運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1963-03-15 第43回国会 衆議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十八年三月十五日(金曜日)    午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 安藤  覺君 理事 福田 篤泰君    理事 古川 丈吉君 理事 松本 俊一君    理事 戸叶 里子君       宇都宮徳馬君    大高  康君       川村善八郎君    金丸  信君       菅  太郎君    森下 國雄君       田原 春次君    帆足  計君       細迫 兼光君    受田 新吉君       川上 貫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大平 正芳君  出席政府委員         外務政務次官  飯塚 定輔君         外務事務官         (アジア局長) 後宮 虎郎君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安藤 吉光君         外務事務官         (経済局長事務         代理)     中山 賀博君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君         外務事務官         (国際連合局         長)      高橋  覺君         外務事務官         (移住局長)  高木 廣一君         運 輸 技 官         (船舶局長)  藤野  淳君  委員外出席者         外務事務官         (条約局参事         官)      須之部量三君         大 蔵 技 官         (関税局関税調         査官)     宗  知武君         専  門  員 豊田  薫君     ————————————— 三月十五日  委員田澤吉郎君、高碕達之助君、河野密君及び  西尾末廣君辞任につき、その補欠として大高康  君、金丸信君、田原春次君及び受田新吉君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員大高康君、田原森次君及び受田新吉辞任  につき、その補欠として田澤吉郎君、河野密君  及び西尾末廣君が議長の指名委員に選任され  た。     ————————————— 三月八日  海外移住事業団法案内閣提出第九九号) 同月十一日  国際連合特権及び免除に関する条約締結に  ついて承認を求めるの件(条約第七号)(参議  院送付)  専門機関特権及び免除に関する条約締結に  ついて承認を求めるの件(条約第八号)(参議  院送付)  国際原子力機関特権及び免除に関する協定の  締結について承認を求めるの件(条約第九号)  (参議院送付)  国際地震工学研修所を設立するための国際連合  特別基金の援助に関する日本国政府特別基金  との間の協定締結について承認を求めるの件  (条約第一〇号)(参議院送付) 同月十二日  関税及び貿易に関する一般協定譲許追加に  関する第十議定書日本国及びニュー・ジーラ  ンド)の締結について承認を求めるの件(条約  第一六号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国タイとの間の条約  の締結について承認を求めるの件(条約第一七  号)  千九百六十二年の国際小麦協定締結について  承認を求めるの件(条約第一八号)(予)  日本国フィリピン共和国との間の小包郵便約  定の締結について承認を求めるの件(条約第一  九号)(予) 同月十三日  日中国交回復及びアジア太平洋地域核武装  禁止地帯設置等に関する請願石橋政嗣君紹  介)(第二〇七八号)  日韓会談即時打切りに関する請願外六件(石橋  政嗣君紹介)(第二〇七九号)  同外五件(坂本泰良紹介)(第二一二九号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二一九九号)  同(岡良一紹介)(第二二九四号)  同(永井勝次郎紹介)(第二二九五号)  同外十一件(野口忠夫紹介)(第二二九六  号)  同外四件(矢尾喜三郎紹介)(第二二九七  号)  同外二百三十八件(渡辺惣蔵紹介)(第二二  九八号)  同外十二件(足鹿覺紹介)(第二三三三号)  同外四件(岡田春夫紹介)(第二三三四号)  同外五件(角屋堅次郎紹介)(第二三三五  号)  同外七件(黒田寿男紹介)(第二三三六号)  日韓会談即時打切りに関する請願外三十一件(  井岡大治紹介)(第二〇八〇号)  同外百四十八件(八木一男紹介)(第二〇八  一号)  同外二十六件(山口丈太郎紹介)(第二〇八  二号)  同外二百五十三件(川上貫一紹介)(第二〇  八九号)  同外四十七件(志賀義雄紹介)(第二〇九〇  号)  同外百二十七件(谷口善太郎紹介)(第二〇  九一号)  同外六十一件(志賀義雄紹介)(第二一一二  号)  同(田中武夫紹介)(第二一二四号)  同外八件(田口誠治紹介)(第二一二五号)  同外十七件(戸叶里子紹介)(第二一二六  号)  同(中村英男紹介)(第二一二七号)  同(楯兼次郎紹介)(第二一二八号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二二〇〇号)  同外四件(楯兼次郎紹介)(第二二〇一号)  同外八十件(川上貫一紹介)(第二二〇二  号)  同外百七十四件(志賀義雄紹介)(第二二〇  三号)  同外七十七件(谷口善太郎紹介)(第二二〇  四号)  同外五件(稲村隆一紹介)(第二二八四号)  同外二件(岡良一紹介)(第二三八五号)  同(川俣清音紹介)(第二二八六号)  同外二件(日野吉夫紹介)(第二二八七号)  同外十二件(松平忠久紹介)(第二二八八  号)  同外十一件(矢尾喜三郎紹介)(第二二八九  号)  同外十六件(山内広紹介)(第二二九〇号)  同外五件(山中吾郎紹介)(第二二九一号)  同(山中日露史紹介)(第二二九二号)  同外八十一件(渡辺惣蔵紹介)(第二二九三  号)  同(石田宥全君紹介)(第二三三七号)  同外八件(岡田利春紹介)(第二三三八号)  同外一件(小松幹紹介)(第二三三九号)  同外一件(島上善五郎紹介第二三四〇号)  同外三件(東海林稔紹介)(第二三四一号)  同外十三件(杉山元治郎紹介)(第二三四二  号)  同外二件(田原春次紹介)(第二三四三号)  同外六件(肥田次郎紹介)(第二三四四号)  同外三件(三木喜夫紹介)(第二三四五号)  同外四件(渡辺惣蔵紹介)(第二二四六号)  同外四件(川上貫一紹介)(第二三六二号)  同外四件(志賀義雄紹介)(第二三六三号)  同外三件(谷口善太郎紹介)(第二三六四  号)  アメリカ核実験即時中止に関する請願山口  鶴男君紹介)(第二〇八三号)  日中国交回復及び政府間貿易協定締結等に関す  る請願島本虎三紹介)(第二三三一号)  日韓会談即時打切り及び日米安全保障条約解消  等に関する請願矢尾喜三郎紹介)(第二三  三二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三  十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正  し、又は撤回するためのアメリカ合衆国等との  交渉の結果に関する諸文書の締結について承認  を求めるの件(条約第一三号)  千九百六十年の海上における人命の安全のため  の国際条約締結について承認を求めるの件(  条約第一五号)  関税及び貿易に関する一般協定譲許追加に  関する第十議定書日本国及びニュー・ジーラ  ンド)の締結について承認を求めるの件(条約  第一六号)  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国タイとの間の条約  の締結について承認を求めるの件(条約第一七  号)  海外移住事業団法案内閣提出第九九号)  千九百六十二年の国際小麦協定締結について  承認を求めるの件(条約第一八号)(予)  日本国フィリピン共和国との間の小包郵便約  定の締結について承認を求めるの件(条約第一  九号)(予)  国際情勢に関する件(原子力潜水艦寄港及び日  韓問題)      ————◇—————
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  戸叶里子君。
  3. 戸叶里子

    ○戸叶委員 きょう原子力潜水艦損害補償の問題についてのアメリカからの回答があったように新聞で報道されておりますが、その問題をお伺いしたいと思いますけれども、それに先立ちまして、原子力潜水艦の得港問題について二、三確かめておきたいと思います。  まず第一に、原子力潜水艦寄港については、昭和三十六年に小坂さんとラスクさんとの会談で話が出されて、その後ライシャワー大使から日本に正式に申し入れられたというふうに聞いておりますけれども、その通りでございましょうか。
  4. 大平正芳

    大平国務大臣 一昨年の小坂ラスク会談のとき話題になったということは承っております。その当時はまだ時期が熟しないんじゃないかというような話であったと承っておりますが、今回の申し入れば、一月九日、外務省でライシャワー大使から私に口頭で御相談があったということでございます。
  5. 戸叶里子

    ○戸叶委員 一昨年のころはまた時期が熟さなかった、そして、その後口頭ライシャワー大使からのお話があった。その後日米安全保障協議委員会でもこれは問題として、取り上げられたわけでございますね。
  6. 大平正芳

    大平国務大臣 日米安保協議委員会ではこの問題は取り上げませんでした。
  7. 戸叶里子

    ○戸叶委員 取り上げなかったわけですか。全然話に出なかったわけでございますか。
  8. 大平正芳

    大平国務大臣 そうです。
  9. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、今外務大臣は、この問題については二年前に話が出た、しかし時期が熟さなかった、こういうことをおっしゃったわけでございますけれども、その時期が熟さなかったというのは、どういうふうな意味に取っていいわけでございますか。
  10. 大平正芳

    大平国務大臣 その後原子力艦船推進力として利用していく傾向かだんだん見えて参りまして、と同時に、原子力潜水艦自体大西洋水域太平洋水域のたくさんの港に寄港するという実績がございまして、そしてそれが何らかの事故を招来していないということも一はりきりして参りましたので、私どもといたしましては、われわれ日本国民原子力というものについて特別の感触を持っておることをよく承知いたしておりますけれども、このような経過を見ますと、もうこの問題についてさように過度に神経質になる必要はないんじゃないかというように判断いたしておるわけでございますが、しかし、念には念を入れまして、安全の問題等につきまして政府として尽くすべき手は尽くして、国民の御安心をいただくような措置を講じた上で、寄港問題についての最終的な態度をきめようというように考えております。
  11. 戸叶里子

    ○戸叶委員 今の外務大臣の御答弁を聞いておりますと、時期が熟さなかったけれども、今日ではよそへ寄港しているような例もたくさんあるし、過失もないようだし、不安もなさそうだから、ただすべきことはただした上で寄港を認めるようにしたいということでございますけれども、先ごろの科学技術委員会での参考人意見を私は速記録で読んでみましたところが、ノーチラス号がいろいろな過失を起こしているようなことも説明されているわけでございます。こういうふうな過失の問題、一体どの程度の過失をこれまでにしてきておるか、大小どのくらいの過失をしてきておるかというふうなことは全然お調べにならなかったのですか。その点もお伺いしたい。
  12. 大平正芳

    大平国務大臣 それは米当局から発表になっておりまして、数回事故があったことは発表に相なっております。それを私どもの方も承知いたしております。ただし、問題の原子炉事故は一回もございません。この安全という問題は、日本心配する以上にアメリカ自体心配し、安全保障措置を講じておるわけでございます。いろいろ取り上げられる問題も、アメリカ側では大へん国幣を費やし多数の頭脳を動員して安全保障措置を講じておるわけでございます。従って、私は米国のそういった実績に基づく言明を信頼いたすわけでございます。しかし、日本政府自体としても、専門家の御意見を十分聞いて、確かめるべきものは確かめるという手順を踏んでいかなければならぬと思いまして、各方面の御意見を伺っておる、こういう段階であります。
  13. 戸叶里子

    ○戸叶委員 今外務大臣のおっしゃいましたことは、アメリカとしては日本以上に原子炉の安全ということを考えているということで、これは、原子炉が安全でなければ非常に大きな問題が起きることですから、当然のことだと思うのです。ただ、問題は、この原子炉安全性という問題にいたしましても、それからまた、原子力潜水艦は今回日本寄港するものは核装備をしていないというようなことをたびたび政府はおっしゃっていらっしゃいますけれども、そういう問題にいたしましても、日本政府としてはそれを確かめるべき何ものもないわけでございますね。ただ、アメリカ側がおっしゃるからそうであろう、その通りごもっともでございますといって信じる以外は何ものもない、こういうわけでございますね。
  14. 大平正芳

    大平国務大臣 私どもは、日米間でおごそかにきめました安保条約というものに日米両国とも忠実でなければならぬと思うのであります。もしこの条約を一方的に勝手に違背するというようなことがあれば、これは大へんでございまして、私どもは絶対にそういう不信は双方に持たない。忠実に履行することとかたく信じておるのでございます。そうしなければ、日米間の友好関係などというものはあったものじゃございません。私はそのおごそかにきめられました安保条約の条章に米当局が違背するなんということは毫厘も考えておりません。
  15. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それだけアメリカを信じ切っていらっしゃることは大へんけっこうだと思いますけれども、しかし、私はそこに非常にいろいろな問題があると思うのでございます。アメリカが全然信じていても大丈夫だとおっしゃいましても、日本にはそれぞれ専門家があることでございますし、原子力潜水艦核装備ができる可能性の多い点もあるわけでございますから、やはり何らかの形で、原子力潜水艦日本寄港する場合には核武装に絶対にしないんだというようなことを日本専門家が納得するような形のものをアメリカとの間に話し合いをされる御意思はないかどうか。アメリカの力は、おそらく、これは軍の秘密であるからということで、全然見せもしないし、お話もしないかもしれませんけれども、二年前に日本国民的な感情なり何なりというものを非常に心配された、それが今日なお国民としては心配をしているわけでございますから、核装備をしないというようなことを証明する、それが何かわかるような形の取りきめなりあるいはそういうようなものを示すようなものを何かもらうとか話すとかいうような話し合いまでは進んでいらっしゃらないかどうか。
  16. 大平正芳

    大平国務大臣 わが国の政府基本方針といたしまして、自衛隊は核装備しない、それから核兵器の持ち込みは認めない、こういうことはもう内外に宣明いたしておるわけでございまして、アメリカ重々承知でございまして、アメリカ核兵器を持ち込もうなんという意図は毛頭ないわけでございます。従って、それでも心配だから一つ点検しようなんということでは、私は安保条約の運営はどなたがやられてもできないと思うのであります。
  17. 戸叶里子

