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1963-05-24 第43回国会 衆議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年五月二十四日(金曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 二階堂 進君 理事 石川 次夫君    理事 岡本 隆一君 理事 中島  巖君       大倉 三郎君    大沢 雄一君       金丸  信君    正示啓次郎君       砂原  格君    丹羽喬四郎君       堀内 一雄君    山口 好一君       兒玉 末男君    實川 清之君       三宅 正一君    山中日露史君       田中幾三郎君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第二部長)  眞田 秀夫君         建設政務次官  松澤 雄藏君         建 設 技 官         (都市局長)  谷藤 正三君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  委員外出席者         参議院議員   稲浦 鹿藏君         参議院議員   田中  一君         建設事務官         (河川局次長) 鮎川 幸雄君         建 設 技 官         (河川局砂防部         長)      矢野 義男君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 五月二十三日  委員木村公平辞任につき、その補欠として松  浦周太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員松浦周太郎辞任につき、その補欠として  木村公平君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  新住宅市街地開発法案内閣提出第一五三号)  砂防法の一部を改正する法律案参議院提出、  参法第二七号)      ————◇—————
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま本委員会において審査中の新住宅市街地開発法案審査のため、来たる二十九日水曜日、参考人を招致し、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、人選、出頭手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。      ————◇—————
  5. 福永一臣

    福永委員長 砂防法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。
  6. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 砂防、これは砂防事業というものが、現地のためのものでなくて、河川全体のためのものである、そういうふうな考え方砂防法というものは構成されていると承知しておるのでございますけれども、しかしながら、それにいたしましても、砂防法というものは、どうもまだ、私の考えるところでは、国の考え方砂防というものに対して、その重要さについての認識が少し足りないのではないか、こういうふうに思われるのでございますが、砂防法第二条で主務大臣がこれを指定すると、こういうふうなことになっておりますけれども、一体どういうふうな地点がどれほどの面積において現在指定されておりますのか、まずそれをお伺いしたいと思うのです。
  7. 田中一

    田中(一)参議院議員 その点につきましては、幸い砂防部長が見えておりますから、砂防部長の方から答弁いたします。
  8. 矢野義男

    矢野説明員 砂防指定地面積でございますが、大体六万ヘクタールぐらいでございます。これは明治三十年の法律施行以来現在までの数字でございます。
  9. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 六万ヘクタール、そうすると非常に狭い面積ですね。川の上流渓谷部分の両岸だけの、しかも比較的土質崩壊しやすい、そういうふうに思われるところだけ選択的にごく小地点だけを拾って指定しているわけですか。
  10. 矢野義男

    矢野説明員 砂防法にございます砂防指定地二つございまして、一つ行為禁止制限の地区でございます。それからもう一つは、今お話のありました設備を要する要設備地でございます。この二つのものを砂防指定地として指定しております。歴史的に申しますと、砂防法が制定されました明治三十年ごろの思想では、面積を広くとりまして、そしていろいろと行為禁止制限をやりまして、そして土砂の流出を防止していこうという思想でございましたから、相当広い面積砂防指定地指定しておりました。最近になりますと、保安林その他の関係でダブる面もございますので、保安林とは重複しない、そういうことを念頭にいたしまして、おもに要設備地のほうを重点に置いて指定してはおりますが、両方合わせましての数字先ほど申し上げました数字でございます。
  11. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういたしますと、要施設地ということは、砂防堰堤をつくらなければならぬとか、そういうふうなところをいうのではないかと思うのですが、この中に第四条で「一定行為禁止制限」というなにがございますね。そうすると、そういう崩壊しやすいような土地については伐採禁止しているんじゃないかと思いますが、そういう伐採禁止しておられるような地域というものはどれぐらいございますか。
  12. 矢野義男

    矢野説明員 ただいま資料を手元に持ちませんので、後刻書類か何かで御報告したいと思いますが、伐採禁止いたしましたり、それから制限いたしましたりするのは、現在のところ府県規則でやっております。これは府県規則をつくりまして、それぞれの制限をいたしております。そこで、その中では伐採禁止しておりますところもあれば、間伐工事をして切らしておるといういろいろな施行法をとっておりますので、資料を提出して御返事申し上げたいと思います。
  13. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうしますと、渓谷があって、一定傾斜度、角度以上のところで、しかもそれが岩盤なんかがなくてやわらかい土質のところは、木がはえておれば根のために土が締められておりますけれども、もし伐採すればそこのところに豪雨が降れば直ちに土砂崩壊するのは当然予想されるわけなんですが、そういうふうなところについては、切れば土砂崩壊が起こるから切っちゃいかぬ、こういうことが当然行なわれなければならない。だから、そういうような観点から考えたところの河川の保護、したがって、山林砂防的な見地からの保全、そういうようなことは、少なくとも国として一定の規格というふうなものを考えて、こういう地点については、砂防をやるために必要な土地だからこうするのだというふうな、政令とか何かそういうものがなければならぬと思うのですが、そういうことはいま行なわれておらないのですか。
  14. 矢野義男

    矢野説明員 政令で当然定めるはずでございますが、これは県の規則になっておりまして、現在は政令では定めておりません。
  15. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういうことになりますと、今度は次長にお伺いいたしますが、河川洪水防止ですね。これには砂防が非常に大事であるということが昔からいわれております。しかしながら、建設省とかあるいは林野庁なんかで調べておられるいろいろな実験の結果を私は何かで読んだのをいま思い出すのでございますけれども豪雨のときの洪水量の三分の一は土砂である、だから実際雨の降った量の一倍半くらいになって土砂がその中へ流れ込んで出てくるのだ。だから洪水というものが非常に惨害を強くするのは、むしろ水そのものよりも、崩壊してくるところの土砂であり岩である。ことに岩石などは破壊力を非常に持っておりますから、これはむしろ水よりも土砂である、こういうことすらいま言われ出してきております。したがって、そういうふうな見地から見ますときには、河川管理というものに砂防が非常に大事であるということは当然でありまして、そういう見地からいきますと、今日の砂防法というもので、とにかく国なり府県なりが管理して砂防を必要とするところの指定地域として監視していくところというものが、わずかに六万ヘクタールよりない、こういうようなことでは、これはおよそ近代科学の結果出てきておるいまの結論から見ますときには、もうそういう指定あり方そのものが前近代的なもののように思われるのですが、幸い今度河川法改正が行なわれております。砂防法も、いま承りますと、明治三十年に制定されたものである、しかもその制定当時に指定された指定地域というものが、その後広げられておらないというようなふうに承ったのでございますが、そういうことからいきますと、砂防法も当然河川法改正されたら、その次の段階としては改正しなければならぬ、こういうことになってまいるのではないかと思うのでございますが、次長から建設省の御所見を承りたいと思います。
  16. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 ただいまお話がございましたように、洪水防御あるいは治水の完璧を期しますためには、御指摘のように、単に堤防、ダムを建設するほかに、砂防事業あるいは治山事業の必要なことは全く御指摘のとおりであると思います。ただ、ただいま御指摘になりました砂防指定地面積その他の地域が非常に少ないではないかという点につきましては、砂防指定地指定いたします場合の敷地は、これは民有地が多いわけでございまして、したがいまして、こういう敷地について民有地などがあります場合には、この行為制限いたしますと、一般国民権利関係にも非常な重要な影響を当然持つわけでございます。したがいまして、そういう地域禁止制限区域指定するためには慎重な考慮が必要であります。また指定します場合には、必要最小限度にやらなければならないということになるわけでございます。そういうことで、ただいままでの砂防指定というのは、砂防部長から先ほど話がございましたような状況でございますが、こういう権利制限を伴う点につきましては、運用の面においても、制度の面においても、いろいろと十分な考慮が必要でございまして、ただいまお話がございました砂防法改正につきましては、これは非常に重要な事項でございますので、私からここで答弁いたしかねる点もあるわけでございますが、私ども事務当局の立場から申し上げますと、河川法改正に伴いましていろいろ関連法規を検討しなければならぬという点があるわけでございます。したがいまして、そういう面から私ども関係法律内容につきましてもいろいろ検討を加えておるという状況でございます。
  17. 矢野義男

    矢野説明員 たいへん失礼を申し上げましたが、先ほど六万町歩と申し上げましたのは、一定行為禁止制限区域でございまして、全体で六十七万ヘクタールでございます。申しわけございません。
  18. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いや、六万ヘクタールが六十七万ヘクタールになっても、やはり私はそう広いとい思いません。したがって、これはもっと砂防指定区域というものを広げていただきたいと思います。いま次長からのお答えでは、私権制限になるからできるだけ小さくしなければならぬ、こういうふうな仰せでございました。しかしながら、私ども考え方からいきますと、今日もう宅地ですらも——大体土地というものは個人のものと思ってはいかぬ、これはできるだけ有効に利用しなくてはならないのだ、そのためには新住宅市街地開発法案などでは、先買い権であるとか、あるいはまた公団であるとか、そういう地方公共団体住宅地開発にすら、公益的見地からする場合には、私権制限していいのだという形で、先買い権の設定であるとか、あるいはまた土地収用権を与える、こういうふうなことに変わってきております。したがって、今日のように日本が水害に見舞われ、災害という大きな問題になってき、災害基本法というふうなものまで制定せざるを得ぬという今日の日本段階にありましては、災害防止のための治山治水、そのための砂防ということになってまいりましたなれば、そんな奥の渓谷地にある山林地帯におけるところの私権制限というようなことは、私はもう考慮する必要はないと思います。だから、国民の生命と財産を保護するためには、そういう渓谷に接したところの土砂崩壊しやすいようなところでは、木の伐採を禁ずるというふうなことは当然あってしかるべきでありますから、そういう見地に立って、ひとつ砂防法改正ということを建設省部内でまじめに取り上げていただくように、この際、私は要望しておきたいと思います。  それから、次長にお伺いしますが、現在河川支派川のいわゆる砂防工事、たとえば穴あきダムをつくったりしなければならぬような、ああいう小さい支派川でございますね、そういうところの管理はどこがやっているのですか。市町村がやっているように私は思うのでございますが、その管理者はどういうようなことになっておりますか。
  19. 鮎川幸雄

