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1963-06-07 第43回国会 衆議院 建設委員会 第21号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十八年六月七日(金曜日) 午前十時四十一分
開議
出席委員
委員長
福永
一臣君
理事長
加藤 高藏君
理事
木村 守江君
理事
瀬戸山三男
君
理事
二階堂 進君
理事
石川 次夫君
理事
岡本 隆一君
理事
中島 巖君 井原
岸高
君 大倉 三郎君 大沢 雄一君 金丸 信君 砂原 格君
丹羽喬四郎
君
前田
義雄君 兒玉 末男君 佐野 憲治君
東海林
稔君 日野 吉夫君 山崎
始男
君
山中日露史
君
田中幾三郎
君
出席国務大臣
建 設 大 臣 河野
一郎
君
出席政府委員
建設政務次官
松澤 雄藏君 建 設 技 官 (
河川局長
)
山内
一郎
君
建設事務官
(
住宅局長
)
前田
光嘉
君
委員外
の
出席者
農林事務官
(
農地局管理部
長) 小林 誠一君 専 門 員 熊本 政晴君
—————————————
六月六日
委員丹羽喬四郎
君
辞任
につき、その
補欠
として
早川崇
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員早川崇
君、
辞任
につき、その
補欠
として丹
羽喬四郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月七日
委員實川清之
君及び
田中幾三郎
君
辞任
につき、 その
補欠
として
東海林稔
君及び
片山哲
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員東海林稔
君及び
片山哲
君
辞任
につき、その
補欠
として
實川清之
君及び
田中幾三郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
六月五日
建築基準法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第一三九号)(
参議院送付
) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
河川法案
(
内閣提出
第一七〇号) 新
住宅市街地開発法案
(
内閣提出
第一五三号) ————◇—————
福永一臣
1
○
福永
委員長
これより
会議
を開きます。
河川法案
を議題として審査を進めます。 この際、
河川局長
より
補足説明
を聴取することといたします。
山内河川局長
。
山内一郎
2
○
山内
(
一郎
)
政府委員
さきに
提案理由
の
説明
がありました
河川法案
につきまして逐条的に御
説明
申し上げます。 第一章 総則 第一条は、この
法案
の
目的
に関する
規定
でありまして、
洪水
その他の
原因
による
災害
の
発生
を
防止
し、
河川
を適正に利用し、かつ、
流水
の正常な
機能
が
維持
されるよう、
河川
を総合的に
管理
することによって、
国土
の
保全
と
開発
に寄与し、もって公安の安全を保持し、かつ、
公共
の福祉を増進することにあることを明らかにしました。 第二条は、
河川
の
管理
は、その
公共的性格
に即して行なわれるべきことを
規定
したものであります。すなわち、
河川
は、
公共用物
であって、
河川
の
保全
、利用その他の
管理
は、第一条の
目的
が達成されるように適正に行なわなければならないことを明らかにしました。 なお、
現行河川法
におきましては、
河川
の以上のような
性格
から
河川
についてはすべての
私権
が排除されることとなっておりますが、この
法案
におきましては、あとでも述べますように
河川区域
内の
土地
の一部には
私権
が存在することを認めております。しかし、これらの
私権
については、
河川
の適正な
管理
に必要な
範囲
においては、
制限
を受けることになるのであります。 第三条は、この
法律
における
河川
及び
河川管理施設
の
定義
に関する
規定
であります。すなわち、
河川
とは第四条の
政令
で
指定
された
一級河川
と、第五条の
都道府県知事
が
指定
した二級
河川
をいい、
河川管理施設
を含むものといたしております。 第四条は、
一級河川
の
指定
に関する
規定
であります。
一級河川
とは、
国土保全
上または
国民経済
上特に重要な
政令
で
指定
される
水系
にかかる
公共
の
水流
及び水面である
河川
のうち
政令
で
指定
したものをいうこととしております。この
指定
にあたりましては、
水系ごと
に、
河川
の名称、その
管理
する
区間
を明らかにすることにいたしております。 なお、
一級河川
の
政令案
を作成するにあたっては、
建設大臣
は、あらかじめ
河川審議会
及び
関係都道府県知事
の
意見
を聞くことにいたしております。 第五条は、二級
河川
の
指定
に関する
規定
であります。 二級
河川
とは、
一級河川
以外の
水系
で
公共
の
利害
に重要な
関係
がある
水系
にかかる
河川
で
都道府県知事
が
指定
したものをいうこととしております。以上のほか、二級
河川
の
指定
をしようとする場合において、
当該河川
が他の
都道府県
の
境界
にかかるものであるときの
関係都府県知事
への
協議
及び
一級河川
と同様に公示の手続その他必要な
事項
を
規定
しております。 第六条は、
河川区域
について定めた
規定
でありまして、
河川
の
流水
が継続して存する
土地
、このような
土地
に類似しているような
土地
は、
法律
上
河川区域
とし、
堤防
と
堤防
との間の
土地
について右の
区域
と一体として
管理
する必要があるものとして
河川管理者
が
指定
した
土地
及び
堤防等
の
敷地
も
河川区域
とすることといたしました。 第七条は、
河川管理者
について定めた
規定
で、
河川管理者
とは、
一級河川
または二級
河川
を
管理
する
建設大臣
または
都道府県知事
をいうこととしております。 第八条は、
河川工事
について
定義
を定めたものであります。 第二章
河川
の
管理
。 第一節
通則
。
本節
は、
一級河川
及び二級
河川
の
管理者
その他
河川
の
管理
について
通則的事項
を
規定
したものであります。 第九条は、
一級河川
の
管理者
を定めた
規定
であり、
建設大臣
が
河川
の
管理
を行なうことといたしております。しかし、
建設大臣
が特に
指定
する
区間
につきましてその
区間
の存する
都道府県
を統轄する
都道府県知事
にその
管理
を行なわせることが適切なものにつきましては、
当該都道府県知事
にその
管理
の一部を行なわせることとしております。
都道府県知事
に行なわせる
管理
の一部の
内容
につきましては、
政令
で明確に
規定
することとしております。 なお、
建設大臣
が、
指定区間
を
指定
するにあたりましては、あらかじめ、
関係都道府県知事
の
意見
を聞くことといたしております。 第十条は、二級
河川
の
管理
は、
都道府県知事
が行なうことといたしました。 第十一条は、
境界
にかかる二級
河川
の
管理
の
特例
を定めた
規定
でありまして、二級
河川
の二以上の
都府県
の
境界
にかかる部分については、
協議
して別に
管理
の
方法
を定めることができることといたしました。 第十二条は、
河川
の
管理
の適正を期するため
河川現況台帳
及び
水利台帳
の
整備
及び
保管
に関する
規定
であります。 第十三条は、
河川管理施設
及び
許可
を受けて
設置
される
工作物
の
構造
は安全なものとしなければならないこと、また、この
安全性
を確保するため特に重要な
ダム
、
堤防等
の
構造
についての
技術基準
を
政令
で
規定
することといたしております。 第十四条は、
河川管理者
は、特にその
操作
が、
関係
の地域に重要な
影響
を及ぼす
ダム
、せき、
水門等
の
河川管理施設
については、
関係都道府県知事
または
関係市町村長
の
意見
を聞いて
操作規則
を定めなければならないものといたしました。 第十五条、二級
河川
について、
河川管理者
が
河川工事
を
施行
し、
河川管理施設
の
操作規則
を定めまたは
河川
の
使用
に関する
処分等
によって他の
河川管理者
の
管理
する
河川
に著しい
影響
を及ぼすおそれがあると認められるときは、
河川管理者
は、あらかじめ、
当該他
の
河川管理者
に
協議
しなければならない旨の
規定
であります。 第二節
河川工事等
。
本節
