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1963-06-07 第43回国会 衆議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月七日(金曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君   理事長 加藤 高藏君 理事 木村 守江君    理事 瀬戸山三男君 理事 二階堂 進君    理事 石川 次夫君 理事 岡本 隆一君    理事 中島  巖君       井原 岸高君    大倉 三郎君       大沢 雄一君    金丸  信君       砂原  格君    丹羽喬四郎君       前田 義雄君    兒玉 末男君       佐野 憲治君    東海林 稔君       日野 吉夫君    山崎 始男君       山中日露史君    田中幾三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         建設政務次官  松澤 雄藏君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      小林 誠一君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 六月六日  委員丹羽喬四郎辞任につき、その補欠として  早川崇君が議長指名委員に選任された。 同日  委員早川崇君、辞任につき、その補欠として丹  羽喬四郎君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員實川清之君及び田中幾三郎辞任につき、  その補欠として東海林稔君及び片山哲君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員東海林稔君及び片山哲辞任につき、その  補欠として實川清之君及び田中幾三郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 六月五日  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三九号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  河川法案内閣提出第一七〇号)  新住宅市街地開発法案内閣提出第一五三号)      ————◇—————
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  河川法案を議題として審査を進めます。  この際、河川局長より補足説明を聴取することといたします。山内河川局長
  3. 山内一郎