    鮎川説明員 河川管理の現在の状況を申し上げますと、御承知のように河川適用河川になりますと、これは府県知事が第一線の管理責任者になっておるわけでございます。また河川法が準用されます河川、これは準用河川と申しておりますが、これも同じく府県知事河川法規定を準用して管理をしておるわけでございます。それ以外の河川はいわゆる普通河川といわれておるわけでございまして、これは河川法外の河川になるわけでございます。これは地方自治法に基づきましてそれぞれ公共団体管理をするということになっておるわけでございます。
  20. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、提案者にお伺いいたしますが、この指定されない地域、この法案を見ますと指定される地域災害が起こった場合に、その川についての河岸復旧費は、これは国庫負担法適用が受けられるようにお考えのようでございます。ところが、いま承りますと、指定されてないところの地域というものが非常に多い。その非常に多いところの指定されてない地域でどんどん災害が起こっております。土砂崩壊も起こっております。そういうふうな場合には、その復旧費はやはり河川法に基づいて町村負担しなければならないというふうなことになってまいりまして、それではあまり地方負担が大助かりにもならないような感じがいたしますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  21. 田中一

    田中(一)参議院議員 御承知のように、天然河岸、いわゆる上流の岸べは河川法河川というワク内でもってきめております。したがって、上流地は大体いま次長が説明しているように、河川法上の河川でなくして、また準用する河川ではなくして、野放しの河川ということになっておるわけであります。この場合は市町村負担するということになっておりますから、現在の公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法でも、それには災害の場合に及ばないわけなんです。今度の法律では、それを砂防指定区域内は都道府県負担するように災害国庫負担法適用に置こうという考え方でこの法律案提案しておるわけであります。
  22. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 だから、指定されているところは国庫負担法適用があるようにしよう、こういうお考えですね。そうすると、指定されてない地域というものが支派川に非常に多いわけです。だから、そういうふうな多いところでも、現在山林伐採なんかがどんどん行なわれて、土砂の排出が非常に多うございます。だからもっと広げる必要があるのではないか。
  23. 田中一

    田中(一)参議院議員 御承知のように、砂防指定地域ときめないからといって、砂防施設を行なっておらぬというわけじゃありません。大体災害があるであろうという河川は、予算上別通常砂防として、これは災害の場合のことを今度の改正は出しておるのであって、通常砂防——河川は大体二万本くらいあるのだそうでありますが、そのうち一万本程度のものは治水五カ年計画で全部砂防施設を行なおうじゃないかというように現在予算措置が計上されております。したがって、ほかの河川は野放しじゃないかということにはならない。通常砂防でもって全部施設をする。これがお話のように砂防法上明らかになっておらぬから、建設大臣に委任しておるような形になっておるから不満も感じますけれども、事実行政措置によってやっております。今回の場合は、災害があった場合どうするか、災害があった場合に国庫負担法で国から復旧補助金がいかないじゃないかというところに問題があるのでございますから、指定地以外のものを通常砂防で順次砂防施設工事を行なっておるというように考えております。
  24. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、提案者にお伺いしますが、こういうふうに理解したらようございますか。砂防指定されておらないところについても、条件が悪くなってきて、したがって、そのために土砂崩壊が起こりやすくなってくるようなところは、順次指定されていくから、また、そこへ施設が行なわれていくから、そういうふうになってきたところは、大体においてこの法の適用を受けるようになり得る、こういうお考えのように承りましたが、それでいいのですか。
  25. 田中一

    田中(一)参議院議員 先ほど河川局次長が言っているように、やはり私権に関する問題がございますから、大網を張って全部指定するということにはなっておらぬようでございます。しかし、一ぺん災害がありますと、その所有者は何とかしてくれと政府並びに都道府県要求するわけであります。その場合には、喜んで指定を受けて、指定区域として保護されるということになるわけです。しかし、先ほど申し上げたように、だからほかの河川は全然野放しじゃないかということにならなくて、大体五カ年計画で七百三十億程度のものを砂防費として計上しております。この分で逐次——大体最初の十カ年計画では、二万本のうちの一万本だけは、とりあえず砂防施設を行なおうじゃないかということになっております。したがって、お尋ねのように、指定しないから砂防施設が行なわれない、砂防指定地域にならないから砂防施設をしないのだということではないのです。今回の場合は、どこまでもそれらの上流水源地災害によって崩壊した場合に、今日はそれが河川になっておりますから砂防というものではないわけです。そこで、それをあとで結論づけておりますように、現行法で準用して、それも災害復旧国庫負担法ワク内に入れるように扱おうということでありまして、本筋から言うと多少何だか明確を欠いておりますけれども、この点は建設省並びに大蔵省の方でも了解して本法案提案になったわけでありますから、いま言われましたように、はっきりしないといえばはっきりしない点もございます。しかし、これは政府政令によって立法の精神を完全に生かぜというふうに注文をつけておりますから、その心配はなかろうと思います。
  26. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この条文を読みますと、「政令ノ定ムル所従ヒ」また「政令以テムル天然河岸ニシテ」というふうにございますが、どうも、この政令内容がある程度わからないと、この第三条二の改正条項というものが理解しにくいのでございますが、この改正法が成立いたしますと、いずれ政令を定めることと思うのでございますが、砂防部長にお尋ねいたしますが、この政令内容を大体どういうふうに考えたらいいのでしょうか、ひとつお伺いしたいと思います。
  27. 矢野義男

    矢野説明員 ただいまの法案の中にございます最初の「政令ノ定ムル所ニ従ヒ」、これは準用規定でございますので、砂防法の中のどういうものを準用するかといったようなことを明らかにしたい。  それから次の「政令以テムル天然河岸」といいますのは、これは範囲を明確にいたしまして、この提案趣旨にございますように、地方町村負担いたしますのが——当然県の負担でやれる砂防工事に準ずるようなものが町村負担になるのは非常におもしろくない。まして災害でとれるものは、災害高率負担適用になるものはぜひやっていきたい。こういったような趣旨で、現在町村が行なっております町村管理河川につきまして、災害の場合は町村負担を減らすということでございますから、そこで町村管理しておる河川区域に限るというような政令にしたいと思っております。  なお、ここにはございませんが、その他それぞれ関係法令改正しなければならないというふうに考えております。
  28. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 かなり抽象的なので、もうひとつわかりにくいのですが、もう少し具体的に御説明願えませんでしょうか。
  29. 矢野義男

    矢野説明員 先ほど最初のほうの政令でございますが、これは法の五条にございます砂防設備管理義務、それから砂防工事施行義務、それから砂防設備維持、こういったようなものが五条で定めてありまして、こういったようなものの規定を準用いたしまして、そうしてこの天然河岸にも管理が行なわれておるのだというようにしていきたいと思います。  それから、今度は府県負担の問題でございますが、十二条に「主務大臣指定シタル土地監視及砂防設備管理維持並砂防工事二要スル費用ハ府県負担トス」こういった費用負担原則を準用いたしまして、これは十二条を準用いたしますことによりまして、府県負担をするのだということを明確にいたしております。  それから、同じく十三条中で、工事費用負担の分担の割合が定めてございますが、その中の三項に「災害ニ因リ必要ヲ生シタル砂防工事二要スル費用ハ本条二依ルノ限二在ラス」、他の項で別に定められるというのがございますから、こういった条項も準用していきたい。  その他それぞれこまかいのもございますが、こういったような一連のことが、この法律が発令になりました際には、天然河岸砂防設備に準ずるものとして災害国庫負担適用がかかるようにしたい、そういうふうな考えでございます。  それから、あと政令範囲だけでございますので、河川法施行河川河川法準用河川以外の普通河川といっておりますが、こういったようなところにあります天然河岸に限るということにして政令を定めていきたいと考えております。
  30. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 こういうような場合にはどうなるのでしょうか。たとえばある渓流がある。そうしますと、そこのところへ砂防堰堤をつくります。従来は底のほうの水の流れ出るところ、及び両方の山の根っこの辺までが大体河川敷になっております。砂防堰堤をつくりますと、水はうんと上に上がってきますから相当広い範囲にわたって湛水されます。その湛水される面積までが今度は河川敷ということになるのではないかと思うのですが、そういう場合には、砂防堰堤をつくるときには、その水の湛水するところの線までこれはずっと用地買収をやってから後堰堤をつくられるのか、あるいは堰堤をつくって土砂がたまってきたら、そこのところをあとで補償するのか。それは現在どちらになっておるのでしょうか。
  31. 矢野義男

