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1963-06-07 第43回国会 衆議院 外務委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年六月七日(金曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 安藤  覺君 理事 正示啓次郎君    理事 福田 篤泰君 理事 松本 俊一君    理事 戸叶 里子君 理事 穗積 七郎君    理事 松本 七郎君       菅  太郎君    椎熊 三郎君       田澤 吉郎君    森下 國雄君       久保 三郎君    黒田 寿男君       田原 春次君    西村 関一君       細迫 兼光君    森島 守人君       受田 新吉君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         外務政務次官  飯塚 定輔君         外務事務官         (移住局長)  高木 廣一君         農林事務官         (農政局長)  齋藤  誠君         労働事務官         (職業安定局         長)      三治 重信君         建設事務官         (計画局長)  町田  充君  委員外出席者         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局監察審         議官)     諸永  直君         農林事務官         (農政局参事         官)      丸山 幸一君         通商産業技官         (通商局経済協         力部技術協力課         長)      前田  浩君         専  門  員 豊田  薫君     ――――――――――――― 六月七日  委員勝間田清一君、帆足計君及び西尾末廣君辞  任につき、その補欠として田原春次君、西村関  一君及び受田新吉君が議長指名委員選任  された。 同日  委員西村関一君辞任につき、その補欠として久  保三郎君が議長指名委員選任された。  同日  委員久保三郎君、田原春次君及び受田新吉君辞  任につき、その補欠として帆足計君、勝間田清  一君及び西尾末廣君が議長指名委員選任  された。     ――――――――――――― 六月七日  日本国政府ニュー・ジーランド政府との間の  小包郵便約定締結について承認を求めるの件  (条約第二一号)(参議院送付)  日本国南アフリカ共和国との間の小包郵便約  定の締結について承認を求めるの件(条約第二  二号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  海外移住事業団法案内閣提出第九九号)      ――――◇―――――
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  海外移住業団法案を議題とし、質疑を行ないま。  質疑の通告がありますので、これを許します。  西村関一君。
  3. 西村関一

    西村(関)委員 まず最初労働省のほうにお尋ねをいたしますが、本法案関連をいたしまして、労働省は、従来から、農業以外の雇用移民登録あっせん技術補導及び募集、これらの移民仕事を担当していたのでありますが、あるいはまた、民間移住あっせん業者指導監督に当たってまいったのでございますが、相当な成果をあげてまいられたのであります。昨日の日本経済新聞の夕刊を見ますと、「中南米で明るい再出発、好評の炭鉱離職者移住」という見出しで、未経験者がんばりで上々の営農成績をあげているという記事がございまして、私もこれを見まして非常に明るい感じを受けたのであります。そこで、労働省にお伺いをいたしたいと思うのでございますが、承りますと、次期国会に提案が予定されております移住振興法の案文につきまして、外務省労働省の間にまだ意見の一致が見られないということで、今国会にはただいま審議しております海外移住事業団法案と一緒に審議かできないという外務当局答弁でありましたが、どういう点が問題になっておりますか、その点が一点。それから、第二点は、本法案関連をいたしまして、いままで労働省がやってまいりました仕事を今後も進めてまいる上において、事業団との関係をどのようにやっていくか、何らそこに問題がないか。この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  4. 三治重信

    三治政府委員 第一点の移住振興法の問題につきましては、職業安定法と今度の移住振興法との関係になると思います。現在の職業安定法によりますと、職業紹介職業あっせんというものは全部国がやる、特別常利、無料というような職業紹介業務あるいは労働者供給事業をやる場合は政府許可が要るように法律上なっております。したがって、今後海外移住振興法ができます場合に、政府が全部直接やるという問題が関連をしてくる、あるいは、さらに、海外移住移民部面あっせん業行に対して政府監督をどうするかという問題になろうかと思います。基本的な問題としては、現在の職業安定法の、国が職業紹介事業をやる、民間でやる場合には政府許可が要るという場合に、この海外移住のためにする職業あっせん業務を国が直接やるかあるいは民間業者許可するか、その許可をする場合に労働省がやるか、そういう制限の問題といまの職業安定法との関連をどういうふうに規定していくかという問題でございまして、そう別にたいした意見の対立ということはない、十分話し合い解決する問題だというふうにわれわれは考えております。  それから、海外移住事業団部面につきましては、話し合いがつきまして、国が出資してやるこの海外事業団につきましては、法律的権限として事業団職業あっせん業務をやるようになっております。基本的にはそれで解決しておると思います。ただ、実際上において、今度民間業者許可するあるいは委託をして業務をやる場合の取り扱いの問題が、今後事業団が実際の仕事をやられる場合に関係機関とどういう連絡をとって、あるいはどういう業者許可をしてやっていくかという問題が、実務上の問題として出てくると思います。しかし、労働省といたしましては、基本的には海外事業団が直接おやりになる分につきましては問題がないが、ただ、民間に委託する、あるいは事業団から安定所へ求人を依頼する、あるいは安定所がそれによって交渉をし選考していく場合に、下北団がその関係をどういうふうにしてやるかという事務手続の問題については、今後事業団業務方法書をつくる場合に御協議願うということになっております。
  5. 西村関一

    西村(関)委員 いまの御答弁でも明確でありますように、事業団がやる場合については問題がない、しかし、民間業者がやる場合、これは従来労働省監督をしておった、また、移民あっせんをやっておる業者登録といいますか許可、それから監督というようなものを労働省がやっていたわけなんですが、そういう点についてはまだ問題が残っておる、移住振興法の中でこれをどういうふうに規制するかということについては基本的には考えが一致しておるが、その権限の問題でまだ結論が出ていないということですが、労働省としてはそれは従来どおり労働省権限でやろうというお考えなんですか。その点はいかがですか。
  6. 三治重信

    三治政府委員 海外移住あっせん業者の問題につきましては、実は、外務省も、――ほかの省のことを言っては失礼かもしれませんが、私のほうも、実際行政指導としてほとんどノータッチでございます。戦前は相当きびしい規制があったようでございますが、戦後、そのあっせん業者実態というものは労働省もつかんでおりません。しかし、今度新しく移住振興法なり基本法というものでいろいろ規定していく場合になりますと、先ほどいろいろ申し上げたような問題点があるということでございます。
  7. 西村関一

    西村(関)委員 民間移住あっせん業者実態労働省では把握していないのですか。それならば、一体どこがそれを把握しているのか。これは職業安定法との関係においてかってに民間業者がやっていいのですか。民間業者功績は非常に大きいものがあるというふうに一面評価されておるが、しかし、野放しではないはずなんです。その点は、労働省の法規から言って、いまの局長のお話だと、全然ノータッチだ、野放しだということですが、それは一体どこが監督をしておるのか。私は労働省がやっているものだと考えておったのですが、その点いかがでしょう。
  8. 三治重信

    三治政府委員 海外移住あっせん業者の問題につきましては、いま申し上げましたように、労働省としてはいままで戦後ノータッチであったということは事実でございます。安定所業務活動でいままで接触を保っておりましたのは、各県にある海外移住協会との関連で、その部面だけで、あるいは政府が直接移住あっせんをやる場合、たとえば西独に対する石炭労務者の派遣というふうに政府が直接やるという場合にタッチをしておったという実情でございます。
  9. 西村関一

    西村(関)委員 問題は二つなんですが、各具の地協募集をしあっせんをしてやる場合には労働省海外移住協会連絡をとって送り出すほうの業務をやっていた。それは今後は海外協会にかわる事業団を通じてやる、こういうことになると思うのですが、それは一応はっきりすると思います。もう一つの点、つまり、民間業者ですね。移民を送り出すところの業者については、戦前は別だけれども、戦後はノータッチだという。どういうわけでそういうことになったのですか。その点移住局長から御答弁をいただいた方がはっきりすると思います。
  10. 高木廣一

    高木政府委員 戦前移民保護法では、移民取り扱い業者規制はあったのでございます。これは、日本労働者募集し、かり集めまして、向こうへ行って労働者を配耕する、分配していくという仕事であったのです。戦後の移住あっせん業者というのは、あるいは旅行業者と言っているのは、そういう性質まではやらないわけなんです。現地でこういう人が雇用移住者として呼び寄せたいと言っている、おいでになりませんかということを取り次いで、そして、この方々が今度は自発的の形で行く手続で行かれるわけなんです。こういう規制につきまして、戦後これをどういうふうに規制していくかということが研究されていたのですが、十分の結論が出ていなかったのです。それは、職業安定法というのがございまして、職業あっせんというものは国がやるべきである、民間は特別の許可がなければやれないということになっているわけです。ところが、職業安定法国内職業あっせんだけでございまして、その規定している範囲が非常に狭いわけです。海外移住者雇用労働あっせんと申しますか、これは非常に幅が広いものでございますので、職業安定法をそのまま適用できないというのが戦後の通念になっております。昭和二十九年の閣議決定でも、農業雇用労務者移住あっせん関係農林省がこれを監督するというような決定までございまして、ここのところ、まだ十分検討を要する研究分野として残っていたわけです。戦後、最初におきましては、このあっせん業者は非常に活発な移住推進をいたしまして、むしろその長所が強くうたわれていたのですが、最近になりまして、非常にルーズなあっせんサンパウロあたりでも問題が起こるということから、これは至急対策考える必要があるということで、われわれ関係者がこの問題を取り上げるようになり、移住審議会でもこの問題を取り上げたのですが、はっきりした結論移住審議会でも取り上げておりません。むしろ民間業者よりも事業団が直接あっせんするほうに力を入れるべきであるというような結論が出ております。もちろん、民間業者については、これを認可事業として規制していく必要があるということだけを、移住審議会答申では言っておるわけです。そこで、われわれといたしましては、職安法をそのまま適用していくか、あるいは、非常にそれは幅が狭いから、もう少し幅を広く考えて、職業安定法を準用する形でこれを取り締まっていくか、今後研究をしようということになっている次第でございます。
  11. 西村関一

    西村(関)委員 昭和三十七年度の移住者送出実績から見ましても、民間業者が取り扱った数は相当なパーセンテージを占めておるわけなんです。過去においてもさようであった。いま局長の言われましたように、私も指摘いたしましたように、民間業者の業績は一面高く評価される。非常に苦労して、それを自分の事業としてやったのではありますけれども、やはり海外移住にいたした功績というものは無視できないと思います。しかし、また一面いろいろな弊害も伴っておる。いま局長が言われたとおりです。それでありますから、この移住根本観念の中には、大体においてこれは国が責任を持って、移住官営と申しますか、しかし純粋な官営ではなくて事業団を通じて間接的に国が責任を持ってやる、こういう形になっておりますけれども、また一方、民営という方面も、過去の実績から考えまして、また民営そのものの持つよさの面から申しまして、これを全然むげにしりぞけることはできないものだと思うのでございますが、それだけに、それをそう考えますならば、この民間業者指導監督というものはやはり国がやらなければいけない。現在では、いまお示しになりました農業移住者についての民間業者あっせん農林省がやるということは閣議決定になっている。これは、局長も言っておられますように、移民は、農業者が多数ではあるけれども、全部ではない。今後はなお他の職種の移民を送らなければならぬ。送り得る情勢にある。こういうことからいたしますと、一体どの役所が民間業者指導監督をやるか。まだ政府部内でも十分にきまっていないというようにいまの御答弁では受け取ったのですが、この点、職業安定法の見解について、これは国内職業の安定に関する法律でありますから海外移住についてはどうも当てはまらないという解釈もあるようですけれども、しかし、国内において募集するのですから、その点いろいろ問題もあろうと思いますし、私はそこまで深く研究をしておりませんけれども、職業安定法によって規制されないということになりますと、一体どこがこれをやるかということは一つ問題点かと思うのですが、これは外務省ではどういうふうに考えておりますか。
  12. 高木廣一

    高木政府委員 今度の事業団では、民間あっせん仕事を委嘱することはしないというたてまえで、職安法考え方を貫いておるわけであります。それで、民間業者の取り締まりにつきましては、いま申しましたように、法律上と申しますか、行政上は野放しのような形になっておりますが、実質上は、海外協会連合会渡航費貸し付けるというところで関与しておる関係上、いろいろその弊害がないような規制をしていく。たとえば法外な手数料をとらないというようなことをやっておるわけですが、これでは不完全であることは事実であります。そういう点で、職業安定法精神を適用していく必要があると思うのでありまして、適用か準用か、いずれにしても、職業安定法中心にやっていくことになるのは当然なことであって、これは、労働省だけでやるか、あるいは外務省とか農林省とか関係省もそれに相談をしながらやっていくかという問題で、実質的にはもう少し検討する必要があるのじゃなかろうか。しかし、現在は、事実上海協連がいま申しましたような指導弊害を少なくしているという実情でございます。
  13. 西村関一

    西村(関)委員 そうすると、今度の事業団ができると海協連にかわって事業団貸し付けをやり、指導をする、チェックするということになるわけですが、そうはならぬでしょう。今度の事業団ではそういうことをやらないということになっている。その点はどうするつもりですか。
  14. 高木廣一

    高木政府委員 民間業者事業団仕事を委嘱されるという形ではやらないわけでありまして、しかしながら、海外移住する人に対して渡航費貸し付け仕事事業団がやります。そこで、事業団業務方法につきましては、先ほど労働省職業安定局長が言われたように、労働省とも十分相談しながら、実質上下業団渡航費貸し付けの面で労働省考え方と背反しないように十分協議をしてやっていくということで打ち合わせておるわけであります。
  15. 西村関一

    西村(関)委員 まだもう一つ明確に私は理解できないのですが、今度の振興法の中でそういう点をはっきり規制して法文化していくお考えなのかどうか。それまでひとつ検討さしてもらいたい、こう言われるのかどうか。あるいはいつまでも検討して問題を未解決のままあとへ送っていくというのではどうかと思うのですが、そういう点は見通しとしてどういうふうに考えておられますか。
  16. 高木廣一

    高木政府委員 この点はわれわれといたしましても一刻も早く解決してすっきりした形でやっていきたいと思っております。
  17. 西村関一

    西村(関)委員 労働省お尋ねいたしますが、いま高木移住局長からの御答弁にありましたように、一刻も早くということで、この問題は一つの盲点になっておりますといって、民間業者を圧迫するとか民間業者を縛るとかいうことでなしに、やはり、いま審議しておる移住事業団法案精神はどちらかというと民間業者に対してはあまり配慮が払われていなくて、むしろ従の従というふうに考えられておりますが、しかし、過去においても現在においても民間業者が受け持っておるところの部分というものはやはりこれは現実にあるのですから、それについては労働省としてどういうふうに考えていかれるか。外務省の方針はいま伺いましたが、とにかく、労務需給の問題、それは国内海外との違いはございます。そしてまた、移住の理念は、それはただ単に労働力の移動ということではないわけでございますけれども、しかし、労働省立場からするならば、やはり労務需給の問題に関係があるわけです。そういう点から、労働省としてはこの問題はどのように処理していかれるか。従来ノータッチだったのですが、いつまでもノータッチでいかれるのか。その点、いかがでしょうか。
  18. 三治重信

    三治政府委員 海外移住あっせん業者に対してどういうふうな規制をしていくかということにつきまして、外務省検討中でございまして、われわれのほうとしては、やはり、いま国内でいわゆる民営職業紹介事業について許可認可をやっていると同じように、許可認可の基準をはっきり振興法の規定に際してやるのに異存はございません。それから、民間業者を活用するという方向についても異存はございません。ただ、その規制の問題で、どこがどういうふうに監督し、どういうふうな取り扱いのしかたをするのかということについて、まず最終的に外務省とよく協議して振興法ができるように努力していきたいと考えております、
  19. 西村関一

    西村(関)委員 この海外移住審議会答申を見ましても、民間団体の項には、「移住事業に従事する内外の民間団体には積極的に参加を求め、その自主的活動を助長支援するとともに、効果的であれば公約実務機関事業を一部これに委嘱することも望ましい。」こういうふうにうたわれております。この審議会答申はあくまでも尊重するということは大臣もしばしば言明しておられるところでございまして、この精神から申しますならば、私がいま指摘いたしております民間業者取り扱いについては少しく消極的であるのじゃないかという印象をいままでの答弁では受けるのです。外務労働両省において、その担当者においては、もう少しこの答申精神を生かして、民間業者立場をも十分に考慮して、今後の具体的な解決を、高木局長の言われますように一日も早くしていただきたい。法的な規制もさることながら、行政の面の指導におきましても、この答申精神に沿うてやっていただきたいということをお願い申し上げます。  それから、さっきの、地方海外移住協会を通じてあるいは地方自治体を通じてなされるところの海外移住、特に炭鉱離職者海外移住につきましては、冒頭に私が引証いたしましたように、かなり明るい見通しも出ている。そういう点につきまして、現在どのくらい炭鉱離職者海外に出ておられるか。そうして、どのような成績をあげておられるか。また、今後の炭鉱離職者対策について労働省としてはどういうふうに考えておられるか、その点をお伺いしたいと思います。
  20. 三治重信

    三治政府委員 炭鉱離職者海外移住につきましては、現在まで中南米に約五百三十四名出ております。全体としては海外移住された方が七百三十四名。これは石炭臨時措置法による対象になった方であります。さらに、その海外移住関係につきまして、従来九万円の移住資金を出しておりましたのを、今年は二十万円に引き上げまして、予算措置もとりました。この四一の十一に、各地方知事さんに、この海外移住について今後特に配慮方を通達したところでございます。  中南米中心とした海外移住につきましては、今後事業団ができますれば事務手続その他もっと強力になると思いますし、大いに海外移住を促進していきたいというふうに考えております。
  21. 西村関一

    西村(関)委員 海外移住に準ずるものとして、これは定着しませんから純粋な意味における移住者ではありませんが、ドイツに派遣いたしております短期の炭鉱労務者の現況はいかがですか。
  22. 三治重信

    三治政府委員 これは、一番最初は、在籍労務者として、ドイツ石炭の採掘についての技能習得という面、これはヨーロッパ以外の地域からの労働者移住をかたく禁止しておりますので、その点で、いわゆる技能習得という名目でやっています。その後、在籍労務行を出すにつきまして、石炭会社のほうが在籍労務者を出すのを拒否してまいりましたので、今度は離職者を出すようにして、現在七十名の離職者を出しておりますが、今年西独側からその離職者でも非常に優秀だからさらに送ってほしいという再三の要請が参っております。ただ、ここで年齢制限が非常にあります。それから、独身で行かなくちゃならぬという問題で、募集、選考になかなか困難を来たしておりますが、現在その離職者についての第二次送出につきまして目下石炭経営名協会のほうと協議中でございます。大体飛行機一台のチャーターになりますと百二十人単位になりますが、その線でいま協議しております。それから、行かれた方たちは、非常に優秀で、評判がよろしゅうございます。ほとんど事故もございません。その点、日本炭鉱労務者優秀性ヨーロッパでも非常に認められておるということでございます。
  23. 西村関一

