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1963-03-22 第43回国会 衆議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月二十二日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 津雲 國利君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 鈴木 仙八君 理事 勝澤 芳雄君    理事 西村 力弥君       久保田藤麿君    鈴木 正吾君       田川 誠一君    福田 赳夫君       古井 喜實君    久保 三郎君       森本  靖君  出席政府委員         大蔵事務官         (管財局長)  白石 正雄君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 宮地  茂君         農林政務次官  津島 文治君         食糧庁長官   大澤  融君         通商産業政務次         官       上林 忠次君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      塚本 敏夫君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     三橋 信一君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君  委員外出席者         自治事務官         (行政局行政課         長)      宮沢  弘君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月二十日  委員久保三郎辞任につき、その補欠として稻  村隆一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員稻村隆一君辞任につき、その楠町欠として  久保三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十五年度政府関係機関決算書  昭和三十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十五年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十五年度物品増減及び現在額総計算書(  大蔵省所管農林省所管通商産業省所管)      ————◇—————
  2. 津雲國利

    津雲委員長 これより会議を開きます。  昭和三十五年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は通商産業省所管決算農林省所管決算及び大蔵省所管決算について審査を進めます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私は、先般二月二十日の衆議院の予算委員会の第三分科会におきまして、同僚の田中織之進委員が、三十六年六月三十日三井鉱山株式会社日本炭礦株式会社四国電力石炭納入のため、元大宮鉱業株式会社社長、当時福豊商事株式会社社長宮原隆氏から石炭納入権の譲り受けとして、それぞれ月間納入量三千トンにつき三千万円の、合計六千万円の権利金を三年月賦で払われていると指摘され、通産省として調査をするという御答弁がなされておるようでございますので、その結果はどうなっておるかという点についてまず御回答願いたいと存じます。
  4. 塚本敏夫

    塚本政府委員 四国電力三井鉱山日炭高松との石炭の引取契約の問題でございますが、その後調査いたしましたところ、田中先生から御質問がありましたように、月三千トンずつ両者に対して納入するように契約をいたしております。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それはいつですか。
  6. 塚本敏夫

    塚本政府委員 日付は今すぐわかりますのでお答えいたしますが、大体以前に宮原という者が納めておりましたものを、宮原が納めることができないということで、宮原がやめましてから数カ月後から日炭高松三井の方が納めることにいたしております。両者とも三十六年の四月から三千トンを増加して納入いたしております。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それは四国電力日本炭礦あるいは三井鉱山、こういう形の契約なんですね。
  8. 塚本敏夫

    塚本政府委員 さようでございます。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その契約をもととして納入権が両会社に三千万円ずつ六千万円権利金として支払うことになっておるということでありますが、それはどうなんですか。
  10. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは権利金というようなことは、四国電力三井日炭高松との間には取りきめはありません。ただその事情をちょっと申しますと、宮原四国電力に対して約三千万円借金があった。なお宮原はそのほかに伊予銀行に対してやはり三千万円ばかりの借金があったようであります。これははっきりいたしませんが、そのようであります。白炭が四国電力納入するようになりまして、四国電力に対する宮原借金日炭は引き受けようということで、四国電力との間には宮原借金日炭が払うという約束はいたしておるようであります。なおまた三井伊豫銀行との間にはこれは間接でありますのでわかりませんが、三井宮原借金伊豫銀行に対して払おうということで契約をしておるようであります。これははっきり突きとめておりませんが、少なくとも四国電力日炭との間には、四国電力に残っておりました宮原に対する債権を日炭が引き継いでおる、こういう事実があるようであります。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、四国電力借金肩がわり日炭がしたのはいつですか。
  12. 塚本敏夫

    塚本政府委員 その借金肩がわり契約書は、今ちょっとはっきりしませんが、大体三十六年の四月に納入契約をすると同時に、肩がわり契約をしておると記憶いたしております。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 伊豫銀行の三千万円の件について、三井が継承したのはいつですか。
  14. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは伊豫銀行三井との関係でございまして、銀行の方までまだ調べておりません。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 宮原関係伊豫銀行の三千万円を三井が引き継いだという今の御答弁は、どういう資料といいますか、調査といいますか、どういう結果でそういうことがおわかりになってきたのですか。
  16. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは四国電力をわれわれが調査いたしましたときに、そういうことがあるらしいということもわれわれちょっと承っておりましたので、田中先生から承っておりましたので、その点を四国電力に対しまして聞きましたところ、たぶん伊豫銀行との間にそういう契約があるのじゃないかという四国電力側からの話でありました。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 これは国会の場所ですから、先ほどの御答弁は相当確実なものだと私はこういうふうに承っておるのですが、結局、石炭納入権というようなものについては、それは認めないということが前会通産大臣からも言われました。しかし、明らかにされておることは、三井についての三千万トン、日炭に対する三千万トン、この宮原の持っておった譲渡をめぐって、とにかく両方に三千万円ずつ支払ったであろうということは推定できると思いますが、そういう点についてはどうお考えになりますか。
  18. 塚本敏夫

    塚本政府委員 日炭高松三井がおのおの宮原債務を引き継いでおったであろうということは、ほぼわれわれの調査からも推定されるようであります。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 このような石炭納入をめぐって宮原日炭、それから三井、こういう関係で金が支払われたという事実については、四国電力幹部は御存じなんですね。
  20. 塚本敏夫

    塚本政府委員 宮原三井日炭高松とどういうような金銭の授受をやったか、その辺はよくわからないのでありますが、少なくとも日炭高松四国電力に対する宮原債務を弁済しておることは事実であります。なお伊豫銀行に対して三井もこれを肩がわりをして弁済しておることも事実のようであります。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 宮原石炭納入権というものが三井日炭高松に移った、こういうことは先ほどの三十六年の四月の契約書で明確になった。その裏書きとして今のような借金肩がわりなり融資が行なわれた、こういうことになるならば、四国電力株式会社幹部承知をしておる、こういうふうに理解せざるを得ないと思うのです。そこで、もう少し突っ込んでお聞きいたしますと、四国電力社長中川さんがこれをあっせんをした、こういうお話でありますけれども、これはいかがですか。
  22. 塚本敏夫

    塚本政府委員 宮原三井ないしは日炭高松との間のそういったやり取りを四国電力社長あっせんをしたということは、われわれ聞いておりませんが、会社側では、会社の方からそういうことを干渉したというようなことはないということをいっております。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 宮原四国電力に入れておった大宮鉱業というのは、三十五年の九月倒産をした、こういわれておりますが、その通りですか。
  24. 塚本敏夫

    塚本政府委員 その通りであります。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 倒産をしたあと、この宮原福豊商事というのをつくったそうですが、これはいつつくられましたか。内容はどうなんですか、資本金等……。
  26. 塚本敏夫

    塚本政府委員 福豊商事ができましたのは三十五年十一月十五日でありまして、これは資本金百万円であります。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そのおもな重役名前はおわかりになりますか。
  28. 塚本敏夫

    塚本政府委員 重役名前調べればわかると思いますが、宮原社長だということしかまだ承知しておりません。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 福豊商事というのは、四国電力石炭納入しておったのですか。
  30. 塚本敏夫

    塚本政府委員 福豊商事四国電力との間に石炭納入はやっておりません。
  31. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、大宮鉱業は三十五年の九月に倒産をしたと同時に、四国電力との石炭納入権を消滅した、こう理解してよろしゅうございますか。
  32. 塚本敏夫

    塚本政府委員 宮原大宮鉱業がつぶれましてから大豊鉱業というのを三十五年の十二月につくっておりまして、それから三十六年二月にこれも解散になっておりますが、その間に四国電力に対して五百トン納入いたしております。
  33. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、電力会社石炭納入というのは、どういう形でなされておるのですか。この大宮鉱業、それから大豊鉱業、そしてそれが直接日炭三井、こういうふうに移ったのですが、この辺はどういうふうになっておるのですか。
  34. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは大宮鉱業四国電力に対して六千トンの納入の義務を負っておったわけであります。これが納められなくて大豊鉱業になりまして、この大豊鉱業がその六千トンを四国電力に納めるからということで、大豊鉱業をつくったわけであります。その後、これはさっきも申しましたように、五百トンだけしか納められなくて解散になっている、こういうような状況であります。一応大宮鉱業が六千トンだけは納入する契約を結んでおったのであります。その契約大豊鉱業譲渡した、契約の責任を大豊鉱業に負ってもらうように譲渡して、その譲渡した部分全部を完済と申しますか、納入できなかった、こういうような状況になっております。
  35. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大宮鉱業大豊鉱業の間、あるいは四国電力との関係、この間は契約書はそういうふうに取りかわしがされておるのですか。
  36. 塚本敏夫

    塚本政府委員 大宮大豊及び四国電力との間には、そういう契約はあるようであります。
  37. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大豊日炭三井四国電力、こういう形の契約もなされておるのですか。
  38. 塚本敏夫

    塚本政府委員 大豊鉱業三井ないしは日炭高松との間には全然契約はないようであります。
  39. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと石炭納入権というのを大宮鉱業大豊鉱業譲渡した、大豊鉱業の方は三井鉱山なりそれから日炭には譲渡契約はない、三井とそれから日炭とは直接的なものだった、こういうことになるわけですね。
  40. 塚本敏夫

    塚本政府委員 そういうことになるわけであります。
  41. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 三井日炭というのは、この契約が増量されるまでは、直接的に四国電力との石炭納入は行なっておったのですか。どうですか。
  42. 塚本敏夫

    塚本政府委員 三井日炭高松はおのおの六千トンずつ、それまでに直接四国電力に納めておったようでございます。
  43. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうすると、ここで明確になって参りましたのは、結局直接入れておった、今度は間接的に納入権を買うために三千万円が支払われた、合計六千万円が支払われた、こういうことが明確になってくるわけです。そのことは、なぜそうしたかといえば、結局先ほどお話がありましたように、四国電力大宮鉱業宮原は三千万円借金があった、この借金というのはどうして生じた借金ですか。
  44. 塚本敏夫

    塚本政府委員 大宮鉱業四国電力に対する借金の約三千万円、これは四国電力から大宮鉱業に対して前金を渡しておったのであります。その前金が、石炭を納めたために残額として三千万円残っておる、こういうことであります。
  45. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この四国電力というのは、石炭を購入するときにいつもこういう形でやっているのですか。ほかの三井なり日炭なりにもこういうことを行なっておるのですか。
  46. 塚本敏夫

    塚本政府委員 各業者にそういう前金をやるということではありません。業者によって前金をやる場合もあるし、特にまた石炭の取得が非常に困難な場合等におきましては、そういった措置もとっておるようであります。
  47. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この場合は大宮鉱業だけにやられておったのですか。三井日炭にも行なっておったのですか。
  48. 塚本敏夫

    塚本政府委員 日炭高松三井にはそういった前金はやってないようでありますが、そのほかの一、二社については前金をやっておったようであります。正確にはまだその点は調べておりません。
  49. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 四国電力は、どういうところから石炭がどれだけずつ月間入っておるのですか。
  50. 塚本敏夫

    塚本政府委員 その当時どういう業者からどういうようにとっておったか、調べればすぐわかりますが、今資料の持ち合わせがありませんので、あとでまた調べてからお知らせしたい、かように思います。
  51. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 政務次官、今の経過をお聞きになっておったと思うのです。大宮鉱業というのは四国電力に月六千トン納入する権利を持っておった。そして大宮鉱業破産をして、その社長宮原さんという人が今度大豊鉱業というのをつくった。しかし、つくったけれども、実際には五百トンしか納入する力がなかった。それでそれも破産をした。そしてその宮原さんがこの納入する権利日本炭礦三井鉱山に譲り渡した。石炭納入権という権利のお金かどうかわかりませんけれども、その結果四国電力宮原さんの借金の三千万円が日本炭礦肩がわりをさせられ、それから伊豫銀行から三千万円が宮原さんに三井名前融資をされた、こういうことなんです。石炭納入権についてはそんなものあり得ようはずがないということは、通産大臣がこの間予算分科会田中委員質問に対して答弁をしたわけです。しかし、これは明らかに四国電力経理の中に不明朗なものがあるということを指摘せざるを得ないと思うのですが、政務次官の御所見をお聞きしたいと思います。
  52. 上林忠次

