、これはあわせて公的鑑定士という権威のあるものをひとつつくって、そこに依頼すれば信頼するに足る評価ができるのだという機運を醸成してもらわないと、この制度が生かせないので、いま直ちに法案の問題として修正することはできないかもしれませんけれども、近い将来に必ず御検討願いたいということを御要望申し上げておきます。  それから、不動産の公約鑑定評価に対する報酬の問題でございます。これは不動産研究所なんかでは、たとえば五百万円までは千分の二それからずっといきまして、一千万円をこえた場合には一万分の五、五千万円をこえた場合には一万分の二とか、一応の基準ができておる。しかし、これの報酬のあり方といたしましては、私よく読んでないせいかもしれませんけれども、書いてないような気がする。これはアメリカあたりでは、時間でどれくらい評価に時間をとったかというようなこととか、あるいは能力というものを勘案して単価をきめていくというようなこともあるし、いろいろ報酬のとり方というものは方法がたくさんあると思うが、その点を現在どういうふうにお考えになっておりますか。
  29. 町田充

    町田政府委員 報酬の問題は、御指摘のとおりたいへん重要な問題でございますが、現在一般に行なわれておりますのは、歩合方式といいますか、評価額について一定割合、評価額がだんだん高くなれば逓減するような方式にはなっておるようでございますが、こういう歩合方式というものが適当であるかどうか、先生の御指摘のとおり多分に問題があると存じます。したがいまして、何らかこの法律の中にそういう規定を設くべきじゃないかという御意見もしごくごもっともかと存ずるのでございますが、税理士あるいは建築士というふうなものにつきましても、法律の中に報酬をきめるという規定はございましても、現実になかなかきまっていないというふうな事情も勘案いたしますと、やはり単に画一的な方法で基準をきめるということはなかなかむずかしい、こういう事情が背景にあるのだろうと考えられるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、宅地審議会におきまして、この報酬の問題もどういう方法でやるのが適当であるかということを十分御検討をいただきまして、できれば建設大臣あるいは都道府県知事の業者あるいは団体に対する助言、勧告というふうな形で、そういった報酬の基準を示していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  30. 石川次夫

    石川委員 そういうふうなことでだいぶあちこち管理していないといいますか、これから穴を埋めていかなければならぬ点がたくさんあるように思います。いまの報酬の関係も早く確立しないと非常な混乱が起こるのじゃないか。それと関連する問題でありますけれども鑑定士の関係の団体というものは任意設立になりますね。そうしますと、非常にあいまいな、宅建業にもそういう問題が相当あるわけですが、それと同じような混乱が起こるという可能性がある。したがって、そういう混乱が起こらないようにするためには、鑑定士が持つ社会的な任務というものは今後非常に重大なものになるということが予想されますから、これはやはり上のほうから指導するとまた反発があるかもしれませんが、権威のある、信頼できるような団体を育成していかなければならない。したがって、これを全国的な組織にする場合に、府県単位のものを確立していく。その協会に頼めば、そこで権威のある信頼できる人を出して鑑定してくれるというような習慣が、先進国といいますか、諸外国ではあるようでございます。そういうような権威のある協会というものが育成、助長されますと、そこへ頼むと、そこでは能力主義で、評価の報酬も団体ごとにまた違うということもあり得るとは思いますけれども、それでもよろしいので、信頼するに足る能力に応じた評価鑑定の報酬を与えるということであってもよろしいと思いますけれども、それはまた別問題といたしまして、とにかくそういうような権威のある、信頼できる団体を、任意に設立するということにはなっておりますけれども、ぜひひとつつくるように育成指導しなければ、非常な混乱が起こるのではないかという意味で、ぜひ御配慮願いたい、こう考えるのですが、この点はどうお考えになっておりますか。
  31. 町田充

