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1963-07-04 第43回国会 衆議院 建設委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年七月四日(木曜日)     午後一時九分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 木村 守江君 理事 瀬戸山三男君    理事 二階堂 進君 理事 石川 次夫君    理事 岡本 隆一君 理事 中島  巖君    理事 大倉 三郎君    大沢 雄一君       正示啓次郎君    砂原  格君       山口 好一君    兒玉 末男君       佐野 憲治君    三宅 正一君       山中日露史君    田中幾三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         建設政務次官  松澤 雄藏君         建設事務官         (計画局長)  町田  充君         建設事務官         (道路局長)  平井  學君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  委員外出席者         議     員 森下 國雄君         議     員 三宅 正一君         自治事務官         (消防庁総務課         長)      山本  弘君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 六月二十七日  委員中村梅吉辞任につき、その補欠として堀  内一雄君が議長指名委員に選任された。 七月四日  委員田中幾三郎辞任につき、その補欠として  片山哲君が議長指名委員に選任された。 同日  委員片山哲辞任につき、その補欠として田中  幾三郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月一日  国、県道の交通安全施設設置に関する請願(田  村元君紹介)(第五二六七号)  二級国道指宿宮崎線整備促進に関する請願(  瀬戸山三男紹介)(第五九九四号)  二級国道日南都城線及び人吉都城線整備促進  に関する請願瀬戸山三男紹介)(第五九九  五号)  名阪国道建設促進に関する請願江崎真澄君  紹介)(第五九九六号)  労働者住宅建設促進法  制定に関する請願大原亨紹介)(第五九九七号) 同月二日  戸塚周辺土地区画整理事業に関する昭和三十  七年三月十三日付官報建設省告示第五一二号の  撤回に関する請願米田吉盛紹介)(第六四五三号)  横浜新道戸塚支線の開放に関する請願米田吉  盛君紹介)(第六四五四号) は本委員会に付託された。 七月二日  道路密備に関する陳情書  (  第七九八号)  河川法改正に関する陳情書  (  第八〇四号)  住宅基本政策確立に関する陳情書  (第八〇五号)  新住宅市街地開発法案成立促進に関する陳情  書  (第八〇六号)  九州高速自動車道の小林市通過に関する陳情書  (第八三一号)  河川法案反対に関する陳情書  (第八三二号)  九州自動車道建設に関する陳情書  (第八三三号)  関門地区の新連絡施設建設に関する陳情書  (第八三四号)  中国縦貫自動車道建設促進に関する陳情書  (第八八一号)  同  (第九七七号)  後進地域道路整備促進に関する陳情書  (第八八四号)  車両制限令実施に伴う市道の改良工事費補助等  に関する陳情書  (第九七八号)  二級国道金沢岐阜線の一級国道昇格に関する陳  情書  (第九七九号)  公共事業建設基準単価改正に関する陳情書  (第一〇二〇号)  民間宅地造成事業に関する陳情書  (第一〇八一号)  後進地域道路整備促進に関する陳情書  (第一〇八二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  関越自動車道建設法案堀内一雄君外十四名提  出、衆法第五一号)  建築基準法の一部を収正する法律案内閣提出  第一三九号)(参議院送付
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  去る六月二十九日、本委員会に付託になりました関越自動車道建設法案議題として審査に入ります。  関越自動車道建設法案
  3. 福永一臣

