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1963-05-31 第43回国会 衆議院 建設委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月三十一日(金曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 大村 守江君 理事 薩摩 雄次君    理事 二階堂 進君 理事 石川 次夫君    理事 岡本 隆一君       大倉 三郎君    大沢 雄一君       金丸  信君    島村 一郎君       正示啓次郎君    砂原  格君       丹羽喬四郎君    前田 義雄君       佐野 憲治君    日野 吉夫君       三宅 正一君    山中日露史君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  向坂 正男君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  大來佐武郎君         建設政務次官  松澤 雄藏君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  委員外出席者         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 五月二十九日  不動産鑑定評価に関する法律案内閣提出第  一七四号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  不動産鑑定評価に関する法律案内閣提出第  一七四号)(予)  新住宅市街地開発法案内閣提出第一五三号)      ————◇—————
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  去る二十九日、本委員会予備審査のため付託されました不動産鑑定評価に関する法律案議題といたします。
  3. 福永一臣

    福永委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。松澤建設政務次官
  4. 松澤雄藏

    松澤政府委員 ただいま議題となりました不動産鑑定評価に関する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明いたします。  最近における宅地価格高騰は、根本的には宅地需要供給との不均衡によるものと考えられますが、さらには、合理的な地価形成をはかるための制度が欠除しているため、地価がい  わゆる呼び値等によって安易に、しかも不合理に決定される傾向が見受けられ、このことが宅地価格高騰を  そう著しいものとしている現状にあります。  このような現状にかんがみ、現下の宅地難に対処する諸施策の推進をはかり、あわせて宅地の流通の円滑化宅地価格の安定に資するため、土地等の適正な価格形成をはかるための制度上の措置を講ずる必要があるものと考えられるのであります。  この問題に関しましては、本年三月宅地制度審議会から「不動産鑑定評価に関する制度確立に関する答申」を受けたのでありますが、政府といたしましても、慎重に検討を重ねました結果、不動産鑑定評価について権威ある鑑定人を確保し、不動産鑑定評価に関する業務の適正をはかるための制度確立することにより、土地等の適正な価格形成に資する必要を認め、このたびこの法律案を提出することといたした次第であります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、不動産鑑定評価について権威ある鑑定人を確保するため、不動産鑑定士及び不動産鑑定士補制度を定め、高度の国家試験を実施するとともに、その合格者について建設大臣登録を実施することといたしております。  第二に、不動産鑑定評価に関する業務の適正をはかるため、不動産鑑定業者について建設大臣または都道府県知事登録を実施し、この登録を受けない者は、不動産鑑定業を営んではならないことといたしております。また、不動産鑑定業者は、その事務所ごとに、専任の不動産鑑定士を一人以上置かなければならないこととし、不動産鑑定士または不動産鑑定士補でない者は、不動産鑑定業者業務に関し、不動産鑑定評価を行なってはならないことといたしております。  第三に、不動産鑑定士試験を実施し、または不動産鑑定士及び不動産鑑定士補に対する懲戒処分について建設大臣意見を述べさせるため、建設省付属機関として不動産鑑定士審査会を置くことといたしております。  第四に、この法律は、昭和三十九年四月一日から施行することといたしておりますが、施行の日から三年以内に限り、不動産鑑定評価に関し一定年数以上の実務経験を有する者等に対し、本試験にかえて特別不動産鑑定士試験及び特別不動産鑑定士補試験を実施し、これらの試験合格者不動産鑑定士または不動産鑑定士補となる資格を与えることといたしております。  第五に、土地収用法の一部を改正いたしまして、収用委員会がその審理において鑑定人に出頭を命じて土地等価格に関し鑑定させるときは、当該鑑定人のうち少なくとも一人は不動産鑑定士でなければならないことといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
  5. 福永一臣

    福永委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 福永一臣

    福永委員長 新住宅市街地開発法案議題として審査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。石川次夫君。
  7. 石川次夫

    石川委員 総合開発局長さんがお見えになったようでありますから、若干の質問をしたいと思うわけであります。  実は国土総合開発法は、御承知のように昭和二十五年に出ておりまして、これに関連いたしまして新産業都市建設促進法というようなものも先般議会の問題になったわけであります。これはきょうの質問からはちょっとはずれますけれども、たとえば新産業都市建設促進法にいたしましても、全国総合開発計画に準拠してこれを制定するというようなことになりまして、そういう関係もあって、昭和二十五年に出た国土総合開発法というものは、法律が出たままで一向具体的な国土総合開発についての発表がなかったわけでありますけれども、この新産業都市建設促進法が出るについては、全国総合国土開発に準拠したものでなければならぬということで、この新産業都市のほうは具体的にどこに規定するかというような問題が一点残っておるようであります。当然その前提としての国土総合開発法によるところの全国総合開発というものに関する資料〜申しますか、それに準拠した何かの発表があったんじゃないか、こう考えておるのですが、われわれ建設委員会としては、相当これに対して関心を持っておるわけであります。たまたま新産業都市の問題が、商工委員会では提案になり審議になっておりますけれども建設委員会としても重大な関心を持っておりますので、この前提となる全国総合開発発表というものは、われわれ資料をもらっておらないということで、一体どういうふうになっておりますか、ひとつお知らせを願いたいと思います。
  8. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 ただいま御質問がございましたように、新産業都市法も、全国総合開発に準拠してすることになっておるのでございますが、全国総合開発計画は、国土総合開発法に規定されました四つの総合開発計画一つでございまして、その作成は、実は法律昭和二十五年にできまして以来、なかなか各種の事情で正式な全国計画ができない事情でございましたが、一昨々年ですか、三十五年に国民所得倍増計画ができまして、そのあとを受けまして、三十六年の七月全国計画の草案ができました。それから約一年間、各方面の検討、批判を経まして、昨年の十月五日に正式に全国開発計画閣議決定になったわけでございまして、この資料がこちらの委員会にお届けしてなかったといたしましたら、それはたいへん手落ちでございますので、早急にお届けするようにいたしたいと思います。経緯としては以上のとおりであります。
  9. 石川次夫