    町田政府委員 鑑定士団体あるいは業者の団体につきましては、少なくとも都道府県一本、さらにそれがまとまって全国一本、こういう組織になることが将来の姿として好ましいことは、石川委員の御指摘のとおりでございます。ただ、制度の発足の当初でございますので、既存の団体もあり、協会のようなものもあり、直ちにこれを強制加入あるいは全国一本、都道府県一本というふうにまとめるわけにもまいりませんでしたために、一応こういう任意設立のたてまえをとっております。この種の団体の届け出制度ということを私ども考えておりますが、届け出をする団体というものは、一定数以上の鑑定士ないしは鑑定士補を擁し、一定の区域、少なくとも都道府県を単位とするようなまとまった団体に届け出をさせる、こういうふうな方法によりまして、順次都道府県ごとにまとまり、さらにそれが全国単位にまとまるというふうな方向に持ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。したがいまして、登録の問題あるいは報酬の問題、こういうものもそういう団体ができました暁には、そういう団体で自主的に規律をしていく、こういう体制が将来の姿としては望ましいことは、石川委員指摘のとおりだと考えております。
  32. 石川次夫

    石川委員 鑑定士団体がほんとうにできるということになると、これが拡充されて各町村にもそういう団体が存在する、こういうことになれば、今度は全部そこを通せと言うこともできるのです。たとえば個々の取引でも、必ずそこを通して評価させるというような強制的な形もとれる可能性が出てくると思う。そういうことになれば、これは公的機関に準ずるものとして、私は公的鑑定士を設けるという意味もそこにあると思う。公的鑑定士というものを擁した団体ができて、必ずそこを通して評価させるということになれば、地価暴騰するのを抑制することには非常に大きな力になる。これは外国では、公的鑑定というものではなくて、公的あっせん所というものがありまして、必ずそこを通すという制度が相当発達しておるようでありますが、そこを通して住宅でも土地でもめんどうを見るということで、これは純然たる公的機関になっております。これで地価暴騰という懸念はほとんど解消すると言っても過言ではない。いますぐこれをやることは非常に困難でございましょうけれども、しかし、この鑑定士というものはそういうふうに団体として健全に発達をする、これが全部公的鑑定士という制度を設け、評価基準確立するというふうなことで、公費制度にまで発展していけば、すべての取引、売買あっせんといいますか、その評価をやることが地価の抑制の基本的な対策一環になる。もちろん土地の問題はそれだけで解決はいたしませんけれども、ほとんどの問題はそれでもって解消すると言っても過言ではないという意味で、この鑑定士法というものに対しては、われわれ非常に期待をしておる。そういう意味で、今度の法案はまことに不十分で不満である。しかしながら、これを足がかりとしてそういう充実した方向に持っていくことをわれわれ期待をするために、賛成はするつもりでおりますけれども、その点をひとつよくお考えを願いたいと思う。  それで、あとは事務的なことになりますけれども土地の収用にあたっては、鑑定士を設けるという制度になりまして、これはけっこうだと思いますが、さて、被収用者のほうでも鑑定士を雇って鑑定するということができるわけです。そうすると、鑑定評価というものが二通り出てくる。ということになりますと、これも先ほど言った公的鑑定士というものに関連をしますが、公的鑑定士というものの制度確立してまいりますと、こういう食い違いが出ないという見通しも出てきますけれども、現在の任意な鑑定士というものになりますと、被収用者が自分に都合のいいような鑑定士を雇って高く評価をさせるということも可能性がある。そうでなくても、現実の問題として、二つの鑑定というものについて、相当の食い違いが生まれるということが予想されるわけであります。そういう場合には、一体どう処理されるお考えでありますか。
  33. 町田充

    町田政府委員 一つの物件をめぐりまして、評価をいたします場合に、まあしろうとの間でありますと、その間に相当な値開きが出るということも考えられるわけでございますが、鑑定評価基準というものがだんだん確立してまいりまして、専門的な職業家としての鑑定士が育ってくるということになってまいりますと、一つの対象について専門的な鑑定士鑑定評価がそう大きく食い違うということもなかろうではないかというふうに期待をしておるわけでございますが、不幸にしてそういう事態が生じました場合、収用委員会の裁決の場でそういう事態が生じました場合の措置といたしましては、おそらく収用委員会としては、さらに、自分の信頼するさらに権威のある鑑定士に最後的な鑑定評価を求めるとか、あるいは両鑑定士についてさらに調整を行なわせるとかいうふうな措置を具体的にとりまして、妥当な価格を決定していく、こういうことが常識的な解決方法ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。なお、収用委員会は、鑑定士鑑定評価の結果に法律的に拘束されるというわけではございませんので、十分貴重な参考意見として聞く、こういうことでございますので、両鑑定士の出しました鑑定評価の結果というものを十分精査をして、自分の判断で価格を決定して裁決するということも可能なわけでございます。
  34. 石川次夫