    山内一郎政府委員 さきに提案理由説明がありました河川法案につきまして逐条的に御説明申し上げます。  第一章 総則  第一条は、この法案目的に関する規定でありまして、洪水その他の原因による災害発生防止し、河川を適正に利用し、かつ、流水の正常な機能維持されるよう、河川を総合的に管理することによって、国土保全開発に寄与し、もって公安の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することにあることを明らかにしました。  第二条は、河川管理は、その公共的性格に即して行なわれるべきことを規定したものであります。すなわち、河川は、公共用物であって、河川保全、利用その他の管理は、第一条の目的が達成されるように適正に行なわなければならないことを明らかにしました。  なお、現行河川法におきましては、河川の以上のような性格から河川についてはすべての私権が排除されることとなっておりますが、この法案におきましては、あとでも述べますように河川区域内の土地の一部には私権が存在することを認めております。しかし、これらの私権については、河川の適正な管理に必要な範囲においては、制限を受けることになるのであります。  第三条は、この法律における河川及び河川管理施設定義に関する規定であります。すなわち、河川とは第四条の政令指定された一級河川と、第五条の都道府県知事指定した二級河川をいい、河川管理施設を含むものといたしております。  第四条は、一級河川指定に関する規定であります。  一級河川とは、国土保全上または国民経済上特に重要な政令指定される水系にかかる公共水流及び水面である河川のうち政令指定したものをいうこととしております。この指定にあたりましては、水系ごとに、河川の名称、その管理する区間を明らかにすることにいたしております。  なお、一級河川政令案を作成するにあたっては、建設大臣は、あらかじめ河川審議会及び関係都道府県知事意見を聞くことにいたしております。  第五条は、二級河川指定に関する規定であります。  二級河川とは、一級河川以外の水系公共利害に重要な関係がある水系にかかる河川都道府県知事指定したものをいうこととしております。以上のほか、二級河川指定をしようとする場合において、当該河川が他の都道府県境界にかかるものであるときの関係都府県知事への協議及び一級河川と同様に公示の手続その他必要な事項規定しております。  第六条は、河川区域について定めた規定でありまして、河川流水が継続して存する土地、このような土地に類似しているような土地は、法律河川区域とし、堤防堤防との間の土地について右の区域と一体として管理する必要があるものとして河川管理者指定した土地及び堤防等敷地河川区域とすることといたしました。  第七条は、河川管理者について定めた規定で、河川管理者とは、一級河川または二級河川管理する建設大臣または都道府県知事をいうこととしております。  第八条は、河川工事について定義を定めたものであります。  第二章 河川管理。  第一節 通則。  本節は、一級河川及び二級河川管理者その他河川管理について通則的事項規定したものであります。  第九条は、一級河川管理者を定めた規定であり、建設大臣河川管理を行なうことといたしております。しかし、建設大臣が特に指定する区間につきましてその区間の存する都道府県を統轄する都道府県知事にその管理を行なわせることが適切なものにつきましては、当該都道府県知事にその管理の一部を行なわせることとしております。都道府県知事に行なわせる管理の一部の内容につきましては、政令で明確に規定することとしております。  なお、建設大臣が、指定区間指定するにあたりましては、あらかじめ、関係都道府県知事意見を聞くことといたしております。  第十条は、二級河川管理は、都道府県知事が行なうことといたしました。  第十一条は、境界にかかる二級河川管理特例を定めた規定でありまして、二級河川の二以上の都府県境界にかかる部分については、協議して別に管理方法を定めることができることといたしました。  第十二条は、河川管理の適正を期するため河川現況台帳及び水利台帳整備及び保管に関する規定であります。  第十三条は、河川管理施設及び許可を受けて設置される工作物構造は安全なものとしなければならないこと、また、この安全性を確保するため特に重要なダム堤防等構造についての技術基準政令規定することといたしております。  第十四条は、河川管理者は、特にその操作が、関係の地域に重要な影響を及ぼすダム、せき、水門等河川管理施設については、関係都道府県知事または関係市町村長意見を聞いて操作規則を定めなければならないものといたしました。  第十五条、二級河川について、河川管理者河川工事施行し、河川管理施設操作規則を定めまたは河川使用に関する処分等によって他の河川管理者管理する河川に著しい影響を及ぼすおそれがあると認められるときは、河川管理者は、あらかじめ、当該他河川管理者協議しなければならない旨の規定であります。  第二節 河川工事等。  本節は、河川工事等について、工事実施基本事項及び従来に準じて兼用工作物原因者工事付帯工事洪水時における緊急措置等について必要な規定整備いたしたものであります。  第十六条は、工事実施基本事項に関する規定でありまして、河川工事水系を一貫した合理的な計画に従って行なわれることを確保するため、河川管理者は、計画高水流量その他河川工事実施基本となるべき事項をあらかじめ政令で定める準則に従って定めておかなければならないことといたしました。  第十七条は、河川管理施設と他の工作物相互に効用を兼ねる、いわゆる兼用工作物について、その工事維持または操作について河川管理者及び他の工作物管理協議によって行なうことができることとした規定であります。  第十八条及び第十九条は、それぞれ、河川工事に関連する原因者工事及び付帯工事に関する規定でありまして、これらは現行法の例に準じております。  第二十条は、河川工事または維持は本来河川管理者が行なうのがたてまえでありますが、河川管理者以外の者でも河川管理者承認を得て、河川工事または維持を行なうことができる旨を規定したものであります。  第二十一条は、河川工事施行により河川に面する土地について生じた損失についての補償に関し、必要な事項を定めた規定であります。  第二十二条は、洪水時等における応急公用負担に関する規定でありまして、緊急時における水災の防止または軽減について河川管理上の責務の遂行に必要な権限について定めたものであります。  なお、権限の行使によって、物的損失を受けたり、業務に従事して負傷等をしたりした者があった場合については、第三項以下に損失補償等に関する必要な事項を定め、補償関係規定整備をはかっております。  第三節 河川使用及び河川に関する規制。  第一款 通則。  本款は、河川使用及び規制について原則的な事項規定したもので、第二十三条より第二十九条までは、従来においてもほぼ同様の規制を行なっております。  第二十三条は、河川流水占用する場合には、河川管理者許可を要するものとした規定であります。  第二十四条は、河川区域内の土地占用に関する規定で、従来は河川敷地私権の対象とならないため、その占用についてはすべて河川管理者許可を必要としたのでありますが、この法案では、河川区域内の私有地等を除き、河川管理者管理する土地について許可を要することとしております。第二十五条は、前条と同様に、河川管理者管理する土地において、土石及び政令指定する産出物の採取について河川管理者許可を要するものとした規定であります。  第二十六条は、現行河川法と同様、河川区域内の土地において工作物設置する場合には河川管理者許可を必要とする旨の規定でありますが、最近、河川河口付近の海面に水門その他の工作物が建設されるようになり、これが河口部における河川管理に大きな影響を与えることにかんがみ、このような工作物設置についても本条の許可を要する旨を明示したのであります。  第二十七条は、河川区域内の土地における土地の掘さく等規制する規定でありまして、これらの行為河川管理に重大な影響を及ぼすため、政令で定める軽易な行為を除き、河川管理者許可を要することとしたのであります。  第二項は、土地の掘さく等河川管理上著しい影響を与えております実情にかんがみ、河川区域内の一定土地区域については、河川管理者は掘さく等許可をしてはならない旨の規定であります。  第二十八条は、竹木の流送、舟またはいかだの通航につきましては政令または都道府県規則で、実情に即して規制を行なうことといたしました。  第二十九条は、第二十三条から前条までに規制いたしました行為以外の行為につきましても、河川状況等に応じて河川管理規制する必要がある場合には、このような行為について、政令または都道府県規則規制できることとした規定であります。  第三十条は、不完全な工作物使用して河川管理支障を及ぼすことを防止するため、許可を受けて設置されたダム等工作物については、原則として、完成検査に合格しなければ使用できない旨の規定であります。  第三十一条は、不要となった工作物がそのまま放置されて河川管理支障を及ぼすようになることを防止するため、河川管理者がそのような工作物の除却、河川原状回復等を命ずることができることとした規定であります。  第三十二条は、流水占用料土地占用料等につきまして、従来と同様、二級河川はもちろん、一級河川についても、都道府県知事がこれを徴収し、当該都道府県の収入とするとともに、その流水占用料等の額の基準等に関して規定したものであります。  第三十三条は、第二十三条から第二十七条までの許可を受けた者の一般承継人等許可に基づく地位の承継に関する規定であり、第三十四条は、権利譲渡等に関する規定であります。  第三十五条は、農政、電力行政等他行政調整をはかって、より適正な河川管理を行なうため、建設大臣は、一定水利使用に関する処分を行なう場合には従来どおり関係行政機関の長と協議しなければならないものとしたほか、土地の掘さく等許可を行なう場合にそれによって著しい影響を受ける事業のあるときも、同様に協議しなければならない旨を定めたものであります。  第三十六条は、河川管理者は、水利使用に関する許可等を行なう場合には、地元利害との調整をはかり、適切な河川管理を行なうため、関係地方公共団体の長の意見を聞かなければならないこととした規定であります。  第三十七条は、河川管理者は、委託を受けて、許可を受けて設置される工作物に関する工事を行なうことができることとした規定であります。  