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1963-06-04 第43回国会 衆議院 決算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月四日(火曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 津雲 國利君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 鈴木 仙八君 理事 勝澤 芳雄君    理事 西村 力弥君 理事 芳賀  貢君       久保田藤麿君    鈴木 正吾君       田川 誠一君    古井 喜實君       久保 三郎君    森本  靖君  出席政府委員         内閣官房長官 八田 貞義君  委員外出席者         内閣調査官   広山 紫朗君         会計検査院事務         官         (第一局長)  保川  遜君         会計検査院事務         官         (第二局長)  樺山 糾夫君         判     事         (最高裁判所事          務総長)   下村 三郎君         判     事         (最高裁判所事          務総局総務局         長)      桑原 正憲君         判     事         (最高裁判所事         務総局経理局         長)      岩野  徹君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十六年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十六年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十六年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十六年度政府関係機関決算書  昭和三十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十六年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十六年度物品増減及び現在額総計算書(  裁判所所管内閣所管)      ————◇—————
  2. 津雲國利

    津雲委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は裁判所所管及び内閣所管について審査を行ないます。     —————————————
  3. 津雲國利

    津雲委員長 この際おはかりいたします。  裁判所所管決算審査に関し国会法第七十二条の規定による最高裁判所長官の指定する代理者から出席説明の要求がありました場合は、その承認に関する決定につきましてはその取り扱い委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 津雲國利

    津雲委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。     —————————————
  5. 津雲國利

  6. 下村三郎

    下村最高裁判所長官代理者 昭和三十六年度裁判所決算概要について御説明申し上げます。  第一に昭和三十六年度裁判所所管歳出予算額は、百六十九億五千八百九十二万七千円でございましたが、右予算決定後、さらに八億九千三百二十四万三千円増加いたしまして合計百七十八億五千二百十七万円が昭和三十六年度歳出予算の現額でございます。  右増加額八億九千三百二十四万三千円の内訳は、予算補正追加額として四億二千六百四十六万四千円、大蔵省所管から移しかえを受けました金額一億九千四百三十四万円、昭和三十五年度から繰り越しました金額二億二千三百六十五万一千円、予備費使用額四千八百七十八万八千円でございます。  昭和三十六年度裁判所所管支出済み歳出額は、百六十九億二千五百十八万六百二十七円でございまして、これを右歳出予算現額に比べますと、九億二千六百九十八万九千三百七十三円減少しております。  この減少額のうち、翌年度に繰り越しました金額は、二億六千八百七万九千円でございまして、全く不用となりました金額は、六億五千八百九十一万三百七十三円でございます。  この不用額内訳は、裁判所職員俸給手当等人件費一億九千四百三十六万四千二百五十一円、書記官研修所施設取得計画の中止による庁舎等特別取得費四億五千万円と、その他の経費一千四百五十四万六千百二十二円とでございます。  第二に昭和三十六年度裁判所主管歳入予算額は、九千百十六万六千円でございまして、昭和三十六年度収納済み歳入額は、一億一千二百七十三万八百十四円でございます。この収納済み歳入額を右の歳入予算額に比べますと、差し引き二千百五十六万四千八百十四円の増加となっております。  この増加額は、保釈保証金没取金等増加及び土地交換による清算金収納がおもなものでございます。  以上が昭和三十六年度裁判所歳出及び歳入決算概要でございます。
  7. 津雲國利

    津雲委員長 続いて会計検査院当局より検査概要について説明を求めます。樺山第二局長
  8. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 昭和三十六年度裁判所所管決算について検査いたしました結果、軽微な事項につきましてはそれぞれ検査の際注意をいたしておりますが、特に不当と認めた事項はございません。     —————————————
  9. 津雲國利

    津雲委員長 次に内閣所管決算概要について説明を求めます。内閣官房長官八田貞義君。
  10. 八田貞義

    八田政府委員 昭和三十六年度における内閣所管歳出決算についてその概要を御説明いたします。  内閣所管昭和三十六年度歳出予算現額は十二億八千六百八十万七千円でありまして、支出済み歳出額は十二億六千百万九千円であります。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと二千五百七十九万七千円の差額を生じますが、これは不用となった額であります。  内閣所管支出済み歳出額は、内閣官房法制局、人事院、憲法調査会及び国防会議に関するものであります。  不用額は、内閣官房において特別職俸給支給にあたり議員歳費との差額を支給したため職員俸給を要することが少なかったこと等がそのおもなるものであります。  以上をもちまして内閣所管決算概要説明を終わります。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  11. 津雲國利

    津雲委員長 続いて会計検査院当局より検査概要について説明を求めます。保川第一局長
  12. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 概要説明をいたします前に、ちょっとこの席をかりましてごあいさつさせていただきます。  私、このたび第一局長を拝命いたしまして、何分就任早々でございますので至らぬ点が非常にあるかと思いますが、御鞭撻と御指導によりまして勉強いたしたいと思います。  三十六年度内閣所管決算につきましては、書面並びに実地の検査をいたしましたが、特に不当として指摘した事項はございません。  簡単でございますが、終わります。
  13. 津雲國利

    津雲委員長 これにて概要説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので順次これを許します。木村公平君。
  14. 木村公平

    木村(公)委員 私は裁判所関係決算につきまして若干のお尋ねをいたしたいと思います。  ただいま決算報告によりますれば、昭和三十六年度最高裁判所所管歳出決算は、当初予算が百六十九億五千八百九十二万円余、それから補正追加額が四億二千六百四十六万円余、移しかえ増加額が一億九千四百三十四万円、前年度繰り越し額が二億二千三百六十五万円余、予備費使用額が四千八百七十八万円余、計予算額は百七十八億五千二百十七万円に対しまして、支出済み歳出額は百六十九億二千五百十八万円余で、翌年度繰り越し額が二億六千八百七万円余、不用額が六億五千八百九十一万余円となっておるわけでございますが、会計制度では歳出予算経費金額のうち使用する必要がない額、すなわち当該年度歳出予算金額から支出済み歳出額及び翌年度への繰り越し額を控除した残額を不用額として、財政法の第三十八条第二項で、歳入歳出決算においてこれを明らかにすべき事項の一つとして取り扱っておるわけでございますが、この六億五千八百九十一万余円の不用額のうちの裁判所職員俸給手当等人件費一億九千余万円を除きました四億五千万円というのは、いわゆる裁判所書記官研修所施設取得のための国庫債務負担行為だろうと思いますが、この四億五千万円が不用額になった経緯についてやや詳しくお伺いいたしたい。
  15. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 お答えいたします。国庫債務負担行為の額四億五千万円は、昭和三十五年度中に債務負担行為をすべきものとなっておりまして、その予算は三十六年度中に計上されたわけであります。実際は三十五年度中に債務負担行為が行なわれませんでしたので、実は昭和三十六年の予算成立のときにすでに不用額になっていた金額に該当するわけでございます。ですから三十六年の年度当初から不用額となっていた。というのは、三十五年中に債務負担行為がついに行なわれなかったということの結果でございます。
  16. 木村公平

    木村(公)委員 債務負担行為が三十五年度においてついに行なわれなかったということの経過をちょっと御説明願いたいと思います。
  17. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 それは、国庫債務負担行為裁判所書記官研修所庁舎及びその敷地取得することが予定されておりまして、鋭意その取得に努力したわけでございます。当時は土地がまず最終的に確定をしていない。それから庁舎規模等も、金額、その場所によっていろいろな設計図等もありますために、そういうことがすべて一年間以内についに行なわれなかったわけでございます。その関係で、問題は土地を購入するのと庁舎の新営になりますが、土地の購入は現に土地さえ確定すれば購入できたわけです。ところが庁舎のほうはそれから設計にかかりますので、その関係は実は当該年度よりも次の年度以降において購入すべきものになり、したがって三十六年度以降に計上されるはずであったわけでございます。ところが土地建物一体として考えられるということから、土地建物一体として購入する手続が進まなかったということになったわけであります。
  18. 木村公平

    木村(公)委員 文京区に国有財産で昔の岩崎男爵の邸宅、一万四千坪ほどのものがありまして、現在それをお使いになっているようです。国有財産裁判所に移還をされまして、裁判所がそれを使用いたしておるわけですが、その岩崎邸東都起業株式会社申し入れあっせんによって、東都起業株式会社岩崎邸あと地以外のところに土地を物色して、そこへ研修所を建てて等価交換をするというような申し入れがあったようであります。これは当委員会においてもしばしば問題になったところですが、そこでその経過をお伺いしたいのと、東都起業株式会社というものは、先般なくなりました電通の社長、それから現在あるテレビ放送の重役をやっております鹿倉とか申すもの、その他数名が岩崎邸を入手するためにつくられた会社であるといううわさすらもあるのでありますが、東都起業株式会社内容性格等最高裁判所では十分御承知の上で交換に一時応ぜられたのですか、この点もちょっと伺っておきたいと思います。
  19. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 その当時東都起業から請願書が出ておりますが、その請願書内容によりますと、社会福祉国民レクリエーション目的とした施設をつくりたい。したがって、そのためには切通岩崎邸を実は払い下げてほしいというような希望が東都起業でありましたか、そこの前身と申しますか、そういうところから請願裁判所に出たわけでございます。それに従って交換——払い下げということは裁判所としてはその当時何も考えておりませんでしたので、払い下げに関しては裁判所としては考慮しなかったわけです。そこで当時では国有財産取り扱い上として、いわゆる物々交換——当初は非常に厳格でございまして、土地土地建物建物交換しか許されませんでしたが、漸次交換が広がってまいりまして、土地建物、あるいは土地家屋つき土地、いろいろな交換方法が広がってまいったわけです。制限がゆるやかになってまいりました。そこでその次には新しく建てたものと既存のもの、そういうものを交換することはどうかということで、いわゆる新築交換というものが始まってきていた状況時代だったわけでございます。そこで、その払い下げにかえて交換方法で事が処理できないかというようなことが当時考究されたわけだろうと思います。
  20. 木村公平

    木村(公)委員 この不用額もいろいろありますが、全部これが不用額になっておるということは、結局初めの計画を放てきしたということなんです。まずいまの御説明ではまだ私どもは承服できないのでありますが、東都起業とは交換契約をなさったようにわれわれは聞いておるのですが、建物土地交換契約成立しておったものかどうかということ、それから現に最高裁判所東都起業から民事訴訟を受けておる。契約破棄によるところの損害賠償を含むところの訴訟を受けておると伺っておるのですが、その点どうでございますか。
  21. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、ただいま東京地方裁判所におきまして本郷切通建物に関する訴訟が提起されておるわけでございます。これはただいま訴訟局及び訟務局からの依頼による訴訟代理人によって訴訟が進められております。したがって、本来訴訟代理人訴訟においていろいろな準備書面その他をお出しになっていらっしゃいますが、それ以上のことに関してあまり詳細に立ち至りますことは、実は訴訟進行等考えて、裁判所といたしましても相当程度慎んでものを申し上げなければならないことがあることは御了承願いたいと思います。  訴訟中身といたしますと、ただいま原告側主張といたしましては、交換契約がなお存続しているという御主張があるようでございます。ところが裁判所考えあるいは法務省、国家の側の考えといたしましては、これは交換契約そのものが完全に成立したわけではない、むしろ停止条件つき契約であった、かように解しているようでございます。停止条件成就いたしませんことには契約成立に至らない、有効の効力を発生するに至らないわけでございます。裁判所及び国の立場といたしましては、当該停止条件が発生するかどうかという状態は継続しているわけではなくて、条件は不成就に確定いたしたというふうに考えているわけでございます。停止条件が不成就に確定いたしますと結局契約自身効力を発生する余地がなくなったということで、すでに交換契約としては終了の結果に至ったと解釈しているわけでございます。
  22. 木村公平