    福永委員長 まず、提出者より提案者理由説明を聴取いたします。森下國雄君。
  4. 森下國雄

    森下議員 ただいま、議題となりました。関越自動車道建設法案につきまして、私は自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたまして、その提案理由並びに要旨を御説明申し上げます。  近時、わが国産業経済飛躍的伸長発展自動車交通需要のおびただしい増勢に伴い、かつまた、全国総合開発計画の重要な一環といたしまして、全国的な自動車交通網整備確立がきわめて緊要な政治的課題となってまいりまして、いまや高速自動車道建設促進の機運はほうはいとして台頭いたしております。  すなわち、さきには昭和三十二年、高速自動車国道法及び国土開発縦貫自動車道建設法が相前後して制定せられ次いでまた、昭和三十五年には、東海道幹線自動車国道建設法成立を見るに至りまして、現に、中央東北北海道中国四国九州、北陸の各自動車道調査が急速に進められつつあり、中央道東海道路線についてはすでに一部着工の運びとなり、さらにまた、名神高速道路のごときは、明年度全線供用開始を目途として着々建設が行なわれております。  しかるに関東上越地域につきましては、本来、地位的に首都表裏不可分一体的関係にありまして、これらの地域をつなぐ高速道路建設を行なうにおいては、広く京浜。京葉工業地帯日本海最短距離に結ぶ大動脈とし、ここに広域経済圏を形成し、地域開発上多大の効果が期待せられるにかかわらず、いまなお高速道路網のらち外に置かれていたことは、まことに片手落ちであるといいわざるを得ないのであります。  したがって、この際、国土開発縦貫自動車道立法趣旨に準じてすみやかに本自動車道建設促進する必要があり、関係地域住民の間にもこの要望が著しく高まっております。  われわれは、このような実情にかんがみ、熾烈な地域的要請にこたえまして本道路早急実現を期するため、特に本法案を提出することといたしたのであります。  すなわち、この法律は、東京都及び埼玉、群馬両県を通じ、さらにこれと近接する新潟県に達する高速道路建設せんとするものでありまして、現に首都周辺において飽和状態になりつつある隣接県との交通隘路を打開するとともに、沿道諸地域における資源の開発産業振興をはかり、さらに他面、従来、裏日本的宿命に閉じ込められていた日本海沿岸地域首都東京と直結することにより、新しい時勢の恵沢に均霑せしめようとするものであります。  これが本法案提出趣旨でありますが、次に本法案要旨について若干の御説明を申し上げます。  第一は、本法案の目的についででありますが、さきに申しましたように、首都圏とこれに隣接せる日本海沿岸地域との産業経済等関係を一そう緊密にし、かつ関係地域開発を強力に推進するために、高速交通の用に供する幹線自動車道をすみやかに建設することといたしまして、これにより産業基盤の強化に資するとともに、広く国民経済発展に寄与せんとするものであります。  第二は、本自動車道予定路線についてでありますが、本路線は、起点を東京都、終点を新潟市とし、主なる経過地を川越市付近、前橋市付近とするものでありまして、この基準に基づき、政府は別に法律案を作成し、すみやかに国会に提出しなければならないことにいたしております。  なお、本路線の指定については、国土開発縦貫道の方式に準じてこれを行なうことといたしまして、内閣総理大臣国土開発縦貫自動車道建設審議会の議を経て、予定路線を決定することに相なっております。  第三は、本路線建設に関する基本計画についてでありますが、これが決定にあたっても、内閣総理大臣は、前述の予定路線と同様の手続を経てこれを行なうことといたしまして、さらに、この基本計画立案等のための基礎調査についても、所要規定を設けております。  第四は、現行高速自動車国道法の一部改正を行ないまして、同法に準拠する本自動車道整備計画を作成する等所要規定を設けることにいたしております。  以上が本法案提案理由並びにその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決賜わらんことを切にお願いする次第であります。
  5. 福永一臣

    福永委員長 以上で提案理由説明聴取は終わりました。     …………………………………
  6. 福永一臣

    福永委員長 質疑通告がありますので、これを許します。二階堂進君。
  7. 二階堂進

    二階堂委員 私は関越自動車道建設法案につきましては賛成でございます。別に反対する意思はでございません。  ただ一点、私は政府当局考え方をただしておきたいと思うのであります。簡潔に申し上げますと、御承知のとおり、道路整備促進をはかることは、これは国の政治の大きな使命でありまして、そのために政府もいろいろと次の五カ年改定計画等を、けさの朝日新聞で見ると発表されておるようでありまするが、その中で、特にこの地域開発等と関連いたしまして、全国的に高速自動車道とか、あるいは縦貫自動車道開発が、地元の非常に強い要望もありまして、この実施促進するという傾向にあるのでありますが、地域的な問題としましても、たとえば九州四国中国あるいは東北、なおまた北海道、これらにも縦貫道路を早くつくれという強い要望があるわけであります。しかしながら、財源等関係もありまして、それぞれの地域開発道路については調査も進められておりますが、一体このような要請にこたえるために、来たるるべき五カ年計画においてはどういう考え方を持って実施促進するのか、この点については後日局長からも考えを聞きたいと思っておりますが、そういうときに、日本海太平洋沿岸あるいは瀬戸内海等を結ぶ横断道路をつくらなければならないということは当然のことでありますけれども、いまここに関越自動車道法案というものを議員提案の形で立法を行なうわけでありますが、そうなりますと、また次から次に地域的な要望が出てくると私は思うのです。九州におきましても横断中国におきましても、あるいは東北におきましても、それぞれの地域にこういうような運動が次から次に起こってくると予想せざるを得ないのであります。そういう場合に、次から次にこういうような単独立法を行なって、そうして政府当局にこういう道路を早くつくれ、こうなった場合に、一体政府はこういうような要請にどうしてこたえていくのか。また、こういうような問題を将来の五カ年改定の中にどういうふうに織り込んでいこうと考えておられるのか。これはなかなかむずかしい問題と思いますけれども、この一点だけ私は政府考え方——道路局長でもいいから、何かほかに言うことがあればつけ加えて、考え方だけをひとつ聞いておきたいと思います。
  8. 平井學