    石川委員 その点は了解しました。さて、この暫定措置として、四十一年十二月までに特別不動産鑑定士の試験をやることになると思うのですけれども、この受験資格に「実務の経験を有する者」と書いてありますが、その実務の経験の内容、これはどういうふうに考えておるかという点が第一点。  それから、現在の日本不動産研究所に大体七十四名、信託銀行に百四十名、宅建業者——これはなかなかむずかしいでしょうが、その中から大体二千人ぐらい出るのじゃないかというふうに、大ざっぱに考えるのです。裁判所の関係では、東京地裁だけで十四名、全国で二百五十名ぐらいになる。それから、先ほど質問しましたけれども大蔵省の財務局の関係では、国有財産鑑定官が四十五名、国有財産監査官が九十名、管財関係で鑑定審議官あるいは国有財産鑑定官、監査官が十名おる。国税局の関係では、東京国税局が五名、所管六十二税務署でもっておのおの三名ぐらいということになりますと、民間の宅建業者を除いても、大体千五百人くらいになるのではなかろうか。こういう者が鑑定士の資格をとるというふうに、これは強制はしておりませんけれども、大体こういうものが、鑑定士法というものはあまりたいしたものではないというので、試験を受けないということになると問題があるので、こういうものは当然試験を受けるということが予想されておるのかどうか。そういうものを含めて特別不動産鑑定士試験というものをやり、大体どのくらいの人が鑑定士として生まれてくるという予想を立てておられるか、この辺の見通しとその実務経験の内容をお知らせを願いたい。
  35. 町田充

    町田政府委員 経過的な特別試験の受験資格としての不動産鑑定評価に関する実務の範囲としてどういうものを見るかということでございますが、これはまだ確定した考え方ではございませんが、一応私たちの腹づもりといたしましては、不動産の取引、交換、処分、買収というふうな不動産の流通過程における鑑定評価、それから金融上の担保価値を判断するような鑑定評価、あるいは税制上の課税標準価格というふうなものを鑑定するための鑑定評価、さらには裁判研の指定、そういうものを受けまして、競売の場合等におきます不動産鑑定評価をする、こういう実務というものが、受験資格としての実務の中に入ってこようかと考えております。したがいまして、かなりな実務の経験者というものが受験資格があろうかということになるかと存じます。  将来の姿として一体何名くらいの鑑定士ないし鑑定士補を期待しておるのかというお尋ねでございますが、この点もいまのところは全く予測でございますが、私どもの腹づもりといたしましては、この特別試験におきまして鑑定士鑑定士補、両者合わせまして約千五百名から二千名程度のものが誕生してくるのではなかろうか、また、そのくらいのものは鑑定の需要を考えあわせますと必要ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  36. 石川次夫

    石川委員 法案の中で、十条についてちょっと御説明願いたいと思います。実務補習という問題でありますが、「不動産鑑定業者の事務所、第五十二条の規定による届出をした社団又は財団その他の建設大臣の認定する機関において行なう。」この認定する機関とはどういうものを考えておられるか。と申しますのは、日本には鑑定士というものはいままで生まれておらなかった。諸外国では大体不動産鑑定ということは大学に一つ不動産科というふうな専門の科目というものが設けられて、相当専門知識を学習して、その後実務の経験を経て、非常に権威のある鑑定士というものが生まれておる。私の希望とすれば、大学の正式の科目の中にこういうものが入ってくるというところまで、この鑑定士法の前提として発展してまいりませんと、鑑定士というものがほんとうに権威のあるものになり得ないのではないかという不安がある。しかし、いまの段階で急にそれを望んでも不可能だと思いますが、将来は大学の研究機関等にこういうものが必ず必要になってくると考えております。こういうふうな大学の研究機関を設けて、そこを認定する機関としてここで行なうということになると理想的であるし、鑑定士というものが、将来重大な社会的な任務を帯びて、国民の期待にこたえるような形になってくるのではないか、こう考えておりますが、現在は何をこの機関として考えておるか。将来これを大学あたりに持っていってこういうものを研究するところまでの抱負、見通しというものを持っておるかという点をひとつお答えを願いたい。
  37. 町田充

