○田川
委員 今油壷の水産高校の
あとを一つの例にしてあげましたけれども、こうした例をそのままにしておきますと、あの湘南海岸、特に相模湾一帯、三浦半島のあの海岸地帯がほとんどレジャーのための土地、そういうような享楽施設にそのまま独占されるというようなことになるおそれがございます。現にまだほかにもたくさんございますが、御参考に一、二の例をあげますと、葉山に芝崎海岸というところがございます。葉山御用邸のすぐ隣りでございますが、ここはこれから気候がよくなりますと小学生が遠足に来てそこで昼食をとり、貝を拾ったりして休むようなところでございます。また富士山がすぐ目の前に見えまして、小さな岩礁地帯になっておるところであります。そして非常に景勝の地でございますが、そこが今一万数千坪の埋立
計画が一土建
会社によってなされております。神奈川県の方に申請が出されており、すでに付近の漁民の方々に補償の一部分も渡されておるようでございます。おそらく埋め立ての免許もなされると思いますが、この葉山の芝崎海岸は、先ほど申し上げましたように非常に景色がよくて、子供たちの遊ぶのに非常に適当なところだと思いますが、そのほかにここは三浦半島の最も古い断層がございまして、俗に葉山層群ということを学者が言っておりますが、その葉山層群の露出した貴重な自然文化財でもあり、また相模湾の珍しい海の生物がここに寄ってきて、生物学者の研究所にもなっておるところであります。生物学者に聞きますと、この地帯は伊豆の大島から相模湾に向かって潮流が流れており、そして世界でも最も貴重な生物があそこの芝崎海岸付近に来る、こういうことを言っております。そこが土建
会社に埋め立てられて、モーターボートだとかホテルであるとか、別荘の切り売り住宅になるというような
計画がなされておるようでございます。しかも、その埋め立てをする
業者が東京のある
業者にその
権利を売り渡そうとして、すでに手付金が払われておるそうでございますが、東京の方のその
業者はすでにパンフレットをつくって葉山のこういう海岸に切り売り別荘をやるとか、あるいは娯楽施設ができるからといってその申し込みを受けておるようでございます。そういう例が一つございます。それから有名な江ノ島の海岸でございますが、江ノ島は数年前景勝地として文化財保護法の規定をたしか受けておったと思いますが、これはちょっと私はっきりいたしませんが、重要文化財として指定されたこともあると思います。そこへ鉄塔を建てたり、エレベーターができたりして、国の重要文化財から解除になったようでございますが、引き続き県の文化財として指定されておるところでございます。その江ノ島の海岸に大きな鳥居を建てて、海岸と島とのちょうど中間あたりに大きな鳥居を建てて、そうしてそこへネオンをつけ、民間
会社の広告もつけるというような
計画をしておるように聞きました。これは一つの例でございますが、さらに三浦の、これは油壷のすぐそばでございますが、初声町の入江というところがございます。これも油壷から一キロくらい離れた非常にきれいな海岸です。ここもある
会社に埋め立ての免許が与えられて、何をつくるかわかりませんが、現在埋め立てをしつつあります。その埋め立てがされているために、付近の農民は田の排水ができなくなるということで、今大へん困っておるという話を聞いております。それからまだたくさんございますが、もう一つ顕著な例を申し上げますと、これも油壷のすぐそばでありますが、小網代湾というところに、これは湖水のようなところでありますが、その対岸に別荘が十二、三軒海岸地帯にできております。これは私昨年地方行政
委員会でちょっと
お話をいたしましたが、国有海浜地に別荘が建てられております。この別荘が建てられたいきさつは、私どもも非常に不審に思っておるわけでございますが、付近の漁師が、漁民が、台風になったり、あらしになったりした場合に、その別荘があるために漁船を避難させることもできないということで困っております。また
一般の人たちもその別荘が海岸一帯を占領しておりますので、そこに遊びに行くこともできない、釣もできない、海水浴もできない、十数人の人のために
一般の人たちが遊ぶこともできないというような例がございます。例をあげますと切りがありませんが、この葉山の埋め立ての問題につきまして、二、三文部省と建設省にお聞きをしたいのですが、この葉山の柴崎海岸は、別に文化財の保護法に適用されるようなところではないかもしれませんが、こうした景勝地あるいは学術上必要なところが一部の営利
業者によって埋め立てられる傾向がある、こういうことについて文部省は一体どういうように思っておられるかお聞きしたいと思います。