    西村(関)委員 私も、五年前にドイツへ参りましたとき、炭鉱労務者の諸君ががんばっている現場を二カ所ばかり回りまして、いろいろ現地の表情に触れたわけなんです。一生懸命がんばっておられるのでありますが、国内のいろいろな活字になったものだとかあるいはいろいろな日本の映画だとかフィルム、そういうものを要求している向きが相当強かった。日本の最近の情勢を知りたい、また、日本のものに触れたい、そういうことに対する送り出したあとの援護と申しますか指導激励、この点についても労働省配慮しておられると思う。五年前のことですから、その後ずっと年月が流れておるので、配慮しておられると思いますが、今後とも、離職者の場合はなおさらのこと、そういう点についての配慮をしていただきたいと思います。  労働省関係の質問はこれで終わります。  次に、建設省関係につきましては、産業開発青年隊が従来成果をあげておられます。現在は産業開発青年隊はどの方面にどのくらい出ておられますか、これまでの成果はどういうふうに具体的にあげておりますか。まずその点をお伺いしたい。
  24. 町田充

    町田政府委員 お尋ね産業開発青年隊でございますが、昭和三十一年に最初隊員を送り出しまして、以来、今日まで十一回にわたりまして約二百四十名に及ぶ隊員を送り出しております。今年度は三十数名の隊員を送り出すべく、七月上旬の乗船を待機しておる、こういう状況でございます。  行きました連中がその後どういう活動をしているかと申しますと、現地で約一年余りの教育を受けまして、それから各自志望に応じまして各方面活動をいたしておるわけでございますが、測量関係機械関係土木関係電気関係建築関係農業関係商業関係というふうな分野で、約二百四十名のうち二百名近い者がそういう分野で活躍をし、残りの者は現在訓練所で訓練中、こういう状況でございます。主として訓練をいたしておりますのは、南のほうのパラナ州のセーラ・ドス・ドラードスという場所に訓練所がございまして、そこで一年間の訓練を受け、あるいはそこで待機をする、こういう状況で現在活動をいたしておるわけであります。
  25. 西村関一

    西村(関)委員 産業開発青年隊現地海外協会連合会との関係はどうなっておりますか。
  26. 町田充

    町田政府委員 この産業開発青年隊の受け入れ機関といたしましては、現地にサンパウロに農業拓植協同組合という法人があるわけでございますが、この法人に対しまして、海外協会連合会の補助金がこの受け入れ機関である農業拓植協同組合に交付されておる。したがいまして、現地にあります海協連の機関からこの農拓協に対して所要の補助金が交付されておる、こういう関係に相なっております。
  27. 西村関一

    西村(関)委員 今度の事業団が発足いたしました暁には、海協にかわる事業団から農拓協に補助金が出る、産業開発青年隊がその利益を受けられる、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  28. 高木廣一

    高木政府委員 さようでございます。現地の機構をいま変える考えはございません。
  29. 西村関一

    西村(関)委員 昨年に比べてことしの予算はどうなっておりますか。
  30. 町田充

    町田政府委員 昨年度は六百六十万の予算を計上していただいたわけでございますが、今年度は移住事業団に対する交付金といたしまして産業開発青年隊関係で二千円百八十万の予算を計上いたしております。
  31. 西村関一

    西村(関)委員 要求は幾らだったのですか。
  32. 町田充

    町田政府委員 現地の受け入れ機関であります農拓協からの要望はかなりの額にのぼったわけでございますが、それを外務省と御相談申し上げてそういう数字にまとめたわけでございます。現地からの要請は約八千万ないし九千万近い要請があったように記憶いたしております。
  33. 西村関一

    西村(関)委員 建設省としては現地の要求をできるだけかなえたいというふうに努力せられたはずだと思うのですが、それが、九千万が二千四百万といいますと、四分の一程度に削られておるということなのですが、その予算の折衝過程で建設省は外務省とあるいは大蔵省との間でどういう折衝の経過があったか。これは現地の要求からは大幅に削られておる。その点の過程においてどういう事情があったのですか。
  34. 町田充

    町田政府委員 現地の農拓協の運営自体にもかなり問題がございまして、実は去る三日私どものほうの参事官が現地に視察に参りまして、今後の運営方法、こういうものを現地について十分つぶさに検討してまいる、こういうことで出張中でございますが、従来から、私ども、現地からの情報によりまして、農拓協の運営自体が必ずしも十全でないということの話も聞いておりますので、現地からのせっかくの要求でございましたが、そういう今後の運営状況の改善の問題もございますので、外務省ともいろいろ御相談申し上げた結果、今年度はいま申し上げたような予算でひとつやってまいる、こういうことで話をいたしたわけでございます。
  35. 西村関一

    西村(関)委員 現地の受け入れ機関の農拓協に問題があるから要求どおりの予算を通すわけにいかなかったのだ、端的に言えばそういうことなんですが、どういう点が問題なんですか。
  36. 町田充

    町田政府委員 私どものほうで産業開発青年隊をこういう形で創設をいたしまして、その後追加してまいっております基本的な考え方は、要するに、単なる農業移民というふうな形でなしに、一定の技術を身につけた技能労務者として現地で活躍をしてもらおう、こういう趣旨で発足をいたしたわけでございますが、こちらの訓練期間というのもわずか一年でございますので、十分現地の要望にこたえる程度の教育が残余ながらまだ充実してない。また、現地でも、そういう技能労務者として養成をし訓練をするという趣旨から言いますと、必ずしも十全でない面が見受けられるわけでございます。そこで、今後の方針としては、こちらの、内地におきます訓練ももう少し期間を延長をして、すっかり現地の要請にこたえられるような技能者としてふさわしい青年を送り出していきたい。また、現地での一年の訓練期間中でもそういう方針で訓練を実施したい。そういう目的のためから言いますと、現在の農拓協という形の受け入れ機関がはたして適当であるのかどうか、あるいはこういう事業団ができます際にこの運営を事業団に将来移管をするというふうな問題も考えていかなければなりませんし、そういったいろいろな関係の問題もございますので、今年度はさしあたり先ほどの外務省との話し合いのつきました数字で予算を計上いたしたわけでございます。
  37. 西村関一

    西村(関)委員 ただいまの御答弁では、産業開発青年隊それ自身の技能訓練に問題がある、それが、こちらで訓練していっても期間が短いし、また現地の訓練も十分でないから、向こうの要求するものにマッチしないという点をあげられたのですが、これは農拓協の性格とか現状とかいうものと関係のないことであります。これはやはり送り出す側の政府側の問題点だと思うのです。むしろ、向こうで必要とする技能と日本考えている技能と必ずしもぴたっと合うということでないように私は聞いているのですが、そういうところに問題がある。その点は現地主義でやはり訓練をやらなければいけないということも言われておるわけなんですが、それとは別に、私が聞いているのは、現地の受け入れ機関である農拓協が具体的にどういうところに問題があるか。これは、いま参事官が行って調査しておられるのだから、調査の結果を待たないと十分なことはわからぬと思いますが、しかし、青年隊を送り出す責任立場にある建設省として、ある程度のことは、送り出す受け入れ機関である農拓協のことは知っておるはずだと思うのですが、どういう点がいけないのですか。
  38. 町田充

    町田政府委員 たとえば機械の整備購入というふうな問題に例をとって申し上げますと、機械というのは一組になって購入いたしませんとなかなか一定の訓練ができないというふうな事情があるわけでございますが、それがなかなか一組一ぺんに買えない、ことしはある機械、さらにそれに付随して必要な機械は次年度というふうなことで、必ずしもワンセットであるべき機械がなかなか一ぺんに調達できないというふうな事情もございまして、そういう分散をして機械を買うということよりも、金額的には少なくなるかもしれませんが、ワンセットを一まとめにして一年度に整えて、そうして訓練のしやすいように整備をしてまいりたいというふうな問題があるわけでございますが、それが予算の関係で年度に分けて分割購入せざるを得ないというふうな風情も一つあるわけでございます。今後としては、そういう訓練に必要な機械はできるだけワンセット分ずつ整備をしていくというふうなことを考えておるわけでございます。
  39. 西村関一

    西村(関)委員 いまの局長の御答弁だと、予算の面だけが問題になっておるように受け取れますね。そんなら予算をふやしたら問題は解決するわけだけれども、それだけに、向こうが要求してくる予算を四分の一に削るということは矛盾するんじゃないですか。予算をふやせば問題の解決がつくことを、予算を削るということは、どうも私は答弁の趣旨が一貫していないというふうに受け取るのです。それ以上私はお伺いいたしませんが、今後は、拓協に受け入れ機関として従来どおり送り出すか、あるいは事業団に受け入れ機関として送り出すか、その点についてはまだ結論が出ていないのですか。
  40. 町田充

    町田政府委員 先ほどの問題で追加してお答えいたしますが、そういう訓練のための機械の問題のほかに、いろいろ現地の農拓協の現在の指導体制、そういうものにいろいろ問題があるやに聞いておるわけでございます。  それから、将来の問題でございますが、これは、この法案の立案の過程で外務省といろいろ御相談を申し上げまして、さしあたり、今年度に関する限りは、従来の産業開発青年隊につきましては従来のやり方でやっていく、こういうことに一応話し合いはいたしてございますが、先ほど申し上げましたように、担当者現地に参っておりますので、それが帰ってまいりましたら、現地の事情等も勘案しながら、いま先生のお尋ねの、従来の方式でやっていくか、あるいはこの事業団に運営をゆだねるか、そういう問題をあらためて検討いたしたいと考えております。
  41. 西村関一

    西村(関)委員 ただいまの問題につきまして、移住局長の御見解を伺いたい。
  42. 高木廣一

    高木政府委員 農拓協は名前のとおり農業者の団体でございます。したがって、農拓協の根本的の考え方は、日本から若い優秀な人を入れて農業に使いたいというのがねらいでございます。それに産業開発青年隊技術者としてのお世話を願っておるというところに、根本的にいろいろ無理があるわけです。そういう点を、どこまで無理をやってもらえるかどうか、そうして産業開発青年隊の趣旨が十分生かせるかどうかという点を、このたび建設省の参事官がおいでになって実際に見て、ひとつ将来の方針をきめようということになっておる次第でございます。
  43. 西村関一

    西村(関)委員 外務省としては、やはり、事業団を発足させる以上は、事業団一本で受け入れるように持っていきたいという考えをお持ちなんですか。
  44. 高木廣一

    高木政府委員 外務省としては、事業団はなるべく仕事の範囲は狭くして、現地の団体、現地の組織あるいは現地の人をできるだけ活用すべきだというふうに考えております。
  45. 西村関一

    西村(関)委員 そうすると、やはり現地の農拓協も生かしていきたいというお考えであるというふうに受け取ってよろしいですね。
  46. 高木廣一

    高木政府委員 農拓協が適切であるか、あるいはそういう技術関係関係法人を糾合したようなものをつくったほうがいいのか、あるいは農拓協にそういう人を加えたほうがいいのか、これは現地における実情に応じてきめることであると思います。
  47. 西村関一

    西村(関)委員 そういたしますと、やはり現地中心主義、私が先ほど申しました現地実情に即した受入れ機関をつくってそれを活用しでいく、こういう根本的なお考えに立っておられるというふうに理解してよろしいですね。
  48. 高木廣一

    高木政府委員 そのように理解していただいてけっこうです。なるべく現地の自発的な活動を促進していく、事業団は、どうしても民間でできないところを国がやっていくのであるという形でいくべきであるというふうに考えております。
  49. 西村関一

    西村(関)委員 この現地の要求した予算を建設省から外務省に差し出されたのが四分の一以下に削られておるということについては、建設省方面でも相当不満があるだろうというふうに私は聞いておるのです。いま委員会答弁ですからそういうようなことはおっしゃらないと思いますし、おっしゃらないのがあたりまえだと思いますけれども、そういうようなことが私の耳にまで入っているわけですが、どうも建設省は外務省にしてやられたというようなふんまんがある。局長にはそういうことはないにしても、部下の人たちの中にはそういうものがあるのじゃないかと思うのです。そういう点については、これは外務省仕事でないか予算を削っていいというような考えがもしあると、これは私は非常に間違いだと思うのです。そういう点については、いま両局長が言われましたように、受け入れ機関の農拓協自体にも問題があるし、また送り出す技術労務者の指導訓練の上においてもなお検討しなければならぬ問題があるから、ただ数だけを送ってもどうかと思うから今年はこの程度にということで削られたのだというふうに、私はすなおに受け取っていきたいと思いますが、その点、そういうふうに受け取ってよろしいか、念のため移住局長にひとつ見解を承りたいと思います。
  50. 高木廣一

    高木政府委員 海外協会現地の毎年の予算につきましては、海外協会連合会現地支部からも現地の必要とする要求を出してくるのであります。その額を合わせますと、実際の予算の五倍、六倍という金額でございます。これはとても達成できないわけでありまして、ことに、毎年各省予算は何割以上、五割以上は要求をできないというようなことまでございますが、移住関係は特別であるというので、そういう規制があっても何とかして多くふやすようにしておるのですが、実際はそれが現地の要求の五分の一あるいは六分の一におさまっている実情で、産業開発青年隊の予算もそれ以下になった次第でございます。
  51. 西村関一

    西村(関)委員 次に、通産省にお伺いいたします。  通産省は企業移民あっせんをしておられるわけですが、現在までどのような成果をあげておられますか。この移住事業団法案関連して今後どのような方針で企業移民あっせんをやろうと考えておられますか。その点をお伺いします。
  52. 前田浩

    ○前田説明員 通産省といたしましては、経済技術協力の一環といたしまして、かねがね海外移住に参ります企業あるいは技術者の進出につきましての促進・振興をはかっているわけでございます。特に、技術者の進出促進に関しましては、海外技術者進出促進事業という予算も取っておりまして、それによりまして、東南アジアあるいは中南米その他の地域に対しまして技術者のあっせんをいたしております。この事業は、日本商工会議所をはじめ、商工会議所の関係に委託をいたしまして、海外に六カ所の事務所を持って事業を進めております。これはあくまで経済技術協力の一環でございまして、移住ということは離れまして実施しているわけであります。今後、移住といたしましては、企業あるいは技術者を中心にいたしました移住というものが大いに伸びていくのではないかと期待をいたしているわけでございますが、このような新しく伸びてまいります移住に関しましては、外務省十分協議をいたしまして、円滑にまた積極的に推進されるように進めていきたいと考えております。
  53. 西村関一

    西村(関)委員 経済協力の一環として、技術協力という点から、あるいは企業提携という上からやってきた、今後その点について通産省としては十分外務省と緊密な連絡協議をしながらやっていきたい、こういうことを言われましたが、具体的にどういう前向きの姿勢でこの企業移民を進めていくか。外務省にまかせきりにするのか、通産省としての計画も持ってそれを外務省に相談していくのか、その点を伺いたいと思います。
  54. 前田浩

    ○前田説明員 企業あるいは技術者の移住という問題は今後伸びていく問題ではないかと考えるわけでございまして、かねがねは経済技術協力を中心に実施いたしていたわけでございますが、移住に関しましては、具体的には計画あるいは選定等につきまして外務省と十分具体的な打ち合わせをいたしまして進めていきたいと思います。
  55. 西村関一

    西村(関)委員 同じ答弁をしておられるのですが、通産省自体の計画はどういう計画を持っておられるか。今後外務省と十分な連絡をとって協議をしてやっていくということでは、きわめて抽象的です。主体性も何もない。外務省にまかせきりでやるというならば、それも一つの方法です。外務省の方針によってやるというならばそれもいいですが、通産省としての方針はどうですかと聞いているのです。
  56. 前田浩

    ○前田説明員 ただいま申し上げましたように、今後発展してまいります問題でございますので、今後具体的な動き一方を十分見ました上で新たな政策を考えるということに持っていきたいと思います。
  57. 西村関一

    西村(関)委員 そうすると、現在具体的には計画がないということですね。非常に大事な仕事であるが、今後の推移を見ながらおもむろに計画を立てて外務省と相談してやる、これでは積極性も何もないわけです。全くあなたまかせのやり方と言わなければならない。国内のことで通産省も一ぱいかもしれませんが、しかし、海外の経済技術協力ということは通産省の大事な仕事であると思うのです。そういう面から、企業移民の進出については、もちろん外務省と緊密な連絡をとって相談してやってもらわなければいけませんが、通産省としての主体性というものは現存は何もない。これでは私は役目が果たせぬと思うのですよ。今年の計画があるはずでしょう。計画に伴うところの予算も取っておられるはずでしょう。どの程度のことが三十八年度においては実施されようとしているのですか。
  58. 前田浩

    ○前田説明員 経済技術協力の一環といたしまして、海外技術者進出促進事業の予算を取っているわけでございますが、三十八年度につきましては三千五百八十七万六千円の予算を計上しております。
  59. 西村関一

    西村(関)委員 ただ予算を取っておるというだけでは、私が繰り返して申し上げておるように、自主性も積極性もない言わなければならないのでありまして、この予算ではとてもやれない、今後さらに予算もふやして、どの国へ対してどう、どの地域へ対してどうという具体的な計画が通産省としてはなされなければならぬ。風のおもむくままにそのときそのときの情勢によって計画を変えて、そのつど外務省に相談していくというのでは、私は成果はあがらないと思うのです。そういう点につきまして、通産省はもっとしっかりやっていただきたい。  外務省としては、この企業移民についてはどう考えておられるのですか。
  60. 高木廣一

    高木政府委員 外務省は、企業の移住についてはわれわれの移住関係はタッチしておらないのです。技術者の移住考えておるわけであります。それで、技術者ができるだけ出ていくことが、将来の企業進出の先がけとなっていく、促進になっていく、こういうふうに考えているわけであります。それで、今後の海外移住は、農業移住から徐々に技術移住及びそれに伴って通産省のやっておられる企業そのものの移住にまでいくべきであるという考えで、これに力を入れております。そういう方針につきましては、始終通産省とも連絡して、技術移住の推進については御協議をしている次第であります。今度の事業団でも、基本方針を関係各省で協議する場合、当然、この技術移住というものをどういうふうに進めていくかということは、通産省の御意見を伺ってきめていくことになっていると思います。
  61. 西村関一

