○帆足
委員 この項については私は
質問を終わりまして、あとの問題をちょっと御
質問しますが、私
どもは入港する潜水艦の型、性能等について正確に
了解し得ていない。それから、核
装備の
定義について
政府の御
答弁を納得していない。
寄港目的に至っては、ちゃらんぽらんであって、何だかさっぱりわれわれは
理解し得ない。いま何個師団以上動いたら
事前協議と言いますけれ
ども、
原子力潜水艦の持っている能力は何千、何万個師団に匹敵する力である。その潜水艦が水先案内としていま入港しようとしておる。これを
事前協議しないというのは、われわれ納得できない。この四つの問題について私はもっと研究をいたしまして、そうして、
日本国民の憂慮するところの立場から、重ねて次回に同僚議員とともに
質問をしたいと思います。ただいまの問題については遺憾ながら
政府とわれわれとの見解は峻烈に対立しております。国の重大
事件に対しましては、一党派の問題よりも、国に対してそれが有利であるか不利であるか、危険であるかないかということをとにかく率直に言う政党、率直に言う議員が必要でございますから、私
どもは納得いくまで
外務大臣に
質問戦を続けますので、そのように御了承のほどお願いいたします。
次に御
質問いたしますことは、それほど与党・野党として対立した問題ではございません。この問題につきましては、私は穂積議員とともにいろいろ研究いたしました。ここに六法全書も持ってきております。まだ入管局長が御入室になっていないということはまことに残念でございます。もちろん、私
どもは立法府の議員でございまして、行
政府の方のように事こまかに存じませんし、また、行政の内容にみだりに干渉しようとする
気持ちはございません。しかし、立法の精神とそれから平和と貿易の国としての
日本の国柄から言って出入国管理のことを伺いたいのでございますけれ
ども、出入国管理令で厳重に戒めてある各種の犯罪的人物または国の治安を撹乱するようなおそれのもる人物、そういう憂いのある方々以外に対しては、貿易の国として、また風光明媚な国として、できるだけ寛大に友情を持ってもてなさねばならぬと平素思っておる次第でございます。したがいまして、その筋道を離れて、単なるいやがらせ、単なる煩瑣なことなどがありますときは、
外務大臣並びに法務
大臣によりまして、
常識的に心得ておられまして、緩急よろしきを得ていただきたい。先日この趣旨は野田外務
委員長にもお話し申し上げたことがありますけれ
ども、また、ただいま盛んにやじを飛ばされておりました同僚議員諸君とも、こういう問題についてはわれわれ兄弟のごとく
意見が合うのでございまして、それほど大きな
意見の違いはないのでございます。したがいまして、逐次申し上げますから、ひとつ参考にしていただきまして、また、互いにはなはだしく
理解が不十分の問題がありましたならば、私
どものほうでも一方的に断定して不可能なことをむやみに
政府に迫って
大臣・次官の貴重な時間をつぶさせるようなことは極力控えますから、
大臣、次官におきましてもまた、われわれが誠意をもって説きますことのうち、合理的なことで、同時に貿易国
日本としてそれは適当であるとお考えになりますようなことにつきましては、いますぐ解決がつかなくても、直ちに否定的
態度をとられてわれわれと正面衝突しますよりも、懇談を重ね、また時勢の推移に応じて逐次緩急よろしきを得て解決するように、お骨折りを願いたいと思う次第でございます。
順序不同で申し上げますが、第一は、オリンピックが近づきまして、オリンピックにつきましていつも問題になりまする社会主義圏の選手諸君に対する入国は、私はできる限り寛大にしていただきたい。それから、その選手諸君が、オリンピックが済みましてせめて一週間、十日、また二週間、箱根も見たい、雲仙も見たいと言いますようなときには、それが善意で
日本の風土に対する賛嘆と愛情から出ております場合におきましては、適当な選手監督が世話をするでありましょうから、またオリンピック
委員の方もたぶん接待役として随伴するでありましょうから、そういうときにごたごたのないように若干の便宜をはかる。もちろんケース・バイ・ケースでありましょうけれ
ども、自由民主党
政府でありますから、いまからそういうリベラルなお心がまえをお願いいたしたい、これが第一でございます。
第二は、選手以外にお客さんが来ると思います。選手を入れてお客さんは一人も入国させないということではどうもなりません。やはり、
日本の旅館の収容力には限界がありますから、人数等において多少の制約等もおのずから起こるでありましょう。また、社会主義圏に対しまして、ばらばらではいろいろ身辺保護上困るというようなお考えがありますならば、見物に来られる方々のリーダーに最も