    ○戸叶委員 第七艦隊には核装備をした原子力潜水艦というものがいるわけでございますね。だとするならば、核装備をしない原子力潜水艦寄港を許したといたしましても、核装備をした原子力潜水艦日本に全然寄港しないということは、アメリカだけを信じていらっしゃる大平さんにとってはそういうふうに大みえを切られるかもしれませんけれども、やはり、原子力専門家なり、そしてまた一般国民といたしましては、それだけではどうも納得のできないような気がするわけでございます。やはり、アメリカに向かって、日本国民はこういうことを非常に心配しているの、だから、自分はそれでいいかもしれないけれども国民を納得させる意味においても、もし寄港する場合にはこの原子力潜水艦には核装備をしてないということを何か具体的にわからせるようなものを示してもらうような取りきめなり話し合いなりをすべきではないかと思いますけれども、この点についてはどうお考えになりますか。
  18. 大平正芳

    大平国務大臣 それは、無数の航空機、艦船が入るわけでございまして、それにどういうものが搭載されておるかということを一々日本政府事前に点検しまして、これは入ってよろしい、これは入っちゃいけないというようなことをやっておったのでは、私ども安保条約なんて運営できぬと思います。やはり、これは、先方も持ち込む意思は毛頭ないのでございますし、日本に持ち込むという事前協議があれば、日本政府はそれに対して同意はできないという態度内外におごそかに宜明いたしておるわけでございまして、この両政府間のかたい理解というものについては、これは尊重していただかなければいけないと私は思うのでございます。一つ一つのケースについてどうこうするというようなことは、私は毛頭考えておりません。ただ、あなたが言われるように、先方ができるだけ誠意をもっていろいろな材料を当方質疑に応じてよこしていただいて、当方におきましてもそれを可能な限り検討して、そして疑点があればなお確かめてみるというようなことは、私はやっていいと思うのでございますけれども双方の間にある不動の信頼関係にひびを入れるようなことは、私は絶対に慎まなければいかぬと思います。
  19. 戸叶里子

    ○戸叶委員 外務大臣の御自信のほどはよくわかるのでございますけれども、やはり、国民感情としても、そしてまた原子力学者といたしましても、いろいろ装備の点から考えまして、非常に核装備のすぐしやすい潜水艦原子力潜水艦ノーチラス号等におきましてもそういう可能性の多い潜水艦であるだけに心配するわけでありまして、私は、別に、一々点検をするなどということはできることでもございませんし、それを言っておるわけではございませんが、何か安心するような取りきめなり取りつけをしておくべきである、こういうふうに考えておりますので、その点も考えていただきたいと思うわけです。  次に、今この外務委員会人命の安全のための国際条約が提案されておりますけれども、この第八章原子力船というところに、原子力船が訪れようとする国の締約政府に対し、これらの政府船舶安全性を評価することができるように、十分な余裕をもって事前にこの説明書を提供しなければならないと書いてあります。そしてまた、「原子力施設操作に関するすべての事項及び安全に重要な関連を有するすべての事項についての操作員の職務上の知識及び手引きのため、詳細に記述された操作手引雷を作成しなければならない。」となっていて、それを船内にはっきりしておいて、これをだれでも見られるようにすることになっているわけです。しかし、これは原子力船の場合であって、この条約の中には、「軍艦以外のすべての原子力船適用する。」ということを断わって書いてあるわけです。先方から言わせますと、軍の機密保持ということになって軍艦を取り除いたわけでございましょうけれども日本側から申しますと、何の安全審査も行なわれないで安全性を確認してほしいと言われましても、なかなかそれは信じられるものではないと思うわけです。学者人たち意見を聞いておりますと、安全評価を行なうデータを渡してもらわなくては安全性を信じる方法がないのではないかということを、言っているわけでございますけれども、この原子力船の場合にだけ安全証明書を出して、軍艦の場合には安全証明君なり安全保証書というものを取りかわさないということはやはり少し危険ではないかというふうに思うわけでございますけれども、この点はどういうふうにお考えになりましょうか。
  20. 中川融

    中川政府委員 ただいま戸叶先生が御指摘になりました通り、今国会で御審議を願っております「千九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約」の第八章では、ただいま御指摘のような安全説明書というようなものを原子力船事前にその入港する国に出さなければいけない、また、入る前にもその国の監督に服さなければならないというような規定があるのでございますが、これは、御指摘のように、軍艦には適用がないことになっておるわけでございます。軍艦原子力で動くものとすればやはり同じような安全性についての何らか安心のできる説明が必要じゃないかという御意見ももっともではございますが、この会議でも、結局、軍艦というものはいわば国家の主権自体を代表しておるものである、そういうことから、軍艦についてこういう特殊の説明書を要求するということは、やはり従来認められた国際法上の軍艦地位というようなものから遮断でないということで、何国もこれに異論を唱えることなく、軍艦適用からはずされておるわけでございます。従って、軍艦についてどういうことを要求するか、また要求する必要があるかというようなことは、いわば一般原則にまかされているわけでございます。当事国同士話し合いでもし出せるものがあれば出すでしょうし、出せないものであれば一般的な保証をもって満足するということになると思うのでございます。現実の扱いといたしましては、アメリカ原子力軍艦がひんぴんと各国に入るのでございますか、このいわゆる原子力船に特別の証明書というようなものを出すというようなことは、どこの国もこれを要求していないというのか実情でございます。従って、やはりこれは軍艦のいわば国際法上の特別の地位ということからこういう扱いになってきておると考えるわけでございます。
  21. 戸叶里子

    ○戸叶委員 軍艦国際法上の特別的な地位という扱いはあっても、原子力関係軍艦、たとえば原子力潜水艦のようなものの国際法上の特別な扱い地位というものはございますか。
  22. 中川融

    中川政府委員 原子力をもって推進される軍艦についての特別の国際法上の地位というものは、今のところまだできていないのでございまして、やはり一般軍艦と同様に扱うということ、今まできまっている原則ではそういうことじゃないかと思います。これは要するに新しい事態でございますので、別にそのための特別の規則なりルールというものはまだできるに至っていないのでございます。
  23. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そういうふうなものはやはり望ましいものというふうにお考えになりませんか。  それから、もう一つ伺いたいことは、俗にブラッセル条約と言われている原子力船運航者の責任に関する条約、こういうふうなものが今言われたようなものに該当するというふうにお考えになりませんでしょうか。
  24. 中川融

    中川政府委員 原子力船災害補償に関するブラッセルでできました条約、これは損害補償の点についてのことを規定している条約でございますが、これにつきましては、これは軍艦も入れるということで、いわば原子力船に特別な規則をつくろうという試みであったわけでございます。日本もこれには出席して賛成しているわけでございますが、しかし、これは、肝心の原子力軍艦を持っている国である米ソ両国が、いずれも軍艦を入れることに反対いたしまして、これに署名しておりません。従って、現実問題としては、この軍艦が入ってくるかもしれない国はこれに署名しておりますけれども、入れる軍艦を持っている国自体はこれに署名しておりませんから、従って、これはどう見ても有効な国際条約として成立する見込は今のところないわけでございます。従って、原子力をもって推進される軍艦にも何かやはりほかと違った特別の規制が必要じゃないかという意見はあることは事実でございますが、しかし、国際法として採用されるまでにはまだなかなか時間がかかるんじゃないかと思います。一番の原因は、持っております国自体がこれに賛成しないということで、これが東西両方とも賛成していないということから、これは実際の国際法になるまでにはなかなか時間がかかるんじゃないか。従って、現実の国際法としてはまだ特別の規制はできるに至っていないと言わざるを得ないと思います。
  25. 戸叶里子

    ○戸叶委員 今条約局長がおっしゃいましたように、外務大臣、これを持っている国がそういう条約に賛成していないというところに問題があると思います。  そこで、今回日本の方からアメリカに、大体政府の腹としてはこの寄港を認められて、そうして、損害補償とかあるいはまた危険の問題、いろいろな問題についての質問書を出して、それに対する回答が出てきているようでございますけれども、今のお話を伺いましても、寄港される国が望むことに対して、原子力潜水艦を持っている国の力がそういう条約を望まないといたしますならば、なかなか補償の問題等についてはむずかしいんじゃないか、こういうことを考えるわけでございますけれども外務大臣は、どういうふうにお考えになりますか。
  26. 大平正芳

    大平国務大臣 こちらからあとう限り専門家の御意見も聞きまして先方に照会している過程でございまして、私どもといたしましては、これらの過程を通じまして、国民に御安心ができるような姿においてこの寄港問題のけりをつけたいと思っておるわけでございます。今まだ検討中ということでございます。
  27. 戸叶里子

    ○戸叶委員 これまでアメリカの方に問い合わせをして、そうしてアメリカから得た返事、少しでも国民安心できるような内容を持った返事がありますか。
  28. 大平正芳

    大平国務大臣 この検討を終えました段階で、できるだけ詳しく発表して御安心をいただくようにしたいと思っております。
  29. 戸叶里子

    ○戸叶委員 これまで来ている返答で安心できるような内容を持ったものがありますかどうですかということを伺っているわけでございます。
  30. 大平正芳

    大平国務大臣 その時期が来れば発表いたしますから、それで吟味していただきたいと思います。今まだ検討の過程でございます。
  31. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、この間内閣委員会等でも問題になりました損害補償で無過失責任の問題でございますけれども、これに対して政府の力から先方に問い合わせたことに対する問答が来ているやにきょうの新聞では報道されておりますけれども、それはまた来てないのですか、この新聞の報道は間違いでございますか。
  32. 大平正芳

    大平国務大臣 先週末に回答は参りまして、そして、これは、今の米日両国の実定法上どうなっておるか、あるいは実定協定の上で、どうなっておるか、それらの点を分析いたしまして、疑点がございますれば照会をしてみるということになるわけでございまして、先週末に参りました回答書を今吟味しておるという段階です。
  33. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、原則的にアメリカの方は無過失責任に対しては損害の補償をいたしますという、そういう原則の上に立っての回答で、あとこまかい点についてはいろいろと話し合いをしていく、こういうふうに了承してよろしいわけでございますか。
  34. 大平正芳

    大平国務大臣 今の実定法の上から申しまして、また実定協定の上から申しまして、人命の損傷に対しましては無過失責任の問題が認められるのではないかというように、当面判断いたしております。物的な損害につきましては、一部実定法から申しますと無過失賠償責任が貫かれていないというところもあるやに聞いておるわけでございまして、一応先方の回答を実定法に照らしてよく検討して、そして、どういう問題が残るか、それをどうするか、これは政治の問題だと思っております。
  35. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、政府としては、大体人命の損傷に対しては無過失責任が認められるけれども、物的な損害に対してはまだはっきりしないので、こういう点を今検討をしているということでございますが、だといたしますと、政府としての根本的な考え方は、人命に対する損傷はもちろんであるけれども、物的な損傷に対しても当然これは補償すべきである、こういう立場に立っての交渉をお進めになるのが当然だと思いますけれども、この点はいかがでございますか。
  36. 大平正芳

    大平国務大臣 もともと、この問題は、権利とか義務とか、そういう問題でなくて、安保条約上認められたそういう権利が先方にはあるわけでございまして、私どもがこの問題を取り扱う場合の立場は、当然先方に認められている権利の行使については十分に理解と協力をもって臨まなければいかぬわけなんでございます。従って、補償の問題にいたしましても、安全の問題にいたしましても、これがもう百パーセント満足でなければ私どもはノーと言うんだという立場にないわけなんでございます。しかしながら、私がたびたび申し上げておりますように、可能な限り、国民に御安心をいただく必要上、いろんな角度から日本側専門家の頭脳を動員して検討して、不満なところ、はっきりしない点を確かめるということは十分やって参らなければならぬ、こういうことでいっておるわけでございます。従って、今私が申しましたように、補償の問題にいたしましても、それでは現在の実定法上の建前でどうなっておるかということをまず一ぺん見きわめなければなりませんので、そういうことをやっておる最中でございまして、それで完全にカバーされるかどうか、無過失責任論が完全に貫き得るかどうかという点について、埋められない個所があれば一体それをどうするんだということは、先ほど申しましたように、政治の問題として私どもが処理しなければいかぬ問題だと思っておるわけでございます。従って、今の段階は、実定法、実定協定というものに照らして先方の回答に私どもの検討を今加えてみまして、どれだけ満足すべき状態に今あるのか、どこが足らぬのか、そういうような点を見きわめて、最終的には政治としてこれをどう取り扱うかということになるわけでございます。従って、あなたの言われるように、無過失責任論をあくまで追及するんだ、それが満足されなければこの問題についてはノーだというような割り切った立場にないことは、戸叶さんもよく御承知の通りでございますが、可能な限り国民に御安心がいただけるような工合にいたしたいということで、今せっかく努力しているところです。
  37. 戸叶里子

    ○戸叶委員 日米の関係というものは今の政府の立場に立ってはなかなかむずかしいようでございますけれども、ただ、私ども国民から考えますならば、原子力潜水艦日米安保条約で寄るということは仕方がないという政府の立場から考えてみましても、原子力潜水艦日本によってくれたら特に利益があるとか、また、寄らないからどうかというような問題よりも、寄ることによって何か非常にいろいろな危険を感じる面の方が多いわけでございます。そういう立場に置かれている日本国民からするならば、私どもは、もしも寄港を認めるとするならば、補償の問題くらいは当然日本政府としてアメリカに向かってはっきりした約束を一取りつけてもいいのじゃないか。日本からの要求が百パーセントカバーされなくても瀞港は認めざるを得ないような形にいるのではないかという御答弁でございまして、何かそこに日本側として補償要求に非常に弱いものを私どもは感じるわけです。私どもは、この潜水艦寄港しない方がいいという立場に立って考えてみますならば、せめて補償問題くらいははっきりさせておくべきであって、全部が全部日本国民として要求することがいれられないから、いれられないときには政治的に解決するなどという弱い形でその交渉を進められるということは非常に不安なわけでございますけれども、補償の問題はもっとはっきりさせていく、しかも日本の要求をある程度貫いていくという、そういうお気持にはなれないのかどうか、伺いたいと思います。
  38. 大平正芳