    上林(忠)政府委員 石炭納入権というようなものがあるかないか、私もはっきり存じません。私途中から参りましたので、全体を聞いておりませんが、そういうような権利があるかないかを後ほど事務局の方で調べてみたいと考えております。
  53. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その程度政務次官質問するのをやめておきます。  そこで、四国電力石炭納入権譲渡についてやはり三井鉱山なり日本炭礦なり宮原さんと、この三者の中であっせんをした、私はこういうふうに見ざるを得ないわけです。またいろいろな資料によりますと中川社長が入っておったというお話をしておるのですが、その辺のことについてはもう一度御答弁願いたいと思います。それは先ほどあなたは、会社側の説明によればと、こう前提をされておりましたけれども、この問題については委員会指摘をされた、そしてお調べになっているわけですから、公益事業局長としての調べた結果に基づいてある程度の真偽というものについてお答え願いたい。
  54. 塚本敏夫

    塚本政府委員 われわれも、その当時は御承知のように石炭が非常に不足するときでありました。電力会社としては、特に四国はそれまでに大手との取引が少なかったわけでありまして、そういう面で石炭供給の安定上大手を選ぶということは、各電力会社ともその当時においてはいわゆる売手市場の場合、電力会社側の方が立場としては弱いときであります。そういうときに三井ないしは日炭高松石炭納入するのに、どうして宮原さんの債務を引き継がなければならなかったかということがよくわからないわけであります。その点会社側にも、会社の方でそういうことを強制的にやったのかということを聞いたのでありますが、会社側としてはそういうことはやっていないということでありました。これもそれ以上われわれといたしましても突っ込んで調べるわけに参りません。それ以上のことにつきましては、できますれば今後ももちろん会社側に問いただしてみたいと思うのでありますが、今までわれわれが聞いておりますところでは、そういう事実はないということであります。
  55. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 電力会社公益事業でありまして、これについての監督権というものは相当あると思う。ましてや経理自体の中から料金がどのようにきめられるかということでありますから、少しでもむだなくそして低廉な電気を送るというのが任務であるわけでありまして、そのような会社の中でこういう不明朗な、ましてや一緒になってやっているというようなことが見えることは大へん遺憾なことであります。これはまたあとで続いて質問することにいたしまして、四国電力三井鉱山なり日本炭礦融資をされておるということでありますが、これはどの程度融資をされておりますか。
  56. 塚本敏夫

    塚本政府委員 四国電力日炭高松三井融資しておるということは、石炭納入につきましてそういう前金的な融資はやっておりません。ただちょっと今ここに資料がありませんが、三井三池が非帯に苦しかったときにおきまして、九電力会社でそれを助けるために各電力会社ごと三池に対して融資をした事実はあるようであります。
  57. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その融資総額が十億だと言われておりますが、そうですか。
  58. 塚本敏夫

    塚本政府委員 額は今ちょっと資料を持ち合わせませんが、九社全部で多分十億程度ではなかったか、かように記憶しております。
  59. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 それは三池争議のとき三井鉱山の経営が困難になった。それで九電力からこれを融資した、こういうことなんですね。
  60. 塚本敏夫

    塚本政府委員 そういうことであります。
  61. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その融資の金は、電力会社はどこから出たのですか。
  62. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは会社経理上どういう支出をしたか、全部について調べておりませんが、石炭納入代金予算があるわけでございます。そういった予算の中から前金的に融資をしたのではないか、かように考えております。
  63. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 公益事業であって、経理についてはあなたの方が相当監督をしなければならぬ。そういう立場からいうならば、あまり抽象的な御答弁は、私は大へん残念だと思うのです。電力料金を値上げするかどうかということで世上大きに問題になっております。ですからあなたの方は、経理については相当詳しくお調べになっていなければならぬはずだと思う。九電力に十億も融資をする力があるというならば、料金の値上げについても当然検討されるべきものだと思う。  そこで、現在開銀から電力会社融資されている現況はおわかりになりますか。——それはあなたの方で扱ってないのですか。
  64. 塚本敏夫

    塚本政府委員 開銀から電力会社に対しまして融資は毎年やっておるわけであります。その額については今資料を持ってきておりませんが、年度別にすぐ出ますので後刻お知らせいたしたいと思います。
  65. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 開銀から電力会社に入り、電力会社から石炭会社に入っている、こういう形になるわけですが、これはあなたの方から資料を出していただいてからまたもう少し詳しく御質問を続けることにいたします。  それでは次に、この四国電力の中の大森川発電所建設工事にあたりまして、当初の予算が二十五億だといわれておりました。しかし、最終清算では三十五億もかかった。十億も余分にかかった。しかも工事費見積もり過大水増しがあるではないかということが、先般の委員会においても指摘をされておりますが、御調査の結果はどうなっておりますか。
  66. 塚本敏夫

    塚本政府委員 当初大森川計画は二十二億五千万円、それが最終清算におきましては三十四億五千百万円になっております。
  67. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうなっておって、しかも工事費見積もり過大水増しがあるということが先般の委員会指摘をされて、あなたの方で調査をするということになっておるわけですが、その結果はどうなっておりますか。
  68. 塚本敏夫

    塚本政府委員 最終清算の三十四億何がしにつきまして水増しがあるかどうかということでありますが……。
  69. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 いやそうじゃないです。二十五億が三十五億になった。こういう見積もり違いがあったということは過大だと思うのです、けれども、それはそれとして、工事費の中で見積もり過大であったり水増しがあったということが、前会田中委員から指摘をされておる。それに基づいてあなたの方が調査をしますということになっておる。ですからその調査の結果がどうなっておるかということをお聞きしておるわけです。
  70. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは当初の二十二億五千万について水増しがあったかどうかということと、それからなお最終清算におきまして水増しがあったかどうか。これは清算の場合におきまして、当然変えるべき計画を変えて、そのために額がふえたという場合におきましては水増しがないわけでありますが、その計画を変えないで支払う場合は水増しになるわけでございます。なおまた計画はふやしたけれども、それだけふやす必要のない計画を立てたという場合も水増しと見るべきだと思うわけであります。この場合におきましては、三十四億何がしの計画につきましては役所承認を得ておりますので、その間の計画につきまして水増しがあったかどうかという問題であろう、かように考えるわけであります。これにつきましては、ある人からそういった点につきまして話もありましたので、会社側としましては去年の秋ごろよりその真実を究明するための調査委員会をつくりまして、現在その調査を進めておるわけでございます。現在の段階におきましては、やはり幾らか実際支払った額より実際の工事量は少なかったのではないかということで、現在なお調査を進めている段階であります。
  71. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 その調査というのは通産省の中で調査しているのですか。
  72. 塚本敏夫

    塚本政府委員 これは会社側資料によりませんと、なかなか実体をつかめないわけであります。役所に対しましては最終的な工事計画だけの承認でありまして、その間におきますいわゆる堀採量、土の量等につきましては、こまかい資料役所に出ないわけであります。そういった土や岩石の堀採量につきまして、会社側資料によりまして会社としては現在調査を進めておる段階であります。なおまた会社側だけの資料では、御承知のようにダムは完成いたしますと水が全部たまりますので、調査が非常に困難でありますので、そういった点でその他の資料も求める必要があるわけでありまして、その当時請け負いました組に対しましてもいろいろ調査を進めておる段階であります。
  73. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この工事についていろいろと問題が指摘されている、そのために調査をしているのですが、その調査会社の中でやられておるならば調査の価値はないと私は思う。監督官庁であるあなたのところでその調査を進めているなら大へんけっこうだけれども、その点が御答弁の中ではよくわからないのですが、それはどっちですか。
  74. 塚本敏夫

    塚本政府委員 われわれとしましては、まず会社の方でそういった調査を進めまして、その結果によりまして不審な点がありますれば、さらにわれわれも突っ込んで調査するわけでありますが、まず第一段階としては会社にわれわれが調査を命じまして、それが納得のいく調査でありますれば、その会社調査でいいわけであります。それについてわれわれとして納得がいかない場合におきましては、さらに役所において調査する、こういうような考えでおります。
  75. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大森川堰堤セメントの使い方の結果亀裂が生じたということであります。これは技術的にも問題があったけれども、資材納入の上でも問題があったということが伝えられておりますけれども、その点はどうですか。
  76. 塚本敏夫

    塚本政府委員 堰堤セメント高炉セメントというセメントを使っております。これは御承知のように一般セメントより価格が安いわけであります。現在から考えますと、高炉セメントを使ったためにある程度亀裂が生じたのではないか、こういうように結果論的には考えられるわけでありますが、その当時におきましては、高炉セメントを値段の点で相当各電力会社とも使っておるわけであります。その当時におきまして、セメント納入について会社側にそういった問題があったというようには、われわれ承知しておりません。
  77. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 現場の技術者の話を聞いてみますと、高炉セメントでは当然こういう亀裂が生ずるであろうということが指摘されたにかかわらず、なぜか高炉セメントを使われた、こういうふうに言われておりますが、その点についてはお調べになっておりますか。
  78. 塚本敏夫

    塚本政府委員 その当時会社内部で技術的にそういった問題があったというようには聞いておりませんが、その後亀裂を生じてからそういった意見が出たということは、われわれも聞いております。
  79. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 高炉セメントを使用するに至った経過のいろいろな書類をお調べになれば、今私が言っている裏づけがなされるはずであります。御調査になる権利がありますから十分検査をしていただきたい。よろしゅうございますか。
  80. 塚本敏夫

    塚本政府委員 その点も十分調査いたしたいと思います。
  81. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最後に、この大森川の発電所建設工事を担当していた堤一雄という土木課長が、工事費が一億数千万円むだであるということを指摘したために、三十四年七月一日に現場から引き上げられて、その上、先般田中代議士が予算委員会分科会質問をしたことを契機に、三月四日付で出勤停止処分を受けておるということでありますが、この事実を御存じですか。
  82. 塚本敏夫

    塚本政府委員 堤一雄という人が現場の課長からその後本社に移りまして、最近になりまして出勤停止ではありませんで出勤禁止になっております。これは、その出勤禁止はこの国会で田中先生がああいう質問をされたのを契機にという御質問でありますが、それはそういうことを契機にやったのではないわけでありまして、堤一雄という人が会社資料等をいろいろ持ち出しまして、まあ大森川事件につきまして会社としても調査を進める上に非常に不便を感じたわけであります。そういう会社のいわゆる公文書をみだりに持ち出してそれを返さなかったりあるいは棄損したり、そういった状況があったのであります。そういう点で堤氏を懲戒に付したいということを会社側できめまして、懲戒に付する理由には特にそういった書類の持ち出し等の事実がありましたので、そういうことが今後においても予想されますので、そういう意味におきまして出勤禁止にしたということであります。この国会であの問題が取り上げられたから堤一雄という人を出勤禁止にしたのではないということであります。
  83. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 政務次官にお尋ねしますが、今局長から言いましたような御説明です。まあ事務当局としてはその御答弁で仕方がないと思うのです。しかし、問題になるのは、二月二十日に田中織之進代議士が予算委員会質問をした、その質問の内容について少し事実と違っておるということでこの堤土木課長は上京したわけです。その上京している留守の間に、三月四日付で今言いましたように出勤禁止になった。国会における議員の発言によって一人の有能な技師がこういうような処分をされるということは、私は大へん遺憾しごくだと思うのです。今田中代議士も、会社社長に対してこの経過についての質問をするための手紙を出しているようであります。やがて質問に対する御回答もあると思うのですけれども、これはただ単に事務的な問題として、公文書を持ち出したとか、機密の漏洩をしたとかいう理由だけで問題を処理したならば、私は重大な問題だと思う。国会におけるわれわれの発言によって、その発言の中からその人が傷つけられたということになるならば、これは大へん問題だと思う。この点は一つ政務次官も大臣とも相談して、私は慎重な取り扱いをしていただきたいと思うのですが、その点についての御答弁を願います。
  84. 上林忠次