    平井(学)政府委員 道路局として現在考えておりますことを御報告いたしましてお答えとしたいと思います。  実は今回の関越自動車道建設法案について、私ども政府関係者としていろいろ意見等を求められました。そこで私どもといたしましては、建設省内におきましていろいろ事務的にも検討いたしました結果かように考えておるというような意見を申し述べてまいっておるし、現在もさように考えております。  まず第一に、御指摘のように次々と個別にこういう高速自動車国道の特定の路線法律化されることは、それ自体としては国土開発上あるいは産業振興上非常に意義があることは疑いないのでございますけれども、すでに国土開発縦貫自動車道建設法があり、また別に東海道幹線自動車国道法というような別個意義を持つ法律もあるし、さらに、これらを包括する高速自動車国道法というこういう三つの関係法律が、それぞれ別個立場でつくられておるような現状でございます。私どもの一応の考え方といたしましては、来たる昭和三十九年度から新道路整備五カ年計画立案作業をいたしておる立場から申しますと、かように各個に各地で御提案くださるよりは、できるならば従来のものも含めて総合的な青写真をお互いにつくって、これに基づいて一貫した長期計画のもとに仕事をやらしてもらうほうが合理的であるというふうに考えておるのでございます。実は政府のほうでも、この高速自動車国道法の第三条に、建設大臣運輸大臣と協議して、全国的な意味での高速自動車道計画案を作成して縦貫道審議会にかけなければならないことになっておりますけれども、残念ながら、いろいろの都合上、今日まで総合的な計画建設運輸両省といたしましてここに立案する段階に至っておりません。実は私どもも早急にこの高速自動車国道法の精神にのっとりまして、今度の新五カ年計画立案の際に、総合的な縦貫道といわず、これと密接不可分関係にある高速自動車道を含む全体的な案を間に合わせるように現在作業をいたしておる途中でございます。  今回の関越自動車道建設法案につきましても、私どもといたしましては、事務当局意見を、いま申しましたような線でそれぞれ関係方々に御報告ないし具申いたしてまいったようなわけでございます。今後におきましては、当然五カ年計画内においてこの縦貫自動車道及び縦貫自動車道といえない範疇かもしれませんが、これと密接不可分高速自動車道路線を、建設省全体の立場から青写真として描いて、これをどういう順序調査し、どういう順序着工を進めていくべきかという問題を、現在諸般の観点から鋭意検討をいたしておるような状況でございます。これらにつきましては、まだ大臣にも具体的にこれこれというような材料を御報告する段階に至っておりません。さような現状でありますことを御報告いたします。
  9. 福永一臣

    福永委員長 中島さん、質問ありますか。
  10. 中島巖

    中島(巖)委員 ありません。  〔「採決々々」と呼ぶ者あり〕
  11. 三宅正一

    三宅議員 ちょっと私から……。採決をしろという非常に御親切な御発言もありまして感謝をいたします。実はことしの雪害を考えましても、交通関係が途絶いたしますれば、裏日本関係開発というものはあり得ないのでございます。私どもはもともと国土縦貫自動車道法案を率先して提唱いたしました際におきましても、日本のような細長い国において、裏日本、表日本を通ずる開発をやりまする根幹として縦貫自動車道というものがあり、その上に要所要所肋骨道路がしっかりできることによって、初めて産業の再配分も、文化の再配分も、人口の再配分もできるという観点に立ちまして、私どもとしては早くひとつ——一級国道でいい肋骨道路もありますし、高速道路としての肋骨道路をつくらなければならぬ点もあると考えまして、これを庶幾しておったわけでございます。したがいまして、今度の法案につきましても、実は縦貫自動車道肋骨道路として提案をしようと考えたのでありますが、議員の中に、そうすると先ほど二階堂委員から御質問がありましたように、方々から割り込みがくるから、むしろ独立法のほうがよかろうということで独立法に直した次第でございます。私どもとしては、国の資金の動員、国の資金限界等もございますので、資金量をふやさなければならぬことはもとよりであって、その努力をしなければなりません。同時に、その順位をどういうふうにするかということについては、これはやはり資金重点的活用がございますので、その意味において審議会等にかけていただきまして、そしてアンバランスのないようにやっていただきたいという心持ちでございます。どうかひとつ、そういう意味で一そう御鞭韃をお願いいたしたいと考える次第であります。  提案者といたしましてまことにありがとうございました。感謝を申し上げます。
  12. 福永一臣

    福永委員長 他に質疑通告がありませんので、これにて本案に対する質疑を終了することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  14. 福永一臣

    福永委員長 〇これより本案討論に付するのが順序でありますが、別に討論通告もございませんので、これより直ちに採決いたします。  関越自動車道建設法案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  15. 福永一臣

    福永委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。(拍手)  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  17. 福永一臣

    福永委員長 次に、建築基準法の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。兒玉末男君。
  18. 兒玉末男