第二款 水利調整。  木款は、最近における水利用緊要性にかんがみ、河川管理者水利使用許可に関し、既得権者と新規の水利権申請者との調整を行なわんとするものであります。  第三十八条は、河川管理者は、水利使用許可申請があったときは申請が却下すべき場合を除き、申請の概要を関係河川使用者に通知しなければならない旨を定めたものであり、第三十九条とあわせて関係河川使用者当該水利使用について意見申し出の機会を与えるための規定であります。  第四十条は、河川管理者は、新たな水利使用許可により関係河川使用者損失を受ける場合には、その同意があるときを除くほか、新規水利にかかる事業既得水利にかかる事業に比し、公益上の必要が著しく大である場合または損失防止施設設置すれば関係河川使用者事業遂行支障がないと認められる場合でなければ、その許可をしてはならないものとした規定であります。なお、この場合において、建設大臣公益上の理由により新たな水利使用許可をしようとするときは、河川審議会意見を聞かなければならないものといたしました。  第四十一条は、水利使用許可により損失を受ける者があるときは、許可を受けた者がその損失補償すべきものとした規定であります。  第四十二条は、水利使用許可に伴う損失補償について、許可を受けた者と関係河川使用者との協議が成立しないときは、当事者申請に基づき河川管理者裁定することができる旨の規定であります。この場合における裁定については、その公正を期するため、あらかじめ、収用委員会意見を聞かなければならないものとし、また、その裁定に不服がある者は当事者の他の一方を相手方として訴訟を起こすことができるものといたしました。  第四十三条は、水利使用許可を受けた者は、原則として、協議または裁定により関係河川使用者損失補償した後でなければ、流水を貯留し、または取水してはならないものとした規定であり、これにより補償の支払いが、事前に、かつ、確実に行われることを確保しようとするものであります。  第三款 ダムに関する特則。  本款は、水利使用に関する許可を受けて設置するダム一定規模以上のダム設置することによって従前河川機能影響を及ぼすものについて、河川管理上必要な限度において、必要な施設等負担義務を課したものであります。  第四十四条はダム設置により河川の状態が変化し、従前河川が有していた機能が減殺される場合にはダム設置者は、河川管理者の指示に従い当該河川従前機能維持するために必要な施設を設けまたはこれにかわるべき措置をとるべき義務規定したものであります。  第四十五条は、ダム設置する者は、政令で定める基準に従い、観測施設を設けて、水位、流量及び雨雪量を観測しなければならないこととしたものでありまして、これによりダム設置後の河川の実態を常に把握しておき、ダム操作の適正を確保する趣旨であります。  第四十六条は、ダム設置者に対し、洪水発生し、または発生するおそれがある場合において、観測の結果及びダム操作の状況について、必要な通報施設を設けて、河川管理者及び関係都道府県知事に通報しなければならない旨を義務づけたものであります。  第四十七条第一項は、ダム設置する者は、あらかじめ、そのダム操作方法について操作規程を定めまたは変更しようとする場合、従前河川管理者に届け出ることとしていたものを河川管理者承認を受けさせることとしたものであります。  また、第二項以下は、河川管理上特に影響があるダム操作規程につきましては、河川管理者承認する際に、関係都道府県知事意見を聞くこととするとともに、操作規程に従ってダム操作する義務及び河川管理支障のある特別の場合の操作規程変更命令について規定したものであります。  第四十八条は、予備放流その他ダム操作によって、下流の水位等が著しく変動を生ずると認められる場合においては、危害の発生防止する見地から、ダム設置者は、関係都道府県知事等関係機関への通知及び一般住民への周知徹底をはかるための警報等措置について規定したものであります。  第四十九条は、ダム設置者洪水時におけるダム操作に関する記録の作成、保管及び河川管理者への提出等義務づけた規定であります。  第五十条は、ダム設置者に、ダム維持操作その他の管理を適正に行なうため、洪水時における適切なゲート操作等を行ない得るに足る知識と経験を有する管理主任技術者を置かさせることとした規定であります。  第五十一条は、兼用工作物で、河川管理者管理することとなったダムにつきましては、第三款の規定をそのまま適用する必要はない場合もありますので、政令で特別の定めをすることができることとしたものであります。  第四款 緊急時の措置。  本款は、洪水時または渇水時における緊急措置に関する規定であります。  第五十二条は、河川管理者は、ダム設置する者に対して、洪水による災害発生防止または軽減のため緊急の必要がある場合には、災害発生防止または軽減のため予備放流等の必要な措置をとるよう勧告することができる旨の規定であります。  第五十三条は、異常な渇水時におきまして、許可を受けた内容どおり水利使用が困難となるような事態が発生いたしました場合の水利使用相互間の調整をはかる規定であります。第一項は、このような場合におきましては、水利使用許可を受けた者は、相互に必要な協議を行なうようつとめ、第二項は、第一項の協議を行なうにあたりまして、当時者は、みずからの権利のみを主張することなく、相互に他の水利使用を尊重すべき旨の規定であります。  第三項は、当事者間の協議が不調の場合におきまして、当事者申請があったとき、または緊急に水利使用調整を行なわなければ公共利益に重大な支障を及ぼすおそれがあると認められるときには、河川管理者は、必要なあっせんまたは調停を行ない得ることといたしました。  第四節河川保全区域。  本節は、河川保全区域に関する規定であります。河川保全区域は従来の河川付近地に相当し、河岸及び河川管理施設保全をその目的としております。  第五十四条は、河川管理者は、河岸または河川管理施設保全のため必要な一定区域河川保全区域として指定することができるものとし、その指定国民権利に不当な制限を課することがないよう必要最小限、かつ、一定範囲内のものに限る旨規定しております。  第五十五条は、河川保全区域内においては、河岸または河川管理施設保全支障を及ぼすおそれのある土地の掘さくその他土地形状変更及び工作物の新改築は、政令で定めるものを除き、河川管理者許可を要するものとした規定であります。  第五節 河川予定地。  本節は、河川予定地に関する規定であります。  第五十六条は、河川管理者河川工事施行するため必要があると認めるときは、将来河川区域となるべき土地河川予定地として指定できることとし、かつ、国民権利に不当な制限を課することがないよう、指定の時期を工事施行が確実となった日以後でなければならない旨規定しております。  第五十七条は、河川予定地内において、河川工事施行するため支障となるおそれのある土地の掘さくその他土地形状変更及び工作物の新改築は、政令で定めるものを除き、河川管理者許可を要するものとした規定であります。なお、これらの行為制限工事施行のためのものでありますので、制限による通常生ずべき損失補償することといたしております。  第五十八条は、河川予定地内の土地のうち、河川管理者買収等により権原を取得したものについては河川区域と同様に取り扱うこととする旨の規定であります。  第三章 河川に関する費用。  本章は河川に関する費用について規定しております。  第五十九条は、河川管理に要する費用負担原則を明らかにしたものでありまして、河川管理に要する費用につきましては、原則として、一級河川については国が、二級河川については都道府県が負担することといたしました。  第六十条は、一級河川管理に要する費用についての都道府県の分担に関する規定であります。まず、第一項は指定区間内で都道府県知事に委任された事項にかかるものを除き、一級河川管理に要する費用のうち改良工事に要する費用については、その三分の一を、改良工事以外の管理に要する費用については、その二分の一をそれぞれ地元都道府県が負担することといたしております。  第二項は、一級河川指定区間内の管理都道府県知事に委任した場合の規定でありまして、この場合の河川管理費用は、当該都道府県が負担するのをたてまえといたしまして、改良工事費については、国がその三分の二を負担することにいたしております。従来知事施行河川改良工事に対する国の負担割合は、ごく一部の例外を除いて最高二分の一であったのでありますが、それを一級河川におけるものについては前項の建設大臣施行の場合と同率に引き上げたわけであります。  第六十一条は、指定区間内の一級河川修繕に要する費用の補助に関する規定であります。すなわち、一級河川指定区間内で都道府県知事が行なう修繕に要する費用については、国がその三分の一以内を補助することができる旨を新たに規定したものであります。  第六十二条は、二級河川改良工事費については、国が二分の一をこえない範囲内でその一部を負担することを規定したものであります。なお、一級河川及び二級河川改良工事費用負担につきましては、昭和四十四年度までは、以上述べましたところの特例経過措置として、附則の第四条及び第五条にその規定を設けておりますので、このことにつきましては後ほど御説明申し上げます。  第六十三条は、河川工事その他の河川管理によって地元都府県以外の都府県が著しく利益を受ける場合には、従来と同様に、その地元都府県が負担する費用の一部を利益を受ける他の都府県に受益の限度において負担させることができる旨規定したものであります。  第六十四条は、建設大臣が行なう河川管理に要する費用に対する都道府県負担金または都道府県知事が行なう河川管理に要する費用に対する国等負担金の納付または支出に関する規定であります。  第六十五条は、二級河川の二以上の都府県境界部分について、第十一条の規定により関係都府県知事協議して別に管理方法を定めたときは、その費用についても、同様に、関係都府県知事協議してその分担すべき金額等を定めることができる旨規定したものであります。  第六十六条から第七十一条までは、他の工作物の効用を兼ねる河川管理施設、いわゆる兼用工作物費用原因負担金付帯工事に要する費用河川管理者以外の者が行なう工事等に要する費用、受益者負担金等に関する規定でありまして、従来に準じた同趣旨のものであります。  