    矢野説明員 おっしゃるように、湛水いたしました区域は、これは買収するのが本筋でございます。それは工事施行のときに買収手続をするようにという指導をしております。それからもう一つめんどうなことは、水だけでなくて、これは土砂でございます。土砂が非常に勾配をもって堆積をしてまいります。それの範囲が当初ではちょっと見当がつきかねる場合があるわけでございます。そういった場合には、施行しましたあとで、そういう事態が起こってから補償するという例もございます。ただ、いままで砂防工事をやっておりましたところは、比較的山の中で、経済価値の少ないところでございまして、むしろその効果の方が非常に強いという場所でございましたので、地元の要望では用地補償なんか要らない、ぜひ砂防工事をやってくれ、こういう要求が非常に強うございまして、そういったところは地元要求を入れて用地買収をしないでやっておりましたが、最近ではそういったこともなかなかむずかしく相なりまして、用地買収原則として、やっておるということで指導しております。
  32. 福永一臣

  33. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 私は政府に対して災害国家賠償関係についてお伺いしたいと思います。実は年来、政府はなすべきことをなさないがために、水による災害が起こって、その災害のために、その地域における国民が非常に迷惑をし、損害をこうむった。政府が権力の行使者としてなすべきことをなさなかったということは、これは故意でなさなかったともいえますし、あるいは過失でやらなかったともいえますし、怠慢でやらなかったというともいえる。それで、災害が起こると、人災だ、天災だといって、その責任について問題が起こるのであります。政治上の責任については、これは国費を出さなかったから水害を予防する設備ができなかったのだ、こう言って一応それで済むと思います。しかし、国家賠償法によって、一定のなすべきことをなさなかった場合には、政府、国もしくは公共団体は、これに対して損害の賠償をしなければならぬという規定が厳として存在している。私は、そういう関係でこの砂防法改正は当然であると思いまするし、もっと進んで災害の起こった復旧工事だけではなくて、災害を防止するための積極的な砂防行政というものを推進する必要があるのではないかとさえ考えておるのであります。  それで、提案者にちょっと伺いたいのは、こういう重大な責任でありますから、政府が進んでこういう法案は提出すべきものである、それを議員提案によって幸いに出されたのですけれども、これは、政府では出す意思がなかったものを提案者のほうで進んでお出しになったのですか、どうですか。
  34. 田中一

    田中(一)参議院議員 まことにおっしゃるとおりな経緯でございます。大体明治三十年ごろにできた法律なんというものは、まだこの法律をつくった人が生きております。そうすると一つの郷愁に似た気持ちを持ちまして、その法律にしがみついているのが現状でございまして、私ども、いままでにも参議院といたしましては、三回砂防費の増大のために、砂防施設をふやせという要求政府に出しております。これはもう与野党とも一致です。完全に一致して、ここ五年来決議文を突きつけておりますけれども、なかなかいたしません。御承知のように、砂防施設、いわゆる災害の原因となるところの場所は、岡本委員からのお話のように、土砂の流出によって被害が大きくなる。ところが、ここに人が住んでおらない。これは政治家にも責任がありまして、人の住んでおらないところの仕事をしても、これはあまり票にはならぬから、どうしても下のほうの災害のあったところの河岸ですね、こういうものに手をつける、橋に手をつけるというようになるのです。これはいかぬというので、十年来追及したものでございますが、政府も、いまの局長じゃございませんけれどもよく言っておりました。どうも先生からいろいろ日本の国土計画の御注文を受けるけれども砂防をやれというところは、長野県か岐阜県かあの辺でございますということを言っておりました。したがって、私どもはそれはいかぬということで追及してまいったのですが、なかなかしないのです。それで決議文を三回も突きつける。今回の場合も、昨年の春ごろ、予算の編成ごろから建設省の部内におきまして議論が生まれた。一体、砂防施設というものが、こわれて初めて災害復旧の費用が出せるのであるけれども天然河岸を新しく築造するよりも、砂防施設、一本の堰堤を入れるほうが効果があるということになりますと、天然河岸の工事は、今日の河川として認めておりますからできますけれども砂防施設というものは、何も原形はないわけですから災害にならぬわけです。そこで、新しく原始河岸というものを山の中に築造するよりも、一本の砂防施設を入れたほうが災害が守れるという見方から出発してきております。非常に大きな抵抗を建設省はいたしました。われわれ社会党、自民党その他各党の賛成のもとに要求しておるのでございますけれども、大きな抵抗を建設省はいたしました。これを裏づけるものは、大蔵省が非常にまた大きな抵抗をいたしまして、そのために、われわれは一致してこの抵抗排除のために努力いたしまして、ようやく提案する運びになったのでございまして、そういたしますと、ある政府筋か、あるいは衆議院筋か存じませんけれども、これは非常によろしい、地方市町村にとってはこれは慈雨だというので、政府提案にしろという御意見もあったそうでありますけれども、結局参議院の各党の賛成を得まして、自民党、社会党、われわれが提案する運びになったのであります。その経緯は、なぜこんなことをするかということは、ひとつ政府に追及をなすっていただきたいと思います。
  35. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 ですから、議員立法でも、そういう予算を組んでも、大蔵省は費用がないからといって非常に抵抗する。ですから、私は政治問題から責めては、いかに責めても、ないそでは振れないということで、こういう予防のできるところを予防しないでおく。ですから、私は多年——といっては語弊がありますけれども、長い間国家賠償の点から、政府法律的責任はあるのだということを私は主張してきておるわけです。法務委員会でも、先の先の国会におきまして民事局長に質問いたしましたところが、天災といえども、損害の生じたことと、その災害との間に因果関係があれば、責任を負わなければならぬこともあり得るのだという答弁を得ておるわけです。私はそれを確信しておるわけです。たとえば——きょうは企画庁来ていませんからあれですけれども、昭和三十三年四月二十二日に公布されたもので、台風常襲地帯における災害の防除に関する法律というものがあります。これは時限法で四月に切れておるのではないかと思うのです。前の建設委員会で私はこの点を企画庁の係の方にも来ていただいて、一体台風常襲地帯における災害防除の調査並びに施設というものはいかに進行しておるのかとお尋ねをしたところが、各省からまだ資料が集まっていないのだ、その資料が集まってから、それを集計して今後の施策を立てるということであったわけです。ところが、五年の間にこの法律は何にもなさずに、生まれたままで無為にしてこれも死んでしまったわけです。これを起こすのには、どうして起こしたらいいかということは、法律技術になりますけれども、おそらく台風常襲地帯における砂防工事等を含めて、あるいは海岸堤防等を含めてやっておれば、被害がなかったという地点も非常に多かったろうと思う。しかもそういうことを法律義務づけておるにもかかわらず、責任を果たさないでこの法律を少しも活用していないというのが現状である。そうしますと、そういうことによって災害が生じた場合には、法律によって政府に命じてあることを、もしくは公共団体がすべきことをしないがために、災害が起こって、防止し得られたものが、施策がなかったために、災害というみじめな目にあっておるという事実があります。ですからこれは、建設省だけの関係ではないから、このことについては、私は後に質問いたしますけれども、そこで法律的に、災害が起こった場合に、そこに強固なる防除施設をしておれば災害がなかった。たとえば道路においても、路肩を完全に直してやっておれば、バスなり自動車なりが落ちないのですけれども、雨が降っても何らそこに危険信号がない。自動車などは知らずに行って、ふだんならば通れるものが、通って落ちた場合には、自動車の運転手の責任であって、道路の管理者の責任ではない。ところが裁判所の判例によりますと、幼稚園でも学校でも、遊動円木なら遊動円木の運動の施設をした場合に、管理もしないでほうっておいて、腐って子供が落ちた場合には責任をとるわけです。この前にもここの委員会でも言ったのですが、道路に穴があいているのを市長がほうっておいて、スクーターか何か走ってきて落ちてしまったために、仙台の市長が責任をとったという判例があります。ですから、やはり道路なり河川管理者なりが、十分注意すべきことを注意しない、施設すべきところを施設をしない。そのために水害があっても、防除できたものが防除できなかったという結果に対しては、私は、金がなかったからできなかったという、そういう政治的な逃げ口ではなくて、国家賠償法によって、そういう因果関係が明らかになったならば、国家もしくは公共団体において損害賠償の責任があると思いますが、この点はいかがですか。
  36. 眞田秀夫

