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1963-03-27 第43回国会 衆議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十七日(水曜日)    午後二時十分開議  出席委員    委員長 津雲 國利君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 鈴木 仙八君 理事 田中 彰治君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君    理事 芳賀  貢君       小川 半次君    鈴木 正吾君       田川 誠一君    高橋  等君       山口喜久一郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         内閣法制局長官 林  修三君         宮内庁次長   瓜生 順良君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      佐々木達夫君         大蔵事務官         (管財局長)  白石 正雄君  委員外出席者         会計検査院長  芥川  治君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月二十六日  委員森本靖辞任につき、その補欠として稻村  隆一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員稻村隆一君辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員久保田藤麿君及び山本猛夫辞任につき、  その補欠として高橋等君及び小川半次君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員小川半次君及び高橋等辞任につき、その  補欠として山本猛夫君及び久保田藤麿君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十五年度政府関係機関決算書  昭和三十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十五年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十五年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 津雲國利

    津雲委員長 これより会議を開きます。  昭和三十五年度決算外三件を一括して議題とし、審査を進めます。  御承知のごとく、議題といたしました各件は第四十回国会において提出されてより、今日まで長期間にわたり、予算が効力的に使用されたかどうか、またその経済的効果はいかに上がったかどうか等を中心として、超党派的に審査を行ない、今日までにおいて一応各省所管別審査も終了しております。  従いまして、本日は、今日までの審査の経過に基づき、各件についての総括質疑を行ないます。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。西村力弥君。
  3. 西村力弥

    西村(力)委員 きょうは総理は年一回の恒例の御出席でありまして、ゆっくりと国の検査に関する総理の所信をただしたいのでありますが、私、災害対策委員会にすぐ出なければなりませんので、簡単にお尋ねをしたいと思います。  きょうも聞きますと、余裕時間が三十分程度だと、こういうことでありますが、まず私たちとして、決算に対する総理考え方を、もう少し重要視をするように進めてもらわなければならぬのじゃないか、その現われが、われわれの議員出席要求などに対しましては、年一回なんということじゃなく、随時出席をしてもらわなければならぬ。しかも、せっかくおいでになったときには、もっと余裕を持っておいで願いたいと思います。このことは、なぜそういうことを言うかといいますと、日本国民全体のあり方というものは、金を出すときにはああだこうだと言いますけれども、その税金の行方に対する関心というものは非常に薄い。こういう風潮というものは、やはり改めて参らなければならぬじゃないか、こう思っておるわけなんです。そういうことのためにも、この決算委員会審査というものを総理自体がもっと重視をするという方向、こういう考え方をとっていただきたい。このことを、私は第一点として強く総理大臣に要望したいわけなのであります。きょうは、私簡単にしますので、まず第一にその点をお伺いしたいと思います。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 決算につきまする審査重要性につきましては、お説の通り私も決算委員会の決議その他につきまして重視することは人後に落ちないつもりでございます。私が出る回数によって重要度がきまるわけのものではございません。委員会におきましては一度も出ない委員会も相当ございますが、とにかく、少なくとも決算には一回あるいはそれ以上出たいという気持を持っておるのでございます。今後も十分決算委員会重要性につきましては考慮を払いまして、御期待に沿うよう努力いたしたいと思います。
  5. 西村力弥

    西村(力)委員 私たち審議の途中において、総理出席を求めたいという気持になる場合が相当あるわけなんです。しかしながら、どうも決算委員会には年一回が恒例だくらいになっておりますので、そのことはどうも思うように参らぬということがございます。今のお言葉でもありますので、これからも必要によっては一つ快く、気軽に御出席をいただけるもの、こういう工合に思っております。ぜひお願いしたいと思います。  第二点としましては、近ごろ盛んに地方選挙がございます。また、間もなく統一地方選挙もあるわけなのでございますが、この際に、中央に直結する地方政治ということを一つのキャッチ・フレーズとして宣伝される、今までもそうでありまするし、またこの統一地方選挙においてもこれを強調せられるだろう、こう思うのございまするが、この点について、まずお尋ねをしたいと思います。  その第一としまして、過般の北九州の地方選挙において総理応援演説に参られまして、新聞記事によりますると、私の知らない他党の人が地方責任者になったら、その地域要求繁栄がもたらされるかどうか疑問だと激しい口調で演説した、こういうことが日本経済新聞に出ております。総理として、こういうような発言は、これは事実なさったのかどうか。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 私は、そういう意味のことを言った覚えはございません。はっきり申し上げておきます。ただこういうことは言っております。知事会議を開きましても反対党の人はあまりお出にならないような場合が多い、おいでになってもめったに話をすることはない、これは非常に遺憾なことでございます。こういうことを言っております。そしてまた、とにかく中央地方とはうらはらでございます。一体であらなければならぬ、一体というのは、やはり緊密な連絡をとって、国民の生活というものは、中央ばかりでなく自治体の施策が非常に必要なのだ、しかも、それは直結一体であることが望ましい、従って、人のつながりということが必要だ、だから反対党の人であったら悪いという気持はない、同じ気持の合った人の方がベターだ、こういう意味で、とりょうによってどういうふうにとられるかわかりませんが、私の気持はそういうことであります。このことは参議院の予算委員会でもはっきりしている。知らない人だからといって法律を曲げたりすることは絶対にできません。これは法治国としてあるべきはずでない。しかし、ある知事にはかゆいところに手が届くというお話がございましたが、しかし、知っておりますとやはり話がしいいのは人情でありますから、私はそれを言っておるのであります。私は、とにかく内閣総理大臣地方知事が和気あいあいのうちに議論をし、そして知恵をかし合うということは必要だと考えて、ベター、よりいいということを言ったことは事実であります。
  7. 西村力弥