    大平国務大臣 申すまでもなく、善を尽くすべきものと思います。
  39. 戸叶里子

    ○戸叶委員 最善を尽くすべきものであるというのと先ほどの御答弁とは少しニュアンスが違うように思いますが、最後の方の最善を尽くすということ、最善ということは全部がカバーされるということであります。最善というのは最もよいということですから、そこに位から申しましても妥協のないことだと思いますので、最善を尽くすという言葉で私は信頼したいと思うのです。  そこで、お伺いしたいことは、原子力潜水艦寄港を断わっている国がどこかにないかどうか、この点を伺いたいと思います。
  40. 安藤吉光

    安藤政府委員 原子力潜水艦は、すでに十三カ国にわたりまして寄港いたしておりまして、百回以上得港しておるわけでありますが、先年デンマークに寄港の問題が起こりましたときに、やはりいろいろ意見がありまして、そのときは寄港しないことになったということを承知しております。
  41. 戸叶里子

    ○戸叶委員 デンマークでは得港をさせない、こういう、ふうに了承してよろしいわけでございますね。
  42. 安藤吉光

    安藤政府委員 先年、デンマークの方ではやはり望ましくないということで、アメリカの方はやめました。その後その問題は別に起こっていないというふうに承知しております。
  43. 戸叶里子

    ○戸叶委員 今のアメリカ局長のお話も、どうか外務大臣として聞いておいていただきたいと思います。いろいろ安全性の問題を考えてはっきり断わっている国もあるのだということをよく考えておいていただきたいと思います。  この海水に及ぼすいろいろな影響等につきましてはあとの機会にいたしますけれども、ある学者は、サリドマイドという薬によって、奇形児が生まれるようなことがなくなるような措置日本ではおそまきながらようやくとっているけれども、いつの日かまたこの原子力潜水艦等の問題によって海水が汚染され、知らないうちに魚を食べて奇形児が生まれるということもできないとは限らないから、ぜひそういう点を考えてもらいたいと育っている人がおりますけれども、どうかこの点も政府としてはよく考えていただきたいということを最後に申し上げたいと思います。  もう一つ、日韓問題で伺いたいと思いますが、朝海大使がアメリカを去るにあたりまして、日韓問題についてのこれまでの経緯といいますか、請求権の問題あるいは李承晩ラインの問題、竹島の問題等を響いたトーキング・ペーパーを渡したというようなことを新聞報道で見たわけでございます。そして、その翌日アメリカ側は、今の朴政権が民政に移管しない前になるべく日本が日韓交渉を進めてほしいということを、日本に言ったのではなくして、声明をしたようでございますけれども、こういうふうな点から見まして、なぜ日本がそういうものをアメリカに渡さなければならなかったのか、そしてまた非常にそれは内政干渉になるおそれがあるのではないかと思いますけれども、この点の真相を明らかにしていただきたいと思います。
  44. 大平正芳

    大平国務大臣 これは、日米間ばかりじゃなく、われわれが外交関係を結んでいる国々との間にそれぞれインフォメーションの交換というようなものはやるわけでございまして、また、そういう手順を踏んでより的確な国際情勢の判断についての資料が得られるわけでございまして、私どもも、双方の礼儀として、双方が関心を持っておるような問題につきましてお互いに情報の交換をするということは当然なことと思いまするし、別に意図するものではございません。従って、朝海さんがお出しになったというのは、しばらく、日韓交渉が続いておりましたが、現在の時点までの経過がどうなっておるか、別荘の時点でどういう問題が残っておるかというようなことについて、事実を一ぺんインフォームしておくようにということを私から申し上げたわけでございます。従って、これはアメリカ政府意見を求めたものでもないし、またそれについてアメリカがとやかくコメントしたわけでもないし、普通の意味の単純な情報の交換である、こういうものでございまして、内政干渉というようなたぐいでは決してございません。
  45. 戸叶里子

    ○戸叶委員 アメリカとして日韓交渉が進むことを望んでいるような立場でありますだけに、どうしてそういうことをされたかということで私どもは非常に懸念をしたわけでございます。  そこで、第二にお伺いしたいことは、韓国の政情はあのように不安定でございまして、今戒厳令がしかれるかもしれないというような状態になっているわけでございますけれども、今度民政移管後になりまして、新しい大統領、新しい政府、そして新しい国会、こういうふうになりますと、日韓会談の問題を二取り上げるにいたしましても、今のところきまっておりますのがいわゆる有償・無償の経済援助の、五億ドルというもの、たけで、あとの懸案事項はきまってないわけでございますので、そうした新しい体制になった場合に、この一応の話し合い、まあコンクリートになったとはいいながら、一つの問題である有償・無償の経済援助というものも、次の大統領なり、国会なり、それから政府なりというところで新しい形で審議されると、今の五億ドルというものにこだわらないというようなこともあり得るのであるかどうか、この線だけはいつまでもその次のところに引き継がれるというふうに考えるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  46. 大平正芳

    大平国務大臣 今あなたのおっしゃることは、私は韓国の問題だと思うのです。私ども態度としては、当面の懸案につきまして一つ一つ納得がいく解決案をつくりまして、そして最終的に一括して同時に解決したいという方針で臨んでおりますことは、これは御案内の通りでございます。従って、今過程的に合意いたしておりまする経済協力の問題も、最終的に一括して解決するまでは何ら法的拘束力を持たないわけでございます。日本側態度は不変なんです。終始一貫いたしておるわけでございます。韓国側がこれにどういう反応を示してくるかということは、これは百パーセント韓国の問題でございます。ただ、外交交渉上原則として言えますことは、私もたびたび予算委員会や本委員会でも申し上げておるのでございますが、韓国が一方の交渉主体としてそういった問題について建設的な対案をきめられる、そして今後それを外交的に保障していくという交渉主体としての能力をお持ちになっておる限り、私は日韓交渉というものは進めるべきだと思ってやっておるわけでございます。今の政変はどのような結末を見るのかわかりませんけれども、しかし、外交交渉上の原則といたしましては、日本側態度は不変である。そして、どのような反応を交渉主体として先方がお示しになるか、妥結したことをどのような形で保障するか、これは韓国側の問題であると私は思います。
  47. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、日本側としては今の線をくずさないけれども、韓国側に新しい形ができてきて、また違う話が出てくれば、それに応じるというふうなことはあり得るわけでございますか。一応話し合いのついた五億ドルというような線はどんなことがあっても変わらないというふうに考えていらっしゃるわけですか。それとも、向こうの政府の関係で変わることもあり得るというふうに考えてよろしいわけでございますか。
  48. 大平正芳

    大平国務大臣 日本側としての態度は不変でございます。
  49. 戸叶里子

    ○戸叶委員 日本側としては不変でも、向こう側の態度によっては変わることもあり縛るわけですか。全然変わらないのですか。
  50. 大平正芳

    大平国務大臣 日本側は不変です。
  51. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは、最後にもう一点だけ伺います。私はジャパン・タイムスで見たのですが、韓国に日韓問題懇談会ができて、そうしていろいろと各界の人が集まって日韓問題の討議をしているようでございますけれども、これは単なる韓国における日韓問題のPR程度の懇談会にすぎないというふうなお見通しを立てていらっしゃるか、それとも、この懇談会というものは相当な力を持つものであろうというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか、この点だけ外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
  52. 大平正芳

    大平国務大臣 私は本院でもたびたび申し上げておるのでございますが、向こうは民政に衣がえする過程にある。そして各政党ができる。世論というものはいろいろ捕捉の仕方があるのでしょうけれども、やはり政党の綱領に政策が化体していく。それで世論が組織化されることを意味するものでございますから、この民政移管の過程におきまして、韓国の各政党が日韓の問題を、取り上げて、そしてどのようにみずからの政綱とされるかということは、私ども非常に関心を持っておるところでございます。そういうことは世論の組織化の過程として当然望ましい方向でございます。従って、そういう今言われるような懇談会ができて、各政党の間で話し合いがあるということは、非常に建設的なことであると思って、関心を怠らずに注視しておるというのが私ども態度でございます。それで、どのように持っていかれるかということは韓国の問題であるということです。
  53. 戸叶里子

    ○戸叶委員 では、日本側としては、それがどういうふうな形になるか、一応そういうものができて世論として形成されていくことは望ましいという程度で、力のあるものだとか何だとかいうことはまだわからないというふうに了解してよろしゅうございますね。  それでは、私の質問はこれで打ち切ります。
  54. 野田武夫

  55. 川上貫一

    川上委員 私は今回もまた続いて原子力潜水艦の問題について外務大臣にお尋ねしたいと思います。  これはこの前も繰り返したのですが、原子力潜水艦の入港の問題について、どうも外務大臣政府もあれが核装備をしておるということをひた隠しに隠しておる。これは非常に危険であります。核装備をしておるということはもう世界の常識です。  そこで、きょうお配り下さった資料の注に、アメリカの国防省当局はサブロックは現在開発中であると説明したと書いてある。これはいつどこでどういう形で説明したのであるか、それをお尋ねしたいのです。
  56. 安藤吉光

    安藤政府委員 本年二月十八日に国防省はサブロックの実験の写真を一般に公開いたしました。その際に、それに説明をつけたのがございまして、長くなりますから御質問の点だけに触れますと、ザ・ウエポン・イズ・ビーイング・デヴェロプト・バイ・ザ・ネーヴァル・オードナンス・ラボラトリーとありまして、ザ・ウェポン・イズ・ビーイング・デヴェロプト、今開発中であるということがはっきりと示されております。
  57. 川上貫一

    川上委員 二月十八日のものはこれですか。
  58. 安藤吉光

    安藤政府委員 写真はおそらく同様のものだと思います。
  59. 川上貫一

    川上委員 これは毎日新聞の記事なんですが、そのほかの日本の新聞にも全部出ておる。この時分のこのことを言っておられるのでしょう、この時分のアメリカ潜水艦を。
  60. 安藤吉光

    安藤政府委員 私の承知しておりますところでは、やはりその当時にAP電が少し不正確な誤まった報道をしておりまして、それがいろいろ載っておるということを承知しております。そのAP電は、サブロックについて目下実用中であるというようなことを書いておるようでございます。しかし、AP電の根拠は、調べてみましたところが、どうやらある雑誌の記事に基づいたものだということが言われております。私が先ほど引用いたしました二月十八日の国防省の説明は、これは正式のものでございます。
  61. 川上貫一

    川上委員 あなたの根拠は新聞報道ですか。
  62. 安藤吉光

    安藤政府委員 先ほども申し上げました通り、サブロックのテストをしておる写真を発表いたしたのでございます。そのときに国防省がそれにつけ添えて説明書を出してございます。その説明書の中にいろいろ書いてございますが、一番御質問の要点であることに関しまして、この武器は目下開発中であるということをはっきり誓いております。
  63. 川上貫一

    川上委員 一九六二年の春にスレッシャー号は太平洋でサブロックの実用実験に成功しておる。その時分にアメリカの海軍はこの成功によってサブロックを決定兵器に指定しておる。これはうそだと断言しますか。
  64. 安藤吉光

    安藤政府委員 私の承知しておりますところでは、今おっしゃっておるようなことがアメリカのミサイル・アンド・ロケットという雑誌に書いてあったかと思います。しかし、私が先ほど引用しました国防省の説明というのは、これは正式に二月十八日なされたものでございます。この武器は目下開発中である、ビーイング・デヴェロプトということをはっきり申しております。
  65. 川上貫一

    川上委員 それが違うのです。その写真がこの写真なんです。この写真は一九六二年の春にスレッシャー号が太平洋で実用実験した写真なんです。何もことしの二月にあった写真ではありません。要らぬことを政府は答弁してはいかぬ。
  66. 安藤吉光

    安藤政府委員 私どもはその写真そのもの及び説明そのものを国防省から入手いたしております。それに先ほど申し上げました通りのことがはっきりと書いてあるわけでございます。跡
  67. 川上貫一

    川上委員 私どもはというのは、あなたがですか、日本政府ですか。
  68. 安藤吉光

    安藤政府委員 外務省でございます。
  69. 川上貫一

    川上委員 スレッシャー号というのがサブロックを装備するのには歴史がある。どこでどういうことをという事実を深く調べなければいかぬと思う。外務大臣は聞いておいて下さい。ずっと以前にホーミング魚雷が開発されておるのです。これはもう世界周知の事実です。ロケット・ブースターも完成しておる。また管制誘導も完成しておる。この三つの完成した装備を基礎にして一九五八年の五月にスレッシャー号は起工されたのです。その時分からすでにサブロックを装備する設計で始められておるのです。これはもう動かすべからざる事実です。このスレッシャー号がサブロックをつけておらぬと断言しますか。
  70. 安藤吉光

    安藤政府委員 サブロックというのは一種のロケットでございます。これはスレッシャー号で実験したというふうに聞いております。しかしながら、先ほども申しましたように、まだ実際的に装備はしていないというふうに承知しております。
  71. 川上貫一

    川上委員 装備をしておるのですよ。きょうお配りになった資料にも、原子力潜水艦はすべて二十一インチの発射管を持っておると書いてある。サブロックは二十一インチの発射管であればどの発射管にでもつくのです。それだから、アメリカ原子力潜水艦の発射口径はすべて二十一インチに統一しているはずです。二十一インチになぜ統一しているか、これはサブロックは二十一インチの口径ならどれにでもつくのです。目下開発中だということで逃げるわけにいかないのです。実用実験をしているのです。実用段階に入っておるのです。そうしてこれが成功しておるのです。成功したから、アメリカ海軍当局は決定兵器に加えておるのです。これは去年の二月です。ことしの二月じゃありません。このサブロックができておらぬというようなことを言うては答弁にならぬ。もう一ぺん一つはっきり聞かして下さい。
  72. 安藤吉光