は、
河川工事等
について、
工事実施基本事項
及び従来に準じて
兼用工作物
、
原因者工事
、
付帯工事
、
洪水
時における
緊急措置等
について必要な
規定
を
整備
いたしたものであります。 第十六条は、
工事実施基本事項
に関する
規定
でありまして、
河川工事
が
水系
を一貫した合理的な計画に従って行なわれることを確保するため、
河川管理者
は、
計画高水流量
その他
河川工事実施
の
基本
となるべき
事項
をあらかじめ
政令
で定める準則に従って定めておかなければならないことといたしました。 第十七条は、
河川管理施設
と他の
工作物
が
相互
に効用を兼ねる、いわゆる
兼用工作物
について、その
工事
、
維持
または
操作
について
河川管理者
及び他の
工作物
の
管理
は
協議
によって行なうことができることとした
規定
であります。 第十八条及び第十九条は、それぞれ、
河川工事
に関連する
原因者工事
及び
付帯工事
に関する
規定
でありまして、これらは
現行法
の例に準じております。 第二十条は、
河川工事
または
維持
は本来
河川管理者
が行なうのがたてまえでありますが、
河川管理者
以外の者でも
河川管理者
の
承認
を得て、
河川工事
または
維持
を行なうことができる旨を
規定
したものであります。 第二十一条は、
河川工事
の
施行
により
河川
に面する
土地
について生じた
損失
についての
補償
に関し、必要な
事項
を定めた
規定
であります。 第二十二条は、
洪水
時等における
応急公用負担
に関する
規定
でありまして、緊急時における水災の
防止
または
軽減
について
河川管理
上の責務の
遂行
に必要な
権限
について定めたものであります。 なお、
権限
の行使によって、
物的損失
を受けたり、業務に従事して
負傷等
をしたりした者があった場合については、第三項以下に
損失補償等
に関する必要な
事項
を定め、
補償関係規定
の
整備
をはかっております。 第三節
河川
の
使用
及び
河川
に関する
規制
。 第一款
通則
。 本款は、
河川
の
使用
及び
規制
について
原則
的な
事項
を
規定
したもので、第二十三条より第二十九条までは、従来においてもほぼ同様の
規制
を行なっております。 第二十三条は、
河川
の
流水
を
占用
する場合には、
河川管理者
の
許可
を要するものとした
規定
であります。 第二十四条は、
河川区域
内の
土地
の
占用
に関する
規定
で、従来は
河川
の
敷地
が
私権
の対象とならないため、その
占用
についてはすべて
河川管理者
の
許可
を必要としたのでありますが、この
法案
では、
河川区域
内の
私有地等
を除き、
河川管理者
が
管理
する
土地
について
許可
を要することとしております。第二十五条は、
前条
と同様に、
河川管理者
の
管理
する
土地
において、土石及び
政令
で
指定
する
産出物
の採取について
河川管理者
の
許可
を要するものとした
規定
であります。 第二十六条は、
現行河川法
と同様、
河川区域
内の
土地
において
工作物
を
設置
する場合には
河川管理者
の
許可
を必要とする旨の
規定
でありますが、最近、
河川
の
河口付近
の海面に水門その他の
工作物
が建設されるようになり、これが
河口部
における
河川管理
に大きな
影響
を与えることにかんがみ、このような
工作物
の
設置
についても本条の
許可
を要する旨を明示したのであります。 第二十七条は、
河川区域
内の
土地
における
土地
の掘
さく等
を
規制
する
規定
でありまして、これらの
行為
は
河川管理
に重大な
影響
を及ぼすため、
政令
で定める軽易な
行為
を除き、
河川管理者
の
許可
を要することとしたのであります。 第二項は、
土地
の掘
さく等
が
河川管理
上著しい
影響
を与えております
実情
にかんがみ、
河川区域
内の
一定
の
土地
の
区域
については、
河川管理者
は掘
さく等
の
許可
をしてはならない旨の
規定
であります。 第二十八条は、
竹木
の流送、舟またはいかだの通航につきましては
政令
または
都道府県
の
規則
で、
実情
に即して
規制
を行なうことといたしました。 第二十九条は、第二十三条から
前条
までに
規制
いたしました
行為
以外の
行為
につきましても、
河川
の
状況等
に応じて
河川管理
上
規制
する必要がある場合には、このような
行為
について、
政令
または
都道府県
の
規則
で
規制
できることとした
規定
であります。 第三十条は、不完全な
工作物
を
使用
して
河川管理
に
支障
を及ぼすことを
防止
するため、
許可
を受けて
設置
された
ダム等
の
工作物
については、
原則
として、
完成検査
に合格しなければ
使用
できない旨の
規定
であります。 第三十一条は、不要となった
工作物
がそのまま放置されて
河川管理
上
支障
を及ぼすようになることを
防止
するため、
河川管理者
がそのような
工作物
の除却、
河川
の
原状回復等
を命ずることができることとした
規定
であります。 第三十二条は、
流水占用料
、
土地占用料等
につきまして、従来と同様、二級
河川
はもちろん、
一級河川
についても、
都道府県知事
がこれを徴収し、
当該都道府県
の収入とするとともに、その
流水占用料等
の額の
基準等
に関して
規定
したものであります。 第三十三条は、第二十三条から第二十七条までの
許可
を受けた者の
一般承継人等
の
許可
に基づく地位の
承継
に関する
規定
であり、第三十四条は、
権利
の
譲渡等
に関する
規定
であります。 第三十五条は、農政、
電力行政等他
の
行政
と
調整
をはかって、より適正な
河川管理
を行なうため、
建設大臣
は、
一定
の
水利使用
に関する処分を行なう場合には従来
どおり関係行政機関
の長と
協議
しなければならないものとしたほか、
土地
の掘
さく等
の
許可
を行なう場合にそれによって著しい
影響
を受ける
事業
のあるときも、同様に
協議
しなければならない旨を定めたものであります。 第三十六条は、
河川管理者
は、
水利使用
に関する
許可等
を行なう場合には、
地元
の
利害
との
調整
をはかり、適切な
河川管理
を行なうため、
関係地方公共団体
の長の
意見
を聞かなければならないこととした
規定
であります。 第三十七条は、
河川管理者
は、委託を受けて、
許可
を受けて
設置
される
工作物
に関する
工事
を行なうことができることとした
規定
であります。 第二款
水利調整
。
木款
は、最近における
水利用
の
緊要性
にかんがみ、
河川管理者
が
水利使用
の
許可
に関し、
既得権者
と新規の
水利権申請者
との
調整
を行なわんとするものであります。 第三十八条は、
河川管理者
は、
水利使用
の
許可
の
申請
があったときは
申請
が却下すべき場合を除き、
申請
の概要を
関係河川使用者
に通知しなければならない旨を定めたものであり、第三十九条とあわせて
関係河川使用者
に
当該水利使用
について
意見申し出
の機会を与えるための
規定
であります。 第四十条は、
河川管理者
は、新たな
水利使用
の
許可
により
関係河川使用者
が
損失
を受ける場合には、その同意があるときを除くほか、
新規水利
にかかる
事業
が
既得水利
にかかる
事業
に比し、
公益
上の必要が著しく大である場合または
損失防止施設
を
設置
すれば
関係河川使用者
の
事業
の
遂行
に
支障
がないと認められる場合でなければ、その
許可
をしてはならないものとした
規定
であります。なお、この場合において、
建設大臣
が
公益
上の理由により新たな
水利使用
の
許可
をしようとするときは、
河川審議会
の
意見
を聞かなければならないものといたしました。 第四十一条は、
水利使用
の
許可
により
損失
を受ける者があるときは、
許可
を受けた者がその
損失
を
補償
すべきものとした
規定
であります。 第四十二条は、
水利使用
の
許可
に伴う
損失
の
補償
について、
許可
を受けた者と
関係河川使用者
との
協議
が成立しないときは、
当事者
の
申請
に基づき
河川管理者
が
裁定
することができる旨の
規定
であります。この場合における
裁定
については、その公正を期するため、あらかじめ、
収用委員会
の
意見
を聞かなければならないものとし、また、その
裁定
に不服がある者は
当事者
の他の一方を相手方として訴訟を起こすことができるものといたしました。 第四十三条は、
水利使用
の
許可
を受けた者は、
原則
として、
協議
または
裁定
により
関係河川使用者
の
損失
を