    ○眞田政府委員 お答え申し上げます。  事は国家賠償の問題でございますが、公の営造物の設置、管理に瑕疵がございまして、その結果、国民が損害を受けるというようなことが起こりますれば、これは当然国家賠償法が適用されまして、国に賠償の責任があるわけでございます。ただ、先ほど先生もおっしゃいましたように、遊動円木の例、あるいは道路の管理そのものが悪くて、それに直接原因して損害が起きたという場合には、これは大体賠償の義務があるのだという考え方のほうが一般的でございます。  ただ、河川がはんらんをして、それでその辺一帯の住民がいわゆる洪水による被害を受けたというようなケースの場合には、これは直ちに国が全部賠償を負うかどうかということになりますと、はなはだ疑問があるだろうと思います。学者の間でも、そういう場合には全部賠償の義務があるのだ、というところまで言い切っている人はむしろ少ないだろうと思います。違いは、結局河川で申しますと、河川工作物をつくらなかったことによる被害と、河川工作物を公でつくった場合にそのつくり方が悪かった場合と、若干やはり法律効果が違うのだろうというふうにわれわれは考えておる次第であります。河川工作物それ自体に瑕疵があったために、ひっくり返ったとか、倒れたとかいうことによって、直接損害が生じますれば、これは当然国家賠償の対象になってしかるべきものであろうというふうに考えておる次第であります。
  37. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 今日は、原形復旧をやめて、それに改良を加えて工事をするようになりましたけれども、原形復旧ということになりますと、こわれたところだけが直って、もとの残ったところが災害防除については非常に弱い。だれが、しろうとが見ても、こわれたところまで直しておいて、そしてその次に同じような設備をすれば災害がないものを、法律に縛られたというか、あるいは財源がないというか、そういうことで災害が非常に大きくなることがある。今日は幾らか改良工事を加えてやっておりますからいいけれども、しかし災害を防ぐということは、国家あるいは公共団体の責任ですから、災害を起こさないようにするということは責任でありますから、私はやはりそういう危険があると見たら、管理者は損害の起こらないような防除をすべき義務があるということで、いまの台風常襲地帯の災害の防除に関する法律にもわれわれは大いに期待を持っておった。ところが、今日どれだけできたかしらぬけれども、寡聞にして、この法律計画が立って工事が実施されるということを聞かない。ですから、そういうなすべきことをなさないがために災害が起こったというときには、政府は政治上の責任でなくして、法律上の責任を負うべきものである、かように考えておるのであります。ですから、政府は、管理者は、管理すべき河川でも、道路でも、その他の海岸の堤防でも、管理すべきものがあったら常にそこに気をつけて——陳情があってもなくても、その災害の起こるおそれのある場所は、起こらないようにするのが政府の責任であると私は思う。もしくは公共団体の責任であると思う。ですから、それをなさないで起こった場合には、——予想以上の大きな天災は、これは不可抗力といえるでありましょう。しかし人間のなす工事の力によってとめることができるにもかかわらず、なさなかったがために災害が起こったという現実がそこに明らかになった場合には、やはり私は国家賠償法によって当然管理者の法的責任があると考えるのですが、その点をもう少しお伺いしたい。  私は、この問題は、もう少し大臣なり法的にも研究していただいて——そうしないと政府の怠慢がつい天災というものにすりかえられて、国民の生命の安全、財産の安全というものが保てぬ。私は政治論を言うよりも法律論で政府に迫っておかないと、大蔵省の予算にも関係しますから、言ったわけでありますが、きょうは大会もあるそうですから、私自身もこれでひとつ質問は打ち切っておきまして、また機会を見て……。
  38. 田中一

    田中(一)参議院議員 われわれ参議院の建設委員としてはまことに同感でございます。私ども聞いてみますと、河川局ではもはや今度の台風がどの地区に来る、本土に集中豪雨が来るとどの川のどの辺が決壊するという図面までできておるわけでございます。これは承知でもって崩壊を待っているのじゃなしに、そのくらい強い準備をしているということ、したがって、われわれの見方からしますと、ほかにはむだづかいをするけれども、国土保全のためにはあまり金を使わないということで、それだけ河川局は熱心に、常に災害があった場合は、直ちに設計図をもって復旧事業をするということになっているそうでございますから、これはまことにわれわれは田中委員考えと全く同感でございまして、これから大いに砂防施設並びに国土保全のために働きたいと存じます。
  39. 福永一臣

    福永委員長 本案につきましては、他に質疑の通告がございませんので、これにて質疑を終局することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  41. 福永一臣

    福永委員長 引き続き本案を討論に付するのが順序でございますが、別に討論の通告もございませんので、直ちに本案を採決いたします。  砂防法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  42. 福永一臣

    福永委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成に関しては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 福永一臣

    福永委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  44. 福永一臣

    福永委員長 新住宅市街地開発法案を議題とし、前会に引き続き、質疑を続行いたします。兒玉末男君。
  45. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、先般提案の御説明をお受けしましたが、若干の点につきまして質問をいたしたいと思います。  まず、この新住宅市街地開発法の精神に基づきまして都市計画の基準というものが第四条において明らかにされておりますが、この基準の一、二、三号を見てまいりますと、かなり厳格な基準が設定されておるわけでございますが、この法律趣旨につきましては、われわれも全面的に賛意を表するものでございますけれども、りっぱな法律ができましても、これの実施にあたりまして、特に私権制限ということがかなり強くうたわれております関係から、特に都市計画の基準について、これが設定の上において相当困難が予想されるわけでありますが、立案者としては、これの実施上の点についてどういうふうな考えを持っているのか。相当困難が予想されるわけでありますが、その辺の見解について承りたいと思います。
  46. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいまお話しのとおり、この事業は、都市計画として、しかもその内容におきましては、法律目的に即応いたしますように、健全な住宅市街地の開発、居住環境の良好な住宅地の大規模な供給という目的のためにできる限りの努力をいたしまして、公共団体及び公団、その他都市計画の担当者が、一体となりまして模範的な住宅団地、新住宅市街地を形成するようにいたしたいと考えております。  この法案は、御承知のように、その内容におきまして、単に理想的な町をつくるだけではなくて、そのために必要な土地につきましては、土地収用あるいは先買いさせるという制度を設けておりますので、それに対する関係もございまして、特にこの事業によってできますところの宅地は、りっぱな宅地にして、しかもそれが将来にわたって良好な宅地として保持できますように、各般の施策を講じまして、計画どおりの仕事ができるであろう、またできさせようということで、関係者とも事前に十分な意見の調整をしながらこういう案をつくったわけでございます。
  47. 兒玉末男

    ○兒玉委員 一応問題点だけお聞きしたいと思います。  第六条に新住宅市街地開発事業を施行する者の規定がなされておりますが、この前の提案説明を見ますと、第四十五条においてこの地域一定規模の土地等を所有する者を特にまた特例として認めるという説明を聞いたわけでありますが、私はやはりこの事業の特殊性から考えますならば、第六条の二項に、地方公共団体または日本住宅公団で行なうということがはっきり規定されておりますので、この二者に限定するが事業遂行の上に非常にいいのではないか、こういうように考えるわけでありますが、特に第四十五条において六条の特例として認めたことはどういうふうに見解に立っているのか、まず第一点としてこの点を承りたいと思います。
  48. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 この事業は、総合的な町づくりを考えておりまして、しかも、これに必要な用地の取得につきまして、土地収用その他の権限を与えておりますので、地方公共団体及び日本住宅公団がその事業施行主体になるのが最も基本的のものであるということにつきましては、われわれも考えは先生と同じでございますが、そのほかに、現在の用地の需給状況にかんがみまして、相当な宅地となるべき土地を持っておる民間の法人あるいは協会、公社等があります場合には、その力をかりまして、大規模に宅地を開発することが適当であるというふうに考えますので、こういう者が一定の条件に当てはまって仕事をしたいという場合には、むしろこれを助長いたしまして、しかし、これは民間企業でございますので、公共団体あるいは公団が行なうと同じ程度の権限を付与することには若干問題がございますので、一定範囲内において都市計画的に大規模な宅地開発事業に協力していただくという趣旨から、施行者につきましては特例をここに掲げたのでございます。
  49. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただいまの説明には私は若干問題があろうかと思うわけでありますが、特に事業の内容から考えましても、相当大規模な事業であり、しかも資金面等においても相当の背景がなければ困難ではないかと考えるわけでありますが、そういうような特例を認めるとするならば、やはり明確な基準を設けて、地方公共団体なりあるいは住宅公団等が施行する場合よりも、相当その規模において制約をなすべきではないか、そういうことを考えるわけですが、そのような基準等についてはどの程度の検討をされておるのか、お伺いいたしたいと思います。
  50. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 この事業を民間の者に行なわせる場合につきましては、相当規模の土地を持っておることをまず前提といたします。たとえばこの住宅団地の最小限度の規模としていま考えておりますのは、少なくとも十万坪以上の土地を持っておりまして、そこにできる住宅団地が快的な住宅地としていけるという程度土地を持っておること、それからその施行者が具体的に事業計画を立てます場合には、やはりこの法律によりまして都市計画事業として行ないますし、また、事業計画につきましては承認、認可にしておりますので、その内容においても適正であることを確かめた上で事業を認めていくというふうにしております。
  51. 兒玉末男

    ○兒玉委員 先ほど局長が答弁の中に言われましたが、住宅公社とか住宅協会というのは、地方公共団体等が一部出資をしてできておるものではないかと思うのですが、いま言われておる、そういう予測される公社とかあるいは協会、しかも地方公共団体においてある程度の出資をしておるという公社なり協会というものは全国にどの程度あるのか、もしわかっておりましたならばお答え願いたいと思います。
  52. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 現在住宅宅地関係の仕事をしております住宅協会もしくは土地開発公社、こういうものは全国の都道府県及び市町村に関連しまして六十ばかりございますが、そのうち大規模に宅地の開発ができる程度の大きなものはそれほどございません。東京あるいは大阪その他六大都市の公共団体に関連するものがあるいはその程度の実力があるかと存じます。
  53. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは資料要求したいと思いますが、いま申し上げましたような、そういう地方公共団体等が出資している公社なり協会の所在と名称、資本の程度、そういうものをひとつ要求いたします。  次に、第八条の関係でありますが、これは所有者または占有者の土地に対する障害物の伐除並びにボーリング等の項でありますけれども、こういうふうな障害物の伐除あるいはボーリング等を行なう場合においては、三日前までに通告をするというふうに規定されておりますが、特に所有者承知をしない、こういう問題等から考えますならば、もちろん三日前でありますから一カ月前にやってもいいわけでしょうけれども、三日というのは多少期間が短過ぎるのではないか、こういうふうに判断をするわけですが、特に第八条の一項と二項の関連性等から考えますならば、もう少し期間を見る必要があるのではないかというふうに考えますが、事前通告の期間について、三日というふうに非常に短い期間まで設定したのはどういうふうな理由か、お伺いしたいと思います。
  54. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 この事前の測量調査に関連いたしまして、他人の所有地に立ち入って調査を行なう場合の法律規定は、このほかにもいろいろ前例がございまして、これとほぼ同じような法律構成をとっておりますところの首都圏の工業開発地区の場合におきましても三日といたしておりますし、運用の実際につきましても検討した結果、この程度で十分であろうということで三日にしたのでございます。
  55. 兒玉末男