    石川委員 実は、私たまたまこれをさがしました昨日、非常に薄っぺらなパンフレットになっておりますあれを拝見したわけなんです。あれがわれわれが非常な期待をかけた全国国土総合開発のさんざん検討した結果かと思って、実は落胆をさせられました。それにいたしましても、この建設委員会としては、相当関心を持っておるものが、内容はどうあろうとも、全然資料が配付されなかったということは、いま申しましたように、企画庁の重大な手落ちじゃないか、そういう点を反省をしてもらいたいということ。それと、あの資料をきのう初めて拝見をしましたけれども、そう言ってはたいへん失礼ですが、たいへん簡単で、何か一応の作文程度のものに終わっているのじゃないかという気持ちを持っております。ああいうことでは、新産業都市、あるいはその他の低開発とか地方開発特定地域開発というものの土台になるものだとはとうてい考えられない、こういうことを痛感をいたします。  そこで、きょうの質問といたしましては、実は国土総合開発の中で問題になりますのは、何といってもやはり道路、それから鉄道などを含めた交通の問題であるであろう、あるいはまた水の問題であるであろう、あるいは土地利用の問題というものが骨組みになるだろう。きょう私が質問いたしたいと思いますことは、直接大來さんの関係にはなりませんけれども提案になりました新住宅市街地開発法というものは、多年懸案になりまして、われわれとしても、こういう法案が必要ではないかということの結果出されたものでございまして、非常に前向きの法案である、こう考えております。しかしながら、これだけで十分な成果を期待することはとうていできないということで不満が残されておるわけでございます。その不満をカバーする意味で、きょう来ていただいたわけでございますが、この全国総合開発の中で土地利用ということを大いに具体的に促進をしてもらわなければならぬ。特に土地利用区分というものについては、ぜひひとつ考えていただかなければならぬ。私から言うのは釈迦に説法のたぐいでございますけれども、御承知のように、土地価格というものが異常暴騰を遂げておる。これはただ単に住宅地が確保できないということだけの問題ではございません。もちろんこれは物価問題の根本にもさかのぼっておる、あるいはあなたのほうで計画をされた国土総合開発をやろうと思っても、土地高騰ということか一番のガンになることは言うまでもないわけであります。そこで、この新住宅市街地開発法案の出たゆえんというものは、とりあえず住宅地というものを確保する、かたがた一方、土地高騰というものを押えていこうというねらいを持った法案として出されたわけであります。  そこで、住宅地を確保するという目的以外に、土地価格を押えていくという目的だけに限定して考えますと、きょうちょうど鑑定士法というものが提案になりましたが、こういうことも必要でありましょう。しかし、この鑑定士法の中身はまだわれわれ読んでおりませんけれども、きわめて不十分なもののようであります。しかし、土地値段を押えるためには、いろいろ総合的な案が出されなければならない。その一環として不動産鑑定評価に関する法案が出た。それから、いま言った新住宅市街地開発法案が出たわけでありますが、この前提としては、この前の委員会岡本さんのほうから質問がありましたけれども、何といっても土地というものは、それ自体公共性を持っておる国土としての観念を植えつけることが、一番基本となる問題ではなかろうかと思いますけれども、それと同時に、土地利用区分というものを明確にしておく。土地利用区分を明確にした上で、この新住宅市街地開発法案提案になるという運びになると、鑑定士法とあわせて土地価格を押えるということの成果を十分期待することができる、こう考えるのであります。なるほどいまの全国総合開発資料を拝見いたしますと、そこまでの作業というものはなかなか容易ではなかろうという感じがするわけでありますけれども、当面政府関係機関としてそれを考える機関があるとすれば、あなたのほうの関係ではないか、こう考えざるを得ないのであります。したがって、私が質問したいのは、土地利用についてどの程度作業が進んでおるか。行く行くは土地利用区分というものは、日本は、御承知のように、山岳地帯が非常に多く、平地が少ないという点で、この山岳地帯利用を大いに考慮しなければなりませんけれども、特に狭い平地面積、可耕地の面積についての土地利用区分というものを、総合的に前提として考えるということが伴って初めてこの法案が十分な成果をあげ得る。この前提を取り違えてずれてしまった。この作業は、非常にむずかしいかもしれませんけれども、これをぜひともやらなければ、将来の大構想が成り立たぬ。総合開発計画にいたしましても、土地価格を押える問題にいたしましても、この点がかぎになるのではないかと思うのです。ことにこの土地利用区分が一体どの程度作業が進められて、どの程度見通しになっておるか、また、どのくらいの熱意を持って土地利用区分をやろうという心がまえであるかという点につきまして、大來さんの見解を伺いたいと思います。
  10. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 第一の全国計画がやや抽象的であるというお話でございまして、確かに内容が抽象的な表現になっておるのでございますが、私どもあの原案のできる過程におきまして、国土総合開発審議会関係各省等の打ち合わせもございまして——いろいろ表現にはむずかしい点もございますけれども、今後全国的な地域開発考え方の筋道を明らかにしているという点で、いろいろその後の具体的な政策の手がかりになるものではないかと存じているわけでございます。拠点開発考え方とか、地域政策内容によって、全国を三つの地域に分けたとか、あるいはブロック別工業生産の割り振りを一応掲げているとかというような点がございます。なお、その抽象的な点をブロック計画等でもう少し具体的にして、あるいはさらに県計画というものが、従来は全国計画がございません段階では、一応県が自発的につくったそのままということでございましたが、今後は、一応全国計画のものさしで検討していくというようなかっこうにもなるかと思うのでございます。  第二段の御質問の点につきましては、土地利用区分についての詳細な計画はございませんで、実は国土調査法という法律がございまして、全国国土調査を従来からやってございまして、いままで約十年やっております。今後また十年間延長してやるということが先般の国会でも御決定になったわけでございまして、新たに国土調査の第二次十カ年計画を最近策定いたしたわけでございますが、これなどは、その地籍調査のほかに土地利用調査を第二次十カ年計画へ相当含めるという考え方でございまして、いま御指摘のありました土地利用区分を考える一つ前提になるかと思うのでございます。  それと、先ほどお話のございました新産業都市法律は、その中で指定された地域のいろいろな施設の計画を立てることになっておりまして、その中に土地利用区分が含まれることになるかと存じております。全国一般についてこの土地利用計画ができるということは望ましいことだと思うのですが、ただ、経済発展が相当急テンポに起こりますと、なかなか予定しがたいような変化発展が起こりますし、あまり詳細に土地利用を規定するということも、現実問題として実際とそぐわないという事情も出てまいるかと思うのでございますが、今後新たに工業都市として考えるような新産業都市等につきましては、この法律に基づきまして大体の土地利用区分土地利用計画がつくられる予定になっておるわけでございます。
  11. 石川次夫