補償
した後でなければ、
流水
を貯留し、または取水してはならないものとした
規定
であり、これにより
補償
の支払いが、事前に、かつ、確実に行われることを確保しようとするものであります。 第三款
ダム
に関する特則。 本款は、
水利使用
に関する
許可
を受けて
設置
する
ダム
で
一定規模
以上の
ダム
を
設置
することによって
従前
の
河川
の
機能
に
影響
を及ぼすものについて、
河川管理
上必要な
限度
において、必要な
施設等
の
負担義務
を課したものであります。 第四十四条は
ダム
の
設置
により
河川
の状態が変化し、
従前
の
河川
が有していた
機能
が減殺される場合には
ダム
の
設置者
は、
河川管理者
の指示に従い
当該河川
の
従前
の
機能
を
維持
するために必要な
施設
を設けまたはこれにかわるべき
措置
をとるべき
義務
を
規定
したものであります。 第四十五条は、
ダム
を
設置
する者は、
政令
で定める
基準
に従い、
観測施設
を設けて、水位、流量及び
雨雪量
を観測しなければならないこととしたものでありまして、これにより
ダム設置
後の
河川
の実態を常に把握しておき、
ダム
の
操作
の適正を確保する趣旨であります。 第四十六条は、
ダム
の
設置者
に対し、
洪水
が
発生
し、または
発生
するおそれがある場合において、観測の結果及び
ダム
の
操作
の状況について、必要な
通報施設
を設けて、
河川管理者
及び
関係都道府県知事
に通報しなければならない旨を
義務
づけたものであります。 第四十七条第一項は、
ダム
を
設置
する者は、あらかじめ、その
ダム
の
操作
の
方法
について
操作規程
を定めまたは
変更
しようとする場合、
従前
は
河川管理者
に届け出ることとしていたものを
河川管理者
の
承認
を受けさせることとしたものであります。 また、第二項以下は、
河川管理
上特に
影響
がある
ダム
の
操作規程
につきましては、
河川管理者
が
承認
する際に、
関係都道府県知事
の
意見
を聞くこととするとともに、
操作規程
に従って
ダム
を
操作
する
義務
及び
河川管理
上
支障
のある特別の場合の
操作規程
の
変更命令
について
規定
したものであります。 第四十八条は、
予備放流
その他
ダム
の
操作
によって、下流の
水位等
が著しく変動を生ずると認められる場合においては、危害の
発生
を
防止
する見地から、
ダム
の
設置者
は、
関係都道府県知事等関係機関
への通知及び
一般住民
への
周知徹底
をはかるための
警報等
の
措置
について
規定
したものであります。 第四十九条は、
ダム
の
設置者
に
洪水
時における
ダム
の
操作
に関する記録の作成、
保管
及び
河川管理者
への
提出等
を
義務
づけた
規定
であります。 第五十条は、
ダム
の
設置者
に、
ダム
の
維持
、
操作
その他の
管理
を適正に行なうため、
洪水
時における適切な
ゲート操作等
を行ない得るに足る知識と経験を有する
管理主任技術者
を置かさせることとした
規定
であります。 第五十一条は、
兼用工作物
で、
河川管理者
が
管理
することとなった
ダム
につきましては、第三款の
規定
をそのまま適用する必要はない場合もありますので、
政令
で特別の定めをすることができることとしたものであります。 第四款 緊急時の
措置
。 本款は、
洪水
時または
渇水
時における
緊急措置
に関する
規定
であります。 第五十二条は、
河川管理者
は、
ダム
を
設置
する者に対して、
洪水
による
災害
の
発生
の
防止
または
軽減
のため緊急の必要がある場合には、
災害
の
発生
の
防止
または
軽減
のため
予備放流等
の必要な
措置
をとるよう勧告することができる旨の
規定
であります。 第五十三条は、異常な
渇水
時におきまして、
許可
を受けた
内容どおり
の
水利使用
が困難となるような事態が
発生
いたしました場合の
水利使用相互
間の
調整
をはかる
規定
であります。第一項は、このような場合におきましては、
水利使用
の
許可
を受けた者は、
相互
に必要な
協議
を行なうようつとめ、第二項は、第一項の
協議
を行なうにあたりまして、当時者は、みずからの
権利
のみを主張することなく、
相互
に他の
水利使用
を尊重すべき旨の
規定
であります。 第三項は、
当事者
間の
協議
が不調の場合におきまして、
当事者
の
申請
があったとき、または緊急に
水利使用
の
調整
を行なわなければ
公共
の
利益
に重大な
支障
を及ぼすおそれがあると認められるときには、
河川管理者
は、必要なあっせんまたは調停を行ない得ることといたしました。 第四節
河川保全区域
。
本節
は、
河川保全区域
に関する
規定
であります。
河川保全区域
は従来の
河川付近地
に相当し、
河岸
及び
河川管理施設
の
保全
をその
目的
としております。 第五十四条は、
河川管理者
は、
河岸
または
河川管理施設
の
保全
のため必要な
一定
の
区域
を
河川保全区域
として
指定
することができるものとし、その
指定
は
国民
の
権利
に不当な
制限
を課することがないよう
必要最小限
、かつ、
一定
の
範囲
内のものに限る旨
規定
しております。 第五十五条は、
河川保全区域
内においては、
河岸
または
河川管理施設
の
保全
に
支障
を及ぼすおそれのある
土地
の掘さくその他
土地
の
形状
の
変更
及び
工作物
の新
改築
は、
政令
で定めるものを除き、
河川管理者
の
許可
を要するものとした
規定
であります。 第五節
河川予定地
。
本節
は、
河川予定地
に関する
規定
であります。 第五十六条は、
河川管理者
が
河川工事
を
施行
するため必要があると認めるときは、将来
河川区域
となるべき
土地
を
河川予定地
として
指定
できることとし、かつ、
国民
の
権利
に不当な
制限
を課することがないよう、
指定
の時期を
工事
の
施行
が確実となった日以後でなければならない旨
規定
しております。 第五十七条は、
河川予定地
内において、
河川工事
を
施行
するため
支障
となるおそれのある
土地
の掘さくその他
土地
の
形状
の
変更
及び
工作物
の新
改築
は、
政令
で定めるものを除き、
河川管理者
の
許可
を要するものとした
規定
であります。なお、これらの
行為
の
制限
が
工事施行
のためのものでありますので、
制限
による通常生ずべき
損失
を
補償
することといたしております。 第五十八条は、
河川予定地
内の
土地
のうち、
河川管理者
が
買収等
により権原を取得したものについては
河川区域
と同様に取り扱うこととする旨の
規定
であります。 第三章
河川
に関する
費用
。 本章は
河川
に関する
費用
について
規定
しております。 第五十九条は、
河川
の
管理
に要する
費用
の
負担原則
を明らかにしたものでありまして、
河川
の
管理
に要する
費用
につきましては、
原則
として、
一級河川
については国が、二級
河川
については
都道府県
が負担することといたしました。 第六十条は、
一級河川
の
管理
に要する
費用
についての
都道府県
の分担に関する
規定
であります。まず、第一項は
指定区間
内で
都道府県知事
に委任された
事項
にかかるものを除き、
一級河川
の
管理
に要する
費用
のうち
改良工事
に要する
費用
については、その三分の一を、
改良工事
以外の
管理
に要する
費用
については、その二分の一をそれぞれ
地元都道府県
が負担することといたしております。 第二項は、
一級河川
の
指定区間
内の
管理
を
都道府県知事
に委任した場合の
規定
でありまして、この場合の
河川管理費用
は、
当該都道府県
が負担するのをたてまえといたしまして、
改良工事費
については、国がその三分の二を負担することにいたしております。従来
知事施行
の
河川改良工事
に対する国の
負担割合
は、ごく一部の例外を除いて最高二分の一であったのでありますが、それを
一級河川
におけるものについては前項の
建設大臣施行
の場合と同率に引き上げたわけであります。 第六十一条は、
指定区間
内の
一級河川
の
修繕
に要する
費用
の補助に関する
規定
であります。すなわち、
一級河川
の
指定区間
内で
都道府県知事
が行なう
修繕
に要する
費用
については、国がその三分の一以内を補助することができる旨を新たに
規定
したものであります。 第六十二条は、二級
河川
の
改良工事費
については、国が二分の一をこえない
範囲
内でその一部を負担することを
規定
したものであります。なお、
一級河川
及び二級