    ○兒玉委員 このような試掘なり伐除を行なう前提として、所有者等の同意を得ることができない場合においては、知事なりあるいは市町村長が、いわゆる判断によって行なう、こういうことでありますが、その中において、同意を得ない場合に「あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。」というふうに第一項において義務づけております。この「意見を述べる機会」というのは、大体どの程度の期間を設定されておるのか。これが明らかでないようでありますが、やはりこれは一つの紛争とみなすべきだと思うのですけれども、これはどういうふうな考えを持っておられますか。
  56. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 別に意見を述べる期間につきましては限定をいたしておりません。意見がもし出なければかまいませんけれども、意見のある方につきましては、期間の限定なしに意見を聞くということにいたしております。
  57. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、やはり、意見を述べる機会を与えなければならない、と義務づけてある以上は、当事者間において意見の一致を見ない場合、知事なり市町村長がその土地所有者、占有者に対して一定の期間を設けて、その期間に意思表示がない場合においてはそういうふうな立ち入りをする、こういう規定をするのが法律上問題を起こさないのじゃないかと私は考えるわけですが、試掘その他の場合には三日と規定しながら、意見を述べる機会を与えなければならないというふうに義務づけておきながら期間が明示されないのは、少し片手落ちじゃないかと思うわけですが、どうですか。
  58. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 あらかじめ意見を述べる機会を与えなければなりませんので、その期間を限定するよりも、むしろあらかじめ意見を述べる機会を与えておくことが必要でございまして、それをむしろ三日その他に限定しないで、なるべくいい意見が適切に確実に出るようにすることで十分じゃないかと思いまして限定をしないわけでございます。
  59. 兒玉末男

    ○兒玉委員 立法者のほうでそういうふうな処置ができればそれでけっこうでございますが、私はその点は非常に紛争の一つの種をつくるのじゃないかという懸念がありましたので、実はお聞きしたような次第であります。  次に、第十三条の関係でございますけれども、建築行為等の制限ということがここに規定されてあるわけでございますが、やはりこういう制限等の問題は、先ほどの都市計画の基準の設定が非常に厳格になされている関係から判断をいたしますと、関連して考えますならば、やはり違反行為等に対するところの、そういうところはこうすべきであるというふうな点について、もう少し規制というものを第四条の基準と合わして講ずる必要があるのじゃないか、違反行為等に対するところの是正措置というものが、第四条の基準の設定等から関連して考えますならば、少し緩慢じゃないか、こういうふうな判断をいたすわけですが、その辺はどういうふうなお考えか伺いたい。
  60. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 この事業は、施行者が所要の土地と全部買収いたしまして、その土地の上にあるいは道路をつくり、あるいは必要な公共施設、町をつくるというふうにしてまいりますが、法の十三条に出しました建築工事の制限は、まだその土地買収されて施行者のものになっていない場合におきまして、もちろん土地の所有権はそれぞれの土地所有者が持っておりますので、それが今後施行者が一定の事業計画に従って工事を進めていくに際して障害となることを押えるという趣旨でございますので、とりあえずこういうふうな程度の、土地の形質の変更なり、あるいは建築物その他の工作物の新築、改築等で事業施行の障害となるものを押えていく、そういたしまして、土地を自分のものに買収できたあとは、その事業計画に従って町をつくっていくという趣旨でございます。
  61. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ここの第三項に、「これらの条件は、当該許可を受けた者に不当な義務を課するものであってはならない。」こういうふうな規定づけがされてありますが、具体的に申すとこれはどういうことをさすのですか。
  62. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 いま申し上げましたように、土地の所有権は土地の元来の所有者が持っておりまして、ただ、この工事の障害となることを押えたいという趣旨でございますので、それを越えて、それ以上に不当に土地の所有権を制限することは、財産権の本質から適当でございませんので、この条件を付します場合にも、その範囲内におきまして、たとえば現実に不可能なことをするとか、あるいは公序良俗に反するような内容のものを課するといったことはなかろうと考えまして、この条件を定めたわけでございます。
  63. 兒玉末男

    ○兒玉委員 第十三条にはかなりまだ問題点が多うございますので、具体的質問は次に保留いたしまして、第十五条、これは私権制限に関する問題であり、いずれまた参考人等を呼ぶ機会もあるそうでございますが、この先買い権の行使ということで、これは土地収用法の特例ということになろうかと思うわけですが、大体このような私権制限する場合においての先買い権の行使をする場合、その期間というものは事業を遂行する上においてきわめて大事なことではないかと思うわけでありますが、第十五条に設定されているこの先買い権の行使の期間というものは、どの程度の期間を考えておられるのか、多少具体的にひとつ御説明をお願いしたい。
  64. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 先買い権の効力と申しますか、先買いができる期間は、その十五条に書いてございますように、公告の日の翌日から十日と申しますと、都市計画として事業の決定をし、同時に、事業施行者が自分でやるということを申し出をして事業が始まって、それから周知期間を十日置きまして、十日以後は届け出をさせる、そうして実際上この先買い権の効力がなくなるのは、土地買収が全部済んだときとなりますので、われわれの予定ではなるべく事業を早く終わらせたいと思っておりますが、相当広い面積についての事業を行なう場合がございますので、あるいは最近の実績から見ますと、用地の買収につきまして一年ないし二年ぐらいはかかるかと思いますが、その間につきまして、先買い権によりますところの土地買収をするというようなことになると思います。
  65. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特に今度の法律の制定の趣旨から申しますと、この先買い権の行使というところが一番問題になろうかと思うわけですけれども、その場合に、やはり問題の中心になるのは、その価格の問題が私は一番ポイントになるのではなかろうかと思うわけですが、これが今度の国鉄の新幹線等の場合においても、予測もしない赤字を出したのも、特にこの用地の関係が一部の悪質な業者等によって、それこそ先買いをされて、不当に高く買わされた、こういう点等を考えますならば、やはりすでにこの法案が今国会に出されたことによって、そういうふうな新幹線に見られるようなことが十分予想されるわけでございますが、この私権制限という問題と、さらに、悪質な業者等がさらに先買いをしてこの事業遂行に非常な妨げになることが十分予測されるわけでございますが、そういうふうな関連等についてはどういうふうなお考えをお持ちですか。
  66. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 この事業は、相当広範な土地につきまして事業を行ない、同時に、都市の周辺の地価が上がっておりまして、それはこういうふうな相当大規模な土地を必要とする事業につきましては非常な問題でございます。この法案は、そういう点をできる限り現行法の許す限りにおいて円滑に、しかも合理的に取得できるということをねらって考えた案でございまして、もちろんこの土地を選定いたします際に、あるいは土地所有者がその地価の引き上げを考えるかもしれませんけれども、この先買いという制度は、地区が指定されました場合には、途中で他に売ろうという場合には、事業施行者に売らなければならないというふうになっておりますので、一たん地区がきまりますと、他に転売をしてそこに利益をもうける、あるいはブローカーが入りまして安く土地所有者から買って、それを高く施行者に売りつけるというふうな、従来ややもすればあったような現象は、この制度によって押え得る。その場合に、しかし、この法案では、土地の価格につきまして、それは届け出に記載された価格を届け出額にいたしておりますので、第三者による価格決定をいたしませんが、最終的には、もしその価格によって事業施行者の方で適当でないと認めた場合には、買収をしないでおけますので、そうした場合には、たとえ第三者に売った場合がありましても、最終的には土地収用の手段によりまして、適正な評価によって土地を取得するという方策をとっておりますので、現在の土地の強制取得の方法といたしましては、この制度が最も妥当であり、これ以上の措置はあるいは困難であるということから、先買い制度及び土地収用の制度を両者併用いたしまして、土地の取得の円滑化に資したわけでございます。
  67. 兒玉末男

