○
山崎(始)
委員 今次長は、ちょうど同僚の西村
委員から
関連質問で言われた通りに、私も
昭和三十六年の七月から着任したのですと言われるなら、私はもう少し言い方があったと思う。しかるに次長は、これは着任前の
昭和三十一年というて、私はたびたびこの
チェック・
プライスの問題は午前中から口がすっぱくなるほど言っているのです。それならばそれで、あなたの方は
答弁の仕方があっただろうと思うのです。初めから着任しておったごとく断言されて、だんだん追い詰めていくと、そういうふうに、私は
昭和三十六年の七月からなにしたのだから、今のような事実は聞いておりません、これはほんとう言いますと大へんなことなんですよ。あなたが
昭和三十六年の七月に着任されようとされまいと、こういう国際的な問題を起こしておることは、先ほどの説明員が肯定されるごとく、現にあなたの出先から通信もあった、事業協会からも報告は行っておるはずなんです、
昭和三十五年の三月ごろには。それをあくまで黙殺して、終始一貫
最低価格は守られておりました、と思います、とどのつまりは、私は
昭和三十六年の七月から着任でございますから、こういう
答弁。これは私は暗に認められておると思うのです。あなたの
立場としてはこの席で言いにくいだろうと私も同情いたします。いたしますが、事はそれだけで済まないのです。この問題はとにかくどう言いますか、
業者の
立場からいいますと、喪中に出かけて命を失ったような問題なんです。
通産当局の方は少し
あと回しにいたしますが、法務省
関係のお二人に対しては、午前中から大へんお待たせしてまことに申しわけありません。もっと早く私はあなた方に
お尋ねできると思っておったのでありますが、午前中から堂々めぐりでらちがあかない。刑事課長は午前中の私の質問を御存じないと思うのでありますが、この外為法
違反並びに
関税法違反で今あがっているのは大体十五社です。その中には、犯罪の内容として、
外国為替及び
外国貿易管理法違反と
関税法違反は、これは共通のものだと思いますが、その十五社の中にはいわゆる品目をごまかしたような人もあるようにも聞いております。従って、公文書偽造であるとか、そういうような外為法
関係、関税法
関係以外の犯罪のことに対しては、そういう人が中には点々とあるやに聞いておりますが、私がここに論議しておる問題は、公文書偽造であるとか、あるいは品目を詐称したとかという問題は少しも触れておりませんし、またそんなものは触れる必要はないのです。私は
通産行政との
関連におけるあくまで
チェック・
プライスというものと実際の
商取引のアクチュアル・
プライスというものに差があった。それをあえて知っておりながら
通産省は、いわゆる役人
行政でもって終始一貫、五年間一銭もそれを下げておらない。
業者は背に腹はかえられぬものだから、今のお
役所がやられることなんだからというので、いわゆる二重のインボイスをつくって、
輸出許可をとるときにはLC面における
チェック・
プライスの
相場にしておる。実際はそうではなかった。それは円でもって
リベートを出しておった、これが引かれておる。これが共通の問題なんで、私はこの共通の問題にしぼってこの
委員会において
お尋ねをいたしておりますので、公文書偽造、その他の品目詐称というような問題には全然タッチしません。私が取り上げておるのは、外為法、
関税法違反、この問題にしぼって少しばかり
お尋ねしたいと思うのであります。
御認識がないと思いますから申し上げます。警察
段階だと思いますが、取り調べられました
業者は、先ほど言いましたように十五社ばかりあります。はなはだしいのは、朝の夜明けに警官が五人ぐらい来て、事務所と自宅を家宅捜索をして、
横浜警察署に年末から一カ月半も引っぱられて、とめられておるような人もこの中にあるのです。中には一週間で済んでおる人もあるのですが、
業者がどういうような経路で罪を犯したものか、その
実態を御認識をいただきます上において、警察へ持っていって出されておる上申書の抜粋をちょっとだけ読みまして、私の話を進めたいと思うのでありますが、これは神奈川県警察警視
山口虎之助殿あてに
業者が出してるものです。抜粋ですから省略するところがありますが、ちょっと読んでみます。「私は