    石川委員 大体の御説明を受けたのでございますが、御承知のように、何回も繰り返すように、土地値段をどうやって押えるかということはきわめて深刻な問題で、新聞などにも非常に多くのページをさいておるわけです。その関連でこの法案が出て、鑑定士法が出て、そのあと空閑地税であるとか、土地増価税であるとか、いろいろな問題が現在考慮されておりますけれども新聞の論調などにも出ておりますように、何といっても土地利用区分というものを確立をするということを前提としなければ、土地高騰を押えることは十分な効果が期待できないということを痛感するわけであります。ところで、それが政府全体として土地利用区分というものを明確にするというかまえができているかどうかという点について、基本的な問題が残されておるわけでございます。少なくとも、担当のあなた方のほうでは、全国津々浦々に至るまで、この土地利用区分を明確にするということはなかなか困難でございましょう。しかしながら、土地利用区分をするということが、どうしても総合開発上あるいは地価を押えるという関係上必要なんだ、こういう基本的な態度を堅持して、その上に立って土地利用区分を何とか促進をする、具体化するというかまえでやってもらわなければならぬ、こう考えておるわけでございますけれども、その点の見通しは、いまの御答弁の範囲では非常にあいまいのようでありますが、その点はどうなっておりますか。
  12. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 ただいま申し上げましたように、新産業都市に指定されましたところでは、そういうことがある程度行なわれるかと思います。そのほか首都圏とか、あるいは近畿圏とか、そういう単独の地方開発法律ができておりますところについても、必要に応じて行なわれつつあるのではないかと存ずるわけでございます。まあ全国的に見まして、工場用地公共用地宅地用地等面積等が、これは倍増計画のときの計算でございますが、これらに要する面積が合計十七万ヘクタール程度というような数字が出ておるわけでございますが、国土面積全体に比べれば約〇・三、四%でございますか、耕地面積に比べれば三%くらいというのが、今後十カ年間のそういう工場用地宅地用地公共用地に必要な面積になるわけでございます。国土全体の広さから比べれば、比較的都市的な土地需要というものは少ないように考えるわけでございます。したがって、一番計画の必要なといいますか、考え方の必要な点は、やはり従来の農地が宅地あるいは工場用地に変わるというようなところに関連したところが、土地利用考え方を明らかにする上に必要だと思うのでございます。いまの新産法とか首都圏整備とか、それぞれの法律においてだんだんそういう努力が行なわれつつあるのが現状だと思いますので、必要に応じて土地利用区分を考えていくということになるかと存じておるわけでございます。
  13. 石川次夫

    石川委員 いつまで繰り返してもしようがありませんが、開発局関係はこのくらいで打ち切りたいわけでありますが、ただ問題は、国土総合開発というものが骨になって、それから地方あるいは特定あるいは各府県の開発というものが出発をするということになっております。この全国総合開発というものを具体的に促進するというときの一つのバック・ボーンといいますか、その骨といたしまして、土地利用区分というものを明確にするのだというような方針を貫いていただくと、その次のそれを前提として出発するところの数々の総合開発、あるいは首都圏整備その他の問題についても、それが基盤となって発展をするというような方向づけを企画庁のほうで考えていただかなければならない。それをやらなければ、基本的な問題、あるいはこの総合開発土地価格抑制ガンというものは、取り除くことができないということを十分お考えをいただきながら、ひとつ作業を進めていただきたいということをこの際お願いしておきたいと思います。  それから、経済企画庁地域経済問題調査室というのは、どちらの関係でおやりになっておりますか。
  14. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 官房地域経済問題調査室というのが別にできておりまして、これは一応開発局とは別の所管になっておりますが、私どももその審議内容についてはいろいろ連絡を受けておるわけでございます。
  15. 石川次夫

    石川委員 それでは、その関係でちょっと質問をしたいと思いますが、いま申し上げました地域経済問題調査室のほうで発表された地価現状と対策というものがだいぶ前に出ておったわけであります。そこで発表になった内容を見ますと、こまかに申し上げる時間の余裕がありませんけれども一般庶民は安い土地を求めて都心から遠いところにどんどん移行をするけれども、この距離については限度がある。通勤距離の問題あるいは時間の限界というものがある。どこまでもそれを延ばすわけにはいかぬ、それから、他方、国民所得あるいは貯蓄水準から見まして、講買力限界がある、したがって、地価というものはこのままではそう上昇はしない、鈍化するのだ、こういう見通しを立てておったわけであります。しかしながら、残念ながらこの見通しは裏切られたといいますか、地価は予想に反して意外な上昇を続けておるということでありまして、その見通しが狂ったということであります。したがって、地価の問題に対するかまえ方というものが、少し楽観的過ぎるといいますか、資料が不十分なのでよくわかりませんけれども、そういう点少し考え方が甘過ぎるのじゃないか。したがって、そういう点でも、この土地利用区分などと関連をいたしまして、甘いものの考え方になるのじゃなかろうかというふうに思わざるを得ないわけでありますけれども、この地価の問題について今後はどうかというお見通しを現在のところ——これは大來さんに直接伺うのは筋違いかもしれませんが、前と同じようにまた鈍化するだろうというような楽観は、私はとてもできないと思うのです。そういうことでは、経済企画庁は、物価の問題を扱っている、物価問題の根本はやはり地価につながっていると思う。信用インフレにもつながっていると思うのです。そういう点でひとつこの点の見通しがあれば伺いたいと思います。
  16. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 いま調査室は実は官房所管でございまして、私のほうの直接の管轄ではございませんので、したがって、公式な意見を申し上げる立場にないわけでございます。ただ、宅地所要量というものを今後十年間で、倍増計画等ではじきましたときに、大体六万ヘクタール、その後建設省の御調査等でもたしか七万ヘクタールぐらいということであったかと思うのでございますが、これは全国耕地面積六百万ヘクタール、あるいは全国国土面積三千七百万ヘクタールというようなものに比べますれば、量的には比較的少ないということになるのではないか、それにもかかわらず地価上昇いたします点は、一つは、通勤に便な、利用可能な範囲における土地供給が限られておるということが一つあるかと思いますし、それからもう一つは、土地利用の形態が変わりますと、地価が一段と上がるといいますか、つまり土地生産力といいますか、一坪当たりの生産が、農業に比べまして工業の場合は数百倍になりますし、そういうように土地利用価値が、使用目的が変わるために地価上昇するという面がございます。そこらの点と、それから将来は工業がある程度全国に分散するという問題が考えられておるわけでございますので、土地供給が適切であり、投機的な動きをかなりな程度抑制できれば、本来需要供給関係からいえば、サラリーマン、普通に住宅を持つ人が支払い得る経済的な限界にその需要供給価格がくるのが経済法則かと思うのでございますが、いまはそういう利用可能な土地が限られておるということ、それから地目の転換が行なわれておるというような点が、地価上昇に非常に影響しておるのではないか、私どもも楽観しておるわけではございませんが、長期的にそういう判断をいたしておるわけでございます。
  17. 石川次夫