    木村(公)委員 その停止条件内容をひとつ伺っておきたいと思います。  それからただいまの御答弁の冒頭において、いま訴訟の途中であるから詳細なことは申し上げかねる面もあるというようなお話がありましたが、それはここでは御遠慮要らないのです。これが刑事事犯でもしも名誉に関するようなことでもあれば私どもは追及いたしませんけれども民事訴訟であり国政調査として必要であると私ども考えた場合にはお尋ねはできるし、それから時によっては証人となっていただいて宣誓の上でお尋ねもできるわけですから、その点はひとつあなた方判検事でございますから法律のことはお詳しいわけですが、あらかじめ御了承の上で発言をしていただきたい。私どもはあなた方に秘匿、ものを隠す権利があることも知っておりますが、しかし、われわれは常識上隠されなければならないようなことをここで暴露的にお尋ねしようと思っておるものでございませんので、どうぞそういうことを考慮に入れないで御答弁を願いたいのでございます。  そこで、まず停止条件つき交換契約であるから、停止条件というものが成就しなかった場合には交換は不成立に終わるというあなた方の御主張、すなわち被告側の御主張という御見解もこの際伺っておきたいと思いますし、それから先ほど伺いましたけれども御返事がないようでありますが、東都起業という会社内容、それから会社性格といいますか、これは私どもは観光のための会社であると心得ておるのでございますが、そういうようなことも十分御調査の上で交換契約をなさろうとしたに違いないわけですから、会社性格とか会社内容というようなものをもう少し詳しくお漏らしをいただきたいと思うのです。
  23. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 東都起業株式会社はその以前は、前身と申しますか、完全に同一かどうかはっきりいたしませんが、東京フィールドという名称を当初使っておられたようでございます。その会社目的としましては、先ほど申し上げましたように、願の趣旨の中に書いてございますが、社会福祉国民レクリエーション目的として請願が出ているわけでございます。それは当初裁判所としても国有地でございますし、近所に大学もあることでございますから、一般の歓楽街に変わるというようなことは毛頭望むわけでもございませんし、そういうものは使われないことを十分考えていたはずでございます。
  24. 木村公平

    木村(公)委員 その停止条件というのは何ですか。
  25. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 停止条件と申しますのは、国の提出いたしました答弁書に従って御返事申し上げます。  これは交換に関する約定は、その当時取りかわされました覚え書きの第五項に明らかでありますが、関係官庁法規上の承認が得られることを停止条件といたしておったわけでございます。その趣旨は、最高裁判所長官が管理する行政財産である本件土地建物交換については、その管理権者の一存によって決し得ない。国有財産法第十四条の規定によりまして、大蔵大臣承認を得べきことが明定されているわけでございます。したがって、右覚え書き作成にあたりましても、特に右の法規要件の存在を明らかにし、その条件成立成就することを待って約定効力を生ずるものと考えていたわけでございます。その後現在に至るまで積極的にその大蔵大臣承認は得られなく、といいますよりも、むしろ逆に最高裁判所経理局長は、その覚え書き作成大蔵大臣承認を求めるために所定の手続を踏んだわけであります。ところが昭和三十五年の一月十三日に関東財務局長から大蔵省の意向としては、本件のような建築交換のための評価には応じられないとして関係文書が返却されたわけであります。したがって、右覚え書きにおける停止条件はむしろ不成就であったということがそのときに明確になったと解するわけであります。したがって、昭和三十五年二月二十七日付の文書によって、覚え書きに定めた約定はその効力を生じない旨を裁判所としては東都起業に通告したわけでございます。
  26. 木村公平

    木村(公)委員 これは私どもの心配しますのは、大蔵省関東財務局からの評価に応じられない、交換したいとおまえたちが言っても、評価にすらも応ぜられないというほどのいわばおしかりを受けた、それ以前のことをいま伺っているのです。何のために、どういう理由でもって、建築土地等価交換を特に裁判所ではなそうとされたか。これは東都起業というものの陳情があったとか請願があったとかおっしゃるけれども請願があったから交換に踏み切られたのか、それとも独自の御研究の結果、そのほうが国家的にも、研修生のためにも、岩崎邸研修をすることよりもなお利益であるというようなお気持等価交換に踏み切られたのか。いま大蔵省からおしかりを受けられる前のことをお尋ねしておるわけでございますから、その点ひとつ、あなたの時代であったかどうかは存じませんけれども、御承知の限りを申し述べていただきたいと思います。
  27. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 その当時、もうだいぶ前のことでございますが、裁判所営繕費というものはまず五、六億程度の金額でございました。その当時の状況といたしましては、裁判所庁舎の朽廃あるいは戦後の急造バラック等で、司法の運用の場があまりにもみすばらしいではないかということで、全国各地区からの叱声もございますし、国会でもしばしばその点を指摘されたわけでございます。当時の予算状況といたしましては、さような金額ではなかなか全国庁舎も建たない。本来の司法運営としましては裁判所庁舎裁判運営場所が第一順位として当然浮かび上がってまいってきたわけで、その関係でどうしても部内の研修あるいは司法研修部内職員研修、あるいは司法研修所も、一応とにかく既存建物ないしは本来研修に向かないような建物の中で、職員研修というものは行なわれていた状況でございます。ところが一方考えますと、裁判所庁舎を幾ら建てましても、裁判所職員がほんとうに有能な活動をしなければ中身としての業務の運営がすみやかに進まない。どうしても早く職員研修をやらなければならないという一方の要請があったわけであります。特に書記官研修所に関しましては、ただいま切通にあります岩崎邸の昔の建物を、そのまま保存する形において書記官研修所研修活動に利用いたしておりまして、現在どなたがごらんになりましても、こんなひどい状況でどうして研修をするのかと言われるような現況が続いておるわけであります。当時の状況といたしましては、その教育のほうもすみやかにやらなければならないという一方の要請はあるにもかかわらず、第一順位としてはいずれどうしても庁舎の新営のほうに予算がいってしまう。この教育状況を放置することの苦しさというものも——ちょっと余談になりますが、本郷土地は、裁判所所管でありました春日町の土地、ただいま東郷台と言われております土地、それからその他麻布のほうにも土地を持っておりました。こういう土地をそれぞれ国に返す、あるいは東京都と交換をする、こういうようなことで実は本郷に全部集めたわけでございます。なお予算を要求しまして、そういう本郷一角土地に集まった、そういう意味で特に国有地所管がえを受けたと申しますよりも、分散しておりました裁判所土地を一カ所に集めたものでございます。ですからただいま東郷台は、宿舎敷地になっている春日町は、例の講道館等建物の建っている一角でございます。そういうような土地でございますから、分散しておれば分散したような土地使い方もできたわけでありますが、ここに土地を集めて、岩崎邸あと裁判所土地をかためてきた。ところがこの土地に、今の予算現況では教育施設という十分なものはできない、やむを得ず、この土地裁判所として手離したいわけでは毛頭ございません、できればそこに研修所を十分建設したいと考えておりましたけれども、時勢上これは次善の策として、この国有地土地庁舎にかわるならば、国としてもそれほどむだな使い方ということにはなるまいかということから交換で、それで建てて教育を振興せしめたらどうか、かようなことで考えたかに伺っておるのであります。
  28. 木村公平

    木村(公)委員 その御答弁はまことに幼稚な御答弁で、理屈を言えばまだ私のほうはいろいろありますが、ただこういうことを国会が心配しておるということだけをひとつお耳に入れておきたいと思うのです。実は岩崎邸というものは、いまもしもこれを売却するということになると、およそ三十億くらいの価値があると専門家は見ておるわけです。ところが一方東都起業建物を建て敷地を提供して交換してくれという初めの青写真をわれわれが拝見してみると、これは金銭価値の上では五分の一にもならないものであります。だから私ども国有財産性格は、これは国民全体のものだという考え方の上に立って、もう少しこれを大事にしてもらわなければならぬ。次善の策だけれども幸いに申し出があったからこれをいわば売り払って、そして向こうの建ててくれたところでやるのだ。等価値と言いますけれども、それは実際は等価値にはならないのです。私どもはそういう国有財産が不当不正、あるいはそういうことばに当たらない場合にも、粗末に管理されたり、これが粗末に扱われるということは、とりも直さず国家のためにもならぬことじゃなかろうかと思います。ことに最高裁判所といえばひとり裁判の問題だけでなく、その職員の行動すらも国民は厳粛な気持を持って注視しているわけです。その最高裁判所が、こともあろうに世上三十億といわれるものを手離して、そして一起業会社交換契約をした土地並びに青写真を見てみると、三分の一と言いたいがおそらく五分の一にも足りないと土地評価専門家等は言うわけですが、そういうようなことが卒然と行なわれるということになると、世間では最高裁判所すらも非常に疑う。何のためにそういうことをやらなければならぬか。いまのお話を聞いてみると本郷一角切通の岩崎さんのところへ裁判所関係のものを全部集めればこれにこしたことはないけれども予算措置がとうていそれができないと思ったので、次善策であるけれどもそれを一まず手離して、そして別の土地へ行こうというお話でありますが、一見してまことに合理的なようなお話ですけれども、この切通岩崎邸というものの地理的な状態、それから歴史的な状態、ことに占領下においてはアメリカまでキャノン機関がここを利用しまして、われわれの同胞たちがこの岩崎邸においてある者は迫害を受け、ある者は迫害とは言えないかもしれないけれども非常な侮辱を受け、非常な残酷物語があるわけです。こういうような特殊な地点だと思いますが、こういうものを軽々に手離して一起業会社交換契約をなさろうとした、その考え方それ自身に対して私どもは不承知なんです。そういう考え方それ自身に対して疑惑を持つわけでございますが、この問題をさらに追及いたしますれば、いろいろの角度から追及はできますけれども、時間もございませんので、この機会に、私は、これ以上追及はいたしませんけれども、世間ではこの問題に対して非常な疑惑を持った。現在はこれは不用額となって、もうあなた方の初期の計画は破棄されましたからよろしいようなものの、かつて昭和三十五年において、日本じゅうの心ある者は、こういうような御計画に対して非常な疑惑を持っておったんだということだけは、ひとつ御記憶を願っておきたいと思うのです。  それから最後に、一、二点伺っておきたいのは、この建物土地の問題ではございませんけれども、これは人の問題になりますが、国はずいぶん国費を使用して判、検事の養成をしようとされている。それの金額もいろいろ詳細にありますが、ところがさて研修させてみると、結果においてはほとんど弁護士ばかり、たとえば三十七年度においては弁護士が二百何十人ですか、国費でもって判、検事さんその他の講師を呼ばれて、研修所経費というものは昭和三十七年度においては一億六千五十三万百円というばく大な国費を研修生のために投ずる。これは一人当たり大体百万円になるでしょう。そうして判、検事をつくろうと思って育ててみると、みなこれが弁護士になってしまう。このことに対する御対策はありませんか。しばしばここで問題になるのですが、何か対策はありませんか。
  29. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のこと、まことにごもっともに拝聴いたします。と申しますのは、私どもが伺っておりますことでも、よく医者のインターンと比較されるわけでございます。医者も、個人企業ではあるが、やはり国民の健康その他の維持、回復等に努力される、いわば公的の色彩を全然持たないわけではない。弁護士になっても、やはり公の裁判所の場で働かれる方だというようなことからよく比較されるわけでございます。これを、当初司法研修所が設立されました当時、弁護士、裁判官、検察官を一体として養って、従前の法曹の形はあまりにばらばらであったので、できればすっきりした一つの新しき法曹を養成していくのがいいんじゃないかということが当時の裁判所法で考えられたかに伺っておるのであります。そうしますと、いずれは弁護士活動をなさる方は、最後まで国がめんどうを見なくとも、さしあたり当分の間は新しき法曹を養成するということ自身、いままでと異なった一体としての法曹を養成するという考え方から、多少の国費は犠牲になっても、日本の司法制度というものがもっと改善され、よりよき法律家が生まれるのじゃないか、その国家的な利益がその当時としては考えられるということから、司法研修所にこられるすべての方々に給与が払われるということが、法律上考えられたわけであります。ところが、当時の人員は少なかったわけでありますが、どうも最近の状況考えてまいりますと、諸外国に比べましてあまりにも法曹の数が少ないということが、学者その他から一般に指摘されるに至っております。こういう状況になりますと、たとえば場合によりましては毎年千人とか二千人とかの法曹を養わなければ、近代民主国家司法のあり方としてはきわめて欠けるところがあるんじゃないかということが、識者によって指摘されるに至ったわけでございます。そうなりますと国が二千、三千の修習生のために、しかもその大半は弁護士となられる方々、そういう者に従前どおりの給与を支払ったり、あるいは待遇を与えるのは相当かどうかということの問題が当然浮かび上がってまいったわけです。これはやはり識者の関係で、まさしくただいまの御質問にありましたような点が取り上げられまして、指摘されているところでございます。ただ御存じのように、ただいま臨時司法制度調査会が設けられまして、法曹の養成をどうするかということも重要問題の一つとして取り上げられておるわけでございます。そこで今後の法曹の養成に関しては基本的な新たなる線があるいは打ち出されるかもしれない、こういう状況になっております。その状況に応じまして、はたしていまのような給与を支払うような法曹養成方法が、国の立場からお考えになられました皆さんの御批判にこたえるものになるかどうか、こういう点は十分検討しなければならない状況に立ち至っておるのでございます。
  30. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連して。先ほど問題が出ておりました裁判所書記官研修所岩崎邸の問題について質問をいたしたいと存じますが、この予算関係は、三十五年度予算国庫債務負担行為で四億五千万円が出てまいりまして、それから三十六年度予算で四億五千万円つけられ、三十七年、三十八年度では予算の請求がない、こういうことですか。
  31. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 三十六年度につけられたもの以後、その後は予算に計上されていないということでございます。
  32. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そのことはあなたが先ほど答弁で、書記官研修所というものが必要だ、何とかしなければならぬ、こう言われておったにかかわらず、三十七年、三十八年予算につけていないということは、要らない、こういうことなんですか。
  33. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 その点は、書記官研修所も従前と同じように、ますますその建物が悪化してまいっておりまして、研修の環境といたしましては、きわめて不適当になっていることは事実でございます。ただ書記官研修所関係予算としましては、別に二百万というものがこれは継続して計上せられております。これは例の国庫債務負担行為としては計上されていないということで、それではいわゆる例の交換ないしは国庫債務負担行為の形で処理しようとする考え方はおしまいになったけれども書記官研修所を新営しなければならない必要性は依然としてある。それは大蔵省も十分御了承願っているわけで、それの建設に関する調査費としては、三十八年度にも計上されているわけでございます。
  34. 勝澤芳雄

