○川上
委員 そんな国はどこにもないのです。
繰り返します。法律をもって官公労のストライキ権を全面的に禁止しておる国は
アメリカ以外はありません。
アメリカは別じゃと言っている。人種差別さえあのくらいやる国なのです。あれはもう話にならぬ。
日本はこれをやろうとしておる。これは憲法違反でもないし、基本権を尊重すると言うておる。マックの書簡なるものに基づいて政令二〇一号を
出して以来これを続けておる。これが
日本なのです。
私は結論を急がなければなりませんから、ここで労働
大臣に言いたい。——労働
大臣がおらぬのは残念です。大体、私の言うておることは冗談じゃないぞ。いいかげんなことを言うてるんじゃないぞ。これは基本的な問題なんだ。
政府はこれまで、ILOのすべての勧告の精神は尊重する、こういう
答弁をしておる。ILO九十八号の勧告は、ILO八十七号の勧告と、ことば、
文章は違いますが、
内容は同じものです。裏と表の
関係です。一方はこうせよと書いてある。一方はこうこうしてはならぬと一言うてあるだけなのです。十年前に批准しておるのです。にもかかわらず、公労法四条三項も地公労法五条三項もそのままにしてほおかむりしておる。これは十年以来ILO勧告の完全な違反です。それをやって平気で来ておるのです。ILOが何ぼの条約を
出しておる。百十八なんです。
日本はILOの
理事国の一員。この
理事国の
日本が一体何ぼこの勧告を批准していますか。たった二十四じゃないか。あとは全部ほおかむりしておる。八時間労働制の勧告も批准しておらぬ。最低賃金制の勧告も批准しておらぬ。口では大国だ何だと言うておるが、一体、これで、ダンピング
日本、こう言われても申しわけありますか。一方においては憲法をじゅうりんして労働階級の基本的権利を踏みにじっておる。ILO勧告にそっぽを向き、あるいはこれを批准しながら踏みにじっておる。あなた方はこれを知らぬはずはない。知っておる。知っておってこれをやっておる。これはなぜかというと、自主権も何もないのです。安保に縛りつけられておる。これが
日本政府のありさまだ。こういう形で大きなことを言うて、一体ほんとうの意味の
外交の交渉が自主的な対等な形でできますか。貿易一つにしてもスムーズにいきますか。いきはしないのです。私はこのことを
質問しておるのだ。ILO一つを言うておるのじゃないのです。
外務大臣は、
日本を背うておる
外交の最高責任者なんだ。いいかげんなことで済ますべきことじゃないのだ。ことばじりをつかまえてあれこれ言う問題じゃない。根性をしっかりしなさい。
日本人民でしょう。
日本の民族の運命の将来を背負う責任者なんだ。それが、
委員会でいいくらかげんな
答弁をしておけばそれで済む、この
態度は一体何ですか。私は、ほんとうに心を新にしてあなた方は
日本民族の将来を
考えなさいと言いたい。祖国の運命を
考えてみなさい。ILOの八十七号を批准する場合にも、労働者の基本人権を守ろうとしてはおらぬ。より以上に悪くしようとしておる。これが事実なんだ。だから、なかなか批准ができやしないのだ。野党が絶対反対をしよるのはあたりまえだ。
日本の労働者に聞いてみなさい。ILOの精神に従うと言って、これに便乗して
日本の労働者階級の基本権を削るために国内法の改悪をするがごときは、いかなる事情があろうとも一歩も譲ることのできない本質を持っておる。妥協も何もありますか。そんなものじゃありません。このときに、
外務大臣は、
政府の責任者として、無条件にこのILOの批准を推し進め、独立自主の精神をもって憲法を順守し、国の将来、労働者階級の基本的権利を完全に保障するために、
日本民族の将来をになう責任者としての責任を持たれることを
要求します。
委員会の単なる
質問だからいいくらかげんに聞いておけばいいという問題じゃありません。あなたにも子供がありましょう。孫がありましょう。どうするのですか。将来のことを
考えたら、
外務大臣の責任は簡単なものじゃありません。私はこれを言うておる。これを
質問しておる。私は決してあげ足とりの
質問なんかしたことはない。妙なことを言ってほじくったことはないのです。
外務大臣はこの際ほんとうに決心をして、
外交担当の閣僚として、少なくともこの控え目なILOの八十七号を即時批准するために、国内法の改悪などははっきりやめてしまうように
最善の努力を払うことを
要求します。これが私の
質問なり
要求です。