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1963-03-29 第43回国会 衆議院 決算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十九日(金曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 津雲 國利君    理事 荒舩清十郎君 理事 鈴木 仙八君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       椎名悦三郎君    鈴木 正吾君       田川 誠一君    福田 赳夫君       古井 喜實君   山口喜久一郎君       山本 猛夫君    石田 宥全君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局長)  向坂 正男君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      塚本 敏夫君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君  委員外出席者         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      小林 国司君  参  考  人         (電源開発株式         会社理事)   伊藤 令二君  参  考  人         (電源開発株式         会社管理室長) 檜垣 順造君  参  考  人         (電源開発株式         会社企画室長) 藤関 信彦君  参  考  人         (電源開発株式         会社庶務部長) 藤井 重博君     ————————————— 三月二十九日  委員森本靖辞任につき、その補欠として石田  宥全君議長指名委員に選任された。 同日  委員石田宥全君辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件(電源開発問題)      ————◇—————
  2. 津雲國利

    津雲委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件について調査を行ないます。  本日は、本件調査のため関係当局の外、電源開発株式会社より理事伊藤令二君、監理室長檜垣順造君、企画室長藤関信彦君、庶務部長藤井重博君の四名の方に参考人として御出席を願っております。  参考人各位には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席下さいまして、まことにありがとうございました。ありがたく御礼申し上げます。  なお、参考人各位に申し上げますが、発言をされる場合には委員長許可を得て行なっていただきますから、お願いいたしておきます。  次に、委員各位に申し上げます。参考人よりの意見聴取は、委員質疑により行ないたいと存じますので、そのように御了承願います。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますのでこれを許します。石田宥全君
  3. 石田宥全

    石田(宥)委員 最初只見川流域地域開発を含む電源開発についてお導ねを申し上げるわけでありますが、最初電発資金構成政府出資民間出資との関係並びに三十七年度以来の政府資金融資の総額を承りたいと思います。
  4. 塚本敏夫

    塚本政府委員 正確な資料をただいま持っておりませんが、出資政府出資が六百億、それから民間出資が多分一億だったと記憶いたしますが、そういうような構成になっております。それから財政投融資は大体年三百五十億ないし四百億程度電発に対して財政投融資から出しております。
  5. 石田宥全

    石田(宥)委員 電発の過去十年間における業績の概要を、きわめて概要でけっこうですから、どなたか一つ答弁を願います。
  6. 藤関信彦

    藤関参考人 申し上げます。会社ができましてから十年間開発いたして参りました発電設備は、水力が主たるものでございます。それも大貯水池式水力が大部分でございますが、水力発電の現在までの開発いたしました総出力は約二百十四万くらいであると思います。ちょっと正確な数字でないかもしれませんが、二百万をこえまして、二百十四万くらい現在ございます。  それから火力発電所といたしまして、九州の若松に一力地点、これは一期計画といたしまして十五万キロの計画でございますが、そのうち一台の七万五千キロがすでに営業に入っております。あとの一台が近くでき上がる予定でございます。発電所が主でございますが、それに付帯いたします送変電設備といたしまして、送電線では超高圧の送電線が大部分でございますが、亘長で約一千キロメートル、それから変電設備は百数十万KVA、なおこれに付帯いたしまして、通信設備、これは主としてマイクロ通信設備でございますがこれが延長にしまして約九万キロメートル程度の量を開発いたしております。なお、これらの発電設備で発生いたします電力量は、ことしの予定ですと六十数キロワット・アワーになると思います。以上、概要でございます。
  7. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に、奥只見中心とする発電只見川黒又川系電発事情、これも概要でけっこうですが、承りたいと思います。あわせて黒又第三、第四の着工についての見通しをもお伺いしたいと思います。
  8. 藤関信彦

    藤関参考人 最初只見川系計画概要でございますが、只見川本流筋といたしましては、すでに開発いたしましたものといたしまして、一番上の奥只見発電所、これは三十六万キロであります。それからその下の田子倉ダム、これが三十八万五千キロであります。それから滝発電所、これが九万二千キロ、なおこのほかに只見川本流系には計画がございますが、これは今後の地点でございます。なお現在工事中の大鳥発電所がございます。これはことしの十二月ごろに運転に入る予定でございまして、九万五千キロであります。それから黒又川筋でございますが、この川筋ではすでにでき上がっておりますものに、黒又川第一、六万一千キロ、それから現在工事中のもので、黒又川第二、これが一万七千キロ、これは工事中でございまして、ことしの暮れに運転に入る予定でございます。なおこの黒又川筋には、このほかに第三地点という地点がございます。これにつきましては今後の開発地点ということになっておりまして、まだ具体的なスケジュールはできておりません。なおその上に黒又川第四地点というものがございましたが、これは昨年度全体計画変更いたしまして、第四地点開発しないということになっております。以上であります。
  9. 石田宥全

    石田(宥)委員 第四の問題は、基本計画変更の問題に関連して伺いたいと思いますので、さらにもう一つ伺っておきたいのでありますが、新潟福島、群馬三県にまたがります尾瀬沼開発の問題でありますが、これはかなり広範な面積を持っておるものであって、これに対する計画がある程度進んでおると承っておるのでありますが、同時にまた東京電力の方でも何か計画を進められておると承っております。電発さんの方ではどの程度調査が進んでおり、どういう見通しであるか、承っておきたい。
  10. 藤関信彦

    藤関参考人 尾瀬原中心といたしました発電計画につきましては、私どもは只見川上流の水は本流沿いに利用するのが一番いいのではなかろうかと考えまして、現在できております奥只見のさらに上流尾瀬原から水を引っぱって参りまして、尾瀬という発電所を一カ所つくりまして、その下にさらに大津岐という発電所をつくる。その場合に大津岐発電所に関連いたしまして、只見川支流伊南川という川がございますが、この伊南川の水をも大津岐の方に引っぱりまして、つまり支流伊南川の水を只見本流側にできるだけ引っぱってきて、すでにできております奥只見発電所等の機能をも十分に活用するというような計画をわれわれは持っておるのでありますが、この尾瀬原の水に関しましては、東京電力の方でも別の計画を持っておられます。これは尾瀬原の水を利根川に分水するという計画でございます。  さらに伊南川筋につきましては、東北電力さんの方でも伊南川筋中心とした開発計画を持っておられまして、以上三者の計画がいわば競合のような形になっておりますが、御承知のように最近東地域電源調整会議というものを三者でつくりまして、ここにおきまして、この川筋の一番いい計画はどれだということを三者で裸になって練り直そうじゃないかということになっておるのでございまして、現在その作業が緒についたばかりでございます。いずれまとまった一番いいと考えられる案が出てくると思います。若干の実情を申し上げておきます。
  11. 石田宥全

    石田(宥)委員 尾瀬沼開発の問題については、まだこれからの問題のようでありますが、ただあとで申し上げますように、阿賀野川上流伊南川上流の水の利用いかんは、下流の上水道並びに灌漑用水工業用水に非常な影響の大きいものでありますので、これは十分一つそういうふうな点で、下流利用状況との関連をあわせて一つ計画を願いたいと思います。これは注意を喚起する程度にとどめておきたいと思います。  それから次に私は、先ほど参考人から述べられましたように、昨年電源開発調整審議会で、只見川地域開発計画基本計画変更が行なわれたのでありますが、昭和二十八年七月二十八日、第十回電源開発調整審議会の議を経て総理大臣決定された、この基本計画について承りたいと思います。これについてはナンバー1の3「政府決定計画内容」及び昭和二十九年五月二十六日、新潟県知事あてに開示された標題「只見川及び黒又川電源開発について」の一項の(イ)及び(ロ)、この文書一つ公益事業局長の方から朗読を願いたい。
  12. 塚本敏夫