    ○兒玉委員 なお、この先買い権の行使は、説明によりますと、地方公共団体と住宅公団が行なうわけですか。
  68. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 さようでございます。
  69. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは事業の性格上、国がこれを代行するというような場合もあり得るわけですか。
  70. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 法律構成といたしましては、そういうことも考え得ると思いまして検討いたしました。しかしながら、先買いをいたします場合には資金を要しますので、そういう点、むしろ国が中に入るよりも、事業施行者が直接資金計画を持ちまして先買いをするというのがよかろう、こう思いまして、事業施行者であるところの公共団体と住宅公団に先買いをする権能を与えたわけでございます。
  71. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それから、この先買いによる先買い権の消滅ということが説明されておるわけですが、そういうふうな条件を実行しない場合、たとえば売買の契約をしても、施行者側がきめられたことを実行されない場合、こういうこと等も予想されるわけですが、そういう一つ私権制限に対する行使が消滅する期間というものも私はあると思うのですが、そういうことはどういうような規定をしているのか、お伺いいたします。
  72. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 先ほど申しましたように、この先買いの行使をする期間は、事業の始まったときから用地買収の終わるまででございますが、それまでの期間につきまして、もし先買いになりながら事業施行者のほうで土地を買わない場合には、土地所有者に対しまして、あるいは早く換価をしたいという場合もあるかと考えまして、その次の十六条の規定を設けまして、土地の買い取り請求をするようにいたしまして、早く土地を手放したいという方は、この規定によりまして事業施行者に買い取り請求をしていただく、そういたしました場合には、土地につきまして事業施行者が買い取るということにいたしまして、早く土地所有者にも代金を提供でき、しかも事業施行者も早く土地の入手ができるという制度を設けたわけでございます。
  73. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私のお聞きしたのは、地域の住宅協会なり公社なり、公団とかあるいは地方公共団体の場合は問題ないとしましても、民間の法人等の場合においては、この売買契約ができてから、一定の契約が成立した場合においては、土地代等の代金の支払いという期間の契約もその中にあると私は思うのです。その場合に、契約された期間内に施行者のほうで土地代なり建物代等を履行しない、こういう場合、当然私はこの先買い権という私権制限の特例というものの行使が、これは当然これまた消滅されるべきじゃないかと思うのですが、そういうふうに施行者の方が譲渡人に対してそういう代金等の支払いを履行しない、その場合に、やはり私は当然これは譲渡人が戻せということを主張する権利は保有されなければいけないと思うのですが、そういう期間のことでございます。
  74. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 この先買いの制度は、協会、公社等とか民間の事業主体には認めておりませんので、こういう強制的なことでなくて、自由な売買によって土地を持っておるものに限るのかと思いますので、ただいま御指摘のような事態は、民間の企業者の場合には、先買い権を認めておりませんので起こらないと思います。
  75. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次にお伺いしたいのは、第二十三条でございますけれども、二十三条によりますと「処分計画の基準」ということがございますが、「処分計画においては、造成宅地等は、政令で特別の定めをするものを除き、」こういうふうに書いてございますが、「特別の定めをする」というのはどういうことをさしているのか、お伺いしたいと思います。
  76. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 この住宅宅地をつくりました場合には、原則として一般に住宅に充てるために宅地として個々の人に分譲していくというのが原則でございますが、そのほかに、特別の場合には、その地区の団地の計画にかんがみまして、あるいは居住者の利便の用に供するための鉄道あるいは電気等の用地とか、あるいはまた、そこに必要な学校なり官公庁施設の用地とか、あるいはまた、場合によっては、特にそこに置かなければならないような居住者のための日用品販売のための売店とか、そういうものにつきましては、一般に公募して分譲するということよりも、適当な公選の方法で選考していったらいいだろう、こう考えましてこういう例外を置いたわけでございます。
  77. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この処分計画の二行目でいろいろな条件というものが抽象的に表現されておるわけですが、私はこの選考の基準というものが相当困難ではないかと思うのです。特に定める以外は公募することになっているわけですが、こういうふうな基準というものは、それぞれの地域によって私はかなり違いがあると思うのです。この公募する場合の最後のほうの二項にわたるこういう基準というものは、全国画一的に行なうのか、あるいは地域的な情勢を判断して行なうのか、その二点についてお伺いしたいと思います。
  78. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 公募し選定するということにつきましては、できる限り全国一本の基準で公正にやらせようと思っておりますが、その宅地をほしい人につきまして、この法律にあげましたような「自己若しくは使用人の居住又は自己の業務の用に供する宅地を必要とする者」でないとか、あるいは「譲渡の対価の支払能力」が無能であるとかいうようなものにつきましては、場合によっては、その事業の施行個所ごとに若干のその地区に応じた修正ということもあるかと思いますけれども、場合によって抽せんという方法でやる際におきましては、全国一律の基準でやりたいと考えております。
  79. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最後に一点だけお尋ねしたいと思うのですが、どうも法律用語が多くてよくわからないのでありますけれども、三十三条の買戻権のところで、「十年を経過する日までの期間を買戻しの期間とする買戻しの特約をつけなければならない。」ということで、買い戻しの特約の期間を十年としております。さらに三項に、施行者とその住宅を買った譲り受け人との間における違反行為があった場合においては、その「事実があった日から起算して三年を経過したときは、第一項の特約に基づく買戻権は、行使することができない。」こういう表現をとっているわけです。この前も局長にお聞きしましたが、どうもその意味がよくわからないのでありますけれども、この第一項と第三項の関連性をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  80. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 御承知のように、買い戻しという制度は、一たん売買して所有権が他に移ったものをまたもとに返すという制度でございまして、もしそれを知らずに第三者が手に入れた場合には非常な影響を受けますので、民法におきましても、買戻権は十年以内としなければならない、十年以上もたって、なおかつ、またその財産がもとの所有者に返るということは、取引の安全を害しますので、十年を限定するような規定になっております。この制度におきましても、十年たったあとはこれはやむを得ない、十年以内ならば買い戻しがあるということを一般に承知をしていただけばいいのではないかと思いまして、民法の原則及びこの宅地開発事業のいろいろな制限も、一応十年を区切って制限をしておりますので、その関係から、十年間は買い戻しもいいとしたわけでございます。ところが、あとの第三項におきまして、この買い戻しというのは、ただ施行者が自分の思いつきのままに買戻権を発動することはよくありませんので、やはり一定の違反事実があった場合に、土地を買った人から買い戻すということでございます。その違反の事実があってから長年ほうっておきまして、またこれを買い戻しますと、一般の第三者にも非常な弊害をもたらしますので、違反の事実があってから三年間を経過したあとは買い戻しができないというふうにいたしまして、両方によって、買い戻しの期間を限定することによって、その程度の期間の買戻権をつけておけば、それでこの法律の目的とするところの、公正にしかもほんとうに宅地をほしい人に、りっぱな家を建てる宅地として利用できる、それ以上に買い戻しを認めますと、それを知らずにこの土地を買った人、あるいは買いたい人に非常な迷惑を及ぼしますので、この程度に限定することが、一方の取引の安全ということから見て妥当であろう、こう思いまして両方の限定をつけたわけでございます。
  81. 兒玉末男

    ○兒玉委員 どうも私はその点がちょっとぴんとこないのです。第一項の場合は、民法の精神に従って十年までは施行者のほうで買い戻しができるということですね。ところが、三項の場合は、いろいろ両当事者間において違反行為があった場合においては、違反事実があってから起算して三年を経過したときは、第一項の十年間の権限というのがなくなるということは、どうも表現上の問題かあるいは法律の精神かわかりませんけれども、私どもしろうと流の判断では、矛盾したような表現ではないかと思うわけです。というのは、違反があればその買い戻しの期間を短くするのがあたりまえであって、しかもこの第一項に基づく買戻権は行使することができないということを、もう少しわかりやすく説明していただきたいと思います。
  82. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 説明が不十分で申しわけございませんが、第一項は、十年の期間内は買い戻しができる、第三項及び第二項はそれを限定いたしまして、その買い戻しは十年の間にもちろんできますけれども、違反事実があってからそれをあまり長期間置いておきますと、その違反事実というものに対しての一種の制裁的規定でございますけれども、また一方、一般の第三者が、その買い戻しのあることを知らずに土地を買う場合その他もありますので、違反事実があったときは、三年の間に買い戻しをやってしまう。それを忘れたとか、あるいはしない場合には、もうそれは買い戻しはしないというふうにしておきませんと、違反事実があったものをそのまま放置しておきながら、忘れたころに買い戻しすることは、かえってよくないということから、買戻権行使についての限定を認めたということであります。
  83. 兒玉末男

    ○兒玉委員 どうもまだ理解ができませんので、もう一ぺんあとでお聞きするといたしまして、本日はこれで私の質問を終わりたいと思います。
  84. 山中日露史

    ○山中(日)委員 関連して。先買い権の問題で一点だけお尋ねしておきたいのですが、今度の法律によりますと、事業開発地域指定された後、その指定地域内の土地所有者はその土地をよそへ譲ろうとする場合には、これを公共団体なり公団に届け出なければならない。そうして公団なり公共団体先買い権を行使する、こういうことになるわけですが、その指定地域指定される以前に、その地域内の土地所有者と他人との間の売買契約が結ばれておって、そうしてある程度売買代金の内金が支払われておって、まだ名義は買い主には移転しておらないけれども、実質的にはほとんどもう買い主のほうに名義が移る段階に近づいておるというような状態のときに、登記はやはりその前の売り主の名義になっておるということから、そういう場合には届け出をしなければならぬということになるのか、その点どういうふうに考えておりますか。
  85. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 現在土地の売買は契約できまりますので、売買契約が成立しておる時期におきまして判定すべきものだと思います。
  86. 山中日露史

    ○山中(日)委員 ですからその時期が、その指定される以前であるわけですね。時期ははっきりしておるわけです。その場合に、これもやはり届け出をしなければならぬということになれば、結局公共団体なり公団が先買い権でそれを買い取ってしまうということになれば、前に買っておる買い主は非常に迷惑をこうむる場合があると思うのです。そういう場合に、一体この先買い権行使をすることができるのかどうか、こういう点なんです。
  87. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 先ほど申しましたように、売買契約がこの地区の指定公告の日以前にありますならば、それは届け出は要りません。そういうことの処理に円滑をはかるために十日の猶予期間を置きまして、その問にお互いの売買契約のその後のあと始末をお願いするということにしておるわけでございます。
  88. 山中日露史