第七十二条は、原因負担金、受益者負担金等の帰属に関する規定でありまして、これらは、建設大臣が負担させるときは国、都道府県知事が負担させるときはその都道府県の収入とすることにいたしました。  第七十三条はこの法律、この法律に基づく政令または都道府県規則等による義務の履行に要する費用は、その義務者の負担とする旨の規定であります。  第七十四条はこの法律、この法律に基づく政令または都道府県規則等による各種負担金または流水占用料等につき納付の義務を怠る者がある場合における強制徴収に関する規定であります。  第四章 監督。  第七十五条は、河川管理の適正を期するための河川管理者の監督処分に関する規定でありまして、第一項は、河川管理者は、法令等に違反しまたは不正な手段によって許可または承認を受けた者に対し、許可の取り消し、その効力の停止、行為の中止等の処分をなし得ることを規定し、第二項は、本法による適法の許可を受けた者に対し一定の理由がある場合には同様の処分をなし得ることを規定したもであります。  第七十六条は、前条第二項の監督処分に伴う損失補償についての規定でありまして、第一項は、河川工事のためやむを得ない必要またはその他の公益上やむを得ない必要により監督処分をした場合における損失補償規定等を定めたものであります。  第七十七条は、河川管理者は、その職員のうちから河川監理員を命じ、この法律等による処分の違反者に対して、その違反を是正するために必要な措置をとるべき旨を指示する権限を行なわせるための規定であります。  第七十八条は、建設大臣または河川管理者は、許可等を受けた者から河川管理上必要な報告を求め、または事務所等に立ち入って必要な検査を行ない得る旨の規定であります。  第七十九条は、河川管理する都道府県知事に対する建設大臣の監督に関する規定でありまして、第一項は一級河川指定区間について、第二項は二級河川について、それぞれ河川管理上重要な一定事項については、建設大臣の認可を要することといたしております。  第五章 河川審議会及び都道府県河川審議会。  第八十条は、河川審議会設置に関する規定でありまして、河川審議会を建設省に設置することとし、河川審議会建設大臣の諮問に応じ、一級河川指定水利調整を要する場合の水利使用許可その他河川に関する重要事項について調査審議するとともに、これらの事項について関係行政機関に意見を述べることができるものといたしました。  第八十一条及び第八十二条は、河川審議会委員及び会長に関する規定であります。  河川審議会委員は三十人以内で、学識経験者、関係行政機関の職員及び地方公共団体の長のうちから建設大臣が任命し、会長は、委員の互選によって定めるものといたしました。  第八十三条は、特定の河川に関する事項を調査審議するため必要があるときは、河川審議会に特別委員を置くことができる旨の規定であり、特別委員は、当該事項に関する学識経験者及び当該河川関係のある地方公共団体の長のうちから建設大臣が任命することといたしました。  第八十条は、河川審議会の部会に関する規定であり、水利調整部会その他必要な部会を置くことができることとしました。なお第四項で審議会はその定めるところにより部会の決議をもって審議会の決議とすることができる旨を規定しました。  第八十五条は、以上のほか、河川審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定めることといたしました。  第八十六条は、都道府県も、条例で定めるところにより、都道府県河川審議会を置くことができることとしております。  第六章雑則。  第八十七条は一級河川、二級河川等の指定及び許可事項に関する政令の改廃の際、現に権原に基づき、この法律規定により許可を要する行為を行ないまたはその設置について許可を要する工作物設置している者につきましては、その既存の権利を尊重いたしまして、この法律により許可を受けたものとみなして取り扱うこととした規定であります。  第八十八条は、水利台帳整備等のため前条規定により許可を受けたものとみなされる者で政令で定めるものに対し必要な事項の届け出義務を課したものであります。  第八十九条は、建設大臣または都道府県知事一級河川、二級河川指定等のための調査及び河川工事その他の河川管理を行なう必要がある場合における土地への立ち入り、土地の一時使用に際しての権限、手続及び補償について定めたものであります。  第九十条は、この法律規定に基づく許可または承認には、必要な条件を付することができることとし、かつ、その条件は河川管理必要最小限度のものに限ることといたしました。  第九十一条から第九十四条までは、廃川敷地等に関する規定であります。  第九十一条は、河川区域変更または廃止があった合場の従前河川区域内の国有地及び堰防等の河川管理施設は、政令で定める一定の期間、従来その河川管理していた者に管理させることといたしました。  第九十二条は、必要に応じて、廃川敷地等と新たに河川区域となる土地を交換できることといたしました。  第九十三条は、建設大臣は、二級河川の廃川敷地等で交換されなかったものは、大蔵大臣と協議の上、国有財産として存置する必要があるとされたものを除いて、管理期間満了後に、廃川敷地等の存する都道府県に譲与できることといたしたものであります。  第九十四条は、廃川敷地等の管理費用の負担と収入の帰属を定めたもので、指定区間を除く一級河川にかかるものは国、指定区間内の一級河川及び二級河川にかかるものは都道府県といたしたものであります。  第九十五条は、国が行なう事業に関するこの法律許可または承認に関する規定の適用については、その地位の特殊性にかんがみ、国と河川管理者協議の成立をもって許可または承認があったものとする趣旨であります。  第九十六条は、道の特例に関する規定でありまして、現行法の第六十七条とほぼ同じ趣旨のものであります。特例についての具体的措置は、政令で、費用の負担、河川管理者権限等について特別の定めをすることといたしております。  第九十七条は、不服申し立て等に関する規定であります。  第一項は、洪水時における緊急措置としての河川管理者土地使用や現場にある者の使役等は、その緊急時の処分としての性質上不服申し立ての制度に即しないものでありますので、その旨を明らかにしたものであります。  第二項は、兼用工作物につきまして不服申し立ての審査庁及び異議申し立てのできる場合を規定したものであります。  第三項は、土地占用許可等この法律規定に基づく処分に関する不服のうち鉱業または採石業との調整に関するものについては、土地調整委員会裁定申請することができることとしたものであります。  第九十八条は、この法律による建設大臣権限の一部は、地方支分部局の長に委任することができる旨を定め、行政の便宜をはかったものであります。  第九十九条は、河川管理者は、水門等河川管理施設維持操作等を地元公共団体に委託できることとして河川管理上の便宜をはかったものであります。  第百条は、一級河川及び二級河川水系以外の水系にかかる河川についても河川使用等についての規制河川管理を行なう必要がある場合がありますので、市町村長が指定した河川について、政令で定める規定を除いて二級河川に関する規定を準用し、市町村長が管理を行なうことができることとした規定であります。  第百一条は、特にこの法律で定めたもののほか、この法律の実施に必要な事項は、政令で定めることができることとしました。  第七章 罰則。  第百二条から第百八条までは、本法の規定に違反した場合における罰則の規定でありまして、第百九は、第二十八条または第二十九条第一項もしくは第二項の規定に基づく政令または都道府県規則についての罰則に関する規定であります。  附則  次に附則でありますが、この法律施行及び現行河川法の廃止に伴い必要な措置につきましては、別途河川施行法を制定いたしまして、これによることといたしたいと考えておりますが、この附則におきましては本則と関連して重要なものを規定いたしております。  第一条は、この法律施行期日につきましては法律で定めることとし、  第二条は、現行河川法を廃止する規定であります。  第三条は、現行河川法が廃止された際に、現行河川法による適用河川、準用河川は、新法の規定により、一級河川指定されたものを除いて、すべて二級河川となるものといたしまして、河川管理支障のないような措置を講じたものであります。  第四条は、一級河川改良工事費用負担について、昭和四十四年度までの特例規定したものでありまして、その費用についての国の負担割合を本則による場合の三分の二から四分の三に引き上げることにいたしております。昭和四十四年度と申しますと、治山治水緊急措置法に基づく現行治水事業十カ年計画の最終年度にあたるわけでございまして、この計画完遂に対する国の積極的な意図を明らかにした次第であります。  第五条は、この法律施行の際建設大臣工事施行中の河川が二級河川になった場合のその直轄工事に関する経過規定であります。二級河川河川工事施行するのは都道府県知事でありますので、この法律施行の際建設大臣が旧法に基づいて工事施行中の河川が二級河川になった場合、新法施行と同時に全面的にその体制に切りかえることは種々の面において不都合を生ずるおそれがありますので、現に直轄施行中の河川に関する工事につきましては、昭和四十四年度までは従来どおり建設大臣がみずから施行することができるものとし、また、その直轄工事費用負担につきましても、本則によれば国の負担割合は二分の一でありますが、従前の例によって三分の二といたしております。  第六条第一項は、この法律施行前に現行前に現行河川法に基づいて行なった処分や手続その他の行為は特別の場合を除き、そのまま尊重して、従前どおりその効力を認める規定であります。  第二項は、本則第八十八条と同様な趣旨で、河川管理上必要な事項について届け出義務を課したものであります。  第七条は、この法律施行前に、現行河川法またはこれに基づく命令の規定に違友した行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によることといたしました。  第八条は、先ほど御説明いたしましたように、この附則で定めるものを除きこの法律施行に関し必要事項は、別途、河川法によって定めることとしたものであります。  以上が河川法の逐条説明でありますが、何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  4. 福永一臣