    兒玉委員 建築基準法というのは専門的な用語が多くて、その実態の把握ということはなかなか困難でありますけれども、若干の点につきまして御質問を申し上げたいと思います。  今回の建築基準法改正によりまして、現在までの制限されました建築物高層化ということが当然問題になってこようかと思うわけです。もちろんこの基準法改正趣旨にはわれわれは賛成するものでございますが、この高層建築物ができる過程、並びにその後における問題点について御質問するわけでございますけれども、特に日本地震の多い国である。このことは私は最も重視しなければいけない問題ではなかろうかと考えるわけでございます。  そこで、まず第一点といたしましては、この建築基準法改正に伴って相当高層ビルディングが建つわけでございますけれども、いわゆる地震に対しましてどういうふうな科学的な根拠を持っておるのか。わかりやすく申し上げますならば、高層建築ができた場合、特に地震の多い日本においては、今日の建築技術の高度の発達によって、そういうことは心配要らないということをおそらく反論されると思うのでありますが、この高層ビルディング耐震性——地震に対してどの程度耐えるのか、この基本的な点について見解を承りたいと思います。
  19. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 建築物はその構造耐震性でなくてはならぬことは当然でございまして、現行建築基準法にも「地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造でなければならない。」という規定がありまして、これに基づきまして、各種の政令等によりまして構造に関する規定を置いております。今回もこの基準法改正によりまして、高層建築ができます場合には、従来と異なった構造に関する規制規定を設けまして、地震には心配ないようにしようと思っておりますが、特にこの際われわれが研究いたしましたのは、最近非常に電子計算機等計算によりまして構造に関する計算技術が進んでまいりまして、従来は容易に計算できなかった構造に関する計算も簡単にできるということが一つ。もう一つ材料に対する研究相当できてきまして、従来のように非常にかたい、強い構造体を使わないで、やわらかい、ねばりけのある構造体を使うことによって、軽量で建築ができる。そういたしますと、高層化いたしましても、重量がかかりませんので、地震に対する力は、むしろかたくて重いものよりもやわらかくてねばりけのあるもののほうが、地震を受ける受け方が違ってきまして、相当地震には耐えられます。このことは実は外国の例がございまして、御承知と思いますけれども、メキシコ・シティで先年起こりました地震には、四十三階という高いビルがむしろ残りまして、それ以下の小さいビルが倒れた例がございます。こういうことによりまして、相当技術が進んでまいりましたので、今回の改正によりましても、地震に対しましては十分心配ないということで法案改正に臨んだわけでございます。
  20. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、日本の場合には、多少よその国の場合とは形態が違うと思うわけです。それで、現在まで、特に大正大震災を契機として、耐震構造ということについては相当研究は進められたと思うのですけれども、今度のように、建築基準法の全面的な改正によって高層化ということが考えられておると同時に、特に高層化すれば、鉄筋コンクリートを使うということで相当重圧がかかる。なおまた、地震形態というものは、縦ゆれとか横ゆれとか、いろいろ、専門的な用語が使われておりますが、少なくとも今日までの、この大正大震災等に匹敵するような——震度六というのですか、そういう強震があった場合に、大体建築技術面において、その理論的な根拠というものについては、相当確信を持っていかなければ、今日の基準法改正まで踏み切ることはできなかったと思うわけなんですが、そういう点については、どのような機関においてそういうような研究なりまた実験がなされているのか。  もう一つは、私たちが常識論として考えることは、過去において——先ほど局長が申されましたが、アメリカかどこかで高い建物だけが残った、こういう一つ経験に基づく表現であって、実際にこういう耐震に対する科学的な実験なり、またそういうふうな理論的な根拠が、どういうふうな機関で今日まで進められてきて、そうして今日のこの建築基準法改正というところまで踏み切る動機になったのか、特にこの点が重要なポイントであろうかと存じますので、この二点についてお伺いをします。
  21. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 御案内のとおり、わが国地震国でございまして、耐震構造に関する学問及び実際におきましては、世界で最も先進国であるように私は承知しております。しかしながら、この建築基準法改正につきましては、われわれも単に政府部内で検討するだけでは、ただいま申し上げましたような技術的な問題につきまして問題がございますので、建築学会——現在日本において最高の権威のある建築関係の学者及び関係者で組織されております学会に諮問いたしまして、学会のほうで種々検討されました結果、先ほど申し上げましたような、従来の鉄筋、セメント、コンクリートを中心とした剛構造にかえて、鉄骨でつくった軽い建物にすることによって十分できるという学会の御意見を十分拝聴いたしましてきめたのでございます。今後の運営につきましても、この法律が通過成立いたしました暁には、さらに所要法改正につきましても、学会と協力のもとに、学会の御意見を聞きながら、最新の学問を利用いたしまして、絶対心配のないように、もちろん関東大震災程度地震に耐えるような工法を入れるようにいたしたい所存でございます。
  22. 兒玉末男