    勝澤委員 四億五千万の予算まで見てもらったにかかわらず、二年間にわたってとにかく話ができずにそのままになっておるということは、これは了解ができないのですよ。その点をもう少し——三十五年から計画されているようですね。そして途中からその予算が消えてしまったということは、これは不要だといえばまさに不要だというのでしょう。しかし、いまの話ではますます老朽化している。だからそこがちぐはぐだと思うのです。その点、もっとわかりやすく御説明願いたいと思います。
  35. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 それは、実は国庫債務負担行為で新たな土地が獲得できると考えていたわけでございます。ところが、その新たなる土地取得するという方法による書記官研修所設計画は、先ほどの経過でだめになりましたために、今度は、通常の営繕の予算として、書記官研修所庁舎建設費が組まれるということに変わったわけです。書記官研修所の建設となりますと、裁判所営繕費で建設するということになりますと、まず土地をどこにするか、あるいは国有地でまかなうか、あらためて土地を購入するかという問題が当然出てまいります。今度は、土地関係は、一応購入の問題は切り離して、庁舎新営費としての調査費として二百万を計上しておる。裁判所としては、それではもういまや国庫債務負担行為による解決方法をあきらめたとすれば、本郷のただいまの切通しの土地書記官研修所を建てるか、あるいは裁判所が相談しておりますその他の土地を何とかくめんしてそこに建設するか、あるいはどうしても土地が手持ちの土地で処理できないとすれば、新たに土地を買うか、こういうことが当然問題になってくるわけであります。ただいまこの裁判所としましては、建設可能な土地は、いまの岩崎邸は、これは建設可能な土地でございます。それではすぐそこに建設をすればよろしいかという御質問を受けると思いますけれども、これは先ほど申し上げましたように、実は臨時司法制度調査会におきまして、法曹の養成ということが基本問題として考慮されているわけでございます。その関係で、場合によりましては、非常に大規模な、常時数千名を養成するような司法研修所の設立ということも考えられる可能性が相当出てまいったわけでございます。そうしますと、裁判所といたしましては、書記官研修所司法研修所調査研修所等の各研修所庁舎をいかに建設し、いかにあんばいするかという当面の問題がさらに複雑な形になってあらわれたわけでございます。したがって、いまの現行状況で、すべて事を決していいかどうかということが、多少検討を要する状況に変わってきたわけでございます。したがって、臨時司法制度調査会の動きによりましては、書記官の養成方法にもまた影響を与える、あるいは裁判官の養成方法にも影響を与える、こういうことになりますと、実は国の立場からお考え願いましても、現在いかなる規模でどう建てるのがいいかということは、もうしばらくたった先の見通しを立てませんと、動きがとれないということに、ただいま現況はなっております。したがって、早く既存建物で、まあいままでがまんしてもらったので、もうしばらく状況の変化を見るためにがまんしてもらおう。それで調査費としては、現に手持ちの土地だけでもどういう建物が建てられるか、地盤等の調査をするという意味では、この予算が計上され、それを使うことができると考えているわけでございます。
  36. 勝澤芳雄

    勝澤委員 四億五千万円という予算は、土地建物はどういう見積もりなんでしょうか。
  37. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 四億五千万円は、当時は土地が多分一万円幾らくらいの計算考えられたんじゃないかと思います。それから建物が三億幾ら、こういうことになるわけでございます。そうしますと、その金は、建物はいわゆる国庫債務負担行為の形で建設されますと、非常にすみやかな運行をたどるわけでございますから、その金を一挙に使う可能性は多かったわけでございます。ところが裁判所のただいまの従前の営繕工事としましては、一挙に一庁舎を建てるという予算の入れ方ではございませんで、まず初年度には調査費を入れる、次の年には基礎工事費を入れる、それから付帯工事を次の年に、仕上げ工事をその次の年に、というようなふうにして、いわば総花的な建築をやっている面もあるわけでございます。そういう意味で、予算方式による建築となりますと、通常の裁判所の建築コースに乗って、まず調査費からつけていくということに変わったことも、それほど当裁判所といたしましては、四億五千万円のかわりとして二百万がおかしいということは、実は考えていないわけでございます。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いま二百万の調査費がついたといいますけれども、将来研修所をつくる場合には、幾らくらいの予算になるのですか、予算規模は。
  39. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 それは土地取得する必要はないといたしますと、書記官の教育人数というものが現在のところでは毎年数百人を養成するということで処理されている状況でございます。これが二年の関係もあり、あるいは単年度関係もございますが、所要の坪数をはじき出しまして、その当時の建築単価にかわって計算されるわけでございます。ですから、今日のように物価の変動著しいときには、いよいよ最後に建て上がるときになって計算してみませんと、それから建物の規模あるいは構造等についても検討を加えませんと、実は幾らの金額になるか明確には申し上げかねるわけでございます。
  40. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十六年度予算では、裁判所施設費で庁舎等特別取得費四億五千万円ということを計上されておりますが、いまあなたの御説明でも土地、それから建物費を含めて四億五千万円だということがいわれておるのですから、せっかく予算がついたのですから、それはいま二百万とかという調査費なんということより、この四億五千万円というものがついたときに、なぜそういう計画ができなかったのですか。
  41. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 その関係は先ほど申し上げましたように、国庫債務負担行為昭和三十五年の間に成立するに至らなかったということで、もう三十六年度以後は実は問題にならなくなったわけであります。三十五年度成立に至らなかったということは、結局はいかなる会社がいかなる建物裁判所に提供するかということ、その建物の構造その他というものまでも最終的に確定しないで続けていたために、三十六年の三月末で結局国庫債務負担行為は不成立だということになってしまったわけでございます。
  42. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、東都起業覚え書きですか、契約ですか、これが結ばれたのはいつですか。
  43. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 それは昭和三十二年の十二月に覚え書きは取りかわされておると思います。
  44. 勝澤芳雄

    勝澤委員 十二月幾日ですか。
  45. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 三十三年の十二月八日でございます。三十二年と申し上げましたのは間違えました。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十三年十二月八日に覚え書きが締結されて、結局破棄されたといいますか、その覚え書きが不成立だと確認されたのはいつですか。
  47. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 先ほど答弁書を引用してお答えいたしましたように、三十五年の一月十三日関東財務局長から評価に応じがたいということで書類が返却されたときに条件は不成就に確定したということでございます。
  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで東都起業はいま訴訟を起こしているようでありますが、これはいつ訴訟を起こしたのですか。そしてその相手はだれになっているのですか。
  49. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 原告、東都起業株式会社でございます。被告は国でございます。これはたしか三十六年の十二月の末ごろたぶん提起されたと記憶いたしております。
  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 東都起業株式会社会社内容なり、代表あるいは資本金、そういう点はおわかりになりませんか。あるいは会社成立……。
  51. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 会社登記簿謄本によってお答えいたします。  称号は東都起業株式会社、これはちょっと古い登記簿で多少人がかわっておるのでありますが、昭和三十三年六月の登記簿謄本でございます。取締役青木均一、鹿倉吉次等八名、代表取締役は鹿倉吉次でございます。株式の額は五百万円で、発行する株式の総数は四十万株で、資本の額は五千万円となっております。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、これが不調といいますか、話がつかなかったという原因は何でしょう。
  53. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 当初は交換契約はだめになったということで、交換はだめになったわけでございます。その後交換でなしに、いわゆる国庫債務負担行為ということで処理できないかということが当時考究されて、そういう国庫債務負担行為の形で処理することになって、三十五年度では国庫債務負担行為ができる金額として四億五千万円、これが掲げられたわけでございますが、その四億五千万円の金額の中で土地を幾らに評価し、いかに建物をやっていくかというようなその中身が合意に達しなくて、債務負担契約成立に至らなかったわけでございます。
  54. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十三年十二月八日に覚え書きが結ばれて、話し合いが進められてきて、三十五年の一年十三日に話が不成立だ。そして三十五年の四月一日から実施をされる予算の中に四億五千万円があがっている。なおかつ三十六年に四億五千万円を引き継いでいる、こういうことなんですが、実際に予算をつくったときは別として、予算を審議しているときには実はこの四億五千万の債務負担行為にしても、四億五千万は三十六年度予算にしても不用だということは初めからわかっていた、こういうことになるのですか。
  55. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 先ほどのいわゆる交換契約はだめだということが確定的に文書の返送ということで明確になったのが三十五年の一月、こう申し上げたわけであります。それは、そういった覚え書きを取りかわしました当時から実は——その当時といいますか、その直後から三十五年の一月ごろまでの間には交換はどうしてもまずいということで、事実上関係当局からの交換方針に関する承諾はだめだという見通しは裁判所にも伝えられましたし、おそらく東都起業にも伝えられたのではないかと思うわけです。したがって、確定的に書面が返送される前に、もう交換はだめだとする、だめなら何かまた新たな別の処理方法はないかということがその間に検討せられたかに伺っているわけであります。その検討されておりました期間が三十四年でございます。したがって、三十四年中に、それじゃ国庫債務負担行為でどうだということで三十五年度予算では国庫債務負担行為の問題が出てきたわけです。ですから、その関係では例の交換契約は実際は最終的に書類が返される前に、これはとても大蔵省あるいは管財局等ではそういう多額の物々交換承認しないということが実はもう内部的には——内部的と申しますか、当該関係者の間には明白であったわけであります。それをただ書状で書いてありますのは、明確に確定的な形をとらえて考えれば書類が返送されてきたとき、こういうふうに言っておるわけであります。ですから、債務負担行為の問題は、三十四年の中に検討されたために三十五年度予算に計上されたことになっておるわけであります。
  56. 勝澤芳雄