    西村(関)委員 今後外務省としては技術移民の振興をはかっていきたい、その点は通産省と十分連絡をとってやる、しかし企業移民については現在外務省としては考えてないということですが、通産省としては、やはり、企業の提携といいますか、経済協力、そういう見地から、企業がセットとして海外に出ていく、それには機材も人員ももちろん資本も、それはその国の規制に従わなければならぬことは言うまでもありませんけれども、そういうことが海外経済技術提携の上から非常に大事な仕事であるということを考えておられますが、そういう点については、そこまでのことは外務省としては考えてない、それは一に通産省にゆだねている、こういうふうに受けとってよろしいですか。
  62. 高木廣一

    高木政府委員 ゆだねているということばがどうもはっきりわからないのですが、われわれも非常な関心を持っておるわけでございます。しかし、企業が海外に進出することについては、通産省も非常に大きな関心を持っております。もちろんわれわれも外交的立場からも関心を持っておりますから協力してやっているわけです。ただ、移住関係に限定いたしまして、外務省移住局がどういう主体性を持ってやっているかという点につきましては、人の移住考えているのでありまして、資本とか施設とか、こういうものにつきましては、われわれのほうが主担当しておらないのであります。もちろん、海外移住には企業に伴った移住もございます。その場合の仕事の主責任の分け方は、企業者が自分の費用で、たとえ永住の人でも国の渡航費貸し付けを受けないで行く場合には通産省が中心になって世話をしていく、それから、そういう場合でも、企業に伴う移住者でも国の渡航費貸し付けを受けて行く場合には、一般の移住者と同じようにこの事業団を通して外務省中心になって指導していく、こういうような仕事の分担をやっておる次第でございます。
  63. 大平正芳

    ○大平国務大臣 ちょっと補足いたしますが、経済協力の分野移住政策とを区別してお考えをいただきたいと思います。  経済協力は、世界の貿易構造が変わってまいりまして、単なる物資の売り買いだけではなくて、非常に広範な協力関係を打ち立てないと貿易そのものもできないような状況になってきておりますので、資本の援助、技術の援助、あるいはあなたの言われるセットとしての企業の移植、そういったことを考えなければならぬ。この仕事は私どものほうでも経済協力局が担当いたしておるわけでございます。これは移住政策とカテゴリーを別にいたしまして政府のほうでやっておるわけでございます。これには、もとより、各地域の状況によりまして、資本を主にするところ、技術を主にするところ、あるいはそれを合わせてやるところもございますし、その前に投資事前調査その他計画性を持って私どもの政府のほうで配慮いたしているわけでございます。  移住政策は、いま局長の言いましたとおり、人というものを目安にしております。しかし、人といえども、向こうで小さい企業をやることになる。これは農業とか漁業とか工業とか、法文にも書いてありますように、これは一つの企業なんで、向こうで企業をもくろむわけでございますから、そういう意味で、人を主体にして仕事がくっついてまいるという部面は当然この事業団で担当してしかるべきものと思うのでございますけれども、先生の言われるのは、言う意味のセットとしての企業移民というようなことは、これは経済協力の分野仕事じゃないかと私は思います。
  64. 西村関一

    西村(関)委員 一応そういうふうに区分をしていま外務省考えている、すなわち、国で考えているところの移住計画というものは人を単位にしたものである、企業を対象にしているものじゃない、これは別な経済協力という面から取り上げていくんだということでありますが、この答申を見ましても、相手国の開発計画に沿うた企画をしなければならぬということがうたわれておるわけでございます。私の申し上げておるのは、その区分の問題は別として、企業移民というものが移住政策に非常に密接な関係があるという点から申し上げている。これは、取り扱う分野が、国の官庁の分野が違うということでありましても、そういう意味から、この答申精神から言いましても、そういうものを要求する相手国の実情というものがやはりあるということも、これはお認めになっておられる点だと思いますし、また、多数国間の共同プロジェクト化ということもうたわれておるわけでございまして、これは、答申精神から申しますならば、どこかでこういう問題はやはり取り上げていかなければならないと思うのであります。一応、個人の移住ということを中心として、それのみに限らないと思いますけれども、中心として考えられておるというふうに理解させていただきます。  先ほど私が申し上げました点で、ゆだねるということがどうもわからぬと言われましたが、それは、国語の解釈をするまでもなく、まかせるということなんですから、通産省にその点はおまかせして、技術移民については主体性をそちらで持ってもらうということなのか、外務省は重大な関心を持つが、一応その計画は通産省でやってもらうという意味なのかということを私は聞いたんです。大体、局長の御答弁も、重大な関心を持っている、関心を持っているが、全然まかせっきり、こっちはほおかぶりをしてそれはもうノータッチだという意味じゃないのだという意味の御答弁であったと思いますが、さように理解してよろしいですか。
  65. 高木廣一

    高木政府委員 非常に重大な関係がございますので、いま先生のお考えになりましたように、重大な関心を持って、時には協議にもあずかるということで、まかしっぱなしで全然関心がないということではございません。
  66. 西村関一

    西村(関)委員 それでは、通産省の関係はこれで終わりまして、次は外務大臣にお伺いいたします。  外務大臣は、移住行政はサービスだ、これはあくまでサービスなのだということをしばしば仰せになりました。私は、そういう考え方を持って臨んでいただくということはまことにけっこうだと思っております。移住行政は構外行政じゃない、サービスだ、こういう基本的なお考えを大臣が持っておいでになることは、私は非常に、正しいお考えだというふうに思うのでございます。だから、問題は、従来の移住行政というものは監督行政であったという点でございまして、大臣のお考え方が下部末端まで、外地のすみずみにまで、出先のすみずみにまでどのように浸透していくかということが、私は問題だと思うのであります。あくまでも移住行政はサービス行政だというお考え方に立ちましてやっていただきたい。しかし、従来の移住行政のあり方を見ますと、監督が非常にきびしくて、行政が渋滞するというような面が相当あったというふうに私は感ずるのであります。  そこで、本法案の中身を見ましても、これは法体系からこういうふうにしないといたしかたないのであろうと思いますけれども、外務大臣の許可事項と申しますか、また外務大臣の監督権というものがあまりにも多過ぎるし、また重過ぎるという印象を受けるのであります。そういうような点につきまして、これで運営がうまくいくかどうか。大臣のサービス行政だと言われることがうまくいくかどうかという点であります。監督関係の条文が、私が数えましただけで二十カ条ほどあります。あまり多過ぎると思います。大臣は、事業団ができたならば、事業団の自主的な運営にゆだねて、清新はつらつとした仕事をやってもらうのだということをしばしば言明しておられるのでありますが、この法案ではあまりにも監督関係の条文が多過ぎるというふうに思うのでございます。従来から申しますと、出先の海協連の支部あたりが、橋を一つかける、道をちょっと直すにしても、一々東京の本省に伺いを立てないとできないということで、非常に手間どるという実情があったのであります。そういうようなことでは、大臣の御趣旨とは私は沿わないと思うのでございます。この点につきましてどういうふうにお考えになるか。  また、たとえば事業団が借金をしようというような場合でも、長期はもちろんのこと、短期の借金でありましても、外務大臣の許可を受けなければならない。これではつなぎ融資もできないということになるかと思いますが、そういう点につきまして、実際の責任立場にある移住局長はどういうふうにお考えになりますか。
  67. 高木廣一

    高木政府委員 先生がおっしゃいました外務省監督関係というのは、全部金に関係のあることでございまして、大蔵省に協議するわけでございます。橋をかけるとかなんとかいう問題は、これは実行予算ということであらかじめ打ち合わすこともできると思います。それから、いまのつなぎ融資の場合も、実際上差しつかえないようにできると確信しております。
  68. 大平正芳

    ○大平国務大臣 数回前の委員会でございましたか、西村委員と問答いたしたことがございます。私は、こういう法律はあまりいいできじゃないと思っております。と申しますのは、これは、日本の官僚制度の明治以来の惰性と申しますか、官が上におりまして民を監督していくという、それは、日本のように資本主義が幼少であったころ官が主導権を持って引っぱっていくということは、その段階において必要であったかと思うのでありますが、それから御存知のように役人にすぐれた人が登用されていくということで、官は民を監督するんだという慣行がずっと続いてきた。それで、非常に法律が多くなって、一国会に百五十も二百もの法律が出るということは、これはとても常識的じゃないと私は応じておるのです。そこで、これは大平一人の赤手で支えられるものじゃございませんで、ただ、私は、この移住事業団というものをともかくこれから推算していく場合に、私の指導方針としては、できるだけ干渉するなということでやっていきたいと思うのでございます。いろいろな規定がたくさんございますけれども、こういうものも、いま局長が言ったように、大蔵省という国庫を預かっておる省といたしましては厘毫もむだにされては困るという要求がございますので、政府がまとめていく上におきましては大蔵省の言い分も一応聞いて法案に固めてまいらなければならぬのですけれども、これは、政治という立場でお互いに見た場合に、こんなことでいいのかということは、あなたも私も同感でございます。そこで、私どもができますことは、こういう積弊、――と言って差しつかえないと思いますけれども、これは、この法律ばかりでなく、そういう眼光で見た場合には、あらゆる法律によけいな規定がたくさんあるわけです。こういうようなぜい肉はできるだけとりまして、すっきりとしていきたいという願望は人一倍持っておるのでございますけれども、これを直ちにこの法案にあらわせと言うても、大きな巌を持ち上げるようなもので、とても私の力では及びません。したがって、これを運営していく場合には、私がこの間先生に申し上げたような気位で当たってみようと思っております。それでできるだけエネルギーのロスがないようにしないと、これは海外移住事業団法ばかりでなく、行政全体がマンネリズムになりまして、非能率になって退屈なものになって、よどみができてしかたがないと思うのでございます。したがって、私の外務大臣としての立場におきましては、そういうことで指導していって、これがだんだん慣熟してまいりまして、もうこういう規定は死文になるじゃないかというようになることを私は希望いたしておるのです。そういう気持ちでおるのだということをひとつ御了解いただきたいと思います。
  69. 西村関一

    西村(関)委員 大臣の言われることは、私はもう一〇〇%賛成であり、そういうお考えを支持するものでありますが、実際がそうはいっていないということなんですね。そういうところに問題があると思うのでございます。そうであればこそ、この答申の中にもそのことがうたわれておるわけです。大臣は、答申はりっぱなものだ、この審議会答申によってやるのだということをしばしば言明をしておいでになりますが、いまさら私がこれを読み上げるまでもないことなんでございますけれども、この中にも、「従来実務機関に対する監督が度を超えていたうらみがある」、こう書いてあるのです。「度を超えていたうらみがあるので今後は速やかに実務機関の強化による機能拡充をはかり、在外公館は原則として、外交領事事務と表裏して大局的な指導監督において遺漏なきを期すべきである。ただし必要に応じて移住関係官を配置することが望ましい。」というふうに答申されております。この権威のある答申になぜこういうことを出したかということは、監督が度を越えていたということを審議委員の諸公は十分に認識した上でこういう答申をしていると思うのです。こういうことが続く限りは、答申の趣旨も通じませんし、大臣のお考えにも一致しないということになると思うのでございます。要は運営の問題であります。それは、やはり、大臣の考え方が在外公館の末端にまでしみ通っていき、今後の外務省行政のあり方として、この法律が通った場合に、法の運営をどのように答申精神に一致させていくかということにあると思うわけでございます。しかし、それだからといって、何もかも運営にまかせるといっても、大臣もかわられるかもしれない。おそらく近い将来また大蔵大臣になられるか総理におなりになるか、かわられることは間違いないのです。あなたのそういうお考えを次の大臣がお持ちになるかどうかということは、これはわからぬのですよ。ですから、あなたがやめられたらまた逆戻りするということがあったのでは、これは答申の趣旨に私は沿わないと思うのです。でありますから、この法案の中の二十カ条に及ぶところのあまりにも多過ぎると思われる監督条項を、――これは変えられないものもあるでしょう。修正できないものもあるでしょうが、修正できるものはひとつ大臣の趣旨によって検討してみる、そういうお考えはお持ち合わせになりませんですか。できないものを私は無理にしろとは言いませんが、私が勘定しただけでも二十カ条もありますよ。そういう点は検討してみてくれませんか。どうですか。
  70. 大平正芳

    ○大平国務大臣 先ほど申し上げましたように、歴史の流れの中でいま外務省を預かっておる私としては、そういった方向に一歩でも近づけていくようにすることが任務だと思うのでございまして、私の在任中に何ごともすっかりやっていこうなんというそんな大それた考えは私も持ちませんが、次に引き継ぐまでに移住行政に何か一つの清新な濶達なものが出たということでありたいものだと悲願しておるわけでございます。次に外務大臣になられる方は、その方はその方の見識でおやりになると思うのでございますけれども、私は、少なくとも私が在任中そういうようにしたいということで、それが一つの一里塚になって将来お役に立つことになればと思っておるわけでございます。しかし、日本行政機構の伝承、重みというものは容易ならぬことでございまして、たとえば西村先生が各省をお呼びになりましてどういう計画があるか非常に追及されておるのでございますが、根本的に申しまして、今まで移住事業がうまくいかなかったということにはいろいろ原因がございますけれども、一つは、政府が、答申にも書いてありますように、行き過ぎた指導・干渉をやり過ぎているのです。したがって、あまり各省をお呼びになられて、各省に移住卒業について関心を持たせて、そこで計画を立てさせてというようなことになりますと、あなたの所期されておる目的とまた迷った弊害が出てきやしないかということをむしろおそれるのです。そこで、この事業団をつくりますと、この事業団に原則としてまかせるということ、そこにもうしぼって、その事業団に対する干渉が多岐にわたらぬように、外務省で各省と協議して方針をきめて、それを指示して、これでやらせるというようにして、いろいろなひもを一ぺんに断ち切りましてすっきりとしたいというのが、この事業団にまとめていき、それと政府との関係をどうやるかという上で一応苦心したところでございます。  そういうことで、事業団は一応曲がりなりにもまとまった。まとまったが、いろいろ見てみると、いまも御指摘のように、何十カ条もたくさん監督規定があるじゃないかということでございます。この点につきましては、それじゃいまこの段階でこれを改正するなら削れるものは削ったらいいじゃないかという御意向でございますが、ともかく、いま申しましたように、第一の目的は、一応まとめ上げるということ、そうして、いろいろクモの巣のように干渉の糸があったのをともかく一つにまとめていくということをこの段階でやり遂げるということをまず第一の目標にしたい。そうして、この事業団が発足いたしまして、私が申し上げるような方針でこの事業団を育成して、この事業団がやることについて各省が信頼していくような空気がだんだん醸成してまいりますと、先ほど申しましたように、条文で書いてあるけれども、これは死文になって、もうこんなものは要らぬじゃないかというようになってくると思いますし、また、そうしなければならぬと思うのでございます。これはひとり事業団法ばかりでなくあらゆる政府機関の運営につきましても言えることだと思うのでございますけれども、したがって、ともかくこれで第一の目的の集約したものに一応するということだけをここでお認めいただきまして、そうして、先生も御指摘のように、これからの連帯を見ていただきまして、その運営の過程において、私が申し上げるように、だんだんとこれがすんなりとしたものになり、濶達にきびきびとした活動が、少ない制約のもとでできるように育てるというように、長い目で愛情を持って見守っていただき、御注意をいただくようにお願いしたいと思います。
  71. 西村関一

    西村(関)委員 まことに御丁寧な答弁をいただきまして、私も実はこの事業団法案については愛情を持って審議にあずからしていただいているつもりなんです。これはほんとうに苦心の作だと思っているのです。その点においては大臣とちっとも変わっていないつもりでおるわけです。また、各省を呼んでここでいろいろ聞いておりますのは、またもとのセクトに返れという趣旨で呼んでいるのではないのでございまして、やはり、問題点を明らかにして、各省の担当者にも十分な理解を持ってもらいたい、そして協力して国の移住行政を進展さしてもらいたいという配慮から来てもらっておるわけでございまして、私は大平大臣以上に役所のセクショナリズムというものを打破しなければいかぬということを考えておるつもりでございます。その点においては、いま大臣の言われるように、監督条文が全部死文になるようなそういう行政でありたい、こういうお心がまえにつきましては、私は満腔の敬意を表したいと思うのです。ぜひそうやっていただきたいと思うのです。そしてまた、局長以下各担当の係官、在外公館の方々がどうかその精神をくんで、サービス行政としての移住行政に当たっていただく、これが根本だと思うのです。監督行政じゃない、サービス行政だということを念頭に置いてやっていただきたいと思うのでございます。  それから、移住行政を円滑化してまいりますためには、現地の専決事項と申しますか、現地で大体のことがきめられるようにしむけることが必要ではないかと思うのです。一々本省に伺いを立てないときまらぬというのでは、私は迅速かつ円滑な行政ができないと思うのでございます。そうであればこそ、私はこの答申の条文をまたしても引き出しますけれども、これは大臣も認めておられるように、われわれもこの答申がりっぱな答申であると考えますから、その点について申し上げるのでありますが、在外機構のところでこういうことがうたわれてございます。「在外機構について配慮すべき事項は次のとおりである。(イ)専決事項を多くし現地中心主義を強化すること。」、こういうことがこの答申にはっきり出ているわけでございます。やはり、サービスをサービスたらしめるためには、現地で早くきめられるようなぐあいに今後は持っていっていただきたい、かように思うわけでございます。そこで、大臣のそういうお考え方を突き詰めていきますと、近い将来においては移住局なんかはないほうがいいのだ、移住局はやめてしまったほうがいいのだというふうに、移住局不要論を大臣は本委員会におきまして私の質問に答えて二回も繰り返して唱えておいでになるのでございます。その意図しておられる点はよくわかりますし、それは、先ほどからも申しておられますように、何でもかんでも政府監督をしてやるのだというのではなくて、事業団にまかせて、事業団の清新はつらつとした運営にゆだねるのだというお考えから出ていることであろうと思うのでございますが、大臣がやめられたら、移住局不要論というものもどこかへ吹っ飛んでしまうのかもわからぬ。その点、これは何も移住局が軽い局であるとか重い局であるとか外務省における外様的存在であるとかいうような意味からではなくて、移住行政のサービス行政としてのあり方から出たまことに正しい御見解であると私は思うのでございます。ただ単に役所の簡素化という意味だけでなくて、移住行政の本質から言って局なんかなくたっていいのだ、こういうお考えから出ていると思うのでございますが、そういうお考えをやはり実行していただかなければいけないと思うのです。そういう実行なさる上においてどこかで抵抗がございますか。あるいは、実行なさるということにつきまして、それはただ観念的な空論的なことではないと思うのですが、真剣にお考えになっていらっしゃるならば、実際に移住局をやめてしまおうということについて具体的にどう考えておられますか。
  72. 大平正芳