    塚本政府委員 ただいまその資料手元に持ってきておりませんので…。
  13. 石田宥全

    石田(宥)委員 只見川の問題についてここで質問を行なうというのに、基本計画文書を持ってこないということでは、はなはだこれは不満でありますが、実は私の手元にありますから、私の方で朗読いたします。どういうことがここできまっておるか。非常にこれは重要でありますから、私は政府委員をして朗読せしめたいと思ったのでありますが、私がこれを朗読いたします。政府決定計画内容、1の3、「政府案の本質は、本流案である。」「但し、政府案は、本流沿い開発計画を阻害せざる如く留意しつつ、奥只見から少量を黒又川分水し、黒又川開発電力及び灌漑用水確保上一層効果的ならしめる如く策定したものである。  ハ、本計画案は、奥只見貯水池より最大毎秒十トン年間約七千三百万トンの水を、分水発電所を通じ、黒又川分水し、なお河水の有効利用見地より豊水期において黒又川余剰水量年間約三千万トンを揚水して、奥只見貯水池に導入するものである。  ニ、奥只見より黒又川への分水トンネル奥只見地点と同時に完成せしめるが、分水は原則として信濃川下流土地改良計画が進捗し、且つ黒又川開発計画が進捗する迄行わないものとするが、異常渇水の場合は必要に応じ分水する。」以下省略いたしますが、次の新潟県知事に対して、経済審議庁次長名をもって回示された文書であります。れこは表題は先ほど申しましたように、「只見川及び黒又川電源開発について」という文書でありまして、二十九年五月二十六日付、これは全文を朗読するまでもないと思いますが、「昭和二十九年四月五日付河第六百七十五号で依頼があった標記については下期の通り回示する。」「1黒又川への分水トンネルについて  (イ)只見川地域電源開発計画決定及び公表の経緯については別紙(1)のとおりであるが、奥只見貯水池より黒又川への分水トンネルについては、別紙(2)の只見川地域開発計画に明記のとおり『奥只見地点開発に当っては、黒又川への分水トンネルを同時に施行』し、奥只見地点の『完成期に合せて完成する』ものとし、この総工事費四億円を奥只見地点の総工事費中に含めている。  (ロ)この分水トンネルは、将来黒又川系発電所発電に利用し、併せて信濃川下流灌漑用水確保に資するものであるが、黒又川系の全部の発電所が完成する前であっても異常渇水等により灌漑用水の不足が認められる場合にはこれより分水補給し得るように上記の如く計画されたものである。」こういうふうに書いてあるのです。大体おわかりだと思うのでありますが、そこでお伺いをしたいのは、このように奥只見からの分水奥只見発電と同時に、この分水路が完成しなければならないことに基本計画はきまっておるのです。しかも、その工事については奥只見発電所工事の中に含まれておるわけです。しかるに先ほど御報告がありましたように、奥只見発電所は完成いたしましたが、この基本計画変更前の三十六年六月に分水トンネル工事が休止されております。それがために昨年の秋の渇水時におきましては、信濃川流域二万数千町歩が早魃の被害を受けたのであります。一体基本計画変更されるということはいかなる手続によらなければならないかは、電源開発促進法の第十三条に明記してある。この電源開発調整審議会はいつ正式にこの基本計画変更が行なわれたのでありますか。公益事業局長答弁を願いたい。
  14. 向坂正男

    向坂政府委員 お答えいたします。  黒又川への分水トンネル工事は、計画によって昭和三十五年の八月に工事に着手しましたけれども、一方では黒又川水系からより黒又川の第二地点貯水容量を増大して補給すれば奥只見より黒又川分水しないでも下流信濃川灌漑用水量確保されるというようなことから、そういう考え方も出てきたわけで、分水トンネル工事を廃止したような場合における影響などについても、いろいろ地元の新潟県と電源開発会社との間で協議が行なわれたわけでございます。その間一時分水トンネル工事が休止されたことは事実のようでございます。政府としては、分水トンネル工事がすでに着手されているので慎重に検討を行ない、開発調整審議会で論議されたわけでございます。従来期待していた信濃川下流における灌漑用水量は、黒又川第二地点計画有効貯水量の増量をやれば、黒又川系からの補給だけで一応灌漑用水量確保できるだろうということが見通され、また只見川黒又川全体の電源開発計画における経済効果も、そういった計画変更した方が増大すると判断されたので、昭和三十七年七月の第三十四回の電源開発調整審議会分水トンネル工事計画を廃止する、同時に黒又川第二地点計画もあわせて変更した次第でございます。
  15. 石田宥全

    石田(宥)委員 前段の説明は、私はそんなことを聞いておるのじゃないのです。それはあとでいろいろ具体的に申し上げます。後段の、三十七年七月二十七日に基本計画変更になったが、三十六年の六月に工事を休止して、そうして黒又川発電と同時に完成されなければならない分水工事を休止して、下流に二万数千町歩の早魃の被害を与えたというこの責任は、一体だれが負うべきものなんですか。
  16. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは黒又の計画変更につきましては、ただいま企画庁の方からお答えがありましたように、三十七年七月に調整審議会決定になっておるわけであります。それ以前にトンネル工事をやめたことがこの調整審議会の議を経ないで勝手にやめたのじゃないか、それによって下流の灌漑に支障を来たしたんじゃないか、こういう御質問かと思うわけであります。当時におきましては、黒又の第一からも相当貯水がありまして、灌漑用水につきまして、要望があれば当然やれると思われるわけであります。変更につきましては、もちろん調整審議会の了解を得なければならぬわけでありまして、そういう点につきましては、事前にそういうような手続電発の方で内々に進めておって、官庁の方に相談しなかったという点につきましては、われわれも十分警告をいたしておる次第でございます。ただ、計画変更するつもりで一時工事を停止いたしました。それによって変更手続はその後三十七年に出ているわけであります。
  17. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういう裏話のようなことを私は聞いておるのじゃないのです。電源開発促進法の第十三条に基づいて、基本計画はすみやかに進められなければならない、実施しなければならない、こうなっておるのだが、その法律に基づいてできて、総理大臣を会長とする電源開発調整審議会にかけないで、その前に工事を休止したということの責任はどうなるのか、電源開発促進法第十三条というものを無視してやったのではないか。法律に明記されておるのです。その法律を一体だれが守り、守らせなければならないのですか。経済企画庁ですか、通産省ですか。
  18. 塚本敏夫

    塚本政府委員 実施につきましては通産省監督をいたしておるわけであります。なお、その手続の問題でありますが、これは法律的に申しますと、許可を受けないものを新たに積極的に事業をやる場合におきましては、これはやはり法律趣旨からいって悪いわけでありますが、たまたま変更のつもりで工事を一時中止したということは、特に法律上直ちにこれは法律違反というわけには参らぬ、かように考えております。
  19. 石田宥全

    石田(宥)委員 そうすると、法律を忠実に守らない責任通産省にある、こういうことですか。
  20. 塚本敏夫

    塚本政府委員 実際に仕事をやりますのは電発でありまして、その監督をするのが通産省である、こういうことであります。
  21. 石田宥全

    石田(宥)委員 監督通産省だが、しかし、総理大臣中心とする電源開発調整審議会というものをつんぼさじきに上げておいて、そうして基本計画変更されないのに事業の休止をしたということについて、私はその責任所在を明らかにしなければならないと思うのです。また、法律を無視し、そうして基本計画をじゅうりんして電発工事を休止したというならば、この電発に対して何らかの措置が行なわれなければならないと思うのであるが、それに対してはいかなる措置が講ぜられたのですか。
  22. 塚本敏夫

    塚本政府委員 工事を中止する場合におきまして、それがほかの何らかの悪意があってこれを中止するというのであれば、これはもちろん法律趣旨からいいましても非常に悪いわけでありますが、さらによき計画をつくるために、別の案を進めるために、その案を進める以上は元の計画は一時中止する必要があるという意味合いにおきまして中止したわけでありまして、もちろん事前にそういう点をわれわれの方へ納得のいくように説明があればなおよかったわけでありますが、そういう点につきましては遺憾であるということを警告をいたしておるわけであります。ただ単に工事を中止した、その中止する理由が将来のいい計画のために前の計画を中止したということでありまして、法律上これは重大なる責任というようには考えておりません。
  23. 石田宥全