    勝澤委員 初めから予算に盛ったことが、私はふしぎだと思うのです。予算債務負担行為四億五千万円を計上したことが私は疑問なんです。どれほどの根拠に基づいてこういう予算が盛れるのか、これは債務負担行為ということ自体もなかなか重要なことで、四億五千万円そのものも重要なものなんですが、それがこんなに簡単にあなたのほうで予算要求して大蔵省許可するのですか。
  57. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 それは当時の状況を詳しくは私は関与いたしておりませんけれども、三十五年の三月三十一日までの間ですから、予算要求いたしますのは、実は八月ごろから進めてずっと審議しております。話が債務負担行為関係年度末までの間に成立するかもしれないということを予想して、予算ではそれ以前に審議せられる最終時三十五年の末日になってそれだけをはずしていただきたいということは、予算成立関係で急にこれは不用だということを申し上げてももう手続上おそいわけでありますので、不用額は次年度で、三十六年度不用額になったということになるわけであります。   〔委員長退席、木村(公)委員長代理着席〕
  58. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十五年の一月十三日に不調になった、こういうことからいうならば、三十五年の四月一日から実施をされる予算の上であらわれてくるというのは、時期的な関係もあるでしょうけれども、しかし、現実に引き続いて三十六年度予算で四億五千万円盛るときには、初めから不用になるということがわかっておった、こういうことは確認できますね。
  59. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 もう一ぺん申し上げますが、先ほどの三十五年一月の問題は、交換がだめになったということを形式的に確認できるのは、向こうの意思と申しますか、承認しないということが確認できるのは一月の返却によるということでございます。ですから三十五年の三月までは三十五年度予算の中で……。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十四年度予算じゃないですか。
  61. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 三十五年の四月からの予算の前であります。その当時は、いわゆる交換はだめだということで債務負担行為のことが問題にされていたために、三十五年の当初においては審議を受けて、三十五年度予算の中で国庫債務負担行為考え直したらどうだということでそれが入ってきたわけであります。ですから、三十五年の一月には国庫債務負担行為もだめだということではないわけであります。交換はだめだとすれば、別の交換でない方法で何か処理できないかということが三十五年の三月末——形式的に申し上げますと、三十五年度予算成立前までが何か別の方法でということになるわけです。ですから三十五年の一月にそういうものが返却されたということは、必ずしも国庫債務負担行為がだめだったということは意味していないわけであります。三十五年度予算の期間内に成立しなかったために、今度は逆に三十六年の一月から三月までの間くらいにだんだんわかってくれば、そのときに予算の計上からはずしてしまえという機会があったとすれば、そのときに手を打てばよかったじゃないか。ただそのときでも三十六年度予算の使えるぎりぎりまでは、まだ国庫債務負担行為成立する可能性があったわけです。ただちょうど予算の切れるときまでに成立しないことで、予算成立のときには実は不用額だった、こういうことになるわけです。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私はどうも幾ら説明を聞いても、不用額を初めから、四億五千万円という金を初めからあげていたようにしか見えないのですよ。そこで、それじゃ三十五年一月十三日から——これは話が成立しない、交換はだめだ、三十五年一月十三日から三十六年の夏ごろまで、約一年半、この間はどういうことをおやりになっておったんですか。一年半あるわけですよ。この間はどういうふうなことをおやりになっておったのですか。交換がだめだということになったら、今度は次には何か検討されたのですか。
  63. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 交換がだめだということになりましてから、別にそこで全部おしまいにしないで、いわゆる主計局が監視できる、したがって、国会でも——監視といったらおかしいのですが、主計局の目を通す、したがって、予算にはっきり明らかになる、そうすると国会でも検討を受けられる、そういう形ではっきり載せて、国庫債務負担行為の形で行動をとったほうが、より公明でより公正であるということから、そういう形で新たに別の方法考えられないかということが考求された結果が三十五年度予算にのぼったわけでございます。したがって、その形に載って、さあいよいよ実際上どんなふうにそれを進めていくかということが問題になるわけでございます。それを長い間ひまがかかっておりましたというのは、結局は本来のその交換ということは一応切り離して、だめにしましたけれども東都起業としてはやはり本郷土地がほしかったわけでございましょう。それから裁判所としては、かわりに適当な土地があればよし、あるいは適当な建物がどう建設されるかということを考える。ところがこの国庫債務負担行為といたしましては、相手が公共企業体等でありますと、売り払いをやって、それから一方買収するということが同一人であることは初めから明らかでございますが、ところが国の財産を他人に売るときには、私人に売るときには、特定の指名で売るのは相当でない、したがって、公の入札ということで、もし大蔵省裁判所の持っていた土地を引き継いで売却するとしますと、これは特定人に指名で売るわけにはいかない、公の競売で売る、だれが取得するかは不明である。それから今度は逆にそのものが同時に廻沢なりどこかにある土地取得裁判所の要望する建物を建設する能力があるかどうかということが必要になってくるわけです。東部起業としましては、一方では裁判所国庫債務負担行為の相手方であると同時に、入札においては本郷土地の落札者になるということが必ずしも確保されていない形で処理されざるを得なくなったわけです。ですから、それがはたしてできるかどうかということだって、裁判所としては大蔵省の処置になるわけでございますから、その間の連絡がとれるかどうかということも、もはやそれは競売の結果によらなければならない、こういうことで、はたしてそれがうまくそういう形で進められるかどうかということが問題にされ検討されたのではないかと考えているわけであります。
  64. 木村公平

    木村(公)委員長代理 ちょっと……。ちょうど、お二人とも少しわかっておらないようですから、手元に三十五年の一般会計予算のあれがございますから、ちょっと経理局長さんに申し上げておきますが、国庫債務負担行為要求書というのが出されておるわけです。そうしてその事項には裁判所書記官研修所施設取得という項目で「裁判所書記官研修所施設に係る土地建物及び工作物等を処分し、及び当該処分の相手方」すなわち東都起業「からこれに代る同研修所施設取得する契約を結ぶについては、当該契約の相手方が国の取得すべき施設を建設するまでに多くの日数を要するため、当該処分に係る収入金額に相当する金額の範囲内において、かつ四五〇、〇〇〇、〇〇〇円を限り、昭和三六年度において国庫の負担となる契約昭和三五年度において結ぶ必要がある。」こういう要求書があなたのほうから大蔵省に出されておるわけでございますから、それをひとつ十分御理解の上で御答弁を願っておかないと話が全然食い違ってしまうわけですから……。
  65. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結局これは初めから東都起業交換考えたこと自体が無理で、無理の中で話が進められて、結局それが大蔵省と相談したけれどもだめだった、こういうことでもう一回振り出しに戻った、こういうふうに理解せざるを得ないのですが、そういうことですね。
  66. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 交換契約はだめになって、まだその当時としてそれじゃ何か別の交換でない方法であらためて考えられないかということが考えられたのが、国庫債務負担行為ということになるのだという点は、おっしゃるとおりでございます。
  67. 勝澤芳雄

    勝澤委員 さっきからその国庫債務負担行為ということが……。実際には四億五千万円という金でできるわけですね。それが、とにかく予算はないけれども三十五年度でやってよろしい、こういうことなんですから、そのこと自体に私はそんなにこだわる必要はないと思います。ですから、なぜこういう契約、こういう国庫債務負担行為のようなことを考えたかといえば、とにかく東都起業との問題だ、こういうことになると思うのです。結局これでまあこれが実行されずに未遂事件だったからよかったと思うのですよ。これが実行されたらたいへんなことになったと思うのです。そこで、まず第一にこれで損害をこうむったのは、裁判所考えておったこの施設がいまだずっとおくれているということですよ。これはどこに原因があるかといえば、それはこれをやってきた経過が私は第一の問題だと思うのですよ。そうじゃないですか。
  68. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 裁判所が当初から予算を計上して、裁判所書記官研修所庁舎を建設することを毎年度要求してきたとすれば、現在の状況において初めて予算にのぼる状況になったと考えられます。ですから、これがおくれたのは、この中間にこういったものが生じたからおくれたわけではなくして、先ほど申し上げましたように裁判所庁舎の建設がどうしても優先する、最近ようやく裁判所営繕費にある程度の見通しも立つようになりましたので、おいおいに研修施設に金が回る、回せるような状況にただいま今日の予算状況でようやくなったわけでございます。この取引の話が中絶してだめになったということのために、特に書記官研修所の建設がおくれたとは考えておりません。
  69. 勝澤芳雄

    勝澤委員 たいへん遺憾な御答弁です。それでは私は、裁判所書記官研修所がなぜ建設がおくれているかという具体的内容についてもう少し突っ込んで質問を継続いたしますので、ひとつ東都起業株式会社との交渉の最初からの経過、それからこの東都起業株式会社との契約なり覚え書き、これを資料として私は御提出願いたいと思うのです。よろしゅうございますか。
  70. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 ただいま訴訟に利用されておると思いますので、これは法務省あるいはその訴訟代理人を通じてしかおそらくその書類は提出できないかと思います。
  71. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は裁判所東都起業株式会社で行なわれたその覚え書きを提出するように要求しているわけです。それがどういうわけで裁判所関係があるわけですか。私はいまだそういう資料の要求について拒否された経験がないのですが、もし拒否をされるならば拒否をされる理由をもう少し明確にしていただきたい。
  72. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 写しでよければ後日作成してお出ししたいと思います。
  73. 勝澤芳雄

    勝澤委員 もちろん参考資料ですから写しです。それでは東都起業株式会社の概況と、いまあなたが説明いたしました資本金なり何なりその会社自体の信用がわかって、これが等価交換に値する会社であるかないかという点を、私たちに明確になるような会社内容をひとつお出し願いたいと思う。  それから次は、覚え書きが結ばれたとこう言われておるから、その覚え書きの写し、それから不調になったといわれておりますから不調になった関係の書類、それからいま起こされている訴状の写し、それをひとつお出し願いたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  74. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 会社の現在の登記簿謄本でよろしゅうございますか。
  75. 勝澤芳雄