    上林(忠)政府委員 先ほどから聞いておりますとだいぶこんがらかった問題のようであります。これは慎重に取り扱わなくちゃならぬと考えておりますが、事業会社としましては機密漏洩をしないようにいろいろな会社の規律があるはずであります。その規律に反したことをやったという事件でありまして、これをどういう工合にさばくか、これは私らの方で直接手をつけるべき問題か、あるいはその他の方法で処置すべき問題か、われわれとしても研究はいたしますが、とにかく会社の機密を漏洩した、あるいは規律を乱したというそしりは受けるのではないか。これは私次官としての考えでございますが、後ほど十分検討いたしまして、大臣とも相談いたしまして御返答申し上げたいと考えます。
  85. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 政務次官、前提として機密を漏洩した、持ち出したという立場に立ってこの問題を解決しようとしてはそれは問題なんです。ですから私はあなたに答弁を求めた。私の見る立場ならば、私が前段に申しましたように一億数千万円——これはもし会計検査院が国の検査として行なったら、これは積算の違いだ、これはむだな使い方である、不正という言葉は適切かどうか知りませんけれども、不当と指摘される事項が一億数千万、私はあると思う、それを指摘したために三十四年の七月一日から現場の一線技師が引き上げられたのです。そしてたまたまこの技師が、資料を出したか出さないかは別として、その六項目にわたる各項目が世間にわかったために、田中代議士がこれを国会で質問をした。その質問の中で堤土木課長という名が出たために、田中代議士の質問の中身が少し違っておるということで、田中代議士と打ち合わせに上京してきている留守に出勤禁止を食った。ですからこれが機密漏洩とか書類持ち出しとかということでやられることについては、それは会社でやるのはいいでしょう、しかし、そこに一つの政治がはさまっております。われわれ国会議員の立場として、国会の中における発言によって一々他の人が傷つけられることになると大へんなことだ。国会議員の立場から、自分の発言によって第三者がそういう目にあった、これは重大な問題だ。だから、機密漏洩とか何とかで会社で処分するので、私の方で言うべき筋合いでないということは、事務当局としてはいいでしょう。しかし、政務次官としては、慎重に、四国電力ともよく相談をして、あるいは大臣とも相談をしてやらなければ、われわれ国会における国会議員としての発言自体がこれから押えられる、抑圧される、そのことを私は言っておるわけでありますから、一番最後の方はよかったがまん中の方がどうも変ですから、そこをもう一度伺いたい。
  86. 上林忠次

    上林(忠)政府委員 国家の問題といたしましては、会計検査院の問題でもありますし、それは一会社の問題としての問題でもないということでありまして、われわれとして国の大きな問題としまして、会社の内容も一応調査いたしまして、大臣と話し合いの上の結果を待ちたいと考えます。
  87. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 政務次官電力会社というのは一般の民間会社ではないですよ。これは公益事業であって、国から相当たくさんの金が出ておるわけです。言うならば国民の血税がここに使われておるわけです。その会社経理ですから、これはわれわれとしても重大な関心を持たなければならないわけであります。会計検査院こそ行かないけれども、公益事業局は相当大きな権限を持って調査することができるわけでありますから、その点は十分お考えをいただきたいと思います。  そこで私は最後に委員長に、これは先ほどから私が質問いたしました経過でおわかりになったと思いますが、四国電力株式会社経理は、まさに私は伏魔殿だと思う。これは相当前からこの国会の内外で報ぜられておりまして、しかし、それはどうも一部のものではないだろうかと思っておりましたけれども、私は、きょう質問をしてみて、その質問の中から出てきた公益事業局長等の答弁によって、これは明らかにこの事実を裏書きするようなものが出ている。これは当然公益事業であるこの電力会社が、国民の血税を開発銀行を通じてたくさんな融資を受けておる会社でありますから、これはここにこのまま済ませるわけにいかないと思うのです。従って、一つ別の機会で要請いたしますが、私は、この四国電力社長、それから大宮鉱業社長であった宮原さん、あるいは前会長の宮川さん、あるいはまた、結果によっては土木課長の堤さん、これらの方々に一回出てきていただきまして、十分調査をさしていただきたい、こういうことを特に申し上げて、いずれいつどう処置するかという問題につきましては、理事会にお諮りを願うことといたしまして、質問はこれで終わります。
  88. 津雲國利

    津雲委員長 ただいまの勝澤君の申し出につきましては、理事会において、本委員会勝澤君が述べられたような社長以下の重役をお呼びするかどうかにつきましてもきめたいと思います。  次に西村力弥君。
  89. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この間の決算委員会でもちょっと問題になったのでありますが、その繰り返しのようになりますが、今年度産米の消費地向け搬送というものが例年に見ない急ピッチで行なわれて、生産地の倉庫はからっぽになっておる。その輸送命令がきたために貨車回りができない状態のところで、倉庫から持ち出して駅の倉庫に一日、二日放置したとか、そんなところまでも出ておるのです。そのために生産地の農業協同組合というものが、倉庫料の収入というものが激減する。それで農協さんの方においてはそれはやめてもらいたい、どういう事情でそう急ピッチに送り出すのか、こういうことで交渉した。交渉してみると、食糧事務所の方では、それぞれの理由を申し述べて、結局やはり引き下がらざるを得ない、こういうことになってきておるわけなんでありますが、どうも私はその点の疑問が解消しないわけなんであります。それできょうお尋ねをしていくわけなんでありまするが、一体、そういう工合に大急ぎで多量に送らなけりゃならなかったという一番の理由は、やはり消費量の増大、やみ米依存率の低下、こういうところにあると、大澤長官、そういう工合にやはりお考えでありますか。
  90. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 御承知のように、三十五年は非常な豊作でしたけれども、三十六年はいろいろ災害がございまして数量が減りました上に、品質の悪い米がふえるというような事情があったわけです。そういうことにもかかわらず、政府へ集まって参ります米は、三十五年の非常に豊作でありましたときよりも数量が多くなっている。そういうことでやみ流通量というのは確かに減っておると思います。そういうことが政府の配給米に依存する度合いを高めている。従って、政府が配給する数量は、一人当たりにいたしましても前年よりはふえてきておるという結果を来たしております。そういうことで政府の配給量がふえ、それからやみの流通量が減る。相関連することでございますけれどもそういうようなこと、しかも三十五年に比べて三十六年は生産量が減って、低質米が多いということと関連をして、従来古来の持越量が年々ふえておりましたが、それでこれを配給に回すというようなこと以外に、十月ごろから新米が早く生産されますところのものは、早く輸送をして配給に回すという必要があるために、今おっしゃるようなことがあるわけでございます。
  91. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それで今のお話ですと、三十五年産米のときの政府売り渡し量よりも、三十六年は条件が悪くても売り渡し量がよけいになっている。にもかかわらずやはり早急に消費地に集中しなければならぬというような事態が起きたのでありまして、これは消費の伸びたということだと思いますと仰せられるが、私が調査してみますと、あなたのおっしゃることはうそだ。きのう休みだから、グラフまでつくってやってみましたが、うそだということが出て参りました。そういう言い方はうそだということが出ている。東京都だけとってみたのでありますが、この総理府統計局の統計資料に基づいて調査してみますと、世帯当たり、これは構成人員が変化すればそれはとにかくといたしまして、一人当たり米穀の購入量というものは、配給を受ける状況が、数字で言いますと三十五年の六月が五・四八キロ、これは月ですよ。三十六年の六月が六・〇六キロ、そうして三十七年になって参りますと、三十七年の一月は三・七九、二月が四・三八、三月が四・八四、五月が四・六六、六月が四・八二、七月が四・二七、八月が四・五四、九月が四・一二、十月が四・五五、こういう工合に出てくるのです。これは一世帯当たりの統計による一カ月の購入量、受配量を世帯の平均構成人員で割ってみると、こういう数字が出てくるのです。ですから三十五年は五・四八、三十六年の六月が六・〇六、そうして十月が五・一二、こういう工合に出てきますが、三十七年に入りますと、全部四キロ台と出てくるのです。そうしますと、一体消費量が、配給依存度が高まり、やみ依存度が下がったという言い方はうそだということになる。それから一面やみの一人当たりの配給量を調べてみますると、このグラフで一目瞭然なんですが、やみの消費量というのはだんだんと上昇傾向をたどっておる。総理府統計局の統計によって、一世帯当たりのやみ依存量というものを世帯人員で割ってみると、三十七年の一月が〇・九二キログラム、そうしてずっと今度は二月から一・五七、一・四九、一・三六、一・六〇、一・四九、九月が二・〇四、それから十月が一・八六、こういう工合に大体上昇傾向をたどっている。こういう工合に出てきておるのです。こういう工合に出てきておるのだから、あなたが言うように、配給を受ける量がよけいになったからというような言い方は、事実をもって否定されている。ところが確かにやはりこのあなたの方の出した資料に、内地米の売却数量というものを見ますると、東京都では去年の六月は七七・一、三十七年が七七・〇、だからこれは増高してない。それから七月が七〇・四、三十七年が六八・六だから、これは減っている。八月が六九・六、三十七年が七二・二だからこれはふえている。九月が六九・四、七五・九、十月が六八・九、八二・三、十一月が七一・一、八七・四、そうして十二月になりますと、三十六年は八六・五、それに六六・一と激減している。確かにそのように東京における内地米の配給売り渡し数量というものが、これは卸売に売り渡たすのだと思うのですが、これは三十七年の八月以降ずっと上って、十一月がピークになっている。十二月になったらがったりと落ちている。こういう資料が出ております。この面だけ見ると、配給数量はやはりよけいになり、それを受ける数量がよけいになったんだ、こういうことが言えるのです。確かにその通り言えるのです。言えるのですが、これはこの資料を克明に検討してみるまでもなく、十二月一日の値上げ前の十一月は、やはり七一・一に対比して、八七・四と大きく売り渡し量がふえた。だからこれは値上げ前に買いだめをしたん、だろう、こういう言い方が出る。買いだめをしたから、今度は十一月は要らなくなったから、前年八六・五に対して、ことしは六六・一と激減した、こういう言い方は立つでしょう。立つでしょうが、こちらの先ほど言うた資料に基づくと、これはうそだということになる。だから、このように売り渡しをよけいにしたのは、これは個人にいかないで、どこかにいっているということになる。それはあなたの方でも始終問題にしておるわけなんで、前から問題にしておるんだから、大体の見当はつくだろうと思うのです。思うが、この席においては、それを言わずに、配給受配量の増大だ、こういうふうな言い方であなた方は言っているのですが、これは新聞記事をずっと見ますると、とてもおかしい。配給上のからくりとか、さまざま、あなたの方でも調査をしたというような、こういうような新聞記事がたくさん出ておるわけなのであります。ところであなたの方では、大体十二月一日から配給値段を値上げするというふうなことは、予防措置としては、いつごろからどういう手段をとられたのですか。すなわち予防措置というのは、値上げじゃなくて、値上げに伴う買いだめ防止の予防措置、これはいつごろからどういう手段をとられたか、これは一つ明瞭にしてもらいたい。
  92. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 御承知のようにただいまの配給は一人一カ月十キロを限度にいたしまして、その月に取り残すというようなものがあれば翌月も取り得るというようなことで配給をしておるわけですが、しかしながら、実際の売れ行きを見ますと、大体全国平均見まして八キロ程度、従いまして、その程度のものを毎月お米屋さんを通して政府の米を売るという形をとっておるわけでございます。そのことは米価の値上げをいろいろ検討しておりましたときも検討いたしませんでやっております。と申しますのは、そういうことで消費者の方に急に制限をしてしまうというようなことは、いかがなことかとも思いますので、今まで通りの配給を続けて十二月一日からは消費者米価の値上げをするという措置をとったわけでございます。そこで今おっしゃる買いだめがあるということのお説でございますけれども、政府の米の売れ行きは徐々にふえてきているということは先ほど御指摘のあった通りでございますが、そのものは十一月、十二月多少の前年に比べまして売れ行きが多いということはあったようでございますけれども、それが特に買い、だめをするために多く買われたというような数字だというふうには私ども見ておりません。
  93. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、一体、もう値上げが近いということが巷間に流布されてきたころから、九月、十月、十一月とずっと売り渡し量がふえている。この間特別に東京の配給人口がふえたのか。そうじゃないでしょう。こんなに極端に一万何千トンも月によけいに消費するような人口というものが、急激にそうふえるはずはない。だから買いだめだと私は言わない。それはなぜかというと、この資料によって買いだめじゃないということになっていますからね。だから値上げの問題が大体うすうすわかりかかった九月から、前年に比べてよけいに売り渡しが求められてきておるということになってきておるのですよ。そうすると、買いだめでないとすれば、これは一体どういうことなんだ。この資料の説明は一体どうなんです。常識的に考えて十二月一日の配給値段の値上げだ、こうわかってくれば、その前からいろいろ手当をして、安いうちに買おう、こういうような気分を消費者あるいは業者それぞれ持つに違いないのですよ。その現われだ。ところが消費者のものではないということになると、これは業者の思惑だ、こういうことになってくるのです。この点はどうですか。
  94. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 米の値上がりがするというようなことで心理的に響いて、消費者が多少は通常買われるものよりよけい買うということはあり得たと思いますが、そういうことがおっしゃるような買いだめというようなことであったと私思いません。
  95. 西村力弥