    西村(力)委員 知事会議にもめったに出席しないということをあなたは仰せられますが、福岡鵜崎知事は常時知事会議出席しておったということでありますから、これは明らかに事実に反する。私が、こういう問題を決算委員会で取り上げることは、総理発言、これは自民党総裁としての発言あるいは————発言なんかならともかくですが、一国の総理ですからね。一国の総理の全地域国民に対する態度というものは、これは公正であるべきはずだ。あなたもその気持でおられるだろうと思う。ところが選挙になりますと、こういうことを言うというのは、いささか総理の立地から逸脱をしておるのではないか。その結果、そういうことによって繁栄がもたらされないということになるならば、確かに行政というものが、国の政治というものがそのことによって差別せられるということを前提としておることになるわけです。今ベターだと言われたが、ベターだということは一体どういうことか。そこにもやはり国の手の加え方というものに差等があるということを、その言葉自体が認めておるということになるじゃないですか。そういうことはあり得べからざることだということは、今総理自身も認められておる通りでありますが、ベターという言葉それ自体も問題があると思います。そして総理という立場にあるならば、一県の県民の意思によって選ばれた知事あるいは一市の市民によって選ばれた市長という立場にある人々に、話しよいとか話しにくいということがあってよろしいはずはない。私はそう思う。ですからベターだというようなことそれ自体がやはり問題を持っておるのだ、こう言わざるを得ないのである。ベターだということは、やはりそこに差別があるのだということであるのかどうか、それはどういうことなんですか。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 私の福岡知事出席しないとは言っておりません。福岡知事の顔を知らぬと言ったのです。それから出席しないというのは、近畿のある知事はほとんど出てきません。これは事実です。しかし私は、福岡首長知事会議に出ないとは言ってない、顔を知らないと言っている。その点は十分私は考慮して言っております。それから話しにくいということは、話しにくいのではない、話をする機会がないのです。これは、私は事実を言っているわけです。ベターだということは、話し合いがずっとできるということと、相手にしてもらわれぬという場合があるわけです。相手には私がしないのじゃない、向こうさんがおいでにならない、それを私は言っているので、とにかくほんとうにこれは人情として訴えて、それがいいんじゃないか、こういうことです。そういう意味で、今お話のように、われわれの反対党だったらその地方繁栄がもたらされないということは、私は言っておりません。そういうことは言っていない、私はやはり前向きで話がしいいのだということを言っている、ベターだというのは話がしいいということでございます。
  9. 西村力弥

    西村(力)委員 話がしいい、話がしにくいということがあっても、実際に行なわれる国の施策というものは、そこに差等がないのだ、こうあなたははっきりとお考えになって、さように言明せられる、そういうことであると思うのですが、それはどうですか。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 行政法制に基づいてやるべきでございます。国民差等は設けるべきではありません。ありませんが、しかし、だれかの言うかゆいところに手が届くということは、これは知り合ったところがいいのじゃございますまいか、これは何といっても事実でございます。しかし、反対党だから法を曲げたり、その地方の人に御迷惑をかけて、繁栄をもたらさないような方法をとるつもりは絶対にございません。しかし、その繁栄をもたらすときに、どれだけかゆいところに手が届くかということがベターの問題であるのであります。私は、これは総理として選挙のときに行き過ぎではないと今も確信しております。
  11. 西村力弥

    西村(力)委員 かゆいところに行き届くのは、知っている人であるから行き届くのではなくて、かゆいところに手を届かしてやる必要のある地域、そういうことであるならばわれわれは了解するが、かゆいところに手が届く、届かないということが、知っている、知らないの問題があって、そこに幾らかの差等が出るということは、やはりこれは総理立場としてはよろしくないと私たちは思うのです。その地域必要性、それによってうんとかゆいところに手が届くような施策をやらなければならぬところも、これは確かにあるはずであります。そういう立場から、そのことはやはり進めていただかなければならぬと思うのです。そうでないと、三十五年度の決算をきょう締めくくりをするという場合において、この決算書類というものに、はっきり総理考え方に基づく、一視同仁でない金の使い方というものがあるのだということになってくるわけなんです。ですから、私はこの際それをただしておるわけなんです。ただ憲法にも規定されておるように、地方住民がその首長とかあるいは議員、その他法律に定める吏員を選挙する権利というものは明らかに保障されておるものだ、それは最高のものだと思う。そのことによって選ばれた首長がどうあろうと、そこに住民意思を無視するような施策というものが国によって行なわれていくということになれば、一体どういうことになるのかということ、私はこの点を強く考えるわけなんであります。総理という立場は、先ほど申しましたように、かゆいところに手が届かなければならぬところはその必要性のある地域、こういう前提に立って行なわれなければならぬ、それを知っているからかゆいところに手が届きやすいというような言い方では、これはどうも公正なる国政というものは期待し得ない。決算報告書というものが、すべてそんなような立場で行なわれていたらばこれは重大問題だ、かように思ってこの問題を取り上げるわけなんであります。でありますから、再度私の考え方に対する総理の今もって変わらないという考え方を変えてもらいたい。かゆいところに手が届くということは、知る、知らないの問題ではなくて、その地域必要性によって国は十分に行き届いた施策をやるということであるのだ、こういうほんとうに公正な、日本国民すべて一視同仁に見る、そういう施策をやるのだ、そこに差等はないのだという立場でいるのか、一つ明確にしてもらいたいと思います。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 政治一視同仁であることは原則でございます。かゆいところに手が届くように総理としては心がけなければなりません。しかし、どこが一番かゆいか、どこが先かということは、これはかゆいところをかくというばかりではいけない、やはり中央地方とがよく話し合い、意思を疎通するということが政治にも必要だということを言っている。そこで現実の問題として、社会党知事がこられたからといって会わぬというのではない、陳情は何でも聞きます。ただどれがいいかということを考えてもらうために言っておる、一視同仁である、そして国民全部に対し総理は全責任を負うことは当然のこと、民主主義根本であります。根本をやっていく上においてどういうふうなのがベターかということ、根本を変えてはおりません。
  13. 西村力弥