    兒玉委員 そういう建築学会等意見も十分お聞きしてやることは当然のことと思うのですが、なお現実の問題として、やはり一たんこの法律が制定されますと、いま局長が考えておられるように、ほんとうに科学的な根拠に基づいた建設設計、こういう一つの運用上の面において相当厳しい規制を加えていかないと、ただ建物をつくりさえすればいいんだ、こういう一つ考え方というものがともすれば先行しやすい弊害を伴うのではなかろうか、私はこういう危惧を持つわけであります。こういう点について、やはり建設大臣なり、または内閣の所管の中において、そういう一つのきちんとした過程におけるいわゆる規制を加えるなり、そのような審査といいますか、建物をつくる場合において、一つのチェックをする機関というものを、この際設置する必要があるのじゃなかろうか。これは現行建築基準法におけるこの機関だけでは不十分だと考えるわけですが、そういう構想についてはどのような見解を持つかお伺いしたいと思います。
  23. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 ごもっともな御質問でありますが、先ほど申しましたように、できる限り法律政令等規制によっていたしますが、当分の間は、まだ十分経験もありません心配もございますので、特殊な構造を持ちます場合には、その建物について各地方の行政庁が許可をいたします場合には建設大臣承認を求める制度がございますが、この規定を運用いたしまして、建設大臣が個々の建物につきまして承認をする際には、学会あるいはその他経験者権威の御参集を願いまして、各方面から、根本的に検討していただきまして、そうして心配ないというものを承認していく、こういう制度の運用によりまして、一般的に法令になり、あるいは技術が安全確実なものになるまでは、そういう処置によりまして、心配のない建物ができますように配慮いたしたいと考えております。
  24. 兒玉末男

    兒玉委員 いま地震に対応する対震性ということを中心にして申し上げたわけですが、次に、建物が完成されるならば、建物自体ということももちろんでありますが、当然周囲には常に人が存在するわけでありますから、安全性ということについて局長としてはどういうふうな今後の監督上の指導をやっていこうとするのか。これは設計の問題を伴ってくるわけですが、建物それ自体ということと合わして安全性ということについてのお考えをひとつ承りたいと思います。
  25. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 安全性とおっしゃいますお話は、防火あるいは避難、こういう点に対する配慮かと存じますが、この点につきましても、現在の三十一メートル以上の建物に関する防火に関する規定につきましては今回新たに政令で制限規定を設けることにいたしまして、その内容につきましては、目下消防庁と十分打ち合わせをいたしております。この法律が施行されました場合には、この点につきましても心配のないように、あるいはエレベーターの構造をどうするか、あるいは避難階段をどうするか、その他防火上の施設につきましても消防庁と打ち合わせをし、防火、避難上絶対に心配のないようにいたしたいと思いまして、いま検討している段階でございます。
  26. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの御答弁では十分納得できないわけでありますが、時間の制限もございますので、重要な点だけにしぼって御質問しますが、私が安全性と申し上げますのは、そういういわゆる人畜に対するところの被害ということと、設計そのものが、先ほども局長が申されましたが、高層化するに従って、現在までのようないわゆる鉄筋コンクリートという非常に重量のかさむものだけでは、専門的に見てもおそらく困難性が伴うのじゃないか。一方、非常に地震の多い日本でありますから、こういうふうな鉄筋コンクリート以外の重量の軽い建築材料等を使った場合においては、亀裂なりあるいは窓がラス等がこわれる、こういういろいろの要素が安全性の中に含まれていると私は思うのであまりす。もしそういうふうな亀裂等が生じますれば、当然地震のあとにくるものは火事であります。これは大震災の例が示しておるわけでございますけれども、こういうような一つの安全性を保持するための設計上の専門的な点についても、私たちのいままで聞き及んだところでは、十分なる研究と結論が出されておらない。まだ今後に残された非常に大きな問題だとして、相当有名な学者の方々も指摘をいたしておるようでございますので、これらの点については、やはり実施にあたって十分な配慮と指導を要望したいと思うわけであります。  次に、問題となりますのは、先ほど少し答弁がありましたが、特にこれからこういう高層建築が建てられるところは、やはりどうしても大都市周辺、大都市中心になってくると思うのです。特に東京都等は、地盤の問題で、地質学者等の本を読んでみましても、相当問題の多いところだと聞いております。ニューヨーク等の場合は、相当頑強な地盤があるために、でかい高い建物ができるということを聞いております。特に東京都の場合においては、この地盤の問題ということが相当今後の研究課題としてあがってくるのじゃなかろうかと私は思うのですが、やはり当面東京なり、大阪なり、こういうところが中心となると思うのですが、この辺についての検討というものは、どの程度まで進んでおるのかお伺いしたいと思います。
  27. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 お話のとおりわが国の大都市、特に東京、大阪は地盤が軟弱でございまして、建築をする場合に相当問題がございます。しかしながら、非帯にその研究が進んでおりまして、たとえば東京の地盤につきましては、ほとんど詳細な図面ができておりますので、その地盤の軟弱、あるいは硬軟の状況に応じまして建築物を建てるように現在もやっております。この高層建築をつくりますと、勢い地下の建築物も分量が多くなってきますが、現在東京では東京礫層という層が表面から地下十メートルないし二十メートル程度のところにございますので、そこに基礎を安定せしめれば安全であるという研究ができておりますので、その程度まで基礎を固めてつくりますと心配ない、こういうことから、東京、大阪におきましても高層建築は十分できるという、理論的経験的な結果によりまして建築物ができていくだろう、こういうふうに考えております。
  28. 兒玉末男