    勝澤委員 裁判所国庫債務負担行為で四億五千万円というものを、予算を計上するに足ると思って覚え書きを締結したわけでありますから、私たちが見て、なるほどこれなら等価交換に応じて話し合いを進める価値があったものだということを私は知りたいのです。それは、もう一度申し上げますと、私は、この書記官研修所の建設がおくれているのは明らかにあなた方のこの予算の要求のやり方において一つの蹉跌があったと思う。それは東都起業というものを相手にして等価交換でやろうとしておった、そのことによっておくれておるのである。しかし、あなたはそうではない。あなたは国の予算のつけ方に問題があるからであるとこう言われておるのですから、国の予算のつけ方に問題があるのではないと言う私と見解が違うわけです。ですからあなたの見解どおりにいっているのか、私が言っている見解がいいのか、もしあなたの言っている見解であるならば、われわれとしても法律を改正するなり予算のやり方を改めさせるなり大蔵省にさせなければならぬわけですから、そういう意味で私は言っているわけです。この問題については、裏がどうとかこうとかいう話も聞いておりますけれども、私にはそういうことはあまり興味がないことです。予算運営の面でおくれている、それがどこに原因があるかという点を検討しなければならない、ころ思っておるわけであります。
  76. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 わかりました。整えまして後日御提出いたします。
  77. 西村力弥

    ○西村(力)委員 いまの話は勝澤君が今後やられるそうですが、私ちょっと関連して聞いておきたいのは、この東都起業株式会社なるものがいつできたのかということです。そのできた年月日によって、その会社の業績というものがどれだけ積み重ねておるかということですね。そういうふうな実体を十分に検討していただかなければ覚え書き交換というものはなされるべきではないと思うのです。
  78. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 設立の日が昭和三十三年四月二十一日であります。
  79. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、三十三年の四月二十一日の設立で覚え書き交換が十二月だとすれば、その間約八カ月、創業準備や何かありますから、仕事は何もしていない、こういうぐあいに言わざるを得ない。実績は何もない。この実績の何もない会社覚え書き交換したということになる。そういうようなことが常識的に考えて正しいかどうかということです。これは私たちとしてはやはり問題がある。それから覚え書き交換をする場合に、こちらには時価三十億と称する実体があるけれども、先方で等価交換をしようとしたものは実体が備わっておったのかどうか。すなわち、建物は持ってなかったのだが、少なくともその交換をすべき土地というものは、確実に東都起業の所有地になっておったのかどうか。そういう実体が備わっておったのかどうか。向こうの努力目標というのを、無形のものを対象としてこっちは実体の備わったものとの交換覚え書きを結んだのか、そこのところが私は疑問なんです。
  80. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 実体はただいまで評価いたしますと、相当な価格を持っておると考えられます。そういう意味で、当時はたしか裁判所でも公式でしたかどうでしたか、ある程度鑑定をして、土地の値段は考えたと考えられるわけであります。それでただいまは、もっと三十億以上かもしれないと思いますが、問題の当時のころは、現在ほど急騰はいたしていなかったと考えられる節はございます。それから会社のほうが交換の相手として十分であったかどうかということの御質問につきましては、ただいま登記簿では五千万円でございます。ただ五千万円の資本金では、その当時の土地の価格に見合う金額では毛頭ございません。安く評価いたしましてもそれに見合う金額ではございませんが、結局会社のほうでいよいよ交換なり何なりが成立するときに幾らの資金を投資するか、あるいは借入金でまかない得るかという実体になるだろうと思います。そういう意味ではこの東都起業は、経済的にはその当時必要な金額は調達できる会社ではないかと考えられたと考えられるわけでございます。
  81. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私が言うのは、覚え書きを取りかわす場合に、こちらは実体のあるものを提供する、向こうは交換する土地の所有権だけは少なくとも持っておったのか、実体があったのか、無体と実体の交換契約ではないか、こういうことなんですよ。
  82. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 お答えいたします。交換に関する覚え書き成立しましたのは、三十三年十二月八日でございます。その覚え書き成立しましたときには、東都としましては、裁判所の私のほうに対して土地は一万五千坪というものを手に入れた、これは東京都世田谷区廻沢町等所在の土地の予定ということで、その当時はある程度もう予定土地というものはきまっていたようでございます。
  83. 西村力弥

    ○西村(力)委員 裁判の判決なんかの場合に、予定土地ときまっておったから、所有権はあなたのものだという判定はできっこないことだろうと私は思うのですがね。予定土地といいましても、これは明らかに無体のものだ、こういうことです。そういう契約もあり得るかもしれませんが、国費使用の場合においてはそういう実体の備わったものと無体のものとの交換契約ということは軽率じゃないか、こういう感じがするわけなんです。  それから次には、この債務負担行為で三十五年度からずっと計上したわけですが、その予算編成のときにはまだ契約破棄にはなっておらなかったということですからまず考えられますけれども契約破棄を一月の何日にやった、それと予算成立して一年間それが有効なものとしてずっと予算面においては成り立っておったわけなんです。ところが提案のあれをずっと見ますと、東都起業株式会社なるものにこれこれの仕事をさせる、その債務というものの負担行為だ、こういう形になっておりますので、そういうことになると、覚え書きが破棄されても、国の予算使い方においては、東都起業株式会社に対するこちらの債務的なものは、予算面においてはずっと残っておった、こう言わざるを得ないのではないか、こう思うわけなんです。そういうことは後日またおりがあるときにいろいろ検討してみたいと思うわけなんですが、いずれにしましても全額不用になったというような点から、この問題は私たちとしては何が非常に重要な問題に思えるのです。予算の場合において全額不用になったというのは例もほとんどないことであります。ですからここに決算委員会の立場からちょっと問題がある、こういうぐあいに見ていろいろお尋ねをしてまいったわけなんであります。後日におりを見てのことにしまして、私は裁判所の次の問題に移りたいと思うわけなんです。  事務総長はお帰りになったのですが、担当の局長さん方おいでだろうと思いますので大ざっぱにお聞きしますが、裁判の遅延という問題が、これを皆さん方の御心配であるとともに私たち国民にとっても関心事であるわけなんであります。それで判事の充足状況はどうかということになると、弁護士のほうにだけ多くの人が行かれて判検事になる人が少ない、こういうことになっておるわけなんです。御努力によってその充足状況というものは幾ばくかの進展というか、充足状況が進捗しておる、そういうことがあるかどうか、これは数字的にどういうことになっておるでございましょうか。
  84. 桑原正憲

    ○桑原最高裁判所長官代理者 訴訟遅延の問題は始終やかましく言われておる問題でございまして、今回の臨時司法制度調査会が発足いたしました動機にも、大きく訴訟遅延の問題が影響しておるというふうに考えておるわけでございます。  裁判官の充実状況についてただいまお尋ねがございましたわけでございますけれども、この一両年の裁判官の増員状況を申し上げますと、三十七年のの十二月現在におきましては判事が一千百九十五、判事補が五百十二、簡裁判事が七百、合計二千四百七というふうになっておったわけでございますが、本年度予算におきまして多少の増員が認められまして、判事が一千二百五、判事補が五百二十二、簡裁判事が七百十、合計二千四百三十七という数になっておるわけでございます。結局裁判官の定員を増加するということにつきましては、事件の推移から見まして必要があるということが大蔵当局あたりも十分認識をされておるわけでございますけれども、問題は定員をふやしてはたしてこの充実が現実にできるかどうかという問題が、いつも予算折衝の関係において問題になるわけでございますが、ただいまもお話がございましたように、定員の増加という数の問題ではなくして、これを実際に充実していく方法をどうするかというようなことが、現実の問題として一番重要になってまいっておるわけでございます。そういった関係からただいまも臨時司法制度調査会におきまして、どうすれば優秀な裁判官をある程度の数確保できるかという点から、任用制度、給与制度等について審議が行なわれておる状況でございます。
  85. 西村力弥

    ○西村(力)委員 事件の処理状況は、裁判の迅速化のためにこのような成果が出ておるという事件の処理状況の数字的な資料はないのですか。
  86. 桑原正憲

    ○桑原最高裁判所長官代理者 訴訟遅延の問題で問題になりますのは、事件の審理についてどれだけの審理期間を要しておるかという点が、一番重点になるのだろうと思います。そういった関係で戦前、戦後の関係を見てみますと、戦前で平均的に事件の審理期間というものが考えられたのは昭和十三年、十四年、十五年くらいのところだと思いますが、この三カ年の平均をとってみますと、民事関係では一件当たり四・八カ月ばかりかかっておるわけでございます。ところが戦後におきましてはそれが多少ずつ延びてまいりまして、昭和三十六年度におきましては、民事関係では一件当たり八・八カ月という日がかかっておるわけでございます。それから刑事の関係におきましても、戦前の昭和十三年ないし十五年の三カ年平均をとってみますと、審理期間は一カ月という数字が出ておるわけであります。これがまた戦後におきましてもだんだんと延びてまいりまして、昭和三十六年度をとってみますと、一件当たり四・三カ月というような数字が出ております。こういった審理期間の関係から見ましても、かなりの訴訟のおくれが出ているということは言えるわけであります。
  87. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それが年次別には三十五、三十六、三十七年と、そういうぐあいに一件当たりの審理日数というものが短縮されておるかどうかということですね。
  88. 桑原正憲

    ○桑原最高裁判所長官代理者 ただいま途中の数字を省いて申し上げましたが、具体的に申し上げますと、民事関係ではただいま申し上げましたように、戦前の三カ年平均は四・八カ月ということになっておりますが、昭和三十年度では六・四月三十一年度では六・九月三十二年は七・三月とこれはずっとふえております。昭和三十三年を見ますと、ちょっと、下がりまして七・二月、三十四年になりまして再びふえて七・五月、三十五年は八・三月、三十六年は八・八月という数字が出ております。  刑事の関係では戦前の平均は一カ月ということでございましたが、昭和三十年は三・八月、昭和三十一年は四・三月とふえております。三十二年、三十三年は多少減ってまいりまして、三十二年は前年度三十一年の四・三月に比べまして四・一月、三十三年になりますと三・九月と減ってきております。ところが三十四年になりまして、またもとへ返りまして四・一月、三十五、三十六年度はいずれも四・三月ということになっております。大体の傾向はだんだんと審理期間が延びておるということは言えると思います。
  89. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは決算とはちょっと違いますが、こういうぐあいに延びるということは、国民一般としては心理的に、財政的に負担が実は多いことになるわけなんであります。進捗をはかっていきたいという。だからといって、戦前のように簡単にきめられて、戦前四・八カ月で民事がきまった、一カ月で刑事がきまったといっても、必ずしもいいわけじゃないと私は思うわけですが、しかし、現実の戦後のあれとしましては、だんだんと短縮される方向というものは、どうしてもつくり上げなければいかぬじゃないか、こういうことを考えるわけなんであります。  ところで、この前の決算委員会、いつでしたか、私が裁判官の実地検証と一緒にまいりましたときに、裁判官が汽車でおいでになって私が自動車で行った。帰りに一緒に乗っていただいてまいったことがある。それは困るじゃないかということを申し上げたら、今度三十六年度は検証用の自動車配置といったようなぐあいに決算に出ておりますが、現在裁判所関係の自動車の配置状況はどういうぐあいになっておるか。
  90. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 ただいま全国では三百三十七台の自動車でございます。裁判所といたしましては六百九十二台を所要台数とただいま考えておるわけでありますが、差し引き三百五十五台不足だという考え方でおります。そういうような考えをいたしましたのは、実は所要台数の大型車は、最高裁長官、最高裁判事、高裁長官、地方裁判所、家庭裁判所所長それから高等裁判所の支部長あるいは地方裁判所の支部長に各一台、地裁、家裁甲号支部長者一台、それから本庁、高裁支部及び地方裁判所家庭裁判所の甲号支部で判事判任に一台の乗用車を必要とするという計算考えておりましたところ、三百五十五台の不足という計算で毎年予算要求しているわけでございます。その結果としては、力が足りませんわけか、なかなか芳しくないのでございますが、御報告申し上げますと、三十二年は三台、三十三年は十台、三十四年は十五台、三十五年は十五台、三十六年、三十七年、三十八年は各十台ずつ、締めて七十三台だけふえてまいりました。今後増車になるように努力したいと思っております。
  91. 西村力弥

