○
石川委員 ただいま御決定になりました
不動産鑑定評価に関する
法律案に対しまして、附帯決議を提出いたしたいと存じます。
まず、附帯決議案文を朗読いたします。
不動産の
鑑定評価に関する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当っては、左の諸点について適切なる措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一、
地価の
公示制度を創設して、標準地の標準
価格を定期的に公示する等
地価安定のため実効ある措置を講ずること。
二、建設大臣は、
鑑定評価を適正ならしむるため、必要なる
鑑定評価基準を定めること。
三、
鑑定士等の
団体については、都道府県を単位とした
団体、及び全国を単位とした
団体を設立させるための指導をはかるものとすること。
四、将来農地等を、この法律にいう
不動産の
鑑定評価の行為の対照に含まれるものとすること。
右決議する。
次に、本案の趣旨について簡単に御説明申し上げます。
第一は、
地価の
公示制度の創設を考慮することであります。
不動産鑑定評価制度の
確立は、合理的な
地価形成をはかるに適切な措置でありますけれ
ども、しかし、この
制度のみでは、
高騰する宅
地価格を全面的に抑制するにはきわめて不十分でありまして、何としても総合的立場からの
対策が必要であります。
すなわち、
地価の
公示制度が行なわれることによって、宅地の適性な
価格が一般に知らされ、宅地市場における合理的な
地価形成の基礎が与えられるのでありまして、
鑑定士等がその
鑑定評価を行なうにあたって適正な判断をするための参考となるものであります。したがいまして、
不動産鑑定評価制度と
土地の
公示制度は、合理的な
地価形成をはかり、宅地の円滑な流通をはかる措置として表裏をなす
制度であると
考えます。なお、
地価の公示にあたりましては、公的
鑑定機関が標準地を設定して、その標準
価格を定期的に官報その他の方法により行なうことが至当と思われますけれ
ども、この場合、
土地評価に関する現行諸
制度との関係については、十分の調整をはかることが大事であります。
第二は、
鑑定評価の
基準を考慮することであります。申すまでもなく、
不動産の取引は、依頼者にとってはまことに重大な問題であり、それゆえ
鑑定士等にこれが
鑑定評価にあたりましては、高度の理論と良識が
期待されるゆえんでありますが、
鑑定評価という業務は主観の入る余地が多く、当該
不動産、特に
土地の経済性をいかに
評価するかによって、依頼者に迷惑をかけるおそれがあり、また、ひいては宅
地価格の騰貴を可能ならしめるのであります。
取引
価格は
鑑定評価額に拘束されませんが、これが尊重は望まれることでありますから、適正な
鑑定評価がなされるかいなかは、本法の目的と重大な関係があります。また、わが国の
不動産鑑定評価制度の十分に発達していない現状から見て、ここに十分に検討された、また
鑑定士等が適正な判断をするのに必要な
鑑定評価の
基準のつくられることが望まれる次第であります。
第三は、
鑑定士等の
団体の設立について適切な指導をすることであります。欧米ではつとに
不動産に関する研究、
制度が発達しておりまして、
鑑定士等の
団体は統一されて強力な協会組織となっております。わが国の場合にも、
鑑定士等の
団体の設立については、本法の目的にかんがみ、欧米に見られるような形態が望まれる次第であります。すなわち、都道府県を単位とした
団体及び全国を単位とした
団体の設立の方向に向かって、
鑑定士等は鋭意努力するとともに、建設大臣はこれが指導をよろしくはかるべきであると
考えるのであります。
第四は、将来農地等を
鑑定評価行為の対象に含むものとすることであります。
土地政策の総合的立場から見て、また公共事業の用地収得の場合には農地が対象になることが多く、その際、種々の障害の起こることが予想されますので、この際、明確に農地等を
鑑定業務の対象に含むものとしたほうがよろしいと思うのであります。
政府当局は以上の四点について十分考慮し、本決議の目的達成のため万全の措置を講ずべきであります。
以上、本案の趣旨を簡単に説明いたしましたけれ
ども、何とぞ
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。