    ○西村(力)委員 だから私が言うのはそっちじゃない。いうならば、これだけ増量したのはどこに原因するかということです。それだけよけいあなたの方で卸業者に売ったのですよ。
  96. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 私申し上げますのは、十一月、十月ころに多少よけい売れたということがございましても、これはお米屋さんが買いだめをするというようなことではなくて、むしろお米が上がるというような心理的な影響から多少消費者の方が多く買われる、あるいはまた消費の工合からそういうふうになったというふうに考えてしかるべきものじゃないか、こういうことを申し上げているわけでございます。
  97. 西村力弥

    ○西村(力)委員 あなたの言うのは、買いだめというほどじゃないけれども、それぞれ幾らかずつ買い増しをした、それが集積されてこの数字になったんだ、こういうような言い方でありまするが、しかし九月、十月と配給受配量というものはぐっと下がっているのです。総理府の統計によればちっとも伸びないのです。しかも実態的に言いますと、勤労者がそうよけいに買い増しをするということは、これはとてもできっこないことなんですよ。だから、この通りこの統計に表われていると思うのです。一世帯当たりにしましても、配給を受ける量というものは全然伸びていない。一人当たりにしたって全然伸びていない。横ばい状態むしろ下降傾向をたどっているという工合にさえ言える。十月はちょっと盛り返しましたけれども、それだってやはり去年の五月、三月、二月のそれよりもずっと低いということになってきている。ですから、これはやはりどうしてもこの消費者のいささかの買い増しというものが原因だ、こういう工合には言えないんじゃないか、そう私は言わざるを得ないわけです。
  98. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 先ほどのお話は、私ども家計調査の新しい数字をここへ用意しておりませんのでなんですが、家計調査と私どもの方で配給をいたします数量との間には、それぞれ調査の基礎が違いますので、食い違いがございます。あるいはまた食糧の需要状況はどうかというような判断をいたします場合に、食糧需給表を使ってやります。これとの間にも食い違いがございます。あるいはまた農家経済調査あるいは厚生省でおやりになっている調査というようなものそれぞれの間に食い違いがございます。しかしながら、言えますことは、米の消費量が全体を通じて見ますと、家計調査以外は大体横ばいかあるいは多少一人当たりの消費がふえておるというような傾向があるわけでございます。それと家計調査との間の食い違いということは、私どもどういうわけでそういう食い違いがあるだろうかということをいろいろ研究をしておりますが、必ずしもまだ的確な判断ができませんけれども、ただいまの米の消費は、ここ一、二年前の様子では、もうずっと減っていくというような判断があったことがございますけれども、ただいまのところは横ばいあるいは微増というのが、今家計調査以外のものを使ってやります場合には出てくるわけです。家計調査では、たとえば外食というようなものの数字が的確につかめないということもございますので、そういう食い違いがあるのかと思うのですが、その食い違いの原因はなかなかわかりません。しかしながら、私申し上げたように、政府の配給は一人当たりについて徐々にふえていっている。しかしながら、特にまた十月、十一月もそういう傾向をたどっていたと思いますけれども、それが不当な、何か買い占めが途中に行なわれていたというようなことにすぐ結論をつけるということは、ちょっと行き過ぎじゃないかというふうに私感じております。
  99. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私もそれは詳しく的確には言えませんけれども、ただ政府の直接販売の数量が昨年の八月以降どうなっているか。それは自衛隊用とか病院用とかさまざまあるわけですが、そういうものは少しも伸びていない。そこで、この売り渡しがよけいになったということは考えられない。しかも、この統計にはそういう直売は入っていない。それは主食用と業務用だ。それなら業務用がふえているかとその状態を調べてみますと、それに対する需要というものもちっとも伸びていない、こういうことになってくるわけなんです。ですから、この数字の伸びというのは主食用としての配給量が伸びたのだ。そうすれば、こっちの総理府統計の方にも主食用としての受配量が増した、こういうことが出てこないと符節が合わないということになるわけです。ところが、二月当たりあるいは一人あたりの消費量が伸びないのに主食用としての配給が伸びておる。こういうことになってくると、主食用として売り渡されたものが末端において変形しておるのだ、こう言わざるを得ないということになる。それに対する統計上の不備、そういうことをあなたがるる言われるわけでありますが、その点になりますと私もそこまではわからぬということでありますが、私たちが今考えておることは、今言うたような工合に業務用が伸びない。しかし、全体量は伸びておる。そうすると主食用が伸びたのだ。主食用が伸びたなら配給量が伸びていなければならないのにそこは伸びていない。そうすると、主食用に行ったものが変形しておる、こういう結論しか出ないということになりますが、どうですか。
  100. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 そういう結論に今いきなり持っていくことは、もう少しいろいろなことを調べなければいけないと思います。  しかしながら、現実には今の食糧管理制度のもとでやみがある。これは先ほどもお話が出ましたけれども、生産者の方のやみ——これは三十五年のあれほどとれたときよりは、三十六年のとれないときの方がよけい集まっておるというが、生産者がやみをやっておるということが減っておるのだと思います。しかし、消費者段階のやみというようなものはむしろふえておるのではないかというようなことが一般的に言われております。そこで今の食糧需給だの何だので見た食糧の需給傾向と家計調査で個人の家計に現われるものとの差、これはいろいろなことがあると思うのです。たとえば配給数量が多くなって政府からの売り渡し数量が多くなっておるのに家計調査ではそう大きくなっていない。それからやみが減少傾向にあって、政府のものがよけい出れば消費者がやみ米を買うことが減ってしかるべきだという数字が家計調査に出てきておるということもあろうと思いますが、それがそうでない。ということは、政府から出た米が途中からやみ米になって流れるようなものがあるのではないかということも推察される、そういうことを言われるのだと思いますが、これはなかなか的確につかめませんけれども、今の食糧管理制度の中ではそういうようなことが発生し得る余地はあると思います。またお米屋さんは全国に五万軒もおるわけですから、全部が全部良心的な方だというふうではないかもしれません。ときどきは悪いことをされる方があるかもしれません。そういうことを私たちもあるいは県も一緒になって、配給秩序がきちんとしたものでなければならないということでいろいろな意味の監査をやっておりますが、何せ非常に多い数であります。そういうこともあり得ることとは思いますけれども、しかし、今の調査からそのままそういう結論をお出しいただくことはちょっと早いのではないか、こう思います。
  101. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この米の配給業者がマージンの引き上げを要求しておることに対しまして、あなたの方ではどういう態度をとっておられるか。このなにによりますと、 マージンを五・四六%から九%に値上げせよ、こういうことで一斉に休業したという事態があったというのですね。こういう投書が出ておりまするが、これに対しての真偽のほど、それからこういうことに対しての食糧庁の態度ですね、これはどうですか。
  102. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 米屋が今のような公益的な仕事の一端をになっているという際に、ストライキをするとかなんとか、そういうことは穏当なことじゃないと思います。
  103. 西村力弥

    ○西村(力)委員 不穏当だとか穏当だとかいうようなことじゃなくて、事実の問題ですよ。そうしてそれに対してマージン引き上げの要求がきているか。きているならば、それに対する対策、あなたの方の態度はどういうものかということを聞いているのですよ。
  104. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 そのようなことがあったという事実はございませんけれども、お米屋さんのマージンは、これは農協が米を集荷いたします集荷手数料と同じように、従来からその算式についてはいろいろ問題があったわけでございます。そこでこうした消費者米価を上げるという際に、従来の方式につきましても根本的な検討を加えて、より適正なものにするという努力は、こういうときであればこそよけいしなければならない問題だと思いますので、そうした意味で深い検討を重ねて、御承知のようにこの二月からマージンの値上げをしたということでございます。
  105. 西村力弥