    ○山中(日)委員 善意の買い主である場合はいいんですけれども、もしも悪意の買い主で、そうして先買い権を行使されては困るということでその前に売買契約を結んでおるわけです。そうして高い値段で買っておるわけですが、そういうような場合でも届け出は必要はないということになるわけですね。
  89. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 さようでございます。
  90. 福永一臣

  91. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 もうだいぶ詳細に質問が済んでおりますから、私は要点を二、三点についてお伺いしたいと思うのです。  その前に、この法律は相当規模の大きい宅地造成を目的として、人口の集中する都市もしくはその周辺ということでありますけれども、最低一万人以上居住させるということは、これは場合によっては狭いかもしれません。また、考え方によっては広いかもしれません。そこで、ことしの一月の建設大臣のあの発言にも、これと同時に農山漁村それから小都市、村落のようなところの住宅問題も並行して考えるべきである、こういうようなことも発表しておるわけです。これについては、一体具体的な土地造成もしくは住宅政策というものができておるのですか。これは大臣から伺いたいのですけれども、あなたから御説明できるならば伺っておきたいと思います。
  92. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 農村住宅対策につきましては、本年度の予算編成に際しまして特に重点を置くことにいたしまして、従来から実施しておりました事業を相当大幅に拡充いたしました。  具体的に申し上げますと、公営住宅あるいは住宅金融公庫住宅の中に特に農村向けの住宅の特別ワクをつくりまして、普通の都市の一般都市勤労者向けの住宅と違った規模あるいは違った運用ができる、そういう住宅をつくりまして、農村における住宅対策に寄与したいと思っております。  もう一つは、先般御審議いただきました法律によりまして、農村におきましては、住宅を新設するほかに、現存する住宅を改良するということが農村地区における住宅対策の主要な問題でございますので、それに必要な改修資金の貸し付けという制度を設けまして、近く貸し付けを開始する予定でございます。とりあえず、農村地区におきましては、用地問題よりもこういった二つの施策の方を進めることが肝要だと考えまして、本年度はこの方針によって進めております。この宅地は、主として農村地区よりも、大都市の周辺の勤労者向けの住宅対策ということを主眼にした法案でございます。
  93. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 農村のことはわかりましたが、いなかの方の合併された小さい市ですね。それらはやはり商業その他の事業をやっているところ、それから純然たる農村、純然たる漁村、これらが一つになって合併された小さな三万、五万くらいの都市ができておるわけです。ですから、農村に対する分はそれでわかりましたが、小さい商店街、商業地区を含むそういう後進地域、これらに対する対策もいまの農村の場合と同様に考えておりますか。
  94. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 住宅問題は、先生の御指摘のように、全国的な規模において考えておるのでありますが、それぞれの地区に応じた施策が必要である、こう考えまして、この法案のように大都市の周辺あるいは宅地の特に逼迫するであろうところについては、強制的な手段でもって土地を取得して宅地を造成する。ただいまお話のような地区につきましては、この程度の強制権を発動する以外の方法で宅地の造成ができます土地の入手につきまして、これほどのことをしなくてもよろしいということから、たとえば住宅金融公庫によりますところの資金の貸し付けとか、あるいはまた、土地所有者がお互いに区画整理を行ないまして土地を造成するとか、それぞれの地区に応じた宅地対策も考えられますので、その方向で実施をしていくのが妥当である、こう考えまして、とりあえずこの法律は、特に人口の集中の著しい地区もしくはそのおそれのある地区に限定して運用してまいりたいと考えております。
  95. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 この法律は、目的にも書いてありますとおり、住宅を解決するための宅地の問題を解決する。もちろん国民の福祉には関係ありますけれども、事業それ自体は公共事業ではないのではないか。そこで土地収用法を適用したところもたくさんありますけれども、これらはみな道路、港湾——収用法に書いてありますとおり、事業そのものが本質的に公共事業である。この問題は公共の福祉には関するけれども、それ自体が公共事業ではないというところに、土地を強権を発動して収容するところに問題が出てくると思うのです。これは委員長先ほど申されたとおり、参考人の意見を聞いてみるということですから、この点は私はきょうは触れません。  そこで、全般に、順序を追わずに、私の特に疑問とするところを二、三伺っておきたいと思うのですが、まず私の一番疑問に思う点は、宅地を造成して、これを処分して、後にこれが個人の財産になる。個人の財産になった後の所有権の処分については、この法律制限しております。そうすると、買うほうは、制限づきの所有権を譲渡を受けるわけです。土地を造成するためには、いまのような疑問もありますけれども、強権を発動して一つの団地をつくる。しかし、その処分を受けた後には、その財産は個人の財産になるのですから、その個人の財産を自由に処分できないということにこの法律制限するということはどうかと私は思うのです。たとえば三十二条におきまして「十年間は、造成宅地等又は造成宅地等である宅地の上に建築された建築物に関する所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転」を禁止してあるわけです。そうすると、一たんそこへ土地を買って建物を建てた以上は、府県知事の承認を得ればいいということになっておって、これはあまりきびしくないようですから、現実の問題としては、そう不自由はないかもしなませんが、法律のたてまえとしては、どうも私有財産を事後に制限するのではないかという感じが起こるわけです。しかもこの各号の中には滞納処分とか強制執行、競売法によって処分された場合にはしかたがない、こういうことですから、裏をくぐれば、譲渡をしようと思えば、自分が借金をして、そして競売をしてもらってこれをよそへ取ってもらうということによって処分ができますけれども、それはあまりにうがった話であって、そうではなくして、うちは建てたが金はない、金がないから、自分の所有権だからして担保権を設定して借金をしようというような場合にも、やはりなおかつ知事の承知を得なければならない、こういうことになるのでは、これは非常に所有権の制限になると思うわけです。ですから、これはそういうことをしないで、所有権の処分は自由——私有財産ですから処分は自由、ただし、買った原価というものの標準がありますから、一割とか二割とか以上の価格で暴利をむさぼって売ってはならないというように、価格に制限をつけて、所有権そのものには制限をつけないほうが私はやはりすっきりするのではないかと思うのです。そういう点はいかがでしょうか。
  96. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 ただいまの御意見ごもっともでございまして、いろいろ研究したのでございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、この事業そのものは公共施設を築造するいわゆる公共事業と違いまして、最終的には個人の宅地になる、個人の所有地になるために、他の人の土地を強制的に取得するという、現在の法律上相当の問題があると思われる点につきましての解決方法をいたしましたので、そのためにその強制権によって得られた土地が、最も適切に、最も当初の目的どおりに利用されるということを、事前において、あるいは事後において、なるべく担保する方法を講ずるのがよかろう、こう考えまして、そのために、事前におきましては都市計画事業でやるとか、あるいはその事業の計画につきましても、法律上その他一定の基準を設けるということにいたしまして、事後におきまして処分をする場合にも一定の基準で処分をする。それから、処分しましても、要するに住宅地として利用されることが確実に実施をされることが一番望ましいのでございます。人の土地を強制的に取得した土地は、やはり当初の目的どおりに運用されるということを確保いたしますためには、やはりここにあげました程度の知事の承知にかけるということは必要じゃないか。これを単に価格だけの調整にするということも一つの案でございましたが、しかし、この実際の承認の運用にあたりましては、その目的に書いてございますように、適切に相手方の移転によりまして利益をどの程度受けるかどうかということで、適切な判断によりまして運用できるというようなことから、むしろこういたしまして、土地の収用をされた側の立場も考え、あるいは強制権を与えるには、どうしてもこの程度のことが公共的に必要であるという観点から制限を置きましたので、ただいまのような御指摘の点につきましては、知事の承認の際に、十分に具体的な実態に合うように運用することによって、円滑な法の運用を期したいと考えておるのでございます。
  97. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 この知事の承認については、そう窮屈な条件でないと思いますから、私はこの移動はある程度制限を受けてもそう窮屈ではないと思うのです。思うのですけれども、法のたてまえとして、所有権というものは本人の意思に従って自由に使用、収益、処分できるのが所有権の本質ですから、その所有権にくつわをはめて、自分の自由にならないような所有権をつくるということは、これは何と言っていいか、所有権とも言えぬ。債権なら譲渡禁止の債権はありますけれども、所有権について、法の力によって自由に移動することのできない所有権というものはどうか。これはむしろ土地収用の問題よりも、個人の財産権を制限するという意味において、憲法上このほうが重大問題になってきやせぬかと思う。  そこで、私の申し上げるのは、そういう表から所有権を制限するような、ひもをつけるような、もしくはそこに窮屈に押し込んでいくようなことをしないで、価格に制限をつけて、そしてこれ以上の価格に売った場合には無効だ、もしくは売った場合には、知事に必ず届け出る、それで価格を書いて届け出るということにすれば、最初は個人の住宅をつくるためにこの事業を起こして個人に処分をしたのですから、移動されては困る、その点はある程度わかるのです。しかし、所有権を制限して移動が自由にできない所有権というのは、正当な所有権でないような気がする。ですから、この点は土地収用の問題もさることながら、所有権に制限をつける、制限つき所有権というのは、ちょっと私は納得できないと思うのです。また、行政面、政治面から考えても、一度は金がないからそこの安い土地を買って家を建てた。ところが、成功してよそに移りたいという居住移動の自由も、間接にこの法律によって制限されるということになりはしないか。買えばどうしても十年はそこにいなければならぬのだという窮屈な考えも出てきます。私は、むしろ安いものを買ったが、価格を制限してあるから、その価格でうちのないほかの者を入れて、資力のある者はほかにかわっていくというように、ここに条件つきで移動性を持たしたほうが、国の住宅政策からいえばいいのではないか、かように考えるのですが、いかがでしょう。
  98. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 この法案を策定いたしました趣旨は、先ほど申し上げましたように、一方では、土地収用という強権を発動いたしまして、最終的には、ただ他人の土地を使うということがありましたので、この程度制限はむしろつけるべきであるということで、この点につきましては、実は政府部内のみならず、宅地制度審議会におかれましても十分検討されまして、こういう案につきましての御意見を拝聴したわけでございます。しかし、先生がおっしゃいましたように、あるいは非常に所有権に対する制限でございまして、取引の安全なりあるいは本人の移転、居住についての制限ということも考えられますが、この知事の承認に際しましては、十分そういう点も考慮いたしまして、適正な利用者に適正な価格で譲渡される場合には、譲渡を承認させるという考え方をとりますので、それほど厳重な所有権に対する制限考える必要もない、むしろ運用の妙を発揮することによって、実態にも沿い、同時に、強制権の発動の趣旨にも沿うというふうに考えるわけでございます。
  99. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 この土地を造成するために、強権を発動して土地収用法によって無理に所有権を放棄させて、そして土地を造成させる、それはわかります。わかりますが、一たん自分の所有になれば自分の財産権ですから、その自分の所有権になった財産権を、またさらに処分するというようなものは、憲法によれば適当な補償をしなければならぬわけです。ところが、補償も何もしないで安く犠牲を払って、おまえのために所有権を与えたんだぞということのみによって、事後にこの所有権が窮屈になって処分できないということになれば、補償は何もしないで、所有権はとらないけれども、所有権の融通性もしくは自由な収益について制限するということは、かたわの所有権ですね。そのかたわの所有権のうちの何割になるかわからぬけれども、そういうことについて初めから納得して本人が買うからいいようなものですけれども、しかし、表から見れば、所有権の一種の制限である、所有権の効果の剥奪であるということになりまするならば、やはりこれも憲法に触れることかもしれません。ですから、その点は、一度考慮していただくことにして、また、参考人でも出てきた場合にはお伺いすることにしておきますけれども、私の考えでは暴利をむさぼって、かりに他に転売するというようなことを防ぐことが目的であって、そこに本人を十年も定着させるということが目的ではないのですから、そこに価格に制限をつけて所有権の融通性を認める、こういうことのほうがすっきりしておって、問題は何もない、そのことを申し上げておくわけであります。  それから、これは宅地の造成だけに関する問題ですけれども、しかし金のない人がなるべく安い宅地を買い受けたいというのはけっこうなことなんですけれども、しかし宅地ができたからといって、建築資金がなおさら足らないかもしれない。ですから、この宅地の開発保護によって処分を受け、取得した敷地を持っておる人に対しては、何か建築資金についても融通する、優先するような方法を講じてしかるべきではないか。これは別に政府から金を出すわけじゃないので、敷地を持っているから、この敷地を持っている人には幾らか便宜をはかるということでなければ、金のない人は宅地はやれやれと思って買ったけれども、建物を建てられない、こういうことですから、何かそこに建築資金について、建物については御配慮があってしかるべきじゃないかと思います。
  100. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 宅地を提供いたします際に、資金の関係で買いやすくするためには、あるいは分割払いにしてやるとか、あるいはまた、宅地債券の目的地にこれを限定するとかいたしまして、宅地の資金をなるべく払いやすいようにしてやる。同時に、住宅金融公庫の貸し付けにつきましても、この地区で宅地を持っておる者に対しましては、なるべく便宜を計らいまして、早く建てやすくするような措置を考えたいと存じております。
  101. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 それはひとつ十分に——法的に盛らぬでも十分の考慮をお願いいたしたいと思います。  それからもう一つ、これに関連をいたしまして、三十二条の先ほどの譲り受け宅地所有権の処分の制限でありますが、強制執行、競売によって所有権が離れて他に移る場合はしかたがないという例外がございます。ところが本文の中に「所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転」こうありますが、この中に抵当権は入りますか。
  102. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 抵当権は入っておりません。
  103. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 それならこの土地を買って、さらに抵当権を設定して借金をするという道が開かれておるわけですね。  それから買い取りのほうの制限は、これは政令で定めるのかもしれませんが、個々の居住者に対する敷地、宅地を与えるのが目的ですから、もし広い宅地を取得して、そこヘアパートとはいかぬけれども、少し広いうちを建てて他人に又貸しをするというようなことが出てきますと、いろいろ明け渡しその他について、この法律適用する上で支障が出てきはしないかと思うのですが、これはどういうような制限になっておりますか。たとえば、処分する一人に対する坪数の制限とか……。
  104. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 処分の程度におきましては、原則として一人に一宅地というふうに考えております。一宅地と申しますのは、設計にもよりますが、平均八十坪前後の宅地を考えております。
  105. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 それから、この法律によって買い取りの請求、それの対象物ですね、施行者が買い取りをする対象の物件、そのうちから立木に関する法律、これは登記したら——立木だが登記すれば不動産になりますから、これは買い取らないということになっておりますが、そうしますと、事業計画を立てるときにある程度整理できると思いますけれども、一団の宅地をつくろうする目的の場所に登記された立木が何本という制限がありませんか。あった場合には、これは買い取らないということになると、この宅地造成の施行の遂行の上において支障を来たすようなことがありはしないかということですが、これはどういう意味で省いたのですか。買い取りの対象にしてもいいと思うのですがね、建物も立木も。
  106. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 この買い取り請求は、土地所有者が施行者に対して請求をいたしました場合に、施行者のほうでそれを買い取る義務がございますので、その際に、ここにありますように、他人の権利目的になっておるとか、立木がある場合には、その他人との間の調整が必要でございます。もしこれが収用でございますと、原始取得で当然そういう権利も消滅いたしますが、この場合は売買になりますので、土地の所有権以外の権利は当然に移ってきません。その関係あとで話をつけなければなりませんが、その関係がかえって煩瑣になる場合が考えられますので、とりあえずこの請求権によって土地を買い得るのはさら地だけに限定したわけであります。もしその残った権利なりあるいは立木について問題が残るならば、場合によっては、あとの収用の方法を考えるとか、あるいは当事者の間で協議をととのえた上で、土地の買い取り請求をするというふうにしたいと思っております。
  107. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 権利の目的となっておる場合に、譲渡すれば当然に移るわけですから、それはいいわけじゃないですか。たとえば抵当権の設定された土地であっても、その土地を取得すれば、今度はその抵当権がくっついてくるわけですから、いままでは、何というのですか、排除規定もありますし、当然権利の上に設定された権利というものを除却する方法もあるわけでございますから、これだけ残すと、団地というものの一段の形成に非常に不便を来たし、また支障があるのではないですか。省く必要はないのではないかと私は思うのです。
  108. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 買い取り請求につきまして、事務をなるべく敏速に処理するために、そういう問題はできるだけ当事者間で処理していただいて、さら地にしておいていただきたい。それから、もしどうしても話がつかない場合には、この制度でなくて、土地収用等の手続によって処理をしたい、こう考えまして、こういうふうにしたのでございます。
  109. 田中幾三郎