河川
の
改良工事
の
費用負担
につきましては、
昭和
四十四年度までは、以上述べましたところの
特例
を
経過措置
として、附則の第四条及び第五条にその
規定
を設けておりますので、このことにつきましては後ほど御
説明
申し上げます。 第六十三条は、
河川工事
その他の
河川
の
管理
によって
地元都府県
以外の
都府県
が著しく
利益
を受ける場合には、従来と同様に、その
地元都府県
が負担する
費用
の一部を
利益
を受ける他の
都府県
に受益の
限度
において負担させることができる旨
規定
したものであります。 第六十四条は、
建設大臣
が行なう
河川
の
管理
に要する
費用
に対する
都道府県
の
負担金
または
都道府県知事
が行なう
河川
の
管理
に要する
費用
に対する
国等
の
負担金
の納付または支出に関する
規定
であります。 第六十五条は、二級
河川
の二以上の
都府県
の
境界部分
について、第十一条の
規定
により
関係都府県知事
が
協議
して別に
管理
の
方法
を定めたときは、その
費用
についても、同様に、
関係都府県知事
が
協議
してその分担すべき金額等を定めることができる旨
規定
したものであります。 第六十六条から第七十一条までは、他の
工作物
の効用を兼ねる
河川管理施設
、いわゆる
兼用工作物
の
費用
、
原因
者
負担金
、
付帯工事
に要する
費用
、
河川管理者
以外の者が行なう
工事
等に要する
費用
、受益者
負担金
等に関する
規定
でありまして、従来に準じた同趣旨のものであります。 第七十二条は、
原因
者
負担金
、受益者
負担金
等の帰属に関する
規定
でありまして、これらは、
建設大臣
が負担させるときは国、
都道府県知事
が負担させるときはその
都道府県
の収入とすることにいたしました。 第七十三条はこの
法律
、この
法律
に基づく
政令
または
都道府県
規則
等による
義務
の履行に要する
費用
は、その
義務
者の負担とする旨の
規定
であります。 第七十四条はこの
法律
、この
法律
に基づく
政令
または
都道府県
規則
等による各種
負担金
または
流水占用料等
につき納付の
義務
を怠る者がある場合における強制徴収に関する
規定
であります。 第四章 監督。 第七十五条は、
河川
の
管理
の適正を期するための
河川管理者
の監督処分に関する
規定
でありまして、第一項は、
河川管理者
は、法令等に違反しまたは不正な手段によって
許可
または
承認
を受けた者に対し、
許可
の取り消し、その効力の停止、
行為
の中止等の処分をなし得ることを
規定
し、第二項は、本法による適法の
許可
を受けた者に対し
一定
の理由がある場合には同様の処分をなし得ることを
規定
したもであります。 第七十六条は、
前条
第二項の監督処分に伴う
損失
の
補償
についての
規定
でありまして、第一項は、
河川工事
のためやむを得ない必要またはその他の
公益
上やむを得ない必要により監督処分をした場合における
損失
補償
の
規定
等を定めたものであります。 第七十七条は、
河川管理者
は、その職員のうちから
河川
監理員を命じ、この
法律
等による処分の違反者に対して、その違反を是正するために必要な
措置
をとるべき旨を指示する
権限
を行なわせるための
規定
であります。 第七十八条は、
建設大臣
または
河川管理者
は、
許可等
を受けた者から
河川管理
上必要な報告を求め、または事務所等に立ち入って必要な検査を行ない得る旨の
規定
であります。 第七十九条は、
河川
を
管理
する
都道府県知事
に対する
建設大臣
の監督に関する
規定
でありまして、第一項は
一級河川
の
指定区間
について、第二項は二級
河川
について、それぞれ
河川
の
管理
上重要な
一定
の
事項
については、
建設大臣
の認可を要することといたしております。 第五章
河川審議会
及び
都道府県
河川審議会
。 第八十条は、
河川審議会
の
設置
に関する
規定
でありまして、
河川審議会
を建設省に
設置
することとし、
河川審議会
は
建設大臣
の諮問に応じ、
一級河川
の
指定
、
水利調整
を要する場合の
水利使用
の
許可
その他
河川
に関する重要
事項
について調査審議するとともに、これらの
事項
について
関係
行政
機関に
意見
を述べることができるものといたしました。 第八十一条及び第八十二条は、
河川審議会
の
委員
及び会長に関する
規定
であります。
河川審議会
の
委員
は三十人以内で、学識経験者、
関係
行政
機関の職員及び地方
公共
団体の長のうちから
建設大臣
が任命し、会長は、
委員
の互選によって定めるものといたしました。 第八十三条は、特定の
河川
に関する
事項
を調査審議するため必要があるときは、
河川審議会
に特別
委員
を置くことができる旨の
規定
であり、特別
委員
は、当該
事項
に関する学識経験者及び
当該河川
に
関係
のある地方
公共
団体の長のうちから
建設大臣
が任命することといたしました。 第八十条は、
河川審議会
の部会に関する
規定
であり、
水利調整
部会その他必要な部会を置くことができることとしました。なお第四項で審議会はその定めるところにより部会の決議をもって審議会の決議とすることができる旨を
規定
しました。 第八十五条は、以上のほか、
河川審議会
の組織及び運営に関し必要な
事項
は、
政令
で定めることといたしました。 第八十六条は、
都道府県
も、条例で定めるところにより、
都道府県
河川審議会
を置くことができることとしております。 第六章雑則。 第八十七条は
一級河川
、二級
河川
等の
指定
及び
許可
事項
に関する
政令
の改廃の際、現に権原に基づき、この
法律
の
規定
により
許可
を要する
行為
を行ないまたはその
設置
について
許可
を要する
工作物
を
設置
している者につきましては、その既存の
権利
を尊重いたしまして、この
法律
により
許可
を受けたものとみなして取り扱うこととした
規定
であります。 第八十八条は、
水利台帳
の
整備
等のため
前条
の
規定
により
許可
を受けたものとみなされる者で
政令
で定めるものに対し必要な
事項
の届け出
義務
を課したものであります。 第八十九条は、
建設大臣
または
都道府県知事
が
一級河川
、二級
河川
の
指定
等のための調査及び
河川工事
その他の
河川管理
を行なう必要がある場合における
土地
への立ち入り、
土地
の一時
使用
に際しての
権限
、手続及び
補償
について定めたものであります。 第九十条は、この
法律
の
規定
に基づく
許可
または
承認
には、必要な条件を付することができることとし、かつ、その条件は
河川管理
上
必要最小限
度のものに限ることといたしました。 第九十一条から第九十四条までは、廃川
敷地
等に関する
規定
であります。 第九十一条は、
河川区域
の
変更
または廃止があった合場の
従前
の
河川区域
内の国有地及び堰防等の
河川管理施設
は、
政令
で定める
一定
の期間、従来その
河川
を
管理
していた者に
管理
させることといたしました。 第九十二条は、必要に応じて、廃川
敷地
等と新たに
河川区域
となる
土地
を交換できることといたしました。 第九十三条は、
建設大臣
は、二級
河川
の廃川
敷地
等で交換されなかったものは、大蔵大臣と
協議
の上、国有財産として存置する必要があるとされたものを除いて、
管理
期間満了後に、廃川
敷地
等の存する
都道府県
に譲与できることといたしたものであります。 第九十四条は、廃川
敷地
等の
管理
費用
の負担と収入の帰属を定めたもので、
指定区間
を除く
一級河川
にかかるものは国、
指定区間
内の
一級河川
及び二級
河川
にかかるものは
都道府県
といたしたものであります。 第九十五条は、国が行なう
事業
に関するこの
法律
の
許可
または
承認
に関する
規定
の適用については、その地位の特殊性にかんがみ、国と
河川管理者
の
協議
の成立をもって
許可
または
承認
があったものとする趣旨であります。 第九十六条は、道の
特例
に関する
規定
でありまして、
現行法
の第六十七条とほぼ同じ趣旨のものであります。
特例
についての具体的
措置
は、
政令
で、
費用
の負担、
河川管理者
の
権限
等について特別の定めをすることといたしております。 第九十七条は、不服申し立て等に関する
規定
であります。 第一項は、
洪水
時における
緊急措置
としての
河川管理者
の
土地
の
使用
や現場にある者の使役等は、その緊急時の処分としての性質上不服申し立ての制度に即しないものでありますので、その旨を明らかにしたものであります。 第二項は、
兼用工作物