政府の信頼される相当の地位のある適切な方が団長として観光団として来られ、またオリンピックのほうの方が案内役として適切な保護及び案内にも当たる、そういう条件ならば、社会主義圏からの見物のお客さんを一定の範囲において許すということは、私は条理に合ったことではあるまいかと思います。これも御研究願いたいと思います。
第三には、ひとつこれらは事務局においては書きとめておいていただきたいと思うのです。議員の
質問は最高の
国民の意思の
質問でありますから、おろそかにお考えにならずに書きとめておいていただきたいのでありますが、よく、貿易視察団などが
日本にまいりまして、何の悪意もなしに、気候がいいから、また風土が美しいから、そうして調印式までに疲れたから一週間、十日箱根で休みたい、熱海で休みたいと言いますようなときには、野党の者、与党の心ある者が非常にあっせんにつとめて、すったもんだのあげくやっと数日間滞在延期になるということが始終でございます。この問題も多少はケース・バイ・ケースでございますけれ
ども、大体
大臣並びに次官においてお心がまえのほどがあるならば、ああこの使節団はこういう使節団である、こういう団長がおって、こういう世話人がおられるから、一週間ゆっくり箱根で遊んでいらっしゃい、二十四時間以内にパスポートを出すようにしましょう、こういうこともできることでありまして、そういう便宜をおはかりなさることが必要であろうと思う。これも多少は緩急よろしきを得る問題も中にはあろうかと思いますけれ
ども、今日の行き来は、貿易、スポーツ、また文化の交流の問題でありますから、そして非常によく
調査の上入国を許可しておる現状でございまするから、その程度のことはひとつ心がまえのうちに入れておいていただきたい。
第四に、指紋を取る制度がございますが、私は、
外国のお客さまに対して、敷島の大和のこの観光の国において、
外国人からやたらに指紋を取るという趣味は趣味としてはあまり好まない。これはヤンキー好みの趣味でございまして、手にいれずみをしている
アメリカの諸君が趣味としているところだから私は好みませんけれ
ども、しかし、あのとき以来やたらに不良
外国人が出入いたしますから、そういう悪いやつを取り締まるために指紋も余儀ないとすれば
了解される節もあるのでございます。しかし、素性正しい人間に対してやたらに指紋を取るということは、私は必ずしも好ましくないと思っております。また、どういうようないきさつか、社会主義圏のお客さんは指紋を取られることを絶対に憎むのでございます。
一つは、これは私の独断でありますが、われわれも長い間入獄の苦しみを受けました。そういう思い出のためか、あるいは風俗人情の相違か、とにかく、回教徒が豚を食わないというのに、口の中に豚を押し込むとするならば、回教徒はその国を憎むでしょう。指紋をきらう
国民に対して無理に指紋を強制するということはやぼなことであろうと思いますが、今日の
段階において、社会主義圏から参ります使節団は必ず責任者である団長がついておりまして、かってに自由行動をすることは原則として許されておりません。また、おむね精選された教養ある人物が参っております。使節団がかたわら革命指導をするとか他国の政治に干渉するがごときことは三十年前の夢物語でありまして、いまや平和共存の時代にそういうことはまかりならぬということはすでに社会主義圏の憲法になっておることも、すでに聡明な
外務大臣は御承知のとおりでございます。四十年前の第三インターナショナルの時代とはいまは異なるのでございます。公安
調査庁や内閣
調査室の教養低い
調査官殿たちは、戦争前の低き教養をもって御熱心のようでありますけれ
ども、いまは民主憲法の時代、
国際連合の時代でございまして、平和共存の時代でありますから、三十年前の誤った鯨尺かかね尺を用いましてメートル法の今日事を誤らざらんことをお願いする次第でございます。もしそれ革命の秘密の暴挙をしたいならば、香港ででもどこででもやれるのでありまして、文明の発達した今日、何も使節団がそういうことをしなければならぬ
理由はごう
まつもないのでございます。したがいまして、そういう錯覚をお持ちにならないように。しかりとするならば、そういう特別の使節団の人たちに対して、滞在日数が延びたからといって指紋を取る必要もなかろうと思います。また、留学生の場合には特別に選ばれた秀才が参るのでございまして、その人数は指を屈して数えるほどの人数でございます。そういう学生諸君またはプロフェッサーから指紋を取る必要もなかろう。すなわち、指紋を取る動機は、わっとばかりに不良外人が
日本に入りましたときの整理整とんのために指紋を取ったのでございます。したがいまして、私の記憶しておりますところによりますと、法務
大臣が特別の必要ありと認めた場合はそういう手続をしないでよいという一項目があったやに記憶しております。いまもその場所を一生懸命さがしておりましたけれ