    ○西村(力)委員 マージンの値上げのよしあしについて、僕は論評しようとは思わないのです。ただそれを妥当と認めてあなたの方で認可したとするならば、今までの論議でずっとわかったように、売り渡し量がよけいになって、それが末端は少なく買っておる。よけい買わないというのだから、主食としておられたものが変形しておるの、だから、その行方ということを考えると、マージン云々とただ形式的に論議するということはおかしいではないか、こういう考え方はあるわけなんであります。ところであなたの方の統計調査によりますと、三十七米穀年度の一カ月一人当たりの受配量というのは六・八キログラム、こう出ておる。ところが総理府統計によると、三十七年度の一人当たりの受配量というものは五・〇〇キログラム、こう出ておる。その差額が一人について一・八キログラムずつあるのですよ。そうすると東京都の受配人口は九百六十万、こうしますと一・八の九百六十万倍、そうすると大体一ヵ月に一万七千二百八十トンの余剰が出る。こういう差額が出て参るのです。それが一ヵ月だから年間にしますると、計算は形式的ですが二十万七千三百六十トンになる。これを業務用として四十円高で処分したということになると、東京都の十何軒かの卸屋さん、それから小売店は何軒ですか、そういう人々のそこにおけるさやというものは大体何ぼですか、八千六百八十八万円こういう工合に出てくるのです。もちろん配給に回ったものを業務用に落とすという場合には、業務用として売り渡す四十円高では売れないだろう、それは何らか買う人も売る人もというような適当な値段でやるかもしれません。やるとは言わぬですよ。計算してみますと、そういういやな考えを持たざるを得ない結果になってくるのです。この事実のほどについては私はここで断言はしませんよ。だけれども計算するとそう出てくるというんです。一カ月の受配量が一人当たり六・八キロだ、ところが総理府の統計では五キロだ、だから一・八キロずつ差額が出てくるのだということになる。それに消費人口の九百六十万倍をして、そうしてそれを十二倍すると一年間のなにが出てくる、こういうことになるのですよ。どうもそういう計算になってしようがない。あなたはどうですか。こういう計算はへそ曲がりのやることだ、こうおっしゃるか。
  106. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 先ほどから私申し上げているように、家計調査の数字と政府からの売却数量の数字をそれぞれバランスのとれたものだとしてかれこれ相対比することは、誤解を生ずるもとになると思うので、いきなりそういうことをされて今のような結論をお出しになるということは、いかがかということを私は先ほどから申し上げているわけです。そればよくおわかりになってのお話だと私は思いますけれども、先ほど私ちょっと触れましたように、政府の配給したものが、そのまま正常な価格でそのままの数量が消費者に渡っているということはその通りなんだということはなかなか私ども言い切れないと思います。そういう意味で今おっしゃったようなことがあり得ると思います。ことに家計調査の中での米の消費というものをつかむ場合には、どのくらい外食をしているかというような外食の量というのがなかなかつかめない。ですから、この外食に問題があるということは私ども知っておって、その外食についての調査をいろいろ総理府の方にお願いをしているわけですけれども、そういう意味で政府の配給したものがおっしゃるように業務用に流れていく、業務用の米の消費量というのは多少ずつふえておりますけれども、一体あのままの数量が業務用の数量なんだろうかどうだろうかということは、これはなかなか的確につかめません。あるいはもっとあるのだろうということも、考えようによっては考えられるかもしれません。そういう意味ではどこから業務用に流れてくるかというと、生産者のやみもございましょうけれども、政府のものがそういうふうな形になっていくというふうなこともあると思うのです。そういうことが今の食糧管理制度の中であっていいことかといえば、あって悪いことだと思います。しかしながら、一ころのような状態からこういうふうになってきますと、食糧管理制度というのは、消費者の監視というようなことといいますか、米はないのだ、米屋にきた米はやはり僕らの方にもらうのだというような、そういう逼迫感のあるときに仕上がった制度でもあるわけであります。今言ったようなことが、その需給事情その他がだいぶ変わってきたわけでございますので、今のようなことがあり得ると思います。かといってこれを全部制度に合わせて取り締まり得るかというと、先ほど申し上げたようになかなかできない、そういう意味で昨年も全面統制をこういうふうにしていていいのかどうかというようなことも相含めて、食糧の需給関係なんかとともに、例のいわゆる松村懇談会で御検討願ったつもりでございますが、私どもそういう意味で、もしおっしゃるようなことがあるとすれば困ったことなのであって、制度の内外にわたっての検討をしなければならない大きな問題の一つだというふうに私思っております。
  107. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私はその食糧懇談会、松村委員会ですか、そういうものとの関連を今ここで言われることは適当ではないと思う。問題は、そういうことを僕は言っているのではなくて、主食として売り渡されたものが消費者に全部行っていないとするならば、その事実は認められるかどうか、まあこういう極端な計算をしたのをそのまま認めろとは言わないけれども、それはあなたも一応その疑いはある、こう仰せられておるわけです。それからもう一つあなたの言われておることでは、外食がつかめない、総理府統計と主食のあれとは違うのだ、こう言われます。外食云々というのは家計調査において別経理になる。これは主食を配給したのは、何ぼ受配したというのは奥さんがわかっておるのだから……。外食を何ぼ受けたかということがそこに入るはずはないのです。そういうことはあなたの言い方がおかしいのではないかと思う。そうではないのですか。外食がつかめないから総理府統計が確実性を保証できないのだ、こういうような言い方はおかしいじゃないか。しかも、もう一つ聞きたいのは、では総理府統計というものとあなたの方の消費者の実受配量というものの調査、これの統計のそごというものは、一体どういうところからくるかということを検討されておるか。それを一致させるには、これは総理府統計が間違っているということをあなた方は言いたいのだと思うのですが、どうなんですか。
  108. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 私が申し上げましたのは、別個の調査でございますから、そのまま比べるということはなかなかむずかしい。特に政府からたくさん米が出ておるものが、家計調査で見ればそれほど食べてない、その差額は全部外食か業務用に回っているというふうに即断するのはいかがかということを、先ほどから私は申し上げたのであります。それは実際外食というふうなものを消費者家庭でどのくらいしているのだろうかというような数量があって、しかも業務用に出ている米というのは、たしか私十万トンくらいだったと思いますが、十万トンくらい、外食の調査をしてみたところが外食しているのは三十万トンだというようなことになれば、その間の差額はどこからきたのだろうかということだと思うのです。それは今言ったような政府の米が流れるということもありましょうし、あるいは生産者の方から直接そういうものに結びついて売られておるということもありましょう。今その外食というのはどのくらいいっているかというような調査がないのに、今そういう結論をすぐ出してしまうということはいかがかということを申し上げたのです。政府の正規のルートで米屋さんに流した米が、曲ってどこかへ行くということも、監査のときに幾つかの事例はございました。だから全然ないということは私は申し上げません。その間にみんな高い値段で、外食用、業務用のものに流れているのだというふうに、いきなり結論づけるのは、私どもとしてはまだ的確な調査がございませんので、そういうふうには言えないということを申し上げておるのでございます。  そういうことと相関連して、今ちょっと先生の御質問の、政府との間の開きを一体どうお前は考えるのだということは、これは今言ったようなことがあるんじゃないかという予想はできます。推察はできますけれども調査は、それぞれやり方も違いますから、そういう面からのあれもありましょうし、今言ったようなこともありましょうし、これはこうなんだという的確な判断はまだ私どもできないわけです。いろいろ調査をしておりますが、外食がどうなっておるのだろうというようなことは、非常に重要なポイントではあると思います。
  109. 西村力弥

    ○西村(力)委員 外食も重要なポイントであろうと思うのですが、総理府統計に出てくる消資者家庭の主食の受配量というものと、外食というものは別問題じゃないか。正確に行けば外食がどれだけあるかということと業務用の売り渡しがどれだけあるかということになるのじゃないですか。そういうことになってくるわけなんであります。  いずれにしましても、あなたは、この差額というものは、私が計算したような極端な言い方はいかぬけれども、幾らかはあるんだということはやはり想定しなければならぬ、こう言われておるわけであります。しかし、これは幾らかじゃなくて、相当あるんではなかろうかという気がしてならないのであります。しかも、現在においては配給の通帳というものは、全部米屋さんに渡しっ切りという工合なのが実情だろうと思います。これは一々配給受けるたびに記録してもらうということでなくて。そうすると、米屋さんの操作というものはそれだけ楽になるのじゃないかということも私たち考えられるわけであります。そういう点から言いまして、この問題については、やはり値上げ時期において相当売り渡し量がふえたから生産地から送らなければならなかったが、その行き先というものは、消費量の増大というよりもこれは相当思惑的なものがあったんだということ、個人々々の消費量の増大じゃなくて、思惑的なものがあったのだということ、それに対する予防措置というものをあなた方は少しもとらなかった、米を値上げすること自体もそうだ。そういうことをやろうとする場合においては、これは予防措置というものをとっていくということは当然じゃないかと思うのです。私はある食糧事務所長に聞いたところが、食糧庁の指令に基づいて三十七年の一月から配給すべき量の八割しか配給売り渡しをしなかった。よけいに売り渡されてはいないのだからそういう買いだめ云々ということはできないはずだ、こう言っておるが、食糧庁は何もしなかった、こういうので、そこに食い違いが出て参っておるのです。その点、今後の問題として、これはやはり食糧庁としてはそういうような不当利得を受けさせるような余地というものをなくするような工合に十分な調査をし、対策を立てるということが必要じゃなかろうか、こう思うのです。これは新聞記事なんかにも、それについて農林省としてやらなければならぬというようなことを、去年の五月ごろですか、話をしたとか決定したとかというような記事も出ておるのですが、一つ今後の問題として、私が今取り上げた問題を問題とせられまして、こういうことに対する的確な対策を立てられたい。これはぜひあなたの方で明確にしていただきたいことだ、こう思うわけであります。
  110. 大澤融

    ○大澤(融)政府委員 配給の問題として非常に重要な点の御指摘だったと思います。私どもも問題にしていることでございますので、今の食糧管理制度の中でいかに解決したらいいか、あるいはそれで解決し切れないかどうかということも含めて、いろいろ私ども検討さしていただいて、今おっしゃった問題の解決をはかっていかなければならぬというふうに考えております。   〔委員長退席、木村(公)委員長代理着席〕
  111. 木村公平

    ○木村(公)委員長代理 田川誠一君。
  112. 田川誠一

    ○田川委員 私は国有財産の管理と払い下げの問題について二、三御質問をしたいと思います。  最近美しい自然に恵まれた海岸などへ観光資本が押しかけたり、あるいは国土計画に名をかりて土地の造成業者などが進出して、自然の景観やら伝統風物などをぶちこわす傾向がだんだん激しくなってきておる、こういう傾向になっております。特に国有財産である公共の土地の管理が整っていないために、だれのものでもない自然は、早く占領した方が勝ちであるという風潮になってきておることは、非常に憂うべき状態であります。東京に近い湘南地方にはこうした傾向が強い。また三浦半島の風光明媚な国有海浜地、こういったところに特定の個人や営利企業が進出をして、そういうようなところを独占するようになる可能性が非常に多いと思う。こうした国有の海浜地が法律の盲点をついて貸し与えられたりあるいは買ったり、その状態が不明朗な点があるように見受けられます。一、二例を申し上げますが、三浦市のいわゆる三浦三崎の油壷の海岸でありますが、この油壷の一番突端の地に神奈川県立の水産高校がありまして、この敷地は一万二千坪だと思いますが、この処分の問題について最初にお聞きしたいと思います。  この神奈川県立水産高校の敷地が、最近神奈川県からある鉄道会社に売り渡される契約がされたということであります。正確に言いますと、今月の九日に神奈川県が売り渡す方針を決定して、そうしてその会社に内示をされました。この土地は旧軍用財産でありまして、昭和二十九年の三月に県立水産高校の敷地のために、建物と一緒に神奈川県が国から払い下げを受けたのでありますが、その後神奈川県はこの水産高校を、昨年でありますか、横須賀市の武山、元の海兵団でございますが、武山に移転をするために、さらにその武山の土地を一万二千坪ばかり国から払い下げを受けた。この払い下げにはいろいろ問題があったようでありますが、たしか大蔵省はその県立水産高校のあとを教育施設に神奈川県が使うというようなことで了解をして売り払ったものと私は解釈しておりますが、先ほど言いましたように突然県が鉄道会社に水産高校のあとを売り渡す約束をされました。  そこで大蔵省にまず伺いたいのは、神奈川県がこの水産高校のあとの敷地を民間会社に払い下げをすることをきめたということを御存じであるかどうか、最初にお聞きしたいと思います。
  113. 白石正雄

    ○白石政府委員 三崎水産高等学校の敷地といたしまして二十九年の三月三十一日に売り渡しました三崎の土地を、神奈川県が他に転売をするということは、今初めて承った次第でございます。
  114. 田川誠一

    ○田川委員 これは私が確認をいたしたのでございますが、あらためて大蔵省の方からそれを確かめていただきたいと思います。  そこで、この油壷の水産高校の敷地の払い下げのことでありますが、二十九年に大蔵省から神奈川県に払い下げられた、この払い下げはたしか減額払い下げだと思いますが、いかがですか。
  115. 白石正雄

    ○白石政府委員 問題の三崎の土地は旧海軍の対潜学校の実習場であったわけでございますが、昭和二十二年の四月ごろから水産高等学校として神奈川県に使用せしめるために貸付をしておったわけでございます。それをお話しのように二十九年の三月三十一日に、学校として正式に払い下げをしてもらいたいというお話がありまして、二十九年三月三十一日に売却をいたしたわけでございますが、これは学校用地として使用いたします場合におきましては、法律の規定によりまして減額するという規定がございますので、その規模によりまして時価の五割あるいは四割減で売却した次第でございます。坪数によりまして一部は五割減額になっておりますし、一部は四割減額というように相なっておる次第でございます。
  116. 田川誠一

    ○田川委員 この減額払い下げは学校関係だけでありますか。たとえば医療施設であるとかいうような公共施設に使われるものは、大体減額払い下げの対象になるわけでありますか。
  117. 白石正雄

    ○白石政府委員 減額払い下げの規定は国有財産特別措置法の三条にございまして、それに列挙されておるわけでございます。たとえば「地方公共団体において左に掲げる施設の用に供するとき。」となっておりまして、医療施設及び保健所法云々によって設置される保健所の施設、あるいは社会福祉事業法に規定されるところの社会福祉事業の用に供する施設、あるいは学校施設、あるいは図書館法とか博物館法、職業訓練法とか、それぞれの規定によって設置される施設というように列挙せられておる次第でございます。
  118. 田川誠一

    ○田川委員 そこで、この水産高校が昨年移転しました武山の土地の払い下げでありますが、この武山の国有地を神奈川県に払い下げをしたときに、神奈川県からどういうような申請がされましたか、申請の理由、これは簡単でけっこうですが、理由をお聞きしたい、
  119. 白石正雄