につきまして不服申し立ての審査庁及び異議申し立てのできる場合を
規定
したものであります。 第三項は、
土地
の
占用
の
許可等
この
法律
の
規定
に基づく処分に関する不服のうち鉱業または採石業との
調整
に関するものについては、
土地
調整
委員会
に
裁定
を
申請
することができることとしたものであります。 第九十八条は、この
法律
による
建設大臣
の
権限
の一部は、地方支分部局の長に委任することができる旨を定め、
行政
の便宜をはかったものであります。 第九十九条は、
河川管理者
は、
水門等
河川管理施設
の
維持
、
操作
等を
地元
の
公共
団体に委託できることとして
河川管理
上の便宜をはかったものであります。 第百条は、
一級河川
及び二級
河川
の
水系
以外の
水系
にかかる
河川
についても
河川
の
使用
等についての
規制
等
河川
の
管理
を行なう必要がある場合がありますので、市町村長が
指定
した
河川
について、
政令
で定める
規定
を除いて二級
河川
に関する
規定
を準用し、市町村長が
管理
を行なうことができることとした
規定
であります。 第百一条は、特にこの
法律
で定めたもののほか、この
法律
の実施に必要な
事項
は、
政令
で定めることができることとしました。 第七章 罰則。 第百二条から第百八条までは、本法の
規定
に違反した場合における罰則の
規定
でありまして、第百九は、第二十八条または第二十九条第一項もしくは第二項の
規定
に基づく
政令
または
都道府県
の
規則
についての罰則に関する
規定
であります。 附則 次に附則でありますが、この
法律
の
施行
及び
現行河川法
の廃止に伴い必要な
措置
につきましては、別途
河川
法
施行
法を制定いたしまして、これによることといたしたいと考えておりますが、この附則におきましては本則と関連して重要なものを
規定
いたしております。 第一条は、この
法律
の
施行
期日につきましては
法律
で定めることとし、 第二条は、
現行河川法
を廃止する
規定
であります。 第三条は、
現行河川法
が廃止された際に、
現行河川法
による適用
河川
、準用
河川
は、新法の
規定
により、
一級河川
に
指定
されたものを除いて、すべて二級
河川
となるものといたしまして、
河川管理
上
支障
のないような
措置
を講じたものであります。 第四条は、
一級河川
の
改良工事
の
費用負担
について、
昭和
四十四年度までの
特例
を
規定
したものでありまして、その
費用
についての国の
負担割合
を本則による場合の三分の二から四分の三に引き上げることにいたしております。
昭和
四十四年度と申しますと、治山治水
緊急措置
法に基づく現行治水
事業
十カ年計画の最終年度にあたるわけでございまして、この計画完遂に対する国の積極的な意図を明らかにした次第であります。 第五条は、この
法律
施行
の際
建設大臣
が
工事施行
中の
河川
が二級
河川
になった場合のその直轄
工事
に関する経過
規定
であります。二級
河川
の
河川工事
を
施行
するのは
都道府県知事
でありますので、この
法律
施行
の際
建設大臣
が旧法に基づいて
工事施行
中の
河川
が二級
河川
になった場合、新法
施行
と同時に全面的にその体制に切りかえることは種々の面において不都合を生ずるおそれがありますので、現に直轄
施行
中の
河川
に関する
工事
につきましては、
昭和
四十四年度までは従来どおり
建設大臣
がみずから
施行
することができるものとし、また、その直轄
工事
の
費用負担
につきましても、本則によれば国の
負担割合
は二分の一でありますが、
従前
の例によって三分の二といたしております。 第六条第一項は、この
法律
の
施行
前に現行前に
現行河川法
に基づいて行なった処分や手続その他の
行為
は特別の場合を除き、そのまま尊重して、
従前
どおりその効力を認める
規定
であります。 第二項は、本則第八十八条と同様な趣旨で、
河川管理
上必要な
事項
について届け出
義務
を課したものであります。 第七条は、この
法律
の
施行
前に、
現行河川法
またはこれに基づく命令の
規定
に違友した
行為
に対する罰則の適用については、なお
従前
の例によることといたしました。 第八条は、先ほど御
説明
いたしましたように、この附則で定めるものを除きこの
法律
の
施行
に関し必要
事項
は、別途、
河川
法によって定めることとしたものであります。 以上が
河川
法の逐条
説明
でありますが、何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
福永一臣
3
○
福永
委員長
以上で
補足説明
の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
福永一臣
4
○
福永
委員長
新
住宅市街地開発法案
を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。
東海林稔
君。
東海林稔
5
○
東海林
委員
新
住宅市街地開発法案
は、最近のわが国の住宅不足、特に市街地周辺においては宅地の取得がなかなか困難であるというような
実情
にかんがみまして、住宅地の大規模な造成をはかって宅地難を緩和したい、こういうような趣旨を承知するわけでありまして、その
目的
とするところは理解できるわけでございますが、市街地周辺において住宅地を取得するということになりますと、おそらく一部を除いては大
部分
が農用地、特に畑地がその中心になるのではないか、このように考えられるわけであります。そういたしますと、本
法案
は、農民にとりまして重大な
関係
があるように考えられますので、主として私はそういう点を中心として御質問申し上げたい、このように考えるわけでございます。 あらかじめ御了解願っておきたいことは、すでに本
法案
につきましては、多数の
委員
からそれぞれ質疑があったわけでございまして、私はなるべく重複を避ける意味におきまして、すでに印刷された
会議
録につきましては一応目を通してまいったわけでございますが、まだ印刷の終わっていない分については、私一々質疑をお聞きしておりませんので、若干重複するような点があるかと思いますが、その点お許しいただきたいと思います。さらに、本
法案
は、
土地
区画整理法その他建設
関係
の
法律
といろいろ
関係
が深いようでありますが、私は建設
関係
の
法律
につきまして比較的知識が不十分でありますために、ときに見当違いの質問もあるかと思いますが、そういう点もお含みいただきまして親切な御答弁をお願いいたしたい、このように考えます。 そこで、
法案
の質疑に入る前にまず農林省にお伺いしたいと思うのでありますが、最近、宅地あるいは工業用地その他で非常に農地の壊廃が多く進められておるように思うわけでございますが、最近における農地壊廃の傾向を数字的に御
説明
をお願いしたいと思います。
小林誠一
6
○小林
説明
員 御
説明
申し上げます。農林省の農地局で県を通じて調査いたしました農地の壊廃につきましては、
原則
といたしまして農大林臣または
都道府県知事
の
許可
を要することになっております。その
許可
をいたしました面積でございます。三十五年度の面積でございますが、これが一万六千七百九十三町歩となっております。そのほか
公共
施設等
の
目的
のために壊廃されます面積、これは
許可
を要しない面積でございますが、県からの報告によりますと、この面積が五千十四町、合わせまして三十五年度は二万一千八百七町が壊廃されたという報告でございます。三十六年度におきましては、
許可
をいたしました面積が二万一千七十六町、
許可
を要しない転用面積が四千五百二十三町、合わせまして二万五千五百九十九町ということで、約四千町歩ぐらい、三十五年と三十六年と比較しますと増になっております。
東海林稔
7
○
東海林
委員
このうちで住宅用地に壊廃されたものはどのくらいになっていますか。
小林誠一
8
○小林
説明
員 大体におきまして三十五年度は約四〇%でございます。三十六年度は三六%ということで、ウエートとしましては下がっております。
東海林稔
9
○
東海林
委員
そこで、今度このように年々二万から二万五千町歩というものが壊廃されておるわけですが、一面開墾とか或いは干拓、埋め立て等によって新たに農地の造成されておるほうはどういうことになっておりますか。
小林誠一
10
○小林
説明
員 農地の造成面積につきましては、国から補助を出して開墾いたしましたり、あるいは干拓を国で直接やりましたり、あるいは県でやる市町村でやるという面積の数字しかここではわからないのでございます。その面積は三十五年度が一万四千六百三町歩、三十六年度が一万一千四十五町歩ということになっております。
