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1963-02-28 第43回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年二月二十八日(木曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 津雲 國利君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 鈴木 仙八君 理事 勝澤 芳雄君    理事 西村 力弥君 理事 芳賀  貢君       椎名悦三郎君    鈴木 正吾君       古井 喜實君    山本 猛夫君       山崎 始男君    山田 長司君  出席国務大臣         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  山口 一夫君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  山口  酉君         通商産業政務次         官       廣瀬 正雄君  委員外出席者         検     事         (刑事局刑事課         長)      羽山 忠弘君         検     事 大堀 正一君         通商産業事務官 田口健次郎君         通商産業事務官         (重工業局次         長)      熊谷 典文君         通商産業事務官         (重工業局重工         業品輸出課長) 山下 英明君         通商産業事務官         (重工業局産業         機械課長)   山形 栄治君         通商産業技官  村上 正紘君         会計検査院事務         官         (第四局長)  宇ノ沢智雄君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月二十六日  委員川村継義君及び森本靖辞任につき、その  補欠として横路節雄君及び淡谷悠藏君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員淡谷悠藏君及び横路節雄辞任につき、そ  の補欠として森本靖君及び川村継義君が議長の  指名委員に選任された。 同月二十七日  委員森本靖辞任につき、その補欠として横路  節雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員横路節雄辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員川村継義君及び森本靖辞任につき、その  補欠として山崎始男君及び山田長司君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員山崎始男君及び山田長司辞任につき、そ  の補欠として川村継義君及び森本靖君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十五年度政府関係機関決算書  昭和三十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十五年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十五年度物品増減及び現在額総計算書  (総理府所管行政管理庁関係)、通商産業省  所管)      ————◇—————
  2. 津雲國利

    津雲委員長 これより会議を開きます。  昭和三十五年度決算外三件を一括して議題といたします。  まず、通商産業省所管決算について審査を進めます。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。山崎始男君。
  3. 山崎始男

    山崎(始)委員 実はこれから私お尋ねをいたします問題は、たしか昨年の通常国会だと記憶いたしますが、われわれの同志である小川豊明代議士がかつてこの委員会で取り上げた問題に関連をいたしまして、たまたま小川代議士が御承知のように昨年なくなりましたものですから、私が今あえてこの委員会でバトン・タッチを受けまして持ち出したような関係でございますので、御了承をお願いいたします。  私がまず通産当局お尋ね申し上げたい点は、焦点をしぼりますと、たまたま双眼鏡関係において問題が起こっておるのでありますが、かつて小川代議士もトランジスターあるいは双眼鏡、望遠鏡あるいはその他ミシンであるとかいろいろなものに対する製造ワクあるいは輸出ワクというワクの問題並びにチェックプライスの問題を取り上げたはずなのであります。本日は私双眼鏡の問題にしぼってお尋ねを申し上げたいと思うのでございます。先に私の結論を申し上げますが、通産行政輸出行政の上におきまして、双眼鏡製造ワクであるとかあるいは輸出ワクであるとかいろいろなそういう根本的な問題がはたして現状に合っておるかどうかという問題がまず一点ございます。第二点といたしまして、たまたまワクの問題に関連いたしまして実は最近刑事事件を起こしている。  まずそれを先に申し上げておきますが、昭和三十六年の十二月に、過去にさかのぼってチェックプライスの問題、指導価格の問題に関連をいたしまして、外国為替及び外国貿易管理法違反、それにもってきて関税法違反がくっつきますが、これの容疑に問われまして、昭和三十六年の十二月に最初起こっておるようでありますが、これは仕向地がスエーデンの方の関係株式会社内田洋行株式会社東洋実業株式会社遠藤ブラザース株式会社石川貿易、この四商社横浜警察において取り調べを受けております。これは、まだ裁判の方へは回っておらぬようであります。おそらく検事局段階じゃないかと思います。その次に今度は昭和三十七年の四月ごろから、これはアメリカバイヤータウロスという会社でありますが、タウロス日本駐在員はもとより、佐藤光学工業株式会社株式会社東和光器製作所株式会社睦商会TK商事株式会社村木光学工業株式会社、この六社が同じく横浜警察に検挙されまして、これはもう検事局へ回り、中には裁判が開かれておるところも二、三ございます。その次に昭和三十七年の十一月に、これもアメリカバイヤーコンパスという会社グループ、すなわちコンパス日本駐在所株式会社エイコー横商株式会社株式会社遠藤ブラザース日吉光学株式会社ブリーン商会、同じくまた六商社が検挙されております。これも横浜警察でございます。それからもう一件、米国のSPIという会社関係東洋実業がやはり検挙されております。このように約半年ぐらいずつおいて三グループに分かれて検挙されておる。きょう現在まだ横浜警察段階、検察庁の段階裁判段階、この三つに大体分かれておるのでありますが、この問題を調べてみますと、結局この犯罪の容疑に問われたここらの人たちは、いわゆるチェックプライスがあった、あるいは昭和三十六年の三月ごろからですか、指導価格というものになって、その指導価格を下回って売っておった。そうしてLCの金額面はいわゆる通産省がおきめになっておりますチェックプライス並びに指導価格で当面はつくろっておったが、実際の商取引実勢はそれに伴わない、背に腹はかえられないから、申し上げるまでもございません、下をくぐって、そのリベートの形で払い戻して、円払いをしておったということなんです。こういうふうな不幸な問題が起こっております。これは新聞には全然出ておりません。これが日本内地だけの問題かと思っておりますと、そうでないのです。これは調べてみますと、アメリカでも問題が起きている、ということは、いわゆる東海岸、西海岸におけるアメリカ双眼鏡輸入業者が、きょう現在、向こうのいわゆる関税法違反といいますか、輸入税関係がございますが、驚くなかれ七百万ドルという追徴金を食っている。ざっと換算いたしますと、やはり過去七年間にわたっての双眼鏡関係を洗いざらい洗って、大体これはどんぶり勘定でございますが、約七百万ドルに近い追徴金を食っている、こういう問題を引き起こしておるのであります。そうして双眼鏡バイヤーというものが、この問題が起きて日本に対して非常に悪感情を持っている。いわば国際的な問題にまで発展しておるのであります。従って、私がお尋ねいたしたい要点は、先ほど申しますそういうふうな輸出ワクであるとか製造ワクであるとか、こういう問題と、当面起きておりますこの今申しました不幸な出来事の二点なんでございますが、きょうは時間の関係がございますので、私は先に現在起きておりますこの問題に焦点をしぼってお尋ねをいたしたい。長たらしい結論でございましたが、結論を先に申し上げておきます。  それでまず通産省の方で、今私が申し上げましたような不幸な出来事が起きておることを御存じでありますかありませんか、まずそれを先に一つ答弁願いたいと思うのであります。
  4. 熊谷典文

    熊谷説明員 今御指摘の不幸の事件が起きているということは、承知いたしております。
  5. 山崎始男

    山崎(始)委員 そこで順序として私、チェックプライスというもの、昭和三十一年ごろでしたか、チェックプライス制度双眼鏡関係に設けられて、三十六年初めごろまでチェックプライス制度が続いておるようでございますね。そのあと行政指導価格という制度——これは制度というてよろしいかどうか、とにかくチェックプライス制度廃止されて、行政指導価格制度になって最近まできたというのでありますが、行政指導価格というものは法律的な根拠があるのですかないのですか。その点が一点。この行政指導価格性格、どういうために行政指導価格をやったか、いわば行政指導価格性格なんですが、その点についてお聞かせ願いたいと思います。
  6. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 不幸な出来事が起こっておりまして、それがチェックプライスあるいは行政指導価格関係があるということになりますれば、まことにお気の毒に存ずるのであります。そこで、ただいまお尋ねがございましたが、これにはいろいろいきさつがございますので、価格設定につきましての経緯をごく簡単に申し上げまして御了解いただきたいと思うのであります。  双眼鏡輸出につきましては、非常に過当競争が激しくなって参りましたので、昭和三十一年の十月から数量規制価格規制をやって参ったのでございます。それでも価格の下落はやまなかったのであります。そこで昭和三十五年の八月から、日本双眼鏡輸出振興事業協会を通じますところの買い取り機関をつくりまして、輸出調整をはかろうといたしたわけでございますけれども安値品買い取りの網をくぐりまして、不当に輸出をやるというような事実がしばしば発生いたしました。買い取り機能が発揮できなかった、そういうわけで在庫が累積するばかりでございまして、三十六年三月に買い取りは事実上中止のやむなきに至ったのでございます。その後業界混乱を収拾いたしますために、輸出貿易管理令によりまして一カ月間の輸出停止の措置をとったのであります。そして五月から、業界がさきの買い取り機関在庫品の十五万個を引き取りまして輸出することになりまして、輸出を再開いたしたわけであります。ところがその後ダンピングが相変わらず続きまして、結局メーカー組合価格規制三千百円を維持できなくなったので、これを三十六年の十月末に廃止をいたしまして、日本輸出双眼鏡工業組合から当時の実勢価格であります、二千六百円程度に踏んでおります。その二千六百円を基準として、通産省指導して輸出調整をしてもらいたいという強い要請がたびたびありましたので、それを勘案いたしますし、また為替管理法でありますとかあるいは輸出貿易管理令精神を尊重いたしまして、昭和三十六年十一月から二千六百円を最低基準といたしまして、輸出承認を出します場合に、これ以下で輸出しようといたしております業者通産省個々にひざを突き合わして協議いたしまして、すべて協議がととのって輸出を行なって参ったのでございます。こういう行政指導をやって参ったのでございます。この役所個々業者との協議の場におきまして、話し合いが決裂いたしましたり、あるいはそういうことであれば訴訟するというようなことを申し出ましたことは一件もなかったのでございます。法的根拠によったわけではございませんけれども、ただいま申しますように、メーカー組合からあげての強い要望によって価格規制をしたいということで、行政指導をやったわけでございますが、なぜ法的根拠によって価格規制をやらなかったかと申しますれば、先刻申しましたように、そういうことでは、実効が上がらなかったのと、法的根拠によってあまり窮屈にやりますと、そのことでかえって違反というものを出すというようなことが心配になりましたので、法令の精神を尊重し、業界の御意向要請を参酌いたしまして、かような指導をやって参ったわけでございます。
  7. 山崎始男

    山崎(始)委員 実は、私がお尋ねした趣旨と多少御答弁趣旨と違うのです。チェックプライスというのは法的根拠がありますね。行政指導価格というものの法的根拠があるかどうかということが、実は私のお尋ねしたいところなんです。
  8. 熊谷典文

    熊谷説明員 法律の問題でございますので、私からお答えいたします。  先ほど政務次官がお述べになりましたが、御承知のようにチェックプライスといいますものは幾らというように一律に値段を公表いたしまして、それによってすべてを律していくという制度でございます。これはもちろん法律根拠に基づく制度でございます。それからあと指導価格というお話でございましたが、これは言葉の使い方で適当かどうか疑問だとおっしゃいました通りでございまして、これも実は一律に価格は定めませんが、現在の貿易管理令によりますと、大臣は国際収支の改善なり国民経済の発展上、必要があるときは輸出承認をしなくてもいい、しないことができるという権限を付与されておるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、その権限に基づきまして、もちろん運用にあたってはそのときの実勢を十分尊重しながら、あるいは業界の御意向を尊重しながら、運用十分気をつけて参らなければいかぬと思いますが、非常に安い価格のものにつきましては承認をしないという形に法律上なっておりますので、そういう意味では輸出指導価格——言葉は悪いかと思いますが、そういうものも法律根拠に基づいた行政運用である、かように御理解を願いたい、かように思います。
  9. 山崎始男

    山崎(始)委員 それでこの事件は先ほども申しましたように、チェックプライス行政上の指導価格というものとの関連における外為並びに管理令違反だ、こう私は申し上げたのですが、昭和三十一年からチェックプライスができて昭和三十六年の初めまでチェックプライスが続いた。そのあと行政指導価格制度に変わってきたというのですが、その間終始一貫相場を上げ下げしたような御答弁のような印象を私は受けたのですが、ずっと一定しておったのじゃありませんか、まずチェックプライス段階で、昭和三十一年から昭和三十六年の廃止になるまでチェックプライス金額は常に一定しておった。それから行政指導に切りかわってからもずっと一定しておった。そこに一つのそのときの商売実態取引状況との関係ですから、上がり下がりがある。それにマッチせずに常に糸を引っぱったように一定しておった、そうじゃございませんか。
  10. 熊谷典文

    熊谷説明員 まず一定していたかどうかという点からお答え申し上げますと、チェックプライス当時は価格は動いておりません。一定でございます。先ほど、チェックプライス制度をやめて、どうして個々のケースについての、そのときの情勢に応じての価格チェック制度にしたかと申しますのは、チェックプライス制度はそう簡単に価格を動かすわけにはいかぬわけであります。そうしますと運用がぎこちなくなりますので、そういう制度廃止して指導価格言葉は悪いかと思いますが、そういう制度にいたしたわけであります。指導価格にしてから価格が変わってないじゃないかという御質問でございますが、実はチェックプライス制度のときよりは下がりました価格指導をいたしておるわけであります。その指導価格を具体的に申し上げますと、メーカー出荷額で言いますと、七・五〇倍のものが標準ものでございますが、三千百円でチェックプライスが引かれておったわけであります。ところが三十五年の半ばごろになりましてこれが無理だということになりまして、それをやめまして指導価格制度に移ったわけでございますが、そのときの大体の相場は二千六百円というのが一応の基準になっておりたわけであります。どうしてそれを基準にしたかと申し上げますと、御承知のように割当をもらいまして、輸出の場合は価格相手方等を書きまして輸出承認個々に受けるわけでありますが、そのときに大部分の方は二千六百円程度で売れますというお話があったわけでございます。従いまして、われわれといたしましては、それが当時の大体の実勢である、かように考えまして、それを一つ基準として指導して参る、こういうことでございます。
  11. 山崎始男

    山崎(始)委員 今お聞きいたしますと、チェックプライス制度の間は、約五年間ほど終始一貫同じ相場でいった、そのあと行政指導価格制度に切りかえてからは、そのチェックプライスのときの相場よりは下げて一つ基準を設けられた、それも最近に至るまでその相場は常に一定しておった。まあ行政指導価格になってから年月があまりたっておりませんが、チェックプライス制度のときに常に糸を引っぱったように、昭和三十一年にきめたものが三十六年くらいまで一定相場であったということなんですが、それはあなたの方のお立場で言うと、それをいろいろと変えるわけにいかぬ、こう言われたわけなのですが、問題は私はそこにあるんじゃないかと思うのです。商売実態というものは、これは申し上げるまでもございません。はなはだしいものは日によってもはげしい上がり下がりがあるような現状なのでありますが、五年間も常に一定相場通産省の方でくぎづけにしておられた。ところが日常商売をしておる人たち立場からいいますと、やはり商取引実態というものに即していかなければ商売ができない、これは申し上げるまでもないと私思うのであります。ところが今度の事件というものは、その差額に対して問題が起きているのですね。そういたしますと、あなたの方ではチェックプライス制度そのもの性格上、相場の上げ下げをするわけにはいかぬのだ、こう言われるのですが、これは五年間も六年間も同じ相場くぎづけにするという行政そのものに私は問題があるのではないかと思う。それなら私は逆にお尋ねしますが、今度事件を起こされた人たちは、そういうふうなリベートであるとかいうようなことが法律違反になり、他の刑事事件を起こすのだというような意識のあるような人は、実際非常に少ないのです。端的に申しますると、通産省がきめておるこの価格でなければ要するに輸出することができないのだ、輸出ができなければ金融にも困るし、工場の経営にも困る、こういうようなことから背に腹はかえられない、通産省が、お役所がきめられたことなんだから表面上はこれでいかなければいかぬのだ、しかし実態はそうでない、売れない、こういうことから起きておるのでありますが、それならそのチェックプライスの五年間ほどの間に、あなたの方とされましては常に海外の売り買いの実勢というものが——チェックプライスというものは一つ最低価格なんですから、それより以上に業者が売っておるということを確認をされておられましたか、おられませんでしたか。
  12. 熊谷典文

    熊谷説明員 先ほど申し上げましたチェックプライスが動いてないという点について、私少し言葉が足りなかったかと思いますので、補足さしていただきたいと思いますが、事実問題としては動いておりません。ただチェックプライスというものを未来永劫変えてはいかぬ、チェックプライスという制度価格を変えてはいかぬという制度ではもちろんございません。そのときの情勢によってチェック価格を変えていくということは可能でございます。ただ私が申し上げましたのは、チェックプライス制度をしいております場合に、簡単にその価格を変えていくということになりますと、非常に混乱を起こしますので、なかなかそういう運営はできにくい、こういうことを申し上げたわけであります。  それから、もう一つ御理解願いたいと思いますのは、チェックプライス制度でございますが、これは役所が一方的に価格を算出して、それを民間の方に押しつけておるという制度ではございません。実は大部分の物資、双眼鏡についてもそうでございますが、業界の方で、たとえば工業組合なり輸出組合等におかれまして数量規制と同時に価格規制をやられるわけでございます。これは自主的におやりになるわけです。役所といたしましては、そういう自主的規制だけではなかなか励行がしにくいという面もございますので、民間で自主的におきめになったものをさらに役所として裏打ちをしていくという意味チェックプライス制度をしいておるわけでございます。ところが双眼鏡につきましては、工業組合の方からも輸出組合の方からも、自分たちが自主的にやっておる当時のチェックプライス価格を変える必要があるという御議論は、その間出て参らなかったわけであります。ただチェックプライスをやめる当時、三十五年暮れに至りまして、どうも先方との交渉の経緯から見てチェックプライスは守りにくいという話がございまして、それならチェックプライス制度をやめましょうということで、そこで踏み切ってやめたような実情になっております。そういう事情でございます。  それから、しからばチェックプライス制度の当時、それで売られていたかどうかをチェックしたかというお話でございますが、われわれの方といたしましては、もちろん業界をある程度御信用申し上げておるわけであります。不幸にしてこういう問題が最近起こったわけでございますが、当時はそういう問題が起こるというような情勢もなかったのでございます。個々業者につきまして、あなたはこれでお売りになっておるかどうかということをお聞きしたことはございません。
  13. 山崎始男

