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河野国務大臣 河川法の改正につきまして、だんだん御助力いただいておりますことを、大いに多とするものでございます。お話しの閣議におきましては、両三回私から
説明をし、発言をいたしまして、すでに総理大臣以下各閣僚熱心に協力しております。各省間の打ち合わせはおおむね終わりまして
——通産、厚生は大体終わりました。農林省に一部事務的に打合わせが残っておりますが、これもほとんど終わっております。問題は自治省でございます。自治省につきましても、自治大臣の非常に御理解ある御協力をいただいております。従って、閣僚
関係におきましては、ほとんど異存はございません。事務的な打ち合わせ、了承を得るということに終わっております。
地方長官の諸君に非常な御異論があるように新聞等は報じておりますけれども、これも私はそうは
考えておりません。じきじきに私のところへお見えになった地方長官は、大体賛成と言うておられるのでございまして、事務的に、誤解に基づく反対を言うておられる人がございますが、これらは、お目にかかってお話をすれば、大体氷解する
程度と私
考えております。しかし、いずれにいたしましても、中島さん御
承知の通りに、前の河川法がもう全然時代離れしたものである、極端に申せば、今起こって参りますすべてのものにつきましては、基礎になるべき
法律のないところでやっておるような状態でございますので、何としてもこの機会にこれを整理をしなければならぬという、私はかたい決意を持っております。第一に、地方長官の諸君が言うておられます
——まあ長官の諸君が言うておられるのか、だれが言うておられるのか知りませんけれども、一カ月くらいの間に急ごしらえでやるのはひどいじゃないか、こういうことですが、決して一カ月や二カ月の急ごしらえではない。前々からたびたび検討を重ねたものを、ただこれが国会提案がおくれておるだけであって、それを私、大臣になりましてからだんだん検討の結果、成案を得て今この段階になってきたことは御
承知の通りでございます。これはもう昨年の臨時国会の際にも申しておりますし、しばしば私は発言もし、しばしば世間に対しても申しておるのでございます。
それから、内容について、地方長官の諸君はともかくとして、地方におられる土木部長の諸君にしても、それから河川
関係の諸君にしても、もう少し積極的に勉強して、積極的に打ち合わせをし、積極的に協力して下さる態度であってしかるべきだと思う。この
法律が非常に地方長官に便利を与えておることは百も御
承知であろうと思う。地方長官の立場にあろうが、
建設大臣の立場にあろうが、この
法律ではいかぬ、直さなければいかぬということについては、どなたも御異論のないところだと思うのであります。どう直すかということについて問題があるが、その
問題点については、十分に議を尽くして、決着すべきところに決着をつけよう。私は、
一つのイデオロギーを持って、それを断じて譲ったり変更しないというようなことは申しておりませんことは、たびたびこの席において申した通りでございます。従って、社会党さんの方からも御意見があれば、なるべく早目にお聞かせいただきますならば、原案において十分考慮いたしておきますということも、かねて申し上
げた通りで、この点は地方長官の諸君に対しても同様でございます。県ごとに、たとえばおれの県では河川行政がなくなっちゃうじゃないかというようなことを言っておられる諸君がだいぶございます。これらが一番反対の県のように心得ます。しかし、なくなって困ったら、やったらよろしい。何も
政府が取り上げてしまうというのではない。どうしても一元化してやらなければならぬ川というものは、全国にそうたくさんはないと私は思います。現に水利権にしましても、問題になる川というものはそんなにたくさんないと私は思います。ただ、治水、砂防において、今日のように各県各様であることは適当でない。やはり、県の財政が豊かであるとかないとかいうことは別にして、一元的に一本で流れるよるに治水工事は行なわれていくべきものである。だから、貧乏の県で十分に県の裏づけがしにくいから川の堤防がおくれておる、直轄河川にしてくれという運動がおくれておるというような県も適当でないというふうに私は