    ○大平国務大臣 役所の多岐にわたる指導、干渉、監督、そういったものをできるだけ整理して、事業団にきびきびとした責任ある自主的な活動をやらせてまいるということを各省に求めなければならぬわけでございます。しかし、ものごとというものは、自分のほうがやらぬとはかの省が動くものではございませんで、かりに外務省移住局を移住庁にする、しかしおまえさんのほうは監督をやめてくれと言ったって、各省は承知しないと思います。したがって、隗より始めよで、まず外務省移住行政について行き過ぎた干渉がましいことをやめなければ、ほかの省は信用しないと思うのでございます。私は、先ほど申しましたように、この事業団を育てていって、これにはできるだけ自主的な責任を持たすとなれば、移住局のように大きな機構は要らぬと思うのです。外務省に、監理官と申しますか、そういうものを官房にでも若干のスタッフを持って、各省から一人か二人来ていただければ、それでたくさんではないかと思っているわけでございます。そして、移住局はやめて監理官室にするのだ、外務省がそういう姿勢をとることが、各行にいろいろなものを言える、御信用を得るゆえんだろうと思うのでございます。また、各省では、大平君はああいうことを言っているが、半信半疑だ言うかもしれませんが、私は本気に考えております。そのように持っていかなければ、とても船頭多くしてろくなことはないと思います。私はそういう決意で真剣に考えておりますので、御信頼をいただきたいと思います。
  73. 西村関一

    西村(関)委員 重ねて大臣の御所信を承って、私も意を強うするのでございます。ますます大臣が好きになるわけですが、どうかひとつそういう期待にそむかないように実行していただきたいというふうにお願い申し上げます。  次に、おとといでしたか、実は私ども社会党の河上委員長が一通の手紙を私に渡された。これはブラジルから委員長あてに来た手紙です。委員長はたんねんにこれをお読みになりまして、そして、これは移住に関することだから、ひとつよく検討するようにと言って渡されたかなり長文の手紙でございますが、私は、これを何べんも繰り返して読みまして、こういう問題があるということをあらためて承知したのであります。これは長いですからこの委員会で一々読み上げることをしないでおこうと思うのですが、実際は読みたいのです。ここで大臣及び皆さんに読んで認識をしていただきたいと思いますが、時間の関係がありますから、いまさらそういうことをいたしませんが、これはブラジル国のベレンの近くのマラニオン州のロザリオ地区に入植をした人たちでございまして、そこでは、二年間余り一生懸命やったけれども、どうにもこうにもならないというような状態になって、現地海協連等のお世話を受けて、サンルイス島内のエストラーダーバというところに移られたのでありますが、しかし、非常に資金に枯渇をして、海協の支部が一生懸命融資のあっせんをしてくれたが、昨年の七月から始めて、ようやく本年の一月の初めに貸し付けになったけれども、これは、融資のワクの減額によって、二百七十コントスの要求に対して、わずかに五十コントスに減額をされた。これではどうにもこうにも立ち行く希望の綱が切られたということが訴えられているのでございます。この長い手紙の大半は、外務大臣、あなたあての嘆願書の写しでございます。この嘆願書はまだお手元に届いてないでしょうか。大臣はこれをごらんになったでしょうか。その点まずお伺いしたいと思うのです。こういう現地から来る嘆願書というものは、一々大臣お目をお通しになりますか。いま私の申しましたサンルイス島内のエストラーダーバというところにいる土居原さん、大塚さん、四元さん、田坂さん、この四人の方の名前で参りました嘆願書、ごらんになりましたですか。
  74. 大平正芳

    ○大平国務大臣 まだ拝見いたしておりません。
  75. 西村関一

    西村(関)委員 移住局長のところへは来ておりますか。
  76. 高木廣一

    高木政府委員 嘆願書は大体全部見ておりますが、それはまだ見ておらぬように思います。
  77. 西村関一

    西村(関)委員 嘆願書は全部大臣が目をお通しになりますか。
  78. 高木廣一

    高木政府委員 回しておりません。
  79. 西村関一

    西村(関)委員 担当の局長配慮で、これは回すべきもの、これは回さなくてもいいものという御判断のあることは、全部が全部回すということではないということは、これは役所の通例から言ってあり得ると思うのですが、しかし、局長のところまでも来ないものがあるやに聞きますが、その点いかがですか。
  80. 高木廣一

    高木政府委員 そういうことはないと思います。
  81. 西村関一

    西村(関)委員 現地の同胞から訴えてくるところによりますと、どうも、出先の領事館、総領事館あたりにチェックせられる、本省大臣あての嘆願書であっても、それを出先でもう押えてしまう、一種の情報管制といいますか、そういうことが行なわれているやに現地の人たちから訴えが来ているわけです。ドミニカの場合もやはりさようであったようです。そういうことが事実、ありとするならば、これは先ほど大臣の言われましたサービス行政というものとはおよそかけ離れたやり方だと言わなければならぬ。その点重ねてお伺いしますが、そういうことは絶対ありませんですか。
  82. 高木廣一

    高木政府委員 そういうことは絶対ございません。
  83. 西村関一

    西村(関)委員 責任者の御答弁を信頼してまいりたいと思いますが、それでは間もなくこれが来ると思います。しかし、私どもの河上委員長のところに来た以上は、おそらくそれ以前あるいは同時に出していると思うのですね。ですから、外務省に着かないはずがないと私は思うのです。これは一週間前に委員長のところに来て、委員長がお読みになって二日前にお渡しになった。外務省のほうに先に来ているはずだと思うのですが、文書課かどこかでとまっているのではないかと思います。こういうことは、私はどうも納得がいかないのです。サービス行政だということと一致していない一つのあらわれだと思うのですが、そういう点は外務大臣もよく心にとめていただいて、こういう現地で血みどろの苦労をしている、そして生きるか死ぬかの境目にある人たちの訴え、これは、やはり、一国を代表しておられるところの外務大臣、特に移住行政の大もとであるところの外務大臣は、そういうこまかい、いわゆる池田さんの言われる声なき声をやはり聞き届ける、そして聞き分けていくという配慮がないと、あなたの言われるサービスということにはならないと私は思うのです。その点につきまして、この文面を見ますと、すでに集団脱耕しているのですね。ロザリオ地区からエストラーダーバというところへ移っているのです。ロザリオ地区は失敗しているのです。そういうことについて、農業移民でありますから、農林省は知っていますか。この点は農林省どうですか。
  84. 丸山幸一

    ○丸山説明員 私も正式には承っておりませんが、関係の知事さんからそういう話を聞いております。
  85. 西村関一

    西村(関)委員 関係の知事というのは、現地の知事のことですか、日本の出身地の知事のことですか。どこの知事ですか。
  86. 丸山幸一

    ○丸山説明員 日本の知事でございます。
  87. 西村関一

    西村(関)委員 どこの知事ですか。
  88. 丸山幸一

    ○丸山説明員 はなはだ申しわけありませんが、私まだちょっと具体的な資料を持ち合わせません。
  89. 西村関一

    西村(関)委員 どうも、農林省も知らない。外務省も知らない。出先では知っているのかもしれませんが、もちろん知っていると思いますが、集団脱耕している。ロザリオから新しいところに移っている。そういうことを、たまたま河上委員長のところに来た外務大臣あての嘆願書の写しを私が読んでいまこれを指摘するというようなことは、連絡提携を密にするということを言っておられる外務省のやり方として、即刻やはり農林省にこのことは通告して、連絡を密にしてやるべきだと思うのですね。その出身地の、――これは愛媛県の人のようですから、愛媛県知事が外務省の担当官に知らせたというか、こういうことがあったがどうなんだということを、知事は自分の県民が苦労していることに対して重大な関心を払うわけですから、担当官に連絡した。そこから回り回って農林省に来ておる。しかも参事官はあまりよく御存じない。むしろ、私は、外務省の出先から外務省に通告があって、外務省から農林省連絡する、そういう緊密な連絡提携というものがそれこそ必要だと思うのです。その横のつながりというものがない。これは一例だと思うのですが、外務省としてはそういう配慮をしない。農林省に対しては全然そういうことは連絡しないというような印象を受けるのです。それでは私は大臣の趣旨と全く相反すると思うのです。高木局長、いかがですか。
  90. 高木廣一

    高木政府委員 そういう問題については、全部農林省とよく緊密に連絡しております。ただ、その陳情書は私まだ見ておらないように思いますが、何日付のあれでございますか、調べて御返事したいと思います。
  91. 西村関一

    西村(関)委員 事こまかに入植以来の経過が書いてあります。それから、どういう事情で脱耕して転住したかということが書いてあります。それから、現状を、どのように苦しんでいるかということが述べられてあります。日付は五月八日です。航空便ですから、もうとうに来ているはずです。外務省のどこかにたまっていると思うのです。もし外務省になかったら、出先の総領事館で押えているか、どっちかだと思うのです。即刻お調べをいただきたいのです。野党の委員長はこれを読んでいるのです。逐一読んで、検討して、まことにお気の毒だから君のほうでよく検討して現地へ何らかの返事をしてくれということで、私はきょうこの委員会へこの問題を提示しまして、外務省からの責任ある御答弁をいただいて現地に知らしてやらなければいかぬ、外務省から必ず返事が来るぞということを私は言ってやりたいのですが、これは嘆願書がどこにとまっているかしれないが、お調べになってしかるべき返事を出すというふうに約束していただけますか。
  92. 高木廣一

    高木政府委員 そういうのは、従来、大部分の場合は直接陳情書がこちらに参ります。その場合には、現地の出先とも連絡いたしまして処置を講じております。また、海外協会連合会あるいは移住会社が扱っている場合は、海外協会連合会を通じてわれわれのほうに別個に事情の御報告が来るというようなこともございまして、関係者寄って処置をしておるというのが実情でございます。
  93. 西村関一

    西村(関)委員 それでは、あと質疑を続行することとして、一応きょうの質問は終わります。
  94. 野田武夫

    野田委員長 午後一時から再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――    午後一時二十一分開議
  95. 野田武夫

    野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。西村関一君。
  96. 西村関一

    西村(関)委員 午前中に引き続いてお伺いをいたしたい点は、本法案と地方移住行政との関係についてであります。答申の「行政機能の効率化」というところの(4)に、「地方移住行政」という項がございますが、これは次のようにうたわれております。「地方行政において、海外移住に関する援護事務は、地方公共団体の事務として積極的に取り上げられることが望ましいが、これと平行して海外移住に関する知識の普及、公的実務機関の地方活動に対する監督移住あっせん業者及び団体の取締り等は、国からの一委任において行なうべきである。都道府県知事が明確な法的権限責任をもって都道府県区域内における移住行政中心となる体制を確立することが必要である。」、このようになっているのでありますが、本法案によりますと、都道府県知事の権限が法的には何らの根拠を持たないものになっております。答申の趣旨も、都道府県知事が明確な法的根拠に立つ権限責任を持って地方移住行政に当たらなければならないというふうになっているのでございますが、この点が従来とは少なくとも地方移住行政に関する限り後退している。都道府県知事の協力なくしては移住行政というものはできないと言っても言い過ぎではないと思うのでございますが、この点につきまして、大事な点が落とされておるというふうに考えられますが、外務当局としてはいかようにお考えになりますか。
  97. 高木廣一

    高木政府委員 地方との関係は特に考慮をいたしておりますので、第七章雑則の第三十九条に、「事業団は、その業務の運営については、地方公共団体と密接に連絡するものとする。2 地方公共団体は、事業団に対し、その業務の運営について協力するよう努めるものとする。」ということがございます。また、事業団業務については、これは第二十二条でございますが、「必要があるときは、外務大臣の認可を受けて、その指定する地方公共団体その他の団体に前条第一項各号に掲げる業務の一部を委託することができる。」、これは事業団に関するだけでございますが、こういう規定がございまして、地方との関係は特別に考慮をいたしております。
  98. 西村関一

    西村(関)委員 考慮されておると言われますが、さきに私が指摘いたしましたように、都道府県知事の法的権限というものは何らないわけなんです。法的権限なくして知事が地方移住行政責任ある措置をとることができるかどうかという点が問題だと思うのでございます。従来は都道府県知事が地方移住行政中心になってさいはいを振るっておったのでございますが、この雑則にきめられておりまするような点、あるいは事業団の一部の仕事を委任することができるといったようなことでは、本気になって都道府県知事が地方移住行政に当たることはできないと思うのです。その点いかがですか。
  99. 大平正芳

    ○大平国務大臣 それは、この開局長からも御答弁があったと思うのでございますが、ここにあらためて都道府県知事の権限を明定するということになりますと、西村先生の言われることと逆な結果になると私は思います。なぜならば、府県知事というのは、本来固有の事務として住民の福祉安寧ということに麦作を持っておるわけでございまして、移住行政については当無本来の固有事務になっておるわけでございます。したがって、ここであらためて都道府県知事の権限をこの法律がきめるというようなことは、非常に非礼なんでございまして、本来、固有の事務というか、移住行政について責任を持っておるという大前提に立ちまして、事業団との関係の技術的な規定をここに置くということにいたしたわけでございまして、その点は以前の委員会におきましても御説明申し上げたような記憶が私はいたします。
  100. 西村関一

    西村(関)委員 その点見解の相違だと思うのでございますが、この事業団の規定の中には、事業団の役員にはこれこれのものはなることができないという規定になっておる。都道府県知事、地方自治体の長ということばでありましたか、なれないということになっておる。従来は地方海外協会責任者には知事がなるということが多いのでありますが、今度の事業団の支部をどういう形でつくるかということについてはまだ明確でございませんが、たとえば支部長に知事がなるということもできないわけであります。どういう形で知事を地方移住行政の中に動かしていくか、はめ込んでいくか、そういう点には何ら法的な根拠がないわけであります。法的な根拠があったからといって、知事がワンマン的なかってなことができるものではない。やはり、あくまでも知事の固有の業務に専念するとともに、その関連において地方移住行政責任を分担する、こういう形になっていくと思うのでありまして、そういう点は、故意に知事の権限をはずしてあるということは、私は、はたしてそれで地方の移住行政がうまくいくかどうか、事業団の支部というものの性格がまだはっきり、示されておりませんが、中央だけで事業団ができても、あるいは海外事業団の支部ができても、地方の自治体を単位とするところの支部活動というものがうまく運営されなければ、実際的な成果をあげることはむずかしいんじゃないかというふうに思うのであります。そういうことを考えますと、どうもやはり、前の議論に戻るようでありますけれども、移民募集すべきものでないという立場に立っての構想が根底に横たわっておると思う。だから、知事などあまり手伝ってもらわなくてもいいんだというような考え方がやはり発想の根底にあるというふうに、私は、考え違いかもしれませんが、そういうふうに思わざるを得ないのでありまして、故意に知事の権限を軽視する方向にこの法案の発想の根本があるというふうに受け取るのですが、はたしてそれで移住行政がうまくいくかどうかの問題です。いい悪いの問題ではなくて、はたしてそれでうまくいくかどうかという点について私は心配をいたしますので、お伺いをしておるわけでございます。
  101. 大平正芳

    ○大平国務大臣 つまり、私が申し上げた趣旨は、この法律移住行政について都道府県知事の権限を明確にするということにいたしますると、この法律によって初めて知事はこれこれの権限を待つのだということをうたうわけになるわけでございますが、知事というものは、固有の事務として移住行政について責任を本来的に持っておるわけでございますから、そういうことをすることは知事といたしましては非常に奇異の感じを受けると私は思うのでございます。したがって、本来待っておる固有の責任というものが今度新しくできます事業団との関係においてどうなるかという関係規制はこの法律でやる必要があると思いますし、今後でてまいりまする移住振興法基本法的な法律が出る場合にも、新しく、本来そういう権限なり責任を持っておる都道府県知事と中央との連絡というものはどうあるべきかというようなことがあるのかもしれませんけれども、本来もう都道府県知事はそういう責任は固有に持っているのだという大前提を尊重して、責任意識をちゃんと前提にした上でやっておるという意味におきまして、私は、西村さんが御心配されるようなことは、こういう行き方をとることによってより明徴になるのではないかというように考えます。
  102. 高木廣一

    高木政府委員 もう一つ西村先生誤解があるのだと思うのですが、知事が役員になれないというのは、理事理事長に、監事になれないので、支部長は役員ではございませんので、支部にになっちゃいけないということはこれには書いてないわけでございます。
  103. 西村関一

    西村(関)委員 外務大臣の御答弁では、固有の権限があるのだからいまさらこれを明記することはかえって奇異の感を与える、むしろしないほうがほんとうであって、実際は固有の権限によってやってもらうんだ、こういう御解釈でございます。  それから、支部長になれないのだというふうに私は受け取っておりましたが、これはなれるのだという局長の御答弁です。理事とか監事とかいうものにはなれないが支部長にはなれる。「国会議員、地方公共団体の議員の議員又は地方公共団体の長」、これはなれない。そうなりますと、役員というのは、つまり前段にあります理事、監事のことなんですね。それで、その他の役員ということには適用されないのですね。支部長は職員ですか。役員及び職員の規定の中で役員のことは書いてありますが、十二条の二のところ、「政府又は地方公共団体の職員」はなれない、「職員は、理事長が任命する。」という規定だけで、そのことは何も触れてない。でありますから、いま局長の言われたように、知事は支部長になれるという解釈をしていいわけですね。
  104. 高木廣一