    ○西村(力)委員 自動車に乗らないと権威が出ないという考え方ではないのです。裁判の進捗をはかるために、やはり所要なそういう機動性というものは必要じゃないか、こういうぐあいに考えるわけです。  ところでいま問題になっているのは、最高裁の判事の任命について、これはあなた方にお聞きしてもどうにもならぬと思うのですが、原則がくずされている。民間から五人、判事関係の方から五人、検事畑から五人、大体そういうふうになっているのですが、この原則がくずされて、弁護士出身の人のやめたあとに検事畑から出た、こういうことになって問題になっておったわけですが、弁護士をやっておる人々でも資格は十分でありますし、むしろそういう人々が判事の職につかれるということは、これは裁判のあり方からいって好ましいことではないか。そういう点について裁判所関係職員の給与が特別法というか別にあるわけですが、そういう面の障害というものに対して裁判所関係では一体どういうぐあいに打開しようと考えておられるか。現状では弁護士から裁判官というぐあいに転出するというようなことは、ほとんど希望するものが少ないのではなかろうか。問題は給与の問題とかが相当大きいウエートを占めているのじゃないか。そういう点については裁判の進捗をはかる上からも、また民衆の意思というものを十分反映した裁判というものが行なわれるためにも、何か打開策を考えなければいかぬじゃないか、こう思っておるのですが、そういう点については具体的に検討し、また努力している点がございますかどうか。
  92. 桑原正憲

    ○桑原最高裁判所長官代理者 裁判官の給与制度のことにつきましては、私は直接所管のことではありませんので、あまり詳細なことは申し上げられませんが、ただいまお話がございましたように、裁判官に弁護士の方を多数迎えるという考え方は、これは裁判所法の関係で取り入れられたわけであります。最近また非常に法曹一元というようなことがやかましく論ぜられておるわけであります。現在の制度におきましても、裁判官の中には弁護士出身の方が入れると制度的にはなっておるわけでございますけれども、現実の問題としては弁護士の方から裁判所に入ってこられる、特に最高裁判所以外の裁判所にはそういった弁護士出身の方が入ってこられることが、きわめて例外的なような状態がずっと続いてきたわけであります。こういった点でどこにその原因があるかというようなことは、いろいろ原因があるわけでございまして、一がいにどれかという決定的な理由はないだろうと思うわけでございますが、その中でもただいまお話にございましたような、裁判官の給与の問題ということが大きな問題であろうと思います。具体的に申し上げますと裁判官の給与と弁護士収入との間に相当大きな格差があるということがいわれておるわけでございます。そういった点をどう打開していくかというようなことが直接の機縁になりまして、臨時司法制度調査会というものも設置せられまして、ただいま法曹一元の問題が当面の問題として調査会では熱心に論議されておるわけであります。今後そういった問題を含めまして、裁判官の任用制度、給与制度というものについて十分な調査が行なわれて、適切な答申が出ることをわれわれも期待しておるわけでございます。そういった一般的なことしかお答え申し上げられないのでありますが、御了承願います。
  93. 西村力弥

    ○西村(力)委員 こういったことは決算とはあまり関係がないのですが、いずれにしましても、私たちとしては裁判の進捗をはかるためにいろいろな問題を考える場合に、そういう点も問題として考えざるを得ないわけです。それで問題は、裁判官の給与に、弁護士から入った場合に前歴計算をどう見るかというところに、一番大きい問題があるのではないかと思っておるわけであります。  それはそのくらいにしまして、次に決算を見ますと、証人の日当を二百三十円から三百円に上げたということになっておりますが、ところが別の、家庭裁判所の調停委員とか、それから司法委員とか、そういう人々は六百円に上げたということになっておりますが、その差はどういう考え方に基づいて出るのだろうか、こういうことがちょっと疑問なのであります。証人というのは、その資格云々にかかわらず一般の人であるから三百円で間に合う、ところがこっちは資格を持っているものであるから六百円だ、こういう考え方なのかどうか。その点がちょっとわからないのでひとつ解明してもらいたい。
  94. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 ただいまの証人の関係でございますが、千円以内ということでこれは増額になっておるのであります。千円以内でございますから、遠距離、近距離、それから証言の時間等を考えまして、平均五百円くらいになるような計算になっております。
  95. 西村力弥

    ○西村(力)委員 日当ですよ。日当が、決算書を見ますと証人の場合二百三十円を三百円に上げた。ところが他の場合には六百円に上げた、こういうぐあいに出ておるわけです。その差額をつけた考え方は、一体どういうことなのか。
  96. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 司法委員等は三十六年度で六百円であったのを、半額であったのを、これをおくればせながら次年度で千円に引き上げるという努力をいたしたわけであります。その結果は、年度が変わりますが、いろいろな司法委員関係のほうは七百円、それから鑑定人が百円上げて七百円、証人が千円以内ということに是正しましたので、その当時是正するのが少しおくれたということでございます。
  97. 西村力弥

    ○西村(力)委員 千円というのは予算の総額でしょう。日当ですか。
  98. 岩野徹

    岩野最高裁判所長官代理者 日当でございます。
  99. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に検察審査会でありますが、この件については私も二回ばかりこれに訴えたことがあるのですが、いずれも却下になってしまったわけです。しかし資料を見ますと、これは不起訴不当としたものも相当あるようでございます。不起訴不当として、起訴すべきだという検察審査会の判定が、検事の段階で取り上げられたのが幾らか資料が出ております。そういう点についてずっとお聞きしようと思ったのでありますが、資料をいただいておりますので、その点は省略してまいりたいと思います。裁判所関係では、私はこのくらいにして終わりたいと思います。  内閣の関係検査院にお尋ねをしますが、調査委託費が三十六年度は三億二千百七十一万とこういうぐあいに出ておりますが、これの会計検査はどこに幾らやった、それの証憑書類は整っている、こういうぐあいに検査しているのかどうか、この委託費が各団体、会社、そういうようなところに配分された金自体が、たとえば土木工事の場合はつけた予算額のその資金が効率を十分発揮しているかどうか、こういうことを検査するわけですが、内閣の調査委託費の場合においてはそこまで至らない、これこれの金で調査委託をした、それに見合う仕事はこれこれなされておる、こういう点まで調査をするのか、これはどうなっているのだろう。
  100. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 お答えいたします。  おっしゃるとおり、工事でありますとか物品でありますとか、そういったものの購入は、現実と対比して検査するのが常道でございます。ただ情報委託費、情報収集整理、こういった内容につきましては大体現物のあれがないものが多うございます。したがいまして、これは実地検査におきまして、こういう方向でこの目的に沿って使われたということを十分口頭で承りまして、検査を済ませておる次第でございます。
  101. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、国費が出されたその行く末がどうなっているかというようなことは、受け取ったという証書ということだけ、それだけでやる、この件に関してはこういうことに相なるわけですね。  それでは次に、情報調査委託団体一覧表というのを提出していただいておりますが、ここに調査を委託するそのテーマというのですか、調査要項、そういうものは一体どこできめるのですか。
  102. 広山紫朗

    ○広山説明員 私どものほうできめております。
  103. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私のほうというと調査室、そこできめる、こういうことですね。
  104. 広山紫朗

    ○広山説明員 この委託事項をどういうやり方できめるか、こういうことでございますけれども、大体私どもの仕事のやり方と申しますのは、御存じのとおり内閣の重要政策に関する情報の収集、調査、それからそれに関する各省庁の行なう情報収集、調査であって、その内閣の重要政策に関するものについて調査をやっておるわけであります。こういう角度から常時各省との連絡を保ちまして、そうしてまた上のほうの御意思も承りまして、当面の内閣の重要政策というものが何であるかというような御指示をいただき、また内部的にも検討いたしました結果、こういう委託事項それぞれを各団体にお願いする、こういうことに相なっておる次第でございます。
  105. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると内閣の意向は一応聞くけれども、最終的にかくかくの項目をこの団体にということは、最終的にはあなたのところできめる、こういうことになるわけですね。
  106. 広山紫朗

    ○広山説明員 さらに具体的な手続を申し上げますと、そういうことで上のほうの御指示によってきめるわけでございますが、この委託事項につきましてそれぞれの項目を内部的に検討いたします。またその計画につきまして、あらかじめその団体にこういう計画でどうかというようなことで打ち合わせの上、委託事項決定しておるわけでございます。実際上の委託事項のきめ方といたしましては、支出負担行為担当官の内閣参事官でございますが、それと団体との契約によってきめる、こういう形に相なっておるわけでございます。
  107. 西村力弥

    ○西村(力)委員 委託して、それぞれこの委託費というものを支出しておるわけですが、その成果というのはどういう形であらわれてくるのか、ここにはいろいろなパンフレットみたいなものがありますが、こういう形に全部なるのか、まあ一般的にはこうなるのじゃないかと思うのですが、共同通信あたりはそうじゃなくて、日々世界各国からの通信が送られてくるというぐあいになるだろうと思うのですが、一般的にはやはりこういう形で出されてくる、こういうことだろうと思うのですが、それはどうですか。
  108. 広山紫朗

    ○広山説明員 各委託事項によってそれぞれ形が違っておるわけでございますけれども、そのやり方といたしましてはもとより口頭報告の場合もございますし、あるいは電話報告その他メモによる報告もございます。また原稿による報告もございますし、またその中で特に関係各省との検討を要すると思われるような資料、あるいはまた特に参考に供したいというような資料につきましては、その一部分といいますか、その概略をそういう資料あたりにまとめて印刷する場合もございます。
  109. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは三十七年度にその委託費を支出したはね返り、こういうものがどういう形で出されておるか、それを明確に各団体ごとに整理して資料として出してもらいたいと思うわけであります。  次に、国際情勢研究会というものには、この資料をずっと見ますると、情勢の総合的分析及び判断資料の作成、こういうことになっております。判断資料の作成ということはとにかくとしましても、総合的分析をそこにお願いするということになるわけでありますが、そこでこの国際情勢研究会の構成メンバーというものは、私たちとしては関心事になってまいるわけなんであります。幸いにここに資料が出ておりますが、この方々、花井さん、今井さん、植田さん、加瀬さん、気賀さん、長谷川さん、福島さん、山口さん、田中さん、この中で私たち承知申し上げている方もおりますが、そうでない方もありますので、この方々が現在どういうお仕事をなさっていらっしゃるか、その前歴はどうか、こういうことをひとつ……。
  110. 広山紫朗

    ○広山説明員 花井忠さんでございますけれども、元検事総長をやっておられました。現在は中央大学の理事をやっておられます。それから今井久さんでございますが、これは防衛庁の次官をやっておられた方です。それから植田先生でございますが、これは元外務省の嘱託をやっておられまして、現在東大の教授をやっておられます。加瀬俊一さんですが、これは現在外務省の顧問をやっておられる方でございます。それから気賀健三先生でございますが、慶応大学の教授をやっておられる方であります。それから長谷川才次先生ですが、この方は時事通信社の代表取締役、福島慎太郎先生は、元調達庁の長官をやっておられまして、現在ジャパン・タイムスの社長でございます。山口善雄先生は、現在医療金融公庫の監事をやっておられます。それから田中重之先生ですが、元長崎県の知事をやっておられまして、ただいま埼玉県の教育委員長でございます。
  111. 西村力弥