考えるのであって、従って、全国の川をながめて、この川は直轄で一級河川にして国で全部持ってやった方がいいという川は、国で持ってやったらいいでありましょうし、二級で県にまかせておいた方がいいという川は、県にまかせておいた方がいい。それをきめるのはだれがきめるか。決して
建設省の役人に一存できめさせる必要はない。きめるのは、農林大臣も発言したらよろしい。
建設大臣も発言したらよろしい。
建設大臣も中心になって大いにやりましょう。そしてその他、各府県知事さんの中で興味のある人は出ていらっしゃい。そしてみんなで話し合ってきめたらいいと私は思う。それを、
法律を出してからそれもこれもみな取り上げてしまうのだというふうに思われることは、一方、また大蔵省は、そんなに取り上げるのでは、国の財政が大へんだから、それでは困る、こんなことを言っておったら、まとまる話がまとまらなくなる。無理にこわすために言うておるようなものである。そうじゃない。現実にこれじゃ困るから、何とかでかし上げなければいかぬじゃないか。どこに一番問題があるかといえば、私は二点だと思うのです。
一点は、くどいようですが、水防
関係において、治水
関係において、全国一律に必要なところは全部でかし上げられるように、府県の財政によってこれが左右されない、地方長官の熱意によってこれが左右されない、必要なところは全国的視野に立って行なわれるということが
一つ。もう
一つは、水の利用について、これも全国的感覚、国家的感覚、視野に立って行なわれるということであればいいのであってそれ以外にはそう問題は私はないと思うんです。
だから、地方の小さな水利権がどうである、こうであるということまで
建設大臣が一々出かけていって指図する、取り上げてしまうというよなことを
考える必要は、私は毛頭ないと思うのであります。だから、もっと極端に申しましたらば、釈迦に説法でございましょうが、水資源
公団ができておる。利根川水系をやる、淀川水系をやる、これは指定をしていけば、どこの水系でも順次やることになります。それでふやしていったって別に地方長官、これに御異存はないはずであります。だけれども、そういうことを水資源
公団でやるべきものじゃございませんから、小さなところまで手をつけるべきじゃございませんから、一律にしておいて、水の利用の面が先に立っていっちゃいかぬ、水防の面が先に立っていくべきだという意味において、私は今回の河川法の改正をやる。私はしろうとでございますけれども、客観的に達観してものを
考えれば、そんなにやかましく文句を言われるようなものができるはずがないと思うのでございます。
一つのとらわれた
考えをする意思はございません。従って、地方長官の諸君でも、異論があるなら出てきてお話し合いになれば、いかようにも御理解のいくように、また私の方で直すことは、一向差しつかえないのであります。地方長官
会議が全面的に反対だ、知事
会議が反対だ。知事
会議が反対だったら東京都知事は一体どうする。現に今のままでは水の手当がつかぬで困っておるじゃありませんか。大阪の府知事さんどうする。そういう知事さんが全国にどのくらい一体あるか。地方産業都市をつくるのにみな水で困っているじゃありませんか。そういう知事さんが、地方産業都市はつくりたいわ、一方において河川法には反対だ、およそロジックに合わぬようなことが平気で世間で横行しておるというようなことは、これは新聞記者諸君にはなはだ御無礼な言い分でございますけれども、お書きになるときには、やはりお書きになるようにしてお書きになったらどうかと思うんです。もう少しロジックの合ったことを書いて、国民諸君を指導していただくようにしていただいたら、こんなばかげた話は新聞に載らぬだろうと私は思うんです。それで、ただいたずらに実体のない化けものがあちこちに動いているような格好になっている。きのうも現に地方長官
会議に、地方長官で残っているのは四人しかいない。地方長官は反対だというあれだけの問題、残って地方長官
会議にお出になった地方長官は四人しかおられない。私の方からもみなに
説明せいと言って出してやるというようなことでございます。しかし、いずれにいたしましても、十分最善を尽しまして、今月中にはぜひ成案を得て提案いたしたいと
考えておる次第でございます。