    高木政府委員 実はその点は移住審議会でもだいぶ御議論になったところでございまして、さきに先生が言われました地方機構というところの(ロ)に都道府県知事の監督ということで出ておりますが、「既に述べたように、事業団の地方活動に対する国の監督は都道府県知事に委任されることが適当であるが地方移住行政事業団の地方活動との調和を保つことは極めて重要なことであるから、都道府県知事に事業団の支部長を委嘱する道を開いておくべきであり、更に都道府県知事が事業団の諮問機関の構成員となる体制をも考慮すべきであろう。」という意見が出ておるのです。このときに、支部長として理事長の指揮を受けるという形で知事が妥当であるかどうかというような御議論がございました。そして、法律学者の田上穣治先生及び永井博士は、知事が事実上支部長としてなられることは差しつかえないと思われるというようなことをおっしゃっておったように記帳いたしております。一方、この審議会の皆さんのお考えも、国の固有の事務及び地方の固有の事務として移住の推進がある、そして、国の固有の事務も一部は地方に委譲することがあるのだ、そういう意味において、国としての事務の一部を、地方関係の事務を知事に委任するということがあり得るし、それから地方自身の事務もあり得るわけだから、かりに事実上の人として知事が支部長になられても、そう実際的には問題はないのじゃないかというような御意見があったように伺っております。こういう点、今後地方の実情にも応じて十分よく検討していくべきだと思っております。
  105. 西村関一

    西村(関)委員 そういたしますと、地方の支部の支部長については両方の意見があるからひとつ検討してやろうというわけですが、もうすぐ発足するでしょう。法案が通ったらすぐ発足して、発足したならば支部の組織もつくらなければならぬ。いまごろまだ構想がきまらぬようなことでは間に合わぬじゃないですか。支部長を知事にするならする。ある県では知事が支部長で、ある県では知事が支部長でないというようなばらばらなことがあってもいいわけです。各府県の自主性によっていいわけですけれども、そういう点は外務省としては一体どう考えておられるのですか。
  106. 高木廣一

    高木政府委員 外務省といたしましては、地方の関係は、今日より希薄になるのじゃなくて、むしろ積極的になると考えております。特に、外務省といたしましては、地方への予算は本年度初めて二千万円の予算をつけました。  それから、地方支部につきましては、地方海外協会がございます。これと支部の関係がどういうふうになっていくかということは、地方地方によって、いろいろ違いますので、本年の予算といたしましては、地方支部の予算はございません。地方等の事情は十分地方と連絡いたしました上で地方支部設置の問題が実現されていくそういうように、ことし一年は少なくとも予算がございませんが、そういうものを検討の余地があるというふうに考えております。
  107. 西村関一

    西村(関)委員 そういたしますと、地方海協は、今度の法案の中に含まれておりませんから、そのまま存続されていくということですね。地方の支部は一年間つくらない、予算もないからつくらない、一年間によく検討して、支部をどういう形でつくるかということをきめるのだ、そういうことになると、それまでは地方海協が従来どおりの業務に従事するということになりますが、地方海協と事業団との関係はどうなりますか。
  108. 高木廣一

    高木政府委員 これも、移住審議会答申で、この事業団には地方海協は一応はずしてありますが、事業団の支部に地方海協が当てられることが好ましいという報告がしてございます。将来地方海協が支部に当てられるというふうに発展していくことを考えておるわけです。
  109. 西村関一

    西村(関)委員 地方海協の職員は非常に不安な状態にあるわけです。身分は保障されておりません。同じように県庁の中の拓植課か開拓課かに机を並べておりますけれども、これは前々回の委員会で私この問題を取り上げましたが、非常に優秀な、いわば地方移住行政の第一線で働いて縁の下の力持ちをやって苦労して、しかも、埋もれながらも移住に使命を感じて、海外移住を志す人々を掘り起こしてそしてこれを指導し訓練して送り届ける仕事を実際にやっているそういう地方海協の職員の人たちは、現在身分の保障も何もない。地方公務員でもないし、まして国家公務員でもないのですから、身分の保障は何もありません。しかも、海協連の職員とは待遇の面において格段の相違がある。その地方海協をはずされておるということで、地方海協に働いておる職員からは、一体自分たちはどうなるのだろうかという不安の気持ちからいろいろな陳情がなされている。これは移住局長のところにも来ていると思いますが、私のところにも来ている。真剣に努力して、苦労を積み重ねてきた人たちだけに、これらの人たちの処遇については国は真剣に考えなければいけない。一年間は、あっさり言えばほったらかしておくということになるわけですね。その間、一年先になってどうなるかわからない。答申では地方海協を支部にするのが望ましいということであり、いま局長もそういうふうにしたいと考えているという御答弁がありましたが、事業団が発足して一年後には地方海協を事業団に吸収して事業団の地方の支部にするのだという方針をはっきりおきめにならないと、審議会答申もそうなっているのですから、また局長もそうありたいというふうに言われたのですから、そういう方針を打ち出されないと、ここに働いている全国で百七、八十名の人たちは不安でたまらないと思うのです。仕事が手につかないと思うのです。しかも、まじめに、しし営々として縁の下の力持ちのような働きをしてきた人が、こういう状態で、このまま一年先になってもはっきりとした約束がないということでは、私はまことに不行き届きだと思うのですが、そういう点について外務省は御検討になったのですか。なって、その結果どういうふうな方向に持っていこうとしておいでになりますか。
  110. 高木廣一

    高木政府委員 地方海外協会は、海外移住推進のための民間の自発的な機関として発生してきているのでございます。民間団体なんでございます。海外協会連合会の支部ではないわけであります。そうして、外務省としましては、これに専従職員の経費を三分の二県を通じて補助しているという形でございまして、それ以外の職員につきましては、県が自分の固有の事務として予算を取って援助しているわけであります。したがいまして、地方海外協会立場というものが海外協会連合会の支部でない関係上、そう商用ではないわけでございます。そういう意味におきまして、移住審議会答申におきましても、地方海協あるいは全拓連その他もございましたが、こういう民間団体をそっくりそのままこの中に入れるか入れないかということが議論になりまして、いろいろ複雑な事情もあるから、相当今後の発展に待たなければいけない点もずいぶんあるわけでございます。そういう意味におきまして、この答申としては、「地方海外協会をもって、事業団の支部または駐在員事務所に充てることが望ましい。」という意見が出ておりまして、われわれもその方向で進めていくようにしたいと思っているのですが、自主的な民間の団体として発足している地方海外協会を一片の法律をもって廃止するということができない事情にあることを御了承願いたいと思います。
  111. 西村関一

    西村(関)委員 いま局長の言われたことはみな私は承知の上で質問をしているのです。地方海協が海協連の支部でないことくらいは、ここで質問する以上、そのくらいのことを知らないでは質問はできない。純粋な民間団体であって、政府及び県が補助している。補助の額はきわめて微々たるものであって、職員の待遇も悪いし、身分の保障も何もない。民間団体ですから当然そうなるのですが、しかし、実際に仕事をしてきていることですから、答申も、「支部または駐在員事務所に充てることが望ましい。」と言っているのですから、あまり、いままでの行きがかりや、民間団体であるということやら、そういうことにこだわらず、実質的に事業団が支部活動として活動していく上には、これは現在あるのですから、このほかにまた支部や駐在事務所を設けるということになると、それこそ混乱が起こる。だから、答申精神もやはりそこにあると思いますから、また、そのようにしたいというふうに局長も言っておられるのですから、ひとつ、そういう方針で、地方海外協会の職員の人々が安心して仕事ができるようにぜひ進めていただきたい。この委員会の御答弁でそういう点がはっきりすれば、おそらく一年先に望みを置いて一生懸命おやりになると思いますが、大臣の御見解はいかがでございますか。
  112. 大平正芳

    ○大平国務大臣 私も仰せのとおりの考え方で進めてまいりたいと思います。事業団とは独立した法人でございますので、解散を命じたり、統合を命じたり、高圧的にいたすのはいかがかと思うのでございます。現に、各地方から、ぜひ支部に改組を慰めてくれということを言うてきているのも数件ございますが、漸次そのような体制が整ってまいりまして、自発的に何らの問題なく支部に移行するような理解と環境を醸成していきたいと考えております。
  113. 西村関一

    西村(関)委員 法案二十二条に、事業団は必要があるときはその業務の一部を地方公共団体その他の団体に委託することができるというふうに規定しているわけでございますが、「その他の団体」の中にいまの地方海協が入る。そのほかに何がありますか。何を考えてこの法案をおつくりになったのですか。
  114. 高木廣一

    高木政府委員 地方海協、その他農協等も考えの中に入っていると思います。一応あらゆる場合を考えて「その他」として広く規定してあるわけであります。
  115. 西村関一

    西村(関)委員 農協、それから全拓連、あるいは力行会、そういうものも全部この「その他」の中に入るものと理解してよろしいですか。もう一つ、国際農友会、そういうものも含まれておるというふうに考えていいのですか。
  116. 高木廣一

    高木政府委員 農友会は入っておらないと思います。全拓連は農協でございますから、農協の中に含まれると思います。農協の一部でございます。いまの力行会なんかは当然この中に考えられます。
  117. 西村関一

    西村(関)委員 それでだんだんはっきりしてまいりました。  そこで、農協の関係をお伺いしたいと思います。いま質疑応答の中で明らかになりましたように、「その他の団体」の中には農協が入っているということでございますが、二月一日付の外務大臣・農林大臣両大臣の覚え書きというものが出ております。それを見ますと、「外務・農林両大臣は本日下記の了解に達した。一、海外移住事業団監督は、外務省一本で行なう。二、事業団と別に農業者海外移住に関し農協等が行なう移住者募集、選考、訓練の監督は、農林省が行なう。」、こういうふうに両大臣の御了解が覚え書きの形で出されているのでございますが、この前も私はこの点について二本建てではないかというふうに伺ったのですが、いや二本建てではない、一本建てだと、あくまで一本建ての移住行政だというふうにお答えになりました。しかし、農協等が行なう農業者海外移住に関しては、「移住者募集、選考、訓練の監督は、農林省が行なう。」、従来どおりの了解点に達したというわけでございまして、それだけは農業移住者についてははみ出ている、農林省はそういう従来の職務権限を設置法の規定によってやっていくのだということで、たしか大平大臣もそのように御答弁になったと思いますが、そう了解してよろしゅうございますか。
  118. 大平正芳

    ○大平国務大臣 農林省設置法にはいま御指摘のような規定がございまして、本来的に農林大臣がそういう部面の御監督権限指導権限をお持ちになっているわけでございます。したがって、現在の体制では、それを否定することは私はできぬと思います。ただ、私がこの間申し上げたのは、移住政策というものを一ぺん換骨奪胎して新生面を開こうということで答申が出まして、第一の着手として事業団をつくる、しかも事業団は中央の事業団の整備が実体的に今度できるわけでございます。地方の問題は、いまあなたが御指摘せられたように、海外移住協会をどのように持っていくかというような問題はまだ残っているわけでございます。それから、その権限に基づきまして農林省に予算がついていることも事実でございますから、いまの段階におきましては、私は、両名でそういう申し合わせをいたしまして混乱のないようにやろうということでございますが、これは過渡的な形態でございまして、事業団が育ちまして、たびたび申し上げておりますように、それがりっぱに移住行政というサービス行政を円滑にやってまいるということに相なりますならば、この事業団というものを根幹にして、中央におきまして外務省中心に各省で方針をきめて、それを流していって、それが自主的に責任ある移住の世話を申し上げるというような姿に漸次持っていかねばいかぬと思っているわけでございます。いまの場合は、過渡的な形態としてそのような仕組みになっておるのはやむを得ない。そういう前提に立ちますと、混乱を避けるためにそのようにちゃんと申し合わせるということでまいらなければならぬというように私は観念いたしております。
  119. 野田武夫

    野田委員長 西村委員、本会議が始まりますから、一問にしてください。
  120. 西村関一

    西村(関)委員 それでは一問だけにしておきますが、三月八日の衆議院本会議におきまして、私の質問に対して津島農林政務次官は、海外移住事業団を設立することになって、「その十分な創意と濶達な活動を行なわせるためには、これに対する監督はできるだけ簡素化する必要がございますので、外務大臣におまかせすることにいたしたのであります。しかし、海外移住政策全般につきましては、農林省といたしましては、農業移住の促進と農業移住者保護の立場から、外務大臣を初め関係者大臣と密接に連絡協議をいたしまして、その万全を期するとともに、また、事業団運営の基本方針につきましても、海外移住事業団法により、外務大臣の協議に応ずるほか、外務省との実質的協力体刑を確保することにいたしておるのであります。さらにまた、農協等が自主的に行なう移民事業につきましては、その側意と熱意とを尊重いたしまして、その活動を支援、助長することにいたしておるのであります。」、こういうふうに答弁をしておられるのでありますが、いま大平大臣の御答弁の、現状においてはそういう両大臣の申し合わせをしたが、これは過渡的なことであって、将来はやはり、監督の簡素化、外務省が一本でやるという方針に逐次切りかえていくのだという意味の御答弁でありまして、津島農林政務次官は、むしろ大臣が目ざしておられる過渡的な状態からもう一つ先へ進んだような考え方を述べておられるのでありまして、政府の統一見解がそうでありますから、そういう御答弁が出ることは当然だと思いますけれども、はたしてそれで農業移住者指導監督ができるかどうかという点について、私は前にも触れましたが、農協等が行なう農業移住者が、そういうような行政のあり方ではたしてうまくいくだろうかという点について、なお問題を持たざるを得ないのであります。全中の荷見会長からもブラジル国移住促進に関する要望書についてというものが出ておりますが、その中にもそういう点について多く触れておられるのであります。その点につきまして、これ以上農林省の見解を聞きましても、大臣、次官の見解以上のことをここで聞くことはできないと思いますが、農林省責任も見えておりますから、農協等の行なう海外農業移住者に対する取り扱いにつきまして、現在の指導監督がうまくいくようにするためには、また、うまくいくようにしなければならぬと思いますが、どういうふうにすればいいか、どういうふうにするなら前向きにうまくやれるかどうか、この法案の趣旨を生かしながら、しかも問題点を解消してうまくいくようにできるかどうかという点について、農林当局はどう考えておられるか、見解を承りたいと思います。
  121. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ただいま、農協に対する一般の考え方は、移民行政全般について津島政務次官が答弁された趣旨に大綱としては尽きるわけでございますが、それに若干補足して申し上げますと、確かに、事業団というものができますれば、実務行政実務機構につきましては格段に強化されることになろうと思うわけでございます。そこで、その実務機構につきまして、従来のような政府業務を代行して行なういろいろの業務が負荷されておるわけでございますが、それまでに至る、いわば送出の態勢といいますか、送出の条件といいますか、そういうようなものにつきましては、日ごろ農民に接触しておりますし、また、農政の分野におきましても農協等がいろいろ関与しておるわけでございます。そういう見地から、御承知のように、農業者移住する場合における移住援護の資金措置というような分野につきましては、農協がこれを担当しておる分野が相当あるわけでございまして、御承知のように、拓植基金制度の運営は、農協等の資金によって行なわれております。そういう関係でございますので、国内農業者が行きたいという場合におきまして、農協がこれに促進的な役割を果たし、そして、行くような条件ができました場合には、これを事業団にスイッチするといいますか、そこを通して海外に出て行く。現在コチア青年が相当出ておりますが、これらは、県の段階におきまする農協、あるいは中央の段階における全中が、地方の海外協会、全国段階では海協連と協力しまして送出の態勢を整えて送り出していく。それを、海協連が現在は政府の代行機関をやっておりますので、そこにバトンタッチをして、そうして各種の手続あるいは融資あるいは補助金等の交付を受けて向こうに行く。こういうかっこうになっておるわけでございます。そういうようなことが、コチアの青年は一つの例でありますが、県内におきまする農業省の移住についても、農協のそういう役割が今後においても必要であろう。つまり、農民が行きたいと言っても、われわれよく浮揚力と言っておりますが、浮揚する力をいろいろの形で指導を与えいくというようなことにつきまして、農協の協力というものが必要ではないか、こう思っておるわけでございます。
  122. 西村関一

    西村(関)委員 いま斎藤農政局長の言われた点で農林省の見解がややはっきりするのですが、いろいろな募集送出のフィールドは広い、農協もやるし、地方自治体もやる、あるいは地方海外協会もやる、いろいろなところでやるが、その吸い口は事業団に全部まとまってきて、そこからまた海外のそれぞれの機関にそれぞれの措置をしながら出していく、こういう御見解のように承ったが、そういう考え方移住局のほうもよろしいとお考えでございますか。  これだけ伺って、委員長、きょうは私の質問を次回に保留さしていただきます。
  123. 高木廣一

    高木政府委員 ただいまのとおりでございます。
  124. 野田武夫

    野田委員長 本会議解散後再開することとし、休憩いたします。    午後二時十分休憩      ――――◇―――――    午後四時一分開議
  125. 松本俊一

    松本(俊)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、理事の私が委員長の職務を行ないます。  質疑を続行いたします。  田原春次君。
  126. 田原春次

    田原委員 海外移住事業団法について質問を続けます。  その前に、この事業団法の質問に関係がありますから、行政管理庁の方に、国費を投じて各種の事業をやります公社、公団、公庫、特殊法人、特殊会社、事業団と大体六つに分けておるようでありますが、どういう意味でこれは分けておるのか、これは行政管理庁がやったわけではないのでありますけれども、いろいろの管理の上でどういうふうに解釈されて分けられておるのか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  127. 諸永直

    ○諸永説明員 公社、公団、公庫、事業団あるいは協会、それぞれ設立の基準がはっきりいたしておりません。たとえば、三公社のような公共企業体は、はっきり法律で、公共企業体等労働関係法できまっておりまして、これは非常にはっきりいたしておりますが、しからば、公団と事業団は一体どういうふうな設立の基準で明確に区別されているかと申しますと、おおむね、公団のほうは、国の社会政策あるいは産業政策等の遂行のために大体公共事業関係を国の事業契約に従いましてそれを執行する政府関係法人というふうに大体規定されると思いますけれども、その中でも、たとえば特定船舶公団などは、船の建造貸し付けをやっているようなものでございまして、必ずしも公共事業というふうには言えないと思います。しからば、事業団と公団とどういうふうに区別するかと申しますと、これもはっきりした区別の基準がございません。おおむね、事業団は、社会福祉施設の建設あるいはその貸し付け、価格調整等の事業政府の代行の機関として行なうのが一般的でございますけれども、そのほかにいろいろな特殊性を持った事業団もございまして、現在設立されております公社、公団等をそれぞれはっきりした概念で区別するということはむずかしゅうございます。
  128. 田原春次