    西村(力)委員 くどいと言われるからやめますが、しかし、あなたは原則を承認しておられるのだから、原則をあくまでも最高のものとして、忠実にやってもらわなければならぬと思うのですが、それで社会党知事としても、現在のような政治の機構からいいまして、中央にいろいろな問題を持ち込んで、中央の援助を願わなければならぬということになっておりますから、たとい他党の知事であろうとも、あなたのところにどんどんと行くように、そういうやさしい顔で迎えるべきは当然だと思います。何か話にこないというのは、あんたの方で門戸を閉ざしておるのじゃないか、そういう工合にも考えられるわけなんでありまして、むしろ歓迎してどんどんと聞いてやることが公正なる方向じゃないか。三十五年度の決算をあげるに当りまして——総理が御就任にになったのは七月からですが、いずれにしましてもこの決算書に対しましては、いかなる地域に対してもあるいはいかなる問題に対しても、公正なる立場でもってこの執行というものについて責任を持つ、こういう態度を明確にしていただきたい。これで私の質問を終わりたいと思います。
  14. 田中彰治

    田中(彰)委員 西村君の今の発言一つ訂正してもらいたい。————とは君一体何ですか。差別がつき過ぎる。これはちょっと訂正してもらいたい。
  15. 西村力弥

    西村(力)委員 これは俗な言葉を使ってはなはだ済みませんでしたが、議員個々というようなことでもけっこうでございます。さように訂正を願いたいと思うのでございます。
  16. 津雲國利