    石田(宥)委員 電源開発促進法に基づいて電源開発調整審議会ができ、この調整審議会の議を経て定められた基本計画を勝手に変更して——いいか悪いかというようなことは私は別の問題だと思うのだが、しかし、別の問題としても、その結果として二万数千町歩の早魃被害現実に出しておるじゃないですか。一体法律上の責任所在というものは、これは通産省監督がよろしきを得なかったのか、あるいは電発経済上の理由分水をし、黒又第三、第四等を発電することによって発電コストが著しく高くなるので、そこでこれをやめたいということからもろもろの策謀が行なわれたのではないか。私はあとでその点は詳しく触れるつもりでありますけれども、その結果として昨年の秋の早魃被害を生んだということについて、これは大きな問題が一つ残っておるわけです。今までもほかにどういう事例があるか私存じませんけれども、先ほどから私が申しておりますように、わざわざ法律をつくって電発会社六百一億の資本金のうち、六百億は国が出して全く国策として、これは単なる発電だけじゃないのです。地域開発を含むということが法律に明記されておる。その地域開発を含む以上は、これは単なる発電コストだけで左右さるべき問題ではないはずだ。それは電発をして言わしむるならば、発電コストが高くなるのでやりたくないということでいろいろな謀略が行なわれておる。一体新潟県で昭和二十二年から昭和二十七年までの間、これは県民あげての大運動で、新潟県と福島県が七年間も争って、週刊雑誌などにまで只見川問題でなく只飲川問題だといって、福島県と新潟県で当時の金で二億円以上も料理屋で飲んだり食ったりやったということは、もう国民の周知の事実なんです。そして七年も八年も争って、只飲川だといわれるような異名までとって、ようやく片づいた問題を成規手続を経ないで勝手に変更するというようなことは、私は許さるべきでないと考える。この問題はいずれ別の機会に大臣出席を求めて、私はこの点を明らかにしなければならないと思う。もし法律が現状に即しないというならば、立法府において法律の改正をいたします。その事業が適切でないというならば、すみやかに調整審議会の議を経て基本計画変更されなければならないのです。基本計画変更されて後初めて工事打ち切りなり変更が行なわるべきものであって、基本計画変更が行なわれない一年も前に工事が休止されるというようなことを通産省が黙認したというならば、通産大臣責任は断じて許さるべきものでない。私はかような見地からこの問題について皆さんの注意を喚起し、公益事業局長に今ここで法律上の問題や権限の問題をこれ以上追及しても仕方がないので、これは留保しておきまして、通産大臣出席を求めてその責任を明らかにいたしたいと思います。  次に、これは信濃川用水関係でありますが、農林省から見えておられますので、信濃川奥只見先ほどから申し上げておるような発電並びに地域計画を含む基本計画策定当時の灌漑用水計画、それから昨年七月基本計画変更後における灌漑用水計画、これを合わせて一つ説明を願いたい。
  24. 小林国司

    小林説明員 電源開発の当初の案のとき、小千谷地点から下流灌漑用水に必要な水量は百三十七トンという計算に相なっております。この百三十七トンという水量は、取水施設が老朽化したり、あるいは流心が変化したり、あるいはまた河床が低下したり、そういった取水が困難な状態でなく、正常に取り入れるという計算に基づきまして、現在国営、県営あるいは団体営等事業をやっており、さらにはまた従来から取水しておる五万数千町歩灌漑地域の必要な水量を正常な姿で計算いたしますと、百三十七トンあれば間に合う、こういう計算に相なっております。そこで当初の案によりますと、只見川の方から年間七千三百万トンの水を供給するという計画に相なっておりますが、そのうちで灌漑用水に必要なのは七月、八月でございまして、その二カ月間には七千三百万トンのうち二千六百万トンの供給が可能である、こういう計画に相なっておったようでございます。次に計画変更が行なわれまして、只見川の方から分水をするという計画が中止されたのでございますが、その場合に黒又川の第二発電所貯水量を一千万トンから五千万トンに増量するというふうに計画が改定されておりますが、そうなりますと、やはり七月、八月には当初計画の二千六百万トンの供給はこの黒又第二発電所ダムから可能であるという計算が出で参っております。従いまして、計画前と変更後と比較してみまして、水量の点では、この計画が実現いたしました暁には水量的にはマイナスにならないという計算に相なるわけでございまして、計画後の状態におきましても、小千谷から下流農業用水必要水量というものはやはり百三十七トンあれば間に合うという計算に相なったわけでございます。
  25. 石田宥全

    石田(宥)委員 黒又第二の堰堤かさ上げによる貯水量の増加、一千万トンが五千万トンになるということの問題でありますが、私は実は昨年現地を視察いたしまして、奥只見からの分水があれば別であるけれども、そうでない限りこれは不可能ではないかと実は考えて見て参ったのでありますが、当時黒又第二の堰堤を構築しておる現場では、渇水時でもありましたけれども、わずかに四、五トンの水しか流れておらないのです。四トン程度しか流れておらないのです。同時に堰堤かさ上げをすることによって貯水量を増すという話は私も承っておるけれども、現実には堰堤かさ上げは不可能であると承っておるのであります。なるほど有効貯水量はこれは機械の操作の関係で、従来と変わった機械をお用いになるから有効貯水量を増すことは私も納得ができるのでありますけれども、堰堤かさ上げによる貯水量の増というものは、これは行なわれないように承って参ったのでありますが、どうですか。これは参考人の方から……。
  26. 伊藤令二

    伊藤参考人 ただいまの黒又第二のダム計画でございますが、これはもとの計画の当時はまだダムの技術的ないろいろな問題もございまして、あまり高くできないというのでああいう計画であったのでありますが、その後、特にアーチ・ダムの技術の非常な進歩に伴いまして、技術的に種々検討いたしました結果、ダムの高さを高くして貯水量を増すことが可能になりまして、その結果現在のような五千万トンの計画にいたした次第であります。
  27. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうもわからないのですが、現場を私も見たのですが、堰堤の取りつけの山の状態から見て堰堤かさ上げ不可能だということですね。だから、それは変わった機械を用いれば有効貯水量は高められるけれども、全体の貯水量が多くなるということはどうも不可能だというふうに私は現場で説明も聞き、私もそのように受け取って参ったのです。その点、一千万トンを五千万トンに貯水量をふやすということには、単に別な機械を入れたというようなことだけで行なわれるとは考えられないのでありますが、この点はなるほどダムの底掘りを深くするということも一つの方法でしょうけれども、具体的にはどういう操作によって堰堤かさ上げをしないで一千万トンが五千万トンにふえるのですか。
  28. 伊藤令二

    伊藤参考人 ただいまの御質問でありますが、最初計画の一千万トンの有効貯水量のときのダムにつきまして計画いたしましても、発電機の機械の利用水深をよけいとれるような計画になりました結果、三千七百万トンまでは利用水深を大きくすることによって可能である。それによってさらにダムを高くいたしまして有効貯水量を五千万トンというようにいたした次第であります。  なお先ほどの御質問の中で、渇水期になると流量が非常に少なくて、水が足りなくならないかという御質問でありますが、御承知の通りあそこは非常な豪雪地帯でございまして、冬の間に降りました雪解けの水によって春先までに満水にしておきまして、それを夏の灌漑時期等の必要な時期に徐々に発電して下流に流す、こういう計画になっております。
  29. 石田宥全

    石田(宥)委員 この点は、実は新潟県議会の記録にもございまして、非常にあいまいな点が多いのでありますが、時間の関係もありますからあとでだれか私のところへ説明に来ていただいて、またこの次どうせやらなければならない問題ですけれども、納得のいくような説明を求めたいと思います。  農林省の小林部長さんに伺いたいのでありまするが、相当大きな面積に今土地改良事業が行なわれております。中には暗渠排水事業等もございますし、土地改良が進めば進むほど灌漑の用水の量が膨大なものを必要とするようになるのでありますが、この計画変更に伴って水量が多く必要とすると同時に、畑地灌漑や乾田計画に非常な疑問が持たれ始めておるのでありますが、農林省はやはりこの小千谷地点で、百三十七トンという必要水量確保できるというお見込みで従来の計画をお進めになる御方針なのかどうか承っておきたいと思います。
  30. 小林国司