    田原委員 私が資料に基づいて調べてみますと、公社四、公団が九、公庫が八、特殊法人が三十三、特殊会社が十一、事業団が十二となっております。多少数字は迷うかもしれませんが、大体合わせて約七十ぐらいになるのじゃないかと思います。ただいま公社の点についてはわかりました。これをのけまして、公団と公庫と事業団関係をもう一回御質問申し上げます。はっきりした区別がないということがわかりました。それを別にどうということではありませんが、公団で言いますと、総裁とか会長とかあるいは副総裁というものがあり、あるいは理事長というものがあって運営されております。これは間違いありませんか。それから、事業団関係では、総裁、会長のようなものがなくて、いきなり理事長でやっておるように見えますが、いかがでしょうか。たとえば、雇用促進事業団、あるいは産炭地振興事業団、年金福祉事業団というものはそういうふうにやっておりますが、それに間違いありませんか。
  129. 諸永直

    ○諸永説明員 公団の中にも、総裁、副総裁、それから理事という執行機関でやっているものもございますが、理事長以下の執行機関でやっておるところもございます。事業団はすべて理事長のもとに意思決定及び執行をやっておるのでございます。
  130. 田原春次

    田原委員 ところで、事業団はやや公共社会福祉的なものということも御答弁でわかりますが、今回の海外移住事業団法は、公団的性格のもの、事業団的性格のもののほかに、公庫的な性格も入っておる。たとえば、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫の国内で行なっておりますような融資もしくは融資の保証、これは第二十一条の八に出ておるのです。「移住者及びその団体で海外において農業、漁業、工業その他の事業を行なうものに対して、その事業に必要な資金を貸し付け、及びその事業に必要な資金の借入れに係る債務について保証すること。」、したがいまして、名前は事業団と言っておりますが、実費は、公団と事業団を合併したもの及び金融公庫の一部を合併したようなものに海外移住事業団法は解釈できる。これは、いま行政管理庁のほうではまだお調べになっていないと思いますが、非常に膨大な規模であります。それから、その範囲は、産炭地振興事業団というのは福岡、山口、福島、北海道の産炭地振興事業団に限っておるし、また、石炭合理化事業団にいたしましても同様でありますが、ひとり海外移住事業団は、内閣にありました海外移住審議会で私は質問したのですが、海外移住事業団というのは大き過ぎるのではないか、南米移住事業団でよくはないか、こう言いましたら、いや、やはり海外移住事業団だということで、そうなりますと、東南アジアから南方、アフリカ、中近東、北米、ハワイみな入ることになる。そうすると、広さにおいて日本の六十倍にも達するような面積である。それから、国の数において二十数カ国にわたる非常に膨大なものになる。しかも、法案がこのまま通るとすれば、金融業務と保証業務をあわせて行なうことになる。どうして一体事業団という名前になっており、それから、きのうも質問しましたように、その長は理事の長というようにしたのであるか。これは行政管理庁でなくて外務大臣の御所管でありますが、非常に大きなものとして、できるならば海外移住公団くらいなものにすべきであったにもかかわらず、事業団としたのはどういうことでありますか。その立案当時の計画なり抱負なりを承っておきたいと思います。
  131. 高木廣一

    高木政府委員 海外移住事業団仕事が、従来の海外協会連合会仕事移住会社の仕事を合わせて、それで政府がやるべきことをかわってやるという考えから、事業団という形態が出たというふうに記憶しております。
  132. 田原春次

    田原委員 われわれが心配するのはそこでありまして、海外移住事業団なり海外移住公団などをつくるに際しては、およそ国費で補助のあります移住関係の団体は全部統合されて、そして一本になったものと想像しておったのであります。先ほど午前中の西村委員の質問でもわかっておりますように、建設省は建設省の予算を補助しながら南米開発青年隊を移民として出す、農林省は、直営ではありませんが、全拓連等にも補助なり援助をしながら出す、それから、外務省海外移住振興株式会社と海外協会連合会をただ算術的に合併したもので出す、そうすると、依然として、海外移住事業団ができましても、政府の補助・援助のあります機関は従来どおり三本建てないし四本建てでいくのじゃないか。最近石炭労働者海外移住という問題も起こり、すでにやっておりますが、これは労働省なり通商産業省が関与するものである、こうなりますと、海外移住事業団をつくってみても、ちっとも国内関係官庁間の移住行政もしくは移住あっせんというものは数は減らぬじゃないかという気がするのです。それならば、一体なぜそれほどまでにして単に外務省だけの分をあせってやるような気持ちになったのか。これは外務大臣にお尋ねしたいのですが、私は海外移住審議会でもしばしばこれを心配したわけです。したがって、急いでつくるよりも、一年くらい時期を置いて、関係団体すべてが統合され、気持ちよく協力するような一本の大きなパイプにしてはどうかということを言ったのでありますが、不幸にしてそういうことにならずに法案が出てしまったのであります。おそらくこれができても先は相当暗いのじゃないかという気がするので、いまお尋ねしておるのであります。あなたと農林大臣との間に話があったそうでありますが、単に両大臣の話ということでなくて、実際の運営の将来をわれわれとしては心配する。やるならば一、二年待ってもりっぱな大きなものをつくったらどうか。行政管理庁の人に聞きましたように、事業団などというやさしい名前でなくて、移住公社もしくは移住公団というくらいに大きくかまえてやるべきじゃないかと私は思っていますが、これをひとつお尋ねしておきたいと思います。
  133. 大平正芳

    ○大平国務大臣 この事業団に期待いたしております機能をどういう容器に盛るかの問題でありまして、事業団でなければならない、公社であって悪いというものでないと思います。問題は、それに盛るべき中身が適切であるかどうかということで御判断をいただきたいと思うわけでございます。田原さんもおっしゃるように、大きければ大きいほどいいというお考えも確かにあると思いますが、一面また、見かけは小さい容器でございますけれども、中身をよくすればまたそれだけ光ると思っております。  第二点の、これをつくることよって、いままでいろいろ問題がございました移住行政面に新生面を開くことが一体できるのかどうか、依然としていろいろな機関が併存しておるじゃないか、将来は暗いじゃないかという御指摘でございますが、これは、西村委員にもお答え申し上げましたとおり、私はこれによってすべての問題が片づくとは思っておりませんし、答申がございました機会に、ひとつ今日可能なことをまず手を染めようということで、移住事業団というものをまずつくりまして、一つの会社と一つの団体を統合するということにいたしたわけでございますが、そのねらいは、そういう機会に、いままで多岐複雑をきわめておりました政府移住事業を担当する団体との間の関係を簡素化したい、そして、できる限り政府の無用な干渉を排除いたしまして、この事業団が自主的にかつ責任を持って移住あっせんその他の仕事に当たれるようにしたい、この機会にそういう仕事をやりとげたいと存念いたしたわけでございます。ただし、これも、いま御指摘のように、なるほど中央にこういうふうな事業団ができましても、地方のほうは依然としてまだ昔のままじゃないか、また、農林省初め各省に予算があり、それぞれの権限を持っておりまして、従来どおりじゃないかという御指摘は、その通りでございまして、これは私も西村さんにもお答え申し上げましたとおりよくわかっておるわけでございまして、今度事業団ができまして、これが育ってまいりまして、一貫して日本現地とを通じましての移住仕事ができるように相なりますならば、そうしてこの事業団が中央・地方の御信用を得るようになってまいりますならば、いろんな支流から水が本流に流れてくるように、自然ここに集まりまして、順便に仕事が運んでいくようになると思うのでございます。たびたび申し上げておるのでございますけれども、私は、まあこれはサービス行政であって何も権力行政でないのだから、各省はあまりかみしもを着た態度でやるべきじゃない、これは世話じゃないか、世話の仕事をする場合に、役所が一々権限を持つの干渉せねばならぬというような、そういう観念自体があまり賢明じゃないのではないかと存じまして、これを育てていって、いま御指摘のような複雑なことがいろいろありましたのを、できるだけ整えてまいり、責任を明徴にし、仕事の能率化をはかってまいり、可能な限り自主的に行動ができるようなぐあいにする、そういう第一歩を踏み出したということでございます。御指摘のような問題がまだたくさんございますが、これを育てつつこれにだんだん吸収していって、先生が言われておるような方向に持っていくべくいたしたいということで御提案申し上げておる次第でございます。   〔松本(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
  134. 田原春次

    田原委員 大平さんのその気持ちは、私はわかるのです。しかしながら、先ほどお尋ねいたしましたように、同じような格式のものがここにすでに四つあるのですから、したがって、一番おそく発足するならば、やはり公社、公団というかまえで、既存の同じようなものを合流さしていくという気持ちでないと、あとになって合流するかどうかは、これは非常に疑問だと思うのです。たとえば、海外技術協力事業団というものが昨年発足しております。大蔵省と通商産業省と外務省との非常にはげしい競争みたいなものが後に生まれておるわけです。これも南米の方を扱うことになっておるようです。それから、輸出入銀行も、これは移住者本位ではありませんが、プラントの輸出等々、技出輸出、企業移民等の時代には関与できる資金面の点があるわけです。それから、いま一つ海外経済協力基金というのも、これは特殊法人で認めてあります。現存する外務省の直接の監督下にあるのは日本海外移住振興株式会社、したがって、この四つでさえも、なかなかお互いに、少しずつ性格が違いますけれども、違うがゆえにまた競争があったり連絡がとれなかったりする。非常にむだが多いわけであります。このほかに、問題となっておる海外協会連合会という一つの小さな団体がある。これは全国各県の海外協会の上位機関かというとそうではない。これは午前中の西村君の質問に対する答弁の中にもありましたが、各県にあるのはそれぞれ財団法人となっておる。中央は名前に海協連という東京に存在する総勢百人ばかりの人間だけの財団法人になっている。これが種々なる問題を起こしたりするものですから、出先で海外移住振興株式会社と競争してみたり、むだなことをするものですから、一本にしたいというところに発端があったと思うのですけれども、それならばそれで、日本海外移住振興株式会社の中にサービス部として特設すれば、この法律を廃止して海外移住事業団をつくるほどの必要はなかった。だから、何だか非常に回りくどいことを申し上げておりますが、大きくかまえて、すべての海外在留邦人に対する援助なり指導なりあっせんなりを含むならば、既存の団体を合流し得るような名称をかまえておらなくちゃならぬのじゃないか。しかるに、資本金、基金にいたしましてもわずか八億円で出発しておる。事業団として、英文ではプレジデント、日本語では理事長でやる、こういう同格同列のものが同時にできた場合に、はたして既存のものが合流し得るものかどうか。長い間日本の役所における縦割りのセクショナリズムからいけば、とうていできないのじゃないか。だから、困難なほうに持っていくような気がしてならないのであります。まず名称を考え直す、それから職員構成等ももっと大きくかまえていく、むしろ資金等の量についても格段の増額をして、単なる従来の日本海外移住振興株式会社に出資した額を引き継ぐということでなく、大きくかまえていったらどうか。これはわれわれが真剣に考え心配しておることです。つまり、今度の海外移住事業団だけである程度の何百億というファンドを打つか、それができぬならば、既存の海外経済協力基金や海外技術協力事業団とあわせたものにして何十億くらいの基金が使えるようにするか、こういうことは政策問題でございますので、大半さんが最近大臣になられて外務省においでになったので、いままでのいきさつ等御存じないかもしれませんけれども、心配することはそこです。りっぱにするならするでわれわれも協力を惜しまぬけれども、いまの形のままでいくならば、決して海外移住行政が一本になるとは思わぬのです。どうでしょう、もう一度ひとつ決意なり見通しを聞かしていただきたい。
  135. 大平正芳

    ○大平国務大臣 御指摘のように、私は移住行政の全くしろうとでございまして、実はこの問題を担当して当惑をいたしたのでございますが、幸いに、あなたも御参加された審議会の御答申がありまして、それを拝見いたしますと、すぐれた考え方、方向が盛られてありますので、これを導きの骨子にいたしましていくという基本的な考え方をまずきめたわけでございます。答申の中には、二つの移住関係の法人を統合したらよろしかろうというようなお示しでもございますので、事業団というものを考えたわけでございますが、事業団につきまして、公社、公団等の考え方が御指摘のようにあることはもちろんで、私も全然それにこだわりませんが、事業団であって悪いという性質のものではなかろう、それに盛らるべき中身の問題ではなかろうかという点を先ほど御指摘申し上げた次第でございます。  それから、輸出入銀行、経済協力基金、それから海外技術協力事業団、こういったものとの関係でございますが、これは、おことばでございますが、私は田原委員と若干見解を異にいたします。と申しますのは、あとの三つはいわゆる経済政策の遂行機関でございまして、移住政策というものは、もっと理念が広範であり、もっと高通なものだと思うのでございます。これは、午前中の質疑にもございましたように、個人の命運を海外の新天地で切り開いていく、個人の持っておる能力を海外の環境におきまして発揮して、その国のよき市民としてその国の発展に寄与するばかりでなく、世界の平和に寄与するという、つまり、金勘定の問題でなくて、人間の運命、民族の将来にかかった理念で遂行されるものでございますので、移住行政は、これはそういう意味で別個に考えるべきものだと思うのでございます。しかし、とらわれない立場海外発展を考えた場合、田原委員が御指摘のような、海外発展という見地から考えた場合に、いまのようなやり方で各事業体がその立場から大きく店を張ってその間の連絡も十分とれていないようなことでいいか悪いかという御指摘になりますと、私はあなたの御指摘のとおりだと思うのでございます。たとえば、輸出入銀行と経済協力基金の事務分野、こういうものができますと、結局その間に事務の限界を引いてやらなければ仕事が運ばぬということになりますので、こういう既存の機関をどのようにあなたの願望される方向に整列させて、そしてむだのないように能率的にやってまいるかという問題は確かにあると思うのでございますけれども、そういうものを一緒にするという考え方には、つまり、移住という問題が、経済の面も確かにございますけれども、もっと高い理念に根拠を置いておるという意味で、これは別個にやるべきものと私は考えます。
  136. 田原春次

    田原委員 この点は、討論みたいになりますから、一応大臣の御意向は尊重して承っておきます。  次は、きのうに続いて条文ごとの質問に移りまして、第三章の運営審議会の点について聞きます。  その前に、行政管理庁の方にお尋ねいたしますが、公社、公団、公庫、特殊法人、特殊会社、事業団を通じて、それぞれの機関の中に、運営審議会という名前であるかどうかは別といたしまして、顧問会議というか、諮問委員会というか、何と言うか知りませんが、さような機関が条文上明記されておる団体がございましたら、二、三あげてみてもらいたいと思います。
  137. 諸永直

    ○諸永説明員 総裁あるいは理事長の意思決定の諮問機関として審議会等を持っているのは若干ございます。それから三公社についてはそれぞれ相当ございます。公団につきましては、監理委員会というのが、日本住宅公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、こういうものにございます。それから、公庫にも、これは主務大臣の諮問機関といたしまして、たとえば国民金融公庫関係では国民金融審議会というようなものがございます。
  138. 田原春次

    田原委員 私は運営審議会についてもう少し聞きたいことがございます。それから、第二十一条の業務の点について、募集、宣伝というものが一切書いてない点についても聞きたいところがあるし、それから、二十二条の、事業団が必要があるときは地方公共団体に業務の一部を委託することができるということがちょっと私のかんにさわるので、これでは地方の知事が拒否することができるので、これもこまかく聞きたいのだが、きょうは、他の委員の質問が二名あるので、私の査問は他の二名の方が済んだあとで、大臣の時間があるならばそのあとに回して、この際他の委員に回したいと思います。
  139. 野田武夫

    野田委員長 了承しました。  久保三郎君。
  140. 久保三郎

    久保委員 当初からこの海外移住事業団法案に関してお話を伺っておりませんので、多少重複しておるかもわかりませんが、二、三この機会にお伺いしたいのであります。  まず第一にお伺いしたいのは、この法案を提案されることによって、従来の移住政策というか、そういうものに大きな変化でもあるのか、あるいは進展があるのかということですね。そういう点、かいつまんでひとつ大臣からお答え願えれば幸いだと思います。
  141. 大平正芳

    ○大平国務大臣 これは、先ほども申し上げましたとおり、海外移住審議会の御答申を推進する機関を設立するということでございまして、また、海外移住審議会の御答申は、ほかにもいろいろございますので、これはまたあらためて別な法案にしなければならぬと、用意をいたしておるわけでございます。これは、従来ありました海外移住振興会社と海協連とを統合して、そうして、移住政策がいま行き詰まりの状態で、去年あたり最悪の状態であったことにもかんがみまして、ここで活を入れまして、すっきりとした姿で再発足さそうということでございますので、これを御承認いただきまして、スタートし、この運営におきまして万全を期してまいりますならば、私は移住行政というものは一段と進展することになると思います。しかし、この事業団そのものも、まだ地方、現地、それぞれ充実してまいらなければならぬこともございますし、事業団を強化して機構の充実をはかり、予算の確保をはかってまいる努力は、今後ずっと続けてまいらなければなりませんけれども、一応このことによって一段の進展を期待いたしておる次第でございます。
  142. 久保三郎

    久保委員 いままで、移住行政が、単なる労働力の移動、こういうふうにとられておったことも一つであります。それから、もう一つ問題点は、たとえば、近い例としては、国会でも問題になりましたドミニカの問題、さらにその前ではグアタパラの土地取得というか、そういう問題が二つあると思うのですね。そのほかに小さい問題はあると思うのですが、まあ代表的なものは二つだ。その一つ一つをとっても、たとえばグァタパラにおいては、これは言うならば外務省農林省とのさや当てが原因でおくれた。いわゆる、海協連か知りませんが、そこを通して、海外に渡航しよう、移住しようという決意をし、全財産を処分した者を、一年半も待たしておいたというのが、一つの端的なあらわれだと思うのです。それから、ドミニカにおいては、御案内のとおり、現地調査が不十分であった。言うならば過剰入植ですね。最近高木局長からも非公式にお話を伺いましたし、新聞やテレビでも、大体あとに残っておる者は十分よくやっているという。経済的なあるいは政治的な変化もあったと思うのでありますが、言うならば過剰入植。それに対して移住地における的確な調査がなかった。しかも責任のあり個所がどこかわからなかったというようなことが私は一つはあると思うのです。私は具体的な例を引いて一つ申し上げたのでありますが、この事業団をつくることによってそういうことが一切解消するのかどうか。むしろこの際私が言いたいのは、今までも同僚の皆さんからお話があったと思うのでありますが、移住行政に対する確たる方針がまず打ち立てられるべきだと私は思うのであります。なるほど、外務大臣がこの席かどこかでそれぞれ移住政策について新しい政策をお述べになったかもしれませんが、少なくとも国としてのあるべき方向はきっちりきめていくべきだ。それに応じて、いまネックになっている、そういう移住行政を担当する機関の一元化、これは一番大事だと思う。  そこで、高木局長にお伺いするのでありますが、あなたは移住局長でありますが、移住局というのは大体外務省でどういう仕事が主でありましょうか。もちろん移住局でありますから移住の問題もやりますが、そのほかに何をおやりでありましょうか、お尋ねいたします。
  143. 高木廣一