    ○白石政府委員 先ほどお話し申し上げましたように、三崎の土地に三崎水産高等学校があったわけでございますが、その後昭和三十三年の九月に武山の地区が軍から返還になったわけでございます。従いまして、神奈川県といたしましては武山地区が学校の敷地として適当であるからこれを再び払い下げてくれというお話が出てきたわけであります。それに対しまして、すでに三崎の国有地を払い下げておるわけでございまするので、重ねて払い下げるということは適当であるかどうかということが当然問題として検討せられたわけであります。その場合に神奈川県からの申し出といたしましては、現在三浦半島の先端の台地に位置しておりますところの三崎町小網代の敷地一万一千九百五坪でございますが、これは相当がけ地がございまして、実際に使うところの面積は大体総面積の五五・五%程度で六千坪程度が学校敷地として実際の用に供せられるにすぎない、さらにその敷地の中には二千三百坪の運動場も必要でありまするし、また当初三崎の水産高等学校をつくりました当時は二百四十名程度の人員であったわけでありますが、その後いろいろの学科の新設の必要もありまして、すでに当時三百人程度の定員になっておりましたし、将来さらに学科を付設いたしまして六百名くらいのものに拡張いたしたい、かように相なりまするというと、三崎の土地では狭隘になりまするので、もっと広い敷地の土地が必要である、こういうことが第一の理由であったわけであります。  第二といたしましては、通学上の問題でございまするが、まあ長く三崎の土地で学校としてやってきたわけでございまするけれども、三崎は横須賀市からはバスの便で約四、五十分を要しまして、最近ことに観光時におきましては非常に通勤が困難になる。一方武山の地区は最近開発せられました地区で、付近には原十方研究所等のいろいろな施設もあるような状況でございまして、教育環境上も非常に適当な土地でございまして、海洋精神の訓育等にも好ましい条件でありまするので、ぜひこの土地を払い下げてもらいたい、かような理由で武山地区の払い下げ申請が出された次第でございます。
  120. 田川誠一

    ○田川委員 そうすると、私どもからの見方からすると、この油壷のもとの水産高校の敷地を本来ならば国へ一回戻したらどうかというような感じがするのでございますが、無条件にその武山の方を大蔵省が許されたのか、この点をお聞きしたい。
  121. 白石正雄

    ○白石政府委員 先ほども申し上げましたように、学校敷地として県に払い下げますにつきましては、減額払い下げの規定がございます。さらに横須賀地区は旧軍港市でございまして、武山の地区はその地区内に入っておりまするので、旧軍港市転換法の規定によりますと、県が学校敷地として必要である、かつまた旧軍港市転換事業の用に供するため必要があるというように認定せられました場合におきましては、無償でこれを県に譲与できるという規定もあるわけでございます。従いまして、神奈川県が初めて学校敷地として武山地区を要望するということに相なりますれば、場合によりましては、これを無償で神奈川県に譲与するということも、国有財産の処置といたしましてできるわけであったのであります。しかしながら、お話しのように、すでに三崎の地区を一度減額売り払いをしておったわけでありますので、たとい狭隘であって移転する必要があるということに相なりましても、武山地区を無償で譲与するということは適当な措置であるまい。もし三崎の地区を国に取り上げてしまうということになりますれば、あるいはそういった措置も可能であったかと思うわけでありまするが、三崎の地区も神奈川県といたしましては他に県としての使用計画があるので、従いまして、武山地区を払い下げてもらいたいというお話がありましたので、それならば国有財産法上の無償の譲与の規定はあるにかかわらず、これはむしろ時価売り払いということで払い下げをしたいということで、時価売り払いということで措置をいたした次第でございます。その当時三崎の方の土地につきましては、海洋青少年センターといたしまして、神奈川県の教育委員会が事業主体となりまして、主として県下の小中高校その他青少年団体の一般教養施設といたしまして、海洋思想と海に関する知識を啓発し、青少年の健全な育成をはかるための施設を建設いたしたいということで、計画が提出せられておった次第でございます。
  122. 田川誠一

    ○田川委員 今局長のお話によりますと、その学校敷地の跡を神奈川県の教育委員会が教育施設として使われる、こういうことを神奈川県が大蔵省に対して言ってきた、これでよろしゅうございますか。
  123. 白石正雄

    ○白石政府委員 さようでございます。
  124. 田川誠一

    ○田川委員 そこで神奈川県の教育施設に使うというそのプランがおそらく大蔵省に提出されていると思いますが、具体的に一体どういうものをつくるか、この点をもし今おわかりでしたら、説明していただきたい。
  125. 白石正雄

    ○白石政府委員 当時大蔵省に提出せられました旧三崎の水産高等学校の校舎、土地等の利用計画を簡単に御説明申し上げます。  目的といたしましては、海洋青少年センターを建設し、青少年の一般教養として海洋思想と海に関する知識を啓発し、青少年の不良化防止を兼ねて、その健全な育成をはかる。事業主体は神奈川県の教育委員会でございまして、利用する対象団体といたしましては、県下の小中学校その他の青少年団体で、指導者が引率する団体となっております。宿泊の施設をつくるということで、男女合わせまして百五十名程度の収容とする。利用経費といたしましては、宿泊は無料であり、食費は実費を徴するということになっております。  さらに、これの建設計画は、当時の計画といたしましては、建設費は一億五百万円程度、初度調弁費が一千万円程度、その他人件費、運営費等を見込んでおります。主要な施設といたしましては、本館が百八十平方メーター、宿舎が二階建で百五十四平方メートル、講堂、食堂、海岸博物館、それから各種の運動施設といたしましてソフト・ボール場、野外劇場、相撲場、プール、バレー・コート、こういったものを建設する、こういう計画に相なっておった次第でございます。
  126. 田川誠一

    ○田川委員 私ども、今お聞きしました計画は、大へんけっこう計画だと思うのです。特に最近池田総理も青少年の問題につきまして非常に関心を持っておられ、そうして人つくりの政策としてこうした施設をつくることを大いに勧奨しておるわけですが、今言われたような施設は、神奈川県でも特にあの付近一体の住民が非常に期待をしておったわけです。遊ぶところがだんだん少なくなってしまうし、風光のいいところ、それからあいている土地がだんだん営利企業に独占されて困っておるところへ、こうした青少年の教育施設、海洋訓練の施設ができるということで非常に期待をしておったわけですが、そうしたものが突然、最近民間会社に払い下げられるようになったということは、まことに残念なわけでございます。こうした問題につきましては、今言われました県が当初つくりました計画につきましては、大蔵省で何か審議会なりあるいは省なりで検討をしたことがございますかどうか、お伺いをしたい。
  127. 白石正雄

    ○白石政府委員 問題の三崎の土地は、お話のように二十九年に払い下げておりまするので、それは学校敷地として利用するということで、その当時審議会に付議いたしまして決定いたしたわけでございます。新しく武山地区を譲与するにつきましては、従来の土地がどうなるかということも検討いたしまして、そうしてまた武山地区をこのような処置をすることが適当であるかどうかということを審議会の意見を聞きまして、その上で武山地区を払い下げをするというように決定いたした次第でございます。従いまして、問題といたしましては武山地区を払い下げをするかどうかという問題といたしまして、審議会の意見を検討をし、あわせて旧来の土地はこのように利用するという神奈川県の計画であるという前提のもとに立ちまして、武山地区の払い下げを決定いたしたという次第に相なっております。
  128. 田川誠一

    ○田川委員 神奈川県が全然別の計画で、大蔵省に申請をした計画を無視して民間会社に払い下げられた、こういうふうに私ども解釈をいたしますが、今のお話を聞きますと、神奈川県が大蔵省にうそを言って、そうして一民間会社にこうした土地を払い下げた、こういうようにしか思えないのでございますが、大蔵省は民間会社にこの油壷の土地が売られたことを知らないのでありますから、この点は大蔵省側ですぐにでも神奈川県に連絡をしてこれを確かめてもらいたい。いかがですか。
  129. 白石正雄

    ○白石政府委員 国有財産の処理につきましては、法律的措置といたしましては別といたしまして、やはりその自後の利用状況がどうであるかということにつきましては、国として重要な関心を持っておる次第でございますので、もしお尋ねのような事情がありといたしますれば実情をよく調査いたしたいと考えておる次第でございます。
  130. 田川誠一

    ○田川委員 今油壷の水産高校のあとを一つの例にしてあげましたけれども、こうした例をそのままにしておきますと、あの湘南海岸、特に相模湾一帯、三浦半島のあの海岸地帯がほとんどレジャーのための土地、そういうような享楽施設にそのまま独占されるというようなことになるおそれがございます。現にまだほかにもたくさんございますが、御参考に一、二の例をあげますと、葉山に芝崎海岸というところがございます。葉山御用邸のすぐ隣りでございますが、ここはこれから気候がよくなりますと小学生が遠足に来てそこで昼食をとり、貝を拾ったりして休むようなところでございます。また富士山がすぐ目の前に見えまして、小さな岩礁地帯になっておるところであります。そして非常に景勝の地でございますが、そこが今一万数千坪の埋立計画が一土建会社によってなされております。神奈川県の方に申請が出されており、すでに付近の漁民の方々に補償の一部分も渡されておるようでございます。おそらく埋め立ての免許もなされると思いますが、この葉山の芝崎海岸は、先ほど申し上げましたように非常に景色がよくて、子供たちの遊ぶのに非常に適当なところだと思いますが、そのほかにここは三浦半島の最も古い断層がございまして、俗に葉山層群ということを学者が言っておりますが、その葉山層群の露出した貴重な自然文化財でもあり、また相模湾の珍しい海の生物がここに寄ってきて、生物学者の研究所にもなっておるところであります。生物学者に聞きますと、この地帯は伊豆の大島から相模湾に向かって潮流が流れており、そして世界でも最も貴重な生物があそこの芝崎海岸付近に来る、こういうことを言っております。そこが土建会社に埋め立てられて、モーターボートだとかホテルであるとか、別荘の切り売り住宅になるというような計画がなされておるようでございます。しかも、その埋め立てをする業者が東京のある業者にその権利を売り渡そうとして、すでに手付金が払われておるそうでございますが、東京の方のその業者はすでにパンフレットをつくって葉山のこういう海岸に切り売り別荘をやるとか、あるいは娯楽施設ができるからといってその申し込みを受けておるようでございます。そういう例が一つございます。それから有名な江ノ島の海岸でございますが、江ノ島は数年前景勝地として文化財保護法の規定をたしか受けておったと思いますが、これはちょっと私はっきりいたしませんが、重要文化財として指定されたこともあると思います。そこへ鉄塔を建てたり、エレベーターができたりして、国の重要文化財から解除になったようでございますが、引き続き県の文化財として指定されておるところでございます。その江ノ島の海岸に大きな鳥居を建てて、海岸と島とのちょうど中間あたりに大きな鳥居を建てて、そうしてそこへネオンをつけ、民間会社の広告もつけるというような計画をしておるように聞きました。これは一つの例でございますが、さらに三浦の、これは油壷のすぐそばでございますが、初声町の入江というところがございます。これも油壷から一キロくらい離れた非常にきれいな海岸です。ここもある会社に埋め立ての免許が与えられて、何をつくるかわかりませんが、現在埋め立てをしつつあります。その埋め立てがされているために、付近の農民は田の排水ができなくなるということで、今大へん困っておるという話を聞いております。それからまだたくさんございますが、もう一つ顕著な例を申し上げますと、これも油壷のすぐそばでありますが、小網代湾というところに、これは湖水のようなところでありますが、その対岸に別荘が十二、三軒海岸地帯にできております。これは私昨年地方行政委員会でちょっとお話をいたしましたが、国有海浜地に別荘が建てられております。この別荘が建てられたいきさつは、私どもも非常に不審に思っておるわけでございますが、付近の漁師が、漁民が、台風になったり、あらしになったりした場合に、その別荘があるために漁船を避難させることもできないということで困っております。また一般の人たちもその別荘が海岸一帯を占領しておりますので、そこに遊びに行くこともできない、釣もできない、海水浴もできない、十数人の人のために一般の人たちが遊ぶこともできないというような例がございます。例をあげますと切りがありませんが、この葉山の埋め立ての問題につきまして、二、三文部省と建設省にお聞きをしたいのですが、この葉山の柴崎海岸は、別に文化財の保護法に適用されるようなところではないかもしれませんが、こうした景勝地あるいは学術上必要なところが一部の営利業者によって埋め立てられる傾向がある、こういうことについて文部省は一体どういうように思っておられるかお聞きしたいと思います。
  131. 宮地茂

