○
木村(公)
委員 私は
厚生大臣に対しまして、今回
会計検査院から
指摘をされましたうちの、
健康保険及び
厚生年金保険保険料の
徴収不足の件について若干の御教示をいただきたいと思うのでありますが、その
質疑に入ります前に、
一言厚生大臣にぜひとも御覚悟のほどを承っておきたい点があるのであります。
それは、今、各
委員会においても問題になっておりますもろもろの
大臣の
諮問機関である
調査会、
審議会等のあり方とその内容、
権限等の問題であります。これは
ひとり厚生省だけの問題ではなく、
郵政省におきましても、各省、並びに公社、
公団等にも
総裁の
諮問機関であるところの
委員会がございまして、大体私どもの
調査によりますと四百以上、
法律でできたもの、認められたもの並びに
法律によらざる任意的なもの等をも含めますと、五百になんなんとするほどたくさんの
委員会があります。中には一人で四十以上の
委員会の
委員を兼ねておる者もあることは、あるいは御承知かと思います。しこうして、
委員には
委員会が開かれるたびに出席した者に対するいわば
日当制のごときものもあるし、常勤の者もおります。さらに非常勤であるけれども、
月給的手当を毎月受け取っておる者もありまして、通計いたしますと百万以上の
委員会収入を得ておる者が相当あるのでございます。きのうもわが党の
役員会でも問題になったのでありますが、日銀の
政策委員等は一
委員会の
手当が一カ月八十一万、この間ここで問題にいたしました
俗称地下鉄、
帝都高速度交通営団の
総裁の
手当の
月額は、給料を合わせまして五十一万であります。特に
決算委員長から御忠告がありまして、
営団のごとく、
出資者よりも、
総理大臣よりも
総裁が高額の禄をはむということは非常識ではないか、
法規違反とは言えないけれども、常軌を逸しておるじゃないかという異例な
注意まで出たほどでございますが、それはそれといたしまして、こういう
調査会が無数にある。しかもその
調査会に対する
存在意義を
行政官は少し間違えておるのではないか。かりに
法律でできました
調査会といえども、
調査の
権限は最終的には
答申を出すだけの
権限であります。この
答申が、
諮問を出し、
答申を受けるところの
行政官の長である
大臣をどの程度拘束するかということが問題です。この
権限を錯誤されて非常に強力な
権限があるかのごとき考えがあるから、
医療制度調査会等においてもメンバーの争いが起きてくる。そして内閣がひっくり返るような大騒ぎをやる。
大臣の首が飛ぶということまで行なわれた。これは一に
調査会というものの
権限の誤解から生ずることなんです。
調査会というものは、単に
答申というものを行なえばよろしいのであって、その
答申は、あくまで
答申を受ける
大臣の
参考意見にすぎないのであります。まして立法府においては、これとは何らの連絡もありません。独立をいたしております。
法律をつくるのはたった一つの立法機関であるところの国会だけでありますが、この国会をもひょっとしたら拘束をできるような考えに立っておる。たとえば選挙制度
審議会のごときものは、マスコミを背景にしてけしからぬ、自分の方で
答申した
通りの立法を行なうべしといわないばかりの態度でもって臨んで、私どもと正面衝突いたしたことは御承知の
通りであります。ひとり選挙制度
審議会の問題だけではございません。
医療制度調査会等においてもそのきらいがないとは言えない。大体役人そのものが、この
調査会というものを国会以上に重視するというところに病源がある。私どもは、従いまして、医療制度
調査会にしろ社会保障制度
審議会にしろ、このような
大臣の単たる
諮問機関であるものは、いかに
法律において尊重せよという言葉を使ってある
調査会にしろ、それはあくまで尊重が限度であります。それに拘束されて、そのままそれを原案にして立法の府に法案を出さなければならないというようなばかげたことがあり得ることではない。それと同時に、そのような
調査会の
権限が強いというように錯誤しておるところの今日の
行政官というものに対しましては、一大反省を求めざるを得ない。われわれはこのような
調査会とは無縁であり、無
関係だから、彼らが何を言おうと歯牙にかけないのでありますけれども、しかし、これに拘束されて法案の原案を出してくる。そうするとわれわれ与党たるものは、その原案をむやみに修正するということは、慣例でも、政党政治でございまするから、なかなかできにくい。従って、原案を尊重するということは、間接には
調査会案をうのみにするということがあり得るわけです。従って、この
調査会の
答申案というものを何らの批判なくそのまま原案になさろうというような初めからお考えであるなら、事は重大でございます。幸い郵政
大臣もおいでです。これは各省
大臣、
総理大臣みずからこの点については認識を改めなければいけない。そうして立法の府というものはどんなものであるかというこれはイロハのイであるけれども、これが混淆されておる。
調査会が立法の府を拘束するようなことすらも間違って考えておるやにわれわれには見受けられる。それと同時に、
大臣が
答申案に対してはきわめて弱い。
答申案は全くうのみにしなければ世論に反するがごとく思っておる。そもそもこういう
審議会ができましたことは、民主政治の昨今でありますので、民の声もある程度あなた方の法案
作成の段階において意見として聞いてもらおうというので、こういう
審議会というものをつくることを国会は承認しておるわけなんです。しかるに、一たびそういうものができて、
答申案を出した以上、
答申案をその
通りうのみにしなければならぬといったような敗北的な考え方をなさるから、
調査会もいばってくる、
審議会もいばってくる。中には間違えた上で、立法府まで拘束できるような、おれたちの
通りに
法律をつくらぬからけしからぬと、新聞に書かせるものも出てくる。自分の思い
通りにならぬから
調査委員をやめたようなものも出てくる。そういうばかげたことは、ほとんど世界に類例のないことなんです。三権の分立を憲法で明らかにしておきながら、それにまた
調査会という屋上屋と言いたいけれども、屋上屋にもなるような
権限はないはずなんです。これはあなた方の単なる御相談に意見を述べるだけの機関にすぎない。その意見を採択するのは、一に
行政官たるあなたの
諮問機関である以上は、あなたがそれをどの程度まで採択するか、全部それを否認されてもよろしい。御
答申はありがたいけれども、見るべき
答申がないから、これは一つも採択できないとおっしゃっても自由であります。あくまでこれは
答申機関である。その点を一つここで明確に——私は各
委員会において各
大臣からこのことを伺いたいと思いますが、最終的には
総理大臣の覚悟を聞かなければならぬが、与党たる私から一つあなたの御覚悟をこの機会に、ちょうど今問題の
委員会があなたのところにたくさんあるわけです。従って、十分これを伺っておきたいと思います。