    小林説明員 信濃川沿岸の耕地五万四千町歩ございますが、この地帯は常襲早魃地帯でございまして、ほとんど毎年のように水の足らない時期がございます。特に四年に一回ぐらいずつ早魃がきておる。昨年三十七年は十年来で一番被害の多かった年でございました。大体現在の河川の流況からみまして、小千谷地点灌漑用水百三十七トンと、そのほかに舟運の便に供するための河川の利用水等が七十トン必要であるようであります。合わせて二百七トンの水が小千谷地点で必要とされております。この必要な二百七トンの水量に対しまして、現在の河川の流況からみまして水はとうてい足りません。そこで今回電発の方の変更計画によりまして、黒又川の第二発電所貯水容量を五千万トンにふやされて、その事業が完成いたしましてもなおかっ水は足らないわけでございます。電発計画変更による事業が完成いたしました暁でも、大体不足に対しまして三割から四割の間ぐらい不足量が補われるわけでございますが、残りの六〇%以上は依然として水が足らない、こういう状態でございます。特に先ほど先生のお話のように、今後農業の近代化及び乾田化事業、畑地灌漑等が進むにつれまして水の不足量はもっとふえて参るわけでございます。現在私どもの方で推定いたします不足水量のトータルは、大体一億五千万トン程度の水が将来不足するであろうという推定が計算上出て参るわけでございますけれども、何分にも詳細な調査をまだ完成しておりませんので、正確なところは申し上げられませんが、推計では一億五千万トン程度の水が将来不足することになるであろうという計算結果が出て参っております。これに対しまして、御承知の通り三十八年度から水系開発基本調査というのを信濃川に実施することになりまして、ことしから何カ年かかるかわかりませんが、相当な費用を投じまして、この水の将来の不足をどう解決するかという調査研究をことしから着手いたしたい、こう考えております。
  31. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは大へんな問題でありまして、灌漑用水が非常に多量に必要となるし、上水道の計画中のものが相当数ございますし、また工業用水も漸次量を多く必要とする状態になって参りますが、さてこういう状態の中で、農林省は経済企画庁から基本計画変更について協議を受けられたはずであります。それに対して黒又第二の貯水量の増などで、はたして将来の信濃川流域における灌漑用水中心とする上水道並びに工業用水確保が可能であるという具体的な認識を持たれてこれに同意されたのであるかどうか、私ははなはだ疑問にたえないのでありますが、どの程度その具体的な点について検討を加えられましたか承りたい。
  32. 小林国司

    小林説明員 変更計画が審議会にかかりますときに各省に協議があるわけですが、そのとき農林省の判断といたしましては、従来の当初案よりも黒又川の第二発電所ダムを五千万トンに増量する計画の方が、灌漑用水供給できる水の量が比率にいたしまして約一〇%程度ふえるであろう、こういう推定計算ができ上がりましたために、農林省としてはこれに同意いたしたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この変更計画が実現いたしましても、なおかつ水の足らなしという問題は解消されませんので、これは別個に何らかの方法を講ぜざるを得ない、こういうふうな判断に立っておるわけであります。
  33. 石田宥全

    石田(宥)委員 小林さん、奥只見のあんな大きな貯水量七億トンですか、そういう大きな貯水池から二・四五メートルというトンネルで、そこから分水をしてきてまかなうという計画なんだが、それを持ってこなくともあの小さな沢や第二地点などで、しかも堰堤かさ上げもできないようなところで比較検討した場合、これはどんな高度の技術的な、科学的な見地から見られても、われわれしろうとから見ても、そう変わらないと思うのですが、二・四五メートルのトンネルから水をもらった方がどれくらい確実で、どれくらいそれは手っとり早いものであるかおわかりになりませんか。この変更というものについては、農林省はもっと慎重に総合的な検討の上にこれに承認を与えるかどうかということの態度の決定が願わしかったのであります。しかし、もうトンネルは三分の一も工事ができ上がっておるのでありますから、すでにふさいではありますけれども、トンネルはできておるのでありますから、場合によっては私はこれを完成せしめるというように当初の基本計画を貫徹することも不可能ではないと思うのですが、私はここで農林省はいささか軽率のそしりを免れないということを指摘しておきたい。  それから次に、建設省の河川局長に伺いますが、実はあとでいろいろ申し上げますけれども、今度の問題は新潟県が非常なこれは不始末をやったのです。あとで申し上げますけれども、そこで分水中止に伴いまして、県の農地部長は、県議会でこういうことを言っておるのです。「政府案決定当時(昭和二十八年)に不足する水量として計算されたのは年間四千三百万トンであった。これは六万ヘクタールの農地かんがい用に百三十三トン(かんがい還元水との差し引き)工業用水分三トン、舟運水流七十一トン(以上いずれも毎秒の流量)を積算したものである。一方現在の同流域かんがい所要量は百五十五トンで、二十八年の計画策定量と大差ないことがわかった。そこで分水を中止した場合、黒又ダムからの補給放水をどのていど見込めばよいか。だが、過去の資料からみて異常渇水期は年三十日以内とみてよいので、三十日間、毎秒最大十トンとして二千六百万トンていど補給放水を受け、さらに関屋分水計画によるこう門閉止、かんがい還元水などでも水量確保されるので、全体の不足量はカバーできると考えている。」という答弁をしている。  そこで、河川局長さん、関屋分水調査計画工事見通しを承りたいし、同時に今ここで読み上げたように、農地部長が分水で閘門をとめてそこから閘門閉止で灌漑還元水を用いるということを考えておる、とこう言うのですが、関屋分水信濃川分水した下流で閘門を閉止して、そこからポンプ・アップで三条、長岡まで持っていって灌漑用水に用いるなどということが、計画設計の中で考慮されておるかどうかお聞かせを願いたいと思う。
  34. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 関屋分水路計画の点でございますが、非常に地元の方々の御熱望によりまして、建設省といたしましても調査を進めております。その大体の計画は、新潟市の繁華街と言いますか、それの上流におきまして分水路を新しくつくって海へ洪水を放流する。それ以下の川につきましては、旧川の方でございますが、土地造成等というような利用の開発、それからさらに河口を港に使っておりますが、その港を閉鎖しないように、こういうような総合的な計画になっておるわけでございます。その場合に、分水路の方にもやはりせきをつくります。それからなお、旧川の方の入口にも閘門をつくります。そういたしますと、あるときにはやはり上流から流れてくる水は、そこで一時貯留はされる、こういうことには相なるわけでございますが、それを農業用水に使えるかどうか、こういう点についてはまだ調査はいたしておりません。農林省の方ともよくお話し合って、調査を進めたいと思っておりますが、現在のところ、その点はやっておりません。
  35. 石田宥全

    石田(宥)委員 まだ調査もされておらないということでありますが、しかし、県の責任者がそれを考えておるということでありますが、そういうことをもあわせて調査をするというようなことになっておりますか、どうですか。私ども聞いておるところでは、地建の方では全然それは考慮の中にはないといわれておるようでありますが、どうなんですか。
  36. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 現在のところ、その点は調査内容に入っておりません。
  37. 石田宥全

    石田(宥)委員 次にこれはやはり水量のことでありますが、国鉄の小千谷−千手の間で第三発電所ができて、  また第四発電所が今着工されそうな状態でありますが、あの付近の地形や土質の関係で、これがやはり信濃川下流水量影響するのではないかと実は心配されるのでありますが、これは河川局あたりではどういうふうにお考えになりますか。
  38. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 河川にいろいろな構造物をつくりますと、下流並びに上流影響があることは、大ていの場合影響があると思います。といって、そういうような重要な発電所とかあるいはいろいろな灌漑用水のせきをつくらないというのは、かえって従来の河川の利用の立場からいきまして悪い結果になる、こういうことでございますので、そういう構造物はできるだけつくっていただくようにいたしますが、その下流の既得権益は絶対侵さないように、発電ダムの操作とかいうような点に十分注意をいたしまして、河川の開発に努めたい、こういうふうな考えでおります。
  39. 石田宥全