ども、われわれしろうとでありますから場所がまだ見つかりませんが、あったことを記憶しております。したがいまして、その条項をお使いくださいまして、もうそういうやぼなごたごたはこの際なるべく少なくし、むしろ皆無にしていただくことをお願いしたいのでございます。
第五番目には、学術、文化、貿易等の使節に対しては、それが国に有益なる限りは、少なくとも国益を阻害しない限りは、国交未開始国または社会主義圏からも来られるお客さんに対してはできるだけ寛大にお迎えしよう、こういう御
答弁をいただきまして、これは速記に書かれておるとおりでございます。当時はそのように速記に書きとめてくださったと思って満足いたしましたけれ
ども、人間は、不言実行と申しますが、有言実行が大事でありまして、速記録にとどめただけではなくして、ぼつぼつ実行の
段階に移っていただきたい。と申しますのは、たとえば北朝鮮についてもそうです。これは私の個人の見解でありますけれ
ども、北朝鮮と南朝鮮との問題のごときは、直ちに私は解決つかないと思うのです。ましてや二つの軍隊があるのでありまして、この点については、互いにまず貿易と文化のことについて両者が懇談会を持つというような時期が相当期間続くことがむしろ望ましいことではあるまいか。話は横道にそれますが、南朝鮮は国連が管理しているはずでありますが、ダレスのおじさんが心臓が強いものですから、いつしかダレスさんの属国のようになってまいりまして、まことに遺憾なことであって、これにだれも文句を唱える人がないのは、私は
世界の七ふしぎの
一つであると実は思っております。朝鮮は国連の公平な管理下にあるのではなくして
アメリカが自由自在にしているというふうにだれしも思っているような状況でございまして、ソ連までがそれをほったらかしているのは一体どういう
理由であろうか。あのときに
国際連合をしばらくボイコットをしたその失敗のために遠慮して発言しないのであろう。こういうことを聞けばソ連の代表は
気持ち悪くするかもしれませんけれ
ども、気持を悪くしようとしまいと、事実は事実であります。私はそういう感想を持っております。したがいまして、これはもう一ぺん再検討して、朝鮮については、お世話をしている
国際連合の公平な国々で小
委員会をつくって、その小
委員会の許すワク内において
アメリカは若干のことができる、こういうふうにするのが大義名分であるのに、
アメリカはかって放題のことをして、
国際連合に加盟しておるわれわれにすら
報告がない。
アメリカの行動半径に対しては、
日本も
国際連合の一員でありますから、また極端に言えば私も発言力を持っておるわけであって、
アメリカの司令官、おまえ少し出過ぎているよ、こうわれわれが主張するならば、
日本の
政府にそれが反映して、そうして、
アメリカちょっと出過ぎている、公平にやったらどうだ、あまり李承晩なんかに深入りしないほうがいいよ、そのくらいのことは言い得るような、そういう
国際連合であってほしい。そうであるならばこういう悲劇の繰り返しをしないで済むものであろうと思うくらいであります。それは余談といたしまして、とにかく、南朝鮮、北朝鮮、もちろん二つの朝鮮を固定したわけではありません。
一つの民族でありますけれ
ども、二つの政権があることは厳然たる事実でございます。したがいまして、私
どもは二つの国とそれぞれ事務的に
関係を持っておることは必要なことであろう。
政府が北朝鮮とも貿易を許されておられますその英断に対して、私は心ひそかに敬意を表している次第でございます。だとするならば、北朝鮮からも南朝鮮からも今度は一緒になってオリンピックに来られるように。そうして、国歌を歌うと二つの国歌があって衝突するから、アリランを歌うことは全くゆかしきことであって、アリランならばわれわれも知っておりますから、一緒に歌いたいと思っているくらいでございます。時代はそういう
方向に向かいつつありまして、先日は北朝鮮からスケートの選手が来ました。スケートが来てなぜバスケットボールの選手が来て悪いか。バスケットボールの選手は来たけれ
どもバレーの選手が来たら悪い、そういうことは私はないと思います。したがいまして、たとえば崔承喜さんが長い間
日本におりまして
日本人からも親しまれておる。石井漠さんの弟子でありますが、崔承喜さんの踊りぐらいは
日本でも見ることを許してもよい時期が近づいたのではあるまいか。実は先日、いまはなき岩本議員と一緒に朝鮮に参りましてこのバレーを見ました。そのオペラはすばらしいものでありまして、朝鮮のこの崔承喜劇団のバレーは、まさに東洋第一、北京もはるかに及ばない、私はそう思います。まず、アジアで優秀なのは、東京の歌舞伎と北京の京劇、インドの踊り、そして朝鮮のオペラ、それから、皆さんは
御存じないかもしれませんけれ
ども、琉球のおとめ劇団の歌舞伎や踊りは、これまたすばらしいものでございます。いずれも第一流のものでございます。したがいまして、私は切に東京で崔承喜さんのオペラを見たい。この芸術的な気持を
外務大臣が無視するということは、私はよもやあるまいと思いますけれ