    福永委員長 以上で補足説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 福永一臣

    福永委員長 新住宅市街地開発法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。東海林稔君。
  6. 東海林稔

    東海林委員 新住宅市街地開発法案は、最近のわが国の住宅不足、特に市街地周辺においては宅地の取得がなかなか困難であるというような実情にかんがみまして、住宅地の大規模な造成をはかって宅地難を緩和したい、こういうような趣旨を承知するわけでありまして、その目的とするところは理解できるわけでございますが、市街地周辺において住宅地を取得するということになりますと、おそらく一部を除いては大部分が農用地、特に畑地がその中心になるのではないか、このように考えられるわけであります。そういたしますと、本法案は、農民にとりまして重大な関係があるように考えられますので、主として私はそういう点を中心として御質問申し上げたい、このように考えるわけでございます。  あらかじめ御了解願っておきたいことは、すでに本法案につきましては、多数の委員からそれぞれ質疑があったわけでございまして、私はなるべく重複を避ける意味におきまして、すでに印刷された会議録につきましては一応目を通してまいったわけでございますが、まだ印刷の終わっていない分については、私一々質疑をお聞きしておりませんので、若干重複するような点があるかと思いますが、その点お許しいただきたいと思います。さらに、本法案は、土地区画整理法その他建設関係法律といろいろ関係が深いようでありますが、私は建設関係法律につきまして比較的知識が不十分でありますために、ときに見当違いの質問もあるかと思いますが、そういう点もお含みいただきまして親切な御答弁をお願いいたしたい、このように考えます。  そこで、法案の質疑に入る前にまず農林省にお伺いしたいと思うのでありますが、最近、宅地あるいは工業用地その他で非常に農地の壊廃が多く進められておるように思うわけでございますが、最近における農地壊廃の傾向を数字的に御説明をお願いしたいと思います。
  7. 小林誠一

    ○小林説明員 御説明申し上げます。農林省の農地局で県を通じて調査いたしました農地の壊廃につきましては、原則といたしまして農大林臣または都道府県知事許可を要することになっております。その許可をいたしました面積でございます。三十五年度の面積でございますが、これが一万六千七百九十三町歩となっております。そのほか公共施設等目的のために壊廃されます面積、これは許可を要しない面積でございますが、県からの報告によりますと、この面積が五千十四町、合わせまして三十五年度は二万一千八百七町が壊廃されたという報告でございます。三十六年度におきましては、許可をいたしました面積が二万一千七十六町、許可を要しない転用面積が四千五百二十三町、合わせまして二万五千五百九十九町ということで、約四千町歩ぐらい、三十五年と三十六年と比較しますと増になっております。
  8. 東海林稔

    東海林委員 このうちで住宅用地に壊廃されたものはどのくらいになっていますか。
  9. 小林誠一

    ○小林説明員 大体におきまして三十五年度は約四〇%でございます。三十六年度は三六%ということで、ウエートとしましては下がっております。
  10. 東海林稔

    東海林委員 そこで、今度このように年々二万から二万五千町歩というものが壊廃されておるわけですが、一面開墾とか或いは干拓、埋め立て等によって新たに農地の造成されておるほうはどういうことになっておりますか。
  11. 小林誠一

    ○小林説明員 農地の造成面積につきましては、国から補助を出して開墾いたしましたり、あるいは干拓を国で直接やりましたり、あるいは県でやる市町村でやるという面積の数字しかここではわからないのでございます。その面積は三十五年度が一万四千六百三町歩、三十六年度が一万一千四十五町歩ということになっております。
  12. 東海林稔

    東海林委員 いま三十五年、三十六年の両カ年における農地の壊廃関係と、新たに造成された関係の数字を拝聴したわけですが、つぶすほうはだんだんふえる傾向にある。造成するほうはだんだん減る傾向にある。すでに造成よりも壊廃のほうが多くなっておるという数字が出ておるわけです。昨年農業基本法の審議の際に、私は今後の農地の増減の見通しは一体どうかということを、当時の周東農林大臣に質問したところが、大体つぶれる程度のものは造成していくのだ、したがって、十カ年後においても、日本全体の農地の面積は現在とあまり変わりがないのだ、こういうような大臣の答弁があり、当時の農地局長のこまかい数字的な答弁では、水田の面積は若干減るが、畑地がふえるので、差し引き三、四万町歩増加するのだというような答弁があったわけでありますが、ただいまのような傾向でいきますと、当時の農林大臣や農地局長の答弁とは非常に違ってきて、今後日本の農地がだんだん減っていくんじゃないか、このように考えられるわけです。私ども農業基本法の審議の際に、政府の農業基本法の一番大きい柱になっておる構造改善によって自立農家を育成していく。もう一つは選択的拡大でありますが、自立農家を育成していくという点につきまして、政府が考えておるように、単に中小農の離農によって浮かぶ農地を自立農家に取得させることによって、経営の拡大をはかるのだという考え方では不十分であって、もっと積極的に農地自体の造成、拡張ということについて国として努力すべきじゃないか、こういう見解を私どもは主張したわけでありますが、そういう点について政府は非常に消極的であるわけであります。このように農地がだんだん減っていくということは、非常に重大問題であると思うのでありますが、そういう点について、もっともっと積極的に——私どもはこういうような傾向から見ても農地の造成、拡大に国が力を入れるべきじゃないかと考えるわけでありますが、そういうような点についてどういう見解を持っておりますが、お答えを願いたいと思います。
  13. 小林誠一