    ○宮地(茂)政府委員 お答えいたします。ただいまの田川先生の御質問でございますが、文化財保護法によりますと、峡谷とか海浜、山岳その他地質鉱物、こういったようなもので、わが国にとって学術上価値の高いものは、いわゆる文化財であるということになっておりまして、特にそのうち重要なものはいわゆる名勝とか、天然記念物といったような国の指定をすることができる形になっております。今おっしゃいました柴崎海岸につきましては、現実を申し上げますと、文化財ではございますが、いわゆる記念物には指定をいたしていないところでございます。しかし、御指摘のように柴崎海岸は地質学上いわゆる葉山層という、二、三千万年前の貴重な葉山層群であるというふうに言われておりますし、またその海岸は相模湾生物研究の場所としても価値のある場所であるというふうに学者方は言っておられます。従いまして、こういったような学術上価値の高いものができる限り保存されていくということは、学術上、文化財上の立場からは望ましいし、そのようにあってほしいものと考えております。ただこういったようなものを指定いたしますと、いろいろ所有者等に対しましても相当厳重な規制が行なわれるようになるといったようなことから、現在柴崎海岸は価値はございますが、指定をするという段階には至っていなかったものであります。従いまして、今おっしゃいますような埋め立てをするといったようなことにつきましても、指定をいたしておりませんので、文化財保護法上いわゆる現状変更ということにつきまして国がそれにストップをかけるという法律上の規定の発動もできないという形でございます。従いまして、御質問の御趣旨に沿ってこれが保存されるべくすぐ対策を講ずるという点につきましては、積極的に策を申し上げる段階ではございませんが、一般的な考え方といたしましては、やはり学術上価値のあるものにつきましては、たとい指定がなされていなくても関係者において学術的、文化財的に価値のあるものは残していこうといったような、いわゆる文化財保護思想が普及しておって、それらの方々の自粛といいますか、自覚に待つ以外に手がない現状ではないか。でございますので、今御指摘のこういうことに対してどう思うかということにつきましては、現在重要文化財保護、学術保護といったような見地からは遺憾なことであるというふうに考えるわけでございます。
  132. 田川誠一

    ○田川委員 文化財保護法による国の指定にはなっていないということは、私もよく承知しておりますが、少なくとももう少し自然を保護しなければいかぬ、かわいがらなければいかぬ。これが自然を多少変更する、自然の景勝を変更するというようなことは、かりに道路をつくるとか、あるいは公共の事業をするとかということなら、これは当然のことだと思いますけれども、ただいたずらにレジャーのために、享楽施設のためにそういうものがこわされていくということは、もう少し文部省としても考えなければいかぬじゃないかと思います。この点につきましては、別に文教委員会質問をさしていただきたいと思いますので、けっこうでございます。  そこで、建設省にお伺いしたいことは、埋め立てというものがどういうような意義を持っておるか。埋め立て自体が申請をすればすぐ免許になるというような傾向があるように私どもには見られるのでございます。この埋め立ての意義について一つ建設省から説明していただきたい。
  133. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 埋め立てにつきましては、公有水面埋立法によって建設省が所管をいたしております。港湾区域は運輸省でございますが、この法文の中に「埋立の制限」、こういうのがございます。これをちょっと読みますと、第一が、「其ノ公有水面ニ関シ権利ヲ有スル者埋立ニ同意シタルトキ」従って、埋め立てをする場所に権利を持っている者の同意を得る、こういう場合、その次に「其ノ埋立ニ因リテ生スル利益ノ程度カ損害ノ程度ヲ著シク超過スルトキ」せっかく投資をいたしましても利益の程度が損害よりも多くない場合には制限する。そのほか、第三に、これは別の観点でございますが、「其ノ埋立方法令ニ依リ土地ヲ収用又ハ使用スルコトヲ得ル事業ノ為必要ナルトキ」こういうふうに従来の権利を持っておられる方の保護、こういうような点と、それから利益があれば埋め立ては免許せざるを得ない、こういうようなことに相なっているわけでございます。従って、ただいま先生から御指摘がございましたように、学術的な問題とか文化財の問題とか、そういうような点には公有水面埋立法は触れておりませんので、やはりそういう見地からは別の法律でそういう制限をしていただく、こういうのが妥当ではなかろうかというふうに考えます。
  134. 田川誠一

    ○田川委員 公有水面埋立法の今言われた第四条の二になりますか、埋め立てによって生ずる利益が損害の程度をうんと超過するとき——超過しなかったときは二だけが適用にならない、妥当でないというような場合には埋め立てをすることができないということですね。この二だけの条件が整わなかったときは免許することができないと解釈してもいいですか。
  135. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 やはり第二号の点でこの条件が満たされないような場合、それはできない、こういうふうに考えられます。
  136. 田川誠一

    ○田川委員 葉山の芝崎海岸はもう少し調べていただければわかると思いますが、私なんかの見方によりますと、埋め立てによる利益とその損害と比較したならば、損害の方がはるかに大きいような気がするのでございます。少なくとも埋め立ての利益が、損害よりもずっと超過するということは常識的にもこれは考えられないと思うのですが、文部省の文化財の方では、これは比較がちょっとむずかしいと思いますけれども、どういうふうに見ておられるかお聞きしたいと思います。
  137. 宮地茂

    ○宮地(茂)政府委員 埋め立てによりまして埋め立て前の価値と埋め立て後の価値が、どちらにウエートがあるかということでございますが、私の方として言えますことは、埋め立て後にどういうものができるか存じておりませんが、かりに埋め立て後のものが文部省の分野だけで学術的、教育的なものに使用されるのであるといったようなことであれば、比較をして若干意見も申し上げられると思いますが、埋め立てた後の利用価値につきましては、私承知いたしませんので比較はできないと思います。  ただ埋め立て後のことは別といたしまして、現在のものを埋め立てるのにその価値がどうであるかということであるとすれば、先ほど申しましたように、いわゆる地質鉱物学的には葉山層群の露出部面でありますし、また生物学的にはいわゆる相模湾生物研究の場所で学術的に価値があるところだから、当方としてはできる限り保存されたいという意見以上には申し上げかねると思います。
  138. 田川誠一

    ○田川委員 文部省の意向はよくわかりました。  そこで、この埋め立ての免許権のことでありますが、建設省にお伺いいたしたいことは、この知事の埋め立ての免許権は国から機関委任をさせておる、こういうことでありますか。
  139. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 その通りでございます。
  140. 田川誠一

    ○田川委員 そこで、埋め立てがもし妥当でないというような場合には、建設大臣は知事に対して妥当でないからやめろとかあるいは延期しろ、そういうようなことを知事に勧告したりやめさせることができますか。
  141. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 その点は地方自治法でできることになっております。ただ、それはやはり公有水面埋立法の範囲内に限られております。それを出してやる場合にはやはり問題が生ずるのではないか、こういうふうに考えております。
  142. 田川誠一

    ○田川委員 不当であった場合に地方自治体の長、県知事に対して、不当だからやめなさいという勧告をした場合に、これは地方の自主性が侵されるような気がしますけれども、自治省ではどういうように解釈をされますか。
  143. 宮沢弘

    ○宮沢説明員 ただいまの御質問でございますが、地方公共団体の自主的に処理する事務でござでますれば、田川委員指摘のようなことに相なるわけであります。ただいま御論議になっておられます事項は、先ほど河川局長も御答弁申し上げましたように、国の事務を都道府県知事が国の機関として処理する事務であります。地方自治法の中にも、その場合には主務大臣の指揮監督を受けるという明文の規定を設けておりますので、御指摘のようなことには相ならない、こういうふうに考えます。
  144. 田川誠一

    ○田川委員 そこで、監督権のことでありますが、主務大臣の知事に対する監督権は包括的なものでありますか。
  145. 宮沢弘

    ○宮沢説明員 監督権につきましてはいろいろ議論がございまして、田川委員の包括的とおっしゃいます意味でございますが、通常行政法の一般理論といたしまして、指揮監督をするといった場合の監督権の内容でございますが、訓令権と申しますか指示権と申しましすか、先ほど田川委員がおっしゃいましたように、いろいろ訓令をし、指示するというような権限、それから監視権と申しますか、事務処理が適正に行なわれておるかどうか監視する権能、あるいは報告を聴取する権能、こういうものが一般的に指揮監督権の内容をなすもの、こういうふうに解釈されております。
  146. 田川誠一

    ○田川委員 取り消しをしたりあるいは停止の命令をする権限がございますか。
  147. 宮沢弘

    ○宮沢説明員 取り消し権、停止権につきましては、法律に明文の規定がある場合においてのみこれをなし得る、こういうふうに考えております。取り消せとか取りやめろとか、こういうことは指示権あるいは訓令権の内容でございましょうけれども、取り消しあるいは停止をする権限自身は法律にその意味の明文の規定がある場合においてのみ許される、こういうふうに考えております。
  148. 田川誠一

    ○田川委員 その辺が少し私どもにはわからないのですが、地方自治法の逐条解説、自治省の参事官の長野士郎君の書いた本によりますと、取り消しまたは停止の命令ができるように解説してありますけれども、これはどうでしょう。
  149. 宮沢弘

    ○宮沢説明員 私は、実はそのくだりを今検討いたしておりませんのですが、ただ地方自治法には、田川委員承知のように百五十条と百五十一条という二つの規定がございます。百五十条の場合は、一般的に国の事務を地方公共団体の長が処理をいたします場合に、地方公共団体の長は主務大臣の指揮監督を受ける、こういう規定で、これは都道府県知事あるいは市町村長いずれの場合においても適用になる規定でございます。ところが百五十一条の場合には市町村長が、国の事務でございますとかあるいは都道府県の事務を委任されて処理をいたします場合、この場合におきましては都道府県知事が市町村長の行ないました処分につきまして取り消し、停止権があるという明文の規定を置いておるわけでございます。そういう百五十条と百五十一条両方明らかに書き分けております。かつ先ほど申しましたように行政法の一般的な理論と申しますか、解釈もございますので、私どもといたしましては指揮監督というふうに規定を置きました場合には、みずから取り消しあるいは停止をする権利、権限というものを含まない、こういうふうに解釈をしておるわけでございます。
  150. 田川誠一

    ○田川委員 この点もう少し論議したいのでございますが、時間がございませんから、もう一度自治省の方でよく検討していただきたいと思います。長野参事官の解釈と少し違うように私見受けられますので、もう一度よく検討をしてみていただきたいと思います。と同時に、この埋立法もずい分古い法律でかたかなで書かれておりますし、だいぶ情勢も違ってきておると思うのですが、こうした小さな埋め立て、五十町歩以内の埋め立ては全部都道府県知事に委任をしておるわけです。その五十町歩以内の小さな埋め立てがどうも乱用されておるような傾向が見られるのであります。今建設省では河川法を改正しようとしておりますが、こうした埋立法の改正と申しますか、そういう点について何かお考えになっておるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  151. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 御指摘通りでございまして、非帯に古い法律でございますので、現在どういうふうに改正すべきかということを検討中でございます。
  152. 田川誠一