    安藤政府委員 私はここに持っております。一九六三年二月十八日国防省の正式に発表したものでございます。
  73. 川上貫一

    川上委員 一週間後にサブロックが成功して積んだら、その潜水艦日本に来ませんか。
  74. 安藤吉光

    安藤政府委員 御承知の通り、核弾頭をつけた兵器の日本への搬入は事前協議の対象になっております。アメリカは従来から核弾頭をつけた兵器は日本には持ってこないと言っております。事前協議の対象になっておることは御承知の通りでございまして、それをわれわれとしては固く条約上約束しておるわけでございます。
  75. 川上貫一

    川上委員 それがあぶないのです。一九六二年版のジェーン年艦にはこう書いてある。サブロックMK45はノーチラスからジョージ・ワシントン、イーサン・アレン号までを含むすべての原子力潜水艦装備されておると書いてある。これはうそだと断言しますか。
  76. 安藤吉光

    安藤政府委員 ジェーン年鑑にそういうふうに書いてあるやに聞いておりますけれども、ジェーン年鑑といえども、神ならぬものでございまして、ときどきやはり不正確な点があるように専門家から聞いております。このサブロックが今使われておるかどうかという問題については、先ほどから再々申しましたように、二月十八日に国防省が正式に目下開発中であるということを言っておるわけでございます。
  77. 川上貫一

    川上委員 「潜水艦の歴史」というアメリカで発行した木がある。この本には、一九六一年度の予算にはやサブロック発射管MK44、MK45を原子力潜水艦に配備するということが予定されていると説明されておる。これもうそだと言いますか。
  78. 安藤吉光

    安藤政府委員 お言葉を返すようで恐縮でございますが、先ほどから申し上げておりますように、国防省は正式に二月十八日にサブロックは目下開発中であるということを言っておるわけであります。
  79. 川上貫一

    川上委員 大平外務大臣は、今アメリカ局長の答えましたあのことを全部知っていますか。
  80. 大平正芳

    大平国務大臣 この間川上先生と本委員会でやりとりがあったわけでございますが、私はあなたの問題の取り上げ方が全然違うということを申し上げておるのです。私どもは、核装備ということについては、先ほど局長が言いましたように、事前協議の対象になっておる。事前協議の対象にはなっておりますが、日本政府としては、もう不動の方針として、核兵器の持ち込みは認めないんだということを申しておるのでありますが、アメリカもそれは重重承知いたしておるのであります。アメリカ当局といたしましても、核兵器日本の領域内に持ち込むということは毛頭考えていないわけでございます。従って、そういう前提で出発しておるのでございますが、あなたの御議論は、これは装備しておるのだということを立証しようとして非常に御苦心されておるようでございますけれども、そういうことは初めから全然私どもは問題にいたしていないわけなんでございまして、従って、川上先生と議論をやりましても、一階と二階の相撲みたいになるのじゃ逢いかと思うのです。問題の所在が全然違うのですから。
  81. 川上貫一

    川上委員 そうでないのです。私の方は持っておるということを勝手に言うておるのじゃない。これは外務大臣よく考えなければいけない。今回原子力潜水艦が来る、これを認めてくれと言ってきた。そこで、政府はこれを許そうとしておる。ところが、今日の原子力潜水艦というものは、核装備をしておらなければ役に立たぬのです。私は今サブロックの開発問題でアメリカ局長と質疑を交換したのでありますが、サブロックだけに限る問題じゃない。今日の原子力潜水鑑で核装備をせぬ、これは戦争には役に立たぬのです。これは軍事上の常識なんです。それですから、核装備をしておるものは事前協議があるはずなんだから日本には来ないんだ、こんなことは通用しないのです。原子力潜水艦が来ると言うておる。それに核装備をした分は来ませんと言うておるのじゃない。また、あなたの方でも、核装備をしておる分は来てはならぬと交渉しておるのじゃない。ただ主観的に、約束があるのだから来ないはずだというだけなんです。これは国民が納得できない。核装備をしない潜水艦というものは、今後ありゃしません。これは戦争にならぬですから。それを許すのです。そうすると、核装備潜水艦が来ることになる。それを、それが来る分には事前協議があるはずだ、事前協議がないんだから持っておらぬはずだ、こんなことで国民が納得すると思いますか。一体、今日の原子力潜水艦というものの目的、その性能、今日の戦争の技術の問題からして、核装備をせぬ潜水艦というものが太平洋でうろうろしておると思いますか。この証明を一つもしないし、この証明もしないで、核装備をしておるのなら事前協議があるはずだ、事前協議がないのだから核装備をしておらない、これは証明にも何にもならないのです。これを私は言うておる。何も私と前提が違うとかなんとか、そんなことはないのです。大臣、問題は具体的なんです。だから、あなたの方では、あえてサブロックといわず、原子力潜水艦核装備をしておらぬ、これは全部ですよ、これは証明しなければいかぬのです。この根拠を出さなければいかぬのです。なぜなら、今度の原子力潜水艦の入港の要求は、核装備をしておるものは来ませんという要求じゃないですよ。原子力潜水艦が来るという要求なんですよ。原子力潜水艦が何隻あると思うのです。これがどれが来るかわからない。回答書をごらんなさい。日収初は一隻か二隻かわからない、だんだんとたくさん来るのだ、こう書いてある。原子力潜水艦と名のつくものは全部来るのです。さらに、その上に、私は言うておくが、外務大臣アメリカ原子力潜水艦は二つに分けておる。一つはポラリス型です。一つは攻撃型です。これはちゃんと証明がある。向こうが言うてきておるのは原子力潜水艦と言ってきておるのです。たといポラリスは今当面来ないにしても、その他の原子力潜水艦は来る。核装備を必ずしておると考えなければいかぬ。同時に、アメリカはポラリスと攻撃型潜水艦を両方原子力潜水艦と言うておるのです。ここの区別さえないのです。これは危険きわまりないじゃないですか。私は今すぐポラリスが来るのだからという質問をここで飛ばしておるのではありません。あなた方の言うノーチラス型、これはアメリカではこんな言葉を使っておらぬ。攻撃型というだけだ。ノーチラス号というのは一隻しかない。ノーチラス型としいてつければ二隻しかない。ノーチラスです。しかし、あなた方がノーチラス、ノーチラスと言うから、ここは妥協してノーチラスとかりに言うておるのだけれども、これは正式の言葉じゃない。こういうわけですから、外務大臣、話のもとがどこが違うのですか。私の質問しておるのとあなたの答えるのが、答え方が違うだけで、何も基礎が違うとかなんとかいう問題でございます問題じゃないのです。これはどういうことなんですか。
  82. 大平正芳

    大平国務大臣 やはり依然として並行線ですね、あなたとの議論は。あなたの兵器上の知識、いろいろ今拝聴いたしましたけれども、私ども先方からお話しの核装備をしていない原子力推進力とする潜水艦寄港という問題を取り上げておるわけでございまして、出発点がそこでございまして、その出発点に誤りがあるのだということは、アメリカがうそつきである、日本国民をだますのだということになるわけでございますので、この間もあなたに申し上げた通り、もし二国間で厳粛に取りかわした条約に違背するような同盟国といようなものでアメリカがかりにあったとすれば、私は、今日アメリカがこれだけの世界に力と信用を得る国にならなかったと思うのです。私はアメリカ安保条約に忠実であることを厘毫も疑っておりません。それがうそなんだという前提に立って立論される川上さんとは、どうも、議論をいたしましても、一階と二階の相撲で、とても呼吸が合わぬということになるのではないでしょうか。
  83. 川上貫一

    川上委員 そういう答弁というものはないですよ。私は核装備をしておるという具体的なことを述べておる。これに対して、次元が違うというような答弁がありますか。たとえば、一九六〇年六月十五日に、真珠湾のパール・ハーバーで停泊中の原子力潜水艦サーゴ号が火災を起こしたことがあるでしょう。この時分アメリカの海軍当局はどう言いましたか。同潜水艦は核弾頭を装備していたと言うておるじゃないですか。こう私は具体的な事実をあげて過去数回聞いておるのです。ところが、それに対して、それは違う、そういうことはないというかわりに、次元が違うとか、考え方の基礎が違うとかいう御答弁、これで国民が納得しますか。この一九六〇年六月十五日、これもうそだと言いますか。アメリカ海軍当局が同潜水艦は核弾頭を持っておったと言うておる。これはうそですか。
  84. 大平正芳

    大平国務大臣 日本寄港する原子力潜水艦というのは、核装備をしていないということでございまして、パール・ハーバーか、どうか、そういうことは私は存じません。
  85. 安藤吉光

    安藤政府委員 事実関係でございますから、私明確にしておきたいと思います。今川上先年が言われたパール・ハーバーにおけるサーゴ号の問題でございますが、われわれも調べましたが、アメリカ政府はそういう核弾頭を持っているという発表をしておりません。ただ、アメリカ政府発表にないことをAP電がつけ加えていたということを聞いております。もちろん、これは日本寄港問題とは別個の問題でございます。
  86. 川上貫一

    川上委員 アメリカ局長は顔色を見るとだいぶ興奮しておるようでありますが、そう興奮せぬでもよろしい。私は具体的に事実を言うだけで、いいかげんなうそを言おうとするから興奮しなければならぬ。私は、時間がありませんから、最後に伺いますが、これはきょうだけでは済まぬと思います。大平さん、あなた方は今事前協議をしておるのですか。これは重大な問題だと思う。条約局長はどう答えておりますか。中川さん、あなたは、三月二日の衆議院予算委員会で、事前協議なるものはどういう形で行なわれるか前例がない、二つの様式が考えられる、その一つは、はっきりと安保条約上の事前協議であると言って申し入れがある場合、いま一つは、はっきりと安保条約による事前協議であるとは言わなくとも、実質的に協議が行なわれた場合には事前協議に当たると言うたじゃないですか。今度の協議はこのあとの部分です。これは明らかです。われわれは、これは重大な問題だと考えておる。これはおそらくきょうだけでは質疑が終わらぬと思いますから、引き続いて時間の割愛を願いたいと思いますが、大平外務大臣は、事前協議がないのだからと、こんなことばかり言うておるが、事前協議しておるのでしょう。頭を振ったってだめですよ。(笑声)ここに重大な問題があるのです。すなわち、今回の原子力潜水艦日本寄港を要求した問題は、明らかに年前協議であって、核兵器は持ってこないとか、これはアメリカに照会してない。アメリカもまた核兵器の分は入れないのだとも言うてない。原子力潜水艦と言うておる。アメリカの使い分けによると、原子力潜水艦という概念の中には、ポラリス型と攻撃型と二つある。ちゃんと海軍が言うておる。このポラリス型は来ませんとも言うておらぬ。原子力潜水艦の臨港と、こう来ておる。あなた方は協議しておるのです。また、今度のこの協議には、前の約束によって核兵器は持ってこないことになっておるからそれは別でありますとも言うてない。一緒くたに原子力潜水艦寄港を申し入れてきておる。あなた方はよろしいと言おうとしておる。この原子力潜水艦核兵器を持っておるのです。ここが問題です。それを、あなた方は、事前協議がないのだから核兵器を持っておらぬはず、だと言う。「はず」ですよ。一体、こういう危険な問題、日本アメリカの核戦略に完全に巻き込まれるような問題、こういうどたんばに来て、はずだというようなことで、これで外交の責任がとれますか。国民に責任が負えますか。外務大臣はもう少し考えなければいかぬと思う。私はよけいなことを言いませんが、日韓会談でも先走ったのは外務大臣、また今度のこの問題で国民に重大な影響を与えることをのんきにやろうとしている。きょうは残念ながら三十五分でという時間の約束です。私はこの時の約束だけは守りたい。これではなかなか質疑が終わりませんから、この回答だけを簡単に外務大臣して下さい。あとに残して私の質問を打ち切ります。
  87. 大平正芳

    大平国務大臣 われわれが問題がないというところを非常に苦心して問題にされる、その御苦心はよくわかりますけれども、私どもは全然そういうことを問題にしていないのでございます。かりに、あなたが言われるように、日本政府事前の合意なくして核兵器を持ち込むということをあなたのような権威のある方が言われて、もうアメリカという国は安保条約は忠実に守らぬのだというような風潮を言われることの方が非常に危険だと思うのです。これはお互いに百パーセントの信頼関係に立ってやらぬと、同盟関係というものは維持できるものではございません。非常に遺憾でございますけれども、私は川上先生にお言葉を返して恐縮でございますけれども、問題のないところをわざわざ問題にしているというふうにしか私には受け取れません。  それから、条約局長がこの間言われた事前協議についての御説明が今ありましたけれども、今度の場合は、最初の場合にもその次の場合にも全然該当しておりません。
  88. 野田武夫

    野田委員長 帆足計君。
  89. 帆足計

    ○帆足委員 ただいま同僚の川上委員が質問されましたことは、外務大臣は、二階にいるお客と一階にいる人と話をするようなもので、次元が違うと申されましたけれども、これはやはりきわめて重要な問題でありまして、国民のだれしもが不安を抱いていることでありますから、やはり外務大臣は、二階のお客を納得させるだけの十分な資料と、アメリカ側との交渉の過程において日本国民がほんとうに安心をするように徹底的に確かめ、究明し、そして答弁していただかなければならぬように思います。  そこで、結論としましては、新聞等に逐次報道され、またきょうの御質問にお答えの通りですが、結論的には、すでにもう最終承諾というか、妥結するのでありますか。また、問いただす点、交渉の点が残っている経過中でございますか。そのことをさらに確かめておきたいのです。
  90. 大平正芳