    津雲委員長 よろしゅうございますか。
  17. 田中彰治

    田中(彰)委員 けっこうです。
  18. 津雲國利

  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 総理お尋ねいたしますが、大臣諸公は、予算を獲得するときには血眼になってやるのですが、予算が執行されあるいはその決算についてどうも無関心過ぎるではないだろうかという感じがする。特に決算は、ただ単に会計検査院検査をしたということだけでなくて、不正やあるいは不当事項指摘されても、それがおざなりに済まされておるのが、実は数年間にもわたっておるのでございまして、このことは不当事項指摘をされた、そしてそれを調べていくと当時の責任者というものはもういない、人がかわっておる、いいかげんの回答をしておけばまた時代がかわる。また大臣の任期もこのごろでは長くなりまして一年になりましたけれども、半年ということもあって、どうも不正者の天国だということが今もって続いておるように思います。せめて決算面において指摘された不正や不当事項改善是正、あるいは予算の経済的効率的な使用については、十分是正改善をされる措置というものが直ちに行なわれなければならないと思うのです。いろいろ調べて参りますと、会計検査院から数回にわたって行なわれており、行政管理庁からも言われておる。しかし、依然としてそのままになっておる。こういうことでは大へん遺憾だと思うわけでございまして、こういうものについて悪いことは悪いで是正をする。かりに人がかわり、あるいは大臣がかわってもというふうに思うのですが、その点についての御所見をまず承りたいと存じます。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りでございまして、私はこれは大臣責任ということももちろんでございますが、やはり関係各省責任として職員全部が考えるべきだと思います。従いまして、最近におきましては行政管理庁長官とも話し合いまして、一般的な官紀の振粛、ことに決算についての責任体制をはっきりするように、また誤まりを繰り返さないようにということにつきまして各般の御研究を願っておる次第でございます。毎年こういうことを言われながら、どうも十分効果を上げ得ないことはまことに申しわけないと思います。しかし、政府といたしましては、ただいまお答え申し上げましたように責任体制の確立、二度と繰り返さない、そしてそれは人の責任のみならずその関係各省責任と心得べしというふうな方向是正していきたいと思っております。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで具体的な内容の問題については、たとえば予算むだ使いといいますか、国の事業は一〇〇%終わっておる、しかし、県の方は五割しかやっていない、こういうちぐはぐなものがあるわけです。あるいはまた総花的に予算をつけたために、漁港が十年たってもまだ三分の一しかできていない、あとまだ三十年もかかる、こういうものもあるわけです。あるいはまたむだに使ったものがあるわけです。ですから、こういうものについては予算をつけるときにできるだけどこかで統合して、きっちりそういうものは効果を現わしていくように、ある程度の是正措置といいますか、こういうこともやはり考えるべきじゃないかと思うのです。行管が言っても会計検査院が言っても総理が言っても聞かない。それなら一体どうしたらいいだろうかと、われわれも実は一つの事件を取り上げてみて困るときがあるのですが、そういう点についていかがでしょうか。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りでございます。従来地方財政がみんな苦しゅうございましたから、国の予算がつきましても地方ではそれにマッチできないということもあったやに考えます。それは予算配賦のときに考えればいいのですが、なかなかそう理論的にいかない場合がございます。しかし、今後は地方財政もだいぶ豊かになりまして、だんだんそれも減ってくると思います。また漁港の問題につきましても、お話の点は私もよく存じております。そこで、補助金その他の使い方を重点的に使おうということは十分考えねばならぬことであり、また従来からもそう言われておるのであります。ただいかんせん、民主主義一つ欠点と申しますか、民主主義専制主義の違いは、とにかく非常に効率的にいくのは案外民主主義でない方がいい場合もある。しかし、それはその点だけでありまして、やはり民主主義をやっていく上におきましては時間がかかったり、あるいはある程度の非効率な点も——ないにこしたことはないのですが、これはやはりどうしても起こり得ることは民主主義欠点でございます。だからそういう点はできるだけ直すように、また重点的に、時間的にも早く経済的にやるというように心がけて、今後もそういうようにしていきたいと思っております。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 次に公社、公団公庫事業団あるいは国策会社あるいは基金、協会、振興会、こういう特殊なものが、政府で任命できるだけでも八十以上あるわけです。しかも毎年ふえていく傾向にある。そこで、いつも高級官僚天下り人事の問題とか、あるいは報酬が総理大臣よりも高いとか、あるいは監督についての監事権限というものが明確になっておらずに、監督が十分なされていないという点が指摘をされて参ったわけでございますけれども、私は、この際これらの問題については、その必要性についていま一回再検討すべき時期にきているのじゃないだろうか。そして、どうしてもこういう国の出資なり国の措置でやらなければならぬのだろうか、あるいは民間でもできるのじゃないだろうかというような問題とか、それから二つ目の問題として、天下り人事の問題、給与あり方問題——民間の大物を持ってくるという建前にはなっておりますけれども、実際には仕事の干渉が激しく、ましてやなかなか民間からはこられない。三番目には、それを監督する監事というのは理事よりも低い地位にあり、低い給与にある。そして人事面を見てみますと、理事長なりあるいは理事なり監事なり、そしてそれを監督するその省の監理官というものが、人事面を見るとずっと後輩が先輩を監督するという形になっておるわけです。それから運営の問題を見てみますと、もうきりきり舞いさしてしまって、一々お役所相談をしなければ何もできない。これでは企業のうま味も何もないわけです。結局役所の型にはめられて仕事をやっている。何を動かすについても相談をしなければいけない、こういうことであるわけでありますから、私はこの必要性の問題、それから人事給与の問題あるいは監督立場にある監事の問題あるいは企業運営全体のもう少し企業的な経営、こういうような問題というのをこの際やはり検討すべきだと思いますが、その点についてお伺いいたします。
  24. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りでございます。今おあげになりました三点につきましては川島長官のところで、この三点につきまして十分検討を加えておられます。監事につきましての権限をふやすとか、多くするとかあるいはもっと監事が熱心に仕事ができるように待遇その他も改善しよう、それから天下り人事もなるべく避けよう、そうして監督につきましても、その省のみならず監事十分公団あるいは公庫の中にあって監督するような制度に改めていこう、こういうお話の点は、全部実は問題として提起いたして検討しております。何分にも天下り人事といいますが、公団総裁、副総裁民間から来て下さいといっても、なかなかこられない状況なんです。それは給料が低いのです。そうしてここで申しますと、国会へ行ってはまたとっちめられるということが非常に気になるようでございます。いろいろな点がございまして、俸給が安い。今度は役人と公団総裁、副総裁、こうなりましても、先般もここで御審議願いました公取委員長なんかにしても、あるいは今度住宅金融公庫の副総裁人事院の総裁になりますと六万何ぼ下がるわけなんです。これじゃあの重要な仕事につけない。だといって、今度は公団総裁とか副総裁民間の有能な人がくると、月給が半分くらいになる、こういう、ふうなことなんでございます。これは全体的に考えなければならぬ。何も私の月給が日本銀行の総裁よりも非常に低いということについてとやこう言うわけではございませんが、これが実情なんです。それをどう改めるかということです。私は議員の歳費の問題も聞きました。私は上げることに賛成なんです。これはやはり実際に沿うようなことにきめなければいかぬ。そのために公団の人員の数を少なくして優遇するとか、こういう抜本的なことを考えなければいかぬのじゃないか。せっかくたんのうな川島長官が、十分お話の点につきましては検討を加えておられるようで、だんだん改善していくことを私はここではっきり申し上げておきます。
  25. 津雲國利