    山崎(始)委員 今あなたの御答弁を聞いておると、チェックプライス制度にしても、行政指導価格制度にしても、業者の自主的々々々というお言葉が出るのですが、私の知っておる範囲では逆なんです。そのことを私きゃう申し上げると時間がありませんから、きょうはその問題にはあまり触れたくない。きょうは事件を主とした問題に焦点をしぼりたいのです。これは非常に大切な問題なのでほんとうを言いますと質問したいのですが、今のあなたのお話はだいぶ違うのです。しかし、時間がございませんから事件の問題の方に移るために私は端的にお聞きするのですが、その自主的に業者と話し合ってきめたきめないという問題はあと回しにいたします。  要点とすれば、その五年間にチェックプライス一つも変動がなかった、一定のものであった、しかしながら、私がお尋ねしたいのは、商売の実取引実態というものは、そのチェックプライスというものは最低価格のはずなんです。そうするとあなたは、チェックプライス制度一定にしておったということは、それが常に商売実態上守られておったということを認められますか。それではなくて、それより下をくぐって業者はみんな売っておるのだということを知っておられたかということをお尋ねしたい。
  14. 熊谷典文

    熊谷説明員 私どもの方といたしましては、先ほど申し上げましたようにチェックプライスを三十六年四月二十七日廃止しておりますが、三十六年に入りまして、なかなかその価格が守りにくいという実態はお聞きしておりますが、その前の段階におきましては、私どもとしてはチェックプライス最低価格でございますが、それが守られていた、それ以上の価格で売られていたというように考えていたのでございます。
  15. 山崎始男

    山崎(始)委員 そういう御答弁をなさると、私はあえてもう少し言わなければならないのであります。今から十日前に、あなたの方の事務官の人が裁判所に証言に出ていらっしゃいます。チェックプライスをしいた昭和三十一年ごろは適切であったと思うと言っていられるのです。三十一年ごろは、初期は、ですよ。そういう証言をしておられるのですね。五年間適正であったとは言っていないのです。今あなたの御答弁を聞きますと、五年間それは最低価格であって、それ以上に商売実態は売買をされておったんだというふうに聞こえるのです。再度お尋ねいたしまするが、間違いございませんか。
  16. 熊谷典文

    熊谷説明員 私どもといたしましては法律に基づいた価格制度であります、その運用にあたっては十分やはり実態をにらんでやらなければならぬということはもちろんでございますが、当時三十六年にはそういうお話がございましたが、その前の段階におきましては業界からそういうお話も承っておりませんので、私どもとしては、それが守られていた、業界もその価格で自主調整をやっておられた、さように了承しております。
  17. 山崎始男

    山崎(始)委員 五年間常にそのチェックプライス最低価格としてそれ以上に商売ができておった——私は、半年とか一年とかいうなら、あなたの御答弁は承服するのですよ。五年間という長い期間ですよ、その間、あなたは当時の最低価格が守られておったと言われるに至っては——通産省にはたくさんのお役人がおられる。一年間に個数がなんぼ出て、総売上金の受取金の額がなんぼ入っている、これは数学の問題なんですよ。年間総収入、前年度の売り上げ、前年度の個数、昭和三十二年の金額、個数、三年の金額、個数、四年、五年の金額、個数というものをはじいてみられて、今のあなたのような答弁ができますか。率直に言って下さい。お立場があることは私はよくわかりますよ。チェックプライスという制度がある以上、守られておっただろうと言われる、そういう形式的な答弁段階じゃないのですよ。もしそういう御答弁をなさるのなら私は——国民の高い税金を食ってたくさんのお役人がいらっしゃるのですよ。五年間の統計を見たらすぐわかるはずです、これが守られておらぬということは。もう一ぺんお尋ねいたします。そういうような御答弁をなさったらだめですよ。これは数学の問題ですよ。
  18. 熊谷典文

    熊谷説明員 数量で価格を割ったものがどうなっているかというのは、今手元にデータを持っておりませんので、後ほど提出してもけっこうでありますが、先ほど申し上げましたのは、もし業界の方でも実勢として守られない、大部分の方がこの価格を守られない——それは一、二の特殊例外はもちろんあろうと思いますが、全体として守られないということならば、当然こういう事情で守りにくいというお話があり、それと同時にやはり民間の方でも、工業組合輸出組合価格をみずからおきめになっておるのでございますから、それが当然当時変わっていかなくちゃならね、かように考えているわけでございます。そういう意味合いにおきまして当時の実勢としてチェックプライス制度というものが五年間変わらなかった、変わらなかったということは、無意味なものをしいておりましても、あるいは民間で自主調整されましても、これは無理でございますので、私どもとしては当然守り得る価格であった、かように考えているわけでございます。
  19. 山崎始男

    山崎(始)委員 どうもまことに妙な御答弁をなさるのですが、チェックプライス制度そのあに対して——これは双眼鏡ばかりではありません。私が今お話ししているのは双眼鏡なんですが、昭和三十四年の四月ごろ、チェックプライス制度そのものを、守られておらないからというので、通産省の方では品目別に再検討をする、場合によってはチェックプライス制度廃止してもということがあったはずなんです。そうじゃございませんか。昭和三十四年の四月ごろですよ。すでに、たまたま双眼鏡の場合でもリベートの問題があり預かり円の問題があるというので、昭和三十四年に、本来の効果が上がらぬからというので再検討なさっている。リベートの問題が起こるということは、チェックプライスが守られていないということなんです。申し上げるまでもございません。あなたの今の御答弁では、終始一貫、業者から何も言うてこなかったから、それで売られているのだ、そういう形式的な御答弁なんです。双眼鏡関係でいいましても、年間、あなたの方の所管の面から見れば一千六、七百万ドルくらいな、いわば大企業から見れば微々たる売上金でしょう、だからあなたの頭にないのでしたら、どなたか実態を御存じの方がおられましたらかわって御答弁を願いたいのですけれども、あなたの今言うように五年間も双眼鏡チェックプライスが終始一貫最低価格としてそれより以上に売られておったんだと言い張られる根拠が一体どこにあるか。形式的な答弁以外の何ものでもないと思うのです。だから私は今も言いましたように、一般論的な見方をしても、個数にして年間どれくらいな双眼鏡なら双眼鏡が売られておるか、それは品種の違いもありますが、一年間の総収入金、チェックプライスよりはなはだしいときには三割くらい下がっているはずなんですよ、実態は。そういうような、三割から下がっておるものなら双眼鏡関係のドルの受取勘定の数字だけ見たってわかるはずなんです、そういうふうに売られておらないということが。それから、これは昭和三十四年にもう問題になっているのです。それですから、あなたの方の事務官の方が裁判所の証言に出られても、その当時は、ということだけしか言ってない。昭和三十一年、このチェックプライス制度ができたその当時は適正であったと思う。五年間を私は聞いているのですよ。だから、あなたがもし御存じないのでしたら説明員の方でもけっこうですから、もう少し実のある答弁をしていただきたいのですよ。昭和三十四年には問題になっているのです。
  20. 木村公平

    ○木村(公)委員 関連して。この問題は実は本委員会で前にもなくなられました小川委員がきわめて熱心で、私どもも小川委員のおかげで多少勉強させていただいたのであります。今の御質問の要旨は、チェックプライス制度昭和三十一年から六年まで存在しておったけれども、実際は競争が過当で、最低価格を割ってないしょで輸出をせざるを得なかったような状態が起きておったのではないか。そこで、そういうような状態の副産物としてリベートの問題が起き、あるいは外為違反であるとか、関税法違反であるとかという問題も起きてきたのだから、チェックプライス制度というものが、かりに自主的に工業組合なり輸出組合なりから申し出があった価格にしろ、チェックプライス制度そのものが五カ年間ほとんど据置であった、ところが実勢は据置ということでは売りにくい、輸出が困難であるというので、競争が過当であったというような理由もあることでしょうけれども最低価格を割って売らざるを得なかった、それがために外為違反関税法違反というようなことも起きたということに私はなると思うのです。そこでチェックプライス制度というものを廃止されて——なぜ廃止したかといえば、そのようなもろもろの故障が起きたから、さらにまたもう一歩進んで申せば、工業界等においても、この最低価格ではとうてい輸出ができないというような御意見もあったのでしょう。そこでチェックプライス制度というものは廃止して、これからは一つ日本業者を守る、さらにまた輸出の正常化というような意味から、この権限に基づくところの価格承認をする、それが山崎委員の言うところの行政指導価格でございましょうけれでも、行政指導価格ということは、要するに業者の申し出価格承認ということであろうと私は思うのです。とても今までのチェックプライス制度最低価格では、競争が過当なために輸出が困難である、従って、これを負けてくれ、もう少し安い価格を御承認願いたい、そうして外貨の割当をもらいたいということから、いわゆる承認価格、またの名前を行政指導価格といってもいいでしょうが、そういうものができて、それがゆえにかつてはチェックプライス最低価格の場合には三千百円のものが二千六百円、五百円値引きになった。そうして初めて一応正当な輸出が行なわれた。ところがその後その行政指導価格ができた後においても、依然として競争が過当であって、価格は下落の一途をたどった。そこで買取機関をつくって十五万トンほど買い取ったわけですが、それをまた業者にその後放出した。その価格と、それから業者がさらにこれを輸出した価格との間のマージン、これに対しても実はこの前から議論があるところなんですが、今の山崎委員の言われるチェックプライス制度というものは、時流に合わなかったからこれは廃止になったということだけは、通産省もお認めいただかなければならないのです。チェックプライス制度というもの、この場面ですべてのチェックプライス制度がいけないというわけではないのですが、少なくとも今具体的に言われておる双眼鏡の場合におけるところのチェックプライス価格というものは、当時においては時流に合わなかったからこそこれが廃止になったのだ、昭和三十六年度において廃止された。これは当時の時流にマッチしておれば廃止する必要がなかったのでありますけれども業者の方からもこの価格では輸出ができない、しかし、輸出をするにはこの価格を割って安い価格輸出をする、そうしてリベート等をもらうような者も出てくるやら、あるいはすでに外貨の割当を受けたにもかかわらず、安値でやって外貨をよけいもらうというようなことになって、外為違反等を犯すというようなことが出てきたので、チェックプライス制度をやめようじゃないかというのでおやめになった。それからそのあとには日本輸出を守る意味において、業者から、工業界あるいは輸出組合あたりから申し出てきた。かつては三千百円であったものを二千六百円に低くした価格をあなた方は承認された。そのいわゆる承認価格行政指導価格と今呼ばれておるのでしょう。そうでしょう。そこで今山崎委員がしきりに言われるのは、チェックプライス、特に三十一年から三十六年の間に不変であるところのチェックプライス価格というものは、これは必ずしも万全な価格ではなかったのじゃないか、その三十一年から六年までの間においても、おそらく最低価格以下で売られたこともあろうし、それがために外為違反を犯したこともあろうし、関税違反を犯したこともあるのだから、現に事務官裁判所に呼んでみれば、三十一年のときは正当だと思ったけれども、その後においては正当性というものが強調できなかったような状態だということであるならば、チェックプライス制度というものは、三十一年から三十六年までの間においては常に正当を持続しておったと言えないのじゃないか。当時は正当だと思われたこともあったけれども、やがてこれにひびが入り、正当ならざるものが発見されてきて、とうとう廃止にまで追い込まれたわけでしょう。従って、一応チェックプライス制度については、なぜ廃止したかという経緯をあなた方がここでお述べになりますれば、当然これが改訂を要した不備が出てくるわけです。そうすると初めてそこの山崎委員が納得をされると思う。ただあなたの、チェックプライス制度というものは必ずしも悪いものじゃないし、そうしてこれは業者が自主的にきめた値段をわれわれが最低値段としてきめたのだ、だからそんなものは別に知らないといったようなことばかりを言わないで、もう少し答弁に含みをお持たせになれば、山崎委員も了解されるのじゃないかと思うのです。チェックプライス制度というものは一応やまったのですから廃止になった、なぜ廃止になったかといえば、もろもろの弊害が出てきたから、あるいは時流に合わなかったから廃止にならざるを得なかったのです。その廃止段階においていろんな外為違反も出てくる、関税違反も出てくるから、そういうものも含めて、このチェックプライス制度というものをこのまま持続させれば、業者に不測の損害あるいは迷惑を与えるということで、これを改訂して、そうして今度は業者が自主的に、これはチェックプライス制度の場合もそうでしょうけれども、工業界あるいは輸出組合あたりから自主的に申し出たところの価格というものをあなた方が承認をされた。この承認価格がいわゆる行政指導価格と今言われておるものだろうと思いますので、チェックプライス価格廃止になります過程をつまびらかになされば、一応この今日の段階においては山崎委員が納得されるのじゃないかと思うのです。はなはだ老婆心ながら一言申し上げます。
  21. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 チェックプライスの設定、それを存続できなくなってやめて、買取機関をつくった、さらに山崎先生言われます指導価格というような制度になったことにつきましては、そのいきさつを冒頭に私から御説明をいたした通りでございまして、ただいま木村先生から御指摘のような経過を実はたどっているわけなんでございます。先刻熊谷次長がお答えいたしましたのは、相当長く、五年程度チェックプライスが続いたのでございますけれども、その間この価格に変動がありまして、下落の傾向をたどっておったということは、これは十分役所といたしましては承知いたしておりますけれども、それに関連いたしまして、いろいろ御指摘のようなリベートの問題とかそういうようなことが耳に入っておったのですけれども、オーソドックスに最低価格チェックプライスを修正する必要はなかったと思うという程度答弁でございまして、価格下落を知らなかったわけじゃないと思いますが、そのために特にこのチェックプライスを三十六年の四月まででございますか、の間におきましては修正する必要がなかったのだということをお答えいたしておるのでございます。決して事務当局の説明しておることと、私の考えておることと、また法廷で陳述しましたこととは違ってないと思っております。
  22. 山崎始男

    山崎(始)委員 今木村委員から、私の意の尽くせないことをやや半分ほどかわって言うていただいたようなことなんですが、先ほど次長の方からも、買取機関というものを事業協会で一手買い取りをやらしておった。それを三十五年の末ごろでございましたか、やめたということを次長言われたのですが、このFOBチェックプライスの前提として、国内チェックプライス制度というものが当時まだあったはずですが、その事業の協会が買い取りをやめる前、そのときに事業協会は一応業者から一手買い取りの形をとったが、海外のバイヤーとの相場がさっぱり出合わないというので、国内チェックプライスを二割も安く売っているのですね、事業協会そのものが……。そうでしょう。二割も安く売っておるはずなんですよ。あなたの方は、チェックプライスというものは、もうそれは商売の自主性なんだ、取引実態なんだ。これはFOBチェックプライスも国内チェックプライスも私は変わりはないと見ておる。国内チェックプライスという段階があって、その上にいわゆるFOBチェックプライスというものがあるのですから、業者からは一手買い取りして、海外へ出ないというのでそれを二割も安く事業協会そのものが売っている。そのことは一体何を意味するのか。当然、事業協会が売っているのでありますから、これは当時商工中金か何かで事業協会が数億の金を借りられて、これより以上一手買い取りをやったらわれわれがもうたまらぬといってその制度をやめられたはずなんですが、そのときにその品物は二割安く売っておられる。この実態なんですね。そのことは一体何を意味するのですか。いわゆるその当時のFOBチェックプライスというものが海外のバイヤーとの商売実態に合っていないということを認めていらっしゃるはずなんです。今の次長の御答弁を聞いておりますと、終始一貫業者から言ってきたものだ。業者から苦情が出てこないのだから、通産省とすると最低価格でそれは海外のバイヤーの手にわたっているんだと思うんだ、こういう形式的な答弁に一貫されておるのですが、私はこの点は非常に、この問題を私が次にお尋ねするためにはここの点は非常に大切なんです。あなた御存じないのですか、それともどなたか課長さんでもよろしい、説明員の方に、ほんとうに実態を知っていらっしゃる方に、もしこの中にいらっしゃるのなら、かわって御答弁していただいてもけっこうなんですがね。もう少し明白にしていただきたい。
  23. 村上正紘

    ○村上説明員 お答えさしていただきます。今先生のおっしゃる通り、当時輸出業者に販売するにあたって事業協会は全部ノー・ブランドで買い込んである。そのものを商社に売るという場合に、買った商社の方で、あとでカバー交換とか、それからブランド彫刻するという名目で多少の返金が、後日払い戻しがあったというふうに記憶しております。
  24. 山崎始男

    山崎(始)委員 そうすると大体実態は私がお尋ねするように、五年間取引実態チェックプライス通りではないのだ、リベートの格好で払い戻しのようなことをやっておったということは御存じだということなんですね。そういうことになるのでしょう。そういたしますとお尋ねするのですが、そのこと自体はいわゆる外国為替並びに外国貿易管理法違反並びに関税法違反にかかるんだということはまさか御存じないとは思わないのですが、そういう事態は今言いますような法律違反になるんだということは御存じだと思うのでありますが、どうですか、ならないと思っていらっしゃいますか。
  25. 村上正紘

    ○村上説明員 お答えいたします。その点につきましては、事業協会が輸出業者へ現物を売り渡すということは、これは国内取引でございます。輸出業者としては買った品物、それを買った値段と無関係チェックプライスで出すということは、これは当時の事情から不可能であったかと思いますが、事業協会においてカバー交換料とかブランド彫刻料を払い戻したということが、即外為法違反関税法違反につながるということではないというふうに思います。
  26. 山崎始男

    山崎(始)委員 私のお尋ねしているのは、事業協会だけのことを聞いているのじゃないのです。今、再度念を押したらあなたはうなずかれたのです。いわゆる五年間、次長がおっしゃるように終始一貫最低価格以上に売られていないのだ。リベートというようなことでやられておるということはお認めになったのですかと聞いたら、あなたはうなずかれたのです。私はだめを押した。事業協会は一つの例で私は出したのです。
  27. 村上正紘