日本人であります。従って
日本の
法律を順法し、
日本社会の安寧秩序を維持する気持は決して失っておりません。
ただ今回の問題が、われわれ
業界の担当
所管である
通産省重工業局
輸出課の越権による強制手段から生じたものであり、私の良識良心をもって防ぎ切れなかったところに原因することは明らかであります。
すなわち、悪法とされた
チェック・
プライスが
昭和三十六年三月ようやく
廃止され、やれやれこれから
実勢相場で
取引できるとのうれしさから、おりしも
日本駐在所開設のニューヨーク・
コンパス社との
取引の増大に努力いたしたる結果、次々と注文が入って参りました。しかるところ、
輸出ライセンスの申請手続をなしたるところ、にもある通り、
行政指導価格があるからだめだと却下され、かつ
コンパス社へは値上げを申し出ましたがはねつけられました。無理もありません。
コンパスだけが値上げをしても、数あるニューヨークその他の輸入商が、一斉に値上げをせねば
意味がありません。さりとて、すでに注文を引き受けたものをキャンセルすることは、商業道徳と国際信義に反しますし、また当社の従業員に対する給料ほか、営業経費等を考えるとき、当社の
取引の六〇%を占める
双眼鏡の生産取り扱いに影響するところ大なりとの
結論に達し、これをやめて営業死活を他に求めることはできなかったのであります。
やむを得ず書類だけを通産
価格を記入してライセンスをとり、実際
取引との差額を円で返済したわけであります。
私も二十六年間この
商売を続けておりますが、無許可で
輸出するやみ貿易をやったというならともかく、また差額金の性質もわが社がダンピングの
価格で売って、
業界に多大の迷惑をかけたというならば、いさぎよく私の非を認め、言いわけがましいことは申しません。
すでに
通産当局でも
行政指導価格制度の
運用に誤りのあったことを黙認しております。
行政指導価格制度本来の意義は、大体の目安
価格をつくり、その目安
価格より著しく安く売るダンピング等の抜けがけ
業者を取り締まるもので、
チェック・
プライス制度とはおのずから異なるものだと聞いております。にもかかわらず、実際は一セント安くても認められませんでした。
これは他の
業者で私の
組合員ですが、
双眼鏡を各種取り合わせ二千個申請して、そのうちわずか六個だけ目安
価格より安かったため許可にならずに、大へん困惑され、私も
理事長としての
立場からとも
ども二、三度
通産省に出かけて交渉の結果、それならば六個の単価を高価にして他の品を低価にして調節をとれとの一応好意だとも解釈できますが、
指導的
立場の者がそういうことをやってあえて許可をしたのであります。
今私たちが結果的には
違反しているのだからいたし方ないとして取り調べを受け、書類送局されんとしていますが、こういった通産の
指導もわれわれの高価低価の調節と何ら変わるところがないと思います。
私は、
日本の政府の
行政指導のあやまちから法に触れ、
日本政府によって取り調べを受けつつあります。
私も幾度か年末年始、正月をはさんで反省をしてみましたが、何としても釈然としないものがございます。世の中の矛盾はこのまま泣き寝入りせねばならないのでしょうか」云々。これは
一つの例でありますが、大体十五社の連中に私たち会って聞いてみましても、顧問弁護士があるわけじゃございません。みんな零細なものです。従って、お
役所がいわば
チェック・
プライスあるいは
行政指導価格制度を設けておるんだから、それに合わしておりさえすれば
法律には触れない、こういういわば善意の人が大
部分なんです。いわゆる大産業の人であるとかそういう方たちなら、これはどうもひょっとしたら外為に引っかかるのじゃないかというような意識があるのでありますが、聞いてみますと、大多数の人が御存じない、いわゆる長いものには巻かれろ、こういうことなんです。それで
通産省の方はいわゆる
双眼鏡業界に対して、これはここであなた方に申し上げるのはどうかと思いますが、今、私は
チェック・
プライスだけの問題を言っておりますが、私自身も戦争末期までは貿易商を名古屋の方でやっておりました。戦争中の統制経済でも
双眼鏡関係は、あちらこちらで全部ひっくくられ、あらゆる面に
チェックされているのです。今、私は値段だけのことを言っておりますが、これは他日根本的な