    石川委員 このことは、話をしますと、大へん議論になりますからその辺で打ち切っておきます。  次に、計画局長に伺いたいのですが、いまの問題は、主として土地価格の問題に関連する土地利用区分ということで、ほんとうに大ざっぱな基本的な問題だけを質問したわけでございます。この法案それ自体は、地価を抑制するという目的をあわせ持っていますが、何にしても直接的には住宅地を確保するということで、住宅問題に関連する法案として出されておるわけです。そこで、現在の住宅難はどういうことになっておって、これは住宅局長関係でございますが、それに関連して、諸外国に比べて、住宅に対する投資というものが非常に少ないのじゃないか、住宅問題を緩和するために、現在のような状態を続けていく限りにおいては、住宅難は緩和できないんじゃないかという点についての見解を、資料をもとにして出していただきたい、こう考えております。現在の住宅不足は、いろいろ統計が出ておりますけれども、あまり信頼するに足る具体的な統計というものはないわけでございますが、大体現在でも三百万戸くらい足りないだろう、老朽住宅は年間三十万戸くらい出るだろうというような大ざっぱな数字が出ております。しかし、終戦後は、四百二十万戸が不足だといわれたのが、現在三百万戸というと、ずいぶんうちを建てたのに、あまり住宅難が緩和されていないという数字になっております。しかしながら、これはやはり所得水準が相当上昇したことによりまして、個室が必要になったとか、あるいは新憲法によりまして、世帯が分離をするという傾向もありましょうし、それから、都市に労働人口が集中するという問題で、農村を捨てて都市に集中をしてしまったということから、都市だけに特に住宅難という傾向が強く出ているという問題、あるいは戦後建てたものが老朽になってしまって、建てかえなければならぬというふうないろんな問題が続々と出てきております。そういうことで、うちを建てても建てても、まだまだ住宅が不足しているという状態が当分は続くんではないかというように考えておるわけであります。こまかい住宅の建築の内訳とか何かそういうものは省略をいたします。  実は私、十二時に出かけなければならぬ用事がございますので、非常に残念でありまして、残された機会に質問をすることにいたしたいと思っておりますが、ここで端的に結論的な質問を申し上げたいと思うのでございますけれども、貯蓄、それから投資の関係などに関連をしまして、国民生産に対しての投資比率は、日本は三〇%前後で世界一だということになっております。三十六年度は四三%というふうな非常な数字が出たわけでございますが、個人の貯蓄率からいいましても、可処分所得に対しましては、一五%ということで、これはやはり世界一だ。非常に勤勉で、貯蓄心の旺盛な国民ということになっておるわけであります。その貯蓄というものが基本になって、投資というものが行なわれるわけです。高度成長の原因でありますところの投資というものは、国民生産の中に占める比率は日本は三一%、非常に高い。こういう数字が妥当かどうかということも一応あとで御批判を願いたいと思うのでありますが、この国民生産の中に占める投資の比率というものが、ほとんどが設備投資の方に向けられておるということを私は申し上げたい。しかしながら、設備投資でもって生産を大いに向上させるということは、もちろん必要でございましょうけれども、しかしながら、住宅というものもやはり設備と密接不可分の関係で再生産の根拠になっておるわけであります。衣食というものはどうやらもはや戦後ではないという言葉が通っておりますが、住はまだまだ戦後であるというのも、国民生産の中に占める投資の率が、設備投資にあまりにも向けられ過ぎておるのではないか、住宅の方の投資は、日本ではわずかに二・二%しかない、こういう資料が私の手元にはあるわけです。ヨーロッパでは少なくとも四%以上という数字で、ほとんど日本の倍というふうな形になっております。これを日本の国家予算の上からいいましても、大体大同小異の数字が出てまいりまして、政府施策住宅といっても、政府施策住宅は全部国が出してつくるわけではございません。頭金というものが相当要るというようなことから、一年間の全住宅建築費用の中で政府の出す金は、大体一八%という数字がはじき出されておるわけであります。外国では大体六割ないし六割五分、多いところでは、オランダあたりでは七割というような数字が出ております。したがって、総資本形成の中で、住宅には日本ではわずか七%しか金が出ていない。ヨーロッパでは大体二〇%くらい出ておる。それから、全建築住宅の中に出す政府の金が、日本ではわずか一八%であるけれども、世界の常識では、やはりいま申し上げましたように六割五分から七割というようなところまである。こういうような点から見ますと、日本の政治というものは、生産をあげることには非常に急であるけれども、そういう点で非常な経済成長を示しておるということは言えるけれども、反面、国民の生活を大事にしていない政治じゃないか、こういう見方も出ております。特に日本は住宅難に非常にあえいでいる、特に低所得者が。  最近、消費ブームと言われておりますけれども、五万円くらいのものが家庭電気器具ということで非常に購買意欲をそそっておりますけれども住宅となると、とうてい手が出ない。この所得階層別というものを見ますと、どうしたって日本では三万円以下の世帯が圧倒的に多いわけであります。したがって、三万円以上の人が自分の住宅の環境をよくするためにりっぱな家を建てたい、三万円以上じゃちょっと無理でございますけれども、相当所得の多い人が自力建設というのもけっこうでしょう。十年間に一千万戸つくるという建設省計画それ自体につきましても、四割が政府施策住宅というのでございますけれども、この中で政府資金というものは幾らも出ておらぬわけでございますから、結局は、いまの一八%という率が、それよりたいして上がるということが期待できないというような状態では、私は基本的には、住宅問題というものは解決できないと思う。個人の貯蓄に依存して、貯蓄が多ければ住宅の方にも向きますけれども土地がこのようにどんどん上がっていくという状態では、個人の自力建設ということに期待しても不可能ではないか。したがって、計画局長にお伺いしたいのは、諸外国との比較におきましても、投資の中における住宅に対する比率というものは一体どういうふうになっておるか。大体日本は相当低いパーセントになっておると思うのです。その辺の具体的な数字、資料がありましたら、ひとつお教えを願いたい。
  18. 向坂正男

