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田原委員 大平さんのその気持ちは、私はわかるのです。しかしながら、先ほど
お尋ねいたしましたように、同じような格式のものがここにすでに四つあるのですから、したがって、一番おそく発足するならば、やはり公社、公団というかまえで、既存の同じようなものを合流さしていくという気持ちでないと、
あとになって合流するかどうかは、これは非常に疑問だと思うのです。たとえば、
海外技術協力
事業団というものが昨年発足しております。大蔵省と通商産業省と
外務省との非常にはげしい競争みたいなものが後に生まれておるわけです。これも南米の方を扱うことになっておるようです。それから、輸出入銀行も、これは
移住者本位ではありませんが、プラントの輸出等々、技出輸出、企業
移民等の時代には関与できる資金面の点があるわけです。それから、いま
一つ、
海外経済協力基金というのも、これは特殊法人で認めてあります。現存する
外務省の直接の
監督下にあるのは
日本海外移住振興株式会社、したがって、この四つでさえも、なかなかお互いに、少しずつ性格が違いますけれども、違うがゆえにまた競争があったり
連絡がとれなかったりする。非常にむだが多いわけであります。このほかに、問題となっておる
海外協会連合会という
一つの小さな団体がある。これは全国各県の
海外協会の上位機関かというとそうではない。これは午前中の
西村君の質問に対する
答弁の中にもありましたが、各県にあるのはそれぞれ財団法人となっておる。中央は名前に
海協連という東京に存在する総勢百人ばかりの人間だけの財団法人になっている。これが種々なる問題を起こしたりするものですから、出先で
海外移住振興株式会社と競争してみたり、むだなことをするものですから、一本にしたいというところに発端があったと思うのですけれども、それならばそれで、
日本海外移住振興株式会社の中にサービス部として特設すれば、この
法律を廃止して
海外移住事業団をつくるほどの必要はなかった。だから、何だか非常に回りくどいことを申し上げておりますが、大きくかまえて、すべての
海外在留邦人に対する援助なり
指導なり
あっせんなりを含むならば、既存の団体を合流し得るような名称をかまえておらなくちゃならぬのじゃないか。しかるに、資本金、基金にいたしましてもわずか八億円で出発しておる。
事業団として、英文ではプレジデント、
日本語では
理事長でやる、こういう同格同列のものが同時にできた場合に、はたして既存のものが合流し得るものかどうか。長い間
日本の役所における縦割りのセクショナリズムからいけば、とうていできないのじゃないか。だから、困難なほうに持っていくような気がしてならないのであります。まず名称を
考え直す、それから職員構成等ももっと大きくかまえていく、むしろ資金等の量についても格段の増額をして、単なる従来の
日本海外移住振興株式会社に出資した額を引き継ぐということでなく、大きくかまえていったらどうか。これはわれわれが真剣に
考え心配しておることです。つまり、今度の
海外移住事業団だけである程度の何百億というファンドを打つか、それができぬならば、既存の
海外経済協力基金や
海外技術協力
事業団とあわせたものにして何十億くらいの基金が使えるようにするか、こういうことは政策問題でございますので、大半さんが最近大臣になられて
外務省においでになったので、いままでのいきさつ等御存じないかもしれませんけれども、心配することはそこです。りっぱにするならするでわれわれも協力を惜しまぬけれども、いまの形のままでいくならば、決して
海外移住行政が一本になるとは思わぬのです。どうでしょう、もう一度ひとつ決意なり
見通しを聞かしていただきたい。