東海林稔
11
○
東海林
委員
いま三十五年、三十六年の両カ年における農地の壊廃
関係
と、新たに造成された
関係
の数字を拝聴したわけですが、つぶすほうはだんだんふえる傾向にある。造成するほうはだんだん減る傾向にある。すでに造成よりも壊廃のほうが多くなっておるという数字が出ておるわけです。昨年農業
基本
法の審議の際に、私は今後の農地の増減の見通しは一体どうかということを、当時の周東農林大臣に質問したところが、大体つぶれる程度のものは造成していくのだ、したがって、十カ年後においても、日本全体の農地の面積は現在とあまり変わりがないのだ、こういうような大臣の答弁があり、当時の農地局長のこまかい数字的な答弁では、水田の面積は若干減るが、畑地がふえるので、差し引き三、四万町歩増加するのだというような答弁があったわけでありますが、ただいまのような傾向でいきますと、当時の農林大臣や農地局長の答弁とは非常に違ってきて、今後日本の農地がだんだん減っていくんじゃないか、このように考えられるわけです。私ども農業
基本
法の審議の際に、政府の農業
基本
法の一番大きい柱になっておる
構造
改善によって自立農家を育成していく。もう一つは選択的拡大でありますが、自立農家を育成していくという点につきまして、政府が考えておるように、単に中小農の離農によって浮かぶ農地を自立農家に取得させることによって、経営の拡大をはかるのだという考え方では不十分であって、もっと積極的に農地自体の造成、拡張ということについて国として努力すべきじゃないか、こういう見解を私どもは主張したわけでありますが、そういう点について政府は非常に消極的であるわけであります。このように農地がだんだん減っていくということは、非常に重大問題であると思うのでありますが、そういう点について、もっともっと積極的に——私どもはこういうような傾向から見ても農地の造成、拡大に国が力を入れるべきじゃないかと考えるわけでありますが、そういうような点についてどういう見解を持っておりますが、お答えを願いたいと思います。
小林誠一
12
○小林
説明
員 先ほど御指摘がございましたように、農地の絶対量は減っておるわけでございます。農林省といたしましても、今後十分その点につきましては力を入れまして造成をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
東海林稔
13
○
東海林
委員
ただいまの問題は、事務当局だけでは答弁が困難だと思いますので、この程度にとどめておきたいと思います。 それで、
法律案
に入りたいと思うのでありますが、まずこの
法律案
の非常に重要な点であります十五条の先買い権、十七条の
土地
等の収用の問題があるわけです。この点につきましては、すでにこれまでも質疑があったようでありますが、この住宅用地の取得ということもきわめて重大なことでありますが、しかし所有権に対する非常な強い
制限
でありまするので、この点は十分検討する必要があると思うわけです。たとえば同じ
土地
収用の対象
事業
として現在認められております
河川
等について見ますれば、これは
国土
の
保全
というような
公共
的な点が非常にはっきりしていると思いますし、また、道路用地等につきましても、それが取得後引き続き
国民
大衆の利用に供せられる、こういう点でわりかたはっきりしていると思うのでありますが、今回の
法案
による用地の取得は、取得後ある程度の整理をやった上で個人に売り渡される。特に宅地だけでなく、営利を
目的
とする商業者の
施設等
の用地としても売り渡される。こういう点から見まして、私はこれは所有権に対して
土地
収用等の強い
制限
をするに一体適当なことかどうかということについて、非常に疑問を持つわけでございますが、この
基本
的な
事項
につきまして、まず御
説明
をいただきたいと思います。
前田光嘉
14
○
前田
(光)
政府委員
宅地の取得のために他人の
土地
を強制的に収用するということは、ただいま先生の御指摘のように非常に問題かと存じます。これにつきましては、建設省におきましてもいろいろ検討しておりました。特に憲法との
関係
につきましても各界の権威の方々の御
意見
も拝聴いたしまして立案したわけでございます。そこで、この
法案
に書いてございますように、収用権につきましては、現在の
土地
事情、最近の住宅事情等から考えまして、こういうような収用権は認めることはできる、しかし、その場合に、ある程度の厳重な
規制
をして、その
規制
の
範囲
内において
公共
性を保持した用に運営ができるならば、収用してよかろうというふうな結論に達したのでございます。そういう
関係
で、収用いたします場合につきましても、特に事前に十分な
計画
を策定する、都市
計画
等によりまして、その用地の取得なりあるいはでき上がる宅地の
計画
が、非常に
公共
的に
計画
されるということをまず画定いたしまして、しかもそうしてでき上がった
土地
の利用等につきましては、一般の
公共
事業
よりは相当異なった
規制
をいたしております。たとえば、その
処分
の場合におきましては、厳重な
制限
を設けまして、
一定
の条件に合った
方法
によって、
処分
する、また、でき上がった宅地につきましては、宅地として所期の
目的
どおり利用されますよう、
一定
の期間内に建築の
義務
を課するとか、あるいは
処分
した
土地
は十年間は移動の
制限
をするとかいうことにいたしまして、その当初の
目的
どおりにこの宅地が
公共
的に活用されるようにという、強い事前及び事後における
制限
を設けることによって、最近の社会情勢から見た場合に、
土地
の収用制度は認め得る、こういうふうな結論に達ましたので、
法案
として提出したのであります。
東海林稔
15
○
東海林
委員
十分検討されたことは、もちろんそうであろうと思うのですが、特に、私はさっきもちょっと申しましたように、営利を
目的
とする業務の用に供せられるものについても——もちろん
処分
価格について若干の考慮が払われているようでありますが、そういうものまで含まれておる点に非常に問題があると思いますが、検討の段階でこういう点、特にどういうことでございましたか、その点もう少し御
説明
いただきたいと思います。
前田光嘉
16
○
前田
(光)
政府委員
この新住宅市街地の規模は相当大規模にすることによって、宅地としての価値が大きい、こういうことから、この
法律
にもありますように、相当大規模の、十万坪あるいは数十万坪という大規模の住宅団地を造成することをねらっております。そういたしますと、そこにおける住民の生活を考えますと、単に住宅宅地だけではなくて、そういう人たちの生活の利便のために、あるいは日用品の売店なりその他の
施設
ができます。こういうものは必ずしも公営的に運営されるべきものだけに限定されませんで、やはり
一定
の商店あるいは理髪店その他考えてみますと、それはやはり営利
事業
といわざるを得ない。しかしながら、そういうものにつきましては、原価で売るということは、その性質上適当でありませんので、日用品その他の売店、住民の福祉の利便に役立つような企業を導入するのは許さざるを得ない。しかし、その場合に、
土地
を
処分
するときには、一般の宅地と違って時価で
処分
のできぬようにということからこういう
規定
を入れまして、
必要最小限
度の、住民の福祉に必要な限りにおいては、営利
事業
も導入するということにしておるのであります。
東海林稔
17
○
東海林
委員
どうもはっきりしないのですけれども、次に移ります。 そこで、冬条文について私がちょっと読んだだけではっきり理解できないような点を少しく条文の順序でお聞きしたいと思います。 まず、第二条の
定義
のところでございますが、そこの5のところで、『「
公共
施設
」とは、道路、公園、下水道その他
政令
で定める
公共
の用に供する
施設
をいう』。こうなっておりますが、私、ここでお伺いいたしたいのは、
土地
改良のための用排水路あるいは農道等は、この
政令
の中に入るのかどうかということです。もし入らないとした場合に、そういうものの取り扱いはどこかほかの条文に何かはっきり出ているか、出ておらぬとすれば具体的にはどういうふうに取り扱われるのかということをお伺いしたいわけです。 それからもう一つ、6と7との関連でございますが、7に
公益
的
施設
ということが出ておりまして、その中に教育
施設
、官公庁
施設
というものも入れてあるようであります。普通
公共
施設
というものの中には、学校でありますとか官公庁というようなものは入るように思うのですが、特に
公共
施設
の中に入れずに、
公益
的
施設
の中にこれを入れたという
理由
はどういうのでありますか、その点をひとつ御
説明