    高木政府委員 移住関係業務と、それから旅券関係を担当いたしております。
  144. 久保三郎

    久保委員 私は外務は特に暗いのでありまして、しろうとでありますが、しろうとのおか目八目というのがありますが、大体、外務省でも、移住局というのは、――外務大臣と局長を前にして失礼でありますが、どうも一枚下のように見えます。率直に申します。それから、もう一つ移住局とはいうものの、旅券の発給が大体比重が多いのではないかとさえ思うのですね。そこに問題があると私は思う。これはしろうとが言うのでありますから間違っておれば御訂正いただきたいのでありますが、それほどに、どうも、何と言うか、移住局とは言うものの、残念ながら機能が十分ではない。十分でない原因はどこにあるのだろうかというと、これまた外務省の、――外務省はかり責めるようでありますが、ほかの官庁はおりませんから責めませんが、外務省のいわゆる一つのセクショナリズムというか割拠主義というか、そういうものがあって、他官庁を受け付けないという態度が今日まであったのではなかろうか、こう思うのです。たとえば、移住局にはそれでは農林省出身の役人が出向しておりますか。いかがですか。
  145. 高木廣一

    高木政府委員 本省におきましても、海外におきましても、出向いたしております。
  146. 久保三郎

    久保委員 それならば、ドミニカの問題は、なぜそういう者が現地調査ができなかったか。いかがですか。
  147. 高木廣一

    高木政府委員 農林、外務、両方の調査団が行って調査したわけであります。
  148. 久保三郎

    久保委員 当時のあれは、いわゆる農林省の役人は、たまたま向こうへ参ったときに、そのとき、つかまえてと言うと語弊がありますが、ちょっと寄ってもらって、ある一部を見てもらった。だから、調査した役人は、いま農林省にはおらぬようでありますが、当時文藝春秋か何かに書いてもおりますが、これは実際責任を持っておりませんですね。あなたが言うとおり、一人や二人おるかもしれない。しかし、的確にそういう技能というか知識なり経験を持った方々が十分移住局の傘下におさめられておるかどうかということについては疑問があると私は思う。そういう点も改める必要がありはしないかと思う。そういう意味で、結論から先に言ってはたいへん失礼でありますが、海外移住事業団というこういう法律を出す前に、やはりそういう全体的な政策なり制度なりを考えるべきだと私は思うのですが、これはいかがでしょうか。
  149. 高木廣一

    高木政府委員 ただいまの点は、今度の移住審議会でも、昨年の四月から十一月まで非常に審議をせられたわけでありまして、行政機構、それから行政実務機構及び民間機構、一元化の補完関係の充実ということがうたわれておるわけであります。行政機構としてはこれを一元化しなければいけないという意見があり、そして、移住推進実務を行なう機関を一番充実して、役所があまり権限を行使して監督するというようなことはいけないのであって、実務機関にむしろ全責任を持たして、それを充実してこの中に、農業の専門家も、衛生の専門家も、あるいは文教の専門家も入れて、これが自主責任を持ってやれるようにやるべきである、同時に、これを補完する意味において、国内においても国外においても民間団体が活発に動き、これが政府の援助する公的実務機関とタイアップして移住が推進さるべきであるということがうたわれております。  そういう意味から申しますと、外務省移住局を充実するよりも、むしろ事業団中心に充実していく、そして、事業団は、役人のごとく二年、三年で変わるのではなくて、移住に終生熱情をささげる人がここに収容強化されていくべきであるというのが、この審議会答申でございまして、この答申にのっとって、事業団の新設につきましても、海外協会連合会及び移住振興会社を統合して行なうという答申がございましたので、これにのっとり今度の事業団法案を出している次第であります。
  150. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、事業団が、現地における事前調査からあるいはこれの渡航あるいは受け入れ、それから定着、その後の援護一切をやる、こういうことを考えておられるわけですか。
  151. 高木廣一

    高木政府委員 そのとおりでございます。なお、それ以外にも、各省から援助する。たとえば、事業団の技術者で足らない特殊なエキスパートが必要であれば、農林省のかんきつの栽培のエキスパートを派遣する。あるいは、外務省におきましては、現地で外交交渉上いろいろ事業団の円滑な推進に側面から協力しなければいかぬ場合はやる。各行の援護体制はその外にございますけれども、一応移住の推進実務の全体は事業団にまかしていくという考えでございます。
  152. 久保三郎

    久保委員 それでは、この法案の二十一条に業務の範囲がございますが、たとえば事前の調査ということ、そういうものはこの事業団がやるのですか。
  153. 高木廣一

    高木政府委員 新しい移住地におきましては、この事業団が事前調査をやるのを、原則といたしております。
  154. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、もう外務省なりその他の関係省などはそういう調査はやらぬでよろしい、事業団一本で調査してやる、こういうことになるわけですか。
  155. 高木廣一

    高木政府委員 できる限りそうしたいわけです。なお、事業団のほうからさらにこれの追加的な援助を要請した場合には別でございましょうが、原則といたしましては事業団が必要な調査をやっていくという考えでおります。
  156. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、移住行に責任を負うのは事業団ですね。
  157. 高木廣一

    高木政府委員 行政的にはこれの監督官庁でございます外務大臣でございますが、外務大臣が信任する理事長を置かれて、これが責任を持ってやっていくということになります。
  158. 久保三郎

    久保委員 大体、いろいろ御説明がありましたが、海協連海外移住振興株式会社と、この二つを統合してやっていこうということでありますが、そういうふうにとれないのでありますが、これはちょっと勉強不足かもしれません。  そこで、お尋ねするのでありますが、海外移住振興株式会社の今日の経理状況その他は良好でございますか。
  159. 高木廣一

    高木政府委員 海外移住振興株式会社は、本来移住推進のための金融的な援助機関でございまして、その中間におきまして、たとえばパラグアイでの移住推進に関しては、土地を買わなければいけないということから、植民事業として、移住地を買って造成する、そして、その必要上いろいろの調査機関を設けるとか、移住者援護のための仕事を相当やりまして、その点では海外協会連合会が国の補助でやっている仕事と重複している形もございます。しかも、そういう費用は、一応、移住会社の最初におきましては、資金を回転べーシスでやっていく考えでございますから、必要な経費、かかった経費は移住者に転嫁するというたてまえで最初スタートしたのでありますが、それはとても無理である、特に、この移住会社の主たるねらいは農業者の営農融資に重点を置くべきである、そしてこれはなるべくコスト・ベーシスでやるべきだという農林部会の御意見なんかもございまして、その後、それを実行している関係上、移住会社は相当の欠損を出しているのであります。今度の事業団になりますれば、これらの移住会社の職員費その他事務費、つまり管理費は、海外協会連合会と同じように国の補助でやっていくという形になっていきますので、従来の移住会社の経理上の問題も解決されていくもの、こういうふうに考えております。
  160. 久保三郎

    久保委員 たいへんな欠損があるという話です。それを聞くと、どうも貧乏人のせいか、大体欠損でしりぬぐいはなかなかこのままではできないから、事業団でもつくって、ひとつこの際しりぬぐいして再出発させよう、こういう便宜的な考えにもとれるのですが、これはひがみですか。
  161. 高木廣一

    高木政府委員 決してそういう安逸な考え方ではなくて、移住審議会で御審議くださいましたときも、もっと前向きに、もっと積極的な考え考えられているのでございます。
  162. 久保三郎

    久保委員 将来というか、今後は農業移民もかなり続くでありましょうが、むしろ工業的な技術とプラントが一緒になったようなものが予想されると思うのです。そういう場合に、いままでの惰性で、ただ財産を処理して、まあここで清算をして、新しい会社になったというか、事業団になっていくというような惰性では、残念ながら海外発展はなかなかできないと私は思うのですが、そういうことについての配慮はどういうふうに考えておりますか。
  163. 高木廣一

    高木政府委員 事業団になりますると、従来の移住会社の仕事が融資部門としての仕事に変わっていくわけでございます。これはどうしても移住者にある意味において密着した金融的な援助になっていくと思います。しかし、南米の移住地におきましては、もっと総合的な計画で移住推進をしなければならない場合も非常にあるように考えております。南米諸国の形勢もそういうような動きでございまして、われわれといたしましては、移住先国及び第三国、また日本におきましても、単にこの事業団だけではなくて、経済協力基金あるいは輸出入銀行とか、そういうものとの連携も行なった上で計画的な移住を推進する必要も多々あるように考えております。
  164. 久保三郎

    久保委員 この事業団に期待するものは、移住局長はたいへん多いようでありますが、どうもわれわれはそう期待はできない。看板の塗りかえというか、かけかえで、当面ひとつこれでやってみたらどうかということであろうかと思うのでありまして、そういう点でわれわれとしてはどうも不満であります。出すならもっと大きなものを出したらどうか、外務大臣を前に置いてたいへん失礼ですが、こんなものを出してどうするんだろうかという気持ちになるのです。私はしろうとでありますが、私もこれをちょうだいしておりますが、審議会ですか、これの答申の十分の一も満たしておらぬではなかろうかと私は思うのですが、外務大臣  いかがでしょうか。
  165. 大平正芳

    ○大平国務大臣 山高きをもってとうとしとせずと言いますが、機関を大きくすればいいということには直ちにならぬと思うのでございます。大きくしたほうがいい部面もございますが、また、こういうサービス機関が大き過ぎてそれ自体が消耗するコストも考えなければいけませんので、一がいに大きいのがいいとは私は思いません。それから、先ほど田原さんもおっしゃったように、わずかの予算でなくてもっとよけいとって大々的にやれという、これは意気壮とすべきでございますけれども、全体の政府資金の配分から申しまして、今日の段階でこの程度が精一ぱいでございます。これはもっと豊かな財源を持ちましてもっと果敢に施策することができればと思うのでございますが、しかし、これは移住政策の部面ばかりでなく、政府の政策のあらゆる分野において言えることでございまして、有効に使用し得る財源というのはどの分野におきましても限られておるということでございますので、私どもとしては、この与えられた条件のもとで、ここで大きく飛躍するなどとは申し上げることはできない、それほど甘く考えておりませんで、与えられた条件のもとで一歩ともかく前進することができればということを考えまして、御審議をいただいておるわけでございます。
  166. 久保三郎

    久保委員 外務大臣、これは違うというお話は当然出ないと思うのでありますが、移民にしてもそうですが、経済外交一つとっても、どうも外務省というところは何か古いからに包まれているようだと思うのですが、一つ人間の問題をとっても、先ほども言ったように、経済外交をやるのに、出先の大使館なりなんなりにそういう適任者がいるかというと、実際あまりおらぬ。どんどんおふやしになったらいいと思うんです。昔の外務省のように軍艦と鉄砲をうしろにしてどっかに伸びていこうというようなときの時代とはだいぶ違うようでありますから、それに応じたところの人的配置もひとつ考えてみたらどうか、こう思うのです。さっき高木局長は、農林省からも来ておられると言うが、それは何人か来ておられるでしょうが、出先の問題にしてもなかなか十分でない、こう思うのです。それから、もう一つは、そういう弱体さをそのままにしておいて、移住政策を事業団で遂行するというのは、やはりちっとも進展がない、もう少し考えてみたらどうか、こういうふうに思うわけです。  そういうことでございますが、次に問題を移しましてお尋ねしたいのは、イタリアの移民政策というか、制度の中には、たとえばよその国へ行って雇用されるという場合には、国内の労働組合、そういうものがタイアップして、現地においてもこれに応じた賃金をとっている。これはもちろん外務省もそうだと思うのですが、案外これからそういう雇用関係移民が出てくるのではなかろうかと思うのです。そういう場合に対処して、言うならば日本よりかなり低いところもあるわけですから、これに対して、移民というのは大体つらいのだ、開拓というのはつらいのだということだけが頭に残っていたのでは、優秀な技術者なり何なりが海外で働くわけにはまいらぬと思います。でありますから、そういう問題についても事業団がこれをやるのですか。これはできないでしょう。
  167. 高木廣一

    高木政府委員 イタリアの場合には、海外へ行っているイタリア人の数が非常に多いわけです。ブラジル、アルゼンチン、――アルゼンチンのごときはイタリア人がスペイン人よりもまだ多いような状態でございます。したがって、イタリアの移住の大部分は、前に行っているイタリア系の移住者の呼び寄せでございます。日本の場合もやはり前に行っておられる方々の呼び寄せが多いのです。サンパウロに四十何万おります日本人が呼び寄せる移住者が一番器多いということが実情でございまして、計画移住者は最近だんだんふえておりますが、まだ呼び寄せ移住者より少いという実情であります。この場合に、いま申されたように、ブラジルにしてもアルゼンチンにしても、南米は給与基準も日本より低いというようなことで、ことに最近の日本と比べて非常に低いということで、なかなか行きにくいという点もございます。しかし、同時に、長い目で見ますと、いまは低いようでも将来相当伸びる可能性がある。あるいはもっと余裕のある生活ができる可能性がある。日本のように国内全部開発し切ってしまったところとまた違ういい面もございます。こういう点は十分啓発する。あるいはまた、技術移住者の場合なんかにおきましては、いまのように労働力不足であるにかかわらず、あるいは満州とか南方から帰ってきて、一流会社の主流におらないで不満で、海外に行きたいというような人もたくさんおります。こういう者も呼び寄せ、あるいは、事業団の前身であります海外協会連合会では、ブラジルの欧米系の会社と連絡いたしまして、そういうところで技術者を必要とするかどうかを調べまして、そうしてその会社自身の信用度も調べてその職業の紹介をするというようなこともやっております。団も、技術移住に関します限りは、またこういうようなあっせん仕事も続けていかなければならぬと思っておる次第であります。
  168. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、この事業団というのはたいへんな仕事をするわけですが、そういうものをこれから新しくつくるわけですか。おおむね、海協連と拓植会社ですか、これを引き継ぐだけですか。そういう能力をこれからつけられるめどがあるのですか。どうなんです。
  169. 高木廣一

    高木政府委員 ただいま申しました仕事は、完全ではありませんが海外協会連合会現地支部及び移住振興会社でやっておるわけでございます。問題は、今度の事業団でも、金よりもむしろそういう移住者の世話をするに適した人、現地の事情もよくわかり、移住という仕事についての事情もよくわかり、移住者のサイコロジーもわかる、そうして現地のことばもわかる、しかも移住に熱情を持っておる人を集めるということが重要なことであります。今度の事業団一つの大きなねらいも、現在の海外協会連合会は、特別の法律でできておらない関係上、身分におきましても待遇におきましてもきわめて不完全であります。今度は、特別の法律に基づきます事業団になりますれば、その身分もしっかりするし、待遇もよくなります。こういうことから、よりよい人を集めるということが今後の一番大きなわれわれの問題だと思います。
  170. 久保三郎

    久保委員 高木局長でも事業団の会長になれば別かもしれませんが、なかなか、既存の会社なり海協連ですか、そういうものが中心になってできる事業団では、あなたがおっしゃるように新しいメンバーを入れてうまくやるというふうにはいかぬと私は思う。そこで、また再び何かつくるようなことが予想されると私は思うのです。そういう点も心配です。  そこで、私がいただいた時間も来ましたから、最後にお尋ねいたします。長いこと高木局長を相手にしてお話ししたことでありますが、ドミニカの耳後処理の問題であります。詳しくはもうお述べいただかぬでもけっこうでありますが、特に、残留した者については、先般来非公式なお話をいただいたし、あるいはテレビその他でも大体よろしいということになっておるようでありますが、実は、引き揚げて日本に帰ってきた者の処置については、大半が、それぞれの所を、満足に得たかどうかは別にして、得たという話でありますが、いまだ所を得ることができなくて悩んでおる者もまだあるということでありますが、そういう問題についてやはりもう少し積極的にやる必要がありはしないか、こう思うのでありますが、その点はいかがですか。
  171. 高木廣一

    高木政府委員 帰国せられました方方については、ほとんどその所を得ていただいたと言っていいのじゃないかと思います。まだ就職できない人が六人おります。そのうちの二人は病気でございまして、これは保護法その他で世話をいたしております。それから、あと二名は、御婦人で高齢の方で、一人は娘婿さんの同伴家族として渡航せられたのですが、帰ってこられて、いま自宅のむすこさんのところで余世を送っておられる高齢者。もう一人も、やはりドミニカで御主人を失われた高齢の御婦人でございます。あとは、御家族は働いておられるのですが、御本人が働く意思がなくて働いておられない方が二人ございます。そのうちの一人は、一時二万五千円の給料をもらわれて就職せられたのですが、これでは不満たと言って退社をせられて今日に至っております。そのほかは全部就職をしておられます。  ちょっと帰られた方々の簡単な説明を申しますと、百二十七家族お帰りになりました。そして、外務省といたしましては、農林省、建設省、労働省、厚生省、大蔵省の御協力を符まして、あるいは国内開拓地に入っていただく、あるいは建設省の関係では住宅のお世話をしていただく、それから、労働省は就職、厚生省が生活困窮者に対する保護、大蔵省は国民金融公庫からの生業資金の融資ということをやっていただきまして、結局、自家営業者二十一名、職業訓練所入所者七名、児島湾干拓地入植者三名、南米再渡航者三名、――三名というのは家族でございまして、それを除いて八十七名就職済みで、先ほど申しました未就職者が六名という状態でございます。  なお、帰国者の住宅状況は、自宅入居者が二十九名、公営住宅入居者が三十八名、就職先の社宅、工場寮等入居者が二十四名、親戚同一、借家等入居者三十三名、南米再移住で住宅の必要のない者が三名であります。社も、借家入居者中には公営住宅入居申請手続中の者もおりますが、公営住宅完成次第さらに入居可能の見通しであります。住宅問題もほぼ解決されたものと思量されます。  なお、帰国者百二十七名中、家庭富裕で最初から生活保証の基準に乗らない者及び本人の意思によって適用を辞退した者四十六名を除きまして、八十一名が帰国直後は生活保護法の適用を受けたのでありますが、就職等によって一定の所得に達した者は逐次支給を打ち切りまして、また削減せられました結果、現在、適用者は、病弱で就職不能の者、職業訓練所入所行、就労中低所得者等三十七名であります。なお、この生活保護の適用につきましては、地方、県でも非常に手心を加えまして、きわめて寛大な判断でできる限り生活保護を行なうということをしております。  なお、国民金融公庫より五十万円の事業資金の融資が実現した人が一人、岡山県児島湾干拓入植決定者が三名、こういうような実情でございます。
  172. 久保三郎