    ○村上説明員 今、先生の言われたリベートを出したということを、私事業協会が輸出業者リベートとして払い戻しをしたというふうに聞いたわけです。
  28. 山崎始男

    山崎(始)委員 ちょっとおかしなことですね。これはここに検事さんがいらっしゃるですから、その検事さん方の段階になるのですが、個々の貿易商であろうと、事業協会であろうとチェックプライスをくぐって売ったら法律違反における性格は変わらぬと思うのですが、今、あなたの御答弁では、事業協会が売ったのだからそれはその間にブランドをしたり、あるいはその他云々ということはあるでしょう。けれど、私は時間がありませんから、事業協会だけのことにしぼって言っておるのではないのです。五年間終始一貫、次長の答弁のごとくそれが商売実態であったのか、すでに昭和三十四年にあなたの方はいわゆるチェックプライス制度、これはひとり貿易業界ばかりではないのです。いわゆるチェックプライスが守られていないということを再検討されておるのです。そのときにすでに預り円並びにリベート問題というのが問題になっておるのです、あなたの方の内部で。たまたま私はきょうは双眼鏡の問題で、さっき申しました十五商社ばかりが問題を起こしておるというので、双眼鏡の問題にしぼっておるのです。他の品目のことを言っておるのではないのです。きょうのお尋ね要点は、あくまで守られておったと思うか思わないかということに尽きるのです。次長は、守られておっただろうと思う、業者の方から苦情がないのだ、そうしてチェックプライス制度であっても、あるいは行政指導価格制度であっても、これは業者が自主的に当局へ言ってきたものなんだ、こういうふうな御答弁なんです。この問題は、私は別の日にでもやりたい。あべこべなんです。  そういう論議をするのはきょうの私の趣旨でないものですから私は言わないのですが、端的にお尋ねしておるのは、リベートの横行というようなことが、言いかえると商売実態が五年間常に糸を引っぱったように守られていないのだということを知っておるかおらないかということなんです。チェックプライス制度をやめられたというその動機として事業協会の問題を今私が出したのです。木村委員はやめたということは欠陥があったからやめたのだろうということなんです。たまたまその例で事業協会の問題を出したのです。ですから、私の質問要点は簡単なんです。
  29. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 チェックプライスを五年間事実上価格が下落する傾向にありますにかかわらず動かさなかったということにつきましては、私は必ずしも遺憾な点がないでもなかったと思うのですが、しかし、役所といたしましてチェック価格を設定してあります以上は、そういうことについて法律に抵触したということで、いろいろお取り調べを受けておりますことに対しては、お気の毒だとは存じますけれども、やっぱり役所としましては守ってもらわなければならないことになるのじゃないかと思います。
  30. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連。事業協会に対して製造業者リベートをやって国内FOBを割っておったということは承知しておった、こういうことをおっしゃいましたね。それでそういう工合に輸出業者が安い価格で仕入れて、次長の言うようにはっきりチェックプライスを守られたとするならば、輸出業者が莫大な不当な利潤を受けておったということをあなた方は承知しているということに相なるわけですね。次長の言う通りであるとするならば、輸出業者はその業者から買い取るのは安く買い取るのだから、それを正当な値段で売れば莫大な利益になっておったということをあなたは承知しておった、そういうことに相なるんじゃなかろうかと思うのです。承知しておったという答弁をいつまでも続けられる限り、そういうことには相なりませんか。
  31. 村上正紘

    ○村上説明員 どうも事業協会とその輸出業者関係の点でちょっと私の説明が足らなかったと思うのですが、事業協会が輸出業者に払い戻したということは、事業協会で買い取った品物は全部統一規格の品物でございます。これでブランドを後日彫刻するとか交換するために、今度は輸出商社サイドでこれを交換する費用とか、それをばらしてもう一度組み立て直すというような費用がかかるので、その実費は事業協会が輸出業者へ出したというふうにお答えしたいと思うのです。
  32. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう実費を出したにしましても、それは普通の場合ですと輸出業者自体が持つ、それをこちらに負担をかけたということになるのでしょう。だからその費用だけでも、これは不当な利益を受けておったということになるわけだ。あなたの今の答弁そのままを私ら受け取っても、それを承認しておった、こういうことに相なるわけだろうと思うのです。それで山崎君の先ほど言った輸出手数料をそのことによって得た——今資料を持ってないそうですか、そのくらいの検討を通産省がやってないはずはないので、これは大へんだ、計算は合わぬわい、こういう工合に必ずなっておったんじゃないかと思うのですが。
  33. 山形栄治

    ○山形説明員 先ほど来のお話関連いたしまして、これは機種別には分かれておりませんけれども、一応双眼鏡の過去の輸出チェックプライスがありました当時の輸出手数料と金額を手元にあります資料で御紹介申し上げます。今申し上げますことから本数で金額を割りますと、大体当時のチェックプライス以上であったということは判明するわけでございますが、三十二年では百九万七千本で、金額は一千百七十万ドルでございます。これは十ドルをオーバーしております。三十三年は百三十万一千本で千三百八十万ドルでございます。三十四年は百四十七万本で、金額が千六百二十万ドルというふうになっております。三十五年は百二十九万一千本で、金額は千四百六十万ドル、以上の数字で、こまかい割算をしておりませんのですが、本数と金額との関係でございますと、大体十ドルをオーバーしておる、チェックプライスは九ドル六十五というのがございましたので、その当時は大体チェク・プライス以上で売られておったということがいえるんじゃないか、こう思っております。
  34. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その点私はしろうとですから、チェックプライス何ぼとかいう金額はすべての双眼鏡にあるのか、個々双眼鏡の種類によってチェックプライスがあるのかということ、それを全部数量的に合わせてやっていかなければ、単なる算術平均をやったってチェックプライスが守られているということはいえません。それが一つと、それから、みんながチェックプライスを割って売ったはずはないのだから、その算術平均をやると、それはチェックプライスを割らないことになるのはあたりまえだ。それは算術平均でやったらチェックプライスを割っておったということは、全部がその法に触れるということになってくるわけですから、そういうばかなことはないのですよ。ですからそこのところは私はしろうとでわからぬですけれども、そういう単純算術平均でそうでないのだ、こういうことではいかぬ。しかし、今おっしゃるように、そういう緻密な計算をしてチェックプライスを割らないとすれば、そのことによって割っておったことを知らなかったのは通産省が悪いという言い方は、私は取り消してもいいのですよ。
  35. 山形栄治

    ○山形説明員 ただいまの御説は当然のことでございまして、手元の資料ではこまかいブレーク・ダウンの数字はございませんので、一応その全体の本数と全体の金額とで大体の大勢をお見取り下さいという意味で申し上げた次第でございまして、今こまかい資料はございませんので御了解願いたいと思います。
  36. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすればこれはいいのですけれども、先ほどの言い方は、あまり私たちをしろうと的にただ単純算術平均的に私の主張を押えようとするような言い方で、これは慎んでもらいたいと思う。今ははっきり先ほどの答弁を取り消されたので、それでよろしいと思うのです。けっこうです。
  37. 山崎始男

    山崎(始)委員 ちょっと今のような問題に発展しましたので、私が先ほど申し上げた点を訂正いたしておきます。  算術計算ですと、いわゆるLCの金額で、実際の金額でやっておられぬおそれがあります。従って算術計算では、私は直感的にそういう点から見ても出てきておりはしないかと思ったのですけれども、今関連で西村委員から話されて、そういう面が入っていきましたその過程において、これは私ちょっと訂正しておきます。その数学的な問題だという言葉を。LCの金額でいっておれば実態はわからない数字は出てこない。五年間も通産行政の担当者がおって、双眼鏡業界で五年間このチェックプライスが守られておると思うという答弁に至っては、私は実際あきれてものが言えないのです。これは私は日を変えてそれを反論する裏づけは何ぼでも持っております。個々のケースで業者は非常に困っている。この五年間チェックプライスのある間、引き続いて行政指導価格になった最近まで非常に困っている。一セント安くてもライセンスがおりない。工賃払い、手形の不払いのおそれもある。非常に困っておることは事実なのでありまして、その個々のケースの過程において、今あなたは業者の方から苦情がないから守られておると思う——こんな無責任な答弁というものは私は承服できないのです。先ほど説明員の方に私がだめ押しいたしましたが、リベート並びに預かり円という、チェックプライス制度の裏にはそういう弊害があるからというので、昭和三十四年に通産当局が再検討されているはずなんです。場合によったらチェックプライス制度廃止しようかというので、廃止するかしない方がいいのかという個々の品目別の検討までやられているはずです。それが今のような御答弁、守られておる。——それではお尋ねいたしますが、これは非常に肝心な点ですから、説明員の方でけっこうですが、伺いますが、今まで双眼鏡協会においてもリベートというものが行なわれておった、言いかえれば、商売実態チェックプライスに合わないんだということを知っておられますか、おられませんか、もう一ぺんお聞きいたします。
  38. 村上正紘

    ○村上説明員 これは実際にチェックプライス制度を維持して輸出することが非常に困難であるということから、チェックプライス制度廃止してほしい、ついてはそのチェックプライス制度の母体となっております日本機械輸出組合における双眼鏡最低輸出価格協定というものは、三月で廃止になっております。その協定を廃止するかどうかという声が出てきたのが、大体三十六年の一月ころであったかと思います。
  39. 山崎始男

    山崎(始)委員 もっとはっきり言うて下さい。あなたの方は認めておるような認めておらぬような答弁なんですが、要するに守られておらないということは、認めておるということなんでしょう。そうでしょう。
  40. 村上正紘

    ○村上説明員 お答えいたします。  三十四年に、双眼鏡にかかわらず全商品についてチェックプライス制度についての検討という問題があったのでございます。そのときに双眼鏡についても検討したわけでございまして、それを、双眼鏡についてはその後もやはり実施するということで存続してきているわけでございます。しかし、三十六年の一月に至って、業界から現状チェックプライス制度を維持するのは困難であるという声が出てきたことは、私ども記憶しております。
  41. 山崎始男

    山崎(始)委員 大へん苦しい答弁ですが、あとに譲ります。
  42. 津雲國利

    津雲委員長 通商産業省所管決算についての質疑は後ほど続行することとし、これより行政管理庁関係決算について質疑に入ります。木村公平君。
  43. 木村公平

    ○木村(公)委員 きょうは予算委員会が開かれておりますにもかかわらず、幸い行政管理庁長官の川島先生にわざわざおいでいただきましたので、かねて懸案でありまする公団並びに調査会、審議会等の整理統合につきまして、大臣の最終的な御所見を承っておきたいと思います。  私どもの伝え聞くところによりますと、公団、審議会というものがいかにも多過ぎる、各国会ごとにそういうものの新設、設置の希望がまた出てくる。整理しようと思うと逆に増加の傾向にあります。すでに審議会の数は三百数十に及んで、公団、公社の数もまた、ここに詳しい資料がございますが、相当なものでございます。そこで今回衆議院に公団、審議会等の必要、不必要あるいは監査のことをも含めまして、公団、審議会を調査する特別委員会をつくろうじゃないかという話が寄り寄り出ておるわけでございますが、この機会に大臣の御所見も伺っておきたいと思います。なかんずく奇怪千万なことは、太政官布告それから戦時中の統制法などがまだ残っておるのがあるという事実がある。今日驚くべきことでございますが、なおこんなものも残っておるようです。従って、こういうようなものにも特別委員会がおそらく手を触れなければならないと思いますが、特別委員会をつくるということは国会の仕事であるにせよ、一応この点について大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  44. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 ただいま御質問のうち、公社、公団、事業団は、審議会、調査会とはおのずから性格が違うのであります。公社、公団、事業団等につきましては、最近いろいろ世間から批判がありまして、その運営をもう少し適正にしろということでありまして、管理制度などの改善について考えておるのであります。実は政府の機構とは違いまして、公団、公社、事業団等は、その設置につきまして行政管理庁長官が容啄することはできないようになっております。従いまして、今回提案しておるのは、公社が一つ、事業団が三つでありますが、実はそういう提案についても私ども閣議で了承しただけでありまして、事前協議はなかったのでありますが、今後は新設の場合には、行政管理庁長官の同意がなければできないような法律改正をしようと思ってただいま検討いたしておるわけであります。公社、公団、事業団は相当今後ともその運営につきましては検討する余地が多いかと考えております。審議会、調査会は、御承知の通り、今二百八十ほどあるのでございまして、中には一年一回も開かぬというようなのもございます。もちろん開く必要がなくて、たとえば資格審査その他案件がなかったために開かれなかったのもありますが、そうでなくて開かないのもありますので、そういうのは当然整理すべきものだと思いまして、一昨年管理庁長官になりまして以来、閣議におきまして各大臣に整理案をつくるように要求をいたしておるのでありますが、まだその実が上がっておりません。ただし、新設につきましてはこれを厳重に抑制をしまして、大体総数においてはこの二、三年ふえておりません。多少新設がありますが、一方において廃止するものもありまして、総数はふえないようにいたしております。これまたぜひ一つ適当な機会に、不必要なものは整理したいと考えております。  それから最後にお述べになりました戦時立法などでただいま不必要なものがあるじゃないかということでありますが、これにつきましては法令を審査する機関を設けたいということをかねがね考えております。必要がなくなった法令をこれを廃止する審査会を設けようと考えております。まだそれは実現いたしませんが、それにつきましては私としてはいろいろ考案をいたしておる最中であります。
  45. 木村公平

    ○木村(公)委員 私大臣にお伺いいたしたかったのは、公団、公社、事業団のことよりも、いわゆる諮問機関ですね。政府の審議会、調査会といわれるもの、これが大臣のおっしゃるように二百七、八十、私どもの方では三百以上あるように勘定いたしておりますが、これはおっしゃるように年に一回の会合すらも開かないようなものがありまして、いろいろ有用なものもあり、今では無用となり果てたものもあるようです。そこで、こういう審議会、調査会を調査するための衆議院に特別委員会をつくりたいという議論が、きょう私がここへ出席する前に実は出てきたわけです。議運の委員長等も寄りまして、至急一つこういうものをつくる必要があるのじゃないかという、これは議論の段階でございますが出ておりますので、この点も後ほど大臣の御所見を伺っておきたいと思います。  もう一つ、ぜひともこれは川島大臣の実力によって各大臣に一つ十分理解をせしめていただきたいのは、いかに特別委員会をつくりましても審議会、調査会を全廃するという工合にいくものではありません。法律によってできたものもありますし、国会の希望によってできたものも多いわけでありますから全廃するわけには参りませんが、そのあとの問題は、調査会、審議会というものが単に政府の諮問機関であるかどうかの問題です。単に政府の諮問機関であるとしますならば、これは民主的な行き方としてわれわれは賛成です。政府が一応法律原案をつくる等の場合におきましても、学識経験者その他の大衆の声を聞きながら原案をおつくりになるという謙虚な態度には賛成でありますけれども、今それが日本において行き過ぎまして、調査会、審議会において答申したものは、それが政府を拘束いたしまして、答申通りの原案ができることを審議会は希望をし、はなはだしきは、選挙法の調査会のごときものは要求をする。そうして、法律に尊重するという言葉があるから、国会までこれを原案通り、おれたちの答申通りにこれを立法せよという、立法権にまで容喙するような奇々怪々な態度が昨年あたりは見られたことは御承知の通りであります。これは無知な者の行き過ぎであるというふうに一笑に付するわけにはいかないのでありまして、調査会、審議会の答申というものが、弱い政府の考え方を拘束する。単なる諮問をして、そうして諮問にこたえた答申というものは、政府の参考意見にすぎなかろうと私は思うのでありますが、そうではなくて、この答申それが法案の原案になるべきものである、さらにその原案通り立法の府はこれを立法化すべきである、法律化すべきであるといったような行き過ぎた考え方がもしも今後横行するようなことになりますれば、行政府の干犯であるのみならず、立法府の重大な干犯でございますので、この点調査会、審議会のあり方、諮問機関とは何ぞや、諮問とは何ぞや、答申とは何ぞやという見解をこの機会に実力者大臣でありまする大臣から承っておきたいと思う次第でございます。
  46. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 調査会、審議会の性格、できたときの動機などによりまして、いろいろ内容が違うのであります。しかし、いずれにいたしましても、審議会、調査会の意見は政府としてはこれを尊重いたします。ただし、これを施策に移すときには政府の責任においてやるわけでございます。立法する場合には、政府の責任において立法してこれを国会の御承認を得る、こういうことになるのであります。せっかくできて民間の有識者の意見を求めたのでありますから、その意見を尊重するのは当然だと思いますが、その意見通りというわけには参りません。これは、政府の責任において政府の考えによってやるというのが筋道だろうと思います。ただ、ただいまやっております臨時行政調査会などは、特に条文の中に調査会の意見を尊重してその結果を国会に報告するという字句が入れてあるわけでありまして、そういう特殊なものもございますが、大体の審議会、調査会というのはそういうふうになっておりません。意見を聞くだけになっておりますけれども、いずれにいたしましても、政府といたしましては尊重はいたしますけれども、これを実施する場合においては政府の責任においてやるということが根本の考え方であります。
  47. 木村公平

    ○木村(公)委員 時間もございませんし、最後に一つ。先ほど冒頭にお尋ねいたしました諮問機関である調査会、審議会等の調査をするための特別委員会を衆議院においてつくりたいという議が起こっておるわけでございますが、これに対しましては大臣の御所見はいかがでございますか。
  48. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 これは国会の意思でおつくりになるのでありまして、行政府の長官である私から意見を申し上げるのは適当でないかと存ずるのでありますが、国会の行動いかんにかかわらず、行政管理庁長官としては、御趣旨の通り不要なものはこれを廃止することに今後とも努力をいたすつもりでおります。
  49. 山田長司

    山田(長)委員 関連して。ただいまの木村委員の御発言に関連しまして私の伺いたいことは、この審議会とかあるいは公社、公団、こういうものについての御質問が今あったのでありますが、さらに私は関連して伺いたいことは、各省に無数の外郭団体がある。その外郭団体にはかなりの補助金が出ているところもあります。それがやはり仕事をしているところ、仕事をしておらないところ、これらについてやはり管理庁としては当然国費が費やされておりまする以上、この機構に対しましてもやはり調査をする必要があると私は思います。そこで、管理庁としてはこれらの問題について過去において調査をした事例があるかないか、あるとするならばどんなところを調査したか、一応この機会に伺っておきたいと思います。
  50. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 調査した事例がありますから、一つ政府委員からお答えいたします。
  51. 山口酉