    大平国務大臣 この問題について各界各層を十分納得させるようにしろというお示しでございまして、これは仰せの通りに存じます。ただ問題は、全然初めから理解しようという御意図のない方にはなかなか御理解のいくような工合にはいかぬかと思います。この点は限界があるということを御了承いただきたいと思います。  それから、第二点の、この運び方でございますが、私ども安保条約上の義務としてこれは当然受け入れなければいかぬ問題でございまして、先方日本国民感情を考慮されて御相談があったことでございますので、私どもは、国民が疑点と思われる点を可能な限り解明いたしまして、御心配のないような措置を講じて、受け入れの方向で処置をいたしたいと思っております。
  91. 帆足計

    ○帆足委員 ただいまお尋ねいたしましたのは、それで最終的に交渉はほとんど尽くすべきことは尽くしたのでございますか、まだ交渉中でございましょうか、それを伺いたいと思います。
  92. 大平正芳

    大平国務大臣 まだ日本政府内で相談中でございます。
  93. 帆足計

    ○帆足委員 核兵器は導入しないということは、新日本憲法の精神に即して政府国民に公約されておることである。それは単に原爆を体験した日本国民原子力の問題に対して非常に敏感であるという国民感情の問題であるだけではなくて、実際問題としまして、国際緊張がまだ去らない今日、核兵器を置きますことは、日本の安全に寄与するよりも、予防爆撃、報復爆撃等を誘導するおそれもある。すなわち、隣邦にそういう不安を与え、また誤解も与えるということになるから、私どもは国の安全上非常に注意しておるのでございまして、従いまして、日本国民に多少なりとも疑惑があるような状況でありますと、直接安全保障の外側の対象になっております国々におきましてはまた一そう不安を抱くわけでございますから、内外に対しまして不安の念を去るだけのかたい交渉がアメリカ当局となされることが必要であろう、こう思うのでございます。結局、根本は、原子力潜水艦核兵器の関係、これは技術的な問題でもありますので、私どもは専門兵器学家並びに専門的な学者意見ももう少しよく確かめておきたいと思っております。  また、第二は、原子力潜水艦に伴う危険性の問題でございます。補償額等の問題は安保条約できまっておるといたしましても、危険性に対する認定について、私どもが納得いくだけの調査もし、資料もいただいておきたい、こう思っているわけでございます。と申しますのは、世界の今の諸国民の人類進化の過程におきましては、まだ信用というものが百パーセントの時代ではございません。人類の道徳的水準は遺憾ながらそこまで達しておりません。U2機のような事件も起こりますし、兵器を中心としての問題には、日常の人間が到達しております社会道徳が無視されることがしばしば起こるのでございますから、アメリカの道徳性にただ信頼を置くというだけでは、国と国との品位を保つ点において礼節上そういうお言葉をお使いになることは外務大臣として必ずしもいけないことであるとは私は思いませんけれども、やはり、国の安全のために、また私ども国民的主権のために、アメリカに強く要求して明確にしておいてもらう必要があると思うのでございます。考えてみますと、マッカーサー元帥が、日本アジアのスイスたれ、こういう長い演説をいたしまして、そして新日本憲法が内外において認められたころは、B29の全盛期でありました。そして、当時、B29の改良型が数年後には大量生産になる、その暁には太平洋を横断して六時間の余裕のある空の要塞ができる、そういう戦略的基礎のもとに、数年後にアメリカ軍は日本の軍事占領を解くであろう、解かれた後は、日本アジアのスイスたれ。さらに、同月のリーダース・ダイジェストに、マッカーサー元帥は、今日原子力の時代に、日本アメリカについてもソ連についても火中の栗を拾わされるならば焼き滅ぼされるにきまっておる、日本国民が余に正直に問うならば、余は答えよう、アメリカにもつくな、ソ連にもつくな、日本アジアのスイスたれ、こう言ったのはマッカーサー元帥その人であって、それを再び三たびも繰り返して、リーダース・ダイジェストの当時五月号でありましたが、詳しく、マッカーサー元帥の日本の戦略的位置を語るという言葉の中に書かれておるのでございます。それが今日のような事態になったのは、B29が博物館行きになりまして、音より早いジェット機が現われて、朝鮮戦争においてミグ戦闘機にやられてしまった。今や距離の勝利でなくて速度の勝利の時代が来た。敵に近いところに、敵のあごの下に基地を置け、こうして基地闘争に数カ年明け暮れしたことは、そういう事情から来ております。  そのジェット機がまた博物館行きにまさになろうとして、短距離ロケットの時代に移った。短距離ロケットは今や長距離ロケットに移ろうとしつつある。そこで、ソ連側としては、一万四千キロ長距離ロケットに成功いたしましたので、敵のあごの下に必ずしも基地を必要とせず、海外に基地を必要としないということと、他国に基地を置くことは、その置かれた国民に迷惑を及ぼすのみでなく、その置かれた国民の主権に重大なる影響を与える危険性があるので、諸国民はおおむね基地のない世の中の方を妥当と思うという論理とが重なって、今ソビエト側の方が国際連合の精神をより多く支持し、そしてソビエト側の方が論理において多少筋道が通るのでないかという印象を与えておることは御承知の通りだと思うのです。  それに対して、アメリカは、長距離ロケットにおいて立ちおくれいたしましたので、最近八千キロ長距離ロケットにだんだん実験が成功して進み始め、両国が長距離ロケットに進むならば、核兵器の管理も、また近距離の場所に基地をつくるということも撤回できるでないかという議論がアメリカの軍事評論家のハンソン・ボールドウィンやニューヨーク・タイムズの軍事評論家の諸説などにもひんぴんとして現われ出したし、そういう技術的力を背景として平和へ一歩前進することが望まれておるときに、突如として潜水艦戦術というものが現われてきた。  そして、この潜水艦戦術のために、楽観論者は、基地を潜水艦という形で動かすことができるから、いわゆる他国を基地にし、他国に規制を加えるというような緊張は緩和することができるのではないかということを期待していたときに、この潜水艦は港に立ち寄り、岩陰にときどき休息することが必要であるということで、せっかく基地撤廃の機運になっていたところが、沖縄にもポラリス潜水艦が停泊する、原子力潜水艦が出没するということになった。せっかく戦略の変化のために基地が撤回され、中立地帯がふえる、これは政治的ではなくても軍事的中立地帯がふえて、だんだん平和の領域がふえ、ソ連、アメリカが究極的には話し合いをし、国際連合が中に入って軍備縮小の方向にまとまってくれるかと思っていたときに、この潜水艦問題が起こったわけでありますから、潜水艦基地の問題が今後どういうふうに展開するかということは、これから大いに私ども警戒し、注目し、研究せねばならぬ課題に今ぶつかっておる。まさにそのときに、原子力潜水艦日本の港に立ち寄るという報道でありますから、一般戦略の面から言いましても、われわれが驚いたのは当然のことでございます。  従いまして、外務大臣におかれましては、事を簡単にお考えにならずに、ただアメリカを信用するというような小さなことでなく、十数年前には英鬼、米鬼と言われたアメリカのことですから、そう歴史というものは突然変異するわけではありません。国と国との利害というものは、まだ国際的論理の矛盾を犯してでも国の利害を守らねばならぬ。まして、軍事においておやというような、軍事戦略というものはきびしいドライな世界でありますから、どうか、簡単にお考えにならずに、ゆっくり交渉して、国民が十分納得いくまでアメリカ側日本の真意を知らしていただきたい。自由世界の中に今の日本国民の多数が支持しておる政党を通じて入っておりますけれども、しかし、平和憲法が変わったわけでもなく、平和の誓いが少しでも国民の心から去ったわけではないのでありますから、どうか、平和憲法の趣旨と国民の平和への意思を体して、この問題はもっと明確になるまで突っ込んで、具体的に確かめ確かめしていただくことを、私は外務委員の一員として外務大臣にお願いもし、要求もしたいと思うのでございます。  一体、原子力潜水艦日本の港に何のために立ち寄らねばならぬか、その戦略的理由、技術的理由はどういうところにあると外務大臣はお考えでしょうか。
  94. 大平正芳

    大平国務大臣 世界の常識といたしまして、原子力潜水艦がたくさんの港に寄港いたしておるわけでありまして、この問題の評価について非常に深刻に帆足先生お考えになっておるようでございますけれども、私ども、この問題自体はそんなに深刻な問題だとは思っておりません。先方からの話によりますと、兵員の休養と水等の補給に必要なのだというように承っております。
  95. 帆足計

    ○帆足委員 時間が参りましたが、私は、党は違いますけれども、この原子力潜水艦についての川上委員の質問はやはり傾聴に値するものだと思っておる次第です。従いまして、人にはそれぞれ錯覚もありますから、外務大臣としては、普通の軍艦が立ち寄る安保条約のワク内の正常なこととお考えかもしれませんけれども、こうして野党の者がこもごも立ってこの問題を非常に重大に考えて問いただしておる。私どもは単に小さなあげ足を取って外務大臣を追及するというような趣味はあまり持ち合わせておりません。そういうことで野党の見識なり信用が高まるものではありません。従いまして、これは誠心誠意心配しておる次第でありますから、次回にはわが党内においてもまたそれぞれ研究の成果を持ち寄って外務大臣に問いただしますから、どうか政府におきましても慎重な態度をおとり下さらんことをお願いする次第でございます。
  96. 野田武夫

    野田委員長 本会議散会後に再開することとし、この際休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ————◇—————    午後三時十一分開議
  97. 野田武夫

    野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  海外移住事業団法案並びに関税及び貿易に関する一般協定譲許追加に関する第十議定書日本国及びニュー・ジーランド)の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国タイとの間の条約締結について承認を求めるの件、千九百六十二年の国際小麦協定締結について承認を求めるの件、日本国フィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件、以上五件を一任議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。大平外務大臣
  98. 大平正芳