双眼鏡関係の
——いわゆる部品まで
チェックしていっている。それも何
段階にも分けてもう身ぐるみふんじばっている格好だ。驚くなかれ製品をつくって
輸出して、やれやれ金になるというまでに十三のトンネルを通らなければ、関門を通らなければならないような
制度になっているのです、実際言いますと。その中の私はひとり
チェック・
プライス、
行政指導価格だけの面を言っておるのですが、実際いうとそうではないのです。いずれにしましても、そういうふうなことであります。従って、
業者の
人たちからいいますと、いわば緊急避難といいますか、正当防衛みたいな格好なんです。われわれからみますると、たまたまそれが
違反にかかっておる。それで
業者の方が取り調べの過程におきまして、これは
横浜警察としてこういうケースがある。
検事局においてもあったのですが、どういうことを言っているか。また偶然に期せずして一致しているのですが、これで罪になるのだったら私たちは
商売をやめなければならない。手形の支払いもできず賃金の支払いもできない。一体どうしたらいいのですか。
通産省の方は
チェック・
プライスでぴしゃときめている。これを出さなければライセンスをくれないのです。ところが、
商売の
実態はそれから二割五分も安くなっている。仕方がない、どうすればいいのですかと言ったところが、これは人間は違います。二人ですが、一人は
横浜警察で言っている。そうしたら警察官がそれはあなたが
商売をやめる以外に手がありません、こういう
答弁。検察庁のある検事の方が
——甲、乙としておきましょう。その検事さんすらやはり異口同音に
——調べられる者の気持はふに落ちないのです、実際いいますと。それで
検事局に行ってそういうことを言ったところが、ある検事のごときは、それは
商売をやめたらいいじゃないか、こう言われているのです。私は警察なんかでそういう
言葉が出るくらいのことは察しますが、私は少なくとも検事さんがそういうことを言われることは、なるほど
法律違反は悪いことです。悪いことですが、特にこれは経済問題の
法律なんですね。いかに検事さんは
法律の番人と言いながら、
法律を知っておればそれでおれの職が立つのだ、私はそういうものじゃないと思うのです。これはたしかイギリスの例でありますが、医学博士のタイトルをとるときに、
日本でいえば医学のところだけやればタイトルはとれる。向こうは社会学といま
一つ他の
関係のない学問をくっつけているのです。私は検事さんだっていわゆる
法律の番人、私は、
法律さえ知っておればいいんだというものじゃないと思うのです。やはり
法律というものは国民あっての
法律なんです。国民があるということは、こういうケースの場合にはよほど理解ある観点から、いわゆる広い
意味での社会学といいますか、現在の
チェック・
プライス制はどういうことになっているかとか、こういうことはその
実態を把握されてお取り調べになるのが、私はこれは民主主義下における検察庁じゃないかという気がするのです。実はそれは
一つの
言葉の端ではございまするが、やはり分野が違います。
通産当局は
通産当局、検察庁は検察庁で
法律の番人をされておるのです。だから、その
立場からいいますと、そういうふうな
法律さえ守っておれば、
法律の番人さえ勤めておればいいんだ、そういうものじゃないと思うのです。国民あっての
法律なんであって、
法律あっての国民じゃないのです。これはいわゆる広い
意味での社会学というような
立場における、特に外為法あるいは
関税法違反というのは、これは経済問題の
法律なんです。従って私は、これはそういうふうな法の裁きをやるのは
裁判官ですから、
裁判所へ行って言いたいことは言いなさいといえば済むようなものですが、私は今申し上げたような、これは
商売をやめたらいいじゃないか、こういうことでは
業者というものは浮かばれないと思うのです。これはいずれにいたしましても、まず午前中に申し上げました
実態は、刑事課長はいらっしゃらなんだので、午前中の話がおわかりにならなければ、検事さんきておられるはずですが、どちらでもけっこうですが、皆さんの方で御認識になっていらっしゃるこの問題のことについて、御
答弁願いたいと思います。