    ○小林説明員 先ほど御指摘がございましたように、農地の絶対量は減っておるわけでございます。農林省といたしましても、今後十分その点につきましては力を入れまして造成をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
  14. 東海林稔

    東海林委員 ただいまの問題は、事務当局だけでは答弁が困難だと思いますので、この程度にとどめておきたいと思います。  それで、法律案に入りたいと思うのでありますが、まずこの法律案の非常に重要な点であります十五条の先買い権、十七条の土地等の収用の問題があるわけです。この点につきましては、すでにこれまでも質疑があったようでありますが、この住宅用地の取得ということもきわめて重大なことでありますが、しかし所有権に対する非常な強い制限でありまするので、この点は十分検討する必要があると思うわけです。たとえば同じ土地収用の対象事業として現在認められております河川等について見ますれば、これは国土保全というような公共的な点が非常にはっきりしていると思いますし、また、道路用地等につきましても、それが取得後引き続き国民大衆の利用に供せられる、こういう点でわりかたはっきりしていると思うのでありますが、今回の法案による用地の取得は、取得後ある程度の整理をやった上で個人に売り渡される。特に宅地だけでなく、営利を目的とする商業者の施設等の用地としても売り渡される。こういう点から見まして、私はこれは所有権に対して土地収用等の強い制限をするに一体適当なことかどうかということについて、非常に疑問を持つわけでございますが、この基本的な事項につきまして、まず御説明をいただきたいと思います。
  15. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 宅地の取得のために他人の土地を強制的に収用するということは、ただいま先生の御指摘のように非常に問題かと存じます。これにつきましては、建設省におきましてもいろいろ検討しておりました。特に憲法との関係につきましても各界の権威の方々の御意見も拝聴いたしまして立案したわけでございます。そこで、この法案に書いてございますように、収用権につきましては、現在の土地事情、最近の住宅事情等から考えまして、こういうような収用権は認めることはできる、しかし、その場合に、ある程度の厳重な規制をして、その規制範囲内において公共性を保持した用に運営ができるならば、収用してよかろうというふうな結論に達したのでございます。そういう関係で、収用いたします場合につきましても、特に事前に十分な計画を策定する、都市計画等によりまして、その用地の取得なりあるいはでき上がる宅地の計画が、非常に公共的に計画されるということをまず画定いたしまして、しかもそうしてでき上がった土地の利用等につきましては、一般の公共事業よりは相当異なった規制をいたしております。たとえば、その処分の場合におきましては、厳重な制限を設けまして、一定の条件に合った方法によって、処分する、また、でき上がった宅地につきましては、宅地として所期の目的どおり利用されますよう、一定の期間内に建築の義務を課するとか、あるいは処分した土地は十年間は移動の制限をするとかいうことにいたしまして、その当初の目的どおりにこの宅地が公共的に活用されるようにという、強い事前及び事後における制限を設けることによって、最近の社会情勢から見た場合に、土地の収用制度は認め得る、こういうふうな結論に達ましたので、法案として提出したのであります。
  16. 東海林稔

    東海林委員 十分検討されたことは、もちろんそうであろうと思うのですが、特に、私はさっきもちょっと申しましたように、営利を目的とする業務の用に供せられるものについても——もちろん処分価格について若干の考慮が払われているようでありますが、そういうものまで含まれておる点に非常に問題があると思いますが、検討の段階でこういう点、特にどういうことでございましたか、その点もう少し御説明いただきたいと思います。
  17. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 この新住宅市街地の規模は相当大規模にすることによって、宅地としての価値が大きい、こういうことから、この法律にもありますように、相当大規模の、十万坪あるいは数十万坪という大規模の住宅団地を造成することをねらっております。そういたしますと、そこにおける住民の生活を考えますと、単に住宅宅地だけではなくて、そういう人たちの生活の利便のために、あるいは日用品の売店なりその他の施設ができます。こういうものは必ずしも公営的に運営されるべきものだけに限定されませんで、やはり一定の商店あるいは理髪店その他考えてみますと、それはやはり営利事業といわざるを得ない。しかしながら、そういうものにつきましては、原価で売るということは、その性質上適当でありませんので、日用品その他の売店、住民の福祉の利便に役立つような企業を導入するのは許さざるを得ない。しかし、その場合に、土地処分するときには、一般の宅地と違って時価で処分のできぬようにということからこういう規定を入れまして、必要最小限度の、住民の福祉に必要な限りにおいては、営利事業も導入するということにしておるのであります。
  18. 東海林稔

    東海林委員 どうもはっきりしないのですけれども、次に移ります。  そこで、冬条文について私がちょっと読んだだけではっきり理解できないような点を少しく条文の順序でお聞きしたいと思います。  まず、第二条の定義のところでございますが、そこの5のところで、『「公共施設」とは、道路、公園、下水道その他政令で定める公共の用に供する施設をいう』。こうなっておりますが、私、ここでお伺いいたしたいのは、土地改良のための用排水路あるいは農道等は、この政令の中に入るのかどうかということです。もし入らないとした場合に、そういうものの取り扱いはどこかほかの条文に何かはっきり出ているか、出ておらぬとすれば具体的にはどういうふうに取り扱われるのかということをお伺いしたいわけです。  それからもう一つ、6と7との関連でございますが、7に公益施設ということが出ておりまして、その中に教育施設、官公庁施設というものも入れてあるようであります。普通公共施設というものの中には、学校でありますとか官公庁というようなものは入るように思うのですが、特に公共施設の中に入れずに、公益施設の中にこれを入れたという理由はどういうのでありますか、その点をひとつ御説明いただきたいと思います。
  19. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 前段の御質問の農業用排水路等は公共施設とはいまのところ考えておりませんが、二十六条に規定を設けまして、事業計画を決定いたしまして、この団地の中にいろいろ出てくる公共施設がございますが、そういう場合には、公共施設管理者と相談をいたしまして、その公共施設管理者には公共施設としての仕事をしていただく、そういうことを考えておりますので、その際にそういう施設管理者と十分協議いたしまして、この中のいまお話しのような施設につきましては、計画を一体として仕事をしていくように考えておるわけでございます。  第二点の学校その他の施設は、われわれは、公共施設と申しますと道路とかあるいは河川とかいうふうなものを考えておりまして、住民の生活の利便あるいは福祉の増進ということに関係するものは公益施設と称しておりますので、そういう分類で分けたわけでございます。
  20. 東海林稔