    山口(酉)政府委員 御承知の通り、補助金を出しておりますものにつきましては、その補助金を扱います監督官庁の監督ぶりを監察するという必要上、補助金のいきます先について調査をいたしております。外郭団体になりますと種々雑多でございますけれども、最近では検査、検定などをやっておりますものについて調査をいたしております。その他につきましても、政府機関の実施いたしますのに関連して、その外郭団体のみを目的とはいたしませんけれども、一応監査上の必要から一、二のものを監査した事例がございます。具体的なその調査の内容についてはただいま手元に持っておりませんけれども、補助金の監査については、多くの場合そういう外郭団体にまで調査が及ぶ場合がございます。
  52. 山田長司

    山田(長)委員 政府の意図を国民に知らせるということでございますから、これはあえてとやかく言うわけではないのでございますが、やはり最近の状態を見ますと、パンフレットとかあるいは写真、あるいは週報類似のものとか、そういうものが政府から何億という補助金が出まして、そしてこれが各方面に配付されておるわけです。地方の県会議員にまで無料で配付されているような事例がある印刷物があります。私は、これについてとやかく言うのじゃありませんけれども、とにかく何億という経費が出ているものでありまする以上、やはり管理庁としては当然これが調査をする必要のあるものと私は思うのです。こういう点について、今調査をしたものの個所についての事例が申されなかったのでありますけれども、当然やはり管理庁としては調査の対象にして取り扱ってしかるべきものと思うのです。旧来扱ったものは、今名前を言われなかったけれども、どんな事例がありますか。一、二あったらその名称を言っていただきたいと思います。
  53. 山口酉

    山口(酉)政府委員 国有鉄道につきまして、これは直接国の機関ではございませんで、さらに国が監督しております公社という性格でございますが、この国有鉄道の外郭団体それから電電公社の外郭団体というような大きな公社についての外郭団体の調査を行なったことがございます。それから厚生省関係でいろいろ社会事業を実施しております福祉法人などに出ております補助金も調査いたしております。なお、特に外郭団体自体を目的とするという場合は、実は非常に少ないのでありまして、これは補助金自体の問題でございますと、その適正化につきましては会計検査院が実施いたしますものとあまり重複しないようにしたいという考えを持っておりまして、それに補助金行政についての行政運営ということに私どもの方は重点を置いておりますので、抽出は全面にわたりません。一部を抽出いたしましても、その行政に関する運営の仕方というものはほぼ見当がつきますので、そういう調査のいたし方をいたしております。なお、具体的にどの個所という点につきましては、ただいま資料がありませんし、私の記憶にも十分ございませんので、また別の機会に別の方法ででも御必要があればお知らせいたします。
  54. 山田長司

    山田(長)委員 私はこう考えるのです。もうすでに、世の中の大きな変化とともに存立の意義をなくしているような外郭団体があると思うのです。それからさらに重複しておるものもあると思うのです。こういうところに役所の古い役人が入っておったり、あるいはまた今までの縁故関係等の惰性で、存在をいつまでも許しておくというのではなくて、当然これらを調べて、重複するものは一つにし、存在理由のないものはやはり抜本的に廃止をする、そういうことはやはり管理庁の仕事として私はなさっていいと思うのです。それでなければ世の中の大きな変化に対処する——もう過去の残存のもので法人機構なんというものはたくさんあるのですから、私は今ここでその事例をあげることを差し控えますけれども、とにかくこういうものについても管理庁としては当然手を差し伸べて、新たなメスを入れる必要があると私は思うのですが、大臣はどう考えますか。
  55. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 補助金、助成金の問題につきましては、実は行政管理庁の所管外でありますけれども、私は国務大臣として申し上げてみたいと思います。御趣旨全く同感であります。なるべくそういうふうに進めたい、こういうふうに考えております。
  56. 津雲國利

    津雲委員長 勝澤芳雄君。
  57. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほど予算委員会で、一般質問で長官から大まかな話を聞きましたので、あともう少し掘り下げて聞きたいと思います。  そこで第一に、この設立の可否についてであります。必要なものは、これはつくらなければならぬ。しかし必要でないものは廃止しなければならない。必要であるか必要でないかの判断はどこでするかということで、先ほど長官の御説明によりますと、行管で一枚加わって審査をしよう、こういうことでありますが、そこで私は、行管が川島長官のような内閣閣僚の中で実力のある人がやるならいいと思いますけれども、大臣がかわったらその主管の方が強くなってしまって、行管はおざなりだということになっては大へんだと思うのです。たとえばいろいろの今の内閣の調整で、総理府長官がいろいろな審議会を持っておりますが、ただ事務をやっているだけなんです。それから経済企画庁がありますが、金を持っていって、足りないところをつかみ金で少しずつ足しているだけです。調整なんというのはやられていないわけです。しかし、それが川島さんとか河野さんとか、あるいはそういう力のある人が経済企画庁長官になると、なかなか見ばえがする。行政管理庁も、今川島さんが長官になられているからなかなか脚光をあびていると思うのです。ほかの人ならどうもだめじゃないだろうかと思うのですが、人と機構の関係はなかなかむずかしいと思いますが、何かそこらの点を検討する必要があるのじゃないか。川島さんもこの七月またお残りになる方ですから、われわれとしては何も心配ありませんけれども、しかし、今の現状から言うならば、もう一回今あるやつを再検討してみる。閣議の中で十分討論してみる。結論になりますと、ほかの委員会じゃだめですから、やはり決算委員会なんかで一つ一つ裸にしてみて、必要性のある問題を討論してみるということで、やはり一致してやらなければ不可能じゃないかと思うのです。そういう点についてもう少し掘り下げた御意見がありましたら、ちょっとお伺いしたいと思うのであります。
  58. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 ただいまの御質問は審議会、調査会についての御質問ですか。
  59. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いえ、公社、公団、公庫の方です。
  60. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 公社、公団、公庫につきましては、やはり非常に数が最近ふえまして、中には比較的重要性のないものがあるのじゃないかと思いまして、お説の通り、私ども所管じゃありませんが、政府全体として検討すべき時期だ、かように考えております。おそらく臨時行政調査会でもこれを取り上げるのじゃないかと思っておりますが、それは別といたしまして、政府全体としてやはり考えていきたい。国会でも衆参両院においてそういう議論がしばしば出るのでありますから、そういう意見も尊重してやりたい、こう考えます。
  61. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結局これは、公社、公団、公庫あるいは事業団、特殊会社というのは、つくる必要もあるでしょうけれども、つくったときのうまみがあるわけです。ですから言うならば、これは私は第二官僚組織だ、こういうのです。ですから先ほどもちょっとお尋ねしました次官クラスで総裁なり副総裁なり、理事長なり副理事長になった者は、どうでしょう。先ほどちょっと説明がありました。私が調べただけでもたくさんなところがあるわけであります。たとえば日本輸出入銀行の総裁、あるいは道路公団の総裁、あるいは中小企業金融公庫の総裁、あるいは住宅金融公庫の総裁、農林中金の総裁、住宅公団の総裁、こういう方をずっと調べてみますと、これは確かに名前は大へんに重要なことだと思うのでありますけれども、次官からここに副総裁で入り、そして一期やってまた総裁になる、こういう人事の流れがずっと出ておるわけです。この流れを見て参りますと政党政治でない。まさに官僚政治だと思う。だから、この問題の必要性を論議する前に、こういうものは必要があってできたのだろうけれども、一体この人事運営がどうなっておるか、どういう流れをなしておるかという点を調べてみて、そこには入れないのだとシャット・アウトするとうまみがなくなるから、今度は逆にそんなものをつくるよりは中でやろうじゃないか、やれるじゃないかということになってくると思う。またいろいろ各省の派閥といいますか、あるいは権限争いといいますか、こういうこともあるようであります。水資源公団が御承知のような格好でがんじがらめになっておるわけです。それからどこの公団を見ても、たとえば役員が十人おるならば、一人は大蔵省、一人は何省、一人は何省、一人は何省、それが順番に順送りになっておるわけです。ですからこの際こういう点まで掘り下げて、行管が権限があるのかないのかよくわかりませんが、しかし、長官の実力をもってすればそういうことはできるわけでありますから、そこら辺を一つこの際検討してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  62. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 公社、公団、事業団の特徴は、官庁機構と違いまして、民間の優秀な方にお願いして運営してもらうところにあるのであります。しかし、実際の人選になりますと、民間の相当の人がそういうところにくるかどうかということに問題があるのであります。そういう人事をきめるときに、私ども各省大臣が相談にあずかるのでありますが、なかなか民間から有能者を見つけにくい。自然それが、われわれ大臣などと違いまして、先ほど御指摘のように特に高い俸給を出すということに、すでに相なっておるわけなのであります。しかし、その問題は別といたしまして、実は三十八年度予算を閣議で最終決定します際に特に発言しまして、今後公社、公団、事業団には天下り人事は一切しないという閣議決定をいたしたわけであります。従いまして、新たにできますものはむろんのこと、今後任期がきまして異動する場合にも、直接の監督官庁から天下りしない、こういうように方針を決定いたしました。これも一つの進歩じゃないかと考えるわけであります。私は、御趣旨は全く賛成です。賛成ですが、なかなか打破できないところに官僚の抵抗があるのでありまして、一昨年行政管理庁長官になって以来、実はこの問題と闘っておるわけであります。私は、公務員を個々に見ますとみなりっぱな人だと思いますけれども、官庁機構の中に入りますと非能率になって、スクラムを組んで、セクショナリズムになって、そこにいろいろな行政上のゆがんだ形が出てくるわけであります。これを打破することも必要と思います。また、そのために臨時行政調査会等もつくったわけであります。一つ国会の皆さんの応援を得まして、ぜひ日本の国のために官庁機構を打破したい、こういう熱意に私は燃えております。
  63. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の閣僚はみな実力者ですけれども、その中でも期待を持っておるのは、川島さんと河野さんです。しかし、どうも河野さんの方はだめです。やはり川島さん一人きりになると思う。それは東北開発株式会社の人事を見ると、あそこでおやめになった理事が今度農地開発機械公団の理事長になっている。その人事を見るとどうも河野さんもどうだろうかと思う。それは別として、いろいろあると思うのです。今言われた民間の大物を持ってこなければその仕事ができないなら、それは民間の大物を持ってくることもけっこうだと思う。ですから民間の大物を持ってくるときには、あなたの言われたように内閣総理大臣よりも、あなたよりも月給が高くなければこないわけです。安過ぎるのです。安過ぎるのか向こうが高過ぎるのかわからないが、まあ五、六十万出さなければ日銀の政策委員にもならないといわれております。また帝都高速度交通営団の総裁になって五十万円ばかりでたたかれるよりも、民間の鉄道会社の社長になれば月に百万や百五十万もられるのはあたりまえだ、こう言われておりますから、それじゃばかばかしくてならない。ならなければなってくれる人になってもらえばいいと思う。なってもらう人は幾らもあると思う。またそれほど政治的にむずかしい仕事じゃないわけですから、極端にいいますとただ判こを押しているだけだ、自治省と大蔵省できめてそれを実行しているだけですから、そういう仕事をしている事業団があるわけですから、私は、その高級官僚が、事務次官が行かれた。その次に一足飛びに二十万円も二十五万円も月給をとらせるからいけないのです。それを同列にする、あるいはそれでなかったら五十五で、あるいは五十前後でやめさせるのを六十五くらいまでお使いになったらいいと思うのです。嘱託にでもして年数を長くして、そして六十五になったらもう遊んでいてもらう。もし仕事がしたいなら報酬を受けない仕事、自分のうちの前を掃除をしたり、あるいは庭をきれいにしたり、公園でもきれいにしたり、そういう仕事をやって健康を保持してもらう、そういうことを考慮しなければならぬと思うのです。五十五の働き盛りでどっかに行こうとすると十二万円の月給をとる。国会議員の十三万五千円よりこっちの総裁になった方がいい。二期やれば二千万円ももらえる、三期やれば三千万円ももらえる、こういうことになる。ですから民間の大物を持ってこなければならないものは別として、区分けをしなければならぬと思うのです。それでなければ、あとはそんなに月給を高くしなくても、国会議員より多い方がいいか少ない方がいいかわかりませんが、そんなに無理して、私は第二官僚というのですから公務員給与程度でけっこうだと思うのです。それで運営ができないなら別だと思うのです。これは運営できないわけではない、私ども事業内容を見てみますと。ですからそういう点、私はやはり検討すべきだ、大蔵省が一がいに言っておる民間の大物は、私もけっこうだと思うのです。しかし、そういう必要性があるかないか、ここに私は第一の問題があると思うのです。それは乱立の問題は、やっぱり人事の問題とからんでいるというふうに思うわけですから、ぜひ一つ検討していただきたい。  それから、次の問題は私は経営のあり方だと思うのです。親方日のまるなんです。ですからその一番の極端な例が東北開発にあるわけです。今まだ決算でも取り上げませんけれども、これは北海道の地下資源に今出ております。これはたくさんな膨大な赤字を出しております。それからこの間帝都高速度営団を調べてみましたけれども、実際の国に定められた法律に基づいて計算をやったらどうだといったら、三十五、六億の赤字になるだろう。しかし、実際には黒字決算をしている。このごろからとんとんの決算をするようになった。それは金を借りるためだ、こう言っております。理屈はいろいろあると思うのですけれども、やっぱり何かあってこれは大へんだということなら、北海道の地下資源は、役員の給料は一割減をしたはずです。結局何かそこでやらなければいかぬと思うのです。ですから、そういう点から経営のあり方というものについてもやはり問題だと思うのです。やっぱり何でも金を費やせばいい。それが何といいますか、地域に結びついておりますから、それは与野党を問わずもっと金をつげ金をつげということになると思うのですが、やっぱりこれもせめて決算委員会あたりで与野党が一致しておるのですから、そういう問題については与野党ないわけですから、そういうところと一緒になって、この経営の問題についてもやはり結びついて検討しなければならぬと思うのですが、その点どうお考えですか。
  64. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 今御指摘になりましたうちの東北開発株式会社にいたしましても、北海道地下資源開発にいたしましても、この首脳者はいずれも民間人でございます。東北開発の総裁はよしましたけれども、後任も伊藤保次郎さんをお願いしてなっておられるわけであります。しかもこの両会社とも議員立法でありまして、政府立法ではないのです。それをしいて言うわけじゃありませんが、なかなか公社、公団、そうした政府関係の法人の運営は、いろんな問題があろうと思うのです。一がいには言えないのですが、お話意味はよくわかります。私も考えておるわけであります。何とかしてこれは私の在職中に正しい姿に直したい努力をいたしておるのですが、なかなか実効が上がらないので、私も実は焦慮しているのですが、なお私の在職中に軌道に乗せたいと思って努力しております。
  65. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ぜひ一つ、これはこの際ですから、マスコミの方々も協力をして取り上げておるのですから、やはりこの辺で洗いざらい現状——これは現状を国民に知らせば知らすほど国民は驚くと思うのです。しかし、それはやはりやらなければいかぬと思うのです。  それからこれを監督しておる監事もやはり問題だと思うのです。これはあなたの方でだいぶお調べになっておるようですが、監事が理事会に一緒に出てやっておるわけです。ですから監事という役目を実は果たしていないわけです。それから理事に比べて監事は地位が低い。地位が低いというか月給が下なんです。言うならば政府の監理官、たとえば東北開発なら東北地開発を見ると、ここの監事は経済企画庁の監理官がおやめになって、それからここの監事になる。監事になると今度は次に理事になる。こういう形の動きなんですね、人事の面を見てみると。従って後輩が先輩のところを見ておるわけです。日本育英会の理事をこの間聞いてみましたら、文部大臣が私の先輩が日本育英会におりますので、こういう話が端なくも出てきた。ですから監督すべき大半の先輩が、みんなそういう形で入っておるのですから、監督できないわけです。せめて会計検査院でもしっかりやればいいのですが、やはり検査官も人の子ですから、なかなか思い切ったことができない。身を捨ててやったら、やめたときに使ってもらうところがなくなるということになるから、やはりそういうところから考えて、監事の問題もこの際ただ単に監事というものだけでなく、人事面の問題から会計検査院との問題あるいは行官との問題、こういう問題もからませて、やはり監事が本来の仕事ができるようにしなければならないと思うのです。この点についてはいかがでしょうか。
  66. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 従来ともそうした特殊会社の総裁、社長、監事は所管大臣の任命です。理事は社長、総裁の任命、政府の承認、こうなっていまして、監事の方が一段高いわけです。これが何といいますか、公家の位倒れでございまして、位ばかりよくて実が伴わない。従って、監事としての機能が発揮できないということを考えまして、実は昨年来各公社、公団、政府出資の会社の監事を全部集めまして、数回会議をしていただきまして、いかにしてそうした事業監査をするかということについて、いろいろ検討したわけです。その結果といたしまして、ことしからできる公社、公団、事業団につきましては、監事の権限を明確にしまして、従来ははっきりいたしませんでした職務権限というものを明確にして、これでまだ十分ではございませんが、一応そういうことをいたしまして、それから待遇も理事と同格ということにして、今度は提案させておるわけでありまして、既設のものにつきましても漸次そういうふうな方向に仕向けて、監事というものの機能を発揮させたいというふうに考えております。  もう一つ考えておるのは、監事はいわゆるいいスタッフの人でなければならない。理事者の意見を聞くだけでなしに、みずから会社の内容あるいは公団、公社の事業内容を調査し得る人間を配置することが必要ではないかということを考えて、これも漸次そういうふうに仕向けたい、こう考えておりまして、公社、公団、事業団等がみずから監察制度というものの機能を発揮するように仕向けたい、こう思っております。
  67. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣も私と同じような気持を持たれて決意をされておるようであります。この問題は、やはり私は古くして新しい問題であると同時に、なかなか解決のむずかしい問題だと思うのです。しかし、やはりどこかでいつかやっていかなければ、これは国民に申しわけがないと思うのです。一つ決意をもって、せめて、またお残りになることが確実ですけれども、それまでの間にやはりこれは一つのめどを残して、そうして川島さんがこの時期にこういうことをされた、そのために今こうなっておるということを一つぜひ歴史に残していただきたいと存じます。  それから、やはり何といいましても、この問題は、高級官僚といえども生きていかなければなりませんから、その取り扱いをどういうふうに考えるかというと、これはもう少し、今、定年制はないわけですけれども、やはり働ける盛りくらいまでは使っていく。あとがつかえたらつかえないようなものの考え方をしていく、嘱託にでもしておけばいいわけですから、六十五くらいまでとにかくそこで有能な、わざわざ十年、二十年かけてそこに精通した人ですから、民間に行くならばともかくも、そうでなかったらやはりその省で一生懸命使う。そうしてあと六十五以後の人生は社会に奉仕をするというようなことも、一つの検討すべきものだと私は思うのです。役所の中で六十五まで使うということについての是非は、いろいろ議論があろうと思うのですが、やはりそういうことを全般的に考えてやらなければならぬ。こっちへ行っちゃいかぬということになれば、あとはどこへ行くかというと民間に行く。民間に行けばどうなるかといえば、やはり同じ結果になると思うのです。補助金が出ていく、委託費が出ていく、あるいは仕事の関係でいろいろと関係が深い。それで仕事を見てみますと、民間団体へ行く場合を見ておりますと、これは人事院で縛っております。人事院で縛っておりますけれども、またこれで人事院で縛っておるのを調べてみますと、全部認可されておる。却下されているのはほとんどわずかしかないわけです。ですからやはり基本に戻ってくるのはどこへいくかというと、働き盛りの人を何とかしなければならぬという全体的なものになると思うのです。臨時行政調査会の中でもやられておるようですけれども、やはりここへお預けになっていても、そう簡単にいくわけではありません。一つこの辺で、先ほどから決意が述べられましたが、一つなお一そうの御奮闘を私は特にお願いをして、ほかの問題につきましては、また別の機会に譲ることにいたします。
  68. 津雲國利

