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穗積委員 それでは、そういうふうに
理解いたしておきます。
日韓会談その他について関連をしてお尋ねをしたいわけですけれ
ども、今申しました原子力潜水艦問題にしても、
日韓会談にいたしましても、何だか、われわれの感じでは、国会中にやるとうるさいから、国会が済んだら月夜にかまを盗むがごとくほおかぶりをしてひとつ無理やりに妥結しようというような雰囲気がどうも感ぜられてしょうがない。あなたは、先ほど、この問題はやりたいと思うけれ
ども、困難がある、だから、十年も十余年もかかっているのだと言われたわけですが、特に問題になりますのに、
国民の世論というものが、単に国会の議席に表現されている議員数の比例だけではなくて、
日韓会談その他につきましては、これはもっと広範な世論というものがあるわけです。今度の国会の終末にも、自民党は少数
意見を必ず尊重する、こう言うわけです。
日韓会談に対する疑惑あるいは反対の世論というものは、必ずしも少数
意見ではない。それを押し切ってやるということは、自民党内閣の態度としては非常によくないことだと思うのです。しかも、私がお尋ねしたいのは、最近の
韓国における経済
情勢、
政治情勢というものは、非常に不安定な
状態で、ますますそれを深めている。先ど戸
叶委員からも
お話があり、その前に
細迫委員からもありましたが、たとえば、今年度の寒冷あるいは長雨による食糧危機という一時的なものではなくて、
韓国の経済そのものが、
朴政権の長期的計画以後、人口の膨張率よりはるかに経済の成長率のほうが下回っている。すなわち、
韓国経済の基本的な行き詰まりと矛盾というものがここに露呈されているわけです。そこへ持っていって、その原因をなしているところの対
北鮮との戦争の準備、あるいはまた
アメリカ駐留車に対する負担、あるいはそれらをささえるための軍事的な諸費用、これが、
韓国経済の行き詰まり、ひいては
国民生活の不安、
政情不安の基礎をなしているわけです。そのときに、先ほどの
細迫委員が
指摘をされましたように、軍事体制は強化する、兵隊はふやす、そういう見通しを立てますと、この
韓国の経済的並びに
政治的な基礎というものは非常にダウンする一方で、とうてい米麦の四万トンや多少の
無償供与くらいで、これがあなた方の意図に沿って
韓国の
政治・経済をささえるというようなわけにいかぬことは、もう明瞭な事実だと思うのです。にもかかわらず、それを無理やりにやろうとする。しかも、
交渉の過程においては、
アメリカの威をかるキツネのごとく、
韓国は理の通らないことを言って、いまの
漁業交渉にしましても、請求権
交渉にしましても、領土問題にしましても、何
一つ合理的な
日本側の主張というものに耳をかしていないわけです。完全に
向こう側のぺースに巻き込まれて、易々諾々どころか、屈従これつとめてやっている。そういうことでは、あなたは寝てもさめても
日韓会談をやりたいと言っているが、これは好漢
大平外務大臣の終生の汚点として残ると思うので、好漢惜しむらくは自重すべきであると、友人として私は思うし、
日本の
外交にとっては取り返しのつかぬ大ミステークになると思うのです。そういうように、もう懸案の問題が、たとえば
無償供与についてどこまできているとか、
漁業交渉についてどうだとかこうだとか、残された問題はもう詰め碁の
段階であって、最後はきまったような話をしておられますけれ
ども、もう
根本がくずておるのでありますが、それに対するところのあなたの最近の認識は何でしょうか。アジア課長が最近
韓国を視察してきて、深刻の一途をたどっておる経済・
政治情勢の報告があったはずです。それにもかかわらずなおやろうというのは、一体どういうわけか。その基本認識について私はこの際伺っておきたいのです。