    兒玉委員 それでは改正の中の内容についてあと四点ほどお伺いしたいと存じます。なお、消防庁関係については来られてから御質問をしたいと存じますが、まず第一点は、今回特定街区という表現が容積地区というふうに表現変がわったと思うのですが、この容積地区というのは、いわゆる都市計画法に基づいてこの地域が指定されることになっているようでございます。御承知のように、都市計画法は大正八年に制定されたものであって、もちろん、その間若干の修正等はなされておりまするけれども、当時における都市計画の実態というものと、今日における都市計画の実態というものは、相当変革を来たしていると私は思うわけであります。特に高層建築物等を建てる、いわゆる容積地区の指定については、この都市計画法に相応する、いわゆる土地の合理的な効率的な使用を行なうということになっているわけでございますけれども現行の都市計画法で、このような建築基準法改正に伴う容積地区の指定ということがはたして合理的にできるかどうかということについて、かなり私は疑問を持つわけであります。やはり都市計画法そのものを建築基準法改正と並行的に考えていかなければ、実情にそぐわない面が出てくるのではなかろうか、こういう懸念を持つものでございますが、この都市計画法と建築基準法に示されている容積地区の指定の関連について局長見解を承りたいと存じます。
  29. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 容積地区は都市計画一つといたしまして、現在都市内の建築物規制に対しまして、あるいはその用途を規制する用途地域、住居地域、工業地域、あるいは防火地域とか、こういうふうに都市の建物規制いたしまして、健全な市街地をつくるための制度の一つとしてこの際容積地区を設けましたので、これはやはり本質的には都市計画として規制していくのが適当である、こういうことによって、都市計画法の手続きによりまして容積地区を決定いたしたのであります。  一方、都市計画法は、御存じのとおりかなり古い法律でございますが、現在もそれで動いております。しかし、やはり先生御指摘のように、最近の実情に沿うように改正する点も多うございますので、目下都市局におきまして、できる限り近い機会に改正をすべく準備を進めておりますので、その際には新しく都市計画法と一体となりまして、建築基準法の運用もその線に従って運用すべきものと存じております。
  30. 兒玉末男

    兒玉委員 やはり容積地区の指定に関連してでございまするが、今回のこの基準法改正高層化されることによって、やはり昼間の人口が過度に集中する可能性というものが十分に考えられるわけでございまして、現在ですらこの東京都においてはいろいろな問題点があるわけでございますが、特にこの容積地区の指定については、たとえば地下鉄の問題とか、都市公園だとか、緑地帯の設置だとか、そういう一つの総合的な関連ということを十分に考えていかなければ、さらにこういう大都市における過度の人口集中ということからもたらす交通難あるいは衛生対策、環境対策、多くの問題がさらにより一そう困難な状況を招来するのじゃなかろうかということを私は考えるわけでございまするが、この容積地区の指定にあたって、局長としてはどういうような考え方をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  31. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 容積地区は、その一定の都市の地区の中においてどの程度の建築物があるのが最も適当であるかということの観点から考えられた制度でございまして一面、高さの制限の撤廃されますことによって、高い建築物はできますけれども、その反面、その地域内に居住する、あるいは執務する人口の数は、やはり一定の都市の理想のもとに制限をされるというのが容積地区でございます。でございますから、どの都市のどの地区をどの程度にするかということにつきましては、いま御指摘のように、あるいは交通施設、あるいは必要な風致、縁地、駐車場あるいは下水道、上水道、こういうものを総合的に勘案いたしまして、最も快適な、健康で文化的な都市生活ができるような都市を想定いたしながら地区を指定していく、こういう考えでございますので、東京あるいは大阪につきましては、別途都市計画で考えておりますところのその都市の将来の持っていき方、どの程度の人口をそこに集めるか、どの程度の都市施設が整備されればいいかというバランスを考えながら指定していくべきだと考えております。
  32. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、やはり構造上の安全性の問題でありすけれども、大阪なり新潟等においても発生しております地盤沈下との関係でございますが、特に高層化によって地下水のくみ上げ等による地盤沈下ということはきわめて重大な問題だと考えるわけであります。そういう点から考えますならば、この地下水等のくみ上げについては強力な規制をしていかなければ取り返しのつかない重大な問題が発生する可能性があると考えるわけでございますが、こういう地盤沈下がもたらす構造上の安全を維持するための規制ということをどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  33. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 東京、大阪等では地盤が沈下いたしまして建築物の低下が出ておりますが、地下水のくみ上げを規制いたしますと相当な効果がございまして、昨年の地下水のくみ上げの規制に関する法律、それに先年の工業用水法によりまして、地下水のくみ上げを、一定の分量とくみ上げるべき場所を制限いたしますと非常に著しい効果があるので、東京につきましても、実は七月一日から新たに工業用水のくみ上げの規制の区域を拡大し、同時に、ビル建築につきましても、地下水のくみ上げを禁止することにいたしましたので、この措置によりまして、地下の地盤の沈下を相当食いとめることができると思いますが、同時に、地盤にかたくつくりますことによって、こういう高層建築物につきましては、一般的な地下の地盤の沈下には影響を受けないような構造にするように指導いたしております。
  34. 兒玉末男