    津雲委員長 鈴木仙八君。
  69. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 最近、国民の間で、公社、公団に関心が非常に高まっている際、本日は川島長官の御出席で、各先輩からそうした点に対して質問が多々おありのことと思います。私は、おくれて参りましたので、あるいは重複をすることがあるかもしれませんが、御了承願いたいと思います。  私は、国が出資などしている公団などに置かれている監事諸君の実績が、一向に上がっていないということ、そう申しては大へん語弊があるかと思いますが、この監事という職は、いわば単にもと高級官僚の失業救済機関になったりあるいは無用の長物になっているのではないかという印象を、かねがねから持っていたのでありますが、一昨年、決算委員長に就任いたしまして、東北開発株式会社の経理問題の審議を通じて、さらにその感を深めた次第であります。東北開発株式会社の場合についてみますと、監事制度が完備しており、監事が自分の職責に忠実であって、勇気をふるってその機能も十分に発揮し、また、執行機関である理事会などにおいても監事の発言を尊重していたならば、検査院からも指摘されず、世間を騒がせずに済んだであろうと思うのであります。最近の傾向として、国民の多額の血税を投入して事業団などが続々と設立をされております。この傾向は、将来においてもいい悪いは別としてなかなかとどまるところがないようであります。このような実情を考えますと、国民代表機関であります国会、特に決算委員会といたしましては、これらの公団等に対する政府の指導監督が適正に行なわれているかどうか、あるいはその職員等の活動状況や責任体制が完備しているかどうかなどについて関心を持たざるを得ないのであります。幸いにして行政管理庁におきましては、昨年以来公団等の監事制度について監察のメスを入れられ、すでに中間報告もなされておられますので、この際監事制度に関してお尋ねいたしたいと存じます。どうか長官の隔意のない御答弁をまずお願いをしておきます。  まず第一にお伺いしたい点は、現行監事制度の概要についてであります。私の概略の調査によりますと、政府の任命等によって監事が置かれる。公団等の総数は八十五をこえており、監事の総数は実に百五十余名に達するようであります。申すまでもなくこれらの監事諸君は、国の出費が適法でかつ効率的に使用されておるかどうかを監査する機関として、主務大臣により任命されたものと存じますが、現行制度における監事の権限、任期、給与などの実態はどうなっておるか。その運用面については次にお伺いすることといたしまして、ここでは制度自体の概要と、現在政府がこれら八十余の公団等に対する出費などの総額は、一体どのくらいに達しておるかについて御説明をいただきたいと思います。
  70. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 ただいま鈴木さんの御質問は、先ほども木村さんと勝澤さんからもありまして、一応お答え申し上げてあるのですが、要するにこれまでの監事制度というものは全然機能が発揮できなかった。発揮できないような組織になっておったということでありまして、そこで昨年来私はこの問題に関心を持ちまして、本年の三十八年度の予算審議の際、閣議で一応問題にしたのでありますが、特にこの国会へ提案しました四つの公団、事業団につきましては、監事の職務権限というものをさらに明確にしまして、同時に待遇等を理事並みにする、こういうふうにいたしまして、今後は監事制度というものを十分一つ活用して、適正な運用をするようにさせたい、こう考えておるのでありまして、御質問の御趣意にある御懸念はまさにその通りでありまして、これを是正することに今後も努力いたしたい、かように考えております。
  71. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 あとでもよろしいのですが、八十余公団等に対する出費の総額を一応あとでお調べいただきたいと思います。
  72. 山口酉

    山口(酉)政府委員 三十七年十一月三十日現在でございますが、特殊法人を入れまして全部で六十五に対して出資をいたしております。九千百七十九億六千五百十七万六千円という額になっております。
  73. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 次に従来の監事制度運用実態についてお伺いします。  従来の監事制度運用や活動状況についてはきわめて遺憾な事例が多く、単に東北開発株式会社だけの事例ではないようであります。世間では公団等の監事について、高級退職公務員等の失業救済のポストであるとか、将来理事民間企業に栄進するための一時的見習機関で、待命期間のポストであるとか、あるいは隠居仕事で、高額の退職金入手のポストであるとかの、きわめて芳しくないうわさがあるのであります。かようなうわさが立っているかどうかは別として、一般的に申しまして、従来の監事の運用は所期の効果を十分に発揮していないことだけは事実のようであります。その原因には種々あると思いますが、まず第一に任命権者である政府が、監事の職責を十分認識していないのではないかということであります。主務大臣は、理事の選任については比較的慎重に考慮するようでありますが、監事の人選にあたっては、しばらく遊ぶつもりで就任をしてくれとか、いずれ理事に考えてやるからとかなどというように、監事の職責を理事より一段軽く扱っている傾向があるようであります。これは今勝澤先輩からも御質問になっておりますが、また受け入れ側の役職員にしましても、監事をじゃま者扱いにし、自分たちの執行機関に対立をする。対等な、なくてはならない機関として公正な批判をしてもらい、意見を求めるという気風に欠け、むしろできるだけ監事をたな上げして批判を封じようとする傾向すらあるようであります。すなわち、執行機関の役職員の側においては何もしないで、ただめくら判を押してくれる監事の方が、かえってりっぱな大物の監事だと歓迎されるようであります。さらに、監事自身はこのように任命権者の認識不足と受け入れ側の非協力という諸環境に甘んじてしまい、あるいは自己の保身栄達のため、その職責の資格に欠け、無為に日々を過ごしていくという傾向になるのではないかと思われるのであります。もしも世間のうわさの通りの傾向であるとするならば、きわめて遺憾なことである。膨大な国費の投資や融資を現行の監事に委任することはできなくなりますから、今後は全く新たな構想に基づいて、別個の監査機関の設立などをも考慮しなければなりません。この際、長官は非常に御理解のある御答弁等もございましたが、長官から従来の監事制度の悪い点についても包み隠すことなくお話し下すって、今後の本委員会の審議に御協力を願いたいと存じます。
  74. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 従来の監事の運営、任命等につきましては大体お説の通りであると考えております。これを改善したいというので、昨年来やっておるわけでございまして、従来はまさに理事より一段下でございましたが、これからは同格にいたしまして、有能な人を監事にするということに、任命のときにも注意をいたすつもりでございます。ただいま政府委員からお話の通り、国の出資が九千億以上に上っておる膨大な運営をする監査でありまするからして、監事自体も職務の重大性をそれぞれ認識するようにこれも促したい、このように思っております。
  75. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 次に、行政管理庁は監事の監査機能強化に関する勧告をなさっておられますが、それに関連してまず職務権限の責任明確化並びに監査の運営方式の明確化についてお尋ねをいたします。  現在の監事の職責は、それぞれの基本法で業務を監査すると単に抽象的に規定されているのみにすぎないようであります。大部分の機関においては、具体的に監査結果を報告書として提出すべきものか、まただれに提出するのか、あるいは損益計算書及び貸借対照表等の財務諸表についての意見表明をすべき義務があるのか、法的な根拠が与えられていないようであります。もちろん省令、通達、及び内部規程等においては規定しているようでありますが、これらについてはむしろ法律に規定して、その法的根拠を与えるべきであると思うのであります。従来これらが整備されていなかったということは、主務大臣等が監事の職責を十分に認識をしていない証拠の一つであります。また勧告にも指摘している通り、監査の目的、方法、その結果の処理等も運営方式も統一的に制度化していないようであります。それらのために、監事の職責は国民の血税の効率使用を目的とするきわめて重要な職責であるにもかかわらず、理事者などとなれ合いで、むしろ執行機関に依存して、世間一般のうわさの通り有名無実化している実情に立ち至ったのではないかと思われるのであります。現在の監事諸君のうちで、理事者等と対等の立場で監査機能を果たし、その結果の問題点を堂々と指摘をし、根本的改善策を提示するような監査報告書を作成し、あるいは財務諸表等の決算書について意見、証明書を添付している方々がはたして何名あるでしょうか。狭い私の見解ではありますが、国鉄等の一部を除いてはきわめて少ないのではないかと思います。大半がそのつどの思いつき程度のことを口頭で報告をしているのが現況ではなかろうかと思うのであります。中には文書の監査報告を提出している者もあるようでありますが、はたしてその記載内容は期待されているほど充実をし、政府及び国会等においても参考になるようなりっぱなものであるか、われわれ外部者には明らかでありませんが、疑問に思う次第なのであります。また種々の諸制度が完備しても、現在のように監事を片すみの一室に追いやったような形で、手足となるスタッフも一人もつけないのでは、とうていりっぱな監査機能を果たすことはできないと思います。行政管理庁の勧告には一応りっぱな勧告が盛り込まれているようでありますが、監事制度の抜本的改革は、単に行政管理庁が各省大臣あてに勧告しただけで達成ができるものとは考えられません。具体的改善措置について各省などにまかして気にしていない。行政管理庁が責任を持って統一的に企画立案をし、法律に規定し得るものはできるだけ法律に盛り込み、また省令、政令等に規定するものにしても、行政管理庁が指導推進をはかるように努力をすべきであると思いますが、御所見をお伺いしたいと存じます。
  76. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 御説の通りでありまして、行政管理庁だけで目的を達するわけがございませんので、各省庁を指導いたしまして、監事制度等の機能は十分発揮するようにただいまやっておるわけでございまして、まだ成果が上がりません。今後は十分御趣旨に沿うように働くつもりでおります。
  77. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 次に政府の公団、公庫などの役員の任免人事並びに監事の待遇改善等についてお伺いします。  政府の公団等の役員人事については、ただいまも申し上げましたように、再検討を要する重要問題が多々含まれていると存ずるのであります。かねがね政府は公団等の役員の給与は、民間から企業的経営の経験豊富な達識者を採用するためには、現在より高くする必要があると強調をされておりますが、実際の人事の内容を見ますと、民間人優先採用の原則に反して、官僚中心主義となっておるのであります。すなわち執行機関の理事の大半は元高級官僚であり、またこの監査機関の監事も同じくほとんどが元高級官僚によって占められ、さらに監督の任に当たる各省の監理官等もまた官僚であります。公団等はその設立から企画運営のすべてが官僚群によって支配をされている実態であります。私たちは、監事の職能は国費の使用について、納税者の国民的立場から不正不当や問題点等を指摘して、これが是正改善をはかるというきわめて重要である、かつ困難な仕事であると考えるものであります。ある面においてはむしろ理事等よりも豊富な識見と強い正義感や勇気を必要とする職務であります。しかし、私たちがかように監事職能を重視して、また諸制度を完備してみても、現在のような公団等の官僚運営の網の目の中にあって、同じく官僚出身の監事にその十分な活躍を期待すること自体が無理なことではないかと思うのでありますが、その感は特に川島先生などは深いものと存じますが、この際政府は監事の人事において、理事等にまさるとも劣らず重要視して、大幅に民間達識者を採用する、従って真に監事としてふさわしく活躍していただけるような適材な人事を行なうよう根本的に再検討すべきであると思うのであります。また監事の待遇改善については監事連絡会からも要望されておるようでありますが、従来の監事制度の整備強化と相待って政府の任命人事の根本的再検討を行なった上で、かつ監事からはりっぱな監査報告が作成提出をされ、単に主務省だけでなく、国会や国民に対しても参考に供するなどの実績が上がることを条件にして、監事の待遇はそれぞれの機関の総裁または副総裁並みに引き上げるよう考慮してもよいか、と思います。しかし、監事の職能は、その性格から見て、ただ月給を上げればよいという性質のものではなく、むしろその仕事をばりばりやるには月給が要らないという人を任命できれば、この方がはるかによいとも思うのであります。先般も地下鉄の高速度営団の問題に対して、私は憎まれ口を聞きましたが、国民が五人か六人で一人の官僚を養っているというようなつまらないうわさを立てられる日本では、実に情ないと思います。月給目当てに高級官僚が監事のいすをねらうということはもってのほかであります。右か左か賢明な長官のこれらに対する明快な御判断をお願いする次第であります。  以上の諸点について御所見を伺います。
  78. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 監事制度の問題は、制度よりも人だという御趣旨全くごもっともであります。新しくできる公団、事業団の監事につきましては、御趣旨に沿うような人事をそれぞれの関係閣僚に私から特に強く主張するつもりでおります。こうした議論が国会で行なわれるということは、私がそれを主張する上に非常に有力に役立つのでありまして、むしろ私から感謝申し上げるわけであります。御趣旨の通りやるつもりであります。
  79. 鈴木仙八

    鈴木(仙)委員 いろいろ御誠意のある御答弁をいただきまして、お忙しいところありがとうございました。  最後に、委員長に一言お願い申し上げます。  現在公団などの監事から監査の結果の報告書が総裁または主務大臣に提出されているようであります。この報告書は、納税者たる国民にとってもきわめて関心のあるものであります。特に当決算委員会の決算審査にあたっては、きわめて有益な参考資料となるものと存じますので、御提出を願うか、監事さんに御出席を願って国政審議に御協力を願うというように御考慮いただきたいと存じます。いずれ公団、公庫につきましては、三十五年度の決算審議として三月中には当委員会に逐次御出席を願いたいと思っておりますので、委員長においてそのように取り計らい願いたいと存じます。  以上をもって監事制度に関する質問を終わりたいと思います。
  80. 津雲國利

    津雲委員長 了承しました。  行政管理庁所管決算についての本日の質疑はこの程度にとどめます。午後三時より再開し、通商産業省所管決算について質疑を続行することといたします。  しばらく休憩いたします。    午後一時十五分休憩      ————◇—————    午後三時十九分開議
  81. 津雲國利

    津雲委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管決算に対する質疑を続行いたします。山崎始男君。
  82. 山崎始男

    山崎(始)委員 それでは午前中に引き続きましてお尋ねをいたしますが、通産当局の方の今の御答弁は、三十四年にチェックプライス制度の再検討をやったと、それだけは認められた。やったが、双眼鏡に関しては当分まだチェックプライス廃止するということでなしに、引き続きやるということをきめられたということが午前中の御答弁一つ要点、ただ、私からいいますと、非常に答弁は簡単明僚な答弁に尽きるのですが、何べんお尋ねしても堂堂めぐりをしてらちがあかない。それではこのチェックプライスの問題はあと回しにしまして、その次に行政指導価格というものを設けた。午前中の次長の御答弁は、チェックプライスでは重箱にものを詰め込んだようなことで窮屈だから、行政指導価格を設ければ、多少そこにゆとりがあるからという意味の御答弁をされた。その点を先に一つお尋ねいたしておきますが、そんなにゆとりのある行政をおやりになりましたか。私が知っておる範囲では、行政指導価格というものは昭和三十六年の六月ごろからやられておるはずなんですが、それは公表もせず、ただ一方的に、あなたの方は業者と相談をしてやったと言われておるが、全然御相談らしい御相談はやっておられませんよ。それはともかくとして、この行政指導価格昭和三十六年六月ごろにおきめになったものを、チェックプライスが五カ年間据え置きであったと同じように、終始一貫弾力性ある運営というものはやっていらっしゃらない。どうも次長の午前中のお話では、さっきも言いましたように、チェックプライスでは窮屈だから指導価格というもので弾力性を持たすようにしたという御答弁、これは認められると思うのでありますが、そういう実態は実際はございません。あなたは一々御存じないかもしれませんが、ここに説明員の、あれは村上さんでしたか、いらっしゃるはずなんですが、一つ実態を御答弁願いたい。事実においては一セント違っても許可されておらない、ライセンスをおろしておりません。しかも一方的に公表してない、そのつど、そのつど業者はおそるおそる、これでようございますかと言っておる。それが業者と相談していたものならそういうことは起こり得ないのです。業者はケース・バイ・ケースで、そのつど、そのつどつくったものを出すときにはお伺いを立てておる。終始一貫一セント違っても許可されておらない。はなはだしい例は二千個の双眼鏡輸出するというので、これはもう金融の問題、いわゆる工賃の支払いの問題からいって業者にとっては相当の金です。ところがお役所のあなたの方の通関手続が済まなければ金にならない。二千個のものが、その中にたった六個安いものがあったために当時非常なトラブルを起こしておる。トラブルといえば大げさですが、それでも許可になっていないのです。結局は許可になったのですけれども、それを詳しく申し上げますのは、時間がありませんから言いませんが、決して次長がお話しになったような運営はされていないということでございます。その点について次長でもよろしいし、説明員の方でもよろしいから実態を知った人から一つ答弁願いたい。
  83. 熊谷典文