    ○向坂政府委員 お答えいたします。さっき御指摘ありましたように、住宅投資の統計は、各国まちまちであり、また日本の統計も、必ずしもいま十分正確な統計が出ているかどうか、検討を要するところでございます。したがって、外国の住宅投資というものと日本の住宅投資を正確に比較することは、なかなか正確を期することはむずかしいのでございますけれども一つはOECDで出しましたヨーロッパの住宅及び建築統計について、ヨーロッパ、アメリカの統計を見ましても、それから日本のほうを幾つかつくってみたわけでございます。先ほど国民総支出の中で住宅投資が二・何%というふうに言われましたけれども、それはおそらく国民総支出に占める個人住宅投資の割合かと思われます。個人住宅投資のほかに給与住宅なり、あるいは行政投資による住宅の建設もあるわけでございます。それらをどういうふうに算定し、どう加えていくかはいろいろ問題のあるところでございますけれども、まず国民総支出に占める個人住宅投資の比率で申しますと、昭和三十六年度で二・五四%、三十七年度の経済見通しの実績見込みによりますと、二・八六%にふえる見込みでございます。これは昭和三十年ころの数字に比較しますと、この投資率はかなり上がってきてはおります。設備投資のほうが、さっき御指摘のように、昭和三十年以降急速に増加しまして、設備投資の増加率に比べると、住宅投資の増加率はおくれておりますけれども住宅投資自体国民総支出に占める比率は逐次上がってくる傾向にあるわけであります。  それから第二に、個人住宅投資のほかに、さっきの給与住宅あるいは行政投資による公的資金による住宅、そういうものを含めますと、これは建設白書に出ている建設省の推計でありますが、昭和三十五年度で国民総支出に対して四・三三%、三十六年度が四・六五%というようになっております。  そのほか、ちょっと申しおくれましたが、個人住宅投資につきましては、主として建築動態統計に基づいてやっているわけですが、この建築動態統計の把握率、捕捉率がまちまちでありまして、建築動態統計をもとにして何割増しかというふうに見て個人住宅投資をはじいております。ですから、個人住宅投資の先ほどの数字は、あるいは実際よりも過小かという見方をいたしております。  それから、国民所得統計による個人住宅投資に法人企業の投資実績調査、これは企画庁で実施しております調査ですが、法人企業の投資実績調査に給与住宅の投資実績額が出ております。このほか行政投資による住宅投資額を加えた数字を見ますと、昭和三十五年度で国民総支出に対して三・二%という数字になっておるわけであります。ただし、先ほど申し上げたように、これには建設省の推計とはかなりの開きがございます。それは個人住宅投資の投資額の見方によるわけであります。  外国と比較してみますと、先ほどのOECDで出しましたヨーロッパの住宅及び建築統計によりますと、一九六〇年、昭和三十五年度では、イタリアが五・五%、イギリスが三・二%、アメリカが四・五%というようになっております。なお、一九五九年の数字しか載っていない国がございますが、フランスが一九五九年で四・三%、それから西ドイツが五・三%というようになっておれます。したがって、日本と比較いたします場合に、建設省の建設白書による推計をとるか、国民所得統計にある企業の給与住宅、あるいは行政投資を加えた数字をとるか、どれをとるかにより空けが、建設省の推計をとりますと、ヨーロッパのそういう国々の中で中間からあるいは若干高いほうの部類に属する。GNPに占める総住宅投資の比率から見ると、ヨーロッパ水準の中の幾らか高いほうの国々に近くなってきつつあるというふうに見てよろしいかと思います。  先ほども御指摘のように、住宅は、この高度成長過程で、投資としては非常にふえておりますけれども、産業投資に対しては総体的に立ちおくれでございますし、住宅建設につきましては、なお一そう充実する必要があるかと存じております。
  19. 石川次夫

    石川委員 いまの数字は、あとでよく検討しないと、何とも私のほうで意見を申し上げることはできないのですが、私は総支出に対しての比率じゃなくて、総生産に対する比率として申し上げたので、若干の食い違いがあるんじゃないか、こう思うわけであります。  それで、私時間がないものですから非常に残念でありまして、いずれ機会をあらためて伺いたいと思いますけれども、どう考えても、ヨーロッパの中というようなことには、どの数字を見ても、どの資料を見ても、私のほうではそういう結果が出てまいりません。企画庁のほうで出された、朝日ジャーナルにいつか出しておったものを見ても、外国から比べれば格段に落ちておるということを、具体的にはっきりと数字をもって示しておったのでありますが、それを私手元に持っておりませんから申し上げるわけにいきませんけれども、大ざっぱに言って、政府資金は大体日本では一八%、外国では六〇%以上であるということが明瞭にされておるわけであります。私の勘で申しますと大へん恐縮でございますけれども、ドイツは、住宅は日本みたいに木造ではございません。相当りっぱな建築で、しかも一世帯当たり大体三十坪というような規模になっております。しかも、ことしで大体住宅難は需給がバランスをして緩和するということがはっきり政府の施策で出ておるわけでありまして、相当思い切った住宅政策をやっております。日本とドイツは、非常に激しく戦災を受けたという点では相似たところがあると思いますけれども、そのドイツでは、住宅難はことしでもって解消する、こういう見通しで、ここに言われた五・三%という数字が出ておる。日本の全体の数字が少ないことは少ないのでありますが、これにいたしましても大体これと匹敵をするということは、どう考えても合点がいきません。したがって、その点については、いずれ私のほうでも調べて、機会を得てこの問題をあらためて提供したい、こう考えております。いずれにいたしましても、設備投資が非常に伸びておるのに比較いたしまして、住宅投資が非常に落ちておる。これがただ単に住宅難という問題だけではなくて、アメリカあたりでも犯罪のもとというのは八五%スラム街から出ておる。ということは、日本でも同じく適用される問題で、社会問題としても、住宅問題の解決を急ぐということはどうしても必要である。再生産の源泉である快的な住宅をつくるという面でも、どうしても住宅問題についての現在の政府の施策はきわめて不十分であると断言しても差しつかえないと思います。したがって、思い切った施策をこの際考えなければならぬという結論を、あなた方の統計からひとつ引き出したいと思っておったわけであります。きょうの御説明ではそういう結論は出ないわけであります。これは私非常に不満であると言っても、これが正確なデータであるとすればやむを得ないのでありますが、どうしてもそれが正確なデータとは考えられません。機会をあらためてまた質問をしたい。その上に立って——住宅政策に対しては、自民党でも特別委員会をつくって思い切った拡充をはかるというかまえをとっておることは喜ばしいことだと思います。国民の立場から、住宅はこのままではだめだということを、新住宅市街地開発法案が出たことを機会といたしまして、具体的に推進をはからなければならぬと考えております。  そのほか、いろいろ住宅内容につきまして、今後どうしたらいいかという具体的な政策につきまして、私は意見を持っておりますけれども、個人的な事情で、きょうは残念ながら時間がございませんので、機会をあらためて質問をすることにいたしまして、きょうは一応私の質問を終わりたいと思います。
  20. 福永一臣