    東海林委員 そうすると、第二十六条の「その他政令で定める者に協議しなければならない。」というその「政令で定める者」のに土地改良区を入れる、こういう御答弁でございますか。
  21. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 さようでございます。
  22. 東海林稔

    東海林委員 今度は第五条と第三条の一の口との関係ですが、第五条で、本計画は「都市計画事業として施行する。」ということになっておるわけですが、第三条の一の口を見ますと、「当該区域を住宅市街地とするために整備されるべき主要な公共施設に関する都市計画が決定されていること。」こういうことになっておるわけです。そこでお伺いしたいことは、この法案による事業計画というのは、すでに都市計画が決定されたところにだけ行なわれるので、都市計画と同時に発足するということはできないように、この条文からはちょっと考えられるのですが、都市計画と本事業を並行的に新たにやっていくことはできるのかできないのか、その点をはっきりしてもらいたい。
  23. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 この条文は、理論的に書いてございますので、前提として都市計画があることは、あらゆる事業をしていく場合には当然と思います。しかし、御指摘のように、実際の場合におきましては、両者が同時に決定されることももちろんあろうかと考えております。
  24. 東海林稔

    東海林委員 そうすると、第三条の一の口の「決定されていること。」ということは、どういうふうに解釈すればいいのですか。
  25. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 これも同様の意味でございまして、まずその地区には主要な公共施設、たとえば道路等が決定をされていることがこの事業をする場合の前提条件として考えるべきでございますが、全然まだそこに計画がないような場合におきましては、この計画と同時に並行して実際上事業を決定するということも当然あり得ると考えます。
  26. 東海林稔

    東海林委員 次に、第六条の2の関係ですが、本事業を実施するのは公共団体または住宅公団、さらには四十五条でございますかに、一応特殊な法人でもいいということが出ておるわけでございますが、実際、公共団体がやるか、日本住宅公団がやるかということは、どういう関係できまってくるかということをお伺いしたいわけであります。これは計画をきめるのは建設大臣でございましょうが、実際には当該の市または特別の町村がこれを検討し、農林省の意見を聞きながら計画を立てる、こういうことになっておるわけでありますが、この実際面を公共団体でやるか、住宅公団でやるかということがどういう関係できまってくるのか、この法律では「施行することを申し出たものが施行する。」こういうことになっておるわけでありますが、実際にはどういうことになっておるのか。
  27. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 この事業公共団体または住宅公団が行ないます。この意味は、たとえば特定の地区につきましては、公共団体が事業施行しよう、こう考えまして、その計画を立てまして、都市計画決定をして大臣の許可ないしは承認を受けて仕事をするということでございまして、地区によっては住宅公団が行なうというふうに、同じところについて公共団体と住宅公団がダブってすることは考えておりません。その地区について、その地区を管轄する公共団体及び住宅公団は、全国的に大都市近郊において仕事をしておりますので、住宅公団が行ないます場合には、地元公共団体と事前に調整をはかりまして、ここは住宅公団が行なうという了解を受けた上で、その地区については住宅公団が行なうというふうになるかと思います。
  28. 東海林稔

    東海林委員 その点はわかるのですが、そういうものは計画を立てる建設省の見解でそういうふうにきまってくるのか、それとも当該市町村の希望によってそういうことが決定されるのか、その点をちょっと伺いたいと思います。
  29. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 一番最初におきましては公共団体あるいは住宅公団の発意によって仕事が始まると思いますが、その間建設大臣協議をいたしまして、必要な許可ありあるいは承認をとれるということの折衝と並行して、事実上きまっていくものと考えております。
  30. 東海林稔

    東海林委員 それから第二十条でありますが、本事業施行のために「必要な土地等を提供したため生活の基礎を失うこととなる者の申出があった場合においては事情の許す限り、その者に対し、住宅のあっせんその他その受ける補償と相まって行なうことが必要と認められる生活再建のための措置を講ずるように努めるものとする。」ということが書いてあるわけでありますが、実際にはどういうことをやられるのでございましょうか。たとえば農用地を提供したために農家として立ち行かぬということがあると思うのでございますが、その場合に、新たに転業して生活の基礎を考えなければならぬ、そういうようなことの意味なのでございますか。また、そういうような意味であるとすれば、具体的にはどういうようなことを考えておられるか、その点を承りたいと思います。
  31. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 たとえば、お話のように補償なりあるいは売却代金を受け取っておりましても、生活の基礎が変わるわけでございますので、あるいはその人の住居についてどこかにあっせんをしてもらいたい、あるいはまた、就職等につきましてもどこかにあっせんをしてもらいたいというふうな場合があろうかと存じます。そういう場合に、公共団体なり公団でできる限りのお世話をして、補償で終わることなく、そういう人たちが生活再建が円滑にいきますように、できるだけの措置を講ずるという趣旨でございます。
  32. 東海林稔

    東海林委員 そこで同じく補償ということが書いてあるのですが、私どもが実際地方でたびたび経験することでありますが、建設関係の道路でありますとか河川等の用地の取得の場合の補償は、時価から見ると非常に低い場合が多いわけですね。われわれもよく文句を持ち込まれるわけでございますが、今度の住宅用地としての取得の場合に、従来と同じような補償基準でやられるのでありますか。それともこの点は、いままでとは違った新しい補償基準というものを考えておられるのでありますか。その点をお伺いしたいと思います。
  33. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 補償につきましては、各地区の実情によりまして、具体的にはいろいろ差があるかと思いますが、公共的な用途のために土地を取得する場合に、できる限り一定基準点をもって公平に仕事を進めていくべきでございまして、建設省におきましては、この点につきましては従前から検討いたしておりまして、特に最近関係各省を通じまして、土地の取得に関連する損失補償基準を設けまして、現在、単に道路、河川の用地のみならず、その他の用地等につきましても、その基準によって運営をいたしております。今回の補償につきましても、もちろん、原則は、御承知のように、時価によるということを原則にしておりますが、その具体的な運用につきましては、その損失補償基準によりまして運用をいたしたいと考えております。
  34. 東海林稔

    東海林委員 私が伺いたいのは、従来の道路や河川用地としての取得の場合の補償基準と、今度の住宅用地として取得する場合の補償基準は、一つのものを使うのか、別につくるのか、こういうことをはっきりしてもらいたい、こういうことです。
  35. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 同じ補償基準によって運用いたしたいと考えております。
  36. 東海林稔

    東海林委員 この点は、私は非常に反対です。皆さんとしては、いままでの基準でいいというような簡単な考え方かと思いますけれども、これまでの道路とか河川基準というものは、実際、時価よりははるかに低いのです。それも、ほんとうに国土保全だとかあるいは地域住民全体の利便になるという意味で、がまんをして、ときには、当該地方団体である程度の負担までしてやって問題を解決しているという場合が多いのです。ところが今度、住宅は、さっきもちょっと申しましたように、個人に売り払う、あるいは営利を目的とするものについては、もっと高い、原価以上で売るということも考えておるのです。その場合に、道路や河川と同じ用地の補償基準ということは、決して納得できないと思いますし、私自身も納得できませんが、そういう点をもう一度——まだ補償基準等きまっていないと思うのですが、検討することができませんかどうか。これは事務当局じゃ困ると思いますから、すみませんが、大臣ひとつ……。
  37. 河野一郎