    熊谷説明員 まず指導価格は弾力的に運用するといいながら、それが実際そうなっていないじゃないかという御質問の点でございますが、これは先ほど申し上げましたように、チェックプライス指導価格に切りかえた趣旨がそこにございますので、私どもといたしましては、どうしてもこの価格でないと取引ができない、しかも、はっきりした理由がありましてすべてが安値輸出のような悪影響を及ぼさないというケースにつきましては、認めるつもりでございます。ただ従来、これはわれわれの方の御説明も多少足らなかったせいもあろうかと思いますが、どちらかといいますと、これはどうして指導価格より安いのでございますかと説明を求めました場合に、それなら指導価格にいたしましょうというように、そこで簡単に業界の方々も直されたというのが実態でございます。そこの辺は多少、先ほど申し上げましたように、それでなければ輸出承認を絶対しないからというお考えで、あるいはそうされた向きも多少あるかと思いますが、とにかく制度としては、私どもの方はそこは弾力的に運用して参る、かような考え方に立っておるわけでございます。事実として安い価格で出たものはないということでございます。  それからもう一つは、指導価格制にしてから値段が全然変わっていないかどうかという問題でありますが、御案内の通り三十六年四月にチェックプライス廃止いたしまして指導価格制に移ったわけでありますが、廃止しました当時はFOBで標準ものについて三千百円、そういう価格指導しておったわけであります。その後の情勢を承りますと、それでは無理だということで三十六年十一月からはそれを二千六百円に下げるということで、そこは情勢によって指導価格自体も考えていく、こういう建前をとっておるわけであります。
  84. 山崎始男

    山崎(始)委員 私のお尋ねしておるのは、チェックプライスのときの相場がこれであった、チェックプライス廃止された次に指導価格になった、それがチェックプライスのときの相場と同一の相場だと私は言っておるのではないのですよ。三十六年の五月ごろにチェックプライス廃止されて、その後指導価格にかえられたときには、指導価格制というものを設けてチェックプライスと比較すれば下がった相場できめられておる、そのきめられたものが、その後における指導価格制度において一セントでも安かったら輸出のライセンスがとれなかったという実態を私は申し上げておるのです。今の御答弁のようにチェックプライス相場をそのまま指導価格に持っていっておるのではないということは、私は知っておるんですよ。そうではないんですよ。チェックプライスから見ると一割五分くらい下げられたでしょう。それでもなお当時の実態は、いわゆるアクチュアル・プライスといいますか、実際の相場バイヤーと合致する相場というものは、それよりも下回っておったということです。おったからこそ私が最初に申し上げました十五件の刑事問題を起こしておる。問題はチェックプライスの問題であると同時に、指導価格をきめられておったがそれを下回っておったという問題と両方からんでおる。ですから私が申し上げておるのは、指導価格制度にかわってからも、あなたの先ほどのお話のように、弾力性のある運営をするために指導価格制度に切りかえたのだと言われても、その指導価格というものは終始一貫変わっておらぬですよ。弾力性のある運営はされておらないのですよ。そのときの取引の実際の相場と合致するようなものであるならば問題は起こらないのですよ。現に起こっておるのです。起こっておるということは、実際の行政の運営面を聞いてみますと、指導価格制度ができても、一セント安くても許可にならなかった。あなたは弾力性ある運営をしたと言われるのでありますが、実際はそうなんです。そうであるからこそ今言う刑事事件が起こっておる。それならばこの指導価格制というものは、きょう現在やっておられますか、やめられましたか。
  85. 熊谷典文

    熊谷説明員 これはもちろん指導価格でも最低価格でございます。最近の情勢は非常に好転いたしまして、値段は強うございます。従いまして、現在でもチェックはいたしております。二千六百円でチェックはいたしておりますが、大部分実勢はそれをはるかに上回りまして三千円近くになっております。かように考えております。
  86. 山崎始男

    山崎(始)委員 その制度はやめられましたか、続けておられますかということを聞いておるのです。
  87. 熊谷典文

    熊谷説明員 続けております。
  88. 山崎始男

    山崎(始)委員 本年の一月の中旬ごろに、今度の刑事事件が次々と起こってきたというので、組合からあなたの方の輸出課に対して聞き合わせをしております。ところが輸出課の答弁では、そういうことはもういいようになったんだ、今までのような状態でなくてもいいようになったんだ、こういう答弁をされている。そういう事実がありますか、ありませんか。
  89. 山下英明

    ○山下説明員 当方ではそういう問い合わせを受け、かつお答えをした覚えはございません。
  90. 山崎始男

    山崎(始)委員 組合の専務理事は電話をかけて聞いております。というのは本件の刑事事件が拡大をしておる。言いかえますと、今のチェックプライス指導価格の方でこれでもし検察当局が手を入れた場合には全部の業者にいくのです。これははっきりしておるのです。私がきょう午前中三グループに分けて十五件、現在までのものを例にあげたのですが、そうじゃないのです。横浜警察はこれからまだまだあげんとしているのです。全部いくんですよ、これは。これは指導価格と両方なんです。その実態はおわかりになっておるのですか。業者は戦々きょうきょうとしておりますから、組合は聞き合わせをしておる。私は商売人ではございませんから——私は相場が横ばいだと聞いているのです。昭和三十八年の一月現在においてその聞き合わしたときに、今あなたが御答弁になったように相当上向いておるんだ、こういう実態じゃないはずなんです。従来とあまり変わらぬはずなんです。それがこの事件が起きてから、急にあわてたのかどうか知りませんが、これはしまったと思われたのかもしれません。指導価格の運営の面において、これは今までのような一セント安くてもライセンスをおろさないというような行政指導ではいわゆるけが人ができるということを悟られたのではないかと私は思うのです、実際言いまして。いわば非常にゆるやかになったというか、今の輸出課に問い合わせたところ今まで通りのようなことではないんだ、もういいようになったんだ、こういう答弁、実に奇々怪々なんです。  またチェックプライス関係に返りますが、次長は、終始一貫昭和三十一年から引き続いて五カ年間チェックプライスは守られておったと思う、その間に実際の取引というものがそれを下回ってリベートであるとか、あるいは預かり円の問題であるとかいう問題はなかったと思うという御答弁なんです。ところがこういう問題は実に簡単明瞭なんですから、腹の中ではおそらく認められているはずなんです。認められておるはずだが、お役人の立場があるからそういう御答弁をされているのだろうと思うのですが、そうでない裏づけはたくさんあるのですよ。それを一々言いますと時間がかかるから、二、三申し上げます。非公式の場合に、業者が、組合理事長あるいは専務理事通産省に、今のチェックプライスは実際の取引には合わぬのだから何とかしてくれというような申し入れをしたとか、あるいは業者グループでこの問題について申し入れをした、通産当局のお役人もまじえて話し合いをしたとかそういうケースは、非公式ではありますが、たくさんあるのですよ。第一チェックプライスをおやめになったその前に、その過程において、昭和三十五年の八月でありましたか事業団に一手買い取りをおさせになって、たしか昭和三十五年の八月ごろでしたかお始めになった。チェックプライスの通りに実際取引が守られておるものならば、これは事業団に買い取りをさせる必要はないですよ。そうじゃありませんか。守られていないという弊害があるから、事業団に買い取りをさせたんじゃありませんか。昭和三十五年の八月です。これは始めるときに事業団に買い取りをさせるように、あなたの方が指導されて、やられたときにはいわゆる事業団の中に総代会というものがありますよ。そうでしょう。各業者から入って通産省の役人も入っている。その総代会の席上でも、買い取りをお始めになっても今のチェックプライスだったら買い取られた事業団がお困りになりますよ、ということは、実際の取引がそれよりもうんと下だからだ、これは非常に大きな問題になっておるはずなんです、総代会の席で。事業団の総代が言うんですよ。私は、非公式とは言わない。公式の席ですよ。そういうことをあなた方が御存じないはずはないんです、実際言うたら。お聞きになっておりませんか。お聞きになっておりますか。そのときのことは報告があるはずです。こういうようなケースは、実際言いましたらたくさんあるんです。だからあなたの御答弁のように、昭和三十一年からチェックプライス廃止するまで、それが最低価格としてそれを上回って物が売れているということは、あなた自身は通産省とすればそう思っておりますという答弁なんだけれども、実際はそうでないということは知っていらっしゃるはずなんです。それなら私また申し上げましょう。これはきょう午前中の初めに私は申し上げましたが、これは日本内地だけの問題でない。アメリカの政府が、要するにアメリカの関税局が、チェックプライスの実際の相場でないもので、いわゆるインボイスの面だけは、あるいはLCの面だけはそれの相場でやっておりますが、それより下の実際の取引は二割も安い。あるいは二割五分、はなはだしいものは三割も安い、その実際のインボイスも普通のインボイスを使って向こうのバイヤーに送ってやる、向こうのバイヤーは実際の取引面でもって向こうの輸入税を支払う、それが昭和三十五年の三月ごろには、アメリカ政府の財務官が米国大使館を通じて日本の外務省へも来ているはずなんです。あなたの方にも調査をしに行っているはずなんです。そういう事実がありましたかありませんか。昭和三十五年の三月です。
  91. 村上正紘

    ○村上説明員 お答えいたします。ただいま先生の御質問ですが、そういう事実はたしかありました。それで二、三の業者アメリカ大使館へ呼ばれて、事情を聴取されたというふうに聞いております。
  92. 山崎始男

    山崎(始)委員 向こうの政府が財務官をよこしたということは、ちょうど日本相場とあべこべの関係で、相関関係があるんですよ。要するにチェックプライスというものがあるが下回って売っているという実態の調査なんです。そのことをあなたの方に昭和三十五年の三月にやってきて、次長の答弁のように、下回って売ってはおりません、私は確認いたしました、それは業者から何にもこれじゃ困るというてきたことがございませんから、これが午前中の答弁なんです。これはお認めにならないのです。私はまだ申し上げましょう。昭和三十五年の二月に、いわゆるこれは身分関係はジェトロの身分関係ですから、旅費が三分の二出て、いわゆる日本双眼鏡関係の調査団というものが、日本輸出双眼鏡工業組合並びに東京望遠鏡協同組合、これの理事理事長の諸君その他、それへもってきて事業協会の土方という海外課長の五名を調査団として派遣されているのです。これは昭和三十五年の二月です。国費が三分の二出ている。いわば公式な双眼鏡関係アメリカの調査団だと私は理解しています。そしてこの合計五名の人たちが行って、向こうの大手のバイヤーと会合を持っております。その会合を持った席で、大手のバイヤーから、日本のアウトサイダーの調査団ではあるかもしれませんが、今の輸入税の問題、要するに実際価格というものとチェックプライスとが合わない問題においてアメリカではこれが問題になってきている。アメリカ政府自身、税関関係ですけれども……。そうして、すでにこのときに先方では問題になっておったから、大手の業者が寄ってたかって、日本の調査団へ向かって苦情を申し込んできているのですよ。そうして日本の調査団も、まことに迷惑をかけた、われわれもできるだけ善処いたしましょうという抽象的な言葉でありますが、お茶をにごしたのかどうか知りませんが、そのぐらいの答弁でもって、苦情を受けて、これは大へんだというので、あなたの方の原田明さん、この原田明さんという人はワシントンの日本大使館付の通産省派遣の事務官であったはずなんです。その人は三十六年の十月ごろに日本へお帰りになって、現在通産局の通商政策課長になっておられるはずなんです。この人にこの調査団は逐一報告しているのです。三十五年の二月です。なおおまけに、そのときにはジェトロから牧野という、この方も通産省の方ですよ。ジェトロの方から通産省の牧野という方が駐在員として当時やっぱり向こうにいらした。この人にも報告している。そしてその牧野さんという人は、現在通商局に帰っておられるはずなんです。あなたの方の原田明さんという人は、日本大使館の要するに参事官として、商務官というのですかとして向こうへ駐在されていた。その人にこの調査団が困ったことだと報告しているのです。おまけに牧野という人もあなたの方の人なんです。それがアメリカで聞いて、聞きっぱなしにして本省に言わないというばかは私はないと思うのです。それでも次長はお知りにならないのですか。いわゆるこのチェックプライスと実際相場というものが守られておらないという現実なんです。報告ありませんか。
  93. 熊谷典文

    熊谷説明員 私はその報告を聞いておりません。
  94. 山崎始男

    山崎(始)委員 これは奇々怪々なことですね。あなたが当時御在任であったかどうか知りませんが、私は通産当局としてお尋ねしておるのです。少なくともこの調査団は三分の二の国費を食って行っているんです。これはいわば公式なんです。そうして、行ってあなたの方の出先の人に、二人に報告しているのです。これは領事館まで行っております。
  95. 田口健次郎

    ○田口説明員 私は企業局におります田口と申しますが、当時重工業局の産業機械課におりまして、どちらかといいますと、メーカー関係行政に携わっておったのでありますけれども、調査団も事業協会に交付される事業費が三分の二でやらせていただいたわけでございますが、帰りまして、アメリカの税関でやはりそういう問題が惹起されているようであるという話をたしか伺った覚えがございます。調査団が帰られてから、比較的簡単だとは思いましたが、そういう問題がかなりあるという趣旨お話を承ったことがございます。それから、牧野駐在員から私信がありまして、手紙をいただきまして、やはりアメリカのインポーターがそういう税関で問題があるので善処方を要望しているという趣旨お話を聞きました。これにつきましてやはりいろいろ考えまして、当時七倍五十の標準品について三千百円がメーカーの出荷価格でありましたが、それを守らないで、やはりどうしても賃金が上がってくるし、生活がささえられないというような事情があったかもしれないと思いますが、解決策はやはり値段を三千百円——調査してみないとよくわからないのですけれども、そういう問題があれば、やはりアメリカで問題が起こらないように価格維持策を講ずることを考えなければいけないといった趣旨の相談を受けたことがあったように記憶しております。
  96. 山崎始男

    山崎(始)委員 今説明員の方からお聞きすると、大体私の言った事実は認められているんですね。そうでしょう。
  97. 田口健次郎

    ○田口説明員 ただその問題のこまかい内容まではよく知りませんでしたから、実際問題としていろいろおもちゃの双眼鏡とかいろいろの問題がございますが、事実的な細目にわたってはそこまではわからなかったわけです。それが問題があるということは一応伺ったのでございます。
  98. 山崎始男

    山崎(始)委員 それで、それが動機で私がさっきお尋ねしたんです。昭和三十五年の三月ころには向こうの財務官をわざわざよこしているのです。あなたの方へ行っているはずです。こちらのアメリカ大使館です。これは三十五年の四月ころです。こちらのアメリカ大使館のスミス・B・グリンフィン氏、この方もたしかいっているはずなんです。従って、このチェックプライスと実際価格というものは守られていないのだ。そうして通産省はがんとして、その商売実態というものを無視してチェックプライスを終始一貫五カ年間続けていらっしゃった。私が午前中からしつこくお尋ねしているのは、その間それが実態取引であるかどうかということを認めていらっしゃったのか、それとも、リベートであるとかいうような問題が裏にはつきまとっておるのだということを知っておられるはずなんです。そういう事実があるのですから。それからまた調査団がこっちへ帰って、その中には事業協会の人も、今言いました土方という課長も随行して団員の一人として行っているのです。当然あなたの方に向かっては報告書というものを出さなければならぬ、そのときに必ず、昭和三十五年のその当時のチェックプライスというものと実際価格というものは違うのだ、この問題は入っておるはずなんです。これはアメリカですら問題になっているのですから……。今のお話で説明員の方はそういう事実があった、ちょっと上になると、もう報告がないのかどうか知りません。もし報告がなくてお知りにならないということなら、これは政務次官、重大な問題ですよ、そうじゃありませんか。向こうではこの問題は国際的な問題になっているのです。一双眼鏡という問題ではないのです。もうすでに数年前ですが、私は記憶はありませんが、いわゆるトランジスターラジオの問題で三井物産、三菱商事というような大手の連中がやられたと同じ問題でしょう。これは事が双眼鏡という小さいことだから報告をされなかったのか、聞いておってもぼけて知らぬと言っておるのか、私はいわゆるお役所の仕事とすればそういうことが納得できない。小さな問題だ、たかが双眼鏡だという頭で放任されておったのか。そうじゃありませんか。一双眼鏡の問題でありますが、日本輸出振興という立場、同時にこの双眼鏡関係というものは、メーカーの場合非常に零細企業で、中というものはもうほんの数軒しかない。貿易商の場合にしましたところで、要するにこれは大企業に属する問題ではないのです。そういう人たちのいわゆる利益を保護するという立場で、私はこの問題は一双眼鏡という問題にしぼってお尋ねをしておりますが、私が尋ねる趣旨は、そんな双眼鏡の問題ではないのです。そういう通産行政指導のあり方が一体あるかという問題なのです。まことに今のように、ちょっと次長さん、局長さんくらいになったらそういう事態はもうつんぼさじきに置かれている、これは大へんです。今の説明員の方はそういう事態があったことは知っていらっしゃる。上は知らぬと言う。事は国際的な問題になっている。双眼鏡業界における日本全国の双眼鏡輸出のおそらく六四、五%か七〇%近いものはアメリカだと思うのです。そのバイヤーはこの問題で非常に感情を害している。だから苦情を言っている。従って、向こうは調査団までよこしている。財務官をよこしている、この実態を調査しに——昭和三十五年三月です。それをしも通産省が御存じない。アメリカ大使館の調査官も行っているはずです。まさか通産省へ行かずにそのまま帰っているはずはないのです。でありますから、向こうで現在非常に大きな問題になっているのです。やはり日本裁判になっているのと同じように、早いものは向こうで裁判になっている。それに対して、どうぞ御答弁願いたい。
  99. 熊谷典文