    ○西村(力)委員 いろいろの方が集まっていらっしゃる。それぞれの権威者であると思うのでございまするが、それは政策的な問題とか、考え方の問題になりますけれども、こういう方々、どういう方かはっきりわからぬ方もおりますけれども一般的な感じとしましては、これでは国際情勢全般の分析には幅が非常に狭いのではないかという感じがするわけなんであります。ところで、その後これだけの三億数千万円をかけて調査を依頼した結果というものは、ここに出てきておりますのを見ますると、アメリカ要覧とか英国要覧とか、NATO要覧とか、それから主要各国における科学技術行政と研究機構、こういうようなものが出て、見たところたいへんりっぱになっておりますが、しかし、こういうようなものは内閣調査室で、特別の調査を依頼しなければできないのかどうか、こういうものはアメリカ要覧ならば、これは外務省にはアメリカ局というのがあるだろうし、アメリカの大使館を通じてもそのほかの諸般の文献や、その他においてもできるだろう、英国要覧にしても、そのとおり。主要各国における科学技術行政と研究機構、こういうものだって、科学技術庁で、これは当然できることであります。でありまするから、こういうものは、全く不要なものではないか、ぎょうぎょうしく内閣調査室で、何カ国の政策の基礎的なものを研究調査するというようなぐあいにしてではおかしなものじゃないか、こういう気がするのです。一体こういうものをつくってもらうというような考え方は、一体どういう——アメリカ要覧というものを海外事情調査所につくってもらう、こういうようなことを検討して、あなた方は指示を受けて、そうしてやったそうでありますが、一体これはどういう理由で、これはぜひともあなたのところでやらなきゃならぬというのであるかどうか、これをひとつ聞かしてもらいたい。
  112. 広山紫朗

    ○広山説明員 先ほども申し上げましたとおり、私どもの仕事といたしますのは内閣の重要政策に関する情報の収集、調査でございまして、その一環といたしまして英国関係、アメリカ関係、アフリカ関係、そういったものの基礎的な資料を平素から順次握っておく必要があるわけでございます。もとよりいま先生のおっしゃられましたとおり、そういった調査関係につきましては、外務省あたりでよくおやりになっていることとは思うわけでございますけれども、外務省の考えておりますところは、あくまで外務の処理ということを中心としてものを見ておるわけでございまして、調査室のねらっておりますところの内閣の重要政策に関すると、こういう立場からこの調査をやっておるわけでございまして、その立場はだいぶ違っているように感ずるわけでございます。またこのお手元の英国要覧その他につきましては、そういった外務省のほうとも常時連絡をとり、また海外のいろいろな通信資料等を集めまして、総合的な立場から基礎資料としてまとめておるわけでございます。その一端をそこに印刷にした、こういうわけでございます。そういうことで私ども民間の委託団体にそういう基礎資料をぜひとも必要だ、こういうことでお願いしておる次第でございます。
  113. 森本靖

    ○森本委員 ちょっとお尋ねしますけれども、この日本放送協会の海外放送の聴取記録の作成というやつが千二百六十万円ということになっておりますが、この聴取記録というのは、これは筆記された記録ですか、それともいわゆる録音された記録ですか、どういうことですか。
  114. 広山紫朗

    ○広山説明員 日本放送協会にお願いいたしておりますのは、この海外放送につきまして私どものほうで特に必要といたします、一日につきまして六百・分の相当時間がございますけれども、そのものの録音したものを原文で、英語なら英語、ドイツ語ならドイツ語に、文字に書いていただく、それを報告していただく、こういうことをお願いいたしておるわけでございます。
  115. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、これは各国の海外放送を全部これで録音をしておるわけですか。
  116. 広山紫朗

    ○広山説明員 全部ではございません。
  117. 森本靖

    ○森本委員 どこどこですか。
  118. 広山紫朗

    ○広山説明員 国別でございますか。
  119. 森本靖

    ○森本委員 それはすぐわからなければいいのですが、これは千二百六十万円という根拠はどういう根拠ですか。録音で、原文の筆記料ですか。
  120. 広山紫朗

    ○広山説明員 先ほどの、三十六年度におきましては一日に五百十分で、三十七年度については六百分でございます。これを録音したものを、結局先ほど申し上げましたように文字に翻訳するわけでございまして、この翻訳が相当手間がかかる、こういうことでそのお金を委託しているわけであります。
  121. 森本靖

    ○森本委員 だから、この海外放送聴取記録というのは、要するに、録音であればそのままあるわけです。NHKには海外放送の録音というものは全部残っておるわけであります。これは放送法で残さなければならないことになっておるわけでありますから、それをもらうには金がかからぬわけです。そうすると、千二百六十万円というものはそれを原文で写す代金だ、こういうことですね。
  122. 広山紫朗

    ○広山説明員 私どものお願いいたしております、たとえばイギリスにつきましては九十分のこれこれの時間帯のこれこれの放送、こういうものを聞いていただいてとっていただき、そしてそれを録音したものを文字に翻訳していただく、そういうものを含んでおるわけです。
  123. 森本靖

    ○森本委員 私が聞いておるのは、あなたのほうが頼まなくても日本放送協会はそういう海外放送の聴取記録というものはやっておる、だからこの内閣がNHKに支払うという金は、その海外放送をもう一ぺん録音機にかけて、それを原文に筆記する場合の料金であろう、そうでないか、こう聞いておるわけです。答えは端的でいいんです。
  124. 広山紫朗

    ○広山説明員 そのとおりでございます。
  125. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、この千二百六十万円というものは、国会の速記録でも一分間何ぼということは大体わかると思いますが、金額がどの程度になっておりますか。要するに、これは録音されたものを筆記する料金ですから、それが大体一分当たり何ぼ、十分当たり何ぼ程度になるかということを参考までに聞いておきたい、こう思うわけです。
  126. 広山紫朗

    ○広山説明員 録音したものを翻訳するという経費だけではないわけでございまして、海外放送を私どものお願いしている時間帯のものを聞いていただく。これは深夜の場合もあるわけでございます。それから、それを聞いたものを先ほど先生の言われるとおりほどく、文字に直す、そして私どものほうに速報していただく、こういう経費でございます。
  127. 森本靖

    ○森本委員 私が言っておるのは、日本放送協会は法律に基づいてでき上がっている機関でございますから、そういう海外放送については、あなたが言われるまでもなくNHK自体としても国際局においてそれを聞いておるわけであります。また聞いてそれは大体残しておると思います。だから、そういう観点からいくとするならば、この千二百六十万円というものはそれを原文に筆記する代金に相当する。そうなれば、その筆記する代金に相当する金額が大体十分間程度どの程度になっておるか、こういうことを聞いておるわけです。そうすると、一般の速記とかその他のものと合わせましてこの金額が妥当であるかどうかということが出てくるわけであります。ここは決算委員会でありますから、そういうことを私は聞いておるわけであります。はっきり言いますと、もとの聞いておる分まで払っておるということになりますと、NHKはもうけになるわけです。NHKとしても一つの国際局があってそれ相当の海外放送をやっておるわけであります。それからその反応として、世界各国のそれぞれの世界短波放送については、現実にこれを聴取しておるわけであります。そこで私が聞いておるのは、いま言ったようなことになるとこれはどうなるのか、こういうことを聞いておるわけでありますが、いま直ちに返事ができなければ次のときでもいいです。  それからもう一つ聞いておきたいのは、いま言いました国々はすぐわかりませんか。
  128. 広山紫朗

    ○広山説明員 お答えいたします。  現在の聴取記録といたしましては、英国、米国、ソ連のモスクワ放送、西独、中共、北鮮、韓国の京城放送、アラブ連合、ユーゴスラビア、インド、インドネシア、北ベトナム、南ベトナム、ガーナ、コンゴ、こういうところでございます。
  129. 森本靖

    ○森本委員 それは全部短波放送ですか。
  130. 広山紫朗

    ○広山説明員 海外向きの短波放送であります。
  131. 森本靖

    ○森本委員 それは京城なんかは中波ではないですか。——わからなければいいのですが、大体東南アジア方面は中波の千キロでやっておるわけであって、その他のヨーロッパ、アメリカが短波でやっておるわけですが、私がここで決算として非常に不審に思うのは、これは日本放送協会のもうけ仕事ではないわけでありますから、ある一定の水準以上に金を支払うことはない。やはり向こうも法律に基づいてでき上がっておるものでありますし、国民の聴取料でやっておるものでありますし、こっちはこっちで税金で支払っておるわけでありますから、その辺がどうなっておるだろうかと思ったわけですが、これはもう一ぺんあなたのほうもこの積算と試算根拠について、これが適切であるかどうかということは十分検討してもらいたい、こう思っておるわけであります。  それからもう一つ聞いておきたいのは、内外情勢調査会のうちの海外放送の聴取記録の翻訳、整理及びこれに関する資料の作成並びに有識者意見調査、この中で内外情勢調査会のうちの海外放送の聴取記録の翻訳というものは、四千三百三十九万円のうちにどれだけ含んでおるわけですか。
  132. 広山紫朗

    ○広山説明員 三十六年度の数字で申し上げますと、内外情勢調査会にお願いいたしております委託業務でありますところの海外放送聴取記録の翻訳、整理の速報、こういうことでありますが、これは千四百三十三万四千九百十一円と相なっております。
  133. 森本靖

    ○森本委員 千四百三十三万ということになりますと、これは翻訳料とそれからその原文をやるやつとの大体の数字が一致するわけでありますが、これがもっと大きな金額にならなければならなかったのじゃないかという気がするのです。今度は正式に日本語に直す場合の金額が四千三百三十九万の中に入っておるわけでありますね、その金額が千四百三十三万、こういう金額になっておるわけでありますね。ところがこれははっきり言うと、速記とか翻訳とかいうことを考えてみると、原文を翻訳していく金額が、千四百三十三万という金額がもっとふえなければならぬような、私はしろうと考えになるわけでありますが、その辺どうですか。
  134. 広山紫朗

    ○広山説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、全文を日本語に翻訳するといたしますと、金額は確かに高くなろうかと思うわけでありますが、委託いたしておりますのは必ずしも全文ではないわけでございまして、私どものほうの必要なポイントを訳していただいておる。いわゆる英語、ドイツ語の原文は流れるわけでございますが、そういうことでございます。必要の限度を限ってやろう、こういうことでございます。
  135. 森本靖

    ○森本委員 そうなりますと、これは私もかなり聞いてみたいことがありますけれども、きょうは時間があまりないようでありますので、これはひとつ日をあらためてもう一度、ニュース関係の問題について私もかなり自分が経験を持っておるつもりでありますから、ひとつ日をあらためて十分聞いてみたいと思いますが、かりに四千三百三十九万円のうちの千四百三十三万ということになりますと、残りが結局この有識者意見調査ということになると思うのです。そうなってまいりますと、この有識者意見調査というものについては、どういう人からどういう意見を聞いておるのかということについてもちょっとわからぬかっこうになるわけでありますが、その辺簡単な回答ができませんか。
  136. 広山紫朗

    ○広山説明員 三十六年度決算額によりまして、内外情勢調査会の額は四千三百三十九万円ということになっておりますが、そのうちで先ほどの海外放送聴取記録が千四百万、それから国際情勢資料週報及び特集の編集刊行というのがございます。これは先生方にもお配りいたしておる資料でございますが、その経費がこれに入っておるのでございます。それが千八百六十七万八千二百三十五円でございます。したがいまして、先生の御質問の有識者意見調査でございますけれども、その残額の千三十八万一千八百十五円となる次第でございます。
  137. 森本靖

    ○森本委員 まだ私は、これはあとのほうをずっと質問してみたいところがだいぶありますけれども、時間もあまりないようでありますし、関連でありますので、次に譲りまして私の関連をこれで終わります。
  138. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連してちょっと御質問いたしますが、内外情勢調査会と国際情勢研究会というのが三十五年に比して三十六年度は倍になっているのですが、これは理由はどういうことですか。
  139. 広山紫朗