    田中(幾)委員 ですから、そういうこともありまして、実は事業計画と処分計画を認可する場合に、この規定では、処分計画だけ認可を受けさせて、事業計画は認可を受けなくてもいいことになっているのですね。私はむしろ事業計画のほうに、この土地をこの事業の対象として宅地に造成するが、一体どういう権利がその上にある土地であるかということをよく見きわめて、むしろ処分計画の認可よりも事業計画のほうの認可に重点を置くべきではないか、そうしないと、事業の遂行をするためにうまくいきにくいのではないかと考えるのです。なぜ事業計画についての建設大臣の認可を省いて、処分計画だけに建設大臣の認可権を与えたか、その点をひとつ御説明願いたい。
  110. 前田光嘉

    ○前田(光)政府委員 この事業は、都市計画事業として都市計画法の手続によって実施いたしますので、事業の大綱は都市計画事業決定、これは大臣が決定いたしますが、一応そういうことでやっております。事業施行主体が立てます都市計画は、その都市計画事業の決定に従いましてその工事の設計の具体的な詳細な検討ということになってきますので、ことにこの施行者が公共団体及び住宅公団でございますので、この程度のことは、むしろ事業施行者の自由なアイデアによる方が適当であろうと考えます。  大綱については、大臣の決定するところの都市計画事業によっておりますので、心配はない。それに反しまして、処分計画につきましては、都市計画のほうに入ってきませんで、むしろこの法律に基づくところの計画であり、しかも、先ほどから申しましたように、宅地として土地を必要とする人に公正な価格で分譲できるということにつきまして、相当厳重な監督を願いまして、その処分計画につきましては大臣の認可にまったわけでございます。
  111. 福永一臣

    福永委員長 次回は来たる五月二十九日水曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会      ————◇—————