    久保委員 いまお話がありましたが、大半が先ほど言ったような形になっているそうでありますが、それはそれで一応の区切りだと思うのでありますが、そこで、反省していただかなければならぬのは、いわゆる現地調査が粗漏であったということ。現地調査というのは、現地の国におけるところの政情の変化の見通し、こういうものも含めて、これが的確でなかったということは、前の御答弁にもあるわけですね。そうだとするならば、財産を全部処理して行った者が雄図むなしく身一つで帰ってこなければならないというようなことに対しては、生活保護法なりあるいは就職のあっせんというのは当然過ぎるほど当然でございましょう。しかし、その責任を感ずれば感ずるほど、それでもう終わりということではないと私は思うのです。今後もそういうことが起きぬという保証は、事業団がよしんば成立しても、私はないと思うのです。しかし、決断するときにはお前らが決断するのだから、決断した責任はお前らにあるということでは、安心して移住政策に乗っていけないのではなかろうか。こういう点について、改むべきことは、まず第一に、事業団もけっこうであるかもしれませんが、しかし、私が考えるのは、もう少し政府として一貫した責任体制がとれるような仕組みを先につくるべきではないか。なるほど事業団現地指導その他は絶対やるということでありますが、それをコントロールするというか、それを監督するというか、そういうものはなるほど外務省に一元化されてはおるわけでありましょうが、しかし、関係各省の協力を待たざればできない。そうなると、どうしても責任のなすり合いになりかねない。最近、無責任時代だそうでありますから、これは普通かもしれませんが、移住を決意して行くのはたいへんなことだ思うので、そういう点をまず先に改むべきだと思うのです。外務大臣、こういうものをおつくりになる前に、そういう政府におけるところの移住行政の一本化ということについて、真剣に御討議がなされたと思うのですが、できないうらみが相当あるのですか。これだけで終わりますが、いかがでしょうか。
  173. 大平正芳

    ○大平国務大臣 事前の調査の徹低を期するということでありまして、仰せのとおりと思います。最近、私どもも、経済協力をやる場合に投資前調査というものに力点を置きまして、久保さん御指摘のように、将来のまごつきが起こらぬようにしなければならぬということで、これは各国もそのように心がけておりますし、私どもも事前調査ということに最重点を置いてやるべきであるということにだんだんと各方面の理解が深まってきておるわけでございます。移住の場合には、これは投資の安全を守るというよりは人間の運命の問題でございますので、特にその点に周到な配慮を加えなければならぬと存ずるわけでございまして、政府ばかりでなく、事業団におきましても力点をそこに指向しなければならぬと存じております。特に、ドミニカのような悲劇が起こったということ、これは繰り返してならぬことでございますが、ドミニカにおける経験というものは、前車の轍として踏んではならないことでございますので、こういうことに省みまして、一段と細心な注意を加えてまいらなければならぬと心得ております。  それから、第二の点といたしまして、外務省に一元的にする、それから一元化された移住行政をになうに足る能力、判断力、実行力、そういったものを持っておるか、各行の協力が十分確保できるかという点でございますが、ひとつ御理解をいただきたいことは、いままでの移住行政一つの欠陥は、あなたが冒頭でも御指摘されたように、各省の剛の移住行政のあつれき、これはもうばかげた話でございまして、移住者関係なく、官辺でのあつれき、移住行政を渋滞させるなんということは非常な罪悪だと思うのでございます。そこで、各省が移住行政に熱心であることは望ましいことではございますけれども、その熱心さのあまり、度が過ぎまして、移住行政に暗影を投ずるというようなことは許しがたいことであると思うのでございます。したがって、私は、これはいろいろ御批判があると思いますけれども、まず役所は、大きな移住政策をきめ、それを遂行していく基本の計画をきめ、予算を取りという、役所でなければできないことに力点を置いてやって、それをつくる面におきまして各省が平等な立場で大いに論議して、そこで一たんきめたら、これを事業団に流して、事業団はそれを具体化するために全責任を持ってやる。私は、やや潔癖に考え過ぎ、あるいはアカデミックに過ぎるかもしれませんけれども、そういう方向に何とか進めたいということでやっておるわけでございます。しかし、いま御指摘のように、移住の事前の調査とかいうようなことは、事業団にすぐれた調査能力、調査技術を備えた方々が十分おればよろしいのでございますけれども、それが十分でないというようなときには、政府がこれを助けるのは当然だと思っております。
  174. 野田武夫

    野田委員長 受田新吉君。  受田君に申し上げます。あと十分で外務大臣は渉外事項で退席いたしますから、それをお含みの上で御質問願います。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 私、時間をかけないで、残された問題は次の機会に譲ることにして、きょう大臣にぜひ伺っておきたいのは、今度移住事業団法ができますけれども、これは、移住事業を目的にして、移住事業を達成するための機関としての事業団ですね。したがって、移住の基本的な国策は政府がお持ちになっていなければならないと思うのです。移住の基本的な政策というものを、要を得て簡なる答弁を、三分以内くらいの御説明で願いたいのです。
  176. 大平正芳

    ○大平国務大臣 従来、移住行政というものの共同理念と申しますか、そういうものがどうもはっきりしなかったということでございますが、御案内の移住審議会の御答申で明確になっておりますように、これは単なる労働の移動じゃないのだということで、冒頭にちゃんとうたわれてあるわけでございまして、「国民に日本とは事情を異にする海外における創造的活動の場を与え、これを通じて、直接、間接に国民の具有する潜在的能力をフロンティアにおいて開発し、その結果相手国への開発協力と世界の福祉に対する貢献となって、日本及び日本人の国際的声価を高めることになければならない。」、これは非常に高邁な理念でございまして、私ども、全幅の評価をもって、これを基本といたしまして今後の移住政策は展開していくべきものと心得ております。
  177. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは先般の本会議での外交方針演説におきましても一応この移住問題に触れておられるわけなのです。いまの基本構想の具体的な実施というものを事業団が引き受けてやる。特にここで問題にしてみたいことは、日本の現実において移住政策のウェートはどの程度に持っておるかということ。あるいは、日本人の移住地としては、世界いずれの国にも日本人の持ち味を生かして、いまお説のような経済協力、開発能力を提供するということには現実ではなかなかなりがたいが、この移住地の選定というようなものに対する基本構想というものをあわせてお伺い申し上げたいのです。
  178. 高木廣一

    高木政府委員 ただいまの移住の具体的な施策でございますが、移住地といたしましては、現在海外移住が行なわれております中南米、特に南米諸国が最適だと考えております。なお、東南アジアあるいはその他アフリカとかいうところはどうかという考えもあるかと思います。東南アジアでは、ある国では日本移住者を希望するというような要望もかつてございました。しかし、われわれのほうで調査いたしますと、非常に生活程度が低くてなかなかむずかしい。こういうところでは、もう少し近代的な計画をもって、相当の資本も入れて出ていかなければいかぬという必要がございますが、そういう意味におきまして、東南アジアでは、まだ日本に対する政治的な危惧あるいは資本に対する無理解というようなこともございまして、将来の移住地としては大いに考えられると思いますが、現在はまだその時期に至っていない。アフリカは、まだそういうことを考える以前で、まだ国内の政治安定すらできていない。したがって、現在におきましては主としてはラテンアメリカ諸国というふうに考えております。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、現実の移住が思うようにはかどっていない最も大きな原因はどこにあるか、一つ、二つ指摘していただきたいと思います。
  180. 大平正芳

    ○大平国務大臣 それはだいぶこの委員会でも論議になりました問題ですが、やはり、日本国内の経済成長に伴いまして雇用の機会がふえてきたということ、むしろある領域では労働力の不足を来たしておるというようなことで、移民をしなくても国内で雇用の機会があるというようなことも一つの原因ではないかと思いまするし、かつ、移住政策の過去の失敗、ドミニカの悲しい経験もございます。そういったことに対する、移住政策に対する不信と申しますか、そういった点が根本的な原因ではなかろうかと思います。
  181. 受田新吉

    ○受田委員 それは目の前の原因であると私は思うのです。雄大な日本移住政策が樹立されていない。これか最大の原因である。そういう個々の問題の根っこにあるものが抜けておる。たとえ国内の経済情勢がどうあろうとも、国際的な親善をはかり、日本人の持つ持ち味のよさを開発能力その他で現地で生かしていく、また現地との融和をはかっていく、こういう事業は、たとえ経済情勢のいかなる事態が起こったとしても、私は推進さるべき問題だと思うのです。それをこの際はっきりしていただいて、長い目で見て、目前の小さな原因などにとらわれないで、全世界を一つとするというような雄大な理想さえも持って、その中で日本人が現地の人と融和をしていく、現地の人に大きな貢献もし、国際社会に貢献もするというような大きな基本政策をお持ちになれば、目前のそうしたちょっとした情勢の変化で出たり入ったりというような事情は解消すると思います。大臣、ひとつこの機会に移住の基本的な大政策を樹立されるということを希望しておきます。したがって、事業団というものができたとしてもできなかったとしても、変わらない基本理念というものがここに要ると思うのです。これは必要ですね。こういうものの目先の問題でない基本的な問題。イタリアにしてもオランダにしても、ああして移住に成功している国々の実態を見られたならば、私のいま質問していることがよくおわかりだと思うのです。
  182. 大平正芳

    ○大平国務大臣 受田委員の言われる政策というもの、これはすぐれた頭脳を持ちまして考案すればけんらんたるものができると思うんですよ。しかし、これは紙に書いたものでございまして、それだけでは移住は進まぬと思うのです。問題は、政策に対する信頼がなければいかぬし、その信頼がなければならぬということは、その政策によって実行した実績があがってこなければならぬわけでございまして、これは一歩々々前進せなければいかぬわけでございます。りっぱな政策を立案すればそれで移住ができると思うほど私は甘く考えておりません。したがって、この事業団というものも、いろいろな批判があろうと思いますけれども、まずそういう移住政策に対する信頼をかちえて、すぐれた実績をつくっていくための一つの手段としてこれを考え、そして育ててこれをよくして、これが十全な活動をするように持っていくこと、そういうことを通じて政府の政策に対する信頼をかちとらなければ、私はできないと考えております。
  183. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、あなたの非常に大きな責任は、この法案が通ると各省との関係がどうなるか、共管事項がどうなるか、こういう懸念のあることは、委員間の質問を通じてもおわかりいただけたと思うんです。したがって、そういう一切の懸念がないんだという大きな自信を持って、この法案の審査にあったて御答弁を願い、信念を披瀝していただかなければならぬと思うんです。各省間のいろいろないままでのわだかまりを除去して、この移住行政行政機関としては、外務省が、外務大臣である大平が全責任を負うからということの大きな自信がなければ、私たち、これを審査しながらも、どこかにセクト主義の芽が出て、不安がよみがえる危険があると思うんですね。そこを、あなた、はっきりとした自信と勇気を持ってこの法案の審査に当たられ得るか。他の省の人々の要望というようなことについても、外務大臣においてこの事業団に関する限り一切の責任を持ってやられるという自信を持っておいでになるかどうか。そういうことがあるならば、質疑応答を通じてはっきりした答えが私は出ると思うのです。
  184. 大平正芳

    ○大平国務大臣 はなはだ不敏でございますが、私は、各省間であれやこれやと問題が混迷しまして、いわゆるあなたの言うセクショナリズムの犠牲に移住政策がなるということは悲しいことだと思うのでございます。したがって、これを解きほぐしてまいりまして、すっきりとしたものにいたしたいという願いにおきまして、あなたに劣るものではございません。そこで、しかし、ではこれをどう解きほぐしていくかという場合に、私がこの委員会を通じて申し上げておりますのは、まず外務省が隗より始めなければいかぬじゃないかということでございます。外務省がふところ手しておって、よその省に協力してくれと言ったって、これはできることではないのであります。ですから、外務省がまず移住行政に臨む気がまえをはっきりさせて、そして各省の協力を得るように。そうすれば、外務省がやることにつきまして各省も信用してまいります。すべてのことは私は信用がもとだと思います。したがって、外務省が信用を得るようにしようじゃないかということでやっておるわけでございます。各省のセクショナリズムというのは古くして新しい問題でございまして、今日もなかなか蟠踞いたしておりますから、そういう中に立って糸のもつれをほぐしていくのには、やはり、議論でなくて、外務省自身がそういう決意を持って各省と協力の雰囲気をつくっていかなければいかぬということを不敏ながら全力をあげてやっておるわけでございまして、その決意は本委員会を通じましてたびたび申し上げておるところでございます。
  185. 受田新吉

    ○受田委員 いまの大臣の信念にかかわらず、現に各省の間にまだこの移住事業団法案の審査の過程においてももずもずしたものがあるということは、これは一体どういうところに禍根がひそんでいるのでございましょうか。
  186. 高木廣一

    高木政府委員 現在、各省間におきましては、この法案ができるだけ早く通るように希望しておることには変わりございませんし、一致いたしております。ただ、御承知のとおり、この移住の問題は、過去戦後十年間いろいろむずかしいこともございまして、そういう点で、まだ、政府ではございませんが移住関係民間におきましては、いろいろ十分疑いが解けないといいますか、そういう点もあって問題があったと思いますが、これも徐々に解けているものと私は考えます。
  187. 受田新吉

    ○受田委員 私は、この事業団が新たに生い立った場合に、田原委員がしばしば指摘されるように、これが早過ぎてあとからややっこしいことが起こりやしないかという、この不安ですね。この不安の解消を自信を持って示し得るということであるならば、これは問題はもう簡単に解決すると思うのです。具体的に次の機会に個々の問題をお尋ねさしてもらいますが、基本的な問題として局長お尋ねをしておきたいことがあります。この事業団というものの性格は、これは、いま田原委員が指摘されたような公庫、公団、特殊法人あるいは特殊会社というようなものと大体よく似通ったものであって、政府全額出資というような形のものになっているんですね。したがって、これは国民の税金でまかなわれる機関ということになるわけです。そこで、こういう事業団ができてくると、その理事長とか理事とかいうものは、非常に高い信頼感を持たれた人でなければならない。理事同士の間にも、いろいろなところから出て、それが自分の前の籍にあった立場を大いに固執するということであっては、これはとんでもないということになるわけなんです。そういうものをすべて払拭して、一致して移住事業を推進するという形にこの事業団を持っていけるかどうかということです。一番最初にひとつ指摘申し上げたいことは、この事業団理事長、理事というものへ一体どういう人を置こうとするか、置こうとすれば給与などももう一応いまからきめておられると思うのですが、どのくらいの給与を差し上げようとしておるのか、御答弁を願います。
  188. 高木廣一

    高木政府委員 理事長、理事については、まだきまって考えておりません。これは事業団法案が通ってから考えるべきことであるということになっております。俸給につきましては、理事長は普通の事業団と大体同列というふうに考えております。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 これは問題が一つあるのです。その理事長になる人の給与は、内閣総理大臣よりも高い給与にしないということをお考えにならなければいかぬ。ほかの事業団がたとえいまどうあろうと、この移住事業団は非常に謙虚なものにしなければならぬ。理事長も、総理の給与より高い理事長ということになると、これまた問題が起こる。それから、理事にしましても、そういう観点から、ほかの公庫、公団等のものと比べて謙虚な額を差し上げる、こういうところで、金でこの事業団へ入るんじゃない、前の役所を代弁して理事になるんじゃないというはっきりした基本的なものをまず打ち立てておかないと、この移住事業団は失敗すると思うのですね。これがまず最高首脳部の決定にあたっての一番大事な問題だと思うんですよ。
  190. 高木廣一

    高木政府委員 全くお説同感でございます。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、次の会までに、他の事業団の頭目の方々の給与もお調べ願って、大体移住事業団においてはどのくらいのところへ持っていくか、検討しておいていただきたい。移住事業団については、いま申し上げた原則にのっとって、謙虚な給与でがまんしていただくというふうにやっていただくということを特にお願いしたいのです。  さらに掘り下げてお尋ねしたいのですけれども、役員の任命の問題で、これは法案に直接入っていきますが、理事と監事というものは性格が違うわけですね。この規定だけを拝見したのでははっきりしない点が一つあるのですけれども、いまからどういう人を任命するかはわからないにしても、大体どういうところから来るであろうかという想定はついていませんでしょうか。
  192. 高木廣一

    高木政府委員 まだいたしておりません。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 ここに天下り人事とかあるいは横すべり人事とかいう批判がわくということになると、また他の事業団と同じような問題が発生すると思うのです。ひとつ役員選任にあたっての心がまえをいまから御用意願いたい。  あとは、いまから御質問を申し上げるよりは、資料要求をして、きょうは時間が来ておるから終わりにしたいと思いますが、この次の機会までに移住に関する数字をお示し願いたいと思うのです。  一つは、いままでの不振の理由、そして、政府自身が大阪商船のチャーター船を用意してあちらへ差し向けようとしているのに思うようにいかなかったので、商船が非常に損害を受けておるというような問題がありますけれども、現実に移住政策の犠牲になったこの問題の処理というようなものをどういうふうにはかっておられるか、予算の問題とあわせてその施策を御用意願いたい。  それから、集団移住ということと個別移住、技術移住、こういうような類別による移住者の数、日本海外移住された人口比というものにそういう性格のものを付して、日系人の活躍している全世界的分布図をお示しを願いたい。  その次に、特に南米でございますけれども、南米の現地で非常に日系人が実力を発揮している具体的な例、たとえば、公職にどういう人がついておる、そうしてこういう事業では日系人が非常な活躍をしておるというような、事業あるいは公職等の日系人の誇るべき実態、これを事例としてお示しを願いたい。  それから、いままで移住計画をお進めになられてきたわけですけれども、移住計画と実際の移住との差が年度的にどういうふうに開いてきたかという点、これは当初の移住計画と実際に移住したものとの両方の数字をお示しいただいて、戦後でけっこうですから、戦後の移住の推移を拝見したいと思うのでございます。  以上、次の機会にお尋ねをする資料として御提出をお願いしたいのです。      ――――◇―――――
  194. 野田武夫

    野田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  海外移住事業団法案の審査の参考に資するため、参考人から意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選並びに日時につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、国際情勢に関する件、特に核兵器に関する問題につきまして、調査の参考に資するため参考人から意見を聴取することにいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選並びに日時につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  198. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十五分散会