    ○広山説明員 内外情勢調査会が三十五年の決算におきまして二千百一万四千八十四円でございましたのが、御指摘のとおり四千三百三十九万にふえておるわけでございます。これのふえました理由でございますが、国際情勢資料、特集、週報の配付部数、配付範囲を拡大したことでございます。  それからもう一つ御質問のございました国際情勢研究会、何かの間違いじゃないでしょうか。倍になっていないんですが……。
  140. 勝澤芳雄

    勝澤委員 幾らですか。
  141. 広山紫朗

    ○広山説明員 三十五年の国際情勢研究会は三千八百九十八万でございます。
  142. 勝澤芳雄

    勝澤委員 間違えました。それで、国際経済研究会ですかと国際問題研究会、それから内外事情研究会、アジア動態研究会ですか、これが四つがなくなって世界政経調査会というのが出てきたんですが、これはどういうわけですか。
  143. 広山紫朗

    ○広山説明員 内外事情研究会、アジア動態研究所、国際問題研究会、それからもう一つ国際経済調査会という四つの団体がございました。これにそれぞれ委託をいたしておりましたところ、三十六年の初頭におきましてこれらの四団体の間で理事者の相互の話し合いがございまして、そして結局三十六年の七月一日を期しまして合併いたしまして、法人格をとりまして世界政経調査会と相なった次第でございます。
  144. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これはいつも私、質問していて、一体委託費を出す必要性があるのかないのかという点で大へん疑問に思うのです。官房長官は、この前、なられたばかりだものですから、研究しておいて次の予算には考えたらどうでしょうかという話をしておいたんですが、官房長官はきょうおいでになっておりませんけれども、これはやはりよくここで質問され、何回もやられているんですから、質問すればするほどこれはどうも検討しなければならぬというところへきているんじゃないかと思うのです。その点だけひとつ申し上げて、私は関連ですから質問をやめておきます。
  145. 西村力弥

    ○西村(力)委員 日本放送協会、共同通信社は別としまして、その他の団体は、その事業をやる費用の中に委託費の占める割合というのは一体どうなっておりますか。
  146. 広山紫朗

    ○広山説明員 団体の決算といたしまして委託費の占める割合でございますが、ラジオプレスにつきましては三・七%になっております。内外情勢調査会につきましては二二・五%、海外事情調査所は一〇〇%、世界政経調査会は九八・九%、国際情勢研究会は九六・六一%、東南アジア調査会は九五%、国民出版協会は九三%、民主主義研究会は九八%、このようになっております。
  147. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ラジオプレス、ジャパン・ニュース・センターですか、まあそういうところは比率が低いということ、これは何ですが、あとのところはほとんど全部委託費によって調査研究をしておる、こういうことになっておるわけなんですが、この設立は、こういう形態からいうと、これは調査を委託するために設立を見た、それを望んで設立を見た、こういうことになっておるのじゃないか、こう思うわけなんですが、そこの相互関係はどうでしょう。九〇%以上の、その委託費に占める割合が高い団体の設立の経過、これはどうなんです。
  148. 広山紫朗

    ○広山説明員 団体ができます当初、団体のまあ理事者といいますかそういった幹部の方々の間で、そういった委託業務にふさわしい事業をやるというような話があり、これが私どものほうに連絡があって、ふさわしい団体である、このように認定して委託したものと聞いております。
  149. 西村力弥

    ○西村(力)委員 当初から話し合いがついて発足しておるのだ、こういうぐあいに思われるわけなんです。ですから私は、そういう行き方というものは決して好ましいものじゃないのじゃないか、こう思っておるわけなんですが、ところで先ほどこういうものは外務省なんかでは得られない立場からこれをやるのだ、こういうことになっております。ところがこの英国要覧なんか見ますと、第一番目は歴史ということ、これは外務省で調べようとあなたのほうで調べようと何ら変わらないのじゃないか。それから地理。位置及び面積、これが何がゆえに調査室で調査する必要があるのか、気候それから政治概説、政体、立法、議会の沿革、議会の構成、議会の特権、議会の手続と議会の機能、こういうようなぐあいになっている。こういうことだって、ありきたりのことでありまして、特別のものは何らないのじゃないか、まあそのほか外交、国防なんかにするとこれはニュアンスの違いが少し出るかもしれませんが、あとは、運輸、通信、それから社会環境、文化、芸術、最後には日英関係の沿革、こういうふうなぐあいになっております。こういうことになりますと、これは少なくともいま言ったように歴史とか地理とかあるいは政治形態とか、そういうふうなところ、あるいは文化、運輸、通信、社会あるいは日英関係、こういうふうなところは、これは特別の調査を依頼する必要は全然ないわけであります。ですからこれをずっと概観しますると、こういうものは全く不要ではないかというような結論にならざるを得ないのです。  それから有識者調査ということでありますが、有識者の選定はどういう方法でやっておるのか、これをひとつお聞きしたい。
  150. 広山紫朗

    ○広山説明員 有識者の調査は、内外情勢調査会に委託しておりますことは、先ほどお答えいたしましたとおりでございます。内外情勢調査会と申しますのは、全国にそれぞれ支部がございまして、その全国の支部においてその方面の労働、経済、政治その他の地方的な有識者、いわゆる学識経験者その他いろいろな角度の方々、もとより政府の見解等についても批判的な方々も含めまして、幅広く選定いたしておるわけでございます。
  151. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その意見というものは、何か文字にあらわれたものをただ見つけ出してピック・アップするというのか、じかにそういう有識者に会って、現在これこれの問題についての御意見は、こういうような調査をするのか、どういうふうなことですか。
  152. 広山紫朗

    ○広山説明員 有識者調査のテーマがきまりますと、これを内外情勢調査会の機構を通じまして、その調査員がそれぞれの先生方のところに参りまして、各個別に掘り下げた意見を聞いておるわけでございます。
  153. 西村力弥

    ○西村(力)委員 じかに御意見を聞く、こういうことなのでございますか。
  154. 広山紫朗

    ○広山説明員 そうです。
  155. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは三十七年度にそういう有識者調査をやったテーマ、これはどういうことがありますか。全部おっしゃってください。
  156. 広山紫朗

    ○広山説明員 三十七年度に有識者調査を実施いたしましたテーマでございますが、第一回は「国民生活からみた池田内閣に対する要望」これが第一回でございます。第二回が「旧地主補償問題」これが第二回目でございます。第三回が「青少年に対する教育マスコミの在り方」、第四回が「参議院選挙をかえりみて」、第五回が「新内閣への期待と要望」、第六回が「総理の欧州訪問」、第七回が「38年度予算編成について」、第八回が「石炭鉱業対策はどうあるべきか」、第九回は「人造りは何から始めるべきか」、第十回目は「総理のヨーロッパ訪問とヨーロッパ対策について」、第十一回は「通常国会でぜひやってもらいたい問題」、それから第十二回は「宅地政策はどうあるべきか」、第十三回は「中共の核実験」、第十四回は「選挙制度改正」、以上でございます。
  157. 西村力弥

    ○西村(力)委員 このテーマは、何もことさらとやかく言う筋合いのものではないだろうと思いますが、これをもって有識者の意見として政策の基礎にしようとするならば、その意見を求める有識者の選定というものは、やはり先ほど申したように内外調査会が適当に選ぶということじゃなくて何らかの基準というか、よりどころというものを示してもらわなければならぬじゃないかと思う。そこのところが私としては問題なわけなんです。それについてはどういう指示なりを与えておられるか。
  158. 広山紫朗

    ○広山説明員 内外情勢調査会とも絶えず連絡をとりまして、その問題については先生の申されますとおり非常に重要な問題でございますので、特に幅広く各方面の専門家を集める、こういうように申しておるわけでございます。特に政府の施策に対してむしろ意見を持っておられる方々、そういう面の意見を聞くことが大いに意味があるわけなんでございまして、そういう方に特に着眼いたしましてお願いをいたしておるわけでございます。
  159. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その有識者調査の収録、こういうものはあるだろうと思うのですが、そこにはその意見を発表した人々の名前を書いておるかどうか、どうなっておるのですか。
  160. 広山紫朗

    ○広山説明員 第一回から第十四回まで、三十七年度につきましては、先ほど申し上げましたとおりその主題につきまして調査をいたしました。ただこの意見を述べておられる方々の中には、自分の名前を出したくないという方が相当多いわけでございます。そういうことで思い切った意見を言われるという向きもあるわけなんでございますが、原則といたしましてはその名前については発表しない、こういうことのたてまえで考えておるわけでございます。
  161. 西村力弥

    ○西村(力)委員 名前を発表しないで……。そうすると、ずっと意見だけを並べておく、こういうぐあいにして収録しておくのですか、それともまた別法があるかどうか、どうなんですか。
  162. 広山紫朗

    ○広山説明員 意見を大体よくこなしまして、それを大綱を握って要約をする、こういうことで上のほうには報告いたしておるのでございます。もとより個々に出た意見は全部それの資料としてつけておく、こういうことでございます。ですから、必要であればどういう方面の意見であるかということはわかるわけでございます。
  163. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私は、おたくのほうで調べた原子力潜水艦寄港についての有識者の意見というものを見ますと、各意見の最後にカッコして四千三百何十番——番とは書いてないけれども、そういう数字が全部ついておるのです。あれは原簿と照らし合わせるとだれそれの意見というようにわかるしるしじゃなかろうか、こういうぐあいに思っておるのですが、それはどうなんです。
  164. 広山紫朗

    ○広山説明員 そのとおりでございます。
  165. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、何かそういうことについて発表され得る限界において、あの番号のところに名前を付して一冊もらいたい、こう思うわけなんです。それは、どういう人々から聞いておられるか、いまおっしゃったように、むしろ反対の意見の人々のをよけい聴取したい気持だと言うが、実際にそういうぐあいに行なわれておるかどうかということを見るために私は必要にも思うのです。あるいはあなたのおっしゃることは事実そのとおりであるかもしれません。何とかその番号を実在の人名に直して出してもらえないか、こういう感じがするわけなんです。いずれにしましてもこの内閣調査室の委託費の問題については何回となくここで論議されておりまするが、不用のものが相当あるし、また会計検査院としてはその金が十分に生かされているかどうかという検査はしないのだということになりますので、これだけの支出について成果というものはそれに見合っておるかどうかということについては、やはり当委員会調査をしなければならぬと思います。これからもおりに触れていろいろお尋ねをしてまいりたいと思うわけなんですが、ただ最後に、このアメリカ要覧にしてもやはり私は不要だ、こう思うのです。これにしましても歴史から地理から政体からずっと同じような形で書かれている、こういうようなことは実際不要だと思うのです。あなたのほうではこういうことに対してまだ必要であるという弁解ができるのかどうか、これを最後にお尋ねしたいと思います。
  166. 広山紫朗

    ○広山説明員 最初にお答えいたしましたとおり、私どものほうといたしまして、英国関係あるいはアメリカ関係の基礎的な調査をし、その資料を持っておくということは、私どもの仕事をやる上にきわめて必要なことでございます。したがいまして、そこに例をあげられましたとおり、アメリカ要覧等のもとになりますところのアメリカ関係、英国関係の基礎資料の調査を実施いたしておるわけでございまして、そういった基礎資料の調査の一環といたしまして、その資料を簡略にまとめたものでございまして、要望の向きについては参考に供し活用していただきたい、こういう気持ちでつくったものでございます。
  167. 木村公平

    木村(公)委員長代理 本日の質疑はこの程度にとどめます。  次会は来たる六日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十二分散会