    熊谷説明員 私、報告を聞いていないということを率直に申し上げたわけでございますが、報告を聞いていないということは申しわけないと思いますが、実は私三十六年の七月に重工業局の次長になりまして、当時おりませんでしたので報告を聞いていないわけであります。もちろん当然事務引き継ぎで、そういう話を受けねばいけないという御議論もあろうかと思いますが、私は事実を率直に申し上げたわけであります。
  100. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して。次長が今就任月日を言われましたが、当時いなかったから知らぬと言う。こういうことも言えますけれども、しかし、今そういう質問を山崎さんから言われたならば、チェックプライスを割った取引はなかったというようなことを断定的に言う前に、当時の事情を知っている人に聞くべきではないか。それを聞かないで、断定的にそういう取引はなかったというようなことは、ちょっと言い過ぎじゃないかと思うのです。  この問題は、委員長、議事進行ですが、この通りでやっておったのではどうもならぬ。その当時実際事務にあずかった人は、その事実ありと認めておる。しかも今山崎君がるる言うたように、アメリカの方で問題になっているというようなことは、これは単に国内のさまつな問題とは違うのであって、その事実を知ったらば、これは事実関係全体について討議されてあったはずだと私は思うのです。ですから、そういうことを知らないというようなことじゃなくて、やはりあなた自体はこの報告も受けないし、また今現にこの委員会において、当時の事情を聞くその努力もしなかったために知らなかった、こういう答弁に先ほどの答弁は変えてもらいたい。そうして、やはり事実はその当時あったということを言わさるを得ないという工合にしていただかないと、これはあなたががんばっておったって、いつまでたったって、これはどうにもならぬということになってくるわけなんで、私たちはあなたが新任だから認める、わからないことを認めてもらいたいというても、今現に重工業局の次長の立場にあるあなたに対しては、この席ではそういう答弁はなかなか私たちは承認できないのですよ。その点は、次官も考えがあればはっきりしてもらいたいと思うのです。そんなことが平気で言われてそのままおったらば、通産省の内部のあの事態というもの、あるいは外国まで問題が波及している問題に対する通産省輸出振興に対する心がまえというものは、これは大問題になるということは、今言うている通りなんですから、はっきりした結論を出して進行をはかってもらいたいと思う。
  101. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 双眼鏡の問題につきましては、ただいま山崎君が言われましたように、事輸出振興に関する問題でございまして、決して軽視はしていないのでございますけれでも、ただいま次長から申しましたように、次長への着任が三十六年、問題の起りました後のことでございまして、すべて知っておるにこしたことはございませんけれども、そういう事実を知らなかったということは、まことに申しわけないと思っておりますが、しかし、先刻来次長が申しておりますことは、さっき私が申しましたように、チェックプライスにつきましては、五年間の、これは末期におきましては実勢価格も下落したというような事実は、定めし承知しておったと思うのでございますけれどもチェックプライスを改変することには必要がないというような考えで続けたもんだと思うのであります。しかし、それが事実とそぐわなくなりましたので、ついに買取機関をつくりましたり、また後にはチェックプライス廃止したというようなことになったかと思うのでございまして、そういうようなことが実態であろうかと思っております。
  102. 山崎始男

    山崎(始)委員 今次長は、ちょうど同僚の西村委員から関連質問で言われた通りに、私も昭和三十六年の七月から着任したのですと言われるなら、私はもう少し言い方があったと思う。しかるに次長は、これは着任前の昭和三十一年というて、私はたびたびこのチェックプライスの問題は午前中から口がすっぱくなるほど言っているのです。それならばそれで、あなたの方は答弁の仕方があっただろうと思うのです。初めから着任しておったごとく断言されて、だんだん追い詰めていくと、そういうふうに、私は昭和三十六年の七月からなにしたのだから、今のような事実は聞いておりません、これはほんとう言いますと大へんなことなんですよ。あなたが昭和三十六年の七月に着任されようとされまいと、こういう国際的な問題を起こしておることは、先ほどの説明員が肯定されるごとく、現にあなたの出先から通信もあった、事業協会からも報告は行っておるはずなんです、昭和三十五年の三月ごろには。それをあくまで黙殺して、終始一貫最低価格は守られておりました、と思います、とどのつまりは、私は昭和三十六年の七月から着任でございますから、こういう答弁。これは私は暗に認められておると思うのです。あなたの立場としてはこの席で言いにくいだろうと私も同情いたします。いたしますが、事はそれだけで済まないのです。この問題はとにかくどう言いますか、業者立場からいいますと、喪中に出かけて命を失ったような問題なんです。  通産当局の方は少しあと回しにいたしますが、法務省関係のお二人に対しては、午前中から大へんお待たせしてまことに申しわけありません。もっと早く私はあなた方にお尋ねできると思っておったのでありますが、午前中から堂々めぐりでらちがあかない。刑事課長は午前中の私の質問を御存じないと思うのでありますが、この外為法違反並びに関税法違反で今あがっているのは大体十五社です。その中には、犯罪の内容として、外国為替及び外国貿易管理法違反関税法違反は、これは共通のものだと思いますが、その十五社の中にはいわゆる品目をごまかしたような人もあるようにも聞いております。従って、公文書偽造であるとか、そういうような外為法関係、関税法関係以外の犯罪のことに対しては、そういう人が中には点々とあるやに聞いておりますが、私がここに論議しておる問題は、公文書偽造であるとか、あるいは品目を詐称したとかという問題は少しも触れておりませんし、またそんなものは触れる必要はないのです。私は通産行政との関連におけるあくまでチェックプライスというものと実際の商取引のアクチュアル・プライスというものに差があった。それをあえて知っておりながら通産省は、いわゆる役人行政でもって終始一貫、五年間一銭もそれを下げておらない。業者は背に腹はかえられぬものだから、今のお役所がやられることなんだからというので、いわゆる二重のインボイスをつくって、輸出許可をとるときにはLC面におけるチェックプライス相場にしておる。実際はそうではなかった。それは円でもってリベートを出しておった、これが引かれておる。これが共通の問題なんで、私はこの共通の問題にしぼってこの委員会においてお尋ねをいたしておりますので、公文書偽造、その他の品目詐称というような問題には全然タッチしません。私が取り上げておるのは、外為法、関税法違反、この問題にしぼって少しばかりお尋ねしたいと思うのであります。  御認識がないと思いますから申し上げます。警察段階だと思いますが、取り調べられました業者は、先ほど言いましたように十五社ばかりあります。はなはだしいのは、朝の夜明けに警官が五人ぐらい来て、事務所と自宅を家宅捜索をして、横浜警察署に年末から一カ月半も引っぱられて、とめられておるような人もこの中にあるのです。中には一週間で済んでおる人もあるのですが、業者がどういうような経路で罪を犯したものか、その実態を御認識をいただきます上において、警察へ持っていって出されておる上申書の抜粋をちょっとだけ読みまして、私の話を進めたいと思うのでありますが、これは神奈川県警察警視山口虎之助殿あてに業者が出してるものです。抜粋ですから省略するところがありますが、ちょっと読んでみます。「私は日本人であります。従って日本法律を順法し、日本社会の安寧秩序を維持する気持は決して失っておりません。  ただ今回の問題が、われわれ業界の担当所管である通産省重工業局輸出課の越権による強制手段から生じたものであり、私の良識良心をもって防ぎ切れなかったところに原因することは明らかであります。  すなわち、悪法とされたチェックプライス昭和三十六年三月ようやく廃止され、やれやれこれから実勢相場取引できるとのうれしさから、おりしも日本駐在所開設のニューヨーク・コンパス社との取引の増大に努力いたしたる結果、次々と注文が入って参りました。しかるところ、輸出ライセンスの申請手続をなしたるところ、にもある通り、行政指導価格があるからだめだと却下され、かつコンパス社へは値上げを申し出ましたがはねつけられました。無理もありません。コンパスだけが値上げをしても、数あるニューヨークその他の輸入商が、一斉に値上げをせねば意味がありません。さりとて、すでに注文を引き受けたものをキャンセルすることは、商業道徳と国際信義に反しますし、また当社の従業員に対する給料ほか、営業経費等を考えるとき、当社の取引の六〇%を占める双眼鏡の生産取り扱いに影響するところ大なりとの結論に達し、これをやめて営業死活を他に求めることはできなかったのであります。  やむを得ず書類だけを通産価格を記入してライセンスをとり、実際取引との差額を円で返済したわけであります。  私も二十六年間この商売を続けておりますが、無許可で輸出するやみ貿易をやったというならともかく、また差額金の性質もわが社がダンピングの価格で売って、業界に多大の迷惑をかけたというならば、いさぎよく私の非を認め、言いわけがましいことは申しません。  すでに通産当局でも行政指導価格制度運用に誤りのあったことを黙認しております。  行政指導価格制度本来の意義は、大体の目安価格をつくり、その目安価格より著しく安く売るダンピング等の抜けがけ業者を取り締まるもので、チェックプライス制度とはおのずから異なるものだと聞いております。にもかかわらず、実際は一セント安くても認められませんでした。  これは他の業者で私の組合員ですが、双眼鏡を各種取り合わせ二千個申請して、そのうちわずか六個だけ目安価格より安かったため許可にならずに、大へん困惑され、私も理事長としての立場からともども二、三度通産省に出かけて交渉の結果、それならば六個の単価を高価にして他の品を低価にして調節をとれとの一応好意だとも解釈できますが、指導立場の者がそういうことをやってあえて許可をしたのであります。  今私たちが結果的には違反しているのだからいたし方ないとして取り調べを受け、書類送局されんとしていますが、こういった通産の指導もわれわれの高価低価の調節と何ら変わるところがないと思います。  私は、日本の政府の行政指導のあやまちから法に触れ、日本政府によって取り調べを受けつつあります。  私も幾度か年末年始、正月をはさんで反省をしてみましたが、何としても釈然としないものがございます。世の中の矛盾はこのまま泣き寝入りせねばならないのでしょうか」云々。これは一つの例でありますが、大体十五社の連中に私たち会って聞いてみましても、顧問弁護士があるわけじゃございません。みんな零細なものです。従って、お役所がいわばチェックプライスあるいは行政指導価格制度を設けておるんだから、それに合わしておりさえすれば法律には触れない、こういういわば善意の人が大部分なんです。いわゆる大産業の人であるとかそういう方たちなら、これはどうもひょっとしたら外為に引っかかるのじゃないかというような意識があるのでありますが、聞いてみますと、大多数の人が御存じない、いわゆる長いものには巻かれろ、こういうことなんです。それで通産省の方はいわゆる双眼鏡業界に対して、これはここであなた方に申し上げるのはどうかと思いますが、今、私はチェックプライスだけの問題を言っておりますが、私自身も戦争末期までは貿易商を名古屋の方でやっておりました。戦争中の統制経済でも双眼鏡関係は、あちらこちらで全部ひっくくられ、あらゆる面にチェックされているのです。今、私は値段だけのことを言っておりますが、これは他日根本的な双眼鏡関係——いわゆる部品までチェックしていっている。それも何段階にも分けてもう身ぐるみふんじばっている格好だ。驚くなかれ製品をつくって輸出して、やれやれ金になるというまでに十三のトンネルを通らなければ、関門を通らなければならないような制度になっているのです、実際言いますと。その中の私はひとりチェックプライス行政指導価格だけの面を言っておるのですが、実際いうとそうではないのです。いずれにしましても、そういうふうなことであります。従って、業者人たちからいいますと、いわば緊急避難といいますか、正当防衛みたいな格好なんです。われわれからみますると、たまたまそれが違反にかかっておる。それで業者の方が取り調べの過程におきまして、これは横浜警察としてこういうケースがある。検事局においてもあったのですが、どういうことを言っているか。また偶然に期せずして一致しているのですが、これで罪になるのだったら私たちは商売をやめなければならない。手形の支払いもできず賃金の支払いもできない。一体どうしたらいいのですか。通産省の方はチェックプライスでぴしゃときめている。これを出さなければライセンスをくれないのです。ところが、商売実態はそれから二割五分も安くなっている。仕方がない、どうすればいいのですかと言ったところが、これは人間は違います。二人ですが、一人は横浜警察で言っている。そうしたら警察官がそれはあなたが商売をやめる以外に手がありません、こういう答弁。検察庁のある検事の方が——甲、乙としておきましょう。その検事さんすらやはり異口同音に——調べられる者の気持はふに落ちないのです、実際いいますと。それで検事局に行ってそういうことを言ったところが、ある検事のごときは、それは商売をやめたらいいじゃないか、こう言われているのです。私は警察なんかでそういう言葉が出るくらいのことは察しますが、私は少なくとも検事さんがそういうことを言われることは、なるほど法律違反は悪いことです。悪いことですが、特にこれは経済問題の法律なんですね。いかに検事さんは法律の番人と言いながら、法律を知っておればそれでおれの職が立つのだ、私はそういうものじゃないと思うのです。これはたしかイギリスの例でありますが、医学博士のタイトルをとるときに、日本でいえば医学のところだけやればタイトルはとれる。向こうは社会学といま一つ他の関係のない学問をくっつけているのです。私は検事さんだっていわゆる法律の番人、私は、法律さえ知っておればいいんだというものじゃないと思うのです。やはり法律というものは国民あっての法律なんです。国民があるということは、こういうケースの場合にはよほど理解ある観点から、いわゆる広い意味での社会学といいますか、現在のチェックプライス制はどういうことになっているかとか、こういうことはその実態を把握されてお取り調べになるのが、私はこれは民主主義下における検察庁じゃないかという気がするのです。実はそれは一つ言葉の端ではございまするが、やはり分野が違います。通産当局通産当局、検察庁は検察庁で法律の番人をされておるのです。だから、その立場からいいますと、そういうふうな法律さえ守っておれば、法律の番人さえ勤めておればいいんだ、そういうものじゃないと思うのです。国民あっての法律なんであって、法律あっての国民じゃないのです。これはいわゆる広い意味での社会学というような立場における、特に外為法あるいは関税法違反というのは、これは経済問題の法律なんです。従って私は、これはそういうふうな法の裁きをやるのは裁判官ですから、裁判所へ行って言いたいことは言いなさいといえば済むようなものですが、私は今申し上げたような、これは商売をやめたらいいじゃないか、こういうことでは業者というものは浮かばれないと思うのです。これはいずれにいたしましても、まず午前中に申し上げました実態は、刑事課長はいらっしゃらなんだので、午前中の話がおわかりにならなければ、検事さんきておられるはずですが、どちらでもけっこうですが、皆さんの方で御認識になっていらっしゃるこの問題のことについて、御答弁願いたいと思います。
  103. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 お答えいたします。昨日午後御質疑の通告をちょうだいいたしまして、さっそく横浜へ問い合わせたような状況でございます。この事件は、財政経済事件という分類になっておりまして、一々本省に報告するような建前になっておらないわけでございます。それで電話で横浜へ問い合わせましたところ、主任検事がちょうどかわったところでございまして、詳しいことがわからないのでございますが、至急に調査をいたしまして、起訴状など検討いたしましてお答えいたしたい、かように考えております。
  104. 山崎始男

    山崎(始)委員 そうすると主任の検事さんがきょういらっしゃらないわけなんですね。
  105. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 転任いたしたかどうかは確認いたすのを忘れたのですが、主任検事がかわったということを申しておりました。
  106. 山崎始男

    山崎(始)委員 そうすると後任の検事がきまらないとわからないわけですね。
  107. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 後任の検事はきまっております。きまっておりますけれでも、ちょうど交代直後でございまして、本人が記録を次から次へと引っぱり出しまして、この事件はこうだああだということを電話で申しておりまして、電話では何分時間がかかりますので、いずれ起訴状その他必要な書類を写して送れという指示をいたした次第でございます。
  108. 山崎始男

    山崎(始)委員 どうも内容がおわかりにならないと、あなたの方の御認識も固まらないと思うのですが、事の実情は、あなたは午後からいらっしゃったのですが、もう一人の検事さんは午前中からいらっしゃったのですから、私が申し上げておる趣旨は、今の上申書、これは一つの代表的な資料として読み上げたのですが、業者の方は善意なんです。国の通産行政制度で、五カ年間も縛っておったということなんです。そういう制度でやっていたのです。そこから問題が起きておるのです。通産省の方は、私がこういうことを言うと失礼かもしれませんが、貿易業界なんていうのは、通産省立場から見たら、いわゆるネコにネズミなんです。ほんとう言いますと、いかにも午前中は通産省の方の次長さんは、自主的に通産省業者とが話し合ってやったとかなんとかいうような御答弁をなさっておるのですが、あらゆる行政において、貿易業協会においては、相手が小さい会かもしれませんが、そういうことをやっておらないのですよ、実際から言って。組合の決議ですらそれを押えにかかっておるようなケースが何べんもあるのです。組合の総会できめたことですらそういうことがたくさんあるのですよ。一々私は申し上げません。いずれにしても一方的にそういう制度を設けてそれを押しつけておる。業者は小さいものですから、お役所ににらまれたらいかぬから、チェックプライス相場でまあまあインボイスをつくっておけ、そうしてあとのやつはリベートを円で払って、二重のインボイスをつくって送っておればよかったのだ。通産省が言うんだから、まんざら法律には引っかからぬだろうというのでやっておったのが、おっとどっこい引っかかった、こうなっておる。非常に善意なんです、実際聞いてみますと。それは刑事局の方で取り調べの過程においても出ておるんじゃないかと思いますけれども、一体こういうふうないわゆる通産行政の片っ方は経済問題、そうして法律の方といいますか、内容も外為法、関税法違反でやはり法律問題、取り締まる側と運用する側がちょっとそこにピントが合わぬと、こういう問題が起こってくるのです。役所所管はみな別々なんだとはいいますが、国民にとっては相当大きな問題だと私は思うのです。そういう点に対して、横浜警察は次々やるおそれがあるのです。双眼鏡関係輸出業者というものは、サプライヤーはおそらく八軒以上あるんでしょう。輸出業者メーカーとの関係においてもこれは数十軒あるんです。これはまだまだ手が入るおそれがあるんですよ。どこまで行ったらいいのか。これはやり出したら実際泥沼なんです。だから、先ほど午前中に申し上げましたように、半年ほどたったら五、六人ずつ三べん段階にやられてきておる。それは検事さんの手数も足らぬでしょう。今までの経過から見ておれば、半年ずつ五、六人ずつやられておるんです。だからこれはチェックプライス関連して、あとのいわゆる司法権の発動というものがやる気になったら全部これはいくんです。これはおそらくやられる方もおわかりになってやっていらっしゃるんじゃないかという気がしてならないのです。横浜の税関のごときは、自主申告をしてくれ、こういうことまで言ってきておる。いわゆる業者が、全部私たちはやりましたということを言うてくれ。一銭の罪にもしません、罰金は取りませんというのなら、皆さん自主申告されるだろうと思いますけれども、やられるまでは、そっとしておれというんで熱いふろへ入ったような格好をして、今日ぎゅうぎゅう言っておる、現在非常におびえているんです。ところがやっている人は、今の上申書のごとくみずから犯罪意識というものはないのです。こういう妙な事件なんです。従って、事の実態が経済問題の関係で、こちらの方への報告がないことになっているんだと言われますと、私も、どうも実態がおわかりになっておらぬようですから、これ以上お尋ねするということもなかなかできないわけですが、今後における、きょう現在の検事局段階のケースではもう少し愛情を持って調べてもらいたいと思うのです。今のようなあんた方、商売をやめる以外手がありません、これではさっぱりなんです。実際言いましたら、踏んだりけったりなんです。もう少し配慮のあるお取り調べを願いたいと私は思うのです。容疑のあるものをお取り調べなさるなと私はよう言いません。しかし、事柄の性格上私は相当の御配慮がなければいけないという気がするんです。この点に関して今法務省の関係の方のお気持を一つお聞かせ願いたいと思うのです。
  109. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 捜査に関連いたしまして、被疑者その他関係人の名誉を重んじ、いやしくも人権侵害にわたるような言動をしてはならぬということは、刑事訴訟法の規定しておるところでもございますし、平素やかましく指導いたしておるところでございます。従いまして、ただいま仰せのように、軽率な言辞を吐いた例があるといたしますれば、まことに私は遺憾に考える次第でございます。十分調査いたして、また善処いたしたいと考えております。
  110. 山崎始男