    津雲委員長 勝澤君、ちょっと申し上げますが、三十分にもう一分です。あと一人、田中君の質問が残っておりますから、もうちょっとで……。
  26. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで私は事業の内容だと思うのです。給与の問題もあるでしょうけれども、企業運営の問題、企業的な経営がやれるような形になっているかどうかという点も問題があると思うのです。それから人事の問題でも私はこの前言ったのですけれども、なかなかこれも各省の割当があって、理事の人選もうまくいかぬ。ですから川島長官も一生懸命やられておるのですから、総理もうんとあと押しをしていただいて、今この問題は政治の焦点になっておるわけですから、どうか一つお力添えをいただいて、少しでも前向きで解決するようにしていただきたいと存じます。  それから次に補助金と委託費の関係であります。これは御案内のように補助金というのは年々ふえていく。補助金のないところはまた委託費でふえていく。実際に調べてみますと、補助金をもらうために団体をつくったりあるいは委託費をもらうために団体をつくっておる。だれがつくっておるかというと各省がつくっているわけです。一体何をやっているかというと、ほんとうにばかばかしいことがやられているわけです。ですからこれはなかなか総理としてもむずかしいのでしょうけれども、この辺で、こういう問題は、一律的にはいかないとしても、相当決意をして整理すべき段階に来ている、こう思うのです。その点についての御所見を一つ……。
  27. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りでございます。この補助金、委託費の問題は従来から議論せられて、何とかこれを整理統合し、出すにしても金の効果を現わさなければいかぬ。私は昭和三十八年度の予算の編成前に大蔵省の関係当局を呼びまして、三十八年度から補助金について抜本的に整理してくれ、こう申しましたところ、今ちょうど補助金整理につきまして委員会を設けて二年間にわたって検討しております、さしむき簡単にできるものはやりますが、抜本的な整理については三十九年度からにして下さい、こういうことでありますので、一応私は抜本的ということはやめましたが、三十九年につきましてはやってみたい、こう考えております。それからお金を減らすという意味ではなしに、お金の効果を上げる、たとえば農林関係にいたしましても、各町村には二、三万とか四、五万、そういうのが数十種目でいっている。これを一括して知事とかあるいは市町村長に相当大きい金を出せば、非常に金のきき目があると思うのです。そういう点につきまして、対象の整理と、そしてまた金の使い方につきまして、一つ調査会の答申を待ちまして善処いたしたいと思っております。
  28. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ではその問題は三十九年度の予算でまた期待するといたしまして、次にまた最近これも問題になっています審議会、委員会の問題です。政府の諮問機関として行なわれているわけでありますが、現在行管の調べでも三百、委員の数だけで八千百名あるわけです。そこで私はこの際不急不要のものについての整理あるいは統合、廃止、それから実際には有名人をそろえておりますから、一人で十六以上も兼職しておる者があるわけです。ですから不急不要のものの整理統合と、それからこの人事について、こういう忙しい人の名前ばかりをつけずに、やはり実際に働ける委員、こういう者を任命すべきだ、こういうふうに思うわけであります。この点について一つ……。
  29. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題も、もうすでにわれわれが取り上げまして検討しているとこでございます。お話指摘の点はわれわれも十分知っておりまして、そういう指摘の点を是正するように行政管理庁の方で今検討を加えております。
  30. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そこで公社とか公団あるいは国策会社、こういうものがある。そしてまたその下に補助金をもらうための、委託費をもらうための外郭団体がある。そしてこういう人事の面を見てみますと、これがちまたでは高級官僚のはけ口をつくるためにこういうものがつくられるんだということがいわれるわけであります。しかし、考えてみますと、人間だれでも働けるだけ働かなければならぬですから、働ける職場を与えるということからいいますならば、この際やはり五十五前後でおやめになって次にどうするかというと、結局こういうことになると思うのです。ですから若い人たちで四十五なり五十で民間に移るのは別として、五十五前後でおやめになる人たちについて、やはりこの際寿命も伸びたことだし、せっかく有能な人材というものがそういうところに行くよりも、もっとなれた熟練した職場につけていくという建前からいくならば、六十五ぐらいまで何らかの形でその職場で有能な人材を生かしていく、こういうことがこの際必要ではないだろうか、検討さるべきではないだろうか。まあ六十五才定年制という言い方がどうかわかりませんけれども、やはり働ける状態の中でそういうのを置いておくことによって、今のいろいろ問題になっているものの関連性の中から検討されるべきではないだろうか、こう思うのですが、その点についていかがでしょうか。
  31. 池田勇人

    池田国務大臣 公務員には定年制というものは御承知の通りないのでございまして、判検事と申しますか、それと大学の教授程度だと思います。そこでたとえば各省の次官、局長が五十余りでやめていくのをどうするかという問題があります。お話の点、たとえばフランス等につきましては、官僚の強いのは相当長くまでおるようでございます。しかし、今のたとえば最高級の次官が絶対有能で、その次に次官になる人が能力が下というわけにも参りません。やはり新陳代謝もある程度必要なんでございます。それから六十五までやったからといって、あとが一生食えるようになるかというと、そうも今の制度ではむずかしいようでございます。ですから、これは待遇の問題と、それから採用のときの気持等々、やはり伝統ということもありますので、ともかく有能な人は残ってもらいたい気持と、また有能な人を早くいい地位につけたいというこのかね合いがあるものですから、なかなか結論は出ないと思いますが、私は、民間の年功序列型の賃金制度等の改正とあわせて、これはやはり公務員制度のあれとして検討する問題じゃないかと思います。
  32. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それから次に国有財産の管理運営の状態でございます。これは私は先般も予算委員会で大蔵大臣には質問したのですが、国有財産の管理の状態というのは、まことに驚く状態になっておると私は思うのです。たとえば無断使用されておる、あるいは未利用のものがある、あるいは所在不明で実在しない財産がある、工場が建ったり、住宅が建ったり、これは普通財産だけではない、行政財産にもあるし、また特に自作農創設特別措置特別会計に属する財産の現状につきましては、これはもう数年前から会計検査院から指摘をされておりましたが、そのまま放置をされておる。そうしてこのように国の財産が勝手気ままに無法地帯として放置されるというのは、大へん私は遺憾だと思うわけでありまして、この国有財産の総合的な管理運営について、やはりこの際何か検討すべきじゃないだろうか、こう思うのですが、その点についていかがでしょう。
  33. 池田勇人