    大平国務大臣 ただいま議題となりました海外移住事業団法案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。  本法案の趣旨につきましては、すでに本会議において御説明した通りでございまして、政府は、従来から、海外移住の重要性にかんがみ、移住者の援助、指導その他海外移住の振興、助成に努めて参りましたが、最近わが国内外の情勢は著しく変化し、また昨年のドミニカ移住者引き揚げ問題の前向き解決のためにも、海外移住機構の抜本的刷新をはかるべきであるという声が強くなりました。  よって政府といたしましては、昨年四月海外移住審議会に海外移住及び海外移住行政に対する基本的考え方につきまして出村見を求めました。  同審議会は、八カ月にわたる慎重なる審議の結果、昨年十二月政府に答申を提出し、海外移住は国民に海外における創造的活動の場を与え、相手国の開発に協力し、わが国の国際的地位日本国民の国際的声価を高めることを指導目標とすべきであるとし、このために、海外移住に関する行政機構の一元化をはかって行政責任の所在を明確ならしめるとともに、公的な実務機構を刷新して政府の業務をできる限りこれに移し、活発かつ自主的運営を持って海外移住の推進を行なわしむべきであると答申されたのであります。よって、政府におきましては、この答申の趣旨にのっとり、従来ややもすれば海外で競合的関係にありました海外協会連合会と海外移住振興株式会社の両者の業務を統合して外務省の監督下に新たに海外移住事業団を創設することといたしました。  海外移住事業団には、海外移住の推進援助に必要とする農業、経済、労働、衛生、文教等各本面の専門家を集め、外務省は毎年関係各省と事業団の業務の基本方針を協議決定してこれを事業団に示し、また、予算の獲得及び事業団の側より求むる協力援助は与えるが、それ以外の政府側よりの干渉はできる限り排除し、事業団が責任をもって自主的に活動し得るよう、ここに海外移住事業団法案を提案致した次第であります。  次に、法律の内容につきまして、その概略をご説明致します。  第一章におきましては、海外移住事業団の目的、法人格、資本金等について規定致しておりますが、事業団の資本金につきましては、事業団を公的海外移住実務機関とする関係上、金額政府出資とし、当初資本金は、設立に際して政府から出資される八億円と事業団に承継される日本海外移住振興株式会社に対する政府の出資額との合計額とし、政府は必要があると認めるときは事業団に追加して出資することができるものとしております。  第二章におきましては、事業団に役員として理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内並びに非常勤の理事四人以内を置くこと、その他の役員の任免並びに職員に関する事項を定めております。  第三章におきましては、事業団の業務の運営に関する重要事項を審議する委員十五人以内で組織される運営審議会について規定しております。  第四章におきましては、事業団の業務として、海外移住に関する調査、知識の普及、あっせん、移住者の訓練及び講習、渡航費の貸付及び支度金などの支給、移住者の渡航に関する援助及び指導、海外における移住者に対する指導及び定着のために必要な福祉施設の整備、その他の援助、移住地の取得、造成管理、譲渡、必要な資金の貸与、借り入れ資金の債務保証その他の援助、これらの付帯業務、その他事業団の目的を達成するために必要な業務として外務大臣の認可を受けた業務を行うこと、並びに外務大臣が事業団の業務の基本方針を定めて事業団に指示すること等を規定致しております。  第五章におきましては、事業団の事業年度、区分経理、事業計画などの認可、財務所業、借入金及び債権、交付金の交付、余裕金の運用などについて規定いたしております。  第六章におきましては、事業団は外務大臣の監督を受けること、その他外務大臣の監督権限について規定いたしております。また、本事業団の業務の運営につきましては、関係各省と協力のため、大蔵大臣その他の関係大臣との協議を規定しております。  第七章は雑則、第八章は罰則の規程であります。  なお、付則におきましては、事業団の設立手続き、財団法人日本海外協会連合会及び日本海外移住振興株式会社からの引き継ぎ、税法上の特例措置などについて必要な規定を定めております。  以上がこの法律案の提案の理由及びその概要であります。なにとぞご審議の上速やかにご賛成あらんことをお願いいたします。  次に関税及び貿易に関する一般協定譲許追加に関する第十議定書日本国及びニュージーランド)の締結について承認を求めるの件につきまして、提案の理由をご説明いたします。  一九六二年三月九日輪がこくとニュージーランドとの間の通商協定を改正する議定書の署名が行われまして際、将来両国間において若干の品目につき関税交渉を行う旨が合意されたのでありますが、この合意に基づき、同年十月からジュネーブにおきましてガット上の譲許を相互に追加し合うための関税交渉が両国代表により行われました。交渉は十二月二十八日に妥結し、その交渉結果が本件の議定書に収録された次第であります。  わが国が与える譲許は羊肉一品目でありまして、現行の国定税率一〇%を据え置いたものであり、その一九六一年における対ニュージーランド輸入額は五百八十一万ドルであります。他方、ニュージーランド側が行う譲許は、水産物のカン詰、みかんのカン詰、生糸、金織物、グルタミン酸ソーダ等二十九品目であり、その一九六一年における対日輸入実績は三百三十一万四千ドルであります。  わが国の譲許は、国会のご承認を得たあと政府がガットの書記局に対して行う通告によって効力を生ずることとなっております。ニュージーランド側も近く右の通告を行う見込みでありますので、譲許の相互引き下げの趣旨にもかんがみ、わが方もこの通告をなるべく早期に行うことが必要と考えられます。  よって、ここにこの議定書締結についてご承認を求める次第でございます。  次に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国タイとの間の条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案の理由をご説明いたします。  わが国とタイとの間に租税条約を結ぶことについては、一九六一年十一月池田内閣総理大臣の対訪問の際共同声明でこれを確認し、一九六二年三月バンコックにおいて交渉を行いました結果、実質的に妥協し、わが方より早期に案文確定方申し入れていましたところ、今般案文についても最終的に合意を見るにいたりましたので、一九六三年三月一日バンコックにおいて、わが方在タイ島津大使との間でこの条約に署名を行ったものであります。  この条約は、二十か条からなり、基本的にはわが国がこれまでに締結した租税行役の型に行ったものであり、その内容は、パキスタン、シンガポールなどとの間の租税条約とほぼ同様の内容を有するものであります。この条約のおもな内容及び特色は次の通りであります。  すなわち、恒久的施設の定義を明確にし、恒久的施設を通じて事業を営むときに限り産業上、商業上の利益について相手国の租税を課されることとしております。航空機の運用から生ずる所得は全額相互免税とし、船舶の運用から生ずる所得については五〇%免税としております。配当については、子会社から受け取るものは二五%の軽減税率、配当を支払う法人が産業的企業である場合には二〇%の軽減税率とし、さらに、この場合の配当が親子会社間のものであるときは一五%の軽減税率としております。また、利子につきましては、産業的企業にかかる社債または貸付金に関するものは一〇%の軽減税率とし、使用量については一五%の軽減税率といたしております。さらに、産業的企業からの配当もしくは政府債の利子に対するタイ租税の額でこの条約の規定に基づき減免されたもの、またはタイの産業投資奨励法の規定に基づいて免除されたタイ租税の額は、日本で総合課税する際に、タイで支払われたものとみなして、日本の税額から控除することとしております。また、教授、留学生、短期旅行者などに対して広い範囲で免税を認めることといたしております。  この条約を通じて日本・対両国間の経済、学術、文化の面にわたる交流が一そう促進されるものと考えられます。  よって、ここに条約締結についてご承認を認める次第であります。  次に、千九百六十二年の国際小麦協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案の理由を御説明いたします。  わが国は、一九四九年の国際小麦協定以来、累次修正更新されてきた小麦協定に継続して加盟して参りましたが、一九五九年協定は一九六二年七月三十一日に失効いたしますので、これにかわるものとして一九六二年の国連小麦会議で作成されたのが、この一九六二年の国際小麦協定でございます。  協定の骨子は、小麦について一定の価格帯を定め、加盟輸出国は小麦の相場が高騰しても協定の定める一定数量までは最高価格で加盟輸入国に売り渡す義務を負い、他方、加盟輸入国は自国の小麦必要量のうち協定の定める一定の割合だけは加盟輸出国から価格帯内の価格で賢い入れる義務を負い、かようにして、加盟国の間において小麦の取引価格の安定と需給の調節をはかろうとするものであります。  この協定は一九五九年の協定をほとんどそのまま踏襲したものでありますが、改正点のうち主たるものは、価格帯が十二・五セント引き上げられたこと、加盟輸出国から加盟輸入国が買い入れなければならない小麦の右輸入国の小麦輸入総量に対する割合が変更され、わが国につきましては、一九五九年協定のときの五〇%が八五%に引き上げられたことであります。  わが国は、この協定に加盟することによりまして、安定した小麦の供給を確保するとともに、さらに、小麦の国際貿易の安定した拡大にも寄与し得る次第であります。  よって、ここにこの協定締結について御承認を求める次第であります。  最後に、日本国フィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  フィリピンは万国郵便連合の小包郵便物に関する約定に参加していないため、わが国と同国との間では直接小包郵便物を交換することができません。よって、政府はかねてよりフィリピン政府と小包の直接交換のための約定締結交渉を進めて参りましたところ、約定案文について合意が成立いたしましたので、昭和三十八年一月十六日東京で日本側により、一月十九日マニラでフィリピン側により、この約定の署名か行なわれた次第でございます。  この約定は、両国間で交換する小包の種類、小包の料金、差出郵政庁が名あて郵政庁に割り当てる割当料金、禁制品、小包について行なう業務の種類及び処理方法、損害賠償等、両国の郵政庁が小包の交換を行なうために必要な業務の基本的事項を規定いたしたものであります。  この約定の締結により、わが国とフィリピンとの間の小包交換業務は直接に行なわれることになりますので、公衆の受ける利便が増大することは言うまでもなく、同国との間の経済上、政治上の友好関係も一そう促進されることが期待されます。  よって、ここに日本国フィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について御承認を求める次第であります。  以上、条約四件につきまして、何とぞ御審査の上すみやかに御承認あらんことを希望いたします。      ————◇—————
  99. 野田武夫

    野田委員長 次に、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国等との交渉の結果に関する諦文書の締結について承認を求めるの件及び千九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約締結について承認を求めるの件を一括議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。戸叶里子君。
  100. 戸叶里子

    ○戸叶委員 関税に関するアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書の中で一、二点伺いたいと思います。  このB表の中で旧表の「三〇一のうち」というのを「二〇〇六のうち」とか、そういうふうに改めるというふうに書いてございまして、関税率表の番号が変わってきておりますけれども、その関係はどうなっているかを説明していただきたいと思います。
  101. 宗知武

    ○宗説明員 お答えいたします。  これは、内容といたしましては、たとえば今御指摘になりましたようなパイナップルのカン詰でございますが、これは従来の税表が三〇一に分類してございました関係で三〇一の頭がついております。それが、一九六一年にブラッセル関税品目表を採用いたしました結果、番号が二〇〇六という番号に移ったわけでございます。ここに書いてございますB表の二つの関連は全く同じものでございます。
  102. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、ただ番が変わっただけと了承してよろしいわけでございますね。
  103. 宗知武

    ○宗説明員 番号が変わったのと、ここにございます通り、従来の譲許が二割五分なのが、キログラム当たり七十二円に変わった、こういうことでございます。
  104. 戸叶里子

    ○戸叶委員 二割五分のが一キログラムについて七十二円というふうに、従価税から従量税に変わっていったのですけれども、その理由はどういうわけでございますか。
  105. 宗知武

    ○宗説明員 これは、パイナップルに関しましては、日本内地ではパイナップルの生産は今のところございません。沖繩において、最近沖繩の経済物資として非常に沖繩が力を入れておりまして、それを日本に売っているわけでございます。その沖繩のパイナップルと価格上一番競合いたしますのは、大体台湾ないしマラヤ方面のパイナップルでございます。本邦におきましては、基本税率が四五%になっておりますが、暫定的に四十年三月までは五五%という税率になっております。アメリカものにつきましては、これは価格がはるかに高くなっております。従いまして、今回協定で七十二円といたしましたのは、高いパイナップルに対しては五五%までの課税の必要がない、低いいわゆる競合品に関しましては五五%の関税率を現在維持しなければならぬ、こういう意味におきまして、七十二円という従量税で協定いたしたわけでございます。
  106. 戸叶里子

    ○戸叶委員 従量税から従価税になった同じような例がほかにもございますか。
  107. 宗知武

    ○宗説明員 アメリカ関係のD表にございます。一番最後の十一ページでございます。二七二の液化石油ガス、これは従価二割が基本税率でございます。これを一トンにつき千三言八十円というふうにいたしました。二七一一は、実は、ここに計いてございます通り、「石油ガスその他のガス状炭化水素」と申しまして、特定の液化ガスを目的としたものではございません。バスケット・カテゴリーと申しますか、ある程度の品物をたくさん含んだ税番でございます。そのうち、液化石油ガスにつきましては、石油類もそうでございますが、なかなか価格の判定が困難なものでございます。従いまして、それを課税技術上課税を明らかにするために、協定といたしまして従量税を採用したわけでございます。
  108. 戸叶里子

    ○戸叶委員 特殊なものに限って従価税から従量税を採用したというふうに考えてよろしいわけでございますか。
  109. 宗知武

    ○宗説明員 さようでございます。
  110. 戸叶里子

    ○戸叶委員 B表で関税率を上げている理由を説明していただきたいと思います。大体税率を引き下げるのがガットの理念ではないかと思いますけれども、今回これを上げている理由はどういうわけですか。
  111. 宗知武

    ○宗説明員 B表にございます今回税率を修正して上げたものは、いずれも昨年及び一昨年税表の改正に伴いまして基本税率を上げたものでございます。しかも、ガットの譲許品目でございます関係上、実際上譲許税率が適用になります。それでは国産保護上十分でない、こういうことで、今回譲許税率を国定基本税率まで引き上げるための交渉をいたしたわけでございます。
  112. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そのねらいは国産品の保護というふうなことから考えたわけですか。
  113. 宗知武

    ○宗説明員 健全なる国内品との競争関係を保つためにはこの税率が必要であるという意味で基本税率が改正されておりますから、それに沿ってガット税率を修正したわけでございます。
  114. 戸叶里子

    ○戸叶委員 次に、海上における人命の安全のための国際条約締結についての問題でございますか、この条約は一九四八年のにかわったものであるということを説明されたわけでありますが、一九四八年のと今回のとのおもなる違いはどういうところにあるかを説明していただきたいと思います。
  115. 藤野淳

    ○藤野政府委員 海上人命安全条約の一九四八年のものが一九六〇年にどのような改正が行なわれたかということでございますか、大部分が技術的な事項でございますけれども、おもな点を申し上げます。  この条約には漁船は適用除外になっておるわけでございますが、この漁船の定義が明確でなかったので、今度新たに定義が加わったわけでございます。これは工船等は漁船でなく貨物船として適用を受けるということが明確にされた点が第一点でございます。  第二点は、総トン数五百トン以上の貨物船につきまして、構造検査でございますとか、あるいは証書の制度が新たに設けられた点でございます。  第三点は、総トン数五百トン以上の貨物船につきまして、後進力その他の脱出設備、乗員の脱出設備でございますが、この基準が新たに設けられた点でございます。  第四点といたしましては、総トン数四千トン以上の貨物船につきまして防火構造の基準が設けられたという点でございます。  第五点といたしまして、救命設備といたしまして、救命いかだというのがございますが、これは従来固型のものに限られておりましたのか、膨脹式救命いかだが新たに採用された点でございます。  第六点といたしましては、貨物船の無線設備の強制範囲が従来は五百総トン以上のものでございましたが、総トン数三百トン以上というふうに、小型の船にまで適用範囲を拡大したという点でございます。  第七点は、穀類の運搬につきまして、締約国政府間で容認されております穀類積載図の制度が新たに設けられた点でございます。  第八点といたしましては、原子力船につきまして新たに規制が行なわれる、そのような規定が設けられた点でございます。  以上が改正点のおもなる条項でございます。
  116. 戸叶里子

    ○戸叶委員 前にも政府間海半協議機関というものがあったわけでございますか。
  117. 藤野淳

    ○藤野政府委員 一九四八年当時にはまだそんなものはございませんでした。
  118. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、これにかわるべきものは何かあったのですか。
  119. 藤野淳

    ○藤野政府委員 この海上人命安全条約の事務局といたしましては、英国政府が事務局の役割をいたしたわけでありまして、そのような機関はございませんでした。
  120. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると、これにかわるべきものは何もなかったわけですね。
  121. 藤野淳

    ○藤野政府委員 一九四八年当時はそれにかわるべきものはございませんでした。
  122. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうすると、これは新たにできたものだというふうに了承するわけです。  第八章の問題で、原子力船の問題が入れられたわけですが、前の一九四八年のときにはなかったけれども、これが新しく設けられたわけです。そこで、私は午前中にも外務大臣にこの点だけを少し質問したわけですけれども軍艦以外の、原子力船については、この条約の第八章で大体の規定がされて、そして国内法を改めてそれに合わせるようにしていくのだということがしるされてあるわけですが、国内法としてはどういうようなものを予定されているわけでございましょうか。
  123. 藤野淳