    石田(宥)委員 小林さん、この点もやはり小千谷−千手間の発電所はやはりどうも影響するのではないかという見方が強いようでありますから、今後の信濃川用水計画については、十分これも一つ御配慮を願いたい、これは要望を申し上げておきます。  それから次に、これもやはり県の農地部長が言っておることでありますけれども、信濃川は千曲川の発電ダムが完成すると逆調整をして、信濃川渇水は緩和されることになるから、分水してもいいのではないか、こういうことを言っておるのですが、通産省計画局長さんに伺いますが、千曲川のダム工事の進み工合はどの程度であるか。それから先般新聞に報道されたところによりますと、千曲川のダムから東京の上水道に水を引くという計画が進められておるといわれておりますが、これらの点をお伺いいたしたいと思います。
  40. 塚本敏夫

    塚本政府委員 そういう案も一部では考えられておりますが、まだ調査いたしておりません。
  41. 石田宥全

    石田(宥)委員 それではこの点はまだ調査になっておらないということでありますが、問題は、これからそれに入るわけでございますけれども、県の重大な責任ある立場の人が、いまだ調査もされておらないところの千曲川のダムの完成と同時に、逆調整で信濃川渇水が緩和されるとか、あるいは関屋分水ができれば、そこから灌漑用水を用いるとかいうような無責任な発言をしておることが新潟県議会を惑わせ、新潟県民を惑わせておるのであります。そこでこの問題を取り上げなければならない問題になったのでありますが、次にそれとの関連でお伺いしたいのは、先にもちょっと出たわけでありますけれども、基本計画変更しなかった場合に、電発工事費の負担がどれくらい多く必要とされるのか、また発電コスト基本計画通りにいった場合と、これを変更した場合とではどの程度の相違があるのかをそれぞれの立場から御答弁を願います。
  42. 藤関信彦

    藤関参考人 お答え申し上げます。  基本計画通りに分水路を掘りますと、これの工事費は当時の見込みでございますが、約三億二千万円見込まれてございます。これが途中まで工事をいたしましたので、約一億六千万円ほどの出資をいたしておりますが、その差額だけは工事をやめたことによって節減できておるわけでございます。  なお電力の問題でございますが、分水をしないで、只見川本流系で全部の水を使いますといたしました場合の発電電力量は、奥只見、大鳥、田子倉、滝、この四つの電発の分だけを考えてみますと、約十五億七千キロワット・アワーになります。それから一方、黒又川筋は黒又第一、それから先ほどちょっと申し落としましたが、末沢という発電所がございます。これと現在やっております第二発電所ができますと、黒又川系は全部で三億五千万程度の電気が出ることになります。ところがこれを分水を行ないますと、只見川系の四地点で約四千三百万キロワット・アワーの電気が減ります。しかし一方、黒又川の第一、第二の方では二千八百万ほどふえます。差し引きますと千何百万キロワット・アワーになるわけでありますが、このほかに東北電力只見川系発電所が十一カ地点ございます。これらの発電所分水を行なった場合に減る電気は、約二千七百万キロワット・アワー減ります。従いまして、電気の量だけで申し上げても分水しない方がたくさんの電気が出るということが一つと、いま一つは御承知のように只見川筋は大きな貯水池を持ったり、あるいは大きな調整池を持った発電所がずらっと並んでおりますので、ここで水をうまく使いますと、いわゆるピーク用の電力が非常にうまく発電できる、只見川筋は全部で百六十万キロくらいの発電所があるわけでありますが、これがじゅずつなぎにつながっております。そこでこうように使う場合と——黒又川筋で使いますと、全部で十万キロくらいの発電所しかないわけでございますら、水の使い方、しかも大きな貯水池がございませんので、電気としましては質的に非常に差があるこういうことでございます。  なおこれが電力の収入面から見て、電発の分だけで考えましても、先ほど申しました東北電力の方は減る分は一応たな上げしまして、電発分だけを考えましても、只見川系ではもし分水を行なうとしますと二億円くらいの減収になります。一方黒又川系では、分水を行ないますと、それだけ電気がふえるわけですから、一億円ほどの増収になるわけであります。差し引きしますと一億円は得である、これは電発のふところ勘定だけを申し上げたのでありますが、東北電力の勘定もいたしますと、計算の仕方によっていろいろい違ますが、全部で数億円くらいの利益があるんじゃなかろうか、かような試算が出ます。
  43. 石田宥全

    石田(宥)委員 分水をやる場合、これは三億二千万とおっしゃったけれども、これは昭和二十七、八年ごろの話でありますから、単価はもう全然違ってくると思うのです。そこで、これは私の方から伺いますけれども、大体今度の計画変更電発さんでは十九億ぐらい金が浮くのではないかと伝えられておる。新潟県会で言われておるようであります。  それからキロ当たりの発電コスト一つ伺いたいのでありますが、どうでしょう。
  44. 藤関信彦

    藤関参考人 十九億とおっしゃったのは、おそらく第四発電所工事予定しておったけれども、やらないというものが含まっているのではないかと思います。従って、分水工事を途中でやめたために一億何千万今後使うであろうものが使わなくなったということと、第四発電所の十七億というものを合わせて十九億とおっしゃっているのじゃないかと思いますが、根拠ははっきりいたしません。  それからキロワット・アワー当たりの発電コストは、只見川本流系発電コストは今五円十何銭ですが、これが先ほど申しましたように四千万電気が減りますので、十五億のうち四千万減りますので、約三%ぐらい高くなるという勘定になります。逆に黒又川系分水分だけふえますから安くなりますが、量的に申しまして只見川の電気の方が非常に量が多いものですから、只見川の方に使った方が非常に有利になるという勘定になるわけであります。
  45. 石田宥全

    石田(宥)委員 先ほど答弁ではどうも全くピントがはずれておるのですね。三十年前の計画の金額などをお話しになったり、それからすでにやったトンネル工事の一億六千万というようなのは、これは一昨年ごろの時点でしょう。そういう点は貨幣価値がずっと変わっておりますからやむを得ないと思うのですけれども。それから黒四を入れて十九億ぐらいになるだだろというお話、これは私は基本計画変更によって電発さんの方で浮く金がどうかということを言っておるのだから、やはり黒四を入れての計算を私は聞いておると思う。そうするとやはり十九億ぐらいになるのですか。
  46. 藤関信彦

    藤関参考人 黒又川第四の工事費は今おっしゃったように非常に古い時代につくられた工事費でございますので、現在実際やるといたしました場合に幾らになるということはちょっとわかりかねます。それから先ほど分水路工事費三億二千万円と申しましたのは、三十年前とおっしゃいましたが、何かお聞き違いじゃないかと思います。これは当時の事業計画には三億一千九百万となっておりまして、実施段階ではそれがもう少しかかるかもしれぬということになっておりますが、そう現実離れした数字ではございません。事業計画に明記してある数字でございます。
  47. 石田宥全

    石田(宥)委員 まあそれはいいでしょう。  そこで今度は次の問題に入りますが、新潟県と福島県が七、八年も争ってようやく片づいたのだからということでございましょうが、電発さんから新潟県並びに福島県に数回にわたって協力費というような名目で金が出されておりますね。これは何回ぐらいお出しになって、金額はどれくらいでございますか。
  48. 藤関信彦

    藤関参考人 今の先生の御質問は、昨年支払った金とは別の以前のことでございますか。以前の分につきましては、公共補償といたしまして奥只見発電所関係では約六億六千万円、それから黒又川第一発電所関係では一億二千五百万円、これは内容を申し上げますと、村道のつけかえ、これは奥只見の場合は二つございます。それから県道の改良舗装負担金、それから湯之谷村の林道のつけかえ補償分、こういうものでございましていずれも公共補償でございます。それから黒又川の場合もやはり村道のつけかえが二件、それから県道の補修負担分が一件、その他を合わせまして一億二千万で、いずれも公共補償でございます。
  49. 石田宥全

    石田(宥)委員 公共補償でないところのものが出ておるわけでありますが、これはどういう費目で何回でどれくらいの金額ですか。
  50. 藤関信彦

    藤関参考人 私、今おっしゃったようなものがあるかないかよく存じないのです。もしそういうことがあるとおっしゃるならば調査をいたしますが、私の知っております範囲ではそういうものは存じません。
  51. 石田宥全