    ○田川委員 その次にお伺いしたいことは、油壷の付近の小網代湾の別荘の問題でありますが、昨年私この問題を指摘いたしまして、建設省も各県に対して通達を出したようでございます。高知県のように、その通達に従って海浜地を占用しているところを取り払ったところもございますが、この三浦の小網代につきましては一向に反省をしたように見られません。そこで今一体どうなっておるか、この点を一つ説明をしていただきたい。
  153. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまの小網代湾の別荘の問題につきましてお答え申し上げます。これにつきましては昨年地方行政委員会におきまして田川委員からいろいろ御指摘がございました。それ以後まず通牒によりまして、府県に委任してあるこれらの事務については厳正にこれを行なうようにという通牒をまず出しまして、それ以後昨年の十月に国有財産法に基づきます国有財産の取り扱い規定が建設省にございます。この取り扱い規定を改正いたしまして、どういうものはどういうふうに取り扱うということを比較的明らかにしたわけでございます。それの内容を簡単に申し上げますと、海浜地でも漁港法あるいは港湾法あるいは海岸法、これによりますこの適用を受けます以外のいわゆる公共用財産である海浜地、これにつきましては従前の建設省の取り扱い規定におきましては、すべてこれは知事に使用権その他の承認を委任しておりました。これによりまして大臣の承認を得させるという仕組みにしたわけでございます。それはまず海浜地を使用するような使用目的と申しますか、これにもいろいろあるわけでございまして、たとえば学術の調査研究に使われるような施設、あるいは公共団体が公共目的のためにつくる施設、あるいは公益事業的な電線その他いろいろの施設、あるいは採草地、船揚げ場、このようなものにつきましては知事限りで承認してよろしい、それ以外の旅館とかあるいは個人の別荘、住宅のようなもの、こういうものについてはすべて建設大臣の承認を受けるというふうに規定の改正をしたわけでございます。そこで問題の今の小網代湾の漁港法の適用を受ける以外の地域の別荘でございます。これは十一戸ございます。これにつきましてはそれ以後増改築の申請が一件出されたそうでございます。これはこの通牒と申しますか取り扱い規定改正以後それを押えまして、そして若干手をかけておりましたものをやめさしたというふうな報告を受けております。そういう状況でございます。
  154. 田川誠一

    ○田川委員 新たに建設省から通達を出され、また建設省所管の国有財産取り扱い規則を変えられたことは大へんけっこうだと思いますが、そうすると、それまでに占有をしてしまった家は、もうそのままそこに居すわることができるわけですか。
  155. 三橋信一

    ○三橋政府委員 取り扱い上あるいは規定上から申しますと、使用の期間というものをきめまして、それでその期間内の許可をしておるわけでございます。従って、その年数が参りますと、許可の更新の申請というものが出て参ります。従って、理屈から申しますと、その際にこれをやめろということは可能なわけでございますけれども、実際問題といたしましては、条理上補償の問題が必ずこれにからんでくるものと思われます。従いまして、こういうものを今後ふやすということ、これはもうできるだけ差し控えたいと思いますのと同時に、増改築等によって効用をさらに増大せしめるというようなことは、これは押えて参りたいというふうに考えておりますが、現在のものが現在のまま使用できる間におきましては、実際問題としてはこれを撤去させるというようなことは、まあものによりますけれども、なかなかむずかしい問題がからんでくるというふうに考えております。
  156. 田川誠一

    ○田川委員 補償がある、非常にむずかしい問題が起こるので黙認せざるを得ない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  157. 三橋信一

    ○三橋政府委員 積極的に黙認したいという考えではございませんが、黙認せざるを得ない場合が多いのではないかというふうに考えております。
  158. 田川誠一

    ○田川委員 この考え方は一つぜひ改めてもらわなければならないと思います。この海岸の一帯を占領しておる人たちは、冬の間はほとんど来られません。これから気候がよくなると週に一回ぐらい来るわけでございます。そういうところであるし、現にこれまで転売をしておるわけです。土地はもちろん転売できませんけれども、家を転売している人がある。それから増築等もやっておる家もございます。こうした点はもう少し実情を調査をされて、先ほどあなたが言われたように、一年の更新期間があるわけですから、更新期間が切れたときにそうしたことを黒白をつけてもらわなければ困ると思います。更新の申請が現在きておりますか、どうですか。
  159. 三橋信一

    ○三橋政府委員 建設省には、まだ更新の許可の承認が神奈川県から届いておりません。
  160. 田川誠一

    ○田川委員 もうとっくにここの持ち主は更新の期間がきておると思います。というのは、それぞれ個々の家で申請したのがみんな違うのですね。違いますから、昨年私が地方行政委員会質問いたしまして、建設省が都道府県知事に注意をしてから、その間更新期間がきているのが数件あるはずであります。この点を一つよく調べてもらいたいと思います。  それからこの地代の問題でありますが、一体この土地の地代は幾らで貸しておりますかお聞きしたい。私も承知してはおりますけれども、もう一度確認をしたいと思います。私が調べたところによりますと、前と変わっておりません。一坪年間四十九円五十銭でありますが、おそらく変わっていないと思いますが、いかがでしょう。
  161. 三橋信一

    ○三橋政府委員 御指摘通り約五十円で貸しております。
  162. 田川誠一

    ○田川委員 この地代は非常に安過ぎる、ものすごく安過ぎると私は思うのでございますが、いかがでしょう。
  163. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいま御指摘の地代でございますが、これは神奈川県におきまして国有地を一等地から四等地までに分類いたしまして、その使用料の標準を定めておるわけでございます。これによりますと、一平方メートル当たりでございますが、一等地は二十円、二等地は十五円、三等地は十円、四等地は五円となっております。この土地の柄と申しますか、土地柄から申しますとこれはほかのところと比較いたしまして二等地に相当するというようなことで、二等地一平方メートル当たり十五円、従いまして、坪当たり約五十円ということで貸しておるわけでございます。
  164. 田川誠一

    ○田川委員 土地柄は三浦半島でも一番いいところであります。あの辺の地価は今少なくとも坪三万円、あのすぐそばに私有地を買っておった人の話によりますと三万円で土地を買っております。常識的に見ましたならば、決して土地柄として安いところではございません。あの辺では一番地価の高いところでございます。それはともかくといたしまして、大蔵省が普通財産を貸しておる場合の地代というものは、またそれよりずっと高いわけです。いわゆる無権使用で、知らないでそこへ家を建ててしまったというような場合に、大蔵省はその人から十年さかのぼって地代をとっております。その額はたしか評価額の百分の四だと思いますが、あの辺の土地の状態を見て計算いたしますと、三万円ですと無権使用の場合に坪当たり年額少なくとも千二百円は地代としてとらなければならぬというふうに私ども見ておりますが、それから比べますと今の小網代湾の別荘の地代というのはそれより二十五分の一の安さであり、あまりにも非常識な地代だと思いますが、こうした地代だけのことを見ましてもあまりにもでたらめなやり方じゃないかと私は思います。その点はまだ私も納得がいきませんので、少し保留をさせていただきたいと思います。  時間があまり経過いたしましたので、最後にもう一点お伺いいたしますが、普通財産を国が払い下げる場合に、どうもまだ出先の財務局あたりでかなりルーズな点があるように見受けられるのでございます。一例を言いますと、買った人がすぐ転売をしてそれでもうける。転売に転売を重ねるというような例が幾つもございます。  一つの最も顕著な例を申し上げますと、川崎市の宮崎という部落でありますが、これは元陸軍の六十二部隊の跡でございます。ここに一万数千坪の土地がありまして相当数の人にこまかく払い下げをしております。ここへ参りまして私調べたのでありますが、川崎市の溝ノ口の支所の調べでありますが、これはごく一例であります。Aという人は、百坪余りのところでありますが、その土地を昭和三十五年の十月七日に払い下げを受けて翌月十一月二日にこれを転売しておるわけです。そのBという転売を受けた人は、翌年の三十六年五月二日にCという人に転売をしております。さらに三十七年の九月六日にDという人にその土地を売っておる。こうした例がずいぶんあるわけでございますが、関東財務局の出先の人々にはもう少し厳正にこの払い下げをやっていただかなければいけないのではないかと思います。大蔵省の管財の、関東財務局の出先の方々の職員の中には、元軍人さんであるとか雇いで入った人であるとかいうような、そうした常識に欠けておる人たちが割合に多いように見受けられますが、こうした関東財務局の一般の出先の職員の人たちの職員構成と申しますか、そうしたものはおわかりになりますでしょうか。
  165. 白石正雄

    ○白石政府委員 国有財産の処分につきましては慎重を期していたしておる次第でございますが、間々不当な処分等が現われることがございまして、まことに申しわけないことと思っております。御承知のように終戦直後旧軍用財産並びに物納財産等の膨大な財産を引き継ぎましたので、それらの処分につきまして、急を要し、また全国各地におきましていろいろな混乱の事態の中で処理をいたしてきました関係上、御指摘を受けるような事案も出ておるわけでございまして、今後そのような点につきましてはますます十分気をつけまして、慎重を期したいというように考えておる次第でございます。  国有財産の処分につきましては、やはり貴重な国有地でございますので、これを国全体の立場から見て最も有効適切に処分をするという考えでやっておる次第でございます。従いまして、道路とか港湾その他の公共用地にまずこれの活用をはかる。次には国におきまして庁舎その他の公用に転活用する必要がある場合におきましては、その方向に処理をする。また地方公共団体等におきまして各種の社会施設、福祉的な施設あるいは住宅といった方面におきまして御要望があります場合におきましては、そういった方向に処理をする。さらに産業の復興、振興というような見地から、各種の会社等から申請があります場合におきましては、またこれらに処理をするというようなことで、それぞれ適切な処置をはかっておる次第でございます。ただ膨大な国有財産の処理でございますので、金額が少額である、面積が小さいというようなものにつきましては、事務処理の促進をはかるという見地から、いわば随意契約で処分するというような方途も講じておる次第でございます。ただいま御指摘の事例は、そのようなものにつきまして生じてきたかと思うわけでございますが、これらにつきましては、最近のような土地の事情にかんがみますときには、いよいよその処置についても慎重を期さねばならぬと考える次第でございますので、なかなかむずかしい問題ではございますけれども、今後十分検討いたしまして国有地の転活用について慎重を期したいと考えております。  なおただいま御指摘の財務局の、このような国有財産の処分に従事いたしております職員の構成でございますが、これにつきましては、ただいまちょっと資料の持ち合わせがございませんので、後ほどまたお答え申し上げたいと考えます。
  166. 田川誠一

    ○田川委員 委員長にお願いしたいのですが、この職員の構成については大蔵省からぜひ資料を提出させていただきたいと思います。よろしゅうございますか。——実は先日私関東財務局の人事課長に、職員の構成がどうなっているかということを電話で聞いたところが、そういうものは私の方では一切わからない。出先に聞いてもらわなければわからないという答えでございました。人事課長がそういうような構成を知らないとかいうようなことは非常にふまじめだと思いますし、そういうことではいかぬと思います。これは厳重に注意していただきたい。  それから資料でありますが、三浦半島一帯の国有地の払い下げの状態を、すぐでなくてけっこうでございますが、一つ資料をいただきたいと思います。  それから建設省にお願いしたいことは、三浦半島一帯の海浜地の使用状況につきまして資料を提出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  167. 白石正雄

    ○白石政府委員 取り調べまして提出いたしたいと存じます。
  168. 田川誠一

    ○田川委員 私の質問はこれで終わりたいと思います。  ただ一言申し上げたいことは、きょう質問をいたしたいことは、別に暴露をするとかいうことでは決してございません。公共財産は国民全部のものがなるべく公平に使うべきものである。一部のものの独占するものではない。一般の自然というもの、公共的なもの、国のものは早くとったものが勝ちだという風潮というものは、どうしてもなくさなければいかぬと思う。と同時にもう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたが、自然を保護するという気持がわれわれ日本人にはちょっと欠けておるのではないか、今の傾向はそうした自然がどんどん破壊される傾向にある。機械力が進み、工業力が進んで自然を破壊するのは簡単にできるわけでございます。そういうような傾向をもう少しチェックしなければならないのではないか。何も自然をそのままにしておくのではなくて、公共的にうまく利用できるものはどんどんうまく利用する。日本は狭い国土でありますから、できるだけ合理的に利用する、それがほんとうの自然の保護ではないかと思う。どうかそういうようなことを一つお考えになって、これからやっていただきたいと思います。  なお先ほどの油壷の県立高校の敷地の跡の問題につきましては、なおこの委員会で今後検討させていただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  169. 木村公平

    ○木村(公)委員長代理 本日の質疑はこの程度にとどめ、直ちに理事会を開会することとして、これにて散会いたします。    午後一時四十分散会