    山崎(始)委員 まあそういうこともそういうことなんですが、それは一つの例なんですけれども、根本的に本件の性格というものはいわゆる経済事犯であるだけ、特に片っ方にはチェックプライス制度という国の制度なんです。それとの相関関係における今度は経済事犯、こうなっている。言いかえますと、業者からいうと、やった人たちの気持の大部分が善意であるという点と、一つの正当防衛であるということを私は申し上げたいんです。ちょうど戦争中にやみ米のあるときに、ある裁判官は、私はやみ米は買わぬのだといって、餓死された例がある。この双眼鏡業者にそこまでの人たちがおられたら、仕方がありません、わしは商売をやめてしまう。これなら話は簡単である。そうはいかないところに問題があるということなんです。従って、そういう不謹慎な言葉というものを取り上げたのは一つの例なんですが、そういうふうな気持でもってこれを扱ってもらっちゃ困るんだということを言っているのと、同時に本件自体の犯罪の性格上、いま少しく——あるいは今後どこまで進展するのか知りませんが、そういう問題があるのですから、いま少しく愛情のある配慮を持って、同時にこの事件の普通の犯罪とは違う性格を十分御認識願って、善処していただきたい、こう申し上げているわけであります。もう一度御感想をお聞かせ願いたい。
  111. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 御趣旨を体しまして、どのような処理になっておりますか、十分検討いたしてみたいと考えます。
  112. 山崎始男

    山崎(始)委員 政務次官に一つ私は申し上げるんですが、あなたはお役人というよりは政治家なんです。お役人の御答弁というものは大体型がきまっておるんです。きょう午前中からの私と次長とのやりとり並びに政府委員とのやりとりをお聞きになっておられまして、私はあなたはおよそ事の実態は把握されていらっしゃるという気がしてならないのです。従って、私は中小企業を守るという意味、しかも犯罪の内容が、おわかりの通りの犯罪なんです。でありますから、私はこれは通産省として責任があると思うのでありますが、罪を犯したものは悪いんだ、私は知らぬがなというお気持ですか、どうですか。一つ答弁願いたいのです。
  113. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 チェックプライスを五カ年続けまして、その末期におきましては実勢価格がだいぶ下落して参りました。こういうことにつきましては私は認めているわけでございます。しかし、その価格を改正しなかったということにつきましては、私個人といたしましては、やはりいささか遺憾な点があるのじゃないかと思うのでございますけれども役所といたしましては、諸種の事情から申しまして、輸出の秩序の確立、また一たび出したものはよほどの市場の変化がなければ変更しない、改正しないというような役所立場もあろうかと思うのであります。それにつきましては、次長が御答弁申しましたように、自分からはそういう必要がないと感じて、そういうふうにやってきたように申したわけであります。しかし、そういうような役所立場でございますけれども、そういうことによりまして、双眼鏡輸出につきまして、大部分の方は、そのチェックプライスを守って下さったわけでございますけれども、ほんとうに中小企業でどうしてもそういうことによらざるを得なかったということで、プライスの下をくぐって輸出したというような方が出ましたということは、まことにお気の毒に存じておりますけれども、そういう程度一つ御了承を願いたいと思います。
  114. 山崎始男

    山崎(始)委員 あなたの方のお立場の苦しいことは私はようわかります。それはようわかりますが、本件の性格は実際言いますと気の毒でかなわないですね。私らから言いますと、この問題は通産行政に非常な大きな責任があるということを申し上げたい。お役所立場としてはなかなかそれはデリケートなむずかしい問題でしょう。私は、そういう立場から一つ、今あなたは個人とすれば私は認めるというふうなお話があったのですから、まあこれは通産省としてというわけにはいかぬでしょうが、通産省廣瀬政務次官個人としてでも私はけっこうだと思うのです。あなたは今の検察庁なりあるいは横浜警察になり、あなた個人でもお立場がありますから仕方がありません。私はあえて強要いたしません、個人でけっこうですよ、本件の性格を言うて、一つ善処してくれというくらいのことは——実際言いましたら、ほんとうは公的には責任問題まできておるのですよ、これからほんとうにどこまでいくかわからないのですよ、ほんとうなんですよ、業者はもう戦々きょうきょうとしておびえておる、同時にそのはね返りというものは国際的な関係になってくる、また海のかなたででも影響がある、こういう問題なんです。私は、この点は検察当局自身にも相当考えていただかなければならぬと同時に、通産当局におきましても、私は考えていただきたいと見ておるのですよ。それが私は、親切な通産行政だと思うのです。もう一ぺんあなた個人としてでもけっこうですが、お気持を聞かせて下さい。
  115. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 私は衆議院議員廣瀬正雄でありますとともに、現在政務次官をいたしておりますので、なかなかデリケートな問題でございますが、御趣旨はわかりますので、一応役所とも御相談いたしまして、またあなたとも御相談いたしまして、そうして私の態度をきめたいと思いますので、しばらくお待ちを願いたいと思います。
  116. 山崎始男

    山崎(始)委員 比較的御親切な御答弁で私も期待いたしております。なお次長さんの方にも朝から相当大きな声をして失礼を申し上げましたが、まあものの言い方も言い方によれば角が立ちますが、今政務次官の個人の御発言というようなお気持になって、私はこの事件そのものに対する善処方を、私はあなたにも、個人のお考えでもよろしいからお願いを申し上げておきます。同時に、いま一つきょう現在から、これから後における行政指導価格の運営の面において、あなたのお話のごとく、弾力性のある運営をぜひやっていただきたい。そういたしませんと、とにかく商売そのものが裏側は犯罪なんだ、こういうことが永久に続くことになるのです。よほどこの指導価格制度運用の妙というもの、いわゆる実際の商取引実態というものと、それが輸出振興に合致するとか、反面は中小企業者を保護する、過当競争をさせないというような問題もあるでしょう。これはなかなか調和点というものはむずかしいことは私も知っております。知っておりますが、かくのごとく十五年もやられておる、おまけにこれからまだあと何ぼ警察当局が手を入れるかわかりません。横浜警察ではやる気がまえでおると聞いておるのですよ。従って、こういう事態をよく御認識になって、今後における行政指導価格の運営の面というものを、これはぜひあなたの御答弁のごとく弾力性のある指導をやっていただきたい。そうしなかったら、いつまでたってもこういう犯罪は永久についてまわる。相場が云々とおっしゃるように、うんと上ってくればけっこうですが、そうはいきません。商売ですから、需要供給の関係なんですから、それが今の実際と、行政の上だけで上すべりしているような、タイミングが合わないような格好になりますと、常に犯罪者をつくるという裏と表の関係がつきまとうのです。でありますから、その点一つ今後よろしく適正な運営をやっていただきたい。  私はきょう時間がありますと、この双眼鏡関係において驚くなかれ十三からのネックがある、過去の経験はございますが、戦時統制経済のときですらありません。おそらく他の輸出品目で十三カ所の関所を通らなければ輸出できないという品目は私はないと見ている。私らは双眼鏡には一つ関係ございませんが、この双眼鏡関係業者の十三カ所のネックは何べん聞いても理解に苦しむのです。わからぬのです。何べん聞いても摩詞不思議なんです。まあことのついでですが、そのネックに対して最近ある程度通産当局は気づかれて、パーツに関する、要するに部品の製造ワクというものに関する問題について、こういうネックを多少でも訂正しなければいけないということに最近ようやくお気づきになっておるというようなことを聞いておるのでありますが、これはパーツに関するネックばかりではございません。抜本的にこの双眼鏡協会というものが、基本的にこういう犯罪を犯さざるを得ないということは、単なるチェックプライスという問題が表面は起こっておりますが、それをたぐっていけばいくほどそうじゃないのであって、根が深いのです。どうしてこういう事態が起きたかという遠因は、きょうは時間がございませんから申し上げませんが、ほんとうはこれが大切なんだ。たまたま聞きますと、部品関係に対する製造ワクというものが、これは実に複雑怪奇、その方面は最近はようやくお気づきになって改正の機運にあるやに聞いておりますが、きょう時間ももうほとんどありませんので、私もぼつぼつやめますけれども、いかにして改善するかという御決意のほどを一点、ことのついでにお聞かせ願っておければと思うのであります。  なお法務省関係の方は、今のような次第でございますので、きょうは私も皆様方大へんお待たせしましたけれども、お引き取り下さってけっこうでございます。
  117. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して……。その事案は検察庁が指揮をして摘発をしているのかどうかですね。それからアメリカでそういう関税法違反とか何とかいうことで向こうのバイヤーが問題になってきた、そういう事態が起きたあと、それに呼応して日本の検察当局が動き出しておるのかどうか、事実はそういうことじゃないか。向こうで起きた原因はこっちがリベートをやったことからくるのだ、それが通産省チェックプライスないしは行政指導価格の問題になるのだという工合になってくるわけですが、そういうことで向こうにそういうことが起きておるからやむを得ずやったという立場であるのかどうかということですね。そういう立場であるとするならば、実際上は、自主的な、独立的な立場でやったとおっしゃるでしょうが、ほんとうのところはやはり向こうに呼応してやらざるを得なくてやったのだとするならば、やはりそこにいろいろな考えというものがあるのじゃなかろうか、こういうことが考えられるわけなのです。その間の事情はまだおわかりになりませんか。
  118. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 その間の詳細は承知いたしておりません。
  119. 熊谷典文

    熊谷説明員 二、三点お答えいたします。まずけさほどから申し上げておりますことは、全体のことを申し上げたのであります。たまたま三十五年以降につきまして、こういう不幸な問題が起こりましたことは、私自身としては非常に残念に思っております。特に私が午前中に御答弁申し上げましたように、リベート違反事件があるということは、正直な話、検察庁当局がお調べになるまて私は存じていませんでした。ただ三十五年の初めごろかになりまして、御承知のようにアメリカの景気が相当後退して参りました。従いまして、需要が双眼鏡について減って参ったわけでございます。そういう観点から、従来からバイヤーズ・マーケットでございましたが、なおさらその傾向が強くなりまして、アメリカ業者が、日本の中小メーカーをできるだけ安く買いたたくという傾向が三十五年から現われたのは事実でございます。従いまして、中小メーカーはそれに対抗して、できるだけ値段を維持するために非常に御苦労になったということも、私は十分知っております。特に一番その中で苦しかった中小企業の面は、おそらくいろいろな品物をつくらずに、双眼鏡にもいろいろ種類がございますが、単一の製品をつくられていた、特に標準品をつくられておった中小メーカーは、向こうの買いたたきといいますか、できるだけ安く買いたいというような攻勢にずいぶん需要量が減っただけに攻められたと思います。またこちら側のメーカーといたしましては、需要量が向こうの方が減ったんだから、自分が少しでもやはり輸出しておかぬと、永久に取り残されるというあせりもあったのだろうと思います。従いまして、本件は中小メーカー自体の責任という問題もございましょうが、むしろ向こうからの攻勢が三十五年の初めから非常に強くなったというところに一つの大きな原因があろうと思います。そういう面では、こういう不幸な事件が発生したということは、私は非常にお気の毒に感じておる次第でございます。それから指導価格の面になりましてからも、これは私が申し上げましたように、全体的には守っていただいておる、かように考えておりますが、御承知のように事業団が買い取りました品物を、さらに売りましたメーカーが買い取って、自分で売るというような事態に実際問題としてなっております。大体現在においては処分は済みましたが、三十七年度当時はそういう状態にあったのでございます。従いまして、従来事業団にたくさん売っておられた中小メーカーが、一度にそれを買い取って、また向こうに売るという場合におきましては、向こうの買い手の方は、たくさんやはり在庫を持っておるから、少しでもたたけば安く買えるのじゃなかろうかということで、また攻勢をかけてくることも事実でございます。そういう意味におきまして、そういう面の方々が非常に値段の維持に努力され、苦心された。特に中小企業メーカーの方でございますので、資金的な余裕もない面もあろうと思います。従いまして、そういう点は、個々のケースとしては、私は十分わかり得る問題があり得る、かように考えております。  それから第二番目の問題の、今後のいわゆる指導価格を弾力的に運用するかどうかという問題でございますが、先ほども何回も申し上げますように、そういう趣旨指導価格にしておるわけでございます。いかに役所が一方的にチェックすると申し上げましても、それがほんとうの理解に基づいて守られないと罪人をつくるだけでございます。一人でも二人でも、やはり違反事件ができるということは非常に嘆かわしいことでございますので、そういうことのないように、できるだけ業界とよく相談しながら努力して参りたい、かように考えております。それがためには業界制度趣旨をよく理解していただくということと、それから業界サイドからももし特殊の事情がありますれば、役所はどうもこういうことを聞かぬようだからというようなお気持でなくて、十分事情を説明していただくように今後十分お話し合いをして参りたい、こういうように考えております。  それから第三点の双眼鏡輸出制度自体について抜本的な改革を考えるかどうかという問題でございますが、これは私どういうようにするかという考えは今持っておりません。持っておりませんが、制度といたしましてはややこしくなくて、できるだけ簡素で、しかも実効が協力して上がるという制度が私は趣旨としては一番いいと思います。従いまして、今の制度が非常に複雑で、難解で困る点があるという御指摘でもございますので、十分今後業界と相談しまして、特にその場合は業界の皆さん方と相談するような形をできるだけとりまして、改善すべき点があれば改善して参りたい、かように考えております。
  120. 山崎始男

    山崎(始)委員 ただいまの御答弁比較的御親切な誠意のある御答弁なんで、一つこの事件を転じて福となすという意味におきまして、制度そのものの複雑怪奇な仕組みというものを一つ抜本的に、これを契機に私は再検討していただく。もうすでに多少その機運が通産当局におありになって、パーツに関する点はややそういう機運の方向へ入っておる。これはパーツばかりでない、ほかにもたくさんあると思いますが、まずパーツの部面から手をつける機運にあるやに聞いておりますので、いずれにしましても抜本的な改善策をやって輸出振興にも役立てる。同時に中小企業者を保護する。こうして罪人をつくらない。こういう一つの観点から一つぜひ政務次官もお聞きなんですから、よく御相談なさって、ぜひこれはやってもらいたいと思います。これだけ要望いたしておきます。  お二人の御答弁で初めて、最後でありますが、多少誠意のある御答弁を得られて、私声は大きくしましたけれども、他意あってやったわけでございませんので、一つ誠意をもって皆さん方やって下さい。私の質問はこれでやめたいと思いますが、西村君、関連があるようでございますから……。
  121. 廣瀬正雄

    廣瀬(正)政府委員 ただいままことに貴重な将来の御意見を拝聴しまして、十分その趣旨を体しまして検討し、善処して参りたいと考えております。
  122. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私この問題は前回問題になったのに関係あることでありまするが、一つ通産省側に注意していただきたい点は、チェックプライス、それから行政指導価格、こういう工合にそこに違うのだといいますけれども、皆さん方がそれを扱う場合においては違わないようになってくるのじゃないか。法の裏づけのあるときには法の権威にたよる。また自分たちがつくったその指導価格というものの場合は役所の権威とか、面子とかそういうものにかかわって、やはり法の権威と変わらない強さをもって運営されるのじゃないか。これはよく役所の場合においてはありがちなことであるので、運用の面においてというような言葉は、そういう役所の基本的なかまえ方というものをやはり抜本的に捨てた形でやってもらわなければいかぬじゃないかということなんですよ。それから指導価格運用を上手にやるということでありますが、指導価格自体をきめるときにもっと納得のいく方法をとってはどうか、こう思うのです。それは通産省としては技術振興あるいは対米貿易のいろいろな問題点、あるいはバイヤー連中の買いたたきに対処して国内の業者を守る、さまざまの諸元から考えなければならぬものでしょうが、また業者の方としては取引実勢からいって守り得る範囲とか、守り得ない限界とかあるはずでありまするから、そういう点からいうて価格自体をきめるときの手続のあり方について、相当これは民主的というか、そういう建前をとってもらった方がいいではないかということなんです。もちろんその間において業者側自体の共同体制というか、協調体制というか、そういうものの指導、こういう面なんかにおいても当然あたたかい配慮があってしかるべきだと思うし、また業者自体もそういう点は考えなければならぬし、そういう方向でやってもらった方がいいんじゃないか、そういうことが考えられるわけなんです。その点はいかがですか。
  123. 熊谷典文

    熊谷説明員 御指摘の二点とも私全く同感でございまして、もっともな御趣旨だと思います。従いまして、できるだけその線に沿うように全力をあげて努力したいと思っております。
  124. 津雲國利

    津雲委員長 通商産業省所管に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十二分散会