    石田(宥)委員 公益事業局長でも経済企画庁計画局長でもいいですが、おわかりになっておる分だけでけっこうですから一つ御報告を願いたい。
  52. 塚本敏夫

    塚本政府委員 黒又川に関しましては今話がありました公共補償としまして二億三千万円程度、これが地元に行っておると聞いております。そのほかに県の方に五千五百万円が行っておる、こういうように聞いております。
  53. 石田宥全

    石田(宥)委員 皆さん大体おわかりなんじゃないですか。もうずっと何年か前からのことですから、わかっておるはずなんですがね。ごく最近では、たとえば新潟のガン・センターに対して協力費で一千万円を二回にわたって支払っておる。福島県に対しては農業試験場に対してやはり一千万円を二回にわたって支払っておる。これは当初新潟県にだけ一千万円を支払うということになったのでありますが、新潟に払うならば福島にもくれと言われて、それじゃ同額にということで一千万円を二回にわたって渡しておる。その前にずっとあるはずなんです。聞いておるのですけれども実は私はあまり具体的でないから皆さんの方からお聞きしようと思ったのでありますが、あと一つ記録をお調べになって御報告を願いたい。  そこで次に移ります。そういうことですから、その問題はもう少しほんとうは掘り下げてみたいと思ったのですけれども、その点は抜きにいたしまして、昭和三十六年の暮れに一部は支払われて、三十七年に入ってまた支払われまして、これは入広瀬村ほか四カ町村に二億三千万円、それから新潟県に対して五千五百万円が支払われておるのでありますが、この金はいわゆる協力費ということになっておるのでありますが、はたして協力費と申しましても完全にこれは公共補償その他と違うわけでありまして、どういう性格で支払われたのでありますか、お伺いしたいと思います。
  54. 檜垣順造

    檜垣参考人 ただいまの金額のうちで一億七千五百万円を、今おっしゃいました各村関係地域開発協力費と申しておりますが、これは公共補償として払いました。それから五千五百万円は湯之谷村に払いましたのは、これは固定資産税の免除の見返りとして払いました。あとの五千五百万円が今回の分水廃止に伴う協力費として一応県に払いましたが、契約では県及び県の指定するものに払うということで県に渡しました。
  55. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、それぞれどうも性格が違うようでありますが、湯之谷村に対しては固定資産税免除の見返りだということで、小出町の場合は一千五百万円でありますけれども、会社の方から指示を受けて、その内訳はなかなか複雑なようでありまして、小出町議会がこれは紛糾をいたしておったのでありますが、内訳については商工会に九百万円、また九百万円のうち運営資金として百万円、流雪溝の建設で百万円、貸し倒れ充当分六百十八万三千九百五十円というのがあるのですね。そういたしますと、この協力費というものは町村ごとで性質が違うのですね。そう理解してよろしいですね。
  56. 檜垣順造

    檜垣参考人 総額三億数千万円の協力費の申し入れがございましたが、その中にはわれわれが公共補償と認め得るもの、しからざるもの等がございましたが、それを交渉の結果総額二億八千五百万にまとめまして、その内訳に関しましてはこちらは全然タッチしないということでお渡ししました。
  57. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、全くこれは幽霊のようなものになってしまうのですね。県議会の論議の中では実にこれはあいまいなもので、どういう性質のものだかわからなくなっているんですよ。そうするとあなたの方では別に指示したわけではないんで、市町村ごとにそれぞれ事情があって、その事情のある町村に対して別の性質の金を支払われたということなんですか。
  58. 檜垣順造

    檜垣参考人 いろいろの性質のものを県でまとめられまして、一本として協力費という名目で私の方にこの際払ってくれということで要求があったわけであります。その中の大部分をなすものは公共補償費であります。というのは、第二の建設に際しましても地元関係で数項目の公共補償の要求がございましたが、当社で開発を急ぎまして、地元も協力をしてくれて、一応公共補償の論議はあとにするということで協力体制が得られまして、今回の話が問題になりましたときに、単に第四、二のみならず、今後黒又水系に関する電源開発の一切に関する公共補償をこの際解決したい。で関係町村から、すなわち一切と申しますのは、将来第三のものも含めての意味と私たちは解しておりますが、そういうことで御要求が出ました。その中で、われわれとしてはとても応ぜられないというようなものは削っていきまして、金額的に交渉しました結果、総額で二千八百五十万というものをきめたわけです。
  59. 石田宥全

    石田(宥)委員 新潟県議会の論議の中では、これは一つ注目しなければならない問題でありますが、結論から言うと、分水中止とは関係がない金だ、こうほとんど統一した解釈が行なわれております。これは三十七年三月十五日の委員会でありますが、ある委員が、「この補償金は分水中止による見返り金なのか。要求額は県が立案したのか。」こういう質問をしたのに対して、当時の委員長は、「分水中止と補償金とは別個の性格のものである。黒又流域五町村で開発に要する額をまとめたところ三億五千万円となった。これを三億円でまとめ、総務部長を同道して電発に提出した。」こう言っておるのです。また委員の「副知事は事務的なことは総務部長に任せたといっている。どういう立場で動いたのか。」という質問に対して、総務部長は、「発電所建設の補償には直接的なものと地元発展の協力費的なものとあると思う。三億円は五町村が直接要求していたものだ。補償金をもらいにいったおぼえは全くない。委員長電発へ出向いたのは特別委が分水中止を決議したことを報告するためだ。そして最終的に妥結額が決まり、県分をふくめて配分も決まったものをみせられて、こうなったから立ち合ってくれということでタッチしたにすぎない。だれが交渉し、まとめたかは私の口からはいえない。要求の根拠になった資料も県のものでない。」こう言っている。よく聞いておいて下さいよ。今度は別の委員が、「補償対象を五町村だけに限ったのはどういうわけか。また配分の基準はどうか。」こういう質問に対して、総務部長は、「直接は全く知らない。ただ推測されることは、補償金は分水中止に対して出したのか、また分水中止につづいて着工しなければならぬ黒又第二ダムの建設補償として出したのかを考えると後者ではないか。とするとあの五町村に限ったことが妥当かもしれない。」という答弁をしておる。これは分水中止に対する補償ではない。こう言っておるのであります。  それからまた別の議会で、これは日が違って参りますが、昨年の三月三十日の特別委員会では、一人の委員が、只見分水中止に伴う補償について、「県分の五千五百万円が歳入に計上されていないのはおかしい。」と追及した。これに対し吉浦総務部長は、「問題が起きているのでまだ受け取っていない。受け取ればこれは県政協力費なので雑収入の自然増として扱い、決算認定を受けたい。」こう言っておるのです。分水中止に伴う補償であるというようなことは一言も言っておりません。そういうことになると、県の言うことと電発のおっしゃることとは大きな食い違いが生ずるわけです。  そこで伺いたいのでありますが、実は新潟県といたしましては、当時県知事は病気休養中でありまして、副知事が知事代理をいたしておりました。電発の方に行ったのは当時の総務部長でありまして、今副知事をしておる吉浦君であります。その吉浦が知事代理の副知事の代理として行ったが、ただ立ち会っただけだ、こういうのですね。そこで、さっきここでちょっと申し上げた中で、県の特別委員会のこともちょっと出しておりましたけれども、実は県の特別委員会というものは、これは昭和二十八年九月に県議会で設置されましたが、主として渉外活動を行なうということになって、議決権はないということが確認されておるのです。意思決定を行なうような場合には、他の常任委員会が行なって、特別委員会において意思のある場合には、常任委員会に申し入れてそこで議決をするということになっておるのであります。そういう中でこの交渉が進められたのでありますが、私はこれを明らかにするためには、県の当局者をここに呼んで明らかにしなければならないと思うのでありますが、これは後日に譲るといたしまして、この電発と県当局の交渉は、いつ、どこで、だれとだれが話をしてまとめたのか、これを一つ承りたいと思います。こまかなことがわからなければ、概要だけをここで承って、具体的なことは、会社にメモがございましょうから、いつ、どこで、だれとだれが会って話をしたかということは、一つメモで出していただきたい。  この問題は、現在の田中大蔵大臣が、当時自民党の政調会長としてこれに関与したことは明らかでありまして、先ほどお話がありましたように、黒四までも廃止するという変更に伴って、少なくとも十九億程度余計な金を使わなくてもよいということになれば、ここにかなりの策謀の余地があることは、だれしもわかることです。そうしてその間にきわめてあいまいな不純な動きがたくさん見受けられるのでありまして、この決定にあたっては、新潟一流の料亭である行形亭で宴会を開きましたが、その際には折箱の中に金券を忍ばせたなどということで、実は県内で大問題となって、警察部から手入れが行なわれたのであります。手入れが行なわれましたが、しかし、これも何か政治的な圧力によって警察部の動きはやんだようであります。私はそういう問題をそのままくさいものにふたをするような措置は許されないと思う。いやしくも国が大部分出資をして、国の財政投融資によってまかなわれておる電源開発株式会社の運営というものはガラス張りでなければならない、県民が納得するようなものでなければならない、国民が納得のできるものでなければならないと考える。ここでわかる範囲でけっこうでありますから、だれがその衝に当たったか、そうして田中総務会長はどういう資格でどこでだれとどういう話をしてこういう問題の処理を行なわれたのか、一つわかるだけお伺いをしたい。
  60. 檜垣順造