    ○藤野政府委員 現在、原子力船を規制いたします国内法といたしましては、いわゆる原子炉規制法がありまして、これは、建造いたします場合に、原子炉の設置の許可を規制しており、また、船舶安全法により、舶用原子炉の工事及び設計方法の認可、あるいは安全検査、そのような規定がございます。今後私どもとして原子力船の規制に対しまして考えております法令は、船舶安全法の一部改正をいたしまして必要な条項を取り入れるということ、それから、同じく、私どもの所管ではございませんか、船舶職員法でございますとか、あるいは船員法でございますとか、あるいは損害賠償の法律でありますとか、その他海上保安庁設置法などもございますか、いろいろ関連の法規の改正が必要じゃないかと考えておる次第でございます。
  124. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この条約通りますと当然今おっしゃったような関連の法律が必要であるということをお認めになったわけでございますけれども、その関連の法律、ことに損害賠償等の法律等は、一体いつごろお出しになるおつもりでございますか。
  125. 藤野淳

    ○藤野政府委員 先ほど私のお答えが不正確でございました。この条約通りまして当然必要なわけではございませんで、私どもが今御審議願っております原子力船の建造開発を行なうにつきましては、将来そのようなものが必要であると申し上げたわけでございます。この条約が成立いたしましても、直ちに国内法を改正する必要は、原子力船に関する限りはございません。
  126. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それは少しおかしいじゃないですか。原子力船の建造とか、それからまたそういうふうな問題が今考えられているので、原子力船ができてからそういうふうな国内法をつくるとおっしゃるのでしょうか。もう一度はっきりさせて下さい。
  127. 藤野淳

    ○藤野政府委員 原子力船の建造は、予定通りに進歩いたしますと、昭和四十三年にでき上がりまして、運転が始まるという予定でございます。従いまして、それまでに、先ほど申し上げましたような関連法規の整備が必要だと考えます。ただし、建造にあたりまして、設計あるいは炉の設置許可といったような行政処分は、現在の法制のもとで可能であると考えておる次第でございます。
  128. 戸叶里子

    ○戸叶委員 この条約ができまして、そして原子力船の得港の問題が出てくるわけですね。これは軍艦以外の原子力船ですけれども、そうした場合に、今おっしゃったようないろいろな法律をつくらなくても、国内にある法律で間に合うという意味でございますか。そうなら、何も原子力船の建造に伴って、そういう法律で間に合うものがあるならば、新しくつくる必要はないじゃないですか。間に合わないから、こういうふうな条約が批准されて、そしてお互いの間で原子力船の樹海とかいう問題が出てくるから、それに伴う国内法というものが改められなくてはならないというふうに了解してはいけないのですか。
  129. 藤野淳

    ○藤野政府委員 私の御説明が非常に不完全でございまして、この原子力船が船となって浮かんで運航するという段階になりますれば、これは当然先ほど申し上げましたような法律が必要でございます。  なお、外国の原子力船寄港問題につきましては、この条約の規制を受けるわけでございまして、早晩このような法制の整備が国内法としても必要だろうと考えておる次第でございます。
  130. 戸叶里子

    ○戸叶委員 だとすると、原子力船日本寄港する場合に、たとえば損害の補償の問題とか、いろいろなものをめぐって、当然国内の法律の改正ということが必要になってくるのじゃないですか。
  131. 須之部量三

    ○須之部説明員 この条約の規定は、むしろ船の構造の面について規定しておるわけでございまして、いわゆるこの規定に沿った船ならばそのまますぐ入国を認めなければならないかという点とは、また別の問題でございます。たとえば、入港については海港の国際制度に関する条約等が規定しているわけでございます。従いまして、外国の原子力船が入港して参ります場合には、そのための二国間の、取りきめを別途つくる必要があるように考えております。
  132. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、原子力船が外国から入ってくる場合には、前もって、その入ってくる国と日本との間に協定を結んで、そうして、その中に補償の問題とかいろいろな問題の規制を受けた上で入ってくる、こういうことになるわけでございますか。今のお言葉ではそういうふうに解釈できますね。
  133. 須之部量三

    ○須之部説明員 現実の例を見ましても、例のサバンナ号の寄港につきまして、米国とギリシャの間で補償等を含みます二国間の取りきめをつくっておるわけでございます。従いまして、わが国の場合でも同様な措置をとる必要は出てくるかと存じております。
  134. 戸叶里子

    ○戸叶委員 先ごろ国会を通りました船舶安全法ですか、その法律が通りましたけれども、しかも、一方においてはこの条約を審議していたわけです。ところが、船舶安全法の中では、原子力船についての問題は全然触れておらなかったわけですけれども船舶安全法の通る場合に、当然原子力船の今おっしゃったような問題が何らかの形でそこに約束されて、——約束されてと言いますか、国内法の中に織り込まれてよかったのではないかと思いますけれども、織り込まれる必要は全然ないわけでございましょうか。
  135. 藤野淳

    ○藤野政府委員 原子力船の建設にあたりまして、炉の設置許可でありますとか、あるいは設計、あるいは工事の方法でありますとか、あるいは性能検査、あるいは安全検査といったようなものは、現在はいわゆる原子炉規制法におきまして運輸大臣に権限があるわけでございまして、この法律及び現在の安全法によりまして十分規制ができると考えております。なお、これが進水して海上に浮かびましていよいよ運転という段階になりますと、船舶安全法は当然改正しなければならぬと考えております。なお、そのときは、冒頭に申し上げましたように、乗組員その他を規制する法律も当然必要になって参りますので、一括改正になりますか、あるいは船舶安全法を先行させますか、その状況によりまして判断いたしたいと存じますか、私どもといたしましては、おそくとも昭和四十二年までには、原子力船に関する必要な規定を船舶安全法の中に織り込みたいと考えておる次第であります。
  136. 戸叶里子

    ○戸叶委員 外務大臣、今度の原子力船の問題につきましては、今お聞きになったようなことなんです。特に、原子力船日本寄港する場合には、二国の間で何らかの取りきめが行なわれるわけです。  そこで、午前中の問題に戻るわけでございますけれども原子力船の問題でさえも二国の間での何らかの取りきめが行なわれるのですから、ましてや、原子力潜水艦寄港するというような場合には、国民の権利義務とか、あるいは国家間の義務義務に関係するような事態が発生する場合もあるわけでございまして、やはり何らかの形の取りきめに似たようなものが取りかわされてしかるべきではないかと思いますけれども、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  137. 大平正芳

    大平国務大臣 けさほどのやりとりでも御理解いただけたよりに、軍艦というのは、この条約米ソ両国の反対で入らないということになっておるわけでございまして、私どもといたしましては、けさも申しました通り、今言われたような国際的な取りきめができますことを非常に期待いたしておるのでございますが、残念ながら今のところできていないという状況であることは御了解の通りでございます。しからば、そういうものができていない段階においてどうするかということでございますが、けさも申し上げました通り、今の実定法、実定協定でどれだけが救われるかということは、私どもも綿密に調べて確認する必要があると思うのでございます。そして、それで十分間隙が埋められるということであれば問題はございませんけれども、何かまだ一足らないというようなところをどうやるかということにつきましては、けさも申し上げました通り、これは政治の問題で、相手国が応ずれば、——国際協定もない段階でございますので、可能な限りの措置を政治的に考えなければならぬと思っておるわけでございまして、ぞんざいにするということはないので、私も、けさあなたにお答え申し上げました通り、そういう点について最善を尽くしたいと考えております。
  138. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私はけさの問題を繰り返そうとは思っていないのですけれども、今お聞きのように、原子力船が入ってくる場合にも二国側の取りきめのようなものをするわけですから、今一度の場合においても、補償だけの問題に限らず、何らかの形での取り決めみたいなものがなされるでしょうけれども、その場合には事前に国会にお出しになっていただけましょうか。この点だけ伺っておきます。
  139. 大平正芳

    大平国務大臣 今まで原子力潜水艦寄港した寄港先の国と米国との間にはそういう協定はないのです。どこの国もそんなに大きな問題になっていないのですが、日本ではこれは相当な問題になっておるわけでございます。私どもとしては、そういうことも考えまして、できる限りの措置考えたいと思って、今せっかく検討いたしておるわけでございます。その検討の結果を見ないと何とも申し上げられませんが、アメリカとの間に一つの協定というようなものを結ぶという先例もございませんし、そういうところまでは考えておりませんが、国民の御安心がいくような措置は何とか考えねばなるまいということを考えておるのでございまして、国会に出すような協定というところまでは今考えておりませんが、できるだけの措置政府として講じておかなければなるまいと思っております。
  140. 野田武夫

    野田委員長 他に御質疑はございませんか。御質疑がございませんので、これにて両案に対する質疑を終了いたしました。     —————————————
  141. 野田武夫

    野田委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  両件をいずれも承認すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、両件はいずれも承認すべきものと決しました。お諮りいたします。ただいま議決いたしました両件に対する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 野田武夫

    野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  144. 野田武夫

    野田委員長 次に、海外移住事業団法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。松本俊一君。
  145. 松本俊一

    ○松本(俊)委員 移住事業団法につきましては、去る八日の本会議で社会党の西村関一君から詳細にわたって質問がございました。私もその質問も政府の答弁も聞いておりました。また、速記録も、取り寄せてよく拝見いたしましたが、大体において、西村君の御質問は、われわれも政府に向かってはっきりさせていただきたいと思った点が多々ございます。従って、本日私がこの委員会で御質問いたしますことは、なるべく重複を避けまして、この移住事業団法の主として今後の運用について、外務当局、政府当局がどういう心がまえ、またどういう方針でされるかということをなるべく具体的に御質問いたしたいと思いますので、一つ政府の方におかれましても具体的にお答え願いたいと思うのであります。  まず、これはこの門西村君の質問の中にもあったことなんですが、政府におかれては、この移住事業団法と並んで海外移住基本法あるいは海外移住法、あるいは海外移住振興法といったような、移住の業務の実施機関である移住事業団法のほかに、移住の根本法ともいうべきものを制定されるお考えがあるということをかねてから聞いておりましたのですが、これについてはどういう方針でおられまするか、お伺いしたいと思うのです。
  146. 高木廣一

    ○高木政府委員 移住事業団法でない方の移住法あるいは移住振興法につきましては、目下関係各省と審議検討を重ねておりまして、できるだけ早い機会に、できれば今国会にでも出したいと思っておるのでございますが、その趣旨は、移住審議会の答申にもございましたように、移住の理念をうたい、そうして、移住の全般的な方針と、それから援助その他の国策の原則をうたうという考えでございます。
  147. 松本俊一

    ○松本(俊)委員 追ってお出しになるという御方針と今御答弁がありましたが、考えようによりましては、むしろその方が先行すべきではないかという議論もあり得るわけであります。ことに、この移住事業団法の監督その他については、外務省と各省との権限の間にいろいろなめんどうな問題が起きておる。それもこの移住基本法の方ではっきりさせなければならない点も出てくると思うのでありますが、これらの点については、どういうお考えで今後対処していかれるお考えか、承っておきたいと思います。   〔委員長退席、安藤委員長代理着席〕
  148. 高木廣一

    ○高木政府委員 移住法を先に出すべきではないかというお話でございますか、事業団法は移住の実施機関を定めるきわめて事務的な機構法でございます。御承知の通り、最近移住も農業移住から技術移住その他非常に幅が広くなって参りました。それからまた、ドミニカの移住問題を契機といたしまして、移住の機構が多元化して非常に責任の所在が不明確である、実務機関も非常に不十分であるというような声が強くなりまして、至急にこれを改めなければいけないということがございましたので、予算関係法でございますこの事業団法を取り急ぎ国会に提出をした次第でございます。各省の権限の調教正につきましては、実は各省の権限は各省の設置法できめられておる次第でございますか、不明確の点もこざいましたので、農林、外務の間におきましては、一両大臣が話し合いをせられまして、政府として移住を推進する業務、これは権限行政ではなくてサービス行政でございますが、この業務を実際に公的立場から行なう事業団、公的立場の推進機関としては事業団が一本でやっていく、それの監督は移住業務の責任官庁である外務省が外務省一本の監督で行なう。これは、従来、海外協会連合会の場合には、外務省、農林省の両方の指導というような、若干はっきりせないところもございました。今度の場合は外務省一本にする。その点につきまして、さっき大臣からの提案理由の説明にもございましたように、実は政府があまり移住の実務にタッチするのは実際的でない、むしろ移住に熱情を捧げる人たちを事業団の中に入れる、農業経験者その他各方面の移住に必要なあらゆる経験者を中に入れて、各省間のなわ張り争いというものは、事業団が一本でやっていくことによって解決していく。従って、外務省本の監督というけれども、外務省自身もあまり監督せない。あまり監督せないと言うと非常に語弊がございますが、そのヘッドを見ることによって、そのヘッドを通じてやっていく。外務省といたしましては、各般にわたる仕事でございますから、事業団の基本方針の決定につきましては、外務省が中心になりまして、各省が滞りまして基本方針を協議し、決定して、それを事業団に授けて、そのあとは事業団が自主的にやっていくということでございます。そういう意味におきまして、農林、外務両大臣の話し合いもつきまして、その他、ほかの省では権限調整というような問題はございませんで、事業団の運営について各省の協力という点で話し合いをつけてございます。  ただ、移住法の力になりますと、権限の問題は今申しましたようにそう問題でございませんが、表現の問題その他でまた十分各省と調整がつきません。一番必要なのは、むしろ移住を推進する機構の方が重要でございますので、こちらの方を急いで出しましたのですが、基本法の力を決して軽視しているわけではございません。調整がつき次第法改正を急ぎたい、こう思っておる次第でございます。
  149. 松本俊一