いただきたいと思います。
前田光嘉
18
○
前田
(光)
政府委員
前段の御質問の農業用排水路等は
公共
施設
とはいまのところ考えておりませんが、二十六条に
規定
を設けまして、
事業
計画
を決定いたしまして、この団地の中にいろいろ出てくる
公共
施設
がございますが、そういう場合には、
公共
施設
の
管理者
と相談をいたしまして、その
公共
施設
の
管理者
には
公共
施設
としての仕事をしていただく、そういうことを考えておりますので、その際にそういう
施設
の
管理者
と十分
協議
いたしまして、この中のいまお話しのような
施設
につきましては、
計画
を一体として仕事をしていくように考えておるわけでございます。 第二点の学校その他の
施設
は、われわれは、
公共
施設
と申しますと道路とかあるいは
河川
とかいうふうなものを考えておりまして、住民の生活の利便あるいは福祉の増進ということに
関係
するものは
公益
的
施設
と称しておりますので、そういう分類で分けたわけでございます。
東海林稔
19
○
東海林
委員
そうすると、第二十六条の「その他
政令
で定める者に
協議
しなければならない。」というその「
政令
で定める者」のに
土地
改良区を入れる、こういう御答弁でございますか。
前田光嘉
20
○
前田
(光)
政府委員
さようでございます。
東海林稔
21
○
東海林
委員
今度は第五条と第三条の一の口との
関係
ですが、第五条で、本
計画
は「都市
計画
事業
として
施行
する。」ということになっておるわけですが、第三条の一の口を見ますと、「当該
区域
を住宅市街地とするために
整備
されるべき主要な
公共
施設
に関する都市
計画
が決定されていること。」こういうことになっておるわけです。そこでお伺いしたいことは、この
法案
による
事業
計画
というのは、すでに都市
計画
が決定されたところにだけ行なわれるので、都市
計画
と同時に発足するということはできないように、この条文からはちょっと考えられるのですが、都市
計画
と本
事業
を並行的に新たにやっていくことはできるのかできないのか、その点をはっきりしてもらいたい。
前田光嘉
22
○
前田
(光)
政府委員
この条文は、理論的に書いてございますので、前提として都市
計画
があることは、あらゆる
事業
をしていく場合には当然と思います。しかし、御指摘のように、実際の場合におきましては、両者が同時に決定されることももちろんあろうかと考えております。
東海林稔
23
○
東海林
委員
そうすると、第三条の一の口の「決定されていること。」ということは、どういうふうに解釈すればいいのですか。
前田光嘉
24
○
前田
(光)
政府委員
これも同様の意味でございまして、まずその地区には主要な
公共
施設
、たとえば道路等が決定をされていることがこの
事業
をする場合の前提条件として考えるべきでございますが、全然まだそこに
計画
がないような場合におきましては、この
計画
と同時に並行して実際上
事業
を決定するということも当然あり得ると考えます。
東海林稔
25
○
東海林
委員
次に、第六条の2の
関係
ですが、本
事業
を実施するのは
公共
団体または住宅公団、さらには四十五条でございますかに、一応特殊な法人でもいいということが出ておるわけでございますが、実際、
公共
団体がやるか、日本住宅公団がやるかということは、どういう
関係
できまってくるかということをお伺いしたいわけであります。これは
計画
をきめるのは
建設大臣
でございましょうが、実際には当該の市または特別の町村がこれを検討し、農林省の
意見
を聞きながら
計画
を立てる、こういうことになっておるわけでありますが、この実際面を
公共
団体でやるか、住宅公団でやるかということがどういう
関係
できまってくるのか、この
法律
では「
施行
することを申し出たものが
施行
する。」こういうことになっておるわけでありますが、実際にはどういうことになっておるのか。
前田光嘉
26
○
前田
(光)
政府委員
この
事業
は
公共
団体または住宅公団が行ないます。この意味は、たとえば特定の地区につきましては、
公共
団体が
事業
を
施行
しよう、こう考えまして、その
計画
を立てまして、都市
計画
決定をして大臣の
許可
ないしは
承認
を受けて仕事をするということでございまして、地区によっては住宅公団が行なうというふうに、同じところについて
公共
団体と住宅公団がダブってすることは考えておりません。その地区について、その地区を管轄する
公共
団体及び住宅公団は、全国的に大都市近郊において仕事をしておりますので、住宅公団が行ないます場合には、
地元
の
公共
団体と事前に
調整
をはかりまして、ここは住宅公団が行なうという了解を受けた上で、その地区については住宅公団が行なうというふうになるかと思います。
東海林稔
27
○
東海林
委員
その点はわかるのですが、そういうものは
計画
を立てる建設省の見解でそういうふうにきまってくるのか、それとも当該市町村の希望によってそういうことが決定されるのか、その点をちょっと伺いたいと思います。
前田光嘉
28
○
前田
(光)
政府委員
一番最初におきましては
公共
団体あるいは住宅公団の発意によって仕事が始まると思いますが、その間
建設大臣
と
協議
をいたしまして、必要な
許可
ありあるいは
承認
をとれるということの折衝と並行して、事実上きまっていくものと考えております。
東海林稔
29
○
東海林
委員
それから第二十条でありますが、本
事業
施行
のために「必要な
土地
等を提供したため生活の基礎を失うこととなる者の申出があった場合においては事情の許す限り、その者に対し、住宅のあっせんその他その受ける
補償
と相まって行なうことが必要と認められる生活再建のための
措置
を講ずるように努めるものとする。」ということが書いてあるわけでありますが、実際にはどういうことをやられるのでございましょうか。たとえば農用地を提供したために農家として立ち行かぬということがあると思うのでございますが、その場合に、新たに転業して生活の基礎を考えなければならぬ、そういうようなことの意味なのでございますか。また、そういうような意味であるとすれば、具体的にはどういうようなことを考えておられるか、その点を承りたいと思います。
前田光嘉
30
○
前田
(光)
政府委員
たとえば、お話のように
補償
なりあるいは売却代金を受け取っておりましても、生活の基礎が変わるわけでございますので、あるいはその人の住居についてどこかにあっせんをしてもらいたい、あるいはまた、就職等につきましてもどこかにあっせんをしてもらいたいというふうな場合があろうかと存じます。そういう場合に、
公共
団体なり公団でできる限りのお世話をして、
補償
で終わることなく、そういう人たちが生活再建が円滑にいきますように、できるだけの
措置
を講ずるという趣旨でございます。
東海林稔
31
○
東海林
委員
そこで同じく
補償
ということが書いてあるのですが、私どもが実際地方でたびたび経験することでありますが、建設
関係
の道路でありますとか
河川
等の用地の取得の場合の
補償
は、時価から見ると非常に低い場合が多いわけですね。われわれもよく文句を持ち込まれるわけでございますが、今度の住宅用地としての取得の場合に、従来と同じような
補償
基準
でやられるのでありますか。それともこの点は、いままでとは違った新しい
補償
基準
というものを考えておられるのでありますか。その点をお伺いしたいと思います。
前田光嘉
32
○
前田
(光)
政府委員
補償
につきましては、各地区の
実情
によりまして、具体的にはいろいろ差があるかと思いますが、
公共
的な用途のために
土地
を取得する場合に、できる限り
一定
の
基準
点をもって公平に仕事を進めていくべきでございまして、建設省におきましては、この点につきましては
従前
から検討いたしておりまして、特に最近
関係
各省を通じまして、
土地
の取得に関連する
損失
の
補償
の
基準
を設けまして、現在、単に道路、
河川
の用地のみならず、その他の用地等につきましても、その
基準
によって運営をいたしております。今回の
補償
につきましても、もちろん、
原則
は、御承知のように、時価によるということを
原則
にしておりますが、その具体的な運用につきましては、その
損失
補償
基準
によりまして運用をいたしたいと考えております。
東海林稔
33
○
東海林
委員
私が伺いたいのは、従来の道路や
河川
用地としての取得の場合の
補償
基準
と、今度の住宅用地として取得する場合の
補償
基準
は、一つのものを使うのか、別につくるのか、こういうことをはっきりしてもらいたい、こういうことです。
前田光嘉
34
○
前田
(光)
政府委員