    檜垣参考人 先生の御質問の前段の点でございますが、この分水廃止に伴う補償というような言葉がございましたが、私どもそういうつもりはございません。補償と申しますのは、第二発電所建設に伴って、それから将来行なう第三発電所の、これも村が続いておりますし、発電所上流なので、この際一挙に解決するということでその発電所建設補償というのが一億七千五百万円、いろいろな御要求が出ましてそれを分析しますと、こういうものはそういうことで解決し得るというものが一億七千五百万円あった、こういうわけでございます。  それから湯之谷村、これは黒又関係関係ありません。ちょうど私どもが関係町村としてあれしましたのは、ごく一部分が区域としてかかります関係と、それからあそこのトンネルその他に関しまして——これは湯之谷村に属しますが、奥只見に通ずる道路でございますが、これの固定資産税の見返り分、こういう意味でございます。  それからあとの分でございますが、最初に県からお見え下さいましたのは県執行部を代表という形で当時の吉浦総務部長だったと記憶しております。同行されましたのが只見川特別委員会委員長をしておりました雲尾議員だと記憶しております。あと電発本社及び新潟県にそれぞれ相互に行き来して話を煮詰めましたが、途中で県知事の選挙等ございまして、その間はブランクでございます。この間は一切の交渉はやっておりません。済みました後におきまして交渉妥結しまして、覚書は私ども当時の新潟県の執行部の代表である新潟県知事職務代理者としての副知事としております。それに基づきまして、私どもは金額の分配も県及び県の指示する者に払う、こういうことにしたわけであります。
  61. 石田宥全

    石田(宥)委員 概要だけ承ったのでありますが、県議会の記録ではちょっと変わった表現が行なわれております。ことに昨年の三十七年九月二十五日の県議会の総務文教委員会でさらにこの問題が問題になっておりまして、委員の中から「この金がことしの九月になってようやく土木部雑費に繰り入れられた、要求の裏付けがなく、電発のいうだけの額を県はもらっている」ということを発言しておりますが、それに対して吉浦副知事は、土木部雑費にいれたのは水利権にかんする補償費や、河川の使用料だからで、歳入が遅れたのは六月県会まで分水計画の中止自体が県議会に認めてもらえなかったからだ、この金はいちおう補償金ということになっているが、性質は金一封的なもので、水没家屋のような純補償的なものは別なので、県としては要求しなかった、」と答えております。また委員は、「このような性質の明らかでない金をもらうことは納得できん、電発ともういっぺん話し合って、正当な金額を要求しなおすべきだ」と迫ったのでありますが、これに対して副知事は、「すでに電発と正式文書に調印したものを破棄するわけにはいかない、こんご別なかたちで要求したいものもある、」と答えておるのであります。県に払った分は、そうするとまた性質が違うことになろうかと思いますが、県分の五千五百万円はどういうふうに御理解になっておりますか。
  62. 檜垣順造

    檜垣参考人 県に払いましたのは、審議会の決定も済みました去年の九月五日に初めて県に払いました五千五百万円、これだけが今回の分水中止に伴う県の協力費として払いました。
  63. 石田宥全

    石田(宥)委員 まあほぼその点わかりました。  そこで問題はもとに戻りまして、基本計画電源開発調整審議会の議を経ずに変更し、そして二万数千町歩も早魃被害を与えており、また今後開田計画を中止しなければならないものもあるでしょうし、畑灌ができない地域もできてくるでしょうし、いろいろな方面に支障を来たすことは明瞭であります。今まで支払われたものが分水計画廃止に伴う補償金でないということは、今までの御答弁でよくわかりましたが、電発さんは計画通りに進めれば十九億もこれよりよけい使わなければならないものを、計画変更されたのであるから、当然下流に及ぼす影響、すなわち灌漑用水、上水道、工業用水等に及ぼす悪影響について当然何らかの補償措置をされる責任があると考えますが、いかがでしょうか。これは電発さんでもよろしいし、あるいは公益事業局長の方でもよろしいのでありますが、これを一つはっきりしていただきたい。
  64. 藤関信彦

    藤関参考人 最初基本計画があるのに、その工事を途中で中止したという点でございますが、この点につきましては、私どもは、基本計画電源開発調整審議会において正式にきめていただいてからほんとうの意味の中止をするのだという態度でございます。しかし、その途中において工事を中止したことは事実でございますが、これは将来電源開発調整審議会において基本計画変更していただいた場合に、工事を続けておりますと、基本計画変更になった場合には無効投資をすることになりますので、国の金をお借りしております私どもといたしましては、少しでも国費をむだに使わないようにという考慮から、基本計画変更を願う前に中止をしたわけであります。しかし、ほんとうの意味の中止というのは、基本計画が変わらなければ中止できませんので、その間関係各方面に対して基本計画を変えていただくべく努力をいたしておったわけであります。その点が一つ。  それからもう一つ、十九億使わなくてもいいじゃないかというお説でありますが、これは十九億という数字を私納得いたしておりませんけれども、第四をつくって十九億金がかりにかかるといたしましても、これは事業として一応何とかなっていくという意味の投資でありまして、十九億むだに捨ててしまう金ではございません。従いまして、その事業をやらなかったから何か代償が要るというふうには私どもは考えておりません。  なお下流に対する問題でありますが、いろいろ県と交渉いたしまして二千六百万トン、これを最大日平均で申しますと十五トンでありますが、これだけの水を必要な場合には補給いたします。その補給するもとは黒又第一並びに先ほど来お話のありました貯水容量をふやした第二のダムを使いまして、二千六百万トンの補給は必要に応じていたしましょうというお約束をいたします。県の方でも御了承をいただいたわけでございます。
  65. 石田宥全