  21. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 最初に建設大臣にお尋ねいたしたいと思うのです。  前回の委員会宅地問題について、参考人の方四人に来ていただきまして、いろいろ意見を承りました。結論的に申しますならば、四人の参考人がいずれも口を合わせて、土地の所有権については一定の制約を受けてもやむを得ない、したがって、土地の使用者はその土地を有効に使用しなくてはならない、だから、ぜいたくな土地の所有であるとか、土地の買い占めであるとか、売り惜しみであるとか、そういうふうなことに対しては、国は、それを抑制するために、強い方策を講じるべきである、こういうようなことを結論的にはみんな申しておられた。そういうことについては意見が一致しておるのであります。したがいまして、地価の安定策といたしまして供給の増加をはかるということ、これはまあ新住宅市街地開発法が企てておられる点でありますけれども、それと一緒に需要の抑制もやっていかなければならぬ。むしろいまの土地問題は、供給が足りないということよりも、非常に架空的な需要があり過ぎる。それが思惑買いになり、あるいはまた、もっと値が上がるだろうというふうなことで売るのを見合わせておる、さらにはまた、ある目的土地を買いましても、将来値上がりするだろうというので、不必要な部分までたくさん買っておくというふうなことが行なわれるために、地価が非常に上がってきておるわけであります。したがって、そういうふうな点について、もうこの段階になりましたなれば、政府は相当思い切った方策を講じるべきではないか。そこで、いろいろな意見が出ております。空閑地税をかけよとか、あるいはまた、そういうふうな不労所得に対して、税金をかけるとか、あるいはまた、固定資産税を時価に応じてかけることによって、あまり効率的に使っておらない土地は、持っておることが困難なようにしむけていく、もちろんこれにはいろいろ社会政策的な、たとえば基礎控除であるとか、あるいはその他の方策が講じらるべきでありますけれども、とにかくそういう形でもって土地をどんどん有効に国民みんなが使うように、譲り合って使うように、こういうふうな考え方に立って、土地というものを国民全体が利用するために、そういうことができるように国のほうで強力な政策をやっていくべきだ、こういうふうなことに大体意見は一致しておったのでございますけれども建設大臣は、そういう時代の要請に対して、いまどういう方向で進もうとしておられるのか、また、宅地制度審議会に対していろいろ諮問をしておられる模様でございますが、それをどういうふうな観点に立ってやってもらいたいということを諮問しておられますのか、そういう点、大臣のお考えと現在の方針とを承りたい。
  22. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいまお述べになりました参考人の諸君の御意見、私も大体同感でございます。ただ、何を申しますにも、私権は相当強く保護されております。そういった関係から、なかなかできにくい——他の制約の上でできにくい点もありますので、私としましては、なるべくこれらとの調和をとりつつ可能な限りにおいてやっていきたいと考えております。
  23. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 もちろん私権というものは尊重されるべきでありますけれども土地の所有者というのは、その土地を有効に使うようにというふうなことで土地を持っておる、土地の所有権があるということは、有効に使うということを国民全体からまかされている、こういう考え方に私は立たなければならぬと思うのです。だから、私権の制約は、土地に関する限りは、他の所有権とかなり違った趣があるということを、とくと大臣のほうも強調するような考え方に立って、今後宅地対策をどんどん進めていただきたい。  そこで、この前本会議で私は地代家賃統制令の撤廃問題について、今後の住宅政策について大臣にお尋ねをいたしました。大臣は、住宅というものは国民で建ててもらいたいんだ、建ててもらいたいんだから、そのためにそういう方策をいま講じておるんだ、政府のほうで建てるということは補助的なものだというふうな意味のことをお答えになったように私は記憶いたしております。しかしながら、私は、これは少し大臣のお考えが片寄っておるのではないかと思うのです。一昨日の委員会におきましても、参考人の一人の金澤さんという方が、やはりこういう何といいますか、今後の住宅建設の主力を、宅地の提供によって自分で建ててもらおうというような考え方というものは、家を建てようにも建てられない多数の貧困者が住宅難にあえいでおるということを忘れておる、そういうことを指摘しておられました。まことに私はその通りであると思うのであります。たまたま昨日も、横浜でアパートに住んでおる若い夫婦でありますが、赤ちゃんが夜中にわんわん泣く、近所迷惑だというので、ふとんをごぼっとかぶせたら、窒息して子供が死んでしまったというようなことがけさの新聞にも出ております。ゆうべのテレビでも放送いたしておりました。これはやはりこのごろ建っておる一むねに十世帯、二十世帯が住むようになっておるアパートの悲劇だと思います。この前の本会議のときにも私は、そういうアパートの中で子供が火事で焼け死んでいったという話を例にとって申しておりましたが、ああいう不健全な住生活が、もうこのごろは、東京あるいは大都会の周辺では、どんどん進められております。これは国が、住宅を建てようにも建てられない人のために住宅を建ててやらないから、こういうことが起こってきたのです。あるいはまた、昔ですと、長屋といいましても、今日のアパートのような長屋はなかったと思うのです。一応長屋というものは平家であって、土の上に建っていたのです。このごろは二階建ての長屋になっておって、長屋というものがすっかり趣が変わってきております。土を踏めない長屋というものが出てきておるというのは、これは戦後の風景です。これは戦災で国が住宅をすっかり失わせてしまった、たくさんあった長屋というものを焼き払わせてしまったということです。しかもその穴埋めを国がしておらない。国の政策住宅をぶちこわしておきながら、その穴埋めを国がやっておらないから、あのような長屋がどんどん建っておる。このような現実を見ていただきましたら、大臣の持ち家主義というお考えは少し片寄っているのじゃないか。家を建てる能力のある人は、それは建ててもらわなければなりません。しかし建てる能力のない人のためには、どんどん国が住宅を建てて、そういうような住宅困窮者に対して住を提供していかなければならぬ、こういう責任が国にあることを大臣はお忘れになっておるのではないかと思います。したがって、そういう点について、私はもっと公営住宅であるとか、あるいは公団住宅であるとかいうようなものを、もう少し低家賃のものを、どんどん建てていただきたいと思うのであります。大臣のお考えを承りたい。