    兒玉委員 この地下水のくみ上げ規制の問題も、私が聞いておるところによりますと、そういう禁止条項があるにかかわらず、それが実行されておらないというようなこともときたま聞くわけでございますが、現在そういうふうな規制区域において全然違反行為あるいはそういうふうな監督上の行政指導上のそれに従っておらない、こういう実例はないのかどうか、この点についてひとつお聞かせを願いたいと思います。
  35. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 ただいまの規制につきまして、既存の地下水くみ上げ施設につきましては、一年及び二年の猶予期間がございましたので、あるいは猶予期間内のものかもしれませんが、厳重に取り締まることもし、同時に、そういう必配のないように、東京なり大阪のほうに連絡いたしまして、効果のあがるように指導いたしたいと思います。
  36. 兒玉末男

    兒玉委員 これも私は専門的にはよくわからないのでありますが、超短波マイクロウェーブ中継ですね。マイクロウェーブは電波が曲がらないでまっすぐいくそうでありますが、こういうふうなマイクロウェーブがこれから相当発達してくると思うのですが、建物高層化による障害というものが相当発生することが予想されるわけでございます。このような点に対する対策というものがどういうふうに考慮されておるのか、お伺いしたいと思います。
  37. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 現在都市のマイクロウェーブの発信個所が相当ありまして、これらが各地に向けて発信しております。これがその前面に建築物ができますと障害を受けることがございますが、この法律ができますと、この法律規定によった高さに応じたようなマイクロウェーブの発信のアンテナを高くするとか、あるいはそういう措置によりまして障害を除去したいと思っております。また、場合によっては、建築物を建てる建て方等につきましても、事前に連絡いたしまして、できる限り障害を受けないように指導いたしますが、さらに郵政省におきましては、このマイクロウェーブの発信施設なり受信施設の設置に関連いたしまして、この建築基準法改正に関連した所要法律改正を準備いたしておりますので、運用につきましては心配がないようにいたしたいと思います。
  38. 兒玉末男

    兒玉委員 消防庁の方が来たらあと一点だけお伺いしますが、その他の点で消防施設ということがきわめて重要なウエートを占めてくると思うのですが、高層化に伴うところの——現在までは建築物の最高制限の三十一メートルということを基準にして消防施設が全部できているわけでありますが、これの高層化によって私は消火施設については大改革が必要であろう、こういうふうに考えるわけでございます。このような消火施設に対する考え方というものは、局長としてはどういうような消防庁との連絡をとっておるのか、一応建設省側の見解をまず承りたいと存じます。
  39. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 御心配のとおりでございますので、われわれも、全面的に三十一メートル以上の建築物に対して相応するように、必要かつ十分な消火施設あるいは避難、防火上の措置をとっていただくように、消防庁と十分連絡して、目下その点につきましても検討いたしておるわけであります。
  40. 兒玉末男

    兒玉委員 それから、私たちがいままでいろいろと専門家の人の意見を聞いたのですが、建物の容積率というのが、その建物が面する道路との関係において容積が変わってくる。専門的な用語で、私もよく表現ができないのでありますが、このことはやはり今度の建築基準法改正によって道路計画というものが早急に確立しないと、この容積率というものが非常な変動をもたらすのではなかろうかと考えるわけでありますが、特に道路計画という面について、道路計画が先行し、これが決定をしなければ、このいわゆる高層建築物をつくることはできないのではないか、私はこういうふうに考えるわけでございますが、道路計画とこの高層建築の容積率の関係について御説明願いたいと思います。
  41. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 お話のように道路、特に都市の街路が整備されておりませんと、建築物をつくります場合に十分な建築ができかねる場合がございますので、幹線街路及び細街路等につきましては、至急整備する必要がございます。この点につきましては、東京あるいは大阪等の公共団体に対しまして、早急に街路網の整備やするようにお願い申し上げております。なお、現在道路になっていない場合におきましても、都市計画として決定をしておる道路につきましては、それに面して建築物をつくらせるように、建築に障害が起きないようにしていきたいと考えております。
  42. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣に一言だけお伺いします。今度の建築基準法改正ということは、私ども社会党としても、この趣旨賛成するものでありますけれども、いま局長に若干の問題点について御質問申し上げたわけであります。特に基本的な問題としての地震に対する耐震性、それから高層化に伴う安全性、並びに現在大都市において地盤が非常に弱体のために生ずるいわゆる地盤沈下なり、地下水の無制限なくみ上げ、こういう建築基準法改正に伴う高層化に対して多くの問題点が残されておるわけであります。建築学会等においても、あらゆる角度から専門的な研究が進められておる模様でございますけれども、いままで参議院における参考人等の学者の見解においても、いま申し上げましたような基本的な点について、まだ完成の域まで達しないところの、多くの検討を加えなければいけない問題点があるという指摘を率直にしておるわけであります。特にこれからの問題と、そういうふうな基本的な問題点の解明並びに地下水のくみ上げだとか、あるいはこういうふうな建物をつくることはけっこうでございますけれども、安全性というものについてはどの程度の配慮をするか。また、まだ消防庁が見えておりませんけれども、消防庁等のいわゆる耐火性と避難対策、こういうふうな規制を加える面については、相当行政指導上の方面においても強力な機関をつくっていかなければ、この基準法の精神がほんとうに生かされる結果にならないということをわれわれは憂慮するわけでございます。でありますので、このような基本的な問題の解明ということと、安全性を確保する、こういう立場から私は何らかの機関を設ける必要があるのではなかろうかということを局長にも申し上げたわけでございますが、大臣立場からひとつ責任ある御答弁を求めたいと思うわけであります。
  43. 河野一郎