    池田国務大臣 お話しの点は私もよくわかります。ことに敗戦後におきまして昔の陸海軍の財産、あるいは敗戦後のいろいろな措置によりまして管理が十分でない点もあったように思います。人員の関係その他帳簿書類の整理等々、行政財産は各省において、その他の国有財産は大蔵省においてだんだん管理を強化しつつあると思います。何分にも数の多いもので、十分の人手もないので、お話しの点もときにはあったかもわかりません。これは徐々に是正していくべき問題だと思います。なお、お話しのような点がございますので、できるだけ早くこれを民間に払い下げて、そうしてそれが経済界に利用されるようにすべきだ、こういうことを私は十年前から言っておるのですが、そう言うとまたしかられるかわかりませんが、自分の職場をやはり保ちたいというのは人情でございまして、なるべく売りたがらないというのが昔からの例でございます。これは何も国有財産ばかりではありません。ほかの行政財産にもございます。こういう弊はやはりこういう決算委員会でどんどん督励していただかなければならぬと思うのであります。どうぞ一つ私もそのつもりで参りますが、そういう場合に今のような御議論をいただきまして、その衡に当たっておる人を督励していただくことは非常にありがいことだと思います。
  34. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最後に一つ、特に会計検査院立場なのですけれども、これは会計検査院法の第一条に「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」とこうきめられておるわけです。しかし、実際には財政的には活動の自由というのは拘束されている。しかし、何といってもそれは行政機関の一部ですから、しかし、特異な立場にある会計検査院というものが自由な活動ができるようにしなければならぬと思うのです。実際の実情を見てみますと、毎年実地検査は約八%しかやっていない。それで十八億も不当不正使用が出ている。これを引き伸ばしたら、私は相当大きな金額になると思う。昭和三十年から今日までふえたのは十四人です。今定員が千百九十二人で三十年から十四人ふえただけだ。行政機構がまさに複雑になってきておるにかかわらず、実際にはあまり検査の能率をあげられるようなことになっていない。こういう点は大へん残念だと思います。もしこういうために会計検査院の職員の人たちが誘惑に負けたり、あるいは有能な人材がそのために長くおれないということになるならば、私はこれは重大な問題だと思います。まさに国民の財産を管理する良心だと思うわけです。そういう点から会計検査院に対する、やはり人の問題あるいはまた費用の問題などについては十分に検討をして、機構が複雑になると同時に充実をして、十分な検査機能を果たせるようにしなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。その点についてのお考えを承りたい。
  35. 池田勇人

    池田国務大臣 お話通りでございます。私本人も昔から、会計検査院検査を、税務署長のときに受けたりいろいろなことをしておりますので、よく存じております。御承知の通り裁判所と同じように二重予算の制度になっております。会計検査院の方で検査の適正充実を期すということで予算要求されればこれを認めるにやぶさかではございません。
  36. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 予算をいつも毎年削られているわけです。ですから、実際にそうなっていないわけですから、今のお言葉でこの次からそうやられるでしょうから、十分期待をして私の質問を終わります。
  37. 津雲國利

    津雲委員長 田中彰治君。
  38. 田中彰治

    田中(彰)委員 総理は大蔵省に長くおられて、予算とか決算になるとわれわれよりも非常に知識は深いわけですが、予算をきめるときには予算委員会でああいう大騒ぎをしてきめる。きまった予算を使って、あと不正がないか、不当がないか、あるいはいろいろなむだがないかということを調査して、そしていろいろ会計検査院等とも打ち合わせてやるこの決算に対しては、予算をきめるときから見るとほとんど問題にならぬくらい軽視されておる。そこで、ここでいかに問題を取り上げても、ここだけであやまったり申しわけながったりということで済むのですが、予算をきめるときに、少なくとも決算委員長予算委員会に呼ばれて、どこの役所にどういうむだがあったか、どこの役所にどういう不正があったか、どこにはどういうものがあったかというようなことを一応参考に聞かれるようなお考えが一体ないのか。どこの会社でもどこのところでも、予算をきめるよりも使ったあとがなかなか問題になって、総会等でもああいう問題を起こし、また会社等でもいろいろなことをやっておるのですが、この点に対して総理は何か考えておられないのでしょうか、その点を一つお聞きしたい。
  39. 池田勇人

    池田国務大臣 この決算予算との憲法上の取り扱いの違いは、御承知の通りでございます。予算につきましては議決、条約は承認、決算は提出、これがいいか悪いか、いろいろ議論があると思います。これは旧憲法時代からそういう格好になっておるのであります。今御質問の問題は、そういう憲法上の問題でなしに、国会内での取り扱い、たとえば予算委員会が開かれた場合に、あるいはその当初、あるいは分科会の前の会に、決算状況予算がいかに使われ、いかに不当な使用があったかということを予算委員会の方で報告なさるということは、一つの制度ではないかと思います。しかし、何といってもこれは国会運営に関することで、内閣総理大臣のとやこう言うべき問題じゃございません。やはり先ほどから問題になっておりますように、決算というものは大事だということを国民に知ってもらう意味において私も一つの方法かと思います。一つ十分国会で御検討いただくと同時に、私も検討してみたいと思います。
  40. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこで、総理政府を握っている自民党の総裁なんですから、われわれも議運その他においてそういう制度、これは社会党の人も反対ないと思うのですが、そういうものが盛り上がっていったときに、総理は、予算委員会に今おっしゃったように決算委員長を呼んでそういうものを聞く方がいいというようなことに対する御反対もなく、そういう空気が盛り上がれば喜んで賛成していただけるのですか。その点をちょっと……。
  41. 池田勇人

    池田国務大臣 これは与野党あるいは国会議長その他のお考えに、私は何も反対することはございません。そういうことが国会内できまれば、総理大臣はきまった通りに進んでいきたいと思います。
  42. 田中彰治