    ○松本(俊)委員 今度の事業団は、この間の本会議における答弁、あるいは本日の趣旨弁明を見ましても、今までとかく末端において移住の援助・指導がややもすると権限争いの犠牲になったり、あるいは非常に官僚的な冷たい指導が行なわれたりするという弊害を改めようという趣旨で出発されておることはわれわれも了解するのでありますが、さしあたり、海外移住振興株式会社と海外協会連合会を統合されるということでありまして、その場合に、できれば民間団体の比較的大規模なものはなるべくこれを統合した方がいいのじゃないかという意見が相当あります。たとえば、いわゆる全拓連のようなものは、これはこの際移住事業団に統合してしまった方がいいんじゃないかという議論が相当あります。また、各府県にあります海外協会、この海外協会と今度の移住事業団との関係、これがどういうふうに運用されるかということは、今後の移住行政全般に与える影響は非常に大きいと思うのでありますが、そういう点について、外務大臣はどういうお気持でこの事業団を運用して参るか、つまり、地方の海外協会とか全拓連等とはどういうふうな連携をとっていくか。今度一つの団体にはならないのですが、これをどうしていかれるおつもりでありましょうか。その点を一つはっきりさしていただきたいと思うのです。
  150. 大平正芳

    大平国務大臣 御指摘のように、移住実務機関というものを完全に一元化しまして、それに全責任を持たして活発に運営して参るということが私どもの本旨でございます。ただ、この予算編成の時点で私どもが受け取りましたものは、海外移住審議会の答申を尊重するということが一つの課題でございました。それから、この答申では、今仰せの全拓連等の統合というような点はうたわれてなかったということ、従いまして、中央の海協連と移住振興株式会社というものをまずとりあえず統合していくということが、三十八年度の予算を編成し、一連の国の仕事の計画を立てる場合に、さしあたっての課題であったわけでございます。従って、非常に不満足でございますが、一応中央におけるそういう機構を統合するということに主眼を置いてつくってございますが、今松本先生の御指摘された、ほかの団体との調整あるいは統合というものを断念しているわけではございませんで、さしあたって海外協会などはこの際統合すべきじゃないかという考え方で、私もだいぶ配慮してみたのでございますが、これは別な法人格を持っておりまして、海協連が統合されるから、その論理的な結果として当然海外協会も一緒にするんだという思想が出てきませんので、非常に不満足でございますが、とりあえず中央のものを統合していくということにせざるを得なかったわけでございます。しかし、梓来は今おっしゃったような方向に着実な機構の整備充実をはかって参らなければいかぬと思うのでございますか、それのために、他の移住関係団体のことをいろいろ言あげする前に、まず今度つくる中央の移住事業団というものをりっぱにしなければいかぬと思うのです。そうして、それが信用を受け、それの機構が能率的にいくということでないと、ほかの方々に参加を求めると言うてもおこがましい話だと思うのでありまして、今度つくる事業団をりっぱなものにしたい。すでに、地方におきましては、たくさんの府県から、ぜひ事業団の支部をつくれという御要請もございます。従って、今度事業団をつくり上げていけば、だんだんそういう機運が出てくると思うわけでございます。今お示しのような方向に着実に前進できるのではないか。その前進できるような基盤をこの際私どもは懸命にやってつくっていかなければならないのじゃないかというように考える次第であります。
  151. 松本俊一

    ○松本(俊)委員 そうしますと、事業団の末端の機構が今までとかく批判の対象になっておりましたことは外務省も認められることと思いますが、今後は、海外と国内に分けまして、海外の末端の機構は大体どういうふうになるものと考えていいでしょうか。
  152. 高木廣一

    ○高木政府委員 海外におきましては、原則として事業団の支部を設置いたします。それは、現在は海外協会連合会の支店とかあるいは出張所、それから海外移住振興株式会社の支店あるいは出張所がございましたが、これを統合いたしまして事業団支部にするという方針でおります。  それから、ブラジルにつきましては、ブラジルの法制がございまして、大体拓植事業と金融事業は一本にできないので、現在におきましても、移住会社の活動が、ジャーミックという拓植会社と、それから移住振興の金融会社と、二つになっておるのでございます。これはブラジルの法制上やむを得ないのでございますので、事業団になりましても、ただ出資者が名義が変わるというたけで、ブラジルの体制は変えるつもりはさしあたってございません。
  153. 松本俊一

    ○松本(俊)委員 先ほどちょっと大臣が言われましたが、他方支部は設置できるのでございますか。ぜひわれわれは置いていただきたいと思いますが……。
  154. 大平正芳

    大平国務大臣 設置できる法制上の建前にいたしております。従って、そういう機運ができ、ごく自然にみんな納得ずくでそのようになることを私どもは期待いたしております。
  155. 松本俊一

    ○松本(俊)委員 中央と地方の関係で、外務大臣と知事との移住問題についての連携、これがとかく従来うまくいかないので、ほかの省とのいろんな関連が生じて、移住行政の全般が非常に萎靡してしまうという現象をしばしば私どもも耳にしたのでありますが、その点については今度は特段の考慮を払われたことと思いますが、こういうお考えでありますか。一つお教えいただきたい。
  156. 大平正芳

    大平国務大臣 仰せの通りでございまして、これからの移住希望者の中には多種多様の業種を含んで、一口に言うと技術移民の方向にだんだんいくと思うのでございます。また、現地からのそういう要望もあるわけでございますので、仰せのように、地方公共団体が各種の業態を地方におきまして把握して、そして、移住事業団との連携、あるいは移住政策を立てて、私どもとの連絡を緊密にして推進しなければいかぬと思います。従って、法律案におきましても、第三十九条はそういう宣言規定を置いたわけでございます。すなわち、三十九条では、「事業団は、その業務の運営については、地方公共団体と密接に連絡するものとする。」、「地方公共団体は、事業団に対し、その業務の運営について協力するよう努めるものとする。」という宣言規定を置いたのもその趣旨でございます。それで、外務省におきましては、先ほど局長から御説明申し上げたように、各省の関係官との連絡をばかりまして、移住政策基本方針というものを中央で固めて、これを事業団にお示しする。事業団はその指示のもとに全責任を持って業務の運営に当たるということにいたすわけでございますので、この基本方針は、もとより地方公共団体の長に対しましても指示し、また、地方公共団体におきましてそれを基本としていろいろ移住改築の推進を地方においておはかりを願う場合の予算につきましても、若干今年度の予算に計上していただきまして、遺憾のないようにやりたいという考えで進んでおります。
  157. 松本俊一

    ○松本(俊)委員 大臣の時間の御都合もあるようですから、特に大臣からお答え願いたいと思いますことを先にお聞きしたいと思いますが、この事業団法を見ますと、第二十一条に業務に関する規定が列記してありますが、この中の九号に融資の規定があるのですが、先ほど大臣が言われたように、だんだん技術移民もふえて、そうしていろいろな新しい事業を興すという場合に、この事業団が投資ができるということを法律上認めておる方がいいと思うのであります。海外移住振興株式会社は投資ができたのでありますが、この事業団には投資に関する規定が面接にはないのですが、この点についてははっきりしたお考えがあるのでしょうか。それをお聞かせ願いたいと思います。
  158. 大平正芳

    大平国務大臣 今お尋ねの事業団の業務の範囲でございますが、第二十一条に列記いたしております最後の十一号の、「前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するため必要な業務を行なうこと。」、この中には、今御指摘の投資業務も当然含まれておりまするし、財務当局も了承いたしております。ただ、その次に、「事業団は、前項第十一号に掲げる業務を行なおうとするときは、外務大臣の認可を受けなければならない。」と言って、一応縛ってございます。これは、この法案を作案する過程におきまして、投資の問題で今御指摘のような問題が起こりましたので、いろいろな議論もございましたけれども、しかし、長い展望に立って見ますと、今御指摘のように、技術移民等もでき、あるいは企業的な進出も相当行なわれる場合を想定せねばならぬので、私どもといたしましてもぜひ必要と心得て、このような体裁にいたしたわけでございます。
  159. 松本俊一

    ○松本(俊)委員 その点に関連しまし  て、内閣の移住審議会の答申の中にも書いてありますが、移住に関する金融面の仕事と事業面の仕事とはこれを分離した方かいいのじゃないか、——海外移住振興株式会社というものは元来金融をするためにできておる会社であります。海外協会連合会の方が主として事業をやる、こういうふうに二元化してあったわけですが、今度の海外移住事業団というものはその両方の職能を持つわけなんですが、これは、一元化した方がいいのか、両方存置した方がいいのか、政府部内でも相当議論があったと承っておりますが、現実の問題として、先ほど移住局長が言われたよりに、外国の法律上の関係あるいは外国の金融機関から融資を受けておる点、現に海外移住振興株式会社は受けておるようですが、そういう関係で、やはりこれは二元化した方がよかったのじゃないかという議論があり縛るのですが、この点については、外務省としてはどういうことでこれを一本にして、どういうふうに運用されるおつもりか、はっきりさせていただきたいと思います。
  160. 高木廣一

    ○高木政府委員 金融部門と補助拓殖部門と一緒にすることは経理上もいろいろ問題がございますし、この機能は二つにはっきり分けなければいけないとわれわれ考えております。ただ、機構的には一つにした方がいいのじゃないかという意見がございまして、移住審議会の答申も、その機構の一元、しかし機能は二元という意見の方が勝ちを制しましたので、われわれもそれを採用しまして、この事業団法によりましては、第二十六条で区分経理をやっておりまして、金融関係の方は別会計でやっていくということで二つの機能は分かれておりますが、機構的には一つでいくということになっておる次第でございます。
  161. 松本俊一

    ○松本(俊)委員 それで外国の金融機関から融資を受けておる問題も別に支障なく今後運営できるわけですか。
  162. 高木廣一

    ○高木政府委員 その点は従来の移住会社と何ら変わりなくできます。また移住会社が受けておりました外債の保証についても、この事業団に対して政府が引き継いで保証してくれることになっております。外国からも外債が借りられるようになっておりますから、その点十分に考慮されております。
  163. 松本俊一

    ○松本(俊)委員 いろいろお伺いしたいこともありますが、時間の都合もありますので、最後に具体的の問題をお聞きしておきたいのです。  それは、ちょっとやかましくなっておるグァタパラの問題なんですが、あのグァタパラの問題は、全拓連、移住振興株式会社、海協連、みんなに関係があって、非常に複雑な関係で、しかもその運営については相当困難な事情もあるやに聞いておりますが、その現状、並びに、将来この事業団ができたときにどういうふうに運用されるつもりであるか、これが一点。  もう一つ、これはこの間西村君からも質問がありましたが、人事の問題です。今度は、理事長一人、常任理事は四人と、非常に簡素化されたので、精鋭主義をとっていただかないとなかなか事業がうまくいかないと思いますが、この人事については外務大臣においても相当御苦心しておられると思いますが、その方針なり何なりについて何か腹案がございましたら、具体的のことではありませんけれども、一つお示しを願っておけばしあわせだと思います。
  164. 大平正芳

    大平国務大臣 グァタパラの事業の点は移住局長にあとから説明いたさせます。  人出の点は、仰せの通りでございまして、まず第一に、人事を考える場合に、過去にとかく批判がございましたし数々の不始末もあったわけでございますから、そういう過去の事跡に対する反省の上に立って考えなければいかぬとまず思っております。従って、中正な清新な人材で、両事業を一緒にいたしまして政府はできるだけ干渉しないようにいたしたいと思っておりますので、勇敢に責任を持ってやれるような方、そういう信用と能力、力量を持たれた方をもってまずそういうヘッドをきめなければならぬと思っておりまして、それをきめましたならば、その方がとらわれない立場で理事の構成等につきましても十分御検討いただいて、今度の衣がえをした一元化された事業団にふさわしい陣容を整えさせていただきたいと考えておりまして、目下慎重に選考中でございます。
  165. 高木廣一

    ○高木政府委員 グァタパラの問題について申し上げます。  グァタパラ移住地は全拓連が始めまして、仕事に入ります前にすでに関係県でここに行く人がきまっておりまして、ある方々はすでに財産を整理して待機しておるというようなこともございました。そういう政治的考慮も払いまして、大蔵、外務、農林三省次官が協議して、海外移住振興株式会社が全拓連のやり得ないめんどうを国の機関としてやれる範囲のワクをきめまして、それを海外移住振興株式会社がやり出したのであります。この計画は、三百七十家族余りの移住者を約七千町歩のところに入れる、そうして、ブラジル側は百十何家族、日本から二百六十家族ですが、こういう計画で始めたのであります。そして、移住会社の名義上におきまして、実質的には移住会社と全拓連が共同分担してやっていくという形で、分担資金も、全拓連の方は土地代を入れて約二億八千万円、それから移住会社の方は一億円、この金をもとにして、やっていく、そして、どんどん移住者が入っていって、入れば土地代を払う、その金を運用していくという計画で始めたのでありますが、昨年度に百家族、本年百六十家族という予定が、昨年度二十家族、本年度三十家族、全部でまだ五十家族しか入らないという関係上、入るべき金が入らないので非常に資金上苦労しておるというのが実情でございます。これがために、また関係三省寄りまして、最小限度必要な運転資金を約四千万円くらい出す、そして、人があまり入らないのですから、造成工事も延ばせる限り必要でないところは延ばすということで現在、やっておるのでありますが、三省次官の覚書にも、適当なときに根本的対策を立てようということで、この事業がうまくいく場合はもちろん問題ないのですが、うまくいかない場合は考慮するということになっておりますので、事業団が会社の事務を引き継ぎます前に、もう一度三省で根本的に話し合って、事業団が全部そのままそっくり引き継いでしまうか、あるいは、三省次官の覚書にも、場合によれば別会社をつくる、別会社というのは民間会社になって会社から離れていくということでございますが、こういう点について検討するということになっておりますので、われわれも、それまでに至急やりたいと、今せっかく関係三省で相談しておる次第であります。
  166. 安藤覺

    安藤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会      ————◇—————