  24. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のように、国家財政に限度がございますから、限りあるものをどういうふうにこれを分けて使うかということ、緩急の度合いがどこにあるかということだと思います。これは社会党さんでも、どんどん建てろといったって、家ばかり建てるならいいわけでございますが、そうは参らぬと思います。家も建てなければならぬ、道路も直さなければならぬ、橋もかけなければならぬ、港湾もやらなければならぬ、その他の社会施策もやらなければならぬということになりますから、その間において、緩急軽重の度合いを見つついくべきものだろうと私は思うのです。おのずから総体の財源がどの程度にあるか、どういうふうに分けられるかということであろうと思うのでございます。したがって、住宅政策におきましては、それはお話のようにやることが理想であろうと思います。しかし、いま私の申しましたような制約もございますから、そこで、低額所得の方に対しては、そうは申せない、絶対に国家の責任においてこれらの人の住宅問題は片づけてあげるようにしなければならぬ。高額とは申しませんけれども、比較的どうにか無理すればできる人には、自分の住宅は自分でまかなうべきものだというお考えを持っていただきまして、そしてその方面に相当の苦労をしていただくというムードをつくってもらうことが私は必要じゃないかと思う。安い人に先に優先しないで、不自由だったらだれが入ってもいいのだ、くじ引き申し込みはだれでも権利があるのだという考え方で、また、住宅公団あたりがもっと安いほうをたくさんねらえばいいのに、所得五万円とか課長以上でなければ権利がないとかいうものに見当をつけてやることは、間違いではないかということを私は言うているのであって、決してそういうのは要らぬとかどうとか言うのではございません。大体いまの時代におきましては、国家の財源にも限度がございますから、国家としては所得三万円を限度にして、これから以下の人でどうしても家のほしい人がたくさんある、地方農村においても、住宅を改善しなければならぬ人がたくさんおられる、こういったような人のためには、どうしても国家施策としてやらなければいかぬたてまえでいくべきである。ただし、多少の小金は持っておっても、所得はあっても、宅地があまり高過ぎるから、宅地のほうでもって制約を受けているということがもう常識でございますから、宅地のほうについては、できるだけ造成は急いでいきたい、道路、交通等を改善して、そうして供給源を多くしていきたい、こう考えておるわけでございまして、決して私はいまお話しのように片寄って、これだけやればそれでいいんだということではないのでございまして、できるだけやりたい、欧米のようにしたいと思いますけれども、これはもう一般の社会政策から見ましても、わが国が全面的におくれておることは事実でございます。私たちも、理想におきましては、社会党を上回るような社会政策を実行すべきだということは考えております。ただそれは財源の制約を受けておるだけでありまして、考えておる思いは同じでございますから、どうかその点は御了解賜わりたいと思います。
  25. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この問題については、建設戸数の問題については、いずれ地代家賃統制令の問題のときにまた御意見を承っていきたいと思うのでございますが、ただ、私がこういうふうなお話を出しましたのは、今度の法律案の第二十三条に、公募の譲り受け人の使用目的は、自分で家を建てるか、あるいは使用人の居住用の住宅を建てるか、こういうふうな目的の場合に限られることになっております。しかし、私はここで、こういうふうな普通の地価よりもはるかに安く開放される土地というものを、民間の貸し家を建てようという人たちにも開放してはどうか。それには一定の制約があることはもちろんであります。たとえば十年であるとか、二十年であるとか、そういうふうな期間を限って、政府が指定したような低家賃で貸すということを条件にしたところの貸し家建設のためにもこの土地を開放してはどうか。同時にまた、そういうふうな貸し家を建てる人に対して、たとえばいまは国が公営住宅を建てる場合には一種、二種によって地方自治体が半分持ったり、あるいは三分の一持ったりするわけですね。だから、地方自治体も、自分がある程度の持ち出しをしなければ、公営住宅を建てられませんから、地方自治体にも公営住宅を建てるのに限度があるわけです。だから、国のほうで予算をつけて建ててやろうといっても、自治体のほうで建築費の単価が高い。国からのその割合では建たない。かりに第二種公営住宅を建てるにいたしましても、少なくとも半分以上の金——三分の一補助といいながら実質的には二分の一以上の負担をしなければ建てられないですね。だから、二種のなにを割り当てても、しり込みして敬遠するということも従来あったわけです。現在でもあるんじゃないかと思うのです。だから、国の施策として民間のものにも補助をしていく。そうしてとりあえず応急の住宅政策には民間の資本も導入する。半分くらいは民間で出しなさい、そうすれば国が半分出しましょう、安い土地もお世話してあげましょう。そのかわり、家賃は十年なり二十年間は低家賃にしなさいよ、こういう形の政策を国がとっていただいたらどうか、ドイツではこういうことをやっているのではないかと思う。今度の法案の中にはそのことが盛られておりませんが、そういうふうな方策をも、国の足らざる住政策の一助として考えていただいてはどうかということをお伺いするのですが、いかがでしょうか。
  26. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいまお述べになりました点は、私も全く同感でございます。ただ、相なるべくはと申しますか、最初に設定しましたものを、優先順位はこういう順序でいきたいというのでございまして、いまお話のように、制約を受けて一般民間でそういうふうな意欲が非常に旺盛に出てきた場合にはそういうことに努力いたします。全く同感です。
  27. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういうふうな民間に対して補助するというのは、結核病院とかあるいは精神病院に現在半額補助が行なわれておるのですね。だから国民が住生活に困っている場合には、貸し家建設というものの意欲をなにするためには、私はそういうふうな方策を国のほうで考えていただくようにひとつお願いいたしたいと思います。  その次には、数日前に政府のほうで宅地開発地区の選定方針というのを発表されました。大体百万坪以上で、通勤時間が都市の中心地へ一時間以内のところというのですが、百万坪というと一戸平均どれくらいを予想して百万坪という単位をおきめになっておりますか。
  28. 河野一郎