    田中(彰)委員 そこでちょっと横へ話がずれるのですが、ずれてもこれは決算に関係ないことではないのです。やはり皇室というものに対する予算なり決算が関係しておるし、そういう面からお聞きしたいのですが、「女性自身」それから「文春」あるいは「平凡」など、非常に皇室のああいう悪口を書いておる。あの小説など総理もごらんになったろうが、全くわれわれの国の象徴とする皇室に対する非常なでたらめの、侮辱をしたものを書いております。あれは皇室ではなくても、総理の家庭においてああいうものを書かれても、私が書かれても、これは断固として法に訴えてやらなければならぬ。ところがこれを名誉棄損で訴えたりあるいは告発したりする責任は内閣にある。その総理が何もなさらぬでこれを放任されているので、国民の間でこのごろどこへ行ってもこの議論を聞かないところはない。これをこのまま放任しておきますと、やはり考え違いをした右翼とかいろいろなものが、今度は実際において暴力を行なったりあるいは殺人を行なったりいろいろなことをすることがないとは、だれも保証できない。そこで総理の指導者というのですか、総理の親分というのか知りませんが、吉田さんなどはまだこういう時代にならぬうちに臣茂なんといって、非常に皇室に対する考え方は確たるものを持っていらっしゃる。その薫陶といいますか指導といいますか、あるいはつながりといいますか持っておられる総理として、今度はこの問題を非常に軽視されているような気がしてならないのだが、もう少し——美智子さんがたとえば民間からこられようが何しようが、お生まれになった子供は日本の国の象徴としてやはりわれわれの天皇としていただかなければならぬ。それにああいう侮辱、しかもああいう問題を起こせば本が売れる、金もうけ、こういう面においてやっているということは、これは十人に聞くならそのうち七人まではそうだと言っておる。それは二人や三人は違ったことを言うかもしれませんが、これに対する総理の出方が非常になまぬるい。総理はこれに対してどう考えておられるか、これを一つはっきりここで御返答いただきたい。
  43. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題は夢譚のときに私は非常に頭を悩ました。いかなる措置をとったらいいかということで苦慮いたしたのであります。あるいは今お話しのように池田はだらしがない、何もしない——内閣に入りまして一番私が苦慮した問題はこの問題でございます。今の法制上は、天皇、皇后、皇太后、太皇太后並びに皇太子、皇太孫、これらの方に対しまする名誉棄損は総理大臣が告訴することになっております。しこうして名誉棄損に対しての告訴につきましては、裁判上いろいろな点があるのであります。証人に呼ばれる場合を想像したとき、私は身の毛のよだつ気持がするのであります。陛下を証人に呼ぶというようなことがあっては大へんなことだ、そこで何もしないという非難を受けながらも実は非常に苦慮しておったわけなのであります。一応了解をいただいたと思っておったのであります。今回の事件は、先ほど申し上げました内閣総理大臣の告訴すべき範囲ではございません。皇太子妃美智子殿下に対しましては、内閣総理大臣は告訴する規定になっておりません。自分自身でおやりにならなければならぬ。今の法制上はこういうことでございます。そこで、私はあれを新聞で読みますまたそれ以前にも、いろいろな問題があることを聞いておりました。たまたまあれが出ました。そしてどの新聞でしたか、作者の弁明を読みまして、その日は僕は泣いて寝たわけなんです。これを閣議の問題にしようかと一時は考えましたけれども、またこれは大へんなことになってはいかぬというので、自分は非常に遺憾でございましたが、今見ておる状況であるのであります。その後の各新聞の紙面におきましても、だいぶあの当座よりも二、三日してから変わってきたようであります。世論も非常にあれを非難しておる。私は非常にありがたいと思っております。言論の自由は大切でございますが、ああいうことは行き過ぎたことでございます。私はあの作者が十分あの新聞に出したようなことを取り消して、ほんとうに反省してもらうべきだと考えております。  そこでこの問題を解決することをどうするか。私は皇太子妃殿下美智子様が告訴されることはないと思います。これはわかりませんが、しかし、この点はそういうことの起こらないように、そうして今後二度とこういうことのないように、やはりお互い国民全部が、私は考えなければならぬ問題だと思っておるのであります。  措置をとることがいいか悪いかということにつきましては、一昨年非常に私は苦慮いたしました。今回も同じように困った問題——ただ幸いにだんだん言論の自由、いわゆるプライバシーの問題に対する世論というものも、高まってきたようでございます。しばらく情勢を見さしていただきたいと思います。
  44. 田中彰治

    田中(彰)委員 総理もああいう小説はごらんになりましたでしょうが、やはり美智子妃というものを攻撃し、美智子妃が悩むというような問題を起こせば、これは夫たる皇太子殿下のことを言っていると同じことなんです。総理の奥さんの悪口を徹底的に書き出す。総理は妻だからおれは関係ないということはないでしょう。やはり総理に影響してくる一連のつながった問題です。しかも今まだ小さいからおわかりにならないかもしれないけれども、やはり自分の母親のことを書かれれば、今の浩宮様だって、それに対するいろいろな問題が出てくると思う。それだから、総理はそれは自分に関係ないとおっしゃいますけれども、私は関係あると思う。また総理が、それを、おれはできないのだとおっしゃれば、国民の中で幾らでもわれわれの代理になって告発する人もおるのだけれども、そういうことができないから、やはり内閣としてこれに対する断固たる処置をおとりになったらいいと思う。私は自分のうちの家庭のことをあれまで書かれれば、断固たる処置をとる。場合によっては国会をやめても断固戦う。総理だって総理の奥さんとか子供に対するいろいろなことを書かれれば、これは女房のことだからおれは関係ないよとおっしゃれば——総理はそういう穏やかな考え方もけっこうだが、もうこの際、そういう穏やかな考え方ではなく、たとえば天皇が証人に出られようが何しようが、これは総理も御存じのように、一時わずかな週刊雑誌の漫画にまで書いて、そしてこんな細い足にまでさして漫画にまで書いたこともある。そういうこともあったのだから、堂々と証人に出て、そういうものは徹底的に法の上で処分する。総理も断固引かぬぞという意気をお示しにならぬと、国民の世論がどうとかこうとかいうことは全くおかしいくらいです。われわれ国会議員という位置があるから何もしないけれども、なかったら、私は出刃ぼうちょうや刀とまではいかぬけれども、木刀の一本くらい持っていって、手の一本や足の一本くらいぶち折ってしまって、そのまま検事局に自首してもこれは何でもない。そういう国民が今たくさんおるんだ。ただ総理がどんなことに出てくるかといって、みんな遠慮しているだけで、そういう国民は非常におる。これは皇室だけの問題ではございません。個人だってあれだけ書かれれば、やはりうちに相当いろいろな問題が起きて、告訴するとか善処しなくちゃならぬ。その点を一つ総理も、十分こういうことをお考えなんでしょうが、あまり御遠慮なさらぬでやっていただきたいものだ。  総理は少し何というのですか、低姿勢とおっしゃるのですか、お利口とおっしゃるのですか、さっきの社会党の方の質問にも非常に穏やかに言っていますが、何も社会党知事が出たって考え方が違えば援助せぬだっていいし、けんかしたっていい。政策、考え方が違えば社会党知事を援助せぬでもいい。考え方が同じだったら、社会党だって共産党だって、動員する。そういう点は総理はなかなかお利口だからおやりになりますけれども、皇室の問題もそうだと思う。やはり総理は断固としておやりにならないと、国民からとんでもない不心得な者が出て、そうして大きな問題を引き起こすようなことがありますから、そのときに総理に向かって、総理さえしっかりしていれば、あのとき告発すれば、こんな問題は起きなかったのだということになれば何ですから、これは総理に考えていただきたい。総理の指導者吉田茂さんは、臣茂と言っているくらい、とにかく皇室に対する考え方を持っているのですから、そのお弟子さんというわけではないでしょうが、やはり同志であり、そしてあなたの指導者ですから、そういうつながりからも、この際断固として一つやってもらう。もしやれないなら、おれはやれないから、国民、君らよろしく何かやれとおっしゃれば、それはだれでも立ち上がる。この点を総理一つほんとうに考えていただきたい。  これで私の質問を終わりますが、総理の考えを言っておいて下さい。
  45. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど来御答弁申し上げた通り、だれにも劣らないように考えております。しかし、どういう措置をとるかにつきましては、私は、ただいま申し上げる段階ではございません。非常に考えておることだけを申し上げておきます。
  46. 津雲國利