    石田(宥)委員 第一段の国費をむだにしないという精神、それはまことにもっともしごくでありますが、電源開発促進法という法律は、電発経済的な発電事業をやるということだけでできたものではありません。法律一つよく読んで下さい。地域開発を含むと基本計画に入っておって、これは当然最初から建前が違っておるわけです。電源開発促進法第十三条によりますと、営利会社経済的に成り立つようなもので営利会社がやることができないということは何を意味するのですか。要するに地域開発というものをも含んで、必ずしも経済的でない場合といえどもこれはやるということが法律の明文にあるじゃないですか。だから、ほかの営利会社と違うのです、これは、しかし、その心がまえもいいでしょう。いいでしょうが、下流に対する補償に二つあるわけですよ。その一つは前段申し上げたように奥只見発電と同時に完成されなければならない分水計画を休止したことによって及ぼすところの昨年の被害、これが一つ。今後下流の水はまかなえるとおっしゃるけれども、私はしろうとで水かけ論になりますからこの議論はあまりいたしませんけれども、少なくともさっき農林省の農地部長の御説明にもあったように、これは永久早魃のおそれなしとしない。黒又第一、第二であなた方は補償するとおっしゃるけれどもどれだけ補償できるか。技術的にどうか私はわかりませんよ。けれども、私が見てきた現地の模様では不可能だと私は判断して参りました。黒二のダム地点では四トン程度しか流れておりません。雪解け水をどの程度に押えて、沢沢にダムをおつくりになって、それは貯水されましょうけれども、これは今あなたがおっしゃったようには参らないと私は判断してきた。同時に新潟県、福島県で七、八年間も何億という資金を使って、そうしてようやく片づいたものを県の方が、さっき申し上げたようにいろいろな問題があってまことに不明朗で、そうして現在の副知事、当時は総務部長であったのでありますが、当時の副知事も全く責任のがれに終始しておって、明確な答弁をしておらない。ただ分水休止に伴う補償でないということは明らかなのでありますが、分水を休止したということによる信濃川流域灌漑用水に対する補償というものは、具体的に言うならば、たとえば異常渇水のために従来のポンプ・アップをしておる灌漑用水は取りかえをしなければならない。去年は非常用のポンプを臨時に入れて間に合わせておる。今度は施設全体を取りかえなければならないというような問題が起こりますが、皆さんの今までの答弁ではこの点が明らかでありませんが、これは一体だれが責任を負うのですか。これは政府責任を負いますか、電発さんが責任を負いますか、新潟県がこれを負いますか。この点をそれぞれの関係の当局者から御答弁を願いたい。
  66. 檜垣順造

    檜垣参考人 前の国策として決定されました用分水計画のときにおきましても分水七千三百万トンに対しまして、信濃川が放水のときにはすなわち四、五、六という雪解けの水があるときには三千万トンを奥只見の方に揚げるということになっていた。そういう水をためれば、それでも三千万トンあり得るわけでありまして、二千六百万トンの分水がわれわれ不可能とは考えておりません。技術的な点は先ほど先生もおっしゃいましたので、直接技術に責任を持っている者が後ほど参りまして、ダムの築造の可能な点を御説明申し上げたい、こういうふうに考えております。  それで私どもといたしましては、初めの計画にきまっておりましたのがすなわち渇水期の七、八に、七月が一千九十八万トンになっております。八月が一千五百万トン、これは新潟県でつくられました資料に基づくものではないかと思っております。これを合わせますと大体二千六百万トンとなります。これをもとにしまして三十七年の七月二十七日に新潟県知事と私の方の総裁の間におきまして、直接知事と総裁が論議をしていたのではなかなか応急の場には間に合わないかもわからないということで、事務担当者、私の方の業務部長と申しますか、それから新潟県は農地部長、この間において、緊急の必要があるときにはいつでも二千八百万トンの範囲内は渇水に対してわれわれは水を供給するということを約束しているわけです。たまたまこの御要請があったかどうかということは、昨日も調べたのでありますがここへ参りますまでには、去年のその先生の言われます渇水のときに際しまして御要請があったという事実を明らかにすることはできませんでした。
  67. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで問題なんですが、実は農地部長が先ほどお聞きの通り築摩川のダムができれば信濃川渇水が緩和されるとか、あるいは電発さんで何とかしてくれるとかいろいろなことを言っておる。関屋分水をやればそこから上流へ水を上せればいいというような全く勝手な思いつきのようなことを言っておるわけですよ。その背後に何があるかということが問題なんです。農地部長、おそらく職を賭してこれをやっているでしょう。しかし、ただ職を賭しておるとは私は考えない。そういうでたらめな放言を県議会でぬけぬけと言っておる。去年のこの協定書も私は持っておりますけれども、そういう人が直接の責任者になっておるわけです。だから県民の疑惑は大きいわけですね。今お答えの中ではっきりしておりませんが、これは経済企画庁どうですか。さっき言ったような渇水に伴って機械揚水をしておるところの設備を開放したとか、臨時ポンプを入れなければならないというようなもの、あるいはその他開田計画をやめなければならない、畑地灌漑が不可能になるというようなものに対する責任というものは、これは政府責任を負われますか、あるいは電発さんが責任を負われますか、あるいは県と話がついておるんだから県がその対策の責任を負うべきものですか。だれがその責任を負うことになりますか。国が、農林省なら農林省がそれを農民に負担をかけないでおやりになって下さればそれもけっこうだ、電発さんがそういう施設をやって不自由させないというならばこれも話はわかる。私は法律を無視し基本計画をじゅうりんしてこういう事態に追い込んだ責任は、だれが負うべきかということを前段にきょうの質問で申し上げたわけですが、この後段における補償とか協力費とかいうものの性格が明らかになると当然その問題が起こってくるのです。どなたでもいいです。だれが責任を負いますか。
  68. 塚本敏夫

    塚本政府委員 ただいま電発からも話がありましたように、分水計画廃止、に伴って下流に対してどういう措置をとるかということがまあ一番問題でありまして、その点に関しましては、今話がありましたように、渇水のときに対する対策も講じておるわけであります。そういう点で、当初計画を一もちろんこれは計画変更は審議会の承認を得なければならぬわけでありまして、これは承認を得ておるわけでございます。当初の計画をそのまま実行しなかったからこれを変更したことによる責任をどこで負うか、この問題は、私は、当然審議会の承認を得ておるわけでありまして、その手続等につきまして事前にわれわれの方へ早期に相談がなかったということは遺憾でありますが、そういう承認も得ておるわけでありますし、なおまた、下流に対するそういった措置も県と十分話し合った上で措置をしておるわけでありまして、そういう点から、電発に対してどうというような問題はないんじゃないか、かように考えております。
  69. 石田宥全

    石田(宥)委員 その基本計画の中に、奥只見発電と同時に分水は完成しなければならないという基本計画を、それを去年の七月にようやく調整審議会で議決はされたけれども、一年一カ月も前に工事をとめたということの責任は、ないということは絶対にあり得ないのだ。だから、そのものに対する責任は果たしたとおっしゃるけれども、ちっとも果たしていない。実は、これも非常に疑惑がある。なぜ疑惑があるかというと、当初信濃川流域三十六の土地改良団体がこの問題のために立ち上がったが、どこかからの圧力で、だんだんだんぽろぽろとみんな引き下がっていって、そして去年の十一月、県に対して請願を行なうまでに残っておった土地改良団体は十三、ここにも問題がある。農民が黙っておるはずはない。そして三十六の土地改良団体が立ち上がった。だれかの手が伸てぼろぼろとくずされて十三の土地改良団体が、しかも、政府にまで、国にまでくることを、極力圧力をかけられて、やむを得ず県に請願書を出したのが去年の十一月二十六日なんです。だから、公益事業局長は一体そんなことは知らないのじゃないですか。責任がない責任がないとさつきからおっしゃるけれども、責任がないとは言わせませんよ。いかに国策会社であろうと通産省であろうと、現実被害を与えておるじゃないか。この被害をどうするか。この被害を何とかしてもらいたいといって運動を起こせば、いろいろな方面から黒い手が伸びてそれをみな抑圧しておるじゃないか。全然責任はないなんて、一体どこを押せば言えるのですか。こういうことは今後も起こるであろう。もし当初の基本計画通りであれば、すでに分水路はできておって、そうしてそれが下流灌漑用水に使われておったはずではないか。それをなぜ一体責任がないとおっしゃるのですか。  私は、先ほども申し上げたように、この問題は政治的な問題で、局長にこれ以上申し上げても仕方がないと思いますから、これ以上追及いたしませんけれども、これは大臣出席を求めてその責任を明らかにいたします。  どうも大へん時間を食いましたが、これは委員長にお願いしておきますけれども、いずれまた理事会等を開いて適当な機会に県の責任者とその他関係の人たちを呼んで事態を一そう明らかにしなければならないと存じますので、私は以上で質疑を打ち切りにいたします。
  70. 津雲國利

    津雲委員長 本日の質疑はこの程度にとどめます。  参考人各位に一言御礼申し上げます。  本日は長時間にわたり委員会調査に御協力をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして委員長より厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会