    町田政府委員 将来、大学等の学校におきまして、こういう不動産鑑定評価に関する研究機関ができました暁におきましては、そういうものを指定することは当然に考えるべきことと思います。ただ、ただいまのところ大学その他の学校で、そういう研究機関を持っておるというところもございませんので、さしあたりは鑑定士ないしは鑑定士補となるのに必要な理論なり実務なりを十分修習させるに足るだけの図書なり、あるいは指導員なり、そういうものを持っておると考えられますような民間の研究機関、あるいは民間不動産鑑定業を営んでおるような機関、そういうものを指定したいと考えておるわけです。
  38. 石川次夫

    石川委員 将来その点も考えてもらいたいと思います。  最後に、一点だけ御説明願いたいと思いますが、三十六条に「不動産鑑定士又は不動産鑑定士補でない者は、不動産鑑定業者の業務に関し、不動産鑑定を行なってはならない。」こう書かれておりますので、「不動産鑑定業者の業務」というのは一体何をさしておるのかという点と、これは、業務でなくて、報酬をもらわないでかってにやるという分には差しつかえないかどうかという疑問がちょっと残るものですから、その点もあわせてひとつ御説明願いたい。
  39. 町田充

    町田政府委員 第三十六条でいっております「不動産鑑定業者の業務に関し、」と申しますのは、不動産鑑定業者の業務の実態であります鑑定評価、それからその前提をなします諸種の調査資料の収集、その最終的な判断としての鑑定評価、そういったことがこの不動産鑑定業者の業務の中心をなすわけでございますが、特に最終的な判断である鑑定評価については、不動産鑑定士または不動産鑑定士補の資格を持ってない者は従事してはいかぬ、こういうことでございます。  それから、報酬を受けないでやれば差しつかえないのかということでございますが、そもそも報酬を受けないで鑑定評価を行なうということについては、この法律は特別に関与をいたしておりませんので、他人の依頼に応じて報酬を得て不動産鑑定評価を業とする、こういう者を不動産鑑定業者としてつかまえておるわけでございます。
  40. 石川次夫

    石川委員 鑑定士でなければならないということではないということになると、鑑定士法を設けてもざる法になるのじゃないかという懸念がありますが、その点はどうお考えになりますか。これは鑑定士でなくとも鑑定評価ができるという余地が出てくるわけですね。業務としてやるのでなければ、そういうことになれば、この鑑定士法をつくった意味が若干薄れるのではないかと思いますが、その点はどのように考えておりますか。
  41. 町田充

    町田政府委員 こういう特別の資格なり、あるいは資格を持った者の営む業務についての一般の制度の立て方でございますが、やはり法律的に規制をする、業務を独占させるということは、業として、つまり他人から報酬を得て、経済的な対価を得ながら商売にしてやる、こういう者についてこそ必要なのであって、一介の町のいわゆる学識経験者であって、それが個人的に望まれて、何ら報酬にかかわりなしに鑑定評価をして、その結果を相手に知らしてやるというような行為についてまで法律上の規制を及ぼす必要はないのではなかろうかというように考えているわけでございます。
  42. 石川次夫

    石川委員 私の質問を終わります。
  43. 福永一臣

    福永委員長 他に質疑の通告がありませんので、これにて本案に対する質疑を終局することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  45. 福永一臣

    福永委員長 これより本案を討論に付するのが順序でありますが、別に討論の通告もございませんので、直ちに採決を行ないます。  不動産鑑定評価に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  46. 福永一臣

    福永委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  47. 福永一臣

    福永委員長 ただいま可決いたしました本案に対して、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、石川次夫君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨の説明を許します。石川次夫君。
  48. 石川次夫