    ○河野国務大臣 実はいまお述べになりました点は、計画局におきまして、今後住宅公団その他で開発する場合に、基本の方針は一体どうするか。ただむやみに、従来ここに土地があるじゃないか、あそこになにがあるじゃないかというようなことでもって追っかけて回るのは適当でない。それより、積極的に一つの基準を示して、開発計画を立てたらどうだろうかというような意味合いでやりましたものでございまして、必ずしもそれでなければいかぬということではありません。一つの理想を掲げたということでございます。
  29. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういたしますと、この法案の第三条の第三号でございますが、一ヘクタール当たり百人から三百人を基準として一万人が居住できる地区を一住区というふうに考えておられるようであります。この一住区と、それから開発地区の百万坪というものとは、大きさにおいて相当な開きがあるように思うのであります。これでいうところの一住区ということになりますと、大体二、三十万坪ぐらいで一住区になるのではないかと思うのでございますが、その開発の選定基準というものがこうして出されておって、片一方で、法案の中には、住区の大きさは大体人口一万人というふうに考えられておるところに相当開きがございますが、これとの関連はどうなんでしょうか。
  30. 河野一郎

    ○河野国務大臣 新聞でごらんいただきましたのは理想でございます。目標でございます。この法律提案いたします以上は、現実にこういう方針でやっていく、こういうことでございます。
  31. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 大体今度のなにで、宅地造成の住宅建設十カ年計画の中で、すでに三年たっておりますから、あとは残る七カ年ということになるわけです。その七カ年で大体二億二千万坪ぐらいは宅地として必要だということを政府のほうでも発表しておられるのでありますけれども、そうしてまた、公的機関によるところの造成は一億四千三百万坪ぐらいを予定しておるということを何かで発表しておられたようであります。そういたしますと、大体一住区百万坪といたしますと、百五十住区つくっていくということになるわけでございます。そうすると、その百五十住区くらいを大体首都圏近畿圏あるいは中京圏、それから北九州、あるいはまた、新産業都市開発をやっていかなければなりません。そういうようなところにどれくらいというふうな、ある程度開発区分というものを一応考えておられますか。また、そういう点は全然考えずに一応のめどということで、こういうふうな二億二千万坪というものを出しておられるのですか、その辺を承りたいと思います。
  32. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御承知のとおり、新たに宅地を造成するといっても、なかなか困難が多いのでございます。たくさんあるところに理想的に造成するというわけにはまいりません。したがって、一応そういう目標を定めてやろうということで、具体的には、案を持っておりません。
  33. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そこでもう一つ一つ提案的な御質問になるわけでございますが、先日は宅地債券の発行ということをおきめになりました。今度は、宅地よりももう一歩進んで、住宅債券というふうなものを発行して、宅地債券と同じように、たとえば五年なら五年、十年なら十年の間に一定額を納めた者には、公的な機関開発した土地で、公団で建設したところの家を渡します。十カ年計画を立ててください。そうしますと、たとえばもう十年たてば、その子供を分家させなければならぬ、どうせ結婚するなら、家をつくっておかなければならぬ、それならば、いまから月一万ずつでも住宅債券を買っておいて、そうして十年後に子供が新家庭を結ぶときには家を与えてやろう、こういう計画的なものが立つと思うのです。そういうような目標があれば、やはり世の親はそういうことをやっていくと思うのです。そうしますと、民間資本というものが相当大きく動員できると思うのです。これは一種の住宅建設のための頼母子講というようなことになってくるので、急ぐ人は早くくじで当てればいいのです。急がない人は十年先をゆっくり待って、それでもって住宅の獲得をやっていく、こういうような方法を、宅地だけではなしに、住宅についてもやっていただきましたなら、住宅難の緩和に相当役立つのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  34. 河野一郎

    ○河野国務大臣 たいへんけっこうなお話で、私も研究いたします。
  35. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 時間が十二時半までという約束でしたから、なるべく省略いたしまして、この法案の中の十五条で先買い権、それから十六条で買い取り請求権が出てきたということは、これは新しい制度だと思うのです。私はいつも思うのでございますが、このごろ大都市周辺にどんどん家が建っていくのです。しかも絶えず小さな家がたくさん建っていく。あれが今度いよいよ都市計画をやろうということになったら、立ちのきだとか何かでもって都市開発にたいへん金がかかるのです。だから、ああいうふうなことができないような規制を私はすべきではないかと思うのです。そこで、近くの町の市長に、こんなことをやらしておいたら君だめじゃないか、これは区画整理をやるなり都市計画をやって、道路のセンターを引いて、家を建てさせぬようにしなければいかぬじゃないか、そういうふうに申しますと、いや都市計画は立てておる、しかしながら、ある制限の範囲内のものなら幾らでも建てられるのだし、その都市計画のときには、補償費の中でも取れるんだから、遠慮なしに建てていくから、どうにもしようがない、こういうことなんです。その時分のことは知らないのですが、古くは都市計画でもって道路敷地に指定されましたら、そこへ建物を建てるということが許されなかったそうです。そこで私権の侵害であるということで、木造の建物ならよろしい、二階建て以内のものならよろしい、こういうことになった模様でございますが、やはりこれは公共目的のためには私権の制約をすべきじゃないか、こう思うのです。そこで、先買い権、それから買い取り請求権というものが非常に役に立ってくると思うのでありますが、都市計画法の中にはこれはございません。したがって、都市計画法の中へこれを織り込みまして、都市計画でもって道路の指定をやる、そうするとそこへ建てることはできない、政令の中に何かありますが、もう建てささぬ、こういうことにしてしまいます。そうすると今度は、それじゃもう家が建てられぬ土地だから、持っておってもしようがない、買ってくれということなら、買い取り請求権で買ってやればいいし、あるいは先にかってに売る場合には、先買い権を設定しておく、そのためには多少不要不急の金が要ると思うのです。いま道路をつくらないために予備投資なり先行投資をやらなければならぬ。そういうのはそういうふうなものの起債のワクを認めてやるということで私は可能であると思う。また、土地がどんどん上がるよりも先に道路用敷地を買っておいたほうが、結局公共投資の節約になると思う。だから、都市計画法を改正して、都市計画法の中でも、こういう先買い権あるいは買い取り請求権というものを入れていただいたらどうか、こういうように思うのですが、どうですか。
  36. 河野一郎

    ○河野国務大臣 何ぶんこれまでは、御承知のとおり、非常に住宅が逼迫しておりまして、また、宅地につきましても、国家として積極的に造成してもおりませんでした。したがって、そこまで制約することに及ばなかったと思います。今後はもう当然考慮すべき問題だと思うので、仰せのとおり十分検討いたします。
  37. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 農地の転用の問題ですが、これはことに大臣は、農林大臣をしておられて農政にお詳しいわけで、きのうの新聞にも出ておりましたが、判こ代という名目で、農地を転用する場合に収賄しておったというなにが出ておりました。これはもう東京だけではないのです。これは全国の大都市周辺の農業委員のみんなというと語弊があるかもしれませんが、非常に多くの農業委員のやっておられることであります。だから、こういうふうな大都市周辺においては、土地利用区分というものをきめて、ここはもう宅地だ、あるいは住宅用地だというような指定をされたところについては、この法案にあるのと同じように、農地法の手続をする必要は私は要らないと思うのです。だから、こういうことを廃止すると同時に、また、そういうところについては、先ほど申しましたように、固定資産税を普通の農地よりも高く出してもらう。それによって実際にはこの記事にも書いてございますが、三鷹方面ではもうみんな売りたがっているのだ、だから農民自身は、みんな宅地転用を希望しておって、ほとんど農民意識というものがないのです。だから、そういうようなところについては、宅地としてどんどん提供することを奨励するとともに、そのかわり、それに応じた固定資産税を出してもらう、こういうことにすべきでないかと思うのですが、建設大臣の御意見を伺いたいと思います。
  38. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御意見でございますが、私どもも農地法そのものを再検討する時代がきておると思います。したがって、いまのお話のような点が全国各地にときに矛盾を生じておる場合があります。また、農業委員会等につきましても、少々行き過ぎがございまして、農業委員会決定権はないのです。決定権は知事にあり、農林大臣にあるのであって、農業委員会を経由して意見を付して上申するだけであって、これが反対であるとか賛成であるとかいうことは、ほんとうは問題はないのです。ところが、あそこで握ってしまうという弊害があるのであります。しかし、理屈は別にいたしまして、根本的に改定をする時期がきておるだろうということは、私が農林大臣のときから考えておったのですが、そういう考えのもとに、いまのお話のような問題を十分加味いたしまして、今回の問題でも、相当に農林省のほうでも意見があったのですが、御了解を得て、こういうように書きまして意見を承るということにいたしたわけでございます。これは同意とか合意とか協議とかいうことになると、なかなかケース・バイ・ケースでめんどうであると思いますので、こういうことに踏み切っていただきましたが、これから先の問題につきましても、ひとつしかるべく善処願うように協議したいと思います。
  39. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 きょうはこの程度でやめておきます。
  40. 福永一臣

    福永委員長 次会は来たる六月五日水曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散会