    ○河野国務大臣 この問題は、御承知のとおり非常に長期にわたって学会でも検討された問題でございます。いろいろ甲論乙駁あると思いますが、一般の定則として、もう少し高いものを許してもよろしいのではなかろうかということは最近の定則と私は考えます。ただし限度があります。御承知のように地盤の関係もございましょうし、その他地震関係もございましょう。したがって、限度はある。これらについては、慎重な考慮を払う必要があると思います。したがいまして、今回の改正案におきましても、敷地と見合って建坪率等についても十分考慮してこれを認可することにしておるわけであります。したがって、ニューヨークその他に見られるような、いたずらに高層建築が許可されるような基準になっていない、また、していないと私は思っておるのでございます。しかし、御指摘のような点につきましては、十分検討いたしまして、そういう災害を未然に防ぐように考慮いたしたい、こう考えます。
  44. 兒玉末男

    兒玉委員 消防庁のほうから見えられないので、本会議関係もございますから特に強く大臣要望申し上げたいことは、建設省側の考えておることと、それから先ほど私が申し上げましたいわゆる人口の過度の集中という立場から、安全性の面においての特に耐火構造、それから災害の場合における避難設備、こういうような面、さらに消防関係の施設というものが、この基準法改正によって最高制限三十一メートルが大きく緩和される結果になりますから、特に消防関係においては重要な問題があるわけであります。でございますので、消防庁関係の機能というものを、これの実施にあたって政令その他によって明確な取りきめをしていただきたい。このことを私は特に大臣要望申し上げたい。  やっと総務課長が来られましたので、二点だけ御質問いたします。  特に、今回の建築基準法改正によりまして、建物高層化ということから、現行の消防法等によって規定されておる消防施設が大幅な改革をしなければいけない結果になろうと思うのです。同時にまた、特に地震の多い国でございますから、地震などにつきまとう火災に対しての耐火性あるいは避難また消防、こういうような消防関係の受け持つ分野が相当高度な技術を必要としてこようかと私は考えますので、この基準法改正にあたって、消防庁としてはどういうふうなことを特に建設省側に要望してきたのか。さらにこの基準法改正に伴って生ずるところの消防庁に関連する問題についてどういうふうな考え方を持っておるのか。この二点について御答弁を願いたいと思います。
  45. 山本弘

    ○山本説明員 御答弁申し上げます。  基準撤廃後におきまする高層建築物の消防の問題でございますが、現在わが国にあります消防車は大体百尺、三十メートル余りのはしご自動車が最高でございます。したがいまして、非常に高い建物になってまいりますと、はしご自動車による注水も不可能になってまいります。外からの注水ということはちょっと考えられません。したがって、そういった高層建築物の火災その他の場合における消防活動でございますが、これは当初から消防用設備を建築の際において考慮していかねばならない、かように存じておるのでございます。したがいまして、そういった高層建築物の消火用設備を中心とする消防設備につきましては、消防法施行令という消防法の政令がございます。それに防火対象物に備えつけらるべき消防用設備の基準を示しておりますが、これの検討を建設省とよく協議いたしまして政令を改正していきたい、かように存じております。また、建設省の分野で避難の階段その他の設備を基準法に基づく政令において設けられると思いますが、その場合におきましても、消火的見地からの消防庁の意見を十分尊重していただくように、この基準法改正の場合に話し合っております。したがいまして、その政令段階におきましては、双方におきまして十分に協議をいたしまして、遺憾なきように政令において基準を盛り込んでいきたい、かように存じておる次第でございます。
  46. 兒玉末男

    兒玉委員 最後に要望を申し上げておきますが、消防庁の総務課長のいまの答弁はきわめて抽象的でありますが、特に具体的にどういうことを建設省に建議しておるのか、それらについての問題となる点を資料として提出を私は要望しまして私の質問を終わります。
  47. 福永一臣

    福永委員長 他に質疑通告がありませんので、これにて本案に対する質疑を終局するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  49. 福永一臣

    福永委員長 これより本案討論に付するのが順序でありますが、特に討論通告もございませんので、直ちに採決を行なまいす。  建築基準法の一部を改正する法律案賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立
  50. 福永一臣

    福永委員長 走立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  次会は朝七日五日金曜日、午前十時より理事会、同十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十二分散会