    ○河野国務大臣 お答えいたします。道路、河川敷地の場合と宅地の場合には変えて考えなければいかぬじゃないかという御趣旨のようでありますが、これはその当事者から見ますれば、いずれも大事な土地でございます。それが住宅に使われようが、道路の敷地に使われようが、現に持っておる人から見れば同じでございます。また、われわれ買うほうからいたしましても、これは道路に使うのだから安くしろ、住宅に使うのだから高く買うというわけには、予算の編成上、また行政運用上もちょっとそういうわけにはいかぬのじゃなかろうか、私はこういうように思います。
  38. 東海林稔

    東海林委員 いま大臣のおっしゃったこと、私もわからぬわけではないのですが、そうなりますと、私がお願いしたいことは、現在の補償基準をもう一度検討し直して、ほんとうの時価主義であれば、もっと実情に沿うようにこれを直していただかなければならぬ。大臣は、その点現場の状況を知っておられるかどうかわかりませんが、先ほどもちょっと申しましたように、実際には時価と非常にかけ離れておるのです。したがって、われわれのところにもしばしば問題が持ち込まれて、ときによっては一部当該市町村等が負担して、ともかくこれは道路に使うのだ、国土保全のため河川に使うのだということで、土地の所有者に納得してもらっている場合が多いのです。ところが、今度は住宅として売るのでございましょう。中には、営利のため原価以上で売るという場合に、従来と同じような考え方で、がまんせよといっても、なかなかがまんできない。基準が一つでなければならぬとすれば、時価主義であるならば、もう少し実情に沿うような基準にこれを再検討していただきたい、このように考えるわけですが、大臣の御所見を伺いたい。
  39. 河野一郎

    ○河野国務大臣 お答えいたします。従来いろいろなケースがあるようでございます。それといいますのも、土地について一定の標準というものは従来発見しにくかった。そのために、ときによればごて得というような場合も起こっておりますし、また、お話のように、地元がそういう精神に徹して公共に協力すというような気持ちで安く売らしていただく、もしくは市町村で協力していただいているという例もないことはないのでございます。そこで、われわれが考えましたのは、土地価格の鑑定士法というものを今度つくりまして、これによって公正な土地価格を表示していこうことでいまお願いをいたしております。この法律ができますれば、鑑定士によてっ妥当な土地価格というものが全国的にきまってまいります。当然これを基準にして今後法律の運用をしてまいる、こういうことでございますから、これまでよりそこに一つの目安が立ってまいります。それを基礎にしてまいりますから、お話のよう点は相当是正されるだろう、こう考えます。
  40. 東海林稔

    東海林委員 大臣はもうけっこうでございます。  次に、また事務的にお伺いしたいのであります。  第二十三条関係でございますが、処分計画、ここにも「政令で定めるものに対しては、政令で定めるところにより」こういうことになっておるわけです。前段を見ますと、宅地を買い上げられたものについては一応先買い権ですが、優先売り渡しをする、こういうことになっているわけですが、農用地を買い上げられた者に対しては、一体この優先譲渡ということが考えられるのかどうか。この政令内容がはっきりしませんので理解しかねるのですが、農用地を買い上げられた者について、その人がそこに新たに住宅をつくりたい、こういうような場合に優先譲渡が考えられておるのかどうか、この点をはっきりさしてもらいたい。
  41. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 住宅市街地に土地を提供した人に対しましては、特に優先的に宅地を譲り渡すことを考えております。
  42. 東海林稔

    東海林委員 いまのは、そうすると、農用地を提供した者がそこに宅地がほしいという場合には、優先的に売ってやる、その者がさらに商売がえをして店をやりたいという場合にはどういうことになりますか。
  43. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 両者の場合、優先的に便宜をはかれると考えております。
  44. 東海林稔

    東海林委員 それから第二十四条でございますが、ここに売り渡し価格について、営利を目的としないものについては原価主義、「営利を目的としない業務の用に供されるものについては、」これは時価主義というのですか、そういうことになっておるようです。いま御質問しましたように、農地を提供した人が、今度は農業をやれないからそこで店をやりたいという場合に、ただいまの御答弁で優先の売り渡しはする、こういうことでござがましたが、その場合の価格はやはり営利を目的とするものだから、これは高い値段で売るということになるのでありますか、用地の提供者であるということによって、価格の面についても何らかの考慮が払われることになるのでありますか、その点をはっきりしておいてもらいたい。
  45. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 売り渡すことにつきましては、優先的に扱うつもりでございますが、その価格につきましては、その者が営利を目的とする事業に使う場合には、その事業自体がこれは営利事業でございまして、相当な収益を予定されますので、その場合には、時価を基準とした価格で売り渡すのが適当かと考えております。
  46. 東海林稔

    東海林委員 そこで、さっき質問した第二十条の「生活再建のための措置を講ずるように努めるものとする。」こういう精神からいえば、そこにも何らかの考慮が私はあっていいのじゃないかと思うのですが、二十条との関連において、いま少し明確にしておいてもらいたい。
  47. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 二十条におきましては、正当な補償はしておりますけれども、補償だけでは十分でないところの生活再建について必要なお世話をするということを規定しておりまして、補償を一応正当な評価によってしておりますので、さらにそれ以上に財産的な利益を与えるということまでは、実は二十条では考えておりません。二十三条におきまして、宅地あるいは必要な店舗その他の仕事をするための土地は優先的に譲渡いたしますけれども、その場合の価格は時価でお願いいたしまして、もし必要ならば、その与えました補償費、買収価格によりましてこの土地を買っていただくということにするのがよかろうと考えております。
  48. 東海林稔

    東海林委員 そうすると、ただいまの御答弁は、第二十条でそういう点を十分考えるから、特に処分価格においては特別な取り扱いはしないのだ、したがって、二十条のこの措置が十分講ぜられるということを前提としてのただいまの二十四条に関する御答弁、このように理解してよろしゅうございますか。
  49. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 二十条で考えると同時に、二十三条の処分計画で、この事業施行に伴いまして、自分の土地を失った者につきましては、特に優先的に扱うように書いてございますので、この規定の運用によりまして、宅地を優先的に与えることにより、価格につきましては、その事業が営利事業であるならば、時価を基準として処分するのが適当であろう、こういう考え方でございます。
  50. 中島巖

    ○中島(巖)委員 議事進行。現在の出席委員の数は、自民党は政務次官まで入れて四名しかおらぬ。国会法第四十九条でもって、この委員会は成立せぬから、さよう御承知願いたい。
  51. 福永一臣

    福永委員長 暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなか   った〕