    石川委員 ただいま御決定になりました不動産鑑定評価に関する法律案に対しまして、附帯決議を提出いたしたいと存じます。  まず、附帯決議案文を朗読いたします。    不動産鑑定評価に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当っては、左の諸点について適切なる措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一、地価公示制度を創設して、標準地の標準価格を定期的に公示する等地価安定のため実効ある措置を講ずること。 二、建設大臣は、鑑定評価を適正ならしむるため、必要なる鑑定評価基準を定めること。 三、鑑定士等の団体については、都道府県を単位とした団体、及び全国を単位とした団体を設立させるための指導をはかるものとすること。 四、将来農地等を、この法律にいう不動産鑑定評価の行為の対照に含まれるものとすること。 右決議する。  次に、本案の趣旨について簡単に御説明申し上げます。  第一は、地価公示制度の創設を考慮することであります。不動産鑑定評価制度確立は、合理的な地価形成をはかるに適切な措置でありますけれども、しかし、この制度のみでは、高騰する宅地価格を全面的に抑制するにはきわめて不十分でありまして、何としても総合的立場からの対策が必要であります。  すなわち、地価公示制度が行なわれることによって、宅地の適性な価格が一般に知らされ、宅地市場における合理的な地価形成の基礎が与えられるのでありまして、鑑定士等がその鑑定評価を行なうにあたって適正な判断をするための参考となるものであります。したがいまして、不動産鑑定評価制度土地公示制度は、合理的な地価形成をはかり、宅地の円滑な流通をはかる措置として表裏をなす制度であると考えます。なお、地価の公示にあたりましては、公的鑑定機関が標準地を設定して、その標準価格を定期的に官報その他の方法により行なうことが至当と思われますけれども、この場合、土地評価に関する現行諸制度との関係については、十分の調整をはかることが大事であります。  第二は、鑑定評価基準を考慮することであります。申すまでもなく、不動産の取引は、依頼者にとってはまことに重大な問題であり、それゆえ鑑定士等にこれが鑑定評価にあたりましては、高度の理論と良識が期待されるゆえんでありますが、鑑定評価という業務は主観の入る余地が多く、当該不動産、特に土地の経済性をいかに評価するかによって、依頼者に迷惑をかけるおそれがあり、また、ひいては宅地価格の騰貴を可能ならしめるのであります。  取引価格鑑定評価額に拘束されませんが、これが尊重は望まれることでありますから、適正な鑑定評価がなされるかいなかは、本法の目的と重大な関係があります。また、わが国の不動産鑑定評価制度の十分に発達していない現状から見て、ここに十分に検討された、また鑑定士等が適正な判断をするのに必要な鑑定評価基準のつくられることが望まれる次第であります。  第三は、鑑定士等の団体の設立について適切な指導をすることであります。欧米ではつとに不動産に関する研究、制度が発達しておりまして、鑑定士等の団体は統一されて強力な協会組織となっております。わが国の場合にも、鑑定士等の団体の設立については、本法の目的にかんがみ、欧米に見られるような形態が望まれる次第であります。すなわち、都道府県を単位とした団体及び全国を単位とした団体の設立の方向に向かって、鑑定士等は鋭意努力するとともに、建設大臣はこれが指導をよろしくはかるべきであると考えるのであります。  第四は、将来農地等を鑑定評価行為の対象に含むものとすることであります。土地政策の総合的立場から見て、また公共事業の用地収得の場合には農地が対象になることが多く、その際、種々の障害の起こることが予想されますので、この際、明確に農地等を鑑定業務の対象に含むものとしたほうがよろしいと思うのであります。  政府当局は以上の四点について十分考慮し、本決議の目的達成のため万全の措置を講ずべきであります。  以上、本案の趣旨を簡単に説明いたしましたけれども、何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  49. 福永一臣

    福永委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対しましては、別に発言の申し出がありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  50. 福永一臣

    福永委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  ただいま議決いたしました附帯決議に対して松澤政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。松澤政務次官。
  51. 松澤雄藏

    ○松澤政府委員 本案の施行にあたりましては、国民の私権にもかかわる大きい問題等も含まれておりますので、本附帯決議の趣旨を体しまして、できるだけ善処するように最大の努力を払っていきたい、かように存じます。     —————————————
  52. 福永一臣

    福永委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  この際暫時休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