同じ
補償
基準
によって運用いたしたいと考えております。
東海林稔
35
○
東海林
委員
この点は、私は非常に反対です。皆さんとしては、いままでの
基準
でいいというような簡単な考え方かと思いますけれども、これまでの道路とか
河川
の
基準
というものは、実際、時価よりははるかに低いのです。それも、ほんとうに
国土
の
保全
だとかあるいは地域住民全体の利便になるという意味で、がまんをして、ときには、当該地方団体である程度の負担までしてやって問題を解決しているという場合が多いのです。ところが今度、住宅は、さっきもちょっと申しましたように、個人に売り払う、あるいは営利を
目的
とするものについては、もっと高い、原価以上で売るということも考えておるのです。その場合に、道路や
河川
と同じ用地の
補償
基準
ということは、決して納得できないと思いますし、私自身も納得できませんが、そういう点をもう一度——まだ
補償
基準等
きまっていないと思うのですが、検討することができませんかどうか。これは事務当局じゃ困ると思いますから、すみませんが、大臣ひとつ……。
河野一郎
36
○河野国務大臣 お答えいたします。道路、
河川
の
敷地
の場合と宅地の場合には変えて考えなければいかぬじゃないかという御趣旨のようでありますが、これはその
当事者
から見ますれば、いずれも大事な
土地
でございます。それが住宅に使われようが、道路の
敷地
に使われようが、現に持っておる人から見れば同じでございます。また、われわれ買うほうからいたしましても、これは道路に使うのだから安くしろ、住宅に使うのだから高く買うというわけには、予算の編成上、また
行政
運用上もちょっとそういうわけにはいかぬのじゃなかろうか、私はこういうように思います。
東海林稔
37
○
東海林
委員
いま大臣のおっしゃったこと、私もわからぬわけではないのですが、そうなりますと、私がお願いしたいことは、現在の
補償
基準
をもう一度検討し直して、ほんとうの時価主義であれば、もっと
実情
に沿うようにこれを直していただかなければならぬ。大臣は、その点現場の
状況
を知っておられるかどうかわかりませんが、先ほどもちょっと申しましたように、実際には時価と非常にかけ離れておるのです。したがって、われわれのところにもしばしば問題が持ち込まれて、ときによっては一部当該市町村等が負担して、ともかくこれは道路に使うのだ、
国土保全
のため
河川
に使うのだということで、
土地
の所有者に納得してもらっている場合が多いのです。ところが、今度は住宅として売るのでございましょう。中には、営利のため原価以上で売るという場合に、従来と同じような考え方で、がまんせよといっても、なかなかがまんできない。
基準
が一つでなければならぬとすれば、時価主義であるならば、もう少し
実情
に沿うような
基準
にこれを再検討していただきたい、このように考えるわけですが、大臣の御所見を伺いたい。
河野一郎
38
○河野国務大臣 お答えいたします。従来いろいろなケースがあるようでございます。それといいますのも、
土地
について
一定
の標準というものは従来発見しにくかった。そのために、ときによればごて得というような場合も起こっておりますし、また、お話のように、
地元
がそういう精神に徹して
公共
に協力すというような気持ちで安く売らしていただく、もしくは市町村で協力していただいているという例もないことはないのでございます。そこで、われわれが考えましたのは、
土地
価格の鑑定士法というものを今度つくりまして、これによって公正な
土地
価格を表示していこうことでいまお願いをいたしております。この
法律
ができますれば、鑑定士によてっ妥当な
土地
価格というものが全国的にきまってまいります。当然これを
基準
にして今後
法律
の運用をしてまいる、こういうことでございますから、これまでよりそこに一つの目安が立ってまいります。それを基礎にしてまいりますから、お話のよう点は相当是正されるだろう、こう考えます。
東海林稔
39
○
東海林
委員
大臣はもうけっこうでございます。 次に、また事務的にお伺いしたいのであります。 第二十三条
関係
でございますが、
処分
計画
、ここにも「
政令
で定めるものに対しては、
政令
で定めるところにより」こういうことになっておるわけです。前段を見ますと、宅地を買い上げられたものについては一応先買い権ですが、優先売り渡しをする、こういうことになっているわけですが、農用地を買い上げられた者に対しては、一体この優先譲渡ということが考えられるのかどうか。この
政令
の
内容
がはっきりしませんので理解しかねるのですが、農用地を買い上げられた者について、その人がそこに新たに住宅をつくりたい、こういうような場合に優先譲渡が考えられておるのかどうか、この点をはっきりさしてもらいたい。
前田光嘉
40
○
前田
(光)
政府委員
住宅市街地に
土地
を提供した人に対しましては、特に優先的に宅地を譲り渡すことを考えております。
東海林稔
41
○
東海林
委員
いまのは、そうすると、農用地を提供した者がそこに宅地がほしいという場合には、優先的に売ってやる、その者がさらに商売がえをして店をやりたいという場合にはどういうことになりますか。
前田光嘉
42
○
前田
(光)
政府委員
両者の場合、優先的に便宜をはかれると考えております。
東海林稔
43
○
東海林
委員
それから第二十四条でございますが、ここに売り渡し価格について、営利を
目的
としないものについては原価主義、「営利を
目的
としない業務の用に供されるものについては、」これは時価主義というのですか、そういうことになっておるようです。いま御質問しましたように、農地を提供した人が、今度は農業をやれないからそこで店をやりたいという場合に、ただいまの御答弁で優先の売り渡しはする、こういうことでござがましたが、その場合の価格はやはり営利を
目的
とするものだから、これは高い値段で売るということになるのでありますか、用地の提供者であるということによって、価格の面についても何らかの考慮が払われることになるのでありますか、その点をはっきりしておいてもらいたい。
前田光嘉
44
○
前田
(光)
政府委員
売り渡すことにつきましては、優先的に扱うつもりでございますが、その価格につきましては、その者が営利を
目的
とする
事業
に使う場合には、その
事業
自体がこれは営利
事業
でございまして、相当な収益を予定されますので、その場合には、時価を
基準
とした価格で売り渡すのが適当かと考えております。
東海林稔
45
○
東海林
委員
そこで、さっき質問した第二十条の「生活再建のための
措置
を講ずるように努めるものとする。」こういう精神からいえば、そこにも何らかの考慮が私はあっていいのじゃないかと思うのですが、二十条との関連において、いま少し明確にしておいてもらいたい。
前田光嘉
46
○
前田
(光)
政府委員
二十条におきましては、正当な
補償
はしておりますけれども、
補償
だけでは十分でないところの生活再建について必要なお世話をするということを
規定
しておりまして、
補償
を一応正当な評価によってしておりますので、さらにそれ以上に財産的な
利益
を与えるということまでは、実は二十条では考えておりません。二十三条におきまして、宅地あるいは必要な店舗その他の仕事をするための
土地
は優先的に譲渡いたしますけれども、その場合の価格は時価でお願いいたしまして、もし必要ならば、その与えました
補償
費、買収価格によりましてこの
土地
を買っていただくということにするのがよかろうと考えております。
東海林稔
47
○
東海林
委員
そうすると、ただいまの御答弁は、第二十条でそういう点を十分考えるから、特に
処分
価格においては特別な取り扱いはしないのだ、したがって、二十条のこの
措置
が十分講ぜられるということを前提としてのただいまの二十四条に関する御答弁、このように理解してよろしゅうございますか。
前田光嘉
48
○
前田
(光)
政府委員
二十条で考えると同時に、二十三条の
処分
計画
で、この
事業
の
施行
に伴いまして、自分の
土地
を失った者につきましては、特に優先的に扱うように書いてございますので、この
規定
の運用によりまして、宅地を優先的に与えることにより、価格につきましては、その
事業
が営利
事業
であるならば、時価を
基準
として
処分
するのが適当であろう、こういう考え方でございます。
中島巖
49
○中島(巖)
委員
議事進行。現在の
出席委員
の数は、自民党は政務次官まで入れて四名しかおらぬ。国会法第四十九条でもって、この
委員会
は成立せぬから、さよう御承知願いたい。
福永一臣
50
○
福永
委員長
暫時休憩いたします。 午後零時五分休憩 ————◇————— 〔休憩後は
会議
を開くに至らなか った〕