    津雲委員長 これにて昭和三十五年度決算外三件に対する質疑を終局いたします。     —————————————
  47. 津雲國利

    津雲委員長 昭和三十五年度決算についての議決案は、先般の理事会の協議に基づき、委員長において作成いたしました。  議決案は、各位のお手元に配付いたしてあります通りであります。
  48. 津雲國利

    津雲委員長 この際、議決案の要旨を御説明申し上げます。  すなわち、議決案は、昭和三十五年度決算を、予算の効率的使用及びその実績の観点から審査した結果、次の諸点について特に留意の上、改善策の検討、財政運用に万全を期す等、予算執行の実をあげるよう、その努力を促しております。  第一に、補助金については、補助対象の過大見積もり等による不当支出を招かざるよう政府は、適正な査定、あるいは工事の監督、検収を厳にする等の適切な措置により、その効果を十分にあげ得るよう努力すること。また零細補助金についての整理統合等の抜本的改善策を講ずべきである。  第二に、自作農創設特別措置特別会計所属財産については、所属財産の管理が不十分な事例が認められる。政府は財産の確認、売り払い、所管がえ、弁償金の徴収等の適正な管理を行なうべきである。また土地改良事業の遂行にあたっては、的確なる将来計画に基づいて事業を実施する等により、造成費の回収ができないような事態が繰り返されないよう努めるべきである。  第三に、国有財産の管理処分については、その適切を欠き、これに対する監督の不十分のため、職員の不正売り払いの発生、目的外使用の事例、あるいは売り払い、交換、貸付等に際して、適正評価が行なわれない等の事例が認められる。政府は、責任ある管理体制の確立、台帳の整備、現状の的確なる把握に努める等、国有財産の維持管理に万全を期すべきである。  第四に、政府関係機関及び公団事業団等について、事業目的等の検討、内部監査組織の改善充実の必要なもの、事業運営不適正により事業成績が上がらないもの、経理の処理不適正と認められるものがある。政府は、これら諸機関の業務範囲の再検討、人事の適材適所主義、業務管理機構の整備強化、適正な経理処理等の指導監督を行ない、事業運営の向上または、国の出資、補助金効果が十分に生かせるよう努めるべきである。また、会計検査院が不当と認めた事項については、これを不当と認めております。  以上が議決案の要旨であります。     —————————————
  49. 津雲國利

    津雲委員長 次に討論に入るのが順序でありますが、討論の通告もございませんので、直ちに採決を行ないます。  昭和三十五年度一般会計歳入歳出決算昭和三十五年度特別会計歳入歳出決算昭和三十五年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十五年度政府関係機関決算書を議決案の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 津雲國利

    津雲委員長 御異議なしと認め、議決案の通り決しました。  次に昭和三十五年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十五年度国有財産無償貸付状況計算書昭和三十五年度物品増減及び現在額総計算書、以上三件を一括し、討論に入る順序でありますが、討論の通告もございませんので、直ちに採決に入ります。  各件はいずれも是認すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 津雲國利

    津雲委員長 御異議なしと認め、各件はいずれも是認すべきものと決しました。  この際、大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。田中大蔵大臣
  52. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま御議決の点は十分尊重いたしまして各省、各庁と十分連絡をいたし、その趣旨の徹底をはかりまして、万遺憾なきを期して参りたい所存でございます。     —————————————
  53. 津雲國利

    津雲委員長 次にお諮りいたします。  すなわち、ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 津雲國利

    津雲委員長 御異議なしと認めます。よってさように決定いたしました。      ————◇—————
  55. 津雲國利

    津雲委員長 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  すなわち、歳入歳出の実況に関する件の調査のため、本委員会に電源開発株式会社関係者を参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 津雲國利

    津雲委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人出頭の日時及び人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 津雲國利

    津雲委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十三分散会