ども、スケートを観賞することができて、なぜオペラを観賞することができないか。しかも、そのオペラの題目は、政治的なオペラでなくて、古くから伝わっているゆかしい昔の物語でございます。こういう問題をひとつ御研究願いたい。それから、国交未回復国との間に対して厳重な制限があるということでありますけれ
ども、かつて国交未回復国がたくさんあった場合に、必ずしも一律にそうではなかったのでございます。それを、あとでだんだんへ理屈をつけまして、そして、北朝鮮との問題が非常に複雑な政治問題がありますために、国交未回復国との
関係はどうも都合が悪いというところにさや寄せしたのでありますから、ひとつ次官におかれましてその文献をもう一ぺんお繰りくださいますれば、これがいかにへ理屈であるかということを発見されて驚かれることであろうと思うのでございます。
さて、その次に赤十字の問題でありますが、朝鮮人帰国の問題は、すでに八万人をこえました。当外務
委員会の席におきましては、当時、宇都宮さんでありましたか、櫻内さんもそうですが、三万人をこえましたら私にごちそうしてくださる、五万人をこえたら、栄典法が出たら栄爵もくださる、しかし栄典法は社会党が不賛成だから困るなという冗談話もあったくらいでありますが、内閣
調査室では、けしからぬことには、五千人をこえることはあるまい、こういうばかな
調査を発表しましたが、いまや八万人をまさにこえようといたしております。八万人の一種の移民でありますが、この海外移動ということは、大きな歴史の一こまでございまして、それに伴うたくさんの現象は、もっと
政府として御研究に値する問題であろうと思います。これは人道の問題と別でありますけれ
ども、財政の問題から言いますれば、生活保護法、教育費等は非常にたくさん要らなくなっておるのでございます。私は、それらの経費をもちまして、もっと社会福祉に力を尽くすとともに、また、
日本にとどまっておって正直でまじめに働こうとして職のない朝鮮の友に対しては、
外国人としての誇りを持って暮らしてもらいたいと思うと同時に、かつては日韓併合で
日本の政治に従った方々でありますから、前にはわれわれのきょうだいであった、その同胞としての心持ちをもって朝鮮の人たちに対処することが、よき
国民としての心がけであろうと思うのでございます。したがいまして、八月は近づきましたけれ
ども、この問題について事情の認識を欠くために、いつもごたごたを起こすという愚かなことはやめていただきたい。したがいまして、八月の帰国延長問題がまた起こりましたときには、十分に日赤の島津さんと相談していただきたい。岩木さんがなくなりましたことはまことに痛惜の至りでありますけれ
ども、与党の岩本代表
委員がおなくなりになりました今日、私もお助けいたしますけれ
ども、日赤はよく事情を存じておりますから、日赤とよく相談をして、詰まらないことでジャーナリズムを騒がすことのないようにしていただきたいと思います。
それから、もう
一つは、いわゆる里帰りの問題でありまして、まだ中国に多数の
日本人が残っております。朝鮮にもおります。その人たちがおとうさんやおかあさんが死んだようなときは里帰りしたいと言うております。また、
日本におります朝鮮の諸君も、ときとしては里帰りをしたいという場合が非常に多いのでございます。したがいまして、すべて無条件というわけには
最初はいかなくても、一定の基準を設けてでも、この人道の問題についてはこれから研究に着手していただきたい。
約十ばかりの問題を述べました。それに対して、さすがに外務省の御
答弁だ、法務省の御
答弁だと同僚の議員諸君が感ずるような御
答弁がいただけますならば御
答弁をいただきたいし、多少やぼではあるまいかという御
答弁ならば、この際いただかないでおいて、むしろあとで、穂積
委員がこの問題については詳しい専門の知識を持っておりますから、穂積さんとよく研究いたしまして、これは党利党略の問題ではなく、島国
日本、観光国
日本の問題として超党派の問題でありますから、互いに誤解のないように、よく外務次官さんとも、
入国管理局長殿とも、また法務次官殿とも相談いたしまして、昨今の
国際緊張のことも現実として考慮に入れながら、どういうことが前より半歩でも前進になるか、歴史は日に日に新たに進んでおるのでございますから、今日の事態が去年とかおととしと同じであってよいわけでもございませんので、したがいまして、そういう点を御相談して、多少でも問題を明るい
方向に善処していただきたいと思っておる次第であります。
以上をもちまして、長きにわたりましたが
質問の要旨にかえさせていただく次第であります。これには決して与野党はございません。人道と論理に基づいて誠心誠意話し合いながら進みたいという趣旨でございますから、お心持ちのほどだけ伺いまして、あとの折衝が円滑に参りますよう、よろしくお願いする次第であります。